説明

改善されたイメージ耐水堅牢性、表面強度および操作性を有する記録シート

本発明は、紙基体(1)へ塗布すると、改善された耐水堅牢性、表面強度、および耐磨耗性により測定される表面強度をもたらすサイジングまたはコーティング組成物(2)に関する。さらに、本発明は、該組成物(2)を含む紙基体(1)、並びに該紙基体および組成物の使用および製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、2007年5月21日付け米国仮特許出願第60/931,163号(参照することによって全てここに記載されたものとする)に対する米国特許第119条(e)項に基づく優先権の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、紙基体へ施用(塗布)すると、改善された耐水堅牢性、表面強度、および耐磨耗性により測定される表面強度をもたらすサイジングまたはコーティング組成物に関する。さらに、本発明は、該組成物を含む紙基体、並びに紙基体および組成物の使用および製造方法に関する。特に、基体はインクジェット印刷法(染料および顔料インクを含む)により印刷しうるおよび/またはインクジェットおよびオフセット印刷法により印刷しうる(例えば、二使用目的紙がいくつかの場合に可能である)。
【背景技術】
【0003】
記録シートは公知である。例えば、米国特許第6,764,726号;第5,270,103号;第5,657,064号;第5,760,809号;第5,729,266号;第4,792,487号;第5,405,678号;第4,636,409号;第4,481,244号;第4,496,629号;第4,517,244号;第5,190,805号;第5,320,902号;第4,425,405号;第4,503,118号:第5,163,973号;第4,425,405号;第5,013,603号;第5,397,619号;第4,478,910号;第5,429,860号;第5,457,486号;第5,537,137号;第5,314,747号;第5,474,843号;第4,908,240号;第5,320,902号;第4,740,420号;第4,576,867号;第4,446,174号;第4,830,911号;第4,554,181号;および第4,877,680号(参照することによって全てここに記載されたものとする)。
【0004】
しかしながら、上記のような従来の紙基体は、特にオフセットおよびインクジェット両者の(染料および/または顔料に基づく)記録用二使用目的シートとして用いると、耐水堅牢性、表面強度および操作性のバランスが依然として悪いままである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,764,726号
【特許文献2】米国特許第5,270,103号
【特許文献3】米国特許第5,657,064号
【特許文献4】米国特許第5,760,809号
【特許文献5】米国特許第5,729,266号
【特許文献6】米国特許第4,792,487号
【特許文献7】米国特許第5,405,678号
【特許文献8】米国特許第4,636,409号
【特許文献9】米国特許第4,481,244号
【特許文献10】米国特許第4,496,629号
【特許文献11】米国特許第4,517,244号
【特許文献12】米国特許第5,190,805号
【特許文献13】米国特許第5,320,902号
【特許文献14】米国特許第4,425,405号
【特許文献15】米国特許第4,503,118号
【特許文献16】米国特許第5,163,973号
【特許文献17】米国特許第4,425,405号
【特許文献18】米国特許第5,013,603号
【特許文献19】米国特許第5,397,619号
【特許文献20】米国特許第4,478,910号
【特許文献21】米国特許第5,429,860号
【特許文献22】米国特許第5,457,486号
【特許文献23】米国特許第5,537,137号
【特許文献24】米国特許第5,314,747号
【特許文献25】米国特許第5,474,843号
【特許文献26】米国特許第4,908,240号
【特許文献27】米国特許第5,320,902号
【特許文献28】米国特許第4,740,420号
【特許文献29】米国特許第4,576,867号
【特許文献30】米国特許第4,446,174号
【特許文献31】米国特許第4,830,911号
【特許文献32】米国特許第4,554,181号
【特許文献33】米国特許第4,877,680号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、そのような高い性能および機能性を紙基体へ付与する必要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、セルロース繊維のウェッブへ施用(塗布)したとき、改善された耐水堅牢性、表面強度および操作性を有する紙基体がもたらされる組成物を発見した。この基体はインクジェット印刷(染料またはインクに基づく)のみに用いうる、あるいはオフセットおよびインクジェット(染料および/または顔料に基づく)両者の記録用二使用目的シートとして用いうる。従って、本発明の基体はインクジェット印刷のみのための、あるいはオフセット/インクジェット印刷二使用目的のための記録シートとして用いうる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の紙基体に包含される紙基体の1つの例となる態様の第1の断面図を示す。
【図2】図2は、本発明の紙基体に包含される紙基体の1つの例となる態様の第2の断面図を示す。
