説明

支持金具

【課題】同一種類の支持金具で、耐風圧が小さくてすむ場合には極力作業に要する手間を省き、耐風圧が大きく必要な場合には強固に取り付けることができる支持金具を提供する。
【解決手段】タイトフレーム2の隣接する凹部23にそれぞれ下折板材10が配設されると共に下折板材10を連結することで下折板屋根1が構成され、下折板材10のハゼ継ぎ部13とタイトフレーム2の吊子21とが締結されたハゼ継ぎ固定部16が下折板屋根1の山部14に設けられた折板屋根構造において、山部14を被嵌するよう設置されて上折板材30を固定する支持金具4である。逆U字状をした金具本体41の上端部に設けられた上折板材固定部42と、金具本体41の頂部に設けられ且つ下折板屋根1の山部14のハゼ継ぎ固定部16に当該金具本体41を固定する固定部43と、金具本体41の両側に設けられたタイトフレーム2への固定片45とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下折板屋根上に上折板屋根を葺設する際に用いる支持金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下折板屋根の上に上折板屋根を葺設するに当たり、下折板屋根の山部に取り付けられて上折板屋根を固定する支持金具が知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1記載の支持金具は、複数の下折板材のハゼ継ぎ部同士及びタイトフレームの吊子を相互にハゼ継ぎされてなるハゼ継ぎ固定部に装着される。この支持金具は、下折板材のハゼ継ぎ固定部を厚み方向両側から挟持する固定部と、上折板材を固定する上折板屋根固定部とを備えている。
【0003】
このように特許文献1記載の支持金具は、下折板屋根のハゼ継ぎ固定部に、両側から挟持するようにして装着される。そのため作業者は、この支持金具を簡単に装着することができ、効率のよい作業を行なうことができる。
【0004】
ところでこの支持金具92は、図5に示されるように、ハゼ継ぎ固定部96にのみ固定されており、タイトフレーム90に対して吊子91のみを介して連結されている。そのため、この支持金具92を用いて葺設された上折板屋根93に風圧がかかると、その力がそのまま吊子91に作用することになる。したがってこの支持金具92を用いて葺設された上折板屋根93に過度な風荷重が掛かると、その過度な力がそのまま吊子91に作用するため、吊子91が破損してしまう場合があった(図5中破断部95参照)。
【0005】
一方、下折板屋根の山部に被嵌するようにして配置され、逆U字状の金具本体の両側片をタイトフレームに固定する支持金具も知られている(例えば特許文献2参照)。この特許文献2記載の支持金具は、金具本体の両側片が固着具を介してタイトフレームに固定されているため、強固に取り付けられる。この支持金具を用いて葺設された折板屋根は耐風圧が大きいという利点がある。
【0006】
しかしながらこの支持金具は、取り付けに当たり、複数の固着具をタイトフレームにまで挿通する必要があるため、手間が掛かるという問題がある。特に、設計上高い耐風圧が必要とはならない場合においても、高い耐風圧が必要な場合と同様にタイトフレームに固着具を介して固設する必要があるため、手間が余分に掛かって作業効率を低下させてしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−13985号公報
【特許文献2】特開平8−42070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、同一種類の支持金具で、耐風圧が小さくてすむ場合には極力作業に要する手間を省き、耐風圧が大きく必要な場合には強固に取り付けることができる支持金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の支持金具4は、凸部22と凹部23とが交互に連設されたタイトフレーム2において隣接する凹部23にそれぞれ下折板材10が配設されると共に隣接する下折板材10を連結することで下折板屋根1が構成され、下折板材10の両端に設けられたハゼ継ぎ部13とタイトフレーム2に設けられた吊子21とが締結されたハゼ継ぎ固定部16が下折板屋根1の山部14に設けられた折板屋根構造において、下折板屋根1の山部14を被嵌するよう設置されて上折板材30を固定する支持金具4であって、略逆U字状をした金具本体41の上端部に設けられた上折板材固定部42と、金具本体41の頂部に設けられ且つ下折板屋根1の山部14のハゼ継ぎ固定部16に当該金具本体41を固定する固定部43と、金具本体41の両側に設けられたタイトフレーム2への固定片45とを備えていることを特徴とする。
