説明

支持体上に導電性の表面を製造する方法

導電性の、構造化された、又はほぼ平坦な表面を支持体上に製造する方法であって、第1工程で、マトリックス材料中に導電性の粒子を含む分散物を使用して、構造化された又はほぼ平坦な基礎層を支持体上に施し、第2工程で、マトリックスを少なくとも部分的に硬化及び/又は乾燥させ、第3工程で、マトリックスを少なくとも部分的にブレークすることによって導電性の粒子を露出させ、そして第4工程で、無電解及び/又は電解被覆によって、構造化された又はほぼ平坦な基礎層上に金属層を形成することを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体に導電性(電気的に導電性)の構造化された表面又はほぼ平坦な表面を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に従う方法は、例えば、印刷回路基板に導体路を製造するため、RFIDアンテナ、トランスポンダーアンテナ、又は他のアンテナ構造物、マイクロチップ付きカードモジュール、フラットケーブル、シートヒーター、ホイルコンダクターを製造するため、太陽電池又はLCD/プラズマディスプレースクリーンに導体路を製造するため、又は電解で被覆された製品を任意の状態で製造するために適切である。更に本発明は、例えば、電磁気の放射を遮蔽するために、熱伝導のために使用されるか、又は包装として使用される製品に装飾表面又は機能表面を製造するためにも適切である。最後に、薄い金属ホイル又は一面又は二面が金属で被覆されたポリマー支持体も、本方法で製造することができる。
【0003】
現在、構造化された層は、例えば、最初に支持体本体に構造化された結合層を施すことによって支持体に製造される。金属ホイル又は金属粉がこの構造化された結合層上に固定される。この替わりに、金属ホイル又は金属層を、プラスチック材料でできた支持体本体に広範囲の表面に施し、構造化された加熱スタンプを使用してこれを支持体に対してプレスし、そして次にこれを硬化(cure)させることによってこれを固定することも公知である。金属層は、金属ホイル又は金属粉の、結合層又は支持体本体と結合していない領域を機械的に除去することによって構造化される。このような方法は、例えば特許文献1(DE−A10145749)に記載されている。
【0004】
支持体上に導電体構造を製造する更なる方法が、特許文献2(WO−A2004/049771)から知られている。この場合、最初に支持体の表面が、導電性粒子で少なくとも部分的に被覆される。次に、導電性粒子によって形成された粒子層に、不動態化層が施される。不動態化層は、導電性構造のネガティブイメージとして形成される。最後に、不動態層で被覆されていない領域に、導電性構造が形成される。この導電性構造は、例えば無電解及び/又は電解による被覆によって作用する。
【0005】
従来技術から公知のこれら方法の不利な点は、各場合において最初に、支持体が金属ホイル又は導電性の粉で、表面を広範囲にわたって被覆する必要があることである。このことは、大量の材料を必要とすることとなり、そして次に金属を再度除去するため、又は導電性の構造物の形成が意図されている領域だけを更に被覆するため、複雑(煩雑)な方法を必要とする。
【0006】
特許文献3(DE−A1490061)は、印刷回路を製造するための方法に関するもので、この方法では最初に粘着剤が、導体路(conductor track)の形状で支持体上に施される。粘着剤は、例えばスクリーン印刷によって施される。次に金属粉が粘着剤の上に施される。次に余分な金属粉、すなわち粘着層と結合しなかった金属粉が再度除去される。この後、導電性の導電路が電解的な被覆によって製造される。
【0007】
ベース支持体構造物に導電性粒子を予め設け、そして導電性の表面の形成が意図されていないベース支持体の部分を、印刷法によって不動態化する方法が、例えば特許文献4(DE−A10247746)によって公知である。この文献によれば、不動態化されなかった表面部分が、不動態化の後、例えば電解による被覆(electrolytic coating)によって活性化される。
【0008】
特許文献5(WO83/02538)には、支持体上に導電性の路(track)を形成する方法が開示されている。この目的のために、金属粉とポリマーの混合物が、導電性の路の形状で、支持体上に最初に施される。次にポリマーが硬化される。次の段階では、電気化学的な方法によって、金属粉の一部が、より貴(nobler)な金属で置き換えられる。次に、追加的な金属層が電解により施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】DE−A10145749
【特許文献2】WO−A2004/049771
【特許文献3】DE−A1490061
【特許文献4】DE−A10247746
【特許文献5】WO83/02538
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この方法の不利な点は、導電性の粒子の上に酸化層が形成し得ることである。この酸化層は、抵抗を増加させる。電解による被覆を可能とするために、最初に酸化層を除去する必要がある。
【0011】
従来技術から公知の方法の更なる不利な点は、無電解又は電解での金属化によって施された金属層の結合が劣ること、及び均一性と連続性に欠如があることである。このことの大半は、導電性の粒子が、マトリックス材料中に組み込まれ、そして従って少しの範囲でしか表面上に露出されず、このためにこれら粒子の少しの割合しか、無電解又は電解による金属化に利用できないという事項に起因する。主として非常に小さい粒子(ミクロ又はナノメートルの範囲)を使用する場合、このことは問題が多いものとなる。従って、均一で連続した金属被覆は、非常に困難であるか又は不可能であり、従って、信頼のある方法は存在しない。この作用は、導電性の粒子上に酸化層が存在することによって更に悪化する。
【0012】
従来から公知の方法の他の不利な点は、無電解又は電解での金属化が遅いことである。導電性の粒子がマトリックス材料中に組込まれた場合、(無電解又は電解での金属化のための成長核(growth nuclei)として利用できる)表面上に露出した粒子の数は少ない。この理由は、特に、印刷分散の供給の間、例えば重い金属粒子がマトリックス材料中に沈み、従って、僅かな粒子しか表面に残らないからである。
【0013】
本発明は、導電性の、構造化された表面又はほぼ平坦な表面(これらの表面は、均一で及び連続的に導電性である。)を支持体上に製造可能な替わりになる方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、支持体(support)上に、導電性の構造化された表面又はほぼ平坦な表面(full-area surface)を製造する方法であって、以下の工程、
a)マトリックス材料中に導電性の粒子を含む分散物を使用して、構造化された基礎層、又はほぼ平坦な基礎層を支持体上に施す工程、
b)マトリックス材料を、少なくとも部分的に硬化、及び/又は乾燥させる工程、
c)硬化または乾燥したマトリックスを少なくとも部分的に壊す(break)ことにより、導電性の粒子を、基礎層の表面上に、少なくとも部分的に露出させる工程、
d)無電解及び/又は電解での被覆により、構造化された基礎層又はほぼ平坦な基礎層上に金属層を形成する工程、
を含むことを特徴とする方法によって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
例えば硬質(rigid)又は柔軟(flexible)な支持体(support)が、導電性の構造化された表面又はほぼ平坦な表面を施すことができる支持体として適切である。この支持体は、電気的に非導電性であることが好ましい。このこと(非導電性であること)は、抵抗が109オーム×cm以上であることを意味する。適切な支持体は、例えば、印刷回路基板に通常使用されているもののような強化ポリマー又は非強化ポリマーである。適切なポリマーは、エポキシ樹脂、又は変性エポキシ樹脂、例えば二官能性の、又は多官能性のビスフェノールA又はビスフェノールF樹脂、エポキシ−ノボラック樹脂、臭素化エポキシ樹脂、アラミド−強化又はガラスファイバー−強化又はペーパー−強化エポキシ樹脂(例えばFR4)、ガラスファイバー−強化プラスチック、液晶ポリマー(LCP)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリイミド樹脂、シアネートエステル、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、ナイロン、ビニルエステル樹脂、ポリエステル、ポリエステル樹脂、ポリアミド、ポリアニリン、フェノール樹脂、ポリピロール、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンジオキシチオフェン、フェノール樹脂被覆アラミドペーパー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、メラミン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、アリル化ポリフェニレンエーテル(APPE)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリールアミド(PAA)、ポリビニルクロリド(PVC)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、アクリロニトリル−スチレンアクリレート(ASA)、スチレンアクリロニトリル(SAN)及び上述したポリマーの2種以上の混合物(ブレンド)で、これらのものは、種々の形態で存在して良い。基材(substrate)は、この技術分野の当業者にとって公知の添加剤、例えば難燃剤を含んでも良い。
【0016】
マトリックス材料について、原則として、以下に記載したポリマーの全てを使用しても良い。印刷回路工業では同様に通常の他の基材も適切である。
【0017】
複合材料、フォーム状ポリマー、Styropor(登録商標)、Styrodur(登録商標)、ポリウレタン(PU)、セラミック表面、テキスタイル、パルプ、ボード、ペーパー、ポリマー被覆ペーパー、ウッド、無機材料(鉱物材料)、シリコン、ガラス、植物組織及び動物組織が、更に適切な基材である。
