説明

改善された混練および粘度特性を持つ水酸化マグネシウム

新規な水酸化マグネシウム難燃剤、スラリーからこれらを製造する方法、およびこれらの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鉱物質の難燃剤に関する。特に、本発明は、新規な水酸化マグネシウム難燃剤、これらを製造する方法、およびこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
水酸化マグネシウムを製造する方法は多数存在する。例えば、在来のマグネシウム法においては、塩化マグネシウム溶液の噴霧培焼により得られる酸化マグネシウムを水和することにより、水酸化マグネシウムが製造可能であるということが知られている。例えば米国特許第5,286,285号および欧州特許番号EP0427817を参照のこと。アイロンビッテン(iron bitten)、海水またはドロマイトなどのMg源を石灰または水酸化ナトリウムなどのアルカリ源と反応して、水酸化マグネシウム粒子を形成することができること、またMg塩とアンモニアが反応されて、水酸化マグネシウム結晶を形成することができることも知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
かねてから、水酸化マグネシウムの工業的応用可能性は知られてきた。水酸化マグネシウムは、医薬分野における制酸剤としての使用から工業的用途における難燃剤としての使用までの多様な用途で使用されてきた。難燃剤分野においては、水酸化マグネシウムは、プラスチックなどの合成樹脂および電線・電纜用途において難燃性を賦与するのに使用される。水酸化マグネシウムを含有する合成樹脂の混練特性および粘度は、水酸化マグネシウムに結び付けられる重要な属性である。合成樹脂業界においては、明白な理由により、すなわち混練および押し出し時の高スループット、金型の中への良好な流れによって、混練特性および粘度の改善の要求が増大した。この要求が増大するのにしたがって、高品質の水酸化マグネシウム粒子とこれらの製造方法への要求も増加している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、
約3.5μm未満のd50
約1から約15の範囲のBET比表面積;および
約0.01から約0.5μmの範囲のメディアン細孔径
を有する水酸化マグネシウム粒子に関する。
【0005】
本発明は、約1から約45重量%の水酸化マグネシウムを含むスラリーをミル乾燥することを含んでなる方法にも関する。
【0006】
もう一つの態様においては、本発明は、約1から約75重量%の水酸化マグネシウムと、分散剤を含むスラリーをミル乾燥することを含んでなる方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明による水酸化マグネシウム粒子は、約3.5μm未満のd50を有することを特徴とする。一つの好ましい態様においては、本発明による水酸化マグネシウム粒子は、約1.2から約3.5μmの範囲の、更に好ましくは約1.45から約2.8μmの範囲のd50を有することを特徴とする。もう一つの好ましい態様においては、本発明による水酸化マグネシウム粒子は、約0.9から約2.3μmの範囲の、更に好ましくは約1.25から約1.65μmの範囲のd50を有することを特徴とする。もう一つの好ましい態様においては、本発明による水酸化マグネシウム粒子は、約0.5から約1.4μmの範囲の、更に好ましくは約0.8から約1.1μmの範囲のd50を有することを特徴とする。更にもう一つの好ましい態様においては、本発明による水酸化マグネシウム粒子は、約0.3から約1.3μmの範囲の、更に好ましくは約0.65から約0.95μmの範囲のd50を有することを特徴とする。
【0008】
この明細書中で示されるd50測定値は、Malvern Mastersizer Sレーザー回折装置を用いるレーザー回折によりISO9276にしたがって測定されたものであるということを特記すべきである。この目的で、Merck/GermanyのEXTRAN MA02による0.5%溶液が使用され、超音波が印加される。EXTRAN MA02は、水の表面張力を低下させるための添加物であり、アルカリ敏感性物品の清浄化に使用される。これは、アニオン性および非イオン性界面活性剤、リン酸塩、および少量の他の物質を含有する。粒子を解凝集するのに超音波が使用される。
【0009】
本発明による水酸化マグネシウム粒子は、DIN−66132により測定して約1から15m/gの範囲のBET比表面積を有することも特徴とする。一つの好ましい態様においては、本発明による水酸化マグネシウム粒子は、約1から約5m/gの範囲の、更に好ましくは約2.5から約4m/gの範囲のBET比表面積を有する。もう一つの好ましい態様においては、本発明による水酸化マグネシウム粒子は、約3から約7m/gの範囲の、更に好ましくは約4から約6m/gの範囲のBET比表面積を有する。もう一つの好ましい態様においては、本発明による水酸化マグネシウム粒子は、約6から約10m/gの範囲の、更に好ましくは約7から約9m/gの範囲のBET比表面積を有する。更にもう一つの好ましい態様においては、本発明による水酸化マグネシウム粒子は、約8から約12m/gの範囲の、更に好ましくは約9から約11m/gの範囲のBET比表面積を有する。
【0010】
本発明による水酸化マグネシウム粒子は、特定のメディアン平均細孔径(r50)を有することも特徴とする。本発明による水酸化マグネシウム粒子のr50は、水銀ポロシメトリーから導出可能である。水銀ポロシメトリーの理論は、非反応性、非濡れ性の液体が液体の強制的な入り込みに充分な圧力を印加するまで細孔を透過しないという物理的な原理に基づく。このように、液体が細孔に入り込むのに必要な圧力が高い程、細孔サイズは小さい。小さい細孔サイズは水酸化マグネシウム粒子の良好な濡れ性と相関するということが判明した。本発明の水酸化マグネシウム粒子の細孔サイズは、Carlo Erba
