説明

改善されたポリマー組成物

【課題】発泡ポリマーにおける崩壊量を減少させ、発泡および非発泡PVC物品の両方の光沢を低下させる加工助剤ポリマーを提供する。
【解決手段】官能化ポリマーおよび任意に発泡剤を含有するハロゲン化ポリマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に木材代用品として有用なハロゲン化ポリマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ハロゲン化ポリマー、例えば、ポリ塩化ビニル(「PVC」)は、家屋の軒先、トリム、装飾的成形ミル製品などの様々な用途において木材に代わる建築材料として用いられている。「ハロゲン化ポリマー」なる用語は、(1)塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、およびフッ化ビニリデンを80%より多く含有するホモポリマーもしくはコポリマー、および(2)塩素化ポリ塩化ビニル、および塩素化ポリエチレンを意味する。最も一般的なこれらのポリマーは、工業的にはPVCであり、従って本発明者らの一般的記載は、PVCおよび発泡PVCを例として重視する。PVC発泡体は、看板、床板、および数種のPVCパイプのコアにも使用される。
【0003】
これらの様々な用途の発泡PVCは、典型的には、連続押出プロセスで製造される。最も一般的な押出の実施は、ダイからのフリーフォーミングとそれに続くある種の検定およびセルカ(Celuka)または一体型スキンプロセスを含む。これらのPVC発泡プロセスおよび典型的な配合成分の説明は、Handbook of Polymeric Foams and Foam Technology、Klemper,D.、Sendijarevic、V.第2版、Hanser Publishers,Munich、2004、第9章において見出すことができる。
【0004】
発泡PVC配合物の重要な成分は、PVC、熱安定剤、潤滑剤、1以上の発泡剤、および(コ)ポリマー添加剤、例えば、衝撃改質剤および加工助剤ポリマーなどである。加工助剤ポリマーは、PVCと相溶性を有する物質であり、メチルメタクリレートが多いコポリマー、またはPVCと相溶性を有する他の組成物、例えばスチレンアクリロニトリルコポリマーである傾向がある。米国特許第2,646,417号、第3,975,315号、第5,206,296号、および第6,765,033号ならびに欧州特許出願公開第1,153,936号は、PVCの加工助剤として使用されるポリマー組成物の種類を記載している。「相溶性」により、本発明者らは、加工助剤ポリマーが熱処理の間にPVC中に均一に混合または分散することを意味する。混合物は、光学的に透明である必要はないが、2つのブレンドされたポリマーに対し単一のガラス転移温度Tgが通常好ましい。少なくとも、2つの別々のTgが、ブレンドされたポリマーについて見られる場合、これらは他のポリマーの存在によりシフトされる。
【0005】
これらの加工助剤ポリマーは、その高いMWおよびPVCとの相溶性のために、溶融進展性および強度を増大させる。これは次に、小さいセルサイズを形成する発泡の間に、発泡セルの未制御の膨張を防止するのに役立つ。また、高い溶融強度は、押し出された発泡シートが冷却する間に発泡体が崩壊するのを防止し、発泡体構造に固定するのを助ける。加えて、高い溶融強度により、サイジング装置または検定装置を通した熱押出材料の引き抜きが可能である。発泡材料は、熱可塑性であり、架橋した熱硬化性材料でないので、任意の屑または裁ち落し材料は粉砕され、押出プロセスにおいて再使用することができる。リサイクルできるので、粉砕再生材料としてのこの材料は、経済的意味および廃棄物取り扱いに関して重要である。
【0006】
これらの加工助剤が、より高いMWの材料がより高い効率を示しつつ500000から15000000の範囲の重量平均分子量を有することは珍しいことではない(Haworth,B.、Chua L.、Thomas,NL.、Plastics,Rubber and Composites Processing and Applications、(1994)、22、第159頁)。使用量は、加工助剤のMW、所望の密度、およびシート厚さに応じて、配合物中のPVC100部あたり0.5から20部の範囲とすることができる。密度が低いほど、及びシート厚さが大きいほど、より多くの加工助剤使用量が必要である。
【0007】
発泡を可能にするための高MW加工助剤の使用に対する代替案は、マトリックスポリマーに対する架橋剤の使用である。架橋剤は、化学発泡剤が分解して発泡体が固定するのと同様の温度および速度で硬化しなければならない。この方法は、ポリウレタン、エポキシフォーム等を製造するために工業的に使用される(Handbook of Polymeric Foams and Foam Technology、Klemper、D.、Sendijarevic、V.編、第2版、Hanser Publishers、Munich、2004)。
【0008】
この硬化法は、PVCなどのハロゲン化ポリマーについても使用されてきた。典型的な方法においては、PVC、発泡剤、および架橋剤を組み合わせて、圧力下、型中に入れる。この型を、発泡剤が気体を発生する温度に加熱し、圧力を解放して、同じ時間枠内で、発泡および硬化が起こるようにする。このようにして、発泡構造を固定し、高い耐熱性および圧縮ひずみ耐性を有する熱硬化性材料を生成させるが、発泡体からの屑は容易に再利用できない。また、この種類の方法は、硬化が押出機の内部で起こる傾向にあるので、押出型発泡プロセスについては役に立たない。
【0009】
