説明

改善されたきらめき効果を有する顔料

本発明は、改善された及び調整可能なきらめき効果を有する顔料であって、A)(a)誘電材料及び/又は金属で被覆されたパーライトの板状基材;及びB)(a)誘電材料、及び/又は金属で被覆されたマイカの板状基材を含む前記顔料、及びそれらの製造方法及びそれらの、塗料、インクジェット印刷における、織物染色のための、コーティング(塗料)、印刷インク、プラスチック、化粧品、セラミック及びガラスのための上薬の顔料着色のための使用に関する。この顔料は改善されたきらめき効果、特に魅力的な高度のきらめき強さを示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調整可能な及び/又は改善されたきらめき効果を有する顔料であって、
A)(a)誘電材料及び/又は金属で被覆されたパーライトの板状基材;及び
B)(a)誘電材料及び/又は金属で被覆されたマイカの板状基材
を含む前記顔料、及びそれらの製造方法及びそれらの、塗料、インクジェット印刷における、織物染色のための、コーティング(塗料)、印刷インク、プラスチック、化粧品、セラミック及びガラスのための上薬の顔料着色のための使用に関する。この顔料は改善されたきらめき効果、特に魅力的な高度のきらめき強さを示す。
【0002】
対象へのきらめき効果は、隣接領域と比較して、より高い強さの光が直接光において観察される位置として定義できる。
【0003】
それらの効果は、対象の表面上のコーティングに組み込まれた光反射顔料によって又は光反射顔料を有する対象の原料着色によって生じる。
【0004】
顔料の光反射特性は、粒径、粒子形状及び化学組成に依存する。弱い光反射は、5μm未満の直径を有するフレークが入射光に反射する時に知覚される。ヒトの目は、直径20μmのフレークによって引き起こされる光の反射を更に強いものとして知覚する。
【0005】
天然又は合成のマイカベースの顔料は、塗料又はプラスチック中に導入される時にきらめき効果をもたらす。
【0006】
従来、効果顔料のきらめきは言葉でしか記載されていなかった。フレークの直径に応じて、きらめき効果は知覚されて、「わずか」(フレーク直径約5μm〜15μm)、「強い」(フレーク直径約15〜25μm)、「人目を引付ける」(フレーク直径約25〜100μm)、最終的には「最大」(フレーク直径100μm超)として記載された。
【0007】
この分類はきらめき効果の定量的な記載に関して十分ではなかったので、過去10年にわたって測定装置が開発されてきた。一例はByk−Gardner GmbHからのByk−mac(Lausitzer Strasse 8, 82538 Geretsried、独国)である。この装置は、フレーク特性のきらめき及び粒状性を測定することが可能である。3つの異なる照射角の場合、フレークのきらめき挙動は、以下のパラメータを有することを特徴とする:
− きらめき領域(S_a)は所与の測定内の光反射の数に対応する;
− きらめき強さ(S_i)は光反射の強さに対応する。
【0008】
拡散光の下では、きらめき効果は観察できない。拡散光条件下のきらめき顔料の視覚的外観は、言葉の上では、テキスチャー、粗度又は粒状性によって記載される。Byk−macはこの効果を記載するために粒状性の値Gdiffを測定する。
【0009】
最も一般的なきらめき効果顔料は、金属酸化物で被覆されたガラスフレーク又は金属酸化物で被覆されたアルミナフレークをベースとしたものである。かかる効果の顔料は、特徴的なきらめき効果を提供している。
【0010】
DE102005025609号は、例えば、化粧品、ラッカー及び着色剤において有用な、金色の干渉顔料並びに銀白色、銀灰色及び黒灰色の干渉顔料の更なる顔料を含む、金属明るさの高い非金属顔料混合物を開示している。
【0011】
EP1218455号は、少なくとも2つの成分からなる分散液又は粉末の形の顔料混合物に関する。成分Aは、粉末又は分散液の形の被覆された又は被覆されていないBiOCl顔料を表し、成分Bは、真珠光沢の顔料、板形状、針形状又は球状の染料及び/又は充填剤を表す。成分BとBiOCl顔料との混合は、向上した金属の光沢を適用システムに付与することができ、色効果が向上して、新規な色効果が達成される。
【0012】
EP1469042号は、ガラスフレークベースの効果顔料を含有する成分A及び有機及び/又は無機のフレーク形、針形状、球状又は結晶質の着色剤及び/又は充填剤を含有する成分Bを含む顔料混合物を開示している。1種以上の着色剤を、被覆されたガラスフレークに混合することによって、レインボー効果を適用システムに付与することができ、これは色効果を向上させて新規な色効果を達成する。
【0013】
WO2004085530号は、1種以上の複数の結合剤を含有する高光沢の非毒性の真珠光沢顔料配合物であって、少なくとも2つの成分A及びBを20:80〜80:20の比で含み、成分AはBiOCl顔料を表し且つ成分Bは真珠光沢顔料を表す、前記配合物に関する。
【0014】
US7,387,669号は、鉄酸化物で被覆され且つ予備被覆状態で8〜30μmの平均プレートレットサイズ、300〜600nmの平均プレートレット厚さ及び15〜70のアスペクト比を有するアルミニウムプレートレットをベースとした顕著なきらめきを有する光沢顔料を開示している。
【0015】
US6517628号(EP1045014号)は、顔料混合物であって、
少なくとも1つの低屈折率の層に隣接する少なくとも1つの高屈折率の層を含む、2つ以上の層で被覆されたマイカ、SiOフレーク、ガラスフレーク、Alフレーク又はポリマーフレーク基材を含む成分A並びに成分Aの定義内ではない、プレートレット形状、針状又は球状の着色剤及び/又は充填剤を含む成分Bを含む、前記顔料混合物に関する。成分Bは真珠光沢の顔料、着色したガラス粒子、カーボンブラック、有機着色顔料及び/又は無機着色顔料を含んでよい。US6517628号の課題は、比較的高い隠蔽力が特徴的であり且つ使用される各システム中にうまく導入させやすい顔料混合物を提供することである。
【0016】
US6294010号は、成分A及び成分Bを含む顔料混合物であって、成分Aが1種以上の金属、金属酸化物又は金属硫化物で被覆されたAlフレークを含み、成分Bが1種以上の機能顔料を含む、前記顔料混合物に関する。好ましいものはTiO、Fe、又はTiO及びFeの組み合わせで被覆されたAlフレークである。
【0017】
成分Bは導電性顔料、磁性顔料、IR反射顔料、レーザーマーキング可能な顔料、又はそれらの混合物を含む。US6294010号は、成分Bによって生じる追加の機能(導電性、磁性、IR反射)を有する顔料混合物を提供する。
【0018】
US6267810号は、成分A及び成分Bを含む顔料混合物であって、成分Aが1種以上の金属、金属酸化物又は金属硫化物で被覆されたAlフレークを含み、成分Bが特殊な効果の顔料を含む、前記顔料混合物に関する。成分Bは、i)1種以上の金属酸化物で被覆された1種以上の金属プレートレット、ii)グラファイトプレートレット、iii)アルミニウムプレートレット、iv)フィロケイ酸塩、v)1種以上の金属酸化物で被覆されていない又は被覆されたFeフレーク、SiOフレーク、又はTiOフレーク、Vi)ガラスプレートレット及び/又はvii)セラミックプレートレットを含んでよい。用語「特殊な効果の顔料」は、真珠光沢の顔料、即ち、1種以上の金属酸化物で被覆されたマイカフレーク顔料も含んでよく、これは例えば、商品名Iriodin(登録商標)、Afflair(登録商標)及びTimiron(登録商標)の下で、Merck KGaA, Darmstadtから得られる。US6267810号は、被覆されたAlフレーク(=きらめきで知られた)とその時点で公知の他の効果顔料とのブレンドを記載している。Alフレークをベースとした顔料の欠点は、複雑で且つ費用のかかる製造プロセスである。
【0019】
WO2006110359号は、半透明の金属酸化物膜で被覆された合成プレートレットを含む効果顔料であって、前記合成プレートレットは少なくとも9.5ミクロンのD10、約20〜40ミクロン未満の間のD50、及び35ミクロンを上回り85ミクロン未満のD90として特徴付けられるサイズ分布を有する。金属酸化物膜は二酸化チタン、又は酸化鉄を含んでよい。合成プレートレットは、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、ビスマスオキシクロリド、窒化ホウ素、及びガラスから選択される。WO2006110359号は、きらめき効果を最適にするために顔料の粒径分布をどのように変更するか教示している。
【0020】
WO2004061012号は、少なくとも2つの異なる材料の被覆された混合物を含む効果顔料であって、それぞれの前記少なくとも2つの異なる材料が、前記少なくとも2つの異なる材料の総量を基準として、少なくとも約5質量パーセント〜約95質量パーセントで存在し、前記効果顔料が視覚的な均質性を示す、前記効果顔料を開示している。効果顔料は、被覆された層状プレートレット、好ましくは金属酸化物で被覆された層状プレートレットの混合物であり、その際、該プレートレットは異なる材料、例えば、ガラス及びマイカの混合物であり、且つ該効果顔料が視覚的均質性を示し、これはプレートレットを被覆する前に異なるプレートレットをブレンドすることによって生じる。WO2004061012号は、異なる基材を被覆する前にそれらをブレンドすることで調製される効果顔料のブレンドが、既にあらかじめ被覆された基材をブレンドすることで得られる効果顔料のブレンドよりも色の特性(クロマ)が遥かに優れていることを教示する。
【0021】
US2008305184号は、少なくとも2つの成分からなる顔料混合物であって、成分Aが被覆されていない、単一被覆された又は多重被覆されたガラスラメラであり、成分Bがフィロケイ酸塩、SiOラメラ、Feラメラ又はAlラメラをベースとした真珠光沢の顔料である、前記顔料混合物に関する。ガラスフレークは完全に又は部分的にTiO及び/又はFeで被覆されている。成分BはTiO及び/又はFeで被覆されたフィロケイ酸塩をベースとした真珠光沢の顔料であってよい。フィロケイ酸塩は好ましくは天然又は合成のマイカである。顔料混合物は、強いきらめきと高度な光沢を示す。
【0022】
金属酸化物で被覆されたガラスフレーク又は金属酸化物で被覆されたアルミナフレークの欠点は、費用がかかる合成(高エネルギー、廃棄物)と高価である。
【0023】
金属被覆の又は酸化物被覆の、天然又は合成のマイカをベースとした従来の真珠顔料は、Byk−macで測定された時に15°の照射角度で高いきらめき強さを示す。より高い照射角度で、きらめき強さはより低い値を示す。例えば、金属酸化物被覆の合成マイカ顔料は、面角で高いきらめき強さS_i及び高いきらめき面積S_aを示す。ダウンフロップ(=高い角度)において、光反射の数(S_a)及びそれらの強さ(S_i)は遥かに低い。金属酸化物被覆のパーライト基材は、ダウンフロップ(高い角度で)においてS_a及びS_iの両方について高い値を示す。図1〜4を参照されたい。金属酸化物被覆の合成マイカ基材と金属酸化物被覆のパーライト基材とのブレンドが、純粋な顔料の境界の間のS_a及びS_i値をもたらすことが予想される。
【0024】
ここで驚くことに、金属で被覆された又は酸化物で被覆された天然又は合成のマイカをベースとした顔料と金属で被覆された又は酸化物で被覆されたパーライトとのブレンドが、単一の成分の境界線によって制限されないきらめき挙動を示すことが判明した;即ち、このブレンドは全角度において予想されない魅力的に高いきらめき強さによって特徴付けることができる。前記「相乗」効果は驚くべきことであり且つ予想できなかった。さらには、きらめき領域S_aとS_aの角度依存性は調整できる。
【0025】
従って、本発明は、
A)(a)誘電材料及び/又は金属で被覆されたパーライトの板状基材;及び
B)(a)誘電材料及び/又は金属で被覆されたマイカの板状基材
を含む向上したきらめき効果を有する(干渉)顔料、及びそれらの製造方法及びそれらの、塗料、インクジェット印刷における、織物染色のための、コーティング(塗料)、印刷インク、プラスチック、化粧品、セラミック及びガラスのための上薬の顔料着色のための使用を提供する。
【0026】
誘電材料は、特に高い、又は低い屈折率を有する、(金属)酸化物である。例を以下に示す。
【0027】
「誘電材料及び/又は金属で被覆された」との用語は、基材を誘電材料の層又は金属層で被覆できること;又はこれを2つ以上の誘電材料及び/又は金属の層で被覆できることを意味する。いわゆる「多層」顔料の例を以下に示す。金属層は特に薄い半透明の金属層である。
【0028】
デザインの観点から、望ましいことは、高価な顔料を強制的に使用せずに、角度依存のきらめき効果に関して様式をカスタマイズするための更なる可能性を有することである。前記課題は、向上した且つ調整可能なきらめき効果を有する本発明の効果顔料によって解決された。
【0029】
主に、被覆されたパーライトの板状基材(パーライトベースの顔料)は、本発明の効果が得られる限り任意の量で含有され得る。通常、被覆されたパーライトの板状基材(パーライトベースの顔料)は、パーライトベースの顔料と被覆されたマイカの板状基材(マイカベースの顔料)の合計を基準として、1〜80質量%、特に5〜80質量%の量で含有される。顕著な効果は、パーライトベースの顔料が10〜50質量%、特に10〜40質量%の量で含有される場合に得られる。
【0030】
