説明

支持ユニット

【課題】本体に対し可動体を回動可能で、その往動を強制的に行わしめるように組み合わせるに際し、既存の可動体と本体とにそれぞれ単純な組付けをなすだけで、この動作を生じさせるように両者を組み付け得る支持ユニットを提供する。
【解決手段】ベース3は、案内面32aを仮想の円の円弧に沿って配するように構成されたガイド体32と、ガイド体32の案内面32aを回転走行する転動体31と、転動体31の周面がガイド体32の案内面32aに常時押し付けられるようにこの転動体31を支持すると共に、転動体31がガイド体32の案内面32aの始端32b側にあるときこの転動体31を案内面32aの終端32c側に向けて走行させる向きの付勢力を蓄勢する付勢手段1とを備えている。ジョイント4は、ベース3の転動体31の回転中心に接続される軸体41を少なくとも備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、本体に対し可動体を回動可能で、かつ、その往動を強制的に行わしめるように組み合わせるために用いられる支持ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
扉体のアーム部に設けられた円弧状ギア部に噛み合う第1固定ギア部を基体に設け、扉体を基体の開口部を閉じる閉位置と開位置との間で、第1固定ギア部に対応した軌跡で回動させるようにした開閉装置として特許文献1に示されるものがある。かかる開閉装置にあっては、閉位置にある扉体は引っ張りコイルバネの作用で開位置まで強制的に回動されるようになっている。また、扉体の回動動作は、第1固定ギア部に沿った円弧状ギア部の移動と、この移動に伴う円弧状ギア部の回転運動とが合成されたものとなる。
【0003】
しかるに、かかる特許文献1のものにあっては、扉体と基体とにそれぞれ格別の造作を施す必要があるものであった。すなわち、扉体には円弧状ギア部と回転ギアとを備えたアーム部を、基体には第1固定ギア部および第2固定ギア部と付勢ばねを、格別に設ける必要を生じさせるものであった。
【特許文献1】特開2003−129742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、本体に対し可動体を回動可能で、かつ、その往動を強制的に行わしめるように組み合わせるに際し、既存の可動体と本体とにそれぞれ単純な組付けをなすだけで、このような動作を生じさせるように両者を組み付け得る支持ユニットを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記問題点を解決するために、この発明にあっては、可動体の支持ユニットを、以下の(1)〜(3)の構成を備えたものとした。
(1)本体側に取り付けられるベースと、可動体側に取り付けられるジョイントとからなり、この本体に対し可動体を回動可能に組み付けるために用いられる支持ユニットであって、
(2)ベースは、
案内面を仮想の円の円弧に沿って配するように構成されたガイド体と、
このガイド体の案内面を回転走行する転動体と、
転動体の周面がガイド体の案内面に常時押し付けられるようにこの転動体を支持すると共に、転動体がガイド体の案内面の始端側にあるときこの転動体を案内面の終端側に向けて走行させる向きの付勢力を蓄勢する付勢手段とを備えており、
(3)ジョイントは、ベースの転動体の回転中心に接続される軸体を少なくとも備えている。
【0006】
かかる構成によれば、かかる支持ユニットを構成するベースを本体側に取り付け、かつ、ジョイントを可動体側に取り付けることにより、回転しながら案内面に沿って走行移動される転動体によって、この回転と移動とが合成された動きをもって可動体が回動されるように、可動体を本体に容易に組み付けさせることができる。また、案内面の始端側に位置されている転動体に対する付勢手段の付勢力の作用により、可動体の往動が強制的になされるように、可動体を本体に組み付けさせることができる。
【0007】
前記ガイド体の案内面をラック面としておくと共に、転動体をこのラック面に噛み合うピニオン体として構成させておくこともある。
【0008】
このようにした場合、前記付勢手段の付勢力により、転動体を規則的に案内面に沿って回転走行させることができ、可動体の往復動を規則的に行わさせることができる。
【0009】
前記ベースに、転動体に作用して可動体の回動に制動を付与するダンパ装置を備えさせておくこともある。
【0010】
このようにした場合、前記バネによる可動体の回動に常時一定の制動を付与させることができる。
【0011】