【図3】図3は、本発明の紙基体に包含される紙基体の1つの例となる態様の第3の断面図を示す。
【図4】図4は、本発明が改善された耐水堅牢性を有することを示す棒グラフである。
【図5】図5は、本発明が耐磨耗性の測定において改善される表面強度を有することを示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本組成物は水のような溶媒および少なくとも1種の結合剤を含みうる。結合剤の例は、限定されないが、デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアミン、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロースである。デンプンの例には、例えば、酸化された、陽イオン性の、エチル化された、ヒドロエトキシル化された等のものが含まれる。さらに、デンプンは、限定されないが、酸化された、エチル化された、陽イオン性の、およびパール状のどのような種類のものでもよく、水溶液の形で用いられるのが好ましい。本発明のこの好ましい態様を実施する場合に有用なデンプンの例は、トウモロコシ、タピオカ、ジャガイモ、およびデキストロース単位の重合による他の植物に混ぜ合わせた天然由来の炭水化物である。そのような全てのデンプンおよびそれらの変性した形、例えばデンプンアセテート、デンプンエステル、デンプンエーテル、デンプンホスフェート、デンプンキサンテート、陰イオンデンプン、陽イオンデンプン、およびデンプンと適当な化学または酵素試薬との反応によって誘導することができる類似物は本発明を実施する際に用いることができる。
【0010】
有用なデンプンは公知の技術によって製造したり、あるいは商業的に入手しうる。例えば、適したデンプンには、ペンフォールド・プロダクツ社のPG−280、セントローレンス・スターチ社のSLS−280、ナショナル・スターチ社の陽イオンデンプンCatoSize270およびポリ・サイエンシーズ社のヒドロキシプロピルNo.02382;CatoSize270およびKoFilm280(いずれもナショナル・スターチ社)並びにPG−280エチル化デンプンおよびAPパールデンプンが含まれる。
【0011】
ポリビニルアルコールを用いるとき、ポリビニルアルコール(PVOH)はポリビニルアセテート(PVA)を加水分解することによって製造しうる。アセテート基はアルコール基で置き換えられ、より高い加水分解が示されるほど、より多くのアセテート基が置き換えられる。加水分解/分子量PVOHがより低いほど、より低い粘度、そしてより水溶性である。PVOHはどのような%加水分解であってもよいが、PVOHは、例えば100〜75%の範囲の%加水分解であってよい。
【0012】
組成物が含有する結合剤はどのような量でもよく、例えば、組成物中の固形分の総重量に基づいて、70〜99重量%、80〜98重量%、85〜96重量%である。組成物は、組成物中の固形分の総重量に基づいて、70、75、78、80、82、84、85、86、88、90、92、94、95、96、97、98および99重量%の結合剤を、それらのどのような範囲、全ての範囲および一部の範囲(subrange)を含めて含有しうる。
【0013】
組成物はまた少なくとも1種の染料固着剤を含みうる。染料固着剤の例には窒素含有化合物が含まれる。窒素含有化合物は無機でも有機でもよく、有機化合物が好ましい。適した窒素含有化合物、オリゴマーおよびポリマーは、1つ以上の第4アンモニウム官能基を含むものである。そのような官能基は様々に変えることができ、置換および非置換アミン、イミン、アミド、ウレタン、第4アンモニウム基、ジシアンジアミド等がある。そのような材料の例は、ポリアミン、ポリエチレンイミン、ジアリルジメチルアンモニウム塩化物(DADMAC)のコポリマー、第4ジエチルアミノエチルメタクリレート(DEAMEMA)とビニルピロリドン(VP)のコポリマー、ポリアミド、陽イオンポリウレタンラテックス、陽イオンポリビニルアルコール、ポリアルキルアミンジシアンジアミドコポリマー、アミングリシジル付加ポリマー、ポリ[オキシエチレン(ジメチルイミノ)エチレン(ジメチルイミノ)エチレン]ジクロリド、およびポリグアニド、例えばポリ(ヘキサメチレンビグアニド)である。窒素含有化合物はどのような分子量を有していてもよいが、分子量は100,000ダルトン以下、好ましくは約50,000ダルトン以下、より好ましくは10,000ダルトン以下である。分子量は、どのような範囲、全ての範囲および一部の範囲を含めて、100、200、500、1000、2000、3000、5000、10000、25000、50000および100000でありうる。そのような材料の例は、ポリアルキルアミンジシアンジアミドコポリマー、ポリ[オキシエチレン(ジメチルイミノ)エチレン(ジメチルイミノ)エチレン]ジクロリドおよびポリアミンである。他の例は、低分子量陽イオンポリマー、例えばポリアルキルアミンジシアンジアミドコポリマー、ポリ[オキシエチレン(ジメチルイミノ)エチレン(ジメチルイミノ)エチレン]ジクロリドである。さらに、窒素含有化合物には、低分子量ポリアルキルアミンジシアンジアミドコポリマーが含まれる。陽イオン官能基が結合した変性ポリ(ビニルアルコール)−コ−ポリ(ビニルアミン)ポリマー、例えば米国特許出願公開US2005/0020729およびPCT出願WO2003054030(いずれも参照することによって全てここに記載されたものとする)に見られるものも有用な窒素含有種(species)である。窒素含有種として含まれる陽イオンラテックスポリマーの例は、米国特許出願公開US2005/0020729(参照することによって全てここに記載されたものとする)に見られるものである。染料固着剤の別の例は、米国特許第6,764,726号(参照することによって全てここに記載されたものとする)並びに分子量が2,000ダルトンのブックマン社からBubond60として商業的に入手しうるものである。
