説明

改善された熱可塑性ポリオレフィンアロイ及びそれらを生産する方法

(ノッチ付)アイゾッド衝撃強さを有する熱可塑性ポリオレフィンアロイおよびその生産方法を開示する。本発明のアロイはベースポリマーとしてのポリプロピレンブロックコポリマー、エラストマー、相溶化材および状況に応じて天然充填剤を含み、そして上記の構成成分を二軸スクリュー押出機で溶融配合することにより生産される。本発明のポリオレフィンアロイは60〜90cm/cmという非常に高い(ノッチ付)アイゾッド衝撃強さ、6000〜8000kg/cmの曲げ弾性率、150〜200kg/cmの引張り降伏応力、および4.6kgfの応力で60〜70℃の熱撓み温度を示す。このアロイはまた、ASTM D1238に基づく試験で2〜5g/10分のメルトフローインデックスも有し、高い衝撃強さが要求される最終製品を生産するために射出成型、圧縮成型、熱成型、その他の従来技術が適用されることを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は改善された熱可塑性ポリオレフィンアロイに関する。特に、本発明は二軸スクリュー押出成型機(またはバスコニーダー(Buss-co-kneader))での溶融配合により生産された相溶化ポリプロピレンコポリマー配合物に関する。この本発明の相溶化配合物は、適当な濃度のエラストマーと適した相溶化剤と、天然充填剤はあってもなくてもよい、がある場合に、高いノッチ付衝撃強さを示す。本発明はまた、改善された熱可塑性ポリオレフィンアロイの生産方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー配合物は、この20〜30年で、現行のポリマーの商業的成長速度を少なくとも2〜5パーセント上回るペースで、相当な商業的成長をしている。商業用ポリマーは表層剥離や延性の喪失に対抗するために、この構成物間である程度の相溶性を持つように設計または選択のどちらかがされている。相溶性は、ここではこのポリマー構成物が、分子的に混和する層または形態的に別個の層のいずれとしても共存するが、界面で表層剥離性向を有することはなく配合物を安定化させる能力として捉えることができる。
【0003】
非常に混和しにくい商業用ポリマー同士の相溶化は、それゆえにこの業界におけるポリマー配合技術者にとって技術的により挑戦的な課題となっている。しかしながら近年、この構成物間の界面張力を効果的に減少させて有用なレベルの延性や表層剥離抵抗を得つつ、一方で同時にプロセスの影響に対抗してこの形態を安定化する、グラフトまたはブロックコポリマーまたは他の界面仲介剤に基づく相溶化剤の利用において重大な進歩がとげられた。商業用ポリマー配合物における界面の相溶化は一般に反応性の押出成型を通じて成し遂げられ、そこではこのブロックまたはグラフトコポリマーの相溶化剤がその場で、すなわちこの溶解配合中にこの界面で、生成される。
【0004】
多くの商業的ポリマー配合物は、応力集中下でのこの配合物の衝撃強さを改善するためのエラストマーをしばしば含む。このエラストマーの分散がこの母材層またはこの分散ポリマー層またはこれらの両方の層の内部で、この配合物の要求や破損挙動に応じて、思慮深く行われる。混和できないまたは部分的に混和可能な配合物のこの衝撃強さを決定する圧倒的な要因は、その配合システムに本来備わっているかあるいはその配合システムに設計されている界面の相溶化のその程度および効果である。この界面の付着性または相溶化が乏しい場合、このエラストマーの分散だけでは強靱性を改善しない。高レベルの(ノッチ付)アイゾッド衝撃強さと適度な剛性を兼ね合わせることが本発明の主要な要点となっている。
【0005】
この分野ではいくつかの発明があり、多くの特許が付与されている。ケリー,J.M.に付与された米国特許第5,030,694号(1991年)は、エチレン−プロピレンコポリマーとEPDMと、相当のメルトフローインデックス、衝撃強さおよび曲げ弾性率の特性を示すいくつかの有機過酸化物との配合物を説明する。三井石油化学工業社に付与された欧州特許第132,968号(1985年)はエチレン−プロピレンコポリマーと、ランダムなエチレン−α−オレフィンコポリマーゴムと、硬質性だけでなく十分な耐衝撃性も提供するタルクのような天然充填剤との配合物を教える。日産自動車株式会社と三菱油化株式会社に付与された英国特許第2,246,358号(1992年)はエチレン−プロピレンコポリマーと、EPRと、卓越した流動性、耐衝撃性および曲げ性を示すタルクとの配合物を説明する。