説明

支持装置及び支持方法

【課題】静電気のスパークにより半導体ウエハ等の被着体の要部が損傷することを防止できるようにすること。
【解決手段】支持装置10は、半導体ウエハWF及びリングフレームRFを含む一体物WRを支持する第1及び第2支持面15、16を有する支持テーブル11と、半導体ウエハWF及びリングフレームRFに帯電した静電気を除去可能な除電手段12とを備えて構成されている。除電手段12は、支持テーブル11に支持された一体物WRに接触する受電部材23A、24Aと、一体物WRにおける第1及び第2支持面15、16からに対する接近又は離間動作に追従して受電部材23A、24Aを所定量移動可能な巻きばね23、24とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持装置及び支持方法に係り、更に詳しくは、支持対象物に所定の処理を施す装置に利用され、支持対象物に帯電した静電気を除去することができる支持装置及び支持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」と称する場合がある)等の被着体に所定の処理として接着シートを貼付するシート貼付装置が広く利用されるに至っており、かかるシート貼付装置としては、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1のシート貼付装置は、ウエハを支持する支持面を有する支持テーブルと、支持テーブルに支持されたウエハに接着シートを貼付する貼付ユニットと、支持テーブルにウエハを搬入及び搬出する搬送機構と、ウエハに貼付する前の保護テープと回収前の不要テープから静電気を除去する静電気除去装置とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−221469号公報
【特許文献2】特開2000−68293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記静電気除去装置を利用しても、もともと静電気が帯電したウエハを支持テーブルに載置するときや、接着シートの貼付動作によって静電気が帯電したウエハを支持テーブルから取り去るときに、当該ウエハや接着シートに帯電した静電気が支持テーブルに対してスパーク(火花を出して放電)し、ウエハ特にウエハに形成された回路を損傷させてしまう、という不都合を招来する。
【0005】
ここで、前述の現象は、特許文献2に開示されるシート剥離装置においても発生する傾向がある。同文献のシート剥離装置は、ウエハに貼付されている接着シートに剥離用テープを接着し、当該剥離用テープを引っ張ることで、ウエハから保護シートを剥離できるようになっている。この剥離装置でも、もともと静電気が帯電したウエハを支持テーブルに載置するときや、接着シートの剥離動作によって静電気が帯電したウエハを支持テーブルから取り去るときに、スパークが発生し、ウエハに形成された回路を損傷させてしまう、という不都合を招来する。
【0006】
[発明の目的]
本発明の目的は、静電気のスパークにより被着体の要部が損傷することを防止することができる支持装置及び支持方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、支持対象物を支持する支持面を有する支持テーブルと、この支持テーブルに支持された支持対象物に接触して当該被着体に帯電した静電気を除去可能な除電手段とを備え、
前記除電手段は、前記支持対象物に当接可能な受電部材と、前記支持対象物の前記支持面に対する接近又は離間動作に追従して前記受電部材を所定量移動可能に設けられた付勢手段を備える、という構成を採っている。
【0008】
また、本発明は、被着体に接着シートを貼付するシート貼付装置、又は、被着体から接着シートを剥離するシート剥離装置に利用される支持装置において、
前記被着体を含む支持対象物を支持する支持面を有する支持テーブルと、この支持テーブルに支持された支持対象物に接触して当該被着体に帯電した静電気を除去可能な除電手段とを備え、
前記除電手段は、前記支持対象物に当接可能な受電部材と、前記支持対象物の前記支持面に対する接近又は離間動作に追従して前記受電部材を所定量移動可能に設けられた付勢手段を備える、という構成を採っている。
【0009】
本発明において、前記支持対象物と受電部材とを相対移動可能な移動手段を有し、当該移動手段は、搬送される前記支持対象物の角部が最初又は最後に受電部材に当接可能に制御される、という構成を採ってもよい。
【0010】
