改変された粘度の層を用いる方法および投薬形態物
シクロベンザプリンの調節された放出を提供するための投薬形態物および方法が提供される。該徐放性投薬形態物は1日あたり1回投与される場合に治療上有効な平均定常状態血漿シクロベンザプリン濃度を提供する。遅延層の組成および薬物層の組成は、一態様において、稼働の間の水和した薬物層の粘度より高いまま留まる水和した遅延層の粘度を特徴とする。該結果は核からの放出速度のより大きな均一性であり、より至適の上昇する放出速度を提供する。他の態様において、水和した遅延層は、水和した薬物層ならびに水和した薬物層に実質的に類似である水和した遅延層の粘度より低い粘度を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製薬学的剤の制御送達ならびに方法、投薬形態物および装置に関する。とりわけ、本発明は塩酸シクロベンザプリンの制御送達のための方法、投薬形態物および装置に向けられる。より具体的には、本発明は、稼働(operation)の間に粘度を変えるように核層の組成を改変することによる放出速度を高める方法に関する。
【背景技術】
【0002】
伝統的な浸透圧送達装置は、投薬形態物中への液体の浸透を制御するために、外膜の組成の調節により該投薬形態物からの放出の速度を制御する。本発明は、特定の送達パターンをさらに規定するために、多層投薬形態物中の核層の拡散および粘性の特性を利用する。稼働の間に層の粘度を改変するように核層の組成を操作することにより、高められた放出プロファイルが生成される。
【0003】
当該技術は製薬学的剤の放出制御のための経口投薬形態物の記述が豊富である。短い半減期を表すある種の薬物を送達するための多様な徐放性投薬形態物が既知でありうる一方、溶解性、代謝過程、吸収、ならびに薬物および送達様式に独特でありうる他の物理的、化学的および生理学的パラメータのため、すべての薬物がそれらの投薬形態物から適して送達されるわけではないかもしれない。放出制御投薬形態物の候補でありそうにないこうした薬物の例は、三環性アミン、塩酸シクロベンザプリンのような長い半減期を表すものである。
【0004】
同様に、シクロベンザプリンは水性溶液中で比較的高度に可溶性であり、長時間にわたる均一な放出速度での投薬形態物からのその放出の制御においてより大きな困難を提供する。これは、初期のボーラス送達、次いで有効成分の送達の所望の遅延、次いで長時間にわたり均一な速度での有効成分の上昇する放出速度の本発明において明白である。有効成分の高い可溶性は所望の遅延のための制御において困難を提供している。
【0005】
塩酸シクロベンザプリンは急性の疼痛性筋骨格状態と関連する筋痙縮の治療に指示される。それは水およびアルコールに溶けやすく、イソプロパノールにやや溶けにくく、そして炭化水素溶媒に不溶性である。加えて、シクロベンザプリンは有意に長い半減期(1〜3日)を有する(非特許文献1)ため、そしてそれは長時間送達のための典型的な候補でない。しかしながら、眠気および口渇のような副作用が高い血漿濃度レベルに関連するようであり、1日1回の即時放出用量を投与する能力を制限する。
【0006】
シクロベンザプリンはアミトリプチリンのような他の三環性アミン塩と同様、鎮静および口渇という副作用を報告している。該副作用は、閾値の最大耐容濃度(MTC)を超える上昇速度および/若しくは実際の薬物血漿濃度のいずれかの結果でありそうであることが期待される。しかしながら、治療効果を得るために、濃度は最小薬動力学濃度(MPC)より上に持続される必要がある。
【0007】
シクロベンザプリンの送達の別の局面は、投与がしばしば投薬形態物中の高い薬物負荷量を必要とすることである。投薬形態物は、該投薬形態物の全重量の20%ないし90%の範囲の薬物を含有する必要があることがある。こうした高い薬物負荷量の要件は、経口投与に適しかつ過度の困難を伴わずに嚥下し得る組成物の処方および投薬形態物の製作における問題を提示する。加えて、こうした負荷量の要件は、長時間にわたる有効成分の放出という最終目標で1日1回投与のような1日あたりに制限された回数投与される投薬形態物を処方する場合に問題を提示するかもしれない。
