説明

改善されたノッチ付き衝撃強さを有するポリマーブレンド

本発明は、(A)ポリマーブレンドの総重量に基づき、約70〜約80重量%の、約0℃未満のガラス転移温度を有する少なくとも1種の軟質生分解性ポリマー(A);及び(B)ポリマーブレンドの総重量に基づき、約30〜約20重量%の、約10℃より高いガラス転移温度を有する少なくとも1種の硬質生分解性ポリマー(B)を含み、ASTM D256によるノッチ付きアイゾッド衝撃強さが少なくとも7.5ft−lbs/inである生分解性ポリマーのブレンドに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、生分解性ポリマーブレンドに関する。好ましくは、本発明は、改善されたノッチ付きアイゾッド衝撃強さを有するブレンドを生じる、生分解性ポリエステル及びポリエステルアミドのような2種のバイオポリマーのブレンドに関する。本発明の生分解性ポリマーブレンドは、多くの用途に適当であることができる。
【背景技術】
【0002】
生分解性材料は、微生物触媒分解反応によってポリマーサイズがモノマー又は短鎖へと減少されることによって強度が低下する成分を含み、その後、これらのモノマー又は短鎖は微生物によって同化される。好気的環境においては、これらのモノマー又は短鎖は最終的にCO2、H2O及び新しい細胞バイオマスに酸化される。嫌気的環境においては、モノマー又は短鎖は最終的にCO2、H2O、アセテート、メタン及び細胞バイオマスに酸化される。生分解が上手くいくには、生分解性材料と活性微生物個体群又は活性微生物個体群によって生成された酵素との間に直接的な物理的接触が確立されなければならない。本発明のフィルム及びブレンドの分解に有用な活性微生物個体群は一般に、流入液(廃液流)中のセルロース材料が多い任意の都市下水又は工場下水処理設備から得ることができる。更に、生分解が上手くいくには、適当なpH、温度、酸素濃度、適切な栄養素及び水分レベルのような、いくつかの最小物理化学的要件が満たされることが必要である。
【0003】
バイオポリマーに対する需要に応えて、環境中に廃棄された場合に生分解することが示された多数の新しいバイオポリマーが開発された。
【0004】
現在知られているバイオポリマーは、独特の特性、利点及び弱点を有する。例えば、一部のバイオポリマーは強いが、極めて硬質(rigid)で脆い。このため、これらのバイオポリマーは、軟質(flexible)シート又はフィルムが求められる場合には、例えば、良好な屈曲及び折り畳み能力を必要とするラップ、バッグ並びに他の包装材料の製造に使用するためには、良い候補とならない。他のバイオポリマーに関しては、フィルムはそれらからブロー成形できないと考えられている。
【0005】
他方、PCL及び現在市販されているある種の脂肪族芳香族ポリエステルのようなバイオポリマーは、直前に記載したより硬質のバイオポリマーに比較して何倍も軟質である。しかし、それらは融点が比較的低く、従って、新たに加工され且つ/又は熱に暴露される場合に自己接着性となる傾向がある。それらはフィルムに容易にブロー成形可能ではあるが、このようなフィルムは、スプールに巻かれる場合に自己接着する傾向があるので、大規模に加工するのは困難である。スプールに巻くことは、販売並びに他の場所及び会社への輸送のために典型的には必要である。このようなフィルムの自己接着性(又は「粘着」)を抑えるために、シリカ又は他の充填剤の混和が典型的には必要である。フィルムのブロー成形に関する前記例が示すように、比較的高粘度の製品の成形、押出及二次成形もまた、極めて困難である。
【0006】
射出成形品、押出品又は二次成形品の別の重要な基準は、温度安定性である。「温度安定性」は、輸送又は貯蔵の間に生じる可能性のある高温若しくは低温又は広い範囲の温度への暴露時でも望ましい性質を維持する能力である。例えば、比較的軟質のバイオポリマーの多くは、室温よりかなり高い温度に加熱された場合には柔軟且つ粘着性になる傾向があり、従って、望ましい包装特性を維持するそれらの能力が損なわれる可能性がある。他のポリマーは、氷点(即ち、0℃)よりかなり低い温度まで冷却されると、硬質で脆くなる可能性がある。従って、単一のホモポリマー又はコポリマーは単独では、広い温度範囲内において充分な安定性を有することができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の点を考慮に入れると、既存のバイオポリマーに比較して広範囲の温度にわたって増大された温度安定性を有するフィルム又はシートに容易に二次成形できるか又は射出成形できる、改善されたノッチ付きアイゾッド衝撃強さを有する生分解性ポリマーブレンドを提供できれば、当業界において進歩となるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、改善されたノッチ付きアイゾッド衝撃強さを有する特殊な生分解性ポリマーブレンドの組成範囲を開示する。このようなポリマーブレンドは、剛性、靭性及び生分解性を必要とする種々の用途に使用するためのフィルム及びシートに容易に二次成形するか又は射出成形することができる。
【0009】
本発明のポリマーブレンドは、
(A)ポリマーブレンドの総重量に基づき、約60〜約80重量%の、約0℃未満のガラス転移温度を有する少なくとも1種の軟質生分解性ポリマー(A);及び
(B)ポリマーブレンドの総重量に基づき、約40〜約20重量%の、約10℃より高いガラス転移温度を有する少なくとも1種の硬質生分解性ポリマー(B)
を含んでなり、ASTM D256によるノッチ付きアイゾッド衝撃強さが少なくとも7.5ft−lbs/inである。
【0010】
本発明の別の実施態様において、
(A)(1)芳香族ジカルボン酸残基約1〜65モル%と、炭素数約4〜14の脂肪族ジカルボン酸残基及び炭素数約5〜15の脂環式ジカルボン酸残基からなる群から選ばれた非芳香族ジカルボン酸残基99〜約35モル% を含む二酸残基(二酸残基の総モル%は100モル%に等しい);並びに
(2)炭素数約2〜8の1種又はそれ以上の脂肪族ジオール、炭素数約2〜8の1種又はそれ以上のポリアルキレンエーテル及び炭素数約4〜12の1種又はそれ以上の脂環式ジオールからなる群から選ばれたジオール残基(ジオール残基の総モル%は100モル%に等しい)
を含んでなる、ガラス転移温度が約0℃未満の少なくとも1種のポリマー(A)を、ポリマーブレンドの総重量に基づき、約60〜約80重量%;
(B)ポリ乳酸から得られたバイオポリマーである少なくとも1種のポリマー(B)を、ポリマーブレンドの総重量に基づき、約40〜約20重量%
含んでなり、ASTM D256によるノッチ付きアイゾッド衝撃強さが少なくとも7.5ft−lbs/inであるポリマーブレンドが提供される。
【0011】
本発明の更に別の実施態様において、
(A)(1)テレフタル酸残基約35〜65モル%とアジピン酸残基、グルタル酸残基又はアジピン酸残基とグルタル酸残基との組合せ65〜約35モル%を含む芳香族ジカルボン酸残基;及び
(2)1,4−ブタンジオールからなるジオール残基
から本質的になる、約0℃未満のガラス転移温度を有する少なくとも1種のポリマー(A)を、ポリマーブレンドの総重量に基づき、約70〜約80重量%;並びに
(B)ポリ乳酸から得られたバイオポリマーである少なくとも1種のポリマー(B)を、ポリマーブレンドの総重量に基づき、約30〜約20重量%
含んでなり、ASTM D256によるノッチ付きアイゾッド衝撃強さが少なくとも7.5ft−lbs/inであるポリマーブレンドが提供される。
【0012】
前記実施態様の全てに関して、ポリマーブレンドは、前記ポリマーブレンドの総重量に基づき、約1〜約50重量%の生分解性添加剤を含むことができる。
【0013】
これらの生分解性ポリマーブレンドは、改善されたノッチ付きアイゾッド衝撃強さを示し、既存のバイオポリマーブレンドに比較して広い温度範囲にわたって増大した温度安定性を示す成形品、押出品又は二次成形品に容易に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、比較的高い剛性(stiffness)(rigid(硬質))を有する少なくとも1種のバイオポリマー(以下、「バイオポリマーB」とも称する)を、比較的高い可撓性(軟質)(flexibility)を有する少なくとも1種のバイオポリマー(以下、「バイオポリマーA」とも称する)とブレンドすることによって前記改善を実現する。この新規ブレンドは、個々のポリマー成分に比較して、改善されたノッチ付きアイゾッド衝撃強さを有する。更に、このようなブレンドは、環境に廃棄された場合に分解できない従来のプラスチックよりも優れている。
【0015】
特に断らない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用する成分の量、分子量、反応条件のような性質などを表す全ての数値は、いずれの場合においても、用語「約」によって修飾されるものと理解されたい。従って、そうでないことが示されない限り、以下の明細書及び添付した「特許請求の範囲」中に記載した数値パラメーターは、本発明が得ようとする目的とする性質によって異なり得る近似値である。最低限でも、各数値パラメーターは少なくとも、報告された有効数字の数を考慮に入れ且つ通常の丸めを適用することによって解釈すべきである。更に、本発明の開示及び特許請求の範囲中に記載した範囲は、端点だけでなく、全範囲を具体的に含むものとする。例えば、0〜10と記載した範囲は、0と10の間の全てに整数、例えば1、2、3、4など、0と10の間の全ての分数、例えば、1.5、2.3、4.57、6.1113など、並びに端点0及び10を開示するものとする。また、化学置換基に関する範囲、例えば、「C1〜C5炭化水素」は、C1及びC5炭化水素だけでなく、C2、C3及びC4炭化水素を具体的に含み且つ開示するものとする。
【0016】
本発明の広い範囲を示す数値範囲及びパラメーターは近似値であるが、具体例に記載した数値は、可能な限り正確に報告してある。しかし、全ての数値は本質的に、個々の試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生ずる若干の誤差を含む。
【0017】
1つの実施態様に関して本明細書中に記載した重量%はいずれも、他の実施態様と組合せて使用することができる。
【0018】
本発明のポリマーブレンドは一般に、以下の実施態様:
(A)約0℃未満のガラス転移温度を有する少なくとも1種の軟質生分解性ポリマー(A)を、ポリマーブレンドの総重量に基づき、約60〜約80重量%;及び
(B)約10℃より高いガラス転移温度を有する少なくとも1種の硬質生分解性ポリマー(B)を、ポリマーブレンドの総重量に基づき、約40〜約20重量%
と本明細書中に記載した他の実施態様を含んでなり、ASTM D256によるノッチ付きアイゾッド衝撃強さが少なくとも7.5ft−lbs/inである。
【0019】
バイオポリマーに対する需要に応えて、環境に廃棄された場合に生分解することが示された多数の新規バイオポリマーが開発された。これらのうちいくつかは、脂肪族−芳香族コポリエステル、ポリエステルアミド、改質ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸を基材とするポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)として知られるポリマー、例えばポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシバレレート(PHV)及びポリヒドロキシブチレート−ヒドロキシバレレートコポリマー(PHBV)、並びにポリカプロラクトン(PCL)である。
【0020】
本発明に係るポリマーブレンドは、比較的高い剛性を有する少なくとも1種のバイオポリマーと比較的高い可撓性を有する少なくとも1種のバイオポリマーとを含む。正しい割合でブレンドされば、広範囲の用途に関して成形品、押出品又は二次成形品に別個に使用される場合の各ポリマーのマイナスの性質を相殺するか又は排除しながら、各ポリマーから有益な性質を引き出すことが可能である。比較的硬質のポリマーと比較的軟質のポリマーとをある割合でブレンドすることによって、本発明者らは、ブレンドのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが、個々に使用された場合の各ポリマーの望ましい性質より優れていることを発見した。従って、予想外の相乗効果という意外な結果が示された。
【0021】
一般に「軟質(flexible)」と見なされることができるバイオポリマー(A)は、ガラス転移温度が約0℃未満のポリマーを含む。一実施態様において、軟質バイオポリマー(A)は、約−10℃未満のガラス転移温度を有するものとする。本発明の他の実施態様において、軟質バイオポリマーは、約−20℃未満の、そしてより好ましくは約−30℃未満のガラス転移温度を有するものとする。
【0022】
柔軟な又は軟質の(soft or flexible)バイオポリマー(A)の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定するものではない。脂肪族−芳香族コポリエステル(例えばBASFによって、また、以前はEastman Chemical Companyによって製造されたもの)、炭素数が少なくとも5の反復単位を含む脂肪族ポリエステル、例えばポリヒドロキシバレレート、ポリヒドロキシブチレート−ヒドロキシバレレートコポリマー及びポリカプロラクトン(例えばDaicel Chemical、Monsanto、Solvay及びUnion Carbideによって製造されたもの)、並びにスクシネート(コハク酸エステル)を基材とする脂肪族ポリマー、例えばポリブチレンスクシネート(PBS)、ポリブチレンスクシネートアジペート(PBSA)及びポリエチレンスクシネート(PES)(例えばShowa High Polymerによって製造されたもの)。
【0023】
本明細書中で使用する用語「ポリエステル」は、「コポリエステル」を含むものとし、1種又はそれ以上の二官能価カルボン酸と1種又はそれ以上の二官能価ヒドロキシル化合物との重縮合によって製造された合成ポリマーを意味すると解する。典型的には、二官能価カルボン酸はジカルボン酸であり、二官能価ヒドロキシル化合物は二価アルコール、例えばグリコール及びジオールである。本明細書中で使用する用語「残基(residue)」は、対応するモノマーを伴う重縮合反応によってポリマー又は可塑剤中に組み込まれる任意の有機構造を意味する。本明細書中で使用する用語「反復単位」は、カルボニルオキシ基によって結合されたジカルボン酸残基及びジオール残基を有する有機構造を意味する。このため、ジカルボン酸残基は、ジカルボン酸モノマー又はそれに関連した酸ハロゲン化物、エステル、塩、無水物又はそれらの混合物から得ることができる。従って、本明細書中で使用する用語「ジカルボン酸」は、高分子量ポリエステルを製造するためのジオールとの重縮合プロセスにおいて有用な、ジカルボン酸及びジカルボン酸の任意の誘導体、その関連した酸ハロゲン化物、エステル、半エステル、塩、半塩、無水物、混合無水物、又はそれらの混合物を含むものとする。
