説明

改善された高吸収体を含むテキスタイル

本発明は、高吸収体の施与後に導入された親水性繊維を含む、改善された高吸収体を含むテキスタイルに関する。このようにして比較的開放孔状のテキスタイルに高吸収体を付与することができるが、しかしながら付加的に導入された親水性繊維によって、テキスタイルに送り込まれた液体の分配が明らかに改善される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、改善された高吸収体を含むテキスタイル、該テキスタイルの製造法並びに調湿のための使用を含む吸水のための該テキスタイルの使用に関する。本発明は特に、液体の分配が改善されている高吸収体を含むテキスタイルに関する。
【0002】
高吸収体を含むテキスタイルは公知である。そのようなテキスタイルにおいて、高吸収体はテキスタイルの構成要素であり、該構成要素は、例えばテキスタイルに施与された相応するモノマー溶液又はモノマー懸濁液を該テキスタイル上で重合させることによって製造されるか、又は、完成した粉末状もしくは繊維状の高吸収体としてテキスタイル製造の際にテキスタイルに導入される。
【0003】
高吸収体自体は同様に公知である。この種の材料には、「高膨潤性ポリマー」、「ヒドロゲル」(しばしば乾燥形にも用いられる)、「ヒドロゲル形成性ポリマー」、「吸水性ポリマー」、「吸収性のゲル形成性材料」、「膨潤性樹脂」、「吸水性樹脂」等のような名称も一般に使われている。当該材料は、架橋した親水性ポリマー、殊に(共)重合した親水性モノマーからのポリマー、適したグラフトベース上での1以上の親水性モノマーのグラフト(コ)ポリマー、架橋したセルロース−又はデンプンエーテル、架橋したカルボキシメチルセルロース、部分架橋したポリアルキレンオキシド又は水性液体中で膨潤可能な天然産物、例えばグアール誘導体であり、その際、部分中和されたアクリル酸をベースとする吸水性ポリマーが最も広く普及している。高吸収体の本質的な特性は、その自重の何倍もの水性液体の量を吸収し得る能力であり、該液体は所定の圧力下でも再び放出されない。乾燥した高吸収体は液体を吸収するとゲルに変化し、通常水を吸収すると相応してヒドロゲルに変化する。架橋は、合成高吸収体にとって重要でありかつ通常の純粋な増粘剤との重大な相違点であり、それというのも、架橋によってポリマーは水に不溶となるためである。可溶性物質は、高吸収体として有用でない。高吸収体の格段に重要な使用分野は、体液の吸収である。高吸収体は、例えば、幼児用おむつ、成人用失禁製品又は婦人用衛生用品において用いられる。他の適用分野は、例えば、農業園芸における保水剤として、火災防護のための貯水体として、食品包装における吸液のため、又は極めて一般的には吸湿のための適用である。
【0004】
高吸収体の従来技術は、例えばモノグラフ"Modern Superabsorbent Polymer Technology", F.L. Buchholz und A.T. Graham, Wiley-VCH, 1998, 第69頁〜第117頁に包括的に記載されている。
【0005】
WO01/56625、EP−A1178149及びUS5,962,068には、吸水性ポリマーを担体材料上に重合させる吸水性テキスタイルの製造法が記載されている。WO2006/106096A1には、少なくとも1の平面状担体材料、少なくとも1の水溶性吸湿性物質、及び該水溶性吸湿性物質の存在で該担体材料上に重合された少なくとも1の高吸収体を含む、調湿テキスタイルが記載されている。JP−A05−105705は担体材料と吸湿性の塩とからなる非潮解性の乾燥剤に関し、その際、吸湿性の塩は高吸収体により担体材料に固定される。WO2007/023085A1は、比較的多量の液体と接触した際に(例えば液体がテキスタイル上にこぼれた際に)不所望な凹凸を生じない調湿テキスタイルを教示している。WO2007/023086A1の調湿テキスタイルは、不所望な剛性を回避するために可塑剤を含有している。
【0006】
WO00/64311には、高吸収体が担体材料上に重合されているテキスタイルが開示されている。該テキスタイルは、シートパッドにおける調湿のために使用される。WO2004/067826A1は、多層テキスタイル平面構造物、特に、例えば高吸収体のような機能剤を含有することができかつパッド材料として好適である、片面がステッチボンドされた不織布からなるものを教示している。DE4001207A1、DE4034920A1、DE4127337A1、DE4206895A1、DE19726810C1及びDE19809156A1は、座席装備品、特に自動車用座席における調湿テキスタイルの使用に関する。
【0007】
高吸収体を適用する際の恒常的な課題の一つは、吸収すべき液体を、高吸収体の利用可能な量にわたって十分に分配することである。このことは特に、吸収すべき液体が局所的に濃縮され、かつ短時間に比較的多量で導入される衛生用品に当てはまるが、他の適用においても、例えばパッドの空調層上に液体がこぼれた場合にも該当し得る。この場合、局所的にのみ高吸収体が膨潤するとゲル層が生じ、これにより液体のさらなる進入が阻止されてしまい(いわゆる「ゲルブロッキング」)、ゲル粒子間の距離が長すぎると液体が漏出してしまう。従って、衛生用品、より厳密にはその「吸収コア」(しばしば「おむつコア」又は単に「コア」とも称される)には、多くの場合、液体貯蔵体層への均一な分配に役立つ液体分配層が組み込まれる。この貯蔵体層内に、送り込まれた液体を持続的に吸収する高吸収体の全量か又は少なくとも過半量が含まれている。貯蔵体層内での液体輸送に役立てるために、この高吸収体は貯蔵体層内で典型的にはセルロース繊維(「毛羽」)と混合されている。
【0008】
US5,728,085には、ロール状のパルプをさらに毛羽立たせることなく吸収層として直接使用する衛生用品が記載されている。US2002/0123728A1は、架橋したセルロース繊維と未架橋のセルロース繊維とが組み合わされている衛生用品のための液体分配層を教示している。
【0009】
WO2005/094749A2の教示によれば、液体分配の問題は、毛羽が比較的低含分である場合には、それ自体が高い液体移送能力を有し、かつ親水性の樹状ポリマー及び非水溶性ホスフェートと組み合わされている高吸収体を使用することによって解決される。
