説明

支持金具及び屋根上設備取付構造

【課題】太陽電池等の屋根上設備を十分な強度で横葺き屋根に取り付けることができ、しかも構造が簡単である支持金具及び屋根上設備取付構造を提供する。
【解決手段】支持金具1は、横葺き屋根材3の水下端から水上端に至る長さを有しており、上記水下端に位置する本体軒側端と上記水上端に位置する本体棟側端には屋根のはぜ部30の下面側に挿入される差込片11,12が形成されており、上記本体軒側端及び上記本体棟側端にはそれぞれの箇所の屋根のはぜ部30、30をボルト先端部にて押圧する金具固定ボルト4,4が設けられる貫通螺子穴1c,1dを有しており、上記本体軒側端と上記本体棟側端の間には屋根上設備の取付用ボルト2が設けられる設備固定用穴1bを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽電池等の屋根上設備の設置に好適な支持金具及び屋根上設備取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
屋根上に太陽電池などの屋根上設備を取り付ける構造として、屋根材の接続箇所(屋根のはぜ部)を挟持する挟持片をボルトに螺合させたナットから成る締結部材によって屋根材側に押しつける構造を有した横葺き屋根への付設構築物の取付金具及び取付構造が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−231591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような横葺き屋根への付設構築物の取付金具及び取付構造では、上記取付金具の棟側端だけに上記締結部材が設けられる構造となるので、付設構築物を十分な強度で横葺き屋根に取り付けることができないおそれがある。また、上記取付金具は締結部材の締め付け力を本体と独立した別部品である挟持片を介して横葺き屋根に作用させる構造であるから、このような挟持片を備えることになる分、部品点数が多くなり構造も複雑化するという欠点もある。
【0005】
この発明は、太陽電池等の屋根上設備を十分な強度で横葺き屋根に取り付けることができ、しかも構造が簡単である支持金具及び屋根上設備取付構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の支持金具は、上記の課題を解決するために、横葺き屋根材の水下端に位置する本体軒側端と水上端に位置する本体棟側端の少なくとも一方には、屋根のはぜ部の下面側に挿入される差込片が形成されており、上記本体軒側端及び上記本体棟側端にはそれぞれの箇所の屋根のはぜ部を押圧する金具固定ボルトが設けられる金具固定部を有しており、上記本体軒側端と上記本体棟側端の間には屋根上設備の取付用ボルトが設けられる設備固定部を有していることを特徴とする。
【0007】
上記の構成であれば、上記本体軒側端及び上記本体棟側端にはそれぞれの箇所の屋根のはぜ部を押圧する金具固定ボルトが設けられることになり、例えば上記本体棟側端だけに金具固定ボルトが設けられる場合に比べて太陽電池等の屋根上設備を十分な強度で横葺き屋根に取り付けることができる。また、屋根のはぜ部を金具固定ボルトによって押圧する構造であり、本体と独立した別部品である挟持片を備えないので、構造も簡単化することができる。
【0008】
上記の支持金具において、上記差込片が上記本体軒側端及び上記本体棟側端に形成されており、横葺き屋根上に少なくとも1つおきに設置されることとしてもよい。
【0009】
或いは、上記本体軒側端と上記本体棟側端の一方の側が他方の側よりも横幅が狭く形成されて支持金具同士の端部重ね配置が可能とされ、横葺き屋根上に連続設置されることとしてもよい。
【0010】
これらの支持金具において、上記本体軒側端及び上記本体棟側端の少なくとも一方に上記横葺き屋根材の配置を規定する規定面が形成されているのがよい。これによれば、屋根材を葺きながら当該支持金具を設置していく際に、この支持金具が屋根材の配置を規定していくことができるので、正確な位置で屋根材同士を重ねて屋根のはぜ部を形成していくことができる。そして、この屋根のはぜ部に正確に上記金具固定ボルトの押圧力を作用させることができるので、横葺き屋根による支持金具の支持強度が向上する。
【0011】
また、この発明の屋根上設備取付構造は、上記いずれかの支持金具が屋根上に配置されて屋根上設備が取り付けられることを特徴とする。
