支持構造体に結合されたコイルを有する超電導電磁石
【課題】コイルが急な温度変化を受けるときにコイルと隣接した支持構造体との間の界面歪みの差を小さくする方法および装置を提供する。
【解決手段】支持構造体に結合された超電導線コイル10を有し、隣り合ったコイルの間で円周方向に離間された場所に配設された複数の支持ブロック18を有する超電導電磁石であって、前記複数の支持ブロックを加熱するために前記支持ブロックと熱接触した複数の電気抵抗性加熱要素42を設けた。
【解決手段】支持構造体に結合された超電導線コイル10を有し、隣り合ったコイルの間で円周方向に離間された場所に配設された複数の支持ブロック18を有する超電導電磁石であって、前記複数の支持ブロックを加熱するために前記支持ブロックと熱接触した複数の電気抵抗性加熱要素42を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持構造体に結合された超電導線コイルを有する超電導電磁石に関する。
【0002】
特に、本発明は、組立体の温度が急に変化した場合にコイルと支持構造体との間に熱により生じる応力を減少させるような組立体の改良に関する。
【0003】
本発明は、特に、実質的に円筒形の環状コイル組立体を有し、共通軸のまわりに並べられているがその軸に沿って互いにずらされた電磁石に関する。そのような構成は、一般にソレノイド磁石と呼ばれるが、厳密に言うとソレノイドではない場合がある。
【背景技術】
【0004】
図1から図4は、ソレノイド磁石として支持構造体に結合されたコイルの配列の一例を概略的に示す。
【0005】
図1は、超電導線のコイル10が巻型12内の環状空洞に巻き込まれた周知の従来の構成を示す(特許文献1参照)。構造体は、実質的に軸A−Aに関して360度の対称性を有し、また実質的に平面B−Bに関して反射対称性を有する。巻型は、典型的には、環状溝が形成された旋削アルミニウム管である。あまり一般的でない他の変形では、巻型は、モールド成形され、または、ガラス繊維強化エポキシ樹脂などの複合材料に旋削される。典型的な製造工程では、コイル10は、コイル内で線を結合する硬化材料(典型的にはエポキシ樹脂)で含浸される。コイル10は、典型的には、コイルと巻型の間に滑り面を作成する材料を使用することにより、半径方向内側面(A1面として知られる)、軸方向内側面(B1面として知られる)、および軸方向外側面(B2面として知られる)で巻型12から絶縁される。これらの寸法は、磁石中心に対して定義される。代替の実施形態では、コイルは、すべての面で支持構造体に結合されてもよい。
【0006】
図1に示されたように、面A1およびA2は、それぞれ軸A−Aから半径A1,A2にあり、面B1およびB2は、それぞれ平面B−Bから軸方向変位量B1,B2にある。いわゆる「中心コイル」は、対称平面B−Bに対して、B1=0と対称平面によって反射されたB2とを有するように定義される。他のすべてのコイルは、対称平面によって反射されたB1とB2によって定義することができる。
【0007】
図2は、そのような巻型が提供されない代替構成を示す。代わりに、コイル10は、その外側面(面A2として知られる)が一般に実質的に円筒形状の支持構造体14に結合される。この構造体は、コイル10を型に巻き付け、ガラス繊維布などの充填材料をコイルの半径方向外側面の上に巻き付け、構造体全体にエポキシ樹脂などの硬化材料を含浸させることによって製造される。従って、コイル10は、半径方向外側(A2)面のみにより支持構造体14に結合される。
【0008】
図3は、別の可能性を示す。ここで、コイル10は、複数の支持要素16の間に巻き付けられる。コイル10は、例えばエポキシ樹脂などの硬化材料によって複数の支持要素16に結合される。したがって、コイル10は、その軸方向内側(B1)面と軸方向外側(B2)面だけで複数の支持要素16を含む支持構造体に結合される。そのような構造体は、複数の支持要素16を巻管に一時的に取り付け、支持構造体の間の巻管上にコイル10を巻き、コイル10にエポキシ樹脂などの硬化材料を含浸させることによって形成され、硬化材料は、複数のコイル10を複数の支持要素16に結合する働きもする。
【0009】
図3の支持要素16は、機械的強度、熱膨張率、密度の適切な特性を有するアルミニウム、複合材料または任意の材料の環状片とすることができる。適切な材料には、金属(典型的に、アルミニウムとステンレス鋼)、商標Tufnol,Durostoneで知られるような複合材料、ガラス玉または布が埋め込まれた種々のエポキシ樹脂、または機械強度、ヤング率および熱膨張率の適切な特性を有する材料の任意の他の組み合わせが挙げられる。
【0010】
図4は、図3の構成の変形例の部分切断図を示し、図3の複数の環状支持要素16が、コイルの軸方向面のまわりの円周方向に離間された支持ブロック18によって置き換えられている。
【0011】
この構造体は、図3の構造体を製造するために説明された方法と類似の方法によって製造されてもよいが、支持ブロック18の適正な間隔を保証し、コイルの巻線を支持し、含浸工程中に樹脂を排除するためにスペーサブロック(図示せず)が複数の支持ブロック18間に位置決めされる。そのようなスペーサブロックは、樹脂含浸後に構造体から除去することができる。
【0012】
従って、この構成では、コイル10は、その軸方向内側面(B1)と軸方向外側面(B2)だけで、また円周方向に離間された場所でのみ、支持ブロック18を含む支持構造体に結合される。
【0013】
図4の支持ブロック18は、適切な機械強度、熱膨張率および密度の特性を有するアルミニウム、複合材料または任意の材料でよい。適切な材料には、金属(典型的には、アルミニウムとステンレス鋼)、商標Tufnol,Durostoneで販売されているような複合材料、ガラス玉または布が埋め込まれた種々のエポキシ樹脂、適切な機械強度、ヤング率および熱膨張率の特性を有する材料の他の組み合わせが挙げられる。
【0014】
コイル10は、典型的には銅マトリックス中の複数のNbTiフィラメントのマトリックスで構成された超電導線で作成される。巻かれた線は、エポキシ樹脂などのきわめて薄い電気絶縁層によって分離される。しかしながら、コイルの熱膨張率と熱伝導率は、円周方向では銅のものと近い。半径方向と軸方向で、熱膨張率は、線と樹脂の複合層の熱膨張率の組み合わせによって決定される。
【0015】
支持構造体の材料、例えばアルミニウムまたはGRP(ガラス繊維強化プラスチック)は、ある程度異なる熱伝導率と熱膨張率を有する。コイルと支持構造体の組立体が、急な温度変化を受けると、コイルと支持構造体は、異なる程度まで異なる割合で膨張または収縮する。比較的低い熱伝導率を有する材料の場合は、温度変化はゆっくりしか効果を現さないが、高い熱伝導率を有する材料の場合は、温度変化はより早く効果を現す。さらに、より大きい熱膨張率を有する材料は、温度変化の結果、小さい熱膨張率の材料よりも大きく膨張または収縮する。
【0016】
材料が温度によって膨張または収縮するので、材料の寸法が変化する比率として歪の値が定義されることがある。例えば、長さdの物体が、長さΔdだけ変化した場合、関連歪みは、Δd/dと表される。
【0017】
異なる材料の歪値は、それらの温度変化が類似している場合でも異なる。
【0018】