【0010】
US6,140,550には、繊維から形成されている比較的開放的な構造物、例えば高吸収体を含む連続気泡ポリウレタンフォームが開示されている。この開放的な構造によって、液体が障害なく進入することができる。この構造物に、他の平面状構造物、例えば親水性繊維からのウェブが積層されていてもよい。US5,451,452では、液体分配のために、フォーム状の高吸収体とテキスタイル層とが組み合わされている。
【0011】
WO95/35081A1の教示によれば、衛生用品において、本質的に繊維ウェブ又はワッディング(しばしば「毛羽」とも称される)及び高吸収体から構成された衛生用品の吸収体に比較的密な材料からのストリップが組み入れられ、それにより、進入する液体がより良好に吸収体内で分配される。WO01/21122A1は、毛羽マトリックスにわたって高吸収体が縦帯域で濃縮されて配置されている吸収体を教示している。特に、高吸収体の最初の膨潤後に生じる流路によって液体の分配が促進される。
【0012】
WO97/40223A1には、種々の孔径を有するウェブの製造法が記載されている。このような構造物は比較的良好な液体分配性を示す。
【0013】
WO03/053483A1は、疎水性材料から仕上げられているが表面上で持続的に親水化されている、衛生用品のためのカバー層を教示している。これにより、該カバー層の下方での吸収体への改善された液体分配が生じる。
【0014】
US2004/0254551A1には、液体分配層なしでも間に合い、かつ、毛羽、高吸収体、結合要素(例えば二成分繊維)及び細い中空繊維が組み合わされている、衛生用品のための吸収コアが開示されている。
【0015】
WO94/24975A1は、液体分配を改善するために、コア中で毛羽に加えて細い親水性繊維を使用することを教示している。
【0016】
高吸収体を含むテキスタイルの場合、付加的な問題が生じる。モノマー混合物をテキスタイルに吹き付け、次いで重合させることによってこのような材料を製造した場合には堅固に付着した高吸収体粒子が生じ、このことは概して望ましい。しかしながら、そのためにはテキスタイルが比較的開放孔状であることが望ましく、それというのも、さもなくば吹き付けられたモノマー混合物がテキスタイルの表面上にのみとどまり、重合後に、高吸収体粒子間にあまり隙間がなく、顕著な「ゲルブロッキング」を示す、比較的硬質の高吸収体表面層が生じてしまうためである。それによってさらにテキスタイルは極めて著しく柔軟性を失い、このことは、例えば衛生用品における貯蔵体層としての、又はパッドにおける調湿層としての適用において望ましくない。しかしながら、極めて開放孔状のテキスタイルを使用した場合には、施与された液体はしばしば不満足に吸収されるに過ぎず、それというのも、開放孔状のテキスタイル自体は液体を不十分にしか中間貯蔵及び分配することができないためである。その場合、施与された液体の顕著な割合がただテキスタイルから漏出してしまう。
【0017】
従って、改善された高吸収体を含むテキスタイルを見出すことが課題となっている。特に該テキスタイルは、施与された液体を、すでに公知であるテキスタイルよりも良好に自身の中で分配することができ、それによって、含まれる高吸収体に該液体を可能な限り完全に吸収させることができることが望ましい。それに加えて、該テキスタイルが可能な限りほぼその柔軟性を失わず、かつ高吸収体を有利には該テキスタイルに施与できることが望ましい。
【0018】
それに応じて、高吸収体の施与後に導入された親水性繊維を含む、改善された高吸収体を含むテキスタイルが見出された。
【0019】
さらに、その製造法並びに適用が見出された。
【0020】
本発明によるテキスタイル及びその製造法によって、一方では、比較的開放孔状のテキスタイルに高吸収体を付与することができるが、しかしながら付加的に導入された親水性繊維によって液体分配の明らかな改善が達成されることが判明した。
【0021】
該テキスタイルは、基本的に、高吸収体の施与が可能ないかなる種類のテキスタイルであってもよい。テキスタイルは、柔軟な繊維結合体、特に平面状の柔軟な繊維結合体である。このような繊維結合体は、繊維の他に、繊維間に隙間(しばしば「細孔」とも称される)を有する。本発明の範囲内で、テキスタイルとは、特にテキスタイル半製品及び完成品、例えば、スライバー、繊維ウェブ(即ち、繊維自体の付着によりまとめられた繊維結合体)又は不織布(これは付加的に補強された繊維ウェブである)、フェルト(縮絨フェルト、ニードルフェルト)、織物、ボビネット、ブレード、メリヤス及びニット、スクリム、レース、エンブロイダリー、ステッチボンド物品、タフテッド物品、それらからの混合形並びにそれらから製造されたテキスタイル完成品である。テキスタイル並びに当該技術分野からのその他の関連する概念の基本的な定義は、DIN60000(1696年1月)に記載されている。本発明の範囲内では、連続気泡型平面状フォームもテキスタイルのように使用することができ、かつテキスタイルの定義に包含される。特に経済的理由から、適用目的に応じて繊維自体の付着以外の付加的な補強を伴うか又は伴わずに、ここで言及されている適用分野のために、大多数のウェブが使用される。ウェブは、本発明のために本質的に経済的理由から有利なテキスタイルである。従って、本発明の「ウェブ」の表記で以て言及がなされている場合には、この概念はテキスタイルと同義である。ここで言及されている高吸収体を含有するテキスタイルのような材料は、しばしば包括的に「高吸収体ウェブ」又は「高吸収体で被覆されたウェブ」とも称される。
【0022】
本発明によるテキスタイルは、平面状担体材料としての少なくとも1のテキスタイルと、少なくとも1の高吸収体とを含む。該テキスタイルは、他の成分、特に高吸収体ウェブの成分としてすでに公知であるものを含むことができる。そのような他の成分の例は、吸湿性物質又は可塑剤である。
【0023】
本発明により好適なウェブには、特にプラスチック繊維からのものが含まれる。プラスチック繊維は、繊維を形成することができ、かつこの繊維からウェブを製造することができるような全てのポリマーから製造することができる。好適なポリマーの例は、ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート等、ポリアミド、例えばポリアミド6、ポリアミド66、ポリ(イミノカルボキシルペンタメチレン)等、アクリル繊維及び改質セルロース材料、例えば酢酸セルロース及びレーヨン並びにその混合物及びコポリマーである。
