改善されたファージ耐性をもつ培養物
【課題】標的核酸またはその転写産物に対する細胞の耐性の調節に関する方法および組成物を提供する。
【解決手段】1つまたはそれ以上のcas遺伝子或いはタンパク質を用いる組成物および方法。菌株の組み合わせ、およびスターター培養物のローテーションの開発および利用に役立つ方法および組成物。バクテリアを標識化および/または同定する方法。細胞に対するファージの潜在的な毒性を決定するためにCRISPR遺伝子座を利用、およびファージの遺伝子配列を調節して毒性レベルを増加させるためにCRISPR−casを利用する方法。生物的防除剤としてファージを開発および利用する手段および組成物。
【解決手段】1つまたはそれ以上のcas遺伝子或いはタンパク質を用いる組成物および方法。菌株の組み合わせ、およびスターター培養物のローテーションの開発および利用に役立つ方法および組成物。バクテリアを標識化および/または同定する方法。細胞に対するファージの潜在的な毒性を決定するためにCRISPR遺伝子座を利用、およびファージの遺伝子配列を調節して毒性レベルを増加させるためにCRISPR−casを利用する方法。生物的防除剤としてファージを開発および利用する手段および組成物。
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
CRISPRエスケープ・ファージ変異体を生み出す方法であって、
(a)少なくとも1つの親ファージ、および少なくとも1つのCRISPR遺伝子座を備えるファージ耐性バクテリア菌株を得るステップであって、前記CRISPR遺伝子座は、前記少なくとも1つの親ファージのゲノムにおける少なくとも1つの原スペーサー配列に対して、少なくとも95%同一な核酸配列を備えることを特徴とするステップ;
(b)少なくとも1つのファージ変異株がつくられる条件下で、前記少なくとも1つの親ファージを前記ファージ耐性バクテリア菌株に暴露するステップ;および
(c)前記少なくとも1つのファージ変異株であって、前記ファージ耐性バクテリア菌株に感染する能力を示し、かつCRISPRエスケープ・ファージ変異体である前記少なくとも1つのファージ変異株を選択するステップ
を備える方法。
【請求項2】
前記ファージ耐性バクテリア菌株は、
(a)改変されたCRISPR遺伝子座を備える少なくとも1つのバクテリオファージ耐性変異菌株を備えるバクテリアの混合物をつくるために、CRISPR遺伝子座の少なくとも一部分を備える親バクテリア株を、少なくとも1つの核酸配列に暴露するステップ;
(b)バクテリアの前記混合物から前記バクテリオファージ耐性変異菌株を選択するステップ;
(c)前記親バクテリア菌株の前記CRISPR遺伝子座にはない少なくとも1つの付加的な核酸フラグメントを前記改変されたCRISPR遺伝子座に備えるバクテリオファージ耐性変異株菌株を同定するために、前記親バクテリア菌株の前記CRISPR遺伝子座またはその一部分、および前記バクテリオファージ耐性変異菌株の前記改変されたCRISPR遺伝子座を比較するステップ;
(d)前記改変されたCRISPR遺伝子座に付加的な核酸フラグメントを備える前記バクテリオファージ耐性変異菌株を選択するステップ;
(e)前記少なくとも1つのバクテリオファージ耐性変異菌株を同定するために、前記改変されたCRISPR遺伝子座における前記少なくとも1つの付加的な核酸フラグメントを解析するステップ;および
(f)前記少なくとも1つのバクテリオファージ耐性変異菌株を単離するステップからなる方法を用いて得られるバクテリオファージ耐性変異菌株である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ファージ変異株における前記少なくとも1つの原スペーサー配列の少なくとも一部分および前記少なくとも1つの原スペーサー配列の近くに位置するCRISPRモチーフを、前記親ファージの前記少なくとも1つの原スペーサー配列、およびCRISPRモチーフと比較するステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、前記ファージ耐性バクテリア菌株に感染する前記変異株ファージを選択するステップをさらに備え、前記変異株ファージは、前記CRISPRエスケープ・ファージ変異体を備え、前記CRISPRエスケープ・ファージは、前記CRISPRエスケープ・ファージ変異体の前記少なくとも1つの原スペーサー配列および/または前記CRISPRモチーフに、少なくとも1つの変異を備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、前記CRISPRエスケープ・ファージ変異体、および少なくとも1つのCRISPR遺伝子座を備える異なったCRISPRファージ耐性バクテリア菌株を用いて、1回またはそれ以上反復して繰り返され、前記CRISPR遺伝子座は、前記CRISPRエスケープ・ファージ変異体のゲノムにおける少なくとも1つの原スペーサー配列に対して少なくとも95%同一な核酸配列を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのバクテリオファージは、次の通り、コルチコウイルス科、シストウイルス科、イノウイルス科、レビウイルス科、ミクロウイルス科、マイオウイルス科、ポドウイルス科、シホウイルス科、およびテクティウイルス科からなるウイルス科の群