説明

攪拌装置、攪拌方法及び分析装置

【課題】容器に保持された液体を短時間で均一に攪拌することが可能な攪拌装置、攪拌方法及び分析装置を提供すること。
【解決手段】容器に保持された液体を攪拌する攪拌装置、攪拌方法及び分析装置。攪拌装置20は、一端が支持され、他端が液体内に挿入されると共に、一端を支点として揺動される弾性を有する攪拌板27と、攪拌板を板面に直交する方向に揺動させ、液体を攪拌するカム25とを備えている。さらに、攪拌装置20は、攪拌板27を鉛直方向に移動させるパルスモータ21,支柱22を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に保持された液体を攪拌する攪拌装置、攪拌方法及びこの攪拌装置を用いた分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、分析装置は、検体と試薬を含む液体試料を攪拌して反応させ、反応液を分析することにより、検体中の成分濃度等を分析している(例えば、特許文献1参照)。この分析装置は、攪拌板を反応容器に保持された液体試料中に入れ、攪拌板を振動させることによって液体試料を接触状態で攪拌する攪拌ユニットを備えている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−201771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された分析装置は、攪拌板の振動を反応容器に保持された液体試料に伝搬させて液体試料を攪拌するため、攪拌棒等の攪拌手段によって直接液体試料を攪拌する場合に比べて液体試料を均一に攪拌するのに時間が掛かるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、容器に保持された液体を短時間で均一に攪拌することが可能な攪拌装置、攪拌方法及び分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に係る攪拌装置は、容器に保持された液体を攪拌する攪拌装置であって、一端が支持され、他端が前記液体内に挿入されると共に、前記一端を支点として揺動される弾性を有する攪拌板と、前記攪拌板を板面に直交する方向に揺動させ、前記液体を攪拌する揺動手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る攪拌装置は、上記の発明において、さらに、前記攪拌板を鉛直方向に移動させる移動手段を備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る攪拌装置は、上記の発明において、さらに、前記揺動手段による前記攪拌板の揺動数を制御する制御手段を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る攪拌装置は、上記の発明において、さらに、前記攪拌板の揺動を検知する揺動検知手段を備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記攪拌板は、板厚が、少なくとも、全長に亘って一定か、前記液体内に挿入される他端が先端に向かって薄くなるか、或いは前記液体内に挿入される他端が中間において薄くなるように設定されていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記攪拌板は、前記液体内に挿入される他端の幅が前記一端よりも狭く形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項7に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記攪拌板は、容器に保持された液体に対して非親和性を有する合成樹脂板又は非親和性を有する合成樹脂をコーティングした金属板からなることを特徴とする。
【0013】
また、請求項8に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記攪拌板は、前記容器内の互いに対向する一方の側壁の近傍に配置され、当該一方の側壁の近傍を起点として揺動されることを特徴とする。
【0014】
また、請求項9に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記移動手段は、前記攪拌板の揺動時に該攪拌板を鉛直方向に移動させることを特徴とする。
【0015】
また、請求項10に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記制御手段は、前記液体の種別に応じて前記攪拌板の揺動数を選択的に制御することを特徴とする。
【0016】
また、請求項11に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記攪拌板は、揺動時に前記容器の内壁面と接触しない位置に配置されていることを特徴とする。
【0017】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項12に係る攪拌方法は、容器に保持された液体を攪拌する攪拌方法であって、一端が支持され、他端が前記液体内に挿入された攪拌板を、前記一端を支点として板面に直交する方向に揺動させることによって前記液体を攪拌することを特徴とする。