また、前記移動手段は、外部から支持テーブル上へ搬送される支持対象物の所定部位を前記受電部材に一旦接近又は当接させてから離間させた後、再び前記支持対象物を前記受電部材に当接させて前記支持テーブル上に載置可能に制御される、という構成も好ましくは採用される。
【0011】
更に、前記移動手段は、前記支持テーブル上から外部へ搬送される支持対象物を前記受電部材から一旦離間させてから支持対象物の所定部位を前記受電部材に接近又は当接させた後、再び前記支持対象物を前記受電部材から離間可能に制御されるとよい。
【0012】
また、本発明の支持方法は、請求項1ないし5の何れかに記載の支持装置を用いた支持方法であって、
前記支持対象物を搬送するときに、前記支持対象物の前記支持面に対する接近又は離間動作に追従して前記受電部材を所定量移動させて支持対象物と受電部材との接触を維持す、という方法を採っている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、静電気が帯電した支持対象物を支持テーブル等の支持面に載置するときに、支持対象物と支持面との間でスパークが発生しない距離を隔てた位置で、支持対象物の限られた部位と受電部材とを接近させることができる。これによれば、例えば、支持対象物がウエハの場合、外縁から内側に向う約3mm幅の外周領域には回路が形成されることがないので、この領域が受電部材に当接するようにしたり、支持対象物がコンパクトディスク(CD)やデジタル多用途ディスク(DVD)等の光ディスクの場合、外縁から内側に向う約2mm幅の外周領域や、中央の穴に対する内縁から外側に向う約5mm幅の内周領域には情報記録層が形成されることがないので、これら領域が受電部材に当接するようにしたりしておけば、半導体回路や情報記録層が設けられている要部から支持面にスパークされることはなく、当該半導体回路や情報記録層がスパークによって損傷することを防止することができる。
また、接着シートを貼付したり剥離したり等の所定の処理が行われた支持対象物を支持テーブル等の支持面から取り去るときに、支持対象物と支持面との間でスパークが発生しない距離となるまで、受電部材が支持対象物に追従するので、支持対象物に帯電した静電気が支持面に対してスパークすることを防止し、このスパークに起因する被着体の損傷を防止することが可能となる。
なお、支持対象物を支持面から取り去るときも、支持対象物と支持面との間でスパークが発生しない距離を隔てた位置で、支持対象物の限られた部位と受電部材とを離間させることができる。これによれば、例えば、支持対象物がウエハや光ディスクの場合、上記と同様の外周領域や内周領域が最後に受電部材と離間するようにしておけば、半導体回路や情報記録層が設けられている要部から支持面にスパークされることはなく、当該半導体回路や情報記録層がスパークによって損傷することを防止することができる。
なお、支持対象物と支持面との間でスパークが発生しない距離とは、支持対象物の帯電量に左右されるが、0mmを超えて50mm程度が例示でき、支持対象物の帯電量が非常に大きい場合や雰囲気の環境条件等によっては、それ以上となる場合も考えられるので、付勢手段の移動量は、支持対象物の帯電量に応じて適宜選定することができる。
【0014】
また、支持対象物の角部が最初又は最後に受電部材に当接可能とすれば、スパーク(放電)は帯電物の角部等の尖った部分から起こりやすい傾向があるので、支持対象物に帯電した静電気を積極的に受電部材で除去することができる。
【0015】
また、支持対象物を受電部材に当接させる前、又は、受電部材から離間させた後に、支持対象物の所定部位を受電部材に接近又は当接可能とすれば、支持対象物に帯電した静電気を更に積極的に受電部材で除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態に係る支持装置の概略正面図。
【図2】(A)〜(F)は、巻きばねの動作要領の説明図。
【図3】第2実施形態に係る支持装置の概略正面図。
【図4】(A)及び(B)は、変形例に係る除電手段の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
なお、本明細書において、特に明示しない限り、「右」、「左」、「上」、「下」は、図1を基準として用いる。
【0018】
[第1実施形態]
第1実施形態の支持装置10は、図1中二点鎖線で示す位置に設けられるシート貼付装置SDに利用される。このシート貼付装置SDは、支持装置10により支持された被着体としてのウエハWF及びリングフレームRFに対し、接着シートとしてのマウント用シートMSを貼付してそれらを一体化可能に設けられている。なお、シート貼付装置SDは、本出願人によって出願された特開2000−68293号で示した転写テープマウントユニットと実質的に同一のものを採用することができるので、その詳細構造についての説明は省略する。