【0012】
上記屋根上設備取付構造において、上側板及び下側板を有する段状の補強部材が設けられており、上記下側板は屋根面に固定され、上記上側板は上記屋根のはぜ部に位置して上記金具固定ボルトの押圧を受けるのがよい。これによれば、上記補強金具により、上記屋根のはぜ部が上記金具固定ボルトの押圧を受けても、この押圧による上記屋根のはぜ部の変形程度を小さくすることができる。また、上記屋根のはぜ部自体ではなく上記補強金具が上記金具固定ボルトの押圧力をしっかりと受け止めることにもなる。
【0013】
上記の屋根上設備取付構造において、上記補強部材の上記上側板の延設部に、上記支持金具の本体軒側端を受け止めるストッパ部が形成されているのがよい。これによれば、屋根材を葺きながら上記支持金具を設置していく際に、上記補強金具のストッパ部が上記支持金具の滑り落ちを防止することになる。また、施工後においては、かりにボルト緩みなどが生じて上記支持金具が屋根材から外れても上記補強金具のストッパ部が上記支持金具の滑り落ちを防止することになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明であれば、太陽電池等の屋根上設備を十分な強度で横葺き屋根に取り付けることができる等の諸効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る支持金具及び屋根上設備取付構造を示した説明図である。
【図2】図1の支持金具を示した図であって、同図(A)は底面図であり、同図(B)は側面図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る支持金具を示した図であって、同図(A)は底面図であり、同図(B)は側面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る支持金具を示した図であって、同図(A)は平面図であり、同図(B)は側面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る屋根上設備取付構造で用いる補強金具を例示した図であって、同図(A)は平面図であり、同図(B)は背面図、同図(C)は側面図である。
【図6】同図(A)、同図(B)、同図(C)は図4の支持金具と図5の補強金具を用いて屋根上設備取付構造を構築していく工程を示した説明図である。
【図7】図4の支持金具と図5の補強金具を用いて構築された屋根上設備取付構造を示した説明図である。
【図8】本発明の実施形態に係る屋根上設備取付構造で用いる係合補強金具と屋根材を例示した説明図である。
【図9】同図(A)、同図(B)、同図(C)は図8に示した係合補強金具と屋根材を用いて屋根上設備取付構造を構築していく工程を示した説明図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る支持金具を示した図であって、同図(A)は平面図であり、同図(B)は側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、この発明の実施形態に係る支持金具及び屋根上設備取付構造を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る支持金具及び屋根上設備取付構造は、下記の実施形態に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0017】
図1は一実施形態にかかる支持金具1を用いた屋根上設備取付構造を示した断面図である。上記支持金具1における支持金具本体1aには設備固定用穴(設備固定部)1bが形成されており、裏面側から上記設備固定用穴1bを通して取付用ボルト2がそのボルト部を上に向けた状態で設けられる。上記取付用ボルト2には、例えば、太陽電池モジュール用架台(図示せず)が取り付けられる。
【0018】
また、金属横葺き屋根100の野地板101上に設置される複数枚の金属横葺き屋根材3の水下端と水上端にはそれぞれ折り返し係合部3a,3bが形成されており、隣り合う2枚の金属横葺き屋根材3が上記折り返し係合部3a,3bを係合させることで屋根のはぜ部30が形成されている。また、上記金属横葺き屋根材3の水上端には固定部3cが形成されており、この固定部3cを貫通してビス31が野地板101に打ち込まれることで金属横葺き屋根材3が野地板101に固定される。
【0019】
