説明

改善されたバス・バー接続部を備えたSPD膜およびライトバルブ積層体

本出願の実施形態に従う懸濁粒子デバイスの導電層と電源バスとの間の接続部が、良好な接着性および導電性の両方を与えるための金属粒子と結合された接着剤を含む。接着剤が、導電層の表面に設けられる。導電性銅箔または導電性布が、接着剤と接着され、電源バスの少なくとも一部を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体粒子懸濁液を含むライトバルブ内で使用するための膜および膜の積層体を対象とする。通常、本願明細書において、これらのライトバルブが、懸濁粒子デバイスまたはSPDライトバルブ、または単純に、SPDと称される。さらに具体的には、本開示は、SPD内に組み込まれた電極へのバス・バー材料の強化された接着性を提供するようなSPD膜の改善されたバス・バーに関する。
【背景技術】
【0002】
70年以上にわたり、光の調節に使用するためのSPDライトバルブが知られている。その期間の間、このようなライトバルブが、例えば、それを通過する、または、場合によっては、それから反射される光の量を制御するような、英数字のディスプレイ、およびテレビのディスプレイ;ランプおよび自動車のヘッドランプ用のフィルター、カメラ、ディスプレイおよび光ファイバー;および、窓、サンルーフ、玩具、サンバイザー、眼鏡、ゴーグル、鏡、ライトパイプ等を含む、数多くの用途に使用するために提案されている。窓の例が、制限されることなく、商業ビル、グリーンハウスおよび住居用の建築用ウィンドウ、自動車車両、ボート、電車、飛行機および宇宙船用の窓、のぞき穴を備えたドア用の窓、ならびに、そのコンパートメントを含む、オーブンおよび冷蔵庫等の電化製品用の窓を含む。また、懸濁粒子デバイスまたはSPD等の、上記のような、本明細書に記載されたタイプのライトバルブが知られている。
【0003】
本明細書において使用されるものとして、“ライトバルブ”との用語が、小さな距離で相隔たる2つの壁から形成されたセルを言い表し、少なくとも一つの壁が透明である。壁が、その上に、通常は透明な導電性被覆の形状である電極を備える。任意に、壁上の電極が、その上に、薄い透明な誘電性の保護膜を備えてよい。セルが、光−調節素子(時には、本明細書において活性化材料と称される)を備え、制限されることなく、該光−調節素子が、粒子の液体懸濁液であるか、または、全体の素子の一部もしくは全てが、粒子の液体懸濁液の液滴が分散されたプラスチック膜を備えてよい。
【0004】
典型的には、液体懸濁液(時には、本明細書において液体ライトバルブ懸濁液またはライトバルブ懸濁液と称される)が、液体懸濁液媒体中に懸濁された小さな粒子を含む。電場が印加されない場合、液体懸濁液中の粒子が、ブラウン運動により、ランダムに位置する。従って、セル構造、粒子の特性および濃度、並びに光のエネルギー量に応じて、セル内を入る光のビームが、反射され、透過され、または吸収される。従って、オフ状態において、ライトバルブが、相対的に暗い。しかしながら、ライトバルブ内の液体ライトバルブ懸濁液を介して電場が印加された場合、粒子が整列され、従って、多くの懸濁液において、大部分の光がセルを通過することが可能になる。従って、オン状態において、ライトバルブが、相対的に透明である。制限するものではないが、住宅用電流、バッテリーおよび/または光起電/太陽電池を含む、任意の電源から、電場が供給されることが可能である。
【0005】
多くの用途に対して、活性化材料、すなわち、光調節素子の全体または一部が、液体懸濁液であるよりもプラスチック膜であることが好ましい。例えば、可変光透過窓として使用されるライトバルブにおいて、静水圧効果、例えば、高カラムのライトバルブ懸濁液と関連する膨れが、膜の使用を通して回避されることが可能であり、起こりうる漏れのリスクも回避されることが可能であるため、液体懸濁液の液滴が分散されたプラスチック膜が、液体懸濁液のみよりも好ましい。プラスチック膜を使用することの他の利点は、プラスチック膜内において、粒子が、通常、極めてわずかな液滴中にのみ存在し、それ故、膜が電圧により繰り返し活性化された場合に著しく凝集しないことである。
【0006】
本明細書において使用されるライトバルブ膜(時には、本明細書において、SPD膜とも称される)が、SPDライトバルブにおいて使用されるまたはその使用を対象とした粒子の懸濁液を含む膜もしくはシート、またはそれらの一つ以上を意味する。通常、このようなライトバルブ膜が、分散粒子を含む液体の不連続相を含み、このような不連続相が、1つ以上の剛性または柔軟性の固体膜またはシート内に囲まれた連続相を通して拡散される。ライトバルブ膜の一部でありうる硬化エマルションが、時には、膜または膜層とも称される。ライトバルブ膜が、制限されることなく、膜、被覆もしくはシート、またはこれらの組み合わせ等の1つ以上の追加層を備えてもよく、例えば、(1)引っかき抵抗性、(2)紫外線放射からの保護性、(3)赤外線エネルギーの反射性、(4)活性化材料に印加された電場または磁場を透過する導電性、(5)誘電性保護膜、(6)着色性、および(7)音響制御性の1つ以上を有するライトバルブ膜を提供しうる。
【0007】
膜の温度が低温になるにつれて、SPD膜の立ち上がり時間および減衰時間が、徐々に遅くなる。これは、温度が減少するにつれて、液滴中の懸濁液の粘度が増加するという事実によるものである。この影響を克服するために、SPD膜が、透明層を備えてもよく、該透明層が、それ上に、インジウムスズ酸化物(ITO)等の透明導電性被覆を備え、SPD膜を加熱するために、これを通して電流が流されることが可能である。
