改善された溶解性を有する医薬組成物
本発明は固体状の核形成を抑制する医薬/添加剤のくみあわせの特性を確認するために医薬、添加剤を含む混合物をスクリーニングする方法である。また、本発明はさらに、薬物を再結晶化/沈殿阻害剤と任意に増強剤と混合することにより、胃液条件において、低溶解度の薬物の溶解度、溶解性及びバイオアベイラビリティを増加させることに関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セレコキシブ(Celecoxib、4-[5-(4-メチルフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド)は、化学構造
【0003】
【化1】
で表される置換ピラゾリルベンゼンスルホンアミドである。
【0004】
セレコキシブは、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)の一般的な分類に属する。従来のNSAIDsとは異なり、セレコキシブは、患者に投与する際、副作用を殆ど引き起こさないシクロオキシゲナーゼII(COX−2)の選択阻害剤である。セレコキシブの合成及び使用はさらに、米国特許第5,466,823号、5,510,496号、5,563,165号、5,753,688号、5,760,068号、5,972,986号及び6,156,781号に記載されている(その内容の全てを参照のために組み込む)。セレコキシブの経口投与可能な液状製剤は、Hariharanらの米国特許出願公開第2002/0107250号で議論されている(その内容の全体をここに参照のために組み込む)。
【0005】
他のCox−2阻害薬はセレコキシブと同類であり、それは薬物の大きな基の一部を形成しており、その全てがベンゼンスルホンアミドである。これらは、デラコキシブ(deracoxib、4- [3- フルオロ-4-メトキシフェニル)-3-ジフルオロメチル-1H-ピラゾ−ル-1-イル] ベンゼンスフホンアミド)、バルデコキシブ(valdecoxib、4- [5-メチル-3-フェニルイソキサゾール-4-イル] ベンゼンスルホンアミド、ロフェコキシブ(rofecoxib、3-フェニル-4- [-(メチルスルホニル)フェニル]-5H-フラン-2-オン及びエトリコキシブ(etoricoxib、5-クロロ-3-(4-メチルスルホニル)フェニル-2-(2-メチル-5-ピリジニル)ピリジンを含む。これらの薬物はW001/78724号及びW002/102376号に、さらに詳細に記載されている。
【0006】
セレブレクス(CELEBREX、商標)として市販されている形態では、セレコキシブは、本質的に水に不溶性の中性分子である。セレコキシブは、一般的に、針様結晶として存在し、凝集して塊を形成しやすい。セレコキシブが他の物質と混合された場合でさえ凝集が生じるため、不均一な混合物が得られる。これらの性質は、他のピラゾリルベンゼンスルホンアミドでも共通しており、薬物の医薬製剤、特に経口製剤の製造において重大な問題でとなっている。
【0007】
特に経口製剤として、低い水溶性を有する薬物の性質が改善されて、新しい形態を提供することは有利であろう。特に、低い水溶性を有する活性医薬成分(api)が改善された水溶性を有する形態で供給された場合であっても、薬物の溶解が必要とされるとき、例えば、薬物が消化管で希釈されるようになるところに経口製剤として摂取された後に、依然として問題が残る。この状況下では、低い水溶性を有する活性医薬成分は、溶液から出現する傾向にある。このようなことが起こった場合、例えば、結晶化又は沈殿の過程により、活性医薬成分のバイオアベイラビリティは著しく減少する。したがって、経口投与の形態における活性医薬成分のバイオアベイラビリティを増加させるような活性医薬成分を含む製剤の性質を改善することが望まれおり、それによって、より迅速な治療効果の発現をもたらされる。
【発明の開示】
【0008】
セレコキシブの安定な結晶塩及び共結晶を合成することができることを、今、見出した。本発明のセレコキシブ組成物は、中性セレコキシブに比べ、より大きな溶解度、溶解性、総バイオアベイラビリティ(曲線下面積又はAUC)、より低いTmax、ピーク血清レベル到達時間及びより高いCmax、最大血清濃度を有している。また、本発明のセレコキシブ組成物は、吸湿性が小さく、より安定した組成物を含む。本発明のセレコキシブ塩は、結晶形である時、塩の中和によってセレコキシブの非晶質の遊離型に転換し、その後、中性準安定結晶形に変換するか、あるいは直接中性準安定結晶形に転換する。中性セレコキシブのこれらの非晶質又は準安定の結晶形は、現在市場にある中性セレコキシブよりも、より容易に利用できる活性医薬成分の形態である。中性結晶セレコキシブは、現在、CELEBREX(商標)として市販されており、セレコキシブのイオン化塩の形態からそれを区別する「中性」であるとされている。さらに、セレコキシブ塩溶液の酸性化又は中和は、その部位で非晶質のセレコキシブを生じ、その後、準結晶形に転換するか、あるいは最終的に安定した中性セレコキシブに転換する前に、直接中性セレコキシブの中性準安定結晶形に転換する。
【0009】
本発明の一面は、溶解性、溶解度及び/又は医薬(用語「医薬」及び「薬物」は、ここでは交換可能に用いられる)が、溶解性に基づいて、溶液から沈殿する前に、過飽和溶液として維持され得る時間を増加させる方法に関する。溶解性の増加(又は時間の関数としての濃度)は、よって、バイオアベイラビリティ、つまりAUCの増加で表すことができ、結果として、Tmaxまでの時間の減少又はCmaxの増加をもたらす。その方法は、遊離酸活性医薬成分の塩又は共結晶を生成し、かつその塩又は共結晶を、再結晶化又は沈殿抑制剤と、任意に再結晶化/沈殿抑制増強剤(以下、増強剤と記す)と混合する工程を含む。塩は、非晶質又は結晶質であってもよいが、好ましくは結晶質である。通常、使用される塩又は共結晶形は、溶解し、次いで溶液から再結晶化及び沈殿する結晶形であり、従って、用語「再」結晶抑制剤が使用される。しかし、塩は非晶質形から始まることがあるので、その用語は、結晶質又は非晶質形態のどちらから始まる場合にも使用されることに留意すべきである。また、用語「再結晶化」は、分離する又は溶液から「出現する」ことによる結晶質又は非晶質の固体の何れをも示す用語「沈殿」と置き換えることも可能である。結晶塩は、初期化合物としての非晶質塩より優れており、非晶質塩は、中性の非晶質又は結晶質形より優れている。遊離酸の形態は、可溶化剤へはじめに溶解されたものが、沈殿抑制剤及び任意に増強剤を含む液体製剤とならない限り、初期化合物として好ましくない。再結晶化/沈殿抑制剤は、多くの場合、界面活性剤であり、好ましくは、エテール官能基を有した界面活性剤であり、好ましくは、反復エテール基、例えば、酸素原子が2つの炭素原子により分離される、少なくとも2又は3回反復するエテール基である。さらに好ましい界面活性剤は、25℃の鉱油と比較して、水中で0.1%w/wの濃度で測定された場合、10 dyne/cm未満の界面張力及び/又は再結晶抑制剤(例えば、ポロキサマー)の表面張力が、25℃で水中において0.1%w/wの濃度で測定された場合、42 dyne/cm未満である。塩又は共結晶、再結晶化/沈殿抑制剤及び任意に増強剤(又は再結晶化/沈殿抑制剤、任意に増強剤及びその他の形態)の組み合わせは、水溶液、好ましくは、水又は12時間絶食した平均的な人の胃の胃液又は擬似胃液(SGF)のような胃液条件中で、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55もしくは60分又は1時間より長く、過飽和溶液の沈殿を好ましくは防止又は遅延させる。組成物を胃から移し、より高いpHの環境に移動させることを可能にするために、その溶液を15、20又は30分より長い時間過飽和のままとすることが好ましい。SGFは、水の摂取を再現するために2、3、4、5、6、7、8、9、10倍に希釈してもよい。例えば、患者が本発明の組成物を経口で摂取する際にグラス一杯の水を飲むことを想定して、SGFを5倍に希釈してもよい。溶解度、溶解性及び/又は過飽和の程度は、10、20、30、40、50、60、70、80、90又は100%等、あるいは、同一の溶液中での中性セレコキシブ(例えば、遊離酸)よりも3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、75倍、100倍、125倍、150倍、175倍、200倍、250倍、300倍、350倍、400倍、500倍、1000倍、10,000倍又は100,000倍大きく規定されていてもよい。溶解性の増加は、さらに、その組成物が過飽和として残存する時間によって規定されてもよい。
【0010】
増強剤は、好ましくは、ヒドロオキシプロピルセルロース(HPC)又はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)のようなセルロースエステルを含む。よって、本発明の方法によれば、薬物が溶解状態で維持され得る過飽和濃度及び/又は胃液条件(例えば、SGF)での薬物の溶解の程度が増強される。
【0011】
通常、増強剤は、再結晶化/沈殿抑制剤をさらに追加しない限り、活性医薬成分を過飽和に保つ時間を長く改善しない。本発明の方法は、天然型又は塩単体と比較した場合、より大きな溶解度、溶解性及びバイオアベイラビリティ、AUC、減少したTmaxへの時間、ピーク血清レベルに到達するまでの時間ならびにより高いCmax、最高血清濃度を有する医薬製剤を形成するために用いられる。AUCは、薬物投与後の時間に対する薬物の血漿濃度のプロット下(濃度のロガリズムではない)の面積である。面積は、「台形法則」によって適切に測定され、データポイントは直線区分によってつながれ、横座標から各データポイントに垂線が立てられ、そのように構成された三角形及び台形の面積の合計が算出される。最終の測定濃度(Cn、tn時において)がゼロでなければ、tn時から無限時までのAUCはCn/kelによって推算される。
【0012】
AUCは、薬物のバイオアベイラビリティの推算及び薬物の総クリアランス(ClT)の推算に特別に用いられる。以下の単回静脈内投与では、一次消失力学に従う単一のコンパートメントシステムでAUC=D/ClT、あるいは、AUC=C0/kelである。静脈以外の経路では、そのようなシステムで、AUC=FD/ClTである(ここで、Fは薬物のアベイラビリティである)。
【0013】
さらに、本発明は、再結晶化/沈殿抑制剤及び任意に増強剤を、既に塩又は共結晶の形態である医薬と組み合わせることに関する。本発明はさらに、再結晶化/沈殿抑制剤及び任意に増強剤を、塩又は共結晶の溶媒和物、脱溶媒和物、水和物、脱水和物又は無水物の形態である医薬と組み合わせることに関する。
【0014】
したがって、さらなる観点では、本発明は
(a)好ましくは胃液条件で、低い水性溶解度又は溶解性を有する医薬活性成分、
(b)再結晶化/沈殿抑制剤、及び
(c)任意に増強剤
を含む医薬組成物を提供する。
【0015】
さらなる観点では、本発明は、
(a)好ましくは胃液条件で、低い水性溶解度又は溶解性を有する医薬活性成分、
(b)10 dyne/cm未満の界面張力又は42 dyne/cm未満の表面張力を有する再結晶化/沈殿抑制剤、及び
(c)任意に増強剤
を含む医薬組成物を提供する。
【0016】
さらなる観点では、本発明は
(a)好ましくは胃液条件において、低い水性溶解度又は溶解性を有する医薬活性成分、
(b)界面活性剤、及び
(c)任意に増強剤
を含む医薬組成物を提供する。
【0017】
さらなる観点では、本発明は
(a)好ましくは胃液条件で、低い水性溶解度又は溶解性を有する医薬活性成分、
(b)10 dyne/cm未満の界面張力又は42 dyne/cm未満の表面張力を有するポロキサマー、及び
(c)任意に増強剤
を含む医薬組成物を提供する。
【0018】
さらなる観点では、本発明は
(a)好ましくは胃液条件で、低い水性溶解度又は溶解性を有する医薬活性成分、
(b)界面活性剤、及び
(c)セルロースエステル
を含む医薬組成物を提供する。
【0019】
さらなる観点では、本発明は
(a)好ましくは胃液条件で、低い水性溶解度又は溶解性を有する医薬活性成分、
(b)10 dyne/cm未満の界面張力又は42 dyne/cm未満の表面張力を有する界面活性剤、及び
(c)ヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロース
を含む医薬組成物を提供する。
【0020】
さらなる観点では、本発明は
(a)好ましくは胃液条件で、低い水性溶解度又は溶解性を有する医薬活性成分、
(b)ポロキサマー、及び
(c)ヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロース
を含む医薬組成物を提供する。
【0021】
さらなる観点では、本発明は
(a)好ましくは胃液条件で、低い水性溶解度又は溶解性を有する医薬活性成分、
(b)10 dyne/cm未満の界面張力又は42 dyne/cm未満の表面張力を有するポロキサマー、及び
(c)ヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロース
を含む医薬組成物を提供する。
【0022】
さらなる観点では、本発明は
(a)セレコキシブ、
(b)濃度0.1%で10 dyne/cm未満の界面張力又は42 dyne/cm未満の表面張力を有するポロキサマー、及び
(c)ヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む再結晶化/沈殿抑制剤
を含む医薬組成物を提供する。
【0023】
さらなる観点では、本発明は、好ましくは胃液条件で、低い水性溶解度を有する薬物の過飽和濃度を提供するための医薬組成物の製法方法を提供し、その方法は、上記観点又はここでの他の場合の成分と完全に混合することを含む。
【0024】
さらなる観点では、界面活性剤が5%、4%、3%、2%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%又は0.1%未満の濃度あるいは0. 1% (w/w)濃度である。
本発明はさらに医薬組成物を製造する方法を提供し、その方法は
(1)複数の容器を用意し、
(2)複数の賦形剤溶液を用意し、
(3)複数の化合物溶液を用意し、それぞれ、その中に医薬化合物が溶解しており、
(4)賦形剤溶液の一つを化合物溶液の一つとともに、完全な混合液を形成するように各容器に分配し、各混合物の性状は、異なる容器において異なっており、
(5)混合液をインキュベートし、
(6)固体状の核形成又は沈殿の発現を確認し、
(7)固形状の核形成の発現が抑制された医薬化合物/賦形剤の組み合わせを選択し、
(8)医薬化合物/賦形剤の組み合わせを含む医薬組成物を製造することを含む。
【0025】
出願人は、速やかかつ簡便な手法で、医薬化合物/賦形剤の組み合わせのどの性状が固体状の核形成(ここでは、固化の開始を示すために用いられる)を抑制(阻害)するか、非晶質又は結晶質かどうかを確認するために、医薬化合物と賦形剤とを含む混合物をスクリーニングすることが可能であることを見出した。このようにして、これらの賦形剤又はその組み合わせの他の性状を、活性医薬成分が患者に対して投与された後、十分な時間、溶液内で留まる医薬組成物の製造のために、選択することができる。このようにして、少なくとも活性医薬成分の最小バイオアベイラビリティに達する医薬組成物を、直接的なインビトロスクリーニングに基づいて、容易に製造することができる。
【0026】
医薬組成物の種々の性状は、固体状の核形成の発現又は活性医薬成分(医薬化合物)の沈殿に影響を与える。そのような性状とは、組成物中の賦形剤の同一性又は量及び医薬化合物の同一性又は量等である。他の性状として、塩又は緩衝剤化合物等の他の希釈剤量又は担体量であってもよい。多形となり得る場合には、医薬化合物自体を、種々の形態の変形でスクリーニングすることができる。さらに、本発明によれば、種々の塩、溶媒和物物、水和物、共結晶及び活性医薬成分の他の形態をスクリーニングすることができる。
【0027】
本発明は、種々の賦形剤の多数の変形をスクリーニングすることに容易に適用することができる。したがって、好ましい観点では、本発明は、医薬組成物の製造方法を提供し、その方法は、
(1)複数の容器を用意し、
(2)複数の賦形剤溶液を用意し、
(3)複数の化合物溶液を用意し、それぞれ、その中に医薬化合物が溶解しており、
(4)賦形剤溶液の一つを化合物溶液の一つとともに、完全な混合液を形成するように各容器に分配し、各賦形剤は、異なる容器において、異なっており、
(5)該混合液をインキュベートし、
(6)固体状の核形成又は沈殿の発現を確認し、
(7)固形状の核形成の発現が抑制された賦形剤を選択し、
(8)医薬化合物と選択された賦形剤とを含む医薬組成物を製造することを含む。
【0028】
この実施態様によれば、賦形剤を変更することがである。異なる賦形剤を異なる容器で使用してもよいし、単一の賦形剤を用いてもよいし、複数の賦形剤の組み合わせ、例えば2成分、3成分、3成分以上の組み合わで用いてもよい。
【0029】
さらなる観点では、本発明は、本発明の方法により得られた医薬組成物を提供する。医薬組成物はさらに賦形剤、希釈剤又は担体を含んでもよい。好ましい観点では、医薬組成物は、経口投与用に製剤化される。
さらに、本発明は、医薬化合物の固体状の核形成又は沈殿の賦形剤介在による遅延を評価する方法を提供し、その方法は、
(1)複数の容器を用意し、
(2)複数の賦形剤溶液を用意し、
(3)複数の化合物溶液を用意し、それぞれ、その中に医薬化合物が溶解しており、
(4)賦形剤溶液の一つを化合物溶液の一つとともに、完全な混合液を形成するように各容器に分配し、各混合物の性状は、異なる容器において異なっており、
(5)混合液をインキュベートし、
(6)固体状の核形成又は沈殿の発現を確認し、
(7)固形状の核形成又は沈殿の発現時間によって混合液の性状をランく付けすることを含む。
【0030】
さらなる観点では、本発明は、医薬化合物の固体状の核形成又は沈殿を抑制する賦形剤をスクリーニングする方法を提供し、その方法は、
(1)複数の容器を用意し、
(2)複数の賦形剤溶液を用意し、
(3)複数の化合物溶液を用意し、それぞれ、その中に医薬化合物が溶解しており、
(4)賦形剤溶液の一つを化合物溶液の一つとともに、完全な混合液を形成するように各容器に分配し、各賦形剤は、異なる容器において異なっており、
(5)混合液をインキュベートし、
(6)固体状の核形成又は沈殿の発現を確認し、
(7)固形状の核形成又は沈殿の発現時間によって賦形剤をランく付けすることを含む。
【0031】
一般に、本発明の医薬化合物は、好ましくは水性ベースの媒質中で、通常、過飽和溶液として存在することができる活性医薬成分(API)である。活性医薬成分は、それらの遊離酸、遊離塩基、共結晶もしくは塩又は溶媒和物、水和物あるいは脱水和物であってもよい。本発明は、特に、胃液又は腸液のような体液と接触した場合に、核形成事象において、溶液から沈殿又は結晶化しそうな医薬組成物等に適用することができる。したがって、本発明は、ここで示されたように、体液と接触した場合に比較的低い溶解度を有するが、適切なインビトロ条件では比較的高い溶解度を有する医薬組成物に特に適用することができる。
【0032】
本発明によれば、化合物溶液は、化合物を可溶化する溶液であるか、非水性溶液又は化合物を適応するように調節されたpHを有する水溶液とすることができる。例えば、化合物の高い溶解度を達成するために、遊離塩基型の化合物であれば、酸性pHの水溶液中で溶解され、一方、遊離酸型の化合物であれば、塩基性pHの水溶液中で溶解されるであろう。従って、化合物溶液は、水、胃液又は腸液と比較した場合、過飽和溶液であってもよいし、好ましくは過飽和溶液である。また、水、通常、脱イオン水を含む溶液又は他の水性ベースの溶液で形成することが、賦形剤にとって好ましい。ある観点では、混合液は、胃液(SGF)又は腸液(SIF、燐酸二水素カリウム0.68%、パンクレアチン1%及び水酸化ナトリウム(最終溶液のpHが7.5である))を擬態しており、この観点では、賦形剤がこれらの体液を擬態する溶液に添加されることが好ましい。あるいは、通常、行われるスクリーニングに適切な環境を作り出す混合液を形成するために、溶液にさらなる添加剤を添加してもよい。
【0033】
本発明の一つの利点は、少なくとも24、48、96、384又は1536のサンプルを平行して分析するように、複数の容器を、複数のウェルプレート形式又はブロック及びチューブの形式で存在させてもよいことである。少なくとも1000、3000、5000、7000、10000、20000、30000、40000、50000、60000、70000、80000、90000又は100000のサンプルを分析するように、複数のブロック及びチューブ又はマルチウェルプレートを分析することができる。これは、その方法が複数のウェルプレート形式が存在する装置を用いて、半自動又は自動的な方法で操作することができるため、有用である。少なくとも分配工程は、自動液体ハンドリング装置で行うことができる。したがって、高いスループット・スクリーニングのような方法を行うことができる。さらに、複数のウェルプレート形式を用いることにより、スクリーニングの程度が比較的低くなる。例えば、各サンプルは、活性医薬成分、サンプルサイズ等によって、100mg、50mg、25mg、10mg、5mg、750ug、500ug、250ug、100ug、75ug、50ug、25ug、10ug、1ug、750ng、500ng、250ng、100ng又は50ng未満で含まれるかもしれない。従って、これは、賦形剤又は核形成の発現を抑制する医薬組成物と賦形剤との組み合わせの性状を確認するために必要な活性医薬成分の量を最小限にする。このように、改善された速度及び比較的低い費用が有利な点である。
【0034】
その方法で形成される完全な混合液は、溶液の分配中又は後に、ミキサーを使用するなど、従来法のいずれかによって達成することができる。一旦その混合液が形成されると、一般に、約37℃のような一定の温度でその混合液をインキュベートし、インビボ条件を擬態することが有利である。
【0035】
固体状の核形成又は沈殿の発現の測定は、混合物の光散乱の測定により行うことができる。これは、比濁計の使用のように、従来のいずれかの光散乱測定によって行うことができる。また、固体状の核形成又は沈殿の生成物の結晶化を測定するさらなる工程を含むことができる。この工程は、医薬組成物に用いる医薬化合物/賦形剤の組み合わせを選択する前に、普通に行われる。結晶化は、例えば、複屈折スクリーニングにより測定することができる。
【0036】
光散乱測定及び複屈折スクリーニングは、いずれも観血的測定技術ではない。有利にも、サンプル溶液の一部又は全部を、第2の容器に移すことは必要でなく、その容器又はウェルを、これらの技術の使用を可能にする透明なシールで密閉することができる。
その最も一般的な観点では、本発明は、低い水性溶解度(又はここに開示されているような溶解度)を有する活性医薬成分を含む医薬組成物に関する。一般に、本出願においては、低い水性溶解度は、37℃で測定された場合、10mg/ml以下、好ましくは1mg/ml以下の水に対する溶解度を有する化合物を示している。本発明は、とりわけ、0.1mg/ml以下の溶解度を有する薬物に関する。さらに、本発明は、胃又は腸液あるいはSGF又はSIFで過飽和溶液として維持できない化合物に関する。そのような薬物は、ベンゼンスルホンアミドのようなスルホンアミド薬物を含み、特に、上述したピラゾリルベンゼンスルホンアミドであって、Cox−2阻害剤を含む。ここに開示されたものは、セレコキシブ等のピラゾリルベンゼンスルホンアミドの安定な結晶性金属塩である。そのような金属塩は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩を含み、好ましくは、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム及びマグネシウム塩である。
【0037】
医薬組成物は、経口投与用に製剤化されることが好ましい。本発明の薬物は、治療効果(薬物が投与される効果を確認するか又は判断することができる時間、例えば、患者が熱や痛みの減少を感じ始めた時点)の発現に到達するまでの時間が短縮され、バイオアベイラビリティが増加する形態に製造することができる。従って、本発明の医薬組成物は、特にヒトの患者への投与に適している。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施例1で製造されるセレコキシブのナトリウム塩の異なるスキャニング熱量測定トレース(50℃から110℃まで)を示す。
【図2】実施例1で製造されるセレコキシブのナトリウム塩の熱重量分析を示し、それは約30℃から約160℃で行われた。
【図3】実施例1で製造されるセレコキシブのナトリウム塩の粉末X線回析プロットを示す。
【図4A】実施例4で詳述するプロトコルに従って得られる4- [5- (4-メチルフェニル)-3- (トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル] ベンゼンスルホンアミドの市販製剤及びナトリウム塩で用いられるセレコキシブ結晶形を5 mg/kgの経口投与後の雄性Sprague-Dawleyラットでの薬物動態を示す。
【図4B】実施例4で詳述するプロトコルに従って得られる4- [5- (4-メチルフェニル)-3- (トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル] ベンゼンスルホンアミドの市販製剤及びナトリウム塩で用いられるセレコキシブ結晶形を5 mg/kgの経口投与後の雄性Sprague-Dawleyラットでの薬物動態を示す。
【図5】セレコキシブ又はセレコキシブナトリウムの単回経口又は単回静脈内投与による雄犬の血漿内のセレコキシブの平均薬物動態パラメーター(及びそれらの標準偏差)を示す。セレコキシブナトリウムの経口投与の最大血清濃度及びバイオアベイラビリティは、おおよそセレコキシブの経口投与の同量のものより、それぞれ約3及び2倍大きく、セレコキシブナトリウムの最大血清濃度へは、セレコキシブに比べ40%以上早く到達した。
【図6】雄犬へのセレコキシブ又はセレコキシブナトリウムの単回経口投与又はセレコキシブの単回静脈投与による血清中のセレコキシブの平均濃度を示す。
【図7】溶液中のセレコキシブナトリウムの濃度において、ポロキサマー内でのエチレングリコールのプロピレングリコールサブユニットに対する比を変化させる効果を示す。
【図8】同重量のセルロース(ヒドロキシプロピルセルロース(HPC、100,000 kDa)、低粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ld HPMC、粘度は80から120 cps)、高粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hd HPMC、粘度は15,000 cps)、微晶質セルロース(アビセル PH200) )、d-アルファ-トコフェロールポリエチレングリコール-1000琥珀酸エステル(ビタミンE TGPS)及びセレコキシブナトリウムを含む種々の組成物の溶解性における種々のセルロースの効果を示す。
【図9】種々の重量比のd-アルファ-トコフェロールポリエチレングリコール-1000琥珀酸エステル(ビタミンE TGPS)、ヒドロキシプロピルセルロース及びセレコキシブナトリウムを含む組成物の37℃での溶解性を示す。
【図10】室温で、賦形剤を含む固体混合物から擬似胃液(SGF)中でのセレコキシブナトリウムの溶解性プロファイルを示す。凡例は、賦形剤及び賦形剤のセレコキシブナトリウムに対する重量比を示す(記載がなければ、1:1)。賦形剤はポリビニルピロリドン(PVP)、ポロキサマー 188(P 188)、ポロキサマー 237 (P237)、 d-アルファ-トコフェロールポリエチレングリコール-1000琥珀酸エステル(ビタミンE TGPS)及び ゲルシア(Gelucire(商標))50/13を含む。
【図11】37℃の擬似胃液(SGF)中のセレコキシブナトリウム、d-アルファ-トコフェロールポリエチレングリコール-1000 琥珀酸エステル(ビタミンE TGPS)及びヒドロキシプロピルセルロース(HPC)の混合物の溶解性におけるアビセル微晶質セルロース及びシリカゲルの効果を示す。凡例は成分の重量比を示す。
【図12】d-アルファ-トコフェールポリエチレングリコール- 1000琥珀エステル(ビタミンE TGPS)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)及びポロキサマー237を含む賦形剤を用いて、5倍に希釈された擬似胃液中でのセレコキシブナトリウム(TPI336Na)の溶解性を示す。凡例は成分の重量比を示す。
【図13A】実施例6の方法により製造されたセレコキシブのナトリウム塩についての粉末X線回析(PXRD)を示す。
【図13B】実施例6の方法により製造されたセレコキシブのナトリウム塩についてのラマンスペクトルを示す。
【図14】セレコキシブリチウム塩MO-116-49Bの示差走査熱量分析を示す。
【図15】セレコキシブリチウム塩MO-116-49Bの熱重量分析を示す。
【図16】セレコキシブリチウム塩MO-116-49Bのラマンスペクトルを示す。
【図17】セレコキシブリチウム塩MO-116-49BのPXRDスペクトルを示す。
【図18】セレコキシブカリウム塩MO-116-49Aの示差走査熱量分析を示す。
【図19】セレコキシブカリウム塩MO-116-49Aの熱重量分析を示す。
【図20】セレコキシブカリウム塩MO-116-49Aのラマンスペクトルを示す。
【図21】セレコキシブカリウム塩MO-116-49AのPXRDスペクトルを示す。
【図22】セレコキシブカリウム塩MO-116-55Dの熱重量分析を示す。
【図23】セレコキシブカリウム塩MO-116-55Dのラマンスペクトルを示す。
【図24】セレコキシブカリウム塩MO-116-55DのPXRDスペクトルを示す。
【図25】セレコキシブカルシウム塩MO-116-62Aの熱重量分析を示す。
【図26】セレコキシブカルシウム塩MO-116-62Aのラマンスペクトルを示す。
【図27】セレコキシブカルシウム塩MO-116-62AのPXRDスペクトルを示す。
【図28】市販のセレコキシブのPXRDスペクトルを示す。
【図29】市販のセレコキシブのラマンスペクトルを示す。
【図30】擬似胃液(SGF)中での賦形剤の機能としてのセレコキシブの結晶化抑制時間を示す。
【図31】選択されたPLURONIC賦形剤の水中での界面張力を示す。
【図32】PLURONIC P123 及びF127を含む組成物からのセレコキシブナトリウム水和物の溶解性を示す。
【図33】HPCの存在下、PLURONIC P123、F127 及びF87からのセレコキシブナトリウム水和物の溶解性を示す。
【図34】PLURONIC F127、HPC及び顆粒流体を用いるセレコキシブナトリウム水和物の溶解性を示す。
【図35】緻密製剤での、PLURONIC F127及びHPCを用いるセレコキシブナトリウム水和物の溶解性を示す。
【図36】本発明による方法を概説するフローチャートを示す。
【図37】自動液体分配器のプレートマップを示す。
【図38】本発明の分析における時間に対する光散乱のトレースを示す。
【図39】セレコキシブナトリウム塩のプロピレングリコール溶媒和物の熱重量分析を示す。
【図40】セレコキシブナトリウム塩のプロピレングリコール溶媒和物のPXRDスペクトルを示す。
【図41】セレコキシブカリウム塩のプロピレングリコール溶媒和物の熱重量分析を示す。
【図42】セレコキシブカリウム塩のプロピレングリコール溶媒和物のPXRDスペクトルを示す。
【図43】セレコキシブリチウム塩のプロピレングリコール溶媒和物の熱重量分析を示す。
【図44】実施例21により製造されるセレコキシブのナトリウム塩プロピレングリコール三水和物の熱重量分析である。
【図45】実施例21aにより製造されるセレコキシブのナトリウム塩プロピレングリコール三水和物の粉末X線回析装置プロットを示す。
【図46】実施例21bにより製造されるセレコキシブのナトリウム塩プロピレングリコール三水和物の熱重量分析を示す。
【図47】実施例21bにより製造されるセレコキシブのナトリウム塩プロピレングリコール三水和物の粉末X線回析装置プロットを示す。
【図48】実施例22により製造されるセレコキシブのナトリウム塩イソプロピルアルコール溶媒和物のDSCトレースを示す。
【図49】実施例22により製造されるセレコキシブのナトリウム塩イソプロピルアルコール溶媒和物の熱重量分析を示し、それは約30℃から約160℃で実施された。
【図50】実施例22により製造されるセレコキシブのイソプロピルアルコール溶媒和物のナトリウム塩の粉末X線回析装置プロットを示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
その最も一般的な観点では、本発明は、例えば、胃液条件で低い水性溶解度を有する活性医薬成分を含む医薬組成物に関する。一般に、本出願に記載の低い水性溶解度は、37℃で測定された場合、10mg/ml以下、好ましくは5mg/ml又は1mg/ml以下の水への溶解度を有する化合物に関する。さらに、「低い水性溶解度」は、37℃で測定された場合、900、800、700、600、500、400、300、200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20μg/ml又はさらに10、5 又は1μg /ml以下として、あるいは、さらに900、800、700、600、500、400、300、200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20もしくは10 ng/ml又は10 ng/ml未満として定義することができる。さらに、水性溶解度は、水の代わりに擬似胃液(SGF)中で測定することもできる。本発明のSGF (希釈されていないもの)は、水に1g/LトリトンX-100及び2 g/L NaClを混合し、最終pHが1.7となる溶液を得るために20mMでpHを調節することにより作られる。
【0040】
また、pHは1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3. 5、4、4.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5又は12として規定されてもよい。0.1 mg/ml以下の溶解度を有する活性医薬成分は、ベンゼンスルホンアミド、特に、上述したこれらピラゾリルベンゼンスルホンアミド等のいずれかのスルホンアミド薬物(Cox−2阻害剤を含む)などであり、本発明に含まれる。ここに開示されたものは、セレコキシブなどのピラゾリルベンゼンスルホンアミドの安定な結晶金属塩及び共結晶である。そのような金属塩には、アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、特にナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム及びマグネシウム塩が含まれる。
【0041】
本発明で使用される沈殿抑制剤は、広範囲の界面活性剤から選択することができる(例えば、図30参照)。実施態様では、非イオン性界面活性剤又はイオン性界面活性剤を含む。本発明の実施態様では、水中で0.1% w/wの濃度として測定された場合、25℃の鉱油と比較して、再結晶化/沈殿抑制剤(例えば、ポリキサマー)の界面張力が10 dyne/cm未満及び/又は水中で0.1% w/wの濃度として測定された場合、再結晶化/沈殿抑制剤(例えば、ポリキサマー)の表面張力が42 dyne/cm未満である。本発明のほかの実施態様では、界面張力が15、14、13、12、11、9、8、7又は6 dyen/cm未満であるか、表面張力が45、44、43、41、40、39、38、37、36又は35 dyne/cm未満である。他の実施態様では、界面活性剤はポロキサマーである。ポロキサマーは、エチレンオキサイド-プロピレンオキサイドのブロック共重合体を含み、好ましくは、構造(PEG)x- (PPG)y- (PEG)zを有する(ここで、x、y及びzは整数であり、xは通常zと等しい)。ポロキサマーの好ましい形態は、「PLURONIC(登録商標)」で示されるBASFから得られるものである。しかし、本発明は、PLURONICシリーズに限定されるものではなく、他の供給先から得られる同様のポリキサマーを用いてもよい。本発明によるPLURONICポロキサマーの例は、PLURONIC L122、PLURONIC P123、PLURONIC F127 (ポロキサマー407)、PLURONIC L72、PLURONIC P105、PLURONIC LP2、PLURONIC P104、PLURONIC F108 (ポロキサマー338)、PLURONIC P103、PLURONIC L44 (ポロキサマー124)、PLURONIC F68 (ポロキサマー188)及びPLURONIC F87 (ポロキサマー237)を含む。特定のポロキサマー及びその対応するPLUROIC、すなわち、一般名及び商品名を、全体にわたって区別なく使用することができる。
【0042】
本発明による医薬組成物の任意の第3成分は、再結晶化/沈殿の抑制増強剤を含む。増強剤は、通常、以下の経口投与のために希釈された場合、低い水性溶解度の薬物の再結晶化又は沈殿の阻害、防止又は少なくとも程度の減少において、再結晶化/沈殿抑制剤の作用を増強することができる化合物である。一つの実施態様では、増強剤は、再結晶化/沈殿抑制剤単独では働かない。他の実施態様では、増強剤は、インビトロにおける再結晶化/沈殿分析においていかなる影響も又は否定的な影響も及ぼさないが、インビトロ又はその部位(in situ)での溶解性の分析において、再結晶化/沈殿抑制剤の作用を増加させる。ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロースエステルは、特に、本発明による有用な増強剤である。セルロースエステルは、そのセルロース骨格の鎖長を変化し、その結果、例えば、20℃の水中で2重量%濃度で測定した場合、その粘度を変化する。より低い粘度は、本発明においては、より高い粘性よりも通常好ましい。本発明の実施態様では、HPC等のセルロースエステルは、水中で2%、約100から約100,000cP又は約1000から約15,000cPの粘度を有する。他の実施態様では、粘度は1,500,000、1,000,000、500,000、100,000、75,000、50,000、35,000、25,000、20,000、17,500、15,000、12,500、11,000、10,500、9,000、8,000、7,000、6,000、5,000、4,000、3,000、2,000、1,000、750、500又は250cP未満であるか、上述の2つの整数から選択された範囲の粘度を有する。
また、増強剤はTmaxを遅延させ及び/又は活性医薬成分濃度が1/2 Tmaxを超える時間を増加させ、したがって、曲線を滑らかにするのに有用である。
【0043】
好ましい増強剤は、活性医薬成分濃度が1/2 Tmaxを超える時間を、25%、50%、75%、100%、3倍以上に増加する。好ましい実施態様では、組成物は、Tmaxへの時間を減少させ、かつ遊離酸より、あるいは塩又は共結晶が遊離酸によって置き換えられる以外同様の組成物においてより、1/2 Tmaxが長く維持される。
【0044】
ここで例示される成分の比a:b:c(活性医薬成分:再結晶化/沈殿抑制剤:増強剤)は、約1:1:1(再結晶化/沈殿抑制剤及び増強剤は+/-0.2)である。しかし、その比は適用に合うように調整することができる。例えば、再結晶化/沈殿抑制剤又は増強剤の量は減らすことが必要であるかもしれないし、錠剤又はカプセル等の組成物の投与形態における賦形剤の量を減らすために最適濃度よりも少なく、減らす必要があるかもしれない。一つの実施態様では、単位投与形態が、100 mlの水又はSGF、500 mlの水又はSGF、あるいは1リットルの水又はSGF中で、その臨界ミセル濃度(CMC)に達するための抑制剤として必要とされる量で又はそれ以上の量で、沈殿抑制の界面活性剤を含む。ポロキサマーは真性ミセルを形成しないかもしれないが、本発明の目的のためのミセルとみなされる類似構造を形成することに注意を要する。
【0045】
さらに、組成物は、医薬的に許容できる希釈剤、賦形剤又は担体を含んでもよく、そのような追加の成分を、以下でさらに詳細に説明する。そのような一つの追加の成分は、ポロキサマー124、PEG 200又はPEG 400等の顆粒化流体を含む。それは、結合又はそれらの一部が溶解することにより、活性医薬成分、再結晶化/沈殿抑制剤及び任意に増強剤の間で、完全な接触を形成する。実施態様では、組成物が少なくとも25%、50%、75%、あるいは殆ど又は完全に溶解しているものを挙げているが、組成物が、固体、半固体又はペースト状で残存することが好ましい。医薬的に許容される液体のいずれも、固体状で塩又は共結晶形の遊離酸への変換を引き起こさないものであれば、使用することができる。いくつかの限定されない例では、メタノール、エタノール、イソプロパノール、より高級なアルコール、プロピレングリコール、エチルカプリル酸エステル、プロピレングリコールラウリン酸エステル、PEG、ジエチルグリコールモノエチルエーテル及びポリソルベート80を含む。顆粒化流体様液が存在することにより、界面活性剤が大量に溶解するまで、活性医薬成分と溶解媒体間との接触をできる限り遅らせて、活性医薬成分の溶解性を増加させる。これにより、再結晶化/沈殿を遅延させる。顆粒化流体様液の使用は、医薬活性成分と再結晶化/沈殿促進剤とが固体の場合に、特に有用である。
【0046】
活性医薬成分の過飽和を増加させるための代替の実施態様として、医薬組成物の製造過程の間に、成分を一緒に圧縮することにより、医薬組成物を圧縮した形態とする。圧縮は、顆粒化流体で行われるのと同様に行われる。沈殿が抑制されること又は曲線を滑らかにすることは、必要であれば、圧縮中に崩壊剤を使用することによって制限することができる。
さらなる実施態様では、活性医薬成分及び結晶化/沈殿抑制剤(及び任意に増強剤)は、混合された場合、ペースト又は非水溶液を形成する。ペーストが利用される場合、成分の粘稠塊が生成されるかもしれず、これは、最初に界面活性剤を溶解させることにより活性医薬成分の溶解を遅らせると考えられる。これにより、活性医薬成分の溶解が促進すると考えられる。
通常、本発明の化合物及び活性医薬成分は、医薬組成物として密接に関係がある。本文脈おいて「密接な関係」とは、例えば、再結晶化/沈殿抑制阻害剤と混合された医薬、抑制剤に包埋又は組み込まれた医薬、医薬粒子のコーティングを形成する化合物又はその逆、ならびに化合物全体にわたって実質的に均一に分散された医薬を含む。
【0047】
本発明のさらなる観点によれば、医薬組成物がCox−2阻害剤を含む場合、疼痛、炎症、、腸又は結腸ポリープ等の癌又は前癌を患っているかもしれない患者を治療する方法が提供される。その方法は、その患者に、ここに記述した医薬組成物を投与することを含む。
医薬組成物は、経口投与用に製剤化されていることが好ましい。本発明の薬物は、治療効果の発現までの時間が増加し、かつバイオアベイラビリティを増加しそうな形態で製造することができる。従って、本発明の医薬組成物は、特にヒト患者への投与に適している。
【0048】
本発明の方法及び組成物は、医薬の溶解度、溶解性及びバイオアベイラビリティの改善に関する。さらに、本発明は、中性状態で遊離酸であるか、あるいは、初めは溶解するが、その後胃液条件で再結晶化する医薬化合物の性状改善に関する。さらなる実施態様では、アミノスルホニル官能基を有する医薬に関する。
【0049】
ここで、用語「アミノスルホニル官能基」は以下の構造
【0050】
【化2】
(式中、波線は、官能基が薬物分子の残部に結合することによる結合を表す;Rは水素、又はさらなる化合物を形成するために、ポリエチレングリコールもしくはポリエチレングリコール分解生成物がRに隣接するアミノ基と反応するための機能を保護する置換基である。)
を有する官能基を示す。
【0051】
そのような置換基の例として、部分的に不飽和であるヘレオシクリル、ヘレオアリール、シクロアルケニル、アリール、アルキルカルボニル、ホルミル、ハロ、アルキル、ハロアルキル、オキソ、シアノ、ニトロ、カルボキシル、フェニル、アルコキシ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、カルボキシアルキル、シアノアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシル、アルコキシアルキルオキシアルキル、ハロアルキルスルホニルオキシ、カルボキシアルコキシアルキル、シクロアルキルアルキル、アルキニル、ヘテロシクリルオキシ、アルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、シクロアルケニル、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールカルボニル、アルキルチオアルキル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アラルケニル、アルコキシアルキル、アリールチオアルキル、アリールオキシアルキル、アラルキルチオアルキル、アラルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アルキルアミノカルボニル、N-アリールアミノカルボニル、N-アルキル-N-アリールアミノカルボニル、アルキルアミノカルボニルアルキル、アルキルアミノ、N-アリールアミノ、N-アラルキルアミノ、N-アルキル-N-アラルキルアミノ、N-アルキル-N-アリールアミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、N-アリールアミノアルキル、N-アラルキルアミンコアルキル、 N-アルキル-N-アラルキルアミノアルキル、N-アルキル-N-アリールアミノアルキル、アリールオキシ、アラルコキシ、アリールチオ、アラルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル等を含む。
【0052】
アミノスルホニルを含む薬物の限定されない例として、エーザイのABT-751 (N-(2-(4-ヒドロキシフェニル)アミノ)-3-ピリジル)4-メトキシベンゼンスルホンアミド);アルピロプライド(alpiropride);アモスラロール(amosulalol);アンプレナビル(amprenavir);アムサクリン(amsacrine);アルガトロバン(argatroban);アスラクリン(asulacrine);アゾセミド、バイエルのBAY-38-4766 (N-[4-[[[5-(ジメチルアミノ)-1-ナフタレニル]スルホニル] アミノ] フェニル]-3-ヒドロキシ-2, 2-ジメチルプロパンアミド);ベンドロフルメサイアザイド;ブリストル・マイヤーズ スクイブのBMS-193884(N- (3, 4-ジメチル-5-イソオキサゾリル)-41- (2-オキサゾリル)- [1, 11-ビフェニル]-2-スルホンアミド);ボセンタン(bosentan);ブメチド(bumetide); セレコキシブ; クロルタリドン;デラビルジン;デラコキシブ(deracoxib);デフェチリド(dofetilide);ドミトロバン(domitroban);ドルゾラミド;ドロネダロン;エーザイのE-7070(N-(3-クロロ-1H-インドール-7-イル)-1,4-ベンゼン-ジスルホンアミド)、シュワルツ ファーマのEF-7412(N-3- [4- [4- (テトラヒドロ-1, 3-ジオキソ-1H-ピローロ[1, 2- c] イミダゾール-2 (3H)-イル) ブチル]-1-ピペラジニル]フェニル]エタンスルホンアミド);フェンキゾン(fenquizone); フロセミド;グリベンクラミド(glibenclamide);グリクラジド(gliclazide);グリメピリド(glimepiride);グリペンチド(glipentide);グリピジド(glipizide);グリキドン(gliquidone);グリソラミド(glisolamide);グラクソ スミスクラインのGW-8510 (4-[[6, 7-ジヒドロ-7-オキソ-8H-ピローロ [2,3- g] ベンゾチアゾール-8-イルイデン)メチル]アミノ]-N-2-ピリジニルベンゼンスルホンアミド)、アイバックのGYKI-16638 (N-[4-[2-[[2-(2, 6-ジメトキシフェノキシ)-1-メチルエチル] メチルアミノ] エチル]フェニル]メタンスルホンアミド);アベンティスのHMR-1098(5-クロロ-2-メトキシ-N-[2-[4-メトキシ-3[[[(メチルアミノ)チオキソメチル]アミノ]スルホニル]フェニル]エチル]ベンズアミド);ヒドロクロロチアジド; イブチリド(ibutilide);インダパミド;イシハラのIS-741(N-[2-[(エチルスルホニル)アミノ]-5-(トリフルオロメチル)-3-ピリジニル]シクロヘキサンカルボキシアミド);日本たばこのJTE-522(4-(4-シクロヘキシル)2-メチル-5-オキサゾリル)-2-フルオロベンゼンスルホンアミド);中外のKCB-328(N-[3-アミノ-4-[2-[[2-3, 4-ジメトキシフェニル) エチル]メチルアミノ]エトキシ]フェニル]メタンスルホンアミド);コトブキのKT2-962(3-[4-[[(4-クロロフェニル)スルホニル]アミノ]ブチル]-6-(1-メチルエチル)-1-スルホン酸アズレン);レボスルピリド(levosulpiride);イーライリリーのLY-295501(N-[[(3, 4-ジクロロフェニル) アミノ] カルボニル]-2, 3-ジヒドロ-5-ベンゾフランスルホンアミド)及びLY-404187 (N-2-(4-(4-シアノフェニル)フェニル)プロピル-2-プロパンスルホンアミド);メトラゾン;ナラトリプタン;ニメスリド;ニッポンのNS-49((R)-N-[3- (2-アミノ-1-ヒドロキシエチル)-4-フルオロフェニル] メタンスルホンアミド);オノのONO-8711((5Z)-6-[(2R,3S)-3-[[[(4-クロロ-2-メチルフェニル) スルホニル] アミノ]メチル]ビサイクロ[2.2. 2]オクト-2-イル]-5-ヘキセン酸);ピレタニド;ファルマシアのPNU-103657(1-[5-メタンスルホンアミドインドール-2-イルカルボニル]-4-(N-メチル-N-(3-(2-メチルプロピル)-2-ピリジニル)アミノ)ピペリジン);ポリチアジド;ラマトロバン;ホフマンラロシュのRO-61-1790(N- [6-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-(2-メトキシフェノキシ)-2-[2-(1H-テトラゾール-5-イル)-4-ピリジニル]-4-ピリミジニル]-5-メチル-2-ピリジンスルホンアミド);アベンティスのRPR-130737 (4-ヒドロキシ-3- [2-オキソ-3(S)-[5-(3-ピリジル)チオフェン-2-イルスルホンアミド]ピロリジン-1-イルメチル]ベンズアミド)及びRPR-208707;サーバーのS-18886 (3-[(6-(4-クロロフェニルスルホニルアミノ)-2-メチル-5, 6,7,8-テトラヒドロナフト]-1-イル)プロピオン酸)及びS-32080 (3- [6- (4-クロロフェニルスルホニルアミド)-2-プロピル-3- (3ピリジル-メチル)-5, 6,7,8- テトラヒドロナフタレン-1-イル]プロピオン酸);カケンのS-36496(2-スルホニル-[N- (4-クロロフェニル)スルホニルアミノ-ブチル-N-[(4-シクロブチルチアゾール-2-イル)エテニルフェニル-3-イル-メチル] ] アミノ安息香酸);サンパトリラット;グラクソスミスクラインのSB-203208(L-フェニルアラニン, b-メチル-, (4aR, 6S, 7R, 7aS)-4-(アミノカルボニル)-7-[[[[[(2S, 3S)-2-アミノ-3- メチル-1-オキソペンチル]アミノ]スルホニル]アセチル]アミノ]-7-カルボキシ-2, 4a, 5,6, 7, 7a-ヘキサヒドロ-2- メチル-1H-シクロペンタ[c] ピリジン-6イル エステル, (bS) -) ;ディポンのSE-170(2-(5-アミジノ-1H-インドール-3-イル)N- [2'- (アミノスルホニル)-3-ブロモ(1, 1'ビフェニル)-4-イル] アセトアミド);シベレスタット; センジュのSJA- 6017(N- (4-フルオロフェニルスルホニル)-L-バリル-L-ロイシナール);スミトモのSM-19712(4-クロロ-N-[[(4-シアノ-3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ]カルボニル]ベンゼンスルホンアミド);ソネピプラゾール(sonepiprazole);ソタロール(sotalol);スルファジアジン;スルファグアノール;スルファサラジン;スルプライド(sulpride);スルプロストン;スマトリプタン;トヤマのT-614(N-[3-(ホルミルアミノ)- 4-オキソ-6-フェノキシ-4H-1-ベンゾピラン-7-イル]-メタンスルホンアミド) ; ツラリック(Tularik)のT-138067 (2,3,4,5,6- ペンタフルオロ-N- (3-フルオロ-4-メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド)及びT-900607(2,3,4,5,6-ペンタフルオロ-N-3-ウレイド-4-メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド); タケダのTAK-661 (2,2-ジメチル-3-[[7-(1-メチルエチル)[1,2,4]トリアゾール[1,5-b]ピリダジン-6-イル]オキシ]-1-プロパンスルホンアミド);タムスロシン;テゾセンタン(tezosentan);チプラナビル(tipranavir);チロフィバン(tirofiban);トラセミド(torasemide);トリクロロメジアジド;トリパミド;バルデコキシブ(valdecoxib);ベラリプライド(veralipride);キシパミド(xipamide);ゼリアのZ-335(2-[2-(4-クロロフェニルスルホニルアミノメチル)インダン-5-イル] 酢酸);ザフィルルカスト(zafirlukast);ゾニサミド(zonisamide); 及びそれらの塩を含む。
