説明

改善された蒸気透過防止性をもつポリエチレンフィルム

ブロー成形フィルムおよびその製造法が記載されている。ブロー成形フィルムは一般に約1.5〜約8.0の分子量分布、および0.94g/ccから0.96g/ccより小さい値の範囲内の密度を示す高密度ポリエチレンフィルムを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の具体化例は一般にポリエチレンフィルムに関する。特に本発明の具体化例は改善された透明度および蒸気透過防止性を有する高密度ポリエチレンのブロー成形フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
歴史的には、ポリエチレン樹脂はブロー成形フィルムの製造に広い用途を見出だされてきた。透明度および蒸気に対する透過防止性のようなフィルムの特定の性質は、例えば使用されるポリエチレンの種類および製造方法の両方に依存する。しかし一つの性質を改善すれば他の性質に悪影響が生じる可能性があるので、或る種の性質の組合せを得ることは困難である。例えば中密度ポリエチレン(MDPE)および高密度ポリエチレン(HDPE)はブロー成形フィルムの製造に用いることができる。一般にMDPEは、透明度は高いが蒸気に対する透過防止性は低いブロー成形フィルムを生じる。これに対しHDPEは、透明度は低いが蒸気に対する透過防止性は高いブロー成形フィルムを生じる。
【0003】
従って高い透明度と高い蒸気透過防止性の両方をもったブロー成形フィルムを製造する方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本発明の具体化例にはブロー成形フィルムが含まれる。一般にブロー成形フィルムは、分子量分布が約1.5〜約8.0であり、密度が0.94g/ccから0.96g/ccより小さい値の範囲にある高密度ポリエチレンを含んでいる。
【0005】
さらに本発明の具体化例にはブロー成形フィルムの製造法が含まれる。一つまたはそれ以上の具体化例においては、一般にこれらの方法は、分子量分布が約1.5〜約8.0であり、密度が0.94g/ccから0.97g/ccより小さい値の範囲にある高密度ポリエチレンをつくり、この高密度ポリエチレンをブロー成形してフィルムにする方法を含んでいる。
【0006】
他の具体化例においてはこれらの方法は一般に、エチレン単量体を重合させてポリエチレンをつくるのに十分な条件下において、触媒系を存在させ、連続式撹拌槽の反応器の中にエチレン単量体を導入して接触させ、分子量分布が約1.5〜約8.0である高密度ポリエチレンを含むポリエチレンを取り出し、このポリエチレンをブロー成形して約280ccミル/100インチ/日以下の酸素蒸気に対する透過率をもったフィルムにする方法を含んでいる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
序論および定義
次に本発明の詳細な説明を述べる。添付された各特許請求の範囲は、特許侵害に関連する目的に対し該特許請求の範囲に規定された種々の要素または制限に対する同等物を含むものとして認識されるべき別々の発明を定義している。「本発明」という言葉に対し下記に挙げたすべての参照は、文脈に依存して或る場合には或る特定の具体化例だけを参照することができる。他の場合には、「本発明」という言葉に対する参照は一つまたはそれ以上ではあるが必ずしも全部ではない特許請求の範囲の中に挙げられた対象物を参照するであろう。次にこれらの発明の各々を特定の具体化例、変形および実施例を含めて下記に詳細に説明するが、各発明は、これらの具体化例、変形または実施例に限定されるものではなく、これらは該発明における情報が入手可能な情報および技術と組み合わされた場合、
当業界の通常の専門家が該発明を利用できるようにするために含まれているのものである。
【0008】
次に本明細書に使用されている種々の言葉を説明する。ある一つの特許請求の範囲に使用されている言葉が下記に定義されていない限り、その言葉は関連する業界における人々に対し出願時における印刷出版物および公告された特許の中に反映されている最も広範な定義を与えると考えなければならない。さらに、特記しない限りここに記載されたすべての化合物は置換基をもっていることもいないこともでき、これらの化合物のリストの中にはそれらの誘導体が含まれている。
【0009】
さらにまた、種々の範囲および/または数値の限界は下記のように明示的に示すことができる。特記しない限り終端の点は相互に交換し得るものと理解すべきである。さらに、任意の範囲は明示的に示された範囲または限界の中に入る同様な大きさの値の繰返し範囲を含むものとする。
【0010】
本発明の具体化例においては、一般にポリエチレンフィルム、特に高度の透明度および高度の蒸気透過防止性の両方をもったポリエチレンのブロー成形フィルムをつくるための容易には推測し得ない重合体および方法が提供される。