前述のコイル組立体のいずれでも、コイルの歪は、隣り合った支持構造体の歪みと異なる。これは、結合界面のせん断歪によりコイルと支持構造体との結合界面を破損させる危険がある。その結果、使用中に、コイルにかかる機械力が、コイルを動かし、支持構造体に結合されたコイルの界面に亀裂を作り、コイルの曲がりが応力と内部亀裂を発生させ、これが、クエンチの原因になることがある。
【0019】
クエンチの際、超電導電磁石の磁界に蓄積されたエネルギーは、典型的には支持構造体との機械的相互作用、コイル内の樹脂の内部亀裂、または線の過度の緊張によって生じる熱によって引き起こされる超電導状態の乱れのために、コイルと超電導磁石内で急に熱に放散される。多くの既知の構成が、エネルギーをいくつかのコイルにわたって拡散させ、その後で1つのコイルにクエンチが起こる。しかしながら、この結果、コイルが素早く加熱されるが、コイルに結合された支持構造体は、同じように迅速には熱くならない。この結果、コイルと支持構造体間に表面歪みの差が生じ、コイルと支持構造体との結合が破損する危険がある。
【0020】
図1に示されたような、コイルと支持構造体との間に滑り面を有する磁石構造では、コイルが、支持構造体と無関係に動くことができ、したがって、コイルと巻型と間の破壊は、スティックスリップ問題に限定される。コイルが巻型に結合された状態の図1に示されたものと類似の磁石構造では、コイルと巻型との間の結合の破壊が、クエンチをまねくことがある。
図2に示されたような磁石構造では、コイル10と支持構造体14との間の結合の破壊によって、コイルがある程度軸方向に動くことがあり、これがクエンチをまねくことがある。
【0021】
図3と図4に示されたような磁石構造では、コイル10と支持構造体16,18との間の結合の破壊によって、実質的にコイルと支持要素との間の結合によってのみ保持された構造体の機械的完全性が全体的に破壊されることがある。結合の破壊は磁石のクエンチの原因となることがある亀裂の形態をとることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特表2008−541466
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
従って、本発明は、コイルが急な温度変化を受けるときにコイルと隣接した支持構造体との間の界面歪みの差を小さくする方法および装置を提供することを目的とする。そのような温度変化の例には、動作温度への磁石の初期冷却と、クエンチの際の磁石の加熱が挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、特許請求の範囲で特定されたような装置を提供する。
即ち、「支持構造体に結合された超電導線コイルを有し、隣り合ったコイルの間で円周方向に離間された場所に配設された複数の支持ブロックを有する超電導電磁石であって、前記複数の支持ブロックを加熱するために前記支持ブロックと熱接触した複数の電気抵抗性加熱要素が設けられたことを特徴とする。」
また、「超電導線コイルが巻かれた環状空洞を有する巻型を備える支持構造体に結合された超電導線コイルを有する超電導電磁石であって、電気抵抗性加熱要素が、前記巻型を加熱するために前記巻型と熱接触して設けられたことを特徴とする。」
さらに、「実質的に円筒状の支持構造体に半径方向外側面が結合された超電導線コイルを有する超電導電磁石であって、加熱要素が、実質的に円筒状の支持構造体と熱接触して設けられたことを特徴とする。」
【0025】
本発明の上記およびその他の目的、特徴および利点は、図面に示す実施形態の例に関する以下の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】支持構造体に結合されたコイルを含むソレノイド超電導電磁石の例を示す図である。
【図2】支持構造体に結合されたコイルを含むソレノイド超電導電磁石の異なる例を示す図である。
【図3】支持構造体に結合されたコイルを含むソレノイド超電導電磁石の異なる例を示す図である。
【図4】支持構造体に結合されたコイルを含むソレノイド超電導電磁石の異なる例を示す図である。
【図4A】本発明の実施形態の一例で使用される支持体部分の概略図である。
【図5】従来のクエンチ保護回路の例を示す図である。
【図6】従来のクエンチ保護回路の別の例を示す図である。
【図7】従来の構造の「端」コイル70の軸方向部分断面図である。
【図8】端コイルの膨張により変形した図7の構造体を示す図である。
【図9】本発明の実施形態の一例による支持構造体に結合された加熱要素の例示的構成を示す図である。
【図10】本発明の実施形態の一例による支持構造体に結合された加熱要素の異なる例示的構成を示す図である。
【図11】本発明の実施形態の一例による支持構造体に結合された加熱要素の異なる例示的構成を示す図である。
【図12】本発明の実施形態の一例による支持構造体に結合された加熱要素の異なる例示的構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明によれば、加熱要素が、支持構造体と熱接触して提供され、温度が急に遷移した際に支持構造体を加熱してコイルと支持構造体との間の界面歪みの差を小さくするように構成される。
【0028】
いくつかの実施形態では、加熱要素は、また、コイルと熱接触して提供され、温度が急に遷移した際に必要に応じてコイルを加熱してコイルと支持構造体との間の界面歪みの差を小さくするように構成される。
【0029】
温度を急に変化させる2つの最も一般的な事象は、クエンチと初期冷却である。
【0030】
クエンチの際、前述のように、コイルが急に熱くなり、超電導状態から抵抗状態への転移によってエネルギーがコイル内に放散され、典型的にはコイルの方が熱膨張率が大きいので、コイルが、支持構造体より大きくかつ速く膨張する傾向がある。
【0031】
初期冷却の際、コイルと支持構造体は、含まれる材料のそれぞれの熱伝導率と熱膨張率に応じて異なる割合で収縮する。
【0032】
温度変化の結果として起こる最終的なコイルと支持構造体のサイズの変化と、その結果生じる定常状態の界面歪みは、コイルと支持構造体のそれぞれの熱膨張率に依存する。
【0033】
本発明によれば、コイルの温度変化の際にコイルと支持構造体間の界面歪みの差を最小にするために支持構造体を加熱する構成が提供される。
【0034】
本発明によれば、支持構造体を加熱する構成は、また、クールダウンとランピングの際の構造的湾曲によるコイルの内部応力を最小にし、したがってコイル内のエポキシ樹脂の亀裂の原因の1つを緩和する。
【0035】
本発明の一実施形態において、支持構造体内または支持構造体の表面に、加熱要素として使用する線などの抵抗導体が提供される。特定の構成は、支持構造体に使用される材料に依存する。例えば、支持構造体が、GRPなどの複合材料のものである場合は、製造するときに抵抗線を支持構造体に埋め込むことが比較的簡単である。他方、支持構造体がアルミニウムで作成される場合は、抵抗線がアルミニウム支持構造体から電気的に分離されかつそのアルミニウム支持構造体と熱接触するように、抵抗線を支持構造体の表面に取り付ける方が実際的である。
【0036】
特定の実施形態において、抵抗導体は、クエンチ保護回路への適切な接続によって、コイルに流れる電流の一定割合が流れるように構成される。
【0037】
