説明

改善余地量算出装置およびその制御方法、ならびに改善余地量算出プログラム

【課題】改善の余地のある消費電力量を精度よく算出する。
【解決手段】改善余地量算出装置は、対象機器の消費電力量のうち、改善を為しうる量である改善余地量を算出する。改善余地量算出装置の周期利用部42は、消費電力量の計測値E´および計測時刻t´と、周期的に変動する消費電力量の変動周期αcycleとを利用する。周期利用部42は、1周期に対する計測時刻t´の位相lを決定する位相決定部62と、複数の計測時刻t´のうち、或る位相lとなる複数の計測時刻t´に対応する複数の計測値E´の平均値を基準値とし、各位相と基準値との対応テーブル65を作成するテーブル作成部63と、或る計測時刻t´に対応する計測値E´から、位相決定部62および対応テーブル65によって取得された当該計測時刻t´に対応する基準値を減算する減算部64とを備え、減算結果が当該計測時刻t´の改善余地量ΔEcとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象機器が消費した消費エネルギのうち、改善を為しうる量である改善余地量を算出する消費エネルギの改善余地量算出装置およびその制御方法、ならびに改善余地量算出プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時、産業界では、生産コストを削減するため、生産時に使用する各種電気機器の消費電力量(消費エネルギ)の削減(以下「省エネ」と略称する)が求められている。また、地球温暖化対策として、国家レベルでの省エネが求められている。このため、日本国内では、省エネ法(エネルギ使用の合理化に関する法律)が改正され、これにより、上記省エネの対象となる、工場、事業場などの施設が増加することが予想されている。
【0003】
上記省エネの対象となった施設(以下「対象施設」と称する。)には、担当者(エネルギ管理者またはエネルギ管理員)の選任と、エネルギ使用状況等の定期報告とが義務づけられている。上記担当者は、省エネ対策を継続的に行うことが求められる。具体的には、上記担当者は、対象施設に対し、現状の把握および分析を行って、省エネのための目標を設定し、設定した目標を対象施設の設備管理者に提案し、該設備管理者は、提案された目標を対象施設に対して実施し、これを繰り返すことが求められる。
【0004】
しかしながら、工場などの施設内には、多数の電気機器が設けられており、全体の消費電力量を抑えるためには、何れの電気機器をどの程度操作すればよいかを特定することは容易ではない。ここで、省エネルギに関して熟達した専門家は、消費電力量に関して、電気機器間での影響の関係、およびその影響の解釈の仕方を経験的に知っており、消費電力量を削減するための各種対策を経験的に知っている。従って、もし上記担当者が上記専門家であるならば、上記担当者は、対象施設を観測して、消費電力量を抑えるべき電気機器を特定し、これに基づき、消費電力量を抑えるためのアドバイスを上記施設の設備管理者に行うことが可能である。
【0005】
しかしながら、上記専門家は人数が限られているため、上記担当者として各施設に配置するには人数が不足する。また、上記専門家を育てるには時間およびコストを費やすことになる。そこで、上記担当者が、省エネの専門知識を有するか否かに関係なく、省エネのための改善業務を実施できる省エネ業務支援システムの開発が求められている。
【0006】
具体的には、対象施設に設けられた計測機器が計測した消費電力量のデータのどこをどの様に参照すればよいかを上記担当者が判断するには、専門的な知識が必要になる。また、工場などの施設内では、消費電力量に関係する多数の計測機器が設けられているため、消費電力量のデータ数も膨大なものとなる。例えば、300個の計測機器が10分間隔で計測した場合の1ヶ月のデータ数は約120万個となる。このような膨大な数の消費電力量のデータの分析には、時間がかかるため、効果的かつ持続的な省エネ対策を行うことが困難になっている。従って、機器ごとに計測した膨大な数の消費電力量のデータを用いて、自動的に改善余地のある機器を抽出する省エネ業務支援システムの開発が求められている。
【0007】
このような省エネ業務支援システムの公知例としては、下記の特許文献1に記載のエネルギ等消費量算定システムが挙げられる。該エネルギ等消費量算定システムは、配線等ごとのエネルギ等消費量を取得し、取得したデータを消費時刻と関連付けた情報と、配線等に対応して使用してよい時間帯か否かを峻別したスケジュールとに基づいて、無駄に消費されたと考えられる時間帯および消費量を出力するものである。
【特許文献1】特開2007−172406号公報(平成19年7月5日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図23は、特許文献1に記載のシステムにおいて、無駄に消費されたと考えられる時間帯および消費量を示すためのグラフである。図示のグラフでは、実際の消費エネルギEaの時間変化が実線で示され、このうち、目標とする消費エネルギの時間変化を示す領域が一点鎖線で示されている。図示のグラフでは、実際の消費エネルギEa(t)の時間変化と、目標とする消費エネルギEg(t)の時間変化とが示されている。そして、目標とする消費エネルギEg(t)の時間変化のグラフと時間軸との間の領域には、ハッチングが施されている。
【0009】
図23に示すように、特許文献1のシステムでは、使用してよい時間帯Ta以外の時間帯Tbを、無駄に消費されたと考えられる時間帯とし、該時間帯Tbの消費エネルギを無駄に消費されたと考えられる消費量としている。このため、特許文献1のシステムでは、使用してよい時間帯Taにおいて、無駄に消費されたと考えられる消費量を求めることができない。
【0010】
また、消費エネルギの閾値を設定し、該閾値を超えた分の消費エネルギを無駄な消費エネルギと判断する周知の方法が存在する。図23の細線が上記消費エネルギの閾値Ethを示している。図示のように、この方法の場合、使用してよい時間帯Taにおける無駄な消費エネルギを求めることができる。しかしながら、図23を参照すると、閾値よりも下の領域に、未だ改善の余地(Ea(t)−Eg(t))が残っていることが理解できる。
【0011】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、改善の余地のある消費エネルギを精度よく算出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一般に、機器の消費エネルギは、稼働状況に応じて多いときもあれば少ないときもある。また、上記稼働状況は、時間帯、曜日、特定日、上旬・中旬・下旬、季節などによって変化する。従って、機器の稼働状況は、周期的に変動することが予想され、同様に、機器の消費エネルギは、周期的に変動することが予想される。
【0013】
そこで、本発明に係る消費エネルギの改善余地量算出装置は、対象機器が消費した消費エネルギのうち、改善を為しうる量である改善余地量を算出する消費エネルギの改善余地量算出装置であって、上記課題を解決するために、上記消費エネルギの計測値および計測時刻と、周期的に変動する上記消費エネルギの変動周期とを記憶する記憶部と、上記変動周期に対する上記計測時刻の位相を取得する位相取得手段と、上記記憶部に記憶された複数の計測時刻のうち、上記位相取得手段が取得した位相となる複数の計測時刻に対応する複数の上記計測値の代表値を基準値として取得する基準値取得手段と、上記記憶部に記憶された或る計測時刻に関して、当該計測時刻に対応する上記計測値から、上記位相取得手段および上記基準値取得手段によって取得された当該計測時刻の位相に対応する基準値を減算し、その演算結果を当該計測時刻の上記改善余地量とする改善余地量算出手段とを備えることを特徴としている。
【0014】