この種類の方法の例としては、米国特許第3,261,785号が挙げられ、この特許においては、非ポリマー多官能性スルホンアジドがPVCの架橋剤として使用される。米国特許第4,956,222号においては、イソシアネート硬化剤が可塑化PVCに関して使用され、ここで、PVCは活性水素官能基を有するか、または活性水素官能基を有するアクリルポリマーをPVCとブレンドし、イソシアネートを用いて硬化させる。European Polymer Journal 36(2000)第2235頁において、過酸化物およびトリメタクリレートモノマーの使用によるPVC発泡体の架橋が記載されている。これらの方法は、屑が再処理できないという制限がある。また、材料が押出機内で硬化しないように、及び溶融粘度問題が起こらないように硬化速度を制御するのは困難であるので、これらの方法は、押出型発泡プロセスには役に立たない。
【特許文献1】米国特許第2,646,417号明細書
【特許文献2】米国特許第3,975,315号明細書
【特許文献3】米国特許第5,206,296号明細書
【特許文献4】米国特許第6,765,033号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第1,153,936号明細書
【特許文献6】米国特許第3,261,785号明細書
【特許文献7】米国特許第4,956,222号明細書
【非特許文献1】Handbook of Polymeric Foams and Foam Technology、Klemper,D.、Sendijarevic、V.第2版、Hanser Publishers,Munich、2004
【非特許文献2】Haworth,B.、Chua L.、Thomas,NL.、Plastics,Rubber and Composites Processing and Applications、(1994)、22、第159頁
【非特許文献3】European Polymer Journal 36(2000)第2235頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
産業界では、PVC発泡体ボードのシート厚さを現行の高分子量加工助剤を用いて得ることができるものよりも増大できることが望まれている。また産業界では泡密度を減少させることも望まれている。光沢のあるプラスチックよりもむしろ、木材の外観を得るために、低光沢も望ましい。発泡体の崩壊を減少させる(コ)ポリマー添加剤は、これらの目標に向かう技術を可能にすることができ、一般的に発泡体セル構造を改善することにより、改善された発泡体ボードを提供する。同時に、屑を押出、溶融加工型の製造において再使用できることが重要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、下記の官能基であって、PVCなどのハロゲン化ポリマーと強力に相互作用するものを含有する高分子量加工助剤ポリマーが、この官能基なしで製造された加工助剤類似体と比較して、発泡ポリマーにおける崩壊量を減少させることを見出した。これは、この官能基がない類似ポリマーを含有する配合物と比較して、このポリマー発泡体においては密度が減少し、シート厚さが大きいことにより証明される。本発明者らは、これらの加工助剤ポリマーが、発泡および非発泡PVC物品の両方の光沢を低下させることも見出した。
【0012】
本発明は、
(a)塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、およびフッ化ビニリデンから選択される1以上のモノマーのハロゲン化ポリマーを少なくとも80重量%含むホモポリマーもしくはコポリマー、および塩素化ポリ塩化ビニル、および塩素化ポリエチレンから選択される、1以上のハロゲン化ポリマー(A)50〜99重量%;
(b)500000より大きい重量平均分子量を有する1以上の(コ)ポリマー(B)であって、モノマー繰り返し単位基準で0.4から100モル%(好ましくは、0.8から40モル%、さらに好ましくは0.8から5モル%)の、β−ケトエステル、β−ケトアミド、β−ジケトン、シアノ酢酸エステル、マロネート、ニトロアルカン、β−ニトロエステル、スルホンアジド、チオール、チオール−s−トリアジン、およびアミンから選択される1以上の官能基(前記官能基は、これらの官能基を含有するエチレン性不飽和モノマーを重合することによるか、または重合後にポリマーを付加反応で後官能化することにより、ポリマー中に組み入れられる)を含む(コ)ポリマー(B)0.5〜20重量%;を含む配合物である。
【0013】
「(コ)ポリマー」はホモポリマーまたはコポリマーを意味する。
【0014】
好ましくは、置換されたエチレン性不飽和モノマーは、β−ケトエステルおよびアミド、β−ジケトン、シアノ酢酸エステル、マロネート、ニトロアルカン並びにβ−ニトロエステルから選択される。
【0015】
好ましくは、置換されたエチレン性不飽和モノマーは、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシブチル(メタ)アクリレート、2,3−ジ(アセトアセトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリルアミド、2−シアノアセトキシエチル(メタ)アクリレート、2−シアノアセトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−シアノアセチル−N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(2−プロピオニルアセトキシブチル)(メタ)アクリルアミドからなる群から選択される。
【0016】
最も好ましくは、置換されたエチレン性不飽和モノマーは、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレートである。
【0017】
本発明の配合物は、0.1から6重量%の発泡剤をさらに任意に含んでもよい。
【0018】
一つの実施形態において、(コ)ポリマー(B)のTgは0℃から150℃の間、好ましくは55℃から150℃の間である。
【0019】