【0024】
本発明に含まれるポリエステルは、実質的に等しいモル比の酸残基(100モル%)及びジオール残基(100モル%)を含み、それらは、反復単位の総モルが100モル%となるように実質的に等しい割合で反応する。従って、本発明の開示において示されるモル%は、酸残基の総モル、ジオール残基の総モル又は反復単位の総モルに基づくことができる。例えば、総酸残基に基づき、30モル%のアジピン酸を含むコポリエステルは、合計100モル%の酸残基のうちアジピン酸残基を30モル%含むことを意味する。このため、酸残基100モル当たり30モルのアジピン酸残基が存在する。別の例において、総ジオール残基に基づき30モル%の1,6−ヘキサンジオールを含むコポリエステルは、コポリエステルが合計100モル%のジオール残基のうち1,6−ヘキサンジオール残基を30モル%含むことを意味する。このため、ジオール残基100モル当たり30モルの1,6−ヘキサンジオール残基が存在する。
【0025】
本発明の一実施態様において、本発明の成分(A)を構成する脂肪族−芳香族コポリエステル(AAPEと称する)を含む本発明のポリマーブレンドは、米国特許第5,661,193号、第5,599,858号、第5,580,911号及び第5,446,079号に記載されたものを含み、これらの特許の開示を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0026】
一実施態様において、本発明のポリマーブレンドの製造に使用できる「軟質(flexible)」ポリマーは、BASF製の、商品名ECOFLEXとして販売されている脂肪族−芳香族コポリエステルを含む。BASF製の脂肪族−芳香族コポリエステルは1,4−ブタンジオール、アジピン酸及びジメチルテレフタレート(DMT)から得られる統計コポリエステルを含む。場合によっては、ジイソシアネートを連鎖延長剤として用いる。
【0027】
本発明のコポリエステル組成物は、炭素数2〜約8の脂肪族ジオール、炭素数2〜8のポリアルキレンエーテルグリコール及び炭素数約4〜約12の脂環式ジオールから選ばれた、1種又はそれ以上の置換又は非置換の、直鎖又は分岐鎖ジオールの残基を含むジオール残基を含んでなる、線状ランダムコポリエステル又は分岐及び/若しくは連鎖延長コポリエステルであることができる1種又はそれ以上のAAPEを含んでなることができる。典型的には、置換ジオールは、ハロ、C6〜C10アリール及びC1〜C4アルコキシから独立して選ばれた1〜約4個の置換基を含むものとする。使用できるジオールの例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない:エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、チオジエタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、トリエチレングリコール及びテトラエチレングリコール。一実施態様においては、脂肪族ジオールが好ましい。別の実施態様においては、より好ましいジオールは、1,4−ブタンジオール;1,3−プロパンジオール;エチレングリコール;1,6−ヘキサンジオール;ジエチレングリコール;及び1,4−シクロヘキサンジメタノールから選ばれた1種又はそれ以上のジオールを含んでなる。更に別の実施態様においては、単独の又は組合された1,4−ブタンジオール、エチレングリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールが、必要ではないが好ましい。
【0028】
AAPEはまた、酸残基の総モルに基づき、約35〜約99モル%、好ましくは約35〜約75モル%、より好ましくは約35〜約65モル%、更に好ましくは約40〜約60モル%の、炭素数2〜約12の脂肪族ジカルボン酸及び炭素数約5〜約10の脂環式ジカルボン酸から選ばれた、1種又はそれ以上の置換又は非置換の、直鎖又は分岐鎖非芳香族ジカルボン酸の残基を含む二酸残基を含んでなる。置換非芳香族ジカルボン酸は典型的には、ハロ、C6〜C10アリール及びC1〜C4アルコキシから選ばれた1〜約4個の置換基を含むものとする。脂肪族及び脂環式ジカルボン酸の非限定的例としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、スベリン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸、イタコン酸、マレイン酸及び2,5−ノルボルナンジカルボン酸が挙げられる。非芳香族ジカルボン酸の他に、AAPEは、酸残基の総モルに基づき、約1〜約65モル%、好ましくは約25〜約65モル%、より好ましくは約35〜約65モル%、更に好ましくは約60〜約40モル%の、炭素数6〜約10の1種又はそれ以上の置換又は非置換芳香族ジカルボン酸の残基を含む。置換芳香族ジカルボン酸を使用する場合には、それらは典型的には、ハロ、C6〜C10アリール及びC1〜C4アルコキシから選ばれた1〜約4個の置換基を含むものとする。本発明のAAPE中に使用できる芳香族ジカルボン酸の非限定的例は、テレフタル酸、イソフタル酸、5−ソジオイソフタル酸の塩、及び2,6−ナフタレンジカルボン酸である。別の実施態様において、AAPEは、1,4−ブタンジオール;1,3−プロパンジオール;エチレングリコール;1,6−ヘキサンジオール;ジエチレングリコール;又は1,4−シクロヘキサンジメタノールのうち1種又はそれ以上の残基を含んでなるジオール残基と、(i)酸残基の総モルに基づき、約35〜約99モル%、好ましくは約35〜約75モル%、より好ましくは約35〜約65モル%、更に好ましくは約40〜約60モル%の、グルタル酸、ジグリコール酸、コハク酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及びアジピン酸(好ましくは、単独又は組合せのグルタル酸及びアジピン酸)から選ばれた1種又はそれ以上の非芳香族ジカルボン酸の残基;(ii)酸残基の総モルに基づき、約5〜約65モル%、好ましくは約25〜約65モル%、より好ましくは約35〜約65モル%、更に好ましくは約40〜約60モル%の、テレフタル酸及びイソフタル酸から選ばれた1種又はそれ以上の芳香族ジカルボン酸の残基を含む二酸残基を含んでなる。より好ましくは、非芳香族ジカルボン酸はアジピン酸を含むことができ、芳香族ジカルボン酸はテレフタル酸を含んでなることができる。一実施態様において、ジオールは約95〜約100モル%、好ましくは約100モル%の1,4−ブタンジオールを含んでなるものとする。
【0029】
一実施態様において、AAPEは、テレフタル酸を約25〜約65モル%、好ましくは約35〜約65モル%、より好ましくは約40〜約60モル%の量で含むのが好ましい。また、AAPEは、アジピン酸を約75〜約35モル%、好ましくは約65〜約35モル%、より好ましくは約60〜約40モル%の量で含んでなるのが好ましい。
【0030】
本発明のAAPEの他の好ましい組成物は、二酸成分100モル%及びジオール成分100モル%に基づく、以下のモル%の以下のジオール及びジカルボン酸(又はそれらのコポリエステル形成性等価物、例えば、ジエステル)から製造されるものである:
(1)グルタル酸(約30〜約75%);テレフタル酸(約25〜約70%);1,4−ブタンジオール(約90〜100%);及び改質用ジオール(0〜約10%);
(2)コハク酸(約30〜約95%);テレフタル酸(約5〜約70%);1,4−ブタンジオール(約90〜100%);及び改質用ジオール(0〜約10%);並びに
(3)アジピン酸(約30〜約75%);テレフタル酸(約25〜約70%);1,4−ブタンジオール(約90〜100%);及び改質用ジオール(0〜約10%)。
【0031】
一実施態様において、1種又はそれ以上の改質用ジオールは、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール及びネオペンチルグリコールから選ばれる。いくつかのAAPEは、約50〜約60モル%のアジピン酸残基、約40〜約50モル%のテレフタル酸残基及び少なくとも95モル%の1,4−ブタンジオール残基を含んでなる線状、分岐又は連鎖延長コポリエステルであることができる。更に好ましくは、アジピン酸残基が約55〜約60モル%の量で存在し、テレフタル酸残基が約40〜約45モル%の量で存在し、且つ1,4−ブタンジオール残基が約95〜100モル%の量で存在する。このような組成物は最近、Eastman Chemical Company(Kingsport,TN)から商標Eastar Bio(登録商標)として市販されている。
【0032】
更に、好ましいAAPEの具体例としては、(a)グルタル酸残基50モル%、テレフタル酸残基50モル%及び1,4−ブタンジオール残基100モル%、(b)グルタル酸残基60モル%、テレフタル酸残基40モル%及び1,4−ブタンジオール残基100モル%、又は(c)グルタル酸残基40モル%、テレフタル酸残基60モル%及び1,4−ブタンジオール残基100モル%を含むポリ(テトラメチレングルタレート−co−テレフタレート);(a)コハク酸残基85モル%、テレフタル酸残基15モル%及び1,4−ブタンジオール残基100モル%又は(b)コハク酸残基70モル%、テレフタル酸残基30モル%及び1,4−ブタンジオール残基100モル%を含むポリ(テトラメチレンスクシネート−co−テレフタレート);コハク酸残基70モル%、テレフタル酸残基30モル%及びエチレングリコール残基100モル%を含むポリ(エチレンスクシネート−co−テレフタレート);並びに(a)アジピン酸残基85モル%、テレフタル酸残基15モル%及び1,4−ブタンジオール残基100モル%又は(b)アジピン酸残基55モル%、テレフタル酸残基45モル%及び1,4−ブタンジオール残基100モル%を含むポリ(テトラメチレンアジペート−co−テレフタレート)が挙げられる。
【0033】
AAPEは好ましくは約10〜約1,000個、より好ましくは約15〜約600個の反復単位を含んでなる。AAPEはまた、フェノール/テトラクロロエタンの重量比60/40の溶液100ml中コポリエステル0.5gの濃度を用いて25℃の温度において測定されたインヘレント粘度が、好ましくは約0.4〜約2.0dL/g、より好ましくは約0.7〜約1.4dL/gである。
【0034】
更に、「軟質(flexible)」ポリマー(A)は好ましくは、生分解性ポリマーブレンドの約60〜80重量%の範囲の濃度を有し、別の実施態様においては、硬質ポリマー(B)は、ポリマーブレンドの総重量に基づき、約70〜約80重量%の範囲の濃度を有するものとする。
【0035】
AAPEを含む(これに限定されない)バイオポリマーはいずれも、場合によっては、分岐剤の残基を含むことができる。一実施態様において、分岐剤の重量%範囲は、AAPEの総重量に基づき、約0〜約2重量%(本発明における重量%は、重量%を意味する)、好ましくは約0.1〜約1重量%、最も好ましくは約0.1〜約0.5重量%である。分岐剤は好ましくは、約50〜約5000、より好ましくは約92〜約3000の重量平均分子量及び約3〜約6の官能価を有する。例えば、分岐剤は、3〜6個のヒドロキシル基を有するポリオール、3〜4個のカルボキシル基(若しくはエステル形成性等価基)を有するポリカルボン酸又は合計3〜6個のヒドロキシル基及びカルボキシル基を有するヒドロキシ酸のエステル化残基であることができる。
【0036】
分岐剤として使用できる代表的な低分子量ポリオールとしては、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ポリエーテルトリオール、グリセロール、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール、1,2,6−ヘキサントリオール、ソルビトール、1,1,4,4−テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、及びジペンタエリスリトールが挙げられる。より高分子量のポリオール(MW400〜3000)の詳細な分岐剤の例は、ポリオール開始剤を用いてエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのような炭素数2〜3のアルキレンオキシドを縮合させることによって得られるトリオールである。分岐剤として使用できる代表的なポリカルボン酸としては、ヘミメリット酸、トリメリット酸(1,2,4−ベンゼントリカルボン酸)及び無水物、トリメシン酸(1,3,5−ベンゼントリカルボン酸)、ピロメリット酸及び無水物、ベンゼンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、1,1,2,2−エタンテトラカルボン酸、1,1,2−エタントリカルボン酸、1,3,5−ペンタントリカルボン酸、及び1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸が挙げられる。酸はそれ自体を使用することもできるが、好ましくはそれらの低級アルキルエステルの形態で又は環状無水物を形成できる場合にはそれらの環状無水物の形態で用いる。分岐剤としての代表的なヒドロキシ酸としては、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、3−ヒドロキシグルタル酸、ムチン酸、トリヒドロキシグルタル酸、4−カルボキシフタル酸無水物、ヒドロキシイソフタル酸及び4−(β−ヒドロキシエチル)フタル酸が挙げられる。このようなヒドロキシ酸は、3個又はそれ以上のヒドロキシル及びカルボキシル基の組合せを含む。特に好ましい分岐剤としては、トリメリット酸、トリメシン酸、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン及び1,2,4−ブタントリオールが挙げられる。
【0037】
本発明の脂肪族−芳香族ポリエステルはまた、それらの溶融粘度を増大させるために1種又はそれ以上のイオン含有モノマーを含むこともできる。イオン含有モノマーは、スルホイソフタル酸の塩又はその誘導体から選ばれる。この型のモノマーの典型的な例は、ソジオスルホイソフタル酸又はソジオスルホイソフタル酸のジメチルエステルである。イオン含有モノマーの好ましい濃度範囲は、酸残基の総モルに基づき、約0.3〜約5.0モル%、より好ましくは約0.3〜約2.0モル%である。
【0038】