【0018】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項13に係る分析装置は、複数の異なる液体を攪拌して反応させ、反応液の光学的特性を測定して前記反応液を分析する分析装置であって、前記攪拌装置を用いて検体と試薬との反応液を光学的に分析することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の攪拌装置は、一端が支持され、他端が前記液体内に挿入されると共に、前記一端を支点として揺動される弾性を有する攪拌板と、前記攪拌板を板面に直交する方向に揺動させ、前記液体を攪拌する揺動手段とを備えており、本発明の攪拌方法は、前記攪拌板を一端を支点として板面に直交する方向に揺動させることによって液体を攪拌する。また、本発明の分析装置は、前記攪拌装置を用いて検体と試薬との反応液を光学的に分析する。このため、本発明の攪拌装置、攪拌方法及び分析装置は、容器に保持された液体を短時間で均一に攪拌することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の攪拌装置、攪拌方法及び分析装置にかかる実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明の自動分析装置を示す概略構成図である。図2は、図1の自動分析装置で使用する攪拌装置の概略構成図である。図3は、図2の攪拌装置において、攪拌板が反応容器に保持された液体中に挿入された状態を示す図である。図4は、図3のC−C線に沿った断面図である。
【0021】
自動分析装置1は、図1に示すように、作業テーブル2上に検体テーブル3、検体分注機構5、反応ホイール6、測光装置10、洗浄装置11、試薬分注機構12、試薬テーブル13及び攪拌装置20が設けられている。
【0022】
検体テーブル3は、図1に示すように、駆動手段によって矢印で示す方向に回転され、外周には周方向に沿って等間隔で配置される収納室3aが複数設けられている。各収納室3aは、検体を収容した検体容器4が着脱自在に収納される。
【0023】
検体分注機構5は、反応ホイール6に保持された複数の反応容器7に検体を分注する手段であり、図1に示すように、検体テーブル3の複数の検体容器4から検体を順次反応容器7に分注する。
【0024】
反応ホイール6は、検体テーブル3とは異なる駆動手段によって図1に矢印で示す方向に回転され、外周には周方向に沿って複数の凹部6aが等間隔で設けられている。反応ホイール6は、各凹部6aの半径方向両側に測定光が通過する開口6b(図2参照)が形成されている。反応ホイール6は、一周期で時計方向に(1周−1反応容器)/4分回転し、四周期で反時計方向に凹部6aの1個分回転する。反応ホイール6の外周近傍には、測光装置10、洗浄装置11及び攪拌装置20が配置されている。
【0025】
反応容器7は、容量が数μL〜数十μLと微小な容器であり、測光装置10の光源10aから出射された分析光(340〜800nm)に含まれる光の80%以上を透過する透明素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス,環状オレフィンやポリスチレン等の合成樹脂が使用される。反応容器7は、図2〜図4に示すように、側壁7a,7bと底壁7cとによって試薬や検体等を含む液体Lを保持する液体保持部7dが形成され、液体保持部7dの上部に開口7eを有する四角筒形状のキュベットである。反応容器7は、液体保持部7dの内面に検体や試薬等の液体Lに対する親和性処理が施されている。反応容器7は、側壁7aを反応ホイール6の周方向に向けると共に、側壁7bを反応ホイール6の半径方向に向けて、凹部6aに配置される。
【0026】
測光装置10は、図1に示すように、反応ホイール6の外周近傍に配置され、反応容器7に保持された液体を分析する分析光(340〜800nm)を出射する光源と、液体を透過した分析光を分光して受光する受光器とを有している。測光装置10は、前記光源と受光器が反応ホイール6の凹部6aを挟んで半径方向に対向する位置に配置されている。
【0027】
洗浄装置11は、反応容器7から液体や洗浄液を排出する排出手段と、洗浄液の分注手段とを有している。洗浄装置11は、測光終了後の反応容器7から測光後の液体を排出した後、洗浄液を分注する。洗浄装置11は、洗浄液の分注と排出の動作を複数回繰り返すことにより、反応容器7の内部を洗浄する。このようにして洗浄された反応容器7は、再度、新たな検体の分析に使用される。
【0028】
試薬分注機構12は、反応ホイール6に保持された複数の反応容器7に試薬を分注する手段であり、図1に示すように、試薬テーブル13の所定の試薬容器14から試薬を順次反応容器7に分注する。
【0029】
試薬テーブル13は、検体テーブル3及び反応ホイール6とは異なる駆動手段によって図1に矢印で示す方向に回転され、扇形に成形された収納室13aが周方向に沿って複数設けられている。各収納室13aは、試薬容器14が着脱自在に収納される。複数の試薬容器14は、それぞれ検査項目に応じた所定の試薬が満たされ、外面には収容した試薬に関する情報を表示する識別コードラベル(図示せず)が貼付されている。