【0008】
SPD膜用の一般的な(制限するものではないが)構造が、5つの層、すなわち、一側から他側に向かって:(1)好都合には、5−7ミルの厚さを有するポリエチレンテレフタラート(“PET”)プラスチックの第一シート、(2)前記PETの第一シート上の、電極として作動するまたは作動することが可能であるITOの極めて薄い透明な導電性被覆、(3)通常、2−5ミルの厚さを有する硬化(すなわち、架橋)SPDエマルションの層、および、(5)第二PETプラスチック基板上の(4)電極として作動するまたは作動することが可能である第二ITO被覆を備える。上記のように、他の機能を提供する追加層が、任意に、上記の5−層SPD膜に追加されてよい。典型的には、銅箔、導電性布等が、電極に取り付けられ、適当な電源との都合の良い接続のために、これらが、SPD膜の周囲を越えて延在する。さらに、SPD膜が、例えば、透明な熱溶融性接着膜および/またはガラスもしくは厚い透明なプラスチックシートを用いて、積層されてよく、強度および剛性を提供し、さもなければ、その性能特性を損なわせうる環境ストレスから結合ユニットの様々な部分を保護する。
【0009】
特許文献1が、均一溶液からの相分離によって製造された非−架橋型のライトバルブ膜の例を記載している。エマルションの架橋(硬化)によって製造されたライトバルブ膜も知られている。
【0010】
様々な液体ライトバルブ懸濁液が当業界において周知であり、当業者に周知の技術に従い、このような懸濁液が容易に配合される。本明細書において使用される場合、上記のような液体ライトバルブ懸濁液との用語は、複数の小粒子が分散された液体懸濁媒体を意味する。液体懸濁媒体は、好ましくは、溶解された少なくとも1タイプのポリマー安定剤が存在する1つ以上の非水性、電気抵抗性の液体を含み、該ポリマー安定剤が、粒子が凝集する性質を低減させ、懸濁液中において、それらが分散された状態に保つように機能する。
【0011】
本発明に有用な液体ライトバルブ懸濁液が、粒子を懸濁させるライトバルブへの使用のために先に提案された任意のいわゆる従来技術の液体懸濁媒体を含んでよい。本明細書において、有用な従来技術において知られている液体懸濁媒体が、制限されるものではないが、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献1、特許文献5、特許文献6および特許文献7に開示された液体懸濁媒体を含み、その開示が、参照により本明細書に組み込まれる。一般的に、典型的にはその中に溶解されるポリマー安定剤または懸濁媒体の一方または両方が、懸濁粒子を重力平衡に維持するように選択される。
【0012】
採用される場合、ポリマー安定剤は、粒子の表面と結合するが、また液体懸濁媒体を含む非水性液体中に溶解する単一のタイプの固体ポリマーであることが可能である。あるいは、ポリマー安定剤系として機能する2つ以上の固体ポリマー安定剤であってもよい。例えば、実際には、溶解された場合に、粒子に単純な表面被覆を提供するニトロセルロース等の第一タイプの固体ポリマー安定剤と、溶解された場合に、第一タイプの固体ポリマー安定剤と結合しまたは関連し、また、液体懸濁媒体中に溶解する1つ以上の付加的なタイプの固体ポリマー安定剤と、で粒子が被覆されることが可能であり、粒子に分散および立体的保護を提供する。また、例えば、特許文献6に記載されているように、液体ポリマー安定剤が、特に、SPDライトバルブ膜に有利に使用されてよい。
【0013】
無機および有機粒子が、ライトバルブ懸濁液に使用されてよく、このような粒子が、電磁スペクトルの可視部において、光反射性または光吸収性のいずれかであってよい。
【0014】
従来型のSPDライトバルブが、一般的には、コロイドサイズの粒子を用いている。本明細書において使用されるものとして、コロイドとの用語は、粒子が、通常、平均1マイクロメートル以下の最大寸法を有することを意味する。好ましくは、SPDライトバルブ懸濁液に使用される、またはその使用が意図される、大部分のポリハロゲン化または非−ポリハロゲン化タイプの粒子が、光散乱を極端に低く保つように、平均0.3マイクロメートル以下、さらに好ましくは、平均して青色光の波長の半分未満、すなわち、2000オングストローム未満の最大寸法を有しうる。
【0015】
上記のように、銅箔、導電性布等が、SPD電極に取り付けられ、これらが、適当な電源への都合のよい接続のために、SPD膜の周囲を越えて延在する。従来技術のSPD膜およびSPD積層体において、DuPont社の導体組成物#4817N等の導電性銀ペーストの薄層が、ブラシで、SPD電極に設けられ、溶媒、例えば、酢酸ブチルが、蒸発されてよい。次に、いずれも一側上において導電性感圧接着性を有する、3M EMI Suppression Products #517−2191等の導電性布、または、3M Copper foil with Conductive Adhesive #1181等の銅箔が、銀被覆SPD電極に取り付けられる。
【0016】
(従来技術のSPD膜の欠点)
銅箔または導電性布を介してSPD膜に電場が印加された場合、粒子が整列し、光がセルを通過することを可能にする。従って、オン状態において、ライトバルブが、相対的に透明である。従って、銅箔または導電性布と、SPD電極との間の接触の維持が、SPD膜またはSPD積層体の操作に不可欠である。
【0017】