本発明の分岐AAPEの一例は、1,4−ブタンジオール残基100モル%、テレフタル酸残基43モル%及びアジピン酸残基57モル%を含み且つ約0.5重量%のペンタエリスリトールを分岐剤として含むポリ(テトラメチレンアジペート−co−テレフタレート)である。このAAPEは、アジピン酸ジメチル、テレフタル酸ジメチル、ペンタエリスリトール及び1,4−ブタンジオールのエステル交換及び重縮合によって生成できる。AAPEは、公知の任意の常法によって、例えば、最初はチタンテトライソプロポキシドとして存在する100ppmのTiの存在下において真空下でモノマーを190℃で1時間、200℃で2時間、210℃で1時間、次いで250℃で1.5時間加熱することによって製造できる。
【0039】
分岐AAPEの別の例は、1,4−ブタンジオール残基100モル%、テレフタル酸残基43モル%及びアジピン酸残基57モル%を含み且つ0.3重量%のピロメリット酸二無水物を分岐剤として含むポリ(テトラメチレンアジペート−co−テレフタレート)である。このAAPEは、押出機を用いたピロメリット酸二無水物を含む線状ポリ(テトラメチレンアジペート−co−テレフタレート)の反応性押出によって生成する。
【0040】
本発明のAAPEはまた、組成物の総重量に基づき0〜約5重量%、一実施態様においては0.1〜5重量%の1種又はそれ以上の連鎖延長剤を含んでなることができる。代表的な連鎖延長剤は、ジビニルエーテル、例えば、米国特許第5,817,721号に開示されたもの又はジイソシアネート、例えば、米国特許第6,303,677号に開示されたものである。代表的なジビニルエーテルは、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,5−ヘキサンジオールジビニルエーテル及び1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルである。
【0041】
代表的なジイソシアネートは、トルエン2,4−ジイソシアネート、トルエン2,6−ジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びメチレンビス(2−イソシアナトシクロヘキサン)である。好ましいジイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネートである。重量%の範囲は好ましくは、AAPEの総重量に基づき約0.3〜約3.5重量%、最も好ましくは約0.5〜約2.5重量%である。また、3以上の官能価を有するイソシアヌレート及び/若しくはビウレア基を含むことができる三官能価イソシアネート化合物を用いること、又はジイソシアネート化合物を一部分、トリ−若しくはポリイソシアネートで置き換えることも基本的に可能である。
【0042】
本発明のAAPEは、適当なジカルボン酸、エステル、無水物又は塩、適当なジオール又はジオール混合物、及び任意の分岐剤から典型的な重縮合反応条件を用いて容易に製造できる。これらは、連続、半連続又は回分操作様式によって生成でき、種々の反応器型を用いることができる。適当な反応器型の例としては、攪拌漕型反応器、連続攪拌漕型反応器、スラリー反応器、管状反応器、ワイプドフィルム反応器、流下薄膜式反応器又は押出反応器が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ここで使用する用語「連続(continuous)」とは、反応体の投入及び生成物の回収を同時に連続的に行う方法を意味する。「連続」とは、方法が、「回分(batch)」法とは異なり実質的に又は完全に連続的に実施されることを意味する。「連続」は、例えば、始動、反応器のメンテナンス又は定期的シャットダウン期間による方法の連続性の正常な中断を禁止することは意味しない。ここで使用する用語「回分」法は、反応体全てを反応器に添加してから、所定の反応過程に従って処理し、その間に反応器への材料の添加又は材料の除去は行わない方法を意味する。用語「半連続(semicontinuous)」は、反応体の一部を方法の最初に装填し且つ残りの反応体を、反応の進行につれて連続的に供給する方法を意味する。或いは、半連続法はまた、1種又はそれ以上の生成物を反応の進行につれて連続的に除去する以外は、反応体全てを方法の最初に添加する回分法と同様な方法を含むことができる。本発明の方法は、経済的理由から、また、過度に長い期間、高温の反応器中に滞留させるとコポリエステルの外観が悪化する可能性があるのでポリマーの優れた着色を生じるために、連続法として実施するのが有利である。
【0043】
本発明のAAPEは、当業者に知られた、例えば、米国特許第2,012,267号に記載された方法によって製造する。このような反応は通常、重縮合触媒、例えば、アルコキシチタン化合物、アルカリ金属水酸化物及びアルコラート、有機カルボン酸の塩、アルキル錫化合物、金属酸化物などの存在下で150〜300℃の温度において実施する。触媒は典型的には、反応体の総重量に基づき、10〜1000ppmの量で使用する。
【0044】
ジオールとジカルボン酸との反応は、従来のコポリエステル重合条件を用いて実施できる。例えば、エステル交換反応によって、即ち、エステル型のジカルボン酸成分からコポリエステルを製造する場合には、反応プロセスは2工程を含んでなることができる。第1の工程において、ジオール成分とジカルボン酸成分、例えば、テレフタル酸ジメチルとを高温、典型的には約150℃〜約250℃において約0.0kPaゲージ〜約414kPaゲージ(60ポンド/平方インチ(psig))の範囲の圧力で約0.5〜約8時間反応させる。好ましくは、エステル交換反応の温度は約180℃〜約230℃で約1〜約4時間であり、好ましい圧力は約103kPaゲージ(15psig)〜約276kPaゲージ(40psig)の範囲である。その後、反応生成物をより高い温度において減圧下で加熱して、ジオールを除去しながらAAPEを形成する。ジオールは、これらの条件下では容易に揮発し、系から除去される。この第2の工程、又は、重縮合工程は、より高真空下で一般には約230℃〜約350℃、好ましくは約250℃〜約310℃、最も好ましくは約260℃〜約290℃の温度で約0.1〜約6時間又は好ましくは約0.2〜約2時間、インヘレント粘度によって測定される所望の重合度を有するポリマーが得られるまで続ける。重縮合工程は、約53kPa(400トル)〜約0.013kPa(0.1トル)の範囲の減圧下で実施できる。反応混合物の充分な熱伝達及び表面更新を保証するために、いずれの段階においても攪拌又は適当な条件を使用する。両段階の反応速度は、適当な触媒、例えば、四塩化チタン、二酢酸マンガン、酸化アンチモン、ジブチル錫ジアセテート、塩化亜鉛又はそれらの組合せによって増加させる。米国特許第5,290,631号に記載されたのと同様な3段製造法も、酸及びエステルの混合モノマー供給材料を使用する場合には特に使用できる。例えば、典型的な脂肪族―芳香族コポリエステル、30モル%のテレフタル酸残基を含むポリ(テトラメチレングルタレート−co−テレフタレート)は、グルタル酸ジメチル、テレフタル酸ジメチル及び1,4−ブタンジオールを、最初はチタンテトライソプロポキシドとして存在する100ppmのTiの存在下において真空下で、最初に200℃で1時間、次いで245℃で0.9時間加熱することによって製造できる。
【0045】
エステル交換反応によるジオール成分とジカルボン酸成分との反応を確実に完了させるために、場合によっては、1モルのジカルボン酸成分に対して、約1.05〜約2.5モルのジオール成分を用いるのが望ましい。しかし、当業者ならば、ジオール成分対ジカルボン酸成分の比が一般に、反応プロセスが行われる反応器の設計によって決まることがわかるであろう。
【0046】
直接エステル化による、即ち、酸型のジカルボン酸成分からのコポリエステルの製造においては、ポリエステルは、ジカルボン酸又はジカルボン酸の混合物をジオール成分又はジオール成分の混合物及び分岐用モノマー成分と反応させることによって生成する。この反応は、平均重合度約1.4〜約10の低分子量コポリエステル生成物を生成するために約7kPaゲージ(1psig)〜約1379kPaゲージ(200psig)、好ましくは689kPaゲージ(100psig)未満の圧力において実施する。直接エステル化反応において使用する温度は典型的には、約180℃〜約280℃、より好ましくは約220℃〜約270℃の範囲である。この低分子量ポリマーは次に、重縮合反応によって重合させることができる。BASFによって商品名ECOFLEXとして現在市販されているポリマーは、−33℃のガラス転移温度及び105〜−115℃の融解範囲を有する。
【0047】
ポリカプロラクトン(PCL)も、本発明において有用な生分解性の柔軟な脂肪族ポリエステル、ポリマー(A)であり、比較的低い融点及び非常に低いガラス転移温度を有する。それは、ε−カプロラクトンの重合によって形成されるので、そのように命名されている。PCLのガラス転移温度は−60℃であり、融点はわずか60℃である。このため、PCL及び低融点を有する他の同様な脂肪族ポリエステルは、従来の方法、例えばインフレーション法及びブロー成形によって加工するのが困難である。PCLから製造されたフィルムは、押出時に粘着性であり、130℃より高温では溶融強度が低い。また、このポリマーの結晶化速度は遅いため、性質が経時的に変化する。PCLと他のポリマーとのブレンドは、PCLの加工性を改善する。一般的なPCLの1つは、Union Carbide製のTONEである。PCLの他の製造業者としては、Daicel Chemical,Ltd及びSolvayが挙げられる。
【0048】
ε−カプロラクトンは、その反応性を特徴とする7員環化合物である。開裂は通常、カルボニル基で起こる。ε−カプロラクトンは典型的には、シクロヘキサノンから過酸化法によって製造される。PCLは、ε−カプロラクトンの重合によって製造されるポリエステルである。より高分子量のPCLは、種々の触媒、例えば、アルキルアルミニウム、有機金属組成物、例えば、第Ia族、第IIa族、第IIb族若しくは第IIIa族金属アルキル、グリニヤール試薬、第II族金属ジアルキル、カルシウムアミド若しくは他の金属のアミド又はアルキルアミド、アルカリ土類ヘキサモニエートとアルカリ酸化物とアセトニトリルの反応生成物、アルニウムトリアルコキシド、アルカリ土類アルミニウム若しくは硼素水素化物、アルカリ金属若しくはアルカリ土類水素化物又はアルカリ金属単独の影響下で製造できる。PCLは典型的には、末端基を形成する脂肪族ジオール(HO−R−OH)で開始することによって製造される。
【0049】
本発明のポリマーブレンドの製造に使用できる別の「軟質」脂肪族ポリエステル、ポリマー(A)は、微生物による発酵を用いて製造されるポリヒドロキシブチレート−ヒドロキシバレレートコポリマー(PHBV)である。このようなPHBVコポリエステルの1つは、Monsanto Companyによって製造され、約0℃のガラス転移温度及び約170℃の融点を有する。
【0050】
PHBVの製造のための発酵方法においては、単一の細菌種がトウモロコシ又はジャガイモ供給原料をポリヒドロキシブチレート及びヒドロキシバレレート成分のコポリマーに転化する。これらの供給原料を操作することによって、2つのポリマーセグメントの割合を変えて、種々のグレードの材料を生成できる。いずれのグレードも、依然として生分解性でありながら、耐湿性である。PHBVの世界的製造業者は、Monsanto(BIOPOLがその製品である)、及びMETABOLIX(種々のグレードのポリヒドロキシ−アルカノエート(PHA)を製造)である。
【0051】
別の種の「軟質」脂肪族ポリエステル、ポリマー(A)は、ポリブチレンスクシネート(PBS)、ポリブチレンスクシネートアジペート(PBSA)及びポリエチレンスクシネート(PES)のようなスクシネート反復単位を基材とする。これらのスクシネートを基材とする脂肪族ポリエステルはいずれも、Showa High Polymer,Ltd.製であり、商品名BIONELLEとして販売されている。PBS(Bionolle 1001)は、−30℃のガラス転移温度及び114℃の融点を有する。PBSA(Bionolle 3001)は、−35℃のガラス転移温度及び95℃の融点を有する。PES(Bionolle 6000)は−4℃のガラス転移温度及び102℃の融点を有する。
【0052】
スクシネートを基材とする脂肪族ポリエステルの目標用途としては、フィルム、シート、フィラメント、発泡成形体及び発泡体が挙げられる。スクシネートを基材とする脂肪族ポリエステルは、堆肥、湿った土壌、活性汚泥を含む水及び海水中において生分解性である。PBSAは、堆肥環境において速く分解し、従ってセルロースと同様であるが、PBSはそれほど速くは分解せず、生分解に関しては新聞紙と同様である。
【0053】
コハク酸を基材とする脂肪族ポリエステルは、高い分子量及び有用な物理的性質を有するスクシネート脂肪族ポリエステルを製造するための特許された2工程プロセスに従って製造される。第1工程においては、グリコール及び脂肪族ジカルボン酸から低分子量ヒドロキシル末端脂肪族ポリエステルプレポリマーを製造する。この重合は、チタン触媒、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトライソプロポキシチタン、ジブトキシジアセトアセトキシチタン又はテトラブチルチタネートによって触媒される。第2工程においては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)のようなジイソシアネートをポリエステルプレポリマーと反応させることによって、高分子量ポリエステルが製造される。一部の製造業者は、最初に縮合反応において1,4−ブタンジオールをコハク酸と反応させてプレポリマーを形成し、次いで前記プレポリマーを連鎖延長剤としてのHMDIと反応させることによってPBSを製造する。
【0054】
PBSAコポリマーは、最初に1,4−ブタンジオール、コハク酸及びアジピン酸を縮合させてプレポリマーを形成し、次いで前記プレポリマーを連鎖延長剤としてのHMDIと反応させることによって製造される。
【0055】
PBSホモポリマーは、エチレングリコールとコハク酸とを反応させ且つ連鎖延長剤としてHMDI又はジフェニルメタンジイソシアネートを用いることによって製造される。
【0056】
一般的には、一般に「硬質」であるか又は可撓性(軟質)が少ないと見なされることができるバイオポリマー(B)は、約10℃より高いガラス転移温度を有するポリマーを含む。剛いバイオポリマー(B)は、約20℃より高いガラス転移温度を有するであろう。本発明の他の実施態様において、硬質バイオポリマー(B)は、約30℃より高い、最も好ましくは約40℃より高いガラス転移温度を有するであろう。
【0057】
更に、「硬質」(B)ポリマーは一般に、ポリマー(A)よりも結晶性である。硬質ポリマー(B)は好ましくは、生分解性ポリマーブレンドの約40〜約20重量%、好ましくは約30〜約20重量%の範囲の濃度を有するものとする。