【0011】
触媒系
オレフィン単量体を重合させるのに有用な触媒系には任意の適当な触媒系が含まれる。例えば触媒系はクロムをベースにした触媒系、メタロセン触媒系を含む単一部位の遷移金属触媒系、Ziegler−Natta触媒系、またはこれらの組合せを含んでいることができる。触媒系は後で重合を行うために賦活することができ、また例えば支持材料を備えていることもいないこともできる。このような触媒系に対する簡単な説明を下記に述べるが、これらの説明は本発明の範囲をこのような触媒に限定するものではない。
【0012】
例えば、Ziegler−Natta触媒系は一般に金属成分(例えば触媒)を1種またはそれ以上の付加的な成分、例えば触媒の支持体、助触媒、および/または1種またはそれ以上の電子供与体と組み合わせてつくられる。
【0013】
一つまたはそれ以上の具体化例においては、Ziegler−Natta触媒系はマグネシウムに支持された触媒系を含んでいる。例えば、マグネシウムに支持されたZiegler−Natta触媒系は、本発明を限定しない少なくとも次の三段階から成る方法によってつくることができる:(1)金属のジアルキル化物とアルコールとの反応生成物として金属のジアルコキシドをつくる段階;(2)金属のジアルコキシドとハロゲン化/チタネート化剤との反応生成物として可溶性の触媒前駆体をつくる段階;および(3)可溶性の触媒前駆体と沈澱剤との反応生成物として最終的な固体の触媒成分をつくる段階。或る具体化例においては沈澱剤はまたハロゲン化/チタネート化剤であることができる。この方法は例えば他のハロゲン化/チタネート化段階のようなさらに他の段階を含んでいることもできる。
【0014】
金属ジアルキルはIIA族の金属ジアルキルを含んでいることができる。一つまたはそれ以上の具体化例においては、金属ジアルキルは例えばジアルキルマグネシウムを含んでいることができる。ジアルキルマグネシウムは例えばジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウム(BEM)、およびこれらの組み合わせを含んでいることができる。
【0015】
一般にメタロセン触媒は、π結合によって遷移金属に配位した1種またはそれ以上のシクロペンタジエニル(Cp)基(これらは置換基をもちまたはもたないことができ、各置
換基は同一または相異なることができる)を含む配位化合物として特徴付けることができる。Cp上の置換基は直鎖の、分岐した、または環式のヒドロカルビル基であることができる。環式のヒドロカルビル基はさらにインデニル、アズレニル、およびフルオレニル基を含む他の隣接した環式構造をつくっていることができる。これらの隣接した環式構造は置換基をもたないかまたは例えばC〜C20のヒドロカルビル基のようなヒドロカルビル基を置換していることができる。
【0016】
重合法
本明細書の他の場所で述べたように、ポリオレフィン組成物をつくるためには触媒系が使用される。上記の方法および/または当業界の専門家に公知の方法によってひとたび触媒系がつくられると、そのような組成物を用いて種々の方法を行うことができる。或る与えられた方法においては、所望の組成物および生成する重合体の性質に依存し、装置、処理条件、反応物、添加物、および重合に使用される他の材料は異なるであろう。このような方法には溶液相、気相、スラリ相、塊状相、高圧相における方法、またはこれらの組合せが含まれる(米国特許第5,525,678号明細書;米国特許第6,420,580号明細書;米国特許第6,380,328号明細書;米国特許第6,359,072号明細書;米国特許第6,346,586号明細書;米国特許第6,340,730号明細書;米国特許第6,339,134号明細書;米国特許第6,300,436号明細書;米国特許第6,274,684号明細書;米国特許第6,271,323号明細書;米国特許第6,248,845号明細書;米国特許第6,245,868号明細書;米国特許第6,245,705号明細書;米国特許第6,242,545号明細書;米国特許第6,211,105号明細書;米国特許第6,207,606号明細書;米国特許第6,180,735号明細書;および米国特許第6,147,173号明細書参照のこと。これらの特許は引用により本明細書に包含される。)。
【0017】
