説明

改善された布帛コーティング性能を有する反応性シラノール−HALSアミノシリコーンポリマー

本発明は、まず最初に、新規のジヒドロキシ末端キャップ立体障害アミノ化ポリオルガノシロキサンポリマー、即ちシラノールで連鎖停止されたポリマー、並びにその製造方法であって、ある種の環状シロキサンとポリメチルピペリジニルシロキサンとの2段階反応を含み、反応重合生成物の最終粘度が主として最終段階で用いた水の量によって制御される前記製造方法の発見に関する。重要なことに、前記ポリマーは、布帛に塗布された時に、強化された柔軟化特性、非黄変特性及び親水性を布帛に提供するコーティングを製造することができるだけではなくて、乾燥/硬化させた時に布帛基材上又は内部に存在する封入された組成物の耐久性を高めるコーティングマトリックスをも思いがけず提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体障害アミンシリコーンポリマーの調製方法であって、ポリマーと該ポリマーを塗布することができる繊維質基材との間の安定な結合力を提供することができる反応性部位が組み込まれた前記シリコーンポリマーの調製方法に関する。より詳細には、前記ポリマーは、布帛に塗布された時に、布帛に強化された柔軟化特性、非黄変特性及び親水性を付与するコーティングを製造することができるだけではなくて、乾燥/硬化させた時に布帛基材上又は内部に存在する封入された組成物の耐久性を高めることができるコーティングマトリックスをも思いがけずに提供することができるものである。
【背景技術】
【0002】
繊維質材料を仕上げ用組成物で処理することによって状態調節することが知られている。この繊維質材料には、織布、編布及び不織布さえもが含まれ、最も広い意味では紙も含まれ得る。繊維質材料の繊維は、セルロース繊維及び蛋白繊維を含む天然繊維、合成繊維並びにそれらのブレンドから作られたものであることができる。
【0003】
これらの繊維質材料の外観及び取扱い特徴を強化するために、先行技術には様々な仕上げ用組成物が報告されている。以前から、オルガノシリコーン組成物はテキスタイルを処理してこれに「手ざわり(肌ざわり、風合い)」、帯電防止挙動、撥水性及び改善された引裂強さのような望ましい特徴を付与するのに有用であるということが認識されていた。
【0004】
これまでに、3つの種類のシリコーンポリマーがテキスタイル状態調節剤として有用であることが見出されている。1つの種類は、乳化したジメチル流体をベースとするものである。別の種類は、ポリマー全体にSi−H基が分散した乳化した反応性流体をベースとするものである。第3の種類は、ポリマー主鎖上にアミノ又はエポキシ官能基が配置されたものである。
【0005】
乳化したジメチルシリコーン流体は、無色透明であり、加熱や老化によって着色しない。これらは、柔らかくて滑らかな手ざわり及びある程度の撥水性を布帛に与えるが、しかしどちらかといえば不活性な流体であり、耐久性がない。
【0006】
メチルヒドロポリシロキサンを含有する安定なエマルションは、例えばジブチルスズジラウレートのようなスズ触媒と共に布帛に塗布することにより、Si−H基をシラノールに加水分解し、そしてポリマーを縮合させて架橋したマトリックスを生成させることができ、これが高められた耐久性への道を与える。
【0007】
エポキシ官能基は、繊維のヒドロキシルと反応する能力と共に、ノンシラノール架橋メカニズムを与える。これらのエポキシ柔軟剤は耐久性があるが、しかしアミノ官能性シリコーンははるかに柔らかくてもっと望ましい手ざわりを作り出す。追加的に、アミノ官能化ポリオルガノシロキサンは繊維及びヤーンの滑りを改善するので、これらの基材へのしわ寄り力の伝達を減らし、それによって布帛(特に綿及び羊毛布帛)のプレス耐久性能にも多少の改善を与える。
【0008】
合成テキスタイルは、アミノアルキル含有オルガノポリシロキサンで(ポリシロキサン用の架橋成分を用いて又は用いずに)処理されてきた。この技術を開示した代表的な文献には、ポリシロキサン主鎖上の置換されるべきアミノ官能基が式:−R'(NHCH2CH2)aNHR''(ここで、aは0又は1であり、R'は低級アルキレン基であり、R''は水素基若しくは低級アルキル基を表わす)のものであることが提唱される米国特許第4247592号明細書、又は次の官能基:−(CH2)y−(OCH2)y'−CH(OH)CH2−N(CH2CH2OH)2(ここで、yは2〜8の範囲の数であり、y'は0又は1である)が結合したポリオルガノシロキサンを用いることが記載された欧州特許公開第0546231号公報がある。
【0009】
しかしながら、上記のものと同様のアミン官能基を含有するポリオルガノシロキサンを含む仕上げ用組成物をテキスタイル産業の慣用の技術において用いた際には、被処理繊維の黄変が観察される。この黄変は、繊維上に付着させたポリオルガノシロキサンのアミノ基の熱酸化の結果物である。
【0010】
ポリシロキサン分野における近年の進歩は、テキスタイル又は紙の状態調節用途に用いた時に先行技術においてアミン官能基を使用した際に起こった黄変現象を大いに制限し、なくすことさえできるポリマーをもたらした。これは、例えば米国特許第5540952号及び同第5721297号の各明細書並びに米国特許公開第2004/0083553号明細書に教示されたように、立体障害ピペリジル官能基(これは従来は他のポリマー中の抗UV安定剤として認識されていた)をシロキサン主鎖上に結合させることによって達成された。
【0011】
これらの立体障害アミノ化ポリオルガノシロキサンポリマーはテキスタイル及び紙仕上げ分野、特にテキスタイル分野に有意の改善をもたらし、優れた親水性、柔軟性、「手ざわり」、帯電防止特徴及び撥水性を有する基材をもたらすが、この分野では継続的に、これらの仕上げされたコーティングの耐久性を高めるための方法が探し求められている。先行技術の立体障害アミノ化ポリオルガノシロキサンは、ポリマーと繊維との間の引き付け力が弱いせいで繊維質材料に対する結合が不充分であるため、所望のコーティング耐久性が得られない。
【0012】
立体障害アミノ化ポリオルガノシロキサンポリマーを高反応性ヒドロキシル基で末端キャップすることにより、繊維質基材中の繊維に対するこれらのポリマーの結合強さが思いがけず強化されることが見出された。その結果、これらのポリマーを含有する仕上げ用組成物をテキスタイル及び/又は紙基材上に適切に塗布した場合に、柔らかさ、「手ざわり」、撥水性及び帯電防止挙動を含めた状態調節特徴が非常に望ましいものに保たれるだけではなくて、さらにこれらの特徴の持続性も大いに改善される。
【0013】
かくして、この発明は、新規のヒドロキシ末端キャップ{即ちヒドロキシル基で末端キャップされた(以下、類似の表現は同様の意味を持つ)}立体障害アミノ化ポリオルガノシロキサンポリマー及びこれらのポリマーの独特な調製方法の発見に関する。これらのポリマーは、標準的な工業技術で調製できるだけではなくて、貯蔵時に非常に安定でもある。また、この発明は、これらの新規のポリマーを含有する仕上げ用組成物を用いて調製された布帛又は紙のような乾燥/硬化させた繊維質基材をも包含する。
【0014】
ヒドロキシル末端キャップオルガノシロキサンについては反応触媒の不在下でも縮合反応が起こり得るが、しかし多くの酸又は塩基がこれらの反応を触媒して、末端ヒドロキシルの分子間の直線的な縮合によって長い鎖を与える。鎖長の分布が生じることが報告されており、そして残留水濃度を減らすために真空下且つ/又は高温において操作する場合にはより長い鎖が好ましいことが報告されている。
【0015】
布帛状態調節用途を含めた多くの最終用途において、ヒドロキシ末端キャップポリシロキサンは、シランとの縮合反応によって架橋する。これらの組成物は通常、1液系又は2液系と称される。
【0016】
1液系(しばしばシーラントとして用いられる)においては、組成物は典型的にはヒドロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサンと過剰量の例えばメチルトリアセトキシシランとから調製された反応性ポリマーから配合され、湿分に曝された時に反応を開始する。
【化1】

