説明

攪拌装置、容器および攪拌装置を備えた分析装置

【課題】エネルギーの伝達効率に優れ、構造が簡単で小型化が可能であり、メンテナンスが容易な攪拌装置、容器および攪拌装置を備えた分析装置を提供すること。
【解決手段】音波を用いて容器5に保持された液体を攪拌する攪拌装置20、容器5および攪拌装置を備えた分析装置1。攪拌装置20は、電力を送電する送電体21と、送電体から送電される電力を受電し、送電体又は電気端子24cの少なくとも一方の配置が変化することで、送電体に対する相対配置が変化し得る電気端子24cと、電気端子24cが受電した電力を変換して液体を攪拌する音波を発生する振動子24bとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、攪拌装置、容器および攪拌装置を備えた分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液体を音波によって攪拌する攪拌手段として、例えば、液体を保持した容器の外部に音波発生手段を設け、前記音波発生手段から前記容器に向けて音波を発生させることによって液体を攪拌する化学分析装置で使用する攪拌手段が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第3168886号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された攪拌手段は、容器の外部に音波発生手段が設けられ、容器と音波発生手段との間には液体の温度を一定に保持する恒温水が介在することから、容器と音波発生手段とが離れて配置されている。このため、特許文献1の攪拌手段は、音波発生手段が発生した音波が容器に到達する間に減衰し、エネルギーの伝達効率が悪いという問題があった。また、特許文献1の攪拌手段は、恒温水を保持する水槽が存在することから構造が複雑で大型になり、恒温水が存在することからメンテナンスがし難いという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、エネルギーの伝達効率に優れ、構造が簡単で小型化が可能であり、メンテナンスが容易な攪拌装置、容器および攪拌装置を備えた分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に係る攪拌装置は、容器に保持された液体を音波を用いて攪拌する攪拌装置であって、電力を送電する送電手段と、前記送電手段から送電される電力を受電し、前記送電手段又は当該受電手段の少なくとも一方の配置が変化することで、前記送電手段に対する相対配置が変化し得る受電手段と、前記受電手段が受電した電力を変換して前記液体を攪拌する音波を発生する音波発生手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記送電手段と前記受電手段との相対配置を調整し、前記相対配置を決定する配置決定手段をさらに有することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記配置決定手段は、送電時と非送電時とにおける前記送電手段と前記受電手段との間の距離が異なるように前記相対配置を調整することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記配置決定手段は、前記送電手段と前記受電手段との間の距離が送電時よりも非送電時の方が大きくなるように調整することを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記配置決定手段は、送電時に前記送電手段及び前記受電手段を接触又は近接させることを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記受電手段は、前記送電手段と異なる部材に設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項7に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記音波発生手段および前記受電手段は、前記容器に実質的に固定されており、前記送電手段は前記容器に対して相対的に移動する位置に配置されていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項8に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記音波発生手段は、前記容器の側面に配置されていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項9に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記送電手段は、前記音波発生手段と水平方向に対向する位置に配置されていることを特徴とする。
【0015】
また、請求項10に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記音波発生手段は、前記容器の底面に配置されていることを特徴とする。
【0016】
また、請求項11に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記送電手段は、前記音波発生手段と鉛直方向に対向する位置に配置されていることを特徴とする。
【0017】
また、請求項12に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記送電手段および前記受電手段は、有線接続されていることを特徴とする。
【0018】
また、請求項13に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記送電手段および前記受電手段は、アンテナを介して無線接続されていることを特徴とする。
【0019】
また、請求項14に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記送電手段は、送電側のアンテナが前記受電手段の受電側のアンテナと対向した場合に前記受電手段へ送電することを特徴とする。
【0020】
また、請求項15に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記容器は、光学的に透明な素材から成形され、側面の一部が測光用の窓として用いられることを特徴とする。
【0021】
また、請求項16に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記受電手段は、前記測光用の窓と同じ側面に、前記測光用の窓を避けて配置されることを特徴とする。
【0022】
また、請求項17に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記受電手段は、前記測光用の窓とは異なる面に配置されることを特徴とする。
【0023】
また、請求項18に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記音波発生手段は、印加される高周波交流電場によって表面弾性波を発生する表面弾性波素子の櫛型電極であることを特徴とする。
【0024】
また、請求項19に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記容器は、複数であることを特徴とする。
【0025】
また、請求項20に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記容器は、前記液体を保持する保持部を複数有することを特徴とする。
【0026】
また、請求項21に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記受電手段を複数有していることを特徴とする。
【0027】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項22に係る容器は、保持した液体を送電手段から送電される電力を利用して攪拌する容器であって、前記送電手段から送電される電力を受電し、前記送電手段又は当該受電手段の少なくとも一方の配置が変化することで、前記送電手段に対する相対配置が変化し得る受電手段と、前記受電手段が受電した電力を変換して前記液体を攪拌する音波を発生する音波発生手段と、を備えたことを特徴とする。