また、本発明に係る消費エネルギの改善余地量算出装置の制御方法は、対象機器が消費した消費エネルギのうち、改善を為しうる量である改善余地量を算出する消費エネルギの改善余地量算出装置であって、上記消費エネルギの計測値および計測時刻を記憶する記憶部を備える改善余地量算出装置の制御方法において、上記課題を解決するために、上記記憶部に記憶された、周期的に変動する上記消費エネルギの変動周期に対する上記計測時刻の位相を取得する位相取得ステップと、上記記憶部に記憶された複数の計測時刻のうち、上記位相取得ステップによって取得された位相となる複数の計測時刻に対応する複数の上記計測値の代表値を基準値として取得する基準値取得ステップと、上記記憶部に記憶された或る計測時刻に関して、当該計測時刻に対応する上記計測値から、上記位相取得ステップおよび上記基準値取得ステップによって取得された当該計測時刻の位相に対応する基準値を減算し、その演算結果を当該計測時刻の上記改善余地量とする改善余地量算出ステップとを含むことを特徴としている。
【0015】
ここで、代表値の例としては、平均値、最低値、中央値、最頻値などが挙げられる。
【0016】
上記の構成および方法によると、変動周期に対する計測時刻の位相を取得し、該位相となる複数の計測時刻に対応する複数の計測値の代表値を基準値として取得し、或る計測時刻に関して、当該計測時刻に対応する上記計測値から、当該計測時刻の位相に対応する基準値を減算し、その演算結果を当該計測時刻の上記改善余地量としている。従って、本発明では、一定の閾値を用いる従来の方法に比べて、周期的な変動に応じて異なる基準値を設定しているので、改善の余地のある消費エネルギを精度よく算出することができる。
【0017】
なお、上記位相取得手段は、上記変動周期に対する上記計測時刻の位相を、上記変動周期および上記計測時刻から計算により取得してもよいし、上記変動周期に基づいて予め作成された、上記計測時刻と上記位相との対応テーブルから取得してもよい。
【0018】
本発明に係る改善余地量算出装置では、上記基準値取得手段は、上記変動周期の各位相と上記基準値とを対応付けて上記記憶部に記憶することが好ましい。この場合、上記各位相と上記基準値とが対応付けて記憶されているので、上記改善余地量算出手段は、上記位相取得手段にて取得された或る計測時刻の位相に対応する基準値を上記記憶部から取得すればよく、当該計測時刻の改善余地量を迅速に求めることができる。
【0019】
なお、上述のように、1台の対象機器に対し複数の上記変動周期が存在することがあり得る。この場合、上記記憶部は、異なる複数の上記変動周期を記憶し、上記各手段は、上記変動周期ごとに実行されればよい。
【0020】
また、上記対象機器の稼働が計画されている期間である計画時間以外の期間における消費エネルギは、特許文献1に記載のように、全て無駄に消費されたと考えられる量、すなわち改善余地量と考えられる。従って、上記計画時間が設定される場合、該計画時間以外の期間において、本発明を適用して上記基準値を求めて、上記計測値から上記基準値を減算する必要はない。
【0021】
そこで、本発明に係る改善余地量算出装置では、上記各手段は、上記対象機器の稼働が計画されている期間である計画時間の計測時刻に関してのみ実行されることが好ましい。なお、上記対象機器の中には、24時間稼働し続けるため、上記計画時間が設定されない場合も存在する。この場合でも、本発明を適用することにより、改善余地量の抽出が可能であることは言うまでもない。
【0022】
本発明に係る改善余地量算出装置では、上記或る計測時刻の上記改善余地量を、上記変動周期とは別の指標を利用して算出する1または複数の別指標利用手段と、上記或る計測時刻の上記改善余地量として、上記1または複数の別指標利用手段が算出した1または複数の改善余地量と、上記改善余地量算出手段が算出した改善余地量とのうち最大値を選択する選択手段とをさらに備えることが好ましい。この場合、各種の指標を利用して算出された複数の改善余地量の最大値が選択されることにより、改善の余地のある消費エネルギをさらに精度よく算出することができる。
【0023】
ここで、上記別の指標の例としては、上記計画時間の他、平均値からのバラツキ、および定格値が挙げられる。なお、上記別の指標を用いて上記改善余地量を算出することの詳細は、実施の形態にて説明する。
【0024】
本発明に係る改善余地量算出装置では、上記選択手段が選択した改善余地量の最大値を、指定期間に含まれる上記計測時刻の全てに関して合計し、合計値を改善余地総量とする改善余地総量算出手段をさらに備えることが好ましい。上記改善余地総量を上記消費エネルギと共に使用者に提示することにより、上記消費エネルギのどの程度に改善の余地が存在するかを把握することができる。
【0025】
なお、上記指定期間は、使用者が入力部を介して指定されたものでもよいし、記憶部に予め記憶されたものであってもよい。また、或る指標に基づく改善余地量を、指定期間に含まれる上記計測時刻の全てに関して合計し、これを指標ごとに行うことを追加してもよい。この場合、各指標に基づく改善の余地が、上記消費エネルギのどの程度であるかを使用者が把握することができる。
【0026】
本発明に係る改善余地量算出装置では、上記対象機器は複数個であり、上記各手段は上記対象機器ごとに実行されており、上記改善余地総量算出手段が算出した改善余地総量の多い順に、上記対象機器を識別する機器識別情報を配列したリストを作成するリスト作成手段をさらに備えることが好ましい。
【0027】
この場合、作成されたリストを使用者に提示することにより、使用者は、消費エネルギの改善の余地が多い対象機器を認識することができ、当該対象機器の消費エネルギを改善することにより、省エネを効率的に実現することができる。なお、機器識別情報は機器名でもよいし、機器ごとに割り当てられた番号でもよい。
【0028】
なお、上記改善余地量算出装置における各ステップを、改善余地量算出プログラムによりコンピュータに実行させることができる。さらに、上記改善余地量算出プログラムをコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶させることにより、任意のコンピュータ上で上記改善余地量算出プログラムを実行させることができる。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明に係る改善余地量算出装置は、或る計測時刻に関して、当該計測時刻に対応する上記計測値から、当該計測時刻の位相に対応する基準値を減算し、その演算結果を当該計測時刻の上記改善余地量としているので、一定の閾値を用いる従来の方法に比べて、周期的な変動に応じて異なる基準値が設定され、その結果、改善の余地のある消費エネルギを精度よく算出できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の一実施形態について図1〜図22を参照して説明する。図2は、本実施形態の省エネ支援システムの概略構成を示している。省エネ支援システム1は、対象となる複数の機器11が消費する消費電力量を改善することを支援するものである。以下では、対象となる機器11を「対象機器11」と称する。図2に示すように、省エネ支援システム1は、改善余地量算出装置10と複数の対象機器11とが通信可能に接続された構成である。
【0031】
改善余地量算出装置10は、各対象機器11が消費する消費電力量の計測値および計測時刻(サンプリング時刻)を含む計測データを各対象機器11から受け取り、受け取った計測データに基づいて、消費電力量の改善余地量を算出するものである。ここで、消費電力量の改善余地量とは、上記消費電力量のうち、省エネ対策を行うことにより改善される可能性のある量をいう。また、改善余地量算出装置10は、算出した各対象機器11の改善余地量を表示する。これにより、使用者は、消費電力量の改善の余地が多い対象機器11を認識することができ、当該対象機器11の消費電力量を改善することにより、省エネを効率的に実現することができる。
【0032】
図3は、本実施形態の改善余地量算出装置の概略構成を示している。図示のように、改善余地量算出装置10は、制御部20、記憶部21、入力部22、および表示部23を備える構成である。
【0033】
