説明

改修乃至解体現場における排水処理ユニット

【課題】精密ろ過器の耐用期間(耐用処理量)の大幅な短縮が期待でき、更には、汚水中の粉塵、特に、排水中のアスベスト含有率のさらなる低下が期待できる改修乃至解体現場における排水処理ユニットを提供すること。
【解決手段】アスベスト等を含有する建材の構築物を改修乃至解体をするに先立ち行う水洗工程で発生するアスベスト等含有水を排水処理をする際に使用するユニット。集水手段12、粗(アラ)ろ過器14、精密ろ過器16、及び、それらの各手段間を接続する第一・第二輸送配管32、38を備えている。粗ろ過器14が、ろ過槽本体22に、開口面全面に重力ろ過面を形成可能なろ材24が、ろ材受け26等を着脱自在に装着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改修乃至解体現場(特に改修)における排水処理ユニットに関する。さらに詳しくは、本発明は、アスベスト等の繊維状または粉末状の有害物質(以下「アスベスト等」という。)を含有する建材を使用した建築物、工作物又は構築物(以下「建築物等」という。)の改修乃至解体をするに先立ち行う水洗工程で発生するアスベスト等含有水を、一次ろ過後、さらに、二次ろ過である精密ろ過を経て排水する改修乃至解体現場における排水処理ユニットに係る発明である。
【0002】
ここでは、有害物質がアスベスト(繊維状有害物質)である場合、すなわち、アスベスト成形板に適用する場合を、例に採り説明する。しかし、本発明の改修乃至解体現場における排水処理方法は、有害物質が繊維状でない場合でも適用可能である。
【0003】
ここでアスベスト含有建材とは、内・外装材(スレート波板、屋根用化粧スレート、スレートボード等)としてのアスベスト含有成形板以外に、内・外壁基材にアスベスト含有塗料を吹き付けた現場塗装処理建材も含む。
【0004】
また、本発明は、外装材の改修現場における水洗作業で発生する工程を例にとり説明するが、内装材の場合も適用可能である。
【背景技術】
【0005】
アスベスト(石綿)は、その呼吸系に対する発ガン性(肺がんや悪性中皮種)故に、原則製造等禁止になっている。
【0006】
他方、石綿は、腐らず、耐熱性・耐薬品性を有し、更には、軽量であるため、工業用原料とともに建築用原料とて多用されてきた。特に、石綿板、スレート、タイル等の建築材料の原料として、また、吹付け塗料の充填材として多量に使用されてきた。
【0007】
このため、既設建物の改修作業に際して、通常、表面、屋根や外壁の水洗作業を行う。この水洗に先立ち、通常、粉塵発生さらには飛散防止の見地から、現場をクローズド(密閉系)、すなわち、ビニルシート等で飛散防止養生施工を行った状態で行うことが必要である。
【0008】
そして、そして、クローズドとされた作業場において、可及的に粉塵が発生しないように、外装材(外壁乃至屋根材)を、散水噴霧をして、手洗い水洗乃至高圧水洗したり、又は、超高圧水洗で同時塗膜除去をしたりする。
【0009】
これらの外装材の水洗工程等において、多量の排水がでる。そして、当該排水中に含まれるアスベスト含有率は低く、また、当該排水に対する法規制は、現段階は、存在しない。
【0010】
しかし、特に、昨今、アスベスト被害が顕著となり、アスベストの系外(外部)排出規制をより厳格にすることが求められるようになってきている。すなわち、排水中のアスベスト含有率の更なる低化が要求されるようになってきている。
【0011】
昨今の環境に対する社会的関心の高まりから、洗浄後水をろ過処理して、排水することが要請されつつある。
【0012】
このとき、ろ過には、アスベストの繊維長さ(約3μm〜50mmで平均2mm)のみに着目して、捕捉粒子径(ろ過能)2〜5μmのろ材を組み込んだ精密ろ過器を使用することが考えられる。該精密ろ過器としては、例えば、米国クリティカルインダストリー社から「ミニウォーター」の商品名で製造販売されているものがある。
【0013】
しかし、アスベストは、非常に微細繊維である(単繊維径:0.02〜0.03μm)。このため、上記精密ろ過器のろ過能2〜5μmのろ材をアスベストが通過する可能性があり、十分にアスベストが捕捉されるか否かを、ろ液(排水)について検証する必要があった。
【0014】
このため、本発明者らが、上記「ミニウォーター」におけるろ過能(5μm)より高いナノオーダ(1μm(1000nm)又は0.2μm(200nm))のろ過能を有するカートリッジフィルタで、アスベスト含有排水(汚水)のろ過を行ったところ、ある程度の捕捉は可能であるが、今後のアスベストの系外排水規制の厳格化に対応するには不十分なろ過能であった(後述の表1(E)・(F)参照)。