【0024】
プラスチック繊維の製造は、メルトブローにより、スパンボンド法で、押出成形及び延伸により、又は当業者に公知のその他の湿式−、乾式−及び溶融紡糸法により行われてよい。ウェブを形成するプラスチック繊維は、有限の長さを有していてもよいし、本質的に無限であってもよい。プラスチック繊維が例えばメルトブローにより形成される場合、該プラスチック繊維は本質的に無限であり得る(視認可能な端部はわずかである)。繊維を押出成形及び延伸により製造してトウ線又はトウ帯にする場合、これをそのまま使用してもよいし、切断して、例えば長さ約25ミリメートル〜約75ミリメートルのスフか、又は長さ約1ミリメートル〜約25ミリメートルのショートカット繊維にしてもよい。プラスチック繊維は、好適には、顕微鏡により、光学顕微鏡及び校正された対物ミクロメーターを用いて測定された、又は走査型電子顕微鏡写真の測定により決定された、約0.5マイクロメートル〜約50マイクロメートルの最大横断面を有することができる。
【0025】
ウェブの製造は、湿式−又は乾式紡糸法により、スパンボンド−又はメルトブロー法で、直接行うことができ、例えば、スフ又はショートカット繊維のカーディング又は空気流中でのウェブ形成(「エアレイド」)により行うことができる。当業者に公知の他のウェブ製造法も、本発明における適用に好適である。ウェブは、引き続き熱的又は機械的に補強されることができる。当業者に公知のウェブの補強方法には、サーマルボンディング、ポイントボンディング、パウダーボンディング、超音波ボンディング、ケミカルボンディング、メカニカルニードリング、ウォータージェットボンディング、ステッチング等が含まれる。
【0026】
繊維は、均質な繊維又は多成分繊維、特に二成分繊維、例えばシース・コア型繊維又はサイドバイサイド型繊維であってよい。
【0027】
ウェブは、唯一のタイプのプラスチック繊維からなっていてもよいし、種々のポリマーから形成された種々の繊維長又は繊維直径を有するプラスチック繊維を含有していてもよい。ウェブは、例えば(1)最大横断面直径約20マイクロメートル及び長さ約38ミリメートルを有する、ポリエチレンシースとポリプロピレンコアとを有する二成分繊維と、(2)最大横断面直径約25マイクロメートル及び長さ約38ミリメートルを有するポリエステル繊維(ポリエチレンテレフタレート)とからの混合物を含有することができる。繊維1及び2は、1:99〜99:1の質量比で存在することができる。これらの繊維は、均一に混合されていてもよいし、ウェブの相対する平面状の表面上で富化されて存在していてもよい。
【0028】
好適なウェブは、一般に、少なくとも10質量%、有利には少なくとも20質量%、特に有利には少なくとも25質量%、極めて特に有利には少なくとも50質量%がプラスチック繊維からなる。プラスチック繊維の質量割合は100質量%であってもよい。しかしながらプラスチック繊維の他に、ウェブは、非プラスチック繊維、例えば毛羽パルプ、木綿リンター、木綿等0〜90質量%を含有してもよい。
【0029】
一般に、ウェブのプラスチック繊維を形成しているポリマーは、内在的な疎水特性を有する。ここで、水と材料との接触角が90度を上回る場合、この材料は「疎水性」であると称される。水と材料との接触角が90度を下回る場合、この材料は「親水性」であると称される。本発明の範囲内では、ポリマー材料が添加剤又は助剤(例えば界面活性剤又は紡糸助剤)の施与なしに疎水性又は親水性である場合に、このポリマー材料を「内在的な」疎水性又は親水性であると見なす。
【0030】
ウェブは、一般に、少なくとも20g/m2、有利には少なくとも30g/m2、特に有利には少なくとも50g/m2で、かつ一般に多くとも800g/m2、有利には多くとも400g/m2、特に有利には多くとも200g/m2の目付を有する。
【0031】
ウェブは、典型的には、少なくとも0.005g/cm3、有利に少なくとも0.008g/cm3、特に有利には少なくとも0.01g/cm3で、かつ一般に多くとも0.12g/cm3、有利には多くとも0.1g/cm3、特に有利には多くとも0.08g/cm3の密度を有する。
【0032】
ウェブは付加的に親水性繊維も含有することができる。これは、内在的な親水性材料、例えばセルロース繊維、例えば毛羽パルプ、木綿リンター等、再生セルロース繊維、例えばレーヨン又は特定のナイロンコポリマー、例えばポリ(ペンタメチレンカルボンアミド)−(ポリアミド6)/ポリエチレンオキシドであってよい。この他に、親水性繊維は、疎水性繊維を親水化剤で処理することによっても得ることができる。例えば、親水性繊維はポリオレフィンから製造されることもでき、これは引き続き界面活性剤で被覆され、それにより繊維が親水性となる。疎水性物質からの繊維を親水化するための他の方法は同様に公知であり、かつ本発明の範囲内で好適である。
【0033】
内在性の親水性繊維、例えば毛羽パルプの製造法は公知であり、再生セルロース繊維、例えばレーヨンの製造法又は疎水性繊維の親水化方法も同様に公知である。親水性繊維が疎水性繊維の親水化により製造される場合には、該繊維は有利には上記範囲内の繊維長並びに直径を有する。親水性繊維が内在的な親水性繊維、例えば毛羽パルプ、レーヨン、木綿、木綿リンター等である場合、該繊維は通常約1.0ミリメートル〜約50ミリメートルの長さ、及び約0.5マイクロメートル〜約100マイクロメートルの直径を有する。
【0034】
ウェブは、唯一のタイプの親水性繊維を含むことができるが、しかしながら、種々の組成、長さ及び直径の親水性繊維を含むこともできる。
【0035】