制御部20は、改善余地量算出装置10内における各種構成の動作を統括的に制御するものであり、例えばCPU(Central Processing Unit)およびメモリを含むコンピュータによって構成される。そして、各種構成の動作制御は、制御プログラムをコンピュータに実行させることによって行われる。このプログラムは、例えばフラッシュメモリなどのリムーバブルメディアに記録されているものを読み込んで使用する形態であってもよいし、ハードディスクなどにインストールされたものを読み込んで使用する形態であってもよい。また、上記プログラムをダウンロードしてハードディスクなどにインストールして実行する形態なども考えられる。なお、制御部20の詳細については後述する。
【0034】
記憶部21は、情報を記憶するものであり、フラッシュメモリ、ROM(Read Only Memory)などの不揮発性の記憶装置と、RAM(Random Access Memory)などの揮発性の記憶装置とによって構成される。不揮発性の記憶装置に記憶される内容としては、上記した制御プログラム、OS(operating system)プログラム、その他の各種プログラム、各種動作設定値、各種データなどが挙げられる。一方、揮発性の記憶装置に記憶される内容としては、作業用ファイル、テンポラリファイルなどが挙げられる。なお、記憶部21の詳細については後述する。
【0035】
入力部22は、外部からの各種情報の入力を受け付けるものである。入力部22は、外部装置から通信媒体を介してデータを受信する受信デバイス、使用者の操作により使用者から各種の入力を受け付ける操作デバイス、着脱可能な記録媒体からデータを読み取る読取デバイス、などによって構成されている。
【0036】
表示部23は、各種情報を表示出力するものである。表示部23は、LCD(液晶表示素子)、CRT(陰極線管)、プラズマディスプレイなどの表示デバイスによって構成されている。
【0037】
次に、制御部20および記憶部21の詳細について説明する。図3に示すように、制御部20は、情報取得部30、改善余地量算出部31、改善余地総量算出部32、およびリスト作成部(リスト作成手段)33を備える構成である。また、記憶部21は、計測データ記憶部34、設定情報記憶部35、改善余地量記憶部36、および改善余地総量記憶部37を、対象機器11ごとに備える構成である。
【0038】
情報取得部30は、外部からの情報を入力部22を介して取得するものである。情報取得部30は、取得した情報を記憶部21に記憶する。具体的には、情報取得部30は、対象機器11からの上記計測データを取得して、計測データ記憶部34に記憶すると共に、各種の改善余地量を算出するために必要な設定情報を使用者などから取得して、設定情報記憶部35に記憶する。なお、計測データは時系列データである。
【0039】
改善余地量算出部31は、或る指標に基づく改善余地量を計測時刻ごとに算出し、これを複数の指標のそれぞれについて実行するものである。改善余地量算出部31は、算出した各種の改善余地量を、計測時刻に対応づけて改善余地量記憶部36に記憶する。
【0040】
具体的には、改善余地量算出部31は、上記指標に対応する設定情報を設定情報記憶部35から読み出し、読み出した設定情報と、必要に応じて計測データ記憶部34から読み出した上記計測データとを用いて、上記指標に対応する省エネ対策を行った場合に予想される消費電力量である基準値を算出する。次に、改善余地量算出部31は、計測データ記憶部34から読み出した計測値から、上記基準値を減算し、その結果が上記指標に基づく改善余地量となる。すなわち、或る指標に基づいて算出された改善余地量は、当該指標に対応する省エネ対策を行うことにより、改善される可能性のある量である。なお、改善余地量算出部31の詳細については後述する。
【0041】
改善余地総量算出部32は、改善余地量記憶部36から読み出した各種の改善余地量を用いて、対象となる期間における改善余地量の合計値を改善余地総量として算出するものである。具体的には、改善余地総量算出部32は、改善余地量記憶部36から読み出した、或る計測時刻における各種の改善余地量から最大値を選択し、これを、対象となる期間に含まれる全ての計測時刻に関して繰返し、選択された最大値を累算している。改善余地総量算出部32は、算出した改善余地総量を改善余地総量記憶部37に記憶する。
【0042】
改善余地総量算出部32において各種の改善余地量から最大値を選択する理由は以下の通りである。すなわち、上述のように、或る指標に基づいて算出された改善余地量は、当該指標に対応する省エネ対策を行うことにより、改善される可能性のある量である。また、各種の改善余地量は、各指標に基づいて基準値を算出し、計測値から基準値を減算した差である。すなわち、各種の改善余地量は、排他的に存在するのではなく、重複して存在するものである。従って、或る時刻において、各指標に対応する省エネ対策を全て行うことにより改善される可能性のある消費電力量は、各種の改善余地量の累算値とはならず、最大値となる。
【0043】
なお、情報取得部30、改善余地量算出部31、および改善余地総量算出部32は、対象機器11ごとに実行される。これにより、改善余地総量記憶部37には、各対象機器11の改善余地総量が記憶されることになる。
【0044】
リスト作成部33は、改善余地総量記憶部37から読み出した各対象機器11の改善余地総量のリストを作成するものである。リスト作成部33は、作成したリストを表示部23に表示出力させる。なお、リスト作成部33は、上記リストを改善余地総量の大きい順にソートして(並び替えて)、表示部23に表示出力させることが望ましい。
【0045】
次に、改善余地量算出部31の詳細について図1・図4〜図11を参照して説明する。上述のように、改善余地量算出部31は、或る指標に基づく改善余地量を計測時刻ごとに算出し、これを複数の指標のそれぞれについて実行するものである。図5は、本実施形態で使用される4つの指標の内容を示すグラフである。同図に示すグラフは、対象機器11の消費電力量Eの時間変化を示している。
【0046】
図5の(a)は、対象機器11の稼働計画時間Ptを指標とするものである。ここで、稼働計画時間Ptとは、対象機器11の稼働が計画されている期間をいう。逆に言えば、稼働計画時間Pt以外の期間では、対象機器11の稼働は不要である。従って、図5の(a)に示すように、稼働計画時間Pt以外の期間における消費電力量Eが、改善余地量に該当することになる。
【0047】
図5の(b)は、消費電力量Eの平均値からのバラツキを指標とするものである。一般に、上記バラツキが大きい場合、機器の動作が不安定であると考えられる。従って、機器の動作が安定すれば、上記バラツキは小さくなると考えられる。この場合、平均値よりも大きかった消費電力量を小さくすることができ、消費電力量を改善することができる。従って、図5の(b)に示すように、例えば動作の安定時における最大偏差を平均値に加算した値をバラツキに関する基準値とすると、該基準値を超えた消費電力量の分が、改善余地量に該当することになる。
【0048】
図5の(c)は、消費電力量Eの周期を指標とするものである。例えば、毎日同じ様に稼働している機器は、消費電力量が1日を1周期として周期的に変動することが多い。このように、動作の安定している機器の消費電力量は周期的に変動すると考えられる。逆に言えば、動作の不安定な機器は、消費電力量が周期的な変動から逸脱し、このため、動作の安定している場合に比べて消費電力量が増加すると考えられる。
【0049】
従って、或る周期に対して同じ位相となる複数の計測値の平均値を算出し、これを異なる位相に関して繰り返し、全位相の平均値を上記周期に関する基準値とすると、図5の(c)に示すように、該基準値を超えた消費電力量の分が、改善余地量に該当することになる。なお、平均値以外にも中央値などの代表値を利用してもよい。
【0050】
図5の(d)は、対象機器11の定格電力量などの定格値を指標とするものである。通常、機器は、定格値の所定割合(例えば90%)以下の消費電力量で稼働するようになっている。すなわち、上記定格値の所定割合を超える消費電力量で機器が稼働している状況は、予定外の状況であり、改善の余地があると考えられる。従って、図5の(d)に示すように、消費電力量の定格値に対し、設定された割合を乗算した値を上記定格値に関する基準値とすると、該基準値を超えた消費電力量の分が、改善余地量に該当することになる。