従来技術のSPD膜の場合、銅箔または導電性布、銀ペースト、およびSPD電極の間の相対的に弱い接着が、しばしば、接触の喪失を引き起こす。これは、SPD電極からはなれた銅箔または導電性布を引っ張る電源からのワイヤーの重量、積層のためのその準備の間のSPD膜の操作、または接触の喪失を引き起こす湿度の変化および/もしくは温度変動等の環境条件の結果でありうる。SPD膜が2つ以上の透明な熱溶融性接着膜の層を備えて2つのガラスのシートの間に挟まれたSPD積層体でさえ、積層プロセスの間に、SPD膜を積層するために使用される相対的に高い温度および圧力が、弱く接着された銅箔または布を、SPD電極から離れるように移動させる場合がある。結果として、電圧が銅箔または導電性布に印加された場合に、オン状態に切り替わらない非−機能的なSPD積層体が生じる。SPD膜、熱溶融接着膜およびガラス基板が、全て役に立たないものにされるため、これは、かなりの費用がかかる。
【0018】
従って、これらの課題を回避するSPDを提供することが有益となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第5409734号明細書
【特許文献2】米国特許第4247175号明細書
【特許文献3】米国特許第4407565号明細書
【特許文献4】米国特許第4772103号明細書
【特許文献5】米国特許第5461506号明細書
【特許文献6】米国特許第5463492号明細書
【特許文献7】米国特許第6936193号明細書
【特許文献8】米国特許第5463491号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2005/0227061号明細書
【特許文献10】米国特許出願第10/898303号明細書
【特許文献11】米国特許第6301040号明細書
【特許文献12】米国特許第6416827号明細書
【特許文献13】米国特許第6900923号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本開示の目的は、SPDのITO−PET電極と、導電性バス・バーとの間の強い結合を提供すると同時に、良好な導電性を維持する導電性接着剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本出願の実施形態に従う接着剤が、好ましくは、銀含有エポキシ、または銀含有ポリマーグルーを利用し、ITO−PET電極と、導電性バス・バーとの間の強い結合を提供すると同時に、良好な導電性を維持する。
【0022】
本出願の実施形態に従う懸濁粒子デバイスの導電層と電源バスとの間の接続部が、金属粒子と結合された接着剤を含み、これらが、電気を伝導する。接着剤が、導電層の表面に設けられる。導電性銅箔または導電性布が、接着剤に接着され、電源バスに電気的に接続される。
【0023】
本出願の実施形態に従う懸濁粒子デバイスの導電層と電源バスとの間に接続部を設ける方法が、金属粒子を接着剤中に混合するステップであって、金属粒子の量が、重量に基づくものである、ステップと、接着粒子を含む接着剤を導電層に設けるステップと、導電層に接着するために接着剤上の導電性素子をプレスするステップと、所定の時間の間、待機するステップと、導電性素子を電源バスに接続するステップと、を含む。
【0024】
本出願の実施形態に従う懸濁粒子デバイスの導電層と電源バスとの間に接続部を設ける方法が、金属粒子を接着剤中に混合するステップであって、金属粒子の量が、65重量%−90重量%である、ステップと、金属粒子を含む接着剤を導電層に設けるステップと、所定の時間の間、待機するステップと、導電層に接着するために接着剤上の導電性素子をプレスするステップと、導電性素子箔を電源バスに接続するステップと、を含む。
【0025】
本出願の実施形態に従う懸濁粒子デバイスの導電層と電源バスとの間に接続部を設ける方法が、金属粒子を接着剤中に混合するステップであって、金属粒子の量が、65重量%−90重量%である、ステップと、金属粒子を含む接着剤を導電層に設けるステップと、導電層に接着するために接着剤上の導電性素子をプレスするステップと、所定の時間の間、待機するステップと、導電性銅箔を電源バスに接続するステップと、接着剤から導電性素子を分離するステップと、接着剤に導電性素子を再度設けるステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】導電性バス・バーを備えたSPD膜の図である。
【図2】試験試料の(本明細書で検討されるような)剥離強度を測定するための要件を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示が、特に、エマルションを架橋化することにより形成された層を含む膜の使用、および、これによって製造された積層膜を対象とする。例えば、特許文献8、特許文献6および2005年10月13日に特許文献9として公開された特許文献10を参照し、その全てが、本発明の譲受人に譲受される。様々なタイプのSPDエマルション、およびそれを硬化する方法が、特許文献11、特許文献12および特許文献13に記載されており、その全てが、本発明の譲受人に譲受される。このような膜およびそのバリエーションが、(1)紫外線放射、(2)電子ビーム、または(3)熱に膜を露出させることによりもたらされる架橋を通して硬化されてよい。特許および特許出願並びに本出願で引用された他の参考文献の全てが、参照により、これによって本明細書に組み込まれる。
【0028】
材料および特性評価装置:
いくつかの異なるタイプの接着系、例えば、銀含有エポキシ、GOOPグルー(例えば、Amazing GOOP(登録商標)接着剤(“GOOP”)(“Amazing GOOP”は、Eclectic Products,Inc.Corporationの登録商標である)、Dupont社の銀ペースト(例えば、Dupont Electronic Materialsによって販売されているDupont Conductor Paste #4817N)、ラボ−製(lab−made)グルーおよびいくつかの異なる導電性材料を含む銀含有GOOPグルー、例えば、片面接着剤含有導電性銅箔(厚さ1.4ミル)、接着剤−なし導電性銅箔(厚さ1.4ミルおよび2ミル)、および、片面接着剤含有導電性布が、試験された。
【0029】
銀を含む接着剤および銀を含まない接着剤が得られ、銅箔および導電性布をSPD電極に取り付けるために使用された。導電性を与えるために、使用前に、銀(Ag)および亜鉛(Zn)等の導電性金属粒子が、接着剤に追加された。導電性接着剤を含む銅箔および導電性接着剤を含まない銅箔、並びに、導電性接着剤の層を含む導電性布が、これらの試験のために利用された。Shimadzu EZ試験装置を用いて、SPD電極と、試験箔または布試料との間の結合の剥離強度が、測定された。これらの試験が、改善された導電性バス・バーと、ITO−PET電極との間の強い結合を証明し、同時に、SPD膜またはSPD積層体の操作に対する良好な導電性を証明した。
【0030】
バス・バー、例えば、一側上のみを被覆する導電性接着剤を含む厚さ2ミルの導電性銅箔;両側上を被覆する接着剤を含まない厚さ1.4ミルおよび2ミルの導電性銅箔並びに一側上のみを被覆する接着剤を備えた導電性布に対して、異なる導電性材料が使用された。例えば、Dupont社の酢酸ブチルである有機溶媒中に、銀マイクロ−およびナノ−粒子が予め分散された銀ペースト、例えば、Electron Microscopy Sciences of Hatfield,PAによって販売されたEPO−TEK(登録商標)EE129−4エポキシ接着剤(“EPO−TEK”)である銀含有エポキシ(EPO−TEKは、Epoxy Technology Inc. of Billerica,Massachusettsの登録商標である)、および、例えば、GOOPであるありふれたグルーが、商用の入手可能な材料として使用された。
【0031】
結合されたITO−PET電極と導電性バス・バーとの剥離強度を測定するために、コロンビア、メリーランド州のShimadzu Scientific Instruments,Inc.によって製造されたShimadzu Trapezium 2 EZ−S 試験システムが、使用された。
【0032】
手順:
試料の準備:
方法#1:銀−含有EPO−TEKエポキシ系(第一にバス・バー配置、続いて硬化)。第一に、室温で、適当な容器内で、2つのエポキシ要素、パートAおよびパートBが、1:1の割合で十分に混合され、この混合物の薄層が、ITO−PET電極上に設けられた。導電性銅箔または導電性布(バス・バー)が、エポキシ混合物の薄層の上部上に配置され、導電層が、エポキシ混合物と完全に接触することを確保するように、徐々にプレスされた。結合強度を著しく低減させ、電気的な分離を引き起こしうる、導電層と銀含有エポキシ混合物との間のいずれの非−接触領域または気泡を防ぐように注意が払われた。最後に、エポキシ混合物を完全に硬化させるために、室温で少なくとも24時間の間、または、高温で短い時間の間、試料を置くことが許容された。それが適切に接続されたことを保証するために、使用前に、オーム計を用いて、試料の導電性が検査された。
【0033】
方法#2:第二EPO−TEKエポキシ系(第一に硬化、続いて、バス・バー配置)。この手法において、室温で、適当な容器内で、2つのエポキシ要素、パートAおよびパートBが、1:1の割合で十分に混合され、この混合物の薄層が、ITO−PET電極上に設けられた。エポキシ混合物を完全に硬化させるために、室温で少なくとも24時間の間、または、高温で短い時間の間、試料を置くことが許容された。導電性銅箔または導電性布(バス・バー)が、エポキシ混合物の硬化された薄層の上部上に配置され、導電層が、硬化されたエポキシ薄層と完全に接触することを確保するように、徐々にプレスされた。この手順が、Dupont社の導体組成物#4817Nを使用する従来技術のSPD膜または積層体に対して使用されたものと同様である。結合強度を著しく低減させ、電気的な分離を引き起こしうる、導電層とエポキシ混合物との間のいずれの非−接触領域または気泡を防ぐように注意が払われた。
【0034】
方法#3:EPO−TEKエポキシ/グルー系(第一に硬化、続いてバス・バー配置)。室温で、適当な容器内で、2つのエポキシ要素、パートA、パートB(1:1)、および、グルーが、所定の割合で十分に混合され(この場合、(パートA+パートB)/グルーが、1:1の割合である)、この混合物の薄層が、ITO−PET電極上に設けられた。第二に、エポキシ混合物を完全に硬化させるために、室温で少なくとも24時間の間、または、高温で短い時間の間、試料を置くことが許容された。導電性銅箔または導電性布(バス・バー)が、エポキシ/グルー混合物の硬化された薄層の上部上に配置され、導電層が、硬化されたエポキシ薄層と完全に接触することを確保するように、徐々にプレスされた。結合強度を著しく低減させ、電気的な分離を引き起こしうる、導電層とエポキシ/グルー混合物との間のいずれの非−接触領域または気泡を防ぐように注意が払われた。
【0035】
方法#4:グルー系(第一にバス・バー配置、続いて乾燥)。比較を目的とし、プレーンブルー、すなわち、銀を含まないグルーが、ITO−PET電極と薄層内の導電性布または導電性銅箔(バス・バー)との両方の上に直接的に設けられた。導電性銅箔または導電性布領域の全体にわたる完全な接触が達成されることを確保するように、緩やかな力で、2つの部分が一体化された。グルー中に残存する溶媒を完全に乾燥させるために、少なくとも数時間の間、試料を、十分に換気された場所に置くことが許容された。