特別な一実施態様において、ウェブは乾式由来の(エアレイド)セルロース繊維、例えば毛羽パルプからなる。毛羽パルプ繊維は、その入手が容易であることや、合成繊維に対してコスト上有利であることに基づいて、有利に使用される。このようなウェブは、一般に、少なくとも20g/m2、有利には少なくとも25g/m2、特に有利には少なくとも50g/m2で、かつ一般に多くとも200g/m2、有利には多くとも150g/m2、特に有利には多くとも125g/m2の目付を有する。このようなウェブは、一般に、少なくとも0.04g/cm3、有利に少なくとも0.06g/cm3、特に有利には少なくとも0.08g/cm3で、かつ一般に多くとも0.20g/cm3、有利には多くとも0.16g/cm3、特に有利には多くとも0.14g/cm3の密度を有する。
【0036】
高吸収体ウェブにおいて使用可能なもう1つの担体材料は、座席装備品カバー、マットレスカバー及び自動車用座席カバーにおける複合材料に関して公知でありかつしばしば使用される弾性テキスタイルのうちの一つである。慣用の弾性テキスタイルは、例えば「マルチニット(Mutiknit)」タイプ、「マリワット(Maliwatt)」タイプ、「マリフリース(Malivlies)」タイプ、又は「クニット(Kunit)」タイプの不織布である。このようなウェブは例えばステッチボンドにより製造され、大部分が長手方向に延びている繊維が横方向に部分的に再配向していることを特徴としており、それによってウェブが厚くなり、かつある程度の弾力性又はクッション作用が生じる。
【0037】
本発明による高吸収体ウェブは、担体材料として使用されるウェブの上か又は中に、高吸収体を含む。該高吸収体は、例えば、ウェブに施与された相応するモノマー溶液又はモノマー懸濁液の重合をウェブ上で行うことによって製造されるか、又は、ウェブの製造を高吸収体粒子の存在で行うことにより、微細な粒状又は繊維状の高吸収体としてウェブ製造の際にウェブに導入される。この場合、公知の全ての高吸収体を使用することができる。ウェブに施与されたモノマー溶液の重合によって、典型的には特に堅固に繊維に付着しかつウェブ中に均一に分配された高吸収体粒子がもたらされる。さらに、この重合は工業的に比較的容易であるため、高吸収体ウェブの有利な製造法である。
【0038】
この方法において、引き続く重合のためにウェブに施与された(例えば吹き付けられたか又は含浸により施与された)モノマー溶液又はモノマー懸濁液は、典型的には以下のものを含む:
a)少なくとも部分的に中和されていてよい、少なくとも1のエチレン性不飽和酸基含有モノマー、
b)少なくとも1の架橋剤、
c)少なくとも1の開始剤、
d)選択的に、a)で挙げられたモノマーと共重合可能な1以上のエチレン性不飽和モノマー、
e)選択的に、1以上の水溶性ポリマー、
f)少なくとも1の溶剤;及び
g)選択的に、他の添加剤及び/又は助剤。
【0039】
モノマーa)は、好ましくは水溶性であり、即ち23℃における水中での溶解度は、典型的には少なくとも1g/水 100g、好ましくは少なくとも5g/水 100g、特に有利には少なくとも25g/水 100g、極めて有利には少なくとも35g/水 100gである。
【0040】
好適なモノマーa)は、例えばエチレン性不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸及びイタコン酸である。特に有利なモノマーは、アクリル酸及びメタクリル酸である。アクリル酸が極めて特に有利である。
【0041】
他の好適な他のモノマーa)は、例えばエチレン性不飽和スルホン酸、例えばスチレンスルホン酸及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0042】
不純物は、重合に重大な影響を与えかねない。それゆえ、使用される原料は、可能な限り高い純度を有していることが望ましい。それゆえ、多くの場合、該モノマーa)を特別に精製することが好ましい。好適な精製法は、例えばWO2002/055469A1、WO2003/078378A1及びWO2004/035514A1に記載される。好適なモノマーa)は、例えばWO2004/035514A1によれば、精製されたアクリル酸であって、アクリル酸99.8460質量%、酢酸0.0950質量%、水0.0332質量%、プロピオン酸0.0203質量%、フルフラール0.0001質量%、無水マレイン酸0.0001質量%、ジアクリル酸0.0003質量%及びヒドロキノンモノメチルエーテル0.0050質量%を有する。
【0043】
モノマーa)の全量に対するアクリル酸及び/又はその塩の割合は、有利に少なくとも50モル%、特に有利に少なくとも90モル%、とりわけ有利に少なくとも95モル%である。
【0044】
通常、モノマーa)の一部は中和されている。確かに、モノマーを中和されていない状態で重合させ、次いで生じるポリマーゲルを中和することは理論的に可能ではあるが、高吸収体ウェブの場合、この段階での十分に均一的な中和には大抵コストがかかるため、非経済的である。従って有利には、モノマーは部分中和される。これは通常、中和剤を水溶液としてか又は有利には固体としてモノマー又はモノマー溶液に混入させることにより行われる。モノマーの中和度は、一般に少なくとも25モル%、有利には少なくとも50モル%、特に有利には少なくとも60モル%であり、かつ一般には多くとも95モル%、特に有利には多くとも80モル%、特に有利には多くとも75モル%であり、その際、通常の中和剤、有利にはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属炭酸水素塩並びにその混合物を使用することができる。アルカリ金属塩の代わりにアンモニウム塩を使用することもできる。ナトリウム及びカリウムは、アルカリ金属として特に有利であるが、しかしながら、極めて有利なのは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム並びにこれらの混合物である。
【0045】
モノマー溶液は、不所望な早期の重合に対する安定剤として、ヒドロキノン半エーテルを、中和されていないモノマーa)に対してその都度、好ましくは250質量ppmまで、有利には多くとも130質量ppm、特に有利には多くとも70質量ppm、好ましくは少なくとも10質量ppm、特に好ましくは少なくとも30質量ppm、殊に50質量ppm含有する。例えば、該モノマー溶液の製造のために、相応するヒドロキノン半エーテル含量を有するエチレン性不飽和酸基含有モノマーを使用してよい。この安定剤は、制御されないか又は早められた重合の阻害のみを目的としたものであって、高吸収体への所望の重合の阻害を目的としたものではない場合であっても、時として「重合阻害剤」とも称される。