【0028】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項23に係る分析装置は、容器に保持された検体と試薬とを含む液体試料を攪拌して反応させ、反応液を分析する分析装置であって、前記攪拌装置を備えたことを特徴とする。
【0029】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項24に係る分析装置は、音波を発生する音波発生手段が一体に設けられた容器に保持された検体と試薬とを含む液体試料を攪拌して反応させ、反応液を分析する分析装置であって、前記音波発生手段は、少なくとも前記容器内に液体試料を導入する場合、前記容器に導入された液体試料を攪拌する場合、前記液体試料を前記容器の排出部へ移動する場合、前記排出部へ移動した液体試料を前記容器から排出する場合、前記液体試料を乾燥する場合、に音波を発生することを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明にかかる攪拌装置、容器および攪拌装置を備えた分析装置は、エネルギーの伝達効率に優れ、構造が簡単で小型化が可能であり、メンテナンスが容易であるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
(実施の形態1)
以下、本発明の攪拌装置、容器および攪拌装置を備えた分析装置にかかる実施の形態1について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、攪拌装置を備えた自動分析装置の概略構成図である。図2は、図1の自動分析装置の構成を示すブロック図である。図3は、表面弾性波素子が取り付けられ、図1の自動分析装置で使用される容器の斜視図である。
【0032】
自動分析装置1は、図1及び図2に示すように、試薬テーブル2,3、反応テーブル4、検体容器移送機構8、分析光学系12、洗浄機構13、制御部15及び攪拌装置20を備えている。
【0033】
試薬テーブル2,3は、図1に示すように、それぞれ周方向に配置される複数の試薬容器2a,3aを保持し、図示しない駆動手段に回転されて試薬容器2a,3aを周方向に搬送する。
【0034】
反応テーブル4は、図1に示すように、複数の反応容器5が周方向に沿って配列され、図示しない駆動手段によって矢印で示す方向に正転或いは逆転されて反応容器5を搬送する。反応容器5は、近傍に設けた試薬分注機構6,7によって試薬テーブル2,3の試薬容器2a,3aから試薬が分注される。ここで、試薬分注機構6,7は、それぞれ水平面内を矢印方向に回動するアーム6a,7aに試薬を分注するプローブ6b,7bが設けられ、洗浄水によってプローブ6b,7bを洗浄する洗浄手段(図示せず)を有している。
【0035】
一方、反応容器5は、図3に示すように、光学的に透明な素材から成形され、液体を保持する保持部5aを有する四角筒からなる容器であり、側壁5cに表面弾性波素子24が一体に取り付けられている。反応容器5は、後述する分析光学系12から出射された分析光(340〜800nm)に含まれる光の80%以上を透過する素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス,環状オレフィンやポリスチレン等の合成樹脂が使用される。反応容器5は、表面弾性波素子24を取り付けた部分に隣接する下部側の点線によって囲まれた部分が前記分析光を透過させる測光用の窓5bとして利用される。また、反応容器5は、表面弾性波素子24を外側に向けて反応テーブル4にセットされる。
【0036】
検体容器移送機構8は、図1に示すように、フィーダ9に配列した複数のラック10を矢印方向に沿って1つずつ移送する移送手段であり、ラック10を歩進させながら移送する。ラック10は、検体を収容した複数の検体容器10aを保持している。ここで、検体容器10aは、検体容器移送機構8によって移送されるラック10の歩進が停止するごとに、水平方向に回動するアーム11aとプローブ11bとを有する検体分注機構11によって検体が各反応容器5へ分注される。このため、検体分注機構11は、洗浄水によってプローブ11bを洗浄する洗浄手段(図示せず)を有している。
【0037】
分析光学系12は、試薬と検体とが反応した反応容器5内の液体試料を分析するための分析光(340〜800nm)を出射するもので、図1に示すように、発光部12a,分光部12b及び受光部12cを有している。発光部12aから出射された分析光は、反応容器5内の液体試料を透過し、分光部12bと対向する位置に設けた受光部12cによって受光される。受光部12cは、制御部15と接続されている。
【0038】
洗浄機構13は、ノズル13aによって反応容器5内の液体試料を吸引して排出した後、ノズル13aによって洗剤や洗浄水等の洗浄液等を繰り返し注入し、吸引することにより、分析光学系12による分析が終了した反応容器5を洗浄する。
【0039】
制御部15は、自動分析装置1の各部の作動を制御すると共に、発光部12aの出射光量と受光部12cが受光した光量に基づく反応容器5内の液体試料の吸光度に基づいて検体の成分や濃度等を分析し、例えば、マイクロコンピュータ等が使用される。制御部15は、図1及び図2に示すように、キーボード等の入力部16及びディスプレイパネル等の表示部17と接続されている。
【0040】
攪拌装置20は、図1及び図2に示すように、送電体21と表面弾性波素子24とを有している。送電体21は、反応テーブル4外周の互いに対向する位置に反応容器5と水平方向に対向させて配置され、数MHz〜数百MHz程度の高周波交流電源から供給される電力を表面弾性波素子24に送電する送電手段である。送電体21は、駆動回路とコントローラとを備えており、図4に示すように、表面弾性波素子24の電気端子24cに当接するブラシ状の接触子21aを有している。このとき、送電体21は、図1に示すように、配置決定部材22に支持されており、反応テーブル4の回転が停止したときに接触子21aから電気端子24cに電力を送電する。
【0041】
配置決定部材22は、制御部15に作動が制御され、送電体21から電気端子24cに電力を送電する送電時に、送電体21を移動させて送電体21と電気端子24cとの反応テーブル4の周方向並びに半径方向における相対配置を調整するもので、例えば、2軸ステージが使用される。具体的には、配置決定部材22は、反応テーブル4が回転し、送電体21から電気端子24cに電力を送電していない非送電時は、作動が停止されて、送電体21と電気端子24cとを一定の距離に保持している。そして、配置決定部材22は、反応テーブル4が停止し、送電体21から電気端子24cに電力を送電する送電時には、制御部15の制御の下に作動して送電体21を移動させ、送電体21と電気端子24cとが対向するように反応テーブル4の周方向に沿った位置を調整すると共に、送電体21と電気端子24cとを近接させて接触子21aと電気端子24cとを接触させることで送電体21と電気端子24cとの相対配置を決定する。
【0042】
ここで、攪拌装置20は、自動分析装置1の制御部15を配置決定手段として使用し、反応テーブル4を回転駆動するモータ等の駆動手段を制御部15によって制御することにより反応テーブル4の周方向に沿った送電体21と電気端子24cとの相対配置を調整してもよい。このように、配置決定部材22は、送電体21と電気端子24cとが対向するように少なくとも反応テーブル4の周方向に沿った送電体21と電気端子24cとの相対配置を調整することができればよい。一方、送電体21と電気端子24cとの相対配置は、例えば、送電体21側に反射センサを設け、反応容器5或いは表面弾性波素子24の特定個所に設けた反射体からの反射を利用する等によって検出する。このとき、検出した相対配置のデータは制御部15に入力しておく。
【0043】