Strumentazione(Italy)のポロシメーター2000を用いる水銀ポロシメトリーから誘導されるデータから計算可能である。ポロシメーター2000のマニュアルによれば、測定圧力pから細孔径rを計算するのに、式r=−2γcos(θ)/pが使用される。式中、θは濡れ角であり、γは表面張力である。この明細書中で行われた測定はθに対して141.3゜の値を使用し、γは480ダイン/cmに設定された。
【0011】
測定の再現性を改善するために、細孔サイズは、ポロシメーター2000のマニュアルで述べられているように第2の水酸化マグネシウム押込試験から計算された。本発明者らは、押し出し後、すなわち圧力を外周圧力まで解放した後で容積Vを有する水銀量が水酸化マグネシウム粒子の試料中に残存するということを観察したために、第2の試験が使用された。このように、r50は、図1、2、および3を参照しながら下記に説明するようなデータから導出可能である。
【0012】
第1の試験においては、ポロシメーター2000のマニュアルで説明されているように水酸化マグネシウム試料が作製され、2000バールの最大圧力を用いて印加押込圧力pの関数として細孔容積が測定された。第1の試験の完結時に圧力が解放され、外周圧力に達せしめられた。第1の試験からの不純物混入のない、同一の試料を用いて、第2の押込
試験(ポロシメーター2000のマニュアルによる)が行われた。この場合、第2の試験の比細孔容積V(p)の測定は新たな出発容積として容積Vを採用し、第2の試験にはこれがゼロと設定される。
【0013】
第2の押込試験においては、試料の比細孔容積V(p)の測定は、2000バールの最大圧力を用いる印加押込圧力の関数として再度行われた。図1は、市販の水酸化マグネシウムグレードについての第2の押込試験(第1の試験と同一の試料を用いての)の印加圧力の関数としての比細孔容積Vを示す。
【0014】
第2の水酸化マグネシウム押込試験から、細孔径は、ポロシメーター2000により式r=−2γcos(θ)/pにより計算された。式中、θは濡れ角であり、γは表面張力であり、ならびpは押込圧力である。この明細書中で行われたすべての測定に対して、θには141.3゜の値が使用され、γは480ダイン/cmに設定された。このように、比細孔容積は細孔径rの関数として表現可能である。図2は、第2の押込試験(同一の試料を用いての)の細孔径rの関数としての比細孔容積Vを示す。
【0015】
図3は第2の押込試験の細孔径rの関数としての正規化された比細孔容積を示す。すなわち、この曲線においては、第2の押込試験の最大の比細孔容積が100%に設定され、他の比容積はこの最大値により割って得られるものであった。相対的な比細孔容積の50%における細孔径は、定義によって、この明細書中ではメディアン細孔径r50と呼ばれる。例えば、図3によれば、市販の水酸化マグネシウムのメディアン細孔径r50は0.248μmである。
【0016】
本発明による水酸化マグネシウム粒子の試料を用いて上述の手順を繰り返し、水酸化マグネシウム粒子は約0.01から約0.5μmの範囲のr50を有することが判明した。本発明の好ましい態様においては、水酸化マグネシウム粒子のr50は、約0.20から約0.4μmの範囲に、更に好ましくは約0.23から約0.4μmの範囲に、最も好ましくは約0.25から約0.35μmの範囲にある。もう一つの好ましい態様においては、r50は、約0.15から約0.25μmの範囲に、更に好ましくは約0.16から約0.23μmの範囲に、最も好ましくは約0.175から約0.22μmの範囲にある。更にもう一つの好ましい態様においては、r50は、約0.1から約0.2μmの範囲に、更に好ましくは約0.1から約0.16μmの範囲に、最も好ましくは約0.12から約0.15μmの範囲にある。なお更にもう一つの好ましい態様においては、r50は、0.05から約0.15μmの範囲に、更に好ましくは約0.07から約0.13μmの範囲に、最も好ましくは約0.1から約0.12μmの範囲にある。
【0017】
ある態様においては、本発明による水酸化マグネシウム粒子は、約15%から約40%の範囲のアマニ油吸収を有することを更に特徴とする。一つの好ましい態様においては、本発明による水酸化マグネシウム粒子は、約16m/gから約25%の範囲の、更に好ましくは約17%から約25%の範囲の、最も好ましくは約19%から約24%の範囲のアマニ油吸収を有することを更に特徴とする。もう一つの好ましい態様においては、本発明による水酸化マグネシウム粒子は、約20%から約28%の範囲の、更に好ましくは約21%から約27%の範囲の、最も好ましくは約22%から約26%の範囲のアマニ油吸収を有することを更に特徴とする。更にもう一つの好ましい態様においては、本発明による水酸化マグネシウム粒子は、約24%から約32%の範囲の、更に好ましくは約25%から約31%の範囲の、最も好ましくは約26%から約30%の範囲のアマニ油吸収を有することを更に特徴とする。なお更にもう一つの好ましい態様においては、本発明による水酸化マグネシウム粒子は、約27%から約34%の範囲の、更に好ましくは約28%から約33%の範囲の、最も好ましくは約28%から約32%の範囲のアマニ油吸収を有することを更に特徴とする。
【0018】
本発明による水酸化マグネシウム粒子は、スラリーの全重量基準で1から約45重量%の範囲の水酸化マグネシウムを含むスラリーをミル乾燥することにより製造可能である。好ましい態様においては、このスラリーは、スラリーの全重量基準で約10から約45重量%の、更に好ましくは約20から約40重量%の、最も好ましくは約25から約35重量%の範囲の水酸化マグネシウムを含む。この態様においては、このスラリーの残りは、好ましくは水、更に好ましくは脱塩水である。
【0019】