【0053】
好ましい実施態様では、アミノスルホニル含有薬物は、低い水溶解度の選択的COX−2阻害剤である。適当な選択的COX−2阻害剤は、以下の式(IV):
【0054】
【化3】
(式中、Aは、一部不飽和又は不飽和ヘテロシクリル及び一部不飽和又は不飽和環式環から選択される置換基であり、好ましくは、ピラゾリル、フラノイル、イソオキサゾリル、ピリジニル、シクロペンテノニル及びピリダジノニル基から選択されるヘテロシクリル基;
XはO、S又はCH2であり;
nは0又は1であり;
R1は、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル及びアリールから選択される少なくとも1つの置換基であり、任意に、置換可能な位置において、アルキル、ハロアルキル、シアノ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ニトロ、アルコキシアルキル、アルキルスフィニル、ハロ、アルコキシ及びアルキルチオから選択される1以上の基で置換されていてもよい;
R2はNH2基であり;
R3は、ヒドリド、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、オキソ、シアノ、カルボキシル、シアノアルキル、ヘテロシクリルオキシ、アルキルオキシ、アルキチオ、アルキルカルボニル、シクロアルキル、アリール、ハロアルキル、ヘテロシクリル、シクロアルケニル、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、アシル、アルキルチオアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アラルケニル、アルコキシアルキル、アリールチオアルキル、アリールオキシアルキル、アラルキルチオアルキル、アラルコキシアルキル、アルコキシアラルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アルキルアミノカルボニル、N-アリールアミノカルボニル、N-アルキル-N-アリールアミノカルボニル、アルキルアミノカルボニルアルキル、カルボキシアルキル、アルキルアミノ、N-アリールアミノ、N-アラルキルアミノ、N-アルキル-N-アラルキルアミノ、N-アルキル-N-アリールアミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、N-アリールアミノアルキル、N-アラルキルアミノアルキル、N-アルキル-N-アラルキルアミノアルキル、N-アルキル-N-アリールアミノアルキル、アリールオキシ、アラルコキシ、アリールチオ、アラルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アミノスルホニル、アルキルアミノスルホニル、N-アリールアミノスルホニル、アリールスルホニル及びN-アルキル-N-アリールアミノスルホニルから選択される1以上の基であり、R3は、任意に、置換可能な位置で、アルキル、ハロアルキル、シアノ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ニトロ、アルコキシアルキル、アルキルスルフィニル、ハロ、アルコキシ及びアルキルチオから選択される1以上の基で置換されていてもよく;及び
R4はヒドリド及びハロから選択される。)
の化合物である。
【0055】
特に、適当な選択的COX−2阻害剤は、式(V):
【0056】
【化4】
(式中、R4は水素又はC1-4アルキルもしくはアルコキシ基であり、
Xは、N又はCR5(R5は水素又はハロゲン)であり、
Y及びZは、別々に、オキソ、ハロ、メチル又はハロメチル基で1以上の位置において置換された、あるいは置換されていない5から6員環の隣接原子を規定する炭素又は窒素原子である。)
を有する化合物である。
【0057】
例として、本発明の組成物はセレコキシブ、デラコキシブ、バルデコキシブ及びJTE-522に適しており、さらにセレコキシブ、パラコキシブ、バルデコキシブに適している。他の適当な組成物の例はアセタゾールアミドCAS登録番号:59-66-5、アセトヘキサミドCAS登録番号:968-81-0、アルピロプライドCAS登録番号:81982-32-3、アルシアザイド(Althiazide)CAS登録番号:5588-16-9、アンブサイドCAS登録番号:3754-19-6、アミデフリンCAS登録番号:3354-67-4、アモスアラロールCAS登録番号:85320-68-9、アムサクリンCAS登録番号:51264-14-3、アルガトロバンCAS登録番号:74863-84-6、アゾセミドCAS登録番号:27589-33-9、ベンドロフルメチアジドCAS登録番号:73-48-3、ベンズチアジドCAS登録番号:91-33-8、ベンジルヒドロクロロチアジドCAS登録番号:1824-50- 6、p-(ベンジルスルホンアミド) 安息香酸CAS登録番号:536-95-8、ボセンタンCAS登録番号:147536-97-8、ブリンゾラミドCAS登録番号:138890-62-7、ブメタニドCAS登録番号:28395-03-1、ブタゾラミドCAS登録番号:16790-49-1、ブチアジドCAS 登録番号:2043-38-1、カルブタミドCAS登録番号:339-43-5、セレコキシブ CAS登録番号:169590-42-5、クロルアミノフェナミドCAS登録番号:121-30-2、クロロチアジドCAS 登録番号:58-94-6、クロルプロパミドCAS登録番号:94-20-2、クロルタリドンCAS登録番号:77-36-1、クロフェナミドCAS登録番号:671-95-4、クロパミドCAS登録番号:636-54-4、クロレキソロンCAS登録番号:2127-01-7、シクロペンチアジドCAS登録番号:742-20-1、シクロチアジドCAS登録番号:2259-96-3、ダルトロバンCAS登録番号: 79094-20-5、デラビルジンCAS登録番号:136817-59-9、ジアゾキシドCAS登録番号: 364-98-7、ジクロルフェナミドCAS登録番号:120-97-8、ジスルファミドCAS登録番号:671-88-5、ドフェチリドCAS登録番号:115256-11-6、ドミトロバンCAS登録番号:112966-96-8、ドルゾカミドCAS登録番号:120279-96-1、エチアジドCAS登録番号:1824-58-4、エトキシゾールアミドCAS登録番号:452-35-7、フェンキゾンCAS登録番号:20287-37-0、フルメチアジドCAS 登録番号:148-56-1、N2-ホルミルスルフィゾミジンCAS登録番号:795-13-1、フロセミドCAS登録番号:54-31-9、グリボルヌリドCAS登録番号: 26944-48-9、グリクラジドCAS 登録番号:21187-98-4、グリメピリドCAS登録番号:93479-97-1、グリピジドCAS登録番号:29094-61-9、グリキドンCAS登録番号:33342-05-1、グリソキセピドCAS登録番号:25046-79-1、N4-El-D-クルコシルスルファニルアミドCAS登録番号:53274-53-6、グリブライドCAS登録番号:10238-21-8、グリクチアゾールCAS登録番号: 535-65-9、グリブゾールCAS登録番号: 1492-02-0、グリヘキサミドCAS登録番号:451-71-8、グリミジンCAS登録番号:339-44-6、グリピナミドCAS登録番号:1228-19-9、ヒドロクロロチアジドCAS登録番号:58-93-5、ヒドロフルメチアジドCAS 登録番号:135-09-1、イブチリドCAS登録番号:122647-31-8、インダパミドCAS登録番号:26807-65-8、メフェニドCAS登録番号:138-39-6、メフルシドCAS登録番号:7195-27-9、メタゾラミドCAS登録番号:554-57-4、メチクロチアジドCAS登録番号:135-07-9、メトラゾンCAS登録番号:17560-51-9、ラナトリプタンCAS登録番号:121679-13-8、ニメスキドCAS登録番号:51803-78-2、ノプリルスルファミドCAS登録番号:576-97-6、パラフルチジドCAS登録番号:1580-83-2、フェンブタミドCAS 登録番号:3149-00-6、フェノスルファゾールCAS登録番号:515-54-8、フタリルスルファセタミドCAS登録番号:131-69-1、フタリルスルファチアゾールCAS登録番号:85-73-4、スルファセタミドCAS登録番号:144-80-9、スルファクロルピリダジンCAS登録番号:80-32-0、スルファクリソイジンCAS登録番号:485-41-6、スルファシチンCAS登録番号:17784-12-2、スルファジアジンCAS登録番号:68-35-9、スルファジクラミドCAS登録番号:115-68-4、スルファジメトキシンCAS登録番号:122-11-2、スルファドキシンCAS登録番号:2447-57-6、ピレタニドCAS登録番号:55837-27-9、ポリチアジドCAS登録番号:346-18-9、キネタゾンCAS登録番号:73-49-4、ラマトロバンCAS登録番号:116649-85-5、サラゾスルファジミジンCAS登録番号:2315-08-4、サンパトリラットCAS登録番号:129981-36-8、セマチリドCAS登録番号:101526-83-4、シベレスタットCAS登録番号:127373-66-4、ソタロールCAS登録番号:3930-20-9、ソテレノールCAS登録番号:13642-52-9、スクシニルスルファチアゾールCAS登録番号:116-43-8、スクロフェニドCAS登録番号:30279-49-3、スルファベンズアミドCAS 登録番号:127-71-9、スルファエチドールCAS登録番号:94-19-9、スルファグアノールCAS登録番号:27031-08-9、スルファレンCAS登録番号:152-47-6、スルファロキシ酸CAS登録番号:14376-16-0、スルファメラジンCAS登録番号:127-79-7、スルファメーテルCAS登録番号:651-06-9、スルファメタジンCAS登録番号:57-68-1、スルファメチゾールCAS 登録番号:144-82-1、スルファメトミジンCAS登録番号:3772-76-7、スルファメトキサゾールCAS登録番号:723-46-6、スルファメトキシピリダジンCAS登録番号:80-35-3、スルファメトロールCAS登録番号:32909-92-5、スルファミドクリソイジンCAS 登録番号:103-12-8、スルファモキソールCAS登録番号:729-99-7、スルファニラミドCAS登録番号:63-74-1、4-スルファニラミドサリシリックアシッドCAS登録番号:6202-21-7、N4-スルファニリルスルファニルアミドCAS 登録番号:547-52-4、スルファニリルウレアCAS登録番号:547-44-4、N-スルファニリル-3, 4-キシルアミドCAS登録番号:120-34-3、スルファペリンCAS 登録番号:599-88-2、スルファフェナゾールCAS登録番号:526-08-9、スルファプロキシリンCAS 登録番号:116-42-7、スルファピラジンCAS 登録番号:116-44-9、スルファピリジンCAS登録番号:144-83-2、スルファシドCAS登録番号:1134-98-1、スルファサラジンCAS登録番号:599-79-1、スルファソミゾールCAS登録番号:632-00-8、スルファシマジンCAS登録番号:1984-94-7、スルファチアゾールCAS登録番号:72-14-0、スルファチオウレアCAS登録番号:515-49-1、スルフィソミジンCAS登録番号:515-64-0、スルフィソキサゾールCAS登録番号:127-69-5、スルピライドCAS登録番号:15676-16-1、スルプロストンCAS登録番号:60325-46-4、スルチアメCAS登録番号:61-56-3、スマトリプタンCAS登録番号:103628-46-2、タムスロシンCAS登録番号:106133-20-4、タウロリジンCAS登録番号:19388-87-5、テクロチアジドCAS登録番号:4267-05-4、テベネル(登録商標)CAS登録番号:4302-95-8、チロフィバンCAS登録番号:144494-65-5、トラザミドCAS登録番号:1156-19-0、トルブタミドCAS登録番号:64-77-7、トルシクラミドCAS登録番号:664-95-9、トルセミドCAS登録番号:56211-40-6、トリクロルメチアジドCAS登録番号:133-67-5、トリパミドCAS登録番号:73803-48-2、ベラリプライドCAS登録番号:66644-81-3、キシパミドCAS登録番号:14293-44-8、ザフィルルカストCAS登録番号:107753-78-6、ゾニサミドCAS登録番号:68291-97-4を含む。
【0058】
特に好ましい実施態様では、本発明の医薬組成物は、セレコキシブの塩(例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム又はカルシウム塩)を含む。その塩は現在市販されている中性セレコキシブより、極めて水溶性であるかもしれない。セレコキシブのpKa(約11)が高いために、塩は強い塩基性条件下でのみ形成される。一般的に、セレコキシブをその塩の形態に変換するため、塩基約1当量以上が必要とされる。セレコキシブを塩に変換するための適当な水溶液は、pH約11.0以上、約11.5以上、約12以上、約13以上を有している。一般的に、そのような溶液のpHは約12から約13である。セレコキシブは好ましい実施態様ではあるが、本発明は9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5又は13より大きいpKaを有した他の医薬を含む。その薬物は、通常、中和形態であるか、塩の形態がすでに存在してもよい。
【0059】
セレコキシブなどの医薬の塩は、その医薬と許容される塩基との反応によって形成される。許容される塩基は、限定されないが、金属水酸化物及びアルコキシドを含む。金属は、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウム)、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム)、亜鉛、アルミニウム、ビスマスを含む。アルコキシドは、メトキシド、エトキシド、n-プロポキシド、イソプロポキシド及びt-ブトキシドを含む。さらなる塩基は、アルギニン、プロカイン及び炭素−アルカリ金属結合(例えば、t-ブチルリチウム)を有する化合物とともに、十分高いpKa=s(例えば、約11より大きいpKa=s、約11.5より大きいpKa=s又は約12より大きいpKa=s)を有するアミノ又はグアニジニン部分を備える他の分子が含まれる。水酸化ナトリウム及び水酸化エトキシドは好ましい塩基である。塩を形成するのに使用される塩基の量は、医薬に対して、一般に、約1当量以上、約2当量以上、約3当量以上、約4当量以上、約5当量以上、約10当量以上である。好ましくは、1以上の塩基の約3から約5当量が塩を形成するために薬剤と反応する。
【0060】
医薬の塩は、金属交換反応又は第1の医薬の塩のカチオンを置換する他の方法によって、第2の医薬の塩に変換することができる。一つの例では、医薬のナトリウム塩を調製し、続いて、アルカリ性土類ハライド(例えば、MgBr2、MgCl2、CaCl2、CaBr2)、アルカリ性土類硫酸塩又は硝酸塩(Mg(N03)2、Mg(SO4)2、Ca(N03)2、Ca(SO4)2)、あるいは有機酸のアルカリ性金属塩(例えば、ギ酸カルシウム、ギ酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、プロピオン酸カルシウム、プロピオン酸マグネシウム)等の第2塩と反応させて、医薬のアルカリ土類金属塩を形成する。
【0061】
本発明の好ましい実施態様では、医薬の塩は実質的に純粋である。実質的に純粋な塩は、約80%よりも純粋、約85%よりも純粋、約90%よりも純粋、約95%よりも純粋、約98%よりも純粋又は約99%よりも純粋とすることができる。塩の純度は、塩の量(逆に、未反応の中性の医薬又は塩基)を基準にして判断することができ、あるいは塩の特定の多形、共結晶、溶媒和物、脱溶媒和、水和物、脱水和物、無水物の形態を基準として判断することができる。
【0062】
ここに記載される医薬の塩は、現在市販されている中性のセレコキシブなどの現存する中性の形態よりも、かなりの水溶性有しているかもしれない。一般的に、ファイザー・インク及びG.D.Searle & Co.(製薬会社)により市販されているセレコキシブなどの中性の形態より、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍又は少なくとも約100倍以上、水又は擬似胃液で溶解しやすい。このことは、Physicians Desk Referenceの2002年版(p2676-2680及び2780-2784)に記載されている (また、現在市販されているセレコキシブとしてここに示されている)。溶解度は、塩が単独で試験されたかどうか、又は本発明の再結晶化/沈殿抑制剤及び増強剤をさらに含む形態として試験されたかに依存する。
【0063】
一般に、水性又は一部水性である溶液(例えば、1以上の極性有機溶媒が共溶媒であるようなもの)に溶解した後、その塩は、酸によって又は二酸化炭素のような油溶性ガスによって中和することができる。一般に、そのような溶液のpHは11以下、10以下、9以下である。塩の中和は、中性のセレコキシブの非晶質又は準安定結晶形の沈殿を生じる。一般に、医薬の塩の中和は、負に電荷されたアニオンの大部分をプロトン化することを含む。セレコキシブに関しては、プロトン化は、非晶質及び/又は準安定結晶のセレコキシブを形成し、それは「中和」である(すなわち、大部分は変化しない)。好ましくは、中性の医薬(セレコキシブ等の非晶質及び/又は準安定結晶形を含む)は10モル%以下で荷電分子を含む。例えば、約pH2(例えば、おおよそ胃内のpH)で、セレコキシブのナトリウム塩の溶液は、中性のセレコキシブの非晶質形として、即座に沈殿する。非晶質形は、中性準安定結晶形に変換し、それはその後、中性セレコキシブの安定した、針様の不溶性形態になる。例えば、本発明の塩から形成された非晶質の中性セレコキシブ(例えば、実施例1のナトリウム塩)は、約5から約10分間かけて、準安定結晶の中性セレコキシブに変換する。非晶質の中性セレコキシブは、より早く同じものに変換する。非晶質の中性セレコキシブは規則的な結晶構造の欠乏によって特徴付けることができ、一方、準安定中性セレコキシブは、単離された物質のPXRDパターンにより一般に結晶の中性セレコキシブと区別することができる。
【0064】
中性セレコキシブの非晶質及び準安定結晶形は、中性セレコキシブの安定した結晶形よりも、より溶解しやすく、より容易に患者に吸収される傾向にある。というのは、薬物の分子が安定な結晶から離脱するために必要とされるエネルギーが、同じ薬物の分子が無結晶、非晶系形又は準安定形から離脱するために必要なエネルギーよりも大きいからである。しかし、中性の非晶質及び中性準安定結晶形の不安定状態が、それらを医薬組成物として製剤化することを困難にする。米国公開第2002/0006951号に記載されるように(その内容全体を参照として、ここに組み込む)、ポリマーのように、結晶化阻害剤によって安定化されることなく、非晶質及び準安定結晶の中性セレコキシブは、遊離の中性セレコキシブの安定な、不溶性の結晶形に転換して戻る。これらの内容は不完全であり、本発明と少しかけ離れているが、我々は、非常に優れた製剤を、塩又は共結晶、再結晶化/沈殿抑制剤及び任意に増強剤を組み合わせることによって作ることができることを意外にも見出した。他のものがセレコキシブの最初の可溶化に焦点を当てている一方、本発明は、薬物の溶解性と再結晶化/沈殿とを等しく考慮している(例えば、WO 02/10237号6及びWO 01/78724号参照)。さらに、現在まで、セレコキシブの塩ならびにその溶解性及び再結晶化/沈殿における生体の役割について開示されたことはない。さらに、再結晶化/沈殿抑制剤への増強剤の添加が言及されたこともない。
【0065】
本発明のさらなる観点は、本発明の化合物の液状製剤(例えば、セレコキシブ)に関する。これらの観点では、薬物は沈殿抑制剤とともに、あるいは可溶化剤又は溶媒とともに直接、可溶化される。好ましい可溶化剤は、ポリエチレンオキサイドである。さらに好ましくは、ポリエチレンオキサイドが界面活性剤である。好ましいエチレンオキサイドは、官能基−(C2H4O)−(n>2である)を含む。他の好ましいポリエチレンオキサイドは、一般式
HO (C2H4O)a(C3H6O)b(C2H4O)aH
(式中、a≧2であるか、a≧3であるか、a≧2でかつb≧30であるか、a≧2でかつb≧4であるか、a≧2でかつb≧50であるか、a≧2でb≧60である。)
である。
【0066】
活性医薬成分(セレコキシブ)を含むアミノスルホニル基は、少なくとも2つの酸素原子を含む分子(例えば、エテール基)と共に、沈殿抑制剤による再結晶化抑制剤に関係する物理的相互作用を試験するために、結晶化された。これらの結果から、本発明の一つの観点では、沈殿抑制剤化合物、好ましくは界面活性剤は、以下の物理的性質又は特徴を有する:抑制剤分子は少なくとも1つ、好ましくは2つ、10、 25、40、50、60、80、100以上の官能相互作用基を含む(ここで、官能相互作用基は、2つの酸素原子を含み、その2つの酸素原子はそれぞれ活性医薬成分と相互作用(例えば、水素結合)している)。好ましくは、2つの酸素原子が活性医薬成分のアミノスルホニル基と相互作用していることである。好ましくは、アミノスルホニル基が−SO2NH2であることである。2つの相互作用する酸素原子は、好ましくは約3.6オングストロームから約5. 8オングストローム、約3.9 オングストロームから約5.5オングストローム、4.3から約5.2オングストローム、4.6から約5.0オングストローム又は約4.7から約4.9 オングストローム隔離されている。1つの実施態様では、2つの酸素原子が少なくとも3つの原子で隔離されている。他の実施態様では、2つの酸素原子が5つの原子によって隔離されている。5つの原子による隔離についての1つの実施態様では、2つの酸素原子が4つの炭素と1つの酸素原子により隔離されている。5つの原子による隔離について、より詳細な実施態様では、5つの原子の順番が−C−C−O−C−C−である。ここで、官能相互作用基(2つの相互作用酸素原子を含む)の1単位は、−O−C−C−O−C−C−O−である。
【0067】
また、グリコールエ−テルは、中性の可溶化剤としても使用することができ、又はセレコキシブのほかの形態は、式:
R1−O−((CH2)mO)n−R2 (VII)
【0068】
(式中、R1 及びR2は、独立して、水素又はC1-6アルキル、C1-6アルケニル、フェニル又はベンジル基であるが、R1 及びR2の1以上が水素である;
mは2から約5の整数である;
nは1から約20の整数である。)
に対応するものを含む。R1 及びR2の1つがC1-4アルキル基で、他が水素又はC1-4アルキル基であることが好ましく、より好ましくは、少なくともR1 及びR2の1つがメチル又はエチル基である。mは2であることが好ましい。nは1から約4の整数であることが好ましく、さらに好ましくは2である。また、上記式のこれらを含むグリコールエテールは、特に本発明から除外することもできる。好ましくは、グリコールエテールは界面活性剤である。
【0069】
本発明の組成物は、任意に1以上の医薬的に許容することができる共溶媒を含んでもよい。本発明の組成物の使用に適した共溶媒の限定されない例としては、上述したいずれかのグリコールエテール;アルコール、例えば、エタノール及びn-ブタノール;上述されていないグリコールを含む。
セレコキシブは、それらの安定性のために、塩が好ましい。従って、医薬組成物として製剤化することができ、患者への投与まで保存することができる。溶解及びその後の中和の後に限り、セレコキシブ塩は沈殿し、又は実質的に非晶質で中性に変換され、その後、実質的に準安定結晶の中性形態に変換する。好ましくは、セレコキシブ塩の溶解及び中和は、患者の胃腸の管内(例えば、胃、十二指腸、回腸)のその場で起こるので、最大量の非晶質及び/又は準安定結晶の中性セレコキシブが、投与前よりもむしろ、投与後に存在する(例えば、インビボで)。
【0070】
溶解性の調節
本発明の別の観点では、活性医薬成分の溶解プロファイルを調節し、よって、水性溶解速度、又は擬似胃液もしくは擬似腸液中での、あるいは単一溶媒もしくは複数溶媒中での溶解速度を増減する。溶解速度は、活性医薬成分の固体が溶解媒体中に溶解する速度である。吸収速度が溶解速度よりも速い活性医薬成分(例えば、ステロイド)では、吸収過程での速度制限工程が、しばしば溶解速度である。吸収部位での残留時間が制限されているために、腸吸収部位から移される前に溶解しない活性医薬成分は役に立たないとみなす。従って、溶解速度は、溶解性の乏しい活性医薬成分のふるまいに重大な影響を与える。この因子のために、固体投与型での活性医薬成分の溶解速度が、活性医薬成分の製造工程で使用される、重要な、慣例的な、品質制御因子となる。
【0071】
溶解速度=KS(Cs−C)
(式中、Kは溶解速度定数、Sは表面積、Csは見かけの溶解度、Cは溶解媒体中での活性医薬成分の濃度である。)早い活性医薬成分の吸収は、Cs-CがCsとほぼ等しい。
活性医薬成分の溶解速度は、当該分野で公知の方法によって測定することができる。
【0072】
本発明の組成物の溶解速度の増加は、中性遊離塩基に比較して、同じ溶液中で遊離形態よりも10、20、30、40、50、60、70、80、90又は100%、あるいは2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、500、1000、10,000又は100,000倍大きいなどと規定してもよい。溶解速度を測定する際の条件は、上述したのと同様である。溶解の増大は、さらに、組成物が過飽和で残存する時間によって規定してもよい。
【0073】
上記実施の形態の例おいては、37℃、pH7.0で、中性遊離形に対して少なくとも5倍増加した組成物、中性遊離形に対してSGFでの溶解速度が少なくとも5倍増加した組成物、中性遊離形に対してSIFでの溶解速度が少なくとも5倍増加した組成物を含む。
【0074】
本発明は、セレコキシブ又は他の活性医薬成分の溶液中に残る時間の長さが、ここに記載されるように、再結晶化/沈殿抑制剤、通常界面活性剤(例えば、ポロキサマー、TPGS、SDS等)及び任意に増強剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)の存在とともに塩又は共結晶形を使用することにより、驚くべき高い程度に増加させることができることを示す。これらの剤が存在することにより、活性医薬成分の過飽和溶液を形成することができ、高濃度の活性医薬成分を、長時間溶液中に残存させるであろう。これらの成分が存在しても、ポリエチルグリコール及びポリオキシエチレンソルビタンエステル等のさらなる界面活性剤を含む、他のさらなる剤の存在を排除するものではない。また、他の適当な界面活性剤がさらに存在してもよく、これらはここに挙げられる。
【0075】
さらに、ポリビニルピロリドン等の沈殿速度を緩和するであろうさらなる剤を排除するものではない。例えば、中性遊離セレコキシブは、1μg/ml未満の水に溶解性を有し、相当時間、過飽和溶液として維持することができない。本発明では、所定時間(例えば、15、30、45、60分間以上)、2、3、5、7、10、20、30、40、50、60、70、80、90又は100%の濃度で過飽和溶液として維持することができ、又は同一溶液における(例えば、水又はSGF)中性遊離形の溶解度よりも3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、500、1000、10,000又は100,000倍以上大きな溶解度を維持することができる組成物を得ている。
【0076】
再結晶化/沈殿阻害剤又は増強剤の量は、それぞれ又は共に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80又は90w/w%未満である(再結晶化/沈殿阻害剤又は増強剤/医薬)。また、再結晶化/沈殿阻害剤又は増強剤のいずれか、あるいは双方のw/w%は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80又は90のいずれか2つの整数により表された範囲であってもよい。
【0077】
本発明のセレコキシブ塩は、一般に、少なくとも約1週間、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、湿気のない室温で安定である(つまり、セレコキシブ塩の90%より多くが組成物又は結晶構造において変化しない)。室温は、一般に、約15℃から約30℃の範囲である。ここで規定するように、湿気がないとは、液体、特に水又はアルコールの接触量ではなくセレコキシブ塩について言及する。本発明の目的のため、水蒸気等のガスは湿気とみなさない。
【0078】
本発明の組成物は、活性医薬成分及び活性医薬成分を含む製剤を包含し、医薬的な使用のために、適当な安定を示す。好ましくは、活性医薬成分又は本発明のそれらの製剤は安定しているので、2年間30℃で貯蔵されたとき、0.2%未満で分解物が形成される。用語「分解物」は、ここで、単一タイプの化学反応の生成物を示す。例えば、1つの分子を2つに分割する加水分解事象が起こった場合、本願の目的のために、単一の分解物とみなされるであろう。より好ましくは、2年間40℃で貯蔵されたとき、0.2%未満で分解物が形成される。あるいは、3ヶ月間30℃で貯蔵されたとき、0.2 %又は0.15%又は0.1%未満で、いずれか1つの分解物が形成され、あるいは3ヶ月間40℃で貯蔵されたとき、0.2 %又は0.15%又は0.1%未満で、いずれか1つの分解物が形成される。あるいは、さらに4週間60℃で貯蔵されたとき、0.2 %又は0.15%未満又は0.1%未満で、いずれか1つの分解物が形成される。相対湿度(RH)は、大気(RH)、75% (RH)又は1から99%の間のいずれかの単一の整数で特定することができる。
【0079】
バイオアベイラビリティ調節
本発明の方法は、天然型遊離形と比較して、高い溶解度、溶解性及びバイオアベイラビリティ及びAUC、小さいTmaxへの時間、ピーク血清レベルに到達するまでの時間、ならびにより高いCmax、最高血清濃度を有する医薬的な活性医薬成分の製剤を形成するために用いられる。
【0080】
AUCは活性医薬成分投与後の時間に対する活性医薬成分の血漿濃度のプロット(濃度のロガリズムではない)下の面積である。その面積は、「台形法則」によって適切に測定され、データポイントは直線区分によってつなぎ合わせられ、各データポイントに垂線が横座標から立てられ、そのように構成された三角形及び台形の面積の合計が算出される。最終の測定濃度(Cn、tn時において)がゼロでなければ、tn時から無限時までのAUCはCn/kelによって推算される。
【0081】
AUCは、活性医薬成分のバイオアベイラビリティの見積もり及び活性医薬成分の総クリアランス(ClT)の見積もりに用いられる。以下の単回静脈内投与では、一次消失力学に従う単一区画システムでAUC=D/ClT、あるいは、AUC=C0/kelである。静脈以外の経路では、そのようなシステムで、AUC=F・D/ClTであり、ここで、Fは活性医薬成分のアベイラビリティである。
【0082】
このように、さらなる観点では、本発明は、正常で有効な用量範囲において投与された際の活性医薬成分のバイオアベイラビリティの調節方法を提供し、よって、AUCが増加し、Tmaxへの時間が減少し、あるいはCmaxが増加する。この方法は、
(1)活性医薬成分の塩又は共結晶を形成し、
(2)その塩又は共結晶と沈殿抑制剤及び任意に増強剤とを組み合わせることを含む。
【0083】
上記実施の形態の例においては、天然遊離形に比較してTmaxへの時間が少なくとも10%減少する組成物、遊離型に比較してTmaxへの時間が少なくとも20%減少する組成物、遊離型に比較してTmaxへの時間が少なくとも40%減少する組成物、遊離型に比較してTmaxへの時間が少なくとも50%減少する組成物、遊離型に比較してTmaxへの時間が少なくとも60%減少する組成物、遊離型に比較してTmaxへの時間が少なくとも70%減少する組成物、遊離型に比較してTmaxへの時間が少なくとも80%減少する組成物、遊離型に比較してCmaxが少なくとも20%増加する組成物、遊離型に比較してCmaxが少なくとも30%増加する組成物、遊離型に比較してCmaxが少なくとも40%増加する組成物、遊離型に比較してCmaxが少なくとも50%増加する組成物、遊離形に比較してCmaxが少なくとも60%増加する組成物、遊離形に比較してCmaxが少なくとも70%増加する組成物、遊離形に比較してCmaxが少なくとも80%増加する組成物、遊離形に比較してAUCが少なくとも10%増加する組成物、遊離形に比較してAUCが少なくとも10%増加する組成物、遊離形に比較してAUCが少なくとも20%増加する組成物、遊離形に比較してAUCが少なくとも30%増加する組成物、遊離形に比較してAUCが少なくとも40%増加する組成物、遊離形に比較してAUCが少なくとも50%増加する組成物、遊離形に比較してAUCが少なくとも60%増加する組成物、遊離形に比較してAUCが少なくとも70%増加する組成物、又は遊離形に比較してAUCが少なくとも80%増加する組成物を含む。
【0084】
また、患者による薬物の摂取によって、最大血清濃度及び最大血清濃度に達する時間に関して推定することができる。さらに早い治療効果の発現を有する医薬組成物は、一般に、より高い最大血清濃度(Cmax)に、経口投与後、より短い時間(Tmax)で達成する。好ましくは、本発明の組成物(好ましくは塩を含んでいるもの)が、現在市販されているセレコキシブよりも、より高いCmax及び/又はより短いTmaxを有している。本発明の組成物のTmaxは、投与(例えば、経口投与)の約60分、55分、50分、45分、40分、35分、30分、25分、20分、15分、10分又は約5分以内に達成されるかもしれない。さらに好ましくは、本発明の組成物の治療効果は、投与(例えば、経口投与)の約60分、55分、50分、45分、40分、35分、30分以内、約25分以内、約20分以内、約15分以内、約10分以内又は約5分以内に出始める。
【0085】
本発明の組成物は、天然セレコキシブよりも大きなバイオアベイラビリティを有しており、現在、SEREBREX(商標)が販売されている。他の実施態様では、本発明の組成物は少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、87%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%のバイオアベイラビリティを有している。
本発明のセレコキシブ及びそれらの塩で治療可能な疾患を、以下に述べる。双方及び慢性の痛みの治療は本発明の好ましい実施態様である。
【0086】
用量作用調節
さらなる観点では、本発明の組成物を作ることにより、本発明は、活性医薬成分の用量作用を改善する方法を提供する。
用量作用は、作用の大きさと、作用を引き起こす用量との間の量的な関係であり、当該分野で公知の方法により測定することができる。活性医薬成分−細胞システムに対する用量(独立変数)対効果(従属変数)曲線は、「用量作用曲線」である。一般的には、用量作用曲線は、与えられた活性医薬成分の用量(mg/kg)に対する活性医薬成分のプロットに応答して判定される。また、用量作用曲線は、与えられた活性医薬成分の用量に対するAUCの曲線でもある。
【0087】
現在市販されているセレコキシブの用量作用曲線は非線形である。好ましくは、本発明のセレコキシブ塩又は共結晶組成物の用量曲線が線形又は現在市販されているセレコキシブより広い範囲の線形である。また、現在市販されているセレコキシブの吸収又は摂取は、一部食物作用に依存するので、食物、特に脂肪質の食物と一緒にとったときセレコキシブ塩の摂取は増加する。好ましくは、本発明のセレコキシブ塩の摂取が食物に依存することを減少させ、従って、食物をとったときと食物をとらないときとの摂取における差を、現在市販されているセレコキシブの摂取におけるよりも小さくする。
【0088】
吸湿性の減少
さらなる観点において、本発明は、吸湿性の小さな活性医薬成分を提供し、さらに、それを製造することによって、活性医薬成分の吸湿性を減少させる方法を提供する。
本発明の観点では、非晶質又は結晶の遊離形よりも吸湿性が弱い活性医薬成分の組成物を含む医薬組成物を提供する。吸湿性は、動的気相収着分析法によって評価することができ、この方法では、化合物の5〜50mgをカーン(Cahn)微量天秤に吊す。分析された化合物は、非吸湿性のパンに載置され、同一の材料、ほぼ同一のサイズ、形態及び重量で構成された空のパンに対して、相対的にその重量が測定される。理想的には、プラチナ製のパンを用いるべきである。パンは、管理され、相対湿度(%RH)が既知%の空気又は窒素等のガスを、平衡基準に達するまで流したチャンバー内に吊るすべきである。一般的な平衡基準は、一定の湿度及び温度で、3分間にわたって0.01%より少ない重量変化である。相対湿度は、乾燥窒素下で乾燥されたサンプルについて、脱溶媒和しない限り、そうでなければ物質を非晶質化合物に変換しない限り、40℃で一定重量(3分間で<0.01%の変化)に調整すべきである。一つの観点においては、乾燥化合物の吸湿性は、水分収着等温線を形成するために、5%RHの変化でRHを5%から95%に、次いで、5%の変化でRHを95%から5%に減少させることによってRHを評価することができる。サンプル重量は、%RHにおける各変化間で平衡させることができる。75%RH以上、かつ95%RHより小の間で化合物が潮解するか又は非晶質になる場合、実験は、新たなサンプルで繰り返されるべきであり、相対湿度のサイクル範囲を5〜95%RHに代えて、5〜75%RH又は10〜75%RHに狭めるべきである。形態安定性に欠けているためにテストに先駆けてサンプルを乾燥することができない場合、サンプルは、10〜75%RH又は5〜95%RHのいずれかの2つの完全な湿度サイクルを用いて試験されるべきであり、第1のサイクルの終了時に顕著な重量損失があれば、第2のサイクルの結果を用いるべきである。
【0089】
吸湿性は、種々のパラメータを用いて定義することができる。本発明の目的では、10〜75%RH(25℃での相対湿度)の間で反復させた場合、非吸湿性分子は、25℃にて1.0重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下で増減するであろう。より好ましい非吸湿性分子は、25℃にて5〜95%RHの間で反復させた場合、1.0重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、10〜75%RHの間ではその重量の0.25重量%以下で増減するであろう。最も好ましくは、非吸湿性分子は、5〜95%RHの間で反復させた場合、その重量の0.25重量%以下での増減であろう。
【0090】
あるいは、本発明の目的では、吸湿性は、Callaghanら、Equilibrium moisture content of pharmaceutical excipients、in Api Dev. Ind. Pharm.、Vol. 8、pp. 335-369 (1982)のパラメータを用いて定義することができる。Callaghanらは、吸湿性の程度を4クラスに分類した。
【0091】
クラス1:非吸湿性(90%以下の相対湿度で本質的に水分増加が起こらない)、
クラス2:わずかに吸湿性(80%以下の相対湿度で本質的に水分増加が起こらない)、
クラス3:中程度の吸湿性(水分含量が、60%以下の相対湿度で1週間保存した後に5%より多く増加しない)、
クラス4:非常に吸湿性(40〜50%程度の低い相対湿度でも水分含量の増加が起こるかもしれない)、
【0092】
あるいは、本発明の目的では、25℃、80%RH、で24時間保存した後、静的な方法に基づいて、吸湿性が定義されるEuropean Pharmacopoeia Technical Guide (1999、p. 86)のパラメータを用いて、吸湿性を定義することができる。
わずかに吸湿性:質量の増加が2%m/m未満、かつ0.2%m/m以上。
吸湿性:質量の増加が15%m/m未満、かつ0.2%m/m以上。
非常に吸湿性:質量の増加が15%m/m以上。
潮解性:十分な水分が吸収され、液体を形成する。
【0093】
本発明の組成物は、先に示したクラス1、クラス2又はクラス3とすることができ、あるいは、わずかに吸湿性、吸湿性又は非常に吸湿性とすることができる。また、本発明の組成物は、それらの吸湿性の減少能に基づくものとすることができる。よって、好ましい本発明の組成物は、天然遊離形よりも吸湿性が低い。さらに、本発明に含まれる組成物は、10〜75%RHの間で反復させた場合、25℃にて1.0重量%未満で増減する組成物であり、ここで、基準化合物は同じ条件下では、1.0重量%を超えて増減する。さらに、本発明に含まれる組成物は、10〜75%RHの間で反復させた場合、25℃にて0.5重量%未満で増減する組成物であり、ここで、基準化合物は同じ条件下では、0.5重量%を超えて又は1.0重量%を超えて増減する。さらに、本発明に含まれる組成物は、5〜95%RHの間で反復させた場合、25℃にて1.0重量%未満で増減する組成物であり、ここで、基準化合物は同じ条件下では、1.0重量%を超えて増減する。さらに、本発明に含まれる組成物は、5〜95%RHの間で反復させた場合、25℃にて0.5重量%未満で増減する組成物であり、ここで、基準化合物は同じ条件下では、0.5重量%を超えて又は1.0重量%を超えて増減する。さらに、本発明に含まれる組成物は、5〜95%RHの間で反復させた場合、25℃にて0.25重量%未満増減する組成物であり、ここで、基準化合物は同じ条件下では、0.5重量%を超えて又は1.0重量%を超えて増減する。
【0094】
さらに、本発明に含まれる組成物は、基準化合物よりも少なくとも一クラス低い、あるいは基準化合物よりも少なくとも二クラス低い吸湿性(Callaghanらに従う)を有する。クラス2の基準化合物であればクラス1の組成物、クラス3の基準化合物であればクラス2の組成物、クラス4の基準化合物であればクラス3の組成物、クラス3の基準化合物であればクラス1の組成物、クラス4の基準化合物であればクラス1の組成物、クラス4の基準化合物であればクラス2の組成物が含まれる。
【0095】
さらに、本発明に含まれる組成物は、基準化合物よりも少なくとも一クラス低い、あるいは基準化合物よりも少なくとも二クラス低い吸湿性(European Pharmacopoeia Technical Guideに従う)を有する。その例は、限定されず、吸湿性の基準化合物であればわずかに吸湿性の組成物、非常に吸湿性の基準化合物であれば吸湿性の組成物、潮解性の基準化合物であれば非常に吸湿性の組成物、非常に吸湿性の基準化合物であればわずかに吸湿性の組成物、潮解性の基準化合物であればわずかに吸湿性の組成物、潮解性の基準化合物であれば吸湿性の組成物が含まれる。
【0096】
セレコキシブ塩は示差走査熱量測定(DSC)によって特徴づけることができる。実施例1で形成されるセレコキシブのナトリウム塩は50℃から110℃の間で少なくとも3つのオーバーラップ吸熱転移によって特徴づけられる(図1)。DSCの条件は、実施例1に明らかにされている。
【0097】
セレコキシブ塩は、熱重量分析(TGA)によって特徴づけることができる。実施例1により形成されるナトリウム塩はTGAにより特徴づけられ、約30℃から約40℃の間で蒸発した水に相当する3つの疎結合、約40℃から約100℃の間で蒸発した水に相当する1つのより密な結合及び約140℃から約160℃の間で蒸発した水に相当する1つの強い密結合を有している(図2)。しかし、ここに詳述するように、ナトリウム塩は、湿気、温度及びその他の条件に依存して、種々の水和物状態で存在することができる。TGAの条件は実施例に明らかにされている。
【0098】
また、本発明のセレコキシブ塩は、粉末X線回析(PXRD)により特徴づけることができる。実施例1により形成されるセレコキシブのナトリウム塩は、6.40°の2θ角で強い反射又はピーク、7.01°、16.73°及び20.93°で他の反射又はピークを有する(図3)。PXRDの条件は、実施例1に明らかにされている。
【0099】
セレコキシブ塩は、溶媒和化合物分子を含んでもよく、溶媒和物としても知られている種々の溶媒和物状態で存在することができる。よって、セレコキシブ塩は、結晶多形として存在することができる。多形は、同じ薬物物質の異なる結晶形態であり、その用語についてのここでの使用では、溶媒和物と水和物とを含む。例えば、セレコキシブ塩の異なる多形は、製造方法を変えることによって得ることができる(比較例)。結晶多形、一般に、異なる溶解度を有しており、より熱力学的に安定した多形は、あまり熱力学的に安定していない多形よりも、溶解しにくい。また、医薬多形は、貯蔵寿命、バイオアベイラビリティ、形態学、蒸気圧、密度、色及び圧縮性等の性質において異なるかもしれない。
【0100】
適当な溶媒和物分子は、水、アルコール、他の極性有機溶媒及びそれらの混合物を含む。アルコールは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、プロピレングリコール及びt−ブタノールを含む。プロピレングリコール溶媒和物は、他の形態よりも、より安定で、吸湿性が低いため、特に好ましい。また、アルコールは、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール)等の重合アルコールを含む。実施態様では、水を溶媒としている。本発明の実施態様では、セレコキシブ塩は、約0.0%、0.5%未満、0.5、1、1%未満、1.5、1.5%未満、2、2%、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5%未満含み、あるいは塩1当量あたり水約6当量、約1〜約6、約2〜約5、約3〜約6、約3〜約5、約1〜約4、約2〜約4、約1〜約3、約2〜約3、0〜約3、0.5〜約3、0〜約2、0.5〜約2、0〜約1.5、0.5〜約1.5、1〜約1.5又は約1当量を含む。溶媒和物分子は、結晶塩から取り除くことができるので、塩は一部又は完全に脱溶媒和物となる。その溶媒和物分子が水で(水和物を形成する)あれば、脱溶媒和された塩は、脱水物と呼ばれることになる。全ての水が除去された塩は無水物である。溶媒和物分子は、加熱、真空又は減圧下での処理、塩への乾いた空気の吹き付け等の方法又はそれらの組み合わせにより、塩から除去することができる。脱溶媒和は、一般に、結晶の塩の1当量あたり、約1から約5当量、約1から約4当量、約1から約3当量又は約1から約2当量である。
【0101】
セレコキシブを含む医薬は、1以上の他の物質で共結晶化することができる。ここで使用される用語「共結晶」は、室温で2以上の単一固体からなる結晶材料を意味しており、それぞれが、構造、融点及び融解熱等、特有の物理的性質を有している。化合物を形成する共結晶をさらに含まない活性医薬成分化合物の溶媒和物は、本発明の共結晶ではない。しかし、共結晶は結晶格子内で1以上の溶媒を含むかもしれない。つまり、共結晶の溶媒和物、あるいは室温で液体である溶媒又は化合物をさらに含む共結晶は、本発明に含まれるが、1つの固体のみで構成された結晶材料及び1以上の液体(室温で)は本発明には含まれない。また、共結晶は、共結晶形成物と活性医薬成分の塩との間の共結晶であってもよいが、本発明の活性医薬成分と共結晶形成物とは、水素結合を介して、ともに構成又は結合される。また、分子認識の他の方法は、Π−スタッキング、ゲスト−ホスト錯体及びファンデアワールス相互作用を含んで存在してもよい。上述した相互作用では、水素結合は共結晶の形成における主要な相互作用であり、よって、非共有結合が、分子の1つの水素結合供与体と他の水素結合受容体との間で形成される。もう一つの実施態様では、共結晶形成物が第二の活性医薬成分となる共結晶を提供する。別の実施態様では、共結晶形成物は活性医薬成分とはならない。
【0102】
本発明の実施態様では、医薬が共結晶である。他の実施態様では、共結晶形成物が、以下の1又は2(三元共結晶のため)から選択される:サッカリン、ニコチンアミド、ピリドキシン(4−ピリドキシン酸)、アセスルファム、グリシン、アルギニン、アスパラギン、システイン、グルタミン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、トリプトファン、アデニン、アセトヒドロキサム酸、アラニン、アロプリノール、4−アミノ安息香酸、シクラミン酸、4−エトキシフェニル尿素、4−アミノピリジン、ロイシン、ニコチン酸、セリン、トリス、ビタミンk5、キシリトール、琥珀酸、酒石酸、ピリドキサミン、アスコルビン酸、ヒドロキノン、サリチル酸、安息香酸、カフェイン、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼン−スルホン酸、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、マロン酸、1, 5-ナフタレン−ジスルホン酸(アームストロングの酸)、クレミゾール、イミダゾール、グルコサミン、ピペラジン、プロカイン又は尿素。
【0103】
セレコキシブ塩は、セレコキシブと溶媒との接触によって形成することができる。適当な溶媒は水、アルコール、他の極性有機溶媒及びそれらの組み合わせを含む。水及びイソプロパノールが好ましい溶媒である。セレコキシブは塩基と反応する(適当な塩基は上述した通り)ので、セレコキシブは塩を形成し、好ましくは溶解する。塩基は、溶媒と共にセレコキシブに添加することができる(つまり、溶媒に溶解する)ので、セレコキシブは、実質的に同時に、溶媒和化及び脱プロトン化する。あるいは塩基は、セレコキシブが溶媒と接触した後で添加されてもよい(例えば、実施例を参照)。後者のシナリオでは、塩基は溶媒に溶解されてもよいし(それがすでにセレコキシブに接触している溶媒であってもよいし、異なる溶媒であってもよい)、あるいは塩基を、純粋な固体又は液体あるいはそれらの組み合わせとして添加してもよい。水酸化ナトリウム及びナトリウムエトキシドは、好ましい塩基である。必要とされる塩基の量は上述したとおりである。溶媒を蒸発させて、セレコキシブ塩の結晶を得てもよいし、蒸発とは独立して、セレコキシブ塩を沈殿及び/又は結晶化させてもよい。セレコキシブ塩の結晶は、大量の溶媒を除去するために濾過することができる。溶媒和物化された溶媒分子を除去する方法は上述した通りである。
【0104】
本発明の医薬組成物に用いられた賦形剤は固体、半固体、液体又はそれらの組み合わせとすることができる。好ましくは、賦形剤は固体である。賦形剤を含む本発明の組成物は、賦形剤と薬物又は治療薬との混合を含む、いずれかの公知の技術によって製造することができる。本発明の医薬組成物は、用量単位あたりにセレコキシブの所望量を含み、経口投与用を意図する場合には、例えば、錠剤、カプセル、丸剤、ハード又はソフトカプセル、トローチ剤、カシェ剤、分包、顆粒、懸濁剤、エリキシル剤、分散剤、液体又はそのような投与に合理的に適したその他のいずれかの形態とすることができる。非経口投与を意図する場合には、例えば、懸濁剤又は経皮貼布の形態とすることができる。直腸内投与を意図する場合には、例えば、坐薬の形態とすることができる。現在、各用量単位が、それぞれ、錠剤又はカプセルのように、所定量の薬物を含む経口用の用量単位が好ましい。