【0030】
ここで、試薬テーブル13の外周には、図1に示すように、試薬容器14に貼付した前記識別コードラベルに記録された試薬の種類,ロット及び有効期限等の情報を読み取り、制御部16へ出力する読取装置15が設置されている。
【0031】
制御部16は、検体テーブル3、検体分注機構5、反応ホイール6、測光装置10、洗浄装置11、試薬分注機構12、試薬テーブル13、読取装置15、分析部17、入力部18、表示部19及び攪拌装置20等と接続され、例えば、分析結果を記憶する記憶機能を備えたマイクロコンピュータ等が使用される。制御部16は、自動分析装置1の各部の作動を制御すると共に、前記識別コードラベルの記録から読み取った情報に基づき、試薬のロットや有効期限等が設置範囲外の場合、分析作業を停止するように自動分析装置1を制御し、或いはオペレータに警告を発する機能を備えている。
【0032】
ここで、制御部16は、読取装置15が読み取った試薬容器14に関する試薬情報及び読み取った時間を記憶している。これにより、自動分析装置1においては、その試薬がいつセットされたか、どのような分析が実施されたか等の情報を常に参照することができると共に、その試薬が有効期限内か否かという期限管理をすることができる。また、制御部16は、液体の粘性,密度,表面張力又は量等に応じて予め測定した攪拌板27の最適な揺動数が入力されており、この最適な揺動数となるように、駆動モータ26の回転数、従って攪拌板27の揺動数を制御すると共に、アーム23を駆動したときのパルスモータ21のパルス数から反応容器7内へ挿入させる攪拌板27の鉛直方向の位置を制御する。このため、攪拌板27は、分析項目によって反応容器7内へ挿入させる鉛直方向の位置をパルスモータ21によって変更することができる。この他、制御部16は、光センサ28から入力される液体表面から反射してくる検知光の光信号から攪拌板27の揺動を検知する。
【0033】
分析部17は、制御部16を介して測光装置10に接続され、受光器が受光した光量に基づく反応容器7内の液体の吸光度から検体の成分濃度等を分析し、分析結果を制御部16に出力する。入力部18は、制御部16へ検査項目等を入力する操作を行う部分であり、例えば、キーボードやマウス等が使用される。表示部19は、分析内容や警報等を表示するもので、ディスプレイパネル等が使用される。
【0034】
攪拌装置20は、反応容器7に保持された液体を攪拌する装置であり、図2及び図3に示すように、パルスモータ21、アーム23、カム25、攪拌板27等を有している。
【0035】
パルスモータ21は、支柱22と協働してアーム23、従って攪拌板27を鉛直方向に移動させる移動手段である。支柱22は、パルスモータ21によって鉛直方向に移動されるボールネジ等からなる昇降部材であり、上部にアーム23が取り付けられている。アーム23は、図2に示すように、先端下部に支持部23aとブラケット24が設けられている。支持部23aは、攪拌板27の上端を支持すると共に、内部に光センサ28が設けられている。光センサ28は、攪拌板27の揺動を光学的に確認する反射式の光センサであり、下方に出射した検知光の液体表面からの反射の有無によって攪拌板27の揺動を検知する揺動検知手段である。光センサ28は、液体表面から反射してくる検知光の光信号を制御部16へ出力する。ブラケット24は、カム25と、カム25を回転する駆動モータ26を支持している。
【0036】
カム25は、駆動モータ26によって回転され、攪拌板27を板面に直交する方向に揺動させる揺動手段である。攪拌板27は、反応容器7に保持された液体に対して非親和性を有するフッ素樹脂等の弾性を有する合成樹脂板又は非親和性を有するフッ素樹脂等の合成樹脂をコーティングした鋼鉄,ステンレススチール,ベリリウム青銅等の弾性を有する金属板からなる。攪拌板27は、図2に示すように、上端がアーム23の支持部23aに支持され、反応容器7が保持した液体内に下端が挿入されると共に、上端を支点としてカム25によって揺動される板である。
【0037】
このとき、攪拌板27は、反応容器7内の互いに対向する一方の側壁7aの近傍に配置されるように上端がアーム23の支持部23aに支持され、側壁7aの近傍を起点として弾性翼のように数Hz〜数十Hz程度の周波数で揺動される。このため、攪拌板27は、揺動した際に反応容器7が保持した液体に鉛直下方へ向かう推力が付与され、液体が反応容器7の底部から液面に亘って全体的に攪拌される。ここで、攪拌板27は、揺動の周波数が高くなると、保持した液体が泡立ったり、気泡を巻き込んだりして好ましくないばかりか、液体が飛散したり、量によっては容器から溢れたりする不具合が生じることがある。また、攪拌板27は、板厚が全長に亘って一定であり、図4及び図6に示すように、反応容器7の内法よりも僅かに幅が小さく設定されている。
【0038】
以上のように構成される自動分析装置1は、回転する反応ホイール6によって周方向に沿って搬送されてくる複数の反応容器7に試薬分注機構12が試薬容器14から試薬を順次分注する。試薬が分注された反応容器7は、反応ホイール6によって周方向に沿って搬送され、検体分注機構5によって検体テーブル3に保持された複数の検体容器4から検体が順次分注される。