【0051】
図4は、改善余地量算出部31の概略構成を示している。図示のように、改善余地量算出部31は、計画時間利用部(別指標利用手段)40、バラツキ利用部(別指標利用手段)41、周期利用部42、および定格値利用部(別指標利用手段)43を備える構成である。また、計測データ記憶部34には、消費電力量の計測データとして、計測値E(i,k)が対象機器11ごとに記憶され、計測時刻t(k)が記憶されている。また、設定情報記憶部35には、各対象機器11の設定情報として、稼働計画時間Ptなど、改善余地量を算出するのに必要な設定情報が記憶されている。
【0052】
なお、自然数iは、対象機器11に順番に割り当てられた番号(以下「機器番号」と称する。)であり、自然数kはサンプリングの順番を示す番号(以下「サンプリング番号」と称する。)である。従って、計測値と計測時刻とはサンプリング番号を介して対応づけられることになる。
【0053】
計画時間利用部40は、計画時間Ptを指標として利用して、改善余地量ΔEa(i,k)を算出するものである。計画時間利用部40は、算出した改善余地量ΔEa(i,k)を改善余地量記憶部36に記憶する。また、計画時間利用部40は、計測データ(E(i,k),t(k))から、計画時間Pt内の計測データ(E´(i,k),t´(k))を抽出する。抽出した計画時間Pt内の計測データ(E´(i,k),t´(k))は、バラツキ利用部41、周期利用部42、および定格値利用部43にて利用される。このため、計画時間Pt内の計測データ(E´(i,k),t´(k))は、揮発性の記憶装置に一時記憶されることが望ましい。
【0054】
バラツキ利用部41は、消費電力量Eの平均値からのバラツキを指標として利用して、改善余地量ΔEb(i,k)を算出するものである。バラツキ利用部41は、算出した改善余地量ΔEb(i,k)を改善余地量記憶部36に記憶する。
【0055】
周期利用部42は、消費電力量Eの周期を指標として利用して、改善余地量ΔEc(i,k)を算出するものである。周期利用部42は、算出した改善余地量ΔEc(i,k)を改善余地量記憶部36に記憶する。
【0056】
定格値利用部43は、対象機器11の定格値を指標として利用して、改善余地量ΔEd(i,k)を算出するものである。定格値利用部43は、算出した改善余地量ΔEd(i,k)を改善余地量記憶部36に記憶する。なお、計画時間利用部40、バラツキ利用部41、周期利用部42、および定格値利用部43の詳細については後述する。
【0057】
図6および図7は、計測データ記憶部34に記憶された計測データ(E(i,k),t(k))の一例と、改善余地量記憶部36に記憶された各種改善余地量ΔEa(i,k)〜ΔEd(i,k)の一例とを表形式で示している。図示の各欄は、左から順に、サンプリング番号k、計測時刻t(k)、計測値E(i,k)、計画時間に関する改善余地量ΔEa(i,k)、バラツキに関する改善余地量ΔEb(i,k)、周期に関する改善余地量ΔEc(i,k)、定格値に関する改善余地量ΔEd(i,k)、および改善余地量の最大値ΔEmax(i,k)となっている。そして、図示の例では、2007年4月6日0時30分〜7日0時00分の30分毎に計測された計測データ(E(i,k),t(k))と、各計測データから算出される改善余地量ΔEa(i,k)〜ΔEd(i,k)・ΔEmax(i,k)が記載されている。
【0058】
なお、周期に関する改善余地量ΔEc(i,k)としては、1日を1周期とするものと、1週間を1周期とするものと、1月を1周期とするものとが記載されている。このように、消費電力量Eに複数の周期が混在する場合には、各周期に関する改善余地量ΔEc(i,k)を算出してもよい。
【0059】
図8は、設定情報記憶部35に記憶された各対象機器11の設定情報の一例を表形式で示している。図示の例は、左から順に、機器番号i、機器名、定格値γ(i)(例、定格電力量)、定格値に関する設定値αrate(i)、1周期のサンプリング数αcycle(i)、バラツキに関する設定値αave(i)、解析対象期間At(i)、および稼働計画時間Pt(i)が、対象機器11ごとに記載されている。
【0060】
ここで、解析対象期間At(i)は、改善余地量算出装置10が解析する対象となる期間をいう。すなわち、解析対象期間At(i)に含まれる計測時刻t(k)における計測値E(i,k)が、改善余地量算出装置10の解析対象となる。なお、図6および図7の例では、計測データのサンプリングは30分間隔で行われている。
【0061】
従って、1周期が1日である場合のサンプリング数αcycle(i)は48であり、1周期が1週間である場合のサンプリング数αcycle(i)は336であり、1周期が1月(31日)である場合のサンプリング数αcycle(i)は1488である。
【0062】
次に、計画時間利用部40、バラツキ利用部41、周期利用部42、および定格値利用部43の詳細について図1・図9〜図11を参照して説明する。
【0063】
図9は、計画時間利用部40の概略構成を示している。図示のように、計画時間利用部40は、計測データ取得部50、計画時間取得部51、計画時間内判定部52、および選択部53を備える構成である。
【0064】
計測データ取得部50は、設定情報記憶部35から解析対象期間At(i)を取得し、取得した解析対象期間At(k)内の計測時刻t(k)を含む計測データ(E(i,k),t(k))を計測データ記憶部34から取得するものである。計測データ取得部50は、取得した計測データ(E(i,k),t(k))を選択部53に送出する一方、上記計測データにおける計測時刻t(k)を計画時間内判定部52に送出する。
【0065】
計画時間取得部51は、設定情報記憶部35から(稼働)計画時間Pt(i)を取得するものである。計画時間取得部51は、取得した計画時間Pt(i)を計画時間内判定部52に送出する。
【0066】
計画時間内判定部52は、計測データ取得部50から受け取った計測時刻t(k)が、計画時間取得部51から受け取った計画時間Pt(i)内であるか否かを判定するものである。計画時間内判定部52は、判定結果を選択部53に送出する。
【0067】
選択部53は、計画時間内判定部52の判定結果に基づき計測データ(E(i,k),t(k))の送信先を選択するものである。具体的には、選択部53は、上記計測時刻t(k)が計画時間Pt(i)内である場合、計測データ取得部50から受け取った計測データ(E(i,k),t(k))を、計画時間内の計測データ(E´(i,k),t´(k))としてバラツキ利用部41、周期利用部42、および定格値利用部43に送信する。一方、選択部53は、上記計測時刻t(k)が計画時間Pt(i)内では無い場合、計測データ取得部50から受け取った計測値E(i,k)を、計画時間に関する改善余地量ΔEa(i,k)として改善余地量記憶部36に記憶する。
【0068】
図10は、バラツキ利用部41の概略構成を示している。図示のように、バラツキ利用部41は、計測データ取得部54、設定値取得部55、平均値算出部56、基準値算出部57、および減算部58を備える構成である。
【0069】
計測データ取得部54は、計画時間利用部40からの計画時間内の計測データ(E´(i,k),t´(k))の全てを取得するものである。計測データ取得部54は、取得した計測値E´(i,k)の全てを、平均値算出部56に一括して送出する一方、減算部58に一括または逐次的に送出する。
【0070】
設定値取得部55は、設定情報記憶部35からバラツキに関する設定値αave(i)を取得するものである。設定値取得部55は、取得した設定値αave(i)を基準値算出部57に送出する。
【0071】
平均値算出部56は、計測データ取得部54から受け取った計測値E´(i,k)の全てから平均値μ(i)を算出するものである。平均値算出部56は、算出した平均値μ(i)を基準値算出部57に送出する。