【0105】
本発明の医薬組成物を製造するために使用することができる賦形剤を以下に例示するが、限定されるものではない。
本発明の医薬組成物は、賦形剤として、任意に、1以上の医薬的に許容される担体又は希釈剤を含む。適当な担体又は希釈剤は、限定されないが、実例として、単独で又は組合せで、無水ラクトース及びラクトース一水和物を含むラクトース;直接圧縮できるデンプン及び加水分解デンプン(例えば、Celutab(商標)及びEmdex(商標))を含むデンプン;マンニトール;ソルビトール;キシリトール;デキストロース(例えば、Cerelose(商標)2000)及びデキストロース一水和物;リン酸水素カルシウム二水和物;シュクロース系希釈剤;粉糖;一塩基性硫酸カルシウム一水和物;硫酸カルシウム二水和物;硫酸カルシウム2水和物;粒状乳酸カルシウム三水和物;デキストレート(dextrates);イノシトール;加水分解穀類固体;アミロース;微晶質セルロース、α及び非晶質セルロースの食用グレード源(例えば、Rexce1J)、粉末セルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含むセルロース;炭酸カルシウム;グリシン;ベントナイト;ブロックコポリマー;ポリビニルピロリドン;等を含む。そのような担体又は希釈剤は、使用するならば、組成物の総重量の、合計約5%〜約99%、好ましくは約10%〜約85%、さらに好ましくは約20%〜約80%を構成する。選択された担体、複数の担体、希釈剤又は複数の希釈剤は、適当な流動性を示すことが好ましく、錠剤が望まれる場合には、圧縮性を示すことが好ましい。
【0106】
ラクトース、マニトール、リン酸水素ナトリウム及び微晶質セルロース(特に、アビセルPH101等のアビセルPH微晶質セルロース)は、単独又は組み合わせとして、好ましい希釈剤である。これらの希釈剤は、化学的にセレコキシブと適合性である。極顆粒微晶質セルロース(つまり、微晶質セルロースを顆粒組成物に添加した)は硬度(タブレット)及び/又は崩壊時間を改善するために使用することができる。ラクトース、とりわけ、ラクトース一水和物が、特に好ましい。ラクトースは、一般に、比較的低い希釈コストで、セレコキシブの適当な放出率、安定性、予圧流動性及び/又は乾燥性を備えた組成物を提供する。それは、顆粒形成(湿式造粒法が用いられる場合)における緻密化を促進する高密度基質を与え、よって、混合流動性及び錠剤特性を改善することができるからである。
【0107】
本発明の医薬組成物は、特に錠剤形成のために、任意に、1以上の医薬的に許容される崩壊剤を、賦形剤として含んでいてもよい。適当な崩壊剤は、限定されないが、単独で又は組み合わせて、グリコール酸ナトリウムデンプン(例えば、PenWestのExplotab(商標))及びα−コーンスターチ(例えば、National Starch and Chemical CompanyのNational(商標)1551、National(商標)1550及びColocorn(商標)1500)を含むでんぷん;クレー(例えば、R.T. VanderbiltのVeegum(商標) HV);精製セルロース、微結晶セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムなどを含むセルロース;クロスカルメロースナトリウム(例えば、FMCのAc-Di-Sol(商標));アルギン酸エステル、クロスポビドン及びアガー、ガラナ、ローカストビーンガム、インドゴム、ペクチンゴム及びトラガカントゴム等のゴムを含む。
【0108】
崩壊剤は、組成物の精製中、適当な工程で添加することができ、特に、顆粒形成の前又は圧縮前の潤滑剤を適用する工程で添加することができる。そのような崩壊剤は、もし追加するなら、組成物の総重量の、合計約0.2%〜約30%、好ましくは約0.2%〜約10%、さらに好ましくは約0.2%〜約5%を構成する。
【0109】
クロスカルメロースナトリウムは、錠剤又はカプセル崩壊のための崩壊剤として好ましい。もし追加するなら、好ましくは組成物の総重量の、合計の約0.2%〜約10%、好ましくは約0.2%〜約7%、さらに好ましくは約0.2%〜約5%を構成する。クロスカルメロースナトリウムは、本発明の顆粒状医薬組成物に顆粒間崩壊能を与える。
【0110】
本発明の医薬組成物は、任意に、賦形剤として、特に錠剤形態のために、1以上の医薬的に許容される結合剤又は結着剤を含む。そのような結合剤及び結着剤は、好ましくは、錠剤にされる粉末が、分粒、潤滑、圧縮及び包装等の通常の製造作業を可能とするのに十分な粘着を与えるが、依然、錠剤の崩壊を可能にし、摂取時に組成物の吸収を可能にする。また、そのような結合剤は、一旦塩が溶液に溶解されたら、本発明のセレコキシブ塩のさらなる結晶化又は再結晶化/沈殿を防止又は阻害することかもしれない。適当な結合剤及び結着剤は、限定されないが、単独で又は組み合わせて、アラビアゴム;トラガカント;スクロース;ゼラチン;グルコース;限定されないが、α−スターチ(例えば、National(商標) 1511及びNational(商標)1500)等のスターチ;限定されないが、メチルセルロース及びカルメロースナトリウム(例えば、Tylose(商標))等のセルロース;アルギン酸及びアルギン酸の塩;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;PEG;グアールゴム;ポリサッカリドアシッド;ベントナイト;ポビドン、例えば、ポビドンK-15、K-30及びK-29/32;ポリメタクリレート;HPMC;ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、アクアロンのKlucel(商標));及びエチルセルロース(例えば、ダウケミカル・カンパニーのEthocel(商標))を含む。そのような結合剤及び/又は結着剤は、もし追加するなら、好ましくは組成物の総重量の、合計約0.5%〜約25%、好ましくは約0.75%〜約15%、さらに好ましくは約1%〜約10%を構成する。
【0111】
多くの結合剤は、アミド、エステル、エーテル、アルコール又はケトン基を含むポリマーであり、それらが、本願発明の医薬組成物に含まれることが好ましい。ポビドンK-30のようなポリビニルピロリドンが、特に好ましい。高分子結合剤は、分子量、架橋の程度及びポリマーグレードを変化させることができる。また、高分子結合剤は、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド・ユニットの混合物を含むブロックコポリマー等の共重合体であってもよい。得られるポリマーにおけるこれらユニットの割合が変化することによって、性質及び性能が影響される。ブロック・ユニットの組成変化を伴うブロックコポリマーとしては、ポロキサマー188及びポロキサマー237(BASF Corporation)が挙げられる。
【0112】
本発明の医薬組成物は、任意に、賦形剤として、1以上の医薬的に許容される湿潤剤を含んでいてもよい。そのような湿潤剤は、組成物のバイオアベイラビリティを改善すると思われている条件で、水に密接に関連して、セレコキシブを維持するために、好ましく選択される。また、そのような湿潤剤は、セレコキシブの金属塩を可溶化し、溶解性を増大させるために用いることができる。
【0113】
本発明の医薬組成物において湿潤剤(かならずしも再結晶化/沈殿抑制剤としてではない)として使用することができる界面活性剤は、限定されず、第4アンモニウム化合物(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム及び塩化セチルピリジニウム)、ジオクチルナトリウムスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(例えば、ノンオキシノール9、ノンオキシノール10及びオクトキシノール9)、ポロキサマー(ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンブロック共重合体)、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリドならびに油(例えば、ポリオキシエチレン(8)カプリル/カプリン モノ及びジグリセリド(例えば、GattefosseのLabrasol(商標))、ポリオキシエチレン(35)ヒマシ油及びポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油);ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレン(20)セトステアリルエーテル)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステル)、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(例えば、ポリソルべート20及びポリソルベート80(例えば、ICIのTween(商標)80))、プロピレングリコール脂肪酸エステル(例えば、プロピレングリコールラウリン酸エステル(例えば、GattefosseのLauroglycol(商標))、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪酸及びそれらの塩(例えば、オレイン酸、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸トリエタノールアミン)、グリセリル脂肪酸エステル(例えば、モノステアリン酸グリセリン)、ソルビタンエステル(例えば、モノラウリル酸ソルビタン、モノアレイン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン及びモノステアリン酸ソルビタン)、チロキサポールならびにそれらの混合物が挙げられる。そのような湿潤剤は、もし追加するなら、組成物の総重量の、合計約0.25%〜約15%、好ましくは約0.4%〜約10%及びさらに好ましくは約0.5%〜約5%を構成する。
【0114】
湿潤剤は、アニオン性界面活性剤が好ましい。ラウリル硫酸ナトリウムは、特に好ましい湿潤剤である。ラウリル硫酸ナトリウムは、もし追加するなら、組成物の総重量の、約0.25%〜約7%、好ましくは約0.4%〜約4%、及びさらに好ましくは約0.5%〜約2%を構成する。
【0115】
本発明の医薬組成物は、任意に1以上の医薬的に許容される潤滑剤(抗付着剤及び/又は滑剤を含む)を賦形剤として含む。適当な潤滑剤は、限定されないが、単独で又は組み合わせて、グリセリンベハペート(behapate)(例えば、GattefosseのCompritol(商標)888);ステアリン酸及びそれらの塩(マグネシウム、カルシウム及びステアリン酸ナトリウムを含む);硬化植物油(例えば、アビテックのSterotex(商標));コロイドシリカ;タルク;ワックス;ホウ酸;安息香酸ナトリウム;酢酸ナトリウム;フマル酸ナトリウム;塩化ナトリウム;DL-ロイシン;PEG(例えば、ダウケミカルカンパニーのCarbowax(商標)4000及びCarbowax(商標)6000)、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム;及びラウリル硫酸マグネシウムを含む。そのような潤滑剤は、もし追加するなら、組成物の総重量の、合計約0.1%〜約10%、好ましくは約0.2%〜約8%及びさらに好ましくは約0.25%〜約5%を構成する。
【0116】
ステアリン酸マグネシウムは、例えば、錠剤製剤の圧縮時、装置と顆粒状混合物の摩擦を減らすために使用される好ましい潤滑剤である。
適当な抗付着剤は、限定されないが、タルク、コーンスターチ、DL-ロイシン、ラウリン硫酸ナトリウム及び金属ステアリン酸塩を含む。タルクは、例えば、装置の表面に付着する製剤を減少させるため及び混合物中の静電気を減少させるためにも使用される好ましい抗付着剤又は滑剤である。タルクは、もし追加するなら、組成物の総重量の約0.1%〜約10%、より好ましくは約0.25%〜約5%、さらに好ましくは約0.5%〜約2%を構成する。
【0117】
滑剤は、固形製剤の紛体流を促進させるために使用することができる。適当な滑剤は、限定されないが、コロイド状二酸化ケイ素、デンプン、タルク、三塩基性リン酸カルシウム、三ケイ酸マグネシウムを含む。コロイド状二酸化ケイ素は、特に好ましい。着色剤、香料、甘味料等の他の賦形剤が、医薬分野で知られており、本発明の医薬組成物にも使用することができる。錠剤は、例えば、腸溶コーティングで被覆してもよいし、被覆しなくてもよい。本発明の組成物は、さらに緩衝剤を含むことができる。
【0118】
任意に、1以上の発泡剤を、崩壊剤として用いてもよいし、本発明の医薬組成物の感覚受容性を高めるために使用してもよい。本発明の医薬組成物に、剤形の崩壊を促進するために追加する場合、1以上の発泡剤が、組成物の総重量の、合計約30%〜約75%、好ましくは約45%〜約70%、例えば約60%存在するのが好ましい。
【0119】
本発明の特に好ましい実施態様は、発泡剤は、剤形の崩壊を促進するのに有効な量よりも少ない量で固体剤形中に存在させることにより、水性媒体におけるセレコキシブの分散を改善する。理論に縛られなければ、発泡剤は、消化管で剤形からのセレコキシブの分散を促進させるのに効果的であると考えられ、よって、さらに、吸収を高め、迅速に治療効果を発現させることができる。崩壊を高めることなく胃腸内での分散を促進させるために、本発明の医薬組成物に追加される場合には、発泡剤は、好ましくは組成物の総重量の約1%〜約20%、さらに好ましくは約2.5%〜約15%、さらに好ましくは約5%〜10%存在させることが好ましい。
【0120】
ここで「発泡剤」は、一緒に又は単独で作用して、水への接触でガスを生じさせる1又以上の化合物を含む剤である。その発生したガスは、一般に、酸素であり、より一般的には二酸化炭素である。好ましい発泡剤は、水がある状態で反応し、二酸化炭素ガスを発生させる酸及び塩基を含む。好ましくは、塩基はアルカリ金属又はアルカリン土類金属炭酸塩又は重炭酸塩であり、酸は脂肪族カルボン酸を含む。
【0121】
本発明で有用な発泡剤成分として適当な塩基は、限定されず、炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム)、重炭酸塩(例えば、重炭酸塩ナトリウム)、セスキ炭酸塩及びそれらの混合物を含む。炭酸カルシウムは好ましい塩基である。
【0122】
本発明で有用な発泡剤及び/又は固形有機酸の成分として適当な酸は、限定されず、クエン酸、酒石酸(D-、L-又はD/L-酒石酸)、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、琥珀酸、それらの酸の酸無水物、それらの酸の酸性塩及びそれらの混合物を含む。クエン酸は好ましい酸である。
【0123】
本発明の好ましい実施態様では、発泡剤が酸及び塩基を含む場合、酸:塩基の重量比は、約1:100から約100:1、より好ましくは約1:50から約50:1、さらに好ましくは約1:10から約10:1である。本発明のさらに好ましい実施態様では、発泡剤が酸及び塩基を含む場合には、酸:塩基の比はほぼ化学量論的である。
【0124】
セレコキシブの金属塩を可溶化する賦形剤は、一般に、親水性及び疎水性部位の双方を有するか、好ましくは、両親媒性であるか、両親媒性部位を有するものである。両親媒性又は部分的に両親媒性である賦形剤のひとつは、両親媒性ポリマーを含むか、両親媒性ポリマーである。特定の両親媒性ポリマーはポリアルキレングリコールであり、それは、通常、エチレングリコール及び/又はプロピレングリコールサブユニットから構成される。そのようなポリアルキレングリコールは、その末端でカルボン酸、エステル、酸無水物又は他の適当な分子によりエステル化されてもよい。そのような賦形剤の例には、ポロキサマー(エチレングリコール及びプロピレングリコールの対称ブロック共重合体、例えば、ポロキサマー237)、トコフェロールのポリアルキレングリコール化エステル(ジ−又は多−官能化カルボン酸から形成されるエステル、例えば、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール-1000コハク酸エステル)及びマクロゴールグリセリド(モノ、ジ及びトリグリセリドならびにモノ及びジエステルの混合物を生成するために、油のアルコール分解及びポリアルキレングリコールのエステル化によって形成されたもの、例えば、ステアロイルマクロゴール-32グリセリド)を含む。そのような医薬組成物は経口投与に有利である。
【0125】
本発明の医薬組成物は、セレコキシブの金属塩を、重量で約10%から約50%、約25%から約50%、約30%から約45%又は約30%から約35%;結晶化を阻害する賦形剤を、重量で約10%から約50%、約25%から約50%、約30%から約45%、約30%から約35%;結合剤を、重量で約5%から約50%、約10%から約40%、約15%から約35%又は約30%から約35%を含む。一つの実施例では、セレコキシブの金属塩と、結晶化を阻害する賦形剤と、結合剤との重量比は約1:1:1である。
【0126】
本発明の固体剤形は、ここに記載される方法に限定されるのではなく、いずれかの適当な方法によって製造することができる。
例示される方法は、(i)本発明のセレコキシブ塩を、1以上の賦形剤に混合して混合物を得る工程、及び(ii)混合物を打錠又はカプセル化して、錠剤又はカプセルをそれぞれ形成する工程を含む。
【0127】
好ましい方法では、固体剤形は、(a)セレコキシブ塩を混合して混合物を形成する工程、(b)混合物を造粒し、顆粒を形成する工程、(c)混合物を打錠又はカプセル化して、錠剤又はカプセルをそれぞれ形成する工程を含む方法により製造される。
工程(b)は、この分野で知られる他の乾燥又は湿式造粒法によって行うことができる。セレコキシブ塩は、約1ミクロメーターから約100ミクロメーター、約5ミクロメーターから約50ミクロメーター又は約10ミクロメーターから約25ミクロメーターの粒子を形成するのに都合よく造粒される。1以上の希釈剤、1以上の崩壊剤及び1以上の結合剤を、例えば、混合工程で加えてもよく、湿潤剤を、任意に、例えば、造粒工程で加えてもよく、1以上の崩壊剤を、造粒後、打錠又はカプセル化する前に加えてもよい。潤滑剤は、打錠する前に加えてもよい。混合又は造粒は低い又は高いせん断下、別々に行ってもよい。カプセル充填又は打錠中に重量ばらつきを容易に制御することができるように、薬物の内容物が均一な顆粒を形成する方法;容易に崩壊する顆粒を形成する方法;十分容易に流動する顆粒を形成する方法;及び選択された装置でバッチを処理することができ、それぞれの用量が特定のカプセル又は錠剤金型に適合するように、嵩が十分に高密度である顆粒を形成する方法;を選択することが好ましい。
【0128】
別の実施態様では、固体剤形は、噴霧乾燥工程を含む方法により製造される。つまり、セレコキシブ塩は、1以上の噴霧可能な液体中、好ましくは、非プロトン性(例えば、非水性又は非アルコール性)の噴霧可能な液体中に、1以上の賦形剤とともに懸濁され、次いで、温かい空気の流れで迅速に噴霧乾燥される。
【0129】
上記の例示方法のいずれかから製造される顆粒又は噴霧乾燥粉末は、錠剤を製造するため圧縮又は成形することができ、あるいはカプセルを製造するためにカプセル化することができる。当該分野で知られる通常の打錠又はカプセル化する技術を用いることができる。被覆された錠剤が所望される場合に、通常の被覆技術が適当である。
【0130】
本発明の錠剤組成物用の賦形剤は、標準崩壊試験において、約30分未満、好ましくは約25分以下、さらに好ましくは約20分以下、さらに好ましくは約15分以下の崩壊時間を与えるように選択されることが好ましい。
【0131】
本発明のセレコキシブ剤形は、約10 mg から約1000 mg、さらに好ましくは約50 mgから約100 mg、約100mgから約150 mg、150 mgから約200 mg、200mgから約250 mg、250 mgから約300 mg、300 mgから約350 mg、350 mgから約400 mg、400mgから約450 mg、450mgから約500 mg、500mgから約550 mg、550 mgから約600 mg、600から約700及び700から約800 mgの1日投与量のセレコキシブを含むことが好ましい。
【0132】
本発明の医薬組成物は、1以上の経口投与可能な用量単位を含む。各用量単位は、好ましくはここに挙げられた、治療上の有効量のセレコキシブを含む。ここで、用語「用量単位」とは、本件のセレコキシブにおいて、医療上の効果を与えるために単回経口投与に適当な、治療又は予防剤の量を含む医薬組成物の1回分を意味する。一般に、1回用量単位又は数回の(約4まで)の用量単位は、一回投与において、所望の効果をもたらすのに十分量の剤を含む用量を提供する。そのような用量の投与は、必要に応じて、一般に一日に1、2、3又は4回の投薬頻度で、繰り返すことができる。
【0133】
患者にとって、セレコキシブの治療の有効量は、患者の体重に特に依存していることは理解されている。セレコキシブ塩又はその医薬組成物が投与される「患者」は、両性別及びいかなる年齢のヒトの患者を含み、また、いずれかのヒトでない動物、特に恒温動物、さらに家畜又はペット(例えば、猫、犬又は馬)を含む。患者が子供又は小動物(例えば、犬)の場合、例えば、約10 mgから約1000 mgの好ましい範囲の比較的低いセレコキシブ量(中性セレコキシブとして測定、つまり、水和物中の塩の対イオン又は水和物中の水は含まない)が、治療効果と一致した血清を提供しやすい。患者が成人又は大きな動物(例えば、馬)である場合、セレコキシブのそのような血清濃度の達成は、比較的大量のセレコキシブを含む用量単位を必要とする傾向にある。
【0134】
本発明の医薬組成物における一般的な用量単位は、約10、20、25、37.5、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350又は400 mgのセレコキシブを含む。成人では、本発明の組成物における用量単位あたりのセレコキシブの治療有効量は、一般に、約50mgから約400mgである。特に、単位用量あたりのセレコキシブの好ましい量は、約100mgから約200mg、例えば、約100mg又は約200mgである。バイオアベイラビリティが、新規の製剤で変更されれば、CELEBREX(商標)の現在の使用以外の用量を選択してもよい。例えば、300 mgを特定の症状のために好まれる用量としてもよい。
【0135】
セレコキシブの特定量を含む用量単位は、所望の1日投与量に到達するために使用される所望の投与頻度を考慮して選択することができる。1日量及び投与頻度及びそのために適当な用量単位の選択は、年齢、体重、性別及び患者の病状、その症状又は障害の性質及び深刻さを含む種々の要因により左右され、よって、広範囲で変化させてもよい。
【0136】
疼痛管理には、本発明の医薬組成物は、約50mgから約1000mg、好ましくは約100mgから約600mg、より好ましくは約150mgから約500mg、さらに好ましくは約175mgから約400mg、例えば、約200 mgのセレコキシブの1日投与量を提供するために使用することができる。約0.7から約13mg/体重kg、好ましくは約1.3から約8 mg/体重kg、より好ましくは約2から約6.7 mg/体重kg、そしてさらに好ましくは約2.3から約5.3 mg/体重kg、例えば、約2.7 mg/体重kgのセレコキシブの1日投与量が、一般に本発明の医薬組成物に投与される場合、適当である。1日投与量は、一日につき、1から約4用量で投与することができる。1日4回、1つ50 mg用量単位;1日2回、1つ100 mg用量単位;又は2つ50 mg用量単位;1日1回、2つ100 mg用量単位;又は4つ50 mg用量単位;の割合での投与が好ましい。
【0137】
ここで、用語「経口投与」は、それぞれが本発明の実施態様であるが、その剤又は組成物が即座に飲み込まれるか否かにかかわらず、治療剤又は組成物が患者の口に入れられるような、患者へのそれら治療剤又は組成物の分配のいかなる形態をも含む。よって、「経口投与」は、バッカル及び舌下ならびに食道投与を含む。剤の吸収は、口、食道、胃腸、十二指腸、回腸及び結腸を含む消化管のどこか又は一部で生じる。ここで、用語「経口的に与えることが可能」とは経口投与に適していることを意味する。
【0138】
本発明の医薬組成物は、限定されないが、炎症、疼痛及び/又は熱で特徴付けられる障害を含む、非常に広範囲のCOX−2によって介在される疾患の治療及び予防に有用である。そのような医薬組成物は、COX−1に対するCOX−2の選択性を欠く従来の非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)の組成物よりも、有害な副作用が著しく少ないというさらなる効果を有しており、関節炎の治療のような抗炎症剤に特に有用である。特に、本発明の医薬組成物は、従来のNSAIDs組成物と比較して、胃腸上部の潰瘍及び出血を含む胃腸の毒性及び胃腸の刺激の可能性を減少させ、体液うっ滞及び高血圧の悪化を導く腎機能の低下等腎臓の副作用の可能性を減少させ、血小板機能の阻害を含む出血時間における作用及びアスピリンに敏感な喘息患者が喘息発作を引き起こす可能性を減少させる。
よって、本発明の組成物は、そのようなNSAIDsに禁忌を示す従来のNSAIDsの代用品として、例えば、消化性潰瘍、胃炎、限局性腸炎、潰瘍性大腸炎、憩室炎の患者又は胃腸の障害の再発歴のある患者;胃腸内出血や、低プロトロンビン血症、血友病などの貧血を含む凝血障害又はその他の出血に関する問題を有した患者;腎臓病;又は手術を受ける前の患者もしくは凝固阻止薬を服用する患者に、特に有用である。
【0139】
目的の医薬組成物は、限定されないが、リウマチ性関節炎、脊椎関節炎、痛風関節炎、変形性関節症、全身性紅斑性狼瘡及び若年性関節炎を含む種々の関節炎障害の治療に有用である。
そのような医薬組成物は、喘息、気管支炎、月経痙攣、早期陣痛、腱炎、粘液嚢炎、アレルギー性神経炎、サイトメガロウイルス感染性、HIV誘導性アポプトシスを含むアポプトシス、腰痛、肝炎を含む肝臓疾患、乾癬、湿疹、にきび、火傷、皮膚炎及び日焼けを含む紫外線傷害を含む皮膚関連症状ならびに白内症又は屈折矯正手術等の眼外科手術に続くものを含む手術後の炎症の治療において有用である。
【0140】
本発明の医薬組成物は、限定されないが、炎症性腸疾患、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群及び潰瘍性結腸炎等の胃腸症状の治療に有用である。
そのような医薬組成物は、偏頭痛、多発動脈炎、甲状腺炎、再性不良性貧血、ホジキン病、嚥下困難、リウマチ熱、I型糖尿病、重症筋無力症を含む神経筋接合疾患、多発生硬化症を含む白質疾患、サルコイド症、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多発性筋炎、歯肉炎、腎炎、過敏症、脳水腫を含む損傷後発症する膨張、心筋虚血症等の治療に有用である。
【0141】
さらに、これらの医薬組成物は、網膜炎、結膜炎、網膜症、ブドウ膜炎、視覚羞明症の治療及び眼組織の急性損傷の治療に有用である。
また、そのような医薬組成物は、ウイルス感染及び嚢胞性線維症に伴うもの等の肺炎の治療、ならびに骨粗鬆症に伴うもの等の骨吸収の治療にも有用である。
この医薬組成物は、アルツハイマー病、神経変性を含む皮質痴呆、ならびに卒中・虚血及び外傷が原因である中枢神経系損傷等の特定の中枢神経系障害の治療に有用である。本文脈の用語「治療」はアルツハイマー病、血管性痴呆、多発脳梗塞性痴呆、初老性痴呆、アルコール痴呆及び老年性痴呆を含む痴呆の部分的又は完全な抑制を含む。
そのような医薬組成物は、アレルギー性鼻炎、呼吸困難症候群、エンドトキシンショック症候群及び肝疾患の治療に有用である。
【0142】
さらに、本発明の医薬組成物は、限定されないが、術後疼痛、歯痛、筋肉痛及び癌による疼痛を含む疼痛の治療に有用である。例えば、そのような組成物は、リウマチ熱、インフルエンザ及び一般的な風邪を含む他のウイルス感染、腰痛及び頚痛月経困難症、頭痛、歯痛、捻挫及び挫傷、筋肉炎、神経痛、滑膜炎、リュウマチ性関節炎を含む関節炎、変形性関節疾患(骨関節炎)、痛風及び強直性脊椎炎、滑液包炎、火傷及び外科及び歯科処置に続く外傷を含む種々の疼痛、熱及び炎症の軽減に有用である。
【0143】
本発明はさらに、COX−2阻害剤を使った治療が必要とされる症状又は障害を治療する治療方法に指向する。この方法は、本発明の医薬組成物をそれらの必要に応じて患者に経口投与することを含む。その症状又は障害を防止し、それを軽減させ、改善させる薬剤投与計画は、好ましくは1日1回又は1日2回の治療であるが、種々の要因により変更することができる。これらはその患者の体形、年齢、体重、性別、食事及び病状、性格ならびに障害の重篤さを含む。よって、実際に使用される薬剤投与計画は広範囲に変化させることができ、したがって、上記の好ましい薬剤投与計画から逸脱してもよい。この医薬組成物は、他の治療又は治療薬と併せて使用することもできる。限定されないが、オピオイドと、特に、麻薬性鎮痛剤、Mu受容体拮抗阻害剤、カッパ受容体阻害剤、非麻酔性(非常用性)鎮痛薬、モノアミン吸収阻害剤、アデノシン調節剤、カンナビノイド誘導体、GABA活性剤、ノレキシン・ニューロペプチド・モジュレーター、サプスタンスP阻害剤、ニューロキニン-1受容体阻害剤及びナトリウムチャンネルブロッカーを含む他の鎮痛薬とを用いる治療が挙げられる。
【0144】
組み合わせ治療は、本発明の組成物と、アセクロフェナック、アセメタシン、e-アセトアミドカプロン酸、アセトアミノフェン、アロキシプリン、アセトアミノサロール、アセトアニリド、アセチルサリチル酸(アスピリン)、S-アデノシルメチオニン、アルクロフェナック、アルフェタニル(alfentanil)、アリルプロジン、アルミノプロフェン、アロキシプリン、を含む眼科症状;胃潰瘍などの潰瘍性疾患;幼児性血管腫、鼻咽頭の血管線維腫及び阻血性骨壊死を含む血管腫等の悪性ではないがが異常な症状;ならびに子宮内膜症等の女性の生殖器系障害の治療に有用である。
【0145】
さらに、本発明の医薬組成物は、結腸直腸癌;脳腫瘍;骨肉種;基底細胞癌等の上皮細胞由来の腫瘍形成(上皮性悪性腫瘍);腺癌;口唇癌、口腔癌、食道癌、小腸癌、胃癌、結腸癌等の消化管癌;肝臓癌;膀胱癌;膵臓癌;卵巣癌;子宮頸癌;肺癌;乳癌、へん平上皮細胞及び基底細胞癌のような皮膚癌;前立腺癌;腎細胞癌;及び全身の上皮細胞に作用する他の既知の癌等の癌を含む良性及び悪性の腫瘍ならびに腫瘍形成の予防及び治療に有用である。本発明の組成物を特に使用することを意図する腫瘍形成は、消化管の癌、バレット食道、肝臓癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、前立腺癌、子宮頸癌、肺癌、乳癌及び皮膚癌である。また、そのような医薬組成物は、放射線療法で生じる繊維症を治療するために使用することができる。これらの医薬組成物は、家族性の線腫のポリープ症(FAP)のある患者を含む線腫の患者を治療するのために使用することができる。さらに、本発明の医薬組成物は、FAPの危険を有する患者にポリープが形成されることを防止するために使用することができる。
【0146】
また、医薬組成物は、収縮プロスタノイドの合成を阻害することによりプロスタノイド誘発平滑筋収縮を阻害し、よって、月経困難、早期分娩、喘息及び好酸性関連障害の治療に使用することができる。それらは、また、特に閉経後の女性における骨粗鬆の減少(すなわち、骨粗鬆症の治療)及び緑内障の治療にも使用することができる。
【0147】
本発明の医薬組成物は、慢性関節リウマチ及び骨関節症の治療、疼痛管理全般(特に、口腔外科手術後の疼痛、一般的外科手術後の疼痛、整形手術後の疼痛及び骨関節炎の急性発赤)、アルツハイマー病の治療ならびに大腸癌の化学的予防に、好ましいく使用される。特に好ましい使用は、セレコキシブ塩又はそれらの医薬組成物が約30分以内に疼痛を治療する効果をもたらす場合のような、迅速な疼痛治療である。
【0148】
ヒトの治療に有用であるだけではなく、本発明の医薬組成物はペット、外国産の動物、農場の動物等、特に哺乳類の獣医の治療にも有用である。より詳しくは、本発明の医薬組成物は、馬、犬及び猫のCOX−2介在疾患の治療に有用である。
【実施例】
【0149】
以下は、本明細書中でラマン、XRD、DSC及びTGAデータを得るための標準的な手順である。これらの手順は、特に指摘しない限り、本明細書中の分析についてのそれぞれ、各方法に従う。
【0150】
ラマンの収集、フィルタリング及びビニング
収集
試料をそれを処理するガラスバイアル中に入れるか、試料のアリコートをスライドガラスに移した。ガラスバイアル又はスライドガラスを、試料チャンバに置いた。その測定を、785nmレーザ光源を取り付けたアルメガ(商標)分散性ラマンシステム(Almega(商標)Dispersive Raman、Thermo-Nicolet、5225 ベローナ・ロード、マディソン、ウィスコンシン州53711- 4495)を用いて行った。試料に、10倍率対物(特に他に特記事項がない限り)を備えた装置の顕微鏡の部分を使用して、手動で焦点を合わせた。スペクトルは、表1で概略されるパラメーターを使用して得た。(露光時間及び露光の回数は変更してもよい。パラメーターへの変更は各収集で示されるであろう。)
【0151】
フィルタリング及びビニング
1セットの各スペクトルに、フィーチャーサイズ25の整合フィルターを使用してフィルターをかけ、ガラスの寄与及び試料の蛍光を含むバックグラウンド信号を取り除いた。これは、大きなバックグラウンド信号又は蛍光が、正確な選択及びビニング工程の後の工程におけるピーク位置を割り当てる機能を制限するので、特に重要である。フィリターがかけられたスペクトルは、表2で与えられるパラメータと共にピークピック及びビンアルゴリズムを使用してビンした。各サンプルセットのために分類されたクラスター・ダイヤグラム及び各スペクトル・ファイルに割り当てられた対応するクラスターを、同様のスペクトルを備えた試料群と同定するために使用した。それは、二次的な分析のための試料を同定するために使用した。
【0152】
【表1】
【0153】
【表2】
【0154】
X線粉末回析の手順
全X線粉末回析パターンを、銅源(Cu/Kα 1.5406)、手動x-yステージ及び0.3mmコリメータを備えたD/Max Rapid X線回折計 (D/Max Rapid、連絡先、アメリカ、テキサス州、ウッドランド、ニュートレイルズドライブ9009、77381-5209のリガク/MSC)を使用して得た。試料を、チューブの一端を切断し、切断された端部を粉末試料の層又はスラリー化された沈殿物の沈渣に挿入し、開口を軽くたたくことによって、0.3 mm のホウ素リッチのガラス製キャピラリーチューブに装填した。沈殿物は、非晶質又は結晶質であり得ることに留意することが必要である。装填されたキャピラリーを、x-yステージに固定されたホルダーに取り付けた。回折図を、オメガ軸の周りを1度/sで約0〜5度振動させ、ファイ軸の周りを2度/sで回転させながら、反射モードにおいて、40mA、46kVの出力設定にて大気条件下で得た(例えば、制御ソフトウエア:RINT Rapid制御ソフトウエア、リガクRapid/XRD、バージョン1.0.0、著作権1999 Rigaku Co.)。露光時間は特に断りのない限り15分とした。得られた回折図は、リガクによって装置とともに提供されたRINT Rapidディスプレイ・ソフトウエアのシリント(cyllnt)ユーティリィティを使用して、0.02度のステップ・サイズで、2〜60度の2-θおよび0〜360度のカイ(1つのセグメント)に統合した(解析ソフトウエア:RINT Rapidディスプレイ・ソフトウエア、バージョン1.18、Rigaku/MSC.)。暗係数値を、システム較正により8に設定した(リガクによるシステムセットアップ及び較正)。標準化は平均に設定した。オメガオフセットは180に設定した。カイ及びファイオフセットは統合に使用しなかった。また、解析ソフトウエアJADE XRDパターンプロセッシング、バージョン5.0及び6.0 (81995-2002、Materials Data、Inc.)も使用した。
【0155】
回折図におけるピークの相対強度は、例えば、結晶性不純物が原因で、試料ごとに異なるため、ピーク強度は必ずしもPXRDパターンに限定されない。さらに、各ピークの角度は、約+/−0.1度、好ましくは+/−0. 05度、変動してもよい。また、パターン全体又はパターンピークの大部分は、較正、設定ならびに装置ごと及び作業者ごとの相違のために、約+/−0.1度シフトしてもよい。
【0156】
示差熱分析法(DSC)の手順
試料のアリコートを、アルミニウム製の試料皿に荷重した(例えば、Pan part #900786.091;lid part#900779.901;ドイツ19720、ニューキャッスル、109 ルーケンズ ドライブ 109のTA Instruments社)。試料皿を、乾燥試料では圧着又は湿性試料(例えば、水和物又は溶媒和物試料)では圧入のいずれかにより密閉した。その試料皿を、装置(DSC:Q1000示差走査熱量測定器、ドイツ 19720、ニューキャッスル、109 ルーケンズ ドライブ 109のTA Instruments社)に載置し、その装置にはオートサンプラーが装備されており、自記温度記録図を、参照として空のアルミニウム製皿を用い、10℃/分の速度で、Tmin(約20℃)からTmax(約300℃)まで、試料を個々に加熱することによって(例えば、制御ソフトウエア:Advantage for QW-Series、バージョン1.0. 0.78、Thermal Advantage Release 2.0、著作権2001 TA instruments-Water LLC)得た(加熱速度及び時間の範囲は変更してもよく、これらのパラメーターの変化を各試料で示す)。乾燥窒素(例えば、圧縮窒素、グレード4.8、ニュージャージー州、07974-2082、ムレイヒル、マウンテンアベニュー 575のBOC ガス)を、試料パージガスとして使用し、50ml/分の流速に設定した。温度変化を、装置に設けられた解析ソフトウエア(解析ソフトウエア:Universal Analysis 2000 for Windows(登録商標) 95/95/2000/NT、version 3.1E ;Build 3.1.0.40、著作権1991-2001TA instruments-Water LLC)を使用して、観察及び回析した。
【0157】
熱重量分析(TGA)の手順
試料のアリコートをアルミニウム製皿に移した(Pan part # 952019.906 ; TA Instruments、109 ルーケンス ドライブ、ニューキャッスル、デラウェア19720)。その皿を荷重プラットフォームに載置し、次いで、制御ソフトウェア(制御ソフトウェア:Advantage for QWSeries、version 1.0. 0.78、Thermal Advantage Release 2.0、0 2001 TA instruments-Water LLC)を用いて、装置 (TGA: Q500 熱重量分析器、TA Instruments、109 ルーケンス ドライブ、ニューキャッスル、デラウェア19720)で自動的に負荷をかけた。自記温度記録図を、試料パージ流速60ml/分、バランスパージ流速40ml/分で、乾燥窒素流下(例えば、圧縮窒素、グレード4.8、ニュージャージー州、07974-2082、ムレイヒル、マウンテンアベニュー 575のBOC ガス)にて、10℃/分で25℃から300℃まで、試料を個々に加熱することによって得た(加熱速度及び時間の範囲は変更してもよく、これらのパラメーターの変化を各試料で示す)。温度変化(例えば、重量変化)を、装置に設けられた解析ソフトウエア(解析ソフトウエア:Universal Analysis 2000 for Windows(登録商標) 95/95/2000/NT、version 3.1E ;Build 3.1.0.40、著作権1991-2001TA instruments-Water LLC)を使用して、観察及び回析した。
【0158】
実施例1
水溶液からのセレコキシブのナトリウム塩
市販されたセレコキシブ77.3mgに1.0mLの蒸留水を加え、その後1M NaOH(VWR)0.220 mLを加えた。混合物を攪拌しながら60℃に加熱し、そこでさらに、蒸留水1.0 mLを加えた。固体NaOH(22mg)を加え、固体NaOHとセレコキシブとを溶解した。混合物を、再び60℃に加熱し、水を蒸発させた。混合物を攪拌し、溶液に空気流を与えながら60℃で加熱すると同時に、約15 mLの試薬等級のエタノールを加えた。加熱はその溶液が乾燥するまで続けた。得られた物質を、粉末X線回析装置(PXRD)、示差走査熱量計(DSC)及び熱重量分析(TGA)により分析した。その結果を図1〜3に示す。水のほとんどが塩と共沈したNaOHに含まれていたが、生成物は、塩1当量あたり約4.1当量の水を含んでいることがわかった。
【0159】
DSC分析では、使用されたパージガスを乾燥窒素とし、参照物質は、圧着した空のアルミニウム製の皿とし、サンプルパージは50mL/分とした。試料のDSC分析を、アルミニウムの圧着皿の閉包内に試料2.594 mgを載置して行った。10℃/分の加熱速度で20℃を開始温度とし、終了温度を200℃とした。得られたDSC分析を図1に示す。観察された変化は、約40から約70℃の間の溶解/脱水工程、約70℃から約100℃の間の再結晶化/沈殿事象から生じた可能性がある他の遷移及び約100℃から約110℃の間の第二の溶解/脱水変化を含む。
【0160】
全てのTGA実験では、使用されたパージガスは乾燥窒素であり、バランスパージをN240 mL/分、サンプルパージをN260 mL/分とした。TGAの試料は2.460mgの試料をプラチナ皿に載置して行った。10℃/分の加熱速度で20℃を開始温度とし、終了温度を300℃とした。得られたTGA分析を図2に示す。TGAは、約30から約50℃の間で約12.5%の質量損失を示し、これは水分子約2.8の損失による。約71から85℃の間での約2.0%の第2の質量損失は、水分子約0.5の損失による。最後に、約148から170℃の間での約4.0%の質量損失は、水分子約1の欠損又は薬物化合物の何らかの分解による。塩の水和物の状態は、湿気、温度及び他の条件により変化するかもしれない。
【0161】
上記で製造された化合物のPXRDパターンを図3に示す。図3の回折図では、バックグラウンドが除去されている。PXRDパターンは、例えば、6.40°、7.01°、16.73°及び20.93°でのピークを含む図3の2θ角でのピークのいずれか1つ又はいずれか2つ、いずれか3つもしくはいずれか4つのピークのいずれかの組み合わせ、あるいは、いずれか他の組み合わせを含む、塩を特徴付けるために使用することができる特徴的なピークを有する。
【0162】
実施例2
2−プロパノール溶液からのセレコキシブのナトリウム塩
セレコキシブ (Fako Hazlari)126.3mgにイソプロパノールの1.0 mLアリコートを加え、その混合物を加熱してセレコキシブを溶解した。ナトリウムエトキシドを、エタノール 中21%の溶液(0.124 mL 溶液、3. 31 × 104 mol ナトリウムエトキシド)として加えた。さらに、イソプロパノール1.0mLを加えた。その混合物を攪拌し、偏光顕微鏡により微細な複屈折針晶として現れた白結晶固体のスラリーを得た。
【0163】
スラリーを、吸引ろ過によりろ過し、イソプロパノール2mLで洗浄した。固体を、軽く粉砕して粉末状にする前に、空気乾燥した。実施例1と同様に、生成物をPXRD、DSC及びTGAにより分析したが、PXRD実験では試料を保持するために0.5 mmのキャピラリーを用いた。化合物は、室温から120℃の間で17.35%重量損失した。DSC軌跡は広い吸熱範囲を示し、それは温度の上昇に伴う揮発性成分の損失と一致している。吸熱は66℃でピークを示した。塩を特徴付けるために使用されるPXRDパターンピークは、4.09°、4.99°、6.51°、7.07°、9.99°、11.59°、16.53°、17.69°、18.47°、19.13°、20.11°、20.95°、22.67°の2θ角の1もしくはいずれか2、いずれか3、いずれか4、いずれか5、いずれか6、いずれか7、いずれか8、いずれか9、いずれか10、いずれか11、いずれか12又は13全ての組み合わせ、あるいは図62における2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13ピークのうちのいずれか1又は組み合わせを含む。
【0164】
実施例3
水溶液からのセレコキシブのナトリウム塩
合成1:バイアルにセレコキシブ29.64 mg及び1N水酸化物ナトリウム3.00 mLを添加した。セレコキシブはすぐ溶解した。暫くして、セレコキシブは溶液から沈殿した。
【0165】
合成2:バイアルにセレコキシブ7.10 mg及び1N水酸化ナトリウム3.00 mLを添加した。セレコキシブは溶解した。一夜で、セレコキシブは沈殿し、白い針状の結晶を形成した。
【0166】
合成3:バイアルにセレコキシブ17.6 mg及び1N水酸化ナトリウム10 mLを添加した。セレコキシブは溶解した。バイアルを、アルミニウムホイルで覆われたビーカー内に載置し、断熱のため大きな薄織物を充填した。ビーカーを放置すると、約12〜36時間以内に結晶が形成した。
【0167】
分析:合成1及び2からの生成固体を合わせ、図1でのようにPXRD、DSC及びTGAにより分析したが、PXRD実験では試料を保持するために0.5 mmのキャピラリーを用いた。ここで述べたように、塩の水和物状態は湿度、気温及び他の条件により変化するかもしれないが、生成された塩は、塩1当量に約4当量の水を含むことがわかった。TGAは、10℃/分で、室温から100℃の上昇で、14.9%の重量損失を示した。DSC分析は、74+/-1.0°で大きな吸熱変化、約130+/-5.0°で広い雑音のある第2の吸熱変化を示した。PXRDパターンは、3.6°、8.9°、9.6°、10.8°、11.4°及び20. 0°のいずれか1もしくはいずれか2、いずれか3、いずれか4、いずれか5又は6全ての2θ角のピークの組み合わせを含む、塩を特徴付けるのに使用することができるピークを有する。
【0168】
実施例4
ラットにおける薬物動態研究
ナトリウム塩形(実施例6からの)を、ラットにおける吸収について、CELEBREX粉末と比較した(図4A及び4B)。
市販の製剤及びナトリウム塩形で使用されているセレコキシブの結晶形を雄性Sprague-Dawleyラットに5 mg/kgで経口投与した後の薬物動態研究を、図4A及び4Bに示す。固体を、サイズ9のゼラチンカプセル(Torpac)に充填し、強制栄養針を通して投与し、その後、水1mLを経口的に強制飼養した。CELEBREX(登録商標)の顆粒を市販の200mgカプセルから移した。ナトリウム塩はポビドンK30と混合した(セレコキシブのナトリウム塩との重量比は4:1)。5匹のラットの血漿から、各時点で血漿濃度の平均をプロットした。
セレコキシブ又はセレコキシブのナトリウム塩の5 mg/kg投与量での薬物動態により、より早い血漿中の薬物のピークレベルが示されている。早い時点から、ナトリウム塩の血漿中のセレコキシブレベルが、CELEBREX(登録商標)に対してより高いレベルで示されている(図4A参照)。
【0169】
実施例5
ポリビニルピロリドン存在下でのセレコキシブナトリウムの溶解度
水を、セレコキシブナトリウムとポリビニルピロリドン(PVP)との1:4混合物に加え、透明な溶液を得た。その溶液は、中性セレコキシブの結晶が形成され始めるまでに少なくとも15分間安定していた。
結晶中性セレコキシブは、水性ポリビニルピロリドンに加えられたとき又は水が中性結晶セレコキシブ及びポリビニルピロリドンの乾燥混合物に加えられたとき溶解しなかった。
【0170】
実施例6
セレコキシブナトリウムの製剤
セレコキシブの遊離酸(5.027 g)を、NaOHの水溶液(13.181 mL、1M)に懸濁した。懸濁液は、60℃で1分間、緩やかに加熱することにより、残留固体が溶解された。混合物を、室温に冷却したが、沈殿物は生じなかった。さらに、氷浴で1時間冷却すると生成物の沈殿が生じた。得られた溶液をろ過し、空気乾燥した。
生成物の特徴を、TGA、DSC、PXRD、ラマン分光、鏡検及び1HNMR分光によって測定した。NMR収集を、(メチルスルホキシド)-d6で分散300 MHz分光器で行った。
【0171】
PXRDパターンは、図13に示すようなピーク特性を有する。強度ピークは、19.85と、限定されないが、3.57、10.69、13.69、20.43、21.53及び22.39を含む2θ角での他のピークをとで認められる。結晶は、上記ピークのいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つ又は6つ全てにより特徴付けられるか、図13Aの2θ角についてのいずれかの値のうち、いずれか1つ又は組み合せにより特徴付けることができる。
【0172】
ラマン分光を図13Bに示す。ラマンシフト(cm-1)ピークは、限定されないが、1617.11、1446.20、1373.73、975.02及び800.15のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、5つ全て又は図13Bの2、3、4、5又はそれ以上のピークのいずれかの組み合せを含む位置で生じている。
【0173】
実施例7
セレコキシブ組成物の犬への投与
実施例6のセレコキシブ塩を犬に投与し、市販のセレコキシブの投与と比較した。2〜4歳、体重8〜12kgの6匹の雄性ビーグル犬を絶食させ、水を与えた。各犬に、以下に示すように、3種の試験用量で投与した。用量間で1週間のウォッシュアウト期間を設けた。試験用量は、(1)市販のセレコキシブを、キログラムあたり1ミリグラム(mpk)のCELEBREX(登録商標)と70/30のPEG400/水とを混合した形態(静脈内投与)、(2)各犬の体重で、サイズ4のゼラチンカプセルに5 mpkに調節したCELEBREX(登録商標)の形態の市販のセレコキシブの経口投与量及び(3)各犬の体重で、サイズ4のゼラチンカプセルに5mpkに調節した実施例6で製造された本発明のナトリウム塩経口投与量とした。ヘパリンナトリウムを入れた約2mlの血液サンプルを、投与後、0.25、0.5、1、3、4、6、8、12及び24時間で頚部静脈穿刺により得た。さらに、静脈内投与の研究のために、投与前及び0.08時間でサンプルを得た。血液サンプルは、すぐに氷上に載置し、名目10分間、4℃にて3200gで、収集30分以内に遠心分離した。血漿サンプル(〜1.0 ml)を採取し、-20℃で0.25mlの4つのアリコートに保存した。血漿サンプルについて、5 ng/mlの低い定量限界のLC-MS/MSアッセイを用いてセレコキシブを分析した。血漿中のセレコキシブの薬物動態プロファイルを、PhASTソフトウエアプログラム(バージョン2.3、Pheonix Life Sciences、Inc.)を使用して分析した。絶対バイオアベイラビリティ(F)を、静脈内投与用量に対する経口投与量として報告する。
【0174】
図5は、セレコキシブ又はセレコキシブナトリウムの単回経口投与又は単回静脈内投与を行った雄性の犬における血漿中のセレコキシブの平均薬物動態パラメーター(及びそれらの標準偏差)を示す。経口投与されたセレコキシブナトリウムの最大血清濃度及びバイオアベイラビリティは、それぞれ、経口投与されたセレコキシブのほぼ等用量と比較して約3及び2倍より大きく、セレコキシブナトリウムの最大血清濃度は、セレコキシブのそれよりも40%早く達した。
【0175】
実施例8
セレコキシブリチウム塩の製造方法:MO-116-49B
市販のセレコキシブ100mgに、リチウム:セレコキシブ比が1.53:1となるように、0.35M LiOH(水)(水酸化リチウム一水和物−アルドリッチCat#25、427-4、Lot 00331K1)溶液を、バイアル(シリコンゴムのセプタムキャップで被覆されたテフロン(登録商標)の)中で添加した。混合物を、すべての固体が溶解するまで時折回転させながら穏やかに加熱した。溶液が乾燥するまで、セプタムキャップ内に挿入されたステンレス鋼の針を通して2日間、溶液に乾燥窒素流を吹き付けた。生成物の特徴づけは、DSC(図14)、TGA(図15)、ラマン分光(図16)及びPXRD(図17)により行われた。
【0176】
セレコキシブリチウム塩のDSCデータ
収集サンプル1.56mgを、被覆を有するアルミニウム製のDSC皿に載置した。加熱中、窒素パージガス50ml/分を使用した。DSC自記温度記録図の結果(図14)は、融点が111.84℃、2番目の吸熱(シャープでない)が237.11℃を示した。