【0014】
1つの態様では、染料固着剤は蛍光増白剤と組み合わせて、例えば複合体の形で用いうる。そのような複合体は、例えば、染料固着剤を蛍光増白剤に共有結合させることにより形成しうる。本発明の実施の際に用いられる蛍光増白剤(「OBA」)は様々に変えることができ、用いられる従来のOBA、または機械パルプまたはクラフトパルプの増白に用いうる従来のOBAは、染料固着剤と組み合わせて用いることができる。蛍光増白剤は、人の目に見えない短い波長の紫外線を吸収し、それをより長い波長の青い光として放出し、その結果、人の目がより高い白色度を感知し、白色度が増加される、染料様蛍光化合物である。これによって白色度が追加され、紙のような基体の自然な黄色の色合いをカバーすることができる。本発明で用いられる蛍光増白剤は広範囲に変えることができ、どのような適した蛍光増白剤も用いうる。そのような増白剤の総覧は、例えば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第6版、2000電子版、Optical, Brighteners − Chemistry of Technical Products(参照することによって全てここに記載されたものとする)に見られる。他の蛍光増白剤は、米国特許第5,902,454号;第6,723,846号;第6,890,454号;第5,482,514号;第6,893,473号;第6,723,846号;第6,890,454号;第6,426,382号;第4,169,810号;および第5,902,454号(参照することによって全てここに記載されたものとする)に記載されている。さらに別の蛍光増白剤は、米国特許出願公開第US2007/0193707号;第US2004/014910号および第US2003/0013628号;並びにWO96/00221(参照することによって全てここに記載されたものとする)に記載されている。有用な蛍光増白剤の例は、4,4´−ビス−(トリアジニルアミノ)−スチルベン−2,2´−ジスルホン酸、4,4´−ビス−(トリアゾール−2−イル)−スチルベン−2,2´−ジスルホン酸、4,4´−ジベンゾフラニル−ビフェニル、4,4´−(ジフェニル)−スチルベン、4,4´−ジスチリル−ビフェニル、4−フェニル−4´−ベンゾキサゾリル−スチルベン、スチルベニル−ナフトトリアゾール、4−スチリル−スチルベン、ビス−(ベンゾキサゾ−ル−2−イル)誘導体、ビス−(ベンズイミダゾール−2−イル)誘導体、クマリン、ピラゾリン、ナフタルイミド、トリアジニル−ピレン、2−スチリル−ベンゾキサゾ−ルもしくは−ナフトキサゾ−ル、ベンズイミダゾール−ベンゾフランまたはオキサニリドである。
【0015】
たいていの商業的に入手しうる蛍光増白剤はスチルベン、クマリンおよびピラゾリンのケミストリーに基づき、これらは本発明で用いるのに好ましい。本発明で用いるのに好ましい蛍光増白剤は、4,4´−ジアミノスチルベン−2,2´−ジスルホン酸の1,3,5−トリアジニル誘導体またはそれらの塩のようなスチルベンのケミストリーに基づく製紙業界で一般に用いられる蛍光増白剤であり、これらは、例えば2,4−および/または6位置に、追加のスルホ基を有していてもよい。スチルベン誘導体は、例えば、「Tinopal」の登録商標でチバ・ガイギ−社から、「Leucophor」の登録商標でクラリアント社から、「Blankophor」の登録商標でランキセス社から、「Optiblanc」の登録商標で3V社から商業的に入手しうるもの、例えばジスルホネート、テトラスルホネートおよびヘキサスルホネートスチルベンに基づく蛍光増白剤である。もちろん、染料固着剤が上記のような化学的に類似のOBAに共有結合しているならば、OBAの性質は陰イオン性から陽イオン性に、例えば陽イオンスチルベンに基づくOBAに変えうる。OBAとの複合体の形である、あるいはOBAとしても作用しうる染料固着剤の例は、クラリアント社からLeucophor FTSとして商業的に入手しうるものである。そのような染料固着剤/OBA二機能化合物および/または配合物の別の例には、OBAが陰イオン性であるよりも陽イオン性であるときのものが含まれる。さらに別の例は、米国特許第7,060,201号および第6,890,454号(参照することによって全てここに記載されたものとする)に見ることができる。
【0016】
組成物が含有する窒素化合物はどのような量でもよく、例えば、組成物中のデンプンの総乾燥重量に基づいて、0.01〜10重量%、0.1〜7重量%、0.5〜6重量%、1〜6重量%である。組成物は、組成物中のデンプンの総乾燥重量に基づいて、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0および10.0重量%の結合剤を、それらのどのような範囲、全ての範囲および一部の範囲を含めて含有しうる。
【0017】
組成物はまた架橋剤を含みうる。架橋剤は、デンプンのヒドロキシル基および/または染料固着剤の官能基を架橋することができるどのような化学薬品でもよい。架橋剤は、ホルムアルデヒド、尿素、ホルムアルデヒド/尿素樹脂、メラミン、ホルムアルデヒド/メラミン樹脂、酸無水物、無水マレイン酸、無水物、金属塩、硼素含有化合物、硼素含有塩、金属含有硼素化合物、硼酸塩、硼酸ナトリウム、アンモニウム塩、ジルコニウム塩、AZT、グリオキサール、ブロックされたグリオキサール、例えばクラリアント社から商業的に入手しうるもの(Cartbond TSI)でありうる。ブロックされたグリオキサールの例は、化合物のある温度に達するまで反応性基が反応しないように立体的にまたは化学的にブロックされた反応性基を有するものである。この温度はどのような温度でもよいが、状況によっては、温度は150°Fより上、あるいは少なくとも160°Fであるかもしれない。