S_aの強い角度依存が望ましい場合、パーライトベースの顔料の量は5〜30質量%でなければならない。S_aの弱い角度依存が望ましい場合、パーライト基材の量は好ましくは30〜80質量%でなければならない。
【0031】
図1は、本発明の顔料(Pro1〜Pro4)及び比較の顔料(ComPro1及びComPro3)のきらめき強さ(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。
【0032】
図2は、本発明の顔料(Pro5〜Pro8)及び比較の顔料(ComPro2及びComPro3)のきらめき強さ(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。
【0033】
図3は、本発明の顔料(Pro9〜Pro12)及び比較の顔料(ComPro1及びComPro4)のきらめき強さ(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。
【0034】
図4は、本発明の顔料(Pro17〜Pro20)及び比較の顔料(ComPro6及びComPro7)のきらめき強さ(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。
【0035】
本発明は、酸化物及び/又は金属被覆のための基材としてパーライトと一緒に天然及び/又は合成のマイカを使用することによって、どのように新規なきらめき顔料を製造できるか記載している。
【0036】
酸化物又は金属で被覆されたパーライト基材及びマイカ基材を既にブレンドすることも可能である。本発明の場合、きらめきパラメータS_a及びS_iは、適切な材料組成物を選択することによって調整することができる。
【0037】
天然及び合成のマイカは生物学的不活性であり、従って広範の用途に利用可能である。基材マイカは、約300〜600nmの厚さ及び規定された粒径分布を有する薄いプレートレットからなる。
【0038】
金属酸化物、例えば、酸化鉄、酸化チタン又はニッケル又は銀などの金属で被覆された天然又は合成のマイカをベースとした真珠光沢のある顔料の欠点は、ホウケイ酸塩又はアルミナベースのきらめき顔料のような高価な材料を使用しないで、それらのきらめき効果のカスタマイズができないことである。
【0039】
「マイカ」との用語は、天然マイカ、例えば、黒雲母、ヒル石、絹雲母、白雲母、金雲母、フルオロ金雲母、カオリンを含み又は更には関連した合成マイカ、例えば、合成フルオロ金雲母も含む。
【0040】
例えば、天然、又は合成のマイカなどの透明な担体材料からなるコアを有する効果顔料が公知である。例えば、Gerhard Pfaff and Peter Reynders,Chem.Rev.99(1999)1963〜1981が参照される。
【0041】
本発明の好ましい実施態様において、板状基材は白雲母、天然のマイカである。白雲母マイカは、約300〜600nmの厚さ及び規定された粒径分布を有する。
【0042】
本発明の別の好ましい実施態様において、板状基材は合成マイカである。合成マイカはフルオロ金雲母であることが好ましい。フルオロ金雲母、KMgAlSi10は、湿式法プロセスを使用して剥離される。市販のフルオロ金雲母は、通常、SEM測定によって測定して0.4〜1.3ミクロンの平均厚さを有する。かかる湿式プロセスは中国特許公報CN1693200A号に記載されている。中国特許公報CN1693199A号は、湿式法によって合成されたマイカ粉末を正確に分級するための方法を開示する関連特許出願である。両方の特許はSanbaoguangjing Mica Sci.&Tec.に譲渡されており且つ本願明細書に援用されている。該湿式プロセスは、多数の工程において水を媒体として使用する製造方法に関する。第一に、マイカ粉末を高圧の水ポンプを通過させて水圧式破砕を実施し、その後、脱水のために遠心分離した後、ローラーミルによって粉砕及びパルプ化する。マイカがローラーミルを通過した後、該マイカを分級プール内に、そして最終的に乾燥ストーブ又はオーブン内に供給してマイカの含水率が1%未満になるまでベークする。製造されたフルオロ金雲母は、合成マイカの有利な特性、例えば輝度、非腐食性(non−corrodibility)及び有害物質、例えばHg、Pb、As等の不在を示す。他の明確な品質の特徴は高純度、特に低Fe含有率(<0.2%)を含む。
【0043】
本発明のきらめき顔料の他の板状基材(コア)は、WO2009/007248号及びWO2010/066605号に記載されたパーライトからなる。粉砕されて広がったパーライト中に含有される3D双晶構造の量を、例えば、沈殿法、又は遠心法によって、5質量%未満、特に3質量%未満、極めて特に1質量%未満まで減少させることによって、3D双晶構造粒子のつや消し効果も低減し、これは次に良好な色の均質性を全種類の用途にもたらす。
【0044】
パーライトベースの顔料粒子は、一般的に2μm〜5mmの長さ、2μm〜2mmの幅、及び4μm未満の平均厚さ、並びに少なくとも5:1の長さ対厚さの比を有し、且つ実質的に平行な2つの面を有し、その間の距離がコアの最短軸である、パーライトのコアを含有する。パーライトのコアは、誘電材料、特に高い屈折率を有する(金属)酸化物、及び/又は金属層、特に薄い半透明の金属層で被覆されている。前記層は追加の層で被覆できる。好ましくは150μm未満及び5μmを上回る媒体の粒径が使用される。
【0045】
マイカベースの顔料粒子は一般的に5〜500μmの間の媒体直径(D50(D(v,0.5))を有する。媒体直径は好ましくは10〜300μm、更に好ましくは10〜150μmの範囲である。マイカベースの顔料粒子は、好ましくは酸化チタン及び/又は酸化鉄のいずれかで被覆されている。
【0046】
例えば、22ミクロンのD50を有するマイカベースの顔料のサイズ分布を以下に記載する:50体積%のプレートレットは22ミクロン以下のサイズを有する。
【0047】
原則的に、パーライト及びマイカベースの基材の間の多くのサイズの組み合わせが可能である。
【0048】
効果顔料の最も一般的な粒径分布は、d50値で記載される場合、10μm、15μm、20μm、30μm、50μm、100μm及び150μmである。
【0049】
本発明は、マイカベースの顔料の所与の粒径分布のきらめき挙動をカスタマイズし且つパーライトベースの顔料及びマイカベースの顔料の合計を基準として、1〜90質量%、特に5〜80質量%のパーライトベースの顔料を添加することによって顔料のきらめき効果を調整することが可能である。
【0050】
原則的に、異なる系統のマイカ及びパーライトの粒径分布を組み合わせることができる。極めて異なるサイズを有するマイカ及びパーライトベースの顔料を組み合わせることができる。例えば、15μmの中間粒径を有するマイカベースの顔料の滑らかなきらめき外観は、100μmの中間粒径を有する少量のパーライトベースの顔料により改質することができる。あるいは、100μmの中間粒径を有するマイカベースの顔料は、15μmの中間粒径を有する少量のパーライトベースの顔料により改質することができる。
【0051】
本発明の好ましい実施態様において、類似の粒径を有するマイカ及びパーライトベースの顔料は組み合わされる。例えば、12〜30μm、例えば、約12μm、約15μm、約20μm、約25μm、又は約30μmの中間粒径を有するマイカベースの顔料は、12〜30μm、例えば、約15μm、約17μm、約20μm、約25μm、又は約30μmの中間粒径を有するパーライトベースの顔料と組み合わせることができる。
【0052】
例えば、合成のマイカベースの顔料、特に、約20μmのd50を有する、TiOで被覆された合成のマイカ基材を、パーライトベースの顔料、特に、約25μmのd50を有する、TiOで被覆されたパーライト基材と組み合わせる場合、高い照射角でのきらめき強さは、10〜40質量%のパーライト顔料が添加される場合に強力に向上する。最良の効果は、20〜40質量%のパーライト顔料を添加することによって達成される。図1を参照されたい。
【0053】
更に好ましくは、ほぼ同じ中間粒径を有するマイカ及びパーライトベースの顔料を組み合わせるべきである。例えば、合成のマイカベースの顔料、特に、約20μmのd50を有する、TiOで被覆された合成のマイカ基材を、パーライトベースの顔料、特に、同じサイズのTiOで被覆されたパーライト基材と組み合わせる場合、高い照射角でのきらめき強さは、5〜50質量%のパーライト顔料が添加される場合に強力に向上する。最良の効果は、10〜40質量%のパーライト顔料を添加することによって達成される。図2を参照されたい。
【0054】
本発明の別の好ましい実施態様において、異なる粒径を有するマイカ及びパーライトベースの顔料が組み合わされる。例えば、合成のマイカベースの顔料、特に、約45μmのd50を有する、TiOで被覆された合成のマイカ基材を、パーライトベースの顔料、特に、約25μmのd50を有する、TiOで被覆されたパーライト基材と組み合わせる場合、高い照射角でのきらめき強さは、5〜50質量%のパーライト顔料が添加される場合に強力に向上する。最良の効果は、10〜40質量%のパーライト顔料を添加することによって達成される。図3を参照されたい。
【0055】
例えば、合成のマイカベースの顔料、特に、約12μmのd50を有する、TiOで被覆された合成のマイカ基材を、パーライトベースの顔料、特に、約17.5μmのd50を有する、TiOで被覆されたパーライト基材と組み合わせる場合、高い照射角でのきらめき強さは、10〜40質量%のパーライト顔料が添加される場合に強力に向上する。図4を参照されたい。
【0056】
色の観点から以下のブレンドが有利である:
1.銀色着色したマイカベースの顔料と銀色着色したパーライトベースの顔料;
2.同じ色を有するマイカベースの顔料とパーライトベースの顔料(上色(例えば、赤色マイカベースの顔料と赤色パーライトベースの顔料)及び/又は干渉色(例えば、青色干渉色を有するマイカベースの顔料と青色干渉色を有するパーライトベースの顔料);
3.着色したマイカベースの顔料と銀色のハイライトを有するパーライトベースの顔料;
4.銀色のマイカベースの顔料と着色したパーライトベースの顔料(例えば、銀色のマイカベースの顔料と青色の干渉色を有するパーライトベースの顔料);
5.着色したマイカベースの顔料と補色のパーライトベースの顔料(例えば、金色のマイカベースの顔料と青色のパーライトベースの顔料);
6.着色したマイカベースの顔料と隣接色のパーライトベースの顔料(例えば、赤色のマイカベースの顔料と橙色のパーライトベースの顔料、又は赤色のマイカベースの顔料と紫色のパーライトベースの顔料)。
【0057】
原則的に、別々に被覆されたパーライト及びマイカベースの基材を組み合わせることができるが(=上記のブレンド3〜5)、パーライト及びマイカベースの基材のコーティングは好ましくは同じである(上記のブレンド1〜2)。マイカ成分とパーライト成分の選択は所望のデザインによって変わる。
【0058】
基材上のコーティングは、好ましくはTiO及び/又はFe、又はTiO、Fe及び/又はSiO(TiO、Fe、TiO&Fe、TiO/SiO/TiO、Fe/SiO/Fe、TiO/SiO/Fe、Fe/SiO/TiO及びTiO&Fe/SiO/TiO)からなる。金属化基材も可能である。ブレンドのオプションは意図する様式に依存する。
【0059】
本発明の特に有利な実施態様において、顔料は、約25μmのd50を有するTiOで被覆された合成マイカベースの顔料及び約20μmのd50を有するTiOで被覆されたパーライトベースの顔料を含むか、又は顔料は約20μmのTiOで被覆された合成マイカベースの顔料及び約20μmのd50を有するTiOで被覆されたパーライトベースの顔料を含むか、又は顔料は約40〜60μmのd50を有するTiOで被覆された合成マイカベースの顔料及び約20〜30μmのd50を有するTiOで被覆されたパーライトベースの顔料を含むか、又は顔料は約12μmのd50を有するTiOで被覆された合成マイカベースの顔料及び約17μmのd50を有するTiOで被覆されたパーライトベースの顔料を含むか;又は顔料は約20〜25μmのd50を有するFeで被覆された合成マイカベースの顔料及び約20μmのd50を有するFeで被覆されたパーライトベースの顔料を含むか、又は顔料は40〜60μmのd50を有するFeで被覆された合成マイカベースの顔料及び約20〜30μmのd50を有するFeで被覆されたパーライトベースの顔料を含む。約(about)(又は約(ca.))×μmのd50とは×μm±3μmを意味する。
【0060】
更に、顔料は1種より多いマイカベースの顔料及び/又は1種より多いパーライトベースの顔料を含み得る。
【0061】
きらめき効果を有する本発明の顔料は、
− 既に(金属)酸化物及び/又は金属で被覆されたパーライト基材とマイカ基材(合成又は天然)とを乾燥ブレンドすること;又は
− 被覆していないパーライト基材とマイカ基材とをブレンドし、且つそれらをブレンドとしてCVD又は湿式化学法でコーティングすること
のいずれかによって製造できる。基材の1つを用いてコーティングプロセスを開始して、後の段階で他の基材を追加することも可能である。
【0062】
従って、本発明は、本発明の顔料の製造方法であって、
誘電材料及び/又は金属で被覆されたパーライトの板状基材と、誘電材料及び/又は金属で被覆されたマイカの板状基材とをブレンドすること;又は
被覆していない板状のパーライト基材とマイカ基材とをブレンドすること及び