【0072】
基準値算出部57は、平均値算出部56から受け取った平均値μ(i)と、設定値取得部55から受け取った設定値αave(i)とを用いて、次式によりバラツキに関する基準値Rave(i)を算出するものである。基準値算出部57は、算出した基準値Rave(i)を減算部58に送出する。
Rave(i)=(1+αave(i))×μ(i) ・・・(1)。
【0073】
減算部58は、計測データ取得部54から受け取った計測値E´(i,k)から、基準値算出部57から受け取った基準値Rave(i)を減算するものである。減算部58は、演算結果(E´(i,k)−Rave(i))をバラツキに関する改善余地量ΔEb(i,k)として改善余地量記憶部36に記憶する。
【0074】
図1は、周期利用部42の概略構成を示している。図示のように、周期利用部42は、計測データ取得部60、設定値取得部61、位相決定部(位相取得手段)62、テーブル作成部(基準値取得手段)63、および減算部(改善余地量算出手段)64を備える構成である。なお、周期利用部42は、位相と基準値との対応テーブル65を作成して記憶部21に記憶するテーブル作成モードと、対応テーブル65を用いて改善余地量ΔEc(i,k)を算出する改善余地量算出モードとを有している。周期利用部42は、計画時間内の計測データ(E´(i,k),t´(k))を取得する場合にテーブル作成モードとなり、対応テーブル65を作成した後に改善余地量算出モードとなる。
【0075】
計測データ取得部60は、計画時間利用部40からの計画時間内の計測データ(E´(i,k),t´(k))の全てを取得するものである。このとき、周期利用部42は上記テーブル作成モードに移行する。
【0076】
計測データ取得部60は、上記テーブル作成モードの場合、取得した計測値E´(i,k)をテーブル作成部63に送出すると共に、対応するサンプリング番号kを位相決定部62に送出する。一方、計測データ取得部60は、上記改善余地量算出モードの場合、取得した計測値E´(i,k)を減算部64に送出すると共に、対応するサンプリング番号kを位相決定部62に送出する。
【0077】
設定値取得部61は、設定情報記憶部35から1周期のサンプリング数αcycle(i)を設定値として取得するものである。設定値取得部55は、取得した設定値αcycle(i)を位相決定部62に送出する。
【0078】
位相決定部62は、設定情報記憶部35から受け取った設定値αcycle(i)を用いて、計測データ取得部60から受け取ったサンプリング番号kに対応する位相番号lを、次式に基づいて決定する。なお、次式の文字変数は全て自然数である。
k=l+(m−1)×αcycle(i) ・・・(2)。
すなわち、位相番号lは、サンプリング番号kを1周期のサンプリング数αcycle(i)で除算した余りとなり、1≦l≦αcycle(i)を満たすことになる。位相決定部62は、決定した位相番号lを、上記テーブル作成モードの場合にはテーブル作成部63に送出し、上記改善余地量算出モードの場合には減算部64に送出する。
【0079】
テーブル作成部63は、上記テーブル作成モードの場合に動作するものであり、上記対応テーブル65を作成するものである。テーブル作成部63は、作成した対応テーブル65を記憶部21に記憶する。その後、周期利用部42は上記改善余地量算出モードに移行する。
【0080】
具体的には、テーブル作成部63は、計測値E´(i,k)の全てを計測データ取得部60から受け取ると共に、各計測値E´(i,k)に対応する位相番号lを位相決定部62から受け取る。次に、テーブル作成部63は、或る位相番号lに対応する複数の計測値E´(i,k)の平均値を基準値Rcycle(i,l)として算出し、これを全ての位相番号l(1≦l≦αcycle(i))について繰り返す。これにより、各位相番号lに対応する基準値Rcycle(i,l)が求まる。そして、テーブル作成部63は、位相番号lと基準値Rcycle(i,l)との対応テーブル65を記憶部21に記憶する。
【0081】
減算部64は、上記改善余地量算出モードの場合に動作するものであり、位相決定部62から受け取った位相番号lに対応する基準値Rcycle(i,l)を対応テーブル65から取得し、取得した基準値Rcycle(i,l)を、計測データ取得部60から受け取った計測値E´(i,k)から減算するものである。減算部64は、演算結果(E´(i,k)−Rcycle(i))を周期に関する改善余地量ΔEc(i,k)として改善余地量記憶部36に記憶する。
【0082】
なお、図8に示すように、設定値である1周期のサンプリング数αcycle(i)が複数個存在する場合がある。この場合、設定値αcycle(i)ごとに、設定値取得部61、位相決定部62、テーブル作成部63、および減算部64が動作して、対応テーブル65が設定値αcycle(i)ごとに作成され、図6および図7に示すように、改善余地量ΔEc(i,k)が設定値αcycle(i)ごとに改善余地量記憶部36に記憶される。
【0083】
図11は、定格値利用部43の概略構成を示している。図示のように、定格値利用部43は、計測データ取得部66、設定値取得部67、基準値算出部68、および減算部69を備える構成である。
【0084】
計測データ取得部66は、計画時間利用部40からの計画時間内の計測データ(E´(i,k),t´(k))を取得するものである。計測データ取得部54は、取得した計測値E´(i,k)を減算部69に送出する。
【0085】
設定値取得部67は、設定情報記憶部35から定格値γ(i)と定格値に関する設定値αrate(i)とを取得するものである。設定値取得部67は、取得した定格値γ(i)および設定値αrate(i)を基準値算出部68に送出する。
【0086】
基準値算出部68は、設定値取得部67から受け取った定格値γ(i)および設定値αrate(i)を用いて、次式により定格値に関する基準値Rrate(i)を算出するものである。基準値算出部68は、算出した基準値Rrate(i)を減算部69に送出する。
Rrate(i)=γ(i)×αrate(i) ・・・(3)。
【0087】
減算部69は、計測データ取得部66から受け取った計測値E´(i,k)から、基準値算出部68から受け取った基準値Rrate(i)を減算するものである。減算部69は、演算結果(E´(i,k)−Rrate(i))をバラツキに関する改善余地量ΔEd(i,k)として改善余地量記憶部36に記憶する。
【0088】
次に、改善余地総量算出部32およびリスト作成部33の詳細について、図12〜図16を参照して説明する。図12は、改善余地総量算出部32の概略構成を示している。図示のように、改善余地総量算出部32は、改善余地量取得部70、最大値選択部(選択手段)71、および累算部(改善余地総量算出手段)72を備える構成である。
【0089】
改善余地量取得部70は、改善余地量記憶部36から上述の各種改善余地量ΔEa(i,k)〜ΔEd(i,k)を、サンプリング番号kごとに取得するものである。改善余地量取得部70は、取得した各種改善余地量ΔEa(i,k)〜ΔEd(i,k)を最大値選択部71にサンプリング番号kごとに送出する。
【0090】
最大値選択部71は、改善余地量取得部70からサンプリング番号kごとに受け取った各種改善余地量ΔEa(i,k)〜ΔEd(i,k)のうち最大値ΔEmax(i,k)を選択するものである。最大値選択部71は、選択した最大値ΔEmax(i,k)をサンプリング番号kごとに累算部72に送出する。
【0091】
なお、図6および図7に示す例では、最大値選択部71は、選択した最大値ΔEmax(i,k)を改善余地量記憶部36にサンプリング番号kごとに記憶している。また、後述の図13および図14に示す例では、最大値選択部71は、各種改善余地量ΔEa(i,k)〜ΔEd(i,k)を累算部72にサンプリング番号kごとに送出している。
【0092】