【0008】
例示的な放出制御投薬形態物は、とりわけ、小腸のより下部および大腸のより高いpH領域で膨潤してそれらの環境に薬物を放出することができるpH感受性のポリマーおよび場合によっては浸透物質を利用する三成分の製薬学的製剤を記述する特許文献1を包含する。該投薬形態物の付加的な成分は、あったとしても非常にわずかな薬物を胃で、比較的最小限の量を小腸で、および報告によれば約85%若しくはそれ以上を大腸で放出する投薬形態物を提供するための遅延放出コーティングおよび腸溶コーティングを包含する。こうした投薬形態物は、該投薬形態物が胃から移行するまで1〜3時間および該投薬形態物が大腸に進むための追加の3時間若しくはそれ以上の間開始しないことができる、投与後の薬物の広範に変動する調時放出を提供する。
【0009】
例示的な徐放性シクロベンザプリン投薬形態物、こうした投薬形態物の製造方法、およびこうした投薬形態物の使用方法は、経口投与のための浸透圧投薬形態物に向けて本明細書に記述されている。
【0010】
本明細書に記述されるところの浸透圧系に加え、しかしながら、当該技術分野で既知の経口投薬形態物からの薬物の徐放性の達成への多くの他のアプローチが存在する。これらの多様なアプローチは、例えば、リザーバ装置およびマトリックス装置のような拡散系、被包化溶解系(例えば「小型調時丸剤(time pill)」を包含する)およびマトリックス溶解系のような溶解系、非特許文献2に記述されるところの組合せの拡散/溶解系およびイオン交換樹脂系を包含する。これらの他のアプローチに従って稼働するシクロベンザプリン投薬形態物は、本明細書および請求の範囲に列挙されるところの薬物放出の特徴および/若しくは血漿シクロベンザプリン濃度の特徴が文字通りに若しくは同等にのいずれかでそれらの投薬形態物を記述する程度まで、本明細書の開示の範囲により包含される。
【0011】
浸透圧投薬形態物は、一般に、浸透圧を利用して、液体の(しかし存在する場合には薬物または浸透物質(1種若しくは複数)でない)自由な拡散を可能にする半透膜に少なくとも部分的により形成される区画中への液体の吸収のための駆動力を生成させる。浸透圧系に対する有意の一利点は、稼働が、pH依存性でありかつ従って投薬形態物が胃腸管を通過しかつ有意に異なるpH値を有する異なる微小環境に遭遇する際にも長時間を通じて浸透圧で決定される速度で継続することである。こうした投薬形態物の総説は非特許文献3(そっくりそのまま本明細書に引用することにより組み込まれる)に見出される。とりわけ、浸透圧投薬形態物に向けられた、本出願の譲受人ALZA Corporationにより所有される以下の特許文献、すなわち特許文献2;3;4;5;6;7;8;9;10;11;12;および13。
【0012】
薬物組成物が、スラリー、懸濁液若しくは溶液として小さな出口オリフィスから膨張可能な層の作用により送達される装置は、特許文献14;15;16;17;18;19;20;および21に記述されている。典型的な装置は、半透膜により取り囲まれた膨張可能な押層および薬物層を包含する。ある場合においては、薬物層は使用の環境への薬物組成物の放出を遅らせるため、若しくは半透膜ととともにアニールコーティングを形成するため、サブコート(subcoat)を提供される。
【0013】
薬物組成物が、乾燥状態で大きな出口オリフィスから膨張可能な層の作用により送達される装置は、特許文献22、23および24に記述されている。それらの参考文献は、壁により形成される区画から水分を含まない薬物層を押す膨張可能な素材の層を含有する半透性壁を包含する、有益な剤を使用の環境に送達するための分配器を記述する。該装置中の出口オリフィスは、該壁により形成される区画の内径と実質的に同一の直径である。
【0014】