或る種の具体化例において、上記方法は一般に1種またはそれ以上のオレフィン単量体を重合させて重合体をつくる方法を含んでいる。オレフィン単量体はC〜C30のオレフィン単量体、またはC〜C12のオレフィン単量体(例えばエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、メチルペンテン、ヘキセン、オクテン、およびデセン)を含んでいることができる。単量体はオレフィン性不飽和の単量体、C〜C18ジオレフィン、共役または非共役ジエン、ポリエン、ビニル単量体、および環式オレフィンを含んでいることができる。本発明を限定しない他の単量体には例えばノルボルネン、ノルボルナジエン、イソブチレン、イソプレン、ビニルベンゾシクロブタン、スチレン、アルキル置換スチレン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、およびシクロペンタジエンが含まれていることができる。生じた重合体は例えば単独重合体、共重合体、または三元重合体であることができる。
【0018】
溶液相の方法の例は米国特許第4,271,060号明細書,米国特許第5,001,205号明細書,米国特許第5,236,998号明細書および米国特許第5,589,555号明細書に記載されている。これらの特許は引用により本明細書に包含される。
【0019】
気相重合法の一例は連続循環系を含んでおり、この場合循環ガス流(また再循環流または流動媒質としても知られている)は反応器の中で重合熱により加熱される。循環の他の部分において反応器に対して外部にある冷却系により循環ガス流から熱を除去する。反応条件下において触媒を存在させ、1種またはそれ以上の単量体を含む循環ガス流を流動ベッドを通して連続的に循環させることができる。一般に循環ガス流は流動ベッドから取り出され、反応器へと循環させて戻される。同時に重合体生成物を反応器から取り出し、新しい単量体を加えて重合した単量体と置き換えることができる。気相法における反応器の圧力は例えば約100〜約500psig、または約200〜約400psig、または約250〜約350psigの範囲で変えることができる。気相法における反応器の温度
は例えば約30〜約120℃、または約60〜約115℃、または約70〜約110℃、または約70〜約95℃の間で変えることができる(例えば米国特許第4,543,399号明細書;米国特許第4,588,790号明細書;米国特許第5,028,670号明細書;米国特許第5,317,036号明細書;米国特許第5,352,749号明細書;米国特許第5,405,922号明細書;米国特許第5,436,304号明細書;米国特許第5,456,471号明細書;米国特許第5,462,999号明細書;米国特許第5,616,661号明細書;米国特許第5,627,242号明細書;米国特許第5,665,818号明細書;米国特許第5,677,375および米国特許第5,668,228号明細書参照。これらの特許は引用により本明細書に包含される。)。
【0020】
一般にスラリ相法には、液体の重合媒質中に固体の粒状の重合体を含む懸濁液をつくり、これに触媒と共に単量体および随時水素を加える方法が含まれる。懸濁液(希釈剤を含んでいることができる)を間欠的にまたは連続的に反応器から取り出し、随時蒸溜を行った後、揮発性の成分を重合体から分離し反応器へと再循環させることができる。重合媒質中に使用される液体希釈剤は例えばC〜Cのアルカン(例えばヘキサンまたはイソブタン)を含んでいることができる。使用される媒質は一般に重合条件下において液体であり、比較的不活性である。塊状相法はスラリ相法に似ているが、塊状相法においては液体媒質がまた反応物(例えば単量体)である点が異なっている。しかし或る一つの方法が例えば塊状相法、スラリ相法、または塊状スラリ相法であることができる。
【0021】
或る特定の具体化例においては、スラリ相法または塊状相法は一つまたはそれ以上のループ反応器の中で連続的に行うことができる。触媒は、スラリとして或いは乾燥した自由流動性の粉末として規則的に反応器のループの中に注入することができ、該ループ自身は例えば希釈剤中で成長している重合体の循環するスラリで充たされていることができる。この方法では例えば得られる重合体の分子量を制御するために、随時水素を加えることができる。ループ反応器は例えば約27〜約50バール、または約35〜約45バールの圧力、および約38〜約121℃の温度に保つことができる。反応熱は任意の適当な方法で、例えば二重ジャケットを備えたパイプまたは熱交換器を介してループの壁から除去することができる。
【0022】
特定の一具体化例においては、スラリ相法は例えば連続式撹拌槽反応器(CSTR)のような撹拌式反応器中で行うことができる。
【0023】
別法として、他のタイプの重合法、例えば直列、並列またはこれらを組合せを方法で連結された撹拌式反応器を使用することもできる。反応器から取り出す場合、重合体を重合体回収系に通し、さらに例えば添加物の添加および/または抽出などの処理を行うことができる。
【0024】
重合体生成物
上記方法でつくられた重合体(およびそれらの配合物)は、これだけには限定されないが、例えば直鎖低密度ポリエチレン、エラストマー、プラストマー、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリプロピレン、およびプロピレン共重合体を含んでいることができる。