【0019】
前記支持装置10は、ウエハWF及びリングフレームRFを支持可能な支持テーブル11と、ウエハWF等に帯電した静電気を除去可能な除電手段12とを備えて構成されている。ウエハWFの下面には保護シートPSが貼付され、ウエハWFの保護シートPSが貼付されていない面側からマウント用シートMSが貼付される。
【0020】
前記支持テーブル11は、保護シートPSを吸着保持する第1支持面15と、この第1支持面15の外側において当該第1支持面15より低い位置に形成され、リングフレームRFを吸着保持する第2支持面16と、これら第1及び第2支持面15、16の間に立設してリングフレームRFの内周縁に接触し、当該リングフレームRFを位置決め可能な段差形成面17とを備えている。支持テーブル11は、駆動機器であって移動手段としての直動モータ19のスライダ20を介して左右方向に移動可能に設けられている。
【0021】
前記除電手段12は、第1、第2支持面15、16に形成された凹状の受容部15A、16A内に設けられた付勢手段としての巻きばね23、24と、これら巻きばね23、24のそれぞれの下端に一端側が接続され、他端側がアースされたケーブル25とを備えている。巻きばね23、24は、それぞれの上端側が上下方向に延び、保護シートPS、リングフレームRFに当接可能な受電部材23A、24Aとされ、各受電部材23A、24Aがばね23、24の弾性力により上下方向に移動可能に設けられている。これにより、受電部材23A、24Aが静電気を受電し、支持対象物に帯電した静電気をケーブル25を介してアースすることで、当該静電気を除去可能となっている。また、各受電部材23A、24Aは、無負荷状態で第1、第2支持面15、16から突出する一方、ウエハWF、リングフレームRFの負荷が加わると受容部15A、16A内に収まり、第1、第2支持面15、16に埋没するようになっており、これにより、受電部材23A、24AがウエハWF、リングフレームRFの第1、第2支持面15、16に対する接近又は離間に追従して所定量移動可能となっている。なお、各受電部材23A、24Aが無負荷状態で第1、第2支持面15、16から突出する長さは、各支持対象物と第1、第2支持面15、16との間でスパークが発生しない距離、たとえば、20mm程度に設定されている。
【0022】
次に、本実施形態におけるウエハWFの支持方法について説明する。
【0023】
図示しない搬送手段により、ウエハWFが搬送されてくると、図2(A)に示されるように、第1支持面15との間でスパークが発生しない距離を隔てた位置、本実施形態の場合、第1支持面15の上方20mmの位置でウエハWFは一旦停止される。その後、直動モータ19が駆動し、図2(B)示されるように、受電部材23Aを支持対象物としてのウエハWFの角部WF1又は、支持対象物としての保護シートPSの角部PS1に一旦接近又は当接させてから再度離間させるよう制御する。このように受電部材23Aを支持対象物に一旦接近又は当接させることで、ウエハWF又は保護シートPSが帯電していたとしても、要部である回路が形成された部位(ウエハWFの内部領域)から第1支持面15やその他の領域にスパークされることはなく、回路が形成されることのない外縁から内側に向う約3mm幅の外周領域から受電部材23Aにスパーク又は送電が行われ、回路がスパークによって損傷することを防止することができる。
次いで、図示しない搬送手段により、図2(C)に示されるように、ウエハWFが保護シートPSの貼付側を下向きとして当該ウエハWFを第1支持面15上に載置して吸着保持させる。このときも直動モータ19が駆動して、ウエハWFの角部WF1又は保護シートPSの角部PS1が最初に受電部材23Aに当接するように制御するとよい。
そして図示しない搬送手段により、リングフレームRFが搬送されてくると、図2(D)に示されるように、第2支持面16との間でスパークが発生しない距離を隔てた位置、本実施形態の場合、第2支持面16の上方25mmの位置でリングフレームRFは一旦停止される。その後、図2(E)に示されるように、上記と同様に、直動モータ19が駆動して受電部材23Aを支持対象物としてのリングフレームRFの左側の角部RF1に一旦接近又は当接させてから再度離間させよう制御し、スパーク又は送電が行われる。次いで、図示しない搬送手段により、図2(F)に示されるように、リングフレームRFを第2支持面16上に載置して吸着保持させる。このときも直動モータ19が駆動して、リングフレームRFの角部RF1が最初に受電部材24Aに当接するように制御するとよい。