【0010】
このように本発明の支持金具4は、支持金具4をハゼ継ぎ固定部16に装着する固定部43と、金具本体41をタイトフレーム2に固定する固定片45とをいずれも有しているので、耐風圧が小さくてすむ場合には、固定部43を利用して支持金具4を省施工で簡単に取り付けることができ、大きな耐風圧が必要な場合には、タイトフレーム2に固定された固定片45を利用して支持金具4を強固に取り付けることができる。
【0011】
また本発明の支持金具4において、前記上折板材固定部42は、隣接する上折板材30のハゼ継ぎ部33同士と相互に締結されることでハゼ継ぎ固定部36を形成する吊子50と、ハゼ継ぎ固定部36を両側から挟持してハゼ継ぎ状態を補強するハゼ補強具6とを備えていることが好ましい。
【0012】
このように本発明の支持金具4は、上折板材30のハゼ継ぎ固定部に取り付けられるハゼ補強具6を備えているため、より一層強固に上折板材30を取り付けることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の支持金具によれば、同一種類の支持金具で、耐風圧が小さくてすむ場合には極力作業に要する手間を省き、耐風圧が大きく必要な場合には強固に取り付けることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)(b)は、本発明の一実施形態の支持金具の斜視図である。
【図2】同上の実施形態のハゼ継ぎ固定部に支持金具を取り付けた状態の側断面図であり、(a)ははぜ継ぎ部分の形状が角はぜ形状のものであり(b)は丸はぜ形状のものである。
【図3】同上の実施形態のタイトフレームに支持金具を固定した状態の側断面図である。
【図4】同上の実施形態の支持金具にハゼ補強具を取り付けた状態の側断面図である。
【図5】従来の支持金具の参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。
【0016】
本実施形態の支持金具4は、既設の下折板屋根1を改修するため当該下折板屋根1上に新設の上折板屋根3が葺き替えられた折板屋根構造に用いられるものである。この折板屋根構造は、下折板屋根1の上に、全面に亘って略一定の間隔を介して上折板屋根3が葺設され、上下2段となるよう構成されている。
【0017】
下折板屋根1は、既設の折板屋根であって、母屋24上に固設されたタイトフレーム2を介して設置されている。
【0018】
タイトフレーム2は、その長手方向に凸部22と凹部23とが交互に連設されており、金属製の帯状部材が曲げ加工されることで形成されたものである。タイトフレーム2は、凸部22の頂部に当該凸部22から上方に向けて突出した吊子21を有している。この吊子21はボルト・ナットにより固定されている。タイトフレーム2は、母屋24に沿って複数並設される。なお母屋24は、既存の外装下地材であって、例えばH型綱やC型綱やリップ溝型綱などにより構成されている。
【0019】
下折板屋根1は、山部14と谷部が桁方向に並ぶように且つ山部14と谷部の各長手方向が軒棟方向に沿うようにして設置される。下折板屋根1は、正面視略V字状をした複数の下折板材10を備えており、これら下折板材10は母屋24の長手方向に並設される。この下折板材10は、図2等に示されるように、平坦部11と、この平坦部11の長手方向に直角な方向(すなわち桁方向)の両端から上方に連設された一対の立設部12と、この立設部12の桁方向端部に設けられたハゼ継ぎ部13とを備えており、この平坦部11と立設部12とハゼ継ぎ部13とは、一枚の金属板を曲げ加工することで形成されている。
【0020】
下折板屋根1は、このハゼ継ぎ部13同士並びにタイトフレーム2の吊子21を相互に締結することで形成されたハゼ継ぎ固定部16を有している。このハゼ継ぎ固定部16は、下折板屋根1の山部14における平らになった頂面部15の桁方向略中央に、上方に向けて突設されている。ハゼ継ぎ固定部16は、図2等に示されるように、側方に開口する凹溝部17を有している。
【0021】