【0018】
基材は硬質又は柔軟なものであって良い。
【0019】
第1工程では、マトリックス材料内に導電性の粒子を含んでいる分散物を使用して、構造化された基礎層又はほぼ平坦な基礎層が支持体の上に施される。この導電性の粒子は、任意のジオメトリー(幾何学形状)を有する粒子で良く、そして、導電性の材料、導電性の異なる材料の混合物又は他に導電性と非導電性の材料の混合物であって良い。導電性の適切な材料は、例えば、カーボンで、例えば、カーボンブラック、グラファイト、又はカーボンナノチューブの状態のものも、導電性の金属錯体、導電性有機化合物、又は導電性ポリマー又は金属、例えば亜鉛、ニッケル、銅、スズ、コバルト、マンガン、鉄、マグネシウム、鉛、クロム、ビスマス、銀、金、アルミニウム、チタン、パラジウム、白金、タンタル、及びこれらの合金、又はこれら金属の少なくとも1種を含む金属混合物である。適切な合金は、例えばCuZn、CuSn、CuNi、SnPb、SnBi、SnCo、NiPb、ZnFe、ZnNi、ZnCo、及びZnMnである。アルミニウム、鉄、銅、ニッケル、亜鉛、炭素及びこれらの混合物が特に好ましい。
【0020】
導電性の粒子は、直径が、0.001〜100μm、好ましくは0.005〜50μm、及び特に好ましくは0.01〜10μmである。平均粒子径は、レーザー回折測定、例えばMicrotrac X100装置を使用して測定して良い。粒子径の分布は、その製造方法に依存する。直径分布は、代表例では、最高点(頂部)を1箇所にのみ含むが、最高点が複数箇所にあっても良い。
【0021】
導電性の粒子の表面は、少なくとも部分的に被覆が施されていても良い。適切な被覆は、無機(例えば、SiO2、ホスフェイト)又は天然の有機のものである。導電性の粒子は、金属又は酸化金属で被覆されても良い。金属は、部分的に酸化された状態で存在しても良い。
【0022】
2種以上の金属が導電性の粒子を形成することが意図されている場合、このことは、これら金属の混合物を使用して行なって良い。金属を、アルミニウム、鉄、銅、ニッケル及び亜鉛から成る群から選択することが好ましい。
【0023】
導電性の粒子は、第1と第2の金属を含んで良く、この場合、第2の金属は、(第1の金属又は1種以上の他の金属との)合金の状態で存在して良く、又は導電性の粒子が、2種類の異なる合金を含んでいても良い。
【0024】
導電性の粒子の選択に加え、導電性の粒子の形状は、被覆の後に、分散物の特性に影響を及ぼすものであっても良い。形状に関し、この技術分野の当業者にとって公知の種々の変形例が可能である。導電性の粒子の形状は、例えば、針形状、シリンダー形状、板形状、又は球状であって良い。これらの粒子形状は、理想化された状態で表しており、実際の形状は、(製造のために)多かれ少なかれこれらの形状と異なっていても良い。例えば、本発明の範囲では、涙形状粒子は、理想化された球形状の実際上の変形に該当する。
【0025】
種々の形状を有する導電性の粒子が市販されている。
【0026】
導電性の粒子の混合物を使用した場合、混合する個々の相手は、異なる粒子形状及び/又は粒子径を有していても良い。粒子径及び/又は粒子形状が異なる、1種類のみの導電性の粒子の混合物を使用することも可能である。粒子形状及び/又は粒子径が異なる場合、金属は同様に、アルミニウム、鉄、銅、ニッケル及び亜鉛がカーボンと同様に好ましい。上述のように、導電性の粒子は、分散物をその粉末の状態で分散物に加えても良い。このような粉末、例えば金属粉は、市販されている商品であるか、又は公知の方法で容易に製造可能であり、公知の方法は、例えば、電解による析出(沈殿:deposition)又は金属塩の溶液の化学的還元、又は例えば水素による酸化粉の還元、溶融金属の特に冷却剤、例えばガス又は水への噴射又はアトマイジングである。ガス及び水のアトマイズ化(噴霧化)及び酸化金属の還元が好ましい。粗い金属粉を破砕することによって、好ましい粒子径を有する金属粉を製造しても良い。このためには、例えばボールミルが適切である。
【0027】
ガスと水のアトマイズ化の他に、鉄の場合には、カルボニル−鉄粉を製造するためのカルボニル−鉄粉法も好ましい。この方法は、鉄ペンタカルボニルの熱分解によって行われる。この熱分解は、例えば、Ullman’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th Edition,Vol.A14,p.599に記載されている。鉄ペンタカルボニルの熱分解は、例えば、加熱槽、加熱ワイヤー又は熱媒体が流れる加熱ジャケット加熱装置によって囲まれた、好ましい垂直位置に石英ガラス又はV2Aスチール等の耐火材料のチューブを含む加熱可能な分解器内で、例えば、昇温させて、及び昇圧して行って良い。
【0028】
プレートレット形状の導電性の粒子は、条件の最適化によって製造工程中に制御することができ、又は機械的処理、例えば攪拌ボールミル内での処理によって、後に得ることができる。
【0029】
乾燥した被覆物の合計質量で表して、導電性の粒子の割合は、20〜98質量%の範囲内であることが好ましい。導電性の粒子の割合の好ましい範囲は、乾燥した被覆物の合計質量で表して、30〜95質量%である。
【0030】
例えば、顔料−結合アンカー基(pigment-affine anchor group)、天然及び合成ポリマー及びこれらの誘導体、天然樹脂及び合成樹脂及びこれらの誘導体、天然ゴム、合成ゴム、プロテイン、セルロース誘導体、乾燥及び非乾燥オイル等がマトリックス材料として適切である。これらは、化学的又は物理的に硬化可能であり、例えば空気硬化、放射硬化又は温度硬化が可能であるが、しかしこのような硬化法が必要であるわけではない。
【0031】
マトリックス材料は、ポリマー又はポリマーブレンドであることが好ましい。
【0032】
マトリックス材料として好ましいポリマーは、例えば、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン);ASA(アクリロニトリル−スチレン アクリレート);アルキド樹脂;アルキルビニルアセテート;アルキルビニルアセテートコポリマー、特にメチレンビニルアセテート、エチレンビニルアセテート、ブチレンビニルアセテート;アルキレンビニルクロリドコポリマー;アミノ樹脂;アルデヒド及びケトン樹脂;セルロース及びセルロース誘導体、特にヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエステル、例えばアセテート、プロピオネート、ブチレート、カルボキシアルキルセルロース、セルロースニトレート;エポキシアクリレート;エポキシ樹脂;変性(改質)エポキシ樹脂、例えば二官能性又は多官能性ビスフェボールA又はビスフェノールF樹脂、エポキシ−ノボラック樹脂、臭素化エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエーテル、ビニルエーテル、エチレン−アクリル酸コポリマー;炭化水素樹脂;MABS(アクリレート単位をも含む透明ABS);メラミン樹脂、無水マレイン酸コポリマー;メタクリレート;天然ゴム;合成ゴム;塩素ゴム;天然ゴム;コロフォニー樹脂;セラック;フェノール樹脂;ポリエステル;ポリエステル樹脂、例えばフェニルエステル樹脂;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリアミド;ポリイミド;ポリアニリン;ポリピロール;ポリブチレンテレフタレート(PBT);ポリカーボネイト(例えば、Bayer AGからのMakrolon(登録商標));ポリエステルアクリレート;ポリエーテルアクリレート;ポリエチレン;ポリエチレンチオフェン;ポリエチレンナフタレート;ポリエチレンテレフタレート(PET);ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG);ポリプロピレン;ポリメチルメタクリレート(PMMA);ポリフェニレンオキシド(PPO);ポリスチレン(PS);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);ポリテトラヒドロフラン;ポリエーテル(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール);ポリビニル化合物、特にポリビニルクロリド(PCV)、PCVコポリマー、PVdC、ポリビニルアセテート及びこれらのコポリマー、任意に部分的に加水分解したポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリビニルアクリレート及びメタクリレートで溶液中及び分散物としてのもの、及びこれらのコポリマー、ポリアクリレート及びポリスチレンコポリマー;ポリスチレン(耐衝撃性変性又は耐衝撃非変性);ポリウレタン、イソシアネートで非架橋又は架橋したもの;ポリウレタンアクリレート;スチレンアクリルコポリマー;スチレンブタジエンブロックコポリマー(例えば、BASF AGからのStyroflex(登録商標)又はStyrolux(登録商標)、CPCからのK−ResinTM);プロテイン、例えばカゼイン;SIS;トリアジン樹脂、ビスマーレイミドトリアジン樹脂(BT)、シアネートエステル樹脂(CE)、アリル化ポリフェニレンエーテル(APPE)である。2種以上のポリマーがマトリックス材料を形成しても良い。
【0033】
マトリックス材料として特に好ましいポリマーは、アクリレート、アクリル樹脂、セルロース誘導体、メタクリレート、メタクリル樹脂、メラミン及びアミノ樹脂、ポリアルキレン、ポリイミド、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、例えば二官能性又は多官能性ビスフェノールA又はビスフェノールF樹脂、エポキシノボラック樹脂、臭素化エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂;脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエーテル、ビニルエーテル及びフェノール樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリビニルアセタール、ポリビニルアセテート、ポリスチレン、ポリスチレンコポリマー、ポリスチレンアクリレート、スチレンブタジエンブロックコポリマー、アルケニルビニルアセテート及びビニルクロリドコポリマー、ポリアミド及びこれらのコポリマーである。
