説明

攪拌調理機

【課題】 攪拌及び掻取り効果に優れ、焦げ付きが有効に防止され、清掃の容易な攪拌調理機を提供する。
【解決手段】 底部は半球状に形成され上部が開口された調理釜1と、該調理釜1の底部の外周面に設けられた加熱室2と、前記調理釜1の開口部から斜め方向に挿入されて下端に該調理釜の内側面に沿う円弧状の攪拌杆5を有する回転軸3からなる攪拌調理機であり、前記回転軸3が正逆交互回転自在であり、且つ前記攪拌杆5の外周部であって該攪拌杆5の長さ方向と交差する方向にその頂部7a軸支されて所定角度交互に揺動しその両端部が交互に前記調理釜1の底部を摺動する略ハ字状の攪拌羽根7を設けたこと、好ましくは、前記攪拌羽根7を前記攪拌杆5から脱着自在とした攪拌調理機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の食品製造に使用される攪拌調理機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、底部が半球状に形成された加熱釜内に電動機によって駆動される斜軸を斜め方向から挿入し、この斜軸の先端部に加熱釜の底部内面に沿う円弧状の支持杆を固定し、この支持杆に加熱釜の内面に摺接する可撓性攪拌羽根を装着した斜軸攪拌機において、前記攪拌羽根を支持杆の長手方向と交差する方向に互いに密接する複数個に分割したことを特徴とする斜軸攪拌機が提案されている(実開昭59−138429号公報参照。)。その他、攪拌、掻取用の羽根の取付部と取付バー、ピンボルトとの間に、繊維が入っても容易に除去でき、粉体が入っても羽根の動きが悪くなりにくい、食品攪拌機の羽取付装置が提案されている(実開平7−16724号公報参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭59−138429号公報
【特許文献2】実開平7−16724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記各攪拌機の攪拌羽根は、斜軸あるいは攪拌軸が一方向に回転させられることを前提に設けられており攪拌、掻取り効果及び焦げ付き防止に自ずと限界があった。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、攪拌及び掻取り効果に優れ焦げ付きが有効に防止される攪拌調理機を提供することである。さらに本発明は攪拌羽根部の清掃、交換が容易な攪拌調理機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る攪拌調理機は、底部が半球状に形成され上部が開口された調理釜と、該調理釜の底部の外周面に設けられた加熱室と、前記調理釜の開口部から斜め方向に挿入されて下端に該調理釜の内側面に沿う円弧状の攪拌杆を有する回転軸とからなる攪拌調理機であり、前記回転軸が正逆交互回転自在であり、且つ前記攪拌杆の外周部であって該攪拌杆の長さ方向と交差する方向にその頂部が軸支されて所定角度交互に揺動しその両端部が交互に前記調理釜の底部を摺動する略ハ字状の攪拌羽根を設けたことを特徴とする(請求項1)。
【0007】
前記構成の本発明では、攪拌調理に際して、前記回転軸が正逆交互回転させられる。同時に、前記攪拌羽根が略ハ字状に形成され、その頂部が攪拌杆に軸支されて所定角度交互に揺動するように設けられていることにより、前記回転軸の正回転時及び逆回転時には攪拌する食材の抵抗を受けて前記攪拌羽根の両端部が交互に調理釜の底部を摺動する。したがって、攪拌、掻取り効果が向上させられるとともに食材の焦げ付きも防止される。
【0008】
本発明の実施の一形態は、前記攪拌羽根を前記攪拌杆から脱着自在としたことを特徴とする(請求項2)この実施の一形態によれば、攪拌羽根部の清掃及び攪拌羽根が損傷した場合の交換が容易である。
【0009】
本発明の実施の一形態は、前記攪拌羽根の適数を集合ブロックとして所定間隔をあけて攪拌杆に設けたことを特徴とする(請求項3)。この実施の一形態では、前記回転軸の正逆交互回転時に前記複数の集合ブロックの攪拌羽根が調理鍋の底部全体を摺動するように所定間隔をあけて前記集合ブロックが設けられる。
【0010】
本発明の実施の一形態は、前記集合ブロックを形成する攪拌羽根の先端部を調理釜の底部に合わせて円弧状に構成したことを特徴とする(請求項4)。この実施の一形態によれば、集合ブロックを構成する攪拌羽根全体が常に調理釜の底部に適合して攪拌、掻取り効果が向上させられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、正逆交互回転自在の回転軸と該正逆交互回転自在の回転軸に設けられた攪拌杆及び該攪拌杆の外周部であって該攪拌杆の長さ方向と交差する方向に頂部が支持されて所定角度交互に揺動する略ハ字状の攪拌羽根によって攪拌、掻取り効果が向上させられるとともに食材の焦げ付きが有効に防止される効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態による攪拌調理機の要部断面図である。
【図2】攪拌羽根の取付け状態を示す一部分解正面図である。
【図3】第2図のA−A線断面図である。
【図4】正転時の攪拌羽根の揺動状態を示す説明図である。
【図5】逆転時の攪拌羽根の揺動状態を示す説明図である。
【図6】他の実施例を示す攪拌羽根取付け部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の一形態にかかる攪拌調理機について図面によって説明する。