図2は上記支持金具1を示した図であって、同図(A)は底面図であり、同図(B)は側面図である。上記支持金具1は、上記金属横葺き屋根材3の水下端から水上端に至る長さを有しており、上記水下端に位置する本体軒側端に軒側差込片11を有する。この軒側差込片11は上記支持金具本体1aの本体軒側端をL字状に折り曲げ形成してなるものである。そして、上記支持金具本体1aと上記軒側差込片11とを接続している部位が上記横葺き屋根材3の配置を規定する規定面11aをなしている。
【0020】
また、上記支持金具1は上記水上端に位置する本体棟側端に棟側差込片12を有する。この棟側差込片12は上記支持金具本体1aの本体棟側端の両横部をL字状に折り曲げ形成してなるものである。そして、上記支持金具本体1aと上記棟側差込片12とを接続している部位が上記横葺き屋根材3の配置を規定する規定面12aをなしている。また、上記支持金具本体1aの本体棟側端の中央部は折り曲げられてはおらず、上記棟側差込片12との間に位置する物体を挟むように位置する突出片13をなしている。
【0021】
そして、上記支持金具本体1aの上記本体軒側端であって、上記軒側差込片11とほぼ向かい合う箇所に貫通螺子穴1cが形成されている。また、上記突出片13には貫通螺子穴1dが形成されている。上記貫通螺子穴1c,1dは、上記本体軒側端及び上記本体棟側端に位置する屋根のはぜ部30、30を押圧する金具固定ボルト4,4(図1参照)が設けられる金具固定部をなすものである。上記金具固定ボルト4,4は、そのボルト先端部にて上記屋根のはぜ部30を押圧することになる。
【0022】
また、上記支持金具本体1aの両横部には、強度向上のための折り曲げ部1eが形成されている。更に、軒側差込片11には強度向上のための凹凸のリブ部が形成されており、上記支持金具本体1aと上記軒側差込片11とを接続している部位にもリブ部が形成されている。
【0023】
上記の構成であれば、上記支持金具本体1aの上記本体軒側端及び上記本体棟側端にはそれぞれの箇所の屋根のはぜ部30を押圧する金具固定ボルト4,4が設けられることになり、例えば上記本体棟側端だけに金具固定ボルト4が設けられる場合に比べて太陽電池等の屋根上設備を十分な強度で横葺き屋根に取り付けることができる。また、上記屋根のはぜ部30を金具固定ボルト4のボルト先端部にて押圧する構造であり、本体と独立した別部品である挟持片を備えないので、構造も簡単化される。
【0024】
また、上記支持金具1は、上記規定面11a,12aを備えており、上記金属横葺き屋根材3を葺きながら上記支持金具1を設置していく際に、この支持金具1が屋根材の配置を規定していくことができるので、正確な位置で屋根材同士を重ねて屋根のはぜ部30を形成していくことができる。そして、この屋根のはぜ部30に正確に上記金具固定ボルト4の押圧力を作用させることができるので、横葺き屋根100による支持金具1の支持強度が向上する。
【0025】
図3は他の実施形態の支持金具1Aを示した図であって、同図(A)は底面図であり、同図(B)は側面図である。なお、説明の重複による冗長を避けるために、上記支持金具1との相違点を重点的に述べる。
【0026】
上記支持金具1Aの両横部には、強度向上のための折り曲げ部1eがこの支持金具1Aの長手方向全体に渡って形成されている。上記支持金具1Aは、その本体軒側端に軒側差込片11を有する。この軒側差込片11は、本体軒側端の折り曲げ部1e,1eの張り出し片部分を水平方向に折り曲げることにより形成されたものである。そして、上記支持金具本体1aと上記軒側差込片11とを接続している上記折り曲げ部1e,1eの部位が上記横葺き屋根材3の配置を規定する規定面11aをなしている。また、上記支持金具本体1aの上記本体軒側端には金具固定部となる貫通螺子穴1cが形成されている。
【0027】
上記支持金具1Aは、その本体棟側端に棟側差込片12を有する。この棟側差込片12も本体棟側端の上記折り曲げ部1eの張り出し片部分を水平方向に折り曲げることにより形成されている。そして、上記支持金具本体1aと上記棟側差込片12とを接続している上記折り曲げ部1e,1eの部位が上記横葺き屋根材3の配置を規定する規定面12aをなしている。また、上記支持金具本体1aの本体棟側端の中央部は突出片13となり、この突出片13は上記折り曲げ部1e,1eを有したものとなることにより強度が向上されたものとなっている。更に、上記支持金具本体1aの上記本体棟側端には金具固定部となる貫通螺子穴1dが形成されている。更に、上記軒側差込片11、棟側差込片12、及び規定面11a,12aとなる上記折り曲げ部1e,1eの部位には、強度向上のためのリブ部(凹凸部)が形成されている。