【0034】
印刷回路基板の製造における分散物のためのマトリックス材料として、熱硬化性又は放射硬化性樹脂、例えば変性エポキシ樹脂、例えば二官能性又は多官能性ビスフェノールA又はビスフェノールF樹脂、エポキシ−ノボラック樹脂、臭素化エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂;脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエーテル、シアネートエステル、ビニルエーテル、フェノール樹脂、ポリイミド、メラミン樹脂及びアミノ樹脂、ポリウレタン、ポリエステル及びセルロース誘導体を使用することが好ましい。
【0035】
乾燥被覆の合計量で表して、有機バインダー成分は、0.01〜60質量%であることが好ましい。この割合は、0.1〜45質量%が好ましく、0.5〜35質量%がより好ましい。
【0036】
導電性の粒子とマトリックス材料を含む分散物を支持体に施すことを可能にするために、溶媒又は溶媒混合物を、分散物の粘度を適切に調整するために(粘度は、対応する塗布方法にとって適切なものである)更に加えても良い。適切な溶媒は、例えば、脂肪族及び芳香族炭化水素(例えば、n−オクタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、アミルアルコール)、多価アルコール、例えばグリエセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、アルキルエステル(例えば、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、イソプロピルアセテート、3−メチルブタノール)、アルコキシアルコール(例えば、メトキシプロパノール、メトキシブタノール、エトキシプロパノール)、アルキルベンゼン(例えば、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン)、ブチルグリコール、ジブチルグリコール、アルキルグリコールアセテート(例えば、ブチルグリコールアセテート、ジブチルグリコールアセテート)、ジアセトンアルコール、ジグリコールジアルキルエーテル、ジグリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジグリコールアルキルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジオキサン、ジプロピレングリコール及びエーテル、ジエチレングリコール及びエーテル、DBE(二塩基エステル)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン)、エチレンクロリド、エチレングリコール、エチレングリコールアセテート、エチレングリコールジメチルエステル、クレゾール、ラクトン(例えば、ブチロラクトン)、ケトン(例えば、アセトン、2−ブタノン、シクロヘキサンノン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK))、ジメチルグリコール、メチレンクロリド、メチレングリコール、メチレングリコールアセテート、メチルフェノール(オルト−、メタ−、パラ−クレゾール)、ピロリドン(例えば、N−メチル−2−ピロリドン)、プロピレングリコール、プロピレンカーボネイト、カーボンテトラクロリド、トルエン、トリメチロールプロパン(TMP)、芳香族炭化水素及び混合物、脂肪族炭化水素及び混合物、アルコールモノテルペン(例えばテルピネオール)、水及びこれら溶媒の2種以上の混合物である。
【0037】
好ましい溶媒は、アルコール(例えば、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール)、アルコキシアルコール(例えば、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、ブチルグリコール、ジブチルグリコール)、ブチロラクトン、ジグリコールジアルキルエーテル、ジグリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、エステル(例えば、エチルアセテート、ブチルアセテート、ブチルグリコールアセテート、ジブチルグリコールアセテート、ジグリコールアルキルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、DBE)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン)、多価アルコール、例えば、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン)、炭化水素(例えば、シクロヘキサン、エチルベンゼン、トルエン、キシレン)、N−メチル−2−ピロリドン、水及びこれらの混合物である。
【0038】
インクジェット法を使用して、分散物を支持体に施す場合、アルコキシアルコール(例えば、エトキシプロパノール、ブチルグリコール、ジブチルグリコール)及びグリセロール等のアルコール、エステル(例えば、ジブチルグリコールアセテート、ブチルグリコールアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート)、水、シクロヘキサノン、ブチロラクトン、N−メチル−ピロリドン、DBE及びこれらの混合物が特に好ましい。
【0039】
液体マトリックス材料(例えば、液体エポキシ樹脂、アクリルエステル)の場合、対応する粘度を、替わりとして、塗布(分散物を施すこと)の間の温度又は溶媒と温度の組合せで調節しても良い。
【0040】
分散物は更に、分散剤成分を含んでも良い。これは、1種以上の分散物でなるものである。
【0041】
原則として、この技術分野の当業者に公知の全ての、分散物に使用するための分散剤、及び従来技術文献に記載された全ての分散剤が適切である。好ましい分散剤は、界面活性剤又は界面活性剤混合物、例えば、アニオン性、カチオン性、両性又は非イオン性界面活性剤である。
【0042】
カチオン性及びアニオン性界面活性剤は、例えば“Encyclopedia of Polymer Science and Technology”,J.Wiley&Sons(1966),Vol.5,pp.816−818、及び“Emulsion Polymerisation and Emulsion Polymers”,ed.P.Lovell and M.El−Asser,Wiley&Sona(1997),pp.224−226に記載されている。
【0043】
界面活性剤の例は、鎖の長さが8〜30C原子、好ましくは、12〜18C原子の有機カルボン酸のアルカリ金属塩である。これらは通常、石鹸と称される。通常、これらは、ナトリウム、カリウム又はアンモニウム塩として使用される。8〜30C原子、好ましくは12〜18C原子を有するアルキルサルフェート及びアルキル又はアルキルアリールフルホネートを、アニオン性界面活性剤として使用することも可能である。特に好ましい化合物は、アルカリ金属ドデシルサルフェート、例えばナトリウムドデシルサルフェート、又はカリウムドデシルサルフェート、及びC12−C16パラフィンスルホン酸のアルカリ金属塩である。ナトリウムドデシルベンゼンサルフェート及びナトリウムドデシルスルホンスシネートが、更に適切である。
【0044】
適切なカチオン性界面活性剤の例は、アミン又はジアミンの塩、四級アンモニウム塩、例えば、ヘキサデシルアンモニウムブロミド、及びピリジン、モルホリン、ピペリジン等の長鎖置換環式アミンの塩である。使用するトリアルキルアミンの四級アンモニウム塩は、特に、例えばヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドである。その中のアルキル残基は、1〜20C原子を含むことが好ましい。
【0045】
特に、本発明に従う分散物成分として、非イオン性界面活性剤を使用して良い。非イオン性界面活性剤は、例えばRompp Chemie Lexikon CD−Version 1.0,Stuttgart/New York:Georg Thieme Verlag 1995,keyword “Nichtionische Tenside”[Non−ionic surfactants]に記載されている。
【0046】
適切な非イオン性界面活性剤は、例えば、BASF AktiengesellschaftからのPluronic(登録商標)又はTetronic(登録商標)等のポリウレタンオキシド−又はポリプロピレン−ベースの物質である。
【0047】
非イオン性界面活性剤等のポリアルキレングリコールは、数平均分子量Mnが、通常1000〜15000g/mol、好ましくは、2000〜13000g/mol、特に好ましくは4000〜11000g/molの範囲である。ポリウレタングリコールが、好ましい非イオン性界面活性剤である。
【0048】
ポリウレタングリコールは、それ自体公知であり、又それ自体公知の方法で製造可能である。上記公知の方法は、例えば、触媒として、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメチラート、ナトリウム又はカリウムエチラート又はカリウムイソプロピラート等のアルカリ金属アルコラートを使用し、及び2〜8個、好ましくは2〜6個の結合した反応性水素を含んでいる少なくとも1種の開始分子を加えたアニオン性重合、又は触媒としてルイス酸、例えばアンチモンペンタクロリド、フッ化ホウ素エテレート、又は活性化クレイを使用し、アルキレン残基内に2〜4個の炭素を有する1種以上のアルキレンオキシドからカチオン重合させることである。
【0049】