【0058】
硬質バイオポリマー(B)の例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定するものではない。ポリエステルアミド(例えばBayer製のもの)、改質ポリエチレンテレフタレート(PET)(例えばDu Pont製のもの)、ポリ乳酸(PLA)を基材とするバイオポリマー(例えばCargill−Dow Polymers及びDianippon Ink製のもの)、ポリ乳酸を基材とするターポリマー、ポリグリコール酸、ポリアルキレンカーボネート(例えばPAC Polymers製のポリエチレンカーボネート)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシバレレート(PHV)、ポリヒドロキシブチレート−ヒドロキシバレレートコポリマー(PHBV)。本発明の範囲内のバイオポリマー(B)は好ましくは合成ポリエステル又はポリエステルアミドである。
【0059】
一実施態様において、本発明に係るポリマーブレンドの製造に使用できる硬質ポリマーとしては、ポリ乳酸(PLA)が挙げられる。PLAは、射出成形し、押出し、熱成形し又は紡糸繊維若しくはメルトブロー繊維として使用して不織布製品を生成することができる強い熱可塑性材料である。乳酸のこれらのポリマー(Mn=50,000〜110,000)は、一般的な土壌細菌によって分解されることができる有用な製品に加工できる強い熱可塑性樹脂である。PLAの潜在用途としては、包装材料(食品及び飲料用カートン)用の紙用塗料、ファーストフード用のプラスチックフォーム、電子レンジで使用可能な容器、及び使い捨ておむつ又は庭用ゴミ袋のような他の消費製品が挙げられる。PLAはホモポリマーであることもできるし、或いはグリコリド、ラクトン又は他のモノマーと共重合することもできる。PLA基材ポリマーの特に魅力的な特徴の1つは、それらが更新可能な農産物から得られることである。
【0060】
乳酸は、商業的規模では単一の工程で高重合体へと直接重合するのが難しいので、ほとんどの会社は2工程プロセスを用いる。乳酸は最初に、水を除去することによって3000未満の分子量を有する直鎖にオリゴマー化される。次いで、オリゴマーが、2つの縮合乳酸分子からなる環状二量体であるラクチドに解重合される。この6員環が精製され、開環重合に供されて、分子量50,000〜110,000のポリ乳酸が生成される。
【0061】
乳酸は不斉炭素原子を有するので、いくつかの異性体の形態で存在する。最も一般的に市販されている乳酸は、等量のL−(+)−乳酸及びD−(−)−乳酸を含み、従って、光学的に不活性であり、旋光性を持たない。ラセミ混合物はDL−乳酸と称される。
【0062】
ポリ乳酸は典型的には、約59℃のガラス転移温度及び約178℃の融点を有する。これは、伸び率が低く、かなり硬い。
【0063】
本発明のポリマーブレンド中に使用できる別の剛い(stiff)ポリマー(B)は、CPLAとして知られ、PLAの誘導体であって、Dianippon Inkによって販売されている。2種のCPLAが販売されており、それらは「CPLA硬質」及び「CPLA軟質」と称され、いずれも、本明細書中で定義されるような「硬質(rigid)」ポリマーである。CPLAハードは60℃のガラス転移温度を有し、CPLAソフトは51℃のガラス転移温度を有する。
【0064】
Bayer Corporationは、BAKの名称で販売されているポリエステルアミドを製造している。1つの型のBAKは、アジピン酸、1,4−ブタンジオール及び6−アミノカプロン酸から製造される。BAK1095は、Mnが22,700及びMwが69,700であり且つ芳香族成分を含むポリエステルアミドであり、125℃の融点を有する。BAK2195は、175℃の融点を有する。BAK1095及びBAK2195のガラス転移温度は測定するのが難しいが、BAKと柔軟なポリマーとをブレンドすることによって改善された性質が得られるという意味でBAKは剛いポリマーのように挙動するように見えるので、本発明者らは、BAKポリマーのガラス転移温度が本質的に少なくとも約10℃であると考える。
【0065】
本発明のポリマーブレンド中に使用できる別の剛いポリマー(B)としては、DuPont製の、商品名BIOMAXとして販売されている一連の改質ポリエチレンテレフタレート(PET)ポリエステルが挙げられる。DuPontの改質PETポリマーは、米国特許5,053,482号(Tietz)、米国特許第5,097,004号(Gallagherら)、米国特許第5,097,005号(Tietz)、米国特許第5,171,308号(Gallagherら)、米国特許第5,219,646号(Gallagherら)、及び米国特許第5,295,985号(Romesserら)により詳細に記載されている。本発明に係るポリマーブレンドの製造に使用できる適当な「硬質」ポリマーを開示するために、前記特許を具体的に引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0066】
一般に、Dupontの改質PETポリマーは、テレフタレート及び脂肪族成分の交互単位を含んでいるとみなすことができる。この脂肪族成分は、2種若しくはそれ以上の異なるジオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、低級アルカンジオール(分岐鎖及び非分岐鎖の両方)並びにこれらの誘導体から得られる2種又はそれ以上の異なる脂肪族単位の統計的分布を含んでなる。脂肪族単位の一部はまた、脂肪族二酸、例えば、アジピン酸から得ることができる。更に、テレフタレート反復単位中のフェニレン基はごくわずかがスルホン化され且つアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基で中和される。改質PETポリマーの脂肪族部分も統計的に有意な量のスルホン化テレフタレートも、BIOMAXポリマーの生分解性に著しく寄与する。
【0067】
一部のBIOMAXグレードのポリマーは、200〜208℃の融点及び40〜60℃のガラス転移温度を有する。BIOMAX 6926はこのようなグレードの1つである。これは、比較的強く且つ剛い(stiff)ポリマーであり、より柔軟なポリマーとブレンドされた場合に、ラッピング及び他の包装材料に適当な優れたシート及びフィルムを生成する。
【0068】
Mitsui Chemicals,Inc.は、縮合されたポリラクチド、ポリグリコリド及びポリカプロラクトンから得られる単位を含むターポリマーを製造する。従って、このポリマーは脂肪族ポリマーであり、PLA/PGA/PCLターポリマーと見なすことができる。このポリマーの3つのグレード、H100J、S100及びT100を入手できる。H100JグレードのPLA/PGA/PCLターポリマーは、74℃のガラス転移温度及び173℃の融点を有すると分析された。
【0069】
PAC Polymers Inc.は、10〜28℃のガラス転移温度を有するポリエチレンカーボネート(PEC)を製造している。PECは、本発明に係るポリマーブレンドを製造するための剛い(stiff)ポリマーである。
【0070】
ポリマー(A)及びポリマー(B)はいずれも、フェノール/テトラクロロエタンの60/40重量部溶液100mL中で0.5gのサンプルに関して25℃の温度で測定される場合に、約0.2〜約3.0デシリットル/gのインヘレント粘度を有することができる。
【0071】
本発明はまた、0.25〜10重量%の量の相溶化剤を含むことができる。公知の任意の相溶化剤を使用することができるが、本発明の一実施態様は、ポリ乳酸と混和性のポリアクリレートである相溶化剤を含む。別の実施態様において、相溶化剤は、メタクリル酸メチル及び/又はメタクリル酸グリシジルを含む。
【0072】
種々の天然ポリマー及びそれらの誘導体、例えば澱粉、セルロース、他の多糖類及びタンパク質から得られるポリマー及び誘導体を含むことも本発明の範囲内である。ポリマーブレンドの自己接着を減少させ、コストを削減し且つ弾性率(ヤング率)を増大させるために、無機充填剤を混和することも本発明の範囲内である。更に、所望の軟化性及び伸長特性を与えるために種々の可塑剤を用いることもできる。
【0073】
コポリエステル組成物はまた、燐含有難燃剤を含むことができるが、難燃剤の存在は本発明に重要ではない。難燃剤は、当業界でよく知られた種々の燐化合物、例えば、ホスフィン、亜燐酸エステル、亜ホスフィン酸エステル、亜ホスホン酸エステル、ホスフィン酸エステル、ホスホン酸エステル、ホスフィンオキシド及び燐酸エステルを含むことができる。
【0074】
燐含有難燃剤の例としては以下のものが挙げられる。燐酸トリブチル、燐酸トリエチル、燐酸トリブトキシエチル、t−ブチルフェニル=ジフェニル=ホスフェート、2−エチルヘキシル=ジフェニル=ホスフェート、エチルジメチルホスフェート、イソデシルジフェニルホスフェート、燐酸トリラウリル、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸トリキシレニル、t−ブチルフェニル=ジフェニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、燐酸トリベンジル、フェニルエチルホスフェート、チオノ燐酸トリメチル、フェニルエチルチオノホスフェート、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、ペンチルホスホン酸ジエチル、メチルホスホン酸ジラウリル、メチルホスホン酸ジフェニル、メチルホスホン酸ジベンジル、クレジルホスホン酸ジフェニル、クレジルホスホン酸ジメチル、メチルチオノホスホン酸ジメチル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸ベンジル、ジフェニルホスフィン酸メチル、トリメチルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド、トリベンジルホスフィンオキシド、4−メチルジフェニルホスフィンオキシド、亜燐酸トリエチル、亜燐酸トリブチル、亜燐酸トリラウリル、亜燐酸トリフェニル、亜燐酸トリベンジル、フェニルジエチルホスファイト、フェニルジメチルホスファイト、ベンジルジメチルホスファイト、メチル亜ホスホン酸ジメチル、ペンチル亜ホスホン酸ジエチル、メチル亜ホスホン酸ジフェニル、メチル亜ホスホン酸ジベンジル、クレジル亜ホスホン酸ジメチル、ジメチル亜ホスフィン酸メチル、ジエチル亜ホスフィン酸メチル、ジフェニル亜ホスフィン酸フェニル、ジフェニル亜ホスフィン酸メチル、ジフェニル亜ホスフィン酸ベンジル、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン及びメチルジフェニルホスフィン。
【0075】
本発明において有用な燐含有難燃剤を記載するのに使用する用語「燐の酸(phosphorus acid)」は、鉱酸、例えば燐酸、炭素−燐直接結合を有する酸、例えば、ホスホン酸及びホスフィン酸、並びに少なくとも1つの酸基がエステル化されていない、部分エステル化された燐の酸、例えば、燐酸第一エステル及び第二エステルなどを含む。本発明に使用できる典型的な燐の酸としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定するものではない:ジベンジル燐酸、ジブチル燐酸、ジ(2−エチルヘキシル)燐酸、ジフェニル燐酸、メチルフェニル燐酸、フェニルベンジル燐酸、ヘキシルホスホン酸、フェニルホスホン酸、トリルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、2−フェニルエチルホスホン酸、メチルヘキシルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、フェニルナフチルホスフィン酸、ジベンジルホスフィン酸、メチルフェニルホスフィン酸、フェニル亜ホスホン酸、トリル亜ホスホン酸、ベンジル亜ホスホン酸、ブチル燐酸、2−エチルヘキシル燐酸、フェニル燐酸、クレジル燐酸、ベンジル燐酸、フェニル亜燐酸、クレジル亜燐酸、ベンジル亜燐酸、ジフェニル亜燐酸、フェニルベンジル亜燐酸、ジベンジル亜燐酸、メチルフェニル亜燐酸、フェニル=フェニルホスホン酸、トリル=メチルホスホン酸、エチル=ベンジルホスホン酸、メチル=エチル亜ホスホン酸、メチル=フェニル亜ホスホン酸及びフェニル=フェニル亜ホスホン酸。難燃剤は典型的には、燐酸の1種又はそれ以上のモノエステル、ジエステル又はトリエステルを含む。別の例において、難燃剤は、本明細書中では「RDP」と略するレゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)を含む。
【0076】
難燃剤は、コポリエステル組成物の総重量に基づき約5重量%〜約40重量%の濃度でポリエステルブレンドに添加できる。難燃剤レベルの他の実施態様は、約7重量%〜約35重量%、約10重量%〜約30重量%、及び約10重量%〜約25重量%である。本発明の難燃性コポリエステル組成物は典型的には、UL94燃焼試験においてV2又はそれ以上の等級を示す。更に、本発明の難燃性コポリエステル組成物は典型的には、連邦自動車安全基準(Federal Motor Vehicle Safety Standard)302(典型的にはFMVSS 302と称する)において0の燃焼速度を示す。
【0077】
ロール上で溶融又は半溶融材料を加工する際の酸化分解を防ぐために、酸化安定剤も本発明のポリマーブレンド中に含ませることができる。このような安定剤としては、チオジプロピオン酸ジステアリル又はチオジプロピオン酸ジラウリルのようなエステル;フェノール系安定剤、例えば、Ciba−Geigy AGから入手可能なIRGANOX(登録商標)1010、Ethyl Corporationから入手可能なETHANOX(登録商標)330及びブチル化ヒドロキシトルエン;並びに燐含有安定剤、例えば、Ciba−Geigy AGから入手可能なIrgafos(登録商標)及びGE Specialty Chemicalsから入手可能なWESTON(登録商標)安定剤が挙げられる。これらの安定剤は、単独でも組合せても使用できる。
【0078】