ある態様においては、このスラリーは分散剤も含有し得る。前記分散剤の非限定的な例は、ポリアクリレート、有機酸、ナフタレンスルホン酸塩/ホルムアルデヒド縮合物、脂肪アルコール−ポリグルコールエーテル、ポリプロピレン−エチレンオキシド、ポリグリコールエステル、ポリアミン−エチレンオキシド、ホスフェート、ポリビニルアルコールを含む。スラリーが分散剤を含む場合には、ミル乾燥にかけられる水酸化マグネシウムスラリーは、分散剤の効果のためにスラリーの全重量基準で約80重量%までの水酸化マグネシウムを含有し得る。このように、この態様においては、このスラリーは、通常、スラリーの全重量基準で1から約80重量%の範囲の水酸化マグネシウムを含む。好ましい態様においては、このスラリーは、スラリーの全重量基準で約30から約75重量%.更に好ましくは約35から約70重量%の、最も好ましくは約45から約65重量%の範囲の水酸化マグネシウムを含む。
【0020】
このスラリーは、水酸化マグネシウム粒子の製造に使用されるいかなる方法からも入手可能である。例示の態様においては、スラリーは、水を酸化マグネシウムに添加することを含んでなる方法から得られるか、もしくは好ましくは、塩化マグネシウム溶液を噴霧培焼して、酸化マグネシウムの水サスペンションを形成することから得られる。このサスペンションは、通常、サスペンションの全重量基準で約1から約85重量%の酸化マグネシウムを含む。しかしながら、酸化マグネシウム濃度は、上述の範囲内に入るように変更可能である。次に、この水と酸化マグネシウムのサスペンションは、約50℃から約100℃の範囲の温度と一定の攪拌を含む条件下で反応され、水酸化マグネシウム粒子と水を含む混合物またはスラリーを得る。上述のように、スラリーは直接にミル乾燥可能であるが、好ましい態様においては、水に可溶化されるいかなる不純物も除去するためにスラリーを濾過して、フィルターケーキを形成し、フィルターケーキが水により再スラリー化される。フィルターケーキは、再スラリー化する前に脱塩水により1回、もしくはいくつかの態様においては1回以上洗浄可能である。
【0021】
ミル乾燥とは、スラリーがミル乾燥ユニット中の乱流の熱空気流で乾燥されるという意味である。ミル乾燥ユニットは、高周辺速度で回転する堅牢な軸上にしっかりと取り付けられたローターを含んでなる。高空気スループットと関連する回転運動は、流通する熱空気を極めて速い空気渦に変換し、これが乾燥対象のスラリーを同伴し、スラリーを加速し、ならびにスラリーを分配および乾燥して、上述のBETにより測定して大きい表面積を有する水酸化マグネシウム粒子、次にスラリー中の出発の水酸化マグネシウム粒子を生成する。完全に乾燥した後で、水酸化マグネシウム粒子は、乱流の空気によりミルから搬出され、在来のフィルター系を使用することにより熱空気および蒸気から分離される。
【0022】
スラリーの乾燥に使用される熱空気のスループットは、通常、約3,000Bm/時以上、好ましくは約5,000Bm/時以上、更に好ましくは約3,000Bm/時から約40,000Bm/時、最も好ましくは約5,000Bm/時から約30,000Bm/時である。
【0023】
スループットをこの高さで得るためには、ミル乾燥ユニットのローターは、通常、約40m/秒以上の、好ましくは約60m/秒以上の、更に好ましくは70m/秒以上の、最も好ましくは約70m/秒から約140m/秒の範囲の周辺速度を有する。モーターの高回転速度と熱空気の高スループットは、約3,000以上のレイノルズ数を有する熱空気流を生じる。
【0024】
スラリーのミル乾燥に使用される熱空気流の温度は、一般に、約150℃以上、好ましくは約270℃以上である。更に好ましい態様においては、熱空気流の温度は、約150℃から約550℃の範囲に、最も好ましくは約270℃から約500℃の範囲にある。
【0025】
上述のように、スラリーのミル乾燥は、上述のBETにより測定して大きい表面積を有する水酸化マグネシウム粒子、次にスラリー中の出発の水酸化マグネシウム粒子を生じる。通常、ミル乾燥された水酸化マグネシウムのBETは、スラリー中の水酸化マグネシウム粒子よりも約10%大きい。好ましくは、ミル乾燥された水酸化マグネシウムのBETは、スラリー中の水酸化マグネシウム粒子よりも約10%から約40%大きい。更に好ましくは、ミル乾燥された水酸化マグネシウムのBETは、スラリー中の水酸化マグネシウム粒子よりも約10%から約25%大きい。
【0026】
本発明による水酸化マグネシウム粒子は、種々の合成樹脂中で難燃剤として使用可能である。水酸化マグネシウム粒子が使用される熱可塑性樹脂の非限定的な例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー、ポリブテン、ポリ(4−メチルペンテン−1)などのCからCオレフィン(α−オレフィン)のポリマーおよびコポリマー、これらのオレフィンとジエンのコポリマー、エチレン−アクリレートコポリマー、ポリスチレン、ABS樹脂、AAS樹脂、AS樹脂、MBS樹脂、エチレン−塩化ビニルコポリマー樹脂、エチレン−酢酸ビニルコポリマー樹脂、エチレン−塩化ビニル−酢酸ビニルグラフトポリマー樹脂、塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩化ビニル−ポリプロピレンコポリマー、酢酸ビニル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、メタクリル樹脂などを含む。好適な合成樹脂の更なる例は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、およびウレア樹脂を含み、天然もしくは合成ゴム、EPDM、ブチルゴム、イソプレンゴム、SBR、NIR、ウレタンゴム、ポリブタジエンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フルオロエラストマー、NBRおよびクロルスルホン化ポリエチレンも含まれる。ポリマー型サスペンション(ラテックス)が更に含まれる。
【0027】