図5は、本発明の一実施形態に使用されることがある既知の超電導電磁石に提供されたような典型的なクエンチ保護回路の一例を示す。コイル10は、2個の超電導スイッチ22と24を介して直列に接続される。各超電導スイッチは、概略的に26で表された超電導スイッチ線と、28で表わされたスイッチヒータとを含む。使用の際、スイッチ22は閉状態にある。スイッチ22の超電導線26は、コイル10に適用される冷凍装置によって、その超電導転移温度より低い温度に冷却される。閉状態では超電導コイルと超電導スイッチによって電力がバイパスされるので、スイッチ22のヒータ28には電力が供給されない。超電導スイッチ24は、電磁コイル10への電流の導入と電磁コイル10からの電流の除去を制御するために使用される。電流が導入され除去される場合、スイッチヒータ28に電力が供給される。これにより、スイッチ線26がクエンチされ、外部磁石電源ユニット(図示せず)が、必要に応じてコイル10に電流を導入しまたはコイル10から除去することが可能になる。所望の電流レベルに達した後で、スイッチヒータ28への電力が断たれ、スイッチ線26が、その転移温度より低く冷却され、超電導回路が完成する。
【0038】
電流がコイル10に流れている間にコイル10にクエンチが起こると、そのコイルの両端に電圧が生じる。コイル10に流れる電流が減少し始め、他のコイルの両端に反対の電圧が生じる。これらの電圧によって、スイッチヒータ28の両側に電圧が生じ、スイッチヒータ28に電力が供給される。これにより、スイッチ線26がクエンチし、抵抗性になる。スイッチ線26の両端に電圧が生じ、本発明の加熱装置40に接続部30を介して一部の電流が分流される。従来通り、コイル10に熱的に結合されたクエンチヒータ(図示せず)にも一部の電流が提供される。この電流は、クエンチしていないコイルを加熱し、それらのコイルをすべてクエンチし、それにより、クエンチによって生じる熱が拡散され、最初にクエンチしていたコイルが過熱から守られる。本発明のヒータをクエンチ保護回路に接続することによって、支持構造体が加熱され、コイルと支持構造体との間の界面歪みの差を小さくすることができ、それにより、クエンチによる破損の危険を低減することができる。
【0039】
図6は、代替の多少単純な構成を示す。ここでは、電流をコイル10に導入するか電流をコイル10から除去するときに使用するために1つの超電導スイッチ24しか提供されない。コイル10のどれか1つにクエンチが生じた場合、そのコイルは、突然抵抗性になり、そのコイルの両端に電圧差が生じる。誘導コイルが、クエンチされたコイルによって起こる電流の減少に抵抗するので、他のコイルの両端に逆電圧が生じる。従って、出力部32に電圧が生じ、これは、本発明により提供された加熱装置40に電力供給するために使用される。従来通り、コイル10に熱的に結合されたクエンチヒータ(図示せず)に一部の電流が提供される。この電流は、クエンチされていないコイルを加熱し、それらのコイルをすべてクエンチし、その結果、クエンチによって生じる蓄積エネルギーの放散が、すべての電磁コイルに共有され、これにより、最初にクエンチしていたコイルの加熱が防止される。本発明の加熱要素をクエンチ保護回路に接続することによって、支持構造体が加熱され、コイルと支持構造体との間の界面歪みの差が減少し、クエンチによる破損の危険が低下する。
【0040】
本発明の別の用途では、半径方向外側面によって支持された従来の磁石端コイルのクエンチの際に、加熱要素を使用して支持構造物を加熱して表面歪みの差を小さくしてもよい。
【0041】
図7は、従来構造の「端」コイル70の軸方向部分断面を示す。そのような従来の構成では、端コイルは、その軸方向内側面(B1)と半径方向外側面(A2)が、コイル支持構造体74の残りの部分に取り付けられた支持リング72によって支持される。コイルは、支持構造体に結合されていないが、コイルと支持体との間に、コイルが支持構造体に対して動くことを可能にする滑り面を構成する材料層を有する。使用の際、そのような端コイルは、端コイルによって生成された磁界と磁石の残りの部分によって生成された磁界との相互作用によって引き起こされた円周方向応力により膨張する傾向がある。
【0042】
端コイル70内でクエンチが生じた場合、コイルは急に熱くなり膨張する。この膨張により生じる直径の増大により、図8に示されように支持リング72が押され、コイルと支持リングが変形する。そのような変形は、例えばコイル70の巻線間の樹脂結合を破壊することにより、コイルの構造に機械的破損をもたらすことがある。
【0043】
また、コイルのそのような膨張は、支持構造体を曲げ、支持リングの永久歪みを発生させ、その結果、コイル70の支持が不適切になり、コイルの大きな動きのためにコイルがクエンチする。
【0044】
本発明の一実施形態では、支持リング72と熱接触した加熱装置が提供される。クエンチの場合、加熱装置は、支持リングを加熱して他の状況よりも素早く膨張させ、端コイル70と支持リング72との間の歪みの差を小さくする。
【0045】
以下の計算は、本発明の一実施形態により、図4に示されたような典型的な磁石から、コイルが達する熱歪みと類似の熱歪みを生じる温度まで類似の時間内で加熱し、それによりコイルと支持構造体との間の剪断応力を減少させるのに十分なエネルギーを得ることができることを示す。
【0046】
支持構造体18の温度を高めるために必要とされる熱Qは、下記[数1]、即ち、所定の質量mの材料の初期温度から最終温度までのエンタルピーの変化から算出することができる。エンタルピーの変化は、比熱容量Cpの温度変化にわたる積分から算出される。
【0047】
【数1】
【0048】
ここで、mは、構造体の全質量であり、T1とT2は、それぞれ初期温度と最終温度であり、H(T)は、温度Tにおける該当材料のエンタルピーであり、熱容量の積分である。
【0049】
典型的な3テスラ超電導電磁石に蓄積された電気エネルギーは、約12MJであり、電気的に蓄積された磁石エネルギーの一部分を磁石から抽出し、支持構造体18の加熱に利用することができる。
【0050】
コイルのクエンチ温度変化、熱膨張率、支持構造体の質量、およびクエンチの際のエンタルピー変化が与えられた場合、熱歪みの差を最小にするために必要なエネルギーを、特定の磁石設計とコイルのクエンチシナリオに関して最適化することができ、加熱要素は、表面歪みの差を確実に最小にするように設計され提供される。
【0051】
次に、例として、本発明の特定の実施形態による加熱要素の一例を説明する。
【0052】
図9の例では、分割された支持構造体を磁石電流によって加熱するために、前述の例と同じように、支持構造体部分18がそれぞれ、各部分内または各部分上に巻き付けられた抵抗線によって構成された加熱要素42を備える。あるいは、図10に示されたように、ヒートシンクとして働く支持構造体18に、抵抗ヒータ44が、ボルト締めまたは他の方法で取り付けられる。クエンチの際、図5と図6に示されたような回路を使用することによって、コイル電流の一部が、これらの抵抗線またはヒータに分流される。その結果起こるオーム加熱が、支持構造体18を加熱し、支持構造体に必要な歪みを作り出すのに必要なエネルギーを提供する。
【0053】
図11に示された代替構成では、支持構造体18を加熱するために提供された加熱要素は、クエンチ保護回路にも磁石構造のコイルにも電気的に接続されない。支持構造体18の加熱要素46はそれぞれ、支持体18に巻き付けられた線の電気短絡閉ループによって構成される。クエンチの際、変化する磁界が、支持構造体内のこの閉回路に誘導的に結合し、それにより渦電流が生じ、支持構造体の抵抗加熱が行われる。この閉ループ誘導性回路46は、誘導コイルによって提供された抵抗加熱による構造体へのエネルギーと比較して、支持構造体を構成する合成物の導電率と熱膨張率を適切に選択することによって、必要な加熱を行い、したがって支持構造体の歪みを生成するように設計される。