【0018】
組成物が含有する窒素化合物はどのような量でもよく、例えば、組成物中のデンプンの総乾燥重量に基づいて、0.01〜7重量%、0.1〜5重量%、0.5超〜4重量%、1〜3重量%である。組成物は、組成物中のデンプンの総乾燥重量に基づいて、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0および10.0重量%の結合剤を、それらのどのような範囲、全ての範囲および一部の範囲を含めて含有しうる。
【0019】
組成物は場合により少なくとも1種の無機塩を含んでいてもよい。適した無機塩は1価および/または2価および/または3価であり、どのようなレベルのそれらの水和複合体を含んでいてもよい。無機塩の例は、元素周期律表の第1、2および13族のものおよびそれらの水和複合体、例えば一水和物、二水和物、三水和物、四水和物等である。塩の陽イオンは、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムおよびアルミニウムであるのが好ましい。無機塩の陽イオンに対する陰イオン対イオンはどのような対イオンでもよい。対イオンの例は、有機対イオン、ホスフェート、スルフェートおよびハロゲン、例えば塩化物、臭化物、フッ化物等および/またはヒドロキシル基である。最も好ましい無機塩は塩化ナトリウムおよび/または塩化カルシウムである。無機塩が任意に存在するとき、それはどのような量で存在してもよく、例えば、デンプンの総乾燥重量に基づいて、1〜50重量%、8〜37重量%である。無機塩は、デンプンの総乾燥重量に基づいて、1、5、8、10、15、20、25、30、35、36、37、38、39、40、42、45、47および50重量%でもよく、それらのどのような範囲、全ての範囲および一部の範囲を含む。
【0020】
組成物中に存在していてもよいさらなる別の任意成分には、顔料、分散剤、蛍光染料、界面活性剤、消泡剤、防腐剤、複数の顔料、結合剤、pH調節剤、コーティング剥離剤等が含まれる。
【0021】
組成物は、セルロース繊維のウェッブと接して本発明の紙基体をつくりうる。繊維は合成されたものでもよい。合成繊維の例は、ポリオレフィン繊維から製造されたものでもよい。そのような合成繊維は、例えば「Tyvex」の登録商標でデュポン社から商業的に入手しうる。繊維はリサイクルされた繊維でもおよび/またはバージン繊維でもよい。リサイクル繊維は、繊維が少なくとも1回乾燥プロセスを通過している点でバージン繊維と異なる。繊維源は針葉樹材および/または広葉樹材からのものである。さらに、本発明の紙基体が含む針葉樹材および/または広葉樹材繊維は、物理的および/または化学的手段によって改質してもよい。物理的手段の例は、限定されないが、電磁気的および機械的手段である。電気的改質の例には、限定されないが、繊維を電磁気エネルギー源、例えば光および/または電流と接触させることを含む手段が含まれる。機械的改質の例には、限定されないが、無生物(inanimate object)を繊維と接触させることを含む手段が含まれる。そのような無生物の例は、シャープなおよび/または切れ味の悪い(dull)エッジを有するものである。そのような手段は、例えば、切断、混練、叩き、突き刺し等の手段である。化学的手段の例は、限定されないが、慣用の化学的繊維改質手段である。繊維のそのような改質の例は、限定されないが、次の特許に見られるものである:6,592,717、6,582,557、6,579,415、6,579,414、6,506,282、6,471,824、6,361,651、6,146,494、H1,704、5,698,688、5,698,074、5,667,637、5,662,773、5,531,728、5,443,899、5,360,420、5,266,250、5,209,953、5,160,789、5,049,235、4,986,882、4,496,427、4,431,481、4,174,417、4,166,894、4,075,136および4,022,965(参照することによって全てここに記載されたものとする)。
【0022】
本発明の基体は有効量の上記組成物および/または組成物内の成分を含有する。有効量の組成物および/または組成物内の成分はセルロース繊維のウェッブへ塗布しうる。有効量とは、下記のような耐水堅牢性、表面強度および操作性の良好なバランスを達成するのに必要な量を意味する。
【0023】
組成物の有効量は、基体の下記性能および/または物理特性の1つ以上を得るためのどのような量でもよいが、組成物の有効量は、紙基体がウェッブ1トン当たり50〜150Lbのデンプンを含有するように加えられるのが好ましい。デンプンの量は、紙1トン当たり50、60、70、80、90、100、110、120、130、140および150Lbでもよく、それらのどのような範囲、全ての範囲および一部の範囲を含む。さらに、組成物の有効量は、紙基体がウェッブ1トン当たり0.1〜15Lbの染料固着剤を含有するように加えられるのが好ましい。染料固着剤の量は、ウェッブ1トン当たり0.1、0.2、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、7、8、9、10、11、12、13、14および15Lbでもよく、それらのどのような範囲、全ての範囲および一部の範囲を含む。さらに、組成物の有効量は、紙基体がウェッブ1トン当たり0.01〜15Lbの架橋剤を含有するように加えられるのが好ましい。架橋剤の量は、ウェッブ1トン当たり0.01、0.02、0.05、0.08、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.2、2.5、2.8、3.0、3.2、3.5、4.0、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14および15Lbでもよく、それらのどのような範囲、全ての範囲および一部の範囲を含む。