表面弾性波素子24は、図3及び図5に示すように、基板24aの表面に櫛型電極(IDT)からなる振動子24bが設けられている。振動子24bは、送電体21から送電された電力を表面弾性波(超音波)に変換する音波発生手段であり、表面弾性波(超音波)が鉛直方向に発生するように、図5に示すように、複数の櫛型電極を反応容器5の側壁5cに上下方向に配列する。言い換えると、自動分析装置1に反応容器5をセットしたとき、振動子24bを構成する複数の櫛型電極が鉛直方向に配列されるように、表面弾性波素子24を反応容器5の側壁5cに取り付ける。また、振動子24bは、受電手段となる電気端子24cとの間が導体回路24dによって接続されている。表面弾性波素子24は、振動子24b,電気端子24c及び導体回路24dを外側に向け、エポキシ樹脂等の音響整合層25(図6参照)を介して反応容器5の側壁5cに取り付けられる。
【0044】
このとき、受電手段となる電気端子24cを含めて表面弾性波素子24は、分析光学系12による測光を妨げないように、図3に示すように、測光用の窓5bと同じ側面に、測光用の窓5bを避けて反応容器5に配置する。表面弾性波素子24は、振動子24bとして櫛型電極(IDT)を使用するので、構造が簡単で小型な構成とすることができる。ここで、振動子24bは、櫛型電極(IDT)に代えてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を使用してもよい。
【0045】
以上のように構成される自動分析装置1は、回転する反応テーブル4によって周方向に沿って搬送されてくる複数の反応容器5に試薬分注機構6,7が試薬容器2a,3aから試薬を順次分注する。試薬が分注された反応容器5は、検体分注機構11によってラック10に保持された複数の検体容器10aから検体が順次分注される。そして、試薬と検体が分注された反応容器5は、反応テーブル4が停止する都度、攪拌装置20によって順次攪拌されて試薬と検体とが反応し、反応テーブル4が再び回転したときに分析光学系12を通過する。このとき、反応容器5内の液体試料は、受光部12cで側光され、制御部15によって成分や濃度等が分析される。そして、分析が終了した反応容器5は、洗浄機構13によって洗浄された後、再度検体の分析に使用される。
【0046】
このとき、攪拌装置20は、反応テーブル4が停止したときに送電体21が接触子21aから電気端子24cに電力を送電する。これにより、表面弾性波素子24は、振動子24bが駆動され、表面弾性波を誘起する。この誘起された表面弾性波が、音響整合層25から反応容器5の側壁5c内へと伝搬し、音響インピーダンスが近い液体試料中へ漏れ出してゆく。この結果、反応容器5内には、液体試料Ls中の振動子24bに対応する位置を起点として、図6に矢印で示すように、上側に反時計方向の流れFccが、下側に時計方向の流れFcwが、夫々生じる。この2つの流れによって、反応容器5は、分注された試薬と検体とが攪拌される。このとき、攪拌装置20は、配置決定部材22によって送電体21を電気端子24cに近接させると共に、送電体21と電気端子24cとが対向するように位置を調整するので、送電体21から電気端子24cへの送電が円滑に行われる。
【0047】
また、反応容器5は、表面弾性波素子24が音響整合層25(図6参照)を介して側壁5cに一体に取り付けられて密着しており、恒温水を収容した浴槽は使用していない。このため、反応容器5は、表面弾性波素子24が発生した表面弾性波が音響整合層25から側壁5cを通って液体試料へと伝搬し、減衰し難いことからエネルギーの伝達効率に優れており、構造が簡単である。従って、反応容器5を使用することにより、攪拌装置20並びに自動分析装置1は、液体試料の温度を一定に保持する恒温水を収容した浴槽を有する従来の分析装置に比べて小型化が可能であり、メンテナンスも容易になるという利点がある。
【0048】
なお、実施の形態1においては、攪拌装置20は、ブラシ状の接触子21aによって送電体21が電気端子24cに当接して電力を表面弾性波素子24に送電するように構成した。しかし、攪拌装置20は、表面弾性波素子24に送電する際、反応テーブル4が停止した後、ラックとピニオンとを有する配置決定部材22によって送電体21を反応容器5に近接させ、図7に示すように、送電体21に設けたばね付き端子21bが電気端子24cへ当接するように構成してもよい。このような構成とした場合、自動分析装置1は、反応テーブル4を回転させて反応容器5を搬送するときに、ばね付き端子21bが表面弾性波素子24と干渉しないように、配置決定部材22によって送電体21を反応容器5から遠ざける。
【0049】
また、送電体21は、電力を表面弾性波素子24に送電することができれば、配置決定部材22と共に反応テーブル4の内側に配置してもよい。このとき、反応容器5は、表面弾性波素子24を取り付けた面を内側に向けて反応テーブル4にセットする。
【0050】
一方、表面弾性波素子24は、図8に示すように、電気端子24cに代えて板ばねを突起状に湾曲させたブラシ24eを設けてもよい。この場合、送電体21は、反応テーブル4の回転に伴ってブラシ24eが当接する端子を設ける。これにより、自動分析装置1は、反応テーブル4が停止したときに、反応容器5に一体に取り付けたブラシ24eが送電体21の前記端子に当接する。このため、攪拌装置20は、送電体21からブラシ24eを介して表面弾性波素子24に電力を送電することができる。
【0051】
尚、実施の形態1の自動分析装置1は、配置決定部材22によって送電体21の位置を調整しない限り、送電体21と受電手段である表面弾性波素子24の電気端子24cとの位置が変化しない場合について説明した。しかし、本発明の分析装置は、反応容器を手作業で着脱して1回ごとに測定を行うことによって送電体21と受電手段である表面弾性波素子24の電気端子24cとの相対位置が変化する簡易分析装置であってもよい。
【0052】
(実施の形態2)
次に、本発明の攪拌装置、容器および攪拌装置を備えた分析装置にかかる実施の形態2について、図面を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態1の攪拌装置は、送電体と表面弾性波素子の電気端子とを接触させて電力を送電したが、実施の形態2ではアンテナを用いて非接触で電力を送電し、自動分析装置1は実施の形態1と同じものを使用する。図9は、本発明の実施の形態2に係る攪拌装置と容器を示すもので、実施の形態2に係る容器の斜視図を攪拌装置の構成を示すブロック図と共に示す図である。図10は、図9の攪拌装置において反応容器に取り付ける表面弾性波素子の斜視図である。
【0053】
攪拌装置30は、図9に示すように、送電手段となる送電体31と表面弾性波素子33とを有している。このとき、反応容器5は、測光用の窓5bを有する側壁5cに表面弾性波素子33が一体に取り付けられている。
【0054】
送電体31は、送電体21と同様に配置決定部材22に支持されており、反応テーブル4外周の互いに対向する位置に反応容器5と水平方向に対向させて配置されている。送電体31は、表面弾性波素子33と対向配置され、RF送信アンテナ31a、駆動回路31b及びコントローラ31cを有している。送電体31は、数MHz〜数百MHz程度の高周波交流電源から供給される電力をRF送信アンテナ31aから電波として表面弾性波素子33に発信する。このとき、送電体31は、表面弾性波素子33に電力を送電する送電時に、RF送信アンテナ31aとアンテナ33cとが対向するように、反応テーブル4に対する周方向並びに半径方向における相対配置が配置決定部材22によって調整され、相対配置が決定される。また、RF送信アンテナ31aとアンテナ33cとの相対配置は、例えば、送電体31側に反射センサを設け、反応容器5或いは表面弾性波素子33の特定個所に設けた反射体からの反射を利用する等によって検出する。
【0055】
表面弾性波素子33は、図10に示すように、基板33aの表面に櫛型電極(IDT)からなる振動子33bがアンテナ33cと共に一体に設けられている。表面弾性波素子33は、振動子33b及びアンテナ33cを外側に向け、エポキシ樹脂等の音響整合層34(図11,図12参照)を介して反応容器5の側壁5cに取り付けられている。このとき、表面弾性波素子33は、図9に示すように、振動子33bを構成する複数の櫛型電極が鉛直方向に配列され、かつ、アンテナ33cが測光用の窓5bと同じ側面に測光用の窓5bを避けて配置されるように、反応容器5に取り付ける。表面弾性波素子33は、振動子33bとして櫛型電極(IDT)を使用するので、構造が簡単で小型な構成とすることができる。表面弾性波素子33は、送電体31が発信した電波をアンテナ33cで受信し、共振作用によって発生した起電力により振動子33bに表面弾性波(超音波)を発生させる。