【0015】
また、ろ材が早期に目詰まりし、圧損が高くなってフィルター交換を頻繁に行わなければならないことが分かった。すなわち、カートリッジフィルタの耐用期間が短かった。
【0016】
本発明の特許性に影響を与える特許文献は、本発明者らは寡聞にして知らない。
【0017】
ちなみに、特許庁ホームページの公報テキスト検索(要約+請求の範囲)で、論理式「(解体OR改修)AND(アスベスト)AND(安全)」で検索した結果は、ヒット件数は4件であった(平成19年8月31日現在)。
【特許文献1】特開2007−117909号公報
【特許文献2】特開2007−107359号公報
【特許文献3】特開2007−063784号公報
【特許文献4】特開2007−063780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、上記にかんがみて、精密ろ過器の耐用期間(耐用処理量)の大幅な短縮が期待でき、更には、汚水中の粉塵、特に、排水中のアスベスト含有率のさらなる低下が期待できる改修乃至解体現場における排水処理ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、上記課題を、解決するために、鋭意開発に努力をした結果、下記構成の改修乃至解体現場における排水処理ユニットに想到した。
【0020】
アスベスト等を含有する建材を使用した建築物等の改修乃至解体をするに先立ち行う水洗工程で発生するアスベスト等含有水を排水処理する際に使用するユニットであって、
集水手段、粗(アラ)ろ過手段、精密ろ過手段、及び、それらの各手段間を接続する第一・第二輸送配管を備え、
前記粗ろ過手段が、ろ過槽本体に、開口面全面に重力ろ過面を形成可能なろ材が着脱自在に装着され、該ろ材が不織布又は水透過性シートであることを特徴とする。
【0021】
上記構成において、前記不織布はスパンボンドとすることができ、該スパンボンドの目付は20〜200g/m2のものを使用することができる。
【0022】
上記各構成において、ろ材が、前記ろ過槽本体から前記ろ材とともに着脱自在なろ過対応面が多孔板部又はフレーム部とされたろ材受けに保持されて、適宜、ろ材受けとともに挟持する挟持リングを用いて、前記ろ過槽本体に装着される構成とすることができる。
【0023】
本発明の改修乃至解体現場における排水処理ユニットは、有害物質が繊維状有害物質、特にアスベストの場合に適用すると効果が顕著となる。なお、本発明の排水処理ユニットを、アスベスト含有粉塵に適用した場合は、精密ろ過の二次ろ過手段の、捕捉最小粒子径が、1μm未満のものを使用する。
【0024】
なお、本発明の排水処理ユニットを使用しての改修乃至解体現場における排水処理方法は、下記構成となる。
【0025】
アスベストを含有する建材を使用した建築物等の改修乃至解体をするに先立ち行う水洗工程で発生するアスベスト等含有水を、粗ろ過手段を用いて一次ろ過後、さらに、精密ろ過手段を用いる二次ろ過を経て排水する改修乃至解体現場における排水処理方法であって、
前記粗ろ過手段が、ろ過槽本体に、開口面全面に重力ろ過面を形成可能なろ材が着脱自在に装着され、該ろ材が不織布又は水透過性シートである構成であることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、本発明を、望ましい実施形態に基づいて、さらに、詳細に説明をする。
【0027】
(A)図1に本発明の改修乃至解体現場における排水処理方法に使用するユニットのモデル図を示す。
【0028】
本実施形態のユニットは、基本的には、集水手段12、粗(アラ)ろ過手段(一次ろ過手段:粗ろ過器)14及び精密ろ過手段(二次ろ過手段:精密ろ過器)16を備えている。
【0029】
1)集水手段12としては、例えば、外壁を水洗する場合、外壁の下端に配する集水樋18と、該集水樋18の排水口に配するピット(集水槽)20とで構成する。なお、ピット20は、通常、成形体を用意しておき現場埋め込み型とするが、現場施工でもよい。
【0030】
さらに、図示しないが、集水樋18の流出口、乃至、ピット20の開口部には、適宜、金網や布体(不織布を含む。)で形成したごみ取り手段(ストレーナ)を配してもよい。
【0031】
2)粗ろ過手段(粗ろ過器:一次ろ過手段)14は、ろ過槽本体22に、開口面全面に重力ろ過面を形成可能なろ材(重力ろ過部材)24が着脱自在に装着され、該ろ材24が不織布又は水透過性シートである構成であるものとする。