更に、ポリマーブレンドは、染料、顔料及び加工助剤、例えば充填剤、艶消し剤、粘着防止剤、帯電防止剤、発泡剤、チョップトファイバー、ガラス、耐衝撃性改良剤、カーボンブラック、タルク、TiO2などを必要に応じて含むことができる。トナーとも称することがある着色剤を、コポリエステル及び最終用途製品に所望のニュートラルな色相及び/又は明度を与えるために添加できる。好ましくは、コポリエステル組成物はまた、組成物の表面特性を変えるために且つ/又は流量を増大させるために、0〜約30重量%の1種又はそれ以上の加工助剤を含むことができる。加工助剤の代表例としては、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、TiO2、NH4Cl、シリカ、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム及び燐酸カルシウムが挙げられる。本発明のコポリエステル組成物中における加工助剤の量の更なる例は、約5〜約25重量%及び約10〜約20重量%である。好ましくは、加工助剤はまた、生分解促進剤であり、即ち、加工助剤は環境における生分解速度を増大又は加速する。本発明に関連して、堆肥化環境のpHを変える働きをすることもできる加工助剤、例えば炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、水酸化バリウム、珪酸ナトリウム、燐酸カルシウム、酸化マグネシウムなどもまた、生分解プロセスを促進できることが発見された。本発明の場合には、好ましい加工助剤は炭酸カルシウムである。
【0079】
本発明のポリマーブレンドは、ASTM D256によるノッチノッチ付きアイゾッド衝撃強さが0℃及び23℃において少なくとも7.5ft−lbs/inである。
【0080】
本発明のポリマー(A)及び(B)は生分解性であり、また、環境におけるそれらの崩壊及び生分解性を増大させるために生分解性添加剤を含むことができる。コポリエステル組成物は、約1〜約50重量%の生分解性添加剤を含むことができる。生分解性添加剤レベルの他の例は、約5〜約25重量%及び約10〜約20重量%である。このような添加剤の他の作用は、コポリエステル組成物の生分解性を増大させること及び高濃度の種々の添加剤によって起こる生分解性の低下を補うことである。
【0081】
本発明のコポリエステル組成物中に含めることができる生分解性添加剤の代表例としては、微晶質セルロース、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、ポリビニルアルコール、熱可塑性澱粉若しくは他の炭水化物又はそれらの組合せが挙げられる。好ましくは、生分解性添加剤は熱可塑性澱粉である。熱可塑性澱粉は、無秩序な結晶構造を与えるためにエクストルージョンクッキングによってゼラチン化された澱粉である。ここで使用する「熱可塑性澱粉」は、例えば、Bastioli,C.Degradable Polymers,1995,Chapman & Hall:London,112〜137頁に記載されたような「ゼラチン化された澱粉」及び「非構造化された(destructured)澱粉」を含むものとする。「ゼラチン化された」とは、澱粉顆粒が、水中で滑らかで粘稠な分散液を形成するほど充分に膨潤し且つ崩壊していることを意味する。ゼラチン化は、水又は水溶液の存在下で約60℃の温度において加熱するような任意の公知の方法で行う。強アルカリの存在は、このプロセスを促進することが知られている。熱可塑性澱粉は、穀粒又は根菜作物、例えば、トウモロコシ、小麦、米、ジャガイモ及びタピオカからの任意の未変性澱粉から;澱粉のアミロース及びアミロペクチン成分から;変性澱粉製品、例えば、部分解重合澱粉及び誘導体化澱粉から;また、澱粉グラフトコポリマーから製造できる。熱可塑性澱粉は、National Starch Companyから市販されている。
【0082】
コポリエステル組成物の種々の成分、例えば難燃剤、剥離剤、他の加工助剤及びトナーは、回分法、半連続法又は連続法でブレンドすることができる。小規模バッチは、カレンダー加工又は他の熱処理前に、当業者によく知られた任意の強力混合装置、例えば、バンバリーミキサー中で容易に製造できる。成分はまた、適当な溶媒中に溶解してブレンドできる。溶融ブレンド法は、コポリエステル、添加剤及び任意の追加非重合成分を、コポリエステルを少なくとも一部分溶融させるのに充分な温度でブレンドすることを含む。ブレンドは冷却して、更なる使用のためにペレット化することもできるし、或いはこの溶融ブレンドを、例えばフィルム若しくはシート又は成形品に直接加工することもできる。ここで使用する「溶融」は、AAPEを単に軟化させることを含むが、これに限定されるものではない。ポリマー業界で一般的に知られた溶融混合法については、”Mixing and Compounding of Polymers”(I.Manas−Zloczower & Z.Tadmor編,Carl Hanser Verlag Publisher,1994,New York,N.Y.)を参照されたい。着色された製品(例えば、シート、成形品又はフィルム)が望ましい場合には、顔料又は着色剤を、ジオールとジカルボン酸との反応の間にコポリエステル混合物中に含ませることもできるし、或いはこれらを予備成形コポリエステルと溶融ブレンドすることもできる。着色剤を含ませる好ましい方法は、着色剤がコポリエステル中に共重合され且つ組み込まれてコポリエステルの色合いを向上させるような反応性基を有する熱安定性有機着色化合物を有する着色剤を用いるものである。例えば、青色及び赤色置換アントラキノン類を含む(これらに限定されない)反応性ヒドロキシル及び/又はカルボキシル基を有する染料のような着色剤をポリマー鎖中に共重合させることができる。染料を着色剤として使用する場合には、エステル交換又は直接エステル化反応後にコポリエステル反応プロセスに添加することができる。
【0083】
本発明のポリマー組成物は、ここに記載したポリマーと組合された可塑剤を含んでなる。可塑剤の存在は、得られるフィルム若しくはシート又は成形品の可撓性及び優れた機械的性質を向上させるのに有用である。可塑剤はまた、ポリエステルの加工温度を低下させるのに役立つ。可塑剤は典型的には、1個又はそれ以上の芳香環を含んでなる。好ましい可塑剤は、160℃又はそれ以下の温度においてポリエステルの厚さ5mil(0.127mm)のフィルムを溶解させて透明な溶液を生成することによって示されるように、ポリエステル中に可溶である。より好ましくは、可塑剤は、150℃又はそれ以下の温度においてポリエステルの厚さ5mil(0.127mm)のフィルムを溶解させて透明な溶液を生成することによって示されるように、ポリエステル中に可溶である。ポリエステルへの可塑剤の溶解度は以下のようにして測定できる:
1.小バイアルに、厚さ5mil(0.127mm)及びバイアルの幅に概ね等しい幅の標準対照フィルムの1/2インチの部分を入れる。
【0084】
2.フィルムが完全に覆われるまで、可塑剤をバイアル中に添加する。
【0085】
3.フィルム及び可塑剤を含むバイアルを棚の上に置いて、1時間後と4時間目に観察する。フィルム及び液体の外観を記録する。
【0086】
4.周囲の観察後、バイアルを加熱ブロック中に入れ、温度を1時間75℃の一定に留め、フィルム及び液体の外観を観察する。
【0087】
5.以下の温度のそれぞれについて工程4を繰り返す:100℃、140℃、150℃及び160℃。
【0088】
本発明において有用な可能性のある可塑剤の例は以下の通りである。
表A:可塑剤
アジピン酸誘導体:
アジピン酸ジカプリル
ジ−(2−エチルヘキシルアジペート)
ジ(n−ヘプチル,n−ノニル)アジペート
アジピン酸ジイソブチル
アジピン酸ジイソデシル
アジピン酸ジノニル
ジ−(トリデシル)アジペート
アゼライン酸誘導体:
ジ−(2−エチルヘキシルアゼレート)
アゼライン酸ジイソデシル
アゼライン酸ジイソオクチル
アゼライン酸ジメチル
アゼライン酸ジ−n−ヘキシル
安息香酸誘導体:
ジエチレングリコールジベンゾエート(DEGDB)
ジプロピレングリコールジベンゾエート
プロピレングリコールジベンゾエート
ポリエチレングリコール200ジベンゾエート
ネオペンチルグリコールジベンゾエート
クエン酸誘導体:
アセチルトリ−n−ブチルシトレート
アセチルトリエチルシトレート
クエン酸トリ−n−ブチル
クエン酸トリエチル
ダイマー酸誘導体:
ビス−(2−ヒドロキシエチルダイメレート)
エポキシ誘導体:
エポキシ化アマニ油
エポキシ化大豆油
エポキシタル油酸2−エチルヘキシル
フマル酸誘導体:
フマル酸ジブチル
グリセロール誘導体:
グリセロールトリベンゾエート
グリセロールトリアセテート
グリセロールジアセテートモノラウレート
イソブチレート誘導体:
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール,ジイソブチレート
テキサノールジイソブチレート
イソフタル酸誘導体:
イソフタル酸ジメチル
イソフタル酸ジフェニル
ジ−n−ブチルフタレート
ラウリン酸誘導体:
ラウリン酸メチル
リノール酸誘導体:
リノール酸メチル,75%
マレイン酸誘導体:
マレイン酸ジ−(2−エチルヘキシル)
マレイン酸ジ−n−ブチル
メリット酸類:
トリメリット酸トリカプリル
トリメリット酸トリイソデシル
トリ−(n−オクチル,n−デシル)トリメリテート
トリメリット酸トリイソニル
ミリスチン酸誘導体:
ミリスチン酸イソプロピル
オレイン酸誘導体:
オレイン酸ブチル
グリセロールモノオレエート
グリセロールトリオレエート
オレイン酸メチル
オレイン酸n−プロピル
テトラヒドロフルフリルオレエート
パルミチン酸誘導体:
パルミチン酸イソプロピル
パルミチン酸メチル
パラフィン誘導体:
クロロパラフィン,塩素41%
クロロパラフィン,塩素50%
クロロパラフィン,塩素60%
クロロパラフィン,塩素70%
燐酸誘導体:
2−エチルヘキシル=ジフェニル=ホスフェート
イソデシルジフェニルホスフェート
t−ブチルフェニル=ジフェニル=ホスフェート
レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)(RDP)
100%RDP
RDP重量75%とDEGDB25重量%とのブレンド
RDP50重量%とDEGDB50重量%とのブレンド
RDP25重量%とDEGDB75重量%とのブレンド
燐酸トリ−ブトキシエチル
燐酸トリブチル
燐酸トリクレジル
燐酸トリフェニル
フタル酸誘導体:
ブチルベンジルフタレート
テキサノールベンジルフタレート
ブチルオクチルフタレート
フタル酸ジカプチル
フタル酸ジシクロヘキシル
フタル酸ジ−(2−エチルヘキシル)
フタル酸ジエチル
フタル酸ジヘキシル
フタル酸ジイソブチル
フタル酸ジイソデシル
フタル酸ジイソヘプチル
フタル酸ジイソノニル
フタル酸ジイソオクチル
フタル酸ジメチル
フタル酸ジトリデシル
フタル酸ジウンデシル
リシノール酸誘導体:
リシノール酸ブチル
グリセロールトリ(アセチル)リシノレエート
メチルアセチルリシノレエート
リシノール酸メチル
n−ブチルアセチルリシノレエート
プロピレングリコールリシノレエート
セバシン酸誘導体:
セバシン酸ジブチル
セバシン酸ジ−(2−エチルヘキシル)
セバシン酸ジメチル
ステアリン酸誘導体:
エチレングリコールモノステアレート
グリセロールモノステアレート
イソステアリン酸イソプロピル
ステアリン酸メチル
ステアリン酸n−ブチル
プロピレングリコールモノステアレート
コハク酸誘導体:
コハク酸ジエチル
スルホン酸誘導体:
N−エチルo,p−トルエンスルホンアミド
o,p−トルエンスルホンアミド
【0089】
可塑剤の溶解度はまた、Michael M.Coleman,John E.Graf及びPaul C.Painterによって彼らの著書”Specific Interactions and the Miscibility of Polymer Blends”に記載されたような溶解度パラメーターの測定値を用いて予測できる。溶解度値は試験における種々の可塑剤によるものであった。溶解度値は、10.17(cal/cc)1/2のEASTAR(登録商標)BIOによることができる。各可塑剤の溶解度値と比較したColemanらによる実験データの評価は、溶剤/可塑剤がポリマーに関して認められた値の±2(cal/cc)1/2以内に含まれるならば、溶剤/可塑剤はそのポリマーとある程度は相溶性であることを示唆している。更に、可塑剤の溶解度値がAAPEコポリエステルの溶解度値に近いほど、相溶性は大きいであろう。しかし、2つの分子が出会うときには多くの力が同時に働くため、特に、可塑剤/溶剤はポリマーの巨大分子に比べて極めて小さいため、また、純粋には名前を挙げられる材料ではないものもあるため、溶解度パラメーターは絶対的でない。例えば、ジプロピレングリコールジベンゾエートの場合には、商業的に製造された材料は、あるレベルのジプロピレングリコールモノベンゾエート、プロピレングリコールジベンゾエート及びプロピレングリコールモノベンゾエート並びに複数のポリプロピレングリコール基の可能性を含むことがある。
【0090】
前述と同様な試験は、Society of Plastic Engineers/Wiley and Sons(New York)によって1982年に発行された、J.Kern Sears and Joseph R.DarbyによるThe Technology of Plasticizers,136−137頁に記載されている。この試験においては、加熱された顕微鏡のステージ上の1滴の可塑剤中に1粒のポリマーが置かれる。ポリマーが消失する場合には、それは可溶化されている。可塑剤はまた、それらの溶解度パラメーターに従って分類できる。Colemanら(Polymer 31,1187(1990))によって記載された方法によって、可塑剤の溶解度パラメーター又は凝集エネルギー密度の平方根を計算できる。最も好ましい可塑剤は、約8.17〜約12.17(cal/cc)1/2の範囲の溶解度パラメーター(δ)を有するであろう。一般に、可塑剤の溶解度パラメーターはポリエステルの溶解度パラメーターの2.0単位以内、好ましくはポリエステルの溶解度パラメーターの1.5単位未満以内、より好ましくはポリエステルの溶解度パラメーターの1.0単位未満以内でなければならないことがわかる。
【0091】
本発明の方法に従って使用できる可塑剤の例は、(i)フタル酸、アジピン酸、トリメリット酸、安息香酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、酪酸、グルタル酸、クエン酸又は燐酸のうち1種又はそれ以上の残基を含んでなる酸残基、及び(ii)炭素数約20以下の脂肪族、脂環式又は芳香族アルコールの1種又はそれ以上の残基を含んでなるアルコール残基を含んでなるエステルである。更に、可塑剤のアルコール残基の非限定的例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びジエチレングリコールが挙げられる。可塑剤はまた、1種又はそれ以上の安息香酸エステル、フタル酸エステル、燐酸エステル又はイソフタル酸エステルを含むことができる。
【0092】