日本石油化学株式会社と日本油脂に付与された欧州特許第435,247号(1991年)はポリプロピレンと、衝撃抵抗性だけでなく優れた成型性と熱抵抗性を提供する多層プロピレン−ビニルモノマーグラフトコポリマーの配合物を明らかにする。ダイナミックノーベル社に付与されたドイツ特許第3,520,151号(1986年)は部分的に結晶質のEPポリマーと、ポリプロピレンの均質物またはコポリマーと、ポリエチレンと、高い耐衝撃性、優れた耐候性の特性を示す有機過酸化物との配合物を説明する。三井東圧化学株式会社に付与された日本特許第04,258,652号(1992年)は、高い衝撃強さと透明性を示す、シンジオタクチックPPとエチレン特性コポリマーの配合物の生産を明らかにする。類似の特性がプロピレンポリマーと熱可塑性エラストマーと含リン芳香族化合物金属塩との配合物によって示されることが、三井東圧化学株式会社に付与された日本特許第04,96,947号で説明された。東燃化学株式会社とトヨタ自動車株式会社に付与された日本特許第03,252,436号(1991年)は、優れた熱および衝撃耐性を示すエチレン−プロピレンブロックコポリマー、EPR、非結晶質ナイロンと改良されたPPの配合物を説明する。出光石油化学株式会社に付与された日本特許第03,168,233号(1991年)は改善された衝撃強さと耐候性を示すPPとエラストマーの配合物を説明する。日本合成ゴム株式会社は、相当の衝撃強さを示す、熱可塑性の樹脂、ゴム、架橋モノマーおよびその他添加物の配合物に対して、日本特許第02,191,656号(1990年)を受けた。同社は耐性を有するポリオレフィン配合物に対して別の日本特許第02,49,043号(1990年)を付与されている。ポリオレフィン系でない材料による高い耐衝撃性材料の発明もなされている。出光石油株式会社と日本ゼオン株式会社に付与された欧州特許第297,517号(1989年)は、優れた低温衝撃耐性と耐溶剤性の特性を示す、ポリカーボネートとビニル/多官能価ビニルモノマーから得られるグラフトコポリマーの配合物を説明する。ゼネラルモータースに付与された米国特許第4,673,722号(1987年)は、相当の衝撃強さを提供するナイロンとポリ尿素の配合物を明らかにする。
【0006】
上記のすべての特許において、衝撃耐性に最大の重要性が与えられている。高い耐衝撃性材料に対する要求は、新しくかつ革新的な設備等のよりいっそうの工業化と発展を伴う、いくつかの装置におけるそれらの材料の応用がこれまで進むにつれて、増大してきている。費用効果が高く、非常に高い衝撃強さと適当な剛性と熱撓み温度を有するポリオレフィン配合物に対する要求を満たすために、本発明が実施される。本発明で開示されるこの配合物はいくつかの用途、いくつか例を挙げると、金型成型されたカバン、家具、車体パネルおよび自動車の部品のような用途、で利用することが可能である。
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,030,694号明細書
【特許文献2】欧州特許第132,968号明細書
【特許文献3】英国特許第2,246,358号明細書
【特許文献4】欧州特許第435,247号明細書
【特許文献5】ドイツ特許第3,520,151号明細書
【特許文献6】日本特許第04,258,652号明細書
【特許文献7】日本特許第04,96,947号明細書
【特許文献8】日本特許第03,252,436号明細書
【特許文献9】日本特許第03,168,233号明細書
【特許文献10】日本特許第02,191,656号明細書
【特許文献11】日本特許第02,49,043号明細書
【特許文献12】欧州特許第297,517号明細書
【特許文献13】米国特許第4,673,722号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ポリプロピレンブロックコポリマーとEPDMまたはEPRからなる相溶化した配合物を提供すること、そして適当な相溶化剤を使用することによって混和性を高めることである。
【0009】
本発明の別の目的は、二軸スクリュー押出成型機またはバスコニーダー(Buss-co-kneader)を使用して、相溶化したポリオレフィン配合物またはアロイを提供することである。
【0010】