【0025】
本明細書においては特記しない限りすべての試験法は出願時における最新の方法であるものとする。
【0026】
一つまたはそれ以上の具体化例においては、重合体は単峰的な分子量分布をもっている。本明細書において「単峰的(uni−modal)」という言葉は分子量分布のグラフにおいて単一のピークを示す重合体組成物に対して用いられる。これとは対照的に「多峰
的(multi−modal)」な重合体組成物は一般に分子量分布のグラフにおいて多数のピークを示す。
【0027】
一つまたはそれ以上の具体化例においては、重合体はエチレンをベースにした重合体を含んでいる。本明細書において「エチレンをベースにした」と言う言葉は「エチレン重合体」または「ポリエチレン」という言葉と互換的に使用され、重合体の全重量に関し例えば少なくとも約50重量%、または少なくとも約70重量%、または少なくとも約75重量%、または少なくとも約80重量%、または少なくとも約85重量%、または少なくとも約90重量%のポリエチレンを有する重合体を意味する。
【0028】
エチレンをベースにした重合体は狭い分子量分布をもっていることができる。本明細書において「狭い分子量分布」と言う言葉は分子量分布が例えば約1.5〜約8、または約2.0〜約7.5、または約2.0〜約7.0、または約4.5〜約7.0の範囲にあることを意味する。本明細書においては分子量分布は「分散インデックス(dispersion index)」(D)で表され、これは重量平均分子量(M)対数平均分子量(M)の比である:即ちD=M/M。分散インデックスはまた「多分散度(polydispersity)」と呼ばれることもあり、これはゲル透過クロマトグラフ法(GPC)で測定される。
【0029】
エチレンをベースにした重合体は密度(ASTM D−792で測定)が例えば約0.86〜約0.98g/cc、または約0.88〜約0.965g/cc、または約0.90〜約0.965g/cc、または約0.925〜約0.97g/ccであることができる。
【0030】
エチレンをベースにした重合体はメルトインデックス(MI)(ASTM D−1238で測定)が例えば約0.01〜約100dg/分、または約0.01〜約25dg/分、または約0.03〜約15dg/分、または約0.05〜約10dg/分であることができる。
【0031】
一つまたはそれ以上の具体化例においては重合体は高密度ポリエチレンを含んでいる。本明細書において「高密度ポリエチレン」という言葉は、密度が例えば約0.94〜約0.97g/cc、または約0.95〜約0.97g/ccまたは約0.95〜約0.96g/ccの範囲のエチレンをベースにしたポリエチレンを意味する。
【0032】
一つまたはそれ以上の具体化例においては重合体は中密度ポリエチレンを含んでいる。本明細書において「中密度ポリエチレン」という言葉は、密度が例えば約0.92〜約0.94g/ccの範囲のエチレンをベースにしたポリエチレンを意味する。
【0033】
生成物の用途
本発明の重合体およびその配合物は当業界の専門家に公知の用途、例えば成形操作(例えばフィルム、シート、パイプおよび繊維の押出しおよび同時押出し、並びにブロー成形、射出成形、および回転成形)に有用である。フィルムは押出しまたは同時押出し、或いは積層化によってつくられた吹き込み、配向または注型されたフィルムを含み、例えば食品に接触させまたは接触させずに使用される収縮フィルム、包装用ラップフィルム、伸長フィルム、密封フィルム、配向フィルム、スナック類の包装材、頑丈な袋、食品用の袋、焼いたまたは凍結させた食品の包装材、医薬品の包装材、工業用ライニング製品、並びに膜類として有用である。繊維は縦切りしたフィルム、モノフィラメント、織物または不織布に使用される熔融紡糸、溶液紡糸、および繊維に対する熔融ブロー成形操作でつくられたものを含み、例えばサック、袋、ロープ、撚糸、絨毯の裏地、絨毯用の糸、フィルター、おむつ用繊維布、医療用の衣類、および地盤補強用シートの製造に使用される。
【0034】
押出し製品は例えば医療用の管、針金およびケーブルの被覆、シート、熱成形シート、地盤補強用の膜、および池のライニング材を含んでいる。型成形された製品は瓶、タンク、大きな中空製品、かたい食品の容器および玩具の形の単一および多層構造物を含んでいる。
【0035】
一つまたはそれ以上の具体化例においては本発明の重合体およびその配合物はブロー成形フィルムの製造に使用される。ブロー成形フィルムは、例えばダイス型の上方にあるニップ・ローラにより、フィルムの厚さを決定するニップ・ローラの速度で熔融した重合体をダイス型から上方に引き上げる公知方法によってつくることができる。フィルムが上方に移動する際に、ダイス型の周りにある空気リングによりフィルムを冷却することができる。この時空気の出口は圧縮された空気を押出された円形の重合体の中に吹込み、押出された円形の断面を或る比率で膨張させる「泡」を生じる。この比率は「ブロー比(blow−up ratio)」と呼ばれ、元の直径の最大200%またはそれ以上になる。得られたフィルムは物理的性質および機能的性質の両方の種々の性質によって特徴付けられ、所望の性質は意図された用途によって決定される。