適切なアルキレンオキシドは、例えば、テトラヒドロフラン、1,2−又は2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシド及び好ましくはエチレンオキシド及び/又は1,2−プロピレンオキシドである。アルキレンオキシドは、個々に、次々に連続して、又は混合物として使用して良い。適切な開始分子(starter molecule)は、例えば:水、有機ジカルボン酸、例えばコハク酸、アジピン酸、フタル酸又はテレフタル酸、脂肪族又は芳香族の任意にN−モノ−、又はN,N−又はN,N−ジアルキル置換された(アルキル残基に1〜4個の炭素原子を有する)ジアミン、例えば、任意にモノ−及びジアルキル置換したエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,3−又は1,4−ブチレンジアミン、1,2−、1,3−、1,4−1,5−又は1,6−ヘキサメチレンジアミンである。
【0050】
適切な更なる開始分子は:アルカノールアミン、例えば、エタノールアミン、N−メチル、及びN−エチルエタノールアミン、ジアルカノールアミン、例えば、ジエタノールアミン、N−メチル及びN−エチルジエタノールアミン、及びトリアルカノールアミン、例えば、トリエタノールアミン及びアンモニアである。多価、特に2価、3価又はそれ以上の価のアルコール、例えばエタンジオール、1,2−及び1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタコバルト華及びサッカロース及びソルビトールを使用することが好ましい。
【0051】
同様に、分散剤成分のために適切なものは、エステル化ポリアルキレングリコール、例えば上述したポリアルキレングリコールの、モノ−、ジ−、トリ−又はポリエステルであり、これは、上述したポリアルキレングリコールのOH末端基を有機酸、好ましくはアジピン酸又はテレフタル酸とそれ自体公知の方法で反応させて製造することができる。
【0052】
非イオン性界面活性剤は、活性水素原子を有する化合物をアルコキシル化することによって製造される物質で、例えば、脂肪アルコール、オキソアルコール、又はアルキルフェノールにおけるアルキレンオキシドの付加生成物である。例えば、エチレンオキシド又は1,2−プロピレンオキシドを、アルコキシル化のために使用して良い。
【0053】
他の可能な非イオン性界面活性剤は、アルコキシル化又は非アルコキシル化シュガーエステル又はシュガーエーテルである。
【0054】
シュガーエーテルは、脂肪アルコールをシュガーと反応させて得られるアルキルグリコシド(配糖体)である。上記物質を製造するのに必要なシュガー、脂肪アルコール及び脂肪酸は、この技術分野の当業者にとって公知である。
【0055】
適切なシュガーは、例えば、Beyer/Walter,Lehrbuch der organischen Chemie[Textbook of organic chemistry],S.Hirzel Verlag Stuttgart, 19th edition,1981,pp 392〜425に記載されている。可能なシュガーは、D−ソルバイト及びD−ソルバイトを脱水素化して得られるソルビタンである。
【0056】
適切な脂肪酸は、6〜26個のC原子、好ましくは8〜22個のC原子、特に好ましくは10〜20個のC原子を有する、飽和又は1重以上に不飽和した、非分枝又は分枝カルボン酸で、例えば、Rompp Chemie Lexikon CD,Version1.0,Stuttgart/New York:Georg Thieme Verlag 1995,keyword “Fettsauren”[Fatty acids]に記載されたものである。記載して良い脂肪酸は、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びオレイン酸である。
【0057】
適切な脂肪アルコールは、適切な脂肪酸として記載した化合物と同様のカーボンバックグランドを有している。
【0058】
シュガーエーテル、シュガーエステル及びこれらの製造方法は、この技術分野の当業者にとって公知である。好ましいシュガーエーテルは、上記シュガーを上記脂アルコールと反応させることにより、公知の方法で製造される。好ましいシュガーエステルは、上記シュガーを上記脂肪酸と反応させることにより製造される。適切なシュガーエステルは、ソルビタンの脂肪酸との、モノ、ジ−、及びトリエステルであり、特にソルビタンモノラウレート、ソルビタンジラウレート、ソルビタントリラウレート、ソルビタンモノオレート(ソルビタンモノオレイン酸塩)、ソルビタンジオレート、ソルビタントリオレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンジパルミテート、ソルビタントリパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、及びソルビタンセスキオレート、オレイン酸のソルビタンモノ−及びジエステルの混合物である。
【0059】
分散剤として可能なものは、従って、上記シュガーエーテルとシュガーエステルをアルコキシル化することによって得られたアルコキシル化されたシュガーエーテル及びシガーエステルである。好ましいアルコキシル化剤は、エチレンオキシド及び1,2−プロピレンオキシドである。アルコキシル化の割合は、通常1〜20、好ましくは2〜10、特に好ましくは2〜6である。この例は、上記ソルビタンエステルをエトキシル化することによって得られるポリソルベートで、例えば、Rompp Chemie Lexikon CD−version 1.0,Stuttgart/New York:Georg Thieme Verlag 1995, keyword“Polysorbate”[Polysorbates]に記載されている。適切なポリソルベートは、ポリエトキシソルビタンラウレート、ステアレート、パルミテート、トリステアレート、オレート(オレイン酸塩)、トリオレート、特に例えばICI America Inc.からのTween(登録商標)60(例えば、Rompp Chemie Lexikon CD−version 1.0,Stuttgart/New York:Georg Thieme Verlag 1995, keyword“Tween(登録商標)”に記載されている)として入手可能なポリエトキシソルビタンステアレートである。
【0060】
分散剤としてポリマーを使用することも同様に可能である。
【0061】
分散剤は、分散物の合計量として表して、0.01〜50質量%の範囲で使用して良い。この割合は、0.1〜25質量%が好ましく、0.2〜10質量%がより好ましい。
【0062】
本発明に従う分散物は、更に充填剤成分を含んでも良い。充填剤成分は、1種以上の充填剤からなって良い。例えば、金属化可能な物質の充填剤成分は、充填剤を、ファイバー、層、又は粒子の状態、又はこれらの混合物の状態で含んで良い。これらは、市販されている製品が好ましく、例えばカーボン及び無機充填剤が好ましい。
【0063】
更に、充填剤又は補強剤、例えばガラス粉、無機ファイバー、ウィスカー、水酸化アルミニウム、酸化金属、例えば酸化アルミニウム又は酸化鉄、マイカ、石英粉、カルシウムカーボネイト、バリウムサフフェイト、二酸化チタン又は珪石灰を使用することも可能である。
【0064】
他の添加剤を使用しても良く、例えばチキソトロピック剤、例えばシリカ、シリケート、例えばエアロシル(aerosil)又はベントナイト、又は有機シキソトロピック剤及び増粘剤、例えばポリアクリル酸、ポリウレタン、水和ヒマシ油、染料、脂肪酸、脂肪酸アミド、可塑剤、ネットワーク剤、消泡剤、潤滑剤、乾燥剤、架橋剤、光重合開始剤、金属イオン封鎖剤、ワックス、顔料、導電性ポリマー粒子を使用して良い。
【0065】
充填剤の割合は、乾燥被覆物の合計質量で表して、0.01〜50質量%が好ましい。0.1〜30質量%が更に好ましく、そして0.3〜20質量%が特に好ましい。
【0066】
更に、本発明に従う分散物中に、加工助剤(processing auxiliary)及び安定化剤が存在しても良く、例えば、UV安定化剤、潤滑剤、防腐食剤、及び難燃剤が存在していても良い。これらの割合は、分散物の合計質量で表して、通常0.01〜5質量%である。この割合は、0.05〜3質量%が好ましい。
【0067】
マトリックス材料中に導電性の粒子を含む分散物を使用して構造化された基礎層又はほぼ平坦な基礎層を支持体上に施し、そしてマトリックス材料を乾燥又は硬化させた後、粒子の大半は、マトリックスの内部に存在する。従って、導電性の連続的な表面は製造されない。導電性の連続的な表面を製造するために、支持体上に施された、構造化された又はほぼ平坦な基礎層を、導電性の材料で被覆する必要がある。この被覆は通常、無電解及び/又は電解による金属化によって行われる。
【0068】
構造化された基礎層、又はほぼ平坦な基礎層を、無電解及び/又は電解により被覆可能とするために、第1に、分散物を使用して製造した、構造化された基礎層又はほぼ平坦な基礎層を、少なくとも部分的に乾燥又は硬化させる必要がある。構造化された基礎層又はほぼ平坦な基礎層の乾燥又は硬化は、通常の方法によって行われる。例えば、マトリックス材料は、化学的に硬化させることができ、例えば、UV放射、電子放射、マイクロ波放射、IR放射、又は熱を使用して、例えば、マトリックス材料の重合、重付加又は重縮合によって行うことができ、又、溶媒を蒸発されることにより純粋に物理的に硬化させることもできる。物理的及び化学的な乾燥の組み合わせも可能である。本発明に従い、少なくとも部分的に乾燥又は硬化させた後、分散物中に含まれる導電性の粒子は、少なくとも部分的に露出され、これにより導電性の核生成部位が得られ、次に行われる無電解及び/又は電解による金属化の間、この部位に金属イオンを析出(沈殿:deposit)させて金属層を形成することができる。粒子が酸化容易な材料でできている場合、事前に酸化層を少なくとも部分的に除去することもしばしば必要になる。この方法が行われる形態に依存して、例えば酸性電解質溶液を使用して、金属化と同時に酸化層の除去を行っても良く、この場合、付加的な工程は不必要になる。
【0069】
無電解及び/又は電解での金属化の前に粒子を露出させることの有利な点は、粒子を露出させる場合、被覆物は、導電性の表面を連続的に得るために、導電性の粒子を、粒子を露出させない場合よりも約5〜10質量%低く含めば良いという点である。更に有利な点は、製造される被覆物の均一性と連続性が良好なこと、及び方法の高い信頼性である。