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ファージ耐性バクテリア菌株は、エシェリキア属、シゲラ属、サルモネラ属、エルウィニア属、エルシニア属、バチルス属、ビブリオ属、レジオネラ属、シュードモナス属、ナイセリア属、ボルデテラ属、ヘリコバクター属、リステリア属、アグロバクテリウム属、スタフィロコッカス属、エンテロコッカス属、クロストリジウム属、コリネバクテリウム属、マイコバクテリウム属、トレポネーマ属、ボレリア属、フランシセラ属、ブルセラ属、カンピロバクター属、クレブシエラ属、フランキア属、バルトネラ属、リケッチア属、シュワネラ属、セラチア属、エンテロバクター属、プロテウス属、プロビデンシア属、ブロコトリクス属、ビフィドバクテリウム属、ブレビバクテリウム属、プロピオニバクテリウム属、ラクトコッカス属、ラクトバチルス属、ペディオコッカス属、ロイコノストック属、ストレプトコッカス属およびオエノコッカス属から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法を用いて得られるCRISPRエスケープ・ファージ変異体。
【請求項9】
少なくとも2つの原スペーサー配列および/または前記CRISPRモチーフに2つまたはそれ以上の変異が存在する、請求項8に記載のCRISPRエスケープ・ファージ変異体。
【請求項10】
前記CRISPRエスケープ・ファージ変異体の前記ゲノムは、少なくとも1つの原スペーサーおよび/または前記CRISPRモチーフに変異を備えるために遺伝子操作されている、CRISPRエスケープ・ファージ変異体。
【請求項11】
少なくとも1つの前記CRISPRモチーフが変異した、CRISPRエスケープ・ファージ変異体。
【請求項12】
少なくとも1つの前記CRISPRモチーフが削除された、CRISPRエスケープ・ファージ変異体。
【請求項13】
請求項8乃至12に記載の少なくとも1つのCRISPRエスケープ・ファージ変異体を備える組成物。
【請求項14】
前記発酵培地は、望ましくないバクテリアの少なくとも1つの個体数を含む発酵培地に請求項13に記載の前記組成物を、前記望ましくないバクテリアの前記個体数が低減される条件下で暴露することを備える、製品におけるバクテリアの個体数を制御する方法であって、前記発酵培地は、前記製品を生み出すために用いられる方法。
【請求項15】
前記製品は、食品、飼料、化粧品、パーソナルケア製品、ヘルスケア製品、動物薬品、およびダイエタリーサプリメントから選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、少なくとも1回繰り返され、請求項13に記載の前記異なった組成物は、ローテーションして用いられる、請求項14に記載の方法。
【請求項1】
CRISPRエスケープ・ファージ変異体を生み出す方法であって、
(a)少なくとも1つの親ファージ、および少なくとも1つのCRISPR遺伝子座を備えるファージ耐性バクテリア菌株を得るステップであって、前記CRISPR遺伝子座は、前記少なくとも1つの親ファージのゲノムにおける少なくとも1つの原スペーサー配列に対して、少なくとも95%同一な核酸配列を備えることを特徴とするステップ;
(b)少なくとも1つのファージ変異株がつくられる条件下で、前記少なくとも1つの親ファージを前記ファージ耐性バクテリア菌株に暴露するステップ;および
(c)前記少なくとも1つのファージ変異株であって、前記ファージ耐性バクテリア菌株に感染する能力を示し、かつCRISPRエスケープ・ファージ変異体である前記少なくとも1つのファージ変異株を選択するステップ
を備える方法。
【請求項2】
前記ファージ耐性バクテリア菌株は、
(a)改変されたCRISPR遺伝子座を備える少なくとも1つのバクテリオファージ耐性変異菌株を備えるバクテリアの混合物をつくるために、CRISPR遺伝子座の少なくとも一部分を備える親バクテリア株を、少なくとも1つの核酸配列に暴露するステップ;
(b)バクテリアの前記混合物から前記バクテリオファージ耐性変異菌株を選択するステップ;
(c)前記親バクテリア菌株の前記CRISPR遺伝子座にはない少なくとも1つの付加的な核酸フラグメントを前記改変されたCRISPR遺伝子座に備えるバクテリオファージ耐性変異株菌株を同定するために、前記親バクテリア菌株の前記CRISPR遺伝子座またはその一部分、および前記バクテリオファージ耐性変異菌株の前記改変されたCRISPR遺伝子座を比較するステップ;
(d)前記改変されたCRISPR遺伝子座に付加的な核酸フラグメントを備える前記バクテリオファージ耐性変異菌株を選択するステップ;
(e)前記少なくとも1つのバクテリオファージ耐性変異菌株を同定するために、前記改変されたCRISPR遺伝子座における前記少なくとも1つの付加的な核酸フラグメントを解析するステップ;および