【0028】
上記支持金具1Aは、上記支持金具1と同様、図1に示したように、金属横葺き屋根100上に1つおき(複数おきでもよい)に設置されることになる。そして、上記支持金具本体1aの上記本体軒側端及び上記本体棟側端にはそれぞれの箇所の屋根のはぜ部30,30を押圧する金具固定ボルト4,4が設けられることになり、例えば上記本体棟側端だけに金具固定ボルト4が設けられる場合に比べて太陽電池等の屋根上設備を十分な強度で横葺き屋根に取り付けることができる。また、上記屋根のはぜ部30を金具固定ボルト4のボルト先端部にて押圧する構造であり、本体と独立した別部品である挟持片を備えないので、構造も簡単化される。
【0029】
また、上記支持金具1Aは、上記支持金具1と同様、上記規定面11a,12aを備えており、上記金属横葺き屋根材3を葺きながら上記支持金具1を設置していく際に、この支持金具1Aが屋根材の配置を規定していくことができるので、正確な位置で屋根材同士を重ねて屋根のはぜ部30を形成していくことができる。そして、この屋根のはぜ部30に正確に上記金具固定ボルト4の押圧力を作用させることができるので、横葺き屋根100による支持金具1Aの支持強度が向上する。
【0030】
図4は他の実施形態の支持金具1Bを示した図であって、同図(A)は平面図であり、同図(B)は側面図である。なお、説明の重複による冗長を避けるために、上記支持金具1Aとの相違点を重点的に述べる。
【0031】
上記支持金具1Bの両横部には、強度向上のための折り曲げ部1eがこの支持金具1Bの長手方向全体に渡って形成されている。上記支持金具1Bは、その本体軒側端に軒側差込片11を有する。この軒側差込片11は本体軒側端の上記折り曲げ部1e,1eの張り出し片部分を水平方向に折り曲げることにより形成されている。そして、上記支持金具本体1aと上記軒側差込片11とを接続している上記折り曲げ部1e,1eの部位が上記横葺き屋根材3の配置を規定する規定面11aをなしている。また、上記支持金具本体1aの上記本体軒側端には金具固定部となる貫通螺子穴1cが形成されている。
【0032】
一方、上記支持金具1Bは、その本体棟側端に棟側差込片を有していない。そして、この本体棟側端は上記本体軒側端よりも横幅が狭く形成されて支持金具1B,1B同士の端部重ね配置が可能とされる。また、上記折り曲げ部1e,1eにおける本体棟側端の部位には切欠き部14が形成されている。この切欠き部14は屋根のはぜ部30に当たらないように奥まって形成することで規定面とならないようにしてもよいし、他の支持金具1A等と同様に規定面となるように形成されてもよい。更に、上記支持金具本体1aの本体棟側端の突出片13の箇所には金具固定部となる貫通穴部1fが形成されている。この貫通穴部1fは、支持金具1B,1B同士の端部重ね配置が行われたときに、上側に位置する支持金具1Bの貫通螺子穴1cの凸箇所が嵌まる位置に存在するものであり、丸穴形状に限らず長穴形状を有していてもよい。また、このように、支持金具1B,1B同士の端部重ね配置が行われと、水下側に位置する支持金具1Bの本体棟側端に、水上側に位置する支持金具1Bの軒側差込片11が位置することになる。
【0033】
図5は補強部材5を示した図であって、同図(A)は平面図であり、同図(B)は背面図であり、同図(C)は側面図である。この補強部材5は、上側板51と下側板52とこれらを繋ぐ立ち上げ部53を有する段状の部材である。そして、上記下側板52にはビス用貫通穴52aが形成されている。
【0034】
図6は金属横葺き屋根材3及び補強部材5を用いて金属横葺き屋根を葺いていきながら上記支持金具1Bを配置していく工程を示した説明図である。図6(A)に示すように、野地板101上に上記金属横葺き屋根材3を配置し、更に上記金属横葺き屋根材3の固定部3cの上に上記補強部材5の下側板52を位置させ、上記ビス31を上記ビス用貫通穴52aから通して上記野地板101に固定する。次に、同図(B)に示すように、上記固定した野地板101の水上側に別の金属横葺き屋根材3を配置する。このとき、水上側に位置する金属横葺き屋根材3の水下側の折り返し係合部3aを、水下側に位置する金属横葺き屋根材3の水上側の折り返し係合部3bに係合させる。そして、同図(C)に示すように、上記支持金具1Bを配置する。