【0017】
大過剰のシランを用いた場合には、2つの異なる鎖が同一のシラン分子と反応する確率は僅かであり、すべての鎖が2個の−OAc官能基で末端ブロックされる。得られる生成物は依然として液状であり、密封カートリッジ中に貯蔵することができる。開いて空気中の湿分と接触した際に、アセトキシ基が加水分解してシラノールになり、さらなる縮合が起こることが可能になる。このようにして、2つの鎖が結合し、残りのアセトキシ基によって反応がさらに進行する。反応性を加速させるために、有機金属スズ触媒が通常用いられる。この架橋は、湿分が製品内に拡散し、外側表面から内部に向けて硬化が進行することを必要とする。従って、これらのシーラントは1液RTV(室温加硫)シーラントと称されるが、しかし実際には第2成分として湿分を必要とする。また、反応の副生成物として酢酸が放出され、ある種の基材上では腐食の問題が起こり得る。この可能性としての腐食の問題を解消するために、1液系が低腐食性又は非腐食性副生成物を放出する系(例えば、アセトキシシランの代わりにアルコキシシランRSi(OR’)3を用いて、アルコールを放出するもの)が開発されている。
【0018】
縮合硬化2液系においては、2つの成分、即ちヒドロキシ末端ブロックオルガノポリシロキサンポリマーとテトラ−n−プロポキシシランのようなアルコキシシランとを混合した際に架橋が始まる。
【化2】

従って、大気中の湿分は必要ない。通常は、有機スズ塩が触媒として用いられる。しかしながら、それにより、得られるエラストマーの高温における安定性が抑えられてしまう。硬化の副生成物としてアルコールが放出される。
【0019】
この発明によって利用されるヒドロキシ末端ヒンダードアミンポリオルガノシロキサンを架橋させるためのこの分野で認識された方法は、多数存在する。しかしながら、重要なことにこれらは、単独の熱により、周囲温度において触媒により、又は熱及び触媒により、硬化することができる。
【0020】
環状オリゴマーは通常はジメチルジクロロシランの加水分解によって得られるが、ほとんどの用途にとって短すぎる鎖長を有し、従ってこれらはより有用な長さのマクロ分子を得るために重合せしめられる。
【0021】
先行技術においては、長い直鎖を生成させるためのオルガノシロキサン環の開環及び重合は、多くの酸及び塩基化合物によって触媒され、通常は環状オリゴマーとある分布のポリマーとの混合物を平衡状態で与える。環状物の割合は、鎖に沿った置換基、採用した反応温度並びに溶剤の存在及び特性に依存する。
【0022】
シクロシロキサンの開環の速度システムは非常に複雑である。線状シロキサンポリマーは、シクロポリシロキサンをカチオン、アニオン又は放射線開始により開環させることによって合成することができる。カチオンシステムは副反応が起こりやすく、ステップ・アンド・グロウス(step and growth)の組合せメカニズムを採用し、即ちこれらは反応の早期段階において多くの環状物を介して進行し、それによって最終生成物の高い多分散性をもたらす。従って、アニオン開環が好ましい反応システムである。これはもっと狭い分子量分布を与え、しかも良好なモル質量制御をも与える。アルカリ金属は元素の中で最も電気陽性なので、アルカリ金属水酸化物はアニオン開環反応の好ましい開始剤である。
【0023】
最終的な平均ポリマー鎖長は主として、鎖の末端を与えることができる物質、即ち連鎖停止用化合物の存在に依存することが開示されている。また、例えば、KOHを用いた環状(Me2SiO)4の重合においてはポリマー鎖の平均長さはKOH濃度に依存し:
【化3】

上記の混合物を中和して真空下でストリッピングした後に、安定な−OHを末端基とするポリマーHO(Me2SiO)zHを残留環状物から単離することができるということが、教示されている。
【0024】
先行技術には、環状シロキサンの開環によって線状α,ω−ジヒドロキシ末端ポリジオルガノシロキサンポリマーを製造する多くの方法が開示されている。これらの反応においては、例えば英国特許第899657号及び同第1325654号の各明細書に開示されたように、フッ素化スルホン酸、アルキルスルホン酸及び無水ペルフルオロアルカンスルホン酸のような酸触媒が主として用いられてきた。これらの反応は、約50℃〜約200℃まで、長時間加熱し且つ水を除去しながら行われると言われており、即ちこの手順は水の存在を最小限にすることを必要とする。この開環反応(これは通常平衡反応として知られている)の間に、SiO結合が常に開裂し、環状種及び線状種の両方を伴う一連の競合反応で再形成し、平衡分布に達するまで、分子構造を構築する。連鎖停止剤としての働きをするヘキサメチルジシロキサン誘導体のような「末端ブロッカー」を使用することによって、分子量の制御が達成される。
【0025】
代表的な先行技術の米国特許第4689383号明細書には、ジヒドロキシ官能性ジシロキサンが環状ポリシロキサンと反応して2官能性ヒドロキシ末端ポリシロキサンを生成することができると開示されている。分子量は出発ジシロキサン対出発環状シロキサンの比によって制御されると記載されている。この平衡反応は、65℃においてトリフルオロメタンスルホン酸0.1重量%の存在下で行われる。
【0026】
米国特許第3065201号明細書には、環状トリシロキサンの重合はアルカリ金属水酸化物又はアルカリ金属水酸化物のシラン塩のようなアルカリ触媒の存在下で50℃〜150℃の範囲の温度において最も良好に実施されると開示されている。これらのポリマーは通常はトリオルガノシロキサンによって末端ブロックされると教示されている。その有機末端基は多くの場合3,3,3−トリフルオロプロピル及びメチル、又はメチル、エチル、ビニル及びフェニルの任意の組合せである。
【0027】
米国特許第3296199号明細書には、適度な圧力下でKOHのような平衡触媒を用いることによってオクタメチルシクロテトラシロキサンを極めて高分子量に釣り合わせることができると開示されている。得られた高分子量ポリジオルガノシロキサンに次いで調節された量の水を添加して鎖の切断を果たし、かくして所望の粘度を達成する。採用する温度、反応成分の比及び反応の種類に依存して、1時間又はそれ未満ほどの短いものから24時間又はそれ以上までの反応時間も珍しいものではないと教示されている。この文献にはさらに、混合物に所望の粘度を達成させ且つ次いで未反応環状シロキサンのような未反応材料を減圧下で除去することによって、所望のポリマーの回収が容易に達成できると記されている。
【0028】
米国特許第4395526号明細書には、より高分子量の(ジメチルポリシロキサンのような)オルガノポリシロキサンを、該ポリマーの粘度を所望の範囲に調節するために無機酸又は塩基触媒の存在下で水で処理することによって、約100〜約400000cPの範囲又はそれ以上の粘度を有するシラノール末端シリコーンポリマーを製造することができると教示されている。この特許発明でシラノール末端シロキサンの製造において用いられるより高分子量のオルガノポリシロキサンポリマーは、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン又はそれらの混合物のようなシクロシロキサンの平衡反応によって得られると教示されている。これらの高分子量ポリマーは、米国特許第3153007号明細書に教示されたように、最終利用の前に平衡触媒の脱触媒すべきである。
【0029】
低粘度シラノール末端オルガノポリシロキサン、即ち1200cP以下の粘度を有するものは、化学的に組み合わされたジオルガノシロキシ単位から本質的に成るオルガノポリシロキサンを加圧下で水蒸気で処理することによって製造することができるということも、米国特許第4395526号明細書に教示されている。シラノール末端ポリジオルガノシロキサンを製造するために用いることができる他の方法には、より特定的には米国特許第2607792号明細書及び英国特許第835790号明細書に記載されたものがある。
【0030】
米国特許第4748166号明細書には、ジオルガノシクロポリシロキサンを触媒量のアルカリ又は酸試薬によって重合させ、次いでこのポリマーを水で処理することによって、α,ω−ジヒドロキシジオルガノポリシロキサンポリマーを調製することができると開示されている。水の量が増えるにつれて、最終ポリマーの粘度が低下する。残留環状ポリマー並びに低分子量ポリマーは、重合触媒として用いた酸又はアルカリ試薬を中和した後に減圧下で除去されると教示されている。
【0031】
米国特許第3153007号明細書には、有効量(環状ポリマーの重量を基準として0.001〜0.1重量%)のアルカリ金属触媒及び出発シクロオルガノシロキサン100万部当たり30〜1000部の水を用いてシラノール末端キャップ線状ポリオルガノシロキサンを調製する方法が開示されている。
【0032】
数多くの米国特許明細書(2985545号;2607792号;及び2779776号)に、シラノール末端キャップオルガノポリシロキサンを調製するための次の一般的方法が教示されている:環状シロキサンをアルカリ触媒と共に高温に約15分〜2時間又はそれ以上の時間、加熱する;触媒を除去又は中和して、25℃において約700000〜約2000000cPの粘度を有するポリマーを得る。水を添加し且つ150℃〜170℃に加熱するか、又は大気圧以上でポリマー中に水蒸気を所望の粘度低下を果たすのに充分な時間吹き込むかのいずれかにより、シラノール末端キャップを依然として維持しつつ粘度を約50〜約100000cPに低下させることができる。水の使用量は、処理されるポリマーの分子量や、高分子量オルガノポリシロキサンと水との混合物を加熱する時間及び温度、所望の最終粘度等のようなファクターに依存して変えられる。
【0033】
触媒の除去は通常は中和によって行われ、常にシリコーン調製における重要な工程である。シリコーンを調製するために用いられるほとんどの触媒は、特に高温において水の痕跡の存在下では、解重合(鎖に沿った攻撃)をも触媒することがある。当技術分野では、最適重合温度以上では分解又は気化し、従って簡単な過熱によって取り除くことができる変動性触媒が開発されている。これにより、触媒の中和や濾過を回避することができる。しかしながら、KOHのような強無機塩基を触媒として用いた場合には、先行技術(米国特許第3153007号明細書)で推奨されている脱触媒剤及び中和方法は通常は、(a)酢酸で洗浄するもの;(b)元素状ヨウ素を添加するもの;(c)触媒をある種の有機リン化合物で処理するもの;又は(d)ある種の非腐食性ブロモアルカンを用いるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0034】
【特許文献1】米国特許第4247592号明細書
【特許文献2】欧州特許公開第0546231号公報
【特許文献3】米国特許第5540952号明細書
【特許文献4】米国特許第5721297号明細書
【特許文献5】米国特許公開第2004/0083553号明細書
【特許文献6】英国特許第899657号明細書
【特許文献7】英国特許第1325654号明細書
【特許文献8】米国特許第4689383号明細書
【特許文献9】米国特許第3065201号明細書
【特許文献10】米国特許第3296199号明細書
【特許文献11】米国特許第4395526号明細書
【特許文献12】米国特許第3153007号明細書
【特許文献13】英国特許第835790号明細書
【特許文献14】米国特許第4748166号明細書
【特許文献15】米国特許第2985545号明細書
【特許文献16】米国特許第2607792号明細書
【特許文献17】米国特許第2779776号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
上記のヒドロキシ末端シロキサノールを製造するための先行技術の反応は、シロキサン主鎖上への置換基の挿入及び最終ポリマー分子量を制御するのが困難であることがわかったので、制御が容易ではない。本発明の目的は、ヒドロキシ末端立体障害アミノ化ポリオルガノシロキサンポリマー(ヒドロキシを末端基とする立体障害アミノ化ポリオルガノシロキサンポリマー)を所望の分子量に対して非常に制御された態様で製造する方法を提供することである。
【0036】
繰り返すが、本発明は、新規の特定の類のアミノ化シリコーンポリマーであって、注目すべき利点を示し、先行技術の他の既知の化合物の上記の欠点を改善又は回避する前記アミノ化シリコーンポリマー、並びにその独特な製造方法を提供する。さらに、本発明のポリマーは、布帛に塗布して乾燥/硬化させることによって、繊維質材料基材上又は内部における追加の成分の存在を延長させ且つ存在し得るマイクロカプセル化された選別組成物の放出を引き延ばすための耐久性マトリックスを形成することができる。
【0037】
本発明は、先行技術の上記の欠点を改善又は回避する特定の類の立体障害アミノ化シリコーンポリマーの発見に関する。本発明はさらに、これらの新規のポリマーの独特な製造方法を包含する。思いがけないことに、布帛に塗布してマイクロカプセル化された組成物の存在下で乾燥/硬化させた時に、前記シリコーンマトリックスは組成物に強化された耐久性、即ち引き延ばされた放出を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0038】
本発明は、まず最初に、新規のジヒドロキシ末端キャップ立体障害アミノ化ポリオルガノシロキサンポリマー、即ちシラノールで連鎖停止されたポリマー、及びその製造方法の発見に関する。
【0039】
より特定的には、本発明は、次の一般構造の新規の類の立体障害アミノ化シリコーンの独特な調製方法の発見に関する。
【化4】