下折板材10を設置するには、次のようにして施工する。まず、母屋24に沿ってタイトフレーム2を複数並設する。次いで、略V字状の下折板材10を、タイトフレーム2の凹部23内に配置し、当該下折板材10の長手方向を軒棟方向に沿わせるよう配置する。これにより複数の下折板材10が、母屋24の長手方向(桁方向)に並ぶようにして配置される。そして、隣接する下折板材10のハゼ継ぎ部13同士をはぜ継ぎにより締結する。このとき、吊子21も共に折り曲げるようにすることで、下折板材10とタイトフレーム2とを吊子21を介して連結することができる。この隣接する立設部12により構成された山状の部分が、下折板屋根1における山部14となる。
【0022】
なお本実施形態においては、はぜ継ぎ部分の形状を、図2(a)等に示すような角ハゼ形状としたが、図2(b)に示すような丸ハゼ形状としたものであってもよい。
【0023】
このように設置された下折板屋根1を改修するために、当該下折板屋根1上に上折板屋根3が葺設される。この上折板屋根3は、既設の下折板屋根1の山部14に載設された支持金具4に取り付けられる。
【0024】
支持金具4は、既設の下折板屋根1の山部14に取り付けられ、この下折板屋根1の上方に一定の隙間を形成した状態で上折板屋根3を配設する。支持金具4は、図1に示されるように、逆U字状の金具本体41によって主体が構成されている。支持金具4は、金具本体41の上端部に取り付けられた上折板材30を固定するための上折板材固定部42と、金具本体41の頂部に設けられ且つ下折板屋根1の山部14のハゼ継ぎ固定部16に当該金具本体41を固定する固定部43(第1の固定部430)と、金具本体41の両側に設けられた固定片45(第2の固定部450)とを備えている。
【0025】
第1の固定部430は、図1,2等に示されるように、下折板材10のハゼ継ぎ固定部16の凹溝部17とは反対側の側面に当接する縦片47と、この縦片47の上端から当該縦片47に対向するようにして連設された断面逆L字状の対向片48とを有しており、この縦片47と対向片48とで断面下向きコ字形状となっている。この対向片48における縦片47に対向する面には、ボルトを螺合可能な一対の雌ねじ孔が穿設されている。またこの対向片48における縦片47に対向する面は、下方ほど縦片47から離れるよう傾斜している。
【0026】
第1の固定部430は、縦片47がハゼ継ぎ固定部16の一側面に当接した状態で、対向片48が凹溝部17に対向するよう配置される。この状態で対向片48の雌ねじ孔にボルト7を螺合し、当該ボルト7の先端を凹溝部17の奥面に当接させると、当該ボルト7の先端と縦片47とで、ハゼ継ぎ固定部16を折板材厚み方向両側から挟持した状態となり、金具本体41が山部14に固定される。
【0027】
第2の固定部450は、第1の固定部430の縦片47と対向片48との下端からそれぞれ、帯状の固定片45を延設することで構成される。この固定片45は金具本体41の両側に設けられている。本実施形態の支持金具4は、金具本体41の両側片を固定片45としている。この固定片45は、第1の固定部430における軒棟方向略中央に設けられており、その幅寸法は、対向片48に螺合された一対のボルト7,7の頭部間の対向する距離よりも小さくなるよう形成されている。これによりボルト7を螺合する際に、その頭部が固定片45に干渉するのを防止する。また固定片45は、対向する固定片45に対し、下方ほど対向間の距離が大きくなるよう傾斜している。したがって支持金具4を下折板屋根1の山部14に被嵌すると、各固定片45は当該山部14の斜面に沿うようになっている。この固定片45は、長手方向に沿って複数の固着具挿通孔53が並設されている。
【0028】
この第2の固定部450を用いて支持金具4を下折板屋根1の山部14に取り付けるには、次のようにして行なう(図3参照)。まず支持金具4の固定片45が、タイトフレーム2が位置する箇所に重なるよう支持金具4を配置する。この状態で、固定片45に固着具を螺合させる。このとき、固着具により、固定片45と下折板材10とタイトフレーム2とを貫通させ、これら三者を締結する。これにより第2の固定部450を使用して、下折板屋根1の山部14に支持金具4を固定することができる。
【0029】
上折板材固定部42は、上折板材30をハゼ継ぎ固定するため金具本体41にボルト留めされた吊子50と、後述のハゼ補強具6(図4参照)とを備えている。