前記付勢手段を、ベースにバネ一端を固定させ、かつ、転動体の軸体にバネ他端を常時押し付けるねじりコイルバネとしておけば、転動体を案内面の始端側に位置させる可動体を、このバネの付勢によって強制的に往動回動させることができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明にかかる支持ユニットによれば、可動体にジョイントを取り付け、かつ、本体にベースを取り付けることで、この本体に対し可動体を、案内面に沿った転動体の移動動作とこの移動に伴う転動体の回転動作とを合成させた回動動作可能で、かつ、その往動を強制的に行わしめるように組み合わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図1ないし図10に基づいて、この発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0014】
なお、ここで図1は、実施の形態にかかる動作機構100を内蔵した支持ユニット101によって収納体201に蓋体301を回動可能に組み付けるようにした例を各要素を分離させた状態として示している。また、図2は、かかる支持ユニット101の一つをそれを構成する各要素を分離させた状態にして示している。また、図3は、蓋体301(可動体300)が第一位置CLにある状態を、また、図4は、蓋体301が第二位置OPにある状態を、それぞれ示している。
【0015】
また、図5ないし図10はそれぞれ、可動体300の動作の過程における動作機構100の様子を支持ユニット101を構成するベース3のカバー35を外した状態で本体の記載を省略してそれぞれ示しており、特に、図5は可動体300が第一位置CLにあるときの様子を、図10は可動体300が第二位置OPにあるときの様子を示している。図5、図6、図7、図8、図9、図10の順で可動体300は往動され、この逆の順で可動体300は復動される。
【0016】
この実施の形態にかかる動作機構100(支持ユニット101)は、本体200に対し、第一位置CLと第二位置OPとの間に亘る回動可能に組み付けられると共に、第一位置CLにある状態をロック手段400によって解除可能に維持されるようにされた可動体300を、ロック手段400のロック解除によって第二位置OPに向けて強制的に回動させると共に、所定の回動位置から第二位置OPまでの間ではこの回動の勢いを減衰させるように、組み合わせるものである。
【0017】
また、この実施の形態にかかる収納装置500は、かかる動作機構100を用いて構成された自動車用の収納装置である。
【0018】
かかる動作機構100は、第一位置CLに可動体300があるときに、この可動体300を第二位置OPに向けて回動(往動)させる向きの付勢力を蓄勢するように構成され、前記ロック解除によってこの蓄勢された付勢力の開放によって可動体300を第二位置OPまで強制的に回動(往動)させ、また、第二位置OPまで回動された可動体300を第一位置CLに手動により復帰回動(復動)させることにより、再び前記付勢力を蓄勢する付勢手段1を備えている。
【0019】
この実施の形態にあっては、かかる付勢手段1を、本体200側にバネ一端11側を止め付けられると共に、可動体300側に備えられた接触部2にバネ他端12を常時押し付けるねじりコイルバネ10によって構成させている。
【0020】
具体的には、図示の例にあっては、本体200に取り付けられる後述するベース3に形成された凸部30をバネ巻回部13に通し、かつ、この凸部30の止着溝30aにバネ巻回部13内に入り込ませるように折り曲げたバネ一端11を入れ込ませることによって、かかる本体200側にねじりコイルバネ10のバネ一端11側を止め付けさせている。
【0021】
そして、このバネ10によって、前記のように、第一位置CLにある可動体300に対し第二位置OPに向けた回動付勢力が作用されるようになっている。
【0022】
図示の例にあっては、本体200は、上面を開口201aさせた箱状の収納体201として構成されている。また、可動体300は、第一位置CLにおいてこの本体200の開口201aを塞ぐ略水平位置に前記ロック手段400によって位置づけられ、かつ、第二位置OPにおいて略鉛直に位置されてかかる開口201aを開放する板状の蓋体301として構成されている。
【0023】
より具体的には、図示の例にあっては、可動体300は本体200の一対の側板202、202間に納まる長さと、第一位置CLにおいて本体200の開口201aを塞ぐ幅とを持っており、第二位置OPにおいては、可動体300は本体200の開口201aからその上端を突き出させるようにして本体200の背板203の内面側に略鉛直になった状態で納められるようになっている。