これらを化学蒸着(CVD)又は湿式化学法において1種以上の誘電材料及び/又は金属の層でコーティングすることを含み、その際、基材の1つを用いてコーティングプロセスを開始して、後の段階で別の基材を追加するか、又は誘電材料及び/又は金属で被覆された板状基材を用いてコーティングプロセスを開始することも可能である、前記製造方法に関する。
【0063】
一般に、この手順は、微粒子(フレーク)を分散させて、この分散液と前駆体とを組み合わせることを含み、その結果、酸化チタン又は酸化鉄中間体コーティングがフレーク上に形成される。水中の微粒子の濃度は約5〜60%であってよいが、一般的には該濃度は約10〜20%の間であることが好ましい。水/粒状のスラリーに、適切な金属イオン源の材料が添加される。チタンの場合、塩化チタニル又は四塩化チタンが好ましくは使用され、鉄の場合、供給源物質は好ましくは塩化第二鉄である。得られるスラリーのpHは、二酸化チタン又は酸化鉄中間体の沈殿を微粒子上にもたらすために、水酸化ナトリウムなどの適した塩基の使用によるチタン又は鉄塩の添加の間、適切な水準に維持される。必要に応じて、チタン及び鉄の水酸化物及び/又は酸化物(又は他の金属)の層を、順次堆積してよい。pHを低くする必要があれば、塩酸などの水性酸を使用してよい。被覆されたプレートレットは、必要であれば、最終的な効果顔料に焼成する前に洗浄及び乾燥してよい。
【0064】
二酸化チタンで被覆された生成物が製造される場合、アナターゼ型及びルチル型の両方の結晶変態が可能である。マイカ及びガラスの両方を含む、幾つかの基材はアナターゼ指向性であり、従って、ルチル型の生成物が望ましい場合、前述の手順を改変する必要がある。ルチル型TiOを実現するために必要な改変は当該技術分野で公知である。
【0065】
一手順は、二酸化チタン前駆体の層の形成前に、錫水酸化物又は酸化物自体を、微粒子の表面上に沈降させることを含む。この手順はUS4,038,099号に詳細に記載されている。有利には、追加のSnO層をTiO層に導入することができ、以下の構造を有する顔料が得られる:マイカ/(SnO)TiO/SnO/TiO。代替的な手順はUS5,433,779号に記載されており、該手順は、錫を使用せずに鉄及びカルシウム、マグネシウム及び/又は亜鉛塩の存在下で二酸化チタン中間体を基材上に堆積することを含む。別のコーティング手順、例えば、化学蒸着法も使用できる。
【0066】
合成又は天然のマイカ基材及びパーライト基材は種々の方法で被覆できる。
【0067】
(半透明な)金属層に適した金属は、例えば、Cr、Ti、Mo、W、Al、Cu、Ag、Au、又はNiである。半透明の金属層は、典型的には5〜25nmの間、特に5〜15nmの間の厚さを有する。
【0068】
本発明によれば、「アルミニウム」との用語は、アルミニウム及びアルミニウムの合金を含む。アルミニウムの合金は、例えばG.WassermannのUllmanns Enzyklopaedie der lndustriellen Chemie, 4. Auflage, Verlag Chemie, Weinheim, Band 7、S.第281〜292頁に記載されている。特に適しているのは、WO00/12634号の第10〜12頁に記載されている腐食安定性のアルミニウム合金であり、これはアルミニウムの他に、ケイ素、マグネシウム、マンガン、銅、亜鉛、ニッケル、バナジウム、鉛、アンチモン、錫、カドミウム、ビスマス、チタン、クロム及び/又は鉄を20質量パーセント未満、好ましくは10質量パーセント未満の量で含む。
【0069】
金属層は、湿式化学コーティングによって、又は化学蒸着法、例えば、金属カルボニルの気相蒸着によって得られる。マイカ/パーライト基材を、金属化合物の存在下で媒体を含有する水性及び/又は有機溶剤に懸濁させて、還元剤の添加により基材上に堆積させる。該金属化合物は、例えば、硝酸銀又はニッケルアセチルアセトネート(WO03/37993号)である。
【0070】
US−B−3536520号によれば、金属化合物として塩化ニッケルが使用でき、還元剤として次亜リン酸塩が使用できる。EP−A−353544号によれば、以下の化合物が還元剤として湿式化学コーティングに使用できる:アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンザルアルデヒド)、ケトン(アセトン)、カルボン酸及びその塩(酒石酸、アスコルビン酸(ascorbinic acid))、レダクトン(イソアスコルビン酸(isoascorbinic acid)、トリオースレダクトン、レダクチン酸(reductine acid))、及び還元糖(グルコース)。しかしながら、還元アルコール(アリルアルコール)、ポリオール及びポリフェノール、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、亜ジチオン酸塩、次亜リン酸塩、ヒドラジン、ホウ素及び窒素の化合物、金属水素化物、並びにアルミニウムとホウ素との水素化物の錯体を使用することも可能である。金属層の堆積は更にCVD法を用いて実施してよい。この種の方法は公知である。この目的のために、流動床反応器が好ましく用いられる。EP−A−0741170号は、不活性ガスの流れの中で炭化水素を使用するアルキルアルミニウム化合物の還元によるアルミニウム層の堆積を記載している。さらには、金属層を、EP−A−045851号に記載の通り、加熱可能な流動床反応器内で、相応する金属カルボニルの気相分解によって堆積できる。この方法に関する更なる詳細は、WO93/12182号に示されている。この場合、金属層を基材に適用するために使用できる、薄い金属層の堆積のための更なる方法は、高真空中で金属を気相蒸着するための公知の方法である。これはVakuum−Beschichtung[真空コーティング]、第1〜5巻;Frey,Kienel and Lobl編集、VDI−Verlag、1995年に詳細に記載されている。スパッタ法においては、支持体と、板の形のコーティング材料(ターゲット)との間でガス放電(プラズマ)に点火する。コーティング材料は、プラズマからの高エネルギーのイオン、例えばアルゴンイオンで衝撃され、それによって取り出されるか、又は原子化される。原子化されたコーティング材料の原子又は分子が支持体上に沈着して所望の薄い層を形成する。スパッタ法は、Vakuum−Beschichtung[真空コーティング]、第1〜5巻;Frey,Kienel and Lobl編集、VDI−Verlag、1995年に記載されている。屋外での用途、特に車両用塗料における用途に使用するために、該顔料は更なる天候安定化保護層、いわゆるポストコーティングと共に提供されてよく、これは同時にバインダー系に対する最適な適合に影響する。この種のポストコーティングは、例えば、EP−A−0268918号及びEP−A−0632109号に記載されている。
【0071】
より強い金属外観を有する顔料が望ましい場合、金属層の厚さは25nmを上回って100nmまで、好ましくは30〜50nmである。着色した金属効果を有する顔料が望ましい場合、着色した又は無色の金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物及び/又は金属の追加の層が堆積されてよい。これらの層は透明又は半透明である。高い屈折率の層及び低い屈折率の層が交互になっているか又はそのうちの1つの層が存在し、その際、層内の屈折率が徐々に変化することが好ましい。耐候性を追加のコーティングによって向上させることが可能であり、これは同時にバインダー系に最適な適合性をもたらす(EP−A−268918号及びEP−A−632109号)。
【0072】
金属及び/又は金属酸化物で被覆されたパーライト/マイカのフレークは、WO06/131472号に記載の通り、プラズマトーチで処理することができる。この処理は、例えば、均質な結晶性及び/又はコーティングの高密度化を促進させる。ある粒子の急速な溶融及び凝固は、バリア特性、結合性及び結晶性表面形成などの金属及び/又は金属酸化物コーティングに関連した良好な特性を提供することができる。反応領域中での短い滞留時間は急速な処理を可能にする。更にプロセス条件は、粒子の表面及び表面近くを選択的に溶融、再凝固、及び結晶化するために調整することができる。更に、表面均しが達成されると最小限の欠点で均一な表面が得られる。とりわけ、これは粒子の凝塊形成を回避することに役立ち得る。
【0073】
このプロセスは、
(A)被覆されたパーライト/マイカのフレークを提供すること、
(B)プラズマトーチに輸送するためのガスの流れの中で前記被覆されたパーライト/マイカのフレークを一緒に運ぶこと;
(C)前記ガスの流れの中でプラズマを創り出して被覆されたパーライト/マイカのフレークの外側表面を加熱すること;
(D)前記被覆されたパーライト/マイカのフレークを冷却すること;及び
(E)前記被覆されたパーライト/マイカのフレークを回収すること
を含む。
【0074】
プラズマトーチは、好ましくは誘導プラズマトーチである。本発明の方法で使用される好ましい誘導プラズマトーチは、シェルブルック、ケベック州、カナダのTekna Plasma Systems,Inc.から入手可能であり、プラズマ誘導トーチの構造及び操作に関する教示についてBoulosら、US−A−5,200,595号が本願明細書に援用されている。
【0075】
本発明の一好ましい実施態様において、顔料はパーライト及びマイカの基材上に
(a)誘電体層
(b)金属層、及び
(c)誘電体層
を含む。かかる顔料は高い赤外反射率及び高い可視透過率を有する。
【0076】
好ましくは、金属銀は、その反射損失を最小限にする場合には、太陽光線への高い透過性と共に、赤外線への高い反射性を提供するので、金属層として使用される。高純度の金属銀膜が好ましいが、赤外反射率を有意に低下させないか又は可視吸光率を有意に増大させない限り、一定の不純物及び/又は合金金属は許容される。金属銀層の厚さは3〜20nmの範囲内である。
【0077】
層(c)に適した材料は、使用される厚さで太陽光線及び赤外線に対して透過性の材料である。更に、これらの材料は、銀層による可視光の反射を最小限にするための反射防止コーティングとして働き、これらの材料は好ましくは高い屈折率を有する。幾つかの層(c)に適した材料としては、二酸化チタン、二酸化ケイ素、一酸化ケイ素、酸化ビスマス、酸化錫、酸化インジウム、酸化クロム、硫化亜鉛及びフッ化マグネシウムが挙げられるが、これらに限定されない。二酸化チタンは、その高い屈折率のために及び銀との相互拡散を最小にすることが見出されたために好ましい材料である。
【0078】
層(a)に適した材料は、銀層によって可視光の反射損失を最小にするための層(b)と共働する透過性の材料である。層(c)に適した透明材料は層(a)にも適しており、二酸化チタンもこの層にとって好ましい材料である。層(a)は、層(c)と同じ材料から形成されるか、又はこれが恐らく異なる厚さを有する場合に異なる材料から形成され得る。
【0079】
層(c)及び層(a)の厚さは、太陽光透過率及び赤外反射率が最大になるように選択される。約15〜約50nmの厚さが層(c)に適していることが見出された。従って、層(a)の厚さは、最適な太陽光透過率、熱反射性に対する透過率の最適な比又はこれらの最適値の間の複数の組み合わせを達成するために望ましいかどうかなどの多くの理由に基づいて選択されている。
【0080】
ほとんどの場合、望ましい光学特性は、約15nm〜約50nmの間の層の厚さを選択することによって達成できる。
【0081】
本発明の1つの好ましい実施態様において、干渉顔料は、ここで約1.65よりも高い屈折率として定義される「高」屈折率を有する材料、及び任意に、ここで約1.65以下の屈折率として定義される「低」屈折率を有する材料を含む。使用される様々な(誘電体)材料としては、無機材料、例えば金属酸化物、金属亜酸化物、金属フッ化物、金属オキシハロゲン化物、金属硫化物、金属カルコゲナイド、金属窒化物、金属酸窒化物、金属炭化物、それらの組み合わせ、及びその種のもの、並びに有機誘電材料が挙げられる。これらの材料は、すぐに利用可能であり、且つ、物理又は化学蒸着法によって、又は湿式化学コーティング法によって容易に適用できる。
【0082】
任意に、SiO層をパーライト/マイカ基材と「高」屈折率を有する材料との間に配置することができる。SiO層をパーライト/マイカ基材に適用することによって、パーライト表面は、例えば、パーライト/マイカ成分の膨潤及び浸出などの化学変成から保護される。SiO層の厚さは5〜200nm、特に20〜150nmの範囲である。SiO層は好ましくは有機シラン化合物、例えば、テトラエトキシシラン(TEOS)の使用によって製造される。SiO層はAl、Fe又はZrOの薄い層(厚さ1〜20nm)に置き換えることができる。
【0083】
更には、SiOで被覆された、又はTiOで被覆されたパーライト/マイカのフレークを、EP−A−0982376号に記載の通り、窒素ドープされた炭素層で被覆してよい。EP−A−0982376号に記載された方法は、以下の工程を含む:
(a)SiO又はTiOで被覆されたパーライト/マイカのフレークを液体中に懸濁させる工程、
(b)適切であれば、表面改質剤及び/又は重合触媒を添加する工程、
(c)工程(b)の前又は後に、窒素及び炭素原子を含む1種以上のポリマー、又はかかるポリマーを形成可能な1種以上のモノマーを添加する工程、
(d)フレークの表面上にポリマーのコーティングを形成する工程、
(e)被覆されたフレークを単離する工程及び