【0056】
以上のように構成される攪拌装置30は、反応テーブル4が停止し、RF送信アンテナ31aとアンテナ33cとが対向したときに送電体31がRF送信アンテナ31aから電波を発信する。すると、送電体31と対向配置された表面弾性波素子33のアンテナ33cがこの電波を受信し、共振作用によって起電力が発生する。攪拌装置30は、この起電力によって振動子33bに表面弾性波(超音波)が発生し、音響整合層34から反応容器5の側壁5c内へと伝搬し、音響インピーダンスが近い液体試料中へ漏れ出してゆく。この結果、反応容器5内には、液体試料Ls中の振動子33bに対応する位置を起点として、図11に矢印で示すように、上側に反時計方向の流れFccが生じると共に、下側に時計方向の流れFcwが生じ、分注された試薬と検体とが攪拌される。
【0057】
このように、攪拌装置30は、RF送信アンテナ31aとアンテナ33cとを用いて送電体31から反応容器5に取り付けた表面弾性波素子33に非接触で電力を送電している。このため、攪拌装置30は、実施の形態1の攪拌装置20と同様にエネルギーの伝達効率に優れ、メンテナンスが容易なうえ、攪拌装置20以上に表面弾性波素子33の構造が簡単、かつ、小型になり、自動分析装置1を更に小型化することができる。
【0058】
このとき、表面弾性波素子33は、振動子33bとして櫛型電極(IDT)を使用しているので、構造が簡単であり、特に、振動子33bの部分を薄く構成することができる。このため、表面弾性波素子33は、図13に示すように、振動子33bを内側に向けて側壁5cに取り付けてもよい。このとき、表面弾性波素子33は、図14に示すように、側壁5cとの間に音響整合層34を配置する。このようにすると、反応容器5は、表面弾性波素子33の振動子33bやアンテナ33cが外部に露出することなく基板33aによって保護されるので、振動子33bやアンテナ33cを外部に配置する場合に比べて表面弾性波素子33の劣化が抑えられ、長期に使用することができる。
【0059】
また、攪拌装置30は、表面弾性波素子33を測光用の窓5bと同じ側面に配置するが、自動分析装置1における分析光学系12による液体試料の分析を考慮すると、測光用の窓5bを避けて配置する必要がある。但し、反応容器5は、容量が少なく表面弾性波素子33を配置する面積に制限がある。このため、表面弾性波素子は、図15に示す表面弾性波素子35のように、基板35aに反応容器5の窓5bに対応した開口35dを設け、開口35dの周囲に設けるアンテナ35cを振動子35bと一体に形成する。そして、開口35dを反応容器5の窓5bの位置に位置決めし、エポキシ樹脂等の音響整合層(図示せず)を介して反応容器5に取り付ける。これにより、表面弾性波素子35は、アンテナ35cが反応容器5の測光用の窓5bを避けて配置されると共に、振動子35bを構成する複数の櫛型電極は鉛直方向に配列される。このため、攪拌装置30は、反応容器5の容量が少なくても分析光学系12による測光用の光路を確保することができる。
【0060】
一方、攪拌装置30は、非接触で電力を送電することができることから、反応容器5に取り付ける表面弾性波素子の設置位置の自由度が増す。このため、反応容器5は、測光用の窓5bと同じ側面ではなく、図16に示すように、底壁5dの下面に表面弾性波素子36を取り付けてもよい。表面弾性波素子36は、図17に示すように、基板36aの表面に櫛型電極(IDT)からなる振動子36bが受電手段となるアンテナ36cと共に一体に設けられている。表面弾性波素子36は、図18に示すように、エポキシ樹脂等の音響整合層37を介して底壁5dの下面に取り付けられる。これにより、表面弾性波素子36は、振動子36bを構成する複数の櫛型電極が水平方向に配列される。このため、反応容器5内には、液体試料Ls中の振動子36bに対応する位置を起点として、図16に矢印で示すように、左側に反時計方向の流れFccが生じると共に、右側に時計方向の流れFcwが生じ、分注された試薬と検体とが攪拌される。
【0061】
試薬と検体とが攪拌されて反応した液体試料は、自動分析装置1の受光部12cで受光され、制御部15によって成分や濃度等が分析される。そして、分析が終了した反応容器5は、洗浄機構13によって洗浄された後、再度検体の分析に使用される。
【0062】
このように、反応容器5の下面に表面弾性波素子36を取り付ける場合、アンテナ36cに電力を送電する送電体は表面弾性波素子36と鉛直方向に対向する位置に配置する必要がある。このため、自動分析装置1は、図19に示すように、配置決定部材22に支持される送電体39を反応テーブル4の反応容器5上方へ張り出す形状とする。そして、送電体39は、反応容器5上方の下面部分にRF送信アンテナ(図示せず)を設ける。このとき、送電体39は、図19に示すように、反応テーブル4の周方向に沿って並んだ複数の反応容器5に電力を送電することができる大きさとし、RF送信アンテナ(図示せず)を複数の反応容器5に対応した形成に形成してもよい。このようにすると、攪拌装置30は、一度に複数の反応容器5の液体試料を攪拌することができる。なお、配置決定部材22に支持される送電体39は、自動分析装置1の設計に応じて、反応テーブル4の反応容器5下方へ張り出す形状とし、RF送信アンテナ(図示せず)を反応容器5の底面下方に設けてもよい。
【0063】
また、表面弾性波素子36を底壁5dの下面に取り付ける場合、反応容器5は、図20及び図21に示すように、振動子36bを底壁5dに向け、音響整合層37を介して表面弾性波素子36を取り付けてもよい。このようにすると、反応容器5は、表面弾性波素子36の振動子36bやアンテナ(図示せず)が外部に露出することなく基板36aによって保護されるので、振動子36bや前記アンテナを外部に配置する場合に比べて長期に使用することができる。
【0064】
さらに、表面弾性波素子は、振動子として櫛型電極(IDT)を使用しているので、構造が簡単で小型な構成とすることができる。このため、反応容器5は、表面弾性波素子のアンテナを測光用の窓5bを避けて配置することができ、例えば、図22に示すように、側壁5cの上部を薄肉にして形成した凹部5eに表面弾性波素子41をエポキシ樹脂等の音響整合層(図示せず)を介して取り付けてもよい。表面弾性波素子41は、基板41aの表面に櫛型電極(IDT)からなる振動子41bが受電手段となるアンテナ(図示せず)と共に一体に設けられている。この場合、表面弾性波素子41は、図23に示す反応容器5のように、振動子41bを2つ設けてもよい。このようにすると、反応容器5は、攪拌能力が向上するので、保持部5aに保持する液体試料が多い場合であっても、短時間で液体試料を攪拌することができる。
【0065】
また、表面弾性波素子を小型に構成することができるので、反応容器5は、図24に示すように、表面弾性波素子43を側壁の一部として用い、表面弾性波素子43を窓5bの上部に埋め込んでもよい。このとき、表面弾性波素子43は、基板43aの表面に櫛型電極(IDT)からなる振動子43bが受電手段となるアンテナ(図示せず)と共に一体に設けられている。さらに、反応容器5は、図25に示すように、表面弾性波素子44を底壁として用いてもよい。表面弾性波素子44は、基板44aの表面に櫛型電極(IDT)からなる振動子44bが受電手段となるアンテナ(図示せず)と共に一体に設けられ、振動子44bを下方に向けて反応容器5に取り付けられる。
【0066】
このとき、自動分析装置1は、図26に示すように、反応テーブル4の周方向に沿って設けた収容凹部4aを送電体31とアンテナ33cとの相対配置を調整し、相対配置を決定する配置決定手段として使用してもよい。この場合、反応容器5は、反応テーブル4の外側面に取り付けたRF送信アンテナ31aから発信される電力を表面弾性波素子33のアンテナ33cで受信し、共振作用によって発生した起電力により振動子33bに表面弾性波(超音波)を発生させる。また、RF送信アンテナ31aは、図27に示すように、収容凹部4aの内面に設けると、電力の伝送損失を小さく抑えることができる。
【0067】
(実施の形態3)