【0032】
ここで、ろ材24は、ろ過槽本体22からろ材24とともに着脱自在なろ過対応面26aが多孔板部(図1(A))又はフレーム部(図1(B))とされたろ材受け26に保持され、さらに、挟持リング28で挟持されて重力ろ過部材29が形成され、該重力ろ過部材をろ過槽本体22に着脱自在に装着される構成のものとする。なお、ろ材受け26の上端には一対の取っ手26bを形成して、重力ろ過部材29を一体的に着脱容易としてある。上記フレーム部はフラットバーで形成してもよいが、帯状網体で形成してもよい。
【0033】
なお、多孔板部又はフレーム部のろ過対応面26aにおける開口率は、10〜98%、望ましくは50〜95%で、各孔の開口面積は、1〜10000mm2、望ましくは3〜3000mm2、さらに望ましくは100〜1000mm2とする。
【0034】
ここで、ろ材24は、ろ材受け26の多孔板部(底部)全面のみでもよいが、通常、図例の如く、ろ材受け26の内周壁も覆う構成とする。当該構成により、ろ材受け26の内周壁へのアスベストの付着を防止できて望ましい。
【0035】
また、ろ材受け26は、ろ過槽本体22と一体化したものとし、ろ材24を挟持リング28とともに着脱可能とすることもできる。さらに、ろ材24を、ろ過槽本体22に上方から嵌着可能な有底筒状成形体として、ろ材受け及び挟持リングを廃する(無くす)こともできる。なお、挟持リングの代わりに適当な重し(例えば50〜500gの金属棒体や鉱物塊)をろ材24の上に載せてもよい。
【0036】
ただし、ろ材24を形成する不織布は成形体とせずに、可撓性を有するものの方が望ましい。使用後、折り畳んで小さくして、ポリ袋に入れて廃棄等することができ、剛体である成形体のろ材に比して取扱いも容易となる。
【0037】
また、ろ材24が不織布又は水透過性可撓性シート体を平置きすることにより、重力による緩慢な自然ろ過(いわゆる「重力ろ過」)が可能となる。このため繊維長の長いもの(例えば、3μm以上)の、捕捉が容易になると推測される。
【0038】
水透過性可撓性シート体としては、多孔質プラスチックシート、漉き紙、織布(例えば、織り方や方向やピッチの違う織布を積層したもの。)等を挙げることができる。
【0039】
不織布の場合は、そのタイプは、特に限定されず、ケミカルボンド、ニードルパンチ等の乾式不織布、スパンボンド(紡糸と同時に熱カレンダーで圧着してシート状にしたものも含む。)、湿式不織布(数mm程度の繊維を金網で漉いてシート状にしたもの。)を使用可能である。特に、これらのうちで、スパンボンドが、薄いシート状不織布(約0.1〜0.5mm)を得易く、しかもアスベスト(繊維状有害物質)の捕獲性が良好で望ましい。
【0040】
特に、繊維状有害物質がアスベストの場合、目付が、望ましくは約20〜200g/m2、更に望ましくは約40〜150g/m2、最も望ましくは約50〜100g/m2であることを確認している。
【0041】
不織布の構成繊維としては、ポリオレフィン系、ポリプロピレン系、ポリエステル系、ナイロン系、等特に限定されない。
【0042】
具体的には、ユニチカ社から「エルベス」(オレフィン系)、「シンテックス」(ポリプロピレン系)、「ウィウィ」(ナイロン系)の、帝人から「ユニセル」(ポリエステル系)の、旭化成から「エタルプラス」(ポリエステル系)の、各登録商標名で上市されているものを使用可能である。
【0043】
そして、集水手段12と粗ろ過器(粗ろ過手段)14との間は、通常、第一液送ポンプ(揚水ポンプ)30を備えた第一液送配管32で接続する。なお、前述の如く、集水樋の流出口やピット開口部にゴミ取り手段(ストレーナ部材)を配しない場合は、第一液送配管32の吸込み口32aにはストレナー(ゴミ除去金網)34を装着しておく。
【0044】
3)精密ろ過器(精密ろ過手段)16は、汎用の精密ろ過器、例えば、前述の米国クリティカルインダストリー社から「ミニウォーター」の商品名で製造販売されているものを使用することができる。該精密ろ過器に装着するカートリッジフィルタ16aとしては、ナノオーダのろ過能(最小捕捉粒子1μm未満)を有するもの、望ましくは、0.1〜0.5μm(100〜500nm)、さらに望ましくは0.2μm(200nm)のろ過能を有するものを使用する。
【0045】
そして、粗ろ過器14と精密ろ過器16との間は、第二液送ポンプ36を備えた第二液送配管38で接続する。
【0046】