【0036】
最後に、以下に記載されるような試験および用途のために、試料が、所望の寸法に切断された。
【0037】
バス・バー配置が第一であり、次に乾燥が続く他の例において、導電性銅箔または導電性布をITO−PET電極に接続するための上記ステップを繰り返す前に、グルーを希釈するために、有機溶媒、例えば、トルエンまたは酢酸プロピルが使用された。
【0038】
バス・バー配置が乾燥に先行するさらに他の例において、Dupont社の銀ペーストが、有機溶媒、トルエン、または酢酸プロピルで希釈されたグルーと、グルー/トルエンまたは酢酸プロピル/銀ペースト(1/2/1)の割合で混合された。これらの成分の均一な分散を達成するために、ラボ−シェーカーが使用された。再度、導電性銅箔または導電性布(バス・バー)をITO−PET電極に接続するためのステップが繰り返された。
【0039】
第一に乾燥が提供され、その後バス・バー配置が続くさらに他の例において、適当な容器内で、室温で、グルー/銀(または他の金属粒子)が、8:2の所定の割合で十分に混合され、この混合物の薄層が、ITO−PET電極上に設けられた。第二に、残存する溶媒を完全に乾燥させるために、少なくとも数時間の間、試料を、十分に換気された場所に置くことが許容された。導電性銅箔または導電性布が、銀化グルー(または他の金属化グルー)の乾燥された薄層の上部上に配置され、導電層が乾燥されたグルー銀薄層と完全に接触することを確保するように、プレスされた。これは、Dupont社の導体組成物#4817Nを使用する従来技術のSPD膜および積層体に対する手順と同様である。結合強度を著しく低減させ、電気的な分離を引き起こしうる、導電層と乾燥グルー銀薄層との間のいずれの非−接触領域または気泡を防ぐように注意が払われた。
【0040】
剥離強度試験:
導電性バス・バー12を備えたSPD膜10が、図1に示されており、バス・バー12の導電性布または導電性銅箔が、ITO−被覆PET電極14の導電性側14aに接着される。要素14bが、ITO PET電極14の非−導電性側を示す。
【0041】
Shimadzu Trapezium 2 EZ−S試験システムを用いて、ITO−PET電極14と、試験導電性銅箔または布バス・バー12との間の結合の剥離強度が測定された。以下に記載されるように、試験片が準備された。電源バス、ケーブルまたは他の電気的接続部を介して、バス・バー12が、順に、電源に接続される。本出願が、用語“電源バス”を使用するが、この用語が、バス・バーと電源との間の任意の所望の電気的接続部に当てはまる。
【0042】
導電性バス・バー12を備えた結合されたITO−PET電極14が、120mm×12.7mm(長さ×幅)のストリップに切断された。試験片の一端部において、ITO−PET電極14と導電性バス・バー12とが、(図2に示されるように)T−形状を形成するように、反対方向に折り曲げられた。ITO−PET電極14と導電性バス・バー12とにより試験片を保持するために、EZ−S試験システムのクランプグリップ(図示しない)が使用された。所定のグリップヘッド移動速度(クロスヘッド速度)で、試験片を剥離し、剥離強度を記録するように、機器が操作された。剥離強度の単位が、12.7mm幅あたりのニュートン(N/12.7mm)である。この場合、12.7mmの試料幅が、導電性銅箔の幅に基づいて選択された任意の数である。文献と比較するために、幅の数が、同じ値、例えば同じ幅に、変換されるべきである。表1および表2が、剥離試験の結果に沿った詳細な試料情報をリスト化する。
【0043】
再−付着試験も行われた。この試験において、剥離試験の直後に、同じ箔/布バス・バーが、再−付着された。次に、全て、同じ正確な試験条件下で、再−付着された試験片が、再び剥離され、再−付着として、新たな剥離強度が記録された。
【0044】
表1および表2が、異なる接着剤(銀エポキシ混合物、元の状態のGOOPグルーおよび銀GOOPグルー混合物)を使用して、異なる導電性材料(導電性箔、接着側または非−接着側;導電性布、接着側)と結合するITO−PET電極の剥離強度の例をリスト化する。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【0047】
図1を参照すると、銀ペースト層の存在しないITO−PET電極14(裸ITO−PET)の導電性側に直接的に接着された導電性接着剤を含む銅箔が、強い結合を与えるが、導電性箔の接着剤の導電性が、銀よりも著しく低いため、これが、しばしば、低い導電性のITO−PETバス・バーを生じる。従来技術のSPD膜において、導電性銀ペーストの薄層が、ITO−PET電極14の導電性側の上部上に被覆され、バス・バー12として、導電性銅箔が、この薄い銀層の上部に接着された。この手順が、ITO−PET電極と導電性銅箔との間の良好な導電性を与えた。残念なことに、銀ペースト層の弱い結合のために、導電性バス・バー12とITO−PET電極14との間の接着が台無しにされた。導電性バス・バー12が、ITO−PET電極14から容易に剥離され、銀ペースト層の大きな領域がITO−PET電極との接触を失い、SPD膜またはSPD膜積層体の制御の失敗につながることがしばしば認められた。
【0048】
結果の考察
1.裸ITO−PET基板対商用の銀ペースト被覆ITO−PET基板:
裸ITO−PET電極14が、導電性銅箔バス・バー12と強く結合されるが、導電性を改善するための中間層として銀ペーストが使用された場合(従来技術の慣例)、結合強度が、2.89N/12.7mm(銅、接着側に対して)または3.50N/12.7mm(導電性布、接着側に対して)から、わずか0.028N/12.7mmまで、著しく減少することを、表1が示す。
【0049】
2.商用の銀ペースト被覆ITO−PET基板対接着層としての銀含有エポキシ:
表1から、銀含有エポキシが、導電性強化中間層として銀ペーストと置換された場合、銅箔(バス・バー12)の接着側とITO−PET電極14との間の剥離強度が、5.94N/12.7mmであり、ITO−PET電極と銅の接着側との値(0.028N/12.7mm)の200倍以上大きかった。銅箔の非−接着側が使用された場合でも、剥離強度(4.41N/12.7mm)が、銀ペーストを使用するITO−PET電極14と銅の接着側とのそれよりも十分に高かった。同様に、導電性布(バス・バー12)の接着側とITO−PET電極14との間の剥離強度が、3.34N/12.7mmであり、銀ペーストが使用された場合のITO−PET電極と銅の接着側との値(0.028N/12.7mm)よりも100倍以上大きかった。また、ITO−PET電極14と導電性布の非−接着側との剥離強度(2.32N/12.7mm)が、銀ペーストを使用するITO−PET基板と銅の接着側とのそれよりも十分に高かった。
【0050】
結合強度への銅箔の厚さの影響を調査するために、銀−含有エポキシを含むバス・バー12として、2つの異なる厚さの非−接着剤−含有銅箔が試験された。厚さ2ミルの銅箔に対する4.06N/12.7mmの剥離強度および厚さ1.4ミルの銅箔に対する3.56N/12.7mmの剥離強度が、なおも、銀ペーストを使用するITO−PET電極と銅の接着側との剥離強度よりも十分に高かった。さらに、厚さ2ミルの銅箔が、厚さ1.4ミルの銅箔よりも高い接着性を提供する。
【0051】
効率をさらに改善するために、室温での24時間からわずか1時間に低減された硬化時間で、85℃で、EPO−TEK銀−含有エポキシが、硬化された。これは、処理時間を著しく短くするというだけではなく、銅箔と導電性布との非−接着側における剥離強度を、各々、4.41N/12.7mmと、2.32N/12.7mmとから、4.75N/12.7mmと、3.77N/12.7mmとまで増大させた。
【0052】
しかしながら、銀−含有エポキシ材料の見込まれる欠点は、エポキシが、SPD膜の光−調節素子と接触する場合に、いくらかのエポキシが、SPD膜を劣化させることである。エポキシが、上記のように最も効果的な高い温度(例えば、>25℃)で硬化される場合、この状況が、特に起こりやすい。以下においてさらに議論されるように、GOOPグルーまたはSPD膜を劣化させない他の接着材料を使用することにより、この見込まれる課題が、低減または除去されることが可能である。
【0053】
3.商用の銀ペースト被覆ITO−PET基板対接着層としての銀含有GOOPグルー:
表1から、導電性強化中間層としてDupont社の銀ペーストの代わりに、溶媒希釈銀−含有GOOPグルー(銀/GOOP/トルエン 1:1:2)が使用された場合、銅箔バス・バー12の接着側とITO−PET電極14との間の剥離強度が、1.91N/12.7mmであり、同じ条件下での単純な銀ペースト被覆試料(0.028N/12.7mm)よりも著しく高かった。銅箔バス・バーの非−接着側とITO−PET電極14との剥離強度が、2.18N/12.7mmであった。2ミルの純銅ストリップを使用すると、これが、1.40N/12.7mmであり、一方、1.4ミルの純銅ストリップを使用すると、(0.83N/12.7mm)の剥離強度が提供された。これらの剥離強度値の全てが、商用の銀ペーストが使用された場合よりも著しく高かった。また、導電性布の接着側に対する値(4.44N/12.7mm)と導電性布の非−接着側に対する値(1.03N/12.7mm)とが素晴らしく、銀ペーストの使用と比較した場合、より優れていた。銀とGOOPグルーとの混合に役立つように、有機溶媒トルエンが追加された。2:1である溶媒のグルーに対する割合が使用されたが、本開示は、この割合に制限されない。金属粒子のグルー中への混合を可能にするために適当な任意量の溶媒が使用されてよい。
【0054】
4.銀−含有GOOPグルー対単独のGOOPグルー:
表1は、銀粒子がGOOPグルーと混合された場合に、結合能力が減少することを示す(例えば、銅箔の非−接着側とのオリジナルのGOOPに対して6.15N/12.7mmの剥離強度対銅箔の非−接着側とのGOOP+銀に対して2.18N/12.7mm、および、導電性布の接着側とのトルエン希釈GOOPに対して10.08N/12.7mm対導電性布の接着側とのトルエン希釈GOOP+銀に対して4.44N/12.7mm)。銀−含有グルー系が十分な結合能力を備えたことを確保するために、導電性バス・バーとITO−PET基板間の強い結合を提供するだけでなく、良好な導電性を備えた系を得るように、処理パラメータ(温度、GOOPグルー、銀ペーストおよび分散剤(例えば、有機溶媒)間の混合比)が、調節された。
【0055】
従って、好ましい実施形態において、20重量%のGOOPグルー中に80%の銀粒子が分散する銀粒子含有GOOPグルーが、従来技術のもの(0.028N/12.7mm、表1)と比較して、高い結合強度、例えば、2.82N/12.7mm(表2)の剥離強度を与える。
【0056】
5.グルーで希釈された銀含有エポキシ対単独の銀含有エポキシ:
バス・バー12の良好な結合強度および導電性を維持しつつ、コストをさらに下げるために、結合媒体として、GOOPグルーまたはラボ−製グルーと混合されたEPO−TEK銀含有エポキシ材料(EPO−TEK/グルー 1:1)が調査された。表2は、EPO−TEK+GOOP 1/1に対する3.76N/12.7mmの剥離強度が、布接着−側との銀含有エポキシのそれよりもいっそう高いことを示す(表1、EPO−TEK、布、接着−側、3.34N/12.7mm)。ラボ−製グルー、低分子量アクリレートコポリマーが、同一条件下において、GOOPグルーを含むエポキシのそれよりも低い、表2におけるEPO−TEK+ラボ−グルー(1/1)に対する2.00N/12.7mmの剥離強度を有するのみであるが、これが、0.028N/12.7mmの剥離強度のみを有する従来技術よりもいまだ遥かに強い。
【0057】
6.エポキシグルー被覆ITO PET表面上への導電性接着性バス・バーの再−付着:
バス・バーの処理または積層プロセスの間に、導電性バス・バー12の剥離または不整合が生じる場合、銀被覆ITO PET電極14上への導電性素子の再−付着結合能力を調査する必要がある。表2は、エポキシ−単体銀系(EPO−TEK 100%、方法#2)に対して、再−付着導電性布の剥離強度が、そのオリジナルの値2.58N/12.7mmと比較して、1.65N/12.7mmであることを示す。同一条件下において、エポキシ−グルー系(EPO−TEK+GOOP 1/1、方法#3)再−付着布の剥離強度が、そのオリジナルの結合剥離強度3.76N/12.7mmと比較して、3.92N/12.7mmである。方法#1が、バス・バーを付着させるための一度だけのプロセスである。従って、バス・バー再−付着に導電性である方法#2、方法#3および方法#4が好ましい。グルーの存在が、材料コストを著しく低減させるだけでなく、再−付着に対する結合能力を維持する。当然、バス・バーの処理が予想外の分離または不整合を生じうる製造ステップの間において、これは、大きな利点となる。
【0058】
7.導電性媒体として、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)等の他の導電性金属が使用されてよい。
20%固体グルーを含む80%亜鉛の重量比で、亜鉛粉末が、トルエン希釈GOOPグルー(2g 溶媒/1g グルー)中に分散された。表2は、乾燥を完了した後で、結合媒体としての亜鉛/グルーを含むITO被覆PET上の布の剥離強度が、3.88N/12.7mmであり、従来技術(0.028N/12.7mm)よりも大幅に高く、銀粒子/グルーまたは銀粒子/エポキシ系と同程度であることを示す(表1参照)。材料のコスト、可用性および溶媒希釈グルー中への乾燥亜鉛粉末の混合の相対的な容易性を考慮した処理能力の観点から、これが、大きな利点を有する。
【0059】
結論
銀−含有エポキシが、導電性銅箔および導電性布等のバス・バー材料と、ITO−PET電極基板との間の結合(剥離強度)を著しく改善することが可能である。グルーを用いて銀含有エポキシを希釈することで、相対的に高い剥離強度を維持しつつ、コストを著しく低減させる。
【0060】
銀含有エポキシを含む導電性接着剤を適用するために方法#2を使用することで、または、グルーで希釈された銀含有エポキシを適用するために方法#3を使用することで、または、導電性金属含有グルーを適用するために方法#4を使用することで、不整合となったまたは予期せず分離された導電性素子が、高い剥離強度が復元されて、再付着されることが可能になる。
【0061】
銀粒子と混合されたポリマーGOOPグルーが、SPD膜の光−調節素子の見込まれる劣化を生じることなく、低コストで、この目的に役立つことも可能であるが、さらなる作業を必要とする。しかしながら、光調節素子の損傷の低減されたリスクが、付加的な作業に値することが見込まれる。
【0062】
異なる有機溶媒が、ITO−PET電極基板とのGOOPグルーの結合能力の性能に影響を及ぼす。銀粒子を含むGOOPグルーの混合物が、バス・バー12とITO−PET電極14との間の結合強度を低減させるが、これは、SPD膜およびSPD積層体に現在利用されている商用の銀ペーストとITO−PET基板との間の結合強度よりも、いまだ著しく高い。コスト制御目的のため、接着剤−含有導電性箔の代わりに、接着剤−なしの導電性箔(純導電性箔)が、好ましくは使用される。また、導電性布が、優れた柔軟性および耐久性を備えた同程度の良好な結合強度を提供する。他の合成接着剤が、コストおよび性能のバランスを保つさらに柔軟な方法を提供し、幅広い範囲の材料選択および結合能力を提供しうる。
【0063】
制限するものではないが、導電性を与えるために、亜鉛、銅、鉄およびマグネシウム等の、銀以外の導電性金属粒子が、接着剤に追加されてよい。
【0064】
従って、本開示に従い、SPDデバイスの電極と、その電源バスとの間の接続部が、好ましくは、その中に混合された所定量の金属粒子を含む接着剤を備え、該接着剤が、電極および導電性銅箔、または、接着剤に接着され、電源バスの少なくとも一部に接続される、または電源バスの少なくとも一部を形成する他の導体に取り付けられる。本明細書に開示された異なる実施形態が、コスト削減、製造の容易化、再付着に対する耐性等を含む様々な領域において、異なる利点を提供する。
【0065】
本発明が、その特定の実施形態に関連して記載されたが、多くの他のバリエーションおよび修正ならびに他の使用が、当業者には明らかとなる。従って、本発明が、本明細書の特定の開示によって制限されないことが好ましい。
【符号の説明】
【0066】
10 SPD膜
12 導電性バス・バー