【0046】
有利なヒドロキノン半エーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)及び/又はα−トコフェロール(ビタミンE)である。これらの安定剤は、最適な作用のために、溶解した酸素を必要とする。従って、重合前に、不活性化、即ち不活性ガス、好ましくは窒素又は二酸化炭素の貫流によって、モノマー溶液から溶解した酸素を除去することができ、そのようにして、重合に対するモノマーの安定化を容易に低減させることができる。有利には、重合前の該モノマー溶液の酸素含有率は、1質量ppm未満に、特に有利には0.5質量ppm未満に、極めて有利には0.1質量ppm未満に低下される。
【0047】
好適な架橋剤b)は、架橋に適した基を少なくとも2個有する化合物である。このような基は、例えば、ポリマー鎖にラジカル重合導入可能なエチレン性不飽和基、及び該モノマーa)の酸基と共有結合を形成し得る官能基である。さらに、該モノマーa)の少なくとも2個の酸基と配位結合を形成し得る多価金属塩も架橋剤b)として好適である。
【0048】
架橋剤b)は、有利には、ポリマー網目にラジカル重合導入可能な少なくとも2個の重合可能な基を有する化合物である。好適な架橋剤b)は、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルアンモニウムクロリド、テトラアリルオキシエタン(例えばEP530438A1に記載)、ジアクリレート及びトリアクリレート(例えばEP547847A1、EP559476A1、EP632068A1、WO93/21237A1、WO2003/104299A1、WO2003/104300A1、WO2003/104301A1及びDE10331450A1に記載)、アクリレート基の他にさらなるエチレン性不飽和基を含有する混合アクリレート(例えばDE10331456A1及びDE10355401A1に記載)、又は架橋剤混合物(例えばDE19543368A1、DE19646484A1、WO90/15830A1及びWO2002/32962A2に記載)である。
【0049】
有利な架橋剤b)は、ペンタエリトリットトリアリルエーテル、テトラアルコキシエタン、メチレンビス−メタクリルアミド、15箇所エトキシ化されたトリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及びトリアリルアミンである。
【0050】
極めて特に有利な架橋剤b)は、例えばWO2003/104301A1に記載されているような、複数箇所エトキシ化及び/又はプロポキシ化されたグリセリンをアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化し、ジアクリレート又はトリアクリレートとしたものである。3〜10箇所エトキシ化されたグリセリンのジアクリレート及び/又はトリアクリレートが特に有利である。1〜5箇所エトキシ化及び/又はプロポキシ化されたグリセリンのジアクリレート又はトリアクリレートが、極めて特に有利である。最も有利なのは、3〜5箇所エトキシ化及び/又はプロポキシ化されたグリセリンのトリアクリレート、殊に3箇所エトキシ化されたグリセリンのトリアクリレートである。
【0051】
架橋剤b)の量は、モノマーa)に対してその都度、一般に0.05〜1.5質量%、特に有利には0.1〜1質量%、極めて特に有利には0.3〜0.6質量%である。
【0052】
開始剤c)として、重合条件下にラジカルを形成する全ての化合物、例えば熱開始剤、レドックス開始剤又は光開始剤を使用することができる。好適なレドックス開始剤は、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/アスコルビン酸、過酸化水素/アスコルビン酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/亜硫酸水素ナトリウム及び過酸化水素/亜硫酸水素ナトリウムである。しばしば、熱開始剤とレドックス開始剤とからの混合物、例えばペルオキソ二硫酸ナトリウム/過酸化水素/アスコルビン酸が使用される。しかしながら還元性成分として有利には、2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸のナトリウム塩と、2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸の二ナトリウム塩と、亜硫酸水素ナトリウムとからの混合物が使用される。このような混合物は、Brueggolite(R) FF6及びBrueggolite(R)FF7(Brueggemann Chemicals;独国ハイルボロン在)として入手可能である。しかしながら、高吸収体ウェブを製造する際にはしばしば光重合も行われ、この場合には好適な光開始剤が使用される。有利な開始剤には、水溶性アゾ化合物、例えば2,2’−アゾビス(2−(2−イミダゾール−2−イル))プロパンジヒドロクロリド及び2,2’−アゾビス(アミジノ)プロパンジヒドロクロリド、水溶性ベンゾフェノン、例えば4−ベンゾイル−N,N,N−トリメチルベンゼン−メタンアミニウムクロリド、2−ヒドロキシ−3−(4−ベンゾイルフェノキシ)−3−N,N,N−トリメチル−1−プロパン−アミニウムクロリド一水和物、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオアキサントン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリド、2−ヒドロキシ−1−[4−(ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−メチル−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン及び4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]エチルベンゼンメタンアミニウムクロリドが含まれる。特に有利な開始剤の組合せは、アゾ開始剤及び2−ヒドロキシ−1−[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノンを含む。