(f)被覆されたフレークを気体雰囲気中で100〜600℃の温度に加熱する工程。
【0084】
該ポリマーは、ポリピロール、ポリアミド、ポリアニリン、ポリウレタン、ニトリルゴム又はメラミンホルムアルデヒド樹脂、好ましくはポリアクリロニトリルであってよく、又は該モノマーはピロール誘導体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロトンニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド又はクロトンアミド、好ましくはアクリロニトリル、メタクリロニトリル又はクロトンニトリル、最も好ましくはアクリロニトリルであってよい。
【0085】
好ましくは、該フレークを工程(f)において最初に100℃〜300℃に酸素含有雰囲気中で加熱し、次いで、200〜600℃に不活性ガス雰囲気中で加熱する。
【0086】
従って、本発明はパーライト/マイカのフレークをベースとした顔料であって、酸化ケイ素、又は酸化チタンで被覆されたパーライト/マイカのフレークの表面全体上に、50〜95質量%の炭素、5〜25質量%の窒素及び0〜25質量%の水素、酸素及び/又は硫黄の元素からなる層(質量パーセントのデータは層(PAN)の総質量に対する)を含む、前記顔料にも関する。
【0087】
窒素をドープされた炭素層の厚さは、一般に10〜150nm、好ましくは30〜70nmである。前記実施態様において、好ましい顔料は以下の層構造を有する:パーライト/マイカ基材/TiO/PAN、パーライト/マイカ基材/TiO/PAN/TiO、パーライト/マイカ基材/TiO/PAN/SiO/PAN。
【0088】
特に好ましい実施態様において、パーライト/マイカ基材をベースとした干渉顔料は、「高」屈折率、即ち、約1.65よりも高い、好ましくは約2.0よりも高い、最も好ましくは約2.2よりも高い屈折率を有する誘電材料の層を含み、これはパーライト/マイカ基材の表面全体に適用される。かかる誘電材料の例は、亜鉛硫化物(ZnS)、亜鉛酸化物(ZnO)、ジルコニウム酸化物(ZrO)、二酸化チタン(TiO)、炭素、インジウム酸化物(In)、インジウム錫酸化物(ITO)、五酸化タンタル(Ta)、クロム酸化物(Cr)、セリウム酸化物(CeO)、イットリウム酸化物(Y)、ユーロピウム酸化物(Eu)、鉄酸化物、例えば酸化鉄(ll)/酸化鉄(lll)(Fe)及び酸化鉄(lll)(Fe)、ハフニウム窒化物(HfN)、ハフニウム炭化物(HfC)、ハフニウム酸化物(HfO)、ランタン酸化物(La)、マグネシウム酸化物(MgO)、ネオジム酸化物(Nd)、プラセオジム酸化物(Pr11)、サマリウム酸化物(Sm)、三酸化アンチモン(Sb)、一酸化ケイ素(SiO)、三酸化セレニウム(Se)、錫酸化物(SnO)、三酸化タングステン(WO)、又はそれらの組み合わせである。該誘電材料は好ましくは金属酸化物である。該金属酸化物は、吸収特性を有する又は有していない、単独の酸化物又は酸化物の混合物であることが可能であり、例えば、TiO、ZrO、Fe、Fe、Cr、又はZnOであり、特にTiOが好ましい。
【0089】
低屈折率の金属酸化物、例えばSiO、Al、AlOOH、B又はそれらの混合物、好ましくはSiOをTiO2層の上に適用することによって、及び任意に更なるTiO層をこの層の上に適用することによって、色がより強く、且つより透明な顔料を得ることが可能である(EP−A−892832号、EP−A−753545号、WO93/08237号、WO98/53011号、WO9812266号、WO9838254号、WO99/20695号、WO00/42111号、及びEP−A−1213330号)。使用し得る好適な低率の誘電材料の限定されない例としては、二酸化ケイ素(SiO)、アルミニウム酸化物(Al)、及び金属フッ化物、例えば、マグネシウムフッ化物(MgF)、アルミニウムフッ化物(AlF)、セリウムフッ化物(CeF)、ランタンフッ化物(LaF)、ナトリウムアルミニウムフッ化物(例えば、NaAlF又はNaAl14)、ネオジムフッ化物(NdF)、サマリウムフッ化物(SmF)、バリウムフッ化物(BaF)、カルシウムフッ化物(CaF)、リチウムフッ化物(LiF)、それらの組み合わせ、又は約1.65以下の屈折率を有する任意の他の低率材料が挙げられる。例えば、ジエン又はアルケン、例えばアクリレート(例えば、メタクリレート)、ペルフルオロアルケンのポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(TEFLON)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)のポリマー、パリレン、p−キシレン、それらの組み合わせ、及びその種のものを含む有機モノマー及びポリマーを、低率材料として使用してよい。更に、前述の材料は、蒸着され、縮合され、且つ架橋した透明なアクリレート層を含み、これはUS−B−5877895号に記載の方法によって堆積されてよく、その開示は本願明細書に援用されている。
【0090】
従って、好ましい干渉顔料は、(a)高屈折率の金属酸化物の他に、さらに(b)低屈折率の金属酸化物を含み、その際、屈折率の差は少なくとも0.1である。
【0091】
湿式化学法によって被覆されたパーライト/マイカ基材をベースとした顔料は、指示された順番において特に好ましい:
TiO、(SnO)TiO(基材:パーライト/マイカ;層:(SnO)TiO、好ましくはルチル改質物で)、亜酸化チタン、TiO/亜酸化チタン、Fe、Fe、TiFe、Cr、ZrO、Sn(Sb)O、BiOCl、Al、Ce、MoS、Fe・TiO(基材:パーライト/マイカ;FeとTiOの混合層)、TiO/Fe(基材:パーライト/マイカ;第1の層:TiO;第2の層:Fe)、TiO/Berlin blau、TiO/Cr、又はTiO/FeTiO。一般に層の厚さは1〜1000nm、好ましくは1〜300nmの範囲である。
【0092】
別の特に好ましい実施態様において、本発明は、高い及び低い屈折率の少なくとも3つの交互層、例えば、TiO/SiO/TiO、(SnO)TiO/SiO/TiO、TiO/SiO/TiO/SiO/TiO、Fe/SiO/TiO、又はTiO/SiO/Feを含有する干渉顔料に関する。
【0093】
好ましくは、層構造は以下の通りである:
(a)1.65より高い屈折率を有するコーティング、
(b)1.65以下の屈折率を有するコーティング、
(c)1.65より高い屈折率を有するコーティング、及び
(d)任意に外側の保護層。
【0094】
ベース基材上の高い及び低い屈折率の個別の層の厚さは、顔料の光学特性にとって極めて重要なものである。個別の層、特に金属酸化物層の厚さは、用途の分野に依存し、一般的に10〜1000nm、好ましくは15〜800nm、特に20〜600nmである。
【0095】
層(A)の厚さは10〜550nm、好ましくは15〜400nm、特に、20〜350nmである。層(B)の厚さは10〜1000nm、好ましくは20〜800nm、特に、30〜600nmである。層(C)の厚さは10〜550nm、好ましくは15〜400nm、特に、20〜350nmである。
【0096】
特に層(A)にとって好適な材料は、金属酸化物、金属硫化物、又は金属酸化物の混合物、例えば、TiO、Fe、TiFe、Fe、BiOCl、CoO、Co、Cr、VO、V、Sn(Sb)O、SnO、ZrO、チタン酸鉄、水和酸化鉄、亜酸化チタン(2〜4の酸化状態を有する還元チタン種)、バナジウム酸ビスマス、アルミン酸コバルト、さらにはこれらの化合物同士の又は別の金属酸化物との混合物又は混合相である。金属硫化物コーティングは、好ましくは、錫、銀、ランタン、希土類金属、好ましくはセリウム、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、コバルト及び/又はニッケルの硫化物から選択される。
【0097】
特に層(B)に適した材料は、金属酸化物又は対応する水和酸化物、例えば、SiO、MgF、Al、AlOOH、B又はそれらの混合物、好ましくはSiOである。
【0098】
特に層(C)にとって好適な材料は、着色した又は無色の金属酸化物、例えば、TiO、Fe、TiFe、Fe、BiOCl、CoO、Co、Cr、VO、V、Sn(Sb)O、SnO、ZrO、チタン酸鉄、水和酸化鉄、亜酸化チタン(2〜4の酸化状態を有する還元チタン種)、バナジウム酸ビスマス、アルミン酸コバルト、さらにはこれらの化合物同士の又は別の金属酸化物との混合物又は混合相である。TiO層は追加的に吸収材料、例えば、炭素を含有してよく、選択的吸収着色剤、選択的吸収金属カチオンを、吸収材料で被覆するか又は部分的に還元してよい。
【0099】
吸収又は非吸収材料の中間層は、層(A)、(B)、(C)及び(D)の間に存在してよい。中間層の厚さは1〜50nm、好ましくは1〜40nm、特に1〜30nmである。かかる中間層は、例えば、SnOからなる。少量のSnOを添加することによってルチル構造を形成させることが可能である(例えば、WO93/08237号を参照のこと)。
【0100】
この実施態様において、好ましい干渉顔料は以下の層構造を有する:
【表1】

【0101】
金属酸化物層はCVD(化学蒸着)又は湿式化学コーティングによって適用できる。金属酸化物層は、水蒸気の存在中(比較的低分子量の金属酸化物、例えばマグネタイト)、又は酸素、及び必要であれば、水蒸気の存在中(例えば、ニッケル酸化物及びコバルト酸化物)での金属カルボニルの分解によって得られる。金属酸化物層は特に、金属カルボニル(例えば、鉄ペンタカルボニル、クロムヘキサカルボニル;EP−A−45851号)の酸化性気相分解によって、金属アルコレート(例えば、チタン及びジルコニウムテトラ−n−及び−イソ−プロパノレート;DE−A−4140900号)、又は金属ハライド(例えば、四塩化チタン;EP−A−338428号)の加水分解性気相分解によって、有機錫化合物(特にアルキル錫化合物、例えばテトラブチル錫及びテトラメチル錫;DE−A−4403678号)の酸化性分解によって、又はEP−A−668329号に記載される、有機ケイ素化合物(特にジ−tert−ブトキシアセトキシシラン)の気相加水分解によって適用されており、そのコーティング操作は流動床型反応器内で実施することが可能である(EP−A−045851号及びEP−A−106235号)。Al層(B)は有利には、アルミニウムで被覆された顔料の冷却の間に、制御された酸化によって得られ、別な方法では不活性ガス下で実施される(DE−A−19516181号)。
【0102】
ホスフェート、クロメート、及び/又はバナデートを含有する金属酸化物層、さらにはホスフェート及びSiOを含有する金属酸化物層は、DE−A−4236332号及びEP−A−678561号に記載されるパッシベーション法に従って、金属の酸化物ハライド(例えば、CrOCl、VOCl)、特にリンオキシハライド(例えばPOCl)、リン酸及び亜リン酸エステル(例えば、ジ−及びトリ−メチル、及びジ−及びトリ−エチルホスフィット)の、及びアミノ基含有有機ケイ素化合物(例えば、3−アミノプロピル−トリエトキシ及びトリメトキシ−シラン)の加水分解性又は酸化性気相分解によって適用できる。
【0103】
ジルコニウム、チタン、鉄及び亜鉛の金属酸化物層、それらの金属の水和酸化物、チタン酸鉄、チタン亜酸化物又はそれらの混合物は、好ましくは湿式化学法による沈降によって適用され、適切であれば、金属酸化物が還元されることが可能である。湿式化学コーティングの場合、真珠箔顔料の製造のために開発された湿式化学コーティング法を使用してよい;これらは例えばDE−A−1467468号、DE−A−1959988号、DE−A−2009566号、DE−A−2214545号、DE−A−2215191号、DE−A−2244298号、DE−A−2313331号、DE−A−2522572号、DE−A−3137808号、DE−A−3137809号、DE−A−3151343号、DE−A−3151354号、DE−A−3151355号、DE−A−3211602号、及びDE−A−3235017号、DE1959988号、WO93/08237号、WO98/53001号及びWO03/6558号に記載されている。
【0104】
高屈折率の金属酸化物は好ましくはTiO及び/又は鉄酸化物であり、低屈折率の金属酸化物は好ましくはSiOである。TiOの層は、ルチル又はアナターゼ改質物であってよく、その際、ルチル改質物が好ましい。TiO層は、公知の手段、例えば、EP−A−735,114号、DE−A−3433657号、DE−A−4125134号、EP−A−332071号、EP−A−707,050号、WO93/19131号、又はWO06/131472号に記載される通り、アンモニア、水素、炭化水素の蒸気又はそれらの混合物、又は金属粉末によっても還元できる。
【0105】
コーティングのために、基材粒子を水中に懸濁させ、1種以上の加水分解性金属塩を、加水分解に適したpHで添加し、これは金属酸化物又は金属水和酸化物が、副次的な沈着を生じることなく、直接的に粒子上へ沈着するように選択される。該pHは通常、同時に塩基を計量供給することによって一定に保たれる。その後、該顔料を分離し、洗浄し、乾燥させ、適切であれば、焼成する。焼成温度を、そのコーティングに関して最適化することが可能である。所望の場合、個々のコーティングを適用した後、該顔料を分離し、乾燥させ、適切であれば、焼成し、その後、再度、さらなる層を沈着させる目的で再懸濁させる。
【0106】