次に、本発明の攪拌装置および容器にかかる実施の形態3について、図面を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態2の攪拌装置は、配置決定部材が送電体を移動させることにより、送電体31とアンテナ33cとの相対配置を調整し、相対配置を決定した。これに対し、実施の形態3の攪拌装置は、反応容器のホルダが配置決定部材であり、反応容器をホルダに着脱することによって送電手段と受電手段との相対配置を調整し、相対配置を決定している。図28は、本発明の実施の形態3に係る攪拌装置と容器を示すもので、実施の形態3に係る容器の斜視図を攪拌装置の構成を示すブロック図と共に示す図である。
【0068】
攪拌装置45は、図28に示すように、送電手段となる送電体46と、ホルダ47と、表面弾性波素子48とを有し、例えば、机上に載置して反応容器5内の液体試料を個々に攪拌する用途に使用される。
【0069】
送電体46は、送電体31と同様に構成されるRF送信アンテナ46a、駆動回路46b及びコントローラ46cを有している。RF送信アンテナ46aは、ホルダ47の側壁47bに設置されている。
【0070】
ホルダ47は、図28に示すように、反応容器5を着脱自在に挿着する挿着部47aを有する四角筒状に成形され、反応容器5内の液体試料を攪拌する際に使用される配置決定手段である。ホルダ47は、挿着部47aに反応容器5を挿着すると、RF送信アンテナ46aとアンテナ48cとの相対配置が調整され、これらの相対配置を決定する。
【0071】
表面弾性波素子48は、表面弾性波素子33と同一の構成を有し、基板48aの表面に櫛型電極(IDT)からなる振動子48bがアンテナ48cと共に一体に設けられている。表面弾性波素子48は、振動子48b及びアンテナ48cを外側に向け、エポキシ樹脂等の音響整合層(図示せす)を介して反応容器5の側壁5cに取り付けられている。表面弾性波素子48は、反応容器5をホルダ47の挿着部47aに挿着したとき、RF送信アンテナ46aの範囲に配置されるように側壁5cに取り付ける。このとき、表面弾性波素子48は、図28に示すように、振動子48bを構成する複数の櫛型電極が鉛直方向に配列され、かつ、アンテナ48cが測光用の窓5bと同じ側面に測光用の窓5bを避けて配置されるように、反応容器5に取り付ける。表面弾性波素子48は、送電体46が発信した電波をアンテナ48cで受信し、共振作用によって発生した起電力により振動子48bに表面弾性波(超音波)を発生させる。
【0072】
以上のように構成される攪拌装置45は、反応容器5をホルダ47の挿着部47aに挿着すると、RF送信アンテナ46aとアンテナ48cとが対向し、RF送信アンテナ46aが発信した電波を表面弾性波素子48のアンテナ48cが受信する。これにより、表面弾性波素子48は、共振作用によって起電力が発生し、振動子48bに表面弾性波(超音波)が発生し、前記音響整合層から反応容器5の側壁5c内へと伝搬し、音響インピーダンスが近い液体試料中へ漏れ出してゆく。この結果、反応容器5内には、液体試料中の振動子48bに対応する位置を起点として、攪拌装置30の場合と同様に、反時計方向と時計方向の流れFccが生じ、分注された試薬と検体とが攪拌される。
【0073】
このように、攪拌装置45は、攪拌装置30と同様の効果を発揮することができる他、ホルダ47を使用したことにより、RF送信アンテナ46aとアンテナ48cとの相対配置がホルダ47によって調整され、これらの相対配置がホルダ47によって決定される。ここで、表面弾性波素子48が反応容器5の底面に設けられている場合、RF送信アンテナ46aはホルダ47の底面に設け、ホルダ47に反応容器5を挿着したときにRF送信アンテナ46aとアンテナ48cとの相対配置がホルダ47によって調整される構成であってもよい。また、攪拌装置45は、RF送信アンテナ46aとアンテナ48cとを用いて送電体46から反応容器5に取り付けた表面弾性波素子48に非接触で電力を送電している。このため、攪拌装置45は、実施の形態1の攪拌装置20と同様にエネルギーの伝達効率に優れ、メンテナンスが容易なうえ、攪拌装置20以上に表面弾性波素子48の構造が簡単、かつ、小型になるので、攪拌装置自体を更に小型化することができる。
【0074】
ここで、分析装置、特に、血液等の生体試料を分析する自動分析装置は、装置の小型化や生体試料の微量化による被検者の負担軽減等の見地から、反応容器の容量を数μL〜数十μLに微量化することが求められている。この場合、反応容器5の容量を微量化すると、これに伴って容器の開口面積が小さくなる。このため、容量を微量化すると、反応容器は、表面張力の影響が大きくなって検体,試薬,洗浄液等を含む液体の注入や排出が難しくなる。
【0075】
例えば、反応容器5の洗浄に際し、洗浄機構13が反応容器5に洗浄液を注入する場合、容量を微量化した反応容器5は、洗浄液の注入部や排出部となる上部の開口5fが狭いため、開口5fから洗浄機構13のノズル13aを挿入することができない。そこで、ノズル13aは、反応容器5の開口5fに上方から洗浄液を滴下する。しかし、反応容器5は、表面張力によって洗浄液の保持部5aへの注入が妨げられ、図29に示すように、洗浄液Lcが保持部5a上部の開口5fを塞いでしまう。
【0076】
そこで、本発明の攪拌装置は、音波によって液体を攪拌する表面弾性波素子を、洗浄液,検体,試薬等を含む液体を反応容器5の保持部5a内へ導入する導入手段、保持部5aから排出部である開口5fに移送する移送手段、反応容器5から排出する排出手段あるいは液体を乾燥する乾燥手段等として兼用するのである。即ち、図30に示す攪拌装置50のように、導入手段を兼ねる表面弾性波素子53を振動子53bを反応容器5の上側に配置して側壁5cに取り付ける。一方、ホルダ52は、RF送信アンテナ51aを側壁52bに設ける。RF送信アンテナ51aは、表面弾性波素子53のアンテナ53cに対応した位置に、対応した大きさで形成する。この場合、表面弾性波素子53を取り付けた反応容器5は、洗浄液等を含む液体の排出が難しいので、使い捨てとする。また、表面弾性波素子53は、音響整合層を介して基板53aを側壁5cに取り付けるが、以下の説明で使用する図においては、音響整合層を省略している。
【0077】
このように構成することにより、攪拌装置50は、反応容器5の洗浄に際し、洗浄機構13が注入した洗浄液Lcによって開口5fが塞がれた場合、反応容器5をホルダ52の挿着部52aに挿着した状態で、コントローラ51cの制御の下に、送電体51のRF送信アンテナ51aからアンテナ53cに非接触で電力を送電する。すると、表面弾性波素子53は、振動子53bが反応容器5の上側に配置されているため、図31に矢印で示すように、振動子53bが音波を下方へ出射する。
【0078】
このため、図32に示すように、振動子53bが発生した音波Waは、内壁面から洗浄液Lcへ斜め下方に漏れ出す。このようにして漏れ出す音波Waにより、洗浄液Lc中には、斜め下方に向かう音響流が生じる。このため、攪拌装置50は、コントローラ51cによって振動子53bに印加する電圧、従って振動子53bの駆動エネルギー強度を洗浄液Lcの表面張力以上に大きくする。これにより、開口5fを塞いでいる洗浄液Lcは、図33に示すように、音波Waによって生ずる音響流により下部側が下方へ移動し、全体が保持部5a内に引き込まれてゆく。
【0079】
この結果、開口5fを塞いでいた洗浄液Lcは、最終的に、図34に示すように、総て下方へ移動され、保持部5a内へ導入される。このため、反応容器5は、開口5fから下方へ移動する洗浄液Lcによって内部を洗浄される。なお、振動子53bは、上方にも音波を出射するが、上方には基板53aはなく空気が存在する。このため、振動子53bから上方に出射された音波は、音響インピーダンスの差から空気中には伝搬せず、下方に出射された音波だけが洗浄液Lc中へ漏れ出す。
【0080】
ここで、攪拌装置50は、導入手段を兼ねる表面弾性波素子として、図35に示す表面弾性波素子54を使用すると、液体の移送効率を高くすることができる。即ち、表面弾性波素子54は、基板54a上に形成される振動子54bを構成する櫛型電極(IDT)が、中心C(焦点)が鉛直下方となるように互いに同心円状に配置され、アンテナ54cを有している。このため、表面弾性波素子54は、振動子54bから出射された音波が振動子54b下方の櫛型電極の中心Cに収束するので、洗浄液中に生じる音響流も櫛型電極の中心Cに対応する位置に収束し、開口5fを塞いでいる洗浄液を下方へ効率よく移送することができる。