本発明のさらなる別の目的は、非常に高い(ノッチ付)アイゾッド衝撃強さ、すなわち60〜90kg cm/cm、曲げ弾性率6,000〜8,000kg/cm、熱撓み温度60〜70℃を示す、ポリプロピレンコポリマー、EPDMまたはEPR、適当な相溶化剤およびその他添加物からなるアロイを提供することであり、そしてこれにより射出成型、圧縮成型、熱成型、およびその他の従来技術が、最終製品の作製のために適用されることが可能となる。
【0011】
さらに本発明の別の目的は、適当な曲げ弾性率とともに非常に高い(ノッチ付)アイゾッド衝撃強さを示す最終製品を作製するために適しており、費用効果の高いポリオレフィンアロイの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、このEPDMまたはEPRと適当な相溶化剤を有し、充填剤を含むまたは含まない、ポリプロピレンコポリマーアロイの生産方法に関するものであって、このアロイは共同して回転する二軸スクリュー押出成型機またはバスコニーダー(Buss-co-kneader)で、一括してまたは別バッチで、この押出成型温度は125〜240℃の範囲、スクリュー回転速度は50〜100rpmの範囲に保ちつつ、溶融配合されるものである。
【0013】
本発明の一実施態様では、このポリプロピレンコポリマーは、(ASTM D1238に従って)230℃/2.16kg荷重で試験をした場合に、1〜4g/10分の範囲にあるメルトフローインデックスを有し、そしてエチレン含量が55〜65質量パーセントの範囲にあって、プロセス時の比重が0.86〜0.90であって、ムーニー粘度[ML(1+4)125℃]は36〜77の範囲にあるEPDM、またはEPRを有する。
【0014】
本発明の一実施態様では、このアロイは、主要な相として50〜95質量パーセントの濃度範囲のポリプロピレンコポリマーから構成される。
【0015】
本発明の別の実施態様では、このアロイは2つのイオノマー、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−アクリロニトリルコポリマー(SAN)および無水マレイン酸でグラフトされたポリプロピレンコポリマー(PPBC−g−MAH)からなる群から得られた、5〜30質量パーセントの範囲の濃度にある相溶化剤から構成される。
【0016】
本発明の別の実施態様では、このアロイは天然充填剤からも構成される。この天然充填剤は炭酸カルシウム、タルクおよびマイカからなる群から選択され、好ましい粒子サイズは10〜30μmの範囲にあって、適当な付着を増進する表面処理がされており、0〜10質量パーセントの範囲の濃度である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の別の実施態様では、このアロイはASTM D1238標準方法に基づいて試験をしたときに、2〜5g/10分の範囲にあるメルトフローレートを示す。
【0018】
本発明のさらなる実施態様では、このアロイは、ASTM D256試験方法に従って、射出成型した3.2mm厚の試料(ASTM D638に記載されているタイプ1の引張り試験片の中間部分を切断したもの)を使用して試験をしたとき、60〜90kg cm/cmの範囲のアイゾッド衝撃強さ(ノッチ付試料)を示し、そして6.4mm厚の試料を使用して試験をしたときは、50〜70kg cm/cmを示す。
【0019】
本発明のさらに別の実施態様では、このアロイが、ASTM D790に基づいて試験をしたときに、6,000〜8,000kg/cmの範囲にある曲げ弾性率を示す。
【0020】
本発明の別の実施態様では、このアロイが、射出成型した試験試料を使用してASTM D638に基づいて試験をしたときに、150〜200kg/cmの範囲にある引張り強さを示す。
【0021】
本発明の別の実施態様では、このアロイが、ASTM D648に基づいて試験をしたときに、本発明品に与えられる応力が4.6kgfで60〜70℃の範囲にある熱撓み温度を示し、そして応力が18.2kgfで45〜55℃の範囲にある熱撓み温度を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