この載置により、第1、第2支持面15、16から突出していた受電部材23A、24AがウエハWF、リングフレームRFに接触した状態で、巻きばね23、24の付勢力に抗して押し下げられ、受容部15A、16A内に埋没する。この状態で、巻きばね23、24の弾力により、巻きばね23、24の受電部材23A、24AとウエハWF、リングフレームRF下面とが接触した状態が維持される。
【0024】
ウエハWF及びリングフレームRFを支持テーブル11に支持した後、直動モータ19を作動して支持テーブル11を移動する。そして、前述のシート貼付装置SDによりウエハWF及びリングフレームRFの各上面にマウント用シートMSが貼付され、それらが一体化され支持対象物としての一体物WRが形成される。このマウント用シートMSが貼付されるとき、当該マウント用シートMSは、図示しない剥離シートから剥離されたり、押圧手段等で押圧されたりすることで、静電気が帯電するが、各受電部材23A、24AがウエハWF、リングフレームRFに当接しているので、帯電した静電気は、ケーブル25を介してアースされて除電される。
【0025】
マウント用シートMSの貼付後、図示しない搬送手段により支持テーブル11から一体物WRを次工程に搬送する。この搬送において、一体物WRが持ち上げられると、この持ち上げ動作に伴って更に静電気が発生して一体物WRに帯電し、この帯電量が多くなると一体物WRの不特定の位置から各支持面15、16の不特定の位置にスパークされることとなる。しかしながら、本実施形態の場合、一体物WRの各支持面15、16からの離脱移動に伴って巻きばね23、24が追従して上方に伸びる方向に移動することによって、受電部材23A、24AとリングフレームRFとの接触が維持され、一体物WRと各支持面15、16との間でスパークが発生することはなく、それら間でパークが発生しない距離となるまで、受電部材23A、24AがウエハWF、リングフレームRFに接触して除電が行われる。なお、受電部材23A又は24Aのいずれか一方を図示しない駆動機器等で上方に伸びないようにしておいてもよい(以降は、受電部材23Aが上方に伸びないようにしたとして説明する)。
そして、巻きばね24が無負荷状態となった後、一体物WRの更なる上昇によって受電部材24AとリングフレームRFとが離脱する。ここで、受電部材24AとリングフレームRFとが離脱するとき、巻きばね24を介した除電効果によって一体物WRの帯電量は減少しているため、一体物WRと受電部材24Aとの間でスパークが発生する可能性は非常に低くなっている。それでもなお、一体物WRの除電が完全に行われていなかった場合、一体物WRが受電部材24Aと離間した瞬間に、一体物WRと受電部材24Aとの間でスパークが発生する可能性がある。しかしながら本実施形態の場合、一体物WRは、各支持面15、16との間でスパークが発生しない距離にまで離間されているので、必然的に一体物WRがスパークできる個所は、リングフレームRFから受電部材24Aとなり、ウエハWFの回路が形成された部位からスパークされることを効果的に防止することができる。つまり、受電部材24Aが避雷針の役割をすることとなり、一体物WRから受電部材24Aにスパークさせる領域を極力限られた狭い領域とすることができる。
なお、受電部材24AをリングフレームRFから一旦離間させてから再度リングフレームRFの所定部位たとえばリングフレームRFの角部RF1を受電部材24Aに接近又は当接させた後、再び一体物WRを搬送するようにしてもよい。これは、先の離間でスパークしきれなかった静電気を誘発的にスパークさせる効果がある。
【0026】
従って、このような実施形態によれば、支持対象物を搬出する際、ウエハWFの回路が形成された部位と第1、第2支持面15、16との間でスパークが発生することを防止することができ、当該スパークによってウエハWFの要部である回路形成部位に損傷が生じることを回避することが可能となる。
【0027】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図3を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、前記第1実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一符号を用いるものとし、説明を省略若しくは簡略する。
