説明

支持ブロック及びそれを用いた車両リフト方法

【課題】リフトポイントに装着することができる支持ブロックを提供する。
【解決手段】車両とリフト装置のプレート部との間に入れるゴム製の支持ブロック10であって、車両のロッカーフランジを挟み込む溝部110を備え、ロッカーフランジに装着する。溝部110は、支持ブロック上面12に形成された溝入口111と、この溝入口111の下方に設けられた底112と、溝入口111の両縁と底112の両縁とをそれぞれつなぐ一対の側面113,114とから構成され、一方の側面113は、溝長さ方向及び溝深さ方向に直交する方向Y3へ凹んだ凹面として形成され、他方の側面114が上記凹面側へ膨らんだ凸面として形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両をリフト装置で昇降する際、車両とリフト装置のプレート部との間に入れる支持ブロック及びそれを用いた車両リフト方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用のリフト装置は、リフトプレート部を昇降機構で上下動することで、リフトプレート部上に乗り入れた車両を昇降する。このリフト装置を用いて車両をリフトさせて車両の下回りの点検や整備を行うことができる。
【0003】
図15は従来のリフト装置200を模式的に示す斜視図であり、図16は図15におけるリフトプレート部210を下側から見たときの模式図である。図15に示すように、昇降機構の支柱220の上端にはリフトプレート部210が取り付けられ、昇降機構がリフトプレート部210を上下動する。図中の符号300が車両である。図15では、リフト装置200と車両300とは一部だけが表されている。図16中の符号310はタイヤである。
【0004】
車両300を昇降する際、リフトプレート部210が車両300に直接接触すると車両300にキズが付くおそれがあるため、車両300とリフトプレート部210との間に支持ブロック250が配置される。図16に示すように、支持ブロック250は各リフトプレート部210の前部と後部とにそれぞれ配置される。
【0005】
図17(A)〜(F)は従来の各種の支持ブロックを示し、(A)は第1タイプの支持ブロック251の概略斜視図、(B)は(A)の支持ブロックの断面図、(C)は第2タイプの支持ブロック252の概略斜視図、(D)は(C)の支持ブロックの断面図、(E)は第3タイプの支持ブロック253の概略斜視図、(F)は(E)の支持ブロックの断面図である。
【0006】
図17(A)及び(B)に示す支持ブロック251は、ゴムスポンジ材251Aに木材252Bを埋設して形成されている。図17(C)及び(D)に示す支持ブロック252は、ゴムのみで形成され、リフトプレート部側に断面矩形状の穴252Aを有している。図17(E)及び(F)に示す支持ブロック253は、上記の第1及び第2タイプと異なり、発泡ウレタン製で車両ロッカー部の前後方向に沿って全体に当接し、車両ロッカー部320から下方に突出する下端部、つまりロッカーフランジ321が溝部253Aに入り込む。
【0007】
また、このような支持ブロック材料として、リサイクルゴムチップ材を利用することが特許文献1に開示されている。
【0008】
次に、従来の支持ブロック250を利用した車両リフト方法について図18を用いて説明する。
先ず、図18(A)に示すように、支持ブロック250を車両300のロッカーフランジ321(以下、リフトポイントと呼ぶ場合がある。)の下方のリフトプレート部210上に載せる(ステップ1)。この場合、支持ブロック250は正しいセット位置からずれた位置に置かれる場合がある。
このため、図18(B)に示すように、リフトポイントに支持ブロック250が当たりそうな位置まで、リフトプレート部210を上昇させて、リフトポイントに対して支持ブロック250の位置がずれていないか確認する(ステップ2)。支持ブロック250の位置がずれている場合にはその位置を正す。図中の符号400はフロア面である。
次に、図18(C)に示すように、リフトプレート部210を上昇させてリフトポイントに支持ブロック250を当て、さらに車両が少し持ち上がるようにリフトプレート部210を上昇させ、この状態でリフトポイントに対して支持ブロック250の位置がずれないか確認する(ステップ3)。例えば、支持ブロック250を押して、動くようであれば、前述のステップ2から作業をやり直す。位置ずれがないようであれば、図18(D)に示すように、リフト装置200を作動させて車両300を作業位置まで上昇させる。この上昇後も、リフトポイントに対する支持ブロック250の位置がずれていないか確認し、この確認後に作業者は車両の整備作業を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−13212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように、従来の支持ブロック250は、車両のリフトポイントに合わせてリフトプレート部210上に置き、リフトプレート部210を上昇させてリフトポイントに当てるが、支持ブロック250をリフトプレート部210上に載せる位置は作業者が決める為、その位置がリフトポイントに当たる正確な位置からずれてしまうことがある。この場合、作業をやり直さなければならない。このやり直し作業の発生を防止できれば、作業効率を向上させることができる。