【0014】
図1において、1は底部が半球状に形成され上部が開口された調理釜、2は前記調理釜1の底部の外周面に形成された加熱室である。該加熱室2には、その詳細を省略するが、高温蒸気が供給されて前記調理釜1及び該調理釜1内の食材Fが加熱される構成は前記先行技術文献と同様である。
【0015】
つぎに、前記調理釜1の開口部から斜め方向に回転軸3が挿入され、該回転軸3の上端には該回転軸を正逆交互回転自在とするモータ4が接続される。また、前記回転軸3の下端には前記調理釜1の内側面に沿う円弧状の攪拌杆5が固着され、さらに前記回転軸3の先端が前記調理釜1の底部に設けられた軸受6に支持される。
【0016】
本発明では、図2以下に示すように、前記攪拌杆5の外周部であって該攪拌杆5の長手方向と交差する方向に略ハ字状の攪拌羽根7の頂部7aが所定角度交互に揺動するように軸支され且つ脱着自在に設けられる。
【0017】
具体的には、まず前記攪拌杆5の外周部に該攪拌杆5の長手方向と交差する方向に所定の間隔をあけてブラケット8が溶接等により設けられる。さらに該それぞれのブラケット8には、それぞれ前記攪拌羽根7を取り付けるための透孔9が設けられる。さらに該透孔9の上部のそれぞれ両側位置の前記ブラケット8間に棒状のストッパー部材10が設けられる。
【0018】
一方、前記攪拌羽根7の頂部7aにもそれぞれ透孔7bが設けられる。同時に、所定の長さのボルト11及びナット12等の攪拌羽根7の取付け具が準備される。
【0019】
つぎに、前記ブラケット8間に適数の攪拌羽根7を配置して集合ブロックBとし、一方のブラケット8の透孔9から前記前記集合ブロックBを形成する攪拌羽根7の透孔7bに前記ボルト11等を挿通し、他方のブラケット8から突出した雄ネジ部にナット12等を螺合するなどして、さらにその他必要に応じてワッシャ、止めナット等を用いて前記攪拌羽根7の取付けが完了する。
【0020】
前記構成によれば、前記攪拌羽根7は前記攪拌杆5から脱着自在であり、攪拌羽根7の清掃及び交換が容易である。なお、前記攪拌羽根7の前記集合ブロックBの先端は調理釜1の底部に合わせて円弧状13に構成される。
【0021】
さらに、前記攪拌羽根7の取付けにおいてはそれぞれの攪拌羽根7が所定角度交互に揺動するように取り付けられる。該攪拌羽根7の所定角度交互の揺動は前記ストッパー部材10によって規制される。
【0022】
図6は、前記ストッパー部材10に変えて攪拌羽根7自体にストッパー機能を持たせた実施例である。すなわち、前記攪拌羽根7の頂部7aに前記攪拌杆5の外周と少し間隔をあけて凹部14を形成したもので、前記揺動時に前記凹部13の両端部が交互に前記攪拌杆5に接触して前記攪拌羽根7の所定角度交互の揺動が規制されるものである。図中、15は温度センサー、16は調理釜1の蓋である。
【0023】
前記構成の本発明では、攪拌調理時以外では、図3及び図6に示すように攪拌羽根7の両端部は調理釜1の底部に接触していない。
【0024】
しかし、調理釜1に食材Fを投入して攪拌調理を行うと、例えば、正転時には、図4に示すように、食材Fの抵抗を受けて略ハ字状の攪拌羽根7の左側片の先端が調理釜1の底部に押圧及び摺動させられて食材Fの攪拌及び調理釜1の底部の掻取りが行われる。
【0025】
逆に、逆転時には、図5に示すように、食材Fの抵抗を受けて略ハ字状の攪拌羽根7の右側片の先端が調理釜1の底部に押圧及び摺動させられて食材Fの攪拌及び調理釜1の底部の掻取りが行われる。
【0026】
すなわち、回転軸3による攪拌杆5の正逆回転により攪拌羽根7が所定角度交互に揺動させられて調理釜1の底部を交互に摺動し効果的な攪拌及び掻取りが行われるものである。
【符号の説明】
【0027】
1 調理釜
2 加熱室
3 回転軸
5 攪拌杆
7 攪拌羽根
7a(攪拌羽根の)頂部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部が半球状に形成され上部が開口された調理釜と、該調理釜の底部の外周面に設けられた加熱室と、前記調理釜の開口部から斜め方向に挿入されて下端に該調理釜の内側面に沿う円弧状の攪拌杆を有する回転軸とからなる攪拌調理機であり、前記回転軸が正逆交互回転自在であり、且つ前記攪拌杆の外周部であって該攪拌杆の長さ方向と交差する方向に頂部が軸支されて所定角度交互に揺動しその両端部が交互に前記調理釜の底部を摺動する略ハ字状の攪拌羽根を設けたことを特徴とする攪拌調理機。
【請求項2】
前記攪拌羽根を前記攪拌杆から脱着自在としたことを特徴とする請求項1に記載の攪拌調理機。
【請求項3】
前記攪拌羽根の適数を集合ブロックとして所定間隔をあけて攪拌杆に設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の攪拌調理機。
【請求項4】
前記集合ブロックを形成する攪拌羽根の先端を調理釜に底部にあわせて円弧状に構成したことを特徴とする請求項3に記載の攪拌調理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−106632(P2013−106632A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251480(P2011−251480)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(511279564)株式会社 ヤエス (1)
【Fターム(参考)】