【0081】
一方、表面弾性波素子は、洗浄液や検体,試薬等を含む液体を移送することができるので、これらの液体を反応容器の排出部へ移送する移送手段や反応容器から排出する排出手段としても兼用することができる。但し、この場合、液体の導入手段として兼用する表面弾性波素子と移送手段や排出手段として兼用する表面弾性波素子は、それぞれ個別のものとする必要がある。このため、攪拌装置は、図30に示す反応容器5やホルダ52に代えて、図36に示す反応容器55とホルダ57を使用する。このように、反応容器55は、液体の導入手段として兼用する表面弾性波素子と移送手段や排出手段として兼用する表面弾性波素子とを備えており、洗浄液等を含む液体を排出部へ移送し、排出することが容易なので、使い捨てとせず再使用する。
【0082】
反応容器55は、図36に示すように、表面弾性波素子54を取り付けた側壁55cと対向する側壁55cに液体を排出部である開口55fへ移送する表面弾性波素子56が取り付けられている。表面弾性波素子56は、保持部55aに導入した液体を開口55fへ移送する移送手段と外部へ排出する排出手段を兼ねており、振動子54bと同様に構成される振動子56bを反応容器55の下側に配置して基板56aが側壁55cに取り付けられている。一方、ホルダ57は、RF送信アンテナ51aを設けた側壁57bと対向する側壁57bにRF送信アンテナ58aが設けられている。RF送信アンテナ58aは、コントローラ58cの制御の下に、送電体51とは別の送電体58から送電される電力を液体排出用のアンテナ56cに発信する。
【0083】
従って、反応容器55とホルダ57を使用した攪拌装置は、反応容器55の洗浄に際し、洗浄機構13が注入した洗浄液Lcによって開口55fが塞がれた場合、反応容器55をホルダ57の挿着部57aに挿着した状態で、コントローラ51cの制御の下に、送電体51のRF送信アンテナ51aからアンテナ54cに非接触で電力を送電する。すると、振動子54bが発する音波に基づく音響流によって、洗浄液が保持部55aへ導入されながら反応容器55の内部を洗浄し、図36に示すように、洗浄廃液Lwfは保持部55aの下部に移送される。このとき、保持部55aに保持していた液体試料によっては、攪拌装置は、洗浄廃液Lwfが保持部55aの下部に移動した後、暫くの間、振動子54bを駆動させて反応容器55内部の洗浄を続行してもよい。
【0084】
そして、このようにして洗浄廃液Lwfを保持部55aの下部に移送した後、攪拌装置は、コントローラ58cの制御の下に、送電体58のRF送信アンテナ58aからアンテナ56cに非接触で電力を送電する。すると、表面弾性波素子56は、振動子56bが反応容器55の下側に配置されているため、図37に示すように、振動子56bが発生した音波Waは反応容器55の内壁面から洗浄廃液Lwfへ斜め上方に漏れ出す。この斜め上方に漏れ出す音波Waにより、保持部55aの下部に保持されている洗浄廃液Lwf中には、斜め上方に向かう音響流が生じる。
【0085】
このため、攪拌装置は、コントローラ58cによって振動子56bに印加する電圧、従って振動子56bの駆動エネルギー強度を洗浄液Lcの表面張力以上に大きくする。すると、洗浄廃液Lwfは、図37に示すように、音波Waによって生ずる音響流により表面弾性波素子56側の洗浄廃液Lwfが上方へ移動し、洗浄廃液Lwf全体が上方へ移送されてゆく。この結果、保持部55aの下部に保持されていた洗浄廃液Lwfは、最終的に、図38に示すように、総て上方の開口55fへ移送される。これにより、反応容器55は、排出部である開口55fが洗浄廃液Lwfによって塞がれる。
【0086】
そこで、反応容器55の開口55fを塞いだ洗浄廃液Lwfを、図39に示すように、上方から吸引ノズル61によって吸引する。この場合、反応容器55は、容量の微量化により開口55fの面積が小さくなっている。しかし、吸引ノズル61は、上方から洗浄廃液Lwfを吸引するだけで、開口55fから反応容器55の内部へ挿入しないので、従来のものを使用することができる。
【0087】
このようにして洗浄廃液Lwfを吸引した後、コントローラ58cの制御の下に、振動子56bをより高いパワーで駆動する。このとき、振動子56bは、振動子54bと同様に同心円状の櫛型電極(IDT)によって構成されている。このため、高いパワーの音波が振動子56bの円弧の中心Cに収束し、吸引漏れの洗浄廃液Lwfがあっても、収束した音波によって残った洗浄廃液Lwfが飛散される。このため、反応容器55は、洗浄廃液Lwfが残らず排出される。このとき、振動子56bを連続駆動すると、洗浄廃液Lwfは霧状に飛散され、振動子56bをパルス駆動すると、洗浄廃液Lwfは、図40に示すように、液滴Dr状に飛散される。このようにして洗浄廃液Lwfを排出した反応容器55は、反応テーブル4によって搬送され、再度検体の分析に使用される。
【0088】
ここで、液体の導入手段用と排出手段用の表面弾性波素子を設けた反応容器は、図41に示す反応容器65のように、排出手段用の表面弾性波素子66を底壁65dの下面に取り付けてもよい。この場合、振動子66bは、過剰なパワーを供給することにより、例えば、保持部65aの下部に残った洗浄廃液Lwfを加熱し、洗浄廃液Lwfを蒸発させて乾燥させることにより液体を排出する。また、図42に示すように、反応容器65は、振動子66bをパルス駆動することにより、保持部65aの下部に残った洗浄廃液Lwfを液滴Dr状に飛散させることによって排出してもよい。
【0089】
(実施の形態4)
次に、本発明の攪拌装置および容器にかかる実施の形態4について、図面を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態1,2は、液体の保持部が1つの容器とその攪拌装置であったのに対し、実施の形態4は液体の保持部を複数有する容器とその攪拌装置である。図43は、液体を保持する保持部を複数有するマイクロプレートを攪拌装置と共に示す斜視図である。図44は、図43に示すマイクロプレートを表面弾性波素子と共に示す部分断面図である。図45は、図44に示す表面弾性波素子を拡大した斜視図である。
【0090】
攪拌装置70は、図43及び図44に示すように、マイクロプレート75の下方に配置される送電体71と、ウェル75b下部のマイクロプレート75底面に設けられる表面弾性波素子73とを有し、複数のウェル75bに保持された液体試料を攪拌する。
【0091】
マイクロプレート75は、図43及び図44に示すように、矩形に形成された本体75aの上面に液体試料の保持部となる複数のウェル75bがマトリクス状に形成されている。マイクロプレート75は、各ウェル75bに試薬と血液や体液等の検体とを分注して反応させ、反応液を光学的に測定することで検体の成分や濃度等を分析するための反応容器である。
【0092】
送電体71は、マイクロプレート75に対する距離並びにマイクロプレート75の板面に沿った2次元方向の位置を制御する配置決定部材(図示せず)に支持されており、図43に示すように、複数の表面弾性波素子73と対向配置されるRF送信アンテナ71a、駆動回路71b及びコントローラ71cを有している。送電体71は、マイクロプレート75の板面に沿った2次元方向に移動しながら交流電源から供給される電力をRF送信アンテナ71aから電波として表面弾性波素子73に発信する。このとき、送電体71は、表面弾性波素子73に電力を送電する送電時に、RF送信アンテナ71aと表面弾性波素子73の後述するアンテナ73cとが対向するように前記配置決定部材によって相対配置が調整され、相対配置が決定される。
【0093】
表面弾性波素子73は、各ウェル75b下部の底面75cにエポキシ樹脂等の音響整合層(図示せず)を介して取り付けられ、図45に示すように、基板73aの表面に櫛型電極(IDT)からなる振動子73bが受電手段となるアンテナ73cと共に一体に設けられている。表面弾性波素子73は、振動子73bの中央がウェル75bの最深点75dと一致するように位置決めしてマイクロプレート75の底面75cに取り付ける。ここで、表面弾性波素子73は、図44に示したように、各ウェル75bに1つずつ設けてもよいし、或いは複数のウェル75bを単位として1つずつ設けてもよい。表面弾性波素子73は、送電体71が発信した電波をアンテナ73cで受信し、共振作用によって発生した起電力により振動子73bに表面弾性波(超音波)を発生させる。