【0024】
基体は、基体から形成される記録シートのイメージ耐水堅牢性を高める1つ以上の改善された性質を有しうる。耐水堅牢性を測定する多くの方法があるが、我々は以下の文献を参照した耐水堅牢性試験について記載する。下記の試験はASTM試験F2292−03(参照することによって全てここに記載されたものとする)に非常に似ていることに留意すべきである。もちろん、違いについては言及する。
【0025】
べた色をシートまたは紙に印刷し、印刷部分を水に浸すならば、いくらかのインクは水に溶解して、残りのイメージは薄れたりより浅黒くなる。印刷されたべたの濃度(黒さ)は、水に浸した前後に光学濃度計で測定することができる。濃度の読み取り間の差は濃度損失(「DL%」)として表すことができる。本方法は、べた着色ストリップを紙に印刷し、ストリップの半分を脱イオン水に23℃で60秒間浸し、紙を空気乾燥することを含む。光学濃度は、反射率濃度計(X−Rite, Macbeth. Etc.)によってストリップの浸した(OD)および浸さない(OD)部分において読み取る。%濃度損失(「DL%」)はDL%=[(OD−OD)/OD]×100と定義する。この式では、正のDL%は水に浸した後の濃度増加を示す。どのような理論にも結び付けることは望まないが、この濃度増加は、より均一なインク被覆(コーティング)面積をもたらすインク染料再分配がなされていることと考えられる。負のDL%は、試料が水に浸された後、インク染料が洗い出されることを示していると考えられ、そしてそれは望ましくない。好ましくは、DL%は約−10%〜約15%である。より好ましくは、DL%は約−5%〜約15%である。最も好ましくは、DL%は約0%〜約15%である。DL%は−10、−7、−5、−3、0、3、5、7、10、12および15%でもよく、それらのどのような範囲、全ての範囲および一部の範囲を含む。
【0026】
基体は強化された表面強度をもちうる。強化された表面強度の例は、標準Tappi Test T476 om−06(参照することによって全てここに記載されたものとする)によるテーバー磨耗によって測定される強化耐磨耗性である。テーバー磨耗はどのような量でもよく、例えば約75未満、約60未満、約50未満、約40mg/1000回転未満である。テーバー磨耗は、約75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10および5mg/1000回転未満でもよく、それらのどのような範囲、全ての範囲および一部の範囲を含む。
【0027】
基体は改善された操作性を有しうる。改善された操作性の例は、どれくらい多くの基体の標準ロール(標準ロールは幅36インチ、直径50インチであり、3インチのコアを有する)を、下記の薬品および条件を用いる下記オフセットプレスで印刷しうるかを見る試験によるものである:
プレス − RDP Drent Goebel 4カラープレス
プレス速度 − 第1ロールでは1300fpm、他の全てでは1400fpm
インク溜め溶液 − Prisco H8P+
インク溜め溶液のpH − 3.7
インク溜め溶液の濃度 − 4オンス/ガロン
温度設定(AWSシステム) − 60°F
導電率 − 開始時1800ミリモー(mmhos)
インク − Zeller Gmellin UVAlux
順序 − 第1印刷ユニット − オフ(圧シリンダーなし)
第2印刷ユニット − オフ(圧シリンダーなし)
第3印刷ユニット − 鮮やかな赤 − プレミックスPMS186
第4印刷ユニット − 標準ブラック
プレート − Fuji Barilla positive
ブランケット − Day 9500 3プライ
部屋の雰囲気条件 − 68°Fおよび相対湿度32%
試験は、オフセットプリンタープレートの汚れおよび/または付着した基体からの付着物のため、オフセットプリンタープレートを取り替えたり、きれいにしなければならなくなる前に、どれくらい多くの標準ロールがプレスを通過するかを見るものである。この試験を用いて、本発明の基体を、標準ロールに置いたとき、オフセットプリンタープレートの汚れおよび/または付着した基体からの付着物のため、オフセットプリンタープレートを取り替えたり、きれいにしなければならなくなる前に、本発明の基体は標準ロールの半分より多く、好ましくは1つの標準ロールより多く、より好ましくは少なくとも2つの標準ロール、最も好ましくは少なくとも3つの標準ロールの間、走行しうる。従来の基体は、上記の方法により試験すると、オフセットプリンタープレートの汚れおよび/または付着した基体からの付着物のため、オフセットプリンタープレートを取り替えたり、きれいにしなければならなくなる前に、標準ロールの半分より多く、通常は1ロールより多くの間、走行することはできない。
【0028】
本発明の紙基体は、TAPPI METHOD T 1213 sp−03によって測定して、どのようなブラック光学印刷濃度も有しうる。ブラック光学濃度は0.8〜2.0、より好ましくは1.9〜1.5でありうる。ブラック光学濃度は、0.8、0.9、1.0、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.10、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.3、1.4および1.5でもよく、それらのどのような範囲、全ての範囲および一部の範囲を含む。