本発明はさらに、好ましくは10%未満のゲル含量を含む前述の押出配合物でもある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明者らは、加工助剤ポリマー中の強力な相互作用官能基は、押出加工の間にPVCと反応して、PVCの軽度の架橋をもたらすと考える。このように、ポリマー分子間にゆるい網目構造が形成されるが、材料が押し出される際に実質的な量の不溶性ゲルが形成されないので、この材料は依然として再処理可能である。このように、本発明者らは、架橋性官能基を加工助剤ポリマー中に入れ、かつ下記のように官能基の量および種類により架橋を制限することにより、高MW加工助剤の特性と架橋系の特性を組み合わせる。
【0021】
これらの官能基を含有するエチレン性不飽和モノマーと、かかる加工助剤ポリマーを製造するために使用される他のエチレン性不飽和モノマーとの共重合により、これらの官能基を加工助剤ポリマー中に組み入れることができる。重合は、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、または塊状重合により行うことができる。かかる官能基は、マイケル付加反応に関与することができる活性化メチレンまたはメチレン基である。かかる官能基としては、β−ケトエステルおよびアミド、β−ジケトン、シアノ酢酸エステル、マロネート、ニトロアルカンおよびβ−ニトロエステルが挙げられる。
【0022】
あるいは、ポリマーを製造し、次いでこれを後の反応で後官能化することにより、官能基を(コ)ポリマー(B)中に組み入れることができる。例えば、β−ケトエステル官能基含有ポリマーを、ヒドロキシ含有ポリマーをジケテンで後官能化することにより製造することができる。
【0023】
かかる官能基を含有するモノマーの一般例は、アリルアセトアセテート、ビニルアセトアセテートである。かかる官能基を含有するアクリレートモノマーの例は(ここで、例えば(メタ)アクリレートはアクリレート及びメタクリレートを意味する)、(メタ)アクリル酸アセトアセトキシアルキルエステルおよびアミドである。具体例としては、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート(「AAEM」)、アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシブチル(メタ)アクリレート、2,3−ジ(アセトアセトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリルアミド、2−シアノアセトキシエチル(メタ)アクリレート、2−シアノアセトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−シアノアセチル−N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(2−プロピオニルアセトキシブチル)(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
【0024】
重合のためにモノマー中に組み入れることができる別の有用な追加の官能基は、スルホンアジド(sulfonazide)(別名スルホンアジド(sulphonazide))である。これらのスルホンアジド含有モノマーの製造例は、GB.1,138,929に記載されている。スルホンアジド基を含有するビニル、ビニリデン、およびスチリル化合物は、かかる好適なモノマーである。GB1138929におけるかかるモノマーの特に興味深い例は、mおよびp−メタクリロイルアミノフェニルスルホンアジド、mおよびp−アクリロイルアミノフェニルスルホンアジド、ならびに1モルの3−または4−スルホンアジドフェニルイソシアネートとヒドロキシル基を含有する1モルのビニルまたはビニリデンモノマー、例えばヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートまたはヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応生成物である。
【0025】
適切なモノマーまたは重合後のポリマーの後官能化により(コ)ポリマー(B)中に組み入れられる他の反応性官能基は、チオール、チオール−s−トリアジン、およびアミノ官能基である。
【0026】
これらの官能性モノマーは、(コ)ポリマー(B)中0.4から100モル%の量で使用され、100部あたり11部(PHR)の加工助剤量が配合物において使用される場合、0.8から5モル%が好ましい。加工助剤が発泡配合物において11PHRの濃度、9モル%付近の量で使用される場合、PVCは、粉砕再生材料として再処理できるまで硬化するようになり、発泡ポリマーは多量の不溶性ゲルを含有する(表3参照)。
【0027】
9モル%より多い前述のかかる官能基を有する加工助剤(コ)ポリマー(B)を用いて再処理可能な配合物を製造するためには、必要な加工助剤の合計量はさらに少ない。例えば、実施例4などの2.37モル%のAAEMを含有するポリマー11PHRの使用に基づいて、30モルパーセントのAAEMを含有する0.869PHRの加工助剤が必要である((11×2.37)/30=0.869PHR)。同様の溶融粘度を維持するために、実施例1などの非官能性加工助剤を、0.869PHRの30モル%の官能性加工助剤を含有する配合物に添加して、加工助剤の合計量を11PHR付近に保つべきである。同様の例は、最高100モル%官能性までの様々なモル%の官能性加工助剤について行うことができる。
【0028】
これらの加工助剤ポリマーは、重量平均分子量が500000より大きい材料であり、1000000から10000000が好ましい。重量平均分子量の定義は、The Elements of Polymer Science and Engineering、Alfred Rudin、Academic Press、1982、第42頁において見出される。分子量測定の方法は、下記の実験的試験法の項において記載される。