式中、
【0040】
記号Rは同一であっても異なっていてもよく、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキル基、フェニル基及び3,3,3−トリフルオロプロピル基から選択される一価炭化水素基を表わし;
【0041】
記号R1は同一であっても異なっていてもよく、上で規定したような一価炭化水素基R、ヒドロキシル基及び1〜3個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルコキシ基から選択される基を表わし;
【0042】
記号Vは、次の(a)及び(b):
(a)次式の基:
【化5】

〔ここで、
2は以下のもの:
・2〜18個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキレン基;
・アルキレン部分が直鎖状又は分岐鎖状であって2〜20個の炭素原子を有するアルキレンカルボニル基;
・アルキレン部分が直鎖状又は分岐鎖状であって2〜12個の炭素原子を有し且つシクロヘキシレン部分が−OH基を含有し且つ随意に1〜4個の炭素原子を有するアルキル基1又は2個を含有するアルキレンシクロヘキシレン基;
・式−R5−O−R6−の基(ここで、基R5及びR6は同一であっても異なっていてもよく、1〜12個の炭素原子を有するアルキレン基を表わす);
・式−R5−O−R6−の基(ここで、基R5及びR6は上に示した意味を持つが、それらの一方又は両方が1又は2個の−OH基で置換されているものとする);
・式−R5−COO−R6−及び−R5−OCO−R6−の基(ここで、基R5及びR6は上に与えた意味を持つ);
・式−R7−O−R8−O−CO−R9−の基(ここで、R7、R8及びR9は同一であっても異なっていてもよく、2〜12個の炭素原子を有するアルキレン基を表わし、R8は随意にヒドロキシル基で置換されていてよい):
から選択される二価炭化水素基であり、
Uは−O−又は−NR10−であり、ここで、R10は水素原子、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、上に示した意味を有する二価基R2(その原子価結合の一方は−NR10−の窒素原子に結合し、もう一方はケイ素原子に結合する)及び次式の二価基:
【化6】

{ここで、
2は上に示した意味を持ち、
3及びR4は下に示す意味を持ち、
11は1〜12個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキレン基を表わし、
該二価基(AII)の原子価結合の一方(R11のもの)は−NR10−の窒素原子に結合し、もう一方(R2のもの)はケイ素原子に結合する}
から選択される基であり;
3は同一であっても異なっていてもよく、1〜3個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキル基及びフェニル基から選択される基であり;
4は水素原子又は基R3を表わす〕;
(b)次式の基:
【化7】

{ここで、
12は次式の三価基:
【化8】

(ここで、mは2〜20の数を表わす)
及び次式の三価基:
【化9】

(ここで、nは2〜20の数を表わす)
から選択され;
U'は−O−又は−NR13−を表わし、ここで、R13は水素原子又は1〜6個の炭素原子を有する直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基を表わし;
3及びR4は式AIについて与えたものと同じ意味を持つ}:
より成る群から選択される立体障害ピペリジニル官能性残基を表わし;
【0043】
xは該ポリマーの粘度が25℃において100〜20000cP、好ましくは約500〜約6000、特に好ましくは約1000〜3000cPの範囲になる数であり;そして
x対yの比は5:1〜150:1、好ましくは10:1〜100:1、特に好ましくは約50:1の範囲である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
好ましくは、本発明のポリマーは、
●R及びR1がメチル基であり;
●Vが、
・式AIにおいて
2が2〜18個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキレンを表わし;
Uが−O−又は−NR10−を表わし、ここで、R10は水素原子、メチル、エチル、n−プロピル及びn−ブチル基から選択され;
3がメチル基を表わし;
4が水素原子を表わす:
ピペリジニル基、並びに
・式BIにおいて
12が次式:
【化10】