【0029】
基体のハーキュレス・サイジング試験値(「HST」)はどのようなHSTでもよい。HSTはTAPPI 530 pm−89の手順を用いて測定される。本発明の好ましい態様では、HSTは、好ましくは約1〜約400秒、例えば1〜200秒、100秒未満、50秒未満、10秒未満である。HSTは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375および400秒でもよく、それらのどのような範囲、全ての範囲および一部の範囲を含む。
【0030】
基体はどのような標準重量のものでもよく、例えば10〜40ポンド/1300フィート、15〜30ポンド/1300フィート、18〜28ポンド/1300フィート並びに約20および24ポンド/1300フィートである。標準重量は、10、15、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35および40/1300フィートでもよく、それらのどのような範囲、全ての範囲および一部の範囲を含む。
【0031】
基体はどのような密度のものでもよく、例えば0.5〜1.0、0.6〜0.9、0.65〜0.85および0.7〜0.8g/cmである。密度は、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.72、0.74、0.75、0.76、0.78、0.8、0.85、0.9、0.95および1.0g/cmでもよく、それらのどのような範囲、全ての範囲および一部の範囲を含む。
【0032】
本発明の組成物はセルロース繊維のウェッブ内部へまたは表面へ加えて本発明の基体をつくりうる。表面塗布が好ましい。表面塗布の例はサイズプレスおよび/またはコーターである。サイズプレスは本技術分野で一般に知られているどのようなサイズプレスでもよい。例えば、サイズプレスは、パドルモードサイズプレス(例えば、傾斜、垂直、水平)または計量サイズプレス(例えば、ブレード計量、ロッド計量)等でもよい。コーターは本技術分野で一般に知られているどのようなコーターでもよい。例えば、コーターは、ブレードコーターまたはエアーナイフコーター、バーコーターでもよい。メイヤーロッドコーター、リバースロールコーター、押し出しコーター、グラビアまたはリバースグラビアコーター、カーテンコーター、ディップコーターおよびスプレーコーター等でもよい。
【0033】
図1〜3は、本発明の紙基体における紙基体1の様々な態様を示す。図1は、組成物2のセルロース繊維のウェッブ3への浸透が極わずかな場合の、セルロース繊維のウェッブ3および組成物2を有する紙基体1を示す。そのような態様は、例えば、組成物がセルロース繊維のウェッブへ被覆(コーティング)されるときである。
【0034】
図2は、組成物2がセルロース繊維のウェッブ3へ浸透している場合の、セルロース繊維のウェッブ3および組成物2を有する紙基体1を示す。紙基体1の浸透層4は、少なくとも組成物がセルロース繊維の中におよび繊維に混じって浸透している領域を明示する。浸透層は紙基体の少なくとも一部分の、全断面の1〜99%、例えば、紙基体の1、2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95および99%でもよく、それらのどのような範囲、全ての範囲および一部の範囲を含む。そのような態様は、例えば、組成物を被覆前にセルロース繊維に加え、必要に応じてその後の被覆と組み合わせうるときである。追加時点は、例えばサイズプレスにおいてである。
【0035】
図3は、組成物2がセルロース繊維のウェッブ3中にほぼ均一に分布されている場合の、セルロース繊維のウェッブ3および溶液2を有する紙基体1を示す。そのような態様は、例えば、組成物を被覆前にセルロース繊維に加え、必要に応じてその後の被覆と組み合わせうるときである。追加時点の例は、製紙プロセスのウエットエンド、シンストック(thin stock)およびシックストック(thick stock)においてである。
【0036】
紙基体は、組成物の任意の成分をセルロース繊維と連続的におよび/または同時に接触させることによって製造しうる。さらに、接触は、本発明の紙基体に上記の量のセルロースおよびサイジング溶液成分を含有させる許容しうる濃度で行うことができる。接触は製紙プロセスのいつ行なってもよく、限定されないが、例えば、シックストック、シンストック、ヘッドボックス、サイズプレスおよびコーターである。別の追加時点は、例えば、マシーンチェスト、スタッフボックス、およびファンポンプの吸引部である。好ましくは、組成物の成分は単一および/または別々の被覆層と共におよび/または組み合わせ、のいずれかで予備配合し、サイズプレスおよび/またはコーターにより繊維ウェッブへ被覆する。
【0037】
組成物をセルロース繊維のウェッブへ、特にサイズプレスで、塗布するとき、組成物の塗布量は1〜300乾燥ポンド/ウェッブのトン、例えば50〜150、75〜125、80〜100乾燥ポンド/ウェッブのトンである。ウェッブへ塗布する組成物の量は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、125、130、140、150、160、170、180、190、200、225、250、275および300乾燥ポンド/ウェッブのトンでもよく、それらのどのような範囲、全ての範囲および一部の範囲を含む。
【0038】