【0029】
加工助剤ポリマー(B)は、好ましくは、0℃より高く、150℃より低いTgを有する。さらに望ましい範囲は、55℃から150℃であり、これにより粉末またはペレットとしてのポリマーを単離することがより容易になる。「Tg」は、ポリマー相の「ガラス転移温度」である。ポリマーのガラス転移温度は、そのTg未満の温度での硬質のガラス状態から、Tgより高い温度での流動またはゴム状態までポリマーが移行する温度である。ポリマーのTgは、示差走査熱量分析(DSC)により、熱流対温度転移の中点をTg値として用いて測定される。この測定の目的に関して、DSC測定の加熱速度は1分あたり20摂氏度である。
【0030】
乳化重合により製造する場合、加工助剤ポリマーを一段の均一組成材料として、または米国特許第3,833,686号に記載されているのと類似の多段材料の内の1段として、あるいはTgおよび、または組成において異なる2以上の加工助剤のブレンドとして製造することができる。多段およびブレンド法は、成分または段の1つのTgが55℃未満である場合に特に有用である。55℃より高いTgを有する最終段上に置くか、または55℃より高いTgを有する第二ポリマー中にブレンドすることにより、乳化または懸濁重合により製造されるポリマーは、乾燥によりさらに容易に単離され、自由流動性である粉末またはペレットにされる。
【0031】
加工助剤ポリマー(B)は、形成されるベースハロゲン化ポリマーと相溶性である必要がある。「相溶性」により、本発明者らは、加工助剤ポリマーが熱加工中にベースポリマー中に均一に混合または分散されることを意味する。混合物は光学的に透明で無くてもよいが、通常、2つのブレンドされたポリマーに対し単一のガラス転移温度Tgが観察される。少なくとも、ブレンドされたポリマーに対し2つの別々のTgが観察されるならば、これらは他のポリマーの存在によりシフトする。
【0032】
官能基を含有する加工助剤ポリマー(B)であって、0℃より高いTgを有し、発泡するポリマーと相溶性である加工助剤ポリマー(B)は、当該分野において知られているエチレン性不飽和モノマーから重合することができる。
【0033】
加工助剤ポリマー(B)においてコモノマー(前記の官能化モノマーを有する)としての使用に好適なのは、モノエチレン性不飽和モノマー、例えば、アルキルアクリレートであって、アルキル基が18個以下の炭素原子、好ましくは8個以下の炭素原子を含有するもの;アルキルメタクリレートであって、アルキル部分が18個以下の炭素原子、好ましくは8個以下の炭素原子を含有するもの;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;アクリル酸;メタクリル酸;スチレン;および置換スチレン、特にアルキル置換スチレンであって、アルキル基が14個以下の炭素原子を含有するもの、および他のビニルモノマー、例えば、塩化ビニル、エチレン、酢酸ビニル、およびビニルベルシテート(versitate)である。典型的な好適なコモノマーは、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、o−クロロスチレンおよびα−メチルスチレンである。スチレンおよびメチルメタクリレートが好ましいモノマーである。同様に、官能基は、重合してポリエチレンのコポリマーにすることができ、これを次に塩素化して、PVCまたは他のハロゲン化ポリマーと相溶性である加工助剤ポリマーを得る。
【0034】
加工助剤ポリマーは、典型的には、自由流動性粉末またはペレット(50〜500ミクロンの平均直径を有する粉末粒子)を形成するために単離される。この加工助剤ポリマーを次に熱可塑性発泡配合物に添加する。
【0035】
発泡プラスチックの製造において重要な成分は発泡剤である。化学発泡剤は、様々な化学発泡剤であって、熱分解に際して気体を放出するもののいずれかであり得る。発泡剤または発泡剤の混合物は、分解可能な基、例えばアゾ基、N−ニトロソ基、カルボキシレート基、カーボネート基、複素環窒素含有基およびスルホニルヒドラジド基などの分解可能な基を含有する化学物質から選択できる。一般に、これらは、化学反応の手段によって加熱されるか、または分解に際して加熱される場合に、気体を放出する固体物質である。代表的な化合物としては、Plastic Additives Handbook R.Gachter、H.Muller、およびP.P.Klemchuk編、Hanser Garner Publishers,Cincinnati、1996、第16章において概要を記載されているように、アゾジカルボンアミドおよび誘導体、重炭酸塩、ヒドラジン誘導体、セミカルバジド、テトラゾール、ベンゾキサジン、およびボロハイドレートが挙げられる。これらの発泡剤の例は、アゾジカルボンアミド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3−ジスルホヒドラジド、トリヒドラジノトリアジン、p−トルイレンスルホニルセミカルバジド、5−フェニルテトラゾール、無水イサト酸、重炭酸ナトリウム、および水素化ホウ素ナトリウムである。化学発泡剤に加えて、物理発泡剤、例えば、気体および揮発性液体も使用することができる。発泡は、押出機中に注入されるCOなどの超臨界気体により生成させることができる。
【0036】
発泡剤は、当業者に公知のいくつかの異なる方法により、例えば、溶融プラスチック中に薬剤を均一に分散させるために、樹脂が溶融状態において、固体粉末、液体または気体状薬剤を押出機中の樹脂に直接添加することにより、ポリマーに添加することができる。好ましくは、発泡剤は、押出プロセス前に添加され、固体形態である。発泡組成物を得るために本発明の発泡可能な組成物が付される温度および圧力は、使用される発泡剤の量および種類に応じて広範囲に及ぶ。
【0037】