【0028】
第2実施形態の支持装置10は、図3中二点鎖線で示す位置に設けられるシート剥離装置RDに利用されている。このシート剥離装置RDは、被着体としてのウエハWFに貼付された接着シートとしての保護シートPSに対して剥離用テープPTを貼付し、当該剥離用テープPTを引っ張ることでウエハWFから保護シートPSを剥離可能に設けられている。なお、シート剥離装置RDは、本出願人によって出願された特開2000−68293号で示した保護テープ剥離ユニットと実質的に同一のものを採用することができるので、その詳細構造についての説明は省略する。
【0029】
第2実施形態の支持テーブル11は、保護シートPSを上向きとし、マウント用シートMSを下向きとした状態の一体物WRにおけるマウント用シートMSを吸着保持する支持面30を備えている。支持面30におけるリングフレームRFを支持する領域には、巻きばね24を受容する受容部30Aが形成されている。巻きばね24の受電部材24Aは、リングフレームRF面内のマウント用シートMSに接触可能となっている。
【0030】
従って、このような実施形態においても、ウエハWFから保護シートPSを剥離した後、支持テーブル11から一体物WRを搬出する際、ウエハWFの回路が形成された部位と支持面30との間でスパークが発生することを防止することができ、当該スパークによってウエハWFの要部である回路形成部位に損傷が生じることを回避することが可能となる。
【0031】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、形状、位置若しくは配置等に関し、必要に応じて当業者が様々な変更を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0032】
例えば、除電手段は、種々の設計変更が可能であり、図4に示される構成に代替することができる。同図(A)は、付勢手段としての巻きばね35と、巻きばね35の上端に接続された受電部材としての突没ピン36とを備えている。突没ピン36の上端は、先細り形状とされ、支持対象物の下面に接触可能に設けられるとともに、巻きばね35の弾性力を介して第2支持面16から突没可能に設けられている。同図(B)の除電手段は、ケーブル25に接続される付勢手段としての板ばね39からなる。この板ばね39の先端部39Aが受電部材となり、リングフレームRFの下面に接触可能に設けられる。
また、除去手段12を設ける数は、1の支持対象物に対して1体でもよいしそれ以上でもよいし、1の除去手段12に対して複数の受電部材を有するように構成してもよい。
更に、支持対象物が光ディスクの場合、情報が記録されることのない外縁から内側に向う約2mm幅の外周領域又は、内縁から外側に向う約5mm幅の内周領域に受電部材が接触するようにすることで、情報記録層が損傷することを防止できる。
また、支持対象物の角部は、ウエハに形成されたVノッチと円弧部とが交差する2つの交点や、オリエンテーションフラットの直線部と円弧部とが交差する2つの交点等が例示できる。
更に、受電部材は、支持対象物の上側から接触するように構成してもよい。
また、付勢手段は、ばね以外に、駆動機器としてのエアシリンダや直動モータ等によって構成してもよい。この場合、駆動機器を積極的に駆動させて受電部材と支持対象物との離間と当接を複数回繰り返すように構成することができる。
更に、支持対象物と支持面15、16との間でスパークが発生しない距離は、支持対象物の帯電量や雰囲気環境条件等によって異なるので、受電部材23A、24Aが支持面15、16から突出する長さは、20mmや25mmに限らずそれ以上でもよいしそれ以下でもよく、適宜変更することができる。
また、移動手段は、ウエハWF、リングフレームRF、一体物WRを搬送する図示しない搬送手段で構成したり、直動モータ19と図示しない搬送手段との両方で構成したりしてもよい。
更に、前記実施形態では、支持対象物を停止させた状態で支持テーブル11を移動させて当該支持対象物と受電部材23A、24Aとを接触させたが、支持テーブル11を停止させた状態で支持対象物を移動させて当該支持対象物と受電部材23A、24Aとを接触させたり、支持テーブル11と支持対象物との両方を移動させて当該支持対象物と受電部材23A、24Aとを接触させたりしてもよい。
また、受電部材23A、24Aの先端は先細り形状でなく、平坦形状、球形状、凹凸形状等の他の形状であってよい。
【0033】
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【0034】