及び
【化11】

(ここで、mは2〜20の数を表わし、
nは2〜20の数を表わす)
の三価基から選択され;
U'が−O−又は−NR13−を表わし、ここで、R13が水素原子、メチル、エチル、n−プロピル及びn−ブチル基から選択され;
3がメチル基を表わし;
4が水素原子を表わす:
ピペリジニル基
から選択され;
●xが該ポリマーの粘度が25℃において500〜約6000cPの範囲になる数であり;そして
●x対yの比が10:1〜100:1の範囲である:
ポリオルガノシロキサンを含む。
【0045】
特に好ましくは、本発明のポリマーは、
●R及びR1がメチル基であり;
●Vが、式AIにおいて
2がn−プロピレン基を表わし;
Uが−O−を表わし;
3がメチル基を表わし;
4が水素原子を表わす:
ピペリジニル基から選択され;
●xが該ポリマーの粘度が25℃において1000〜約3000cPの範囲になる数であり;そして
x対yの比が約50:1である:
ポリオルガノシロキサンを含む。
【0046】
上記のように、本発明の第1の目的は、ヒドロキシ末端立体障害アミノ化ポリオルガノシロキサンを製造するための独特の方法を提供することにある。一般的にこの方法は、適切な温度及び圧力下での、本明細書に記載されるある種の環状シロキサンとポリメチルピペリジニルシロキサンとの塩基で触媒される反応を伴い、この反応重合生成物の最終粘度は主として、最終工程で採用される水の量及び圧力によって制御される。
【0047】
より特定的には、本発明のヒドロキシ末端アミノ化ポリオルガノシロキサンポリマーの製造のための方法は、本質的に2段階又は2工程の反応プロセスを伴う。
【0048】
第1工程では、反応器中で好ましくは不活性雰囲気下において、シクロシロキサン反応成分(より詳細には下記のもの)とポリメチルピペリジニルシロキサン(より詳細には下記のもの)とを、アルカリ金属触媒及び少量の溶剤の存在下で、接触させる。この反応は高温において平衡まで実施され、高粘度流体、即ちシロキサン主鎖に結合したヒンダードアミン官能基を有する高粘度の線状ヒドロキシ末端ポリオルガノシロキサンポリマー中間体が得られる。この第1段階の反応生成物に水を添加し、混合物を加熱してシロキサン鎖切断を果たして、最終生成物において所望の粘度を得る。
【0049】
有用なヒドロキシ末端キャップ立体障害アミノ化ポリオルガノシロキサンポリマーは、25:1〜80:1の範囲、好ましくは42:1〜60:1の範囲のシクロシロキサン対ピペリジン化合物のモル比で出発反応成分が提供された時に、得られる。
【0050】
第1段階の平衡/置換反応において用いられるアルカリ金属触媒の量は、臨界的なものではない。初期シクロシロキサン反応成分の重量を基準として0.001重量%未満又は約1重量%超のアルカリ金属触媒を用いても、特に利点は導かれない。好ましくは、初期シクロシロキサン反応成分の重量を基準として約0.01重量%〜約0.1重量%のアルカリ金属触媒を存在させる。
【0051】
好ましくは、少量のドナー溶剤を平衡−縮合反応の第1段階に添加する。実際、少量のドナー溶剤を添加することなく本発明の開環を進行させるのは困難である。ドナー溶剤は、対イオンのアルカリ金属イオンの局部的溶媒和を補助する。好ましくは、水、アルコール等のような極性溶剤が用いられ、特に好ましくは水が用いられる。この溶剤は、初期環状ポリシロキサン反応成分の0.005〜約2重量%の範囲で存在させ、好ましくは約0.01〜約0.4重量%の範囲、特に好ましくは約0.05〜約0.2重量%の範囲で存在させるべきである。
【0052】
一般的な指標として、第1段階及び第2段階の両方における温度は、成分を気相中に保つような温度にすべきである。アルカリ金属触媒平衡/置換反応が行われる際の第1段階の特定条件も、臨界的なものではない。この平衡/置換工程は一般的に約80℃〜約175℃の温度で実施される。というのも、この温度範囲が満足できる速度が見出されているからである。80℃未満では反応速度が遅すぎる傾向があり、一方、175℃の温度を超えても利点はないように思われる。もちろんこの方法は、分解蒸留が起こる温度以下又は炭化水素基がケイ素原子から解離する温度以下、即ち常に200℃以下で実施すべきである。
【0053】
一般的に、本発明の反応の第1段階、即ち平衡/置換反応においては、ほぼ大気圧において反応を実施することができるが、しかし大気圧以下又は大気圧以上の圧力も除外されない。場合によっては、特に揮発性塩基を取り扱う場合には、大気圧以上の圧力を採用するのが望ましいこともある。例えば、第1段階において最初により低粘度のシロキサンを調製することが望まれる場合には、所望の低粘度生成物を与えるのに充分な触媒液体濃度にするために、圧力を加えることが必要な場合がある。逆に、この第1段階の平衡/置換における圧力を下げることにより、液体中の触媒の濃度を非常に低い値に下げることができ、従って非常に高い粘度の生成物を得ることができる。
【0054】
本発明の平衡−縮合反応において有用な触媒には、すべてのアルカリ金属水酸化物、即ち水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム及び水酸化セシウムが包含される。好ましい触媒は水酸化カリウムである。
【0055】
平衡−縮合反応の速度を高めるために、特に好ましくは、固体状水酸化カリウムを最初にシリコーンと反応させてこの触媒を液体の形にする。斯かる反応生成物の塩基触媒の代表的なものは、Rhodia社よりRhodia Catalyst 104として販売されているカリウムメチルシロネート(silonate)、15重量%水酸化カリウム溶液である。
【0056】
この反応式において伴われる反応速度は、温度、圧力、塩基触媒濃度及び存在させる水の量によって変化する。一般的に、触媒濃度、温度及び圧力が高いほど、素早く平衡が得られる。
【0057】
最終的なヒドロキシ末端立体障害アミンポリオルガノシロキサンポリマー生成物の所望の粘度は25℃において100〜20000cPの範囲、好ましくは約600〜約6000cPの範囲、特に好ましくは25℃において約1000〜約3000cPの範囲なので、本発明の方法の第2工程又は第2段階は、第1段階で生成した高粘度ポリマー(これらの第1段階粘度は25℃において約700000〜1500000cPの範囲であるのが好ましいが、25℃において約200000〜約2000000cPの粘度を有し得る)を水で処理してポリマーの粘度を下げることを伴う。これは、反応器中のポリマー混合物の表面又は中に水蒸気を吹き込むことによって達成することができるが、しかし本発明の好ましい方法は、反応混合物に直接水を添加するものである。水の添加量は処理されるポリマーの分子量、高分子量ヒドロキシ末端立体障害アミンポリオルガノシロキサンポリマーと水との混合物が加熱される時間及び温度、所望の最終粘度等のようなファクターに応じて変化する。一般的に、シロキサン鎖の切断を果たすために添加される水の重量%は、初期シクロシロキサン反応成分の約0.01重量%〜約4.0重量%の範囲、好ましくは元のシクロシロキサン反応成分の重量を基準として約0.05〜約2.0重量%の範囲、特に好ましくは約0.1〜約1.5重量%の範囲とする。
【0058】
鎖切断が行われる温度は、一般的に第1段階において有用であると開示したものと同じ範囲である。
【0059】
本発明の方法の第2工程の鎖切断において圧力を調節することによって、第1段階の高粘度ポリマー中間体に対して鎖切断を達成するために利用可能な水の量を容易に調節することができ、従って最終ポリマー生成物の最終粘度を容易に調節することができる。一般的に、良好な切断をもたらし、それによって最終的な粘度調節をもたらすのには、約1〜3気圧の圧力で充分である。
【0060】
これらの工程の反応は、一定粘度が得られて系が平衡になるまで続けるのが好ましい。平衡が達成されるのに必要な時間は、反応器の寸法や形態のような多くのファクターに応じて変化するが、しかし一般的には第1段階の平衡/置換反応は約15分間〜約5時間、好ましくは2〜4時間で実現され;第2段階の切断反応は一般的に約30分間〜3時間、好ましくは約1〜2時間で達成される。
【0061】
鎖切断反応の終了時に、適当な酸中和剤を所定量添加することによって媒体を中性pHにする。酸中和剤は、好ましくは液状シロキサン反応製品の形にあるもの;特に好ましくはRhodia社よりRhodasil Solution 110の商品名で販売されているもののようなメタホスホン酸ポリジメチルシロキサンである。
【0062】
次いで反応混合物を好ましくは真空下でシリコーン揮発性物質及び過剰分の水のストリッピングに付して所望の生成物を単離する。
【0063】
本発明の方法において第1の反応成分として有用な環状ポリオキシシロキサンは、次の式の化合物である。
【化12】