好ましくは、この合成樹脂は、ポリプロピレンホモポリマー、およびエチレン−プロピレンコポリマーなどのポリプロピレンベースの樹脂;高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、EVA(エチレン−酢酸ビニル樹脂)、EEA(エチレン−エチルアクリレート樹脂)、EMA(エチレン−メチルアクリレートコポリマー樹脂)、EAA(エチレン−アクリル酸コポリマー樹脂)、および超高密度ポリエチレンなどのポリエチレンベースの樹脂;およびポリブテンおよびポリ(4−メチルペンテン−1)などのCからCオレフィン(α−オレフィン)のポリマーおよびコポリマー、ポリアミド、ポリ塩化ビニルおよびゴムである。更に好ましい態様においては、この合成樹脂はポリエチレンベースの樹脂である。
【0028】
本発明者らは、本発明による水酸化マグネシウム粒子を合成樹脂中で難燃剤として使用することによって、良好な混練性と良好な粘度特性、すなわち水酸化マグネシウム含有合成樹脂の粘度の低下が達成可能であるということを見出した。良好な混練性と良好な粘度特性は、水酸化マグネシウム含有合成樹脂から最終の押し出し物品または成形物品を製造するコンパウンド業者、製造業者により極めて望まれる。
【0029】
良好な混練性とは、本発明による水酸化マグネシウム粒子を含有する合成樹脂を混合するのに必要なBussコニーダーまたは二軸押し出し機のような混練機のエネルギーレベルの振幅変動が在来の水酸化マグネシウム粒子を含有する合成樹脂を混合する混練機のそれよりも小さいという意味である。エネルギーレベルの変動を小さくすることによって、混合もしくは押し出し対象の材料のスループットを高くし、ならびに/もしくは材料を更に均一(均質)とすることが可能となる。
【0030】
良好な粘度特性とは、本発明による水酸化マグネシウム粒子を含有する合成樹脂の粘度が在来の水酸化マグネシウム粒子を含有する合成樹脂のそれよりも低いという意味である。この低い粘度によって、押し出しおよび/または金型充填の高速化、押し出しまたは金型充填に必要な圧力の低圧化が可能となり、押し出し速度が増大し、ならびに/もしくは金型充填時間が低下し、アウトプットが増加する。
【0031】
このように、一つの態様においては、本発明は、少なくとも1つの合成樹脂、いくつかの態様においては上述のように1つのみの合成樹脂、および難燃化量の本発明による水酸化マグネシウム粒子を含む難燃化されたポリマー配合物と、難燃化されたポリマー配合物から製造される成形物品および/または押し出し物品に関する。
【0032】
難燃化量の水酸化マグネシウムとは、一般に、難燃化ポリマー配合物の重量基準で約5重量%から約90重量%の範囲、更に好ましくは同一基準で約20重量%から約70重量%の範囲の意味である。最も好ましい態様においては、難燃化量は、同一基準で約30重量%から約65重量%の水酸化マグネシウム粒子である。
【0033】
この難燃化されたポリマー配合物は、当業界で普通に使用される他の添加物も含有することができる。本発明の難燃化されたポリマー配合物での使用に好適な他の添加物の非限定的な例は、ポリエチレンワックス、Siベースの押し出し助剤、脂肪酸などの押し出し助剤、アミノ−、ビニル−もしくはアルキルシランまたはマレイン酸グラフトポリマーなどのカップリング剤、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム;有機過酸化物、染料、顔料、充填剤、発泡剤、脱臭剤、熱安定剤、酸化防止剤、静電防止剤、補強剤、金属掃去剤または不活性化剤、衝撃変成剤、加工助剤、離型助剤、潤滑剤、ブロッキング防止剤;他の難燃剤、UV安定剤、可塑剤、流動助剤を含む。所望ならば、ケイ酸カルシウムまたはインジゴなどの核形成剤も難燃化ポリマー配合物に包含可能である。他の随意の添加物の比率は慣用的であり、いかなる所定の場合の必要性にも適合するように変更可能である。
【0034】
難燃化されたポリマー配合物の成分を組み込み、添加する方法、および成形を行う方法は、本発明には重要でなく、選択された方法が均一な混合と成形を含む限り、当業界で既知のいかなるものであることもできる。例えば、上記の成分の各々と、使用される場合には随意の添加物は、Bussコニーダー、インターナルミキサー、Farrel連続ミキサーまたは二軸押し出し機を使用し、もしくはある場合には単軸押し出し機または二本ロールミルも使用して混合可能であり、次に難燃化されたポリマー配合物は以降の加工段階で成形される。更には、難燃性ポリマー配合物の成形物品は、延伸、エンボス、被覆、印刷、めっき、打ち抜きまたは切断など加工用途向けに加工した後使用され得る。成形物品は、石膏ボード、木材、ベニヤ板、金属材料または石材などの本発明の難燃性ポリマー配合物以外の材料にも貼り付けられ得る。しかしながら、混練された混合物は、インフレーション、射出、押し出し、ブロー、プレス、回転またはカレンダーによっても成形可能である。
【0035】
押し出し物品の場合には、上述の合成樹脂混合物で有効であると知られているいかなる押し出し法も使用可能である。一つの例示の方法においては、合成樹脂、水酸化マグネシウム粒子、および選択されている場合には随意の成分は、混練機で混練されて、上述の難
燃性樹脂配合物を形成する。次に、難燃性樹脂配合物は、押し出し機中で溶融状態まで加熱され、次に溶融された難燃性樹脂配合物は選択されたダイから押し出されて、押し出し物品を形成するか、例えばデータ伝送に使用される金属線またはガラス繊維を被覆する。
【0036】
上記の説明は本発明のいくつかの態様に関するものである。当業者ならば、等しく有効である他の手段が本発明の精神の実施に案出可能であるということを認識するであろう。本発明の好ましい態様は、この明細書中で論じられるすべての範囲が任意の低い量から任意の高い量の範囲を含むということが意図されていることも特記すべきである。例えば、水酸化マグネシウム製品粒子のオイル吸収を論じる場合、約15%から約17%の、約15%から約27%のなどの範囲は本発明の範囲内にあると意図される。
【実施例】
【0037】