【0024】
図示の例では、後述する支持ユニット101を構成するジョイント4のジョイントアーム40の自由端40aが可動体300に留め付けられており、このジョイントアーム40の基端はベース3内を回転しながら上下方向に亘って移動される転動体31の回転中心に接続された軸体41に固定されている。かかる転動体31の回転軸線は、本体200の側板202の板面に直交する向きに配されている。そして図示の例では、本体200の側板202に備え付けられた支持ユニット101によって、この本体200に可動体300が前記動作可能に組み付けられている。
【0025】
また、図示の例ではロック手段400は、可動体300の第一位置CLにおいて本体200の前板204の上端の上方に位置され、かつ、第二位置OPにおいて本体200の開口201aから突き出す上端となる箇所に、第一位置CLにおいて可動体300の下面から下方に突き出すように設けられたストライカ401と、
本体200の前板204の左右方向略中程の位置においてその上端部に形成されたラッチ装置402とから構成されている。
【0026】
そして、図示の例にあっては、かかるラッチ装置402をいわゆるプッシュ−プッシュ式のラッチ装置としている。すなわち、図示の例にあっては、第二位置OPにある可動体300を復動させ切ると(第一プッシュ)可動体300のストライカ401がラッチ装置402に入り込み掛合されると共に、(ロック状態)第一位置CLにある可動体300をストライカ401がラッチ装置402のさらに奥にやや入り込むように下方に向けて押圧操作すると(第二プッシュ)前記掛合が解かれるようにしてある。(ロック解除状態)
【0027】
そして、かかる動作機構100にあっては、前記ロック手段400によるロック解除により、前記回動付勢力によって所定位置まで可動体300が回動された後は第二位置OPに至るまでの間、接触部2が前記バネ10に蓄勢させる向きにバネ他端12を押圧するように、この接触部2の移動軌跡が設定されている。
【0028】
図示の例にあっては、後述するように、前記転動体31に接続された軸体41がかかる接触部2として機能するようになっている。
【0029】
これにより、この実施の形態にかかる動作機構100にあっては、ロック手段400によって第一位置CLに位置づけられている可動体300を、このロック解除により、前記バネ10の付勢によって第二位置OPまで強制的に回動(往動回動)させることができる。それと共に、前記所定位置まで可動体300が回動された後は第二位置OPに至るまでの間は、接触部2が前記バネ10に蓄勢させる向きにこのバネ10のバネ他端12を押圧することから、この間では可動体300の回動の勢いは減衰される。すなわち、かかる動作機構100によれば、可動体300の往動の最後において可動体300の往動の勢いをシンプルな構造をもって効果的に減ずることができる。これにより、可動体300の動きに高級感を付与できると共に、往動の最後において衝撃音などが生じたりしないようにすることができる。特に、可動体300が第一位置CLにおいて横向きで第二位置OPにおいて縦向きになるように動作される場合には、第二位置OPに近づくに連れて可動体300の自重が可動体300の往動の勢いを大きくするように作用することとなるが、かかる動作機構100によれば、この作用を効果的に打ち消すことが可能となる。
【0030】
また、この実施の形態にかかる動作機構100は、本体200側に備えられた案内面32aを仮想の円の円弧に沿って配するように構成されたガイド体32のこの案内面32aを回転走行すると共に、回転中心に備えられた軸体41を可動体300側に接続させた転動体31を有すると共に、
前記ねじりコイルバネ10のバネ他端12が、この転動体31の周面がガイド体32の案内面32aに常時押し付けられるようにこの転動体31を支持すると共に、転動体31がガイド体32の案内面32aの始端32b側にあるときこの転動体31を案内面32aの終端32c側に向けて走行させる向きの付勢力をこのバネ10に蓄勢させるように、転動体31の軸体41を接触部2としてこの軸体41に常時押し付けられるようになっている。
【0031】