一実施態様において、好ましい可塑剤は、N−エチル−o,p−トルエンスルホンアミド、2−エチルヘキシル=ジフェニル=ホスフェート、イソデシルジフェニルホスフェート、燐酸トリブチル、t−ブチルフェニル=ジフェニル=ホスフェート、燐酸トリクレジル、クロロパラフィン(塩素60%)、クロロパラフィン(塩素50%)、コハク酸ジエチル、マレイン酸ジ−n−ブチル、マレイン酸ジ−(2−エチルヘキシル)、ステアリン酸n−ブチル、アセチルトリエチルシトレート、クエン酸トリエチル、クエン酸トリ−n−ブチル、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、オレイン酸メチル、フマル酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アゼライン酸ジメチル、エポキシ化アマニ油、グリセロールモノオレエート、メチルアセチルリシノレエート、n−ブチルアセチルリシノレエート、プロピレングリコールリシノレエート、ポリエチレングリコール200ジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジイソブチル、ブチルベンジルフタレート、又はグリセロールトリアセテートからなる群から選ばれる。
【0093】
第二の実施態様において、好ましい可塑剤は、N−エチル−o,p−トルエンスルホンアミド、2−エチルヘキシル=ジフェニル=ホスフェート、イソデシルジフェニルホスフェート、燐酸トリブチル、t−ブチルフェニル=ジフェニル=ホスフェート、燐酸トリクレジル、クロロパラフィン(塩素60%)、クロロパラフィン(塩素50%)、コハク酸ジエチル、マレイン酸ジ−n−ブチル、マレイン酸ジ−(2−エチルヘキシル)、ステアリン酸n−ブチル、アセチルトリエチルシトレート、クエン酸トリエチル、クエン酸トリ−n−ブチル、アゼライン酸ジメチル、ポリエチレングリコール200ジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジイソブチル、ブチルベンジルフタレート、又はグリセロールトリアセテートからなる群から選ばれる。
【0094】
第三の実施態様において、好ましい可塑剤は、N−エチル−o,p−トルエンスルホンアミド、2−エチルヘキシル=ジフェニル=ホスフェート、イソデシルジフェニルホスフェート、t−ブチルフェニル=ジフェニル=ホスフェート、燐酸トリクレジル、クロロパラフィン(塩素60%)、クロロパラフィン(塩素50%)、コハク酸ジエチル、マレイン酸ジ−n−ブチル、ステアリン酸n−ブチル、ポリエチレングリコール200ジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジイソブチル、又はブチルベンジルフタレートからなる群から選ばれる。
【0095】
第四の実施態様において、好ましい可塑剤は、N−エチル−o,p−トルエンスルホンアミド、2−エチルヘキシル=ジフェニル=ホスフェート、イソデシルジフェニルホスフェート、t−ブチルフェニル=ジフェニル=ホスフェート、燐酸トリクレジル、クロロパラフィン(塩素60%)、ポリエチレングリコール200ジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル又はブチルベンジルフタレートからなる群から選ばれる。
【0096】
第五の実施態様において、好ましい可塑剤は、N−エチル−o,p−トルエンスルホンアミド、t−ブチルフェニル=ジフェニル=ホスフェート、燐酸トリクレジル、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、又はブチルベンジルフタレートからなる群から選ばれる。
【0097】
第六の実施態様において、好ましい可塑剤は、N−エチル−o,p−トルエンスルホンアミド、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、又はフタル酸ジメチルからなる群から選ばれる。
【0098】
第七の実施態様において、ジエチレングリコールジベンゾエートが好ましい可塑剤である。
【0099】
本明細書中において本発明のAAPE、ポリマー(A)及び(B)、ポリマーブレンド、フィルム及びシート、難燃剤並びに添加剤に関して使用する用語「生分解性」は、本発明のポリエステル組成物、フィルム及びシートが、例えば、ASTM Standard Method D6340−98,”Standard Test Methods for Determining Aerobic Biodegradation of Radiolabeled Plastic Materials in an Aqueous or Compost Environment”によって定義される適当で実証可能な時間長で環境の影響下において分解されることを意味する。本発明のAAPE、ポリマー(A)及び(B)、フィルム及びシート、難燃剤、並びに添加剤はまた、「生崩壊性」であることができる。「生崩壊性」は、これらの材料が、DIN Method 54900によって測定される場合に、堆肥化環境において容易に崩壊されることを意味する。AAPE、組成物、フィルム及びシートは最初に、熱、水、空気、微生物及び他の要因の作用によって環境中で分子量が低下される。この分子量の低下は、物理的性質(フィルム強度)を低下させ、多くの場合更にフィルムを破壊させる。AAPEの分子量が充分に低くなったら、次にモノマー及びオリゴマーが微生物によって同化される。好気的環境においては、これらのモノマー又はオリゴマーは最終的にCO2、H2O及び新しい細胞バイオマスまで酸化される。嫌気的環境においては、モノマー又はオリゴマーは最終的にCO2、H2、アセテート、メタン及び細胞バイオマスに酸化される。生分解が上手くいくには、生分解性材料と活性微生物個体群又は活性微生物個体群によって生成される酵素との間で直接的な物理的接触が確立される必要がある。本発明のフィルム、コポリエステル及びコポリエステル組成物の分解に有用な活性微生物個体群は一般に、任意の都市下水若しくは工業排水処理施設又は堆肥化施設から入手できる。更に、生分解が上手くいくには、適当なpH、温度、酸素濃度、適切な栄養素及び水分レベルのようないくつかの最小物理化学的要件を満たすことが要求される。
【0100】
堆肥化は、固体有機廃棄物の微生物による分解及び土壌への転化と定義することができる。堆肥パイルの重要な特性の1つは、それらが自己発熱性である、即ち、熱が有機質の代謝性分解の天然副産物であることである。パイルの大きさ又はその断熱能力に応じて、熱が閉じこめられ、内部温度を上昇させることができる。堆肥パイル内の効率的分解は、微生物個体群発生の自然の進行及び継続に依存する。最初は、堆肥の微生物個体群は、中等温度好性種(最適成長温度20〜45℃)が多数を占めている。
【0101】
このプロセスは、常在中等温度好性微生物叢の増殖及び有機質の代謝から始まる。これにより、多量の代謝熱が発生し、それがパイル内部温度を約55〜65℃に上昇させる。より高い温度は選択圧として働き、一方では好熱性種(最適成長範囲45〜60℃)の成長に有利であるが、他方では中温菌を阻害する。
【0102】
温度分布は多くの場合、本質的に循環的であって、中等温度好性個体群と好熱性個体群とを繰り返すが、都市の堆肥施設は、最適分解速度を得るために、それらの操作温度を55〜60℃に制御しようと努めている。都市堆肥ユニットはまた、典型的には好気的プロセスであり、生分解速度の促進を可能にする微生物の代謝的要求に充分な酸素を供給する。
【0103】
本発明の生分解性ポリマーブレンド中には、所望の特性を与えるために多数の任意成分を含ませることができる。これらの例としては、可塑剤、難燃剤、充填剤、天然ポリマー及び非生分解性ポリマーが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0104】
ヤング率の増加、コストの削減及び加工中におけるポリマーブレンドの「粘着」又は自己接着の傾向の減少を含む(これらに限定するものではない)多くの理由から、場合によっては、充填剤を添加することができる。本発明の範囲内の充填剤は一般に3つの類又はカテゴリーに入るであろう:(1)無機粒状充填剤、(2)繊維及び(3)有機充填剤。
【0105】
用語「粒子」又は「粒状充填剤」は、任意の種々の異なる形状及びアスペクト比を有する充填剤粒子を含むものと広く解釈すべきである。一般に、「粒子」は、約10:1未満のアスペクト比(即ち、縦対厚さの比)を有する固体である。約10:1より大きいアスペクト比を有する固体は、「繊維」(以下に定義し、説明する)として理解した方がよい。
【0106】
ほとんど全ての公知充填剤は、不活性又は反応性のいずれであっても、生分解性ポリマーブレンドに混和できる。一般に、無機充填剤の添加は、得られるポリマーブレンドのコストを大きく削減する傾向がある。比較的少量の無機充填剤を用いれば、最終組成物の強度に対する影響は最小限に抑えられるが、比較的多量の無機充填剤はこの影響を最大にする傾向がある。無機充填剤の添加が臨界物理パラメーター、例えば、引張強さ又は可撓性を損なう傾向がある場合には、充填剤は、目的用途に必要とされる充分な機械的性質を保持しながら、得られる組成物のコストを削減するために、限られた量で添加すべきである。しかし、無機充填剤の添加が所定の用途に求められる1つ又はそれ以上の物理的性質、例えば、剛性、圧縮強さを改善する場合には、求められるこの性質を提供しながらコストが大幅に削減されるように、充填剤の添加量を最大にするのが望ましいこともある。
【0107】
生分解性ポリマーブレンド中に含ませることができる有用な無機充填剤の例としては、砂、砂利、砕石、ボーキサイト、花崗岩、石灰石、砂岩、ガラスビーズ、エーロゲル、キセロゲル、マイカ、クレイ、アルミナ、シリカ、カオリン、微小球、中空ガラス球、多孔質セラミック球、二水石膏、不溶性塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、アルミン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、タルク、セラミック材料、ポゾラン材料、塩、ジルコニウム化合物、ゾノトライト(結晶性珪酸カルシウムゲル)、軽量膨張クレイ、パーライト、バーミキュライト、水和又は非水和水硬性セメント粒子、軽石、ゼオライト、剥離岩石、鉱石、鉱物質、及び他の土質材料のような異種の材料が挙げられる。金属及び合金(例えばステンレス鋼、鉄及び銅)、球又は中空球状材料(例えばガラス、ポリマー及び金属)、フィリング、ペレット、フレーク及び粉末(例えばミクロシリカ)のような材料を含む種々の他の無機充填剤もポリマーブレンドに添加できる。
【0108】
無機充填剤の粒度又は粒度範囲は、ポリマーブレンドから製造されるフィルム、シート又は他の製品の肉厚によって決まるであろう。一般に、肉厚が厚いほど、許容され得る粒度は大きいであろう。ほとんどの場合、コストを削減し且つ無機充填剤の比表面積を減少させるために、所定の用途に関して許容され得る粒度範囲内において粒度を最大化するのが好ましいであろう。相当量の可撓性、引張強さ及び曲げ耐久性を有するように作られるフィルム(例えば、プラスチックバッグ)の場合には、無機充填剤の粒度は好ましくは、フィルムの肉厚の約10%未満であろう。例えば、厚さ40ミクロンのインフレートフィルム(blown film)の場合には、無機充填剤粒子は約4ミクロン又はそれ以下の粒度を有するのが好ましいであろう。
【0109】
ポリマーブレンドに添加される粒状充填剤の量は、他の添加成分の量及び特性、並びに充填剤粒子自体の比表面積及び/又は充填密度を含む種々の要因によって決まる。従って、本発明のポリマーブレンド内の粒状充填剤の濃度は、ポリマーブレンドの約5容量%〜約90容量%までの広い範囲であることができる。使用できる種々の無機充填剤の密度にはばらつきがあるため、場合によっては、無機充填剤の濃度を容量%ではなく重量%によって表す方が正しいかもしれない。このような事情に鑑みて、無機充填剤成分はポリマーブレンドの5重量%〜95重量%の広範囲で含ませることができる。
【0110】
製造される製品に必要な性能基準のために熱可塑性相の性質が優位を占めるのが望ましい場合には、無機充填剤は、ポリマーブレンドの約5〜約50容量%の範囲の量で含ませるのが好ましい。他方、無機材料高充填系を生成するのが望ましい場合には、無機充填剤は約50〜約90容量%の範囲の量で含ませるのが好ましい。
【0111】
これらの競合する目的を考慮に入れると、無機充填剤の実際の好ましい量は広範囲に変化する可能性がある。しかし、一般的には、得られるポリマーブレンドのコストをかなり削減するためには、無機充填剤成分は、好ましくはポリマーブレンドの約15重量%超、より好ましくは約25重量%超、更に好ましくは約35重量%超、最も好ましくは約50重量%超の量で含ませるものとする。しかし、無機充填剤は、ポリマーブレンドの3重量%超、好ましくは約5重量%超、より好ましくは約10重量%超の量のような任意の量でも含ませることができる。
【0112】
ポリマーブレンドの物理的性質を改善するために、広範囲の繊維を場合によっては使用できる。前記充填剤と同様に、繊維も典型的には、熱可塑性相とは独立した別個の固体相を構成するであろう。しかし、繊維の形状のため、即ち、少なくとも約10:1超のアスペクト比を有することによって、それらは粒状充填剤よりも強度及び靭性をより良く与えることができる。本明細書及び添付した「特許請求の範囲」において使用する用語「繊維」及び「繊維材料」は、無機繊維及び有機繊維の両方を含む。繊維は、得られるシート及び製品の可撓性、延性、曲げ性、凝集力、伸び能力、撓み能力、靭性、永久折り目及び破壊エネルギー並びに曲げ強度及び引張強さを増大するために成形可能な混合物に添加できる。
【0113】
ポリマーブレンドに混和できる繊維は、天然有機繊維、例えば、木材、植物の葉及び植物の茎から採取されたセルロース繊維を含む。更に、ガラス、グラファイト、シリカ、セラミック、ロックウール又は金属材料から作られた無機繊維も使用できる。好ましい繊維としては、通常の条件下で容易に分解するので、綿、木質繊維{広葉樹材又は針葉樹材繊維の両方(その例としては、南方の広葉樹及び南方のマツが挙げられる)}、亜麻、マニラ麻、サイザル麻、カラムシ、大麻及びバガスが挙げられる。更に再生紙繊維も多くの場合使用でき、それらは極めて安価で豊富である。繊維は1種又はそれ以上のフィラメント、布、網又はマットを含むことができ、それらは本発明のポリマーブレンドと共押出もできるし、又は他の方法でブレンドすることもできるし、或いは本発明のポリマーブレンド中に混ぜることもできる。
【0114】
本発明の製品の製造に使用する繊維は、高い長さ対幅比(又は、「アスペクト比」)を有するのが好ましい。これは、長くて細い繊維は、太い繊維よりもポリマーブレンドに多くの強度を与えることができるがマトリックスに加える嵩及び質量がずっと少ないためである。繊維は、少なくとも約10:1、好ましくは約25:1超、より好ましくは約100:1超、最も好ましくは約250:1超のアスペクト比を有するものとする。
【0115】