下記で述べるようにポロシメーター2000を用いて、下記の実施例で述べるr50を水銀ポロシメトリーから導出した。特記しない限り、すべてのd50、BET、オイル吸収などを上述の方法により測定した。
【0038】
実施例1
33重量%固体含量の水酸化マグネシウムと水のスラリーを200l/時で乾燥ミルにフィードした。スラリー中の水酸化マグネシウムは、乾燥ミルの前に4.5m/gのBET比表面積と1.5μmのメディアン粒子サイズを有していた。290−320℃の温度で3000−3500Bm/時の間の空気流速と100m/秒のローター速度を含む条件下でミルを運転した。
【0039】
ミル後、ミル乾燥された水酸化マグネシウム粒子を空気フィルター系により熱空気流から捕集した。回収された水酸化マグネシウム粒子の製品の性質を下記の表1に示す。
【0040】
実施例2−比較
この実施例においては、実施例1で使用されたのと同一の水酸化マグネシウムスラリーをミル乾燥にかける代わりに噴霧乾燥した。回収された水酸化マグネシウム粒子の製品の性質を下記の表1に示す。
【0041】
【表1】

【0042】
表1で見られるように、本発明による水酸化マグネシウム(実施例1)のBET比表面積は、スラリー中の出発の水酸化マグネシウム粒子よりも30%以上増加した。更に、本発明による最終の水酸化マグネシウム粒子のオイル吸収は、在来の乾燥により製造される水酸化マグネシウム粒子よりも約23.6%低い。更に、本発明による最終の水酸化マグ
ネシウム粒子のr50は、在来法により乾燥された水酸化マグネシウム粒子のそれよりも約20%小さく、卓越した濡れ性を示す。
【0043】
実施例3
実施例2の比較の水酸化マグネシウム粒子と、実施例1の本発明による水酸化マグネシウム粒子を別々に使用して、難燃性樹脂配合物を形成した。使用された合成樹脂は、Exxon MobilのLLDPEグレードのEscorene(登録商標)LL1001XVと一緒にExxon MobilのEVAのEscorene(登録商標)Ultra UL00328、Albemarle(登録商標)Corporationより市販されているEthanox(登録商標)310酸化防止剤、およびDegussaのアミノシランDynasylan AMEOの混合物であった。この成分を46mmBussコニーダー(L/D比=11)により当業者にはなじみのある普通の方法により選択される温度設定およびスクリュー速度で22kg/時のスループットで混合した。難燃性樹脂配合物の配合で使用される各成分の量を下記の表2に詳しく示す。
【0044】
【表2】

【0045】
難燃性樹脂配合物の形成においては、Bussでの混練の前にドラムの中でAMEOシランとEthanox(登録商標)310を合成樹脂の全量と最初にブレンドした。減量フィーダーにより、樹脂/シラン/酸化防止剤ブレンドを水酸化マグネシウムの全量の50%と一緒にBussニーダーの第1の入口の中にフィードし、水酸化マグネシウムの残りの50%をBussニーダーの第2のフィードポートの中にフィードした。排出押し出し機をBussコニーダーに垂直にフランジで取り付けた。排出押し出し機は70mmのスクリューサイズを有していた。図4は、比較の水酸化マグネシウム粒子(実施例2)についての排出押し出し機のモーターの電力取り込みならびにBussコニーダーのモーターの電力取り込みを示し、図5は本発明の水酸化マグネシウム粒子(実施例1)についてのものを示す。
【0046】
図4および5に図示するように、本発明による水酸化マグネシウム粒子を難燃性樹脂配合物で使用する場合、Bussコニーダーのエネルギー(電力)取り込みの変動は、特に排出押し出し機に対して著しく低減する。上述のように、エネルギーレベルの変動が小さいことによって、高いスループットおよび/または更に均一な(均質な)難燃性樹脂配合物が可能となる。
【0047】
実施例3
実施例2で製造された難燃性樹脂配合物の機械的性質を測定するために、Haake Rheomex押し出し機付きのHaake Polylabシステムを用いて難燃性樹
脂配合物の各々を2mm厚のテープに押し出した。DIN53504による試験片をテープから打ち抜いた。この実験の結果を下記の表3に示す。
【0048】
【表3】

【0049】
表3に示すように、本発明による難燃性樹脂配合物、すなわち本発明による水酸化マグネシウム粒子を含有する難燃性樹脂配合物は、比較の難燃性樹脂配合物、すなわち在来の方法を用いて製造される水酸化マグネシウム粒子を含有する難燃性樹脂配合物より卓越したメルトフローインデックスを有する。更に、本発明による難燃性樹脂配合物の引っ張り強さおよび破断時の伸びは、比較の難燃性樹脂配合物に卓越している。
【0050】
メルトフローインデックスは、DIN53735により測定されたということを特記しなければならない。引っ張り強さと破断時の伸びがDIN53504により測定され、水エージング前後の抵抗が100×l00×2mmのプレスされた板でDIN 53482により測定された。%での水吸収は、100×l00×2mmのプレスされた板を脱塩水浴中で70℃で7日の水エージングした後の重量の板の初期重量に対する差異である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】市販の水酸化マグネシウムグレードについての水酸化マグネシウム押込試験の印加圧力の関数としての比細孔容積Vを示す。
【図2】水酸化マグネシウム押込試験の細孔径rの関数としての比細孔容積Vを示す。
【図3】水酸化マグネシウム押込試験の正規化された比細孔容積を示す。このグラフは最大の比細孔容積を100%に設定して作製され、他の比容積はこの最大値により割って得られたものである。
【図4】実施例で使用される比較の水酸化マグネシウム粒子についての排出押し出し機のモーターの電力取り込み(上方の曲線)およびBussコニーダーのモーターの電力取り込み(下方の曲線)を示す。