累算部72は、最大値選択部71からサンプリング番号kごとに受け取った最大値ΔEmax(i,k)を累算するものである。累算部72は、累算値ΣΔEmax(i,k)を、改善余地総量として改善余地総量記憶部37に記憶する。なお、後述の図13および図14に示す例では、累算部72は、最大値選択部71からサンプリング番号kごとに受け取った各種改善余地量ΔEa(i,k)〜ΔEd(i,k)をそれぞれ累算し、累算値ΣΔEa(i,k)〜ΣΔEd(i,k)を改善余地総量記憶部37に記憶している。
【0093】
リスト作成部33は、上述のように、改善余地総量記憶部37から読み出した各対象機器11の改善余地総量ΣΔEmax(i,k)のリストを作成するものである。図13は、リスト作成部33が作成したリストの一例を表形式で示している。図示の例は、左から順に、機器番号i、機器名、および改善余地総量ΣΔEmax(i,k)が、対象機器11ごとに記載されている。さらに、図示のリストには、改善余地総量記憶部37から読み出した、各種改善余地量の累算値ΣΔEa(i,k)〜ΣΔEd(i,k)が、対象機器11ごとに記載されている。図13のリストが表示部23に表示されて、表示されたリストを使用者が参照すると、使用者は、各対象機器11が消費電力量をどの程度改善できる可能性があるかを認識することができる。
【0094】
また、リスト作成部33は、上記リストを、改善余地総量ΣΔEmax(i,k)の大きい順にソートしている。図14は、図13に示すリストに対し上記ソートを行った後のリストを示している。図14のリストが表示部23に表示されて、表示されたリストを使用者が参照すると、使用者は、何れの対象機器11が消費電力量を効率よく改善できる可能性があるかを迅速に認識することができる。
【0095】
図15は、リスト作成部33が作成して表示部23に表示出力されたソート後のリストの具体例を示している。図示のリストは、図13および図14のリストと同様に表形式で示されている。図15のリストは、図14のリストに比べて、改善余地総量と改善余地量の合計値とそれぞれの電力消費実績に対する割合が百分率で追加されている。なお、図15のリストは、図14のリストに比べて、改善余地量の合計値の項目が「観点1」「観点2」などと記載されている。図15のリストを使用者が参照すると、使用者は、「機器20」が消費電力量を最も効率よく改善できる可能性があることを迅速に認識することができる。
【0096】
また、図15に示すリストでは、各改善余地総量の電力消費実績に対する割合が20%以上のものと、20%未満のものとがハッチングの種類で区別されている。これにより、使用者は、各対象機器11において改善の余地の大きい観点を把握することができ、該観点に基づく省エネ対策を行うことにより、消費電力量をさらに効率よく改善できる可能性がある。
【0097】
なお、リスト作成部33は、上記リストに基づいてパレート図を作成し、作成したパレート図を表示部23に表示出力させてもよい。この場合、使用者は、消費電力量を効率よく改善できる可能性がある対象機器11を迅速に把握することができる。
【0098】
図16は、リスト作成部33が図15のリストに基づいて作成して表示部23に表示出力されたパレート図の一例である。図示のパレート図では、改善余地総量、すなわち改善余地のある総消費電力量が棒グラフで示され、累積割合が折れ線グラフで示されている。図16のパレート図を使用者が参照すると、使用者は、全対象機器11の改善余地総量の合計値の大半(70%)を占める「機器20」・「機器38」・「機器02」の消費電力量を改善すれば、全対象機器11を含むシステム全体の消費電力量を効率よく改善できる可能性があることを理解できる。
【0099】
次に、上記構成の改善余地量算出装置10の制御部20における処理動作を、図17〜図22を参照して説明する。図17は、制御部20における改善余地量算出部31、改善余地総量算出部32、およびリスト作成部33の処理動作の概要を示している。
【0100】
図17に示すように、まず、機器番号iを1に初期化する(ステップS10。以下、単に「S10」と記載することがある。他のステップについても同様である。)。次に、改善余地量算出部31は、機器番号iの対象機器11の計測データ(E(i,k),t(k))を計測データ記憶部34から読み込むと共に、機器番号iの対象機器11の設定情報を設定情報記憶部35から読み込む(S11)。
【0101】
次に、改善余地量算出部31は、読み込んだ機器番号iの対象機器11の計測データ(E(i,k),t(k))および設定情報を用いて、消費電力量の各種の改善余地量を算出する(S12)。改善余地量算出部31は、算出した各種の改善余地量を改善余地量記憶部36に記憶する。なお、このステップS12の処理の詳細については後述する。次に、改善余地量算出部31は、全ての対象機器11について上記処理を行うまで(S13)、機器番号iを1つ増分して(S14)、ステップS11に戻り、上記処理を繰り返す。
【0102】
全ての対象機器11について上記処理が行われると(S13)、改善余地総量算出部32が対象機器11のそれぞれの改善余地を判定し(S15)、リスト作成部33が、改善余地のある対象機器11のリストを作成して 表示部23を介して表示出力する(S16)。その後、処理動作を終了する。なお、ステップS15の処理の詳細については後述する。
【0103】
次に、ステップS12の詳細について、図18〜図21を参照して説明する。本実施形態では、改善余地量の算出処理(S12)として、計画時間に関する改善余地量ΔEa(i,k)、バラツキに関する改善余地量ΔEb(i,k)、周期に関する改善余地量ΔEc(i,k)、および、定格値に関する改善余地量ΔEd(i,k)の算出処理が行われる。
【0104】
図18は、計画時間に関する改善余地量ΔEa(i,k)の算出処理の流れを示している。この処理は、改善余地量算出部31の計画時間利用部40が行う。図示のように、まず、計画時間利用部40は、サンプリング番号kを1に初期化する(S20)。次に、計画時間利用部40は、サンプリング番号kの計測データ(E(i,k),t(k))を計測データ記憶部34から読み込むと共に、機器番号iの対象機器11の計画時間Pt(i)および解析対象期間At(i)を設定情報記憶部35から読み込む(S21)。
【0105】
次に、計画時間利用部40は、上記計測データ(E(i,k),t(k))の計測時刻t(k)が、計画時間Pt(i)内であるか否かを判定する(S22)。
【0106】
計測時刻t(k)が計画時間Pt(i)内である場合、計画時間利用部40は、上記計測データ(E(i,k),t(k))の計測値E(i,k)を、計画時間内の計測値E´(i,k)として、他の改善余地量の算出処理を行う機能ブロック41〜43に送出する。これにより、計画時間内の計測値E´(i,k)が他の改善余地量の算出処理に利用される(S23)。一方、計測時刻t(k)が計画時間Pt(i)内では無い場合、選択部53は、計測値E(i,k)を、計画時間に関する改善余地量ΔEa(i,k)として改善余地量記憶部36に記憶する(S24)。
【0107】
次に、計画時間利用部40は、解析対象期間At(i)に含まれる全てのサンプリング番号kについて上記処理を行うまで(S25)、サンプリング番号kを1つ増分して(S26)、ステップS21に戻り、上記処理を繰り返す。解析対象期間At(i)に含まれる全てのサンプリング番号kについて上記処理を行うと(S25)、計画時間利用部40は、処理動作を終了する。
【0108】
図19は、バラツキに関する改善余地量ΔEb(i,k)の算出処理の流れを示している。この処理は、改善余地量算出部31のバラツキ利用部41が行う。図示のように、まず、バラツキ利用部41は、計画時間利用部40が送出する計画時間内の計測値E´(i,k)の全てを取得して、計画時間内の計測値E´(i,k)の平均値μ(i)を算出する(S30)。次に、バラツキ利用部41は、算出した平均値μ(i)と、設定情報記憶部35から読み込んだバラツキに関する設定値αave(i)とを用いて、上記式(1)によりバラツキに関する基準値Rave(i)を算出する(S31)。
【0109】