なお、第一・第二液送配管のポンプの両側乃至一方は、チューブ配管とすることもできる。さらに、精密ろ過手段である精密ろ過器16の吐出側は、下水ピット50等に接続して排水可能としておく(図2〜3参照)。
【0047】
(B)次に、上記排水処理ユニットを使用しての改修方法について説明する。
【0048】
基本的には、下記1)養生工程、2)現場排水系構築工程、3)水洗工程、4)塗装工程、5)養生除去工程を含むものである。なお、以下の説明で、前述の排水処理ユニットに対応するものは同一図符号を付してそれらの説明の全部又は一部を省略する。
【0049】
1)養生工程:
先ず、建物40の改修対象の外壁40aの周囲に組み立てた足場42に、防塵養生シート44を張設するとともに、外壁40aと足場の間に地表養生シート46を敷設する。
【0050】
2)現場排水処理系構築工程:
外壁40aの基礎40bに沿って、集水樋(例えば、プラスチック製)18を仮保持板材19で仮設置する。なお、集水樋18と基礎40bとの隙間には養生テープ等でシールしておくことが望ましい。
【0051】
そして、集水樋18の任意の1箇所又は複数個所に集水槽(集水ピット)20を形成する。そして、該集水槽20の底部に、第一液送ポンプ(揚水ポンプ)30の第一液送配管32の吸込み口32aを配するとともに、揚水ポンプ30の第一液送配管32の吐出口32bを、ろ過槽本体22の開口部(水流入部)、重力ろ過部材29の配設部に対面させる。吐出口32bにシャワーを取り付けてもよい。
【0052】
そして、粗ろ過器14(ろ過槽本体22)と、精密ろ過器(二次ろ過手段)16とは、前述のごとく、第二液送配管38で接続する。さらに、精密ろ過器16の出口は、排水系(通常既設の)48を介して、下水ピット50等へ排水可能となっている。
【0053】
そして、ポンプ、精密ろ過器36のエア抜き、給排水系などの試運転をしておく。
【0054】
上記において、集水方式として、簡易樋仮配置方式を用いる場合を例に採ったが、集水方式は上記限られるのではない。また、屋根改修の場合は、集水手段は、既設の樋を利用して、一次分離タンクに集水し、該一次分離タンクから一次ろ過槽(粗ろ過器)へ重力落下乃至ポンプを利用して導入してもよい。
【0055】
3)水洗工程
前述と同様、改修工法は、対象外壁を散水又は高圧水洗により水洗浄を行う。
【0056】
そして、この散水又は高圧水洗により発生した使用済み水は、前記集水樋18等を経て粗ろ過器(一次ろ過手段)14へ導入される。
【0057】
なお、高圧又は水洗に際して、フード付き水洗で使用済み水の還流ホースを使用する場合は、該還流ホースを介して粗ろ過器14へ導入する。
【0058】
このとき、散水乃至高圧水洗で発生した使用済み水(汚水:アスベスト含有汚水)は、精密ろ過器(精密ろ過手段)16で二次ろ過される前に、ろ過槽本体22に重力ろ過部材29を配して形成した粗ろ過器(粗ろ過手段)14で一次ろ過することにより、意外にも、アスベスト含有汚水中のアスベストの大部分が捕捉される。このため、二次ろ過手段である精密ろ過器に対する負荷が格段と小さくなり、結果的に、直接、アスベスト含有汚水を加圧通過させる場合に比して、排水中のアスベスト含有率がさらに低くなる。当然、精密ろ過器におけるカートリッジフィルタの交換期間(耐用処理量)も格段に増大する。
【0059】
尚、使用済みのろ材(不織布)やカートリッジフィルタは、管理保管して、所定箇所に廃棄する。
【0060】
4)塗装工程
こうして水洗後の外壁には、慣用の、下塗り更には上塗りを行って乾燥させる。
【0061】
例えば、下塗りは、可撓形アクリル樹脂系、ポリマーセメント系の下地調整材を、上塗りは、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、アクリルシリコーン樹脂系統の外装用仕上げ塗料を、それぞれ使用し、エアレススプレー、刷毛塗り、又はローラ塗り等により行う。
【0062】
5)養生除去工程
こうして、塗装後、地表養生シート46、防塵養生シート44を取り外し、各養生シートは、アスベスト用の管理型処分場で処分する。
【0063】
これらの養生シートも、法規に準じて、保管、廃棄する。
<試験例>
【0064】
本発明の効果を確認するために行った、アスベスト含有汚水についてのろ過試験について、説明する。
【0065】
試料は、下記のものを使用した。
【0066】
(A)原液:アモサイト15gを清水30Lに溶かして均一に分散させたもの。
【0067】
(B)一次ろ過液:スパンボンド(ポリエステル系、目付:70g/m2)にて重力ろ過したもの。
【0068】