薬物組成物を使用の環境に乾燥状態で送達する投薬形態物は、長時間にわたる高薬物負荷量の薬物の適する放出を提供するかもしれない一方で、使用の環境への薬物層の曝露は、いくつかの環境においては制御するのが困難である薬物の攪拌依存性の放出をもたらすことがある。従って、本発明によるところの投薬形態物における押層の膨張の速度および出口オリフィスの大きさの制御により計量しうるスラリー若しくは懸濁液として薬物を放出することが有利であるかもしれない。
【0015】
特許文献25は、制御された速度で薬品を放出するためのアルギン酸およびヒドロキシプロピルメチルセルロースから成形したpH依存性ポリマーを使用するカプセル中に充填されるべき浮遊放出制御薬品の粉末製剤を記述している。このカプセル製剤は、打錠した製剤の特徴を模倣することを意図していたようである。本発明のシクロベンザプリンおよび関連化合物を含有する投薬形態物の均一な放出の特徴を提供する製剤の記述は提供されていない。
【0016】
特許文献22および24は、壁により形成された区画から薬物層を押す膨張可能な素材の層を含有する半透性壁を包含する、有益な剤を使用の環境に送達するための分配器を記述している。該装置中の出口オリフィスは、該壁により形成された区画の内径と実質的に同一の直径である。
【0017】
特許文献23は、壁により形成された区画から薬物層を押す膨張可能な素材の層を含有する半透性壁を包含する、有益な剤を使用の環境に送達するための分配器を記述している。該薬物層は担体中に分散された別個の小型丸剤を含有する。該装置中の出口オリフィスは、該壁により形成された区画の内径と実質的に同一の直径である。
【0018】
特許文献26は、反芻動物の瘤胃−網胃嚢中に保持するのに十分な密度を装置に与える付加的な要素と一緒に、イオノフォアおよび担体を含有する組成物ならびに膨張可能な親水性層が配置されている半透性ハウジングを包含する、家畜にイオノフォアを送達するための装置を記述している。イオノフォアおよび担体は保存の間に乾燥状態で存在し、そして、該組成物はそれが使用の液体環境と接触する場合に分配可能な液体様状態に変化する。拡散および浸透圧のポンプ作用により単位時間あたりに放出される薬物の量を制御するための装置の端の複数の穴および変動する直径の単一出口を包含する多数の異なる出口配置が記述されている。
【0019】
従来技術は、核層の拡散および相対粘度の特性の利用について顕著に沈黙を貫いている。従来技術の浸透圧系は、長時間にわたり有利な制御送達を提供する一方で、放出速度プロファイルの段差(bump)(増大若しくは減少)をもたらす、一致しない送達の期間の欠点をもっていた。こうした段差は血漿濃度に悪影響を及ぼし得る。本発明は、より均一な送達を提供してこれらの段差を減少させるように放出速度を改変することが可能である。
【0020】
上述されたとおり、ある種の薬物を送達するための多様な徐放性投薬形態物が存在するとは言え、溶解性、代謝過程、吸収、ならびに薬物および送達様式に独特でありうる他の物理的、化学的および生理学的パラメータにより、すべての薬物がそれらの投薬形態物から適して送達されるわけでないかもしれない。
【0021】
稼働の間の放出速度の望ましくない増大若しくは減少を低下させつつ、長時間にわたり前述の化合物の放出制御を可能にすることができる効果的な投与方法、投薬形態物および装置に対する必要性が存続している。
【特許文献1】米国特許第5,536,507号明細書
【特許文献2】米国特許第3,845,770号明細書
【特許文献3】米国特許第3,916,899号明細書
【特許文献4】米国特許第3,995,631号明細書
【特許文献5】米国特許第4,008,719号明細書
【特許文献6】米国特許第4,111,202号明細書
【特許文献7】米国特許第4,160,020号明細書
【特許文献8】米国特許第4,327,725号明細書
【特許文献9】米国特許第4,519,801号明細書
【特許文献10】米国特許第4,578,075号明細書
【特許文献11】米国特許第4,681,583号明細書
【特許文献12】米国特許第5,019,397号明細書