【0053】
モノマー溶液又はモノマー懸濁液は、該モノマー溶液又はモノマー懸濁液中に含まれる高吸収体を形成するモノマーを完全に重合させるのに十分な量の1以上の開始剤を含有する。典型的に、開始剤量はモノマーa)の質量に対して0.01〜5.0質量%の範囲内、有利には0.2〜2.0質量%の範囲内である。
【0054】
エチレン性不飽和酸基含有モノマーa)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーd)は、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートである。
【0055】
水溶性ポリマーe)として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、改質セルロース、例えばメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、ポリグリコール又はポリアクリル酸、好ましくはデンプン、デンプン誘導体及び改質セルロースを使用することができる。
【0056】
モノマー溶液は、通常は溶剤又は懸濁剤f)を含有する。大抵は、溶液か、又は比較的少ない割合の不溶性成分含有懸濁液(例えば過飽和溶液)で処理されるため、以下では簡略化のために溶液についてのみ述べる。ウェブへのモノマー溶液の十分な施与が可能な全ての溶剤又は溶剤混合物を使用することができる。大抵、有利には水が使用される。モノマー溶液の水含分は、一般に少なくとも40質量%、有利には少なくとも45質量%、特に有利には少なくとも50質量%で、かつ一般には多くとも75質量%、有利には多くとも70質量%、特に有利には多くとも65質量%である。モノマー溶液がウェブへの吹き付けにより施与される場合には、水の量は、十分に吹き付け可能な溶液が得られるように調節される。選択的に、これを増粘剤の使用により達成することもできる。一般に、吹き付け溶液の粘度は、それぞれブルックフィールド粘度計で測定して、少なくとも20センチポイズ、有利には少なくとも30センチポイズ、特に有利には少なくとも40センチポイズで、かつ一般に多くとも400センチポイズ、有利には多くとも150センチポイズ、特に有利には多くとも100センチポイズに調節される。水含分が増加するにつれて引き続く乾燥時のエネルギーコストが増大し、水含分が低下するにつれて重合熱を不十分にしか除去できなくなる。
【0057】
モノマー溶液は、選択的に他の添加剤又は助剤を含有する。そのような添加剤又は助剤の例は、吸湿性物質、特に、例えばWO2006/106096A1又はJP05/105705Aに記載されているような塩化ナトリウム、WO2007/023085A1に記載されているような可塑剤、増粘剤又はそのようなものとして作用する物質、例えばWO01/56625A2に記載されているような微細粒状高吸収体である。
【0058】
モノマー溶液を製造する際に、モノマー溶液の成分を添加する順序自体は特に重要ではないが、しかしながら安全工学的理由から、開始剤を最後に添加することが有利である。
【0059】
高吸収体ウェブの製造の際、まずモノマー溶液が担体材料として使用されるウェブに施与される。容易な施与法は、ウェブへのモノマー溶液の吹き付け又は滴下、又は、容易にはウェブをパッダー又は所定量の液体をテキスタイル布地に施与できる同等の装置内でモノマー溶液に通すことによる、ウェブへのモノマー溶液の含浸である。
【0060】
モノマー溶液は、典型的には、完成した高吸収体の含分が引き続く乾燥後に、一般に少なくとも20g/m2、有利には少なくとも40g/m2、特に有利には少なくとも40g/m2で、かつ一般に多くとも700g/m2、有利には多くとも500g/m2、特に有利には多くとも400g/m2に達するような量で施与される。
【0061】
有利に吹き付けが行われる。吹き付けは、慣用の全ての吹き付け装置を用いて、例えばノズルにより行われてよい。一流体ノズルのみならず、モノマー溶液がガスにより噴霧される二流体ノズルも使用可能である。ガスとして、空気又は不活性ガス、例えば窒素、アルゴン又はヘリウムを使用することができる。空気、窒素又は窒素・空気混合物を使用するのが有利である。不活性ガス、例えば窒素の使用は、モノマー溶液からの酸素の除去が促進され、それにより安定剤、例えばMEHQの重合阻害作用が低減されるという利点を有する。
【0062】
モノマー溶液がウェブに施与された後、このウェブは、モノマーが重合する条件下に置かれる。モノマー溶液中に含まれる開始剤に応じて、この条件には例えば、モノマー溶液と衝突したウェブに対する、熱、紫外線、電子線又はその組合せの作用が含まれる。例えば、モノマー溶液と衝突したウェブが、搬送ベルト上で照射−又は加熱区間に通されることによって、重合がバッチ式か又は連続的に行われることができる。
【0063】
重合が熱的に開始される場合には、反応装置は特別な制限を受けない。重合がバッチ式で実施される場合には、ウェブに施与されたモノマー溶液は、炉中、空気又は不活性雰囲気中で、又は真空中で重合されることができる。連続的に実施される場合には、ウェブは乾燥機、例えば赤外線乾燥機、通気乾燥機等に通される。重合温度は、基材の厚さ、モノマー濃度、及び、モノマー溶液中で使用されている熱的開始剤の種類及び量に応じて、個々のケースで許容可能な残留モノマー濃度を除いて完全な重合が達成されるように選択される。熱重合は、典型的には20℃〜150℃、有利には40℃〜100℃の温度範囲内で行われる。重合時間は重合温度に依存するが、典型的には数秒〜2時間の範囲内、有利には数秒〜10分の範囲内である。
【0064】
重合が紫外線照射により開始される場合には、通常は慣用のUVランプを用いて照射される。照射条件、例えば照射強度及び照射時間は、使用される繊維基材のタイプ、基材上に施与されるモノマー量、開始剤量及び開始剤種類に依存し、当業界で慣例の通りに選択される。典型的に、照射はUVランプの使用下に、100〜700ワット/インチの範囲内、有利には400〜600ワット/インチの範囲内の強度で、UVランプと基材との間隔2〜30センチメートルで、0.1秒〜10分の期間にわたって行われる。紫外線の照射は、真空中で、不活性ガス、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム等の存在下に、又は空気中で行われてよい。照射温度は重要でなく、その際、吹き付けが行われたウェブに対する満足のいく結果を伴う照射は、大抵は室温で実施することができる。