マトリックスハロゲン化ポリマー(A)、官能性ポリマー加工助剤および発泡剤に加えて、配合物は、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、衝撃改質剤、潤滑剤、ワックス、可塑剤、フィラー、繊維、顔料、慣用のまたは非官能性の加工助剤ポリマー、および他の一般的な添加剤を含むことができる。
【0038】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)による分子量測定は、次のようにして行われた。サンプルをアセト酢酸エチル中、約0.5mg/mlの濃度で調製した。サンプルをシェーカー上で少なくとも一夜、室温で振盪した。これを7日間室温で、続いて30分間160℃で保持し、室温まで冷却した後、試験した。SEC分析前に、1μmPTFEフィルターを用いてサンプル溶液を濾過した。
【0039】
分離は、室温で、PerkinElmer 200シリーズポンプおよび自動サンプラーおよびWaters 410型屈折率(RI)検出器(Milford、MA)からなる液体クロマトグラフ上で行った。検出器は、次の条件で操作した:感度 128、スケール係数 20、温度=40℃。システム制御、データ収集、およびデータ処理は、Cirrus(登録商標)ソフトウェアの3.0バージョン(Polymer Laboratories、英国チャーチ ストレットン)を用いて行った。
【0040】
SEC分離は、アセト酢酸エチル中、0.5mL/分の流速で、Shoko America、Inc(米国カルフォルニア州ラ・ホイヤ(La Jolla))から購入したポリスチレンジビニルベンゼンゲルで充填されたShodex KF804カラム(300×7.5mmID)を用いて行った。約0.5mg/mLの濃度を有するサンプル溶液100μLをSEC分離に付した。重量平均および数平均分子量を各サンプルについて記録した。
【0041】
較正:アセト酢酸エチル中、約0.5mg/mLの濃度で、1960から1944000g/モルの範囲のMを有するポリメチルメタクリレート(PMMA)標準を使用して、9点較正曲線(3次)を作成し、これを使用して、分析サンプルの相対Mを評価した。
【実施例】
【0042】
本発明者らは、本発明の下記の実施例、ならびに比較例を行った。下記の実施例において、次の略号を使用した:
MMA=メチルメタクリレート
BA=ブチルアクリレート
BMA=ブチルメタクリレート
AAEM=アセトアセトキシエチルメタクリレート
【0043】
実施例1
0重量%AAEM(0モル%)による比較例
5Lの丸底フラスコに、スターラー、温度調節器、窒素ラインおよび凝縮器を取り付けた。2250gの脱イオン水および0.59gの氷酢酸をフラスコ中に入れた。混合物を200rpmで攪拌し、窒素拡散(sparge)しながら、33℃に加温した。拡散を窒素通気(sweep)に切り替え、次に45.72gのDowfax 2A1(51%)を、20.25グラムの水ですすぎながらフラスコに入れた。1069.74gのMMA、50.94gのBMAおよび152.82gのBAのモノマー混合物を調製し、次に反応フラスコに1分にわたって添加し、続いて90.0gの水ですすいだ。次に、0.01gのFeSO、0.08gのEDTAおよび6.16gの水の溶液を次いで反応容器に添加した。次いで、5.01gのt−ブチルヒドロペルオキシド(5%)を13.50gの水ですすいで添加し、続いて13.50gの水中に溶解した0.22gのナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートを添加した。反応温度は90分にわたって83℃に上昇することが観察された。反応を10分間ピーク温度に保持した。次に、1.67gのt−ブチルヒドロペルオキシド(5%)を4.5gの水ですすいで添加し、4.50gの水中に溶解した0.07gのナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートを添加した。得られたラテックスを次いでゆっくりと<40℃に冷却し、メッシュ布を通して濾過した(34.4%固形分)。
【0044】
実施例2
AAEM=1.0重量%(0.46モル%)
1Lの丸底フラスコに、スターラー、温度調節器、窒素ラインおよび凝縮器を取り付けた。500gの脱イオン水および0.131gの氷酢酸をフラスコ中に入れた。混合物を255rpmで攪拌し、窒素拡散しながら、32℃に加温した。拡散を窒素通気に切り替え、次に10.159gのDowfax 2A1(51%)を、4.5gの水ですすぎながらフラスコに入れた。235.37gのMMA、11.21gのBMA、33.62gのBAおよび2.8gのAAEMのモノマー混合物を調製し、次に反応フラスコに1分にわたって添加し、続いて20.0gの水ですすいだ。次に、0.002gのFeSO、0.017gのEDTAおよび1.368gの水の溶液を次いで反応容器に添加した。次いで、1.113gのt−ブチルヒドロペルオキシド(5%)を3.00gの水ですすいで添加し、続いて3.00gの水中に溶解した0.048gのナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートを添加した。反応温度は105分にわたって78℃に上昇することが観察された。反応を10分間ピーク温度に保持した。次に、0.371gのt−ブチルヒドロペルオキシド(5%)を1.00gの水ですすいで添加し、1.00gの水中に溶解した0.016gのナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートを添加した。得られたラテックスを次いでゆっくりと<40℃に冷却し、メッシュ布を通して濾過した(34.4%固形分)。
【0045】
実施例3
AAEM=2.0重量%(0.96モル%)