【0070】
導電性の粒子の露出は、機械的に、例えば押しつぶし、研磨、ミリング(削り)、サンドブラスト、又は臨界超過の二酸化炭素の吹きつけにより、物理的に、例えば加熱、レーザー、UV光、コロナ又はプラズマ放出(放電)により、又は化学的に行って良い。化学的な露出の場合、マトリックス材料と両立し得る化学物質又は化学物質混合物を使用することが好ましい。化学的な露出の場合、マトリックス材料を表面で少なくとも部分的に溶解させ、そして例えば溶媒によって洗浄除去して良く、又、マトリックス材料の化学的構造を、適切な試薬で、少なくとも部分的に崩壊(分解)させ、これにより導電性の粒子を露出させても良い。導電性の粒子を露出させるために、マトリックス材料をふやけさせる(膨張させる)試薬も適切である。ふやけ(膨れ)は、キャビティ(空洞)を形成し、キャビティに沈殿(析出)するべき金属イオンが電解溶液から入り込み、これにより、より多くの数の導電性の粒子が金属化可能となる。後に無電解及び/又は電解により沈殿する金属層の結合(ボンディング)、均一性及び連続性は、従来技術の方法におけるものよりも大きく改良される。露出した導電性の粒子の数が多いので、金属化の工程速度(処理速度)も速く、追加的にコスト的な有利性も達成される。
【0071】
マトリックス材料が、例えばエポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、エポキシノボラック、ポリアクリレート、ABS、スチレン−ブタジエンコポリマー又はポリエーテルの場合、導電性の粒子は、酸化剤を使用して露出させることが好ましい。酸化剤はマトリックス材料の結合を破壊し、これによりバインダーが分解し、そしてこれにより粒子が露出可能になる。適切な酸化剤は、例えばマンガン酸塩、例えばカリウム過マンガン酸塩、カリウムマンガン酸塩、ナトリウム過マンガン酸塩、ナトリウムマンガン酸塩、過酸化水素、酸素、触媒存在下の酸素、(触媒は、例えばマンガン塩、モリブデン塩、ビスマス塩、タングステン塩、及びコバルト塩である)、オゾン、過酸化バナジウム、二酸化セレニウム、アンモニウムポリスルフィド溶液、アンモニア又はアミンの存在下における硫黄、二酸化マンガン、カリウム鉄酸塩、重クロム酸塩/硫黄酸、(硫酸、酢酸又は無水酢酸中の)クロム酸、硝酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、ピリジニウムジクロメイト、クロム酸−ピリジン錯体、無水クロム酸、クロム(VI)オキシド、過ヨウ素酸、鉛テトラアセテート、キノン、メチルキノン、アントラキノン、臭素、塩素、フッ素、鉄(III)塩溶液、二硫酸塩、ナトリウム過炭素酸、オキソハリック酸の塩、例えば塩素酸塩、又は臭素酸塩、又はヨウ素酸塩、又はペルハリック酸、例えばナトリウム過ヨウ素酸塩、又はナトリウム過塩素酸塩、ナトリウム過ホウ酸塩、重クロム酸塩、例えばナトリウム重クロム酸塩、過硫酸の塩、例えばカリウムペルオキソジサルフェート、カリウムペルオキソモノサルフェート、ピリジニウムクロロクロメート、ヒポハリック酸の塩、例えばナトリウムヒポクロリット、ジメチルスルホキシド(求電子試薬中のもの)、tert−ブチルヒドロペルオキシド、3−クロロペルベンゾエート、2,2−ジメチルプロパナル、Des−Martinペルイオジネート、オキサリルクロリド、ウレア水素ペルオキシドアダクト、ウレア水素ペルオキシド、2−イオドキシベンゾイック酸、カリウムペルオキソモノサルフェート、m−クロロペルベンゾイック酸、N−メチルモルホリン−N−オキシド、2−メチルプロプ−2−イルヒドロペルオキシド、過酢酸、ピバルデハイド、オスミウムテトラオキシド、オキソン、ルテニウム(III)及び(IV)塩、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシド中酸素、トリアセトキシペリオジナン、トリフルオロペル酢酸、トリメチルアセタルデハイド、アンモニウムニトレートである。露出工程を改良するために、工程の間の温度を任意に上昇させても良い。
【0072】
好ましい酸化剤は、マンガン酸塩、例えばカリウム過マンガン酸塩、カリウムマンガン酸塩、ナトリウム過マンガン酸塩、ナトリウムマンガン酸塩、過酸化水素、N−メチルモルホリン−N−オキシド、過炭酸塩、例えばナトリウム又はカリウム過炭酸塩、過ホウ酸塩、例えばナトリウム又はカリウム過ホウ酸塩、過硫酸塩、例えばナトリウム又はカリウム過硫酸塩、ナトリウム、カリウム及びアンモニウムペルオキソ二及び一硫酸塩、ナトリウムヒドロクロリド、ウレア過酸化水素アダクト、オキソハリック酸の塩、例えばクロレート(塩素酸塩)又はブロメート又はアイオデート(ヨウ素酸塩)、ペルハリック酸の塩、例えばナトリウムペルアイオデート又はナトリウムペルクロレート、テトラブチルアンモニウムペルオキシジサルフェート、キノン、鉄(III)塩溶液、バナジウムペントオキシド、ピリジニウムジクロメート、塩酸、臭素、塩素、重クロム酸塩である。
【0073】
特に好ましい酸化剤は、カリウム過マンガン酸塩、カリウムマンガン酸塩、ナトリウム過マンガン酸塩、ナトリウムマンガン酸塩、過酸化水素及びその付加化合物(アダクト)、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過硫酸塩、ペルオキソジサルフェート、ナトリウムヒポクロリット及び過塩素酸塩である。
【0074】
例えば、ポリエステル樹脂、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエステルウレタン等のエステル構造を含む、マトリックス材料中に存在する、導電性の粒子を露出させるために、例えば酸性又はアルカリ性化学物質及び/又は化学物質混合物を使用することが好ましい。好ましい酸性化学物質及び/又は化学物質混合物は、例えば、濃縮又は希釈酸、例えば塩酸、硫酸、リン酸又は硝酸である。マトリックス材料に依存して、ギ酸又は酢酸等の有機酸も適切であって良い。適切なアルカリ性化学物質及び/又は化学物質混合物は、例えば塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、又はカーボネイト(炭酸塩)、例えば炭酸ナトリウム、又は炭酸カルシウムである。露出工程を改良するために、工程の間の温度は、任意に上昇させて良い。
【0075】
マトリックス材料中の導電性の粒子を露出させるために、溶媒を使用しても良い。マトリックス材料は、溶媒中に溶解するか、又は溶媒によってふやけ(膨張)なければならないので、溶媒をマトリックス材料に適合させなければならない。マトリックス材料が溶解する溶媒を使用する場合、基礎層が溶媒と短時間でのみ接触し、そしてマトリックス材料の上部層が溶媒和され、これにより溶解する。好ましい溶媒は、キシレン、トルエン、ハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルである。溶解特性(溶解挙動)を改良するために、工程の間の温度は、任意に上昇させて良い。
【0076】
更に、機械的手段を使用して導電性の粒子を露出させることも可能である。適切な機械的手段は、例えば、押しつぶし(crushing)、研磨、研磨剤での研削、又はウォータージェットでの圧力吹き付け、サンドブラスティング又は臨界超過の二酸化炭素の吹きつけである。硬化した印刷して構造化された基礎層の頂部層は、このような機械的手段でそれぞれ除去される。マトリックス材料中に含まれる導電性の粒子はこれにより露出される。
【0077】
この技術分野の当業者に公知の全ての研磨剤を、研磨のための研磨剤として使用して良い。適切な研磨剤は、例えば軽石粉である。ウォータージェットでの圧力吹きつけによって、硬化した分散物の頂部層を除去するために、ウォータージェットは、小さな固体粒子を含むことが好ましい。この小さな固体粒子は、例えば、平均粒子径分布が40〜120μm、好ましくは60〜80μmの軽石粉(Al23)及び粒子径が>3μmの石英粉(SiO2)である。
【0078】
導電性の粒子が、酸化容易な材料を含んでいる場合、方法の好ましい変形例では、酸化層は、(構造化された基礎層又はほぼ平坦な基礎層上に金属層が形成される前に)少なくとも部分的に除去される。この場合、酸化層は、例えば化学的及び/又は機械的に除去して良い。導電性の粒子から酸化層を化学的に除去するために基礎層を処理可能な適切な物質は、例えば、濃縮又は希釈硫酸、又は濃縮又は希釈塩酸、クエン酸、リン酸、アミド硫酸、ギ酸、酢酸等の酸である。
【0079】
導電性の粒子から酸化層を除去するための適切な機械的手段は、通常、粒子を露出させるための機械的手段と同様である。
【0080】
支持体上に施された分散物は、支持体に堅く結合しているので、好ましい実施の形態では、構造化された又はほぼ平坦な基礎層を施す前に、乾燥法、湿式化学法及び/又は機械的手段で、支持体が洗浄される。湿式化学法及び機械的手段によって、特に支持体の表面を粗くすることも可能であり、これにより分散物が支持体により良好に結合する。適切な湿式化学法は、特に、支持体を酸性又はアルカリ性試薬又は適切な溶媒で洗浄することである。超音波と組み合わせて水も使用して良い。適切な酸性又はアルカリ性試薬は、例えば、塩酸、硫酸、又は硝酸、リン酸、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又はカリウムカーボネイト等のカーボネイト(炭酸塩)である。適切な溶媒は、基礎層を施すために分散物中に含まれて良いものと同様である。好ましい溶媒は、アルコール、ケトン、及び炭化水素で、これらは支持体材料に依存して選択する必要がある。活性化のために
上述した酸化剤も使用して良い。
【0081】
構造化された基礎層又はほぼ平坦な基礎層(全体が面状の基礎層)を施す前に支持体を洗浄可能な機械的手段は通常、導電性の粒子を露出するのに使用される方法、及び粒子の酸化層を除去するのに使用される方法と同様である。
【0082】
特に乾燥洗浄方法は、ダスト及び支持体上の分散物の結合に影響を及ぼす他の粒子を除去し、そして表面を粗くするために適切である。これらは例えば、ブラシ及び/又は脱イオン化空気、コロナ放電又は低圧プラズマを用いたダスト除去、及び粘着層を有するロール及び/又はローラーによる粒子除去である。
【0083】