(ここで、記号Rは同一であっても異なっていてもよく、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキル基から選択される一価炭化水素基、ヒドロキシル基、1〜3個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルコキシ基、フェニル基及び3,3,3−トリフルオロプロピル基より成る群から選択され;そして
qは3〜6の範囲の数である。)
【0064】
好ましくは、Rはメチル基を表わし;qは4であり、即ち、好ましい環状ポリシロキサン成分はオクタメチルシクロテトラシロキサンである。
【0065】
もう一方の反応成分は、立体障害ピペリジニル官能基(V)が水素化ケイ素と下記の(a)及び(b)より成る群から選択されるピペリジン化合物との反応から得られたものであるポリ[(メチル)(立体障害ピペリジニル官能基)]シロキサンである。
(a)次式の化合物:
【化13】

〔ここで、
14は以下のもの:
・2〜18個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキレン基;
・アルキレン部分が直鎖状又は分岐鎖状であって2〜20個の炭素原子を有するアルキレンカルボニル基;
・アルキレン部分が直鎖状又は分岐鎖状であって2〜12個の炭素原子を有し且つシクロヘキシレン部分が−OH基を含有し且つ随意に1〜4個の炭素原子を有するアルキル基1又は2個を含有するアルキレンシクロヘキシレン基;
・式R5−O−R6−の基(ここで、基R5及びR6は同一であっても異なっていてもよく、1〜12個の炭素原子を有するアルキレン基を表わす);
・式R5−O−R6−の基(ここで、基R5及びR6は上に示した意味を持つが、それらの一方又は両方が1又は2個の−OH基で置換されているものとする);
・式R5−COO−R6−及びR5−OCO−R6−の基(ここで、基R5及びR6は上に与えた意味を持つ);
・式R7−O−R8−O−CO−R9−の基(ここで、R7、R8及びR9は同一であっても異なっていてもよく、2〜12個の炭素原子を有するアルキレン基を表わし、基R8は随意にヒドロキシル基で置換されていてよい):
から選択される一価炭化水素基であり;
Uは−O−又は−NR10−であり、ここで、R10は水素原子、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、二価基R16{これは、次のもの:
・2〜18個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキレン基;
・アルキレン部分が直鎖状又は分岐鎖状であって2〜20個の炭素原子を有するアルキレンカルボニル基;
・アルキレン部分が直鎖状又は分岐鎖状であって2〜12個の炭素原子を有し且つシクロヘキシレン部分が−OH基を含有し且つ随意に1〜4個の炭素原子を有するアルキル基1又は2個を含有するアルキレンシクロヘキシレン基;
・式−R5−O−R6−の基(ここで、基R5及びR6は同一であっても異なっていてもよく、1〜12個の炭素原子を有するアルキレン基を表わす);
・式−R5−O−R6−の基(ここで、基R5及びR6は上に示した意味を持つが、それらの一方又は両方が1又は2個の−OH基で置換されているものとする);
・式−R5−COO−R6−及び−R5−OCO−R6−の基(ここで、基R5及びR6は上に与えた意味を持つ);
・式−R7−O−R8−O−CO−R9−の基(ここで、R7、R8及びR9は同一であっても異なっていてもよく、2〜12個の炭素原子を有するアルキレン基を表わし、基R8は随意にヒドロキシル基で置換されていてよい):
から選択される}、並びに次式(AII)の二価基:
【化14】

(ここで、
2はR16について上に与えた意味を持ち、
3及びR4は下に示す意味を持ち、
11は1〜12個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキレン基を表わす)
から選択される基であり;
3は同一であっても異なっていてもよく、1〜3個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキル基及びフェニル基から選択される基であり;
4は水素原子又は基R3を表わす〕;
(b)次式の化合物:
【化15】

{ここで、
15は次式の二価基:
【化16】

(ここで、tは0〜18の数を表わす)
及び次式の二価基:
【化17】

(ここで、uは0〜18の数を表わす)
から選択され;
U'は−O−又は−NR13−を表わし、ここで、R13は水素原子又は1〜6個の炭素原子を有する直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基を表わし;
3及びR4は式DIについて与えたものと同じ意味を持つ}。
【0066】
好ましくは、本発明の方法における第2反応成分のポリメチルピペリジニルシロキサンを調製するのに有用なピペリジン化合物は、次の(a)及び(b)より成る群から選択される。
(a)次式の化合物:
【化18】

(ここで、
14は2〜18個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状一価アルキレンを表わし、
Uは−O−又は−NR10−であり、ここで、R10は水素原子、メチル、エチル、n−プロピル及びn−ブチル基から選択され;
3はメチル基を表わし;
4は水素原子を表わす);
(b)次式の化合物:
【化19】