14 ITO−PET電極
14a 導電性側
14b 非−導電性側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
懸濁粒子デバイスの導電層と電源バスとの間の接続部であって、
該接続部が、
金属粒子を含む接着剤であって、電気を伝導し、前記懸濁粒子デバイスの前記導電層の表面に設けられた接着剤と、
前記接着剤に接着され、前記電源バスと接続された導電性素子と、
を備えることを特徴とする接続部。
【請求項2】
前記導電性素子が、その第一表面に設けられた導電性接着剤をさらに備え、
前記導電性素子が、前記第一表面を介して前記接着剤と接着されたことを特徴とする請求項1に記載の接続部。
【請求項3】
前記導電性素子が、前記電源バスの少なくとも一部を形成する導電性銅箔であることを特徴とする請求項1に記載の接続部。
【請求項4】
前記導電性箔が、1.4ミルの厚さを有することを特徴とする請求項3に記載の接続部。
【請求項5】
前記導電性箔が、2ミルの厚さを有することを特徴とする請求項3に記載の接続部。
【請求項6】
導電性材料が、前記電源バスの少なくとも一部を形成する導電性布であることを特徴とする請求項1に記載の接続部。
【請求項7】
前記金属粒子が、65−90重量%の金属粒子対10−35重量%の接着剤の割合で提供されたことを特徴とする請求項1に記載の接続部。
【請求項8】
前記接着剤が、有機溶媒とポリマーグルーとの混合物であり、
使用された有機溶媒の量が、ポリマーグルーが混合されることを可能にするために十分であることを特徴とする請求項1に記載の接続部。
【請求項9】
前記金属粒子が、銀粒子であることを特徴とする請求項1に記載の接続部。
【請求項10】
前記金属粒子が、亜鉛粒子であることを特徴とする請求項1に記載の接続部。
【請求項11】
前記接着剤が、エポキシ材料であることを特徴とする請求項1に記載の接続部。
【請求項12】
懸濁粒子デバイスの導電層と電源バスとの間に接続部を設ける方法であって、
該方法が、
接着剤中に金属粒子を混合するステップであって、前記金属粒子の量が、65重量%−90重量%である、ステップと、
前記導電層に、前記金属粒子を含む接着剤を設けるステップと、
前記導電層に接着するために、前記接着剤上の導電性素子をプレスするステップと、
所定の時間の間、待機するステップと、
導電性銅箔を、前記電源バスに接続するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
前記導電性素子が、前記電源バスの少なくとも一部を形成することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記接着剤が、有機溶媒とポリマーグルーとの混合物であり、
使用された有機溶媒の量が、ポリマーグルーが混合されることを可能にするために十分であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記金属粒子が、銀粒子であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記金属粒子が、亜鉛粒子であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記接着剤が、等量のエポキシとポリマーグルーとの混合物であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記接着剤が、エポキシであることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項19】
懸濁粒子デバイスの導電層と電源バスとの間に接続部を設ける方法であって、
該方法が、
接着剤中に金属粒子を混合するステップであって、前記金属粒子の量が、65重量%−90重量%である、ステップと、
前記導電層に、前記金属粒子を含む接着剤を設けるステップと、
所定の時間の間、待機するステップと、
前記導電層に接着するために、前記接着剤上の導電性素子をプレスするステップと、
導電性銅箔を、前記電源バスに接続するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
懸濁粒子デバイスの導電層と電源バスとの間に接続部を設ける方法であって、
該方法が、
接着剤中に金属粒子を混合するステップであって、前記金属粒子の量が、65重量%−90重量%である、ステップと、
前記導電層に、前記金属粒子を含む接着剤を設けるステップと、
前記導電層に接着するために、前記接着剤上の導電性素子をプレスするステップと、
所定の時間の間、待機するステップと、
導電性銅箔を、前記電源バスに接続するステップと、
前記接着剤から、前記導電性素子を分離するステップと、
前記導電性素子を、前記接着剤に、再度設けるステップと、
を含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−509620(P2013−509620A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537096(P2012−537096)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/054626
【国際公開番号】WO2012/039725
【国際公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【出願人】(591215041)リサーチ フロンティアーズ インコーポレイテッド (14)
【Fターム(参考)】