ポリオレフィンポリマー、つまり、プロピレンエチレンブロックコポリマー(PPBC)は、本発明を実施するために好ましい母材材料であった。それは重合した後すぐにこの安定化剤と抗酸化物質を適当に添加した後にグラニュールの形態で得られた。このグラニュールは80±5℃で2時間、好ましくは空気循環設備を有する炉で、乾燥される。好ましいグラニュール形態の、エラストマー、エチレンプロピレンコポリマーゴム(EPR)またはエチレン−プロピレン−ジエンモノマー(EPDM)もまた別々に空気循環設備を伴った炉で、好ましい80±5℃の温度で、2時間の間、乾燥される。二つのイオノマー、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−アクリロニトリルコポリマー(SAN)および無水マレイン酸でグラフトされたポリプロピレンコポリマー(PPBC−g−MAH)からなる群から選択された相溶化剤もまた上記と同じ温度で、同じ時間乾燥される。同様に、マイカ、タルクおよび炭酸カルシウムからなる群から得られた、好ましくは粒子サイズが10〜30μmの範囲にある天然充填剤もまた上記で述べた同じ温度で、同じ時間乾燥される。
【0023】
特別に設計されたスクリュー外形を有する、二軸スクリュー押出成型機またはバスコニーダー(Buss-co-kneader)を用いる、この溶融配合の目的は、このエラストマーをできるだけ微細な粒子に粉砕し、そしてそれらをこのポリプロピレンブロックコポリマー内に均一に分散することである。適当な相溶化剤の存在と関連するこの均質性は、望まれる機械的特性、特に強化された衝撃強さ、を示すアロイをもたらすであろう。
【0024】
乾燥したPPBC、エラストマー、相溶化剤が、充填剤とともにまたは充填剤はなしで、その他内容物とともに以下に挙げる組成でタンブル混合される。PPBC 50〜59質量パーセント、EPR/EPDM 5〜50質量パーセント、相溶化剤 5〜30質量パーセント、充填剤 0〜10質量パーセント、開始剤、硫黄およびその他添加剤、すなわちモノステアリン酸グリセリン、Tinuvin−770、Tinuvin−327、B−blend−225およびChimmasorb、Tinuvin−622とベンゾフェノンを組合せたもの それぞれ0.01〜0.10phr。このタンブル混合された乾燥混合物は、共同して回転するスクリューを有し、好ましいスクリュー外形を有する、二軸スクリュー押出成型機(またはバスコニーダー(Buss-co-kneader))で、以下の条件、すなわち温度範囲125〜240℃、スクリュー速度50〜100rpm、滞留時間0.5〜5.0分で、押出し成型される。この押出し成型したものは循環冷却水に浸され、そして長さ3〜4mmのグラニュールになるよう刻まれる。
【0025】
この押出し成型されたグラニュールは乾燥され、そしてそれから引張り強さ、曲げ弾性率、ノッチ付アイゾッド衝撃強さおよび熱撓み温度のような様々な性能特性を評価するためのASTM標準試験試料に射出成型される。射出成型は、運転範囲が130〜230℃である4つの加熱区域を有し、射出圧力(6つの工程に適用される)60〜100kg/cm、射出時間(6つの工程)2〜6秒、スクリュー速度(2つの工程)90〜105rpmの範囲で運転される、コンピューター制御の射出成型機を使って実施される。このようにして得られた、この標準試験試料はこの(上述の)アロイの様々な機械的特性をASTM標準試験方法に従って試験するために使用される。
【0026】
他の試験、例えばメルトフローインデックス、結晶化速度(示差走査熱量計を使用する)および充填剤含有量(熱重量分析機を使用する)のような試験は、このアロイの乾燥グラニュールを使用して実施される。このエラストマーと充填剤の分散は、この射出成型された曲げ試験片から切り出した薄いマイクロトーム断面を使い、偏向光学顕微鏡を使って調査された。
【0027】
ゴムの強化は、ほとんどの場合で利用される、ポリマーのこの衝撃耐性を改善する方法である。耐衝撃性を改良した材料では、その構成物の組成、すなわちそれらの混和性およびその形態が、その配合物における変形や不具合のメカニズムに影響を与える。このエラストマーの粒子サイズ、すなわちこの母材でのその分散性およびその付着性(適当な相溶化剤の使用により要求される場合である)、もまたこの配合物の強靱性を決定する重要な因子である。
【0028】
EPDM/EPRを伴うPPBC配合物の場合、このエラストマーがそのPPBCの結晶化度を減らし、そしてその不具合のメカニズムに重大な影響を与えることを見つけた。硬質ポリマーにおけるプラスチック変形のメカニズムの原因となる、ひび割れとせん断降伏の両方が、これらの配合物において同時に作用することを見つけた。これらの2つのメカニズムはお互いに矛盾するものではなく、ある条件下では両方が同時に作用する。これらはこの母材材料、すなわちPPBCの強化の原因となることを見つけた。
【0029】