【0039】
そして、検体が分注された反応容器7は、反応ホイール6によって攪拌装置20へ搬送され、分注された試薬と検体が順次攪拌されて反応する。このようにして検体と試薬が反応した反応液を保持した反応容器7は、反応ホイール6が再び回転したときに測光装置10を通過し、光源から出射された分析光の光束BL(図4参照)が透過する。このとき、反応液を透過した光束BLは、受光部で側光され、制御部16によって成分濃度等が分析される。そして、分析が終了した反応容器7は、洗浄装置11によって洗浄された後、再度検体の分析に使用される。
【0040】
このとき、攪拌装置20は、以下に説明する攪拌方法によって分注された試薬と検体を順次攪拌する。即ち、攪拌装置20は、反応ホイール6の停止時に、予め入力部18から入力された分析情報に基づいて制御部16が出力する制御信号に基づき、図3に示すように、パルスモータ21が支柱22を回動してアーム23を下降させる。これにより、攪拌装置20は、制御部16が出力する制御信号に基づいて、図3及び図4に示すように、攪拌板27が反応容器7内の一方の側壁7a近傍の内壁面と接触しない位置に配置される。ここで、攪拌装置20は、アーム23をパルスモータ21によって下降させているので、攪拌板27を反応容器7内の鉛直方向所定位置に高精度に位置決めすることができる。
【0041】
次に、攪拌装置20は、前記分析情報に基づいて制御部16が出力する制御信号に基づいて駆動モータ26が駆動され、カム25を回転させる。これにより、攪拌板27が、図5に示すように、側壁7aの近傍を起点として対向する側壁7a側へ、内壁面と接触することなく弾性翼のようにゆっくりと揺動される。このとき、攪拌装置20は、図2に示したように、アーム23の支持部23aに設けた光センサ28によって攪拌板27の揺動を検知している。
【0042】
これにより、反応容器7が保持した液体Lは、揺動する攪拌板27から鉛直下方へ向かう推力が付与され、反応容器7の底部から液面に亘って全体的に攪拌される。この結果、攪拌装置20は、上述の攪拌方法によって反応容器7に分注された検体と試薬を短時間で均一に攪拌することができ、検体と試薬が無駄なく反応する。このため、攪拌装置20を備えた自動分析装置1は、検体を高い信頼性の下に分析することができ、安定した測定値を提供することができる。ここで、攪拌板27の揺動時に、パルスモータ21は、制御部16による制御の下に、攪拌板27を鉛直方向に移動させて上下動させ、或いは揺動数を選択的に制御すると、反応容器7内の液体Lの攪拌が局部的に乱されるため、攪拌効果が向上する。
【0043】
このようにして攪拌板27による液体の攪拌が終了した後、攪拌装置20は、制御部16が出力する制御信号に基づき、パルスモータ21が支柱22を回動してアーム23を元の位置へ上昇させ、攪拌板27を洗浄した後、引き続く攪拌作業を実行する。このとき、攪拌板27は、液体に対する非親和性処理が表面に施されているため、表面に付着する液体が殆どないうえ、残っていたとしても洗浄によって簡単に除去されるので、いわゆるキャリーオーバーが発生するおそれはない。また、アーム23の上昇に伴って攪拌板27が反応容器7に保持された液体から引き抜かれる速度は、表面に非親和性処理を施した攪拌板27に液体から作用する表面張力を超える速度とする。その後、自動分析装置1は、反応ホイール6を回転させて新たな反応容器7を攪拌装置20の位置へ搬送して、攪拌が続行される。
【0044】
ここで、攪拌装置20は、自動分析装置1に設けられた図示しない液面検知手段からの情報を受け、攪拌板27の下端が液面から液体中に挿入されたときに揺動を開始する。また、攪拌装置20は、アーム23を下降させながら揺動を開始し、攪拌終了後、アーム23を上昇させながら揺動を終了するようにしてもよい。
【0045】
ここで、攪拌装置20で使用する攪拌板は、弾性翼のように揺動することができれば、図7−1に示す攪拌板27Aのように、液体内に挿入される端部の板厚が先端に向かって直線状に薄くなるように設定し、或いは、図7−2に示す攪拌板27Bのように、液体内に挿入される端部の板厚が先端に向かって曲面状に薄くなるように設定してもよい。また、図7−3に示す攪拌板27Cのように、液体内に挿入される端部の板厚が中間において直線状に薄くなるように設定し、或いは、図7−4に示す攪拌板27Dのように、液体内に挿入される端部の板厚が中間において曲線状に薄くなるように設定してもよい。このように、攪拌板は、液体内に挿入される端部の板厚を変化させると、揺動周波数を適宜の値に調整することにより、揺動が微妙に変化して攪拌時の液体の流れが乱れ、一層液体が混ざり易くなる。
【0046】
一方、反応容器7は、図4に示すように、側壁7bが測光に使用される。このため、攪拌板27は、側壁7bの測光部に対応する下部両側に、図8に示すように、段状に切り欠いた段部27aを形成するか、或いは、図9に示すように、テーパ状に切り欠いたテーパ部27bを形成する。このように、攪拌板27は、側壁7bの測光部に対応する下部両側に段部27aやテーパ部27bを形成すると、下部の幅が狭くなるため、揺動した場合に、両側が側壁7b内面を傷付けることを回避でき、吸光度を適正に測定することができる。