【0036】
一つまたはそれ以上の具体化例においては、ブロー成形フィルムは例えば約20%またはそれ以下、または約15%またはそれ以下、または約10%またはそれ以下の曇りを示す。本明細書においては「曇り(haze)」と言う言葉はフィルムを透過する光の%であり、ASTM−D1003標準法によりヘーズメータを用いて測定される。本発明の具体化例においては、密度が0.960g/ccより大きい高密度ポリエチレン(例えば「対照ポリエチレン」)からつくられたブロー成形フィルムに比べ改善された透明度をもったブロー成形フィルムが得られ、一つまたはそれ以上の具体化例においては予想外にも中密度ポリエチレンからつくられたフィルムに比べ同様な透明度をもったものが得られた。
【0037】
一つまたはそれ以上の具体化例においては、本発明の具体化例で得られたブロー成形フィルムは中密度ポリエチレンからつくられたブロー成形フィルムに比べ改善された蒸気透過防止性を示し、一つまたはそれ以上の具体化例においては密度が0.960g/ccより大きい高密度ポリエチレンよりも大きな蒸気透過防止性を示す。蒸気透過防止性は単位時間当たりフィルムの単位面積を透過する蒸気の透過率を決定することによって測定される。このようにして特徴付けられる典型的な蒸気には酸素(O)および水蒸気(HO)が含まれる。一つまたはそれ以上の具体化例において本発明のブロー成形フィルムは例えば酸素に対し約300ccミル/100インチ/日以下、または約280cc/100インチ/日以下の透過率を示した。一つまたはそれ以上のこのブロー成形フィルムは水に対し例えば約0.8以下、または約0.6gミル/m/日以下の透過率を示した。
【実施例】
【0038】
本明細書において重合体「A」は密度が0.9451g/cc、MIが1.23dg/分、平均分子量が122,495、多分散度が5.3のHDPEである。
【0039】
本明細書において重合体「B」は密度が0.9622g/cc、MIが1.11dg/分、平均分子量が129,837、多分散度が6.8のHDPEである。
【0040】
本明細書において重合体「C」は密度が0.9340g/cc、MIが0.88dg/分、平均分子量が100,278、多分散度が3.6の中密度ポリエチレン(MDPE)である。本明細書において「中密度ポリエチレン」と言う言葉は密度が例えば約0.92〜約0.94g/cc、または約0.926〜約0.94g/ccのエチレンをベースにした重合体を意味する。
【実施例1】
【0041】
重合体AおよびBの分子量分布を決定し、得られたGPC曲線を図1に示す。
【0042】
種々の重合体試料からブロー成形フィルム(厚さ1ミル)をつくった。得られたブロー成形フィルムを解析し、その結果を下記表1に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
重合体Aからつくられたブロー成形フィルムは重合体BおよびCの両方に比べ良好な(即ち低い)酸素透過率を示すが、同時に重合体BおよびCの両方に比べ予想外にも良好な(即ち低い)曇りを示すことが観測された。
【実施例2】
【0045】
同じ原料および触媒系から種々の重合体をつくった。しかし重合体Dはスラリ相法のループ反応器内でつくり、重合体EおよびFはCSTR内でつくった。
【0046】
次に、得られた重合体試料からブロー成形フィルムをつくった。得られたブロー成形フィルムを解析し、その結果並びに重合体の性質を下記表2に示す。
【0047】
【表2】

【0048】
予想外にも、CSTRでつくった重合体EおよびFは重合体Dからつくられたブロー成
形フィルムに比べ酸素および水蒸気に対する透過率が著しく低かった。
【0049】
上記の説明は本発明の或る種の具体化例に関するものであるが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく本発明のさらに他の具体化例を考案することができ、本発明の範囲は下記特許請求の範囲によって決定されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子量分布が約1.5〜約8.0であり、密度が0.94g/ccから0.96g/ccより小さい値までの範囲にある高密度ポリエチレンを含んで成るブロー成形フィルムであって、該フィルムは対照的な高密度ポリエチレンからつくられたブロー成形フィルムに比べ曇りおよび酸素に対する透過率が両方とも低い値を示すことを特徴とするブロー成形フィルム。
【請求項2】