本発明は以下の例によってさらに詳細に説明されるが、その目的は単に本発明を明らかにすることであって、その範囲を限定することではない。
【実施例】
【0030】
例1
60質量パーセントのポリプロピレンコポリマー乾燥グラニュールを、濃度20質量パーセントの乾燥EPDM、乾燥した好ましい相溶化剤である5質量パーセントのスチレン−アクリロニトリルコポリマー(SAN)と5質量パーセントの無水マレイン酸でグラフトされたPPBC(PPBC−g−MAH)、天然充填剤、好ましくはタルク、10質量パーセントと混合し、そしてこのすべての構成物を十分にタンブル混合した。この乾燥した混合物を、共同して回転するスクリューを有し、この内容物を均質混合するという目的に関して好ましいスクリュー外形を有する、二軸スクリュー押出成型機(またはバスコニーダー(Buss-co-kneader))で、押出し成型した。この押出成型機は温度範囲125〜240℃、スクリュー回転速度50〜100rpmで運転した。この押出し成型したストランド(アロイ−Aとして参照される)は循環冷却水のトラフに浸した。このストランドをその後乾燥し、グラニュール化した。
【0031】
標準的なASTM試験試料を、FRK−85、ノッカー−ウィンザー射出成型機を使用して、以下の表1に挙げたこの成型条件を適用して、アロイ−Aの乾燥グラニュールを射出成型することにより、作製した。
【0032】
【表1】

【0033】
上記の条件で射出成型した、このアロイの性能特性を以下の表2に挙げる。ここで報告した各特性に関して、少なくとも6つの試料を試験し、平均値を計算した。
【0034】
【表2】

【0035】
例2
ポリプロピレンコポリマーの含水率ゼロのグラニュール72質量パーセントを、乾燥したエラストマー、好ましくは濃度23質量パーセントのEPR、および乾燥した相溶化剤、好ましくはスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)5質量パーセントと混合した。このすべての構成物を十分にタンブル混合し、そしてそれから例1で上述した同一の押出成型機で、同一条件下で、押出し成型した。この押出し成型したもの(アロイ−Bとして参照される)をグラニュール化し、そして標準的なASTM試験試料を、上記の例で述べた同一の射出成型機を使用し、同一の条件下で作製した。このアロイ−Bの特性を表3に挙げる。
【0036】
【表3】

【0037】
例3
ポリプロピレンコポリマー45質量パーセント、無水マレイン酸でグラフトされたポリプロピレンコポリマー(PPBC−g−MAH)45質量パーセント、およびエラストマー、好ましくはEPDM、10質量パーセントを、すべて秤量し乾燥した。すべてのこの構成物を十分に混合し、そしてそれから上述した同一の押出成型機で、同一条件下で、押出し成型した。この押出し成型したもの(アロイ−Cとして参照される)をグラニュール化し、そして標準的なASTM試験試料を、前記の例で述べたとおりに射出成型した。このアロイ−Cの特性を表4に挙げる。
【0038】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高い(ノッチ付)アイゾッド衝撃強さを有する熱可塑性ポリオレフィンアロイであって、ベースポリマーとしてのポリプロピレンブロックコポリマーと、エラストマーと相溶化剤とを含んでなる熱可塑性ポリオレフィンアロイ。
【請求項2】
請求項1に記載されたポリオレフィンアロイであって、射出成型した標準試料を使用するASTM D256試験方法に従うと、厚みが3.2mmのノッチ付試料に対して、60〜90kg cm/cmの範囲のアイゾッド衝撃強さを示すポリオレフィンアロイ。
【請求項3】
請求項1および2に記載されたポリオレフィンアロイであって、前記ポリプロピレンブロックコポリマーがプロピレンとエチレンからなるブロックコポリマーであるポリオレフィンアロイ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載されたポリオレフィンアロイであって、前記エラストマーがエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)からなるターポリマーまたはエチレンプロピレンコポリマーゴム(EPR)から選択されているポリオレフィンアロイ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載されたポリオレフィンアロイであって、前記相溶化剤が二つの異なるイオノマー、