【0011】
本発明は、以上の点に鑑みて創作されたもので、リフトポイントに装着することができる支持ブロック及びそれを用いた車両リフト方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は、車両とリフト装置のプレート部との間に入れるゴム製の支持ブロックであって、車両のロッカーフランジを挟み込む溝部を備え、ロッカーフランジに装着することを特徴とする。
【0013】
本発明の支持ブロックにおいて、溝部は、支持ブロック上面に形成された溝入口と、この溝入口の下方に設けられた底と、溝入口の両縁と底の両縁とをそれぞれつなぐ一対の側面とから構成され、一方の側面は、溝長さ方向及び溝深さ方向に直交する方向へ凹んだ凹面として形成され、他方の側面が上記凹面側へ膨らんだ凸面として形成されている。
【0014】
本発明の支持ブロックは、ブロック本体部と、回転部と、を備え、ブロック本体部は回転部をはめ込む収容溝を備え、溝部は回転部に形成されていて、収容溝と回転部の断面形状が非真円形状で同形に形成され、回転部はブロック本体部を構成するゴム材よりも軟質のゴム材で構成され、回転部の外周が収容溝に合うように当該回転部は収容溝内に配設され、この状態で溝部の深さ方向が鉛直方向に対して傾斜しており、ブロック本体部の収容溝内で回転部を回転させることで、溝部内に差し込まれたロッカーフランジを当該回転部で挟み込むことを特徴としている。
【0015】
本発明の支持ブロックは、支持ブロック下面から支持ブロックの高さ中間部まで切り欠いた切欠部を、当該支持ブロックの全長に亘って備え、溝部はロッカーフランジの厚みよりも幅狭に形成されていて、切欠部左右の支持ブロック下部同士を近づけると、溝部の幅が広がる。
【0016】
本発明の支持ブロックは、ブロック本体部と固定部とを備え、ブロック本体部は固定部を収容する収容溝を備え、溝部は上記固定部に形成されていて、固定部は上記ブロック本体部を構成するゴム材よりも軟質のゴム材で構成され、溝部には、当該溝部内に入った前記ロッカーフランジの抜けを防止する複数の爪部が一体に形成されている。
【0017】
上記目的を達成するために、本発明は、ゴム材だけで構成され溝部を備えた支持ブロックを利用して、リフト装置で車両を上昇させる車両リフト方法であって、溝部は、車両のロッカーフランジを挟み込むように構成され、溝部によって車両のロッカーフランジに支持ブロックを装着する第1工程と、リフト装置のリフトプレート部を上昇させて当該リフトプレート部の上面に支持ブロックを載せ、さらにリフトプレート部を上昇させて支持ブロック及び車両を作業位置まで上昇させる第2工程と、を含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明のブラケットによれば、支持ブロックをリフトポイントに直接装着できるため、従来のような、リフトポイントに対する支持ブロック10の位置の設定のやり直し作業を省略することができる。よって、本実施形態の支持ブロックによれば、作業効率を向上させることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係る支持ブロックの斜視図である。
【図2】図1の支持ブロックの正面図である。
【図3】図1の支持ブロックをロッカーフランジに装着する方法を説明するための図である。
【図4】図1の支持ブロックを用いた車両のリフト方法を説明するための図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る支持ブロックを示す斜視図である。
【図6】図5の支持ブロックをロッカーフランジに装着する方法を説明するための図である。
【図7】第2実施形態の変形例に係る支持ブロックを示す斜視図である。
【図8】図7の支持ブロックをロッカーフランジに装着する方法を説明するための図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る支持ブロックを示す斜視図である。
【図10】図9の支持ブロックをロッカーフランジに装着する方法を説明するための図である。