【0177】
セレコキシブリチウム塩のTGAデータ
収集サンプル8.2290mgをプラチナ製のTGA皿に載置した。TGAの結果(図15)では、約25℃から約190℃の間で約14%の重量損失が示された。
【0178】
セレコキシブリチウム塩(MO-116-49A)のラマンデータ
収集サンプルの少量をスライドガラス上に載置し、Thermo Nicolet Almega Dispersive Ramanに取り付けた。サンプルキャプチャーを6回のバックグラウンドスキャン及び12回のサンプル収集スキャンに設定した。この分析に使用されたパラメーターは、以下の通りである。
【0179】
【表3】
【0180】
ラマン分光の結果、塩を特徴付けるために使用することができる複数のスペクトルピークを示す。これらは、図16のピーク、例えば、1617.10、1596.95、1449.56、1374.03、1115.24、1062.85、976.50、800.67、740.91及び633.94のいずれか1つ、いずれか2、いずれか3、いずれか4つ、いずれか5つ、いずれか6つ、いずれか7つ、いずれか8つ、いずれか9つ、いずれか10又は及び他のいずれかの組み合せを含む。
【0181】
セレコキシブリチウム塩のPXRDデータ
少量の収集サンプルを0.3mmのガラスPXRDチューブに充填した。チューブをRigaku D/Max Rapid PXRD内に載置し、Cu;46kV/40mA、しぼり:0.3、オメガ軸振動、Pos (°)0〜5、速度1、ファイ軸回転、Pos 360、速度2、収集時間15分に設定した。PXRDパターンは、図17に示すように特徴的なピークを有する。塩を特徴付けるために使用することができるPXRDピークは、図17のピーク、例えば、4.18、9.04、10.705、12.47、15.75、18.71、19.64、20.52、21.55及び23.0のうちいずれか1つもしくはいずれか2、いずれか3、いずれか4、いずれか5、いずれか6、いずれか7、いずれか8、いずれか9、いずれか10又はいずれかの組み合せを含む。
【0182】
実施例9
セレコキシブカリウム塩(MO-116-49A)の製造方法
セレコキシブ100mg(Fako Ilaclari A.S.)を0.35M KOH(水)溶液(水酸化カリウム−スペクトル、Cat# P0180、Lot#PN0690)に、バイアル(シリコンゴムのセプタムキャップで被覆されたテフロン(登録商標)の)中で、カリウム:セレコキシブ比が1.40:1となるように溶解した。得られた溶液を、全ての固体が溶解するまで、時々回転させながら溶解する間中、穏やかに加熱した。全ての固体が溶解した後、溶液を、セプタムキャップに挿入されたステンレス製のスチール針を通して、2日間乾燥窒素を吹きかけることによって乾燥させた。得られた生成物の分析を行った。生成物の特徴付けを、DSC(図18)、TGA(図19)、ラマン分光(図20)及びPXRD(図21) によって行った。
【0183】
セレコキシブカリウム塩(MO-116-49A)のDSCデータ
収集サンプル1.119 mgを、被覆を有するアルミニウム製DSC皿に載置した。その結果を、図18のグラフに示す。
【0184】
セレコキシブカリウム塩(MO-116-49A)のTGAデータ
収集サンプル5.9890 mgをプラチナ製TGA皿に載置した。皿をTA装置Q500 TGA内に載置し、90℃まで、10℃/分で加熱し、10分間保持し、300℃まで10℃/分で昇温し、窒素パージガス40ml/分で10分間保持した。その結果を、図19に示す。25から200℃の間で5.778%の重量損失を示した。データにおけるショルダーは、80℃度で見られる。この時点より前の重量損失は未結合の水が原因である。80から200℃の間の重量損失は結合水に密接に関連しており、水0.64当量を示す。
【0185】
セレコキシブカリウム塩(MO-116-49A)のRamanデータ
収集サンプルの少量をスライドガラスに載置し、Thermo Nicolet Almega Dispersive Ramanに搭載した。サンプルキャプチャーは、6回のバックグラウンドスキャン及び12回のサンプル収集スキャンに設定した。この分析に使用したパラメーターは以下の通りである。
【0186】
【表4】
その結果を図20に示す。限定されないが、1617.66、1448.22、1374.09、976.28、801.60のいずれか1つもしくはいずれか2、いずれか3、いずれか4、いずれか5の組み合わせ又はその3全てを含む位置、あるいは図20の2、3、4、5、6又はそれ以上のピークの組み合わせを含む特徴的なラマンシフト(cm-1)ピークを示す。
【0187】
セレコキシブカリウム塩(MO-116-49A)のPXRDデータ
収集サンプルの少量を0.3mmガラスのPXRDチューブに充填した。チューブをRigaku D/Max Rapid PXRDに載置し、Cu;46kV/40mA、しぼり0.3、オメガ軸振動;Pos(°)0〜5、速度1、ファイ軸回転、Pos 360、速度2、収集時間15分に設定した。PXRDパターンは、図21に示すように特徴的なピークを有する。ピークは、限定されないが、4.03、12.23、15.35及び19.79を含む2θ角で見ることができる。結晶は、上記角度のいずれか1もしくはいずれか2、いずれか3又はいずれか4の組み合わせあるいは図21の2θ角のうちいずれか1又はいずれかの数の組み合わせにより特徴付けることができる。
【0188】
実施例10
セレコキシブカリウム塩(MO-116-55D)の製造方法
本発明のセレコキシブカリウム塩の代替の製造方法を行った。セレコキシブ100mg(市販品)を、シリコンゴムのセプタムキャップを被覆したTEFLONのバイアル中で、トルエン2.2mL及びメタノール0.1mLに溶解した。その溶液を、全ての固体が溶解するまで時々回転させながら溶解する間、穏やかに加熱した。3M KOH(水)溶液を用いたKOH(水酸化カリウム−スペクトルCat#P0180,Lot#PN0690)1.03当量を、その溶液に添加した。層分離が得られた後、下層を除去し、セプタムキャップに挿入されたステンレス製スチール針を通して1日、溶液に乾燥窒素を吹きかけることにより乾燥させた。
分析を行った。生成物の特徴づけは、TGA(図22)、ラマン分光(図23)及びPXRD(図24)によって行った。
【0189】
セレコキシブカリウム塩(MO-116-55D)のTGAデータ
収集サンプル5.4470mgをプラチナ製TGA皿に載置した。皿はTA装置Q500 TGA内に搭載かれ、10℃/分で90℃まで加熱し、10分間保持し、10℃/分で300℃まで昇温し、窒素パージガス40ml/分で10分間保持した。その結果を図22に示す。25から200℃の間で約4.9wt%の重量損失、70から200℃の間にショルダーで約2.9wt%の重量損失を示した。ショルダー前の最初の重量損失は、メタノールの蒸発であるようであり、ショルダー後の重量損失は、過剰水が原因であるようだ。
【0190】
セレコキシブカリウム塩(MO-116-55D)のラマンデータ
収集サンプルの少量をスライドグラスに載置し、Thermo Nicolet Almega Dispersive Ramanに搭載した。サンプルキャプチャーは、6回のバックグラウンドスキャン6及び12回のサンプル収集スキャンを設定した。分光計のパラメーターは以下の通りである。
【0191】
【表5】
【0192】
その結果を図23に示す。限定されないが、1615.51、1446.09、1374.28、1232.91、1197.04、1108.99、1060.94、973.01、798.86、739.82、633.37のうちいずれか1つもしくはいずれか2、いずれか3、いずれか4、いずれか5、いずれか6、いずれか7、いずれか8、いずれか9、いずれか10又は11の全ての組み合わせあるいは図23の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又はそれ以上のピークの組み合わせを含む位置で、特徴的なラマンシフト(cm1)ピークを示す。
【0193】
セレコキシブカリウム塩(MO-116-55D)のPXRDデータ
収集サンプルの少量を0.3mmガラスのPXRDチューブに載置した。チューブはRigaku D/Max Rapid PXRDに搭載し、Cu;46kV/40mA、コリメータが0.3、オメガ軸振動;Pos(°)0-5、速度1、ファイ軸回転、Pos 360、速度2、収集時間は15分に設定した。その結果を図24に示す。
【0194】
実施例11
セレコキシブカルシウム塩(MO-116-62A)の製造方法
セレコキシブ100mg(市販品)を、NaOH:セレコキシブが1:1比になるように、バイアル中で、1M NaOHのメタノール溶液に溶解し、全ての固体が溶解するまで時々回転させながら、穏やかに加熱した。メタノール中の3MCaCl2を、Ca2+:セレコキシブが1.5:1の比になるように加えた。沈殿を、5分間12000rpmに設定されたエッペンドルフ遠心分離機 (5415D)で、チューブフィルター(Corning Inc. Costar(0.22ミクロン)#8169)を使用してろ過した。固体を含むエッペンドルフチューブの上層を、ゴム製のセプタムキャップを備えたバイアル中に充填した。粉末を、セプタムキャップ内に挿入したステンレス製スチール針を通してバイアル内に乾燥窒素を吹きかけることにより、一晩乾燥した。
分析を行った。生成物の特徴づけは、TGA(図25)、ラマン分光(図26)及びPXRD(図27)によって行った。
【0195】
セレコキシブカルシウム塩(MO-116-62A)のTGAデータ
収集サンプル3.4140mgをプラチナ製TGA皿に載置した。皿をTA装置Q500 TGA内に搭載し、10℃/分で90℃まで加熱し、10分間保持し、10℃/分で300℃まで昇温し、窒素パージガス40ml/分で10分間保持した。その結果(図25)では、25から200℃の間で約4.2%の重量損失、70から200℃の間で約3.2%の重量損失を示した。70℃より前の最初の重量損失は、未結合の溶媒に原因がある。70℃の後に見られるショルダーはより密接なメタノールとの結合を失ったためであり、メタノール0.45当量を表す。
【0196】
セレコキシブカルシウム塩(MO-116-62A)ラマンデータ
収集サンプルの少量をスライドグラスに載置し、Thermo Nicolet Almega Dispersive Ramanに搭載した。サンプルキャプチャーは、6回のバックグラウンドスキャン及び12回のサンプル収集スキャンに設定した。
【0197】
【表6】
特徴的なラマンシフト(cm-1)ピークは、限定されないが、1616.99、1598.42、1450.05、1376.57、973.10、800.62、642.20のいずれか1つもしくはいずれか2、いずれか3、いずれか4、いずれか5及びいずれか6又は7つ全ての組み合わせあるいは図20の2、3、4、5、6、7又はそれ以上のピークの組み合わせを含む位置で観察された。
【0198】
セレコキシブカルシウム塩(MO-116-62A)のPXRDデータ
収集サンプルの少量を0.3mmガラスのPXRDチューブの中に充填した。チューブをRigaku D/Max Rapid PXRDに載置し、Cu;46kV/40mA、しぼりが0.3、オメガ軸振動;Pos(°)0-5、速度1、ファイ軸回転、Pos 360、速度2、収集時間15分に設定した。強度ピークは、31.67の2θ角度及び7.82、9.27、20.56及び27.35の低いピークで観察された。先に述べたピークのいずれか1つもしくは2、3、4又は5の組み合わせ、図27のいずれか1、2、3、4、5、6又はそれ以上のピークを塩を特徴付けるために使用することができる。
【0199】
実施例12
中性セレコキシブの比較分析
得られたデータのいくつかの分析を目的として、市販のセレコキシブを、粉末X線回析装置(PXRD)及びラマン分光と同一の分析技術に付した。その結果を、本発明の塩に対する比較として用いた。
【0200】
セレコキシブの比較PXRDデータ
収集サンプルの少量を0.3mmガラスのPXRDチューブの中に充填した。チューブをRigaku D/Max Rapid PXRDに載置し、Cu;46kV/40mA、しぼり0.3、オメガ軸振動;Pos(°)0-5、速度1、ファイ軸回転、Pos 360、速度2、収集時間15分に設定した。その結果を図28に示す。
遊離酸のピークのいくつかは、本発明の組成物に認められている。本発明の組成物を特徴付けるさらなる方法として、遊離酸のピークの特徴を、図28に示されるように、特に本発明の組成物から除外することができる。
【0201】
セレコキシブの比較ラマンデータ
収集サンプルの少量をスライドグラスに載置し、Thermo Nicolet Almega Dispersive Ramanに搭載した。サンプルキャプチャーを6回のバックグラウンドスキャン及び12回のサンプル収集スキャンに設定した。パラメーターは以下の通りである。
【0202】
【表7】
その結果を図29に示す。
【0203】
実施例13
ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)と結晶セレコキシブナトリウム塩水和物とを組み合わせた選択されたPLURONIC賦形剤ベースの固体状製剤を、従来からの乳鉢及び乳棒技術を使用して製造し、擬似胃液中でのセレコキシブ塩の高められた溶解性を示した。
この実施例は、固体状製剤が溶解度を高め、セレコキシブの遊離酸化合物と比較して、セレコキシブ塩が再結晶化/沈殿を抑制することを示す。これらの実施例における好ましい賦形剤を確認し、試験するために使用された方法は、2つの部分からなる。(1)「結晶遅延分析」は溶液中にセレコキシブを過飽和する賦形剤を確認するために使用し、(2)インビトロでの溶解試験を、「結晶遅延分析」結果を変化させるために選択された賦形剤について行った。
【0204】
実施例14
結晶抑制分析
結晶抑制分析−方法
1.表の58の賦形剤を、塩酸200mMを含有する擬似胃液中、2 mg/ml(0.2重量%) の濃度で調製し、150 μlの容量の96ウェルプレートに、同じものを4つ分配した 。2つの対照を使用した。(a)賦形剤を欠いた擬似胃液、及び(b)ビタミンE TPGSを2mg/ml及びHPCを2 mg/ml含んだ擬似胃液。後者の対照を、この賦形剤の組 合せがセレコキシブナトリウム水和物の向上した溶解度を提供するために選択した 。擬似胃液を、塩化ナトリウム2 g/LとトリトンX-100の1 g/Lとを塩酸DI H20に添加することにより調製した。塩酸200mMをpHを調節し、緩衝剤として機能させるために添加した。
【0205】
【表8】
【0206】
2.96ウェルプレートを密閉し、20分間40℃の温度でインキュベートした。インキュベー トの後、プレートシールを除去した。
3.水酸化カリウムに予め溶解した5.5mg/mlの濃度のセレコキシブを、各ウェルに15μl アリコートで分配し、直ちに混合した。これにより、各ウェルに最終セレコキシブ 濃度0.5 ml/mlを与えた。最終的に賦形剤の濃度は1.8 mg/mlであった。
4.予め37℃に加熱されたシャンバーを備える比濁計(Neplelostar Galaxy、 BMG Techn ologies、Durham、NC)を、過飽和セレコキシブの結晶化を抑制するための賦形剤 の能力を分析するために使用した。セレコキシブ及び賦形剤を含む分析プレートを 、任意に透明なシールを使用して密閉し、比濁装置内に載置した。比濁計の記録は 、1時間にわたって溶液における濁度を変化した。ベースラインを超えて濁度の増 加を示す溶液は、セレコキシブが溶液から沈殿することを示す。
【0207】
結晶抑制分析−結果:
図30に、擬似胃液(SGF)における賦形剤の機能としてのセレコキシブの結晶抑制時間を示す。セレコキシブの最終濃度は0.5 mg/mlであった。黒いバーは60分を越える結晶抑制時間を示す。表1に挙げられた賦形剤は、図30からは除外されているが、いかなる測定可能な結晶抑制時間も示さなかった(つまり、1.5分より長い)。58の賦形剤のうち19がセレコキシブの再結晶化/沈殿を抑制することがわかった。興味深いことには、溶解性の分析に反して、HPCのみのとの組み合せよりも長い抑制時間を有したビタミンE TPGS単独では、いかなる抑制時間をも示さなかった。
【0208】
重要なことに、薬物の溶解度を増加させる製剤は、必ずしも溶解性を増加しない。例えば、PCT出願WO 01/78724号によると、トランスクトールPにおけるセレコキシブ遊離酸の溶解度は350 mg/gである。溶解度を高めることに反して、トランスクトールPは遊離酸の溶解性を高めない。再結晶化/沈殿抑制剤及び増強剤との組み合せで使用したとき、トランスクトールPはTmaxまでの時間を延ばし、セレコキシブの濃度が1/2Tmaxより大になる時間を増加させる。さらに、塩の形態の溶解性が遊離酸を含む組成物の溶解性に比べはるかに優れていることがわかった。
【0209】
成功した結晶抑制剤のうち6つのPLURONIC(ポロキサマー)賦形剤の存在は、これらの化合物のさらなる研究を促した。PLURONICはエチレンオキシド−プロピレンオキシドのブロックコポリマーであり、その性質は、コポリマーブロックの比を調節することによってかなり変更することができる(つまり、融点、曇り点、分子量、HLB数、表面張力、界面張力等)。これらの性質についてのさらなる試験は、水中で0.1%の濃度でのこれらのコポリマーの表面張力が、セレコキシブの結晶化を抑制するための能力と相関関係にあることを示した。低い界面張力(つまり、約10dyne/cm未満)又は約42dyne/cm未満の表面張力を有するPLURONIC賦形剤は、高い表面張力又は界面張力を有するPLURONIC賦形剤よりも溶液中でセレコキシブを保持するのにより効果的であった。この観察を、試験されなかったPLURONICの界面データと共に、図31に示す。この相関関係に基づけば、これらの追加のPLURONICの過飽和特性も界面張力と相関関係にある。
【0210】
図31は、水中での選択されたPLURONIC賦形剤の界面張力を示す。低い界面張力をもつPLURONIC賦形剤は擬似胃液中でセレコキシブの結晶化を抑制する賦形剤と相関関係にある。結晶抑制の界面張力の閾値は、約9又は10 dyne/cm未満としておおさっばに定義された。分析における賦形剤濃度は0.18%、セレコキシブ濃度は0.5 mg/mlであった。界面データは、25℃の水対鉱油において0.1%の濃度でBASFにより得られた(PLURONICはBASFの商標である)。
【0211】
実施例15
PLURONIC賦形剤のインビトロでの溶解研究
PLURONIC賦形剤のインビトロでの溶解研究−方法
1.セレコキシブの調製
a. 新鮮なセレコキシブナトリウム塩の水和物を調製し、ナトリウム含量に対して遊離酸約90%として分析した。
b. セレコキシブ塩を、微粉末が形成されるまで乳鉢と乳棒を使用して粉砕した。微粉末は細孔径105μmの振るいを使用してふるいにかけられ、20mlのシンチレーションバイアルの中に室温で保存した。
【0212】
2.製剤の製造
a. 新鮮なPLURONIC賦形剤を乳鉢で調合した。最初に固体が室温であれば、PLURONICを滑らまな粉末が形成されるまで粉砕した。
b.HPCが添加されるのであれば、PLURONIC賦形剤の後で調合する。HPCをPLURONICと混合し、その2つを、乳棒を使用して一緒に粉砕し、1分間へらで混合する。
c. ふるいにかけられたセレコキシブ塩105μmを乳鉢に加え、その混合物を粉砕し、数分間混合する。
d. もし必要であれば、ポロキサマー124、Peg 200又はPeg 400のような液状賦形剤を、造粒液様液体として乳鉢に添加し、薬物と賦形剤との間の完全な接触を形成する。混合物を粉砕し、固体状の混合物において均一な密度が観察されるまで混合する。
【0213】
3.溶解性分析
a. 水浴を37℃に設定した。
b. 断食状態の擬似胃液(SGF)をpH1.7に調節し、脱イオン水で5倍に希釈した。最終pHを約2.4とした。擬似胃液を、薬剤を一杯の水で飲んだ時の作用を擬態するため5倍に希釈した。SGFを37℃に予め加熱した。
c. 製剤を20mlのシンチレーションバイアルに入れた。
d. 10 mm×3 mmの攪拌棒を入れた。
e. 希釈されたSGFを製剤に加えた。添加された容量はセレコキシブの遊離酸2 mg/ml用量を満たすように設定した。
f. バイアルを水浴に入れ、攪拌した。
g. 各時点で、0.9 mlの溶液を抽出し、0.2μmのポリビニルフロリジンフィルターによってろ過した。ろ液の初めの2/3を廃液として捨て、最後の1/3をエッペンドルフチューブに収集した。収集されたろ液のうち0.1mlを即座にオートサンプラーバイアルに移し、メタノール0.9mlで10倍に希釈した。オートサンプラーバイアルをかしめて密閉し、紫外線検出と共に高性能液状クロマトグラフィーを用いて含量分析に供した。
【0214】
PLURONIC賦形剤のインビトロでの溶解性研究−結果
1.低い界面張力を有する2つのPLURONIC賦形剤の溶解性:PLURONIC P123及びF127。PLURONIC P123は室温でペーストであり、セレコキシブ塩の粘稠性の製剤をもたらした。PLURONIC F127は室温で固体であり、セレコキシブ塩との流動性のある粉末固体状混合物を形成した。セレコキシブ遊離酸含量に対する賦形剤の等しい重量濃度でのこれら混合物の溶解性結果を図32に示す。PLURONIC P123はセレコキシブ塩の溶解性を向上させるが、それに対してPLURONIC F127は向上させなかった。PLURONIC F127のセレコキシブ溶解性の向上における不十分な能力は、賦形剤の溶解が遅いためである。反対に、PLURONIC P123は「粘稠性のある」ワックスの塊内でセレコキシブ塩と完全に結合し、それによりセレコキシブの溶解を遅らせる。これによりセレコキシブ塩形の十分な溶解よりも先に、賦形剤をかなりの程度溶解させた。
【0215】
2.セレコキシブナトリウム水和物の溶解を、PLURONIC P123、PLURONIC F127及びPLURONIC F87を使用したHPCの存在下で行った。PLURONIC F87は高い界面張力値を有する。セレコキシブ遊離酸含量に対して、PLURONIC及びHPCを等しい重量濃度で製剤に使用した。PLURONIC P123製剤は賦形剤のペースト状の特性が原因で粘稠である。PLURONIC F127及びF87製剤はこれらの賦形剤が室温で固体であるため、流動性があった。これらの製剤の溶解データを図33に示す。そのデータはPLURONIC P123製剤におけるHPCの添加が溶解プロファイルの拡幅をもたらしたことを示した。PLURONIC F127製剤においては、HPCがそのプロファイルの初期の溶解成分を増大させた(つまり、<10分)。反対に、PLURONIC F87製剤ではいかなる溶解プロファイルも観察されなかった。PLURONIC 87は高い界面張力(17.4 dyne/cm)を有しているので、得られるデータは界面張力と結晶抑制剤の相関関係を裏付ける。PLURONIC P123製剤(つまり、粘稠性があるもの)は、溶解プロファイルが、再結晶/沈澱までの時間に関して、PLURONIC F127製剤(すなわち、ばらばらの粉末)よりも大いに向上したことを示したので、PLURONIC F 127製剤の成分を物理的に結合する賦形剤の添加がさらなる溶解増大をもたらすと仮定した。
【0216】
3.PLURONIC F127及びHPCを使用したセレコキシブナトリウム水和物を、顆粒流体様液を使用して固体状の混合物と結合されるために溶解した。3つの顆粒流体様液、Peg 200、Peg 400及びポロキサマー124を選択した。セレコキシブ遊離酸含量、PLURONIC F127及びHPCを、等しい重量比で、顆粒流体のセレコキシブ遊離酸重量の40-45%で製剤化した。溶解におけるこれら製剤の作用を図34に示す。顆粒流体様液は、おそらくPLURONIC F127がかなりの程度溶解されるまで、セレコキシブ塩と溶解媒質との接触を遅らせることによって、セレコキシブの溶解を増大した。
次いで、セレコキシブナトリウム水和物の溶解を、PLURONIC F127及びHPC賦形剤を含む成形製剤で測定した。セレコキシブの遊離酸含量、PLURONIC F127及びHPCを等しい重量比で含む製剤を混合し、4900psiで6mmディスクに成形した。溶解結果では、図35に示されるように、約15〜20分で抑制が開始して溶解が高められることを示した。成形法では、顆粒流体の追加によって観察されたのと同様の溶解に対する効果とさらなる制御放出メカニズムとをもたらした。プロファイルの制御放出特性は、粘稠性の程度を変化させるHPC又はHPMCを選択し、成形体への崩壊剤の添加によって調整することができる。成形体は、比較的生産コストが低く、製造工程が少ないために魅力的な製剤である。
【0217】
実施例16
結晶抑制分析の一般的な方法
上述した方法は、固形状の活性医薬成分、それらの誘導体及び市場で興味のある他の非医薬組成物が、活性医薬成分で過飽和した溶液からの核形成を抑制する賦形剤を確認することを目的とした本発明の一般的な方法の特定の例である。その方法を、図36で概説し、以下に詳述する。
【0218】
1.賦形剤を、脱イオン(DI)水又は他の媒質(すなわち、擬似胃液又は腸液)に所望の濃度で溶解する。
2.活性医薬成分を、高い溶解度を示す適当な溶媒(すなわち、遊離塩基タイプの活性医薬成分には酸性pH環境及び遊離酸タイプの活性医薬成分には塩基pH環境)に溶解する。
3.賦形剤の溶液を、アッセイプレート(すなわち96ウェル又は384ウェルの光学的に透明なプレート)に、手作業又は自動液体処理装置を使用して分配する。賦形剤を、各ウェルに、単独、2成分、3成分又はより高い次数で賦形剤と賦形剤の組み合わせとして添加してもよい。液体処理装置の例としてTecan Gnesis(Tecan U. S. Inc、Research Triangle Park、NC)が挙げられる。
4.活性医薬成分の溶液を、アッセイプレートに分配する。活性医薬成分の溶液を、ある時点で、Tecan Genesis装置を使用して一つのウェル、列ごと、行ごとに、あるいは、Tecan Genesis装置を使用して同時に全てのウェルに分配してもよい。添加される活性医薬成分の溶液の容量は、賦形剤の溶液の特性にいくらかの変動を与えることを防止するために少量に制限する。
5.溶液を、賦形剤の溶液で活性医薬成分が均一に分散するように混合する。そのプレートを密閉し、所望の温度でインキュベートする。
6.固体状の核形成の発現は、光散乱を測定することが可能な装置を使用して測定する。光散乱測定が可能な装置の例として、NepheloStar nephelometer(BMG Technologies、Durham、NC)及びSPECTRAmax PLUSプレートリーダー(Molecular Devices Corp、Sunnyvale、CA)が挙げられる。温度は、一定の予め規定された設定温度で、光散乱装置のインキュベーション機構によって維持する。
7.複屈折スクリーニング、PXRD等を、沈澱活性医薬成分が非晶質又は結晶質の場合に、測定するために行ってもよい。活性医薬成分が結晶質であれば、晶癖及び粒径を記録してもよい。
8.データを分析し、賦形剤を、それら各々の抑制時間によりランク付けする。
9.情報科学を、核形成を抑制するのに成功した賦形剤と物理的な性質の情報との相関関係を明らかにするために使用してもよい。
【0219】
この方法から得られる一般的な情報
1.賦形剤の関数としての固体状態抑制時間
2.賦形剤の関数としての結晶化動態の定性的な測定
3.賦形剤の溶液での活性医薬成分の最終固体状態の形態分析(すなわち、非晶質、結晶質、晶癖)
【0220】
実施例17
得られるデータの説明
目標:37℃の温度で、液体Fにおいて、化合物Aの固体状核形成を阻害する賦形剤を確認。
【0221】
方法:
1.24の賦形剤溶液をDI水で16 mg/ml濃度に調製した。
2.液体Fを、所望の最終濃度となるように2度にわたって成分を混合することによってDI H20で調製した。
3.活性医薬成分の溶液を、液体Cに濃度5.5 mg/mlで調製した。
4.Tecan Genesis装置を用いて、75μlの液体F、18.75μlの賦形剤溶液及び56.25μlのDI H20の混合液を96−ウェルプレートの各ウェルに分配する。各ウェルでの賦形剤の最終濃度を液体F中2 mg/mlとした。ウェルあたりの液体容量の合計は150μlであった。4つの重複測定のウェルを、それぞれ単一の賦形剤溶液に使用した。その配置を図37に例示する。
5.プレートを透明シール(Part No. 6575; Coming Incorporated、Coming、NY)を使用して密閉し、20分間、40℃でインキュベートした。
6.シールを除去し、活性医薬成分の15μlを、同時に96−ウェルの全てに分配した。各ウェルの活性医薬成分の最終濃度は0.5 mg/mlであった(注意:固体状核形成に対する時間依存は、活性医薬成分の溶液を添加してすぐ始まった)。
7.ウェルの内容物を混合し、透明なシールを使用して密閉した(Part No. 6575;Coming Incorporated、Coming、NY)。
8.プレートを、1時間以上光散乱データを集めるためにNephelostar装置の上に載置した。Nephelostarは分析の目標で規定されるように、37℃でプレートをインキュベートした。
9.分析の最後に、そのデータをマイクロソフトエクセルを使用して分析し、抑制時間を計算した。収集された光散乱データを図38に例示する。固体状核形成の発現を、光散乱信号がベースライン信号より上に増加した場合の時間で規定する。沈澱/結晶事象を規定するために使用された光散乱信号の増加の閾値限界は、通常、バックグラウンドノイズを考慮してベースラインシグナルの標準偏差の三倍に設定される。しかし、閾値は、分析の感度及び沈澱/結晶化の所望の制限によって、種々の値に設定することができる。
10.賦形剤の溶液の抑制時間(もしあれば)をランク付けした。図30はそのランク付けを示すグラフである。
【0222】
この一般的な方法の別の限定しない例として、以下を含む。
1.抑制時間を、賦形剤濃度の関数として測定してもよい。
2.抑制時間を、活性医薬成分の塩又は共結晶の濃度の関数として測定してもよい。
3.活性医薬成分を分析前に非水系媒質で濃縮してもよい。
4.温度は所望の基準にしたがって変化及び制御してもよい。
5.化合物溶液と賦形剤溶液を混合する代わりに、試験賦形剤を、水性/SGF/SIF又はその他の試験溶液(賦形剤のない賦形剤溶液)と混合する前に化合物溶液中の活性医薬成分と混合してもよい。
【0223】
図39は、TGAの結果を示す。約65℃から200℃の間で約15.6%の重量損失が観察された。図40はPXRDの結果を示す。2θ角度で、溶媒和物を特徴付けるために使用されうるピークは、3.77、7.57、8.21、11.33、14.23、16.15、18.69、20.63、22.69及び24.77のうちいずれか1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10又は図40のうち1、2、3、4、5、6、7、8、9、10もしくはそれ以上のピークのうちいずれか一つか、いずれかの組合せを含む。また、グラフのほかのピークも、塩を特徴付けるために単独で又はいくつかの組合せで使用してもよい。
【0224】
実施例18
セレコキシブナトリウム塩のプロピレングリコール溶媒和物
セレコキシブのナトリウム塩のプロピレングリコール溶媒和物を製造した。Et2O(6 mL)でのセレコキシブの溶液(312 mg:0.818mmol)をプロピレングリコール(0.127 ml、1.79mmol)に添加した。この透明な溶液にEtOH中のNaOEt (21%、0.275 1L,0.817 mmol)を添加した。1分後、結晶が形成し始めた。5分後、固体は完全に結晶化した。固体を濾過により収集し、Et20(10 mL)で洗浄した。その後、オフホワイトの固体を空気乾燥し、収集した。これは1:1の溶媒和物であった。その固体を、TGA及びPXRDにより特徴付けした。その結果を図39及び40に示す。
【0225】
実施例19
セレコキシブのカリウム塩のプロピレングリコール溶媒和物を製造した。Et2O(6 Ml)でのセレコキシブの溶液(253 mg、0.664 mmol)にプロピレングリコール(0.075 ml、1.02 mmol)を添加した。その透明な溶液に、THF (1 M、0.66 mL、0.66 mmol)でのKOtBuを添加した。結晶が即座に形成し始めた。5分後、固体は完全に結晶化した。固体を濾過により収集し、Et2O (10 mL)で洗浄した。その後白色の固体を空気乾燥し、収集した。この固体は1:1の溶媒和物であった。その固体を、TGA及びPXRDにより特徴付けた。その結果を図41及び42に示す。
【0226】
図41はTGAの結果を示す。約65から250℃の間で14.94%の重量損失が観察された。図42はPXRDの結果を示す。その溶媒和物を特徴付けるために使用することができるピークは、2θ角度で、3.75、7.47、11.33、14.93、15.65、18.31、20.47、21.71及び24.67の内いずれか1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10又は図42の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10もしくはそれ以上のピークのうちいずれか1つ、又はいずれかの組合せを含む。
【0227】
実施例20
セレコキシブのリチウム塩のプロピレングリコール溶媒和物を製造した。Et20(8 mL)でのセレコキシブの溶液(264 mg,0.693 mmol)にプロピレングリコール(0.075 ml、1.02 mmol)を添加した。この透明な溶液に、ペンタン(1.7 M、0.40 mL、0.68 mmol)でのtBu-Liを添加した。茶色の固体が即座に形成されたが、1分以内に白色の固体を発生させ、溶解した。白色の固体は10分後完全に結晶化した。その固体を濾過により収集し、Et2O(10 mL)で洗浄した。その白色の固体をその後空気乾燥し、収集した。個体は1:1の溶媒和物であった。その固体をTGA及びPXRDにより特徴付けた。
【0228】
TGAの結果を図42に示す。50℃から210℃の間で約16.3%の重量損失を示す。PXRDの結果を図51に示す。塩を特徴付けるために使用することができる2θ角度の特徴的なピークは、3.79、7.51、8.19、9.83、11.41、15.93、18.29、19.19、19.87、20.63、22.01、25.09のうちいずれか1もしくはいずれか2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12の組合せ、あるいは図51のピークのうちいずれか1つ又はいずれかの組合せを含む。
【0229】
実施例21
セレコキシブナトリウムプロピレングリコール三水和物
製造:
a)セレコキシブナトリウム塩プロピレングリコール溶媒和物を3日間、20℃で60% RHに放置することにより、セレオキシブナトリウムプロピレングリコールを形成した(注意:同様に75%、40℃での三水和物の形成)。三水和物は、室温で31から41%のいずれかで形成し始める。
【0230】
TGA及びPXRDの結果を図44に示す。図44はTGAの結果を示しており、ここでは、室温から60℃の間で約9.64%の重量損失が観察され、約60℃から175℃の間で約13.6%の重量損失が観察されたことを示す。
【0231】
PXRDパターンを図45に示す。2θ角度で特徴的なピークを有する。例えば、3.47、6.97、10.37、13.97、16.41、19.45、21.29、22.69、23.87及び25.75を含むいずれか1、2、3、4、5、6、7、8、9又はそれ以上のピークを、溶媒和物を特徴付けるために使用することができる。
【0232】
b)また、 三水和物を、H20の存在下、セレコキシブナトリウムプロピレングリコールの結晶化により形成することができる。Et20(6 mL)、H20(0.025 mL,1.39 mmol)及びプロピレングリコール(0.030 ml,0.408 mmol)中のセレコキシブの溶液(136.2 mg,0.357 mmol)にEtOH (21 wt. %,0.135 mL,0.362 mmol)中のNaOEtを添加した。1分以内に固体が形成され、ろ過により分離した。その固体を、その後追加のEt2O (2.0 mL)で洗浄し、空気乾燥した。この工程は同一のPXRDパターンを実質的に与えるが、H20のわずかな過剰があり、それはおそらく表層水である。
【0233】
TGA及びPXRDの結果を図46に示す。図46はTGAの結果を示し、これは、室温から50℃の間での10.92%の重量損失及び約50℃から195℃の間での約12.95%重量損失が観察されたことを示す。
【0234】
PXRDパターンは、図47で示される2θ角度での特徴的なピークを有する。例えば、3.43、6.95、10.25、13.95、16.39、19.43、21.21、22.61及び25.71を含むいずれか1、2、3、4、5、6、7、8、9又はそれ以上のピークを、溶媒和物を特徴付けるために使用することができる。
【0235】
実施例22
セレコキシブナトリウムiPrOH
Et2O (6.0 mL)でのセレコキシブの溶液(204.2 mg,0.5354 mmol)にiPrOH(0.070 mL)を添加した。この無色の溶液に、MeOHでのNaOMeの溶液(0.5 M、2.52 mL、6.75 mmol)、その後ヘキサン(3.0 mL)を添加した。揮発物を、N2ガス流下、減少させた。白色の固体が形成され、ろ過により収集した。乾燥後、その固体は、TGAにより1.5 iPrOH溶媒和物であることがわかった。
【0236】
DSC、TGA及びPXRD分析の結果を、図48〜50に示す。図48は、ピーク吸熱が67.69℃で観察されたDSC分析の結果を示す。TGAの結果では、図49に示すように、ほぼ室温から約120℃で、約18.23%の重量損失を示した。
PXRDパターンは図50に示す2θ角度で特徴的なピークを有する。例えば、3.43、7.03、10.13、11.75、14.11、16.61、17.61、18.49、19.51、20.97、22.33、22.81及び25.93を含むいずれか1、2、3、4、5、6、7、8、9又はそれ以上のピークを、溶媒和物を特徴付けるために使用することができる。
【0237】
実施例23
セレコキシブ:ニコチンアミド(1:1)の共結晶
セレコキシブ(100 mg、0.26 mmol)とニコチンアミド(32.0 mg、0.26 mmol)をアセトン(2 mL)にそれぞれ溶解した。2つの溶液を混合し、得られた混合物を一晩ゆっくり蒸発させた。沈澱した固体を収集し、特徴付けを行った。共結晶の詳しい特徴付けを、DXC、TGA及びPXRDを使用して行った。DSCの結果では、〜150℃で分解開始を示した。TGAの結果では、117.2及び118.8℃での2段階の相転移及び129.7℃でのシャープな吸熱を示した。PXRDの結果を図52に示す。共結晶を特徴付けるために使用することができる特徴的なピークは、3.77、7.56、9.63、14.76、16.01、17.78、18.68、19.31、20.435、21.19、22.10、23.80、24.70、25.295及び26.73のピークのうち2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14もしくは15のうちいずれか1又はいずれかの組み合わせ、あるいは図52のピークのうちいずれか1又はいずれか2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又はそれ以上のピークのうちいくつかの組み合わせを含む。
【0238】
実施例24
上述したように、セレコキシブナトリウムは変化する水和物である。結晶構造における水和作用を分析するために、セレコキシブナトリウム塩及びセレコキシブナトリウム塩プロピレングリコール溶媒和物を、室温で、17%、31%、59%及び74%の一定相対湿度下、PXRDにより分析した。次の表は異なる相対湿度でのPXRD2θ角度ピークを挙げる。
【0239】
【表9】
【0240】
組成物は、表Xに挙げられたいずれか1又はいずれか2、3、4、5、6、7、8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30又はそれ以上のピークの組合せ、あるいは図53から60のいずれか1又はいずれか2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30又はそれ以上のピークの組合せにより特徴付けられる。
【0241】
実施例25
水和が変化する(セレコキシブの1当量あたりH20の約0.5〜4当量の範囲であると思われている)、複数のセレコキシブナトリウム塩サンプル、すべての形態M1について、PXRDにより分析した。PXRDパターンを、その後共通のピークに基づいて分類した。いくつかのグループは、図61に示すこれらのグループのうちの4つで確認された。グループDは、非晶質及び結晶質のセレコキシブ塩の混合物と一致した。表Yでは、グループA、B及びCに共通するPXRDピークの特徴及び各グループを特定するピークを挙げる。
【0242】
【表10】
ここでの使用において、用語「TPI-336」は、文脈によってセレコキシブ又はセレコキシブ塩を示すことに留意が必要である。
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セレコキシブ(Celecoxib、4-[5-(4-メチルフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド)は、化学構造
【0003】
【化1】
で表される置換ピラゾリルベンゼンスルホンアミドである。
【0004】
セレコキシブは、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)の一般的な分類に属する。従来のNSAIDsとは異なり、セレコキシブは、患者に投与する際、副作用を殆ど引き起こさないシクロオキシゲナーゼII(COX−2)の選択阻害剤である。セレコキシブの合成及び使用はさらに、米国特許第5,466,823号、5,510,496号、5,563,165号、5,753,688号、5,760,068号、5,972,986号及び6,156,781号に記載されている(その内容の全てを参照のために組み込む)。セレコキシブの経口投与可能な液状製剤は、Hariharanらの米国特許出願公開第2002/0107250号で議論されている(その内容の全体をここに参照のために組み込む)。
【0005】
他のCox−2阻害薬はセレコキシブと同類であり、それは薬物の大きな基の一部を形成しており、その全てがベンゼンスルホンアミドである。これらは、デラコキシブ(deracoxib、4- [3- フルオロ-4-メトキシフェニル)-3-ジフルオロメチル-1H-ピラゾ−ル-1-イル] ベンゼンスフホンアミド)、バルデコキシブ(valdecoxib、4- [5-メチル-3-フェニルイソキサゾール-4-イル] ベンゼンスルホンアミド、ロフェコキシブ(rofecoxib、3-フェニル-4- [-(メチルスルホニル)フェニル]-5H-フラン-2-オン及びエトリコキシブ(etoricoxib、5-クロロ-3-(4-メチルスルホニル)フェニル-2-(2-メチル-5-ピリジニル)ピリジンを含む。これらの薬物はW001/78724号及びW002/102376号に、さらに詳細に記載されている。
【0006】
セレブレクス(CELEBREX、商標)として市販されている形態では、セレコキシブは、本質的に水に不溶性の中性分子である。セレコキシブは、一般的に、針様結晶として存在し、凝集して塊を形成しやすい。セレコキシブが他の物質と混合された場合でさえ凝集が生じるため、不均一な混合物が得られる。これらの性質は、他のピラゾリルベンゼンスルホンアミドでも共通しており、薬物の医薬製剤、特に経口製剤の製造において重大な問題でとなっている。
【0007】
特に経口製剤として、低い水溶性を有する薬物の性質が改善されて、新しい形態を提供することは有利であろう。特に、低い水溶性を有する活性医薬成分(api)が改善された水溶性を有する形態で供給された場合であっても、薬物の溶解が必要とされるとき、例えば、薬物が消化管で希釈されるようになるところに経口製剤として摂取された後に、依然として問題が残る。この状況下では、低い水溶性を有する活性医薬成分は、溶液から出現する傾向にある。このようなことが起こった場合、例えば、結晶化又は沈殿の過程により、活性医薬成分のバイオアベイラビリティは著しく減少する。したがって、経口投与の形態における活性医薬成分のバイオアベイラビリティを増加させるような活性医薬成分を含む製剤の性質を改善することが望まれおり、それによって、より迅速な治療効果の発現をもたらされる。
【発明の開示】
【0008】
セレコキシブの安定な結晶塩及び共結晶を合成することができることを、今、見出した。本発明のセレコキシブ組成物は、中性セレコキシブに比べ、より大きな溶解度、溶解性、総バイオアベイラビリティ(曲線下面積又はAUC)、より低いTmax、ピーク血清レベル到達時間及びより高いCmax、最大血清濃度を有している。また、本発明のセレコキシブ組成物は、吸湿性が小さく、より安定した組成物を含む。本発明のセレコキシブ塩は、結晶形である時、塩の中和によってセレコキシブの非晶質の遊離型に転換し、その後、中性準安定結晶形に変換するか、あるいは直接中性準安定結晶形に転換する。中性セレコキシブのこれらの非晶質又は準安定の結晶形は、現在市場にある中性セレコキシブよりも、より容易に利用できる活性医薬成分の形態である。中性結晶セレコキシブは、現在、CELEBREX(商標)として市販されており、セレコキシブのイオン化塩の形態からそれを区別する「中性」であるとされている。さらに、セレコキシブ塩溶液の酸性化又は中和は、その部位で非晶質のセレコキシブを生じ、その後、準結晶形に転換するか、あるいは最終的に安定した中性セレコキシブに転換する前に、直接中性セレコキシブの中性準安定結晶形に転換する。
【0009】
本発明の一面は、溶解性、溶解度及び/又は医薬(用語「医薬」及び「薬物」は、ここでは交換可能に用いられる)が、溶解性に基づいて、溶液から沈殿する前に、過飽和溶液として維持され得る時間を増加させる方法に関する。溶解性の増加(又は時間の関数としての濃度)は、よって、バイオアベイラビリティ、つまりAUCの増加で表すことができ、結果として、Tmaxまでの時間の減少又はCmaxの増加をもたらす。その方法は、遊離酸活性医薬成分の塩又は共結晶を生成し、かつその塩又は共結晶を、再結晶化又は沈殿抑制剤と、任意に再結晶化/沈殿抑制増強剤(以下、増強剤と記す)と混合する工程を含む。塩は、非晶質又は結晶質であってもよいが、好ましくは結晶質である。通常、使用される塩又は共結晶形は、溶解し、次いで溶液から再結晶化及び沈殿する結晶形であり、従って、用語「再」結晶抑制剤が使用される。しかし、塩は非晶質形から始まることがあるので、その用語は、結晶質又は非晶質形態のどちらから始まる場合にも使用されることに留意すべきである。また、用語「再結晶化」は、分離する又は溶液から「出現する」ことによる結晶質又は非晶質の固体の何れをも示す用語「沈殿」と置き換えることも可能である。結晶塩は、初期化合物としての非晶質塩より優れており、非晶質塩は、中性の非晶質又は結晶質形より優れている。遊離酸の形態は、可溶化剤へはじめに溶解されたものが、沈殿抑制剤及び任意に増強剤を含む液体製剤とならない限り、初期化合物として好ましくない。再結晶化/沈殿抑制剤は、多くの場合、界面活性剤であり、好ましくは、エテール官能基を有した界面活性剤であり、好ましくは、反復エテール基、例えば、酸素原子が2つの炭素原子により分離される、少なくとも2又は3回反復するエテール基である。さらに好ましい界面活性剤は、25℃の鉱油と比較して、水中で0.1%w/wの濃度で測定された場合、10 dyne/cm未満の界面張力及び/又は再結晶抑制剤(例えば、ポロキサマー)の表面張力が、25℃で水中において0.1%w/wの濃度で測定された場合、42 dyne/cm未満である。塩又は共結晶、再結晶化/沈殿抑制剤及び任意に増強剤(又は再結晶化/沈殿抑制剤、任意に増強剤及びその他の形態)の組み合わせは、水溶液、好ましくは、水又は12時間絶食した平均的な人の胃の胃液又は擬似胃液(SGF)のような胃液条件中で、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55もしくは60分又は1時間より長く、過飽和溶液の沈殿を好ましくは防止又は遅延させる。組成物を胃から移し、より高いpHの環境に移動させることを可能にするために、その溶液を15、20又は30分より長い時間過飽和のままとすることが好ましい。SGFは、水の摂取を再現するために2、3、4、5、6、7、8、9、10倍に希釈してもよい。例えば、患者が本発明の組成物を経口で摂取する際にグラス一杯の水を飲むことを想定して、SGFを5倍に希釈してもよい。溶解度、溶解性及び/又は過飽和の程度は、10、20、30、40、50、60、70、80、90又は100%等、あるいは、同一の溶液中での中性セレコキシブ(例えば、遊離酸)よりも3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、75倍、100倍、125倍、150倍、175倍、200倍、250倍、300倍、350倍、400倍、500倍、1000倍、10,000倍又は100,000倍大きく規定されていてもよい。溶解性の増加は、さらに、その組成物が過飽和として残存する時間によって規定されてもよい。
【0010】
増強剤は、好ましくは、ヒドロオキシプロピルセルロース(HPC)又はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)のようなセルロースエステルを含む。よって、本発明の方法によれば、薬物が溶解状態で維持され得る過飽和濃度及び/又は胃液条件(例えば、SGF)での薬物の溶解の程度が増強される。
【0011】
通常、増強剤は、再結晶化/沈殿抑制剤をさらに追加しない限り、活性医薬成分を過飽和に保つ時間を長く改善しない。本発明の方法は、天然型又は塩単体と比較した場合、より大きな溶解度、溶解性及びバイオアベイラビリティ、AUC、減少したTmaxへの時間、ピーク血清レベルに到達するまでの時間ならびにより高いCmax、最高血清濃度を有する医薬製剤を形成するために用いられる。AUCは、薬物投与後の時間に対する薬物の血漿濃度のプロット下(濃度のロガリズムではない)の面積である。面積は、「台形法則」によって適切に測定され、データポイントは直線区分によってつながれ、横座標から各データポイントに垂線が立てられ、そのように構成された三角形及び台形の面積の合計が算出される。最終の測定濃度(Cn、tn時において)がゼロでなければ、tn時から無限時までのAUCはCn/kelによって推算される。
【0012】
AUCは、薬物のバイオアベイラビリティの推算及び薬物の総クリアランス(ClT)の推算に特別に用いられる。以下の単回静脈内投与では、一次消失力学に従う単一のコンパートメントシステムでAUC=D/ClT、あるいは、AUC=C0/kelである。静脈以外の経路では、そのようなシステムで、AUC=FD/ClTである(ここで、Fは薬物のアベイラビリティである)。
【0013】
さらに、本発明は、再結晶化/沈殿抑制剤及び任意に増強剤を、既に塩又は共結晶の形態である医薬と組み合わせることに関する。本発明はさらに、再結晶化/沈殿抑制剤及び任意に増強剤を、塩又は共結晶の溶媒和物、脱溶媒和物、水和物、脱水和物又は無水物の形態である医薬と組み合わせることに関する。
【0014】
したがって、さらなる観点では、本発明は
(a)好ましくは胃液条件で、低い水性溶解度又は溶解性を有する医薬活性成分、
(b)再結晶化/沈殿抑制剤、及び
(c)任意に増強剤
を含む医薬組成物を提供する。
【0015】
さらなる観点では、本発明は、
(a)好ましくは胃液条件で、低い水性溶解度又は溶解性を有する医薬活性成分、
(b)10 dyne/cm未満の界面張力又は42 dyne/cm未満の表面張力を有する再結晶化/沈殿抑制剤、及び
(c)任意に増強剤
を含む医薬組成物を提供する。
【0016】
さらなる観点では、本発明は
(a)好ましくは胃液条件において、低い水性溶解度又は溶解性を有する医薬活性成分、
(b)界面活性剤、及び
(c)任意に増強剤
を含む医薬組成物を提供する。
【0017】
さらなる観点では、本発明は
(a)好ましくは胃液条件で、低い水性溶解度又は溶解性を有する医薬活性成分、
(b)10 dyne/cm未満の界面張力又は42 dyne/cm未満の表面張力を有するポロキサマー、及び
(c)任意に増強剤
を含む医薬組成物を提供する。
【0018】
さらなる観点では、本発明は
(a)好ましくは胃液条件で、低い水性溶解度又は溶解性を有する医薬活性成分、
(b)界面活性剤、及び