(f)前記少なくとも1つのバクテリオファージ耐性変異菌株を単離するステップからなる方法を用いて得られるバクテリオファージ耐性変異菌株である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ファージ変異株における前記少なくとも1つの原スペーサー配列の少なくとも一部分および前記少なくとも1つの原スペーサー配列の近くに位置するCRISPRモチーフを、前記親ファージの前記少なくとも1つの原スペーサー配列、およびCRISPRモチーフと比較するステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、前記ファージ耐性バクテリア菌株に感染する前記変異株ファージを選択するステップをさらに備え、前記変異株ファージは、前記CRISPRエスケープ・ファージ変異体を備え、前記CRISPRエスケープ・ファージは、前記CRISPRエスケープ・ファージ変異体の前記少なくとも1つの原スペーサー配列および/または前記CRISPRモチーフに、少なくとも1つの変異を備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、前記CRISPRエスケープ・ファージ変異体、および少なくとも1つのCRISPR遺伝子座を備える異なったCRISPRファージ耐性バクテリア菌株を用いて、1回またはそれ以上反復して繰り返され、前記CRISPR遺伝子座は、前記CRISPRエスケープ・ファージ変異体のゲノムにおける少なくとも1つの原スペーサー配列に対して少なくとも95%同一な核酸配列を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのバクテリオファージは、次の通り、コルチコウイルス科、シストウイルス科、イノウイルス科、レビウイルス科、ミクロウイルス科、マイオウイルス科、ポドウイルス科、シホウイルス科、およびテクティウイルス科からなるウイルス科の群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ファージ耐性バクテリア菌株は、エシェリキア属、シゲラ属、サルモネラ属、エルウィニア属、エルシニア属、バチルス属、ビブリオ属、レジオネラ属、シュードモナス属、ナイセリア属、ボルデテラ属、ヘリコバクター属、リステリア属、アグロバクテリウム属、スタフィロコッカス属、エンテロコッカス属、クロストリジウム属、コリネバクテリウム属、マイコバクテリウム属、トレポネーマ属、ボレリア属、フランシセラ属、ブルセラ属、カンピロバクター属、クレブシエラ属、フランキア属、バルトネラ属、リケッチア属、シュワネラ属、セラチア属、エンテロバクター属、プロテウス属、プロビデンシア属、ブロコトリクス属、ビフィドバクテリウム属、ブレビバクテリウム属、プロピオニバクテリウム属、ラクトコッカス属、ラクトバチルス属、ペディオコッカス属、ロイコノストック属、ストレプトコッカス属およびオエノコッカス属から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法を用いて得られるCRISPRエスケープ・ファージ変異体。
【請求項9】
少なくとも2つの原スペーサー配列および/または前記CRISPRモチーフに2つまたはそれ以上の変異が存在する、請求項8に記載のCRISPRエスケープ・ファージ変異体。
【請求項10】
前記CRISPRエスケープ・ファージ変異体の前記ゲノムは、少なくとも1つの原スペーサーおよび/または前記CRISPRモチーフに変異を備えるために遺伝子操作されている、CRISPRエスケープ・ファージ変異体。
【請求項11】
少なくとも1つの前記CRISPRモチーフが変異した、CRISPRエスケープ・ファージ変異体。
【請求項12】
少なくとも1つの前記CRISPRモチーフが削除された、CRISPRエスケープ・ファージ変異体。
【請求項13】
請求項8乃至12に記載の少なくとも1つのCRISPRエスケープ・ファージ変異体を備える組成物。
【請求項14】
前記発酵培地は、望ましくないバクテリアの少なくとも1つの個体数を含む発酵培地に請求項13に記載の前記組成物を、前記望ましくないバクテリアの前記個体数が低減される条件下で暴露することを備える、製品におけるバクテリアの個体数を制御する方法であって、前記発酵培地は、前記製品を生み出すために用いられる方法。
【請求項15】
前記製品は、食品、飼料、化粧品、パーソナルケア製品、ヘルスケア製品、動物薬品、およびダイエタリーサプリメントから選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、少なくとも1回繰り返され、請求項13に記載の前記異なった組成物は、ローテーションして用いられる、請求項14に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2013−27395(P2013−27395A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−180079(P2012−180079)
【出願日】平成24年8月15日(2012.8.15)
【分割の表示】特願2009−552701(P2009−552701)の分割
【原出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(509093978)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月15日(2012.8.15)
【分割の表示】特願2009−552701(P2009−552701)の分割
【原出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(509093978)
【Fターム(参考)】
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