【0054】
図12は、別の代案を示し、抵抗線48が、支持構造体全体の隣り合ったコイルの間に巻き付けられている。
【0055】
2つのコイルに結合された支持構造体の場合は、構造体内の電気回路をその長さに沿って変化させて、2つのコイルの歪みの差を補償することができる。同様に、抵抗線42または抵抗ヒータ44の分布が、各コイルの近くに必要な歪みを提供するように適応されてもよい。この概念は、軸方向、半径方向および円周方向の歪みのいずれかまたは全てに適用することができる。
【0056】
コイル10と支持構造体18との間の異なる熱歪みの問題は、電流をコイルに導入するのに備えて、超電導電磁石を室温から低温に冷却して、NbTiフィラメントを抵抗状態から超電導状態に転移させるときにも起こる。これは特に、冷却がきわめて素早く行われるように、液体ヘリウムの追加に備えて、窒素などの犠牲的極低温媒体を追加することにより磁石をあらかじめ冷却する場合に当てはまる。問題は、例えば極低温冷凍機の動作によって磁石がよりゆっくり冷却される構成で起こることもある。異なる材料は熱収縮率が異なり、それは熱膨張率と熱伝導率の両方の差によるものであり、その結果、冷却中にコイル10と支持構造体18との界面に高い機械的応力が生じることがある。これに対する解決策は、支持構造体とコイルの冷却速度を、これらの各材料内でヒータを使用することによって制御することである。磁石を冷却する際には超電導電磁石からの磁界に変化がないので、そのようなヒータに、磁石への電磁結合によって電力供給することはできない。より正確に言うと、ヒータは、磁石または適切に適応された個別のクエンチ保護回路への電気接続、または冷却プロセス中にこの特定の目的のために提供された回路への電気接続によって電力供給されなければならない。
【0057】
前述のアルミニウムスペーサ18と類似の形状のスペーサは、アルミニウム、ステンレス鋼または銅の樹脂含浸コイルから構成されてもよい。これらのコイルは、電気的に接続され、クエンチ回路または冷却段階中に電流を提供する回路に接続されてもよい。あるいは、スペーサ内のコイルは、導電性ループを構成するように電気的に短絡されてもよく、クエンチ事象中の減少磁界と誘導的に結合し、その結果、クエンチ事象中にコイルに電流が誘導され、それによりスペーサが加熱される。あるいは、またはさらに、スペーサは、クエンチの際に超電導電磁石の減少磁界から誘導的に電力を受け取るように構成されてもよい。この目的のために、いくつかのスペーサが、直列に電気的に接続されてもよく、各スペーサ内のコイルが、閉ループに短絡されてもよい。
【0058】
本発明によれば、本発明の特定の実施形態では、コイルおよび隣接した支持構造体の両方が、クエンチの際および追加または代替として冷却段階の際に類似の歪みを有するように、超電導コイルを保持する支持構造体が加熱される。本発明の実施形態において、支持構造体に使用される材料の機械強度と極低温の耐性だけでなく、スペーサの熱伝導率と熱膨張率が考慮されるべきである。
【0059】
本発明は、超電導コイルが環状の実施形態を特に参照して説明したが、本発明は、任意の形状のコイルを有する超電導電磁石に適用されてもよい。
【0060】
本発明は、アルミニウムなどの導電性材料の支持構造体、およびガラス繊維強化プラスチック合成物などの非導電性材料の支持構造体に適用されてもよい。
【0061】
本発明は、特定タイプの支持構造体に関連して説明されたが、本発明は、コイルが支持構造体に結合された任意の超電導電磁石構造に適用できる。
【0062】
本発明は、限定された数の特定の実施形態に関連して説明されたが、多数の変形および変更が当業者には明らかであろう。本発明の範囲は、特許請求の範囲に特定された通りである。
【符号の説明】
【0063】
10 コイル
12 巻型
14 支持構造体
16 支持要素
18 支持構造体(支持ブロック)
22,24 超電導スイッチ
42 加熱要素
44 抵抗ヒータ
46 加熱要素(閉ループ誘導性回路)
48 抵抗線
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持構造体に結合された超電導線コイルを有する超電導電磁石に関する。
【0002】
特に、本発明は、組立体の温度が急に変化した場合にコイルと支持構造体との間に熱により生じる応力を減少させるような組立体の改良に関する。
【0003】
本発明は、特に、実質的に円筒形の環状コイル組立体を有し、共通軸のまわりに並べられているがその軸に沿って互いにずらされた電磁石に関する。そのような構成は、一般にソレノイド磁石と呼ばれるが、厳密に言うとソレノイドではない場合がある。
【背景技術】
【0004】
図1から図4は、ソレノイド磁石として支持構造体に結合されたコイルの配列の一例を概略的に示す。
【0005】
図1は、超電導線のコイル10が巻型12内の環状空洞に巻き込まれた周知の従来の構成を示す(特許文献1参照)。構造体は、実質的に軸A−Aに関して360度の対称性を有し、また実質的に平面B−Bに関して反射対称性を有する。巻型は、典型的には、環状溝が形成された旋削アルミニウム管である。あまり一般的でない他の変形では、巻型は、モールド成形され、または、ガラス繊維強化エポキシ樹脂などの複合材料に旋削される。典型的な製造工程では、コイル10は、コイル内で線を結合する硬化材料(典型的にはエポキシ樹脂)で含浸される。コイル10は、典型的には、コイルと巻型の間に滑り面を作成する材料を使用することにより、半径方向内側面(A1面として知られる)、軸方向内側面(B1面として知られる)、および軸方向外側面(B2面として知られる)で巻型12から絶縁される。これらの寸法は、磁石中心に対して定義される。代替の実施形態では、コイルは、すべての面で支持構造体に結合されてもよい。
【0006】
図1に示されたように、面A1およびA2は、それぞれ軸A−Aから半径A1,A2にあり、面B1およびB2は、それぞれ平面B−Bから軸方向変位量B1,B2にある。いわゆる「中心コイル」は、対称平面B−Bに対して、B1=0と対称平面によって反射されたB2とを有するように定義される。他のすべてのコイルは、対称平面によって反射されたB1とB2によって定義することができる。
【0007】
図2は、そのような巻型が提供されない代替構成を示す。代わりに、コイル10は、その外側面(面A2として知られる)が一般に実質的に円筒形状の支持構造体14に結合される。この構造体は、コイル10を型に巻き付け、ガラス繊維布などの充填材料をコイルの半径方向外側面の上に巻き付け、構造体全体にエポキシ樹脂などの硬化材料を含浸させることによって製造される。従って、コイル10は、半径方向外側(A2)面のみにより支持構造体14に結合される。
【0008】
図3は、別の可能性を示す。ここで、コイル10は、複数の支持要素16の間に巻き付けられる。コイル10は、例えばエポキシ樹脂などの硬化材料によって複数の支持要素16に結合される。したがって、コイル10は、その軸方向内側(B1)面と軸方向外側(B2)面だけで複数の支持要素16を含む支持構造体に結合される。そのような構造体は、複数の支持要素16を巻管に一時的に取り付け、支持構造体の間の巻管上にコイル10を巻き、コイル10にエポキシ樹脂などの硬化材料を含浸させることによって形成され、硬化材料は、複数のコイル10を複数の支持要素16に結合する働きもする。
【0009】