【0030】
吊子50は、金具本体41の上端部に装着される。吊子50は、金具本体41に取り付ける部分となる取着部51と、上折板材30のハゼ継ぎ部33同士と相互に締結されるカシメ部52とを有しており、これらは一つの金属板を曲げ加工することで形成されている。吊子50は、カシメ部52が、金具本体41に取り付けられた状態で、当該金具本体41の頂部から上方に向けて突出するよう構成されている。吊子50は、その両側に位置する上折板材30のハゼ継ぎ部33と共にカシメられることでハゼ継ぎ固定部36を形成する。このハゼ継ぎ固定部36は、上折板屋根3の山部34の頂面部35に形成される。
【0031】
上折板屋根3は、複数の上折板材30を備えている。上折板屋根3は、複数の上折板材30が桁方向に並ぶようにして配設され、隣接する上折板材30同士をハゼ継ぎして連結することで構成されている。
【0032】
上折板材30は、断面略V字状をしており、下折板材10と略同じ断面形状をしている。上折板材30は、平坦部31と、この平坦部31の長手方向に直角な方向の両端から上方に向けて連設された一対の立設部32と、立設部32の桁方向の端部に設けられたハゼ継ぎ部33とを備えており、この平坦部31と立設部32とハゼ継ぎ部33とは、一枚の金属板を曲げ加工することで形成されている。
【0033】
上折板屋根3は、このハゼ継ぎ部33同士及び支持金具4の吊子50を相互に締結することでハゼ継ぎ固定され、これらによって形成されたハゼ継ぎ固定部36を有する。このハゼ継ぎ固定部36は、上折板屋根3の山部34における平らになった頂面部35の桁方向略中央に、上方に向けて突設されている。ハゼ継ぎ固定部36は、図2等に示されるように、側方に開口する凹溝部37を有している。
【0034】
上記構成の支持金具4は、金具本体41を下折板屋根1のハゼ継ぎ固定部16に挟着する第1の固定部430と、金具本体41をタイトフレーム2に固定する第2の固定部450とをいずれも有しているので、施工者は施工現場において、第1の固定部430と第2の固定部450とを選択して使用することができる。すなわち本実施形態の支持金具4を用いることで施工者は、屋根に要求される耐風圧が小さい場合には、第1の固定部430を利用して支持金具4を省施工で簡単に取り付けることができ、要求される耐風圧が大きい場合には、第2の固定部450を利用して支持金具4を強固に取り付けることができる。
【0035】
ここで、屋根施工において要求される耐風圧は法上定められており、施工地域や建物高さに応じて異なるものとなっている。ところが従来の支持金具は、一つの固定手段しか有していなかったため、支持金具自体で要求される耐風圧に適応させることができなかった。しかも、建築物における母屋24の間隔によっても、その屋根の耐風圧が大きく異なるため、施工者は、取り付け方法の異なる複数種類の支持金具を持ち運ばなければならなかった。
【0036】
しかしながら、本実施形態の支持金具4は、金具本体41を下折板屋根1のハゼ継ぎ固定部16に挟着する第1の固定部430と、金具本体41をタイトフレーム2に固定する第2の固定部450とをいずれも有しているため、作業者は1種類の支持金具4を運搬するだけでよい。しかも、大きな耐風圧を要求されない場合には無駄な作業を省くことができ、それでいて大きな耐風圧が必要な場合にはその要求を満たす施工を確実に行なうことができる。
【0037】
また、第1の固定部430を使用して支持金具4を固定した場合には、既に形成された下折板屋根1のハゼ継ぎ固定部16を利用して支持金具4を固定できるため、下折板屋根1に新たに穴を穿孔する必要はなく、漏水の問題を回避できる。さらに、固定片45によって支持金具4の設置状態を安定させた状態で、第1の固定部430による固定作業を行なうことができるため、作業性を向上させる。また、固定片45が下折板屋根1の山部14に被嵌した状態で第1の固定部430によって固定されているため、支持金具4の設置状態がより一層安定し、上折板屋根3の施工不良を防ぐことも可能である。
【0038】
また第2の固定部450を使用して支持金具4を固定した場合には、タイトフレーム2と第2の固定部450との間に下折板材10が挟まれているから、下折板材10の取付け強度も向上させることができる。
【0039】
ところで本実施形態の支持金具4は、上折板材固定部42のハゼ継ぎ状態を補強するため、ハゼ補強具6を装着することができる。このハゼ補強具6は、必要な耐風圧に応じて、装着または不装着を決定することが可能なものである。