【0035】
このように配置していくと、図7の断面図に示すように、隣り合う支持金具1B,1B同士はその端部を重ねて配置されていく。そして、上記補強部材5の上側板52は上記屋根のはぜ部30における水上側の屋根材3の下面側に位置して上記金具固定ボルト4の押圧を受ける。
【0036】
このような構成であれば、上記支持金具1Bは、金属横葺き屋根100上に連続設置されるので、架台取付箇所の自由度が向上する。なお、上記支持金具1Bにおける支持金具本体1aに設ける設備固定用穴1bを複数形成し、上記架台取付箇所の自由度をより高めることも可能である。また、上記支持金具1Bは、その本体棟側端に棟側差込片を有していないが、本体棟側端の突出片13の箇所には金具固定部となる貫通穴1fを有しており、この貫通穴1fには、支持金具1B,1B同士の端部重ね配置が行われたときに、上側に位置する支持金具1Bの貫通螺子穴1cにおける凸箇所が嵌まる。したがって、この構成においても、上記支持金具本体1aの上記本体軒側端及び上記本体棟側端にはそれぞれの箇所の屋根のはぜ部30、30を押圧する金具固定ボルト4,4が設けられることになり、例えば上記本体棟側端だけに金具固定ボルト4が設けられる場合に比べて太陽電池等の屋根上設備を十分な強度で横葺き屋根に取り付けることができる。また、上記屋根のはぜ部30を金具固定ボルト4のボルト先端部にて押圧する構造であり、本体と独立した別部品である挟持片を備えないので、構造も簡単化される。
【0037】
また、上記支持金具1Bは、上記切欠き部14が規定面として機能しないようにされた場合は1つの規定面11aを備えたものとなり、重ね配置されるときに、2つの規定面11a,11aを備えるものとなる。したがって、上記金属横葺き屋根材3を葺きながら上記支持金具1Bを設置していく際に、この支持金具1Bが屋根材の配置を規定していくことができるので、正確な位置で屋根材同士を重ねて屋根のはぜ部30を形成していくことができる。そして、この屋根のはぜ部30に正確に上記金具固定ボルト4の押圧力を作用させることができるので、横葺き屋根100による支持金具1Bの支持強度が向上する。なお、上記切欠き部14が規定面として機能する場合は上記支持金具1Bは2つの規定面を備えたものとなる。
【0038】
更に、上記補強金具5により、上記屋根のはぜ部30が上記金具固定ボルト4の押圧を受けても、この押圧による上記屋根のはぜ部30の変形程度を小さくすることができる。また、上記屋根のはぜ部30自体ではなく上記補強金具5が上記金具固定ボルト4の押圧力をしっかりと受け止めることにもなる。
【0039】
図8は係合補強部材6を示した説明図である。この係合補強部材6は、上側板61と下側板62とこれらを繋ぐ立ち上げ部63を有する段状部を有する部材である。そして、上記上側板61の先端部は、上記金属横葺き屋根材3の水上側の折り返し係合部3bに沿った折り返し延設部を有し、さらにこの折り返し延設部の先側に上記支持金具1Bの本体軒側端を受け止めるストッパ部64となる立状部を有する。また、上記下側板62にはビス用貫通穴が形成されている。なお、上記係合補強部材6は一体ものである必要はなく、上記上側板61の先端部(折り返し延設部、ストッパ部64)を上記上側板61等の補強機能部分よりも薄い素材とし、この薄い素材を上記上側板61に接合した構造を有したものでもよい。
【0040】
図9は金属横葺き屋根材3及び係合補強部材6を用いて金属横葺き屋根を葺いていきながら上記支持金具1Bを配置していく工程を示した説明図である。図9(A)に示すように、野地板101上に上記金属横葺き屋根材3を配置し、更に上記金属横葺き屋根材3の固定部3cの上に上記係合補強部材6の下側板62を位置させ、ビス31をビス用貫通穴から通して上記野地板101に固定する。次に、同図(B)に示すように、上記固定した野地板101の水上側に別の金属横葺き屋根材3を配置する。このとき、水上側の金属横葺き屋根材3の水下側の折り返し係合部3aを、水下側の金属横葺き屋根材3の水上側の折り返し係合部3bに係合させる。そして、同図(C)に示すように、上記支持金具1Bを配置する。
【0041】
上記のような係合補強部材6を用いることで、屋根材3を葺きながら上記支持金具1Bを設置していくときに、上記係合補強部材6のストッパ部64が上記支持金具1Bの滑り落ちを防止することになる。また、施工後においては、かりにボルト緩みなどが生じて上記支持金具1Bが屋根材から外れても上記係合補強部材6のストッパ部64が上記支持金具1Bの滑り落ちを防止することになる。