【図11】第3実施形態の変形例に係る支持ブロックを示す斜視図である。
【図12】本発明の第4実施形態に係る支持ブロックを示す斜視図である。
【図13】図12に示す支持ブロックの固定部の断面図である。
【図14】図12の支持ブロックをロッカーフランジに装着する方法を説明するための図である。
【図15】従来のリフト装置を模式的に示す図である。
【図16】図15におけるリフトプレート部の下側から見たときの模式図である。
【図17】従来の支持ブロックを示す図である。
【図18】従来の支持ブロックを利用した車両のリフト方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。なお、図中のFrは車両前方を、Upは車両上方を、LHは車幅方向であって左方を示す。背景技術で説明したリフト装置の構成と同じ部材には同じ符号を使用する。
【0021】
図1は本発明の第1実施形態に係る支持ブロック10の斜視図である。支持ブロック10は断面が等脚台形状であり、リフトプレート部210の上面211(図15参照)に接触する下面11が上面12より広く形成されている。
【0022】
支持ブロック10は、ロッカーフランジ321(図15参照)を挟み込む溝部110を備えている。この溝部110は、支持ブロック10の上面12で、車両の前後方向に延びるロッカーフランジ321に対応して形成されている。この溝部110は、図1に示すように、支持ブロック10の前後方向の全長に渡って一続きに形成されている。
【0023】
図2は支持ブロック10の正面図である。この図に示すように、溝部110は、上面12に形成された溝入口111と、この溝入口111の下方に設けられた底112と、溝入口111の左右の縁と底112の左右の縁とをそれぞれつなぐ左右の側面113,114とから構成されている。
本実施形態では、図2に示すように、一方の側面113が溝長さ方向(図1の矢印方向Y1)及び溝深さ方向(図1の矢印方向Y2)にそれぞれ直交する方向(図2の矢印方向Y3)へ、つまり左側へ凹んだ凹面として形成され、他方の側面114が左側へ膨らんだ凸面として形成されている。
【0024】
右側の側面114の最も突出した部位114Aは、溝入口111の左端と底112の左端とを結ぶ仮想の線L(図2の破線)を超えて、左側へ突出するように構成されている。このように、本実施形態では、溝は深さ方向に蛇行するように形成されている。このような曲がりくねった溝の形状は図示例に限定されるものではない。
【0025】
支持ブロック10は、例えば、ウレタンゴム、ハイパロンゴム、繊維入りゴム、天然ゴム、再生ゴムなどのエラストマーで中実に構成されている。
【0026】
このように構成された支持ブロック10を、図3(A)に示すように斜めに傾けて溝入口111付近の深さ方向をロッカーフランジ321の延出方向に沿わせて、溝部110内にロッカーフランジ321を差し込む。
そして、溝部110に対するロッカーフランジ321の差込を深くして、ロッカーフランジ321の下端を溝部110の底112に当て、さらに支持ブロック10の姿勢を水平にする。この状態では、図3(B)に示すように、ロッカーフランジ321の左面321Lは、その上部と下部とが溝部110の左側面113で押され、ロッカーフランジ321の右面321Rは、高さ方向の中間部が溝部110の右側面114で押される。このようにして、ロッカーフランジ321は溝部110によって挟みこまれて、支持ブロック10が車両ロッカー部320に装着される。
【0027】
この支持ブロック10を利用した車両リフト方法について説明する。
図4に示すように、先ずリフトポイントに直接支持ブロック10を装着する。次に、リフト装置200のリフトプレート部210を上昇させて当該リフトプレート部210の上面211に支持ブロック10を載せ、さらにリフトプレート部210を上昇させて支持ブロック10及び車両300を作業位置まで上昇させる。このようにして、車両300を上昇させることができる。
【0028】
本実施形態に係る支持ブロック10によれば、支持ブロック10をリフトポイントに直接装着し、各支持ブロック10の下方にリフト装置200のリフトプレート部210があることを確認するだけで、そのままリフトプレート部210を上昇させて車両を所定の作業位置まで上昇させることができる。このように、支持ブロック10をリフトポイントに直接装着できるため、従来のような、リフトポイントに対する支持ブロック10の位置の設定のやり直し作業を省略することができる。よって、本実施形態の支持ブロック10によれば、作業効率を向上させることが期待できる。
【0029】
次に第2実施形態に係る支持ブロック20について説明する。第1実施形態の支持ブロック10と同じ構成には同じ符号を付してその説明を省略する。