(c)セルロースエステル
を含む医薬組成物を提供する。
【0019】
さらなる観点では、本発明は
(a)好ましくは胃液条件で、低い水性溶解度又は溶解性を有する医薬活性成分、
(b)10 dyne/cm未満の界面張力又は42 dyne/cm未満の表面張力を有する界面活性剤、及び
(c)ヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロース
を含む医薬組成物を提供する。
【0020】
さらなる観点では、本発明は
(a)好ましくは胃液条件で、低い水性溶解度又は溶解性を有する医薬活性成分、
(b)ポロキサマー、及び
(c)ヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロース
を含む医薬組成物を提供する。
【0021】
さらなる観点では、本発明は
(a)好ましくは胃液条件で、低い水性溶解度又は溶解性を有する医薬活性成分、
(b)10 dyne/cm未満の界面張力又は42 dyne/cm未満の表面張力を有するポロキサマー、及び
(c)ヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロース
を含む医薬組成物を提供する。
【0022】
さらなる観点では、本発明は
(a)セレコキシブ、
(b)濃度0.1%で10 dyne/cm未満の界面張力又は42 dyne/cm未満の表面張力を有するポロキサマー、及び
(c)ヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む再結晶化/沈殿抑制剤
を含む医薬組成物を提供する。
【0023】
さらなる観点では、本発明は、好ましくは胃液条件で、低い水性溶解度を有する薬物の過飽和濃度を提供するための医薬組成物の製法方法を提供し、その方法は、上記観点又はここでの他の場合の成分と完全に混合することを含む。
【0024】
さらなる観点では、界面活性剤が5%、4%、3%、2%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%又は0.1%未満の濃度あるいは0. 1% (w/w)濃度である。
本発明はさらに医薬組成物を製造する方法を提供し、その方法は
(1)複数の容器を用意し、
(2)複数の賦形剤溶液を用意し、
(3)複数の化合物溶液を用意し、それぞれ、その中に医薬化合物が溶解しており、
(4)賦形剤溶液の一つを化合物溶液の一つとともに、完全な混合液を形成するように各容器に分配し、各混合物の性状は、異なる容器において異なっており、
(5)混合液をインキュベートし、
(6)固体状の核形成又は沈殿の発現を確認し、
(7)固形状の核形成の発現が抑制された医薬化合物/賦形剤の組み合わせを選択し、
(8)医薬化合物/賦形剤の組み合わせを含む医薬組成物を製造することを含む。
【0025】
出願人は、速やかかつ簡便な手法で、医薬化合物/賦形剤の組み合わせのどの性状が固体状の核形成(ここでは、固化の開始を示すために用いられる)を抑制(阻害)するか、非晶質又は結晶質かどうかを確認するために、医薬化合物と賦形剤とを含む混合物をスクリーニングすることが可能であることを見出した。このようにして、これらの賦形剤又はその組み合わせの他の性状を、活性医薬成分が患者に対して投与された後、十分な時間、溶液内で留まる医薬組成物の製造のために、選択することができる。このようにして、少なくとも活性医薬成分の最小バイオアベイラビリティに達する医薬組成物を、直接的なインビトロスクリーニングに基づいて、容易に製造することができる。
【0026】
医薬組成物の種々の性状は、固体状の核形成の発現又は活性医薬成分(医薬化合物)の沈殿に影響を与える。そのような性状とは、組成物中の賦形剤の同一性又は量及び医薬化合物の同一性又は量等である。他の性状として、塩又は緩衝剤化合物等の他の希釈剤量又は担体量であってもよい。多形となり得る場合には、医薬化合物自体を、種々の形態の変形でスクリーニングすることができる。さらに、本発明によれば、種々の塩、溶媒和物物、水和物、共結晶及び活性医薬成分の他の形態をスクリーニングすることができる。
【0027】
本発明は、種々の賦形剤の多数の変形をスクリーニングすることに容易に適用することができる。したがって、好ましい観点では、本発明は、医薬組成物の製造方法を提供し、その方法は、
(1)複数の容器を用意し、
(2)複数の賦形剤溶液を用意し、
(3)複数の化合物溶液を用意し、それぞれ、その中に医薬化合物が溶解しており、
(4)賦形剤溶液の一つを化合物溶液の一つとともに、完全な混合液を形成するように各容器に分配し、各賦形剤は、異なる容器において、異なっており、
(5)該混合液をインキュベートし、
(6)固体状の核形成又は沈殿の発現を確認し、
(7)固形状の核形成の発現が抑制された賦形剤を選択し、
(8)医薬化合物と選択された賦形剤とを含む医薬組成物を製造することを含む。
【0028】
この実施態様によれば、賦形剤を変更することがである。異なる賦形剤を異なる容器で使用してもよいし、単一の賦形剤を用いてもよいし、複数の賦形剤の組み合わせ、例えば2成分、3成分、3成分以上の組み合わで用いてもよい。
【0029】
さらなる観点では、本発明は、本発明の方法により得られた医薬組成物を提供する。医薬組成物はさらに賦形剤、希釈剤又は担体を含んでもよい。好ましい観点では、医薬組成物は、経口投与用に製剤化される。
さらに、本発明は、医薬化合物の固体状の核形成又は沈殿の賦形剤介在による遅延を評価する方法を提供し、その方法は、
(1)複数の容器を用意し、
(2)複数の賦形剤溶液を用意し、
(3)複数の化合物溶液を用意し、それぞれ、その中に医薬化合物が溶解しており、
(4)賦形剤溶液の一つを化合物溶液の一つとともに、完全な混合液を形成するように各容器に分配し、各混合物の性状は、異なる容器において異なっており、
(5)混合液をインキュベートし、
(6)固体状の核形成又は沈殿の発現を確認し、
(7)固形状の核形成又は沈殿の発現時間によって混合液の性状をランく付けすることを含む。
【0030】
さらなる観点では、本発明は、医薬化合物の固体状の核形成又は沈殿を抑制する賦形剤をスクリーニングする方法を提供し、その方法は、
(1)複数の容器を用意し、
(2)複数の賦形剤溶液を用意し、
(3)複数の化合物溶液を用意し、それぞれ、その中に医薬化合物が溶解しており、
(4)賦形剤溶液の一つを化合物溶液の一つとともに、完全な混合液を形成するように各容器に分配し、各賦形剤は、異なる容器において異なっており、
(5)混合液をインキュベートし、
(6)固体状の核形成又は沈殿の発現を確認し、
(7)固形状の核形成又は沈殿の発現時間によって賦形剤をランく付けすることを含む。
【0031】
一般に、本発明の医薬化合物は、好ましくは水性ベースの媒質中で、通常、過飽和溶液として存在することができる活性医薬成分(API)である。活性医薬成分は、それらの遊離酸、遊離塩基、共結晶もしくは塩又は溶媒和物、水和物あるいは脱水和物であってもよい。本発明は、特に、胃液又は腸液のような体液と接触した場合に、核形成事象において、溶液から沈殿又は結晶化しそうな医薬組成物等に適用することができる。したがって、本発明は、ここで示されたように、体液と接触した場合に比較的低い溶解度を有するが、適切なインビトロ条件では比較的高い溶解度を有する医薬組成物に特に適用することができる。
【0032】
本発明によれば、化合物溶液は、化合物を可溶化する溶液であるか、非水性溶液又は化合物を適応するように調節されたpHを有する水溶液とすることができる。例えば、化合物の高い溶解度を達成するために、遊離塩基型の化合物であれば、酸性pHの水溶液中で溶解され、一方、遊離酸型の化合物であれば、塩基性pHの水溶液中で溶解されるであろう。従って、化合物溶液は、水、胃液又は腸液と比較した場合、過飽和溶液であってもよいし、好ましくは過飽和溶液である。また、水、通常、脱イオン水を含む溶液又は他の水性ベースの溶液で形成することが、賦形剤にとって好ましい。ある観点では、混合液は、胃液(SGF)又は腸液(SIF、燐酸二水素カリウム0.68%、パンクレアチン1%及び水酸化ナトリウム(最終溶液のpHが7.5である))を擬態しており、この観点では、賦形剤がこれらの体液を擬態する溶液に添加されることが好ましい。あるいは、通常、行われるスクリーニングに適切な環境を作り出す混合液を形成するために、溶液にさらなる添加剤を添加してもよい。
【0033】
本発明の一つの利点は、少なくとも24、48、96、384又は1536のサンプルを平行して分析するように、複数の容器を、複数のウェルプレート形式又はブロック及びチューブの形式で存在させてもよいことである。少なくとも1000、3000、5000、7000、10000、20000、30000、40000、50000、60000、70000、80000、90000又は100000のサンプルを分析するように、複数のブロック及びチューブ又はマルチウェルプレートを分析することができる。これは、その方法が複数のウェルプレート形式が存在する装置を用いて、半自動又は自動的な方法で操作することができるため、有用である。少なくとも分配工程は、自動液体ハンドリング装置で行うことができる。したがって、高いスループット・スクリーニングのような方法を行うことができる。さらに、複数のウェルプレート形式を用いることにより、スクリーニングの程度が比較的低くなる。例えば、各サンプルは、活性医薬成分、サンプルサイズ等によって、100mg、50mg、25mg、10mg、5mg、750ug、500ug、250ug、100ug、75ug、50ug、25ug、10ug、1ug、750ng、500ng、250ng、100ng又は50ng未満で含まれるかもしれない。従って、これは、賦形剤又は核形成の発現を抑制する医薬組成物と賦形剤との組み合わせの性状を確認するために必要な活性医薬成分の量を最小限にする。このように、改善された速度及び比較的低い費用が有利な点である。
【0034】
その方法で形成される完全な混合液は、溶液の分配中又は後に、ミキサーを使用するなど、従来法のいずれかによって達成することができる。一旦その混合液が形成されると、一般に、約37℃のような一定の温度でその混合液をインキュベートし、インビボ条件を擬態することが有利である。
【0035】
固体状の核形成又は沈殿の発現の測定は、混合物の光散乱の測定により行うことができる。これは、比濁計の使用のように、従来のいずれかの光散乱測定によって行うことができる。また、固体状の核形成又は沈殿の生成物の結晶化を測定するさらなる工程を含むことができる。この工程は、医薬組成物に用いる医薬化合物/賦形剤の組み合わせを選択する前に、普通に行われる。結晶化は、例えば、複屈折スクリーニングにより測定することができる。
【0036】
光散乱測定及び複屈折スクリーニングは、いずれも観血的測定技術ではない。有利にも、サンプル溶液の一部又は全部を、第2の容器に移すことは必要でなく、その容器又はウェルを、これらの技術の使用を可能にする透明なシールで密閉することができる。
その最も一般的な観点では、本発明は、低い水性溶解度(又はここに開示されているような溶解度)を有する活性医薬成分を含む医薬組成物に関する。一般に、本出願においては、低い水性溶解度は、37℃で測定された場合、10mg/ml以下、好ましくは1mg/ml以下の水に対する溶解度を有する化合物を示している。本発明は、とりわけ、0.1mg/ml以下の溶解度を有する薬物に関する。さらに、本発明は、胃又は腸液あるいはSGF又はSIFで過飽和溶液として維持できない化合物に関する。そのような薬物は、ベンゼンスルホンアミドのようなスルホンアミド薬物を含み、特に、上述したピラゾリルベンゼンスルホンアミドであって、Cox−2阻害剤を含む。ここに開示されたものは、セレコキシブ等のピラゾリルベンゼンスルホンアミドの安定な結晶性金属塩である。そのような金属塩は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩を含み、好ましくは、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム及びマグネシウム塩である。
【0037】
医薬組成物は、経口投与用に製剤化されることが好ましい。本発明の薬物は、治療効果(薬物が投与される効果を確認するか又は判断することができる時間、例えば、患者が熱や痛みの減少を感じ始めた時点)の発現に到達するまでの時間が短縮され、バイオアベイラビリティが増加する形態に製造することができる。従って、本発明の医薬組成物は、特にヒトの患者への投与に適している。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施例1で製造されるセレコキシブのナトリウム塩の異なるスキャニング熱量測定トレース(50℃から110℃まで)を示す。
【図2】実施例1で製造されるセレコキシブのナトリウム塩の熱重量分析を示し、それは約30℃から約160℃で行われた。
【図3】実施例1で製造されるセレコキシブのナトリウム塩の粉末X線回析プロットを示す。
【図4A】実施例4で詳述するプロトコルに従って得られる4- [5- (4-メチルフェニル)-3- (トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル] ベンゼンスルホンアミドの市販製剤及びナトリウム塩で用いられるセレコキシブ結晶形を5 mg/kgの経口投与後の雄性Sprague-Dawleyラットでの薬物動態を示す。
【図4B】実施例4で詳述するプロトコルに従って得られる4- [5- (4-メチルフェニル)-3- (トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル] ベンゼンスルホンアミドの市販製剤及びナトリウム塩で用いられるセレコキシブ結晶形を5 mg/kgの経口投与後の雄性Sprague-Dawleyラットでの薬物動態を示す。
【図5】セレコキシブ又はセレコキシブナトリウムの単回経口又は単回静脈内投与による雄犬の血漿内のセレコキシブの平均薬物動態パラメーター(及びそれらの標準偏差)を示す。セレコキシブナトリウムの経口投与の最大血清濃度及びバイオアベイラビリティは、おおよそセレコキシブの経口投与の同量のものより、それぞれ約3及び2倍大きく、セレコキシブナトリウムの最大血清濃度へは、セレコキシブに比べ40%以上早く到達した。
【図6】雄犬へのセレコキシブ又はセレコキシブナトリウムの単回経口投与又はセレコキシブの単回静脈投与による血清中のセレコキシブの平均濃度を示す。
【図7】溶液中のセレコキシブナトリウムの濃度において、ポロキサマー内でのエチレングリコールのプロピレングリコールサブユニットに対する比を変化させる効果を示す。
【図8】同重量のセルロース(ヒドロキシプロピルセルロース(HPC、100,000 kDa)、低粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ld HPMC、粘度は80から120 cps)、高粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hd HPMC、粘度は15,000 cps)、微晶質セルロース(アビセル PH200) )、d-アルファ-トコフェロールポリエチレングリコール-1000琥珀酸エステル(ビタミンE TGPS)及びセレコキシブナトリウムを含む種々の組成物の溶解性における種々のセルロースの効果を示す。
【図9】種々の重量比のd-アルファ-トコフェロールポリエチレングリコール-1000琥珀酸エステル(ビタミンE TGPS)、ヒドロキシプロピルセルロース及びセレコキシブナトリウムを含む組成物の37℃での溶解性を示す。
【図10】室温で、賦形剤を含む固体混合物から擬似胃液(SGF)中でのセレコキシブナトリウムの溶解性プロファイルを示す。凡例は、賦形剤及び賦形剤のセレコキシブナトリウムに対する重量比を示す(記載がなければ、1:1)。賦形剤はポリビニルピロリドン(PVP)、ポロキサマー 188(P 188)、ポロキサマー 237 (P237)、 d-アルファ-トコフェロールポリエチレングリコール-1000琥珀酸エステル(ビタミンE TGPS)及び ゲルシア(Gelucire(商標))50/13を含む。
【図11】37℃の擬似胃液(SGF)中のセレコキシブナトリウム、d-アルファ-トコフェロールポリエチレングリコール-1000 琥珀酸エステル(ビタミンE TGPS)及びヒドロキシプロピルセルロース(HPC)の混合物の溶解性におけるアビセル微晶質セルロース及びシリカゲルの効果を示す。凡例は成分の重量比を示す。
【図12】d-アルファ-トコフェールポリエチレングリコール- 1000琥珀エステル(ビタミンE TGPS)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)及びポロキサマー237を含む賦形剤を用いて、5倍に希釈された擬似胃液中でのセレコキシブナトリウム(TPI336Na)の溶解性を示す。凡例は成分の重量比を示す。
【図13A】実施例6の方法により製造されたセレコキシブのナトリウム塩についての粉末X線回析(PXRD)を示す。
【図13B】実施例6の方法により製造されたセレコキシブのナトリウム塩についてのラマンスペクトルを示す。
【図14】セレコキシブリチウム塩MO-116-49Bの示差走査熱量分析を示す。
【図15】セレコキシブリチウム塩MO-116-49Bの熱重量分析を示す。
【図16】セレコキシブリチウム塩MO-116-49Bのラマンスペクトルを示す。
【図17】セレコキシブリチウム塩MO-116-49BのPXRDスペクトルを示す。
【図18】セレコキシブカリウム塩MO-116-49Aの示差走査熱量分析を示す。
【図19】セレコキシブカリウム塩MO-116-49Aの熱重量分析を示す。
【図20】セレコキシブカリウム塩MO-116-49Aのラマンスペクトルを示す。
【図21】セレコキシブカリウム塩MO-116-49AのPXRDスペクトルを示す。
【図22】セレコキシブカリウム塩MO-116-55Dの熱重量分析を示す。
【図23】セレコキシブカリウム塩MO-116-55Dのラマンスペクトルを示す。
【図24】セレコキシブカリウム塩MO-116-55DのPXRDスペクトルを示す。
【図25】セレコキシブカルシウム塩MO-116-62Aの熱重量分析を示す。
【図26】セレコキシブカルシウム塩MO-116-62Aのラマンスペクトルを示す。
【図27】セレコキシブカルシウム塩MO-116-62AのPXRDスペクトルを示す。
【図28】市販のセレコキシブのPXRDスペクトルを示す。
【図29】市販のセレコキシブのラマンスペクトルを示す。
【図30】擬似胃液(SGF)中での賦形剤の機能としてのセレコキシブの結晶化抑制時間を示す。
【図31】選択されたPLURONIC賦形剤の水中での界面張力を示す。
【図32】PLURONIC P123 及びF127を含む組成物からのセレコキシブナトリウム水和物の溶解性を示す。
【図33】HPCの存在下、PLURONIC P123、F127 及びF87からのセレコキシブナトリウム水和物の溶解性を示す。
【図34】PLURONIC F127、HPC及び顆粒流体を用いるセレコキシブナトリウム水和物の溶解性を示す。
【図35】緻密製剤での、PLURONIC F127及びHPCを用いるセレコキシブナトリウム水和物の溶解性を示す。
【図36】本発明による方法を概説するフローチャートを示す。
【図37】自動液体分配器のプレートマップを示す。
【図38】本発明の分析における時間に対する光散乱のトレースを示す。
【図39】セレコキシブナトリウム塩のプロピレングリコール溶媒和物の熱重量分析を示す。
【図40】セレコキシブナトリウム塩のプロピレングリコール溶媒和物のPXRDスペクトルを示す。
【図41】セレコキシブカリウム塩のプロピレングリコール溶媒和物の熱重量分析を示す。
【図42】セレコキシブカリウム塩のプロピレングリコール溶媒和物のPXRDスペクトルを示す。
【図43】セレコキシブリチウム塩のプロピレングリコール溶媒和物の熱重量分析を示す。
【図44】実施例21により製造されるセレコキシブのナトリウム塩プロピレングリコール三水和物の熱重量分析である。
【図45】実施例21aにより製造されるセレコキシブのナトリウム塩プロピレングリコール三水和物の粉末X線回析装置プロットを示す。
【図46】実施例21bにより製造されるセレコキシブのナトリウム塩プロピレングリコール三水和物の熱重量分析を示す。
【図47】実施例21bにより製造されるセレコキシブのナトリウム塩プロピレングリコール三水和物の粉末X線回析装置プロットを示す。
【図48】実施例22により製造されるセレコキシブのナトリウム塩イソプロピルアルコール溶媒和物のDSCトレースを示す。
【図49】実施例22により製造されるセレコキシブのナトリウム塩イソプロピルアルコール溶媒和物の熱重量分析を示し、それは約30℃から約160℃で実施された。
【図50】実施例22により製造されるセレコキシブのイソプロピルアルコール溶媒和物のナトリウム塩の粉末X線回析装置プロットを示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
その最も一般的な観点では、本発明は、例えば、胃液条件で低い水性溶解度を有する活性医薬成分を含む医薬組成物に関する。一般に、本出願に記載の低い水性溶解度は、37℃で測定された場合、10mg/ml以下、好ましくは5mg/ml又は1mg/ml以下の水への溶解度を有する化合物に関する。さらに、「低い水性溶解度」は、37℃で測定された場合、900、800、700、600、500、400、300、200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20μg/ml又はさらに10、5 又は1μg /ml以下として、あるいは、さらに900、800、700、600、500、400、300、200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20もしくは10 ng/ml又は10 ng/ml未満として定義することができる。さらに、水性溶解度は、水の代わりに擬似胃液(SGF)中で測定することもできる。本発明のSGF (希釈されていないもの)は、水に1g/LトリトンX-100及び2 g/L NaClを混合し、最終pHが1.7となる溶液を得るために20mMでpHを調節することにより作られる。
【0040】
また、pHは1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3. 5、4、4.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5又は12として規定されてもよい。0.1 mg/ml以下の溶解度を有する活性医薬成分は、ベンゼンスルホンアミド、特に、上述したこれらピラゾリルベンゼンスルホンアミド等のいずれかのスルホンアミド薬物(Cox−2阻害剤を含む)などであり、本発明に含まれる。ここに開示されたものは、セレコキシブなどのピラゾリルベンゼンスルホンアミドの安定な結晶金属塩及び共結晶である。そのような金属塩には、アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、特にナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム及びマグネシウム塩が含まれる。
【0041】
本発明で使用される沈殿抑制剤は、広範囲の界面活性剤から選択することができる(例えば、図30参照)。実施態様では、非イオン性界面活性剤又はイオン性界面活性剤を含む。本発明の実施態様では、水中で0.1% w/wの濃度として測定された場合、25℃の鉱油と比較して、再結晶化/沈殿抑制剤(例えば、ポリキサマー)の界面張力が10 dyne/cm未満及び/又は水中で0.1% w/wの濃度として測定された場合、再結晶化/沈殿抑制剤(例えば、ポリキサマー)の表面張力が42 dyne/cm未満である。本発明のほかの実施態様では、界面張力が15、14、13、12、11、9、8、7又は6 dyen/cm未満であるか、表面張力が45、44、43、41、40、39、38、37、36又は35 dyne/cm未満である。他の実施態様では、界面活性剤はポロキサマーである。ポロキサマーは、エチレンオキサイド-プロピレンオキサイドのブロック共重合体を含み、好ましくは、構造(PEG)x- (PPG)y- (PEG)zを有する(ここで、x、y及びzは整数であり、xは通常zと等しい)。ポロキサマーの好ましい形態は、「PLURONIC(登録商標)」で示されるBASFから得られるものである。しかし、本発明は、PLURONICシリーズに限定されるものではなく、他の供給先から得られる同様のポリキサマーを用いてもよい。本発明によるPLURONICポロキサマーの例は、PLURONIC L122、PLURONIC P123、PLURONIC F127 (ポロキサマー407)、PLURONIC L72、PLURONIC P105、PLURONIC LP2、PLURONIC P104、PLURONIC F108 (ポロキサマー338)、PLURONIC P103、PLURONIC L44 (ポロキサマー124)、PLURONIC F68 (ポロキサマー188)及びPLURONIC F87 (ポロキサマー237)を含む。特定のポロキサマー及びその対応するPLUROIC、すなわち、一般名及び商品名を、全体にわたって区別なく使用することができる。
【0042】
本発明による医薬組成物の任意の第3成分は、再結晶化/沈殿の抑制増強剤を含む。増強剤は、通常、以下の経口投与のために希釈された場合、低い水性溶解度の薬物の再結晶化又は沈殿の阻害、防止又は少なくとも程度の減少において、再結晶化/沈殿抑制剤の作用を増強することができる化合物である。一つの実施態様では、増強剤は、再結晶化/沈殿抑制剤単独では働かない。他の実施態様では、増強剤は、インビトロにおける再結晶化/沈殿分析においていかなる影響も又は否定的な影響も及ぼさないが、インビトロ又はその部位(in situ)での溶解性の分析において、再結晶化/沈殿抑制剤の作用を増加させる。ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロースエステルは、特に、本発明による有用な増強剤である。セルロースエステルは、そのセルロース骨格の鎖長を変化し、その結果、例えば、20℃の水中で2重量%濃度で測定した場合、その粘度を変化する。より低い粘度は、本発明においては、より高い粘性よりも通常好ましい。本発明の実施態様では、HPC等のセルロースエステルは、水中で2%、約100から約100,000cP又は約1000から約15,000cPの粘度を有する。他の実施態様では、粘度は1,500,000、1,000,000、500,000、100,000、75,000、50,000、35,000、25,000、20,000、17,500、15,000、12,500、11,000、10,500、9,000、8,000、7,000、6,000、5,000、4,000、3,000、2,000、1,000、750、500又は250cP未満であるか、上述の2つの整数から選択された範囲の粘度を有する。
また、増強剤はTmaxを遅延させ及び/又は活性医薬成分濃度が1/2 Tmaxを超える時間を増加させ、したがって、曲線を滑らかにするのに有用である。
【0043】
好ましい増強剤は、活性医薬成分濃度が1/2 Tmaxを超える時間を、25%、50%、75%、100%、3倍以上に増加する。好ましい実施態様では、組成物は、Tmaxへの時間を減少させ、かつ遊離酸より、あるいは塩又は共結晶が遊離酸によって置き換えられる以外同様の組成物においてより、1/2 Tmaxが長く維持される。
【0044】
ここで例示される成分の比a:b:c(活性医薬成分:再結晶化/沈殿抑制剤:増強剤)は、約1:1:1(再結晶化/沈殿抑制剤及び増強剤は+/-0.2)である。しかし、その比は適用に合うように調整することができる。例えば、再結晶化/沈殿抑制剤又は増強剤の量は減らすことが必要であるかもしれないし、錠剤又はカプセル等の組成物の投与形態における賦形剤の量を減らすために最適濃度よりも少なく、減らす必要があるかもしれない。一つの実施態様では、単位投与形態が、100 mlの水又はSGF、500 mlの水又はSGF、あるいは1リットルの水又はSGF中で、その臨界ミセル濃度(CMC)に達するための抑制剤として必要とされる量で又はそれ以上の量で、沈殿抑制の界面活性剤を含む。ポロキサマーは真性ミセルを形成しないかもしれないが、本発明の目的のためのミセルとみなされる類似構造を形成することに注意を要する。
【0045】
さらに、組成物は、医薬的に許容できる希釈剤、賦形剤又は担体を含んでもよく、そのような追加の成分を、以下でさらに詳細に説明する。そのような一つの追加の成分は、ポロキサマー124、PEG 200又はPEG 400等の顆粒化流体を含む。それは、結合又はそれらの一部が溶解することにより、活性医薬成分、再結晶化/沈殿抑制剤及び任意に増強剤の間で、完全な接触を形成する。実施態様では、組成物が少なくとも25%、50%、75%、あるいは殆ど又は完全に溶解しているものを挙げているが、組成物が、固体、半固体又はペースト状で残存することが好ましい。医薬的に許容される液体のいずれも、固体状で塩又は共結晶形の遊離酸への変換を引き起こさないものであれば、使用することができる。いくつかの限定されない例では、メタノール、エタノール、イソプロパノール、より高級なアルコール、プロピレングリコール、エチルカプリル酸エステル、プロピレングリコールラウリン酸エステル、PEG、ジエチルグリコールモノエチルエーテル及びポリソルベート80を含む。顆粒化流体様液が存在することにより、界面活性剤が大量に溶解するまで、活性医薬成分と溶解媒体間との接触をできる限り遅らせて、活性医薬成分の溶解性を増加させる。これにより、再結晶化/沈殿を遅延させる。顆粒化流体様液の使用は、医薬活性成分と再結晶化/沈殿促進剤とが固体の場合に、特に有用である。
【0046】
活性医薬成分の過飽和を増加させるための代替の実施態様として、医薬組成物の製造過程の間に、成分を一緒に圧縮することにより、医薬組成物を圧縮した形態とする。圧縮は、顆粒化流体で行われるのと同様に行われる。沈殿が抑制されること又は曲線を滑らかにすることは、必要であれば、圧縮中に崩壊剤を使用することによって制限することができる。
さらなる実施態様では、活性医薬成分及び結晶化/沈殿抑制剤(及び任意に増強剤)は、混合された場合、ペースト又は非水溶液を形成する。ペーストが利用される場合、成分の粘稠塊が生成されるかもしれず、これは、最初に界面活性剤を溶解させることにより活性医薬成分の溶解を遅らせると考えられる。これにより、活性医薬成分の溶解が促進すると考えられる。
通常、本発明の化合物及び活性医薬成分は、医薬組成物として密接に関係がある。本文脈おいて「密接な関係」とは、例えば、再結晶化/沈殿抑制阻害剤と混合された医薬、抑制剤に包埋又は組み込まれた医薬、医薬粒子のコーティングを形成する化合物又はその逆、ならびに化合物全体にわたって実質的に均一に分散された医薬を含む。
【0047】
本発明のさらなる観点によれば、医薬組成物がCox−2阻害剤を含む場合、疼痛、炎症、、腸又は結腸ポリープ等の癌又は前癌を患っているかもしれない患者を治療する方法が提供される。その方法は、その患者に、ここに記述した医薬組成物を投与することを含む。
医薬組成物は、経口投与用に製剤化されていることが好ましい。本発明の薬物は、治療効果の発現までの時間が増加し、かつバイオアベイラビリティを増加しそうな形態で製造することができる。従って、本発明の医薬組成物は、特にヒト患者への投与に適している。
【0048】
本発明の方法及び組成物は、医薬の溶解度、溶解性及びバイオアベイラビリティの改善に関する。さらに、本発明は、中性状態で遊離酸であるか、あるいは、初めは溶解するが、その後胃液条件で再結晶化する医薬化合物の性状改善に関する。さらなる実施態様では、アミノスルホニル官能基を有する医薬に関する。
【0049】
ここで、用語「アミノスルホニル官能基」は以下の構造
【0050】
【化2】
(式中、波線は、官能基が薬物分子の残部に結合することによる結合を表す;Rは水素、又はさらなる化合物を形成するために、ポリエチレングリコールもしくはポリエチレングリコール分解生成物がRに隣接するアミノ基と反応するための機能を保護する置換基である。)
を有する官能基を示す。
【0051】
そのような置換基の例として、部分的に不飽和であるヘレオシクリル、ヘレオアリール、シクロアルケニル、アリール、アルキルカルボニル、ホルミル、ハロ、アルキル、ハロアルキル、オキソ、シアノ、ニトロ、カルボキシル、フェニル、アルコキシ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、カルボキシアルキル、シアノアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシル、アルコキシアルキルオキシアルキル、ハロアルキルスルホニルオキシ、カルボキシアルコキシアルキル、シクロアルキルアルキル、アルキニル、ヘテロシクリルオキシ、アルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、シクロアルケニル、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールカルボニル、アルキルチオアルキル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アラルケニル、アルコキシアルキル、アリールチオアルキル、アリールオキシアルキル、アラルキルチオアルキル、アラルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アルキルアミノカルボニル、N-アリールアミノカルボニル、N-アルキル-N-アリールアミノカルボニル、アルキルアミノカルボニルアルキル、アルキルアミノ、N-アリールアミノ、N-アラルキルアミノ、N-アルキル-N-アラルキルアミノ、N-アルキル-N-アリールアミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、N-アリールアミノアルキル、N-アラルキルアミンコアルキル、 N-アルキル-N-アラルキルアミノアルキル、N-アルキル-N-アリールアミノアルキル、アリールオキシ、アラルコキシ、アリールチオ、アラルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル等を含む。
【0052】
アミノスルホニルを含む薬物の限定されない例として、エーザイのABT-751 (N-(2-(4-ヒドロキシフェニル)アミノ)-3-ピリジル)4-メトキシベンゼンスルホンアミド);アルピロプライド(alpiropride);アモスラロール(amosulalol);アンプレナビル(amprenavir);アムサクリン(amsacrine);アルガトロバン(argatroban);アスラクリン(asulacrine);アゾセミド、バイエルのBAY-38-4766 (N-[4-[[[5-(ジメチルアミノ)-1-ナフタレニル]スルホニル] アミノ] フェニル]-3-ヒドロキシ-2, 2-ジメチルプロパンアミド);ベンドロフルメサイアザイド;ブリストル・マイヤーズ スクイブのBMS-193884(N- (3, 4-ジメチル-5-イソオキサゾリル)-41- (2-オキサゾリル)- [1, 11-ビフェニル]-2-スルホンアミド);ボセンタン(bosentan);ブメチド(bumetide); セレコキシブ; クロルタリドン;デラビルジン;デラコキシブ(deracoxib);デフェチリド(dofetilide);ドミトロバン(domitroban);ドルゾラミド;ドロネダロン;エーザイのE-7070(N-(3-クロロ-1H-インドール-7-イル)-1,4-ベンゼン-ジスルホンアミド)、シュワルツ ファーマのEF-7412(N-3- [4- [4- (テトラヒドロ-1, 3-ジオキソ-1H-ピローロ[1, 2- c] イミダゾール-2 (3H)-イル) ブチル]-1-ピペラジニル]フェニル]エタンスルホンアミド);フェンキゾン(fenquizone); フロセミド;グリベンクラミド(glibenclamide);グリクラジド(gliclazide);グリメピリド(glimepiride);グリペンチド(glipentide);グリピジド(glipizide);グリキドン(gliquidone);グリソラミド(glisolamide);グラクソ スミスクラインのGW-8510 (4-[[6, 7-ジヒドロ-7-オキソ-8H-ピローロ [2,3- g] ベンゾチアゾール-8-イルイデン)メチル]アミノ]-N-2-ピリジニルベンゼンスルホンアミド)、アイバックのGYKI-16638 (N-[4-[2-[[2-(2, 6-ジメトキシフェノキシ)-1-メチルエチル] メチルアミノ] エチル]フェニル]メタンスルホンアミド);アベンティスのHMR-1098(5-クロロ-2-メトキシ-N-[2-[4-メトキシ-3[[[(メチルアミノ)チオキソメチル]アミノ]スルホニル]フェニル]エチル]ベンズアミド);ヒドロクロロチアジド; イブチリド(ibutilide);インダパミド;イシハラのIS-741(N-[2-[(エチルスルホニル)アミノ]-5-(トリフルオロメチル)-3-ピリジニル]シクロヘキサンカルボキシアミド);日本たばこのJTE-522(4-(4-シクロヘキシル)2-メチル-5-オキサゾリル)-2-フルオロベンゼンスルホンアミド);中外のKCB-328(N-[3-アミノ-4-[2-[[2-3, 4-ジメトキシフェニル) エチル]メチルアミノ]エトキシ]フェニル]メタンスルホンアミド);コトブキのKT2-962(3-[4-[[(4-クロロフェニル)スルホニル]アミノ]ブチル]-6-(1-メチルエチル)-1-スルホン酸アズレン);レボスルピリド(levosulpiride);イーライリリーのLY-295501(N-[[(3, 4-ジクロロフェニル) アミノ] カルボニル]-2, 3-ジヒドロ-5-ベンゾフランスルホンアミド)及びLY-404187 (N-2-(4-(4-シアノフェニル)フェニル)プロピル-2-プロパンスルホンアミド);メトラゾン;ナラトリプタン;ニメスリド;ニッポンのNS-49((R)-N-[3- (2-アミノ-1-ヒドロキシエチル)-4-フルオロフェニル] メタンスルホンアミド);オノのONO-8711((5Z)-6-[(2R,3S)-3-[[[(4-クロロ-2-メチルフェニル) スルホニル] アミノ]メチル]ビサイクロ[2.2. 2]オクト-2-イル]-5-ヘキセン酸);ピレタニド;ファルマシアのPNU-103657(1-[5-メタンスルホンアミドインドール-2-イルカルボニル]-4-(N-メチル-N-(3-(2-メチルプロピル)-2-ピリジニル)アミノ)ピペリジン);ポリチアジド;ラマトロバン;ホフマンラロシュのRO-61-1790(N- [6-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-(2-メトキシフェノキシ)-2-[2-(1H-テトラゾール-5-イル)-4-ピリジニル]-4-ピリミジニル]-5-メチル-2-ピリジンスルホンアミド);アベンティスのRPR-130737 (4-ヒドロキシ-3- [2-オキソ-3(S)-[5-(3-ピリジル)チオフェン-2-イルスルホンアミド]ピロリジン-1-イルメチル]ベンズアミド)及びRPR-208707;サーバーのS-18886 (3-[(6-(4-クロロフェニルスルホニルアミノ)-2-メチル-5, 6,7,8-テトラヒドロナフト]-1-イル)プロピオン酸)及びS-32080 (3- [6- (4-クロロフェニルスルホニルアミド)-2-プロピル-3- (3ピリジル-メチル)-5, 6,7,8- テトラヒドロナフタレン-1-イル]プロピオン酸);カケンのS-36496(2-スルホニル-[N- (4-クロロフェニル)スルホニルアミノ-ブチル-N-[(4-シクロブチルチアゾール-2-イル)エテニルフェニル-3-イル-メチル] ] アミノ安息香酸);サンパトリラット;グラクソスミスクラインのSB-203208(L-フェニルアラニン, b-メチル-, (4aR, 6S, 7R, 7aS)-4-(アミノカルボニル)-7-[[[[[(2S, 3S)-2-アミノ-3- メチル-1-オキソペンチル]アミノ]スルホニル]アセチル]アミノ]-7-カルボキシ-2, 4a, 5,6, 7, 7a-ヘキサヒドロ-2- メチル-1H-シクロペンタ[c] ピリジン-6イル エステル, (bS) -) ;ディポンのSE-170(2-(5-アミジノ-1H-インドール-3-イル)N- [2'- (アミノスルホニル)-3-ブロモ(1, 1'ビフェニル)-4-イル] アセトアミド);シベレスタット; センジュのSJA- 6017(N- (4-フルオロフェニルスルホニル)-L-バリル-L-ロイシナール);スミトモのSM-19712(4-クロロ-N-[[(4-シアノ-3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ]カルボニル]ベンゼンスルホンアミド);ソネピプラゾール(sonepiprazole);ソタロール(sotalol);スルファジアジン;スルファグアノール;スルファサラジン;スルプライド(sulpride);スルプロストン;スマトリプタン;トヤマのT-614(N-[3-(ホルミルアミノ)- 4-オキソ-6-フェノキシ-4H-1-ベンゾピラン-7-イル]-メタンスルホンアミド) ; ツラリック(Tularik)のT-138067 (2,3,4,5,6- ペンタフルオロ-N- (3-フルオロ-4-メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド)及びT-900607(2,3,4,5,6-ペンタフルオロ-N-3-ウレイド-4-メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド); タケダのTAK-661 (2,2-ジメチル-3-[[7-(1-メチルエチル)[1,2,4]トリアゾール[1,5-b]ピリダジン-6-イル]オキシ]-1-プロパンスルホンアミド);タムスロシン;テゾセンタン(tezosentan);チプラナビル(tipranavir);チロフィバン(tirofiban);トラセミド(torasemide);トリクロロメジアジド;トリパミド;バルデコキシブ(valdecoxib);ベラリプライド(veralipride);キシパミド(xipamide);ゼリアのZ-335(2-[2-(4-クロロフェニルスルホニルアミノメチル)インダン-5-イル] 酢酸);ザフィルルカスト(zafirlukast);ゾニサミド(zonisamide); 及びそれらの塩を含む。
【0053】
好ましい実施態様では、アミノスルホニル含有薬物は、低い水溶解度の選択的COX−2阻害剤である。適当な選択的COX−2阻害剤は、以下の式(IV):
【0054】
【化3】
(式中、Aは、一部不飽和又は不飽和ヘテロシクリル及び一部不飽和又は不飽和環式環から選択される置換基であり、好ましくは、ピラゾリル、フラノイル、イソオキサゾリル、ピリジニル、シクロペンテノニル及びピリダジノニル基から選択されるヘテロシクリル基;
XはO、S又はCH2であり;
nは0又は1であり;
R1は、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル及びアリールから選択される少なくとも1つの置換基であり、任意に、置換可能な位置において、アルキル、ハロアルキル、シアノ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ニトロ、アルコキシアルキル、アルキルスフィニル、ハロ、アルコキシ及びアルキルチオから選択される1以上の基で置換されていてもよい;
R2はNH2基であり;
R3は、ヒドリド、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、オキソ、シアノ、カルボキシル、シアノアルキル、ヘテロシクリルオキシ、アルキルオキシ、アルキチオ、アルキルカルボニル、シクロアルキル、アリール、ハロアルキル、ヘテロシクリル、シクロアルケニル、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、アシル、アルキルチオアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アラルケニル、アルコキシアルキル、アリールチオアルキル、アリールオキシアルキル、アラルキルチオアルキル、アラルコキシアルキル、アルコキシアラルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アルキルアミノカルボニル、N-アリールアミノカルボニル、N-アルキル-N-アリールアミノカルボニル、アルキルアミノカルボニルアルキル、カルボキシアルキル、アルキルアミノ、N-アリールアミノ、N-アラルキルアミノ、N-アルキル-N-アラルキルアミノ、N-アルキル-N-アリールアミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、N-アリールアミノアルキル、N-アラルキルアミノアルキル、N-アルキル-N-アラルキルアミノアルキル、N-アルキル-N-アリールアミノアルキル、アリールオキシ、アラルコキシ、アリールチオ、アラルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アミノスルホニル、アルキルアミノスルホニル、N-アリールアミノスルホニル、アリールスルホニル及びN-アルキル-N-アリールアミノスルホニルから選択される1以上の基であり、R3は、任意に、置換可能な位置で、アルキル、ハロアルキル、シアノ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ニトロ、アルコキシアルキル、アルキルスルフィニル、ハロ、アルコキシ及びアルキルチオから選択される1以上の基で置換されていてもよく;及び
R4はヒドリド及びハロから選択される。)
の化合物である。
【0055】
特に、適当な選択的COX−2阻害剤は、式(V):
【0056】
【化4】
(式中、R4は水素又はC1-4アルキルもしくはアルコキシ基であり、
Xは、N又はCR5(R5は水素又はハロゲン)であり、
Y及びZは、別々に、オキソ、ハロ、メチル又はハロメチル基で1以上の位置において置換された、あるいは置換されていない5から6員環の隣接原子を規定する炭素又は窒素原子である。)
を有する化合物である。
【0057】
例として、本発明の組成物はセレコキシブ、デラコキシブ、バルデコキシブ及びJTE-522に適しており、さらにセレコキシブ、パラコキシブ、バルデコキシブに適している。他の適当な組成物の例はアセタゾールアミドCAS登録番号:59-66-5、アセトヘキサミドCAS登録番号:968-81-0、アルピロプライドCAS登録番号:81982-32-3、アルシアザイド(Althiazide)CAS登録番号:5588-16-9、アンブサイドCAS登録番号:3754-19-6、アミデフリンCAS登録番号:3354-67-4、アモスアラロールCAS登録番号:85320-68-9、アムサクリンCAS登録番号:51264-14-3、アルガトロバンCAS登録番号:74863-84-6、アゾセミドCAS登録番号:27589-33-9、ベンドロフルメチアジドCAS登録番号:73-48-3、ベンズチアジドCAS登録番号:91-33-8、ベンジルヒドロクロロチアジドCAS登録番号:1824-50- 6、p-(ベンジルスルホンアミド) 安息香酸CAS登録番号:536-95-8、ボセンタンCAS登録番号:147536-97-8、ブリンゾラミドCAS登録番号:138890-62-7、ブメタニドCAS登録番号:28395-03-1、ブタゾラミドCAS登録番号:16790-49-1、ブチアジドCAS 登録番号:2043-38-1、カルブタミドCAS登録番号:339-43-5、セレコキシブ CAS登録番号:169590-42-5、クロルアミノフェナミドCAS登録番号:121-30-2、クロロチアジドCAS 登録番号:58-94-6、クロルプロパミドCAS登録番号:94-20-2、クロルタリドンCAS登録番号:77-36-1、クロフェナミドCAS登録番号:671-95-4、クロパミドCAS登録番号:636-54-4、クロレキソロンCAS登録番号:2127-01-7、シクロペンチアジドCAS登録番号:742-20-1、シクロチアジドCAS登録番号:2259-96-3、ダルトロバンCAS登録番号: 79094-20-5、デラビルジンCAS登録番号:136817-59-9、ジアゾキシドCAS登録番号: 364-98-7、ジクロルフェナミドCAS登録番号:120-97-8、ジスルファミドCAS登録番号:671-88-5、ドフェチリドCAS登録番号:115256-11-6、ドミトロバンCAS登録番号:112966-96-8、ドルゾカミドCAS登録番号:120279-96-1、エチアジドCAS登録番号:1824-58-4、エトキシゾールアミドCAS登録番号:452-35-7、フェンキゾンCAS登録番号:20287-37-0、フルメチアジドCAS 登録番号:148-56-1、N2-ホルミルスルフィゾミジンCAS登録番号:795-13-1、フロセミドCAS登録番号:54-31-9、グリボルヌリドCAS登録番号: 26944-48-9、グリクラジドCAS 登録番号:21187-98-4、グリメピリドCAS登録番号:93479-97-1、グリピジドCAS登録番号:29094-61-9、グリキドンCAS登録番号:33342-05-1、グリソキセピドCAS登録番号:25046-79-1、N4-El-D-クルコシルスルファニルアミドCAS登録番号:53274-53-6、グリブライドCAS登録番号:10238-21-8、グリクチアゾールCAS登録番号: 535-65-9、グリブゾールCAS登録番号: 1492-02-0、グリヘキサミドCAS登録番号:451-71-8、グリミジンCAS登録番号:339-44-6、グリピナミドCAS登録番号:1228-19-9、ヒドロクロロチアジドCAS登録番号:58-93-5、ヒドロフルメチアジドCAS 登録番号:135-09-1、イブチリドCAS登録番号:122647-31-8、インダパミドCAS登録番号:26807-65-8、メフェニドCAS登録番号:138-39-6、メフルシドCAS登録番号:7195-27-9、メタゾラミドCAS登録番号:554-57-4、メチクロチアジドCAS登録番号:135-07-9、メトラゾンCAS登録番号:17560-51-9、ラナトリプタンCAS登録番号:121679-13-8、ニメスキドCAS登録番号:51803-78-2、ノプリルスルファミドCAS登録番号:576-97-6、パラフルチジドCAS登録番号:1580-83-2、フェンブタミドCAS 登録番号:3149-00-6、フェノスルファゾールCAS登録番号:515-54-8、フタリルスルファセタミドCAS登録番号:131-69-1、フタリルスルファチアゾールCAS登録番号:85-73-4、スルファセタミドCAS登録番号:144-80-9、スルファクロルピリダジンCAS登録番号:80-32-0、スルファクリソイジンCAS登録番号:485-41-6、スルファシチンCAS登録番号:17784-12-2、スルファジアジンCAS登録番号:68-35-9、スルファジクラミドCAS登録番号:115-68-4、スルファジメトキシンCAS登録番号:122-11-2、スルファドキシンCAS登録番号:2447-57-6、ピレタニドCAS登録番号:55837-27-9、ポリチアジドCAS登録番号:346-18-9、キネタゾンCAS登録番号:73-49-4、ラマトロバンCAS登録番号:116649-85-5、サラゾスルファジミジンCAS登録番号:2315-08-4、サンパトリラットCAS登録番号:129981-36-8、セマチリドCAS登録番号:101526-83-4、シベレスタットCAS登録番号:127373-66-4、ソタロールCAS登録番号:3930-20-9、ソテレノールCAS登録番号:13642-52-9、スクシニルスルファチアゾールCAS登録番号:116-43-8、スクロフェニドCAS登録番号:30279-49-3、スルファベンズアミドCAS 登録番号:127-71-9、スルファエチドールCAS登録番号:94-19-9、スルファグアノールCAS登録番号:27031-08-9、スルファレンCAS登録番号:152-47-6、スルファロキシ酸CAS登録番号:14376-16-0、スルファメラジンCAS登録番号:127-79-7、スルファメーテルCAS登録番号:651-06-9、スルファメタジンCAS登録番号:57-68-1、スルファメチゾールCAS 登録番号:144-82-1、スルファメトミジンCAS登録番号:3772-76-7、スルファメトキサゾールCAS登録番号:723-46-6、スルファメトキシピリダジンCAS登録番号:80-35-3、スルファメトロールCAS登録番号:32909-92-5、スルファミドクリソイジンCAS 登録番号:103-12-8、スルファモキソールCAS登録番号:729-99-7、スルファニラミドCAS登録番号:63-74-1、4-スルファニラミドサリシリックアシッドCAS登録番号:6202-21-7、N4-スルファニリルスルファニルアミドCAS 登録番号:547-52-4、スルファニリルウレアCAS登録番号:547-44-4、N-スルファニリル-3, 4-キシルアミドCAS登録番号:120-34-3、スルファペリンCAS 登録番号:599-88-2、スルファフェナゾールCAS登録番号:526-08-9、スルファプロキシリンCAS 登録番号:116-42-7、スルファピラジンCAS 登録番号:116-44-9、スルファピリジンCAS登録番号:144-83-2、スルファシドCAS登録番号:1134-98-1、スルファサラジンCAS登録番号:599-79-1、スルファソミゾールCAS登録番号:632-00-8、スルファシマジンCAS登録番号:1984-94-7、スルファチアゾールCAS登録番号:72-14-0、スルファチオウレアCAS登録番号:515-49-1、スルフィソミジンCAS登録番号:515-64-0、スルフィソキサゾールCAS登録番号:127-69-5、スルピライドCAS登録番号:15676-16-1、スルプロストンCAS登録番号:60325-46-4、スルチアメCAS登録番号:61-56-3、スマトリプタンCAS登録番号:103628-46-2、タムスロシンCAS登録番号:106133-20-4、タウロリジンCAS登録番号:19388-87-5、テクロチアジドCAS登録番号:4267-05-4、テベネル(登録商標)CAS登録番号:4302-95-8、チロフィバンCAS登録番号:144494-65-5、トラザミドCAS登録番号:1156-19-0、トルブタミドCAS登録番号:64-77-7、トルシクラミドCAS登録番号:664-95-9、トルセミドCAS登録番号:56211-40-6、トリクロルメチアジドCAS登録番号:133-67-5、トリパミドCAS登録番号:73803-48-2、ベラリプライドCAS登録番号:66644-81-3、キシパミドCAS登録番号:14293-44-8、ザフィルルカストCAS登録番号:107753-78-6、ゾニサミドCAS登録番号:68291-97-4を含む。