1つの態様では、結合剤はサイズプレスにより、サイズウェッブをつくるのに一般的なサイジング量で塗布しうる。次に、コーターで染料固着剤および/または架橋剤を含有する組成物を同時にまたは順次塗布しうる。この場合、コーターはどのような量の染料固着剤および/または架橋剤をサイズウェッブへ施してもよく、例えば、0.25〜25、0.5〜10、1.5〜5乾燥ポンド/ウェッブのトンである。この態様では、ウェッブへ塗布する染料固着剤および/または架橋剤の量は、0.25、0.5、0.75、1.0、1.25、1.5、1.75、2.0、2.25、2.5、2.75、3.0、3.25、3.5、3.75、4.0、4.25、4.5、4.75、5、6、7、8、9、10、12、15、20および25乾燥ポンド/ウェッブのトンでもよく、それらのどのような範囲、全ての範囲および一部の範囲を含む。
【0039】
本発明の紙または板紙は公知の一般的な技術を用いて製造することができる。被覆配合物を形成および製造並びに紙基体へ塗布する方法および装置は紙または板紙技術分野でよく知られている。例えば、G.A.Smook(参照することによって全てここに記載されたものとする)を参照されたい。そのような公知の全ての方法は本発明を実施する際に用いることができ、詳細は記載しない。
【0040】
必須の1種以上の窒素含有有機種と1種以上のデンプン、および任意成分は適切な液体媒質、好ましくは水に溶解または分散することができ、それらは適当な技術によって基体へ塗布しうる。
【0041】
本発明の紙基体はインクジェット印刷プロセスで用いることができる。本発明の1つの態様は、水性記録液を本発明の記録シートへイメージ状パターンで塗布することを含むプロセスに関する。本発明の別の態様は、(1)水性インクの入ったインクジェット印刷装置に、本発明の記録シートを組み込むこと、および(2)インク(染料および/または顔料ベースの)の小滴をイメージ状パターンで記録シートへ噴出させ、それによってイメージを記録シート上に生じることを含む印刷プロセスに関する。インクジェット印刷プロセスは周知であり、例えば、米国特許第4,601,777号;第4,251,824号;第4,410,899号;第4,412,224号、および第4,532,530号(参照することによって全てここに記載されたものとする)に記載されている。特に好ましい態様では、印刷装置は、ノズル中のインクがイメージ状パターンの状態で選択的に加熱され、それによってインクの小滴をイメージ状パターンに噴出する、熱インクジェットプロセスを用いる。本発明の記録シートは他の印刷またはイメージングプロセス、例えばペンプロッターでの印刷、カラーレーザープリンターまたはコピー機でのイメージング、インクペンでの手書き、オフセット印刷プロセス等にも用いることができる。ただし、イメージ形成に用いられるトナーまたはインクは記録シートのインク受容層と適合できるものである。
【0042】
本発明を次の実施例を参照して説明する。実施例は説明のためのものであり、本発明は実施例に示す材料、条件またはプロセスパラメーターに限定されない。全ての部および%は断りがなければ重量単位に基づく。
【実施例】
【0043】
実施例1
(A)サイズプレス組成物の製造
次の手順を用いて一連のサイズプレス組成物を製造した。組成物は低せん断ミキサーを使用して実験室で製造した。特定量の予備処理を行なった(pre-cooked)デンプン、次にBubond60またはLeucophor FTS染料固着剤、次いで残りの水で希釈した架橋剤を適当なせん断作用の下で混合容器へ加えた。望ましい固形分は、サイズプレス処理粘度および望ましい付着量に対するシステムの許容度により14〜16%である。組成および詳細は次の表1に示す。
【0044】
【表1】

【0045】
(B)サイズプレス処理
どのようなサイズプレスも行われておらず、基本重量が約75g/mのペンサコ−ラミル、ペーパーマシーンP5で製造された原紙をこの試験に用いた。HST値は約1秒であった。原紙は実験室規模のパドルサイズプレスを使用して表1のコーティング組成物で被覆した。被覆配合物の塗布には、紙基体の12”(インチ)幅ロールを2つのローラーの間に連続供給し、被覆配合物はニップ溜めに送り、紙は所定の速度でニップ溜めを通して供給した。配合物の固形分、ニップ圧およびサイズプレス運転速度を調節することによって、表1に示す望ましい付着重量が得られた。量は?の単位で示す。
【0046】
耐水堅牢性および磨耗試験は表1の上記各試料で行った。各試験結果は図4および5にそれぞれ示す。印刷濃度は反射率濃度計(X−Rite, Macbeth. Etc.)を使用して光学濃度(「OD」)の単位で測定する。本方法は、色のべたブロックをシートに印刷し、光学濃度を測定することを含む。使用する個々のプリンターおよび選択した印刷モード、並びに濃度計モードおよびカラー設定によりODにいくらかの変動がある。本特許で使用したプリンターはScitex4.5”(インチ)ワイドプリントヘッドであり、これをマイクロコンピューターに接続して印刷パターンを決定して印刷した。紙は、各種速度で回転して様々な紙ウェッブ速度で動く印刷プレスをシミュレートすることができるドラムに接続する。本特許における試料は、#1040Scitexインクを使用して、500フィート/分の相当するウェッブ速度で印刷した。使用濃度計は6mm開口部を有するX−Riteモデル528分光測色濃度計であった。濃度測定設定はビジュアルカラー、状態T、および絶対濃度モードであった。
【0047】
耐水堅牢性試験は、印刷した試料を室温の水に1分間浸し、次に試料を取り出し、試料を空気乾燥することによって行った。印刷濃度は浸漬前および後に測定し、印刷濃度変化%を計算した。テーバーウエット磨耗試験はTappi標準T476に記載の方法を用いて行った。