次に、バラツキ利用部41は、サンプリング番号kを1に初期化する(S32)。次に、バラツキ利用部41は、基準値Rave(i)に対する計画時間内の計測値E´(i,k)の差を算出して、バラツキに関する改善余地量ΔEb(i,k)として改善余地量記憶部36に記憶する(S33)。次に、バラツキ利用部41は、計画時間利用部40が送出する計画時間内の全ての計測値E´(i,k)について上記処理を行うまで(S34)、サンプリング番号kを1つ増分して(S35)、ステップS33に戻り、上記処理を繰り返す。上記計画時間内の全ての計測値E´(i,k)について上記処理を行うと(S34)、バラツキ利用部41は、処理動作を終了する。
【0110】
図20は、周期に関する改善余地量ΔEc(i,k)の算出処理の流れを示している。この処理は、改善余地量算出部31の周期利用部42が行う。図示のように、まず、周期利用部42は、計画時間利用部40が送出する計画時間内の計測値E´(i,k)の全てを取得する(S40)。
【0111】
次に、周期利用部42は、設定情報記憶部35から読み込んだ1周期のサンプリング数αcycle(i)を用いて、上記計画時間内の計測値E´(i,k)の全てを位相lごとに分類する(S41)。次に、周期利用部42は、各位相lに関して、分類された計測値E´(i,k)の平均値を基準値Rcycle(i)として算出し、位相lと対応付けて記憶部21に記憶する(S41)。
【0112】
次に、周期利用部42は、サンプリング番号kおよび位相lを1に初期化する(S42)。次に、周期利用部42は、位相lが1周期のサンプリング数αcycle(i)よりも大きいか否かを判断し(S43)、大きい場合には、位相lを1に戻す(S44)。
【0113】
次に、周期利用部42は、基準値Rcycle(i)に対する計画時間内の計測値E´(i,k)の差を算出して、周期に関する改善余地量ΔEc(i,k)として改善余地量記憶部36に記憶する(S45)。次に、周期利用部42は、計画時間利用部40が送出する計画時間内の全ての計測値E´(i,k)について上記処理を行うまで(S46)、サンプリング番号kおよび位相lを1つ増分して(S47)、ステップS43に戻り、上記処理を繰り返す。上記計画時間内の全ての計測値E´(i,k)について上記処理を行うと(S46)、周期利用部42は、処理動作を終了する。
【0114】
なお、図20に示す処理は、設定情報記憶部35に記憶された1周期のサンプリング数αcycle(i)ごとに行われる。
【0115】
図21は、定格値に関する改善余地量ΔEd(i,k)の算出処理の流れを示している。この処理は、改善余地量算出部31の定格値利用部43が行う。図示のように、まず、定格値利用部43は、定格値γ(i)と定格値に関する設定値αrate(i)とを設定情報記憶部35から読み込み、読み込んだ定格値γ(i)と定格値に関する設定値αrate(i)とを用いて、上記式(3)により定格値に関する基準値Rrate(i)を算出する(S50)。
【0116】
次に、定格値利用部43は、サンプリング番号kを1に初期化する(S51)。定格値利用部43は、計画時間利用部40が送出する計画時間内の計測値E´(i,k)を取得し(S52)、基準値Rrate(i)に対する計画時間内の計測値E´(i,k)の差を算出して、定格値に関する改善余地量ΔEd(i,k)として改善余地量記憶部36に記憶する(S53)。次に、定格値利用部43は、計画時間利用部40が送出する計画時間内の全ての計測値E´(i,k)について上記処理を行うまで(S54)、サンプリング番号kを1つ増分して(S55)、ステップS52に戻り、上記処理を繰り返す。上記計画時間内の全ての計測値E´(i,k)について上記処理を行うと(S54)、定格値利用部43は、処理動作を終了する。
【0117】
次に、ステップS15の詳細について、図22を参照して説明する。図22は、改善余地の判定処理の流れを示している。この処理は、改善余地総量算出部32が行う。図示のように、まず、改善余地総量算出部32は、機器番号iを1に初期化し(S60)、サンプリング番号kを1に初期化する(S61)。
【0118】
次に、改善余地総量算出部32は、機器番号iの対象機器11のサンプリング番号kにおける各種改善余地量ΔEa(i,k)〜ΔEd(i,k)を改善余地量記憶部36から読み込み、読み込んだ各種改善余地量ΔEa(i,k)〜ΔEd(i,k)のうち最大値ΔEmax(i,k)を算出する(S62)。このとき、改善余地総量算出部32は、算出した改善余地量の最大値ΔEmax(i,k)を改善余地量記憶部36に記憶する。次に、改善余地総量算出部32は、算出した改善余地量の最大値ΔEmax(i,k)を累算する(S63)。
【0119】
次に、改善余地総量算出部32は、機器番号iの対象機器11における全てのサンプリング番号kについて上記処理を行うまで(S64)、サンプリング番号kを1つ増分して(S65)、ステップS62に戻り、上記処理を繰り返す。機器番号iの対象機器11における全てのサンプリング番号kについて上記処理を行うと(S64)、改善余地総量算出部32は、上記改善余地量の最大値ΔEmax(i,k)の累算値を、機器番号iの対象機器11の改善余地総量ΣΔEmax(i,k)として改善余地総量記憶部37に記憶する。
【0120】
次に、改善余地総量算出部32は、全ての機器番号iについて上記処理を行うまで(S67)、機器番号iを1つ増分して(S68)、ステップS61に戻り、上記処理を繰り返す。全ての機器番号iについて上記処理を行うと(S67)、改善余地総量算出部32は、処理動作を終了する。
【0121】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0122】
例えば、上記実施形態では、消費電力量について、改善余地量および改善余地総量を算出して、リスト出力しているが、本発明は、消費電力量以外の任意の消費エネルギに適用可能である。
【0123】
最後に、改善余地量算出装置10の各ブロック、特に制御部20は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0124】
すなわち、改善余地量算出装置10は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである改善余地量算出装置10の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記改善余地量算出装置10に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0125】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0126】
また、改善余地量算出装置10を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明に係る改善余地量算出装置は、或る計測時刻に関して、当該計測時刻に対応する計測値から、当該計測時刻の位相に対応する基準値を減算することにより、当該計測時刻の改善余地量を精度よく算出できるので、消費電力量だけでなく、消費石油量などの任意の消費エネルギに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明の一実施形態に係る改善余地量算出装置の制御部における改善余地量算出部の周期利用部の概略構成を示すブロック図である。
【図2】上記改善余地量算出装置を含む省エネ支援システムの概略構成を示すブロック図である。
【図3】上記改善余地量算出装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】上記改善余地量算出部の概略構成を示すブロック図である。
【図5】上記改善余地量算出部で使用される4つの指標の内容を示すグラフである。
【図6】上記改善余地量算出装置の計測データ記憶部に記憶された計測データの一例と、上記改善余地量算出装置の改善余地量記憶部に記憶された各種改善余地量の一例とを表形式で示す図である。
【図7】上記改善余地量算出装置の計測データ記憶部に記憶された計測データの一例と、上記改善余地量算出装置の改善余地量記憶部に記憶された各種改善余地量の一例とを表形式で示す図である。