図示の例にあっては、案内面32aは、後述するベース3内に形成された本体200の前板204側を湾曲外側とするように上下に延び、かつ、後方に向いた面となっている。転動体31は、このベース3内において案内面32aの後方からこの案内面32aに周面を接しさせるように配されると共に、ベース3に形成された後述する溝状の貫通孔33を通って本体200の側板の内方に入り込んだ軸体41をその回転中心に備えている。そして、図示の例にあっては、かかる溝状の貫通孔33の後方に配された凸部30にバネのバネ一端11側が止め付けられていると共に、このバネのバネ他端12が軸体41の中間部、つまり、軸体41における転動体31への接続端と後述するジョイントアーム40への接続端との間にある箇所に、常時押し当てられるようになっている。
【0032】
そして、図示の例では、可動体300が第一位置CLにあるとき、転動体31の上端が案内面32aの上端側(始端32b側)に押し付けられ、可動体300が第二位置OPにあるとき、転動体31の前端であってその下端側が案内面32aの下端側(終端32c側)に押し付けられるようになっている。
【0033】
これにより、この実施の形態にあっては、転動体31が案内面32aの始端32b側にあるときに可動体300が第一位置CLにあるようにしておくことにより、前記バネ10の付勢力によって回転しながら案内面32aの終端32c側に向けて移動される転動体31により、この回転と移動とが合成された動きをもって可動体300が第二位置OPに回動されるようにすることができる。
【0034】
図示の例にあっては、転動体31の軸体41は、案内面32aとの間に転動体31の半径分の距離を保った状態で、この案内面32aが円弧に沿って配される仮想の円と同心であるがこの仮想の円よりも半径を小さくする仮想の円の円弧に沿って移動されるようになっている。(軸体41、つまり、接触部2の移動軌跡)一方、バネ10のバネ他端12も可動体300の往動に伴って案内面32aの始端32b側から終端32c側に向けて移動されるが、軸体41は可動体300が前記所定位置(おおむね図8の位置)から第二位置OP(図10の位置)までの間にあるときには、それまでよりもバネ巻回部13側に近づいた位置で(図示の例ではそれまでよりも水平方向においてバネ巻回部13側に近づいた位置で)かかるバネ10のバネ他端12に接するようになっている。(図9、図10)これにより図示の例にあっては、前記所定位置から先では軸体41はバネ他端12に付勢により案内面32aの終端32c側に向けて押圧されながらバネ巻回部13に近づいた分だけバネ他端12を逆向きに押圧するようになっている。
【0035】
また、この実施の形態にあっては、本体200側に、軸体41を通す貫通孔33が形成されていると共に、この貫通孔33におけるガイド体32の案内面32aに向き合った孔内面がこの案内面32aの湾曲に倣って湾曲した軸体41の支承面33aとなっており、
しかも、この支承面33aと案内面32aとの間のピッチが転動体31の半径と略等しくなるようにしてある。
【0036】
具体的には、図示の例にあっては、後述するベース3に、軸体41の前記移動軌跡に沿った溝状をなす貫通孔33が形成されている。そして、この溝状の貫通孔33における両溝壁面のうち、ガイド体32の案内面32aに向き合った溝壁面が前記支承面33aとして機能するようになっている。
【0037】
これにより、この実施の形態にあっては、前記バネの付勢力により、転動体31の周面が案内面32aに押し付けられた状態を、安定的に維持できるようになっている。
【0038】
また、この実施の形態にあっては、ガイド体32の案内面32aがラック面32dとなっていると共に、転動体31がこのラック面32dに噛み合うピニオン体31aとして構成されている。
【0039】
これにより、この実施の形態にあっては、前記バネ10の付勢力により、転動体31を規則的に案内面32aに沿って回転走行させることができ、可動体300の往復動を規則的に行わさせることができる。
【0040】
また、この実施の形態にあっては、動作機構100が、前記転動体31に作用して可動体300の回動に制動を付与するダンパ装置5を備えている。
【0041】
図示の例にあっては、後述するベース3のケース34の開口34aを塞ぐカバー35にギア50とこのギア50の一部を回転可能に納めるケース51とを備えたダンパ装置5が取り付けられていると共に、転動体31におけるこのカバー35側に向けられた端面の回転中心部にダンパ装置5のギア50と噛み合うギア部31bが形成されている。ダンパ装置5を構成するケース51内にはシリコンオイルなどの粘性流体が封入されており、この粘性流体によってギア50の回転に常時制動を付与するようにしている。
【0042】
これにより、この実施の形態にあっては、前記バネによる可動体300の回動に常時一定の制動を付与させるようにしている。
【0043】