【0094】
以上のように構成される攪拌装置70は、RF送信アンテナ71aとアンテナ73cとが対向したときに、コントローラ71cの制御の下に、送電体71がRF送信アンテナ71aから電波を発信する。すると、送電体71と対向配置された表面弾性波素子73のアンテナ73cがこの電波を受信し、共振作用によって起電力が発生する。攪拌装置70は、この起電力によって振動子73bに表面弾性波(超音波)が発生し、前記音響整合層からマイクロプレート75の本体75a内へと伝搬し、音響インピーダンスが近い液体試料中へ漏れ出してゆく。この結果、マイクロプレート75は、液体試料中に流れが生じ、各ウェル75bに分注された試薬と検体とが攪拌される。
【0095】
そして、試薬と検体とが攪拌されて反応した液体試料は、マイクロプレート75の上方からCCDカメラ等の撮像手段によって撮像され、得られる画像データを用いて検体成分の分析が行われる。
【0096】
攪拌装置70は、上述のようにRF送信アンテナ71aとアンテナ73cとを利用して送電体71からマイクロプレート75に取り付けた表面弾性波素子73に非接触で電力を送電し、複数のウェル75bに分注された試薬と検体とを攪拌する。このため、攪拌装置70は、攪拌装置30と同様にエネルギーの伝達効率に優れ、メンテナンスが容易なうえ、実施の形態1の攪拌装置20以上に表面弾性波素子73の構造が簡単、かつ、小型になり、自動分析装置を更に小型化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上のように、本発明にかかる攪拌装置、容器および攪拌装置を備えた分析装置は、エネルギーの伝達効率に優れ、構造が簡単で小型化が可能であり、メンテナンスを容易するのに有用であり、特に、自動分析装置で使用するのに適している。
【0098】
〔付記〕
上述の説明によれば、以下の付記に挙げる各項およびそれらの項を任意に組み合わせた発明が得られる。
【0099】
(付記項1) 音波を用いて液体を攪拌する攪拌装置であって、
前記液体を保持する液体保持部と、
前記液体保持部と接続されると共に、前記液体を前記液体保持部へ導入、または外部に排出する開口部と、
前記液体保持部に保持される前記液体を攪拌する際、および前記開口部を通じて前記液体を前記液体保持部へ導入,排出する際に音波を発生する音波発生手段と、
を備えたことを特徴とする攪拌装置。
【0100】
付記項1によれば、液体保持部の容量が微量化され、液体を液体保持部へ導入,排出する開口部の面積が小さくなっても、液体の表面張力による影響に抗するように音波発生手段から音波を発生させることにより、面積の小さい開口部であっても液体保持部への液体の導入,排出が容易になる。
【0101】
(付記項2) 音波を用いて液体を攪拌する攪拌装置であって、
前記液体を保持する液体保持部と、
前記液体保持部と接続されると共に、前記液体を前記液体保持部へ導入、または外部に排出する開口部と、
前記開口部付近に前記液体が接触している際に音波を発生する音波発生手段と、
を備えたことを特徴とする攪拌装置。
【0102】
付記項2によれば、液体保持部の容量が微量化され、液体を液体保持部へ導入,排出する開口部の面積が小さくなっても、面積の小さい開口部に液体が接触し、その液体が表面張力によって開口部を塞いでいる際に、音波発生手段から発生させた音波が液体に照射されるので、開口部付近に接触している液体が液体保持部へ容易に導入され、または液体保持部から容易に排出される。
【0103】
(付記項3) 検体と試薬とを含む液体を保持する容器と、当該容器に一体的に設けられて音波を発生する音波発生手段と、前記検体と試薬とを反応させて前記検体を分析する分析装置において、
前記音波発生手段は、前記検体と試薬とを含む液体を攪拌する場合の他、少なくとも前記容器へ前記検体、前記試薬もしくは洗浄液を導入する場合、または前記容器から前記検体、前記試薬もしくは洗浄液を排出する場合に音波を発生することを特徴とする分析装置。
【0104】
付記項3によれば、分析対象となる検体または試薬を含む液体のみならず、洗浄液を容器へ導入,排出する場合に前記音波発生手段から音波が発生されるため、洗浄液の容器への導入,排出が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の実施の形態1を示すもので、実施の形態1に係る攪拌装置を備えた自動分析装置の概略構成図である。
【図2】図1の自動分析装置の構成を示すブロック図である。
【図3】表面弾性波素子が取り付けられ、図1の自動分析装置で使用される容器の斜視図である。
【図4】送電体が接触子によって容器の表面弾性波素子の電気端子に当接した状態を示す斜視図である。
【図5】図4の容器の側面を表面弾性波素子と共に示す側面図である。
【図6】図5の容器のC1−C1線に沿った断面図である。
【図7】接触子をばね付き端子に代えた送電体の変形例を容器と共に示した斜視図である。
【図8】表面弾性波素子の変形例を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る攪拌装置と容器を示すもので、実施の形態2に係る容器の斜視図を攪拌装置の構成を示すブロック図と共に示す図である。
【図10】図9の攪拌装置において容器に取り付ける表面弾性波素子の斜視図である。
【図11】図9に示す容器の断面図である。
【図12】図11のA部拡大図である。
【図13】表面弾性波素子の他の取り付け方を示す断面図である。
【図14】図13のB部拡大図である。
【図15】表面弾性波素子の他の形態を示す容器の斜視図である。
【図16】表面弾性波素子を底面に取り付けた容器の断面図である。
【図17】図16に示す表面弾性波素子を容器の底面から見た図である。
【図18】図16のC部拡大図である。
【図19】表面弾性波素子を容器の底面に取り付けた場合に用いる自動分析装置の概略構成図である。
【図20】振動子を底壁に向けて表面弾性波素子を取り付けた反応容器の断面図である。
【図21】図20のD部拡大図である。
【図22】表面弾性波素子を容器に取り付ける他の取り付け方を示す断面図である。
【図23】図22に示す表面弾性波素子に振動子を2つ設けた変形例を示す断面図である。
【図24】表面弾性波素子を容器の側壁の一部として用いた例を示す断面図である。
【図25】表面弾性波素子を容器の底壁として用いた例を示す断面図である。
【図26】送電体と受電手段との相対配置を調整し、相対配置を決定する配置決定手段の他の例を示す斜視図である。
【図27】送電体と受電手段との相対配置を調整し、相対配置を決定する配置決定手段の更に他の例を示す斜視図である。
【図28】本発明の実施の形態3に係る攪拌装置と容器を示すもので、実施の形態3に係る容器の斜視図を攪拌装置の構成を示すブロック図と共に示す図である。
【図29】図28の容器を微量化した場合に、滴下した洗浄液によって上部の開口が塞がれた状態を示す断面図である。
【図30】表面弾性波素子を、液体を攪拌する攪拌手段のみならず、液体を容器の保持部内へ導入する導入手段として兼用した攪拌装置を示す図である。
【図31】図30の容器で使用する表面弾性波素子を示す正面図である。
【図32】図30に示す容器とホルダの断面図である。
【図33】表面弾性波素子によって図30に示す容器に洗浄液が導入される様子を示す断面図である。
【図34】表面弾性波素子によって図30に示す容器に洗浄液が導入された状態を示す断面図である。
【図35】図30の容器で使用する表面弾性波素子の他の例を示す正面図である。
【図36】容器とホルダの変形例を示す正面図である。
【図37】図36に示す容器から洗浄廃液を排出する様子を示す断面図である。
【図38】図36に示す容器において洗浄廃液が、総て上方へ移動されて開口を塞いだ状態を示す断面図である。
【図39】図38に示す容器から洗浄廃液を吸引ノズルによって吸引する様子を示す断面図である。
【図40】図38に示す容器から残った洗浄廃液を液滴状に飛散する様子を示す断面図である。
【図41】表面弾性波素子を底壁に設け、洗浄廃液を蒸発させ排出する他の容器を示す断面図である。
【図42】図41に示す容器から残った洗浄廃液を液滴状に飛散する様子を示す断面図である。
【図43】本発明の実施の形態4を示すもので、液体を保持する保持部を複数有するマイクロプレートを攪拌装置と共に示す斜視図である。