例えば、金属酸化物層は、DE−A−19501307号に記載される方法と類似して、金属酸化物層を、1種以上の金属酸エステルの制御された加水分解によって、適切であれば、有機溶剤及び塩基性触媒の存在中で、ゾルゲル法を用いて製造することによっても得られる。適した塩基性触媒は、例えば、アミン、例えばトリエチルアミン、エチレンジアミン、トリブチルアミン、ジメチルエタノールアミン、及びメトキシプロピルアミンである。有機溶剤は、水混和性有機溶剤、例えばC1〜4アルコール、特にイソプロパノールである。
【0107】
適した金属酸エステルは、バナジウム、チタン、ジルコニウム、ケイ素、アルミニウム及びホウ素の、アルキル及びアリールアルコレート、カルボキシレート、及びカルボキシル基又はアルキル基又はアリール基置換アルキルアルコレート又はカルボキシレートから選択される。トリイソプロピルアルミネート、テトライソプロピルチタネート、テトライソプロピルジルコネート、テトラエチルオルソシリケート及びトリエチルボレートの使用が好ましい。さらに、上述の金属のアセチルアセトネート及びアセトアセチルアセトネートを使用してよい。この種の金属酸エステルの好ましい例は、ジルコニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセトネート、チタンアセチルアセトネート及びジイソブチルオレイルアセトアセチルアルミネート又はジイソプロピルオレイルアセトアセチルアセトネート及び金属酸エステルの混合物、例えばDynasil(登録商標)(Huels)、混合されたアルミニウム/ケイ素金属酸エステル。
【0108】
高屈折率を有する金属酸化物として、二酸化チタンが好ましく使用され、US−B−3553001号に記載される方法が、本発明の実施態様による二酸化チタン層の適用のために使用される。
【0109】
チタン塩水溶液をゆっくりと被覆される材料の懸濁液に添加する。その懸濁液は約50〜100℃、特に70〜80℃に加熱されており、且つ、同時に塩基、例えばアンモニア水溶液又はアルカリ金属水酸化物水溶液を計量供給することによって、ほぼ一定のpH値、約0.5〜5、特に約1.2〜2.5に維持されている。沈着したTiOの所望の層厚が達成されたらすぐに、チタン塩溶液及び塩基の添加を停止する。出発溶液中へのAl又はMgOの前駆体の添加は、TiO層のモフォロジーを改善する手段である。
【0110】
「滴定法」とも呼ばれるこの方法は、過剰なチタン塩が避けられるという事実によって区別される。それは、単位時間あたりの加水分解で水和されるTiOによる一様なコーティングに必要な量であり、且つ、被覆される粒子の利用可能な表面によって単位時間あたりに吸収できる量のみを供給することによって達成される。原理的に、アナターゼ型のTiOが出発顔料の表面上に形成される。しかしながら、少量のSnOの添加によって、ルチル構造を形成させることが可能である。例えば、WO93/08237号に記載される通り、二酸化錫を二酸化チタンの沈着の前に堆積でき、且つ、二酸化チタンで被覆された生成物を800〜900℃で焼成できる。
【0111】
本発明の特に好ましい実施態様において、パーライト/マイカのフレークを、密閉された反応器内で蒸留水と混合し、且つ約90℃で加熱する。pHを約1.8〜2.2に設定し、そしてTiOCl、HCl、グリシン及び蒸留水を含む調製物をゆっくりと添加する一方、1MのNaOH溶液の連続的な添加によってpHを一定(1.8〜2.2)に保持する。WO08/104467号が参照される。アミノ酸、例えば、グリシンをTiOの堆積の間に添加することによって、形成されるTiOコーティングの品質を改善することが可能である。有利には、TiOCl、HCl、及びグリシン及び蒸留水を含む調製物を水中の基材フレークに添加する。
【0112】
TiOは任意に以下の通常の手順によって還元してよい:US−B−4,948,631号(NH、750〜850℃)、WO93/19131号(H、>900℃)又はDE−A−19843014号(固体還元剤、例えば、ケイ素、>600℃)。
【0113】
適切であれば、SiO(保護)層は、以下の方法が使用され得る二酸化チタン層の上に適用してよい:ソーダ水ガラス溶液を被覆されている材料の懸濁液中に計量し、この懸濁液は約50〜100℃、特に70〜80℃に加熱された。10%の塩酸を同時に添加することによって、pHを4〜10、好ましくは6.5〜8.5に維持する。水ガラス溶液の添加後、攪拌を30分間実施する。
【0114】
TiO層の表面に「低」屈折率、即ち屈折率が約1.65よりも低い金属酸化物、例えばSiO、Al、AlOOH、B又はそれらの混合物、好ましくはSiOを適用すること、及びさらにFe及び/又はTiO層を前の層の表面に適用することによって、色がより強く且つより透明な顔料を得ることが可能である。パーライト/マイカ基材、及び高屈折率と低屈折率との交互の金属酸化物層を含む、かかる多層被覆干渉顔料は、WO98/53011号及びWO99/20695号に記載された方法と類似して製造できる。
【0115】
さらに、更なる層、例えば着色された金属酸化物又はベルリンブルー、遷移金属、例えばFe、Cu、Ni、Co、Crの化合物、又は有機化合物、例えば染料又はカラーレーキなどを適用することによって、顔料の粉末の色を修正することが可能である。
【0116】
さらに、本発明による顔料を、難溶性でしっかりと付着する無機又は有機の着色剤で被覆してもよい。好ましいのは、カラーレーキ、特にアルミニウムカラーレーキの使用である。その目的のために、第二の段階でカラーレーキを使用することによって染められた(laked)アルミニウム水酸化物層を沈着させる(DE−A−2429762号及びDE−A−2928287号)。
【0117】
更に、本発明による顔料は、錯塩顔料、特にシアノ鉄酸塩錯体を用いた追加のコーティングを有してもよい(EP−A−141173号及びDE−A−2313332号)。
【0118】
天候及び光安定性を強化するために、(多層)パーライト/マイカのフレークを、用途の分野に応じて、表面処理に供してよい。有用な表面処理は、例えば、DE−A−2215191号、DE−A−3151354号、DE−A−3235017号、DE−A−3334598号、DE−A−4030727号、EP−A−649886号、WO97/29059号、WO99/57204号及びUS−A−5759255号に記載されている。前記の表面処理は、顔料の取り扱い、特に様々な用途の媒体中への組み込みをも容易にし得る。
【0119】
好ましい実施態様において、本発明はパーライト/マイカのコアを含有し且つAl/TiOの混合層を含む顔料に関する。該混合層は、20モル%までのAlを含有できる。Al/TiOの混合層は、水性のアルミニウム及びチタン塩水溶液をゆっくりと被覆される材料の懸濁液に添加することによって得られ、その懸濁液は約50〜100℃、特に70〜80℃に加熱されており、且つ、同時に塩基、例えばアンモニア水溶液、又はアルカリ金属水酸化物水溶液を計量供給することによって、ほぼ一定のpH値、約0.5〜5、特に約1.2〜2.5に維持されている。沈着したAl/TiOの所望の層厚が達成されたらすぐに、チタン及びアルミニウム塩溶液、及び塩基の添加を停止する。
【0120】
Al/TiOの混合層の厚さは一般に20〜200nm、特に50〜150nmの範囲である。好ましくは、該顔料は1〜50nm、特に10〜20nmの厚さを有する、Al/TiOの混合層の表面上のTiO層を含む。Al/TiOの混合層の厚さを変化させることによって、顔料のフロップを強化でき、且つ望み通りに制御できる。
【0121】
別の好ましい実施態様において、本発明は、パーライト/マイカのコアを含有し且つ後続のTiO/SnO/TiOの層からなる顔料であって、パーライト/マイカ基材に隣接するTiO層が1〜20nmの厚さを有し、且つ好ましくはチタンアルコラート、特にテトライソプロピルチアネートを使用して調製される、前記顔料に関する。
【0122】
本発明の基材の組み合わせを使用する場合、カスタマイズしたきらめき効果を有する顔料を作ることができる。従って、本発明は、改善されたきらめき効果を有する顔料の製造方法及び/又は誘電材料及び/又は金属層で被覆されたパーライトの板状基材と誘電材料及び/又は金属層で被覆されたマイカの板状基材とのブレンドによるきらめき効果の調整方法に関する。
【0123】
干渉層を有する本発明の顔料は、優れた輝き、透明さ及び色の強さ、並びに強いきらめき効果を示す。
【0124】
一方で、パーライトベースの顔料とマイカベースの顔料とのブレンドは、更に角度依存のきらめき領域(S_a)をもたらす。他方では、マイカベースの顔料とパーライトベースの顔料とのブレンドは、より高いきらめき強さ(S_i)をもたらし、この効果はダウンフロップにおいて更に顕著である。換言すれば、S_i及びS_aは、所望の通りに、調整することができ、より高いS_i及び/又は更に角度依存のS_aが得られる。
【0125】
本発明による(効果)顔料は、全ての通例の目的、例えば、かたまりの中のポリマーの着色に、コーティング(効果仕上げを含む、自動車分野のためのものを含む)に、及び印刷インク(オフセット印刷、凹版印刷、ブロンズ印刷及びフレキソ印刷を含む)に、さらには、例えば化粧品における、インクジェット印刷における用途のために、織物を染色するために、セラミックス及びガラス用の上薬、並びに紙及びプラスチックのレーザーマーキングに使用できる。かかる用途は、参考文献、例えば"Industrielle Organische Pigmente"(W.Herbst及びK.Hunger,VCH Verlagsgesellschaft mbH,Weinheim/New York,第二完全改訂版、1995年)及びGerhard Pfaff and Peter Reynders,Chem.Rev.99(1999年)第1963〜1981頁;"Spezielle Effektpigmente"(G.Pfaff,Vincentz Network,Hannover,第二改訂版、2007年)から公知である。
【0126】
本発明による顔料が干渉顔料(効果顔料)である場合、それらはゴニオクロマチック(goniochromatic)であってよく、且つ、調整されたきらめきと共に光沢のある高く飽和した(艶のある)色をもたらす。従って、それらは通常の透明顔料、例えば有機顔料、例えばジケトピロロピロール、キナクリドン、ジオキサジン、ペリレン、イソインドリノン等との組み合わせに非常に特に適しており、透明顔料が効果顔料と同様の色を有することが可能である。しかしながら、特に興味深い組み合わせの効果は、例えばEP−A−388932号又はEP−A−402943号と類似して、透明顔料の色及び効果顔料の色が相補的である場合に得られる。
【0127】
本発明による顔料を、高分子量有機材料の顔料着色について優れた結果で使用できる。
【0128】
本発明による顔料又は顔料組成物が使用できる顔料着色のための高分子量有機材料は、天然又は合成由来であってよい。高分子量有機材料は通常、約10〜10g/モル又はそれより高い分子量を有する。それらは例えば、天然樹脂、乾性油、ゴム又はカゼイン、又はそれらに由来する天然物質、例えば塩化ゴム、油変性アルキド樹脂、ビスコース、セルロースエーテル又はエステル、例えばエチルセルロース、セルロースアセテート、プロピオン酸セルロース、セルロースアセトブチレート又はニトロセルロース、しかし特に完全に合成された有機ポリマー(熱硬化性プラスチック及び熱可塑性プラスチック)、重合、重縮合又は重付加によって得られるものであってよい。重合樹脂の類から、特にポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン又はポリイソブチレン、及び同様に置換されたポリオレフィン、例えば塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル又はブタジエンの重合生成物、さらには前記のモノマーの共重合生成物、例えば特にABS又はEVAが挙げられる。
【0129】
重付加樹脂及び重縮合樹脂の系から、例えばホルムアルデヒドとフェノールとの縮合生成物、いわゆるフェノプラスト、及びホルムアルデヒドとウレア、チオウレア又はメラミンとの縮合生成物、いわゆるアミノプラスト、及び表面コーティング樹脂として使用されるポリエステル(前記は飽和したもの、例えばアルキド樹脂、あるいは不飽和のもの、例えばマレイン酸樹脂のいずれか)、同様に、直鎖ポリエステル及びポリアミド、ポリウレタン又はシリコーンが挙げられる。
【0130】
前記の高分子量化合物は、単独又は混合物で、プラスチックの塊又は溶融物の形態で存在してよい。それらは、それらのモノマーの形態、又は重合された状態で、溶解された形態で、コーティング又は印刷インク用の膜形成剤又は結合剤として存在してもよく、例えば煮あまに油、ニトロセルロース、アルキド樹脂、メラミン樹脂、及びウレアホルムアルデヒド樹脂又はアクリル樹脂である。
【0131】
意図される目的に依存して、本発明による効果顔料又は効果顔料組成物をトナーとして、又は調製物の形態で使用することが有利であることが証明されている。高分子量有機材料、特にポリエチレンの着色のための効果顔料の使用に悪影響を及ぼさなければ、調整方法又は意図されている用途に応じて、調整プロセスの前又は後に、一定量の質感改善剤を効果顔料に添加することが有利であり得る。適した薬剤は、特に、少なくとも18個の炭素原子を含有する脂肪酸、例えばステアリン酸又はベヘン酸、又はそれらのアミド又は金属塩、特にマグネシウム塩、さらには可塑剤、ワックス、樹脂酸、例えばアビエチン酸、ロジン石鹸、アルキルフェノール又は脂肪族アルコール、例えばステアリルアルコール、又は8〜22個の炭素原子を含有する脂肪族の1,2−ジヒドロキシ化合物、例えば1,2−ドデカンジオール、さらには変性コロホニウムマレイン酸樹脂又はフマル酸コロホニウム樹脂である。質感改善剤を、最終生成物を基準として、好ましくは0.1〜30質量%、特に2〜15質量%の量で添加する。