{ここで、
15は次式の二価基:
【化20】

(ここで、tは0〜18の数を表わす)
及び次式の二価基:
【化21】

(ここで、uは0〜18の数を表わす)
から選択され;
U'は−O−又は−NR13−を表わし、ここで、R13は水素原子、メチル、エチル、n−プロピル及びn−ブチル基から選択され;
3はメチル基を表わし;そして
4は水素原子を表わす}。
【0067】
特に好ましくは、本発明の方法における第2反応成分のポリメチルピペリジニルシロキサンを調製するに当たって用いられるピペリジン化合物は、2,2,6,6−テトラメチル−4−(2−プロペニルオキシ)ピペリジンである。
【0068】
上記のように、本発明のジヒドロキシポリマーは、セルロース繊維及び蛋白繊維を含む天然繊維、合成繊維並びにそれらのブレンドの織布及び編布用の優れた仕上げ剤である。「セルロース繊維」とは、セルロースを含む繊維を意味し、綿、亜麻布(リンネル)、亜麻(フラックス)、レーヨン、セルロースアセテート、セルローストリアセテート及び麻繊維が包含されるが、これらに限定されるわけではない。「蛋白繊維」とは、蛋白質を含む繊維を意味し、羊毛、例えば羊、アルパカ、ビクーナ、モヘア、カシミヤ、ラクダ及びラマの毛、並びに毛皮、スエード及び絹が包含されるが、これらに限定されるわけではない。「合成繊維」とは、天然に存在するフィラメントからは調製されない繊維を意味し、ポリエステル、ポリアミド(例えばナイロン)、ポリアクリル及びポリウレタン(例えばスパンデックス)のような合成材料から成る繊維が包含されるが、これらに限定されるわけではない。合成繊維には、石油製品から作られた繊維も包含される。本発明の処理剤はまた、他の材料、例えば木部繊維、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維及び炭化ケイ素繊維を処理するために用いることもできる。処理される形状は、フィラメント、糸、テキスタイル、織製品、不織繊維等であることができる。しかしながら、効率よく且つ継続的な処理を可能にするためには、シートの形の基材を処理するのが好ましい。
【0069】
布帛の仕上げに本発明のポリマーを使用することによって、非常に滑らかで柔らかくて弾性がある手ざわり効果をこれらの布帛にもたらすことができるだけではなく、布帛の洗浄及び摩耗特性を改善し、摩耗減量を減らし、布帛の縫製性を強化し、引裂及びピリング耐性を強化することもできる。思いがけないことに、本発明の処理剤は布帛用の「ダウンプルーフ」仕上げを作るのにも有用である。これらの仕上げは布帛中の編み目の寸法を小さくし、それによってダウン、ファイバーフィル(繊維充填材)又は他の断熱保温材料が布帛を通り抜けるのを防止し、仕上げ物品からの断熱保温材料の損失を防止することができる。
【0070】
前記ポリマーは、単独で、他の仕上げ剤と一緒に、又は仕上げ浴中の他の成分と一緒に、布帛に塗布することができる。追加の成分は通常、仕上げされたテキスタイル布帛又は紙の特徴を強化するための添加剤である。これらの添加剤は一般的に、湿潤剤、染料固定剤、防汚剤、抗摩耗用添加剤、抗菌剤、光沢剤、撥汚剤、色増強剤、摩損防止用添加剤、UV吸収剤及び難燃剤から選択される。
【0071】
湿潤剤は、紙及びテキスタイル仕上げの分野においてよく知られており、一般的にノニオン性界面活性剤、特にエトキシル化ノニルフェノールである。
【0072】
染料固定剤/定着剤は、商品として入手できる材料であって、染色した布帛の外観を、洗濯した際の布帛から染料の損失を最小限にすることによって改善するように設計されたものである。多くのものはカチオン性であり、第四級窒素化合物又は使用条件下でその場で形成される強カチオン電荷を有する窒素化合物をベースとする。
【0073】
追加の防汚性/撥汚性については、仕上げ用エマルションに防汚剤を添加することができ、これは一般的にフルオロポリマー、フルオロアルコール、フルオロエーテル、フルオロ界面活性剤、アニオン性ポリマー(例えばポリアクリル酸、ポリ酸/スルホネート等)、ポリエーテル(例えばPEG)、親水性ポリマー(例えばポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール)及び疎水性ポリマー(例えばシリコーン流体、炭化水素及びアクリレート)から選択される。
【0074】
追加の抗摩耗特徴については、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリアクリルアミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール及びポリエチレングリコールのようなポリマーから一般的に選択される添加剤を用いることができる。
【0075】
前記エマルション中に添加することができる有用な抗菌剤は、当技術分野においてよく知られており、第四級アンモニウム含有材料、第四級シラン、ハラミン類、キトサン及びそれらの各種誘導体等を包含する。
【0076】
蛍光増白剤又は増白剤は仕上げ用組成物中に添加剤としてしばしば用いられており、スチルベン、ピラゾリン、クマリン、カルボン酸、メチンシアニン、ジベンゾチオフェン−5,5−ジオキシド、アゾール類、5員及び6員ヘテロ環並びに当技術分野においてよく知られた他の種々雑多な物質を包含する。
【0077】
布帛基材上の本発明のポリマーを単に乾燥させるだけで、長く続く効果を得ることができるということが観察された。
【0078】
本発明のポリマーはまた、紙材料、特に最終用途における紙材料、例えばペーパータオル、トイレットペーパー、家庭用又は衛生用吸取り紙、紙ハンカチ又は良好な吸取り特性、良好な機械的濡れ強度、良好な再パルプ化適性及び柔らかい感触を必要とする他の任意の紙に仕上げコーティングを提供するのにも、非常に有用である。
【0079】
本発明のポリオルガノシロキサンを含有する仕上げ用組成物の繊維質材料基材、例えば布帛又は紙への塗布は、非常に様々な形で実施することができる。好ましい塗布技術はパジングであるが、しかし用いることができるその他のものとして、慣用のキスロール塗布、グラビアロール塗布、印刷、フォーム仕上げ、真空抽出、スプレー塗布、又はテキスタイル及び紙の分野において周知の他の任意の既存の手段も包含される。一般的に、パジング法が最も高い組成物ウエットピックアップをもたらす。
【0080】
仕上げ用組成物から基材に付着させるオルガノシロキサンの量は通常、処理すべき物質の元々の乾燥重量に対して0.01〜10重量%程度、好ましくは0.1〜2重量%程度である。処理用組成物が水性エマルションから成る場合には、ウエットピックアップは、好ましくは基材の少なくとも20重量%、より一層好ましくは約50〜100重量%である。エマルション中のシリコーンの濃度は、布帛又は紙基材上に所望の量のポリマーを提供するように調節することができる。
【0081】
濡れた繊維質材料の乾燥は一般的に、当分野における標準的な装置(例えばシリンダ乾燥機(dry can)、ローラーオーブン、ループオーブン、テンターフレーム、ドラム及びコンベアードライヤー、並びにタンブルドライヤー)を用いて約120℃〜約150℃において実施することができる。
【0082】
上記のように本発明のポリマーは単独で望ましい「手ざわり」及び「耐黄変」特性を提供することができるが、これらは布帛に塗布して硬化させることができる組成物中に架橋剤と共に配合することができる。この架橋した樹脂は、マイクロカプセル化された選別成分用のマトリックスを提供して、ある種の活性成分を徐々に放出するいわゆる「スマートファブリック」を作ることができる。本発明のポリマーを利用するマトリックスはまた、マイクロカプセル化材料の耐久性をも強化する。
【0083】
マイクロカプセル化して布帛上又は内に組み込まれる活性成分には、生物治療剤、例えばビタミン、医薬、例えば抗菌剤、及び脱毛剤;熱を蓄積・放出する相変化剤;昆虫忌避剤;アロマ、例えば香料;臭気吸収剤;変色性組成物、例えば光互変性化合物、即ち光の変化と共に色が変化する化合物、又は熱互変性化合物、即ち温度の変化と共に色が変化する化合物を含有するもの;保湿剤、例えばアロエベラ;並びに難燃剤が包含される。
【0084】
作業例又は別途記載がある場合を除いて、本明細書において採用される成分の量や反応条件を表わすすべての数値は、すべての場合において用語「約」によって改変されるものと理解すべきである。
【実施例】
【0085】
以下、複数の特定実施例を参照して本発明を説明する。これらの例は、本発明の方法及び組成物の単なる例示と見なすべきものであり、本発明の範囲を制限するものではない。すべての百分率は、別途記載がない限り重量による。
【0086】
以下の実施例において、KOH塩基触媒はRhodia社より販売されているRhodia Catalyst 104、カリウムメチルシロネートであり、酸タイプの触媒中和剤はRhodia社より販売されているRhodasil Solution 110、メタホスホン酸ポリジメチルシロキサンである。
【0087】
例1
【0088】
ステンレス鋼製加圧反応器を25インチHg(635mmHg)の真空下に20分間置き、次いで密封する。窒素によって0気圧に真空を解除する。この反応器に室温において40.0kgのオクタメチルシクロテトラシロキサン及び2.85kgのポリメチル−プロピル−3−オキシ[4−(2,2,6,6−テトラメチル)ピペリジニル]シロキサンを導入し、撹拌する。この反応器を再び約15インチHg(381mmHg)の真空下に置き、密封する。反応器の内容物を157℃に加熱する。反応器内の圧力が0psi(0MPa)に低下した時に、反応器に脱塩水の第1の部分(48.52g)を導入し、次いでKOH塩基触媒20.1gを導入する。この反応混合物をこの温度において約3時間反応させ、この時間の間、約2〜5psi(14〜34kPa)の正圧を保つ。3時間の期間の終わりに、脱塩水の第2の部分(450g)を1時間かけて少しずつ添加し、この時間の間に反応器内の圧力を徐々に約37psi(255kPa)に高める。次いでこの反応を約45psi(310kPa)の圧力において155℃にもう1時間保つ。次いでKOH塩基触媒を酸タイプの触媒40.2gで中和する。次いでこのバッチを155℃において真空を用いてそのシリコーン揮発性物質及び過剰分の未反応水のストリッピングに付す。生成物は外観が透明であり、25℃において2060cPの粘度、1.6%の揮発性物質含有率、27.46ミリ当量/100gのアミン指数及び(OH%)に関して表わして0.12%のシラノール含有率を有していた。
【0089】
例II
【0090】
ステンレス鋼製加圧反応器を25インチHg(635mmHg)の真空下に20分間置き、次いで密封する。次いで窒素によって0気圧に真空を解除する。この反応器に室温において924.0kgのオクタメチルシクロテトラシロキサン、65.8kgのポリメチル−プロピル−3−オキシ[4−(2,2,6,6−テトラメチル)ピペリジニル]シロキサン及び1.1kgの脱塩水(第1の部分)の混合物を導入し、撹拌する。反応器の内容物を160℃に加熱し、このバッチにKOH塩基触媒464gを導入する。反応混合物をこの温度において約3時間反応させておき、この期間の間、約0.8バールの正圧を保つ。3時間の期間の終わりに、脱塩水の第2の部分(3.0kg)を添加する。まもなく、反応器内の圧力が上昇し始めて、約1.2バールまで上昇する。圧力を解放し、調節して0.8バールに戻す。この期間の間、反応を160℃に1.5時間保つ。次いでKOH塩基触媒を酸タイプの触媒928gで中和する。中和プロセスの終わりに、このバッチを160℃において真空を用いてそのシリコーン揮発性物質及び過剰分の未反応水のストリッピングに付す。生成物は外観が透明であり、25℃において1400cPの粘度、1.19%の揮発性物質含有率、29.10ミリ当量/100gのアミン指数及び(OH%)に関して表わして0.142%のシラノール含有率を有していた。
【0091】
例III
【0092】
ステンレス鋼製加圧反応器を25インチHg(635mmHg)の真空下に20分間置き、次いで密封する。窒素によって0気圧に真空を解除する。この反応器に室温において924.0kgのオクタメチルシクロテトラシロキサン、65.8kgのポリメチル−プロピル−3−オキシ[4−(2,2,6,6−テトラメチル)ピペリジニル]シロキサン及び1.1kgの脱塩水(第1の部分)の混合物を導入し、撹拌する。反応器の内容物を150℃に加熱し、このバッチにKOH塩基触媒464gを導入する。反応混合物をこの温度において約3時間反応させておき、この期間の間、約0.8バールの正圧を保つ。3時間の期間の終わりに、脱塩水の第2の部分(6.0kg)を添加する。まもなく、反応器内の圧力が150℃において約1.9バールまで上昇し、反応器をこれらの条件下に1.5時間保つ。次いでKOH塩基触媒を酸タイプの触媒928gで中和する。中和プロセスの終わりに、このバッチを150℃において真空を用いてそのシリコーン揮発性物質及び過剰分の未反応水のストリッピングに付す。生成物は外観が透明であり、25℃において800cPの粘度、1.7%の揮発性物質含有率、28.02ミリ当量/100gのアミン指数及び(OH%)に関して表わして0.182%のシラノール含有率を有していた。
【0093】
本明細書において引用し又は示した各特許、特許出願、刊行物及び文献/レポートは、参考用に取り入れる。
【0094】
以上、好ましい実施形態を特に参照して本発明を詳細に説明してきたが、上に記載して添付した特許請求の範囲に規定した本発明の思想及び範囲内で変更及び修整を為すことができることが理解されるだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシ末端キャップ立体障害アミノ化ポリオルガノシロキサンの製造方法であって、次の工程:
●アルカリ金属触媒及び溶剤の存在下で、
・次式の環状ポリシロキサン:
【化1】