図3の支持要素16は、機械的強度、熱膨張率、密度の適切な特性を有するアルミニウム、複合材料または任意の材料の環状片とすることができる。適切な材料には、金属(典型的に、アルミニウムとステンレス鋼)、商標Tufnol,Durostoneで知られるような複合材料、ガラス玉または布が埋め込まれた種々のエポキシ樹脂、または機械強度、ヤング率および熱膨張率の適切な特性を有する材料の任意の他の組み合わせが挙げられる。
【0010】
図4は、図3の構成の変形例の部分切断図を示し、図3の複数の環状支持要素16が、コイルの軸方向面のまわりの円周方向に離間された支持ブロック18によって置き換えられている。
【0011】
この構造体は、図3の構造体を製造するために説明された方法と類似の方法によって製造されてもよいが、支持ブロック18の適正な間隔を保証し、コイルの巻線を支持し、含浸工程中に樹脂を排除するためにスペーサブロック(図示せず)が複数の支持ブロック18間に位置決めされる。そのようなスペーサブロックは、樹脂含浸後に構造体から除去することができる。
【0012】
従って、この構成では、コイル10は、その軸方向内側面(B1)と軸方向外側面(B2)だけで、また円周方向に離間された場所でのみ、支持ブロック18を含む支持構造体に結合される。
【0013】
図4の支持ブロック18は、適切な機械強度、熱膨張率および密度の特性を有するアルミニウム、複合材料または任意の材料でよい。適切な材料には、金属(典型的には、アルミニウムとステンレス鋼)、商標Tufnol,Durostoneで販売されているような複合材料、ガラス玉または布が埋め込まれた種々のエポキシ樹脂、適切な機械強度、ヤング率および熱膨張率の特性を有する材料の他の組み合わせが挙げられる。
【0014】
コイル10は、典型的には銅マトリックス中の複数のNbTiフィラメントのマトリックスで構成された超電導線で作成される。巻かれた線は、エポキシ樹脂などのきわめて薄い電気絶縁層によって分離される。しかしながら、コイルの熱膨張率と熱伝導率は、円周方向では銅のものと近い。半径方向と軸方向で、熱膨張率は、線と樹脂の複合層の熱膨張率の組み合わせによって決定される。
【0015】
支持構造体の材料、例えばアルミニウムまたはGRP(ガラス繊維強化プラスチック)は、ある程度異なる熱伝導率と熱膨張率を有する。コイルと支持構造体の組立体が、急な温度変化を受けると、コイルと支持構造体は、異なる程度まで異なる割合で膨張または収縮する。比較的低い熱伝導率を有する材料の場合は、温度変化はゆっくりしか効果を現さないが、高い熱伝導率を有する材料の場合は、温度変化はより早く効果を現す。さらに、より大きい熱膨張率を有する材料は、温度変化の結果、小さい熱膨張率の材料よりも大きく膨張または収縮する。
【0016】
材料が温度によって膨張または収縮するので、材料の寸法が変化する比率として歪の値が定義されることがある。例えば、長さdの物体が、長さΔdだけ変化した場合、関連歪みは、Δd/dと表される。
【0017】
異なる材料の歪値は、それらの温度変化が類似している場合でも異なる。
【0018】
前述のコイル組立体のいずれでも、コイルの歪は、隣り合った支持構造体の歪みと異なる。これは、結合界面のせん断歪によりコイルと支持構造体との結合界面を破損させる危険がある。その結果、使用中に、コイルにかかる機械力が、コイルを動かし、支持構造体に結合されたコイルの界面に亀裂を作り、コイルの曲がりが応力と内部亀裂を発生させ、これが、クエンチの原因になることがある。
【0019】
クエンチの際、超電導電磁石の磁界に蓄積されたエネルギーは、典型的には支持構造体との機械的相互作用、コイル内の樹脂の内部亀裂、または線の過度の緊張によって生じる熱によって引き起こされる超電導状態の乱れのために、コイルと超電導磁石内で急に熱に放散される。多くの既知の構成が、エネルギーをいくつかのコイルにわたって拡散させ、その後で1つのコイルにクエンチが起こる。しかしながら、この結果、コイルが素早く加熱されるが、コイルに結合された支持構造体は、同じように迅速には熱くならない。この結果、コイルと支持構造体間に表面歪みの差が生じ、コイルと支持構造体との結合が破損する危険がある。
【0020】
図1に示されたような、コイルと支持構造体との間に滑り面を有する磁石構造では、コイルが、支持構造体と無関係に動くことができ、したがって、コイルと巻型と間の破壊は、スティックスリップ問題に限定される。コイルが巻型に結合された状態の図1に示されたものと類似の磁石構造では、コイルと巻型との間の結合の破壊が、クエンチをまねくことがある。
図2に示されたような磁石構造では、コイル10と支持構造体14との間の結合の破壊によって、コイルがある程度軸方向に動くことがあり、これがクエンチをまねくことがある。
【0021】
図3と図4に示されたような磁石構造では、コイル10と支持構造体16,18との間の結合の破壊によって、実質的にコイルと支持要素との間の結合によってのみ保持された構造体の機械的完全性が全体的に破壊されることがある。結合の破壊は磁石のクエンチの原因となることがある亀裂の形態をとることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特表2008−541466
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
従って、本発明は、コイルが急な温度変化を受けるときにコイルと隣接した支持構造体との間の界面歪みの差を小さくする方法および装置を提供することを目的とする。そのような温度変化の例には、動作温度への磁石の初期冷却と、クエンチの際の磁石の加熱が挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、特許請求の範囲で特定されたような装置を提供する。
即ち、「支持構造体に結合された超電導線コイルを有し、隣り合ったコイルの間で円周方向に離間された場所に配設された複数の支持ブロックを有する超電導電磁石であって、前記複数の支持ブロックを加熱するために前記支持ブロックと熱接触した複数の電気抵抗性加熱要素が設けられたことを特徴とする。」
また、「超電導線コイルが巻かれた環状空洞を有する巻型を備える支持構造体に結合された超電導線コイルを有する超電導電磁石であって、電気抵抗性加熱要素が、前記巻型を加熱するために前記巻型と熱接触して設けられたことを特徴とする。」
さらに、「実質的に円筒状の支持構造体に半径方向外側面が結合された超電導線コイルを有する超電導電磁石であって、加熱要素が、実質的に円筒状の支持構造体と熱接触して設けられたことを特徴とする。」
【0025】
本発明の上記およびその他の目的、特徴および利点は、図面に示す実施形態の例に関する以下の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】支持構造体に結合されたコイルを含むソレノイド超電導電磁石の例を示す図である。
【図2】支持構造体に結合されたコイルを含むソレノイド超電導電磁石の異なる例を示す図である。
【図3】支持構造体に結合されたコイルを含むソレノイド超電導電磁石の異なる例を示す図である。
【図4】支持構造体に結合されたコイルを含むソレノイド超電導電磁石の異なる例を示す図である。
【図4A】本発明の実施形態の一例で使用される支持体部分の概略図である。
【図5】従来のクエンチ保護回路の例を示す図である。
【図6】従来のクエンチ保護回路の別の例を示す図である。