【0058】
特に好ましい実施態様では、本発明の医薬組成物は、セレコキシブの塩(例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム又はカルシウム塩)を含む。その塩は現在市販されている中性セレコキシブより、極めて水溶性であるかもしれない。セレコキシブのpKa(約11)が高いために、塩は強い塩基性条件下でのみ形成される。一般的に、セレコキシブをその塩の形態に変換するため、塩基約1当量以上が必要とされる。セレコキシブを塩に変換するための適当な水溶液は、pH約11.0以上、約11.5以上、約12以上、約13以上を有している。一般的に、そのような溶液のpHは約12から約13である。セレコキシブは好ましい実施態様ではあるが、本発明は9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5又は13より大きいpKaを有した他の医薬を含む。その薬物は、通常、中和形態であるか、塩の形態がすでに存在してもよい。
【0059】
セレコキシブなどの医薬の塩は、その医薬と許容される塩基との反応によって形成される。許容される塩基は、限定されないが、金属水酸化物及びアルコキシドを含む。金属は、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウム)、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム)、亜鉛、アルミニウム、ビスマスを含む。アルコキシドは、メトキシド、エトキシド、n-プロポキシド、イソプロポキシド及びt-ブトキシドを含む。さらなる塩基は、アルギニン、プロカイン及び炭素−アルカリ金属結合(例えば、t-ブチルリチウム)を有する化合物とともに、十分高いpKa=s(例えば、約11より大きいpKa=s、約11.5より大きいpKa=s又は約12より大きいpKa=s)を有するアミノ又はグアニジニン部分を備える他の分子が含まれる。水酸化ナトリウム及び水酸化エトキシドは好ましい塩基である。塩を形成するのに使用される塩基の量は、医薬に対して、一般に、約1当量以上、約2当量以上、約3当量以上、約4当量以上、約5当量以上、約10当量以上である。好ましくは、1以上の塩基の約3から約5当量が塩を形成するために薬剤と反応する。
【0060】
医薬の塩は、金属交換反応又は第1の医薬の塩のカチオンを置換する他の方法によって、第2の医薬の塩に変換することができる。一つの例では、医薬のナトリウム塩を調製し、続いて、アルカリ性土類ハライド(例えば、MgBr2、MgCl2、CaCl2、CaBr2)、アルカリ性土類硫酸塩又は硝酸塩(Mg(N03)2、Mg(SO4)2、Ca(N03)2、Ca(SO4)2)、あるいは有機酸のアルカリ性金属塩(例えば、ギ酸カルシウム、ギ酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、プロピオン酸カルシウム、プロピオン酸マグネシウム)等の第2塩と反応させて、医薬のアルカリ土類金属塩を形成する。
【0061】
本発明の好ましい実施態様では、医薬の塩は実質的に純粋である。実質的に純粋な塩は、約80%よりも純粋、約85%よりも純粋、約90%よりも純粋、約95%よりも純粋、約98%よりも純粋又は約99%よりも純粋とすることができる。塩の純度は、塩の量(逆に、未反応の中性の医薬又は塩基)を基準にして判断することができ、あるいは塩の特定の多形、共結晶、溶媒和物、脱溶媒和、水和物、脱水和物、無水物の形態を基準として判断することができる。
【0062】
ここに記載される医薬の塩は、現在市販されている中性のセレコキシブなどの現存する中性の形態よりも、かなりの水溶性有しているかもしれない。一般的に、ファイザー・インク及びG.D.Searle & Co.(製薬会社)により市販されているセレコキシブなどの中性の形態より、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍又は少なくとも約100倍以上、水又は擬似胃液で溶解しやすい。このことは、Physicians Desk Referenceの2002年版(p2676-2680及び2780-2784)に記載されている (また、現在市販されているセレコキシブとしてここに示されている)。溶解度は、塩が単独で試験されたかどうか、又は本発明の再結晶化/沈殿抑制剤及び増強剤をさらに含む形態として試験されたかに依存する。
【0063】
一般に、水性又は一部水性である溶液(例えば、1以上の極性有機溶媒が共溶媒であるようなもの)に溶解した後、その塩は、酸によって又は二酸化炭素のような油溶性ガスによって中和することができる。一般に、そのような溶液のpHは11以下、10以下、9以下である。塩の中和は、中性のセレコキシブの非晶質又は準安定結晶形の沈殿を生じる。一般に、医薬の塩の中和は、負に電荷されたアニオンの大部分をプロトン化することを含む。セレコキシブに関しては、プロトン化は、非晶質及び/又は準安定結晶のセレコキシブを形成し、それは「中和」である(すなわち、大部分は変化しない)。好ましくは、中性の医薬(セレコキシブ等の非晶質及び/又は準安定結晶形を含む)は10モル%以下で荷電分子を含む。例えば、約pH2(例えば、おおよそ胃内のpH)で、セレコキシブのナトリウム塩の溶液は、中性のセレコキシブの非晶質形として、即座に沈殿する。非晶質形は、中性準安定結晶形に変換し、それはその後、中性セレコキシブの安定した、針様の不溶性形態になる。例えば、本発明の塩から形成された非晶質の中性セレコキシブ(例えば、実施例1のナトリウム塩)は、約5から約10分間かけて、準安定結晶の中性セレコキシブに変換する。非晶質の中性セレコキシブは、より早く同じものに変換する。非晶質の中性セレコキシブは規則的な結晶構造の欠乏によって特徴付けることができ、一方、準安定中性セレコキシブは、単離された物質のPXRDパターンにより一般に結晶の中性セレコキシブと区別することができる。
【0064】
中性セレコキシブの非晶質及び準安定結晶形は、中性セレコキシブの安定した結晶形よりも、より溶解しやすく、より容易に患者に吸収される傾向にある。というのは、薬物の分子が安定な結晶から離脱するために必要とされるエネルギーが、同じ薬物の分子が無結晶、非晶系形又は準安定形から離脱するために必要なエネルギーよりも大きいからである。しかし、中性の非晶質及び中性準安定結晶形の不安定状態が、それらを医薬組成物として製剤化することを困難にする。米国公開第2002/0006951号に記載されるように(その内容全体を参照として、ここに組み込む)、ポリマーのように、結晶化阻害剤によって安定化されることなく、非晶質及び準安定結晶の中性セレコキシブは、遊離の中性セレコキシブの安定な、不溶性の結晶形に転換して戻る。これらの内容は不完全であり、本発明と少しかけ離れているが、我々は、非常に優れた製剤を、塩又は共結晶、再結晶化/沈殿抑制剤及び任意に増強剤を組み合わせることによって作ることができることを意外にも見出した。他のものがセレコキシブの最初の可溶化に焦点を当てている一方、本発明は、薬物の溶解性と再結晶化/沈殿とを等しく考慮している(例えば、WO 02/10237号6及びWO 01/78724号参照)。さらに、現在まで、セレコキシブの塩ならびにその溶解性及び再結晶化/沈殿における生体の役割について開示されたことはない。さらに、再結晶化/沈殿抑制剤への増強剤の添加が言及されたこともない。
【0065】
本発明のさらなる観点は、本発明の化合物の液状製剤(例えば、セレコキシブ)に関する。これらの観点では、薬物は沈殿抑制剤とともに、あるいは可溶化剤又は溶媒とともに直接、可溶化される。好ましい可溶化剤は、ポリエチレンオキサイドである。さらに好ましくは、ポリエチレンオキサイドが界面活性剤である。好ましいエチレンオキサイドは、官能基−(C2H4O)−(n>2である)を含む。他の好ましいポリエチレンオキサイドは、一般式
HO (C2H4O)a(C3H6O)b(C2H4O)aH
(式中、a≧2であるか、a≧3であるか、a≧2でかつb≧30であるか、a≧2でかつb≧4であるか、a≧2でかつb≧50であるか、a≧2でb≧60である。)
である。
【0066】
活性医薬成分(セレコキシブ)を含むアミノスルホニル基は、少なくとも2つの酸素原子を含む分子(例えば、エテール基)と共に、沈殿抑制剤による再結晶化抑制剤に関係する物理的相互作用を試験するために、結晶化された。これらの結果から、本発明の一つの観点では、沈殿抑制剤化合物、好ましくは界面活性剤は、以下の物理的性質又は特徴を有する:抑制剤分子は少なくとも1つ、好ましくは2つ、10、 25、40、50、60、80、100以上の官能相互作用基を含む(ここで、官能相互作用基は、2つの酸素原子を含み、その2つの酸素原子はそれぞれ活性医薬成分と相互作用(例えば、水素結合)している)。好ましくは、2つの酸素原子が活性医薬成分のアミノスルホニル基と相互作用していることである。好ましくは、アミノスルホニル基が−SO2NH2であることである。2つの相互作用する酸素原子は、好ましくは約3.6オングストロームから約5. 8オングストローム、約3.9 オングストロームから約5.5オングストローム、4.3から約5.2オングストローム、4.6から約5.0オングストローム又は約4.7から約4.9 オングストローム隔離されている。1つの実施態様では、2つの酸素原子が少なくとも3つの原子で隔離されている。他の実施態様では、2つの酸素原子が5つの原子によって隔離されている。5つの原子による隔離についての1つの実施態様では、2つの酸素原子が4つの炭素と1つの酸素原子により隔離されている。5つの原子による隔離について、より詳細な実施態様では、5つの原子の順番が−C−C−O−C−C−である。ここで、官能相互作用基(2つの相互作用酸素原子を含む)の1単位は、−O−C−C−O−C−C−O−である。
【0067】
また、グリコールエ−テルは、中性の可溶化剤としても使用することができ、又はセレコキシブのほかの形態は、式:
R1−O−((CH2)mO)n−R2 (VII)
【0068】
(式中、R1 及びR2は、独立して、水素又はC1-6アルキル、C1-6アルケニル、フェニル又はベンジル基であるが、R1 及びR2の1以上が水素である;
mは2から約5の整数である;
nは1から約20の整数である。)
に対応するものを含む。R1 及びR2の1つがC1-4アルキル基で、他が水素又はC1-4アルキル基であることが好ましく、より好ましくは、少なくともR1 及びR2の1つがメチル又はエチル基である。mは2であることが好ましい。nは1から約4の整数であることが好ましく、さらに好ましくは2である。また、上記式のこれらを含むグリコールエテールは、特に本発明から除外することもできる。好ましくは、グリコールエテールは界面活性剤である。
【0069】
本発明の組成物は、任意に1以上の医薬的に許容することができる共溶媒を含んでもよい。本発明の組成物の使用に適した共溶媒の限定されない例としては、上述したいずれかのグリコールエテール;アルコール、例えば、エタノール及びn-ブタノール;上述されていないグリコールを含む。
セレコキシブは、それらの安定性のために、塩が好ましい。従って、医薬組成物として製剤化することができ、患者への投与まで保存することができる。溶解及びその後の中和の後に限り、セレコキシブ塩は沈殿し、又は実質的に非晶質で中性に変換され、その後、実質的に準安定結晶の中性形態に変換する。好ましくは、セレコキシブ塩の溶解及び中和は、患者の胃腸の管内(例えば、胃、十二指腸、回腸)のその場で起こるので、最大量の非晶質及び/又は準安定結晶の中性セレコキシブが、投与前よりもむしろ、投与後に存在する(例えば、インビボで)。
【0070】
溶解性の調節
本発明の別の観点では、活性医薬成分の溶解プロファイルを調節し、よって、水性溶解速度、又は擬似胃液もしくは擬似腸液中での、あるいは単一溶媒もしくは複数溶媒中での溶解速度を増減する。溶解速度は、活性医薬成分の固体が溶解媒体中に溶解する速度である。吸収速度が溶解速度よりも速い活性医薬成分(例えば、ステロイド)では、吸収過程での速度制限工程が、しばしば溶解速度である。吸収部位での残留時間が制限されているために、腸吸収部位から移される前に溶解しない活性医薬成分は役に立たないとみなす。従って、溶解速度は、溶解性の乏しい活性医薬成分のふるまいに重大な影響を与える。この因子のために、固体投与型での活性医薬成分の溶解速度が、活性医薬成分の製造工程で使用される、重要な、慣例的な、品質制御因子となる。
【0071】
溶解速度=KS(Cs−C)
(式中、Kは溶解速度定数、Sは表面積、Csは見かけの溶解度、Cは溶解媒体中での活性医薬成分の濃度である。)早い活性医薬成分の吸収は、Cs-CがCsとほぼ等しい。
活性医薬成分の溶解速度は、当該分野で公知の方法によって測定することができる。
【0072】
本発明の組成物の溶解速度の増加は、中性遊離塩基に比較して、同じ溶液中で遊離形態よりも10、20、30、40、50、60、70、80、90又は100%、あるいは2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、500、1000、10,000又は100,000倍大きいなどと規定してもよい。溶解速度を測定する際の条件は、上述したのと同様である。溶解の増大は、さらに、組成物が過飽和で残存する時間によって規定してもよい。
【0073】
上記実施の形態の例おいては、37℃、pH7.0で、中性遊離形に対して少なくとも5倍増加した組成物、中性遊離形に対してSGFでの溶解速度が少なくとも5倍増加した組成物、中性遊離形に対してSIFでの溶解速度が少なくとも5倍増加した組成物を含む。
【0074】
本発明は、セレコキシブ又は他の活性医薬成分の溶液中に残る時間の長さが、ここに記載されるように、再結晶化/沈殿抑制剤、通常界面活性剤(例えば、ポロキサマー、TPGS、SDS等)及び任意に増強剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)の存在とともに塩又は共結晶形を使用することにより、驚くべき高い程度に増加させることができることを示す。これらの剤が存在することにより、活性医薬成分の過飽和溶液を形成することができ、高濃度の活性医薬成分を、長時間溶液中に残存させるであろう。これらの成分が存在しても、ポリエチルグリコール及びポリオキシエチレンソルビタンエステル等のさらなる界面活性剤を含む、他のさらなる剤の存在を排除するものではない。また、他の適当な界面活性剤がさらに存在してもよく、これらはここに挙げられる。
【0075】
さらに、ポリビニルピロリドン等の沈殿速度を緩和するであろうさらなる剤を排除するものではない。例えば、中性遊離セレコキシブは、1μg/ml未満の水に溶解性を有し、相当時間、過飽和溶液として維持することができない。本発明では、所定時間(例えば、15、30、45、60分間以上)、2、3、5、7、10、20、30、40、50、60、70、80、90又は100%の濃度で過飽和溶液として維持することができ、又は同一溶液における(例えば、水又はSGF)中性遊離形の溶解度よりも3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、500、1000、10,000又は100,000倍以上大きな溶解度を維持することができる組成物を得ている。
【0076】
再結晶化/沈殿阻害剤又は増強剤の量は、それぞれ又は共に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80又は90w/w%未満である(再結晶化/沈殿阻害剤又は増強剤/医薬)。また、再結晶化/沈殿阻害剤又は増強剤のいずれか、あるいは双方のw/w%は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80又は90のいずれか2つの整数により表された範囲であってもよい。
【0077】
本発明のセレコキシブ塩は、一般に、少なくとも約1週間、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、湿気のない室温で安定である(つまり、セレコキシブ塩の90%より多くが組成物又は結晶構造において変化しない)。室温は、一般に、約15℃から約30℃の範囲である。ここで規定するように、湿気がないとは、液体、特に水又はアルコールの接触量ではなくセレコキシブ塩について言及する。本発明の目的のため、水蒸気等のガスは湿気とみなさない。
【0078】
本発明の組成物は、活性医薬成分及び活性医薬成分を含む製剤を包含し、医薬的な使用のために、適当な安定を示す。好ましくは、活性医薬成分又は本発明のそれらの製剤は安定しているので、2年間30℃で貯蔵されたとき、0.2%未満で分解物が形成される。用語「分解物」は、ここで、単一タイプの化学反応の生成物を示す。例えば、1つの分子を2つに分割する加水分解事象が起こった場合、本願の目的のために、単一の分解物とみなされるであろう。より好ましくは、2年間40℃で貯蔵されたとき、0.2%未満で分解物が形成される。あるいは、3ヶ月間30℃で貯蔵されたとき、0.2 %又は0.15%又は0.1%未満で、いずれか1つの分解物が形成され、あるいは3ヶ月間40℃で貯蔵されたとき、0.2 %又は0.15%又は0.1%未満で、いずれか1つの分解物が形成される。あるいは、さらに4週間60℃で貯蔵されたとき、0.2 %又は0.15%未満又は0.1%未満で、いずれか1つの分解物が形成される。相対湿度(RH)は、大気(RH)、75% (RH)又は1から99%の間のいずれかの単一の整数で特定することができる。
【0079】
バイオアベイラビリティ調節
本発明の方法は、天然型遊離形と比較して、高い溶解度、溶解性及びバイオアベイラビリティ及びAUC、小さいTmaxへの時間、ピーク血清レベルに到達するまでの時間、ならびにより高いCmax、最高血清濃度を有する医薬的な活性医薬成分の製剤を形成するために用いられる。
【0080】
AUCは活性医薬成分投与後の時間に対する活性医薬成分の血漿濃度のプロット(濃度のロガリズムではない)下の面積である。その面積は、「台形法則」によって適切に測定され、データポイントは直線区分によってつなぎ合わせられ、各データポイントに垂線が横座標から立てられ、そのように構成された三角形及び台形の面積の合計が算出される。最終の測定濃度(Cn、tn時において)がゼロでなければ、tn時から無限時までのAUCはCn/kelによって推算される。
【0081】
AUCは、活性医薬成分のバイオアベイラビリティの見積もり及び活性医薬成分の総クリアランス(ClT)の見積もりに用いられる。以下の単回静脈内投与では、一次消失力学に従う単一区画システムでAUC=D/ClT、あるいは、AUC=C0/kelである。静脈以外の経路では、そのようなシステムで、AUC=F・D/ClTであり、ここで、Fは活性医薬成分のアベイラビリティである。
【0082】
このように、さらなる観点では、本発明は、正常で有効な用量範囲において投与された際の活性医薬成分のバイオアベイラビリティの調節方法を提供し、よって、AUCが増加し、Tmaxへの時間が減少し、あるいはCmaxが増加する。この方法は、
(1)活性医薬成分の塩又は共結晶を形成し、
(2)その塩又は共結晶と沈殿抑制剤及び任意に増強剤とを組み合わせることを含む。
【0083】
上記実施の形態の例においては、天然遊離形に比較してTmaxへの時間が少なくとも10%減少する組成物、遊離型に比較してTmaxへの時間が少なくとも20%減少する組成物、遊離型に比較してTmaxへの時間が少なくとも40%減少する組成物、遊離型に比較してTmaxへの時間が少なくとも50%減少する組成物、遊離型に比較してTmaxへの時間が少なくとも60%減少する組成物、遊離型に比較してTmaxへの時間が少なくとも70%減少する組成物、遊離型に比較してTmaxへの時間が少なくとも80%減少する組成物、遊離型に比較してCmaxが少なくとも20%増加する組成物、遊離型に比較してCmaxが少なくとも30%増加する組成物、遊離型に比較してCmaxが少なくとも40%増加する組成物、遊離型に比較してCmaxが少なくとも50%増加する組成物、遊離形に比較してCmaxが少なくとも60%増加する組成物、遊離形に比較してCmaxが少なくとも70%増加する組成物、遊離形に比較してCmaxが少なくとも80%増加する組成物、遊離形に比較してAUCが少なくとも10%増加する組成物、遊離形に比較してAUCが少なくとも10%増加する組成物、遊離形に比較してAUCが少なくとも20%増加する組成物、遊離形に比較してAUCが少なくとも30%増加する組成物、遊離形に比較してAUCが少なくとも40%増加する組成物、遊離形に比較してAUCが少なくとも50%増加する組成物、遊離形に比較してAUCが少なくとも60%増加する組成物、遊離形に比較してAUCが少なくとも70%増加する組成物、又は遊離形に比較してAUCが少なくとも80%増加する組成物を含む。
【0084】
また、患者による薬物の摂取によって、最大血清濃度及び最大血清濃度に達する時間に関して推定することができる。さらに早い治療効果の発現を有する医薬組成物は、一般に、より高い最大血清濃度(Cmax)に、経口投与後、より短い時間(Tmax)で達成する。好ましくは、本発明の組成物(好ましくは塩を含んでいるもの)が、現在市販されているセレコキシブよりも、より高いCmax及び/又はより短いTmaxを有している。本発明の組成物のTmaxは、投与(例えば、経口投与)の約60分、55分、50分、45分、40分、35分、30分、25分、20分、15分、10分又は約5分以内に達成されるかもしれない。さらに好ましくは、本発明の組成物の治療効果は、投与(例えば、経口投与)の約60分、55分、50分、45分、40分、35分、30分以内、約25分以内、約20分以内、約15分以内、約10分以内又は約5分以内に出始める。
【0085】
本発明の組成物は、天然セレコキシブよりも大きなバイオアベイラビリティを有しており、現在、SEREBREX(商標)が販売されている。他の実施態様では、本発明の組成物は少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、87%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%のバイオアベイラビリティを有している。
本発明のセレコキシブ及びそれらの塩で治療可能な疾患を、以下に述べる。双方及び慢性の痛みの治療は本発明の好ましい実施態様である。
【0086】
用量作用調節
さらなる観点では、本発明の組成物を作ることにより、本発明は、活性医薬成分の用量作用を改善する方法を提供する。
用量作用は、作用の大きさと、作用を引き起こす用量との間の量的な関係であり、当該分野で公知の方法により測定することができる。活性医薬成分−細胞システムに対する用量(独立変数)対効果(従属変数)曲線は、「用量作用曲線」である。一般的には、用量作用曲線は、与えられた活性医薬成分の用量(mg/kg)に対する活性医薬成分のプロットに応答して判定される。また、用量作用曲線は、与えられた活性医薬成分の用量に対するAUCの曲線でもある。
【0087】
現在市販されているセレコキシブの用量作用曲線は非線形である。好ましくは、本発明のセレコキシブ塩又は共結晶組成物の用量曲線が線形又は現在市販されているセレコキシブより広い範囲の線形である。また、現在市販されているセレコキシブの吸収又は摂取は、一部食物作用に依存するので、食物、特に脂肪質の食物と一緒にとったときセレコキシブ塩の摂取は増加する。好ましくは、本発明のセレコキシブ塩の摂取が食物に依存することを減少させ、従って、食物をとったときと食物をとらないときとの摂取における差を、現在市販されているセレコキシブの摂取におけるよりも小さくする。
【0088】
吸湿性の減少
さらなる観点において、本発明は、吸湿性の小さな活性医薬成分を提供し、さらに、それを製造することによって、活性医薬成分の吸湿性を減少させる方法を提供する。
本発明の観点では、非晶質又は結晶の遊離形よりも吸湿性が弱い活性医薬成分の組成物を含む医薬組成物を提供する。吸湿性は、動的気相収着分析法によって評価することができ、この方法では、化合物の5〜50mgをカーン(Cahn)微量天秤に吊す。分析された化合物は、非吸湿性のパンに載置され、同一の材料、ほぼ同一のサイズ、形態及び重量で構成された空のパンに対して、相対的にその重量が測定される。理想的には、プラチナ製のパンを用いるべきである。パンは、管理され、相対湿度(%RH)が既知%の空気又は窒素等のガスを、平衡基準に達するまで流したチャンバー内に吊るすべきである。一般的な平衡基準は、一定の湿度及び温度で、3分間にわたって0.01%より少ない重量変化である。相対湿度は、乾燥窒素下で乾燥されたサンプルについて、脱溶媒和しない限り、そうでなければ物質を非晶質化合物に変換しない限り、40℃で一定重量(3分間で<0.01%の変化)に調整すべきである。一つの観点においては、乾燥化合物の吸湿性は、水分収着等温線を形成するために、5%RHの変化でRHを5%から95%に、次いで、5%の変化でRHを95%から5%に減少させることによってRHを評価することができる。サンプル重量は、%RHにおける各変化間で平衡させることができる。75%RH以上、かつ95%RHより小の間で化合物が潮解するか又は非晶質になる場合、実験は、新たなサンプルで繰り返されるべきであり、相対湿度のサイクル範囲を5〜95%RHに代えて、5〜75%RH又は10〜75%RHに狭めるべきである。形態安定性に欠けているためにテストに先駆けてサンプルを乾燥することができない場合、サンプルは、10〜75%RH又は5〜95%RHのいずれかの2つの完全な湿度サイクルを用いて試験されるべきであり、第1のサイクルの終了時に顕著な重量損失があれば、第2のサイクルの結果を用いるべきである。
【0089】
吸湿性は、種々のパラメータを用いて定義することができる。本発明の目的では、10〜75%RH(25℃での相対湿度)の間で反復させた場合、非吸湿性分子は、25℃にて1.0重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下で増減するであろう。より好ましい非吸湿性分子は、25℃にて5〜95%RHの間で反復させた場合、1.0重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、10〜75%RHの間ではその重量の0.25重量%以下で増減するであろう。最も好ましくは、非吸湿性分子は、5〜95%RHの間で反復させた場合、その重量の0.25重量%以下での増減であろう。
【0090】
あるいは、本発明の目的では、吸湿性は、Callaghanら、Equilibrium moisture content of pharmaceutical excipients、in Api Dev. Ind. Pharm.、Vol. 8、pp. 335-369 (1982)のパラメータを用いて定義することができる。Callaghanらは、吸湿性の程度を4クラスに分類した。
【0091】
クラス1:非吸湿性(90%以下の相対湿度で本質的に水分増加が起こらない)、
クラス2:わずかに吸湿性(80%以下の相対湿度で本質的に水分増加が起こらない)、
クラス3:中程度の吸湿性(水分含量が、60%以下の相対湿度で1週間保存した後に5%より多く増加しない)、
クラス4:非常に吸湿性(40〜50%程度の低い相対湿度でも水分含量の増加が起こるかもしれない)、
【0092】
あるいは、本発明の目的では、25℃、80%RH、で24時間保存した後、静的な方法に基づいて、吸湿性が定義されるEuropean Pharmacopoeia Technical Guide (1999、p. 86)のパラメータを用いて、吸湿性を定義することができる。
わずかに吸湿性:質量の増加が2%m/m未満、かつ0.2%m/m以上。
吸湿性:質量の増加が15%m/m未満、かつ0.2%m/m以上。
非常に吸湿性:質量の増加が15%m/m以上。
潮解性:十分な水分が吸収され、液体を形成する。
【0093】
本発明の組成物は、先に示したクラス1、クラス2又はクラス3とすることができ、あるいは、わずかに吸湿性、吸湿性又は非常に吸湿性とすることができる。また、本発明の組成物は、それらの吸湿性の減少能に基づくものとすることができる。よって、好ましい本発明の組成物は、天然遊離形よりも吸湿性が低い。さらに、本発明に含まれる組成物は、10〜75%RHの間で反復させた場合、25℃にて1.0重量%未満で増減する組成物であり、ここで、基準化合物は同じ条件下では、1.0重量%を超えて増減する。さらに、本発明に含まれる組成物は、10〜75%RHの間で反復させた場合、25℃にて0.5重量%未満で増減する組成物であり、ここで、基準化合物は同じ条件下では、0.5重量%を超えて又は1.0重量%を超えて増減する。さらに、本発明に含まれる組成物は、5〜95%RHの間で反復させた場合、25℃にて1.0重量%未満で増減する組成物であり、ここで、基準化合物は同じ条件下では、1.0重量%を超えて増減する。さらに、本発明に含まれる組成物は、5〜95%RHの間で反復させた場合、25℃にて0.5重量%未満で増減する組成物であり、ここで、基準化合物は同じ条件下では、0.5重量%を超えて又は1.0重量%を超えて増減する。さらに、本発明に含まれる組成物は、5〜95%RHの間で反復させた場合、25℃にて0.25重量%未満増減する組成物であり、ここで、基準化合物は同じ条件下では、0.5重量%を超えて又は1.0重量%を超えて増減する。
【0094】
さらに、本発明に含まれる組成物は、基準化合物よりも少なくとも一クラス低い、あるいは基準化合物よりも少なくとも二クラス低い吸湿性(Callaghanらに従う)を有する。クラス2の基準化合物であればクラス1の組成物、クラス3の基準化合物であればクラス2の組成物、クラス4の基準化合物であればクラス3の組成物、クラス3の基準化合物であればクラス1の組成物、クラス4の基準化合物であればクラス1の組成物、クラス4の基準化合物であればクラス2の組成物が含まれる。
【0095】
さらに、本発明に含まれる組成物は、基準化合物よりも少なくとも一クラス低い、あるいは基準化合物よりも少なくとも二クラス低い吸湿性(European Pharmacopoeia Technical Guideに従う)を有する。その例は、限定されず、吸湿性の基準化合物であればわずかに吸湿性の組成物、非常に吸湿性の基準化合物であれば吸湿性の組成物、潮解性の基準化合物であれば非常に吸湿性の組成物、非常に吸湿性の基準化合物であればわずかに吸湿性の組成物、潮解性の基準化合物であればわずかに吸湿性の組成物、潮解性の基準化合物であれば吸湿性の組成物が含まれる。
【0096】
セレコキシブ塩は示差走査熱量測定(DSC)によって特徴づけることができる。実施例1で形成されるセレコキシブのナトリウム塩は50℃から110℃の間で少なくとも3つのオーバーラップ吸熱転移によって特徴づけられる(図1)。DSCの条件は、実施例1に明らかにされている。
【0097】
セレコキシブ塩は、熱重量分析(TGA)によって特徴づけることができる。実施例1により形成されるナトリウム塩はTGAにより特徴づけられ、約30℃から約40℃の間で蒸発した水に相当する3つの疎結合、約40℃から約100℃の間で蒸発した水に相当する1つのより密な結合及び約140℃から約160℃の間で蒸発した水に相当する1つの強い密結合を有している(図2)。しかし、ここに詳述するように、ナトリウム塩は、湿気、温度及びその他の条件に依存して、種々の水和物状態で存在することができる。TGAの条件は実施例に明らかにされている。
【0098】
また、本発明のセレコキシブ塩は、粉末X線回析(PXRD)により特徴づけることができる。実施例1により形成されるセレコキシブのナトリウム塩は、6.40°の2θ角で強い反射又はピーク、7.01°、16.73°及び20.93°で他の反射又はピークを有する(図3)。PXRDの条件は、実施例1に明らかにされている。
【0099】
セレコキシブ塩は、溶媒和化合物分子を含んでもよく、溶媒和物としても知られている種々の溶媒和物状態で存在することができる。よって、セレコキシブ塩は、結晶多形として存在することができる。多形は、同じ薬物物質の異なる結晶形態であり、その用語についてのここでの使用では、溶媒和物と水和物とを含む。例えば、セレコキシブ塩の異なる多形は、製造方法を変えることによって得ることができる(比較例)。結晶多形、一般に、異なる溶解度を有しており、より熱力学的に安定した多形は、あまり熱力学的に安定していない多形よりも、溶解しにくい。また、医薬多形は、貯蔵寿命、バイオアベイラビリティ、形態学、蒸気圧、密度、色及び圧縮性等の性質において異なるかもしれない。
【0100】
適当な溶媒和物分子は、水、アルコール、他の極性有機溶媒及びそれらの混合物を含む。アルコールは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、プロピレングリコール及びt−ブタノールを含む。プロピレングリコール溶媒和物は、他の形態よりも、より安定で、吸湿性が低いため、特に好ましい。また、アルコールは、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール)等の重合アルコールを含む。実施態様では、水を溶媒としている。本発明の実施態様では、セレコキシブ塩は、約0.0%、0.5%未満、0.5、1、1%未満、1.5、1.5%未満、2、2%、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5%未満含み、あるいは塩1当量あたり水約6当量、約1〜約6、約2〜約5、約3〜約6、約3〜約5、約1〜約4、約2〜約4、約1〜約3、約2〜約3、0〜約3、0.5〜約3、0〜約2、0.5〜約2、0〜約1.5、0.5〜約1.5、1〜約1.5又は約1当量を含む。溶媒和物分子は、結晶塩から取り除くことができるので、塩は一部又は完全に脱溶媒和物となる。その溶媒和物分子が水で(水和物を形成する)あれば、脱溶媒和された塩は、脱水物と呼ばれることになる。全ての水が除去された塩は無水物である。溶媒和物分子は、加熱、真空又は減圧下での処理、塩への乾いた空気の吹き付け等の方法又はそれらの組み合わせにより、塩から除去することができる。脱溶媒和は、一般に、結晶の塩の1当量あたり、約1から約5当量、約1から約4当量、約1から約3当量又は約1から約2当量である。
【0101】
セレコキシブを含む医薬は、1以上の他の物質で共結晶化することができる。ここで使用される用語「共結晶」は、室温で2以上の単一固体からなる結晶材料を意味しており、それぞれが、構造、融点及び融解熱等、特有の物理的性質を有している。化合物を形成する共結晶をさらに含まない活性医薬成分化合物の溶媒和物は、本発明の共結晶ではない。しかし、共結晶は結晶格子内で1以上の溶媒を含むかもしれない。つまり、共結晶の溶媒和物、あるいは室温で液体である溶媒又は化合物をさらに含む共結晶は、本発明に含まれるが、1つの固体のみで構成された結晶材料及び1以上の液体(室温で)は本発明には含まれない。また、共結晶は、共結晶形成物と活性医薬成分の塩との間の共結晶であってもよいが、本発明の活性医薬成分と共結晶形成物とは、水素結合を介して、ともに構成又は結合される。また、分子認識の他の方法は、Π−スタッキング、ゲスト−ホスト錯体及びファンデアワールス相互作用を含んで存在してもよい。上述した相互作用では、水素結合は共結晶の形成における主要な相互作用であり、よって、非共有結合が、分子の1つの水素結合供与体と他の水素結合受容体との間で形成される。もう一つの実施態様では、共結晶形成物が第二の活性医薬成分となる共結晶を提供する。別の実施態様では、共結晶形成物は活性医薬成分とはならない。
【0102】
本発明の実施態様では、医薬が共結晶である。他の実施態様では、共結晶形成物が、以下の1又は2(三元共結晶のため)から選択される:サッカリン、ニコチンアミド、ピリドキシン(4−ピリドキシン酸)、アセスルファム、グリシン、アルギニン、アスパラギン、システイン、グルタミン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、スレオニン、チロシン、バリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、トリプトファン、アデニン、アセトヒドロキサム酸、アラニン、アロプリノール、4−アミノ安息香酸、シクラミン酸、4−エトキシフェニル尿素、4−アミノピリジン、ロイシン、ニコチン酸、セリン、トリス、ビタミンk5、キシリトール、琥珀酸、酒石酸、ピリドキサミン、アスコルビン酸、ヒドロキノン、サリチル酸、安息香酸、カフェイン、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼン−スルホン酸、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、マロン酸、1, 5-ナフタレン−ジスルホン酸(アームストロングの酸)、クレミゾール、イミダゾール、グルコサミン、ピペラジン、プロカイン又は尿素。
【0103】
セレコキシブ塩は、セレコキシブと溶媒との接触によって形成することができる。適当な溶媒は水、アルコール、他の極性有機溶媒及びそれらの組み合わせを含む。水及びイソプロパノールが好ましい溶媒である。セレコキシブは塩基と反応する(適当な塩基は上述した通り)ので、セレコキシブは塩を形成し、好ましくは溶解する。塩基は、溶媒と共にセレコキシブに添加することができる(つまり、溶媒に溶解する)ので、セレコキシブは、実質的に同時に、溶媒和化及び脱プロトン化する。あるいは塩基は、セレコキシブが溶媒と接触した後で添加されてもよい(例えば、実施例を参照)。後者のシナリオでは、塩基は溶媒に溶解されてもよいし(それがすでにセレコキシブに接触している溶媒であってもよいし、異なる溶媒であってもよい)、あるいは塩基を、純粋な固体又は液体あるいはそれらの組み合わせとして添加してもよい。水酸化ナトリウム及びナトリウムエトキシドは、好ましい塩基である。必要とされる塩基の量は上述したとおりである。溶媒を蒸発させて、セレコキシブ塩の結晶を得てもよいし、蒸発とは独立して、セレコキシブ塩を沈殿及び/又は結晶化させてもよい。セレコキシブ塩の結晶は、大量の溶媒を除去するために濾過することができる。溶媒和物化された溶媒分子を除去する方法は上述した通りである。
【0104】
本発明の医薬組成物に用いられた賦形剤は固体、半固体、液体又はそれらの組み合わせとすることができる。好ましくは、賦形剤は固体である。賦形剤を含む本発明の組成物は、賦形剤と薬物又は治療薬との混合を含む、いずれかの公知の技術によって製造することができる。本発明の医薬組成物は、用量単位あたりにセレコキシブの所望量を含み、経口投与用を意図する場合には、例えば、錠剤、カプセル、丸剤、ハード又はソフトカプセル、トローチ剤、カシェ剤、分包、顆粒、懸濁剤、エリキシル剤、分散剤、液体又はそのような投与に合理的に適したその他のいずれかの形態とすることができる。非経口投与を意図する場合には、例えば、懸濁剤又は経皮貼布の形態とすることができる。直腸内投与を意図する場合には、例えば、坐薬の形態とすることができる。現在、各用量単位が、それぞれ、錠剤又はカプセルのように、所定量の薬物を含む経口用の用量単位が好ましい。
【0105】
本発明の医薬組成物を製造するために使用することができる賦形剤を以下に例示するが、限定されるものではない。
本発明の医薬組成物は、賦形剤として、任意に、1以上の医薬的に許容される担体又は希釈剤を含む。適当な担体又は希釈剤は、限定されないが、実例として、単独で又は組合せで、無水ラクトース及びラクトース一水和物を含むラクトース;直接圧縮できるデンプン及び加水分解デンプン(例えば、Celutab(商標)及びEmdex(商標))を含むデンプン;マンニトール;ソルビトール;キシリトール;デキストロース(例えば、Cerelose(商標)2000)及びデキストロース一水和物;リン酸水素カルシウム二水和物;シュクロース系希釈剤;粉糖;一塩基性硫酸カルシウム一水和物;硫酸カルシウム二水和物;硫酸カルシウム2水和物;粒状乳酸カルシウム三水和物;デキストレート(dextrates);イノシトール;加水分解穀類固体;アミロース;微晶質セルロース、α及び非晶質セルロースの食用グレード源(例えば、Rexce1J)、粉末セルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含むセルロース;炭酸カルシウム;グリシン;ベントナイト;ブロックコポリマー;ポリビニルピロリドン;等を含む。そのような担体又は希釈剤は、使用するならば、組成物の総重量の、合計約5%〜約99%、好ましくは約10%〜約85%、さらに好ましくは約20%〜約80%を構成する。選択された担体、複数の担体、希釈剤又は複数の希釈剤は、適当な流動性を示すことが好ましく、錠剤が望まれる場合には、圧縮性を示すことが好ましい。
【0106】
ラクトース、マニトール、リン酸水素ナトリウム及び微晶質セルロース(特に、アビセルPH101等のアビセルPH微晶質セルロース)は、単独又は組み合わせとして、好ましい希釈剤である。これらの希釈剤は、化学的にセレコキシブと適合性である。極顆粒微晶質セルロース(つまり、微晶質セルロースを顆粒組成物に添加した)は硬度(タブレット)及び/又は崩壊時間を改善するために使用することができる。ラクトース、とりわけ、ラクトース一水和物が、特に好ましい。ラクトースは、一般に、比較的低い希釈コストで、セレコキシブの適当な放出率、安定性、予圧流動性及び/又は乾燥性を備えた組成物を提供する。それは、顆粒形成(湿式造粒法が用いられる場合)における緻密化を促進する高密度基質を与え、よって、混合流動性及び錠剤特性を改善することができるからである。
【0107】
本発明の医薬組成物は、特に錠剤形成のために、任意に、1以上の医薬的に許容される崩壊剤を、賦形剤として含んでいてもよい。適当な崩壊剤は、限定されないが、単独で又は組み合わせて、グリコール酸ナトリウムデンプン(例えば、PenWestのExplotab(商標))及びα−コーンスターチ(例えば、National Starch and Chemical CompanyのNational(商標)1551、National(商標)1550及びColocorn(商標)1500)を含むでんぷん;クレー(例えば、R.T. VanderbiltのVeegum(商標) HV);精製セルロース、微結晶セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムなどを含むセルロース;クロスカルメロースナトリウム(例えば、FMCのAc-Di-Sol(商標));アルギン酸エステル、クロスポビドン及びアガー、ガラナ、ローカストビーンガム、インドゴム、ペクチンゴム及びトラガカントゴム等のゴムを含む。
【0108】
崩壊剤は、組成物の精製中、適当な工程で添加することができ、特に、顆粒形成の前又は圧縮前の潤滑剤を適用する工程で添加することができる。そのような崩壊剤は、もし追加するなら、組成物の総重量の、合計約0.2%〜約30%、好ましくは約0.2%〜約10%、さらに好ましくは約0.2%〜約5%を構成する。
【0109】
クロスカルメロースナトリウムは、錠剤又はカプセル崩壊のための崩壊剤として好ましい。もし追加するなら、好ましくは組成物の総重量の、合計の約0.2%〜約10%、好ましくは約0.2%〜約7%、さらに好ましくは約0.2%〜約5%を構成する。クロスカルメロースナトリウムは、本発明の顆粒状医薬組成物に顆粒間崩壊能を与える。
【0110】
本発明の医薬組成物は、任意に、賦形剤として、特に錠剤形態のために、1以上の医薬的に許容される結合剤又は結着剤を含む。そのような結合剤及び結着剤は、好ましくは、錠剤にされる粉末が、分粒、潤滑、圧縮及び包装等の通常の製造作業を可能とするのに十分な粘着を与えるが、依然、錠剤の崩壊を可能にし、摂取時に組成物の吸収を可能にする。また、そのような結合剤は、一旦塩が溶液に溶解されたら、本発明のセレコキシブ塩のさらなる結晶化又は再結晶化/沈殿を防止又は阻害することかもしれない。適当な結合剤及び結着剤は、限定されないが、単独で又は組み合わせて、アラビアゴム;トラガカント;スクロース;ゼラチン;グルコース;限定されないが、α−スターチ(例えば、National(商標) 1511及びNational(商標)1500)等のスターチ;限定されないが、メチルセルロース及びカルメロースナトリウム(例えば、Tylose(商標))等のセルロース;アルギン酸及びアルギン酸の塩;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;PEG;グアールゴム;ポリサッカリドアシッド;ベントナイト;ポビドン、例えば、ポビドンK-15、K-30及びK-29/32;ポリメタクリレート;HPMC;ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、アクアロンのKlucel(商標));及びエチルセルロース(例えば、ダウケミカル・カンパニーのEthocel(商標))を含む。そのような結合剤及び/又は結着剤は、もし追加するなら、好ましくは組成物の総重量の、合計約0.5%〜約25%、好ましくは約0.75%〜約15%、さらに好ましくは約1%〜約10%を構成する。
【0111】
多くの結合剤は、アミド、エステル、エーテル、アルコール又はケトン基を含むポリマーであり、それらが、本願発明の医薬組成物に含まれることが好ましい。ポビドンK-30のようなポリビニルピロリドンが、特に好ましい。高分子結合剤は、分子量、架橋の程度及びポリマーグレードを変化させることができる。また、高分子結合剤は、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド・ユニットの混合物を含むブロックコポリマー等の共重合体であってもよい。得られるポリマーにおけるこれらユニットの割合が変化することによって、性質及び性能が影響される。ブロック・ユニットの組成変化を伴うブロックコポリマーとしては、ポロキサマー188及びポロキサマー237(BASF Corporation)が挙げられる。
【0112】
本発明の医薬組成物は、任意に、賦形剤として、1以上の医薬的に許容される湿潤剤を含んでいてもよい。そのような湿潤剤は、組成物のバイオアベイラビリティを改善すると思われている条件で、水に密接に関連して、セレコキシブを維持するために、好ましく選択される。また、そのような湿潤剤は、セレコキシブの金属塩を可溶化し、溶解性を増大させるために用いることができる。
【0113】
本発明の医薬組成物において湿潤剤(かならずしも再結晶化/沈殿抑制剤としてではない)として使用することができる界面活性剤は、限定されず、第4アンモニウム化合物(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム及び塩化セチルピリジニウム)、ジオクチルナトリウムスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(例えば、ノンオキシノール9、ノンオキシノール10及びオクトキシノール9)、ポロキサマー(ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンブロック共重合体)、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリドならびに油(例えば、ポリオキシエチレン(8)カプリル/カプリン モノ及びジグリセリド(例えば、GattefosseのLabrasol(商標))、ポリオキシエチレン(35)ヒマシ油及びポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油);ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレン(20)セトステアリルエーテル)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステル)、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(例えば、ポリソルべート20及びポリソルベート80(例えば、ICIのTween(商標)80))、プロピレングリコール脂肪酸エステル(例えば、プロピレングリコールラウリン酸エステル(例えば、GattefosseのLauroglycol(商標))、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪酸及びそれらの塩(例えば、オレイン酸、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸トリエタノールアミン)、グリセリル脂肪酸エステル(例えば、モノステアリン酸グリセリン)、ソルビタンエステル(例えば、モノラウリル酸ソルビタン、モノアレイン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン及びモノステアリン酸ソルビタン)、チロキサポールならびにそれらの混合物が挙げられる。そのような湿潤剤は、もし追加するなら、組成物の総重量の、合計約0.25%〜約15%、好ましくは約0.4%〜約10%及びさらに好ましくは約0.5%〜約5%を構成する。
【0114】
湿潤剤は、アニオン性界面活性剤が好ましい。ラウリル硫酸ナトリウムは、特に好ましい湿潤剤である。ラウリル硫酸ナトリウムは、もし追加するなら、組成物の総重量の、約0.25%〜約7%、好ましくは約0.4%〜約4%、及びさらに好ましくは約0.5%〜約2%を構成する。
【0115】
本発明の医薬組成物は、任意に1以上の医薬的に許容される潤滑剤(抗付着剤及び/又は滑剤を含む)を賦形剤として含む。適当な潤滑剤は、限定されないが、単独で又は組み合わせて、グリセリンベハペート(behapate)(例えば、GattefosseのCompritol(商標)888);ステアリン酸及びそれらの塩(マグネシウム、カルシウム及びステアリン酸ナトリウムを含む);硬化植物油(例えば、アビテックのSterotex(商標));コロイドシリカ;タルク;ワックス;ホウ酸;安息香酸ナトリウム;酢酸ナトリウム;フマル酸ナトリウム;塩化ナトリウム;DL-ロイシン;PEG(例えば、ダウケミカルカンパニーのCarbowax(商標)4000及びCarbowax(商標)6000)、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム;及びラウリル硫酸マグネシウムを含む。そのような潤滑剤は、もし追加するなら、組成物の総重量の、合計約0.1%〜約10%、好ましくは約0.2%〜約8%及びさらに好ましくは約0.25%〜約5%を構成する。
【0116】
ステアリン酸マグネシウムは、例えば、錠剤製剤の圧縮時、装置と顆粒状混合物の摩擦を減らすために使用される好ましい潤滑剤である。