【0048】
上記の教示を考慮して本発明を様々に変更することは可能である。従って、特許請求の範囲内で本発明をここに詳記したのとは別のやり方で実施しうることは当然のことである。
【0049】
明細書中で用いたように、範囲は、便宜上、その範囲の一部の値(近い値)を含めて、範囲内にある各値を記述するために用いる。
【0050】
ここに挙げた全ての参考文献並びにそれらの引例は、本発明の要旨に関連する部分およびその態様の全てを参照することによってここに記載されたものとする。
【符号の説明】
【0051】
1 紙基体
2 組成物
3 セルロース繊維のウェッブ
4 浸透層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の結合剤;
少なくとも1種の染料固着剤;および
少なくとも1種の架橋剤
を含む、サイジングまたはコーティング組成物。
【請求項2】
少なくとも1種の顔料をさらに含む、請求項1に記載のサイジングまたはコーティング組成物。
【請求項3】
少なくとも1種の無機塩をさらに含む、請求項1に記載のサイジングまたはコーティング組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種の結合剤が、組成物中の固形分の総重量に基づいて、85〜98重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種の染料固着剤が、組成物中のデンプンの総重量に基づいて、0.5〜10重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種の架橋剤が、組成物中のデンプンの総重量に基づいて、0.5〜5重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種の結合剤が、デンプン、変性デンプンおよびポリビニルアルコールよりなる群から選択される少なくとも1種の要素である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種の染料固着剤が、ポリアミン、ポリエンイミン、および蛍光増白剤:窒素含有化合物複合体よりなる群から選択される少なくとも1種の要素である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1種の架橋剤が、グリオキサールおよびブロックされたグリオキサールよりなる群から選択される少なくとも1種の要素である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の組成物であって、
組成物中の固形分の総重量に基づいて85〜98重量%の量の前記少なくとも1種の結合剤;
組成物中のデンプンの総重量に基づいて0.5〜10重量%の量の少なくとも1種の染料固着剤;および
組成物中のデンプンの総重量に基づいて0.25〜5重量%の量の少なくとも1種の架橋剤
を含む上記組成物。
【請求項11】
請求項10に記載の組成物であって、
前記少なくとも1種の結合剤がデンプンおよびポリビニルアルコールよりなる群から選択され;
前記少なくとも1種の染料固着剤がポリアミン、ポリエンイミン、および蛍光増白剤:窒素含有化合物複合体よりなる群から選択され;そして
前記少なくとも1種の架橋剤がグリオキサールおよびブロックされたグリオキサールよりなる群から選択される、
上記の組成物。
【請求項12】
請求項11に記載の組成物を含む、紙基体。
【請求項13】
DL%によって測定される基体の耐水堅牢度が−10〜15となるのに有効な量の組成物を含む、請求項12に記載の紙基体。
【請求項14】
DL%によって測定される基体の耐水堅牢度が−5〜55となるのに有効な量の組成物を含む、請求項12に記載の紙基体。
【請求項15】
テーバー磨耗試験によって測定される基体の表面強度が60mg/1000回転未満となるのに有効な量の組成物を含む、請求項12に記載の紙基体。
【請求項16】
テーバー磨耗試験によって測定される基体の表面強度が50mg/1000回転未満となるのに有効な量の組成物を含む、請求項12に記載の紙基体。
【請求項17】
テーバー磨耗試験によって測定される基体の表面強度が40mg/1000回転未満となるのに有効な量の組成物を含む、請求項12に記載の紙基体。
【請求項18】
幅36インチ、直径50インチであり、そして3インチのコアを有するロールのとき、基体がロールの全長の半分を越える間、連続的に走行するのに有効な量の組成物を含む、請求項12に記載の紙基体。
【請求項19】
幅36インチ、直径50インチであり、そして3インチのコアを有するロールのとき、基体が少なくとも2つのロール長さの間、連続的に走行するのに有効な量の組成物を含む、請求項12に記載の紙基体。
【請求項20】
繊維のウェッブを組成物とサイズプレスまたはコーターで接触させることを含む、請求項12に記載の紙基体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−528197(P2010−528197A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509386(P2010−509386)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/006577
【国際公開番号】WO2008/144074
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(504293447)インターナショナル・ペーパー・カンパニー (15)
【Fターム(参考)】