図5は本発明の第2実施形態に係る支持ブロック20を示す斜視図である。支持ブロック20は、図5(A)に示すように、ブロック本体部21と回転部22とから構成されている。
【0030】
ブロック本体部21は、断面が等脚台形状に形成されており、上面12に回転部22をはめ込む収容溝23を有する。
収容溝23は、車両300の前後方向に延びるロッカーフランジ321(図15参照)に対応して、支持ブロック20の上面12に形成されている。この収容溝23は、図5(A)に示すように、支持ブロック20の前後方向の全長に亘って一続きに形成されている。
【0031】
回転部22は、断面が六角形状に形成され、その軸方向が収容溝23の長さ方向に対応して形成されている。また、回転部22の断面六角形状に対応して、収容溝23の内面の断面形状も六角形状に形成されている。このような構成によって、回転部22は、その外周の角部22Aを収容溝23の内壁の各コーナー23Aに位置合わせすることで、収容溝23にはめ込まれる。このように回転部22の外周が溝内壁にフィットした状態を図5(B)に示している。
【0032】
さらに、回転部22は溝部22Cを有する。この溝部22Cは回転部の長さ方向全長に亘って形成されている。回転部22が収容溝23に嵌合した状態で、溝部22Cの深さ方向は、鉛直方向に対して傾斜した方向に設定されている。
【0033】
本実施形態において、ブロック本体部21は前述の支持ブロック10と同様に、例えば、ウレタンゴム、ハイパロンゴム、繊維入りゴム、天然ゴム、再生ゴムなどのエラストマーで構成される。回転部22は、ブロック本体部21よりも軟質のゴム材、例えばシリコンゴムなどのエラストマーで構成される。
【0034】
このように構成された支持ブロック20は、図6(A)に示すように、斜めに傾けて回転部22の溝部22Cの深さ方向をロッカーフランジ321の延出方向に沿わせて、溝部22C内にロッカーフランジ321を差し込む。
そして、溝部22Cに対するロッカーフランジ321の差込を深くしてロッカーフランジ321の下端を溝部22Cの底に当て、さらに支持ブロック20を水平にする。この際、回転部22を、収容溝23内で収容溝23に対して回転させる。
【0035】
このように回転部22を収容溝23に対して相対的に回転させると、図6(B)に示すように、回転部22の外形が、収容溝23の内壁の形状に一致せず、さらに回転部22自体が収容溝23を構成するブロック本体部21よりも軟質のゴムであるため、回転部22はその外側から収容溝23によって内側へ押される。この力によって、ロッカーフランジ321が回転部22によって挟み込まれて、支持ブロック20がロッカーフランジ321に装着される。
【0036】
この支持ブロック20も、前述の支持ブロック10と同様に、車両のリフトポイントに直接装着することができる。
【0037】
次に、第2実施形態の変形例について説明する。
図7は第2実施形態の変形例に係る支持ブロック20Aを示す斜視図である。
この支持ブロック20Aは、前述の支持ブロック20と異なり、回転部22と、収容溝23の断面形状が楕円状に形成されている。
この支持ブロック20Aも、図8(A)に示すように、回転部22が収容溝23に嵌合した状態で、斜めに傾けて回転部22の溝部22Cの深さ方向をロッカーフランジ321の延出方向に一致させて、回転部22の溝部22C内にロッカーフランジ321を差し込む。
そして、回転部22の溝部22Cに対するロッカーフランジ321の差込を深くして、ロッカーフランジ321の下端を溝部22Cの底に当て、さらに支持ブロック20Aを水平にする。この際、回転部22は、ブロック本体部21の収容溝23内で回転する。このように回転部22をブロック本体部21に対して相対的に回転させることで、図8(B)に示すように、回転部22の外形がブロック本体部21の収容溝23の内壁の形状に一致しないため、回転部22はその外側からブロック本体部21によって内側へ押される。この力によって、ロッカーフランジ321が回転部22によって挟み込まれて、支持ブロック20Aがロッカーフランジ321に装着される。
【0038】
次に第3実施形態に係る支持ブロックについて説明する。
図9は本発明の第3実施形態に係る支持ブロック30を示す斜視図である。支持ブロック30は断面が等脚台形状であり、リフトプレート部上面に接触する下面の幅が上面より広く形成されている。
【0039】
本実施形態の支持ブロック30は、支持ブロック30の上面12に形成された溝部31と、支持ブロック下面から支持ブロック30の高さ中間部まで切り欠いた切欠部32と、を備えている。溝部31と切欠部32とは、図9に示すように、支持ブロック30の前後方向の全長に亘ってそれぞれ一続きに形成されている。
【0040】