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−アクリロニトリルコポリマー(SAN)および無水マレイン酸でグラフトされたポリプロピレンブロックコポリマー(PPBC−g−MAH)からなる群から選択されているポリオレフィンアロイ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載されたポリオレフィンアロイであって、前記ポリプロピレンブロックコポリマーが前記アロイの50〜95質量パーセントの量で存在しているポリオレフィンアロイ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載されたポリオレフィンアロイであって、前記エラストマーが5〜50質量パーセントの濃度範囲で存在しているポリオレフィンアロイ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載されたポリオレフィンアロイであって、前記相溶化剤が5〜30質量パーセントの量で存在しているポリオレフィンアロイ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載されたポリオレフィンアロイであって、さらに天然充填剤を含んでなるポリオレフィンアロイ。
【請求項10】
請求項9に記載されたポリオレフィンアロイであって、前記充填剤がマイカ、タルクおよび炭酸カルシウムからなる群から選択されているポリオレフィンアロイ。
【請求項11】
請求項9または10に記載されたポリオレフィンアロイであって、前記充填剤が0〜10質量パーセントの濃度範囲で存在しているポリオレフィンアロイ。
【請求項12】
高い(ノッチ付)アイゾッド衝撃強さを有する熱可塑性ポリオレフィンアロイであって、
50〜59質量パーセントの濃度範囲にある、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー(PPBC)から選択されたベースポリマーと、
5〜50質量パーセントの濃度範囲にある、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)からなるターポリマーまたはエチレンプロピレンコポリマーゴム(EPR)を含むエラストマーと、
5〜30質量パーセントの濃度範囲にある、二つの異なるイオノマー、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−アクリロニトリルコポリマー(SAN)および無水マレイン酸でグラフトされたポリプロピレンブロックコポリマー(PPBC−g−MAH)からなる群から選択されている相溶化剤と、及び
0〜10質量パーセントの濃度範囲にある、マイカ、タルクおよび炭酸カルシウムからなる群から選択されている天然充填剤とを含んでなる熱可塑性ポリオレフィンアロイ。
【請求項13】
請求項12に記載されたポリオレフィンアロイであって、示差走査熱量計で一定の加熱速度10℃/分、窒素環境で加熱したときに、90〜167℃の範囲で2〜3の吸熱ピークを示すポリオレフィンアロイ。
【請求項14】
請求項12に記載されたポリオレフィンアロイであって、示差走査熱量計で一定の加熱速度10℃/分、窒素環境で、200℃まで加熱し、そして3分間恒温を維持した後で、冷却したときに、115〜25℃の範囲で大きな発熱ピークを有し、113〜125℃の範囲に小さなピークを伴い、全△H値が55〜75J/gの範囲にあるポリオレフィンアロイ。
【請求項15】
請求項12に記載されたポリオレフィンアロイであって、乾燥グラニュールを使用してASTM D1238標準方法に基づいて試験をしたときに、2〜5g/10分の範囲にあるメルトフローインデックスを有するポリオレフィンアロイ。
【請求項16】
請求項12に記載されたポリオレフィンアロイであって、射出成型した試験試料を使用してASTM D638に基づいて試験をしたときに、150〜200kg/cmの範囲にある引張り強さを有するポリオレフィンアロイ。
【請求項17】
請求項12に記載されたポリオレフィンアロイであって、射出成型した試験試料を使用してASTM D638に基づいて試験をしたときに、7,000〜8,000kg/cmの範囲にある引張り弾性率を示すポリオレフィンアロイ。
【請求項18】
請求項12に記載されたポリオレフィンアロイであって、射出成型した試料を使用してASTM D790に基づいて試験をしたときに、160〜200kg/cmの範囲にある曲げ強さを示すポリオレフィンアロイ。