【0042】
図10は他の実施形態の支持金具1Cを示した図であって、同図(A)は平面図であり、同図(B)は側面図である。上記支持金具1Bとの相違点を重点的に述べると、上記支持金具1Bは、その本体棟側端に棟側差込片を有していないが、この支持金具1Cは棟側差込片12を有する。ただし、この支持金具1Cは、棟側差込片12を片側の折り曲げ部1eに形成しており、軒側差込片11についても片側の折り曲げ部1eに形成している。そして、上記軒側差込片11と上記棟側差込片12は互いに反対側の折り曲げ部1eに形成されている。
【0043】
上記支持金具1Cも、金属横葺き屋根100上に連続設置されるように形成されており、架台取付箇所の自由度が向上することになる。また、上記軒側差込片11と上記棟側差込片12は互いに反対側の折り曲げ部1eに形成されているので、上記連続設置されて一体化された状態で各支持金具1Cの本体両側に上記軒側差込片11と上記棟側差込片12が存在することになる。
【符号の説明】
【0044】
1,1A,1B,1C 支持金具
1a 支持金具本体
1b 設備固定用穴(設備固定部)
1c 貫通螺子穴(金具固定部)
1d 貫通螺子穴(金具固定部)
1e 折り曲げ部
1f 貫通穴
11 軒側差込片
11a 規定面
12 棟側差込片
12a 規定面
13 突出片
14 切欠き部
2 取付用ボルト
3 金属横葺き屋根材
3a 折り返し係合部
3b 折り返し係合部
4 金具固定ボルト
5 補強金具
51 上側板
52 下側板
53 立ち上げ部
6 係合補強金具
61 上側板
62 下側板
63 立ち上げ部
64 ストッパ部
30 屋根のはぜ部
100 金属横葺き屋根
101 野地板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横葺き屋根材の水下端に位置する本体軒側端と水上端に位置する本体棟側端の少なくとも一方には、屋根のはぜ部の下面側に挿入される差込片が形成されており、上記本体軒側端及び上記本体棟側端にはそれぞれの箇所の屋根のはぜ部を押圧する金具固定ボルトが設けられる金具固定部を有しており、上記本体軒側端と上記本体棟側端の間には屋根上設備の取付用ボルトが設けられる設備固定部を有していることを特徴とする支持金具。
【請求項2】
請求項1に記載の支持金具において、上記差込片が上記本体軒側端及び上記本体棟側端に形成されており、横葺き屋根上に少なくとも1つおきに設置されることを特徴とする支持金具。
【請求項3】
請求項1に記載の支持金具において、上記本体軒側端と上記本体棟側端の一方の側が他方の側よりも横幅が狭く形成されて支持金具同士の端部重ね配置が可能とされ、横葺き屋根上に連続設置されることを特徴とする支持金具。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の支持金具において、上記本体軒側端及び上記本体棟側端の少なくとも一方に上記横葺き屋根材の配置を規定する規定面が形成されていることを特徴とする支持金具。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の支持金具が屋根上に配置されて屋根上設備が取り付けられる屋根上設備取付構造。
【請求項6】
請求項5に記載の屋根上設備取付構造において、上側板及び下側板を有する段状の補強部材が設けられており、上記下側板は屋根面に固定され、上記上側板は上記屋根のはぜ部に位置して上記金具固定ボルトの押圧を受けることを特徴とする屋根上設備取付構造。
【請求項7】
請求項6に記載の屋根上設備取付構造において、上記補強部材の上記上側板の延設部に、上記支持金具の本体軒側端を受け止めるストッパ部が形成されていることを特徴とする屋根上設備取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−40523(P2013−40523A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179274(P2011−179274)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【出願人】(596066530)宇都宮工業株式会社 (9)