【図8】上記改善余地量算出装置の設定情報記憶部に記憶された各対象機器の設定情報の一例を表形式で示す図である。
【図9】上記改善余地量算出部の計画時間利用部の概略構成を示すブロック図である。
【図10】上記改善余地量算出部のバラツキ利用部の概略構成を示すブロック図である。
【図11】上記改善余地量算出部の定格値利用部の概略構成を示すブロック図である。
【図12】上記制御部における改善余地総量算出部の概略構成を示すブロック図である。
【図13】上記制御部におけるリスト作成部が作成したリストの一例を表形式で示す図である。
【図14】ソート後の上記リストを表形式で示す図である。
【図15】ソート後の上記リストの具体例を表形式で示す図である。
【図16】ソート後の上記リストの具体例に基づき作成されたパレート図である。
【図17】上記制御部の改善余地量算出部、改善余地総量算出部、およびリスト作成部の処理動作の概要を示すフローチャートである。
【図18】上記改善余地量算出部における計画時間に関する改善余地量の算出処理の流れを示すフローチャートである。
【図19】上記改善余地量算出部におけるバラツキに関する改善余地量の算出処理の流れを示すフローチャートである。
【図20】上記改善余地量算出部における周期に関する改善余地量の算出処理の流れを示すフローチャートである。
【図21】上記改善余地量算出部における定格値に関する改善余地量の算出処理の流れを示すフローチャートである。
【図22】上記改善余地総量算出部における改善余地の判定処理の流れを示すフローチャートである。
【図23】従来のシステムにおいて、無駄に消費されたと考えられる時間帯および消費量を示すためのグラフである。
【符号の説明】
【0129】
1 省エネ支援システム
10 改善余地量算出装置
11 対象機器
20 制御部
21 記憶部
22 入力部
23 表示部
30 情報取得部
31 改善余地量算出部
32 改善余地総量算出部
33 リスト作成部(リスト作成手段)
34 計測データ記憶部
35 設定情報記憶部
36 改善余地量記憶部
37 改善余地総量記憶部
40 計画時間利用部(別指標利用手段)
41 バラツキ利用部(別指標利用手段)
42 周期利用部
43 定格値利用部(別指標利用手段)
50 計測データ取得部
51 計画時間取得部
52 計画時間内判定部
53 選択部
54 計測データ取得部
55 設定値取得部
56 平均値算出部
57 基準値算出部
58 減算部
60 計測データ取得部
61 設定値取得部
62 位相決定部(位相取得手段)
63 テーブル作成部(基準値取得手段)
64 減算部(改善余地量算出手段)
65 対応テーブル
66 計測データ取得部
67 設定値取得部
68 基準値算出部
69 減算部
70 改善余地量取得部
71 最大値選択部(選択手段)
72 累算部(改善余地総量算出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象機器が消費した消費エネルギのうち、改善を為しうる量である改善余地量を算出する消費エネルギの改善余地量算出装置であって、
上記消費エネルギの計測値および計測時刻と、周期的に変動する上記消費エネルギの変動周期とを記憶する記憶部と、
上記変動周期に対する上記計測時刻の位相を取得する位相取得手段と、
上記記憶部に記憶された複数の計測時刻のうち、上記位相取得手段が取得した位相となる複数の計測時刻に対応する複数の上記計測値の代表値を基準値として取得する基準値取得手段と、
上記記憶部に記憶された或る計測時刻に関して、当該計測時刻に対応する上記計測値から、上記位相取得手段および上記基準値取得手段によって取得された当該計測時刻の位相に対応する基準値を減算し、その演算結果を当該計測時刻の上記改善余地量とする改善余地量算出手段とを備えることを特徴とする消費エネルギの改善余地量算出装置。
【請求項2】
上記基準値取得手段は、上記変動周期の各位相と上記基準値とを対応付けて上記記憶部に記憶することを特徴とする請求項1に記載の消費エネルギの改善余地量算出装置。
【請求項3】
上記記憶部は、異なる複数の上記変動周期を記憶しており、
上記各手段は、上記変動周期ごとに実行されることを特徴とする請求項1または2に記載の消費エネルギの改善余地量算出装置。
【請求項4】
上記各手段は、上記対象機器の稼働が計画されている期間である計画時間の計測時刻に関してのみ実行されることを特徴とする請求項1から3までの何れか1項に記載の消費エネルギの改善余地量算出装置。
【請求項5】
上記或る計測時刻の上記改善余地量を、上記変動周期とは別の指標を利用して算出する1または複数の別指標利用手段と、
上記或る計測時刻の上記改善余地量として、上記1または複数の別指標利用手段が算出した1または複数の改善余地量と、上記改善余地量算出手段が算出した改善余地量とのうち最大値を選択する選択手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1から4までの何れか1項に記載の消費エネルギの改善余地量算出装置。
【請求項6】
上記選択手段が選択した改善余地量の最大値を、指定期間に含まれる上記計測時刻の全てに関して合計し、合計値を改善余地総量とする改善余地総量算出手段をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の消費エネルギの改善余地量算出装置。
【請求項7】
上記対象機器は複数個であり、
上記各手段は上記対象機器ごとに実行されており、
上記改善余地総量算出手段が算出した改善余地総量の多い順に、上記対象機器を識別する機器識別情報を配列したリストを作成するリスト作成手段をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の消費エネルギの改善余地量算出装置。
【請求項8】
対象機器が消費した消費エネルギのうち、改善を為しうる量である改善余地量を算出する消費エネルギの改善余地量算出装置であって、上記消費エネルギの計測値および計測時刻を記憶する記憶部を備える改善余地量算出装置の制御方法において、
上記記憶部に記憶された、周期的に変動する上記消費エネルギの変動周期に対する上記計測時刻の位相を取得する位相取得ステップと、
上記記憶部に記憶された複数の計測時刻のうち、上記位相取得ステップによって取得された位相となる複数の計測時刻に対応する複数の上記計測値の代表値を基準値として取得する基準値取得ステップと、
上記記憶部に記憶された或る計測時刻に関して、当該計測時刻に対応する上記計測値から、上記位相取得ステップおよび上記基準値取得ステップによって取得された当該計測時刻の位相に対応する基準値を減算し、その演算結果を当該計測時刻の上記改善余地量とする改善余地量算出ステップとを含むことを特徴とする消費エネルギの改善余地量算出装置の制御方法。
【請求項9】
対象機器が消費した消費エネルギのうち、改善を為しうる量である改善余地量を算出する消費エネルギの改善余地量算出装置であって、上記消費エネルギの計測値および計測時刻を記憶する記憶部を備える改善余地量算出装置を動作させるための改善余地量算出プログラムにおいて、
上記記憶部に記憶された、周期的に変動する上記消費エネルギの変動周期に対する上記計測時刻の位相を取得する位相取得ステップと、
上記記憶部に記憶された複数の計測時刻のうち、上記位相取得ステップによって取得された位相となる複数の計測時刻に対応する複数の上記計測値の代表値を基準値として取得する基準値取得ステップと、
上記記憶部に記憶された或る計測時刻に関して、当該計測時刻に対応する上記計測値から、上記位相取得ステップおよび上記基準値取得ステップによって取得された当該計測時刻の位相に対応する基準値を減算し、その演算結果を当該計測時刻の上記改善余地量とする改善余地量算出ステップとをコンピュータに実行させるための改善余地量算出プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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