また、この実施の形態にあっては、以上に説明した動作機構100を、ベース3とジョイント4とからなる支持ユニット101としてユニット化させており、本体200にこの支持ユニット101のベース3を取り付け、かつ、可動体300にこの支持ユニット101のジョイント4を取り付けることにより、可動体300を本体200に対し前記のように動作するように組み合わせている。
【0044】
図示の例ではベース3は、ケース34とカバー35とから構成されている。ケース34は略方形の底板34bと、この底板34bの四辺からこの底板34bを囲うように立ち上がった側板34cとを備えており、側板34cの立ち上がり端側を開口34aとしている。カバー35は、ケース34の開口34aを塞ぐようにこのケース34に取り付けられるようになっている。具体的には、カバー35の辺部に設けられた掛合窓35bを持った弾性片35aのこの掛合窓35bに、ケース34の側板34cの外面に形成された掛合突起34dを掛合させるように、ケース34にカバー35を取り付けることで、ベース3が構成されている。このカバー35には、前記ダンパ装置5の取り付け穴35cが設けられており、この取り付け穴35cに前記ギア50の側をベース3内に配するようにしてダンパ装置5が嵌め付けられるようになっている。また、図示の例では、ケース34の上部と下部とにそれぞれ外方に張り出す取り付け片34eが形成されており、ベース3は本体200の側板202に形成された方形穴202aにこの取り付け片34eがこの側板202の外面に接する位置までその底板34b側を入れ込まれた状態で、この取り付け片34eをもって本体200の側板にネジにより固定されている。
【0045】
かかるベース3には、案内面32aを仮想の円の円弧に沿って配するように構成されたガイド体32と、
このガイド体32の案内面32aを回転走行する転動体31と、
転動体31の周面がガイド体32の案内面32aに常時押し付けられるようにこの転動体31を支持すると共に、転動体31がガイド体32の案内面32aの始端32b側にあるときこの転動体31を案内面32aの終端32c側に向けて走行させる向きの付勢力を蓄勢する付勢手段1とが備えられている。
【0046】
図示の例にあっては、案内面32aは、ベース3におけるケース34の底板34bの内面部に形成された、円弧状のリブによって構成されている。このリブは、リブ上端を底板34bの上辺の中程に位置させ、かつ、リブ下端を底板34bの下辺の中程に位置させると共に、リブ中間部の湾曲外側を底板34bの前辺(本体200の前板204側に向けられた底板34bの縦方向にある辺)の中程に位置させるように形成されている。そして、このリブにおける底板34bの後辺(本体200の背板203側に向けられた底板34bの縦方向にある辺)側に向けられた面が前記案内面32aとして機能するようになっている。
【0047】
かかるケース34の底板34bにおける案内面32aの湾曲内側に、この案内面32aの湾曲に倣った湾曲を持って上下に延びる溝状の貫通孔33が形成されている。転動体31は、ケース34内にあって、軸体41をこの溝状貫通孔33に通した状態で、その周面を案内面32aに接しさせている。
【0048】
付勢手段1となる前記ねじりコイルバネ10は、ケース34の底板34bにおける下辺と後辺とのコーナーに形成された凸部30によってケース34に固定されている。
【0049】
一方、ジョイント4は、図示の例では、ベース3の転動体31の回転中心に接続された軸体41と、ジョイントアーム40とから構成されている。
【0050】
ジョイントアーム40は、アーム自由端40aに可動体300への留め付け部40bを備え、アーム基端に軸体41が固定される板状体として構成されており、ベース3におけるケース34の底板34bの外面にその板面の一方を近接させるようにして配されている。
【0051】
図示の例では、このジョイントアーム40の留め付け部40bは、
可動体300に形成された一対の長穴303、303にそれぞれ入り込み可能な頭部40dと首部40eとを備えた一対のL字状片40c、40cと、
この一対のL字状片40c、40cの間に、可動体300におけるこの一対の長穴303、303間に形成された掛合穴302に、この一対の長穴303、303に対応するL字状片40cをそれぞれ入れ込ませた状態から長穴303の延長方向に向けてジョイントアーム40を移動又は相対的に移動させることにより入り込み掛合する掛合凸部40fとから構成されている。
【0052】