(ここで、記号Rは同一であっても異なっていてもよく、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキル基から選択される一価炭化水素基、ヒドロキシル基、1〜3個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルコキシ基、フェニル基及び3,3,3−トリフルオロプロピル基より成る群から選択され;そして
qは3〜6の範囲の数である);及び
・ポリ[(メチル)(立体障害ピペリジニル官能基)]シロキサン
を含む組成物を用いて高分子量ポリシロキサン中間体を調製するための平衡−置換反応を実施する工程;並びに
●反応平衡においてヒドロキシ末端キャップ立体障害アミノ化ポリオルガノシロキサンポリマーの粘度が25℃において100〜20000cPとなるように前記ポリシロキサン中間体の鎖切断反応を実施するのに充分な量の水を添加する工程:
を含む、前記方法
[ここで、前記立体障害ピペリジニル官能基は、水素化ケイ素とピペリジン化合物とを反応させることによって得られたものであり、
前記ピペリジン化合物は、次の(a)及び(b)より成る群から選択される:
(a)次式の化合物:
【化2】

〔ここで、
14は以下のもの:
・2〜18個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキレン基;
・アルキレン部分が直鎖状又は分岐鎖状であって2〜20個の炭素原子を有するアルキレンカルボニル基;
・アルキレン部分が直鎖状又は分岐鎖状であって2〜12個の炭素原子を有し且つシクロヘキシレン部分が−OH基を含有し且つ随意に1〜4個の炭素原子を有するアルキル基1又は2個を含有するアルキレンシクロヘキシレン基;
・式R5−O−R6−の基(ここで、基R5及びR6は同一であっても異なっていてもよく、1〜12個の炭素原子を有するアルキレン基を表わす);
・式R5−O−R6−の基(ここで、基R5及びR6は上に示した意味を持つが、それらの一方又は両方が1又は2個の−OH基で置換されているものとする);
・式R5−COO−R6−及びR5−OCO−R6−の基(ここで、基R5及びR6は上に与えた意味を持つ);
・式R7−O−R8−O−CO−R9−の基(ここで、R7、R8及びR9は同一であっても異なっていてもよく、2〜12個の炭素原子を有するアルキレン基を表わし、基R8は随意にヒドロキシル基で置換されていてよい):
から選択される一価炭化水素基であり;
Uは−O−又は−NR10−であり、ここで、R10は水素原子、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、二価基R16{これは、次のもの:
・2〜18個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキレン基;
・アルキレン部分が直鎖状又は分岐鎖状であって2〜20個の炭素原子を有するアルキレンカルボニル基;
・アルキレン部分が直鎖状又は分岐鎖状であって2〜12個の炭素原子を有し且つシクロヘキシレン部分が−OH基を含有し且つ随意に1〜4個の炭素原子を有するアルキル基1又は2個を含有するアルキレンシクロヘキシレン基;
・式−R5−O−R6−の基(ここで、基R5及びR6は同一であっても異なっていてもよく、1〜12個の炭素原子を有するアルキレン基を表わす);
・式−R5−O−R6−の基(ここで、基R5及びR6は上に示した意味を持つが、それらの一方又は両方が1又は2個の−OH基で置換されているものとする);
・式−R5−COO−R6−及び−R5−OCO−R6−の基(ここで、基R5及びR6は上に与えた意味を持つ);
・式−R7−O−R8−O−CO−R9−の基(ここで、R7、R8及びR9は同一であっても異なっていてもよく、2〜12個の炭素原子を有するアルキレン基を表わし、基R8は随意にヒドロキシル基で置換されていてよい):
から選択される}、並びに次式(AII)の二価基:
【化3】

(ここで、
2はR16について上に与えた意味を持ち、
3及びR4は下に示す意味を持ち、
11は1〜12個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキレン基を表わす)
から選択される基であり;
3は同一であっても異なっていてもよく、1〜3個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキル基及びフェニル基から選択される基であり;
4は水素原子又は基R3を表わす〕;
(b)次式の化合物:
【化4】

{ここで、
15は次式の二価基:
【化5】

(ここで、tは0〜18の数を表わす)
及び次式の二価基:
【化6】

(ここで、uは0〜18の数を表わす)
から選択され;
U'は−O−又は−NR13−を表わし、ここで、R13は水素原子又は1〜6個の炭素原子を有する直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基を表わし;
3及びR4は式DIについて与えたものと同じ意味を持つ}]。
【請求項2】
前記平衡−置換反応及び切断反応における温度及び圧力が、すべての成分が気相中に保たれるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記環状ポリシロキサンがオクタメチルシクロテトラシロキサンである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ピペリジン化合物が次の(a)及び(b):
(a)次式の化合物:
【化7】

(ここで、
14は2〜18個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状一価アルキレンを表わし、
Uは−O−又は−NR10−であり、ここで、R10は水素原子、メチル、エチル、n−プロピル及びn−ブチル基から選択され;
3はメチル基を表わし;
4は水素原子を表わす);
(b)次式の化合物:
【化8】

{ここで、
15は次式の二価基:
【化9】

(ここで、tは0〜18の数を表わす)
及び次式の二価基:
【化10】

(ここで、uは0〜18の数を表わす)
から選択され;
U'は−O−又は−NR13−を表わし、ここで、R13は水素原子、メチル、エチル、n−プロピル及びn−ブチル基から選択され;
3はメチル基を表わし;そして
4は水素原子を表わす}
より成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ピペリジン化合物が2,2,6,6−テトラメチル−4−(2−プロペニルオキシ)ピペリジンである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記環状ポリシロキサン対前記ピペリジン化合物のモル比を25:1〜80:1の範囲とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
アルカリ金属触媒の使用量が前記環状ポリシロキサンの重量を基準として0.001〜1重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記触媒が水酸化カリウムである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記溶剤の使用量が前記環状ポリシロキサンの重量を基準として0.005〜2重量%の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記溶剤が水である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記鎖切断反応を実施するための水を、前記環状ポリシロキサンの重量を基準として約0.01〜4.0重量%の量で存在させる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
次式のヒドロキシ末端キャップ立体障害アミノ化ポリオルガノシロキサンポリマー。
【化11】

[式中、
記号Rは同一であっても異なっていてもよく、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキル基、フェニル基及び3,3,3−トリフルオロプロピル基から選択される一価炭化水素基を表わし;
記号R1は同一であっても異なっていてもよく、上で規定したような一価炭化水素基R、ヒドロキシル基及び1〜3個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルコキシ基から選択される基を表わし;
記号Vは、次の(a)及び(b):
(a)次式の基:
【化12】

〔ここで、
2は以下のもの:
・2〜18個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキレン基;
・アルキレン部分が直鎖状又は分岐鎖状であって2〜20個の炭素原子を有するアルキレンカルボニル基;
・アルキレン部分が直鎖状又は分岐鎖状であって2〜12個の炭素原子を有し且つシクロヘキシレン部分が−OH基を含有し且つ随意に1〜4個の炭素原子を有するアルキル基1又は2個を含有するアルキレンシクロヘキシレン基;
・式−R5−O−R6−の基(ここで、基R5及びR6は同一であっても異なっていてもよく、1〜12個の炭素原子を有するアルキレン基を表わす);
・式−R5−O−R6−の基(ここで、基R5及びR6は上に示した意味を持つが、それらの一方又は両方が1又は2個の−OH基で置換されているものとする);
・式−R5−COO−R6−及び−R5−OCO−R6−の基(ここで、基R5及びR6は上に与えた意味を持つ);
・式−R7−O−R8−O−CO−R9−の基(ここで、R7、R8及びR9は同一であっても異なっていてもよく、2〜12個の炭素原子を有するアルキレン基を表わし、R8は随意にヒドロキシル基で置換されていてよい):
から選択される二価炭化水素基であり、
Uは−O−又は−NR10−であり、ここで、R10は水素原子、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、上に示した意味を有する二価基R2(その原子価結合の一方は−NR10−の窒素原子に結合し、もう一方はケイ素原子に結合する)及び次式の二価基:
【化13】