ポリマーブレンドに添加する繊維の量は、最終成形品の所望の性質によって異なり、引張強さ、靭性、可撓性及びコストが、配合物の設計において添加すべき繊維の量を決定する主な基準となるであろう。従って、本発明のポリマーブレンド中の繊維の濃度は、ポリマーブレンドの0〜約90重量%の広い範囲であることができる。繊維は、好ましくはポリマーブレンドの約3〜約80重量%、より好ましくは約5〜約60重量%、最も好ましくは約10〜約30重量%の範囲の量で含ませるものとする。
【0116】
本発明のポリマーブレンドはまた、広範な有機充填剤を含むことができる。ポリマーブレンド及び添加される有機充填剤の融点によっては、有機充填剤は離散粒子として残って、熱可塑性相とは別の固体相を構成することもできるし、或いは部分的に又は完全に溶融して、熱可塑性相と部分的に又は完全に結合されることもできる。
【0117】
有機充填剤は広範な天然有機充填剤、例えば、シーゲル(seagel)、コルク、種子、ゼラチン、木粉、おがくず、微粉砕ポリマー材料、寒天を基材とする材料などを含んでなることができる。有機充填剤はまた、ほとんど数限りない合成ポリマーのうち1種又はそれ以上を含むことができる。有機充填剤の様々な性質のため、一般には、任意の有機充填剤成分の好ましい濃度範囲はないであろう。
【0118】
澱粉及びセルロースの誘導体、タンパク質及びその誘導体、並びに他の多糖類、例えば多糖類ガム及びその誘導体を含む天然のポリマーを、本発明のポリマーブレンド中に使用でき、それらのうちいくつかは、本明細書において生分解性添加剤として記載されている。
【0119】
澱粉誘導体の例としては、変性澱粉、陽イオン性及び陰イオン性澱粉並びに澱粉エステル、例えば酢酸澱粉、澱粉ヒドロキシエチルエーテル、アルキル澱粉、デキストリン、アミン澱粉、燐酸澱粉、並びにジアルデヒド澱粉が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0120】
セルロース誘導体の例としては、セルロースエステル(例えば蟻酸セルロース、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、吉草酸セルロース、混合エステル及びそれらの混合物)並びにセルロースエーテル(例えばメチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルプロピルセルロース及びそれらの混合物)が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0121】
本発明のポリマーブレンド中に混和できる他の多糖類基材ポリマーとしては、アルギン酸、アルギネート、フィココロイド、寒天、アラビアガム、グアーガム、アカシアガム、カラギーナンガム、フリルセラランガム(flircellaran gum)、ガティガム、サイリウムガム、クインスガム、タマリンドガム、ローカストビーンガム、カラヤガム、キサンタンガム及びトラガカントガム並びにそれらの混合物又は誘導体が挙げられる。
【0122】
適当なタンパク質基材ポリマーとしては、例えば、Zein.RTM.(トウモロコシ由来のプロラミン)、コラーゲン(動物の結合組織及び骨から採取)及びそれらの誘導体、例えば、ゼラチン及び膠、カゼイン(牛乳中の主要タンパク質)、ヒマワリタンパク質、卵タンパク質、大豆タンパク質、植物性ゼラチン、グルテン及びそれらの混合物又は誘導体が挙げられる。
【0123】
ポリマーブレンドの重要な特徴は、それらが一般に生分解性であると考えられることであるが、生分解性でない1種又はそれ以上のポリマーを含ませることが本発明の範囲内であることも間違いない。非生分解性ポリマーが一般に、主要な連続相ではなく分散相を構成する場合には、非生分解性ポリマーを含むポリマーブレンドはそれでもなお、少なくともある程度は生分解性であろう。分解された場合でも、このポリマーブレンドは、非分解性ポリマーの完全なシート及びフィルムよりもそれでもなお優れた非生分解性残渣を後に残すことができる。
【0124】
シート及びフィルムの形成に適当な一般的な非生分解性ポリマーの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、1,4−シクロヘキサンジメタノール(PETG)で改質されたPET、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリスチレン、ポリアミド、ナイロン、ポリカーボネート、ポリスルフィド、ポリスルホン、前記の1種又はそれ以上を含むコポリマーなどが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0125】
本発明はまた、前述のポリマーブレンドを含む、製品の射出成形又はフィルム若しくはシートの押出若しくはカレンダー加工のための方法及びそれから製造されるフィルム若しくはシート又は射出成形品を含む。AAPE、分岐用モノマー、添加剤、加工助剤及び難燃剤の種々の実施態様については、前述した通りである。
【0126】
本発明のブレンドはまた、成形プラスチック製品として、又はフィルム及び/若しくはシートとして有用である。このような製品の例としては、眼鏡フレーム、歯ブラシの柄、おもちゃ、自動車装備品、工具の柄、カメラの部品、カミソリの部品、インクペンの軸、使い捨て注射器、ボトル、不織布、食品ラップ、包装フィルムなどが挙げられる。
【0127】
実施例を含む本発明に関しては、以下の測定を使用する:アイゾッド衝撃強さは、ASTM法D256によって測定する。インヘレント粘度(IV)は、フェノール/テトラクロロエタン(PM95)の重量比60/40溶液100ml中で0.5gのサンプルに関して25℃の温度においてdL/gで測定する。ゼロ剪断粘度は、トルクレオメトリーによって測定し、ポアズで記録する。ガラス転移温度(Tg)及び融解温度(Tm)は、DSCによって20℃/分の走査速度で測定する。本明細書中で使用する略語は以下の通りである:「IV」はインヘレント粘度であり;「g」はグラムであり;「psi」は、ポンド/平方インチであり;「cc」は立方センチメーターであり;「m」はメーターであり;「rpm」は毎分回転数であり;「AAPE」は脂肪族芳香族コポリエステルであり、実施例中に使用するように、アジペート対テレフタレートのモル比が55/45であるポリ(テトラメチレンアジペート−co−テレフタレート)を意味する。PLAはポリ乳酸である。455キロパスカル(約66psi)における加熱撓み温度(HDT)を、ASTM D648に従って求めた。これはpsiで測定する。ノッチ付き及びノッチなしアイゾッド衝撃強さはASTM D256に従って23℃において測定した。曲げ弾性率(Flex Modulus)、降伏歪み及び降伏応力は、ASTM D790に従って測定した。引張特性は、ASTM D638に従って測定した。ノッチ付き及びノッチなしアイゾッド値は、フィートポンド/インチで示す(53ジュール/m=1フットポンド/インチ)。
【0128】
本発明を、特にその好ましい実施態様に関して詳述したが、本発明の精神及び範囲内において変形及び変更が可能なことは言うまでもない。更に、前述の全ての特許、特許出願(公表された又は公表されていない、外国又は国内の特許出願)、参考文献又は他の刊行物は、本発明の実施に関係する全ての開示を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【実施例】
【0129】
本発明によって提供されるポリマーブレンド及び代表的なポリエステルの製造を含むその製造を、以下の実施例によって更に例示する。ブレンドのガラス転移温度(Tg)は、TA Instruments 2950示差走査熱量計(DSC)を用いて20℃/分の走査速度で測定した。
【0130】
以下の実施例において、ブレンドは一般的方法によって製造した:PLAとAAPEとのブレンドを、Sterlingの1.25インチ一軸スクリュー押出機上で配合することによって製造した。典型的な手順は以下の通りである:材料を、60〜70℃の温度において含水率が50ppm未満となるまで一晩乾燥させる。成分をバッグブレンドし、次いでAccuRate供給装置を用いてホッパーから押出機のバレル中に所望の速度で添加した。製造されたブレンドを、Toyo 90射出成形機上で以下の条件下で成形した。これらの条件は理想的な条件と考えるべきでないが、この型のブレンドについて用いることができる条件の典型例である:ノズル温度=200℃;ゾーン1の温度=200℃;ゾーン2の温度=200℃;ゾーン3の温度=200℃;ゾーン4の温度=200℃;溶融温度=200℃;射出及び保持圧力−900psig;金型温度−25℃;スクリュー速度−150rpm。
【0131】
メルト圧力及び押出機ampは組成物によって変化したが、それぞれ100〜150psi及び4〜10であった。
【0132】
その後、押出機から出た材料のストランドを水中で急冷し、ペレタイザーで細断した。
【0133】
【表1】

【0134】
(Eastar Bioポリマーは、アジピン酸55モル%、テレフタル酸45モル%及び1,4−ブタンジオール100モル%を含むものと定義される(二酸成分の総モル%は100モル%に等しく、ジオール成分のモル%は100モル%に等しい)。BASF製のEcoflexポリマーは、Eastar Bioと同一の成分を含むが、少量の分岐剤を更に含むと考えられる。PLA 5429B及びPLA TE−4000はいずれもポリ乳酸であるが、表Iに示したような異なる粘度を有する。B1008AはEastar Bioが50重量%及び炭酸カルシウムが50重量%である。)
【0135】
【表2】

【0136】
例1〜6:AAPEはEastar Bioであり、PLAはCargill−Dow 5429Bである。
例7〜12:AAPEはEastar Bioであり、PLAはUnitika TE4000である。
例13〜17:AAPEはECOFLEXであり、PLAはCargill−Dow 5429Bである。
(Eastar Bioポリマーは、テレフタル酸45モル%、アジピン酸55モル%及び1,4−ブタンジオール100モル%を含んでなる組成物である(ジオールのモル%は合計100モル%であり、二酸のモル%は合計100モル%である。B1008AはEastar Bio 50重量%及び炭酸カルシウム50重量%である。)
【0137】
【表3】

【0138】
(例18〜38−AAPEはEastar Bioであり、PLAはCargill−Dow 5429Bである。B1008AはEastar Bio 50重量%及び炭酸カルシウム50重量%である。)
前記データに基づき、ここに記載した対象の組成物は、独特であり、PLA又はAAPE自体の性質ではなくAAPE/PLAブレンド比に依存することは明白である。
【0139】
本発明を、特にその好ましい実施態様に関して詳述したが、本発明の精神及び範囲内で変形及び変更が可能なことは言うまでもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリマーブレンドの総重量に基づき、約60〜約80重量%の、約0℃未満のガラス転移温度を有する少なくとも1種の軟質生分解性ポリマー(A);及び
(B)ポリマーブレンドの総重量に基づき、約40〜約20重量%の、約10℃より高いガラス転移温度を有する少なくとも1種の硬質生分解性ポリマー(B)
を含んでなり、且つASTM D256によるノッチ付きアイゾッド衝撃強さが少なくとも7.5ft−lbs/inであるポリマーブレンド。
【請求項2】
(A)約−10℃未満のTgを有する少なくとも1種の前記生分解性ポリマー(A);及び
(B)約20℃より高いTgを有する少なくとも1種の前記生分解性ポリマー(B)
を含んでなる請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項3】
(A)約−20℃未満のTgを有する少なくとも1種の前記生分解性ポリマー(A);及び
(B)約30℃より高いTgを有する少なくとも1種の前記生分解性ポリマー(B)
を含んでなる請求項2に記載のポリマーブレンド。
【請求項4】
(A)約−30℃未満のTgを有する少なくとも1種の前記生分解性ポリマー(A);及び
(B)約40℃より高いTgを有する少なくとも1種の前記生分解性ポリマー(B)
を含んでなる請求項3に記載のポリマーブレンド。
【請求項5】
ポリマーブレンドの総重量に基づき、約1〜約50重量%の少なくとも1種の生分解性添加剤(C)を含んでなり、且つASTM D256によるノッチ付きアイゾッド衝撃強さが少なくとも7.5ft−lbs/inである請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項6】
前記ポリマー(A)が脂肪族−芳香族ポリエステル、炭素数が少なくとも5の反復単位を含む脂肪族ポリエステル、ポリカプロラクトン及びスクシネート基材脂肪族ポリマーからなる群から選ばれる請求項1に記載のブレンド。
【請求項7】
前記ポリマー(A)が脂肪族−芳香族ポリエステル、ポリヒドロキシバレレート、ポリヒドロキシブチレート−ヒドロキシバレレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネートアジペート及びポリエチレンスクシネートからなる群から選ばれる請求項1に記載のブレンド。
【請求項8】
前記の少なくとも1種のポリマー(A)が脂肪族−芳香族ポリエステルである請求項1に記載のブレンド。
【請求項9】
前記の少なくとも1種のポリマー(A)が、
(1)1種又はそれ以上の芳香族ジカルボン酸残基約1〜65モル%;並びに炭素数約4〜14の脂肪族ジカルボン酸残基及び炭素数約5〜15の脂環式ジカルボン酸残基からなる群から選ばれた1種又はそれ以上の非芳香族ジカルボン酸残基99〜約35モル%を含んでなる二酸残基(二酸残基の総モル%は100モル%に等しい);並びに
(2)炭素数約2〜8の1種又はそれ以上の脂肪族ジオール、炭素数約2〜8の1種又はそれ以上のポリアルキレンエーテル及び炭素数約4〜12の1種又はそれ以上の脂環式ジオールからなる群から選ばれたジオール残基(ジオール残基の総モル%は100モル%に等しい)
を含む脂肪族−芳香族ポリエステルである請求項8に記載のブレンド。
【請求項10】
前記芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸、イソフタル酸又はそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項9に記載のブレンド。
【請求項11】
前記脂肪族−芳香族コポリエステルが約25〜65モル%のテレフタル酸残基を含む請求項10に記載のブレンド。
【請求項12】
前記脂肪族−芳香族コポリエステルが約35〜65モル%のテレフタル酸残基を含む請求項11に記載のブレンド。
【請求項13】
前記脂肪族−芳香族コポリエステルが約40〜60モル%のテレフタル酸残基を含む請求項12に記載のブレンド。
【請求項14】
前記の1種又はそれ以上の非芳香族ジカルボン酸残基がアジピン酸、グルタル酸又はそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項9に記載のブレンド。