【図5】実施例で使用される本発明による水酸化マグネシウム粒子についての排出押し出し機のモーターの電力取り込み(上方の曲線)およびBussコニーダーのモーターの電力取り込み(下方の曲線)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)約3.5μm未満のd50
b)約1から約15の範囲のBET比表面積;および
c)約0.01から約0.5μmの範囲のメディアン細孔径r50
を有する水酸化マグネシウム粒子。
【請求項2】
50が約1.2から約3.5μmの範囲にある、請求項1に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項3】
50が約0.9から約2.3μmの範囲にある、請求項1に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項4】
50が約0.5から約1.4μmの範囲にある、請求項1に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項5】
50が約0.3から約1.3μmの範囲にある、請求項1に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項6】
BET比表面積が約2.5から約4m/gの範囲、または約1から約5の範囲にある、請求項2に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項7】
BET比表面積が約3から約7m/gの範囲にある、請求項3に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項8】
BET比表面積が約7から約9m/gの範囲、または約6から約10m/gの範囲にある、請求項4に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項9】
BET比表面積が約8から約12m/gの範囲、または約9から約11m/gの範囲にある、請求項5に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項10】
50が約0.20から約0.4μmの範囲にある、請求項7に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項11】
50が約0.15から約0.25μmの範囲にある、請求項8に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項12】
50が約0.1から約0.2μmの範囲にある、請求項8に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項13】
50が約0.05から約0.15μmの範囲にある、請求項9に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項14】
前記水酸化マグネシウム粒子が約15%から約40%の範囲のアマニ油吸収を有する、請求項10−13のいずれかに記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項15】
前記水酸化マグネシウム粒子が約15%から約40%の範囲のアマニ油吸収を有する、請求項6に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項16】
前記水酸化マグネシウム粒子が約15%から約40%の範囲のアマニ油吸収を有する、
請求項7に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項17】
前記水酸化マグネシウム粒子が約15%から約40%の範囲のアマニ油吸収を有する、請求項8に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項18】
前記水酸化マグネシウム粒子が約15%から約40%の範囲のアマニ油吸収を有する、請求項9に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項19】
前記水酸化マグネシウム粒子が約16%から約25%の範囲のアマニ油吸収を有する、請求項10に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項20】
前記水酸化マグネシウム粒子が約20%から約28%の範囲のアマニ油吸収を有する、請求項11に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項21】
前記水酸化マグネシウム粒子が約24%から約32%の範囲のアマニ油吸収を有する、請求項12に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項22】
前記水酸化マグネシウム粒子が約27%から約34%の範囲のアマニ油吸収を有する、請求項13に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項23】
前記水酸化マグネシウム粒子がスラリーの全重量基準で約1から約45重量%の範囲の水酸化マグネシウム粒子を含むスラリーをミル乾燥することにより製造される、請求項1に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項24】
前記水酸化マグネシウム粒子がスラリーの全重量基準で約1から約80重量%の範囲の水酸化マグネシウム粒子と、分散剤を含むスラリーをミル乾燥することにより製造される、請求項1に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項25】
a)約3.5μm未満のd50
b)約1から約15の範囲のBET比表面積;
c)約0.01から約0.5μmの範囲のメディアン細孔径r50;および
d)約15%から約40%の範囲のアマニ油吸収
を有し、前記水酸化マグネシウム粒子がi)スラリーの全重量基準で約1から約45重量%の範囲の水酸化マグネシウム粒子を含む水性スラリーまたはii)スラリーの全重量基準で約1から約80重量%の範囲の水酸化マグネシウム粒子と、分散剤を含む水性スラリーをミル乾燥することにより製造される、水酸化マグネシウム粒子。