コロナ放電及び低圧プラズマによって、支持体の表面張力を選択的に増加させることができ、有機残留物を基材表面から洗浄可能であり、そして従って分散物の濡れ性と結合性の両方が改良される。
【0084】
構造化された基礎層又はほぼ平坦な基礎層は、分散物を使用し、(任意の)印刷方法を用いて、支持体上に印刷されることが好ましい。構造化された表面に印刷可能な印刷方法は、例えばロール又はシート印刷法、例えばスクリーン印刷、凹板印刷、フレキソグラフ印刷、活版印刷、パッド印刷、インクジェット印刷、DE10051850に記載されているようなLasersonic(登録商標)法、又はオフセット印刷である。しかしながら、この技術分野の当業者にとって公知の他の如何なる方法も使用して良い。他の通常の、及び公知の被覆方法を使用して表面を施すことも可能である。このような被覆方法は、例えば、キャスティング(注型)、塗装、ドクターブレーディング、ブラッシング、スプレーイング、浸漬、ローリング、パウダリング、流動床又はこれらに類似するものである。印刷又は被覆法によって製造された構造化された表面又はほぼ平坦な表面の厚さは、好ましくは0.01〜50μm、より好ましくは0.05〜25μm、及び特に好ましくは0.1〜15μmの範囲で変動する。層は、(ほぼ)全領域を平坦な状態で、又は構造化された状態でのいずれの状態でも施して良い。
【0085】
印刷法に依存して、異なる微細構造が印刷可能である。
【0086】
塗布する前に、分散物を貯蔵容器内で攪拌又はポンプ流動させることが好ましい。攪拌及び/又はポンプ流動は、(沈殿が発生し得る場合には)分散物中に含まれる粒子の沈殿を防止する。更に、貯蔵容器内で分散物を温度調節することが同様に有利である。温度調節により一定の粘度が調節可能になるので、このことは、支持体上への基礎層の印刷状態を改良する。例えば、分散物が攪拌器又はポンプのエネルギー投入によって加熱され、従って、攪拌及び/又はポンプ流動及びその粘度が変化する時は、温度調節は特に必要である。
【0087】
印刷により塗布する場合、柔軟性を増すため、及びコスト的な理由により、インクジェット法等のデジタル印刷法及びLaserSonic(登録商標)法が、特に適切である。これらの方法は、通常、印刷テンプレート、例えば印刷ロール又はスクリーンを製造するためのコストを除き、及び複数の異なる構造を連続して印刷する必要がある場合に生じるテンプレートのひっきりなしの変更を取り除く。デジタル印刷法では、再装備時間や停止を必要とすることなく、新しいデザインに即座に変更することができる。
【0088】
インクジェット法により分散物を施す場合、インクジェットノズルの閉塞を防止するために、最大径が15μm、好ましくは10μmの導電性の粒子を使用することが好ましい。インクジェットヘッド内での沈殿を回避するために、分散物をポンプ回路(pumping circuit)を使用してポンプ流動させ、粒子が沈まないようにしても良い。更に、分散物の粘度を印刷のために適切に調節するために、システム(装置)を加熱することが好ましい。
【0089】
本発明の方法では、支持体の一方側に分散物を施すことの他に、導電性の構造化された基礎層又はほぼ平坦な基礎層を、支持体の上側と下側に施すことも可能である。貫通接触(though-contact)を使用して、支持体の上側と下側に存在する、導電性の構造化された又はほぼ平坦な基礎層が、相互に電気的に連結できる。貫通接触のために、例えば、支持体の孔(穴:bore)に導電性の表面が設けられる。貫通接触を形成するために、支持体に孔を形成することが可能であり、例えば、構造化された基礎層又はほぼ平坦な基礎層を印刷する場合、その壁部に、導電性の粒子を含む分散物が施される。厚さが十分に薄い支持体のためには、孔の壁部に分散物を被覆する必要はない。この理由は、十分に長い被覆時間により、無電解及び/又は電解による被覆の間、金属層は孔の内側にも形成され、支持体の上側と下側から一緒に孔内へと生長する金属層によって、支持体の上側と下側の導電性の、構造化された又はほぼ平坦な表面の電気的な連結が形成されるからである。本発明に従う方法に加え、孔及び/又は止まり穴(blind hole)を金属化するための、従来から公知の他の方法を使用することも可能である。
【0090】
機械的に安定した構造化された基礎層又はほぼ平坦な基礎層を支持体上に得るために、支持体上に構造化された又はほぼ平坦な層を施すために使用される分散物を塗布した後に少なくとも部分的に硬化させることが好ましい。マトリックス材料に依存して、硬化(curing)は、上述のように、例えば、熱、光(UV/Vis)及び/又は放射、例えば赤外線、電子放射、ガンマ線、X線、マイクロ波の放射の作用によって行われる。硬化反応を開始させるために、適切な活性化剤を加えることが時として必要になっても良い。硬化は、異なる方法の組合せ、例えばUV放射と加熱の組合せによって行っても良い。硬化方法は同時に、又は連続的(次々)に組合せて良い。例えば、層を最初に、UV放射によって部分的にのみ硬化させ、これにより形成された構造物が流出しないようにする。次にこの層を、熱の作用で硬化させて良い。この場合、加熱は、UV硬化の後、及び/又は電解による被覆の後、直接的に行って良い。少なくとも部分的な硬化の後、上述のように、好ましい変形例では、導電性の粒子は、少なくとも部分的に露出される。導電性の表面を連続的な状態で製造するために、導電性の粒子を露出させた後、少なくとも1層の金属層が、無電解及び/又は電解による被覆によって、構造化された又はほぼ平坦な基礎層上に形成される。この場合、被覆は、この技術分野の当業者に公知の方法を使用して行って良い。被覆方法を使用して、任意の通常の金属被覆を更に施しても良い。この場合、被覆に使用される電解質溶液の組成は、導電性の構造物を支持体上に被覆することが意図されている金属に依存する。原則として、貴の程度が最も低い分散物の金属よりも、貴であるか、又は同等に貴の全ての金属を、無電解及び/又は電解での被覆のために使用して良い。電解による被覆によって導電性の表面に析出(沈殿)される、通常の金属は、例えば金、ニッケル、パラジウム、白金、銀、スズ、銅又はクロムである。析出した1層以上の層の厚さは、この技術分野の当業者にとって公知の通常の範囲内に存在し、そして本発明は、このことに制限されない。
【0091】
導電性の構造物を被覆するために使用される、適切な電解質溶液は、例えばWerner Jilek, Gustl Keller, Handbuch der Leiterplattentechnik [Handbook of printed circuit technology].Eugen G.Leuze Verlag,2003, volume 4,pages 332−352から、この技術分野の当業者にとって公知である。
【0092】
支持体上に導電性の構造化された表面又はほぼ平坦な表面を被覆するために、支持体は、最初に電解質溶液を含む浴槽に送られる。次に支持体は、浴槽に通され、これにより、前に施された構造化された又はほぼ平坦な層中に含まれている導電性の粒子が、少なくとも1つのカソードによって接触される。ここで、この技術分野で公知の、適切な如何なるカソードも使用して良い。カソードが、構造化された表面、又はほぼ平坦な表面と接触している限り、電解質溶液から金属イオンが析出(沈殿)し、表面上に金属層が形成される。
【0093】
導電性の、構造化された又はほぼ平坦な基礎層が電解によって被覆可能な、適切な装置は、通常、少なくとも一つの浴槽、一つのアノード及び一つのカソードを有し、浴槽は、少なくとも1種の金属塩を含む電解質溶液を含む。電解質溶液からの金属イオンは、支持体の導電性の表面上に沈殿し、金属層を形成する。この目的のために、少なくとも一つのカソードが、被覆される基材(substrate)の基礎層と接触され、この間基材は浴槽を移動する。
【0094】
この技術分野で公知の全ての電解による方法が、この場合の電解による被覆のために適切である。このような電解による方法は、例えば、被覆されるべき材料と接触する1つ以上のローラーで、カソードが形成されたものである。カソードは、ローラーを区分化した状態で設計しても良く、そして被覆されるべき基材と連絡しているローラー区分が、カソード的に結合(カソードと結合していること)していても良い。区分化されたローラーを使用する場合、ローラー上に析出(沈殿)した金属を再度除去するために、被覆されるべき基礎層と接触していない区分をアノード的に結合させ(アノードと結合させること)、これによりローラー上に析出した金属を電解質溶液中に析出させて戻すことができる。
【0095】
一実施の形態では、少なくとも一つのカソードが、少なくとも一つのバンド(バンドは、少なくとも2本の回転可能なシャフトの周囲に案内される)を含み、このバンドは、導電性の区分を少なくとも一つ有している。シャフトは、各基材に適合した、適切な横断面を有している。シャフトは、シリンダー状に設計することが好ましく、そして例えば、少なくとも一つのバンドが走行する溝(groove)を設けても良い。バンドを電気的に接触させるために、少なくとも一つのシャフトをカソード的に結合することが好ましく、シャフトは、シャフトの表面からバンドに電流が流れるように形成されることが好ましい。シャフトにバンドが走行する溝が設けられる場合、基材は、シャフトとバンドによって同時に接触可能である。溝だけを導電性とし、溝の間のシャフトを絶縁材で形成し、基材がシャフトを介して電気的に接触することを防止することも同様に可能である。シャフトの電流供給は、例えばスリップリングを介して行われるが、回転するシャフトに電流を伝達可能な、他の如何なる装置を使用することも可能である。
【0096】
カソードは、導電性の区分を少なくとも一つ有する、少なくとも一つのバンドを含むので、基材の導電性の構造物が(特に、基材の搬送方向に見て)短い場合であっても、十分な厚みを有する被覆物を施すことができる。このことが可能になる理由は、カソードがバンドとして形成されているので、導電性の、短い構造物がカソードと接触した状態で長時間維持されるからである。
【0097】
導電性の構造物(構造物の上側には、バンドとして形成されたカソードが、接触のために設けられている)の領域を被覆するために、少なくとも二つのバンドを、相前後して、置きちがえるように設けることが好ましい。この場合、配置構成は、通常、第1のバンドの後部に置き違えるように配置された第2のバンドが、第1のバンドとの接触時に金属が析出した領域で、導電性の構造と接触するような構成である。二つ以上のバンドを相前後して設けることにより、より厚い被覆が達成可能である。