【図44】図43に示すマイクロプレートを表面弾性波素子と共に示す部分断面図である。
【図45】図44に示す表面弾性波素子を拡大した斜視図である。
【符号の説明】
【0106】
1 自動分析装置
2,3 試薬テーブル
2a,3a 試薬容器
4 反応テーブル
4a 収容凹部
5 反応容器
5a 保持部
5b 測光用の窓
5c 側壁
5d 底壁
5e 凹部
5f 開口
6,7 試薬分注機構
8 検体容器移送機構
9 フィーダ
10 ラック
11 検体分注機構
11a アーム
11b プローブ
12 分析光学系
12a 発光部
12b 分光部
12c 受光部
13 洗浄機構
13a ノズル
15 制御部
16 入力部
17 表示部
20 攪拌装置
21 送電体
21a 接触子
21b ばね付き端子
22 配置決定部材
24 表面弾性波素子
24a 基板
24b 振動子
24c 電気端子
24d 導体回路
25 音響整合層
30 攪拌装置
31,39 送電体
31a RF送信アンテナ
31b 駆動回路
31c コントローラ
33,35 表面弾性波素子
33a,35a 基板
33b,35b 振動子
33c,35c アンテナ
34,37 音響整合層
36,41 表面弾性波素子
36a,41a 基板
36b,41b 振動子
36c アンテナ
43,44 表面弾性波素子
43a,44a 基板
43b,44b 振動子
45,50 攪拌装置
46,51,58 送電体
46a,51a,58a RF送信アンテナ
46b,51b 駆動回路
46c,51c,58c コントローラ
47,52,57 ホルダ
47a,52a 挿着部
47b,52b 側壁
48,53,54 表面弾性波素子
48a,53a,54a 基板
48b,53b,54b 振動子
48c,53c,54c アンテナ
55,65 反応容器
55a,65a 保持部
55c 側壁
55d,65d 底壁
55f 開口
56,66 表面弾性波素子
56a,66a 基板
56b,66b 振動子
56c アンテナ
61 吸引ノズル
70 攪拌装置
71 送電体
71a RF送信アンテナ
71b 駆動回路
71c コントローラ
73 表面弾性波素子
73a 基板
73b 振動子
73c アンテナ
75 マイクロプレート
75a 本体
75b ウェル
75c 底面
75d 最深点
Fcc 反時計方向の流れ
Fcw 時計方向の流れ
Lc 洗浄液
Ls 液体試料
Lwf 洗浄廃液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に保持された液体を音波を用いて攪拌する攪拌装置であって、
電力を送電する送電手段と、
前記送電手段から送電される電力を受電し、前記送電手段又は当該受電手段の少なくとも一方の配置が変化することで、前記送電手段に対する相対配置が変化し得る受電手段と、
前記受電手段が受電した電力を変換して前記液体を攪拌する音波を発生する音波発生手段と、
を備えたことを特徴とする攪拌装置。
【請求項2】
前記送電手段と前記受電手段との相対配置を調整し、前記相対配置を決定する配置決定手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項3】
前記配置決定手段は、送電時と非送電時とにおける前記送電手段と前記受電手段との間の距離が異なるように前記相対配置を調整することを特徴とする請求項2に記載の攪拌装置。
【請求項4】
前記配置決定手段は、前記送電手段と前記受電手段との間の距離が送電時よりも非送電時の方が大きくなるように調整することを特徴とする請求項3に記載の攪拌装置。
【請求項5】
前記配置決定手段は、送電時に前記送電手段及び前記受電手段を接触又は近接させることを特徴とする請求項3に記載の攪拌装置。
【請求項6】
前記受電手段は、前記送電手段と異なる部材に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項7】
前記音波発生手段および前記受電手段は、前記容器に実質的に固定されており、前記送電手段は前記容器に対して相対的に移動する位置に配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の攪拌装置。
【請求項8】
前記音波発生手段は、前記容器の側面に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の攪拌装置。
【請求項9】
前記送電手段は、前記音波発生手段と水平方向に対向する位置に配置されていることを特徴とする請求項8に記載の攪拌装置。
【請求項10】
前記音波発生手段は、前記容器の底面に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の攪拌装置。
【請求項11】
前記送電手段は、前記音波発生手段と鉛直方向に対向する位置に配置されていることを特徴とする請求項10に記載の攪拌装置。
【請求項12】
前記送電手段および前記受電手段は、有線接続されていることを特徴とする請求項7に記載の攪拌装置。
【請求項13】
前記送電手段および前記受電手段は、アンテナを介して無線接続されていることを特徴とする請求項7に記載の攪拌装置。
【請求項14】
前記送電手段は、送電側のアンテナが前記受電手段の受電側のアンテナと対向した場合に前記受電手段へ送電することを特徴とする請求項13に記載の攪拌装置。
【請求項15】
前記容器は、光学的に透明な素材から成形され、側面の一部が測光用の窓として用いられることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一つに記載の攪拌装置。
【請求項16】
前記受電手段は、前記測光用の窓と同じ側面に、前記測光用の窓を避けて配置されることを特徴とする請求項15に記載の攪拌装置。
【請求項17】
前記受電手段は、前記測光用の窓とは異なる面に配置されることを特徴とする請求項15に記載の攪拌装置。
【請求項18】
前記音波発生手段は、印加される高周波交流電場によって表面弾性波を発生する表面弾性波素子の櫛型電極であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一つに記載の攪拌装置。
【請求項19】
前記容器は、複数であることを特徴とする請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項20】
前記容器は、前記液体を保持する保持部を複数有することを特徴とする請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項21】
前記受電手段を複数有していることを特徴とする請求項13に記載の攪拌装置。
【請求項22】
保持した液体を送電手段から送電される電力を利用して攪拌する容器であって、
前記送電手段から送電される電力を受電し、前記送電手段又は当該受電手段の少なくとも一方の配置が変化することで、前記送電手段に対する相対配置が変化し得る受電手段と、
前記受電手段が受電した電力を変換して前記液体を攪拌する音波を発生する音波発生手段と、
を備えたことを特徴とする容器。
【請求項23】
容器に保持された検体と試薬とを含む液体試料を攪拌して反応させ、反応液を分析する分析装置であって、請求項1乃至21のいずれか一つに記載の攪拌装置を備えたことを特徴とする分析装置。
【請求項24】
音波を発生する音波発生手段が一体に設けられた容器に保持された検体と試薬とを含む液体試料を攪拌して反応させ、反応液を分析する分析装置であって、
前記音波発生手段は、少なくとも前記容器内に液体試料を導入する場合、前記容器に導入された液体試料を攪拌する場合、前記液体試料を前記容器の排出部へ移送する場合、前記排出部へ移送した液体試料を前記容器から排出する場合、前記液体試料を乾燥する場合、に音波を発生することを特徴とする分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【公開番号】特開2006−119125(P2006−119125A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−268687(P2005−268687)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】