【0047】
なお、攪拌装置20は、揺動手段として駆動モータ26によって回転されるカム25を使用した。しかし、攪拌板27を揺動させて反応容器7が保持した液体を攪拌することができれば、揺動手段はカム25に限定されるものではなく、例えば、ソレノイド,超音波振動子等、種々のアクチュエータを使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の自動分析装置を示す概略構成図である。
【図2】図1の自動分析装置で使用する攪拌装置の概略構成図である。
【図3】図2の攪拌装置において、攪拌板が反応容器に保持された液体中に挿入された状態を示す図である。
【図4】図3のC−C線に沿った断面図である。
【図5】図3に示す攪拌装置において、駆動モータから下側を拡大すると共に、カムが回転して攪拌板が揺動した状態を示す拡大図である。
【図6】図3に示す攪拌装置において、攪拌板が配置された反応容器の下側を拡大して示す正面図である。
【図7】攪拌板の厚さに関する変形例を示す図である。
【図8】攪拌板の幅に関する第一の変形例を示す図である。
【図9】攪拌板の幅に関する第二の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1 自動分析装置
2 作業テーブル
3 検体テーブル
4 検体容器
5 検体分注機構
6 反応ホイール
7 反応容器
10 測光装置
11 洗浄装置
12 試薬分注機構
13 試薬テーブル
14 試薬容器
15 読取装置
16 制御部
17 分析部
18 入力部
19 表示部
20 攪拌装置
21 パルスモータ
22 支柱
23 アーム
24 ブラケット
25 カム
26 駆動モータ
27 攪拌板
28 光センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に保持された液体を攪拌する攪拌装置であって、
一端が支持され、他端が前記液体内に挿入されると共に、前記一端を支点として揺動される弾性を有する攪拌板と、
前記攪拌板を板面に直交する方向に揺動させ、前記液体を攪拌する揺動手段と、
を備えたことを特徴とする攪拌装置。
【請求項2】
さらに、前記攪拌板を鉛直方向に移動させる移動手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項3】
さらに、前記揺動手段による前記攪拌板の揺動数を制御する制御手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の攪拌装置。
【請求項4】
さらに、前記攪拌板の揺動を検知する揺動検知手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の攪拌装置。
【請求項5】
前記攪拌板は、板厚が、少なくとも、全長に亘って一定か、前記液体内に挿入される他端が先端に向かって薄くなるか、或いは前記液体内に挿入される他端が中間において薄くなるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項6】
前記攪拌板は、前記液体内に挿入される他端の幅が前記一端よりも狭く形成されていることを特徴とする請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項7】
前記攪拌板は、容器に保持された液体に対して非親和性を有する合成樹脂板又は非親和性を有する合成樹脂をコーティングした金属板からなることを特徴とする請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項8】
前記攪拌板は、前記容器内の互いに対向する一方の側壁の近傍に配置され、当該一方の側壁の近傍を起点として揺動されることを特徴とする請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項9】
前記移動手段は、前記攪拌板の揺動時に該攪拌板を鉛直方向に移動させることを特徴とする請求項2に記載の攪拌装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記液体の種別に応じて前記攪拌板の揺動数を選択的に制御することを特徴とする請求項3に記載の攪拌装置。
【請求項11】
前記攪拌板は、揺動時に前記容器の内壁面と接触しない位置に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の攪拌装置。
【請求項12】
容器に保持された液体を攪拌する攪拌方法であって、
一端が支持され、他端が前記液体内に挿入された攪拌板を、前記一端を支点として板面に直交する方向に揺動させることによって前記液体を攪拌することを特徴とする攪拌方法。
【請求項13】
複数の異なる液体を攪拌して反応させ、反応液の光学的特性を測定して前記反応液を分析する分析装置であって、請求項1〜11のいずれか一つに記載の攪拌装置を用いて検体と試薬との反応液を光学的に分析することを特徴とする分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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