{ここで、
2は上に示した意味を持ち、
3及びR4は下に示す意味を持ち、
11は1〜12個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキレン基を表わし、
該二価基(AII)の原子価結合の一方(R11のもの)は−NR10−の窒素原子に結合し、もう一方(R2のもの)はケイ素原子に結合する}
から選択される基であり;
3は同一であっても異なっていてもよく、1〜3個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキル基及びフェニル基から選択される基であり;
4は水素原子又は基R3を表わす〕;
(b)次式の基:
【化14】

{ここで、
12は次式の三価基:
【化15】

(ここで、mは2〜20の数を表わす)
及び次式の三価基:
【化16】

(ここで、nは2〜20の数を表わす)
から選択され;
U'は−O−又は−NR13−を表わし、ここで、R13は水素原子又は1〜6個の炭素原子を有する直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基を表わし;
3及びR4は式AIについて与えたものと同じ意味を持つ}:
より成る群から選択される立体障害ピペリジニル官能性残基を表わし;
xは該ポリマーの粘度が25℃において100〜20000cPの範囲になる数であり;そして
x対yの比は5:1〜150:1の範囲である。]
【請求項13】
xが25℃において1000〜3000cPの範囲にある、請求項12に記載のポリシロキサン。
【請求項14】
x対yの比が10:1〜100:1の範囲にある、請求項12に記載のポリシロキサン。
【請求項15】
R及びR1がメチル基であり;
Vが
・式AIにおいて
2が2〜18個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキレンを表わし;
Uが−O−又は−NR10−を表わし、ここで、R10は水素原子、メチル、エチル、n−プロピル及びn−ブチル基から選択され;
3がメチル基を表わし;
4が水素原子を表わす:
ピペリジニル基、並びに
・式BIにおいて
12が次式:
【化17】

及び
【化18】

(ここで、mは2〜20の数を表わし、
nは2〜20の数を表わす)
の三価基から選択され;
U'が−O−又は−NR13−を表わし、ここで、R13が水素原子、メチル、エチル、n−プロピル及びn−ブチル基から選択され;
3がメチル基を表わし;
4が水素原子を表わす:
ピペリジニル基:
から選択され;
xが該ポリマーの粘度が25℃において600〜約6000cPの範囲になる数であり;そして
x対yの比が10:1〜100:1の範囲である:
請求項12に記載のポリシロキサン。
【請求項16】
R及びR1がメチル基であり;
Vが、式AIにおいて
・R2がn−プロピレン基を表わし;
・Uが−O−を表わし;
・R3がメチル基を表わし;
・R4が水素原子を表わす:
ピペリジニル基から選択され;
xが該ポリマーの粘度が25℃において1000〜約3000cPの範囲になる数であり;そして
x対yの比が約50:1である:
請求項15に記載のポリシロキサン。
【請求項17】
請求項1に記載の方法によって調製されたヒドロキシ末端立体障害アミノ化ポリオルガノシロキサンポリマー。
【請求項18】
請求項3に記載の方法によって調製されたヒドロキシ末端立体障害アミノ化ポリオルガノシロキサンポリマー。
【請求項19】
請求項4に記載の方法によって調製されたヒドロキシ末端立体障害アミノ化ポリオルガノシロキサンポリマーであって、前記環状シロキサン反応成分がオクタメチルシクロテトラシロキサンである、前記ポリオルガノシロキサンポリマー。
【請求項20】
請求項1に記載の方法によって調製されたヒドロキシ末端立体障害アミノ化ポリオルガノシロキサンポリマーであって、前記環状シロキサン反応成分がオクタメチルシクロテトラシロキサンであり且つ前記ピペリジン化合物が2,2,6,6−テトラメチル−4−(2−プロペニルオキシ)ピペリジンである、前記ポリオルガノシロキサンポリマー。
【請求項21】
繊維質材料を状態調節する方法であって、
次式のヒドロキシ末端キャップ立体障害アミノ化ポリオルガノシロキサンポリマー:
【化19】

[式中、
記号Rは同一であっても異なっていてもよく、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキル基、フェニル基及び3,3,3−トリフルオロプロピル基から選択される一価炭化水素基を表わし;
記号R1は同一であっても異なっていてもよく、上で規定したような一価炭化水素基R、ヒドロキシル基及び1〜3個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルコキシ基から選択される基を表わし;
記号Vは、次の(a)及び(b):
(a)次式の基:
【化20】

〔ここで、
2は以下のもの:
・2〜18個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキレン基;
・アルキレン部分が直鎖状又は分岐鎖状であって2〜20個の炭素原子を有するアルキレンカルボニル基;
・アルキレン部分が直鎖状又は分岐鎖状であって2〜12個の炭素原子を有し且つシクロヘキシレン部分が−OH基を含有し且つ随意に1〜4個の炭素原子を有するアルキル基1又は2個を含有するアルキレンシクロヘキシレン基;
・式−R5−O−R6−の基(ここで、基R5及びR6は同一であっても異なっていてもよく、1〜12個の炭素原子を有するアルキレン基を表わす);
・式−R5−O−R6−の基(ここで、基R5及びR6は上に示した意味を持つが、それらの一方又は両方が1又は2個の−OH基で置換されているものとする);
・式−R5−COO−R6−及び−R5−OCO−R6−の基(ここで、基R5及びR6は上に与えた意味を持つ);
・式−R7−O−R8−O−CO−R9−の基(ここで、R7、R8及びR9は同一であっても異なっていてもよく、2〜12個の炭素原子を有するアルキレン基を表わし、R8は随意にヒドロキシル基で置換されていてよい):
から選択される二価炭化水素基であり、
Uは−O−又は−NR10−であり、ここで、R10は水素原子、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、上に示した意味を有する二価基R2(その原子価結合の一方は−NR10−の窒素原子に結合し、もう一方はケイ素原子に結合する)及び次式の二価基:
【化21】

{ここで、
2は上に示した意味を持ち、
3及びR4は下に示す意味を持ち、
11は1〜12個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキレン基を表わし、
該二価基(AII)の原子価結合の一方(R11のもの)は−NR10−の窒素原子に結合し、もう一方(R2のもの)はケイ素原子に結合する}
から選択される基であり;
3は同一であっても異なっていてもよく、1〜3個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキル基及びフェニル基から選択される基であり;
4は水素原子又は基R3を表わす〕;
(b)次式の基:
【化22】

{ここで、
12は次式の三価基:
【化23】

(ここで、mは2〜20の数を表わす)
及び次式の三価基:
【化24】

(ここで、nは2〜20の数を表わす)
から選択され;
U'は−O−又は−NR13−を表わし、ここで、R13は水素原子又は1〜6個の炭素原子を有する直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基を表わし;
3及びR4は式AIについて与えたものと同じ意味を持つ}:
より成る群から選択される立体障害ピペリジニル官能性残基を表わし;
xは該ポリマーの粘度が25℃において100〜20000cPの範囲になる数であり;そして
x対yの比は5:1〜150:1の範囲である]
を含む組成物に前記繊維質材料を接触させ;そして
前記組成物を乾燥させることによって状態調節された繊維質材料を得る:
ことを含む、前記状態調節方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法によって得られた状態調節された繊維質材料。
【請求項23】
状態調節された材料がさらにマイクロカプセル化された選別化合物を含有する、請求項22に記載の状態調節された繊維質材料。

【公表番号】特表2010−512425(P2010−512425A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535059(P2009−535059)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061541
【国際公開番号】WO2008/052941
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(507421304)ブルースター・シリコーン・フランス・エスアエス (62)
【氏名又は名称原語表記】BLUESTAR SILICONES FRANCE SAS
【住所又は居所原語表記】21,AVENUE GEORGES POMPIDOU F−69486 LYON CEDEX 03 FRANCE
【Fターム(参考)】