【0065】
電子線による重合の開始には、例えば市販の電子線加速器、例えばElectrocurtain(R) C B 175(Energy Sciences, Inc., 米国ウィルミントン在)が好適である。150〜300キロボルトの範囲内で作動する加速器を使用することができる。そのような装置の典型的に1〜10ミリアンペアの範囲内にあるビーム電流を、電離放射線の所望の線量に調節することができる。電離放射線のそれぞれの線量は多少変動し、例えば、架橋作用を有するモノマーが存在するか又は不在であるか、ポリマーの所望の重合度、所望の架橋度等といったファクターに依存する。通常、モノマー溶液と衝突したウェブに、約1〜16メガラド、有利には2〜8メガラドの線量で照射するのが望ましい。特に低線量を適用する場合には、例えばウェブへの施与の前に溶液に窒素を通してバブリングさせることによって、モノマー溶液から酸素を除去することが望ましい。線量は有利に、繊維の崩壊が生じないように選択される。
【0066】
重合後に、高吸収体ウェブは、通常、例えば循環空気炉中での乾燥、温風乾燥機の通過、赤外線ランプで照射された区間の通過、又は布地ウェブを乾燥させるための他の好適かつ公知の措置及び装置により乾燥される。高吸収体の所望の湿分が達成されるまでの間、乾燥が行われる。
【0067】
担体材料として使用されるウェブの片面又は両面に、モノマー溶液を衝突させかつ照射することができる。
【0068】
所望であれば、高吸収体ウェブは後処理されてよい。考えられる後処理の例は、可塑剤、界面活性剤、その他のテキスタイル助剤の施与、所望の調湿、又は高吸収体粒子の表面後架橋(また、しばしば「後架橋」のみ)である。これらの措置を組み合わせることもできる。
【0069】
好適な表面後架橋剤は、ポリマー粒子の少なくとも2個のカルボキシレート基と共有結合を形成し得る基を含有する化合物である。好適な化合物は、例えば多官能性アミン、多官能性アミドアミン、多官能性エポキシド(例えばEP83022A2、EP543303A1及びEP937736A2に記載)、二官能性又は多官能性のアルコール(例えばDE3314019A1、DE3523617A1及びEP450922A2に記載)、又はβ−ヒドロキシアルキルアミド(例えばDE10204938A1及びUS6,239,230に記載)である。さらに、DE4020780C1には環状カーボネートが、DE19807502A1には2−オキサゾリドン及びその誘導体、例えば2−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリドンが、DE19807992C1にはビス−及びポリ−2−オキサゾリジノンが、DE19854573A1には2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン及びその誘導体が、DE19854574A1にはN−アシル−2−オキサゾリドンが、DE10204937A1には環状尿素が、DE10334584A1には二環状アミドアセタールが、EP1199327A2にはオキセタン及び環状尿素が、またWO2003/31482A1にはモルホリン−2,3−ジオン及びその誘導体が、好適な後架橋剤として記載されている。有利な後架橋剤は、エチレンカーボネート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリアミドとエピクロロヒドリンとの反応生成物、及びプロピレングリコールと1,4−ブタンジオールとからの混合物である。
【0070】
極めて特に有利な後架橋剤は、2−ヒドロキシエチルオキサゾリジン−2−オン、オキサゾリジン−2−オン及び1,3−プロパンジオールである。さらに、DE3713601A1に記載されているような、付加的な重合可能なエチレン性不飽和基を含有する後架橋剤も使用することができる。
【0071】
後架橋が行われる場合には、後架橋剤の量は一般に、ウェブ中の高吸収体量に対してそれぞれ0.001〜2質量%、有利には0.02〜1質量%、特に有利には0.05〜0.2質量%である。
【0072】
本発明のもう1つの実施態様において、後架橋の前、間又は後に、後架橋剤に加えてさらに、又は後架橋剤として、多価カチオンが粒子表面に施与される。本発明による方法において使用することができる多価カチオンは、例えば二価のカチオン、例えば亜鉛、マグネシウム、カルシウム、鉄及びストロンチウムのカチオン、三価のカチオン、例えばアルミニウム、鉄、クロム、希土類及びマンガンのカチオン、四価のカチオン、例えばチタン及びジルコニウムのカチオンである。対イオンとして、塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン及びカルボン酸イオン、例えば酢酸イオン及び乳酸イオンが可能である。硫酸アルミニウムが有利である。金属塩以外に、多価カチオンとしてポリアミンも使用することができる。
【0073】
多価カチオンの使用量は、ポリマー粒子に対してその都度、例えば0.001〜1.5質量%、好ましくは0.005〜1質量%、特に好ましくは0.02〜0.8質量%である。
【0074】
後架橋は、通常は、乾燥された高吸収体ウェブに後架橋剤の溶液を吹き付けるというようにして行われる。この吹き付けに引続き乾燥が行われ、その際、後架橋反応は乾燥前にも乾燥中にも生じうる。吹き付け(原則的には、含浸による施与も可能である)及び乾燥は、上でモノマー溶液の重合について記載された通りに行われる。
【0075】
後架橋剤は、典型的には水溶液として使用される。非水性溶剤の含分もしくは全溶剤量により、高吸収体粒子への後架橋剤の侵入深さを調整することができる。溶剤として専ら水のみが用いられる場合には、有利には界面活性剤が添加される。それによって湿潤挙動が改善され、かつ凝塊形成傾向が低減される。しかしながら好ましくは、溶剤混合物、例えばイソプロパノール/水、1,3−プロパンジオール/水及びプロピレングリコール/水が使用され、その際、この混合質量比は好ましくは20:80〜40:60である。