【0098】
連続的に置き替えて設けられたバンドを、少なくとも一つの共通するシャフトで案内することにより、搬送方向に見てより短い構造を達成することができる。
【0099】
少なくとも一つのバンドが、例えば網構造(network structure)を有していて良く、これにより、支持体に被覆される導電性の構造物の小領域だけがバンドによって覆われる。被覆は、網構造の孔内で行われる。網構造が存在する範囲でも、導電性の構造物を被覆するために、バンドが網構造の状態で形成された場合、少なくとも二つのバンドが相前後して設けられることが有利である。
【0100】
少なくとも一つのバンドが、導電性の区分と非導電性の区分を交互に有することも可能である。この場合、バンドを、アノード的に結合された、少なくとも一つのシャフトに案内することも可能であるが、導電性の区分の長さがカソード的に結合されたシャフトと、これに隣合うアノード的に結合されたシャフトとの距離よりも短くなるように注意する必要がある。このようにして、被覆される基材と接触しているバンドの領域がカソード的に連結され、そして基材と接触していないバンドの領域がアノード的に結合される。この連結の有利な点は、バンドのカソード的な結合の間、バンド上に析出する金属がアノード的結合の間に再度除去されることである。カソード的に結合されている間にバンドに析出した全ての金属を除去するために、アノード的に結合した領域を、カソード的に結合した領域よりも長くするか、又は少なくとも同等にすることが好ましい。このことは、一方では、アノード的に結合したシャフトがカソード的に結合したシャフトよりも大きな径を有することによって達成される。そして他方では、アノード的に結合したシャフトが同等又はより小さな直径を有する場合には、アノード的に結合したシャフトは、カソード的に結合したシャフトと少なくとも同等の数が予定される(この場合、カソード的に結合したシャフトの間隔は、アノード的に結合したシャフトと等しい距離(大きさ)であることが好ましい。)。
【0101】
又(この替わりに)、バンドの替わりに、カソードが、少なくとも二つのディスクを対応するシャフトに設けられた状態で含み、従ってディスクを回転可能とし、そしてディスクを相互に係合させることも可能である。このことにより、導電性の、特に搬送方向に見て短い構造物に、十分な厚さのそして均一な被覆を施すことができる。ディスクの断面は、通常、対応する基材に適合するように構成される。ディスクは、断面が円形であることが好ましい。シャフトは、任意の断面を有することができる。しかしながら、シャフトは、シリンダー状に形成することが好ましい。
【0102】
2枚の隣り合うディスクよりも広い構造物を被覆するために、基材の幅に依存して、複数のディスクを各シャフトに、互いに隣合う状態で設けても良い。各ディスクの間に十分な間隔が設けられ、これに次のシャフトのディスクが係合可能である。好ましい実施の形態では、シャフト上の2枚のディスクの間の距離は、少なくともディスクの幅に相当する。これにより、シャフト上の2つのディスクの間の間隔に、別のシャフトのディスクが係合する(嵌まり込む)ことが可能になる。
【0103】
ディスクの電流供給が、例えばシャフトを介して行われる。この方法では、例えば、シャフトを浴槽の外側にある電源に連結することができる。この連結は、通常、スリップリングを介して行われる。しかしながら、電圧移送が電圧供給源から回転要素に移送される、他の如何なる連結も可能である。シャフトを介しての電圧供給の他に、その外周を介して電流を接触ディスクに供給することも可能である。例えば、ブラシ等のスライディング接触体が、基材に対して反対側で接触ディスクと接触した状態で配置されて良い。
【0104】
シャフトを介してディスクに電流を供給するために、例えば、シャフトとディスクを少なくとも部分的に導電性の材料で作成することが好ましい。しかしながら、これとは別に、シャフトを電気的に絶縁性の材料で作成し、そして個々のディスクへの電流供給を、例えば電気的導電体、例えばワイヤーで行っても良い。この場合、個々のワイヤーが、それぞれ接触ディスクに連結され、これにより接触ディスクに電圧が与えられる。
【0105】
好ましい実施の形態では、ディスクには、その周囲に、相互に電気的に絶縁された個々の区分が分配されている。相互に電気的に絶縁された区分は、カソード的及びアノード的に切り替え可能であることが好ましい。従って、基材と接触状態にある区分をカソード的に連結させ、そして基材と接触しなくなったら直ちにアノード的に連結させることが可能である。このようにして、カソード的に連結している間にその区分に析出した金属は、アノード的に連結している間に除去される。個々の区分の電圧付与は通常、シャフトを介して行われる。
【0106】
シャフト及びディスク又はバンドの両極性を逆にすることによりシャフト及びディスク又はバンドに析出した金属を除去することの他に、他の洗浄の変形例は例えば、化学又は機械的洗浄である。
【0107】
ディスク又はバンドの導電性の部分を作成する材料は、装置の運転の間、電解質溶液内に移行することのない、導電性の材料であることが好ましい。適切な材料は例えば、グラファイト、導電性ポリマー、例えばポリチオフェン又は金属/プラスチック複合材料である。ステンレス鋼及び/又はチタンが好ましい材料である。
【0108】
異なる電解質溶液を有する複数の浴槽を直列状に繋ぎ、被覆する基礎層に複数の異なる金属を析出(沈殿)させることも可能である。更に、最初に基礎層に無電解で金属を析出させ、そして次に電解で析出させることも可能である。この場合、異なる金属又は同一の金属を無電解又は電解での析出によって析出させても良い。
【0109】
電解での被覆装置には、更に基材を回転させる装置を設けても良い。基材が回転可能な装置の回転軸は、この場合、被覆する基材の表面に対して垂直に設けられる。回転により、最初の段階で、基材の搬送方向に見て、広くて短い状態であった導電性の構造物は、回転の後、搬送方向に見て狭くて長くなるように位置合わせされる。
【0110】
本発明に従う方法によって導電性の構造物に析出される金属層の厚さは、基材が装置を通過する速度によって与えられる接触時間、及び直列状態に配置されたカソードの数、及び装置を運転する電流の強さに依存する。例えば、本発明に従う装置を複数、直列状に、少なくとも一つの浴槽に連結することによって、より長い接触時間が達成される。
【0111】
上側と下側を同時に被覆可能とするために、例えば2個のローラ、又はディスクが備えられた2個のシャフト、又は2つのバンドをそれぞれ位置し、これらの間に被覆される基材を案内しても良い。
【0112】
その長さが浴槽の長さより長い(フレキシブルな)ホイル(最初にロールから解かれ、電解で被覆を行う装置に案内され、次に再度巻き取られる、いわゆるエンドレスホイル)の被覆が意図される場合、これらを、例えばジグザグ状形状に浴槽に通すことが可能であり、または、複数の電解で被覆する装置(装置は、互いに重ねた状態又は並びあった状態でも良い)のまわりに曲がりくねった状態で浴槽に通すこともできる。
【0113】
電解で被覆する装置には、必要により、この技術分野の当業者にとって公知の補助装置が設けられても良い。このような補助装置は、例えばポンプ、フィルター、化学物質用の供給装置、巻き取り及び巻きほぐし装置等である。
【0114】
メンテナンス間隔を短くするために、この技術分野の当業者にとって公知の、電解質溶液を処理する全ての手段を使用して良い。このような処理手段は、例えば電解質溶液が自己再生される装置であっても良い。
【0115】
本発明に従う装置は、例えばWerner Jilek, Gustl Keller,Handbuch der Leiterplattentechnik[Handbook of printed circuit technology],Eugen G.Leuze Verlag, volume 4,pages 192,260,349,351,352,359から公知のパルス法で運転されて良い。
【0116】
導電性の構造化された表面又はほぼ平坦な表面を支持体上に製造するための本発明に従う方法は、連続的、半連続的又は非連続的なモードで運転する(操作する)ことができる。本方法のいくつかの工程だけを連続的に行い、他の工程を非連続的に行うことも可能である。
【0117】
本発明に従う方法は、例えば、印刷回路板に導体路(導電体トラック:conductor track)を製造するのに適切である。このような印刷回路板は、例えば、複数層(内側及び外側層)のもの、マイクロビアス、チップオンボード、柔軟性及び硬質印刷回路板であり、そして例えば、コンピュータ、電話、テレビ、電気自動車部品、キーボード、ラジオ、ビデオ、CD、CD−ROM及びDVD−プレーヤー、ゲームコンソール、測定及び規制装置、センサー、電気キッチン機器、電気玩具等に組み込まれても良い。
【0118】
柔軟性回路支持体上の導電性の構造物も、本発明に従う方法で被覆されて良い。このような柔軟性回路支持体は、例えば支持体のために述べた上記材料でできたプラスチックフィルム(この上に導電性の構造物が印刷される)である。本発明に従う方法は、更に、RFIDアンテナ、トランスポンダーアンテナ又は他のアンテナ構造物、マイクロチップ付きカードモジュール、フラットケーブル、シートヒーター、ホイルコンダクター、コンダクタートラック(太陽電池又はLCD/プラズマディスプレースクリーン中のもの)、キャパシター、ホイルキャパシター、レジスター、コンベクター、電気ヒューズを製造するために適切であり、又は任意の状態で電解で被覆された製品を製造するために、例えば、1面又は2面が規定された厚さの金属で覆われたポリマー支持体、3Dモールド内部結合装置を製造するために適切であり、又は例えば磁界放射を遮断するために、熱伝導のために使用されるか又は梱包として使用される製品の装飾的又は機能的表面を製造するために適切である。更に、統合された電子部品の接触点、接触パッド又は内部結合を製造するのにも適切である。
【0119】
有機電子部品用の接触部を有するアンテナの製造、又は電磁気の遮断用の電気的に非導電性の材料の表面に被覆物を製造することも可能である。