【図7】従来の構造の「端」コイル70の軸方向部分断面図である。
【図8】端コイルの膨張により変形した図7の構造体を示す図である。
【図9】本発明の実施形態の一例による支持構造体に結合された加熱要素の例示的構成を示す図である。
【図10】本発明の実施形態の一例による支持構造体に結合された加熱要素の異なる例示的構成を示す図である。
【図11】本発明の実施形態の一例による支持構造体に結合された加熱要素の異なる例示的構成を示す図である。
【図12】本発明の実施形態の一例による支持構造体に結合された加熱要素の異なる例示的構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明によれば、加熱要素が、支持構造体と熱接触して提供され、温度が急に遷移した際に支持構造体を加熱してコイルと支持構造体との間の界面歪みの差を小さくするように構成される。
【0028】
いくつかの実施形態では、加熱要素は、また、コイルと熱接触して提供され、温度が急に遷移した際に必要に応じてコイルを加熱してコイルと支持構造体との間の界面歪みの差を小さくするように構成される。
【0029】
温度を急に変化させる2つの最も一般的な事象は、クエンチと初期冷却である。
【0030】
クエンチの際、前述のように、コイルが急に熱くなり、超電導状態から抵抗状態への転移によってエネルギーがコイル内に放散され、典型的にはコイルの方が熱膨張率が大きいので、コイルが、支持構造体より大きくかつ速く膨張する傾向がある。
【0031】
初期冷却の際、コイルと支持構造体は、含まれる材料のそれぞれの熱伝導率と熱膨張率に応じて異なる割合で収縮する。
【0032】
温度変化の結果として起こる最終的なコイルと支持構造体のサイズの変化と、その結果生じる定常状態の界面歪みは、コイルと支持構造体のそれぞれの熱膨張率に依存する。
【0033】
本発明によれば、コイルの温度変化の際にコイルと支持構造体間の界面歪みの差を最小にするために支持構造体を加熱する構成が提供される。
【0034】
本発明によれば、支持構造体を加熱する構成は、また、クールダウンとランピングの際の構造的湾曲によるコイルの内部応力を最小にし、したがってコイル内のエポキシ樹脂の亀裂の原因の1つを緩和する。
【0035】
本発明の一実施形態において、支持構造体内または支持構造体の表面に、加熱要素として使用する線などの抵抗導体が提供される。特定の構成は、支持構造体に使用される材料に依存する。例えば、支持構造体が、GRPなどの複合材料のものである場合は、製造するときに抵抗線を支持構造体に埋め込むことが比較的簡単である。他方、支持構造体がアルミニウムで作成される場合は、抵抗線がアルミニウム支持構造体から電気的に分離されかつそのアルミニウム支持構造体と熱接触するように、抵抗線を支持構造体の表面に取り付ける方が実際的である。
【0036】
特定の実施形態において、抵抗導体は、クエンチ保護回路への適切な接続によって、コイルに流れる電流の一定割合が流れるように構成される。
【0037】
図5は、本発明の一実施形態に使用されることがある既知の超電導電磁石に提供されたような典型的なクエンチ保護回路の一例を示す。コイル10は、2個の超電導スイッチ22と24を介して直列に接続される。各超電導スイッチは、概略的に26で表された超電導スイッチ線と、28で表わされたスイッチヒータとを含む。使用の際、スイッチ22は閉状態にある。スイッチ22の超電導線26は、コイル10に適用される冷凍装置によって、その超電導転移温度より低い温度に冷却される。閉状態では超電導コイルと超電導スイッチによって電力がバイパスされるので、スイッチ22のヒータ28には電力が供給されない。超電導スイッチ24は、電磁コイル10への電流の導入と電磁コイル10からの電流の除去を制御するために使用される。電流が導入され除去される場合、スイッチヒータ28に電力が供給される。これにより、スイッチ線26がクエンチされ、外部磁石電源ユニット(図示せず)が、必要に応じてコイル10に電流を導入しまたはコイル10から除去することが可能になる。所望の電流レベルに達した後で、スイッチヒータ28への電力が断たれ、スイッチ線26が、その転移温度より低く冷却され、超電導回路が完成する。
【0038】
電流がコイル10に流れている間にコイル10にクエンチが起こると、そのコイルの両端に電圧が生じる。コイル10に流れる電流が減少し始め、他のコイルの両端に反対の電圧が生じる。これらの電圧によって、スイッチヒータ28の両側に電圧が生じ、スイッチヒータ28に電力が供給される。これにより、スイッチ線26がクエンチし、抵抗性になる。スイッチ線26の両端に電圧が生じ、本発明の加熱装置40に接続部30を介して一部の電流が分流される。従来通り、コイル10に熱的に結合されたクエンチヒータ(図示せず)にも一部の電流が提供される。この電流は、クエンチしていないコイルを加熱し、それらのコイルをすべてクエンチし、それにより、クエンチによって生じる熱が拡散され、最初にクエンチしていたコイルが過熱から守られる。本発明のヒータをクエンチ保護回路に接続することによって、支持構造体が加熱され、コイルと支持構造体との間の界面歪みの差を小さくすることができ、それにより、クエンチによる破損の危険を低減することができる。
【0039】
図6は、代替の多少単純な構成を示す。ここでは、電流をコイル10に導入するか電流をコイル10から除去するときに使用するために1つの超電導スイッチ24しか提供されない。コイル10のどれか1つにクエンチが生じた場合、そのコイルは、突然抵抗性になり、そのコイルの両端に電圧差が生じる。誘導コイルが、クエンチされたコイルによって起こる電流の減少に抵抗するので、他のコイルの両端に逆電圧が生じる。従って、出力部32に電圧が生じ、これは、本発明により提供された加熱装置40に電力供給するために使用される。従来通り、コイル10に熱的に結合されたクエンチヒータ(図示せず)に一部の電流が提供される。この電流は、クエンチされていないコイルを加熱し、それらのコイルをすべてクエンチし、その結果、クエンチによって生じる蓄積エネルギーの放散が、すべての電磁コイルに共有され、これにより、最初にクエンチしていたコイルの加熱が防止される。本発明の加熱要素をクエンチ保護回路に接続することによって、支持構造体が加熱され、コイルと支持構造体との間の界面歪みの差が減少し、クエンチによる破損の危険が低下する。
【0040】
本発明の別の用途では、半径方向外側面によって支持された従来の磁石端コイルのクエンチの際に、加熱要素を使用して支持構造物を加熱して表面歪みの差を小さくしてもよい。
【0041】
図7は、従来構造の「端」コイル70の軸方向部分断面を示す。そのような従来の構成では、端コイルは、その軸方向内側面(B1)と半径方向外側面(A2)が、コイル支持構造体74の残りの部分に取り付けられた支持リング72によって支持される。コイルは、支持構造体に結合されていないが、コイルと支持体との間に、コイルが支持構造体に対して動くことを可能にする滑り面を構成する材料層を有する。使用の際、そのような端コイルは、端コイルによって生成された磁界と磁石の残りの部分によって生成された磁界との相互作用によって引き起こされた円周方向応力により膨張する傾向がある。
【0042】
端コイル70内でクエンチが生じた場合、コイルは急に熱くなり膨張する。この膨張により生じる直径の増大により、図8に示されように支持リング72が押され、コイルと支持リングが変形する。そのような変形は、例えばコイル70の巻線間の樹脂結合を破壊することにより、コイルの構造に機械的破損をもたらすことがある。