適当な抗付着剤は、限定されないが、タルク、コーンスターチ、DL-ロイシン、ラウリン硫酸ナトリウム及び金属ステアリン酸塩を含む。タルクは、例えば、装置の表面に付着する製剤を減少させるため及び混合物中の静電気を減少させるためにも使用される好ましい抗付着剤又は滑剤である。タルクは、もし追加するなら、組成物の総重量の約0.1%〜約10%、より好ましくは約0.25%〜約5%、さらに好ましくは約0.5%〜約2%を構成する。
【0117】
滑剤は、固形製剤の紛体流を促進させるために使用することができる。適当な滑剤は、限定されないが、コロイド状二酸化ケイ素、デンプン、タルク、三塩基性リン酸カルシウム、三ケイ酸マグネシウムを含む。コロイド状二酸化ケイ素は、特に好ましい。着色剤、香料、甘味料等の他の賦形剤が、医薬分野で知られており、本発明の医薬組成物にも使用することができる。錠剤は、例えば、腸溶コーティングで被覆してもよいし、被覆しなくてもよい。本発明の組成物は、さらに緩衝剤を含むことができる。
【0118】
任意に、1以上の発泡剤を、崩壊剤として用いてもよいし、本発明の医薬組成物の感覚受容性を高めるために使用してもよい。本発明の医薬組成物に、剤形の崩壊を促進するために追加する場合、1以上の発泡剤が、組成物の総重量の、合計約30%〜約75%、好ましくは約45%〜約70%、例えば約60%存在するのが好ましい。
【0119】
本発明の特に好ましい実施態様は、発泡剤は、剤形の崩壊を促進するのに有効な量よりも少ない量で固体剤形中に存在させることにより、水性媒体におけるセレコキシブの分散を改善する。理論に縛られなければ、発泡剤は、消化管で剤形からのセレコキシブの分散を促進させるのに効果的であると考えられ、よって、さらに、吸収を高め、迅速に治療効果を発現させることができる。崩壊を高めることなく胃腸内での分散を促進させるために、本発明の医薬組成物に追加される場合には、発泡剤は、好ましくは組成物の総重量の約1%〜約20%、さらに好ましくは約2.5%〜約15%、さらに好ましくは約5%〜10%存在させることが好ましい。
【0120】
ここで「発泡剤」は、一緒に又は単独で作用して、水への接触でガスを生じさせる1又以上の化合物を含む剤である。その発生したガスは、一般に、酸素であり、より一般的には二酸化炭素である。好ましい発泡剤は、水がある状態で反応し、二酸化炭素ガスを発生させる酸及び塩基を含む。好ましくは、塩基はアルカリ金属又はアルカリン土類金属炭酸塩又は重炭酸塩であり、酸は脂肪族カルボン酸を含む。
【0121】
本発明で有用な発泡剤成分として適当な塩基は、限定されず、炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム)、重炭酸塩(例えば、重炭酸塩ナトリウム)、セスキ炭酸塩及びそれらの混合物を含む。炭酸カルシウムは好ましい塩基である。
【0122】
本発明で有用な発泡剤及び/又は固形有機酸の成分として適当な酸は、限定されず、クエン酸、酒石酸(D-、L-又はD/L-酒石酸)、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、琥珀酸、それらの酸の酸無水物、それらの酸の酸性塩及びそれらの混合物を含む。クエン酸は好ましい酸である。
【0123】
本発明の好ましい実施態様では、発泡剤が酸及び塩基を含む場合、酸:塩基の重量比は、約1:100から約100:1、より好ましくは約1:50から約50:1、さらに好ましくは約1:10から約10:1である。本発明のさらに好ましい実施態様では、発泡剤が酸及び塩基を含む場合には、酸:塩基の比はほぼ化学量論的である。
【0124】
セレコキシブの金属塩を可溶化する賦形剤は、一般に、親水性及び疎水性部位の双方を有するか、好ましくは、両親媒性であるか、両親媒性部位を有するものである。両親媒性又は部分的に両親媒性である賦形剤のひとつは、両親媒性ポリマーを含むか、両親媒性ポリマーである。特定の両親媒性ポリマーはポリアルキレングリコールであり、それは、通常、エチレングリコール及び/又はプロピレングリコールサブユニットから構成される。そのようなポリアルキレングリコールは、その末端でカルボン酸、エステル、酸無水物又は他の適当な分子によりエステル化されてもよい。そのような賦形剤の例には、ポロキサマー(エチレングリコール及びプロピレングリコールの対称ブロック共重合体、例えば、ポロキサマー237)、トコフェロールのポリアルキレングリコール化エステル(ジ−又は多−官能化カルボン酸から形成されるエステル、例えば、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール-1000コハク酸エステル)及びマクロゴールグリセリド(モノ、ジ及びトリグリセリドならびにモノ及びジエステルの混合物を生成するために、油のアルコール分解及びポリアルキレングリコールのエステル化によって形成されたもの、例えば、ステアロイルマクロゴール-32グリセリド)を含む。そのような医薬組成物は経口投与に有利である。
【0125】
本発明の医薬組成物は、セレコキシブの金属塩を、重量で約10%から約50%、約25%から約50%、約30%から約45%又は約30%から約35%;結晶化を阻害する賦形剤を、重量で約10%から約50%、約25%から約50%、約30%から約45%、約30%から約35%;結合剤を、重量で約5%から約50%、約10%から約40%、約15%から約35%又は約30%から約35%を含む。一つの実施例では、セレコキシブの金属塩と、結晶化を阻害する賦形剤と、結合剤との重量比は約1:1:1である。
【0126】
本発明の固体剤形は、ここに記載される方法に限定されるのではなく、いずれかの適当な方法によって製造することができる。
例示される方法は、(i)本発明のセレコキシブ塩を、1以上の賦形剤に混合して混合物を得る工程、及び(ii)混合物を打錠又はカプセル化して、錠剤又はカプセルをそれぞれ形成する工程を含む。
【0127】
好ましい方法では、固体剤形は、(a)セレコキシブ塩を混合して混合物を形成する工程、(b)混合物を造粒し、顆粒を形成する工程、(c)混合物を打錠又はカプセル化して、錠剤又はカプセルをそれぞれ形成する工程を含む方法により製造される。
工程(b)は、この分野で知られる他の乾燥又は湿式造粒法によって行うことができる。セレコキシブ塩は、約1ミクロメーターから約100ミクロメーター、約5ミクロメーターから約50ミクロメーター又は約10ミクロメーターから約25ミクロメーターの粒子を形成するのに都合よく造粒される。1以上の希釈剤、1以上の崩壊剤及び1以上の結合剤を、例えば、混合工程で加えてもよく、湿潤剤を、任意に、例えば、造粒工程で加えてもよく、1以上の崩壊剤を、造粒後、打錠又はカプセル化する前に加えてもよい。潤滑剤は、打錠する前に加えてもよい。混合又は造粒は低い又は高いせん断下、別々に行ってもよい。カプセル充填又は打錠中に重量ばらつきを容易に制御することができるように、薬物の内容物が均一な顆粒を形成する方法;容易に崩壊する顆粒を形成する方法;十分容易に流動する顆粒を形成する方法;及び選択された装置でバッチを処理することができ、それぞれの用量が特定のカプセル又は錠剤金型に適合するように、嵩が十分に高密度である顆粒を形成する方法;を選択することが好ましい。
【0128】
別の実施態様では、固体剤形は、噴霧乾燥工程を含む方法により製造される。つまり、セレコキシブ塩は、1以上の噴霧可能な液体中、好ましくは、非プロトン性(例えば、非水性又は非アルコール性)の噴霧可能な液体中に、1以上の賦形剤とともに懸濁され、次いで、温かい空気の流れで迅速に噴霧乾燥される。
【0129】
上記の例示方法のいずれかから製造される顆粒又は噴霧乾燥粉末は、錠剤を製造するため圧縮又は成形することができ、あるいはカプセルを製造するためにカプセル化することができる。当該分野で知られる通常の打錠又はカプセル化する技術を用いることができる。被覆された錠剤が所望される場合に、通常の被覆技術が適当である。
【0130】
本発明の錠剤組成物用の賦形剤は、標準崩壊試験において、約30分未満、好ましくは約25分以下、さらに好ましくは約20分以下、さらに好ましくは約15分以下の崩壊時間を与えるように選択されることが好ましい。
【0131】
本発明のセレコキシブ剤形は、約10 mg から約1000 mg、さらに好ましくは約50 mgから約100 mg、約100mgから約150 mg、150 mgから約200 mg、200mgから約250 mg、250 mgから約300 mg、300 mgから約350 mg、350 mgから約400 mg、400mgから約450 mg、450mgから約500 mg、500mgから約550 mg、550 mgから約600 mg、600から約700及び700から約800 mgの1日投与量のセレコキシブを含むことが好ましい。
【0132】
本発明の医薬組成物は、1以上の経口投与可能な用量単位を含む。各用量単位は、好ましくはここに挙げられた、治療上の有効量のセレコキシブを含む。ここで、用語「用量単位」とは、本件のセレコキシブにおいて、医療上の効果を与えるために単回経口投与に適当な、治療又は予防剤の量を含む医薬組成物の1回分を意味する。一般に、1回用量単位又は数回の(約4まで)の用量単位は、一回投与において、所望の効果をもたらすのに十分量の剤を含む用量を提供する。そのような用量の投与は、必要に応じて、一般に一日に1、2、3又は4回の投薬頻度で、繰り返すことができる。
【0133】
患者にとって、セレコキシブの治療の有効量は、患者の体重に特に依存していることは理解されている。セレコキシブ塩又はその医薬組成物が投与される「患者」は、両性別及びいかなる年齢のヒトの患者を含み、また、いずれかのヒトでない動物、特に恒温動物、さらに家畜又はペット(例えば、猫、犬又は馬)を含む。患者が子供又は小動物(例えば、犬)の場合、例えば、約10 mgから約1000 mgの好ましい範囲の比較的低いセレコキシブ量(中性セレコキシブとして測定、つまり、水和物中の塩の対イオン又は水和物中の水は含まない)が、治療効果と一致した血清を提供しやすい。患者が成人又は大きな動物(例えば、馬)である場合、セレコキシブのそのような血清濃度の達成は、比較的大量のセレコキシブを含む用量単位を必要とする傾向にある。
【0134】
本発明の医薬組成物における一般的な用量単位は、約10、20、25、37.5、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350又は400 mgのセレコキシブを含む。成人では、本発明の組成物における用量単位あたりのセレコキシブの治療有効量は、一般に、約50mgから約400mgである。特に、単位用量あたりのセレコキシブの好ましい量は、約100mgから約200mg、例えば、約100mg又は約200mgである。バイオアベイラビリティが、新規の製剤で変更されれば、CELEBREX(商標)の現在の使用以外の用量を選択してもよい。例えば、300 mgを特定の症状のために好まれる用量としてもよい。
【0135】
セレコキシブの特定量を含む用量単位は、所望の1日投与量に到達するために使用される所望の投与頻度を考慮して選択することができる。1日量及び投与頻度及びそのために適当な用量単位の選択は、年齢、体重、性別及び患者の病状、その症状又は障害の性質及び深刻さを含む種々の要因により左右され、よって、広範囲で変化させてもよい。
【0136】
疼痛管理には、本発明の医薬組成物は、約50mgから約1000mg、好ましくは約100mgから約600mg、より好ましくは約150mgから約500mg、さらに好ましくは約175mgから約400mg、例えば、約200 mgのセレコキシブの1日投与量を提供するために使用することができる。約0.7から約13mg/体重kg、好ましくは約1.3から約8 mg/体重kg、より好ましくは約2から約6.7 mg/体重kg、そしてさらに好ましくは約2.3から約5.3 mg/体重kg、例えば、約2.7 mg/体重kgのセレコキシブの1日投与量が、一般に本発明の医薬組成物に投与される場合、適当である。1日投与量は、一日につき、1から約4用量で投与することができる。1日4回、1つ50 mg用量単位;1日2回、1つ100 mg用量単位;又は2つ50 mg用量単位;1日1回、2つ100 mg用量単位;又は4つ50 mg用量単位;の割合での投与が好ましい。
【0137】
ここで、用語「経口投与」は、それぞれが本発明の実施態様であるが、その剤又は組成物が即座に飲み込まれるか否かにかかわらず、治療剤又は組成物が患者の口に入れられるような、患者へのそれら治療剤又は組成物の分配のいかなる形態をも含む。よって、「経口投与」は、バッカル及び舌下ならびに食道投与を含む。剤の吸収は、口、食道、胃腸、十二指腸、回腸及び結腸を含む消化管のどこか又は一部で生じる。ここで、用語「経口的に与えることが可能」とは経口投与に適していることを意味する。
【0138】
本発明の医薬組成物は、限定されないが、炎症、疼痛及び/又は熱で特徴付けられる障害を含む、非常に広範囲のCOX−2によって介在される疾患の治療及び予防に有用である。そのような医薬組成物は、COX−1に対するCOX−2の選択性を欠く従来の非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)の組成物よりも、有害な副作用が著しく少ないというさらなる効果を有しており、関節炎の治療のような抗炎症剤に特に有用である。特に、本発明の医薬組成物は、従来のNSAIDs組成物と比較して、胃腸上部の潰瘍及び出血を含む胃腸の毒性及び胃腸の刺激の可能性を減少させ、体液うっ滞及び高血圧の悪化を導く腎機能の低下等腎臓の副作用の可能性を減少させ、血小板機能の阻害を含む出血時間における作用及びアスピリンに敏感な喘息患者が喘息発作を引き起こす可能性を減少させる。
よって、本発明の組成物は、そのようなNSAIDsに禁忌を示す従来のNSAIDsの代用品として、例えば、消化性潰瘍、胃炎、限局性腸炎、潰瘍性大腸炎、憩室炎の患者又は胃腸の障害の再発歴のある患者;胃腸内出血や、低プロトロンビン血症、血友病などの貧血を含む凝血障害又はその他の出血に関する問題を有した患者;腎臓病;又は手術を受ける前の患者もしくは凝固阻止薬を服用する患者に、特に有用である。
【0139】
目的の医薬組成物は、限定されないが、リウマチ性関節炎、脊椎関節炎、痛風関節炎、変形性関節症、全身性紅斑性狼瘡及び若年性関節炎を含む種々の関節炎障害の治療に有用である。
そのような医薬組成物は、喘息、気管支炎、月経痙攣、早期陣痛、腱炎、粘液嚢炎、アレルギー性神経炎、サイトメガロウイルス感染性、HIV誘導性アポプトシスを含むアポプトシス、腰痛、肝炎を含む肝臓疾患、乾癬、湿疹、にきび、火傷、皮膚炎及び日焼けを含む紫外線傷害を含む皮膚関連症状ならびに白内症又は屈折矯正手術等の眼外科手術に続くものを含む手術後の炎症の治療において有用である。
【0140】
本発明の医薬組成物は、限定されないが、炎症性腸疾患、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群及び潰瘍性結腸炎等の胃腸症状の治療に有用である。
そのような医薬組成物は、偏頭痛、多発動脈炎、甲状腺炎、再性不良性貧血、ホジキン病、嚥下困難、リウマチ熱、I型糖尿病、重症筋無力症を含む神経筋接合疾患、多発生硬化症を含む白質疾患、サルコイド症、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多発性筋炎、歯肉炎、腎炎、過敏症、脳水腫を含む損傷後発症する膨張、心筋虚血症等の治療に有用である。
【0141】
さらに、これらの医薬組成物は、網膜炎、結膜炎、網膜症、ブドウ膜炎、視覚羞明症の治療及び眼組織の急性損傷の治療に有用である。
また、そのような医薬組成物は、ウイルス感染及び嚢胞性線維症に伴うもの等の肺炎の治療、ならびに骨粗鬆症に伴うもの等の骨吸収の治療にも有用である。
この医薬組成物は、アルツハイマー病、神経変性を含む皮質痴呆、ならびに卒中・虚血及び外傷が原因である中枢神経系損傷等の特定の中枢神経系障害の治療に有用である。本文脈の用語「治療」はアルツハイマー病、血管性痴呆、多発脳梗塞性痴呆、初老性痴呆、アルコール痴呆及び老年性痴呆を含む痴呆の部分的又は完全な抑制を含む。
そのような医薬組成物は、アレルギー性鼻炎、呼吸困難症候群、エンドトキシンショック症候群及び肝疾患の治療に有用である。
【0142】
さらに、本発明の医薬組成物は、限定されないが、術後疼痛、歯痛、筋肉痛及び癌による疼痛を含む疼痛の治療に有用である。例えば、そのような組成物は、リウマチ熱、インフルエンザ及び一般的な風邪を含む他のウイルス感染、腰痛及び頚痛月経困難症、頭痛、歯痛、捻挫及び挫傷、筋肉炎、神経痛、滑膜炎、リュウマチ性関節炎を含む関節炎、変形性関節疾患(骨関節炎)、痛風及び強直性脊椎炎、滑液包炎、火傷及び外科及び歯科処置に続く外傷を含む種々の疼痛、熱及び炎症の軽減に有用である。
【0143】
本発明はさらに、COX−2阻害剤を使った治療が必要とされる症状又は障害を治療する治療方法に指向する。この方法は、本発明の医薬組成物をそれらの必要に応じて患者に経口投与することを含む。その症状又は障害を防止し、それを軽減させ、改善させる薬剤投与計画は、好ましくは1日1回又は1日2回の治療であるが、種々の要因により変更することができる。これらはその患者の体形、年齢、体重、性別、食事及び病状、性格ならびに障害の重篤さを含む。よって、実際に使用される薬剤投与計画は広範囲に変化させることができ、したがって、上記の好ましい薬剤投与計画から逸脱してもよい。この医薬組成物は、他の治療又は治療薬と併せて使用することもできる。限定されないが、オピオイドと、特に、麻薬性鎮痛剤、Mu受容体拮抗阻害剤、カッパ受容体阻害剤、非麻酔性(非常用性)鎮痛薬、モノアミン吸収阻害剤、アデノシン調節剤、カンナビノイド誘導体、GABA活性剤、ノレキシン・ニューロペプチド・モジュレーター、サプスタンスP阻害剤、ニューロキニン-1受容体阻害剤及びナトリウムチャンネルブロッカーを含む他の鎮痛薬とを用いる治療が挙げられる。
【0144】
組み合わせ治療は、本発明の組成物と、アセクロフェナック、アセメタシン、e-アセトアミドカプロン酸、アセトアミノフェン、アロキシプリン、アセトアミノサロール、アセトアニリド、アセチルサリチル酸(アスピリン)、S-アデノシルメチオニン、アルクロフェナック、アルフェタニル(alfentanil)、アリルプロジン、アルミノプロフェン、アロキシプリン、を含む眼科症状;胃潰瘍などの潰瘍性疾患;幼児性血管腫、鼻咽頭の血管線維腫及び阻血性骨壊死を含む血管腫等の悪性ではないがが異常な症状;ならびに子宮内膜症等の女性の生殖器系障害の治療に有用である。
【0145】
さらに、本発明の医薬組成物は、結腸直腸癌;脳腫瘍;骨肉種;基底細胞癌等の上皮細胞由来の腫瘍形成(上皮性悪性腫瘍);腺癌;口唇癌、口腔癌、食道癌、小腸癌、胃癌、結腸癌等の消化管癌;肝臓癌;膀胱癌;膵臓癌;卵巣癌;子宮頸癌;肺癌;乳癌、へん平上皮細胞及び基底細胞癌のような皮膚癌;前立腺癌;腎細胞癌;及び全身の上皮細胞に作用する他の既知の癌等の癌を含む良性及び悪性の腫瘍ならびに腫瘍形成の予防及び治療に有用である。本発明の組成物を特に使用することを意図する腫瘍形成は、消化管の癌、バレット食道、肝臓癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、前立腺癌、子宮頸癌、肺癌、乳癌及び皮膚癌である。また、そのような医薬組成物は、放射線療法で生じる繊維症を治療するために使用することができる。これらの医薬組成物は、家族性の線腫のポリープ症(FAP)のある患者を含む線腫の患者を治療するのために使用することができる。さらに、本発明の医薬組成物は、FAPの危険を有する患者にポリープが形成されることを防止するために使用することができる。
【0146】
また、医薬組成物は、収縮プロスタノイドの合成を阻害することによりプロスタノイド誘発平滑筋収縮を阻害し、よって、月経困難、早期分娩、喘息及び好酸性関連障害の治療に使用することができる。それらは、また、特に閉経後の女性における骨粗鬆の減少(すなわち、骨粗鬆症の治療)及び緑内障の治療にも使用することができる。
【0147】
本発明の医薬組成物は、慢性関節リウマチ及び骨関節症の治療、疼痛管理全般(特に、口腔外科手術後の疼痛、一般的外科手術後の疼痛、整形手術後の疼痛及び骨関節炎の急性発赤)、アルツハイマー病の治療ならびに大腸癌の化学的予防に、好ましいく使用される。特に好ましい使用は、セレコキシブ塩又はそれらの医薬組成物が約30分以内に疼痛を治療する効果をもたらす場合のような、迅速な疼痛治療である。
【0148】
ヒトの治療に有用であるだけではなく、本発明の医薬組成物はペット、外国産の動物、農場の動物等、特に哺乳類の獣医の治療にも有用である。より詳しくは、本発明の医薬組成物は、馬、犬及び猫のCOX−2介在疾患の治療に有用である。
【実施例】
【0149】
以下は、本明細書中でラマン、XRD、DSC及びTGAデータを得るための標準的な手順である。これらの手順は、特に指摘しない限り、本明細書中の分析についてのそれぞれ、各方法に従う。
【0150】
ラマンの収集、フィルタリング及びビニング
収集
試料をそれを処理するガラスバイアル中に入れるか、試料のアリコートをスライドガラスに移した。ガラスバイアル又はスライドガラスを、試料チャンバに置いた。その測定を、785nmレーザ光源を取り付けたアルメガ(商標)分散性ラマンシステム(Almega(商標)Dispersive Raman、Thermo-Nicolet、5225 ベローナ・ロード、マディソン、ウィスコンシン州53711- 4495)を用いて行った。試料に、10倍率対物(特に他に特記事項がない限り)を備えた装置の顕微鏡の部分を使用して、手動で焦点を合わせた。スペクトルは、表1で概略されるパラメーターを使用して得た。(露光時間及び露光の回数は変更してもよい。パラメーターへの変更は各収集で示されるであろう。)
【0151】
フィルタリング及びビニング
1セットの各スペクトルに、フィーチャーサイズ25の整合フィルターを使用してフィルターをかけ、ガラスの寄与及び試料の蛍光を含むバックグラウンド信号を取り除いた。これは、大きなバックグラウンド信号又は蛍光が、正確な選択及びビニング工程の後の工程におけるピーク位置を割り当てる機能を制限するので、特に重要である。フィリターがかけられたスペクトルは、表2で与えられるパラメータと共にピークピック及びビンアルゴリズムを使用してビンした。各サンプルセットのために分類されたクラスター・ダイヤグラム及び各スペクトル・ファイルに割り当てられた対応するクラスターを、同様のスペクトルを備えた試料群と同定するために使用した。それは、二次的な分析のための試料を同定するために使用した。
【0152】
【表1】
【0153】
【表2】
【0154】
X線粉末回析の手順
全X線粉末回析パターンを、銅源(Cu/Kα 1.5406)、手動x-yステージ及び0.3mmコリメータを備えたD/Max Rapid X線回折計 (D/Max Rapid、連絡先、アメリカ、テキサス州、ウッドランド、ニュートレイルズドライブ9009、77381-5209のリガク/MSC)を使用して得た。試料を、チューブの一端を切断し、切断された端部を粉末試料の層又はスラリー化された沈殿物の沈渣に挿入し、開口を軽くたたくことによって、0.3 mm のホウ素リッチのガラス製キャピラリーチューブに装填した。沈殿物は、非晶質又は結晶質であり得ることに留意することが必要である。装填されたキャピラリーを、x-yステージに固定されたホルダーに取り付けた。回折図を、オメガ軸の周りを1度/sで約0〜5度振動させ、ファイ軸の周りを2度/sで回転させながら、反射モードにおいて、40mA、46kVの出力設定にて大気条件下で得た(例えば、制御ソフトウエア:RINT Rapid制御ソフトウエア、リガクRapid/XRD、バージョン1.0.0、著作権1999 Rigaku Co.)。露光時間は特に断りのない限り15分とした。得られた回折図は、リガクによって装置とともに提供されたRINT Rapidディスプレイ・ソフトウエアのシリント(cyllnt)ユーティリィティを使用して、0.02度のステップ・サイズで、2〜60度の2-θおよび0〜360度のカイ(1つのセグメント)に統合した(解析ソフトウエア:RINT Rapidディスプレイ・ソフトウエア、バージョン1.18、Rigaku/MSC.)。暗係数値を、システム較正により8に設定した(リガクによるシステムセットアップ及び較正)。標準化は平均に設定した。オメガオフセットは180に設定した。カイ及びファイオフセットは統合に使用しなかった。また、解析ソフトウエアJADE XRDパターンプロセッシング、バージョン5.0及び6.0 (81995-2002、Materials Data、Inc.)も使用した。
【0155】
回折図におけるピークの相対強度は、例えば、結晶性不純物が原因で、試料ごとに異なるため、ピーク強度は必ずしもPXRDパターンに限定されない。さらに、各ピークの角度は、約+/−0.1度、好ましくは+/−0. 05度、変動してもよい。また、パターン全体又はパターンピークの大部分は、較正、設定ならびに装置ごと及び作業者ごとの相違のために、約+/−0.1度シフトしてもよい。
【0156】
示差熱分析法(DSC)の手順
試料のアリコートを、アルミニウム製の試料皿に荷重した(例えば、Pan part #900786.091;lid part#900779.901;ドイツ19720、ニューキャッスル、109 ルーケンズ ドライブ 109のTA Instruments社)。試料皿を、乾燥試料では圧着又は湿性試料(例えば、水和物又は溶媒和物試料)では圧入のいずれかにより密閉した。その試料皿を、装置(DSC:Q1000示差走査熱量測定器、ドイツ 19720、ニューキャッスル、109 ルーケンズ ドライブ 109のTA Instruments社)に載置し、その装置にはオートサンプラーが装備されており、自記温度記録図を、参照として空のアルミニウム製皿を用い、10℃/分の速度で、Tmin(約20℃)からTmax(約300℃)まで、試料を個々に加熱することによって(例えば、制御ソフトウエア:Advantage for QW-Series、バージョン1.0. 0.78、Thermal Advantage Release 2.0、著作権2001 TA instruments-Water LLC)得た(加熱速度及び時間の範囲は変更してもよく、これらのパラメーターの変化を各試料で示す)。乾燥窒素(例えば、圧縮窒素、グレード4.8、ニュージャージー州、07974-2082、ムレイヒル、マウンテンアベニュー 575のBOC ガス)を、試料パージガスとして使用し、50ml/分の流速に設定した。温度変化を、装置に設けられた解析ソフトウエア(解析ソフトウエア:Universal Analysis 2000 for Windows(登録商標) 95/95/2000/NT、version 3.1E ;Build 3.1.0.40、著作権1991-2001TA instruments-Water LLC)を使用して、観察及び回析した。
【0157】
熱重量分析(TGA)の手順
試料のアリコートをアルミニウム製皿に移した(Pan part # 952019.906 ; TA Instruments、109 ルーケンス ドライブ、ニューキャッスル、デラウェア19720)。その皿を荷重プラットフォームに載置し、次いで、制御ソフトウェア(制御ソフトウェア:Advantage for QWSeries、version 1.0. 0.78、Thermal Advantage Release 2.0、0 2001 TA instruments-Water LLC)を用いて、装置 (TGA: Q500 熱重量分析器、TA Instruments、109 ルーケンス ドライブ、ニューキャッスル、デラウェア19720)で自動的に負荷をかけた。自記温度記録図を、試料パージ流速60ml/分、バランスパージ流速40ml/分で、乾燥窒素流下(例えば、圧縮窒素、グレード4.8、ニュージャージー州、07974-2082、ムレイヒル、マウンテンアベニュー 575のBOC ガス)にて、10℃/分で25℃から300℃まで、試料を個々に加熱することによって得た(加熱速度及び時間の範囲は変更してもよく、これらのパラメーターの変化を各試料で示す)。温度変化(例えば、重量変化)を、装置に設けられた解析ソフトウエア(解析ソフトウエア:Universal Analysis 2000 for Windows(登録商標) 95/95/2000/NT、version 3.1E ;Build 3.1.0.40、著作権1991-2001TA instruments-Water LLC)を使用して、観察及び回析した。
【0158】
実施例1
水溶液からのセレコキシブのナトリウム塩
市販されたセレコキシブ77.3mgに1.0mLの蒸留水を加え、その後1M NaOH(VWR)0.220 mLを加えた。混合物を攪拌しながら60℃に加熱し、そこでさらに、蒸留水1.0 mLを加えた。固体NaOH(22mg)を加え、固体NaOHとセレコキシブとを溶解した。混合物を、再び60℃に加熱し、水を蒸発させた。混合物を攪拌し、溶液に空気流を与えながら60℃で加熱すると同時に、約15 mLの試薬等級のエタノールを加えた。加熱はその溶液が乾燥するまで続けた。得られた物質を、粉末X線回析装置(PXRD)、示差走査熱量計(DSC)及び熱重量分析(TGA)により分析した。その結果を図1〜3に示す。水のほとんどが塩と共沈したNaOHに含まれていたが、生成物は、塩1当量あたり約4.1当量の水を含んでいることがわかった。
【0159】
DSC分析では、使用されたパージガスを乾燥窒素とし、参照物質は、圧着した空のアルミニウム製の皿とし、サンプルパージは50mL/分とした。試料のDSC分析を、アルミニウムの圧着皿の閉包内に試料2.594 mgを載置して行った。10℃/分の加熱速度で20℃を開始温度とし、終了温度を200℃とした。得られたDSC分析を図1に示す。観察された変化は、約40から約70℃の間の溶解/脱水工程、約70℃から約100℃の間の再結晶化/沈殿事象から生じた可能性がある他の遷移及び約100℃から約110℃の間の第二の溶解/脱水変化を含む。
【0160】
全てのTGA実験では、使用されたパージガスは乾燥窒素であり、バランスパージをN240 mL/分、サンプルパージをN260 mL/分とした。TGAの試料は2.460mgの試料をプラチナ皿に載置して行った。10℃/分の加熱速度で20℃を開始温度とし、終了温度を300℃とした。得られたTGA分析を図2に示す。TGAは、約30から約50℃の間で約12.5%の質量損失を示し、これは水分子約2.8の損失による。約71から85℃の間での約2.0%の第2の質量損失は、水分子約0.5の損失による。最後に、約148から170℃の間での約4.0%の質量損失は、水分子約1の欠損又は薬物化合物の何らかの分解による。塩の水和物の状態は、湿気、温度及び他の条件により変化するかもしれない。
【0161】
上記で製造された化合物のPXRDパターンを図3に示す。図3の回折図では、バックグラウンドが除去されている。PXRDパターンは、例えば、6.40°、7.01°、16.73°及び20.93°でのピークを含む図3の2θ角でのピークのいずれか1つ又はいずれか2つ、いずれか3つもしくはいずれか4つのピークのいずれかの組み合わせ、あるいは、いずれか他の組み合わせを含む、塩を特徴付けるために使用することができる特徴的なピークを有する。
【0162】
実施例2
2−プロパノール溶液からのセレコキシブのナトリウム塩
セレコキシブ (Fako Hazlari)126.3mgにイソプロパノールの1.0 mLアリコートを加え、その混合物を加熱してセレコキシブを溶解した。ナトリウムエトキシドを、エタノール 中21%の溶液(0.124 mL 溶液、3. 31 × 104 mol ナトリウムエトキシド)として加えた。さらに、イソプロパノール1.0mLを加えた。その混合物を攪拌し、偏光顕微鏡により微細な複屈折針晶として現れた白結晶固体のスラリーを得た。
【0163】
スラリーを、吸引ろ過によりろ過し、イソプロパノール2mLで洗浄した。固体を、軽く粉砕して粉末状にする前に、空気乾燥した。実施例1と同様に、生成物をPXRD、DSC及びTGAにより分析したが、PXRD実験では試料を保持するために0.5 mmのキャピラリーを用いた。化合物は、室温から120℃の間で17.35%重量損失した。DSC軌跡は広い吸熱範囲を示し、それは温度の上昇に伴う揮発性成分の損失と一致している。吸熱は66℃でピークを示した。塩を特徴付けるために使用されるPXRDパターンピークは、4.09°、4.99°、6.51°、7.07°、9.99°、11.59°、16.53°、17.69°、18.47°、19.13°、20.11°、20.95°、22.67°の2θ角の1もしくはいずれか2、いずれか3、いずれか4、いずれか5、いずれか6、いずれか7、いずれか8、いずれか9、いずれか10、いずれか11、いずれか12又は13全ての組み合わせ、あるいは図62における2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13ピークのうちのいずれか1又は組み合わせを含む。
【0164】
実施例3
水溶液からのセレコキシブのナトリウム塩
合成1:バイアルにセレコキシブ29.64 mg及び1N水酸化物ナトリウム3.00 mLを添加した。セレコキシブはすぐ溶解した。暫くして、セレコキシブは溶液から沈殿した。
【0165】
合成2:バイアルにセレコキシブ7.10 mg及び1N水酸化ナトリウム3.00 mLを添加した。セレコキシブは溶解した。一夜で、セレコキシブは沈殿し、白い針状の結晶を形成した。
【0166】
合成3:バイアルにセレコキシブ17.6 mg及び1N水酸化ナトリウム10 mLを添加した。セレコキシブは溶解した。バイアルを、アルミニウムホイルで覆われたビーカー内に載置し、断熱のため大きな薄織物を充填した。ビーカーを放置すると、約12〜36時間以内に結晶が形成した。
【0167】
分析:合成1及び2からの生成固体を合わせ、図1でのようにPXRD、DSC及びTGAにより分析したが、PXRD実験では試料を保持するために0.5 mmのキャピラリーを用いた。ここで述べたように、塩の水和物状態は湿度、気温及び他の条件により変化するかもしれないが、生成された塩は、塩1当量に約4当量の水を含むことがわかった。TGAは、10℃/分で、室温から100℃の上昇で、14.9%の重量損失を示した。DSC分析は、74+/-1.0°で大きな吸熱変化、約130+/-5.0°で広い雑音のある第2の吸熱変化を示した。PXRDパターンは、3.6°、8.9°、9.6°、10.8°、11.4°及び20. 0°のいずれか1もしくはいずれか2、いずれか3、いずれか4、いずれか5又は6全ての2θ角のピークの組み合わせを含む、塩を特徴付けるのに使用することができるピークを有する。
【0168】
実施例4
ラットにおける薬物動態研究
ナトリウム塩形(実施例6からの)を、ラットにおける吸収について、CELEBREX粉末と比較した(図4A及び4B)。
市販の製剤及びナトリウム塩形で使用されているセレコキシブの結晶形を雄性Sprague-Dawleyラットに5 mg/kgで経口投与した後の薬物動態研究を、図4A及び4Bに示す。固体を、サイズ9のゼラチンカプセル(Torpac)に充填し、強制栄養針を通して投与し、その後、水1mLを経口的に強制飼養した。CELEBREX(登録商標)の顆粒を市販の200mgカプセルから移した。ナトリウム塩はポビドンK30と混合した(セレコキシブのナトリウム塩との重量比は4:1)。5匹のラットの血漿から、各時点で血漿濃度の平均をプロットした。
セレコキシブ又はセレコキシブのナトリウム塩の5 mg/kg投与量での薬物動態により、より早い血漿中の薬物のピークレベルが示されている。早い時点から、ナトリウム塩の血漿中のセレコキシブレベルが、CELEBREX(登録商標)に対してより高いレベルで示されている(図4A参照)。
【0169】
実施例5
ポリビニルピロリドン存在下でのセレコキシブナトリウムの溶解度
水を、セレコキシブナトリウムとポリビニルピロリドン(PVP)との1:4混合物に加え、透明な溶液を得た。その溶液は、中性セレコキシブの結晶が形成され始めるまでに少なくとも15分間安定していた。
結晶中性セレコキシブは、水性ポリビニルピロリドンに加えられたとき又は水が中性結晶セレコキシブ及びポリビニルピロリドンの乾燥混合物に加えられたとき溶解しなかった。
【0170】
実施例6
セレコキシブナトリウムの製剤
セレコキシブの遊離酸(5.027 g)を、NaOHの水溶液(13.181 mL、1M)に懸濁した。懸濁液は、60℃で1分間、緩やかに加熱することにより、残留固体が溶解された。混合物を、室温に冷却したが、沈殿物は生じなかった。さらに、氷浴で1時間冷却すると生成物の沈殿が生じた。得られた溶液をろ過し、空気乾燥した。
生成物の特徴を、TGA、DSC、PXRD、ラマン分光、鏡検及び1HNMR分光によって測定した。NMR収集を、(メチルスルホキシド)-d6で分散300 MHz分光器で行った。
【0171】
PXRDパターンは、図13に示すようなピーク特性を有する。強度ピークは、19.85と、限定されないが、3.57、10.69、13.69、20.43、21.53及び22.39を含む2θ角での他のピークをとで認められる。結晶は、上記ピークのいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つ又は6つ全てにより特徴付けられるか、図13Aの2θ角についてのいずれかの値のうち、いずれか1つ又は組み合せにより特徴付けることができる。
【0172】
ラマン分光を図13Bに示す。ラマンシフト(cm-1)ピークは、限定されないが、1617.11、1446.20、1373.73、975.02及び800.15のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、5つ全て又は図13Bの2、3、4、5又はそれ以上のピークのいずれかの組み合せを含む位置で生じている。
【0173】
実施例7
セレコキシブ組成物の犬への投与
実施例6のセレコキシブ塩を犬に投与し、市販のセレコキシブの投与と比較した。2〜4歳、体重8〜12kgの6匹の雄性ビーグル犬を絶食させ、水を与えた。各犬に、以下に示すように、3種の試験用量で投与した。用量間で1週間のウォッシュアウト期間を設けた。試験用量は、(1)市販のセレコキシブを、キログラムあたり1ミリグラム(mpk)のCELEBREX(登録商標)と70/30のPEG400/水とを混合した形態(静脈内投与)、(2)各犬の体重で、サイズ4のゼラチンカプセルに5 mpkに調節したCELEBREX(登録商標)の形態の市販のセレコキシブの経口投与量及び(3)各犬の体重で、サイズ4のゼラチンカプセルに5mpkに調節した実施例6で製造された本発明のナトリウム塩経口投与量とした。ヘパリンナトリウムを入れた約2mlの血液サンプルを、投与後、0.25、0.5、1、3、4、6、8、12及び24時間で頚部静脈穿刺により得た。さらに、静脈内投与の研究のために、投与前及び0.08時間でサンプルを得た。血液サンプルは、すぐに氷上に載置し、名目10分間、4℃にて3200gで、収集30分以内に遠心分離した。血漿サンプル(〜1.0 ml)を採取し、-20℃で0.25mlの4つのアリコートに保存した。血漿サンプルについて、5 ng/mlの低い定量限界のLC-MS/MSアッセイを用いてセレコキシブを分析した。血漿中のセレコキシブの薬物動態プロファイルを、PhASTソフトウエアプログラム(バージョン2.3、Pheonix Life Sciences、Inc.)を使用して分析した。絶対バイオアベイラビリティ(F)を、静脈内投与用量に対する経口投与量として報告する。
【0174】
図5は、セレコキシブ又はセレコキシブナトリウムの単回経口投与又は単回静脈内投与を行った雄性の犬における血漿中のセレコキシブの平均薬物動態パラメーター(及びそれらの標準偏差)を示す。経口投与されたセレコキシブナトリウムの最大血清濃度及びバイオアベイラビリティは、それぞれ、経口投与されたセレコキシブのほぼ等用量と比較して約3及び2倍より大きく、セレコキシブナトリウムの最大血清濃度は、セレコキシブのそれよりも40%早く達した。
【0175】
実施例8
セレコキシブリチウム塩の製造方法:MO-116-49B
市販のセレコキシブ100mgに、リチウム:セレコキシブ比が1.53:1となるように、0.35M LiOH(水)(水酸化リチウム一水和物−アルドリッチCat#25、427-4、Lot 00331K1)溶液を、バイアル(シリコンゴムのセプタムキャップで被覆されたテフロン(登録商標)の)中で添加した。混合物を、すべての固体が溶解するまで時折回転させながら穏やかに加熱した。溶液が乾燥するまで、セプタムキャップ内に挿入されたステンレス鋼の針を通して2日間、溶液に乾燥窒素流を吹き付けた。生成物の特徴づけは、DSC(図14)、TGA(図15)、ラマン分光(図16)及びPXRD(図17)により行われた。
【0176】
セレコキシブリチウム塩のDSCデータ
収集サンプル1.56mgを、被覆を有するアルミニウム製のDSC皿に載置した。加熱中、窒素パージガス50ml/分を使用した。DSC自記温度記録図の結果(図14)は、融点が111.84℃、2番目の吸熱(シャープでない)が237.11℃を示した。
【0177】
セレコキシブリチウム塩のTGAデータ
収集サンプル8.2290mgをプラチナ製のTGA皿に載置した。TGAの結果(図15)では、約25℃から約190℃の間で約14%の重量損失が示された。
【0178】
セレコキシブリチウム塩(MO-116-49A)のラマンデータ
収集サンプルの少量をスライドガラス上に載置し、Thermo Nicolet Almega Dispersive Ramanに取り付けた。サンプルキャプチャーを6回のバックグラウンドスキャン及び12回のサンプル収集スキャンに設定した。この分析に使用されたパラメーターは、以下の通りである。
【0179】
【表3】
【0180】
ラマン分光の結果、塩を特徴付けるために使用することができる複数のスペクトルピークを示す。これらは、図16のピーク、例えば、1617.10、1596.95、1449.56、1374.03、1115.24、1062.85、976.50、800.67、740.91及び633.94のいずれか1つ、いずれか2、いずれか3、いずれか4つ、いずれか5つ、いずれか6つ、いずれか7つ、いずれか8つ、いずれか9つ、いずれか10又は及び他のいずれかの組み合せを含む。
【0181】
セレコキシブリチウム塩のPXRDデータ
少量の収集サンプルを0.3mmのガラスPXRDチューブに充填した。チューブをRigaku D/Max Rapid PXRD内に載置し、Cu;46kV/40mA、しぼり:0.3、オメガ軸振動、Pos (°)0〜5、速度1、ファイ軸回転、Pos 360、速度2、収集時間15分に設定した。PXRDパターンは、図17に示すように特徴的なピークを有する。塩を特徴付けるために使用することができるPXRDピークは、図17のピーク、例えば、4.18、9.04、10.705、12.47、15.75、18.71、19.64、20.52、21.55及び23.0のうちいずれか1つもしくはいずれか2、いずれか3、いずれか4、いずれか5、いずれか6、いずれか7、いずれか8、いずれか9、いずれか10又はいずれかの組み合せを含む。
【0182】
実施例9
セレコキシブカリウム塩(MO-116-49A)の製造方法
セレコキシブ100mg(Fako Ilaclari A.S.)を0.35M KOH(水)溶液(水酸化カリウム−スペクトル、Cat# P0180、Lot#PN0690)に、バイアル(シリコンゴムのセプタムキャップで被覆されたテフロン(登録商標)の)中で、カリウム:セレコキシブ比が1.40:1となるように溶解した。得られた溶液を、全ての固体が溶解するまで、時々回転させながら溶解する間中、穏やかに加熱した。全ての固体が溶解した後、溶液を、セプタムキャップに挿入されたステンレス製のスチール針を通して、2日間乾燥窒素を吹きかけることによって乾燥させた。得られた生成物の分析を行った。生成物の特徴付けを、DSC(図18)、TGA(図19)、ラマン分光(図20)及びPXRD(図21) によって行った。
【0183】
セレコキシブカリウム塩(MO-116-49A)のDSCデータ
収集サンプル1.119 mgを、被覆を有するアルミニウム製DSC皿に載置した。その結果を、図18のグラフに示す。
【0184】
セレコキシブカリウム塩(MO-116-49A)のTGAデータ
収集サンプル5.9890 mgをプラチナ製TGA皿に載置した。皿をTA装置Q500 TGA内に載置し、90℃まで、10℃/分で加熱し、10分間保持し、300℃まで10℃/分で昇温し、窒素パージガス40ml/分で10分間保持した。その結果を、図19に示す。25から200℃の間で5.778%の重量損失を示した。データにおけるショルダーは、80℃度で見られる。この時点より前の重量損失は未結合の水が原因である。80から200℃の間の重量損失は結合水に密接に関連しており、水0.64当量を示す。
【0185】
セレコキシブカリウム塩(MO-116-49A)のRamanデータ
収集サンプルの少量をスライドガラスに載置し、Thermo Nicolet Almega Dispersive Ramanに搭載した。サンプルキャプチャーは、6回のバックグラウンドスキャン及び12回のサンプル収集スキャンに設定した。この分析に使用したパラメーターは以下の通りである。
【0186】
【表4】
その結果を図20に示す。限定されないが、1617.66、1448.22、1374.09、976.28、801.60のいずれか1つもしくはいずれか2、いずれか3、いずれか4、いずれか5の組み合わせ又はその3全てを含む位置、あるいは図20の2、3、4、5、6又はそれ以上のピークの組み合わせを含む特徴的なラマンシフト(cm-1)ピークを示す。
【0187】
セレコキシブカリウム塩(MO-116-49A)のPXRDデータ
収集サンプルの少量を0.3mmガラスのPXRDチューブに充填した。チューブをRigaku D/Max Rapid PXRDに載置し、Cu;46kV/40mA、しぼり0.3、オメガ軸振動;Pos(°)0〜5、速度1、ファイ軸回転、Pos 360、速度2、収集時間15分に設定した。PXRDパターンは、図21に示すように特徴的なピークを有する。ピークは、限定されないが、4.03、12.23、15.35及び19.79を含む2θ角で見ることができる。結晶は、上記角度のいずれか1もしくはいずれか2、いずれか3又はいずれか4の組み合わせあるいは図21の2θ角のうちいずれか1又はいずれかの数の組み合わせにより特徴付けることができる。
【0188】
実施例10
セレコキシブカリウム塩(MO-116-55D)の製造方法
本発明のセレコキシブカリウム塩の代替の製造方法を行った。セレコキシブ100mg(市販品)を、シリコンゴムのセプタムキャップを被覆したTEFLONのバイアル中で、トルエン2.2mL及びメタノール0.1mLに溶解した。その溶液を、全ての固体が溶解するまで時々回転させながら溶解する間、穏やかに加熱した。3M KOH(水)溶液を用いたKOH(水酸化カリウム−スペクトルCat#P0180,Lot#PN0690)1.03当量を、その溶液に添加した。層分離が得られた後、下層を除去し、セプタムキャップに挿入されたステンレス製スチール針を通して1日、溶液に乾燥窒素を吹きかけることにより乾燥させた。
分析を行った。生成物の特徴づけは、TGA(図22)、ラマン分光(図23)及びPXRD(図24)によって行った。
【0189】
セレコキシブカリウム塩(MO-116-55D)のTGAデータ
収集サンプル5.4470mgをプラチナ製TGA皿に載置した。皿はTA装置Q500 TGA内に搭載かれ、10℃/分で90℃まで加熱し、10分間保持し、10℃/分で300℃まで昇温し、窒素パージガス40ml/分で10分間保持した。その結果を図22に示す。25から200℃の間で約4.9wt%の重量損失、70から200℃の間にショルダーで約2.9wt%の重量損失を示した。ショルダー前の最初の重量損失は、メタノールの蒸発であるようであり、ショルダー後の重量損失は、過剰水が原因であるようだ。
【0190】
セレコキシブカリウム塩(MO-116-55D)のラマンデータ
収集サンプルの少量をスライドグラスに載置し、Thermo Nicolet Almega Dispersive Ramanに搭載した。サンプルキャプチャーは、6回のバックグラウンドスキャン6及び12回のサンプル収集スキャンを設定した。分光計のパラメーターは以下の通りである。
【0191】
【表5】
【0192】
その結果を図23に示す。限定されないが、1615.51、1446.09、1374.28、1232.91、1197.04、1108.99、1060.94、973.01、798.86、739.82、633.37のうちいずれか1つもしくはいずれか2、いずれか3、いずれか4、いずれか5、いずれか6、いずれか7、いずれか8、いずれか9、いずれか10又は11の全ての組み合わせあるいは図23の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又はそれ以上のピークの組み合わせを含む位置で、特徴的なラマンシフト(cm1)ピークを示す。
【0193】
セレコキシブカリウム塩(MO-116-55D)のPXRDデータ
収集サンプルの少量を0.3mmガラスのPXRDチューブに載置した。チューブはRigaku D/Max Rapid PXRDに搭載し、Cu;46kV/40mA、コリメータが0.3、オメガ軸振動;Pos(°)0-5、速度1、ファイ軸回転、Pos 360、速度2、収集時間は15分に設定した。その結果を図24に示す。
【0194】
実施例11
セレコキシブカルシウム塩(MO-116-62A)の製造方法
セレコキシブ100mg(市販品)を、NaOH:セレコキシブが1:1比になるように、バイアル中で、1M NaOHのメタノール溶液に溶解し、全ての固体が溶解するまで時々回転させながら、穏やかに加熱した。メタノール中の3MCaCl2を、Ca2+:セレコキシブが1.5:1の比になるように加えた。沈殿を、5分間12000rpmに設定されたエッペンドルフ遠心分離機 (5415D)で、チューブフィルター(Corning Inc. Costar(0.22ミクロン)#8169)を使用してろ過した。固体を含むエッペンドルフチューブの上層を、ゴム製のセプタムキャップを備えたバイアル中に充填した。粉末を、セプタムキャップ内に挿入したステンレス製スチール針を通してバイアル内に乾燥窒素を吹きかけることにより、一晩乾燥した。
分析を行った。生成物の特徴づけは、TGA(図25)、ラマン分光(図26)及びPXRD(図27)によって行った。
【0195】
セレコキシブカルシウム塩(MO-116-62A)のTGAデータ
収集サンプル3.4140mgをプラチナ製TGA皿に載置した。皿をTA装置Q500 TGA内に搭載し、10℃/分で90℃まで加熱し、10分間保持し、10℃/分で300℃まで昇温し、窒素パージガス40ml/分で10分間保持した。その結果(図25)では、25から200℃の間で約4.2%の重量損失、70から200℃の間で約3.2%の重量損失を示した。70℃より前の最初の重量損失は、未結合の溶媒に原因がある。70℃の後に見られるショルダーはより密接なメタノールとの結合を失ったためであり、メタノール0.45当量を表す。
【0196】
セレコキシブカルシウム塩(MO-116-62A)ラマンデータ
収集サンプルの少量をスライドグラスに載置し、Thermo Nicolet Almega Dispersive Ramanに搭載した。サンプルキャプチャーは、6回のバックグラウンドスキャン及び12回のサンプル収集スキャンに設定した。
【0197】
【表6】
特徴的なラマンシフト(cm-1)ピークは、限定されないが、1616.99、1598.42、1450.05、1376.57、973.10、800.62、642.20のいずれか1つもしくはいずれか2、いずれか3、いずれか4、いずれか5及びいずれか6又は7つ全ての組み合わせあるいは図20の2、3、4、5、6、7又はそれ以上のピークの組み合わせを含む位置で観察された。
【0198】
セレコキシブカルシウム塩(MO-116-62A)のPXRDデータ
収集サンプルの少量を0.3mmガラスのPXRDチューブの中に充填した。チューブをRigaku D/Max Rapid PXRDに載置し、Cu;46kV/40mA、しぼりが0.3、オメガ軸振動;Pos(°)0-5、速度1、ファイ軸回転、Pos 360、速度2、収集時間15分に設定した。強度ピークは、31.67の2θ角度及び7.82、9.27、20.56及び27.35の低いピークで観察された。先に述べたピークのいずれか1つもしくは2、3、4又は5の組み合わせ、図27のいずれか1、2、3、4、5、6又はそれ以上のピークを塩を特徴付けるために使用することができる。
【0199】
実施例12
中性セレコキシブの比較分析