1Lの丸底フラスコに、スターラー、温度調節器、窒素ラインおよび凝縮器を取り付けた。500gの脱イオン水および0.131gの氷酢酸をフラスコ中に入れた。混合物を255rpmで攪拌し、窒素拡散しながら、31℃に加温した。拡散を窒素通気に切り替え、次に10.159gのDowfax 2A1(51%)を、4.5gの水ですすぎながらフラスコに入れた。237.72gのMMA、11.32gのBMA、33.96gのBAおよび5.66gのAAEMのモノマー混合物を調製し、次に反応フラスコに1分にわたって添加し、続いて20.0gの水ですすいだ。次に、0.002gのFeSO、0.017gのEDTAおよび1.368gの水の溶液を次いで反応容器に添加した。次いで、1.113gのt−ブチルヒドロペルオキシド(5%)を3.00gの水ですすいで添加し、続いて3.00gの水中に溶解した0.048gのナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートを添加した。反応温度は90分にわたって78℃に上昇することが観察された。反応を20分間ピーク温度に保持した。次に、0.371gのt−ブチルヒドロペルオキシド(5%)を1.00gの水ですすいで添加し、1.00gの水中に溶解した0.016gのナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートを添加した。得られたラテックスを次いでゆっくりと<40℃に冷却し、メッシュ布を通して濾過した(34.2%固形分)。
【0046】
実施例4
AAEM=4.8重量%(2.37モル%)
1Lの丸底フラスコに、スターラー、温度調節器、窒素ラインおよび凝縮器を取り付けた。500gの脱イオン水および0.131gの氷酢酸をフラスコ中に入れた。混合物を255rpmで攪拌し、窒素拡散しながら31℃に加温した。拡散を窒素通気に切り替え、次に10.159gのDowfax 2A1(51%)を、4.5gの水ですすぎながらフラスコに入れた。237.72gのMMA、11.32gのBMA、33.96gのBAおよび14.15gのAAEMのモノマー混合物を調製し、次に反応フラスコに1分にわたって添加し、続いて20.0gの水ですすいだ。次に、0.002gのFeSO、0.017gのEDTAおよび1.368gの水の溶液を次いで反応容器に添加した。次いで、1.113gのt−ブチルヒドロペルオキシド(5%)を3.00gの水ですすいで添加し、続いて3.00gの水中に溶解した0.048gのナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートを添加した。反応温度は105分にわたって78℃に上昇することが観察された。反応を10分間ピーク温度に保持した。次に、0.371gのt−ブチルヒドロペルオキシド(5%)を1.00gの水ですすいで添加し、1.00gの水中に溶解した0.016gのナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートを添加した。得られたラテックスを次いでゆっくりと<40℃に冷却し、メッシュ布を通して濾過した(33.2%固形分)。
【0047】
実施例5
AAEM=9.1重量%(4.63モル%)
1Lの丸底フラスコに、スターラー、温度調節器、窒素ラインおよび凝縮器を取り付けた。500gの脱イオン水および0.131gの氷酢酸をフラスコ中に入れた。混合物を255rpmで攪拌し、窒素拡散しながら32℃に加温した。拡散を窒素通気に切り替え、次に10.159gのDowfax 2A1(51%)を、4.5gの水ですすぎながらフラスコに入れた。216.11gのMMA、10.29gのBMA、30.87gのBAおよび25.73gのAAEMのモノマー混合物を調製し、次に反応フラスコに1分にわたって添加し、続いて20.0gの水ですすいだ。次に、0.002gのFeSO、0.017gのEDTAおよび1.368gのHOの溶液を次いで反応容器に添加した。次いで、1.113gのt−ブチルヒドロペルオキシド(5%)を3.00gの水ですすいで添加し、続いて3.00gの水中に溶解した0.048gのナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートを添加した。反応温度は100分にわたって78℃に上昇することが観察された。反応を10分間ピーク温度に保持した。次に、0.371gのt−ブチルヒドロペルオキシド(5%)を1.00gの水ですすいで添加し、1.00gの水中に溶解した0.016gのナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートを添加した。得られたラテックスを次いでゆっくりと<40℃に冷却し、メッシュ布を通して濾過した(33.4%固形分)。
【0048】
実施例6
AAEM4.8重量%低MW系(2.37モル%))
5Lの丸底フラスコに、スターラー、温度調節器、窒素ラインおよび凝縮器を取り付けた。2250gの脱イオン水および0.59gの氷酢酸をフラスコ中に入れた。混合物を200rpmで攪拌し、窒素拡散しながら33℃に加温した。拡散を窒素通気に切り替え、次に45.72gのDowfax 2A1(51%)を、20.25gの水ですすぎながらフラスコに入れた。1069.74gのMMA、50.94gのBMA、152.82gのBA、63.68gのAAEMおよび0.310gのBMPのモノマーミックスを調製し、次に反応フラスコに1分にわたって添加し、続いて90.0gの水ですすいだ。次に、0.01gのFeSO、0.08gのEDTAおよび6.16gの水の溶液を次いで反応容器に添加した。次いで、5.01gのt−ブチルヒドロペルオキシド(5%)を13.50gの水ですすいで添加し、続いて13.50gの水中の0.22gのナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートを添加した。反応温度は120分にわたって83℃に上昇することが観察された。反応を10分間ピーク温度に保持した。次に、1.67gのt−ブチルヒドロペルオキシド(5%)を4.50gの水ですすいで添加し、4.50gの水中に溶解した0.07gのナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートを添加した。得られたラテックスを次いでゆっくりと<40℃に冷却し、メッシュ布を通して濾過した(34.8%固形分)。