該高密度ポリエチレンは分子量分布が約4.0〜約7.0であることを特徴とする請求項1記載のブロー成形フィルム。
【請求項3】
厚さ1.0ミルのフィルムが約20%以下の曇りを示すことを特徴とする請求項1記載のブロー成形フィルム。
【請求項4】
厚さ1.0ミルのフィルムが約300cc/100インチ/日以下のOに対する透過率を示すことを特徴とする請求項1記載のブロー成形フィルム。
【請求項5】
厚さ1.0ミルのフィルムが約280cc/100インチ/日以下のOに対する透過率を示すことを特徴とする請求項1記載のブロー成形フィルム。
【請求項6】
厚さ1.0ミルのフィルムが約0.8cc/100インチ/日以下の水蒸気に対する透過率を示すことを特徴とする請求項1記載のブロー成形フィルム。
【請求項7】
分子量分布が約1.5〜約8.0であり、密度が0.94g/ccから0.96g/ccより小さい値までの範囲にある高密度ポリエチレンを提供し、
この高密度ポリエチレンをブロー成形してフィルムにすることを特徴とするブロー成形フィルムの製造法。
【請求項8】
分子量分布が約1.5〜約8.0であり、密度が0.94g/ccから0.96g/ccより小さい値までの範囲にある高密度ポリエチレンを提供し、
この高密度ポリエチレンをブロー成形して対照的な高密度ポリエチレンからつくられたブロー成形フィルムに比べ低い曇りと低い酸素に対する透過率の両方を示すブロー成形フィルムを得ることを特徴とするブロー成形フィルムの製造法。
【請求項9】
該高密度ポリエチレンは約4.0〜約7.0の分子量分布を示すことを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
厚さ1.0ミルのフィルムが約20%以下の曇りを示すことを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項11】
厚さ1.0ミルのフィルムが約10%以下の曇りを示すことを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項12】
厚さ1.0ミルのフィルムが約300cc/100インチ/日以下のOに対する透過率を示すことを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項13】
厚さ1.0ミルのフィルムが約280cc/100インチ/日以下のOに対する透過率を示すことを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項14】
厚さ1.0ミルのフィルムが約0.8cc/100インチ/日以下の水蒸気に対する
透過率を示すことを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項15】
エチレン単量体を重合させてポリエチレンをつくるのに十分な条件下において、触媒系を存在させ、連続式撹拌槽反応器の中にエチレン単量体を導入し接触させてポリエチレンをつくり、
約1.5〜約8.0の分子量分布を示す高密度ポリエチレンを含んで成るポリエチレンを取り出し、
該ポリエチレンをブロー成形して約280ccミル/100インチ/日より小さい酸素蒸気に対する透過率をもつフィルムにすることを特徴とするブロー成形フィルムの製造法。
【請求項16】
厚さ1.0ミルのフィルムが約18%以下の曇りを示すことを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項17】
ポリエチレンは単峰的な分子量分布を示すことを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項18】
触媒系は、金属ジアルコキシドを第1のハロゲン化/チタネート化剤と接触させて反応生成物「A」をつくり;反応生成物「A」を第1のハロゲン化/チタネート化剤よりも強い第2のハロゲン化/チタネート化剤と接触させて反応生成物「B」をつくることによってつくられることを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項19】
請求項15記載の方法でつくられたブロー成形フィルム。

【公表番号】特表2012−518055(P2012−518055A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550171(P2011−550171)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/023264
【国際公開番号】WO2010/096284
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(391024559)フイナ・テクノロジー・インコーポレーテツド (98)
【氏名又は名称原語表記】FINA TECHNOLOGY, INCORPORATED
【Fターム(参考)】