得られたデータのいくつかの分析を目的として、市販のセレコキシブを、粉末X線回析装置(PXRD)及びラマン分光と同一の分析技術に付した。その結果を、本発明の塩に対する比較として用いた。
【0200】
セレコキシブの比較PXRDデータ
収集サンプルの少量を0.3mmガラスのPXRDチューブの中に充填した。チューブをRigaku D/Max Rapid PXRDに載置し、Cu;46kV/40mA、しぼり0.3、オメガ軸振動;Pos(°)0-5、速度1、ファイ軸回転、Pos 360、速度2、収集時間15分に設定した。その結果を図28に示す。
遊離酸のピークのいくつかは、本発明の組成物に認められている。本発明の組成物を特徴付けるさらなる方法として、遊離酸のピークの特徴を、図28に示されるように、特に本発明の組成物から除外することができる。
【0201】
セレコキシブの比較ラマンデータ
収集サンプルの少量をスライドグラスに載置し、Thermo Nicolet Almega Dispersive Ramanに搭載した。サンプルキャプチャーを6回のバックグラウンドスキャン及び12回のサンプル収集スキャンに設定した。パラメーターは以下の通りである。
【0202】
【表7】
その結果を図29に示す。
【0203】
実施例13
ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)と結晶セレコキシブナトリウム塩水和物とを組み合わせた選択されたPLURONIC賦形剤ベースの固体状製剤を、従来からの乳鉢及び乳棒技術を使用して製造し、擬似胃液中でのセレコキシブ塩の高められた溶解性を示した。
この実施例は、固体状製剤が溶解度を高め、セレコキシブの遊離酸化合物と比較して、セレコキシブ塩が再結晶化/沈殿を抑制することを示す。これらの実施例における好ましい賦形剤を確認し、試験するために使用された方法は、2つの部分からなる。(1)「結晶遅延分析」は溶液中にセレコキシブを過飽和する賦形剤を確認するために使用し、(2)インビトロでの溶解試験を、「結晶遅延分析」結果を変化させるために選択された賦形剤について行った。
【0204】
実施例14
結晶抑制分析
結晶抑制分析−方法
1.表の58の賦形剤を、塩酸200mMを含有する擬似胃液中、2 mg/ml(0.2重量%) の濃度で調製し、150 μlの容量の96ウェルプレートに、同じものを4つ分配した 。2つの対照を使用した。(a)賦形剤を欠いた擬似胃液、及び(b)ビタミンE TPGSを2mg/ml及びHPCを2 mg/ml含んだ擬似胃液。後者の対照を、この賦形剤の組 合せがセレコキシブナトリウム水和物の向上した溶解度を提供するために選択した 。擬似胃液を、塩化ナトリウム2 g/LとトリトンX-100の1 g/Lとを塩酸DI H20に添加することにより調製した。塩酸200mMをpHを調節し、緩衝剤として機能させるために添加した。
【0205】
【表8】
【0206】
2.96ウェルプレートを密閉し、20分間40℃の温度でインキュベートした。インキュベー トの後、プレートシールを除去した。
3.水酸化カリウムに予め溶解した5.5mg/mlの濃度のセレコキシブを、各ウェルに15μl アリコートで分配し、直ちに混合した。これにより、各ウェルに最終セレコキシブ 濃度0.5 ml/mlを与えた。最終的に賦形剤の濃度は1.8 mg/mlであった。
4.予め37℃に加熱されたシャンバーを備える比濁計(Neplelostar Galaxy、 BMG Techn ologies、Durham、NC)を、過飽和セレコキシブの結晶化を抑制するための賦形剤 の能力を分析するために使用した。セレコキシブ及び賦形剤を含む分析プレートを 、任意に透明なシールを使用して密閉し、比濁装置内に載置した。比濁計の記録は 、1時間にわたって溶液における濁度を変化した。ベースラインを超えて濁度の増 加を示す溶液は、セレコキシブが溶液から沈殿することを示す。
【0207】
結晶抑制分析−結果:
図30に、擬似胃液(SGF)における賦形剤の機能としてのセレコキシブの結晶抑制時間を示す。セレコキシブの最終濃度は0.5 mg/mlであった。黒いバーは60分を越える結晶抑制時間を示す。表1に挙げられた賦形剤は、図30からは除外されているが、いかなる測定可能な結晶抑制時間も示さなかった(つまり、1.5分より長い)。58の賦形剤のうち19がセレコキシブの再結晶化/沈殿を抑制することがわかった。興味深いことには、溶解性の分析に反して、HPCのみのとの組み合せよりも長い抑制時間を有したビタミンE TPGS単独では、いかなる抑制時間をも示さなかった。
【0208】
重要なことに、薬物の溶解度を増加させる製剤は、必ずしも溶解性を増加しない。例えば、PCT出願WO 01/78724号によると、トランスクトールPにおけるセレコキシブ遊離酸の溶解度は350 mg/gである。溶解度を高めることに反して、トランスクトールPは遊離酸の溶解性を高めない。再結晶化/沈殿抑制剤及び増強剤との組み合せで使用したとき、トランスクトールPはTmaxまでの時間を延ばし、セレコキシブの濃度が1/2Tmaxより大になる時間を増加させる。さらに、塩の形態の溶解性が遊離酸を含む組成物の溶解性に比べはるかに優れていることがわかった。
【0209】
成功した結晶抑制剤のうち6つのPLURONIC(ポロキサマー)賦形剤の存在は、これらの化合物のさらなる研究を促した。PLURONICはエチレンオキシド−プロピレンオキシドのブロックコポリマーであり、その性質は、コポリマーブロックの比を調節することによってかなり変更することができる(つまり、融点、曇り点、分子量、HLB数、表面張力、界面張力等)。これらの性質についてのさらなる試験は、水中で0.1%の濃度でのこれらのコポリマーの表面張力が、セレコキシブの結晶化を抑制するための能力と相関関係にあることを示した。低い界面張力(つまり、約10dyne/cm未満)又は約42dyne/cm未満の表面張力を有するPLURONIC賦形剤は、高い表面張力又は界面張力を有するPLURONIC賦形剤よりも溶液中でセレコキシブを保持するのにより効果的であった。この観察を、試験されなかったPLURONICの界面データと共に、図31に示す。この相関関係に基づけば、これらの追加のPLURONICの過飽和特性も界面張力と相関関係にある。
【0210】
図31は、水中での選択されたPLURONIC賦形剤の界面張力を示す。低い界面張力をもつPLURONIC賦形剤は擬似胃液中でセレコキシブの結晶化を抑制する賦形剤と相関関係にある。結晶抑制の界面張力の閾値は、約9又は10 dyne/cm未満としておおさっばに定義された。分析における賦形剤濃度は0.18%、セレコキシブ濃度は0.5 mg/mlであった。界面データは、25℃の水対鉱油において0.1%の濃度でBASFにより得られた(PLURONICはBASFの商標である)。
【0211】
実施例15
PLURONIC賦形剤のインビトロでの溶解研究
PLURONIC賦形剤のインビトロでの溶解研究−方法
1.セレコキシブの調製
a. 新鮮なセレコキシブナトリウム塩の水和物を調製し、ナトリウム含量に対して遊離酸約90%として分析した。
b. セレコキシブ塩を、微粉末が形成されるまで乳鉢と乳棒を使用して粉砕した。微粉末は細孔径105μmの振るいを使用してふるいにかけられ、20mlのシンチレーションバイアルの中に室温で保存した。
【0212】
2.製剤の製造
a. 新鮮なPLURONIC賦形剤を乳鉢で調合した。最初に固体が室温であれば、PLURONICを滑らまな粉末が形成されるまで粉砕した。
b.HPCが添加されるのであれば、PLURONIC賦形剤の後で調合する。HPCをPLURONICと混合し、その2つを、乳棒を使用して一緒に粉砕し、1分間へらで混合する。
c. ふるいにかけられたセレコキシブ塩105μmを乳鉢に加え、その混合物を粉砕し、数分間混合する。
d. もし必要であれば、ポロキサマー124、Peg 200又はPeg 400のような液状賦形剤を、造粒液様液体として乳鉢に添加し、薬物と賦形剤との間の完全な接触を形成する。混合物を粉砕し、固体状の混合物において均一な密度が観察されるまで混合する。
【0213】
3.溶解性分析
a. 水浴を37℃に設定した。
b. 断食状態の擬似胃液(SGF)をpH1.7に調節し、脱イオン水で5倍に希釈した。最終pHを約2.4とした。擬似胃液を、薬剤を一杯の水で飲んだ時の作用を擬態するため5倍に希釈した。SGFを37℃に予め加熱した。
c. 製剤を20mlのシンチレーションバイアルに入れた。
d. 10 mm×3 mmの攪拌棒を入れた。
e. 希釈されたSGFを製剤に加えた。添加された容量はセレコキシブの遊離酸2 mg/ml用量を満たすように設定した。
f. バイアルを水浴に入れ、攪拌した。
g. 各時点で、0.9 mlの溶液を抽出し、0.2μmのポリビニルフロリジンフィルターによってろ過した。ろ液の初めの2/3を廃液として捨て、最後の1/3をエッペンドルフチューブに収集した。収集されたろ液のうち0.1mlを即座にオートサンプラーバイアルに移し、メタノール0.9mlで10倍に希釈した。オートサンプラーバイアルをかしめて密閉し、紫外線検出と共に高性能液状クロマトグラフィーを用いて含量分析に供した。
【0214】
PLURONIC賦形剤のインビトロでの溶解性研究−結果
1.低い界面張力を有する2つのPLURONIC賦形剤の溶解性:PLURONIC P123及びF127。PLURONIC P123は室温でペーストであり、セレコキシブ塩の粘稠性の製剤をもたらした。PLURONIC F127は室温で固体であり、セレコキシブ塩との流動性のある粉末固体状混合物を形成した。セレコキシブ遊離酸含量に対する賦形剤の等しい重量濃度でのこれら混合物の溶解性結果を図32に示す。PLURONIC P123はセレコキシブ塩の溶解性を向上させるが、それに対してPLURONIC F127は向上させなかった。PLURONIC F127のセレコキシブ溶解性の向上における不十分な能力は、賦形剤の溶解が遅いためである。反対に、PLURONIC P123は「粘稠性のある」ワックスの塊内でセレコキシブ塩と完全に結合し、それによりセレコキシブの溶解を遅らせる。これによりセレコキシブ塩形の十分な溶解よりも先に、賦形剤をかなりの程度溶解させた。
【0215】
2.セレコキシブナトリウム水和物の溶解を、PLURONIC P123、PLURONIC F127及びPLURONIC F87を使用したHPCの存在下で行った。PLURONIC F87は高い界面張力値を有する。セレコキシブ遊離酸含量に対して、PLURONIC及びHPCを等しい重量濃度で製剤に使用した。PLURONIC P123製剤は賦形剤のペースト状の特性が原因で粘稠である。PLURONIC F127及びF87製剤はこれらの賦形剤が室温で固体であるため、流動性があった。これらの製剤の溶解データを図33に示す。そのデータはPLURONIC P123製剤におけるHPCの添加が溶解プロファイルの拡幅をもたらしたことを示した。PLURONIC F127製剤においては、HPCがそのプロファイルの初期の溶解成分を増大させた(つまり、<10分)。反対に、PLURONIC F87製剤ではいかなる溶解プロファイルも観察されなかった。PLURONIC 87は高い界面張力(17.4 dyne/cm)を有しているので、得られるデータは界面張力と結晶抑制剤の相関関係を裏付ける。PLURONIC P123製剤(つまり、粘稠性があるもの)は、溶解プロファイルが、再結晶/沈澱までの時間に関して、PLURONIC F127製剤(すなわち、ばらばらの粉末)よりも大いに向上したことを示したので、PLURONIC F 127製剤の成分を物理的に結合する賦形剤の添加がさらなる溶解増大をもたらすと仮定した。
【0216】
3.PLURONIC F127及びHPCを使用したセレコキシブナトリウム水和物を、顆粒流体様液を使用して固体状の混合物と結合されるために溶解した。3つの顆粒流体様液、Peg 200、Peg 400及びポロキサマー124を選択した。セレコキシブ遊離酸含量、PLURONIC F127及びHPCを、等しい重量比で、顆粒流体のセレコキシブ遊離酸重量の40-45%で製剤化した。溶解におけるこれら製剤の作用を図34に示す。顆粒流体様液は、おそらくPLURONIC F127がかなりの程度溶解されるまで、セレコキシブ塩と溶解媒質との接触を遅らせることによって、セレコキシブの溶解を増大した。
次いで、セレコキシブナトリウム水和物の溶解を、PLURONIC F127及びHPC賦形剤を含む成形製剤で測定した。セレコキシブの遊離酸含量、PLURONIC F127及びHPCを等しい重量比で含む製剤を混合し、4900psiで6mmディスクに成形した。溶解結果では、図35に示されるように、約15〜20分で抑制が開始して溶解が高められることを示した。成形法では、顆粒流体の追加によって観察されたのと同様の溶解に対する効果とさらなる制御放出メカニズムとをもたらした。プロファイルの制御放出特性は、粘稠性の程度を変化させるHPC又はHPMCを選択し、成形体への崩壊剤の添加によって調整することができる。成形体は、比較的生産コストが低く、製造工程が少ないために魅力的な製剤である。
【0217】
実施例16
結晶抑制分析の一般的な方法
上述した方法は、固形状の活性医薬成分、それらの誘導体及び市場で興味のある他の非医薬組成物が、活性医薬成分で過飽和した溶液からの核形成を抑制する賦形剤を確認することを目的とした本発明の一般的な方法の特定の例である。その方法を、図36で概説し、以下に詳述する。
【0218】
1.賦形剤を、脱イオン(DI)水又は他の媒質(すなわち、擬似胃液又は腸液)に所望の濃度で溶解する。
2.活性医薬成分を、高い溶解度を示す適当な溶媒(すなわち、遊離塩基タイプの活性医薬成分には酸性pH環境及び遊離酸タイプの活性医薬成分には塩基pH環境)に溶解する。
3.賦形剤の溶液を、アッセイプレート(すなわち96ウェル又は384ウェルの光学的に透明なプレート)に、手作業又は自動液体処理装置を使用して分配する。賦形剤を、各ウェルに、単独、2成分、3成分又はより高い次数で賦形剤と賦形剤の組み合わせとして添加してもよい。液体処理装置の例としてTecan Gnesis(Tecan U. S. Inc、Research Triangle Park、NC)が挙げられる。
4.活性医薬成分の溶液を、アッセイプレートに分配する。活性医薬成分の溶液を、ある時点で、Tecan Genesis装置を使用して一つのウェル、列ごと、行ごとに、あるいは、Tecan Genesis装置を使用して同時に全てのウェルに分配してもよい。添加される活性医薬成分の溶液の容量は、賦形剤の溶液の特性にいくらかの変動を与えることを防止するために少量に制限する。
5.溶液を、賦形剤の溶液で活性医薬成分が均一に分散するように混合する。そのプレートを密閉し、所望の温度でインキュベートする。
6.固体状の核形成の発現は、光散乱を測定することが可能な装置を使用して測定する。光散乱測定が可能な装置の例として、NepheloStar nephelometer(BMG Technologies、Durham、NC)及びSPECTRAmax PLUSプレートリーダー(Molecular Devices Corp、Sunnyvale、CA)が挙げられる。温度は、一定の予め規定された設定温度で、光散乱装置のインキュベーション機構によって維持する。
7.複屈折スクリーニング、PXRD等を、沈澱活性医薬成分が非晶質又は結晶質の場合に、測定するために行ってもよい。活性医薬成分が結晶質であれば、晶癖及び粒径を記録してもよい。
8.データを分析し、賦形剤を、それら各々の抑制時間によりランク付けする。
9.情報科学を、核形成を抑制するのに成功した賦形剤と物理的な性質の情報との相関関係を明らかにするために使用してもよい。
【0219】
この方法から得られる一般的な情報
1.賦形剤の関数としての固体状態抑制時間
2.賦形剤の関数としての結晶化動態の定性的な測定
3.賦形剤の溶液での活性医薬成分の最終固体状態の形態分析(すなわち、非晶質、結晶質、晶癖)
【0220】
実施例17
得られるデータの説明
目標:37℃の温度で、液体Fにおいて、化合物Aの固体状核形成を阻害する賦形剤を確認。
【0221】
方法:
1.24の賦形剤溶液をDI水で16 mg/ml濃度に調製した。
2.液体Fを、所望の最終濃度となるように2度にわたって成分を混合することによってDI H20で調製した。
3.活性医薬成分の溶液を、液体Cに濃度5.5 mg/mlで調製した。
4.Tecan Genesis装置を用いて、75μlの液体F、18.75μlの賦形剤溶液及び56.25μlのDI H20の混合液を96−ウェルプレートの各ウェルに分配する。各ウェルでの賦形剤の最終濃度を液体F中2 mg/mlとした。ウェルあたりの液体容量の合計は150μlであった。4つの重複測定のウェルを、それぞれ単一の賦形剤溶液に使用した。その配置を図37に例示する。
5.プレートを透明シール(Part No. 6575; Coming Incorporated、Coming、NY)を使用して密閉し、20分間、40℃でインキュベートした。
6.シールを除去し、活性医薬成分の15μlを、同時に96−ウェルの全てに分配した。各ウェルの活性医薬成分の最終濃度は0.5 mg/mlであった(注意:固体状核形成に対する時間依存は、活性医薬成分の溶液を添加してすぐ始まった)。
7.ウェルの内容物を混合し、透明なシールを使用して密閉した(Part No. 6575;Coming Incorporated、Coming、NY)。
8.プレートを、1時間以上光散乱データを集めるためにNephelostar装置の上に載置した。Nephelostarは分析の目標で規定されるように、37℃でプレートをインキュベートした。
9.分析の最後に、そのデータをマイクロソフトエクセルを使用して分析し、抑制時間を計算した。収集された光散乱データを図38に例示する。固体状核形成の発現を、光散乱信号がベースライン信号より上に増加した場合の時間で規定する。沈澱/結晶事象を規定するために使用された光散乱信号の増加の閾値限界は、通常、バックグラウンドノイズを考慮してベースラインシグナルの標準偏差の三倍に設定される。しかし、閾値は、分析の感度及び沈澱/結晶化の所望の制限によって、種々の値に設定することができる。
10.賦形剤の溶液の抑制時間(もしあれば)をランク付けした。図30はそのランク付けを示すグラフである。
【0222】
この一般的な方法の別の限定しない例として、以下を含む。
1.抑制時間を、賦形剤濃度の関数として測定してもよい。
2.抑制時間を、活性医薬成分の塩又は共結晶の濃度の関数として測定してもよい。
3.活性医薬成分を分析前に非水系媒質で濃縮してもよい。
4.温度は所望の基準にしたがって変化及び制御してもよい。
5.化合物溶液と賦形剤溶液を混合する代わりに、試験賦形剤を、水性/SGF/SIF又はその他の試験溶液(賦形剤のない賦形剤溶液)と混合する前に化合物溶液中の活性医薬成分と混合してもよい。
【0223】
図39は、TGAの結果を示す。約65℃から200℃の間で約15.6%の重量損失が観察された。図40はPXRDの結果を示す。2θ角度で、溶媒和物を特徴付けるために使用されうるピークは、3.77、7.57、8.21、11.33、14.23、16.15、18.69、20.63、22.69及び24.77のうちいずれか1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10又は図40のうち1、2、3、4、5、6、7、8、9、10もしくはそれ以上のピークのうちいずれか一つか、いずれかの組合せを含む。また、グラフのほかのピークも、塩を特徴付けるために単独で又はいくつかの組合せで使用してもよい。
【0224】
実施例18
セレコキシブナトリウム塩のプロピレングリコール溶媒和物
セレコキシブのナトリウム塩のプロピレングリコール溶媒和物を製造した。Et2O(6 mL)でのセレコキシブの溶液(312 mg:0.818mmol)をプロピレングリコール(0.127 ml、1.79mmol)に添加した。この透明な溶液にEtOH中のNaOEt (21%、0.275 1L,0.817 mmol)を添加した。1分後、結晶が形成し始めた。5分後、固体は完全に結晶化した。固体を濾過により収集し、Et20(10 mL)で洗浄した。その後、オフホワイトの固体を空気乾燥し、収集した。これは1:1の溶媒和物であった。その固体を、TGA及びPXRDにより特徴付けした。その結果を図39及び40に示す。
【0225】
実施例19
セレコキシブのカリウム塩のプロピレングリコール溶媒和物を製造した。Et2O(6 Ml)でのセレコキシブの溶液(253 mg、0.664 mmol)にプロピレングリコール(0.075 ml、1.02 mmol)を添加した。その透明な溶液に、THF (1 M、0.66 mL、0.66 mmol)でのKOtBuを添加した。結晶が即座に形成し始めた。5分後、固体は完全に結晶化した。固体を濾過により収集し、Et2O (10 mL)で洗浄した。その後白色の固体を空気乾燥し、収集した。この固体は1:1の溶媒和物であった。その固体を、TGA及びPXRDにより特徴付けた。その結果を図41及び42に示す。
【0226】
図41はTGAの結果を示す。約65から250℃の間で14.94%の重量損失が観察された。図42はPXRDの結果を示す。その溶媒和物を特徴付けるために使用することができるピークは、2θ角度で、3.75、7.47、11.33、14.93、15.65、18.31、20.47、21.71及び24.67の内いずれか1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10又は図42の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10もしくはそれ以上のピークのうちいずれか1つ、又はいずれかの組合せを含む。
【0227】
実施例20
セレコキシブのリチウム塩のプロピレングリコール溶媒和物を製造した。Et20(8 mL)でのセレコキシブの溶液(264 mg,0.693 mmol)にプロピレングリコール(0.075 ml、1.02 mmol)を添加した。この透明な溶液に、ペンタン(1.7 M、0.40 mL、0.68 mmol)でのtBu-Liを添加した。茶色の固体が即座に形成されたが、1分以内に白色の固体を発生させ、溶解した。白色の固体は10分後完全に結晶化した。その固体を濾過により収集し、Et2O(10 mL)で洗浄した。その白色の固体をその後空気乾燥し、収集した。個体は1:1の溶媒和物であった。その固体をTGA及びPXRDにより特徴付けた。
【0228】
TGAの結果を図42に示す。50℃から210℃の間で約16.3%の重量損失を示す。PXRDの結果を図51に示す。塩を特徴付けるために使用することができる2θ角度の特徴的なピークは、3.79、7.51、8.19、9.83、11.41、15.93、18.29、19.19、19.87、20.63、22.01、25.09のうちいずれか1もしくはいずれか2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12の組合せ、あるいは図51のピークのうちいずれか1つ又はいずれかの組合せを含む。
【0229】
実施例21
セレコキシブナトリウムプロピレングリコール三水和物
製造:
a)セレコキシブナトリウム塩プロピレングリコール溶媒和物を3日間、20℃で60% RHに放置することにより、セレオキシブナトリウムプロピレングリコールを形成した(注意:同様に75%、40℃での三水和物の形成)。三水和物は、室温で31から41%のいずれかで形成し始める。
【0230】
TGA及びPXRDの結果を図44に示す。図44はTGAの結果を示しており、ここでは、室温から60℃の間で約9.64%の重量損失が観察され、約60℃から175℃の間で約13.6%の重量損失が観察されたことを示す。
【0231】
PXRDパターンを図45に示す。2θ角度で特徴的なピークを有する。例えば、3.47、6.97、10.37、13.97、16.41、19.45、21.29、22.69、23.87及び25.75を含むいずれか1、2、3、4、5、6、7、8、9又はそれ以上のピークを、溶媒和物を特徴付けるために使用することができる。
【0232】
b)また、 三水和物を、H20の存在下、セレコキシブナトリウムプロピレングリコールの結晶化により形成することができる。Et20(6 mL)、H20(0.025 mL,1.39 mmol)及びプロピレングリコール(0.030 ml,0.408 mmol)中のセレコキシブの溶液(136.2 mg,0.357 mmol)にEtOH (21 wt. %,0.135 mL,0.362 mmol)中のNaOEtを添加した。1分以内に固体が形成され、ろ過により分離した。その固体を、その後追加のEt2O (2.0 mL)で洗浄し、空気乾燥した。この工程は同一のPXRDパターンを実質的に与えるが、H20のわずかな過剰があり、それはおそらく表層水である。
【0233】
TGA及びPXRDの結果を図46に示す。図46はTGAの結果を示し、これは、室温から50℃の間での10.92%の重量損失及び約50℃から195℃の間での約12.95%重量損失が観察されたことを示す。
【0234】
PXRDパターンは、図47で示される2θ角度での特徴的なピークを有する。例えば、3.43、6.95、10.25、13.95、16.39、19.43、21.21、22.61及び25.71を含むいずれか1、2、3、4、5、6、7、8、9又はそれ以上のピークを、溶媒和物を特徴付けるために使用することができる。
【0235】
実施例22
セレコキシブナトリウムiPrOH
Et2O (6.0 mL)でのセレコキシブの溶液(204.2 mg,0.5354 mmol)にiPrOH(0.070 mL)を添加した。この無色の溶液に、MeOHでのNaOMeの溶液(0.5 M、2.52 mL、6.75 mmol)、その後ヘキサン(3.0 mL)を添加した。揮発物を、N2ガス流下、減少させた。白色の固体が形成され、ろ過により収集した。乾燥後、その固体は、TGAにより1.5 iPrOH溶媒和物であることがわかった。
【0236】
DSC、TGA及びPXRD分析の結果を、図48〜50に示す。図48は、ピーク吸熱が67.69℃で観察されたDSC分析の結果を示す。TGAの結果では、図49に示すように、ほぼ室温から約120℃で、約18.23%の重量損失を示した。
PXRDパターンは図50に示す2θ角度で特徴的なピークを有する。例えば、3.43、7.03、10.13、11.75、14.11、16.61、17.61、18.49、19.51、20.97、22.33、22.81及び25.93を含むいずれか1、2、3、4、5、6、7、8、9又はそれ以上のピークを、溶媒和物を特徴付けるために使用することができる。
【0237】
実施例23
セレコキシブ:ニコチンアミド(1:1)の共結晶
セレコキシブ(100 mg、0.26 mmol)とニコチンアミド(32.0 mg、0.26 mmol)をアセトン(2 mL)にそれぞれ溶解した。2つの溶液を混合し、得られた混合物を一晩ゆっくり蒸発させた。沈澱した固体を収集し、特徴付けを行った。共結晶の詳しい特徴付けを、DXC、TGA及びPXRDを使用して行った。DSCの結果では、〜150℃で分解開始を示した。TGAの結果では、117.2及び118.8℃での2段階の相転移及び129.7℃でのシャープな吸熱を示した。PXRDの結果を図52に示す。共結晶を特徴付けるために使用することができる特徴的なピークは、3.77、7.56、9.63、14.76、16.01、17.78、18.68、19.31、20.435、21.19、22.10、23.80、24.70、25.295及び26.73のピークのうち2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14もしくは15のうちいずれか1又はいずれかの組み合わせ、あるいは図52のピークのうちいずれか1又はいずれか2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又はそれ以上のピークのうちいくつかの組み合わせを含む。
【0238】
実施例24
上述したように、セレコキシブナトリウムは変化する水和物である。結晶構造における水和作用を分析するために、セレコキシブナトリウム塩及びセレコキシブナトリウム塩プロピレングリコール溶媒和物を、室温で、17%、31%、59%及び74%の一定相対湿度下、PXRDにより分析した。次の表は異なる相対湿度でのPXRD2θ角度ピークを挙げる。
【0239】
【表9】
【0240】
組成物は、表Xに挙げられたいずれか1又はいずれか2、3、4、5、6、7、8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30又はそれ以上のピークの組合せ、あるいは図53から60のいずれか1又はいずれか2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30又はそれ以上のピークの組合せにより特徴付けられる。
【0241】
実施例25
水和が変化する(セレコキシブの1当量あたりH20の約0.5〜4当量の範囲であると思われている)、複数のセレコキシブナトリウム塩サンプル、すべての形態M1について、PXRDにより分析した。PXRDパターンを、その後共通のピークに基づいて分類した。いくつかのグループは、図61に示すこれらのグループのうちの4つで確認された。グループDは、非晶質及び結晶質のセレコキシブ塩の混合物と一致した。表Yでは、グループA、B及びCに共通するPXRDピークの特徴及び各グループを特定するピークを挙げる。
【0242】
【表10】
ここでの使用において、用語「TPI-336」は、文脈によってセレコキシブ又はセレコキシブ塩を示すことに留意が必要である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬組成物を製造する方法であって、
(1)複数の容器を用意し、
(2)複数の賦形剤溶液を用意し、
(3)複数の化合物溶液を用意し、それぞれ、その中に医薬化合物が溶解しており、
(4)少なくとも1つの賦形剤溶液を1つの化合物溶液とともに、完全な混合液を形成するように各容器に分配し、各混合物の性状は、異なる容器において異なっており、
(5)該混合液をインキュベートし、
(6)固体状の核形成の発現を確認し、
(7)固形状の核形成の発現が抑制された医薬化合物/賦形剤の組み合わせを選択し、
(8)医薬化合物/賦形剤の組み合わせからなる医薬組成物を製造することを含む方法。
【請求項2】
工程(4)における異なる性状は賦形剤又は医薬化合物の同一性又は量を含む請求項1の方法。
【請求項3】
各溶液が水溶液からなる請求項1の方法。
【請求項4】
混合液が胃液又は腸液を擬似する請求項3の方法。
【請求項5】
化合物溶液が過飽和である請求項1の方法。
【請求項6】
複数の容器が複数のウェルプレート形式で存在する請求項1の方法。
【請求項7】
少なくとも分配工程を自動液体ハンドリング装置で行う請求項1の方法。
【請求項8】
完全な混合をミキサーを使用して形成する請求項1の方法。
【請求項9】
混合液をインキュベートする工程を一定の温度で行う請求項1の方法。
【請求項10】
温度をほぼ37とする請求項9の方法。
【請求項11】
固体状の核形成の発現を、混合液の光散乱の測定により決定する請求項1の方法。
【請求項12】
光散乱を比濁計を用いて測定する請求項11の方法。
【請求項13】
医薬組成物/賦形剤の組み合わせを選択する前に、固形状の核形成の生成物の結晶度を測定する工程をさらに含む請求項1の方法。
【請求項14】
結晶度を複屈折スクリーニングにより測定する請求項13の方法。
【請求項15】
請求項1の方法で得られた医薬組成物。
【請求項16】
医薬組成物を製造する方法であって、
(1)複数の容器を用意し、
(2)複数の賦形剤溶液を用意し、
(3)複数の化合物溶液を用意し、それぞれ、その中に医薬化合物が溶解しており、
(4)賦形剤溶液の一つを化合物溶液の一つとともに、完全な混合液を形成するように各容器に分配し、賦形剤は、異なる容器において異なっており、
(5)該混合液をインキュベートし、
(6)固体状の核形成の発現を確認し、
(7)固形状の核形成の発現が抑制された賦形剤を選択し、
(8)医薬化合物と選択された賦形剤とを含む医薬組成物を製造することを含む方法。
【請求項17】
請求項16の方法によって得られた医薬組成物。
【請求項18】
医薬化合物の固体状の核形成の賦形剤が介在する抑制を分析する方法であって、
(1)複数の容器を用意し、
(2)複数の賦形剤溶液を用意し、
(3)複数の化合物溶液を用意し、それぞれ、その中に医薬化合物が溶解しており、
(4)各賦形剤溶液の一つを化合物溶液の一つとともに、完全な混合液を形成するように各容器に分配し、各賦形剤は、異なる容器において異なっており、
(5)該混合液をインキュベートし、
(6)固体状の核形成の発現を確認し、
(7)固体状の核形成の発現時間によって混合液の性状をランク付けすることを含む方法。
【請求項19】
医薬化合物の固体状の核形成を抑制する賦形剤をスクリーニングする方法であって、
(1)複数の容器を用意し、
(2)複数の賦形剤溶液を用意し、
(3)複数の化合物溶液を用意し、それぞれ、その中に医薬化合物が溶解しており、
(4)賦形剤溶液の一つを化合物溶液の一つとともに、完全な混合液を形成するように各容器に分配し、賦形剤は、異なる容器において異なっており、
(5)該混合液をインキュベートし、
(6)固体状の核形成の発現を確認し、
(7)固体状の核形成の発現時間によって混合液の性状をランク付けすることを含む方法。
【請求項20】
(a)胃液条件で低い溶解度を有する薬物の塩形態
(b)再結晶化/沈殿抑制剤、及び
(c)任意に増強剤
を含む医薬組成物であって、
該組成物が、胃液条件で、少なくとも5分間、薬物の再結晶化/沈殿を抑制する医薬組成物。
【請求項21】
再結晶化/沈殿抑制剤が界面活性剤である請求項20の医薬組成物。
【請求項22】
界面活性剤が、10 dyne/cm未満の界面張力又は42 dyne/cm未満の表面張力を有する請求項21の医薬組成物。
【請求項23】
界面活性剤がポロキサマーである請求項22の医薬組成物。
【請求項24】
ポロキサマーが10 dyne/cm未満の界面張力又は42 dyne/cm未満の表面張力を有する請求項23の医薬組成物。
【請求項25】
組成物が増強剤を含む請求項21の医薬組成物。
【請求項26】
組成物が増強剤としてセルロースエステルを含む請求項22の医薬組成物。
【請求項27】
組成物が増強剤としてHPC又はHPMCを含む請求項23の医薬組成物。
【請求項28】
組成物が増強剤としてHPCを含む請求項24の医薬組成物。
【請求項29】
再結晶化/沈殿が少なくとも10分間抑制される請求項26の医薬組成物。
【請求項30】
再結晶化/沈殿が少なくとも15分間抑制される請求項29の医薬組成物。
【請求項31】
再結晶化/沈殿が少なくとも20分間抑制される請求項29の医薬組成物。
【請求項32】
再結晶化/沈殿が少なくとも25分間抑制される請求項29の医薬組成物。
【請求項33】
再結晶化/沈殿が少なくとも30分間抑制される請求項29の医薬組成物。
【請求項34】
再結晶化/沈殿が少なくとも35分間抑制される請求項29の医薬組成物。
【請求項35】
再結晶化/沈殿が少なくとも40分間抑制される請求項29の医薬組成物。
【請求項36】
再結晶化/沈殿が少なくとも45分間抑制される請求項29の医薬組成物。
【請求項37】
再結晶化/沈殿が少なくとも60分間抑制される請求項29の医薬組成物。
【請求項38】
薬物がスルホンアミド薬物を含む請求項20の医薬組成物。
【請求項39】
スルホンアミド薬物がベンゼンスルホンアミドである請求項38の医薬組成物。
【請求項40】
ベンゼンスルホンアミドが、セレコキシブ、デラコキシブ、バルデコキシブ、ロフェコキシブ又はエツリコキシブを含む請求項39の医薬組成物。
【請求項41】
ベンゼンスルホンアミドがアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩の形態である請求項39の医薬組成物。
【請求項42】
37℃で測定された場合、薬物の水溶液が0.1mg/ml以下である請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項43】
37℃で測定された場合、薬物の水溶液が10mg/ml以下である請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項44】
低い水溶性を有する薬物の過飽和濃度を与える医薬組成物の製造方法であって、その方法が、請求項20の成分(a)、(b)及び(c)が一緒に完全に混合する工程を含む方法。
【請求項45】
薬物がスルホンアミド薬物を含む請求項44の方法。
【請求項46】
スルホンアミド薬物がベンゼンスルホンアミドを含む請求項45の方法。
【請求項47】
ベンゼンスルホンアミドが、セレコキシブ、デラコキシブ、バルデコキシブ、ロフェコキシブ又はエツリコキシブを含む請求項46の方法。
【請求項48】
ベンゼンスルホンアミドがアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩の形態である請求項47の方法。
【請求項49】
37℃で測定された場合、薬物の水溶液が0.1mg/ml以下である請求項44に記載の方法。
【請求項50】
37℃で測定された場合、薬物の水溶液が10mg/ml以下である請求項44に記載の方法。
【請求項51】
塩がアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩である請求項20の医薬組成物。
【請求項52】
金属がナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム又はマグネシウムである請求項52の医薬組成物。
【請求項53】
塩が結晶である請求項52の医薬組成物。
【請求項54】
請求項20に記載の医薬組成物であって、
(a)経口投与された組成物のバイオアベイラビリティが少なくとも70%、
(b)経口投与された組成物のバイオアベイラビリティが少なくとも80%、
(c)経口投与された組成物のバイオアベイラビリティが少なくとも85%、
(d)経口投与された組成物のバイオアベイラビリティが少なくとも90%、
(e)経口投与された組成物のバイオアベイラビリティが少なくとも95%、
(f)インビボ又はインビトロでの溶解性分析において、Cmaxが中和形より少なくとも2倍大きい、
(g)インビボ又はインビトロでの溶解性分析において、Cmaxが中和形より少なくとも3倍大きい、
(h)インビボ又はインビトロでの溶解性分析において、Cmaxが中和形より少なくとも4倍大きい、
(i)インビボ又はインビトロでの溶解性分析において、Cmaxが中和形より少なくとも5倍大きい、
(j)インビボ又はインビトロでの溶解性分析において、Cmaxが中和形より少なくとも10倍大きい、インビボ又はインビトロでの溶解性分析において、Cmaxが中和形より少なくとも2倍大きい、
(k)インビボ又はインビトロでの溶解性分析において、Cmaxが中和形より少なくとも25倍大きい、
(l)インビボ又はインビトロでの溶解性分析において、Cmaxが中和形より少なくとも50倍大きい、
(m)インビボ又はインビトロでの溶解性分析において、Cmaxが中和形より少なくとも100倍大きい、
(n)インビボ又はインビトロでの溶解性分析において、Cmaxが中和形より少なくとも250倍大きい、
(o)インビボ又はインビトロでの溶解性分析において、Cmaxが中和形より少なくとも500倍大きい、
(p)インビボ又はインビトロでの溶解性分析において、Cmaxが中和形より少なくとも750倍大きい、
(q)インビボ又はインビトロでの溶解性分析において、Cmaxが中和形より少なくとも1000倍大きい、
(r)組成物のバイオアベイラビリティが中和型よりも少なくとも50%大きい、
(s)組成物のバイオアベイラビリティが中和型よりも少なくとも75%大きい、
(t)組成物のバイオアベイラビリティが中和型のバイオアベイラビリティの少なくとも2倍、
(u)組成物のバイオアベイラビリティが中和型のバイオアベイラビリティの少なくとも3倍、
(v)組成物のバイオアベイラビリティが中和型のバイオアベイラビリティの少なくとも4倍、
(w)組成物のバイオアベイラビリティが中和型のバイオアベイラビリティの少なくとも5倍、又は
(x)組成物のバイオアベイラビリティが中和型のバイオアベイラビリティの少なくとも10倍である医薬組成物。
【請求項1】
医薬組成物を製造する方法であって、
(1)複数の容器を用意し、
(2)複数の賦形剤溶液を用意し、
(3)複数の化合物溶液を用意し、それぞれ、その中に医薬化合物が溶解しており、
(4)少なくとも1つの賦形剤溶液を1つの化合物溶液とともに、完全な混合液を形成するように各容器に分配し、各混合物の性状は、異なる容器において異なっており、
(5)該混合液をインキュベートし、
(6)固体状の核形成の発現を確認し、
(7)固形状の核形成の発現が抑制された医薬化合物/賦形剤の組み合わせを選択し、
(8)医薬化合物/賦形剤の組み合わせからなる医薬組成物を製造することを含む方法。
【請求項2】
工程(4)における異なる性状は賦形剤又は医薬化合物の同一性又は量を含む請求項1の方法。
【請求項3】
各溶液が水溶液からなる請求項1の方法。
【請求項4】
混合液が胃液又は腸液を擬似する請求項3の方法。
【請求項5】
化合物溶液が過飽和である請求項1の方法。
【請求項6】
複数の容器が複数のウェルプレート形式で存在する請求項1の方法。
【請求項7】
少なくとも分配工程を自動液体ハンドリング装置で行う請求項1の方法。
【請求項8】
完全な混合をミキサーを使用して形成する請求項1の方法。
【請求項9】
混合液をインキュベートする工程を一定の温度で行う請求項1の方法。
【請求項10】
温度をほぼ37とする請求項9の方法。
【請求項11】
固体状の核形成の発現を、混合液の光散乱の測定により決定する請求項1の方法。
【請求項12】
光散乱を比濁計を用いて測定する請求項11の方法。
【請求項13】
医薬組成物/賦形剤の組み合わせを選択する前に、固形状の核形成の生成物の結晶度を測定する工程をさらに含む請求項1の方法。
【請求項14】
結晶度を複屈折スクリーニングにより測定する請求項13の方法。
【請求項15】
請求項1の方法で得られた医薬組成物。
【請求項16】
医薬組成物を製造する方法であって、
(1)複数の容器を用意し、
(2)複数の賦形剤溶液を用意し、
(3)複数の化合物溶液を用意し、それぞれ、その中に医薬化合物が溶解しており、
(4)賦形剤溶液の一つを化合物溶液の一つとともに、完全な混合液を形成するように各容器に分配し、賦形剤は、異なる容器において異なっており、
(5)該混合液をインキュベートし、
(6)固体状の核形成の発現を確認し、
(7)固形状の核形成の発現が抑制された賦形剤を選択し、
(8)医薬化合物と選択された賦形剤とを含む医薬組成物を製造することを含む方法。
【請求項17】
請求項16の方法によって得られた医薬組成物。
【請求項18】
医薬化合物の固体状の核形成の賦形剤が介在する抑制を分析する方法であって、
(1)複数の容器を用意し、
(2)複数の賦形剤溶液を用意し、
(3)複数の化合物溶液を用意し、それぞれ、その中に医薬化合物が溶解しており、
(4)各賦形剤溶液の一つを化合物溶液の一つとともに、完全な混合液を形成するように各容器に分配し、各賦形剤は、異なる容器において異なっており、
(5)該混合液をインキュベートし、
(6)固体状の核形成の発現を確認し、
(7)固体状の核形成の発現時間によって混合液の性状をランク付けすることを含む方法。
【請求項19】
医薬化合物の固体状の核形成を抑制する賦形剤をスクリーニングする方法であって、
(1)複数の容器を用意し、
(2)複数の賦形剤溶液を用意し、
(3)複数の化合物溶液を用意し、それぞれ、その中に医薬化合物が溶解しており、
(4)賦形剤溶液の一つを化合物溶液の一つとともに、完全な混合液を形成するように各容器に分配し、賦形剤は、異なる容器において異なっており、
(5)該混合液をインキュベートし、
(6)固体状の核形成の発現を確認し、
(7)固体状の核形成の発現時間によって混合液の性状をランク付けすることを含む方法。
【請求項20】
(a)胃液条件で低い溶解度を有する薬物の塩形態
(b)再結晶化/沈殿抑制剤、及び
(c)任意に増強剤
を含む医薬組成物であって、
該組成物が、胃液条件で、少なくとも5分間、薬物の再結晶化/沈殿を抑制する医薬組成物。
【請求項21】
再結晶化/沈殿抑制剤が界面活性剤である請求項20の医薬組成物。
【請求項22】
界面活性剤が、10 dyne/cm未満の界面張力又は42 dyne/cm未満の表面張力を有する請求項21の医薬組成物。
【請求項23】
界面活性剤がポロキサマーである請求項22の医薬組成物。
【請求項24】
ポロキサマーが10 dyne/cm未満の界面張力又は42 dyne/cm未満の表面張力を有する請求項23の医薬組成物。
【請求項25】
組成物が増強剤を含む請求項21の医薬組成物。
【請求項26】
組成物が増強剤としてセルロースエステルを含む請求項22の医薬組成物。
【請求項27】
組成物が増強剤としてHPC又はHPMCを含む請求項23の医薬組成物。
【請求項28】
組成物が増強剤としてHPCを含む請求項24の医薬組成物。
【請求項29】
再結晶化/沈殿が少なくとも10分間抑制される請求項26の医薬組成物。
【請求項30】
再結晶化/沈殿が少なくとも15分間抑制される請求項29の医薬組成物。
【請求項31】
再結晶化/沈殿が少なくとも20分間抑制される請求項29の医薬組成物。
【請求項32】
再結晶化/沈殿が少なくとも25分間抑制される請求項29の医薬組成物。
【請求項33】
再結晶化/沈殿が少なくとも30分間抑制される請求項29の医薬組成物。
【請求項34】
再結晶化/沈殿が少なくとも35分間抑制される請求項29の医薬組成物。
【請求項35】
再結晶化/沈殿が少なくとも40分間抑制される請求項29の医薬組成物。
【請求項36】
再結晶化/沈殿が少なくとも45分間抑制される請求項29の医薬組成物。
【請求項37】
再結晶化/沈殿が少なくとも60分間抑制される請求項29の医薬組成物。
【請求項38】
薬物がスルホンアミド薬物を含む請求項20の医薬組成物。
【請求項39】
スルホンアミド薬物がベンゼンスルホンアミドである請求項38の医薬組成物。
【請求項40】
ベンゼンスルホンアミドが、セレコキシブ、デラコキシブ、バルデコキシブ、ロフェコキシブ又はエツリコキシブを含む請求項39の医薬組成物。
【請求項41】
ベンゼンスルホンアミドがアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩の形態である請求項39の医薬組成物。
【請求項42】
37℃で測定された場合、薬物の水溶液が0.1mg/ml以下である請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項43】
37℃で測定された場合、薬物の水溶液が10mg/ml以下である請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項44】
低い水溶性を有する薬物の過飽和濃度を与える医薬組成物の製造方法であって、その方法が、請求項20の成分(a)、(b)及び(c)が一緒に完全に混合する工程を含む方法。
【請求項45】
薬物がスルホンアミド薬物を含む請求項44の方法。
【請求項46】
スルホンアミド薬物がベンゼンスルホンアミドを含む請求項45の方法。
【請求項47】
ベンゼンスルホンアミドが、セレコキシブ、デラコキシブ、バルデコキシブ、ロフェコキシブ又はエツリコキシブを含む請求項46の方法。
【請求項48】
ベンゼンスルホンアミドがアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩の形態である請求項47の方法。
【請求項49】
37℃で測定された場合、薬物の水溶液が0.1mg/ml以下である請求項44に記載の方法。
【請求項50】
37℃で測定された場合、薬物の水溶液が10mg/ml以下である請求項44に記載の方法。
【請求項51】
塩がアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩である請求項20の医薬組成物。
【請求項52】
金属がナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム又はマグネシウムである請求項52の医薬組成物。
【請求項53】
塩が結晶である請求項52の医薬組成物。
【請求項54】
請求項20に記載の医薬組成物であって、
(a)経口投与された組成物のバイオアベイラビリティが少なくとも70%、
(b)経口投与された組成物のバイオアベイラビリティが少なくとも80%、
(c)経口投与された組成物のバイオアベイラビリティが少なくとも85%、
(d)経口投与された組成物のバイオアベイラビリティが少なくとも90%、
(e)経口投与された組成物のバイオアベイラビリティが少なくとも95%、
(f)インビボ又はインビトロでの溶解性分析において、Cmaxが中和形より少なくとも2倍大きい、
(g)インビボ又はインビトロでの溶解性分析において、Cmaxが中和形より少なくとも3倍大きい、
(h)インビボ又はインビトロでの溶解性分析において、Cmaxが中和形より少なくとも4倍大きい、
(i)インビボ又はインビトロでの溶解性分析において、Cmaxが中和形より少なくとも5倍大きい、
(j)インビボ又はインビトロでの溶解性分析において、Cmaxが中和形より少なくとも10倍大きい、インビボ又はインビトロでの溶解性分析において、Cmaxが中和形より少なくとも2倍大きい、
(k)インビボ又はインビトロでの溶解性分析において、Cmaxが中和形より少なくとも25倍大きい、
(l)インビボ又はインビトロでの溶解性分析において、Cmaxが中和形より少なくとも50倍大きい、
(m)インビボ又はインビトロでの溶解性分析において、Cmaxが中和形より少なくとも100倍大きい、
(n)インビボ又はインビトロでの溶解性分析において、Cmaxが中和形より少なくとも250倍大きい、
(o)インビボ又はインビトロでの溶解性分析において、Cmaxが中和形より少なくとも500倍大きい、
(p)インビボ又はインビトロでの溶解性分析において、Cmaxが中和形より少なくとも750倍大きい、
(q)インビボ又はインビトロでの溶解性分析において、Cmaxが中和形より少なくとも1000倍大きい、
(r)組成物のバイオアベイラビリティが中和型よりも少なくとも50%大きい、
(s)組成物のバイオアベイラビリティが中和型よりも少なくとも75%大きい、
(t)組成物のバイオアベイラビリティが中和型のバイオアベイラビリティの少なくとも2倍、
(u)組成物のバイオアベイラビリティが中和型のバイオアベイラビリティの少なくとも3倍、
(v)組成物のバイオアベイラビリティが中和型のバイオアベイラビリティの少なくとも4倍、
(w)組成物のバイオアベイラビリティが中和型のバイオアベイラビリティの少なくとも5倍、又は
(x)組成物のバイオアベイラビリティが中和型のバイオアベイラビリティの少なくとも10倍である医薬組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【公表番号】特表2006−500377(P2006−500377A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−530963(P2004−530963)
【出願日】平成15年6月20日(2003.6.20)
【国際出願番号】PCT/US2003/019574
【国際公開番号】WO2004/000284
【国際公開日】平成15年12月31日(2003.12.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
TEFLON
【出願人】(505036065)トランスフォーム・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (16)
【氏名又は名称原語表記】TRANSFORM PHARMACEUTICALS, INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年6月20日(2003.6.20)
【国際出願番号】PCT/US2003/019574
【国際公開番号】WO2004/000284
【国際公開日】平成15年12月31日(2003.12.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
TEFLON
【出願人】(505036065)トランスフォーム・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (16)
【氏名又は名称原語表記】TRANSFORM PHARMACEUTICALS, INC.
【Fターム(参考)】
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