【請求項26】
50が約1.2から約3.5μmの範囲にある、請求項44に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項27】
50が約0.9から約2.3μmの範囲にある、請求項44に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項28】
50が約0.5から約1.4μmの範囲にある、請求項44に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項29】
50が約0.3から約1.3μmの範囲にある、請求項44に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項30】
BET比表面積が約2.5から約4m/gの範囲、または約1から約5m/gの範
囲にある、請求項26に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項31】
BET比表面積が約3から約7m/gの範囲にある、請求項27に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項32】
BET比表面積が約4から約6m/gの範囲にある、請求項28に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項33】
BET比表面積が約7から約9m/gの範囲、または約6から約10m/gの範囲にある、請求項28に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項34】
BET比表面積が約8から約12m/gの範囲、または約9から約11m/gの範囲にある、請求項29に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項35】
50が約0.2から約0.4μmの範囲にある、請求項31に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項36】
50が約0.15から約0.25μmの範囲にある、請求項32に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項37】
50が約0.1から約0.2μmの範囲にある、請求項33に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項38】
50が約0.05から約0.15μmの範囲にある、請求項34に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項39】
前記水酸化マグネシウム粒子が約16%から約25%の範囲のアマニ油吸収を有する、請求項35に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項40】
前記水酸化マグネシウム粒子が約20%から約28%の範囲のアマニ油吸収を有する、請求項36に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項41】
前記水酸化マグネシウム粒子が約24%から約32%の範囲のアマニ油吸収を有する、請求項37に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項42】
前記水酸化マグネシウム粒子が約27%から約34%の範囲のアマニ油吸収を有する、請求項38に記載の水酸化マグネシウム粒子。
【請求項43】
a)i)スラリーの全重量基準で約1から約40重量%の範囲の水酸化マグネシウム粒子を含むスラリー、またはii)スラリーの全重量基準で約1から約80重量%の範囲の水酸化マグネシウム粒子と、分散剤を含むスラリーをミル乾燥することを含んでなる方法。
【請求項44】
i)がミル乾燥され、ならびにi)がi)の全重量基準で約25から約35重量%の範囲の水酸化マグネシウムを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
ii)がミル乾燥され、ならびにii)がii)の全重量基準で約45から約65重量%の範囲の水酸化マグネシウムを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
約150℃以上の温度と約3000以上のレイノルズ数を有し、約3000Bm/時
以上の熱空気流のスループット、約40m/秒以上のローター周辺速度を含む条件下で運転されるミル乾燥機にスラリーを通すことによりミル乾燥が行われる、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
約150℃から約550℃の温度と約3000以上のレイノルズ数を有し、約3000Bm/時から約40000Bm/時の熱空気流のスループット、約70m/秒以上のローター周辺速度を含む条件下で運転されるミル乾燥機にスラリーを通すことによりミル乾燥が行われる、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
ミル乾燥された水酸化マグネシウムのBETがスラリー中の水酸化マグネシウム粒子よりも約10%大きい、請求項43に記載の方法。
【請求項49】
ミル乾燥された水酸化マグネシウムのBETがスラリー中の水酸化マグネシウム粒子よりも約10%から約40%の範囲で大きい、請求項43に記載の方法。
【請求項50】
水を酸化マグネシウムに添加して、サスペンション基準で約1から約85重量%の酸化マグネシウムを含む酸化マグネシウムの水サスペンションを形成すること、および約50℃から約100℃の範囲の温度と一定の攪拌を含む条件下で水と酸化マグネシウムを反応させて、第1のスラリーを得、前記第1のスラリーを濾過して、フィルターケーキを得、前記フィルターケーキを再攪拌して、水酸化マグネシウム粒子と水を含む前記スラリーを形成することを含んでなる方法から前記スラリーが得られる、請求項43に記載の方法。