【0049】
実施例7
AAEM=16.6重量%(8.81モル%)
5Lの丸底フラスコに、スターラー、温度調節器、窒素ラインおよび凝縮器を取り付けた。2250gの脱イオン水および0.59gの氷酢酸をフラスコ中に入れた。混合物を200rpmで攪拌し、窒素拡散しながら33℃に加温した。拡散を窒素通気に切り替え、次に45.72gのDowfax 2A1(51%)を、20.25gの水ですすぎながらフラスコに入れた。891.45gのMMA、51.00gのBMA、127.35gのBA、および212.25gのAAEMのモノマー混合物を調製し、次に反応フラスコに1分にわたって添加し、続いて90.0gの水ですすいだ。次に、0.01gのFeSO、0.08gのEDTAおよび6.16gの水の溶液を次いで反応容器に添加した。次いで、5.01gのt−ブチルヒドロペルオキシド(5%)を13.50gの水ですすいで添加し、続いて13.50gの水中の0.22gのナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートを添加した。反応温度は100分にわたって74℃に上昇することが観察された。反応を10分間ピーク温度に保持した。次に、1.67gのt−ブチルヒドロペルオキシド(5%)を4.50gの水ですすいで添加し、4.50gの水中に溶解した0.07gのナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートを添加した。得られたラテックスを次いでゆっくりと<40℃に冷却し、メッシュ布を通して濾過した(34.1%固形分)。
【0050】
試験
凍結することによりまず凝集したエマルジョンを60℃でオーブン乾燥することにより、エマルジョンを粉末に変換した。同様に、エマルジョンを当該分野において知られている任意の方法、例えば:噴霧乾燥、流動床乾燥、凝固とそれに続く乾燥等により乾燥させることができる。
【0051】
マスターバッチのブレンド成分
【0052】
【表1】

【0053】
成分をHenschelブレンダー中でブレンドして、マスターバッチを調製した。PVCを入れ、ブレードが回転し始めた後、ブレンダー温度は摩擦熱から約3〜5℃/分で上昇した。PVCを入れた後、温度が下記の温度に達したときに、残りの成分を添加ポートから添加した。
【0054】
PVCをブレンダーに25℃で添加し、蓋を閉める。混合ブレードを約1000rpmで始動させる。温度をモニターする。冷却しない。Advastab(商標)TM−181安定剤を52℃で添加する。Advalube B3310、パラフィンワックス、XL−165、AC−629A、およびステアリン酸カルシウムを66℃で添加する。潤滑加工助剤Paraloid(商標)K−175および発泡剤Ficel ES55HVCを77℃で添加する。二酸化チタンおよび炭酸カルシウムを90℃で添加する。100℃で冷却水を流し始める。ブレード速度を最低値(約200rpm)付近まで低下させる。45℃に冷却し、ブレードを停止させ、マスターバッチ粉末をブレンダーから取り出す。
【0055】
実施例の加工助剤をマスターバッチにPVC基準で100部あたり11部(PHR)の量で後添加し、バッグ中で振盪することにより混合して実施例の配合物を調製した。
【0056】
配合されたPVCをHaake、Polylab二軸スクリュー二重反転押出機で押し出した。ゾーン1を160℃に設定した。ゾーン2を180℃に設定した。ゾーン3を190℃に設定した。ダイは、幅50mm開口部およびリップ間に1mmのギャップを有するコートハンガータイプのダイであった。ダイ温度を160℃に設定した。押出機を45rpmで運転し、PVC粉末を重力送りにより押出機のスロート中に供給した。押出機から出て、発泡PVCを20℃に設定された3重ローラー積層冷却装置に通した。冷却ロール間のギャップは2.79mmであった。
【0057】
ストリップから発泡体の0.75インチ×1.25インチ片を切断することにより、押出発泡体片の密度を測定した。ASTM D792の方法を用いて密度を測定した。
【0058】
発泡体片の厚さは、デジタルカリパーを用いて断片の最大厚さを測定することにより決定した。Gardnerから得られる75度のミクロ光沢計を用いて光沢を測定した。
【0059】
実施例の結果を下記の表2に示す。
【0060】
【表2】

【0061】
AAEMの量が増加するにつれ、発泡体密度は減少し、発泡シート厚さが増大する。これは、加工助剤組成中のAAEMが崩壊に対して発泡体を安定化させるのに役立つことを示す。参考として、実施例GおよびHは、PVCのどの密度が配合物中に発泡剤を含まないかを示す。これらの2つの配合物について、マスターバッチをFicel発泡剤なしで調製した。
【0062】
実施例Fは、高MWを有する利点を示す。実施例FのMnがかなり低いことは、他のサンプルよりも多くの低MWテールを含有することを示す。実施例6のMWでは、記載された加工条件下で安定な発泡体を得るために、さらに高レベルの加工助剤が必要である。発泡体はダイから出る際に振動して、厚い発泡体部分と薄い発泡体部分をもたらす。非官能性加工助剤(実施例A)と官能性加工助剤(実施例D)間に光沢の低下が見られる点に留意する。
【0063】
再処理可能性
マスターバッチを用いるが、発泡剤を用いないで、PVC配合物IからMを調製した。加工助剤を11PHRで使用した。押出機のゾーン1を160℃に設定した。ゾーン2を180℃に設定した。ゾーン3を190℃に設定した。直径3/16インチの口径を有する、長さ4.25インチ、内径0.5インチのロッドダイを190℃に設定した。押出機のrpmを45に設定し、配合物を押出機のスロート中に30g/分で供給した。実施例を押し出して、ストランドを得、これを切断してペレットにした。このペレットを次に押出機に2回目の通過をさせた。2回目の通過で依然として滑らかな外面および均一な直径を有するストランドを提供する材料は再処理可能と見なした。粗く、でこぼこした表面を有し、ストランド直径がかなりばらつく材料は、PVCの過度の架橋のために再処理不可能であると見なされた。