溝部31は、ロッカーフランジ321の厚みよりも幅狭に形成されている。この溝部31の下方部位31Aは、それより上方の部位よりも幅広に形成されている。溝部31の深さは、切欠部32の深さよりも浅く設定されており、図示例では、支持ブロック30の高さの5分の1程度に深さが設定されている。
【0041】
このように構成された支持ブロック30は、図10(A)に示すように、切欠部左右の支持ブロック下部30a,30b同士を近づけると、ブロック上部の溝部31の幅が広がる。溝幅を広げた状態で溝部31内にロッカーフランジ321を差込み、支持ブロック下部30a,30b同士の近接状態を解くと、図10(B)に示すように、支持ブロック下部30a,30b同士が元の位置に戻り、溝部31がロッカーフランジ321を挟み込む。これにより、支持ブロック30がロッカーフランジ321に装着される。この支持ブロック30も、前述の支持ブロック10と同様のゴム材料から構成されている。
【0042】
この支持ブロック30は、前述の支持ブロック10と同様に、車両のリフトポイントに直接装着することができる。
【0043】
次に、第3実施形態の変形例について説明する。
図11は第3実施形態の変形例に係る支持ブロック30′を示す斜視図である。
この支持ブロック30′は、前述の支持ブロック30と異なり、前述の支持ブロック30の上部の左右の角部30C,30D(図9参照)を取って、上面が湾曲面として形成されている。
この支持ブロック30′も、前述の支持ブロック30と同様に、切欠部左右の支持ブロック下部30a,30b同士を近づけてブロック上部の溝部31の幅を広げ、溝内にロッカーフランジ321を差込み、支持ブロック下部30a,30b同士の近接状態を解いて溝部31がロッカーフランジ321を挟み込む(図10(A))ことで、支持ブロック30′をリフトポイントに装着することができる。
【0044】
次に第4実施形態に係る支持ブロックについて説明する。
図12は本発明の第4実施形態に係る支持ブロック40を示す斜視図である。支持ブロック40は、図12(A)に示すように、ブロック本体部41と固定部42とから構成されている。
【0045】
ブロック本体部41は、断面が等脚台形状に形成されており、上面12に固定部42を収容する収容溝43を有する。
収容溝43は、車両300の前後方向に延びるロッカーフランジ321(図15参照)に対応して、支持ブロック40の上面12に形成されている。この収容溝43は、図12(A)に示すように、支持ブロック40の前後方向の全長に亘って一続きに形成されている。図示例では、この収容溝43は断面矩形状に形成されている。この収容溝43の溝入口43Bの幅は内部の幅よりも狭く形成されており、言い換えれば、支持ブロック40の上面には固定部42を押さえる一対の突片部45が設けられている。これらの突片部45によって収容溝43内に配設された固定部42の収容溝43からの抜けが防止される。
【0046】
固定部42は、断面が四角形状に形成され、その軸方向が収容溝43の長さ方向に対応して形成されている。固定部42は、その外周の角部42Aが収容溝43の各コーナー43Aに合うようにはめ込まれて、収容溝43に収容される。固定部42の外周が収容溝43にフィットした状態を図12(B)に示している。なお、固定部42は、接着剤などを塗布して、収容溝43に固定されてもよい。
【0047】
このような嵌合状態において、固定部42には、収容溝43の溝入口43Bから露呈している固定部42の面42Bから固定部内側へ入り込む溝部47が形成されている。この溝部47の深さ方向は鉛直方向に沿っている。
さらに、本実施形態では、図13に示すように、固定部42の溝部47を構成する左右の側面から対向する側面側へ向けて複数の爪部48が形成されている。
各爪部48は、例えば、図13に示すように水平な下面48aと、その先端から上方へ行くにつれて側面に近づく傾斜面48bとから断面三角形状に形成されている。左側の爪部48と右側の爪部48とは高さ位置を揃えて形成されており、左右の爪部48の先端同士の間隔wがロッカーフランジ321の厚みよりも狭く設定されている。
【0048】
本実施形態において、ブロック本体部41は前述の支持ブロック10と同様に、例えばウレタンゴム、ハイパロンゴム、繊維入りゴム、天然ゴム、再生ゴムなどのエラストマーで構成される。固定部42は、ブロック本体部41よりも軟質のゴム材、例えばシリコンゴムなどのエラストマーで構成される。
【0049】
このように構成された支持ブロック40にあっては、図14(A)に示すように、固定部42の溝部47の深さ方向をロッカーフランジ321の延出方向に沿わせて、溝部47内にロッカーフランジ321を差し込む。本実施形態では、ロッカーフランジ321を溝部47内に深く差し込むだけで装着が完了する。具体的には、左右の爪部48によってロッカーフランジ321が挟み込まれる。さらに、本実施形態では、各爪部48の傾斜面48bが溝内側へ行くにつれて低くなるように形成されているため、ロッカーフランジ321が溝部47内に差込み易く形成されていると共に、溝部47から抜け難く形成されている。