【0132】
本発明による(効果)顔料は、任意の着色に効果的な量で、顔料着色される高分子量の有機材料に添加できる。高分子量有機材料と、該高分子量有機材料を基準として、0.01〜80質量%、好ましくは0.1〜30質量%の本発明による顔料とを含む、顔料着色物質組成物が有利である。実際には、1〜20質量パーセント、特に約10質量パーセントの濃度がしばしば使用されてよい。高濃度、例えば30質量パーセントよりも高い濃度は、通常、比較的低い顔料含有率を有する顔料着色材料を製造するための着色剤として使用できる濃縮物("マスターバッチ")の形態であり、本発明による顔料は通例の配合物内で極めて低い粘度を有しているので、それらをまだ良好に加工できる。有機材料の顔料着色の目的のために、本発明による効果顔料を単独で使用してよい。しかしながら、種々の色相又は色の効果を達成するために、本発明による効果顔料に加えて、任意の所望の量の他の色付与成分、例えば白、着色、黒又は効果顔料を高分子量有機物質に添加することも可能である。着色顔料が本発明による効果顔料との混合物で使用される場合、その総量は好ましくは高分子量の有機材料を基準として0.1〜10質量パーセントである。特に、本発明による効果顔料と他の色、特に補色の着色顔料との好ましい組み合わせによって、高いゴニオクロマチック性が提供され、効果顔料を使用して得られる呈色及び着色顔料を使用して得られる呈色は、測定角度10゜で、20〜340、特に150〜210の色相(ΔH*)の差を有する。好ましくは、本発明による効果顔料を透明な着色顔料と組み合わせ、透明な着色顔料が本発明による効果顔料と同一の媒体中に存在することも、あるいは近い媒体中に存在することも可能である。効果顔料と着色顔料とが有利に近い媒体中に存在する配置の例は、多層効果コーティングである。
【0133】
本発明による顔料を用いた高分子量有機物質の顔料着色を、例えば、かかる顔料を、適切であれば、マスターバッチの形態で、ロールミル又は混合又は粉砕装置を使用して、基材と混合することによって実施する。顔料着色された材料を、その後、それ自体公知の方法、例えばカレンダー加工、圧縮成形、押出、塗布、流し込み又は射出成形を用いて所望の最終形態にする。プラスチック産業において通例の任意の添加剤、例えば可塑剤、充填剤又は安定剤は、通例の量で、顔料の組み込みの前又は後に、ポリマーに添加できる。特に、非硬質の成形物品を製造するために、又はそれらの脆弱性を低減するために、可塑剤、例えばリン酸、フタル酸、又はセバシン酸のエステルを、成形に先だって高分子量化合物に添加することが望ましい。
【0134】
コーティング及び印刷インクを顔料着色するために、高分子量有機材料及び本発明による効果顔料を、適切であれば、通例の添加剤、例えば充填剤、他の顔料、乾燥剤又は可塑剤などと共に、同一の有機溶剤又は溶剤混合物中で微細に分散させるか、あるいは溶解させる。個々の化合物を別々に溶解又は分散させるか、あるいは多数の成分を共に溶解又は分散させることが可能であり、それ以降にのみ、全ての成分が一緒にされる。本発明による効果顔料を、顔料着色される高分子量の有機材料中で分散させること、及び本発明による顔料組成物を加工することは、効果顔料はより小さい部分へと崩壊しないように、好ましくは比較的弱い剪断力のみが生じる下の条件に供して実施される。プラスチックは、本発明の顔料を0.1〜50質量パーセント、特に0.5〜7質量パーセントの量で含む。コーティング分野では、本発明の顔料は0.1〜10質量パーセントの量で使用される。結合剤系の顔料着色において、例えば凹版印刷、オフセット印刷又はスクリーン印刷のための塗料及び印刷インクの場合、該顔料は印刷インク中に0.1〜50質量パーセント、好ましくは5〜30質量パーセント、特に8〜15質量パーセントの量で組み込まれる。
【0135】
例えばプラスチック、コーティング又は印刷インク中で、特にコーティング又は印刷インク中で、さらに特にコーティング中で得られる呈色は、優れた特性によって、特に極めて高い飽和、顕著な固着特性、高い色純度、高いゴニオクロマチック性及び全角度での高いきらめき強さによって識別できる。
【0136】
顔料着色される高分子量材料がコーティングである場合、これは特に特殊なコーティング、とりわけ自動車の仕上げである。
【0137】
本発明による効果顔料は、唇又は肌のメイクアップ用に、及び髪又は爪のカラーリングのためにも適している。
【0138】
従って本発明は、化粧品調製物又は配合物の総質量を基準として、0.0001〜90質量パーセントの本発明による顔料、特に効果顔料と、10〜99.9999パーセントの化粧品に適した担体材料とを含む、化粧品調製物又は配合物にも関する。
【0139】
かかる化粧品調製物又は配合物は、例えば、リップスティック、ほお紅、ファンデーション、マニキュア及び髪用シャンプーである。該顔料を、単独又は混合物の形態で使用してよい。さらに、本発明による顔料を他の顔料及び/又は着色剤、例えば上に記載された通りの組み合わせ、又は公知の化粧品調製物と共に使用することが可能である。
【0140】
本発明による化粧品調製物及び配合物は、好ましくは本発明による顔料を、その調製物の総質量を基準として0.005〜50質量パーセントの量で含有する。
【0141】
本発明による化粧品調製物及び配合物に適した担体材料は、かかる組成物中で使用される通例の材料を含む。
【0142】
本発明による化粧品調製物及び配合物は、例えば、スティック、軟膏、クリーム、エマルション、懸濁液、分散液、粉末又は溶液の形態であってよい。それらは、例えばリップスティック、マスカラ調製物、ほお紅、アイシャドウ、ファンデーション、アイライナー、粉末又はマニキュアである。
【0143】
調製物がスティックの形態、例えばリップスティック、アイシャドウ、ほほ紅又はファンデーションである場合、該調製物は大部分が脂肪質の成分で構成され、前記成分は1つ以上のワックス、例えばオゾケライト、ラノリン、ラノリンアルコール、水素化ラノリン、アセチル化ラノリン、ラノリンろう、蜜ろう、カンデリラろう、微結晶ろう、カルナウバろう、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ココアバター、ラノリン脂肪酸、ペトロラタム、ペトロラタムゼリー、モノ−、ジ−又はトリ−グリセリド、又は25℃で固体のそれらの脂肪エステル、シリコーンワックス、例えばメチルオクタデカン−オキシポリシロキサン及びポリ(ジメチルシロキシ)−ステアロキシシロキサン、ステアリン酸モノエタノールアミン、松脂(colophane)及びそれらの誘導体、例えばグリコールアビエテート及びグリセロールアビエテート、25℃で固体の水素化油、糖グリセリド及びオレエート、ミリステート、ラノレート(lanolate)、カルシウム、マグネシウム、ジルコニウム及びアルミニウムのステアレート及びジヒドロキシステアレートからなってよい。
【0144】
脂肪成分は、少なくとも1つのワックス及び少なくとも1つの油の混合物からなってもよく、その場合、例えば以下の油が適している:パラフィン油、パーセリン油(purcelline oil)、ペルヒドロスクアレン、甘扁桃油、アボカド油、カロフィルム油、ヒマシ油、ゴマ油、ホホバ油、約310〜410℃の沸点を有する鉱油、シリコーン油、例えばジメチルポリシロキサン、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、オレイルアルコール、穀粒油、例えば麦芽油、イソプロピルラノレート(lanolate)、イソプロピルパルミテート、イソプロピルミリステート、ブチルミリステート、セチルミリステート、ヘキサデシルステアレート、ブチルステアレート、デシルオレエート、アセチルグリセリド、アルコール及びポリアルコールの、例えばグリコール及びグリセロールの、オクタノエート及びデカノエート、アルコール及びポリアルコールの、例えばセチルアルコール、イソステアリルアルコールのリシノレエート、イソセチルラノレート、イソプロピルアジペート、ヘキシルラウレート及びオクチルドデカノール。
【0145】
スティックの形態のかかる調整物中での脂肪成分は、一般に調製物の総質量の99.91質量パーセントまでを構成してよい。本発明による化粧品調製物及び配合物は追加的に、さらなる成分、例えばグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、モノアルカノールアミド、無着色ポリマーの、無機の、又は有機の充填剤、保存剤、UVフィルタ、又は化粧品において通例の他の補助剤及び添加剤、例えば天然又は合成又は部分的に合成されたジ−又はトリ−グリセリド、鉱油、シリコーン油、ワックス、脂肪アルコール、ゲルベ(Guerbet)アルコール又はそれらのエステル、日焼け防止フィルタを含む親油性の機能性化粧品有効成分、又はかかる物質の混合物などを含んでよい。肌用化粧品に適した親油性の機能性化粧品有効成分、有効成分組成物、又は有効成分抽出物は、皮膚又は局所的な適用のために認可された成分又は成分の混合物である。例として以下のものを挙げることができる:肌表面及び髪の洗浄作用を有する有効成分;それらは肌の洗浄のためにはたらく全ての物質、例えばオイル、石鹸、合成洗浄剤、及び固形物質を含む;脱臭及び発刊抑制作用を有する有効成分:それらはアルミニウム塩又は亜鉛塩をベースとした発汗抑制剤、殺菌性又は静菌性脱臭物質、例えばトリクロサン、ヘキサクロロフェン、アルコール及びカチオン性物質、例えば第四級アンモニウム塩などを含む脱臭剤、及び匂い吸収剤、例えばGrillocin(登録商標)(リシノール酸亜鉛と様々な添加剤との組み合わせ)又はトリエチルシトレート(任意に酸化防止剤、例えばブチルヒドロキシトルエンなどとの組み合わせ)又はイオン交換樹脂を含む;日光に対する保護を提供する有効成分(UVフィルタ):適した有効成分は、日光からのUV光線を吸収し、且つそれを熱に変換できるフィルタ物質(日焼け止め)である;所望の作用に応じて、以下の遮光剤が好ましい:約280〜315nmの領域の日焼けを起こす高エネルギーUV光線を選択的に吸収し(UV−B吸収剤)、且つ、より長波長領域、例えば315〜400nm(UV−A領域)は透過させる遮光剤、並びに315〜400nmのUV−A領域のより長い波長の光線のみを吸収する遮光剤(UV−A吸収剤);適した遮光剤は、例えばp−アミノ安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、ジフェニルアクリレート誘導体、ベンゾフラン誘導体の類からの有機UV吸収剤、1つ以上のオルガノシラン基、ケイ皮酸誘導体、樟脳誘導体、トリアニリノ−s−トリアジン誘導体、フェニル−ベンズイミダゾールスルホン酸及びそれらの塩、メンチルアントラニレート、ベンゾトリアゾール誘導体、及び/又はアルミニウム酸化物又は二酸化ケイ素で被覆されたTiO、亜鉛酸化物又はマイカから選択される無機の微細顔料を含む、ポリマーのUV吸収剤である;虫に対する有効成分(忌避剤)は、虫が肌に触れ、且つそこで活性になることを防ごうとしている薬剤である;それらは虫を遠ざけ、そしてゆっくりと蒸発する;最も頻繁に使用される忌避剤は、ジエチルトルアミド(DEET)である;他の通例の忌避剤は、例えば"Pflegekosmetik"(W.Raab及びU.Kindl,Gustav−Fischer−Verlag Stuttgart/New York,1991年)の161頁に見出される;化学的及び機械的な影響に対して保護するための有効成分:それらは肌と外部の有害物質との間にバリアを形成する全ての物質、例えば水溶液に対する保護のためのパラフィン油、シリコーン油、植物油、PCL製品及びラノリン、有機溶剤の作用に対する保護のための膜形成剤、例えばナトリウムアルギネート、トリエタノールアミンアルギネート、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール又はセルロースエステル、又は肌上の苛酷な機械的応力に対する保護のための"潤滑剤"としての鉱油、植物油、又はシリコーン油をベースとした物質;保湿物質などを含む:以下の物質が、例えば保湿調整剤(保湿剤)として使用される:乳酸ナトリウム、ウレア、アルコール、ソルビトール、グリセロール、プロピレングリコール、コラーゲン、エラスチン及びヒアルロン酸;角質軟化(keratoplastic)効果を有する有効成分:過酸化ベンゾイル、レチノイン酸、コロイド状硫黄、及びレソルシノール;抗菌物質、例えば、トリクロサン又は第四級アンモニウム化合物など;油性又は油溶性ビタミン又は皮膚に適用できるビタミン誘導体:例えば、ビタミンA(遊離酸又はそれらの誘導体の形態でのレチノール)、パンテノール、パントテン酸、葉酸、及びそれらの組み合わせ、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンF;必須脂肪酸;又はナイアシンアミド(ニコチン酸アミド);− ビタミンベースの胎盤抽出物:特にビタミンA、C、E、B、B、B、B12、葉酸及びビオチン、アミノ酸、及びエンザイム、並びに微量元素マグネシウム、ケイ素、リン、カルシウム、マンガン、鉄又は銅の化合物を含む有効成分組成物;肌修復複合物:ビフィズス属のバクテリアの不活性化及び分解された培養物から得られるもの;植物及び植物抽出物:例えばアルニカ、アロエ、サルオガセ、キヅタ、イラクサ、ニンジン、ヘンナ、カミツレ、マリゴールド、ローズマリー、セージ、トクサ又はタイム;動物抽出物:例えばローヤルゼリー、蜂膠、タンパク質又は胸腺抽出物(thymus extract);皮膚に適用される化粧油:Miglyol812型の中性油、杏仁油、アボカド油、ババスー油、綿実油、ルリヂサ油、アザミ油、落花生油、ガンマオリザノール、ローズヒップシード油、ヘンプ油、ヘーゼルナッツ油、黒スグリシード油、ホホバ油、サクランボ種油(cherry−stone oil)、サケ油、あまに油、コーンシード油、マカダミアナッツ油、扁桃油、マツヨイグサ油、ミンク油、オリーブ油、ピーカンナッツ油、桃仁油、ピスタチオナッツ油、菜種油、種もみ油(rice−seed oil)、ヒマシ油、サフラワー油、ゴマ油、ダイズ油、ひまわり油、チャノキ油、グレープシード油又は麦芽油。