【特許文献13】米国特許第5,156,850号明細書
【特許文献14】米国特許第5,633,011号明細書
【特許文献15】米国特許第5,190,765号明細書
【特許文献16】米国特許第5,252,338号明細書
【特許文献17】米国特許第5,620,705号明細書
【特許文献18】米国特許第4,931,285号明細書
【特許文献19】米国特許第5,006,346号明細書
【特許文献20】米国特許第5,024,842号明細書
【特許文献21】米国特許第5,160,743号明細書
【特許文献22】米国特許第4,892,778号明細書
【特許文献23】米国特許第4,915,949号明細書
【特許文献24】米国特許第4,940,465号明細書
【特許文献25】米国特許第5,169,638号明細書
【特許文献26】米国特許第5,126,142号明細書
【非特許文献1】Physicians’ Desk Reference、Thompson Healthcare、第56版、pp.572−573(2002)
【非特許文献2】Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、pp.1682−1685(1990)
【非特許文献3】SantusとBaker、“Osmotic drug delivery:a review of the patent literature”、Journal of Controlled Release 35(1995)1−21
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0022】
[発明の要約]
本発明は、任意の薬物保護被膜を伴うカプセル形状の錠剤を利用して塩酸シクロベンザプリンをおよそ20時間送達するための投薬形態物の1日1回投与のため設計されている。このおよそ20時間の放出は、即時放出の薬物保護被膜送達、次いで、核が制御された様式で約16時間薬物を放出するまで投与後約4時間のさらなる薬物送達のないことから構成される。この新規プロファイルは治療的送達を提供する一方、薬物送達の遅延が、副作用が低下されかつ耐性の発生が増大されるような十分に低い血漿レベルを保つ。この送達プロファイルは高い血漿レベルを伴わずに24時間の有効性を提供する。
【0023】
本発明は、薬物放出速度のより大きな均一性、ならびに遅延期間の終わりおよび核からの薬物送達の始まりのより大きな境界画定により標されるより予測可能な遅延期間を発生させるために、核層の拡散および粘性の特性を利用する。遅延層の粘度が所望の遅延期間に薬物層の粘度より高いまま留まるような遅延層および薬物層の処方を制御することにより、至適の薬物を伴わない放出期間、次いで核からの継続的かつ実質的に上昇する放出を提供するために遅延層を通る薬物層の時期尚早のトンネル現象を低下させ得る。時期尚早のトンネル現象は、薬物層が系から時期尚早に送達されることを可能にして、上昇する放出速度の期間の放出速度の変動をもたらす。
【0024】
従来の多層製剤は、第二の層より小さい、稼働の間の第一の層の粘度を有することを特徴とする。
【0025】
本発明は、上昇でも平坦でも遅延でもなくしかしむしろ複合型である調節された放出速度を提供する。本プロファイルが、薬物の投与に伴う負の副作用を低下させつつ24時間にわたり有効な治療を提供するはずであることが、驚くべきことに発見された。加えて、シクロベンザプリンが本明細書で例示される一方、本発明は、アミトリプチリン、イミプラミンおよびデシプラミンを包含する三環性アミン抗うつ薬の分類の他の薬物の送達に等しく有益であるとみられる。
【0026】
本発明は、薬物が上部胃腸(GI)管に送達される迅速な初期ボーラス送達、次いで約4時間の薬物の送達の遅延、次いで該投薬形態物がGI管の結腸領域中にあることがありそうであるゆっくりとしたしかし実質的に上昇する放出を利用する。このプロファイルは、以前にいかなる薬物も、とりわけシクロベンザプリンを送達するために使用されておらず、そして、被験体の認識機能の障害を低下させるよう設計されている。