【0043】
また、コイルのそのような膨張は、支持構造体を曲げ、支持リングの永久歪みを発生させ、その結果、コイル70の支持が不適切になり、コイルの大きな動きのためにコイルがクエンチする。
【0044】
本発明の一実施形態では、支持リング72と熱接触した加熱装置が提供される。クエンチの場合、加熱装置は、支持リングを加熱して他の状況よりも素早く膨張させ、端コイル70と支持リング72との間の歪みの差を小さくする。
【0045】
以下の計算は、本発明の一実施形態により、図4に示されたような典型的な磁石から、コイルが達する熱歪みと類似の熱歪みを生じる温度まで類似の時間内で加熱し、それによりコイルと支持構造体との間の剪断応力を減少させるのに十分なエネルギーを得ることができることを示す。
【0046】
支持構造体18の温度を高めるために必要とされる熱Qは、下記[数1]、即ち、所定の質量mの材料の初期温度から最終温度までのエンタルピーの変化から算出することができる。エンタルピーの変化は、比熱容量Cpの温度変化にわたる積分から算出される。
【0047】
【数1】
【0048】
ここで、mは、構造体の全質量であり、T1とT2は、それぞれ初期温度と最終温度であり、H(T)は、温度Tにおける該当材料のエンタルピーであり、熱容量の積分である。
【0049】
典型的な3テスラ超電導電磁石に蓄積された電気エネルギーは、約12MJであり、電気的に蓄積された磁石エネルギーの一部分を磁石から抽出し、支持構造体18の加熱に利用することができる。
【0050】
コイルのクエンチ温度変化、熱膨張率、支持構造体の質量、およびクエンチの際のエンタルピー変化が与えられた場合、熱歪みの差を最小にするために必要なエネルギーを、特定の磁石設計とコイルのクエンチシナリオに関して最適化することができ、加熱要素は、表面歪みの差を確実に最小にするように設計され提供される。
【0051】
次に、例として、本発明の特定の実施形態による加熱要素の一例を説明する。
【0052】
図9の例では、分割された支持構造体を磁石電流によって加熱するために、前述の例と同じように、支持構造体部分18がそれぞれ、各部分内または各部分上に巻き付けられた抵抗線によって構成された加熱要素42を備える。あるいは、図10に示されたように、ヒートシンクとして働く支持構造体18に、抵抗ヒータ44が、ボルト締めまたは他の方法で取り付けられる。クエンチの際、図5と図6に示されたような回路を使用することによって、コイル電流の一部が、これらの抵抗線またはヒータに分流される。その結果起こるオーム加熱が、支持構造体18を加熱し、支持構造体に必要な歪みを作り出すのに必要なエネルギーを提供する。
【0053】
図11に示された代替構成では、支持構造体18を加熱するために提供された加熱要素は、クエンチ保護回路にも磁石構造のコイルにも電気的に接続されない。支持構造体18の加熱要素46はそれぞれ、支持体18に巻き付けられた線の電気短絡閉ループによって構成される。クエンチの際、変化する磁界が、支持構造体内のこの閉回路に誘導的に結合し、それにより渦電流が生じ、支持構造体の抵抗加熱が行われる。この閉ループ誘導性回路46は、誘導コイルによって提供された抵抗加熱による構造体へのエネルギーと比較して、支持構造体を構成する合成物の導電率と熱膨張率を適切に選択することによって、必要な加熱を行い、したがって支持構造体の歪みを生成するように設計される。
【0054】
図12は、別の代案を示し、抵抗線48が、支持構造体全体の隣り合ったコイルの間に巻き付けられている。
【0055】
2つのコイルに結合された支持構造体の場合は、構造体内の電気回路をその長さに沿って変化させて、2つのコイルの歪みの差を補償することができる。同様に、抵抗線42または抵抗ヒータ44の分布が、各コイルの近くに必要な歪みを提供するように適応されてもよい。この概念は、軸方向、半径方向および円周方向の歪みのいずれかまたは全てに適用することができる。
【0056】
コイル10と支持構造体18との間の異なる熱歪みの問題は、電流をコイルに導入するのに備えて、超電導電磁石を室温から低温に冷却して、NbTiフィラメントを抵抗状態から超電導状態に転移させるときにも起こる。これは特に、冷却がきわめて素早く行われるように、液体ヘリウムの追加に備えて、窒素などの犠牲的極低温媒体を追加することにより磁石をあらかじめ冷却する場合に当てはまる。問題は、例えば極低温冷凍機の動作によって磁石がよりゆっくり冷却される構成で起こることもある。異なる材料は熱収縮率が異なり、それは熱膨張率と熱伝導率の両方の差によるものであり、その結果、冷却中にコイル10と支持構造体18との界面に高い機械的応力が生じることがある。これに対する解決策は、支持構造体とコイルの冷却速度を、これらの各材料内でヒータを使用することによって制御することである。磁石を冷却する際には超電導電磁石からの磁界に変化がないので、そのようなヒータに、磁石への電磁結合によって電力供給することはできない。より正確に言うと、ヒータは、磁石または適切に適応された個別のクエンチ保護回路への電気接続、または冷却プロセス中にこの特定の目的のために提供された回路への電気接続によって電力供給されなければならない。
【0057】
前述のアルミニウムスペーサ18と類似の形状のスペーサは、アルミニウム、ステンレス鋼または銅の樹脂含浸コイルから構成されてもよい。これらのコイルは、電気的に接続され、クエンチ回路または冷却段階中に電流を提供する回路に接続されてもよい。あるいは、スペーサ内のコイルは、導電性ループを構成するように電気的に短絡されてもよく、クエンチ事象中の減少磁界と誘導的に結合し、その結果、クエンチ事象中にコイルに電流が誘導され、それによりスペーサが加熱される。あるいは、またはさらに、スペーサは、クエンチの際に超電導電磁石の減少磁界から誘導的に電力を受け取るように構成されてもよい。この目的のために、いくつかのスペーサが、直列に電気的に接続されてもよく、各スペーサ内のコイルが、閉ループに短絡されてもよい。
【0058】
本発明によれば、本発明の特定の実施形態では、コイルおよび隣接した支持構造体の両方が、クエンチの際および追加または代替として冷却段階の際に類似の歪みを有するように、超電導コイルを保持する支持構造体が加熱される。本発明の実施形態において、支持構造体に使用される材料の機械強度と極低温の耐性だけでなく、スペーサの熱伝導率と熱膨張率が考慮されるべきである。
【0059】
本発明は、超電導コイルが環状の実施形態を特に参照して説明したが、本発明は、任意の形状のコイルを有する超電導電磁石に適用されてもよい。
【0060】
本発明は、アルミニウムなどの導電性材料の支持構造体、およびガラス繊維強化プラスチック合成物などの非導電性材料の支持構造体に適用されてもよい。
【0061】
本発明は、特定タイプの支持構造体に関連して説明されたが、本発明は、コイルが支持構造体に結合された任意の超電導電磁石構造に適用できる。
【0062】
本発明は、限定された数の特定の実施形態に関連して説明されたが、多数の変形および変更が当業者には明らかであろう。本発明の範囲は、特許請求の範囲に特定された通りである。
【符号の説明】
【0063】
10 コイル
12 巻型
14 支持構造体
16 支持要素
18 支持構造体(支持ブロック)
22,24 超電導スイッチ
42 加熱要素
44 抵抗ヒータ
46 加熱要素(閉ループ誘導性回路)