【0146】
スティックの形態の調製物は、好ましくは無水物であるが、特定の場合には一定量の水を含み、しかしながら一般には化粧品調製物の総質量を基準として40質量パーセントを上回らない。
【0147】
本発明による化粧品調製物及び配合物が半固体の製品の形態、即ち軟膏又はクリームの形態である場合、それらは同様に無水物又は水性であってよい。かかる調製物及び配合物は、例えば、マスカラ、アイライナー、ファンデーション、ほお紅、アイシャドウ、又は目の下のクマを処理するための組成物である。
【0148】
他方、かかる軟膏又はクリームが水性である場合、それらは特に、顔料の他に1〜98.8質量パーセントの脂肪相、1〜98.8質量パーセントの水相、及び0.2〜30質量パーセントの乳化剤を含む、油中水型又は水中油型のエマルションである。
【0149】
かかる軟膏及びクリームは、さらなる通常の添加物、例えば香料、酸化防止剤、保存剤、ゲル化剤、UVフィルタ、着色剤、顔料、真珠箔剤、無着色ポリマー、並びに無機又は有機充填剤なども含んでよい。該調製物が粉末の形態である場合、それらは実質的に鉱物又は無機又は有機充填剤、例えば滑石、カオリン、デンプン、ポリエチレン粉末又はポリアミド粉末、並びに補助剤、例えば結合剤、着色剤等などからなる。
【0150】
かかる調製物は、同様に、化粧品中に通常用いられる様々な補助剤、例えば芳香剤、酸化防止剤、保存剤等を含んでよい。本発明による化粧品調製物及び配合物がマニキュアである場合、それらは本質的に溶剤系中の溶液の形態のニトロセルロース及び天然又は合成ポリマーからなり、該溶液は他の補助剤、例えば真珠箔剤を含むことが可能である。
【0151】
本実施態様において、着色ポリマーは約0.1〜5質量パーセントの量で存在する。
【0152】
本発明による化粧品調製物及び配合物を、髪のカラーリングに使用してもよく、その場合、それらは通常、化粧品産業及び本発明による顔料に用いられるベース物質で構成されるシャンプー、クリーム又はジェルの形態で使用される。本発明による化粧品調製物及び配合物は、慣用の方法で、例えば成分を共に混合又は攪拌し、任意に混合物が溶融するように加熱しながら製造される。
【0153】
本発明の様々な特徴及び態様を以下の実施例において更に説明する。これらの実施例は、本発明の範囲内でどのように機能させるかを当業者に示すために与えられるが、それらは、本発明の範囲が請求項内にのみ定義されるかかる範囲を限定するものとして働かない。以下の実施例及び明細書内の他の場所及び請求項において特段示されない限り、全ての部及びパーセントは質量に対するものであり、温度は摂氏度であり、且つ圧力は大気圧又はその近傍である。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】図1は、Pro1〜Pro4及びComPro1及びComPro3のきらめき強さ(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。
【図2】図2は、Pro5〜Pro8及びComPro2及びComPro3のきらめき強さ(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。
【図3】図3は、Pro9〜Pro12及びComPro1及びComPro4のきらめき強さ(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。
【図4】図4は、Pro17〜Pro20及びComPro6及びComPro7のきらめき強さ(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。
【0155】
実施例
比較例1:酸化チタンで被覆されたパーライト(ComPro1)の製造
パーライトフレークを欧州特許出願第08171357.0号の実施例1に記載される通りに製造する:
a)パーライトフレーク(World MineralsからのOptimat(商標)2550)を、10質量%の量で脱イオン水に均質に分散させる。粒子を5分間沈降させて、沈降した粒子を懸濁液から取り除く。この操作を3回繰り返す。前記操作は、粉砕されて広がったパーライト中に含有される3D双晶構造の粒子を除去することが可能である。
b)次いで懸濁液中の粒子を8時間沈降させる。その後、最も小さいパーライトの粒子を含有する水を捨てる。この操作を3回繰り返す。次いで粒子を濾別し、乾燥させる。得られたパーライト粒子の粒径分布(=PE25)は、Malvern Mastersizer S Longbenchを用いてレーザー(He−Neレーザー632.8nm)光回析によって測定すると、以下のパラメータを示す:
【表2】

c)25gのパーライトのフレーク(PE25)を300mlの脱イオン水中に分散させて、これを90℃で加熱する。
c1)懸濁液のpHを1.5に設定し、KOHを連続的に添加してpHを一定に保ちながら、9gのSnCl/5HO、5gの37%HCl、及び100gの水を毎分0.5mlの速度で添加する。
c2)次にpHを1.8に設定し、1MのKOHでpHを1.8に維持しながら、34gのTiOCl、32gの37%のHCl及び445gの蒸留水を含む溶液200mlを毎分1.5mlの速度で添加する。
【0156】
工程c1)を繰り返し、その後、工程c2)を繰り返す。
【0157】
鮮やかな銀色の外観を有する粉末(ComPro1)が、濾過、乾燥及び空気中での焼成後に得られる。要素分析は13.9質量%のTi及び1質量%のSnを示す。X線回折スペクトルはコーティングがルチルTiOからなることを示す。
【0158】
比較例2:酸化チタンで被覆されたパーライト(ComPro2)の製造
パーライトのフレークを比較例1に記載の通りに調製する。デカント操作を行う前に、パーライトのフレークを混合機内で解凝集させる。こうして得られたパーライト粒子(=PE21)の粒径分布は、Malvern Mastersizer S Longbenchを用いてレーザー(He−Neレーザー632.8nm)光回析によって測定すると、以下のパラメータを示す:
【表3】

c)25gのパーライトのフレークを300mlの脱イオン水中に分散させて、これを90℃で加熱する。
c1)懸濁液のpHを1.5に設定し、KOHを連続的に添加してpHを一定に保ちながら、10gのSnCl/5HO、5gの37%HCl、及び100gの水を毎分0.5mlの速度で添加する。
c2)次にpHを1.8に設定し、1MのKOHでpHを1.8に維持しながら、37gのTiOCl、35gの37%のHCl及び445gの蒸留水を含む溶液200mlを毎分1.5mlの速度で添加する。
【0159】
工程c1)を繰り返し、その後、工程c2)を繰り返す。
【0160】
鮮やかな銀色を有する粉末(ComPro2)が、濾過、乾燥及び空気中での焼成後に得られる。要素分析は14.1質量%のTi及び1質量%のSnを示す。X線回折スペクトルはコーティングがルチルTiOからなることを示す。
【0161】
比較例3:酸化チタンで被覆された合成マイカ(ComPro3)の製造
19ミクロンの平均粒径(Shantou F.T.Z. Sanbao Pearl Luster Mica Co.Ltd.)及び以下の粒径分布
【表4】

を有する200gの合成マイカの2Lの脱塩水のスラリーを、5Lのモートンフラスコ内で280rpmにて撹拌する。スラリーを室温で用いる場合、pHをHClを用いて1.4まで低下させる。次にHCl中の11.2gの20%のSnCl・5HOを、35%のNaOHを用いてpHを1.4に維持しながら、1.0g/分で添加する。添加した後、スラリーを74℃に加熱する前に30分間撹拌する。前記温度で、300gのTiOCl溶液(22gのTiO/100ml)を2.0g/分の速度で添加する。pHを35%のNaOHで1.4に維持する。50mlの試料を濾別し、4×50mlの脱塩水で洗浄する。濾過ケークを20分間850℃で焼成すると、真珠色の効果顔料(ComPro3)が得られる。
【0162】
比較例4:酸化チタンで被覆された合成マイカ(ComPro4)の製造
以下の粒径分布
【表5】

を有する150gの合成マイカの1Lの脱塩水のスラリーを、3Lのモートンフラスコ内で300rpmにて撹拌する。スラリーを82℃に加熱し、pHを、HClを用いて1.4まで低下させる。次にHCl中の20gの20%のSnCl・5HOを、35%のNaOHを用いてpHを1.4に維持しながら、2.2g/分で添加する。添加後、スラリーを30分間撹拌してから、200gのTiOCl溶液(22gのTiO/100ml)を2.4g/分の速度で添加する。pHを35%のNaOHで1.4に維持する。50mlの試料を濾別し、4×50mlの脱塩水で洗浄する。濾過ケークを20分間850℃で焼成すると、真珠色の効果顔料(ComPro4)が得られる。
【0163】
比較例5:化学蒸着による酸化鉄で被覆されたパーライト(ComPro5)の製造
500gのパーライトのフレーク(World MineralsからのOptima.(商標)2550)を、既にEP−A−45851号に記載されているCVD反応器(直径15cmのガラスシリンダ、ガラスフリットより下のガス注入口、80cmのガラスシリンダ長さ、反応器の下端をガラスフリットで閉じ、その上端を一体型フィルタを有するカバープレートで閉じる、ガラスシリンダを包み込んだ電気加熱帯)に充填し、900l/時の窒素流で流動させる。反応器を185℃まで加熱した後、2.5体積%の含有率の空気を、第2の空気の気流により調整する。追加の窒素気流(200l/時)を鉄ペンタカルボニルで飽和し、連続的に反応器中に噴射する。11時間後に410mlのFe(CO)を蒸気として反応器中に移し、これをパーライト基材の表面上で薄い酸化鉄膜に分解する。最後に、赤い効果顔料が得られ、これは32μのふるい分け後に以下の粒径を示す:
【表6】

【0164】
最終生成物(ComPro5)は、強いきらめき効果と共に鮮やかな赤色を示す。
【0165】
比較例6:酸化チタンで被覆された合成マイカ(ComPro6)の製造
12ミクロンの平均粒径(Shantou F.T.Z.Sanbao Pearl Luster Mica Co.Ltd.)及び以下の粒径分布
【表7】

を有する200gの合成マイカの2Lの脱塩水のスラリーを、5Lのモートンフラスコ内で280rpmにて撹拌する。スラリーを室温で用いる場合、pHをHClを用いて1.4まで低下させる。次にHCl中の13.2gの20%のSnCl・5HOを、35%のNaOHを用いてpHを1.4に維持しながら、1.0g/分で添加する。添加した後、スラリーを74℃に加熱する前に30分間撹拌する。前記温度で、350gのTiOCl溶液(22gのTiO/100ml)を2.0g/分の速度で添加する。pHを35%のNaOHで1.4に維持する。50mlの試料を濾別し、4×50mlの脱塩水で洗浄する。濾過ケークを20分間850℃で焼成する。
【0166】
最終生成物(ComPro6)はベルベットの真珠の外観を示す。
【0167】
比較例7:酸化チタンで被覆されたパーライト(ComPro7)の製造
17ミクロンの平均粒径及び以下の粒径分布
【表8】

を有する200gの微小なパーライト(PVP Corp.)の2Lの脱塩水のスラリーを、5Lのモートンフラスコ内で280rpmにて撹拌する。スラリーを室温で用いる場合、pHを、HClを用いて1.4まで低下させる。次にHCl中の12.5gの20%のSnCl・5HOを、35%のNaOHを用いてpHを1.4に維持しながら、1.0g/分で添加する。添加した後、スラリーを74℃に加熱する前に30分間撹拌する。前記温度で、330gのTiOCl溶液(22gのTiO/100ml)を2.0g/分の速度で添加する。pHを35%のNaOHで1.4に維持する。50mlの試料を濾別し、4×50mlの脱塩水で洗浄する。濾過ケークを20分間850℃で焼成すると、かすかなきらめき効果を有する真珠色の効果顔料(ComPro7)が得られる。
【0168】
実施例1
5.6%のパーライト及び94.4%の合成マイカをベースとしたTiOで被覆された白色パール顔料(Pro1)の合成
94.4gの合成マイカ(d50(=D(v,0.5))=19μm)及び5.6gのパーライト(PE25)の1Lの脱塩水のスラリーを、3Lのモートンフラスコ内で280rpmにて撹拌する。スラリーを室温で用いる場合、pHをHClを用いて1.4まで低下させる。次に、HCl中の5.6gの20%のSnCl・5HOを、35%のNaOHを用いてpHを1.4に維持しながら、1.0g/分で添加する。添加した後、スラリーを74℃に加熱する前に30分間撹拌する。前記温度で、150gのTiOCl溶液(22gのTiO/100ml)を2.0g/分の速度で添加する。pHを35%のNaOHで1.4に維持する。50mlの試料を濾別し、4×50mlの脱塩水で洗浄する。濾過ケークを20分間850℃で焼成すると、真珠色の効果顔料(Pro1)が得られる。