【請求項19】
請求項12に記載されたポリオレフィンアロイであって、射出成型した試料を使用してASTM D790に基づいて試験をしたときに、6,000〜8,000kg/cmの範囲にある曲げ弾性率を有するポリオレフィンアロイ。
【請求項20】
請求項12に記載されたポリオレフィンアロイであって、射出成型した試験試料を使用してASTM D648に基づいて試験をしたときに、4.6kgfの応力で60〜70℃の範囲にある熱撓み温度を有するポリオレフィンアロイ。
【請求項21】
請求項12に記載されたポリオレフィンアロイであって、射出成型した試験試料を使用してASTM D648に基づいて試験をしたときに、18.2kgfの応力で45〜55℃の範囲にある熱撓み温度を示すポリオレフィンアロイ。
【請求項22】
高い(ノッチ付)アイゾッド衝撃強さを有する熱可塑性ポリオレフィンアロイを生産する方法であって、ポリプロピレンブロックコポリマー、ターポリマーおよび相溶化剤を、天然充填剤とともにあるいは天然充填剤なしで、溶融配合することを含んでなる方法。
【請求項23】
請求項22に記載された方法であって、前記溶融配合が二軸スクリュー押出成型機またはバスコニーダー(Buss-co-kneader)で実施される方法。
【請求項24】
請求項22に記載された方法であって、前記ポリプロピレンブロックコポリマーがプロピレンとエチレンからなるブロックコポリマーである方法。
【請求項25】
請求項22から24のいずれか1項に記載された方法であって、前記エラストマーがエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)からなるターポリマーまたはエチレンプロピレンコポリマーゴム(EPR)から選択される方法。
【請求項26】
請求項22から25のいずれか1項に記載された方法であって、前記相溶化剤が二つの異なるイオノマー、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−アクリロニトリルコポリマー(SAN)および無水マレイン酸でグラフトされたポリプロピレンブロックコポリマー(PPBC−g−MAH)からなる群から選択される方法。
【請求項27】
請求項22から26のいずれか1項に記載された方法であって、前記ポリプロピレンブロックコポリマーが前記アロイの50〜95質量パーセントの量で存在している方法。
【請求項28】
請求項22から27のいずれか1項に記載された方法であって、前記エラストマーが5〜50質量パーセントの濃度範囲で存在している方法。
【請求項29】
請求項22から28のいずれか1項に記載された方法であって、前記相溶化剤が5〜30質量パーセントの量で存在している方法。
【請求項30】
請求項22から29のいずれか1項に記載された方法であって、さらに天然充填剤を含んでなる方法。
【請求項31】
請求項30に記載された方法であって、前記充填剤がマイカ、タルクおよび炭酸カルシウムからなる群から選択される方法。
【請求項32】
請求項31に記載された方法であって、前記充填剤が0〜10質量パーセントの濃度範囲で存在している方法。
【請求項33】
請求項23から32のいずれか1項に記載された方法であって、前記押出成型機の温度が125〜240℃の範囲で維持される方法。
【請求項34】
請求項23から33のいずれか1項に記載された方法であって、該二軸スクリュー押出成型機またはバスコニーダー(Buss-co-kneader)が、50〜100rpmのスクリュー回転速度で運転される方法。
【請求項35】
請求項22から34のいずれか1項に記載された方法であって、該溶融配合が0.5〜5.0分の滞留時間で実施される方法。
【請求項36】
請求項1から21のいずれか1項に記載されたポリオレフィンアロイからなる製品。

【公表番号】特表2007−517957(P2007−517957A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−548587(P2006−548587)
【出願日】平成16年1月16日(2004.1.16)
【国際出願番号】PCT/IN2004/000011
【国際公開番号】WO2005/068553
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(506236842)インディアン ペトロケミカルズ コーポレイション リミティド (1)
【Fターム(参考)】