48 抵抗線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造体に結合された超電導線コイル(10)を有し、隣り合ったコイルの間で円周方向に離間された場所に配設された複数の支持ブロック(18)を有する超電導電磁石であって、前記複数の支持ブロックを加熱するために前記支持ブロックと熱接触した複数の電気抵抗性加熱要素が設けられたことを特徴とする超電導電磁石。
【請求項2】
前記超電導線コイルが巻かれた環状空洞を有する巻型(12)を備える支持構造体に結合された超電導線コイル(10)を有する超電導電磁石であって、電気抵抗性加熱要素が、前記巻型を加熱するために前記巻型と熱接触して設けられたことを特徴とする超電導電磁石。
【請求項3】
実質的に円筒状の支持構造体(14)に半径方向外側面が結合された超電導線コイル(10)を有する超電導電磁石であって、加熱要素が、実質的に円筒状の支持構造体と熱接触して設けられたことを特徴とする超電導電磁石。
【請求項4】
前記加熱要素が、前記電磁石によって生成された磁界強度の変化の際に電気誘導によるエネルギーを受け取るように構成された閉ループ線を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の超電導電磁石。
【請求項5】
前記加熱要素が、前記支持構造体に機械的に取り付けられかつ電気接続を備え、それにより必要とされたときに電気エネルギーを受け取って前記支持構造体を加熱する電気抵抗器を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の超電導電磁石。
【請求項6】
前記加熱要素が、前記支持構造体上または前記支持構造体内に機械的に取り付けられかつ電気接続を備え、それにより必要とされたときに電気エネルギーを受け取って前記支持構造体を加熱する抵抗線コイルを有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の超電導電磁石。
【請求項7】
前記加熱要素が、クエンチ保護回路に接続され、それにより前記電磁石がクエンチした場合に電気エネルギーを受け取る、請求項5または請求項6に記載の超電導電磁石。
【請求項8】
前記閉ループは、前記電磁石がクエンチした場合に、前記電磁石の変化磁界が、前記閉ループ内に電流を誘導し、それにより前記閉ループと前記支持構造体とがオーム加熱されるように構成された、請求項4に記載の超電導電磁石。
【請求項9】
前記支持構造体が、非導電性材料からなる、請求項1から8のいずれか1項に記載の超電導電磁石。
【請求項10】
前記支持構造体が、導電性材料からなる、請求項1から8のいずれか1項に記載の超電導電磁石。
【請求項11】
線ループまたはコイルが、それぞれ支持構造体に形成された穴または空洞内に配置され、前記穴または空洞が、硬化材料で満たされた、請求項4または請求項6に記載の超電導電磁石。
【請求項12】
電力源が、前記超電導電磁石の冷却動作段階の際に前記支持構造体を加熱するために利用可能である、請求項1、2、3、5、6または7のいずれか1項に記載の超電導電磁石。
【請求項13】
前記支持構造体が、前記コイルのうちの1つを半径方向外側面で保持する支持リング(72)を有し、前記電気抵抗加熱要素のうちの少なくとも1つが、前記支持リングを加熱するように構成された、請求項1から12のいずれか1項に記載の超電導電磁石。
【請求項1】
支持構造体に結合された超電導線コイル(10)を有し、隣り合ったコイルの間で円周方向に離間された場所に配設された複数の支持ブロック(18)を有する超電導電磁石であって、前記複数の支持ブロックを加熱するために前記支持ブロックと熱接触した複数の電気抵抗性加熱要素が設けられたことを特徴とする超電導電磁石。
【請求項2】
前記超電導線コイルが巻かれた環状空洞を有する巻型(12)を備える支持構造体に結合された超電導線コイル(10)を有する超電導電磁石であって、電気抵抗性加熱要素が、前記巻型を加熱するために前記巻型と熱接触して設けられたことを特徴とする超電導電磁石。
【請求項3】
実質的に円筒状の支持構造体(14)に半径方向外側面が結合された超電導線コイル(10)を有する超電導電磁石であって、加熱要素が、実質的に円筒状の支持構造体と熱接触して設けられたことを特徴とする超電導電磁石。
【請求項4】
前記加熱要素が、前記電磁石によって生成された磁界強度の変化の際に電気誘導によるエネルギーを受け取るように構成された閉ループ線を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の超電導電磁石。
【請求項5】
前記加熱要素が、前記支持構造体に機械的に取り付けられかつ電気接続を備え、それにより必要とされたときに電気エネルギーを受け取って前記支持構造体を加熱する電気抵抗器を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の超電導電磁石。
【請求項6】
前記加熱要素が、前記支持構造体上または前記支持構造体内に機械的に取り付けられかつ電気接続を備え、それにより必要とされたときに電気エネルギーを受け取って前記支持構造体を加熱する抵抗線コイルを有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の超電導電磁石。
【請求項7】
前記加熱要素が、クエンチ保護回路に接続され、それにより前記電磁石がクエンチした場合に電気エネルギーを受け取る、請求項5または請求項6に記載の超電導電磁石。
【請求項8】
前記閉ループは、前記電磁石がクエンチした場合に、前記電磁石の変化磁界が、前記閉ループ内に電流を誘導し、それにより前記閉ループと前記支持構造体とがオーム加熱されるように構成された、請求項4に記載の超電導電磁石。
【請求項9】
前記支持構造体が、非導電性材料からなる、請求項1から8のいずれか1項に記載の超電導電磁石。
【請求項10】
前記支持構造体が、導電性材料からなる、請求項1から8のいずれか1項に記載の超電導電磁石。
【請求項11】
線ループまたはコイルが、それぞれ支持構造体に形成された穴または空洞内に配置され、前記穴または空洞が、硬化材料で満たされた、請求項4または請求項6に記載の超電導電磁石。
【請求項12】
電力源が、前記超電導電磁石の冷却動作段階の際に前記支持構造体を加熱するために利用可能である、請求項1、2、3、5、6または7のいずれか1項に記載の超電導電磁石。
【請求項13】
前記支持構造体が、前記コイルのうちの1つを半径方向外側面で保持する支持リング(72)を有し、前記電気抵抗加熱要素のうちの少なくとも1つが、前記支持リングを加熱するように構成された、請求項1から12のいずれか1項に記載の超電導電磁石。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−175110(P2012−175110A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−35140(P2012−35140)
【出願日】平成24年2月21日(2012.2.21)
【出願人】(509272285)シーメンス ピーエルシー (9)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月21日(2012.2.21)
【出願人】(509272285)シーメンス ピーエルシー (9)
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