【請求項15】
前記の1種又はそれ以上の脂肪族−芳香族コポリエステルがアジピン酸又はグルタル酸からなる群から選ばれた非芳香族ジカルボン酸を約75〜35モル%含む請求項14に記載のブレンド。
【請求項16】
前記脂肪族−芳香族コポリエステルがアジピン酸又はグルタル酸からなる群から選ばれた前記の1種又はそれ以上の非芳香族ジカルボン酸を約65〜35モル%含む請求項15に記載のブレンド。
【請求項17】
前記脂肪族−芳香族コポリエステルがアジピン酸又はグルタル酸からなる群から選ばれた前記の1種又はそれ以上の非芳香族ジカルボン酸を約40〜60モル%含む請求項16に記載のブレンド。
【請求項18】
ポリエステル(A)の1種又はそれ以上のジオール残基がエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、チオジエタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、トリエチレングリコール又はテトラエチレングリコールからなる群から選ばれる請求項1に記載のブレンド。
【請求項19】
前記脂肪族−芳香族コポリエステルのジオール残基が脂肪族ジオール残基から本質的になる請求項1に記載のブレンド。
【請求項20】
前記ポリエステル(A)が1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール又は1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる1種又はそれ以上のジオールを含む請求項19に記載のブレンド。
【請求項21】
前記脂肪族−芳香族コポリエステルが1,4−ブタンジオール、エチレングリコール又は1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれた1種又はそれ以上のジオールを含む請求項20に記載のブレンド。
【請求項22】
前記脂肪族−芳香族コポリエステルのジオール残基が1,4−ブタンジオールを含んでなる請求項21に記載のブレンド。
【請求項23】
前記ジオール残基が約80〜100モル%の1,4−ブタンジオールを含み、ジオール残基の総モル%が100モル%に等しい請求項22に記載のブレンド。
【請求項24】
前記脂肪族−芳香族コポリエステルの二酸及びジオール残基が、
(1)約25〜65モル%のテレフタル酸残基及び75〜約35モル%の非芳香族ジカルボン酸残基を含む芳香族ジカルボン酸残基;並びに
(2)脂肪族ジオールからなるジオール残基
から本質的になる請求項9に記載のブレンド。
【請求項25】
前記脂肪族−芳香族コポリエステルの二酸及びジオール残基が、
(1)約25〜65モル%のテレフタル酸残基及び75〜約35モル%のアジピン酸残基、グルタル酸残基又はアジピン酸残基とグルタル酸残基との組合せを含む芳香族ジカルボン酸残基;並びに
(2)1,4−ブタンジオールからなるジオール残基
から本質的になる請求項24に記載のブレンド。
【請求項26】
前記脂肪族−芳香族コポリエステルの二酸及びジオール残基が、
(1)約35〜65モル%のテレフタル酸残基及び65〜約35モル%のアジピン酸残基、グルタル酸残基又はアジピン酸残基とグルタル酸残基との組合せを含む芳香族ジカルボン酸残基;並びに
(2)1,4−ブタンジオールからなるジオール残基
から本質的になる請求項25に記載のブレンド。
【請求項27】
前記脂肪族−芳香族コポリエステルの二酸及びジオール残基が、
(1)約40〜60モル%のテレフタル酸残基及び60〜約40モル%のアジピン酸残基、グルタル酸残基又はアジピン酸残基とグルタル酸残基との組合せを含む芳香族ジカルボン酸残基;並びに
(2)1,4−ブタンジオールからなるジオール残基
から本質的になる請求項26に記載のブレンド。
【請求項28】
前記ポリマー(B)がポリエステルアミド、改質ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸を基材とするバイオポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート及びポリヒドロキシブチレート−ヒドロキシバレレートコポリマーからなる群から選ばれる請求項1に記載のブレンド。
【請求項29】
前記の少なくとも1種のポリマー(B)がポリ乳酸を基材とするバイオポリマーである請求項28に記載のブレンド。
【請求項30】
(A)(1)芳香族ジカルボン酸残基約1〜65モル%と炭素数約4〜14の脂肪族ジカルボン酸残基及び炭素数約5〜15の脂環式ジカルボン酸残基からなる群から選ばれた非芳香族ジカルボン酸残基99〜約35モル% を含む二酸残基(二酸残基の総モル%は100モル%に等しい);並びに
(2)炭素数約2〜8の1種又はそれ以上の脂肪族ジオール、炭素数約2〜8の1種又はそれ以上のポリアルキレンエーテル及び炭素数約4〜12の1種又はそれ以上の脂環式ジオールからなる群から選ばれたジオール残基(ジオール残基の総モル%は100モル%に等しい)
を含む、ガラス転移温度が約0℃未満の少なくとも1種のポリマー(A)を、ポリマーブレンドの総重量に基づき、約60〜約80重量%;
(B)ポリ乳酸を基材とするバイオポリマーである、ガラス転移温度が約10℃より高い少なくとも1種のポリマー(B)を、ポリマーブレンドの総重量に基づき、約30〜約20重量%
含んでなり、ASTM D256によるノッチ付きアイゾッド衝撃強さが少なくとも7.5ft−lbs/inであるポリマーブレンド。
【請求項31】
ポリマーブレンドの総重量に基づき約1〜約50重量%の少なくとも1種の生分解性添加剤(D)を含む請求項30に記載のブレンド。
【請求項32】
前記脂肪族−芳香族コポリエステルが約25〜65モル%のテレフタル酸残基を含む請求項30に記載のブレンド。
【請求項33】
前記脂肪族−芳香族コポリエステルが約35〜65モル%のテレフタル酸残基を含む請求項32に記載のブレンド。
【請求項34】
前記脂肪族−芳香族コポリエステルが約40〜60モル%のテレフタル酸残基を含む請求項33に記載のブレンド。
【請求項35】
前記非芳香族ジカルボン酸残基がアジピン酸、グルタル酸又はそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項30に記載のブレンド。
【請求項36】
前記脂肪族−芳香族コポリエステルがアジピン酸、グルタル酸又はそれらの混合物からなる群から選ばれる非芳香族ジカルボン酸を約75〜35モル%含む請求項35に記載のブレンド。
【請求項37】
前記脂肪族−芳香族コポリエステルがアジピン酸、グルタル酸又はそれらの混合物からなる群から選ばれる非芳香族ジカルボン酸を約65〜35モル%含む請求項36に記載のブレンド。
【請求項38】
前記脂肪族−芳香族コポリエステルがアジピン酸、グルタル酸又は2種若しくはそれ以上のそれらの二酸残基の組合せからなる群から選ばれる非芳香族ジカルボン酸を約40〜60モル%含む請求項30に記載のブレンド。
【請求項39】
前記脂肪族−芳香族ポリエステルの1種又はそれ以上のジオール残基がエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、チオジエタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、トリエチレングリコール又はテトラエチレングリコールからなる群から選ばれる請求項30に記載のブレンド。
【請求項40】
前記脂肪族−芳香族コポリエステルの1種又はそれ以上のジオール残基が脂肪族ジオール残基から本質的になる請求項30に記載のブレンド。
【請求項41】
前記脂肪族−芳香族コポリエステルの1種又はそれ以上のジオール残基が1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール又は1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれるジオールを含む請求項40に記載のブレンド。
【請求項42】
前記脂肪族−芳香族コポリエステルの1種又はそれ以上のジオール残基が1,4−ブタンジオール、エチレングリコール又は1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれるジオールを含む請求項41に記載のブレンド。
【請求項43】
前記脂肪族−芳香族コポリエステルの1種又はそれ以上のジオール残基が1,4−ブタンジオールを含む請求項42に記載のブレンド。
【請求項44】
前記ジオール残基が約80〜100モル%の1,4−ブタンジオールを含んでなり、ジオール残基の総モル%が100モル%に等しい請求項43に記載のブレンド。
【請求項45】
前記ジオール残基が約95〜100モル%の1,4−ブタンジオールを含んでなり、ジオール残基の総モル%が100モル%に等しい請求項44に記載のブレンド。
【請求項46】
前記脂肪族−芳香族コポリエステルの二酸及びジオール残基が、
(1)約25〜65モル%のテレフタル酸残基及び75〜約35モル%の非芳香族ジカルボン酸残基を含む芳香族ジカルボン酸残基;並びに
(2)脂肪族ジオールからなるジオール残基
から本質的になる請求項30に記載のブレンド。
【請求項47】
前記脂肪族−芳香族コポリエステルの二酸及びジオール残基が、
(1)約25〜65モル%のテレフタル酸残基及び75〜約35モル%のアジピン酸残基、グルタル酸残基又はアジピン酸残基とグルタル酸残基との組合せを含む芳香族ジカルボン酸残基;並びに
(2)1,4−ブタンジオールからなるジオール残基
から本質的になる請求項46に記載のブレンド。
【請求項48】
前記脂肪族−芳香族コポリエステルの二酸及びジオール残基が、
(1)約35〜65モル%のテレフタル酸残基及び65〜約35モル%のアジピン酸残基、グルタル酸残基又はアジピン酸残基とグルタル酸残基との組合せを含む芳香族ジカルボン酸残基;並びに
(2)1,4−ブタンジオールからなるジオール残基
から本質的になる請求項47に記載のブレンド。
【請求項49】
前記脂肪族−芳香族コポリエステルの二酸及びジオール残基が、
(1)約40〜60モル%のテレフタル酸残基及び60〜約40モル%のアジピン酸残基、グルタル酸残基又はアジピン酸残基とグルタル酸残基との組合せを含む芳香族ジカルボン酸残基;並びに
(2)1,4−ブタンジオールからなるジオール残基
から本質的になる請求項48に記載のブレンド。
【請求項50】
前記ポリマー(B)がポリエステルアミド、改質ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸を基材とするバイオポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート及びポリヒドロキシブチレート−ヒドロキシバレレートコポリマーからなる群から選ばれる請求項1又は30に記載のブレンド。
【請求項51】
(A)(1)テレフタル酸残基約35〜65モル%とアジピン酸残基、グルタル酸残基又はアジピン酸とグルタル酸残基との組合せ65〜約35モル%を含む芳香族ジカルボン酸残基;及び
(2)1,4−ブタンジオールからなるジオール残基
から本質的になる少なくとも1種のポリマー(A)をポリマーブレンドの総重量に基づき約70〜約80重量%;並びに
(B)ポリ乳酸を基材とするバイオポリマーである少なくとも1種のポリマー(B)をポリマーブレンドの総重量に基づき約30〜約20重量%
含んでなり、ASTM D256によるノッチ付きアイゾッド衝撃強さが少なくとも7.5ft−lbs/inであるポリマーブレンド。
【請求項52】
前記脂肪族−芳香族コポリエステルが、アジピン酸又はグルタル酸からなる群から選ばれた1種又はそれ以上の非芳香族ジカルボン酸約40〜60モル%を含む請求項51に記載のブレンド。
【請求項53】
前記ポリマー(B)がポリエステルアミド、改質ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸を基材とするバイオポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート及びポリヒドロキシブチレート−ヒドロキシバレレートコポリマーからなる群から選ばれる請求項1に記載のブレンド。
【請求項54】
前記脂肪族−芳香族コポリエステルが分岐している請求項1、30又は51に記載のブレンド。
【請求項55】
可塑剤を含んでなる請求項1、30又は51に記載のブレンド。
【請求項56】
前記可塑剤がN−エチル−o,p−トルエンスルホンアミド、2−エチルヘキシル=ジフェニル=ホスフェート、イソデシルジフェニルホスフェート、燐酸トリブチル、t−ブチルフェニル=ジフェニル=ホスフェート、燐酸トリクレジル、クロロパラフィン(塩素60%)、クロロパラフィン(塩素50%)、コハク酸ジエチル、マレイン酸ジ−n−ブチル、ジ−(2−エチルヘキシル)マレエート、ステアリン酸n−ブチル、アセチルトリエチルシトレート、クエン酸トリエチル、クエン酸トリ−n−ブチル、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、オレイン酸メチル、フマル酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アゼライン酸ジメチル、エポキシ化アマニ油、グリセロールモノオレエート、メチルアセチルリシノレエート、n−ブチルアセチルリシノレエート、プロピレングリコールリシノレエート、ポリエチレングリコール200ジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、ジ−n−ブチルフタレート、フタル酸ジイソブチル、ブチルベンジルフタレート、又はグリセロールトリアセテートからなる群から選ばれる請求項55に記載のブレンド。
【請求項57】
請求項1、30又は51に記載のポリマーブレンドを含んでなるフィルム又はシート。
【請求項58】
前記フィルム又はシートが押出又はカレンダー加工によって製造される請求項57に記載のフィルム又はシート。
【請求項59】
請求項1、30又は51に記載のポリマーブレンドを含んでなる射出成形品。
【請求項60】
前記ブレンドのASTM D256によるノッチ付きアイゾッド衝撃強さが少なくとも7.5ft−lbs/inである請求項1に記載のポリマーブレンドを含んでなる製造品。

【公表番号】特表2007−515543(P2007−515543A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547158(P2006−547158)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/042433
【国際公開番号】WO2005/063881
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】