更に、本発明における被着体および接着シートの種別や材質などは、特に限定されず、例えば、接着シートは、基材シートと接着剤層との間に中間層を有するものや、基材シートの上面にカバー層を有するもの等3層以上のものでもよい。また、被着体が適宜な物品(例えば、食品や樹脂容器等)であって、接着シートがラベルであってもよく、被着体が半導体ウエハであって、接着シートASが保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルムなどであってもよい。この際、半導体ウエハは、シリコン半導体ウエハや化合物半導体ウエハ等が例示でき、このような半導体ウエハに貼付する接着シートは、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルムに限らず、その他の任意のシート、フィルム、テープ等、任意の用途、形状の接着シート等が適用できる。さらに、被着体が光ディスクの基板であって、接着シートSが記録層を構成する樹脂層を有したものであってもよい。以上のように、被着体としては、ガラス板、鋼板、樹脂板等や、その他の板状部材のみならず、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。
【符号の説明】
【0035】
10 支持装置
11 支持テーブル
12 除電手段
15 第1支持面
16 第2支持面
23 巻きばね(付勢手段)
23A 受電部材
24 巻きばね(付勢手段)
24A 受電部材
30 支持面
MS マウント用シート(接着シート)
SD シート貼付装置
PS 保護シート(接着シート)
RD シート剥離装置
RF リングフレーム(被着体)(支持対象物)
WF 半導体ウエハ(被着体)(支持対象物)
WR 一体物(支持対象物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持対象物を支持する支持面を有する支持テーブルと、この支持テーブルに支持された支持対象物に接触して当該被着体に帯電した静電気を除去可能な除電手段とを備え、
前記除電手段は、前記支持対象物に当接可能な受電部材と、前記支持対象物の前記支持面に対する接近又は離間動作に追従して前記受電部材を所定量移動可能に設けられた付勢手段を備えていることを特徴とする支持装置。
【請求項2】
被着体に接着シートを貼付するシート貼付装置、又は、被着体から接着シートを剥離するシート剥離装置に利用される支持装置において、
前記被着体を含む支持対象物を支持する支持面を有する支持テーブルと、この支持テーブルに支持された支持対象物に接触して当該被着体に帯電した静電気を除去可能な除電手段とを備え、
前記除電手段は、前記支持対象物に当接可能な受電部材と、前記支持対象物の前記支持面に対する接近又は離間動作に追従して前記受電部材を所定量移動可能に設けられた付勢手段を備えていることを特徴とする支持装置。
【請求項3】
前記支持対象物と受電部材とを相対移動可能な移動手段を有し、当該移動手段は、搬送される前記支持対象物の角部が最初又は最後に受電部材に当接可能に制御されることを特徴とする請求項1又は2記載の支持装置。
【請求項4】
前記移動手段は、外部から支持テーブル上へ搬送される支持対象物の所定部位を前記受電部材に一旦接近又は当接させてから離間させた後、再び前記支持対象物を前記受電部材に当接させて前記支持テーブル上に載置可能に制御されることを特徴とする請求項3記載の支持装置。
【請求項5】
前記移動手段は、前記支持テーブル上から外部へ搬送される支持対象物を前記受電部材から一旦離間させてから支持対象物の所定部位を前記受電部材に接近又は当接させた後、再び前記支持対象物を前記受電部材から離間可能に制御されることを特徴とする請求項3又は4記載の支持装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れかに記載の支持装置を用いた支持方法であって、
前記支持対象物を搬送するときに、前記支持対象物の前記支持面に対する接近又は離間動作に追従して前記受電部材を所定量移動させて支持対象物と受電部材との接触を維持することを特徴とする搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−105934(P2013−105934A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249513(P2011−249513)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】