【0064】
不溶性ゲル含量
材料が再処理可能でない点まで架橋することは、押出された材料中の不溶性ゲルの量によっても示される。実施例IからMからのペレットをTHF溶媒中に振盪しながら18時間入れて、溶液に作用させた(14.25gのTFHF中0.75gのペレット)。THF中の材料を、ブフナー漏斗を用いてWhatman#4濾紙を通して濾過し、濾紙を乾燥して、残存する溶媒を除去した。実施例中のゲルの量を、次の計算により決定した:
不溶性材料(%)=(最終濾紙重量−初期濾紙重量)×100/(0.75g)。
ゲル=不溶性材料(%)−実施例Iの不溶性材料(%)(AAEMを有さない対照)
【0065】
【表3】

【0066】
表からわかるように、実施例Mは再処理可能でなく、その理由は、多量のゲルを含有するためで、このことは、過度に架橋した材料が再処理不可能になりやすいことを示す。前述のように、本発明の押し出された組成物は、この技術に従って評価された場合に約5%未満のゲル含量を有する。特に、この技術を用いる際、各事例中の対照は、置換されたエチレン性不飽和モノマーを加工助剤コポリマー中で欠失していること以外は、本発明の組成物と同一のものである。
【0067】
AAEMを含有する官能性加工助剤の光沢低下特性を未発泡PVCについて表4に示す。配合物は、発泡剤を使用せず、かつ発泡シートを調製するためのダイセットアップを使用する点で、表3において示される実施例について使用された同じものである。
【0068】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、およびフッ化ビニリデンから選択される1以上のモノマーのハロゲン化ポリマーを少なくとも80重量%含むホモポリマーもしくはコポリマー、および塩素化ポリ塩化ビニル、および塩素化ポリエチレンから選択される1以上のハロゲン化ポリマー(A)20〜99重量%;
(b)500000より大きい重量平均分子量を有する1以上の(コ)ポリマー(B)であって、モノマー繰り返し単位基準で0.4から100モル%の、β−ケトエステル、β−ケトアミド、β−ジケトン、シアノ酢酸エステル、マロネート、ニトロアルカン、β−ニトロエステル、スルホンアジド、チオール、チオール−s−トリアジン、およびアミンから選択される1以上の官能基(該官能基は、これらの官能基を含有するエチレン性不飽和モノマーを重合することによるか、または重合後にポリマーを付加反応で後官能化することにより、ポリマー中に組み入れられる)を含む(コ)ポリマー(B)0.5〜20重量%;
を含む配合物。
【請求項2】
前記官能基を、(コ)ポリマー(B)の繰り返しモノマー単位基準で0.8から40モル%含む請求項1記載の配合物。
【請求項3】
前記官能基を、(コ)ポリマー(B)の繰り返しモノマー単位基準で0.8か5モル%含む請求項1記載の配合物。
【請求項4】
置換されたエチレン性不飽和モノマーが、β−ケトエステルおよびアミド、β−ジケトン、シアノ酢酸エステル、マロネート、ニトロアルカン並びにβ−ニトロエステルの群から選択される請求項1記載の配合物。
【請求項5】
前記置換されたエチレン性不飽和モノマーが、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシブチル(メタ)アクリレート、2,3−ジ(アセトアセトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリルアミド、2−シアノアセトキシエチル(メタ)アクリレート、2−シアノアセトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−シアノアセチル−N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(2−プロピオニルアセトキシブチル)(メタ)アクリルアミドの群から選択される請求項1記載の配合物。
【請求項6】
前記置換されたエチレン性不飽和モノマーがアセトアセトキシエチル(メタ)アクリレートである請求項1記載の配合物。
【請求項7】
0.1から6重量%の発泡剤をさらに含む請求項1記載の配合物。
【請求項8】
(コ)ポリマー(B)のガラス転移温度(Tg)が0℃から150℃の間である請求項1記載の配合物。
【請求項9】
(コ)ポリマー(B)のガラス転移温度(Tg)が55℃から150℃の間である請求項1記載の配合物。
【請求項10】
(a)塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、およびフッ化ビニリデンから選択される1以上のモノマーのハロゲン化ポリマーを少なくとも80重量%含むホモポリマーもしくはコポリマー、および塩素化ポリ塩化ビニル、および塩素化ポリエチレンから選択される1以上のハロゲン化ポリマー20から99重量%;
(b)500000より大きい重量平均分子量を有するポリマーであって、β−ケトエステル、β−ケトアミド、β−ジケトン、シアノ酢酸エステル、マロネート、ニトロアルカン、β−ニトロエステル、スルホンアジド、チオール、チオール−s−トリアジン、およびアミンを包含する官能基の1以上を、ポリマー繰り返し単位基準で0.4から100モル%含むポリマー0.5〜20重量%;
を含む、押出配合物。

【公開番号】特開2009−91552(P2009−91552A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−228375(P2008−228375)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】