(C)二次ろ過液:一次ろ過液をカートリッジフィルタ(0.2μm)にてろ過したもの。
【0069】
(D)ブランク液:ブランク水(水道水)をカートリッジフィルタ(0.2μm)でろ過したもの。
【0070】
(E)精密ろ過液(1):原液をカートリッジフィルタ(1μm)にてろ過したもの。
【0071】
(F)精密ろ過液(2):原液をカートリッジフィルタ(0.2μm)にてろ過したもの。
【0072】
上記各試料を表示量ずつ採取し、メンブランフィルタでろ過して乾燥したものについて、位相差顕微鏡にて、計数分析を行った。なお、「f/L」は、「試料1L中のアスベスト繊維数」を意味する。その結果を示す表1から、本発明では、改修乃至解体現場における排水処理方法から排出されるアスベスト含有汚水には、実質的にアスベストを含有しないことが分かる(試験例(C))。ブランク水をろ過した場合(試験例(D))と同様の「検出されず」となっている。
【0073】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の改修乃至解体現場における排水処理方法に使用するユニットのモデル図である。
【図2】図1のユニットを使用して改修現場に適用した場合における排水処理方法の全体配置立面概略図である。
【図3】同じく平面概略図である。
【符号の説明】
【0075】
12 集水手段
14 粗ろ過手段(一次ろ過手段:粗ろ過器)
16 精密ろ過手段(二次ろ過手段、精密ろ過器)
18 集水樋
20 集水槽(集水ピット)
22 ろ過槽本体
24 ろ材
26 ろ材受け
26a ろ過対応面
28 挟持リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスベスト等の繊維状または粉末状の有害物質(以下「アスベスト等」という。)を含有する建材を使用した建築物、工作物又は構築物(以下「建築物等」という。)の改修乃至解体をするに先立ち行う水洗工程で発生するアスベスト等含有水を排水処理する際に使用するユニットであって、
集水手段、粗(アラ)ろ過手段、精密ろ過手段、及び、それらの各手段間を接続する第一・第二輸送配管を備え、
前記粗ろ過手段が、ろ過槽本体に、開口面全面に重力ろ過面を形成可能なろ材が着脱自在に装着され、該ろ材が不織布又は水透過性シートであることを特徴とする改修乃至解体現場における排水処理ユニット。
【請求項2】
前記不織布がスパンボンドであることを特徴とする請求項1記載の改修乃至解体現場における排水処理ユニット。
【請求項3】
前記スパンボンドの目付が20〜200g/m2であることを特徴とする請求項2記載の改修乃至解体現場における排水処理ユニット。
【請求項4】
前記ろ材が、前記ろ過槽本体から前記ろ材とともに着脱自在なろ過対応面が多孔板部又はフレーム部とされたろ材受けに保持されて、前記ろ過槽本体に装着されることを特徴とする1、2又は3記載の改修乃至解体現場における排水処理ユニット。
【請求項5】
前記ろ材が、さらに、前記ろ材受けとともに挟持する挟持リングを用いて、前記ろ材受けに保持されていることを特徴とする請求項4記載の改修乃至解体現場における排水処理ユニット。
【請求項6】
前記有害物質がアスベストであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一記載の改修乃至解体現場における排水処理ユニット。
【請求項7】
前記精密ろ過手段の捕捉最小粒子径が、1μm未満であることを特徴とする請求項6記載の改修乃至解体現場における排水処理ユニット。
【請求項8】
アスベストを含有する建材を使用した建築物等の改修乃至解体をするに先立ち行う水洗工程で発生するアスベスト等含有水を、粗ろ過手段を用いて一次ろ過後、さらに、精密ろ過手段を用いる二次ろ過を経て排水する改修乃至解体現場における排水処理方法であって、
前記粗ろ過手段が、ろ過槽本体に、開口面全面に重力ろ過面を形成可能なろ材が着脱自在に装着され、該ろ材が不織布又は水透過性シートである構成であることを特徴とする改修乃至解体現場における排水処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−61421(P2009−61421A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−233074(P2007−233074)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(000159032)菊水化学工業株式会社 (121)
【Fターム(参考)】