これにより、この実施の形態にあっては、かかる支持ユニット101を構成するベース3を本体200側に取り付け、かつ、ジョイント4を可動体300側に取り付けることにより、回転しながら案内面32aに沿って走行移動される転動体31によって、この回転と移動とが合成された動きをもって可動体300が回動されるように、可動体300を本体200に容易に組み付けさせることができる。また、案内面32aの始端32b側に位置されている転動体31に対する付勢手段1の付勢力の作用により、可動体300の往動が強制的になされるように、可動体300を本体200に組み付けさせることができる。
【0053】
以上に説明した動作機構100を、この動作機構100における可動体300を、自動車の車室内に設置される本体200としての収納体201の開口を第一位置CLにおいて塞ぐ蓋体301とするようにして自動車用収納装置500を構成させた場合、蓋体301の往動の最後、つまり、開き出しの最終段階において蓋体301の往動の勢いをシンプルな構造をもって効果的に減ずることができる。これにより、蓋体301の動きに高級感を付与できると共に、往動の最後において衝撃音などが生じたりしないようにすることができる。
【0054】
図示の例では、本体200の一対の側板202、202にそれぞれ支持ユニット101を取り付けて、これにより、蓋体301が本体200の左右それぞれにおいて支持ユニット101を介して安定的に支持されるようになっている。このようにした場合、一対の支持ユニット101、101の一方においては、前記バネ10およびダンパ装置5を省略しておくこともできる。
【0055】
蓋体301の長さ方向略中程の位置において本体200に対して蓋体301を支持させるようにする場合には、一つの支持ユニット101により蓋体301を前記のような回動可能に本体200に取り付けさせることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】動作機構100(支持ユニット101)の適用例を示した分離斜視構成図
【図2】支持ユニット101の分解斜視構成図
【図3】可動体300が第一位置CLにあるときの側面構成図
【図4】可動体300が第二位置OPにあるときの側面構成図
【図5】支持ユニット101の内部構成図(可動体300第一位置CL)
【図6】支持ユニット101の内部構成図
【図7】支持ユニット101の内部構成図
【図8】支持ユニット101の内部構成図
【図9】支持ユニット101の内部構成図
【図10】支持ユニット101の内部構成図(可動体300第二位置OP)
【符号の説明】
【0057】
1 付勢手段
3 ベース
31 転動体
32 ガイド体
32a 案内面
32b 始端
32c 終端
4 ジョイント
41 軸体
101 支持ユニット
200 本体
300 可動体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体側に取り付けられるベースと、可動体側に取り付けられるジョイントとからなり、この本体に対し可動体を回動可能に組み付けるために用いられる支持ユニットであって、
ベースは、
案内面を仮想の円の円弧に沿って配するように構成されたガイド体と、
このガイド体の案内面を回転走行する転動体と、
転動体の周面がガイド体の案内面に常時押し付けられるようにこの転動体を支持すると共に、転動体がガイド体の案内面の始端側にあるときこの転動体を案内面の終端側に向けて走行させる向きの付勢力を蓄勢する付勢手段とを備えており、
ジョイントは、ベースの転動体の回転中心に接続される軸体を少なくとも備えていることを特徴とする可動体の支持ユニット。
【請求項2】
ガイド体の案内面がラック面となっていると共に、転動体がこのラック面に噛み合うピニオン体として構成されていることを特徴とする請求項1記載の可動体の支持ユニット。
【請求項3】
ベースに、転動体に作用して可動体の回動に制動を付与するダンパ装置を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の可動体の支持ユニット。
【請求項4】
付勢手段が、ベースにバネ一端を固定させ、かつ、転動体の軸体にバネ他端を常時押し付けるねじりコイルバネであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の可動体の支持ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−328789(P2006−328789A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−153615(P2005−153615)
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】