【0120】
更なる使用例は、燃料電池に使用するための双曲性プレートの流れの場(flow field)の分野である。
【0121】
更に、上述した非導電性の基材でできた成形物品を後に装飾金属化するために、導電性のほぼ平坦な層、又は構造化された層を製造することも可能である。
【0122】
本発明に従う方法を使用することにより、金属化した非導電性基材を安価に製造することが可能になる。ここで、金属化した非導電性基材は、例えばスイッチ、及びセンサー、ガス遮断器、又は装飾部品、特に、自動車、サニタリー、玩具、家庭及びオフィスセンサー、及び包装及びホイルに使用するためのものである。本発明は、銀行券、クレジットカード、アイデンティティドキュメント等のセキュリティー印刷の分野にも使用して良い。本発明に従う方法を使用して、テキスタイル(繊維製品)も電気的又は磁気的に機能化して良い(アンテナ、トランスミッタ、RFID及びトランスポンダアンテナ、センサー、加熱器、静電防止(プラスチック用であっても良い)、遮断等)。
【0123】
薄い金属ホイル又は1面又は2面が被覆されたポリマー支持体、金属化プラスチック表面、例えば、装飾ストリップ、外部ミラーを製造することも可能である。
【0124】
本発明に従う方法は、同様に、例えば印刷回路板、RFDアンテナ、又はトランスポンダアンテナ、フラットケーブル、ホイルコンダクターのホール、ビア(ビアホール)、止まり穴等を、上側と下側を貫通接触(through-contact)させるために使用しても良い。
【0125】
磁化可能な金属を含む場合には、本発明に従い製造される金属化製品は、金属化可能な機能部品、例えば磁性テーブル、磁性ゲーム、磁性表面(例えば冷蔵庫のドア)の分野に使用しても良い。これらは、良好な熱伝導性が有利になる分野、例えば、シートヒーター、床ヒーティング及び断熱材のためのホイルに使用しても良い。
【0126】
本発明に従い金属化された表面の好ましい使用方法は、この方法で製造された製品が印刷回路板、RFIDアンテナ、トランスポンダーアンテナ、シートヒーター、フラットケーブル、非接触チップカード、薄い金属ホイル又は1面又は2面が被覆されたポリマー支持体、ホイルコンダクター、コンダクタートラック(太陽電池又はLCD/プラズマスクリーン中のもの)として使用されるもの、又は装飾的な使用(例えば包装材料用)として使用されるものである。
【0127】
電解での被覆の後、基材は、この技術分野の当業者にとって公知の全ての更なる工程に従って加工されても良い。例えば、存在する電解質残留物が、洗浄によって基材から除去されて良く、及び/又は基材が乾燥されて良い。
【0128】
本発明に従う方法の有利な点は、容易に酸化する材料を、導電性の粒子に使用しても充分な被覆が可能なことである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、導電性の構造化された表面又はほぼ平坦な表面を製造する方法であって、以下の工程、
a)マトリックス材料中に鉄粒子を含む分散物を使用して、構造化された基礎層、又はほぼ平坦な基礎層を支持体上に施す工程、
b)マトリックス材料を、少なくとも部分的に硬化、及び/又は乾燥させる工程、
c)硬化または乾燥したマトリックスを少なくとも部分的に壊すことにより、導電性の粒子を少なくとも部分的に露出させる工程、
d)無電解及び/又は電解での被覆により、構造化された基礎層又はほぼ平坦な基礎層上に金属層を形成する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
工程c)での導電性の粒子の露出が、化学的、物理的又は機械的に行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程c)での導電性の粒子の露出が、酸化剤を使用して行われることを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載の方法。
【請求項4】
工程c)での導電性の粒子の露出が、マトリックス材料を溶解、エッチング及び/又はふやかすことが可能な物質の作用によって行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
マトリックス材料を溶解、エッチング及び/又はふやかすことが可能な物質が、酸性又はアルカリ性の化学物質又は化学物質混合物又は溶媒であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
支持体上に、導電性の構造化された表面又はほぼ平坦な表面を製造する方法であって、以下の工程、
a)マトリックス材料中に導電性の粒子を含む分散物を使用して、構造化された基礎層、又はほぼ平坦な基礎層を支持体上に施す工程、
b)マトリックス材料を、少なくとも部分的に硬化、及び/又は乾燥させる工程、
c)硬化または乾燥したマトリックスを、酸化剤を使用して少なくとも部分的に壊すことにより、導電性の粒子を少なくとも部分的に露出させる工程、
d)無電解及び/又は電解での被覆により、構造化された基礎層又はほぼ平坦な基礎層上に金属層を形成する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
酸化剤が、過マンガン酸カリウム、マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム、マンガン酸ナトリウム、過酸化水素、又はその付加化合物、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過硫酸塩、ペルオキソ二硫酸、次亜塩素酸ナトリウム、又は過塩素酸塩であることを特徴とする請求項3又は6の何れかに記載の方法。
【請求項8】
導電性の粒子に酸化層が存在する場合には、構造化された基礎層又はほぼ平坦な基礎層に無電解及び/又は電解での被覆を施す前に、前記酸化層が除去されることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
分散物を使用して構造化された表面又はほぼ平坦な表面に被覆を施す前に、乾式法、湿式化学法及び/又は機械的方法で、支持体が洗浄されることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
乾式法が、ブラシ及び/又は脱イオン化した空気、低圧プラズマ、コロナ放電を使用したダスト除去、又は粘着層が設けられたロール又はローラーを使用した粒子除去であり、湿式化学法が、酸性又はアルカリ性の化学物質又は化学物質混合物又は溶媒での洗浄であり、そして機械的方法が、ブラッシング、研削、研磨又は任意に粒子を含んでも良い空気又はウォータージェットジェットでの圧力噴射であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
構造化された基礎層又はほぼ平坦な基礎層が被覆法によって施されることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
被覆法が、印刷法、キャスティング法、ローリング法、液浸法又は噴射法であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
分散物の供給を行う前に、分散物を貯蔵容器内で攪拌又はポンプ流動させることを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
構造化された基礎層又はほぼ平坦な基礎層が、支持体の上側及び下側に施されることを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
支持体の上側と下側の構造化された基礎層及び/又はほぼ平坦な基礎層が、少なくとも一つの貫通接触により相互に接続されていることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
貫通接触のために、支持体の少なくとも1つの孔の壁部に導電性の表面が施されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
構造化された基礎層又はほぼ平坦な基礎層が、分散物を施された後に、少なくとも部分的に硬化又は乾燥されることを特徴とする請求項1〜16の何れか1項に記載の方法。
【請求項18】
硬化又は乾燥が、マトリックス材料に依存して、化学的又は物理的方法又はこれらの方法の組合せによって行われることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
支持体を構成する電気的に非導電性の材料が、圧縮されてプレート又はロールを形成する樹脂含浸ファブリック又は無補強のプラスチックフィルムであることを特徴とする請求項1〜18の何れか1項に記載の方法。
【請求項20】
印刷回路基板に導体路を製造するため、RFIDアンテナ、トランスポンダーアンテナ、又は他のアンテナ構造物、マイクロチップ付きカードモジュール、フラットケーブル、シートヒーター、ホイルコンダクターを製造するため、太陽電池又はLCD/プラズマディスプレースクリーンに導体路を製造するため、又は電解で被覆された製品を任意の状態で製造するための請求項1〜19の何れか1項に記載の方法。
【請求項21】
電磁気の放射を遮蔽するために、熱伝導のために使用されるか、又は包装として使用される製品に装飾表面又は機能表面を製造するための請求項1〜19の何れか1項に記載の方法。
【請求項22】
薄い金属ホイル又は一面又は二面が金属で被覆されたポリマー支持体を製造するための請求項1〜19の何れか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2009−539593(P2009−539593A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514770(P2009−514770)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【国際出願番号】PCT/EP2007/055701
【国際公開番号】WO2007/144322
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】