【0076】
高吸収体が施与された後、そのようにして製造された高吸収体ウェブに親水性繊維が導入される。親水性のものも含め、高吸収体が施与される際にすでにウェブの構成要素であった繊維とは対照的に、後から導入されるこの繊維は高吸収体粒子を有していない。この繊維は最終的に、液体の中間貯蔵及び分配を改善するために、もとの高吸収体ウェブの比較的大きな細孔を塞ぐのに役立つ。
【0077】
親水性繊維として、上記の全ての内在的な親水性繊維か、又は、すでにウェブのもとの成分であってもよい繊維を付加的な措置により親水化したものを使用することができる。
【0078】
本発明により使用可能な、内在的な親水性繊維材料又は場合により親水化された繊維材料の例は、単一成分繊維、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、コポリアミド、ポリエステル、例えばポリエチレン−テレフタレート(「PET」)、ポリエチレン−テレフタレート−コポリマーからの繊維又はこれらからの混合物、又は、二成分繊維、例えばポリプロピレン/ポリエチレン−テレフタレート、ポリエチレン/PET、ポリプロピレン/ナイロン6;ナイロン6/PET、ポリトリメチレン−テレフタレート;ポリエチレン−テレフタレート、ポリテトラメチレン−テレフタレート;コポリエステル/PET、コポリエステル/ナイロン6、コポリエステル/ナイロン66、ポリ−4−メチル−1−ペンテン/PET、ポリ−4−メチル−1−ペンテン/ナイロン6、ポリ−4−メチル−1−ペンテン/ナイロン6;ポリ−4−メチル−1−ペンテン/ナイロン66;PET/ポリエチレン−ナフタレート(PEN)、ナイロン66/ポリ−1,4−シクロヘキサン−ジメチル(PCT)、ポリプロピレン/ポリブチレン−テレフタレート(PBI);ナイロン6/コポリアミド、ポリ乳酸/ポリスチレン、ポリウレタン/アセタール又は可溶性コポリエステル/ポリエチレンからの繊維である。
【0079】
好適な繊維材料の他の例は、セルロース及びセルロース誘導体、例えば木材又は木綿から得られたセルロース、パルプ、酢酸セルロース、木繊維、ポリビニルアルコール−又はポリアクリレートである。
【0080】
有利には、セルロース繊維又はポリエステル繊維が使用される。
【0081】
親水性繊維は、通常、約1.0ミリメートル〜約50ミリメートルの長さ、及び約0.5マイクロメートル〜約100マイクロメートルの直径を有する。
【0082】
繊維をウェブに導入するための全ての公知の方法を用いて、親水性繊維を高吸収体ウェブに導入することができる。このような方法は、特にフェルト製造から公知である。極めて単純な方法の一つは散布された繊維の縮絨であり、もう1つの方法は、高吸収体ウェブと散布された親水性繊維とのニードリングである。これをウェブの片面で行うことができるが、しかしながら両面で行うこともできる。
【0083】
本発明によるテキスタイルは、さらに公知の全ての措置により後処理されてよい。特に調湿のために使用する場合には、該テキスタイルに表材を積層することができ、かつ、該テキスタイルは表材及び高吸収体ウェブの他に更なる層を含んでもよい。これらは使用目的に応じて選択される。考えられる他の層についての例は、例えば、合皮表材、スペーサー編物及びフレームラミネート加工されたフォームの下方のテクスチャー付与層、裏面テキスタイル保護−又は補強層、又は、水不透過性裏面層である。
【0084】
本発明によるテキスタイルは、特に、例えば衛生用品における吸液に好適であるが、しかしながら、特にマットレス及びシートパッドにおける、例えば座席装備品又は自動車用座席における、並びにその他の室内化粧張り又はフットマットにおける調湿にも好適である。少なくとも1の本発明によるテキスタイルを含む衛生用品、シートパッド又はマットレスは、卓越した吸湿性及び調湿性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高吸収体の施与後に導入された親水性繊維を含む、高吸収体を含むテキスタイル。
【請求項2】
ウェブである、請求項1記載のテキスタイル。
【請求項3】
ポリエステル繊維ウェブである、請求項1又は2記載のテキスタイル。
【請求項4】
親水性繊維がセルロース繊維である、請求項1から3までのいずれか1項記載のテキスタイル。
【請求項5】
高吸収体が部分中和されたアクリル酸をベースとする架橋したポリマーである、請求項1から4までのいずれか1項記載のテキスタイル。
【請求項6】
以下の工程:
i)テキスタイルにモノマー混合物を施与する工程、
ii)モノマー混合物を重合して高吸収体にする工程、及び
iii)親水性繊維を導入する工程
を含む、請求項1から5に定義されたテキスタイルの製造法。
【請求項7】
モノマー混合物が、部分中和されたアクリル酸と架橋剤とを含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
アクリル酸が少なくとも25モル%中和されている、請求項6又は7記載の方法。
【請求項9】
親水性繊維を縮絨又はニードリングによりテキスタイルに導入する、請求項6から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
吸液のための、請求項1から5までのいずれか1項記載のテキスタイルの使用。
【請求項11】
調湿のための、請求項1から5までのいずれか1項記載のテキスタイルの使用。
【請求項12】
請求項1から5までのいずれか1項記載のテキスタイルを少なくとも1つ含む、衛生用品、シートパッド又はマットレス。

【公表番号】特表2013−510245(P2013−510245A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537360(P2012−537360)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066578
【国際公開番号】WO2011/054784
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】