【請求項51】
酸化マグネシウムが塩化マグネシウム溶液を噴霧培焼することから得られる、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記方法が再スラリー化の前に前記フィルターケーキを水により洗浄することを更に含んでなる、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記水が脱塩水である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記分散剤がポリアクリレート、有機酸、ナフタレンスルホン酸塩/ホルムアルデヒド縮合物、脂肪アルコール−ポリグルコールエーテル、ポリプロピレン−エチレンオキシド、ポリグリコールエステル、ポリアミン−エチレンオキシド、ホスフェート、ポリビニルアルコールから選択される、請求項43もしくは45のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
a)少なくとも1つの合成樹脂と、
b)i.約3.5μm未満のd50
ii.約1から約15の範囲のBET比表面積;
iii.約0.01から約0.5μmの範囲のメディアン細孔径r50;および
iv.約15%から約40%の範囲のアマニ油吸収
を有する、難燃化量のミル乾燥された水酸化マグネシウム粒子を含む、難燃化されたポリマー配合物。
【請求項56】
前記少なくとも1つの合成樹脂がポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー、ポリブテン、ポリ(4−メチルペンテン−1)などのCからCオレフィン(α−オレフィン)のポリマーおよびコポリマー、これらのオレフィンとジエンのコポリマー、エチレン−アクリレートコポリマー、ポリスチレン、ABS樹脂、AAS樹脂、AS樹脂、MBS樹脂、エチレン−塩化ビニルコポリマー樹脂、エチレン−酢酸ビニルコポリマー樹脂、エチレン−塩化ビニル−酢酸ビニルグラフトポリマー樹脂、塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩化ビニル−ポリプロピレンコポリマー、酢酸ビニル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、およびウレア樹脂と、天然もしくは合成ゴム、EPDM、ブチルゴム、イソプレンゴム、SBR、NIR、ウレタンゴム、ポリブタジエンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フルオロエラストマー、NBRおよびクロルスルホン化ポリエチレン、ポリマー型サスペンション(ラテックス)などなどから選択される、請求項55に記載のポリマー配合物。
【請求項57】
前記難燃化されたポリマー配合物が約5重量%から約90重量%の範囲のミル乾燥された水酸化マグネシウム粒子を含む、請求項55に記載の難燃化されたポリマー配合物。
【請求項58】
前記ポリマー配合物が押し出し助剤、カップリング剤、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、有機過酸化物、染料、顔料、充填剤、発泡剤、脱臭剤、熱安定剤、酸化防止剤、酸化防止剤、補強剤、金属掃去剤または不活性化剤、衝撃変成剤、加工助剤、離型助剤、潤滑剤、ブロッキング防止剤;他の難燃剤、UV安定剤、可塑剤、流動助剤、核形成剤などから選択される添加物を更に含む、請求項55に記載の難燃化されたポリマー配合物。
【請求項59】
請求項55に記載の難燃化されたポリマー配合物から製造される成形物品または押し出し物品。
【請求項60】
前記物品がi)Bussコニーダー、インターナルミキサー、Farrel連続ミキサー、二軸押し出し機、単軸押し出し機、および二本ロールミルから選択される混合装置中で合成樹脂とミル乾燥された水酸化マグネシウム粒子を混合して、混練された混合物を形成し、ならびにii)混練された混合物を成形して、成形物品を形成することにより製造される成形物品である、請求項59に記載の成形物品または押し出し物品。
【請求項61】
前記成形物品が延伸、エンボス、被覆、印刷、めっき、打ち抜きまたは切断加工で使用される、請求項59に記載の成形物品。
【請求項62】
前記成形物品が石膏ボード、木材、ベニヤ板、金属材料または石材などの材料に貼り付けられる、請求項60に記載の成形物品。
【請求項63】
混練された混合物がインフレーション、射出、押し出し、ブロー、プレス、回転またはカレンダーにより成形される、請求項60に記載の成形物品。
【請求項64】
前記物品がi)合成樹脂とミル乾燥された水酸化マグネシウム粒子を混練して、混練された混合物を形成すること、ii)押し出し装置中で前記混練混合物を溶融状態まで加熱すること、およびiii)溶融混練混合物を選択されたダイから押し出して、押し出し物品を形成するか、もしくはデータ伝送に使用される金属線またはガラス繊維を溶融混練混合物により被覆することにより製造される押し出し物品である、請求項59に記載の成形物品または押し出し物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−532315(P2009−532315A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503134(P2009−503134)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/063889
【国際公開番号】WO2007/117841
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(594066006)アルベマール・コーポレーシヨン (155)
【Fターム(参考)】