【0169】
実施例2
11.1%のパーライト及び88.9%の合成マイカをベースとしたTiOで被覆された白色パール顔料(Pro2)の合成
11.1gのパーライト(PE25)及び88.9gの合成マイカ(d50=19μm)を、実施例1に記載される通りに酸化チタン(ルチル)で被覆する。鮮やかな銀色の外観を有する粉末(EH868)が、濾過、乾燥及び空気中での焼成後に得られる(Pro2)。
【0170】
実施例3
22.2%のパーライト及び77.8%の合成マイカをベースとしたTiOで被覆された白色パール顔料(Pro3)の合成
22.2gのパーライト(PE25)及び77.8gの合成マイカ(d50=19μm)を、実施例1に記載される通りに酸化チタン(ルチル)で被覆する。鮮やかな銀色の外観を有する粉末(Pro3)が、濾過、乾燥及び空気中での焼成後に得られる。
【0171】
実施例4
33.3%のパーライト及び66.7%の合成マイカをベースとしたTiOで被覆された白色パール顔料(Pro4)の合成
33.3gのパーライト(PE25)及び66.7gの合成マイカ(d50=19μm)を、実施例1に記載される通りに酸化チタン(ルチル)で被覆する。鮮やかな銀色の外観を有する粉末(Pro4)が、濾過、乾燥及び空気中での焼成後に得られる。
【0172】
実施例5
5.6%のパーライト及び94.4%の合成マイカをベースとしたTiOで被覆された白色パール顔料(Pro5)の合成
5.6gのパーライト(PE21)及び94.4gの合成マイカ(d50=19μm)を、実施例1に記載される通りに酸化チタン(ルチル)で被覆する。鮮やかな銀色の外観を有する粉末(Pro5)が、濾過、乾燥及び空気中での焼成後に得られる。
【0173】
実施例6
11.1%のパーライト及び88.9%の合成マイカをベースとしたTiOで被覆された白色パール顔料(Pro6)の合成
11.1gのパーライト(PE21)及び88.9gの合成マイカ(d50=19μm)を、実施例1に記載される通りに酸化チタン(ルチル)で被覆する。鮮やかな銀色の外観を有する粉末(Pro6)が、濾過、乾燥及び空気中での焼成後に得られる。
【0174】
実施例7
22.2%のパーライト及び77.8%の合成マイカをベースとしたTiOで被覆された白色パール顔料(Pro7)の合成
22.2gのパーライト(PE21)及び77.8gの合成マイカ(d50=19μm)を、実施例1に記載される通りに酸化チタン(ルチル)で被覆する。鮮やかな銀色の外観を有する粉末(Pro7)が、濾過、乾燥及び空気中での焼成後に得られる。
【0175】
実施例8
33.3%のパーライト及び66.7%の合成マイカをベースとしたTiOで被覆された白色パール顔料(Pro8)の合成
33.3gのパーライト(PE21)及び66.7gの合成マイカ(d50=19μm)を、実施例1に記載される通りに酸化チタン(ルチル)で被覆する。鮮やかな銀色の外観を有する粉末(Pro8)が、濾過、乾燥及び空気中での焼成後に得られる。
【0176】
実施例9(Pro9)
1.4gの酸化チタンで被覆されたパーライト(ComPro1)及び23.6gの酸化チタンで被覆された合成マイカ(ComPro4)を、スカンデックスシェーカー(skandex shaker)(ビーズなし)を用いて数分間乾燥ブレンドする。均質な顔料は鮮やかな銀色の外観を示す(Pro9)。
【0177】
実施例10(Pro10)
2.78gの酸化チタンで被覆されたパーライト(ComPro1)及び22.22gの酸化チタンで被覆された合成マイカ(ComPro4)を、スカンデックスシェーカー(skandex shaker)(ビーズなし)を用いて数分間乾燥ブレンドする。均質な顔料は鮮やかな銀色の外観を示す(Pro10)。
【0178】
実施例11(Pro11)
5.55gの酸化チタンで被覆されたパーライト(ComPro1)及び19.45gの酸化チタンで被覆された合成マイカ(ComPro4)を、スカンデックスシェーカー(skandex shaker)(ビーズなし)を用いて数分間乾燥ブレンドする。均質な顔料は鮮やかな銀色の外観を示した(Pro11)。
【0179】
実施例12(Pro12)
8.33gの酸化チタンで被覆されたパーライト(ComPro1)及び16.67gの酸化チタンで被覆された合成マイカ(ComPro4)を、スカンデックスシェーカー(skandex shaker)(ビーズなし)を用いて数分間乾燥ブレンドする。均質な顔料は鮮やかな銀色の外観を示す(Pro12)。
【0180】
実施例13(Pro17)
1.4gの酸化チタンで被覆されたパーライト(ComPro7)及び23.6gの酸化チタンで被覆された合成マイカ(ComPro6)を、スカンデックスシェーカー(skandex shaker)(ビーズなし)を用いて数分間乾燥ブレンドする。均質な顔料は滑らかな銀色の外観を示す(Pro9)。
【0181】
実施例14(Pro18)
2.78gの酸化チタンで被覆されたパーライト(ComPro7)及び22.22gの酸化チタンで被覆された合成マイカ(ComPro6)を、スカンデックスシェーカー(skandex shaker)(ビーズなし)を用いて数分間乾燥ブレンドする。均質な顔料は滑らかな銀色の外観を示す(Pro18)。
【0182】
実施例15(Pro19)
5.55gの酸化チタンで被覆されたパーライト(ComPro7)及び19.45gの酸化チタンで被覆された合成マイカ(ComPro6)を、スカンデックスシェーカー(skandex shaker)(ビーズなし)を用いて数分間乾燥ブレンドする。均質な顔料は滑らかな銀色の外観を示す(Pro19)。
【0183】
実施例16(Pro20)
8.33gの酸化チタンで被覆されたパーライト(ComPro7)及び16.67gの酸化チタンで被覆された合成マイカ(ComPro6)を、スカンデックスシェーカー(skandex shaker)(ビーズなし)を用いて数分間乾燥ブレンドする。均質な顔料は滑らかな銀色の外観を示す(Pro20)。
【0184】
きらめき挙動の測定のための試験システム
全ての例はベースコート/クリアコートの噴霧塗布において試験する:
ベースコート:
ポリエステル/CAB、溶媒性の、液材、乾燥膜厚さ〜20μm
合計顔料:バインダー(固体)=0.20
顔料着色:90部の効果顔料:10部のColour Black FW 200(Evonik Industries)
90部のきらめき顔料の乾燥ブレンドを、バインダー中で10部の黒色顔料と組み合わせる。
クリアコート:
1K−クリアコート、〜40μmの乾燥膜厚さ
【0185】
角度依存のきらめき挙動の定量法
実施例1〜16並びに比較例1〜6の顔料のきらめき効果を、Byk−Gardner GmbH(Lausitzer Strasse 8,82538 Geretsried,独国)からのByk−macデバイスを使用して測定する。この装置は、フレーク特性のきらめき及び粒状性を測定することが可能である。従って、生成物(Pro1〜Pro12及びPro17〜Pro20)及び比較の生成物(ComPro1〜ComPro4、ComPro6及びComPro7)のきらめき挙動は、3つの異なる照射角(直接照射:垂線から15°、45°、75°;カメラ検出:0°)を特徴とし、以下のパラメータを有する:
− きらめき領域(S_a)は所与の測定内の光反射の数に対応する;
− きらめき強さ(S_i)は光反射の強さに対応する。
【0186】
図1は、Pro1〜Pro4及びComPro1及びComPro3のきらめき強さ(S_i)対きらめき面積(S_a)[照射角:左手側から右手側までの75°、45°及び15°]を示すグラフである。
【0187】
図2は、Pro5〜Pro8及びComPro2及びComPro3のきらめき強さ(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。
【0188】
図3は、Pro9〜Pro12及びComPro1及びComPro4のきらめき強さ(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。
【0189】
図4は、Pro17〜Pro20及びComPro6及びComPro7のきらめき強さ(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)(a)誘電材料、及び/又は金属で被覆されたパーライトの板状基材;及び
B)(a)誘電材料、及び/又は金属層で被覆されたマイカの板状基材
を含む、顔料。
【請求項2】
被覆されたパーライトの板状基材(パーライトベースの顔料)が、パーライトベースの顔料と被覆されたマイカの板状基材(マイカベースの顔料)の合計を基準として、5〜80質量%の量で含有される、請求項1に記載の顔料。
【請求項3】
12〜30μmの中間粒径を有するマイカベースの顔料が、12〜30μmの中間粒径を有するパーライトベースの顔料と組み合わされる、請求項1又は2に記載の顔料。
【請求項4】
パーライトの板状基材が、TiO、ZrO、Fe、Fe、Cr、ZnO、又は前記金属酸化物の混合物から選択される金属酸化物で被覆される、請求項1から3までのいずれか1項に記載の顔料。
【請求項5】
マイカの板状基材が、TiO、ZrO、Fe、Fe、Cr、ZnO、又は前記金属酸化物の混合物から選択される金属酸化物で被覆される、請求項1から4までのいずれか1項に記載の顔料。
【請求項6】
マイカの板状基材が天然のマイカ、特に白雲母マイカである、請求項1〜3及び5のいずれか1項に記載の顔料。
【請求項7】
マイカの板状基材が合成マイカ、特にフルオロ金雲母である、請求項1〜3及び5のいずれか1項に記載の顔料。
【請求項8】
パーライト及び/又はマイカの板状基材が、高い及び低い屈折率の少なくとも3つの交互層、例えば、TiO/SiO/TiO、(SnO)TiO/SiO/TiO、(SnO)TiO/SiO/(SnO)TiO、TiO/SiO/TiO/SiO/TiO、Fe/SiO/TiO、又はTiO/SiO/Feで被覆される、請求項1〜3、6及び7のいずれか1項に記載の顔料。
【請求項9】
顔料が以下の層構造:
【表1】

を有する、請求項1〜3、6及び7のいずれか1項に記載の顔料。
【請求項10】
顔料が約25μmのd50を有するTiOで被覆された合成マイカベースの顔料及び約20μmのd50を有するTiOで被覆されたパーライトベースの顔料を含むか、又は顔料が約20μmのd50を有するTiOで被覆された合成マイカベースの顔料及び約20μmのd50を有するTiOで被覆されたパーライトベースの顔料を含むか、又は顔料が約40〜60μmのd50を有するTiOで被覆された合成マイカベースの顔料及び約20〜30μmのd50を有するTiOで被覆されたパーライトベースの顔料を含むか、又は顔料が約12μmのd50を有するTiOで被覆されたマイカベースの顔料及び約17μmのd50を有するTiOで被覆されたパーライトベースの顔料を含む、請求項1〜5、及び7のいずれか1項に記載の顔料。
【請求項11】
顔料が約20〜25μmのd50を有するFeで被覆された合成マイカベースの顔料及び約20μmのd50を有するFeで被覆されたパーライトベースの顔料を含むか、又は顔料が約40〜60μmのd50を有するFeで被覆された合成マイカベースの顔料及び約20〜30μmのd50を有するFeで被覆されたパーライトベースの顔料を含む、請求項1〜5、及び7のいずれか1項に記載の顔料。
【請求項12】
塗料、インクジェット印刷における、織物染色のための、コーティング、印刷インク、プラスチック、化粧品、セラミックス及びガラス用の上薬の顔料着色のための、請求項1から11までのいずれか1項に記載の顔料の使用。
【請求項13】
請求項1から11までのいずれか1項に記載の顔料を用いて顔料着色された塗料、印刷インク、プラスチック、化粧品、セラミックス及びガラス。
【請求項14】
誘電材料及び/又は金属で被覆されたパーライトの板状基材と、誘電材料及び/又は金属で被覆されマイカの板状基材とをブレンドすること;又は
被覆されていない板状のパーライト基材とマイカ基材とをブレンドすること及び
これらを化学蒸着(CVD)又は湿式化学法において1種以上の誘電材料及び/又は金属の層でコーティングすることを含み、その際、基材の1つを用いてコーティングプロセスを開始して、後の段階で別の基材を追加するか、又は誘電材料及び/又は金属で被覆された板状基材を用いてコーティングプロセスを開始することも可能である、請求項1に記載の顔料の製造方法。
【請求項15】
誘電材料及び/又は金属で被覆されたパーライトの板状基材を、改善されたきらめき効果を有する顔料の製造に用いる使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−509466(P2013−509466A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535737(P2012−535737)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/065581
【国際公開番号】WO2011/051122
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】