【0050】
この支持ブロック40も、前述の支持ブロック10と同様に、車両のリフトポイントに直接装着することができる。
【0051】
以上詳述したが、本発明は発明の趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施をすることができる。
例えば、第2実施形態に係る支持ブロック20の収容溝23と回転部22の断面形状は、六角形状、楕円形状に限定されず、その他の非真円形状であればよい。
【符号の説明】
【0052】
10,20,20A,30,30′,40 支持ブロック
12 支持ブロックの上面
21,41 ブロック本体部
22 回転部
22C 回転部の溝部
23,43 収容溝
30a,30b 支持ブロック下部
31,110 溝部
32 切欠部
42 固定部
45 突片部
111 溝部の溝入口
112 溝部の底
113,114 溝部の側面
200 リフト装置
210 リフトプレート部
211 リフトプレート部の上面
300 車両
400 フロア面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両とリフト装置のプレート部との間に入れるゴム製の支持ブロックであって、
上記車両のロッカーフランジを挟み込む溝部を備え、
上記ロッカーフランジに装着することを特徴とする、支持ブロック。
【請求項2】
前記溝部は、支持ブロック上面に形成された溝入口と、この溝入口の下方に設けられた底と、溝入口の両縁と底の両縁とをそれぞれつなぐ一対の側面とから構成され、
一方の側面は、溝長さ方向及び溝深さ方向に直交する方向へ凹んだ凹面として形成され、他方の側面が上記凹面側へ膨らんだ凸面として形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の支持ブロック。
【請求項3】
ブロック本体部と、回転部と、を備え、
上記ブロック本体部は、上記回転部をはめ込む収容溝を備え、
前記溝部は上記回転部に形成されていて、
上記収容溝と上記回転部の断面形状が非真円形状で同形に形成され、
上記回転部は上記ブロック本体部を構成するゴム材よりも軟質のゴム材で構成され、
上記回転部の外周が上記収容溝に合うように当該回転部は上記収容溝内に配設され、この状態で前記溝部の深さ方向が鉛直方向に対して傾斜しており、
上記ブロック本体部の収容溝内で上記回転部を回転させることで、溝部内に差し込まれたロッカーフランジを当該回転部で挟み込むことを特徴とする、請求項1に記載の支持ブロック。
【請求項4】
支持ブロック下面から支持ブロックの高さ中間部まで切り欠いた切欠部を、当該支持ブロックの全長に亘って備え、
前記溝部は前記ロッカーフランジの厚みよりも幅狭に形成されていて、
切欠部左右の支持ブロック下部同士を近づけると、前記溝部の幅が広がることを特徴とする、請求項1に記載の支持ブロック。
【請求項5】
ブロック本体部と、固定部と、を備え、
上記ブロック本体部は、上記固定部を収容する収容溝を備え、
前記溝部は上記固定部に形成されていて、
上記固定部は上記ブロック本体部を構成するゴム材よりも軟質のゴム材で構成され、
前記溝部には、当該溝部内に入った前記ロッカーフランジの抜けを防止する複数の爪部が一体に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の支持ブロック。
【請求項6】
ゴム材だけで構成され溝部を備えた支持ブロックを利用して、リフト装置で車両を上昇させる車両リフト方法であって、
上記溝部は、車両のロッカーフランジを挟み込むように構成され、
上記溝部によって車両のロッカーフランジに上記支持ブロックを装着する第1工程と、
上記リフト装置のリフトプレート部を上昇させて当該リフトプレート部の上面に上記支持ブロックを載せ、さらにリフトプレート部を上昇させて上記支持ブロック及び上記車両を作業位置まで上昇させる第2工程と、
を含むことを特徴とする、車両リフト方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−12216(P2012−12216A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153456(P2010−153456)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(000157083)関東自動車工業株式会社 (1,164)