【0040】
ハゼ補強具6は、図4に示されるように、上折板屋根3のハゼ継ぎ固定部36の凹溝部37の奥面に当接する当接片61と、この当接片61に連設された断面コ字状の補強具本体62とを備えている。補強具本体62における当接片61に対向する面には、ボルトを螺合可能なめねじ部が螺設されている。ハゼ補強具6は、このめねじ部に押しボルト63を螺合するようになっており、押しボルト63を旋回させることで、押しボルト63先端と当接片61との間の距離を自在に変更できるようになっている。
【0041】
ハゼ補強具6は、上折板屋根3のハゼ固定部を上方から覆うようにして設置される。ハゼ補強具6を設置するには、当接片61をハゼ継ぎ固定部36の凹溝部37の奥面に当接した状態で、押しボルト63を螺進させる。そして、ハゼ継ぎ固定部37を両側から挟持するよう取り付ける。
【0042】
なお、このハゼ補強具6を取り付けるときは、大きな耐風圧が要求される場合であるため、支持金具を取り付けるに当たっては、第1の固定部430を使用して金具本体41を固設することが多い。一方、第2の固定部450を使用して固定した金具本体41に対しても、ハゼ補強具6を取り付けることができる。
【0043】
このようなハゼ補強具6は、本実施形態の支持金具4の吊子50と共にハゼ継ぎされた上折板材30のハゼ継ぎ部33を両側から挟持するため、ハゼ継ぎ状態を補強させる。これにより、上折板屋根3の葺設強度を向上させることができ、この結果、屋根の耐風圧をより一層強化させることができる。
【0044】
このように本実施形態の支持金具4は、第1の固定部430と第2の固定部450とを選択的に使用でき、しかも状況に応じて、上折板屋根3の耐風圧に対する強度も向上させることができるため、作業者は1種類の支持金具4を持ち運ぶだけで、多様な状況に対応することができる。
【0045】
以上、本発明の支持金具を、既設折板屋根上に新設の折板屋根を葺き替える折板屋根構造に基づいて説明したが、本発明の支持金具は、二重折板屋根を葺設する際に用いられればよく、葺き替え構造を対象とするものにのみ限定されない。本発明の支持金具は、例えば、下折板屋根と上折板屋根とをいずれも新設の折板屋根とした二重折板屋根構造に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 下折板屋根
10 下折板材
13 ハゼ継ぎ部
14 山部
15 頂面部
16 ハゼ継ぎ固定部
17 凹溝部
2 タイトフレーム
21 吊子
22 凸部
23 凹部
3 上折板屋根
30 上折板材
33 ハゼ継ぎ部
34 山部
35 頂面部
36 ハゼ継ぎ固定部
37 凹溝部
4 支持金具
41 金具本体
42 上折板材固定部
43 固定部
430 第1の固定部
45 固定片
450 第2の固定部
47 縦片
48 対向片
50 吊子
6 ハゼ補強具
61 当接片
62 補強具本体
63 押しボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凸部と凹部とが交互に連設されたタイトフレームにおいて隣接する凹部にそれぞれ下折板材が配設されると共に当該隣接する下折板材を連結することで下折板屋根が構成され、下折板材の両端に設けられたハゼ継ぎ部とタイトフレームに設けられた吊子とが締結されたハゼ継ぎ固定部が下折板屋根の山部に設けられた折板屋根構造において、当該下折板屋根の山部を被嵌するよう設置されて上折板材を固定する支持金具であって、
略逆U字状をした金具本体の上端部に設けられた上折板材固定部と、
金具本体の頂部に設けられ且つ下折板屋根の山部のハゼ継ぎ固定部に当該金具本体を固定する固定部と、
金具本体の両側に設けられたタイトフレームへの固定片と
を備えている
ことを特徴とする支持金具。
【請求項2】
前記上折板材固定部は、
隣接する上折板材のハゼ継ぎ部同士と相互に締結されることでハゼ継ぎ固定部を形成する吊子と、
ハゼ継ぎ固定部を両側から挟持してハゼ継ぎ状態を補強するハゼ補強具と
を備えている
ことを特徴とする請求項1記載の支持金具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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