【0027】
記述された調節された放出速度が、ピーク濃度が投与後約20時間に発生する、薬物の実質的に上昇する血漿濃度を提供することが、驚くべきことに見出された。この上昇する血漿濃度は、発生される日内耐性効果を低下させるはずである。
【0028】
該投薬形態物は、三層の核を取り巻く半透膜を利用する。すなわち、第一の層は遅延層と称されかつ薬物を含有せず;薬物層と称される第二の層は塩酸シクロベンザプリンのような薬物および賦形剤を含有し;ならびに押層と称される第三の層は浸透物質を含有しかつ薬物を含有しない。該カプセル形状の錠剤の遅延層の端に該膜を通ってオリフィスを孔あけする。外側の薬物保護被膜が該膜に塗布される。
【0029】
胃腸(GI)管の水性環境中で薬物保護被膜が溶解する。その後、該膜の特性および核の構成要素の重量オスモル濃度により決定される制御された速度で水が半透膜を通り吸収される。これは押層を膨潤させかつ遅延および薬物層を水和させそして粘性のしかし変形可能な塊を形成させる。押層は薬物層に対して膨張し、薬物層は順に水和した遅延層を押す。好ましくは、遅延層、次いで薬物層が、水が核に吸収される同一速度で膜中のオリフィスを通って系から出る。伝統的な系において、薬物層は遅延層を貫通しそして放出速度プロファイルを変えるかもしれない。錠剤の生物学的に不活性の成分はGI通過の間無傷のまま留まり、そして不溶性の核成分と一緒に殻として排泄される。
【0030】
有効成分は水性環境中で比較的高度に溶解性であるため、薬物層は遅延層に混ざる傾向を有する。薬物および遅延層の相対粘度に依存して多様な放出プロファイルが得られる。各薬物層の至適の粘度を同定することが絶対必要である。層の至適の粘度は70cpsと350cpsとの間、および好ましくは約84cpsと158cpsとの間、ならびにより好ましくは約109cpsであるべきであることが見出されている。
【0031】
所望の期間薬物送達を伴わない、本好ましい送達プロファイルの遅延期間を維持するために、混合が低下されるべきである。水和した遅延層の粘度が遅延期間を通じて水和した薬物層の粘度より高いまま留まる投薬形態物を創製することが好ましいことが発見された。こうした相対粘度は、薬物層による遅延層への時期尚早の混合およびトンネル現象を防止し、また、遅延期間の終わりと上昇する放出期間の始まりとの間のより鮮明な境界画定を提供し、ならびに該上昇する放出期間の該投薬形態物からのより均一な送達を提供する。
【0032】
しかしながら、実質的に類似である粘度をもつ水和した遅延層および水和した薬物層の双方を有することもまた本発明の範囲内にある。これは、遅延層および薬物層双方において同一の若しくは類似の物質を使用して達成される。また、これは、好ましくは、遅延層および薬物層双方中の同一の若しくは類似の割合のこの物質を使用して達成される。本発明の一例は、遅延層および薬物層双方中で同一等級のポリオックス[Polyox](R)WSR N−150および同一割合のポリオックス[Polyox](R)WSR N−150を使用することである。従って、このアプローチにおいて、目的は、遅延層と薬物層との間の粘度の最小限の差を有することである。従って、遅延層および薬物層のそれぞれの粘度に最小限の差異が存在する限りは、遅延層および薬物層双方中で異なる物質、異なる等級の物質、若しくは異なる物質割合さえ使用することもまた許容できる。
【0033】
加えて、水和した遅延層の粘度が薬物層の粘度より小さい、水和した遅延層の粘度と薬物層の粘度との間の顕著な、示差的な、若しくは実質的な差異を有することもまた本発明の範囲内にある。従って、これは、遅延層および薬物層のそれぞれの粘度に、生じる顕著な、示差的な、若しくは実質的な差異が存在する限りは、遅延層および薬物層双方に異なる物質、異なる等級の物質若しくは異なる物質割合さえ使用することにより達成される。
【0034】
従って、本発明によれば、遅延層および薬物層の相対粘度はより高いか、より低いか、または同一若しくは実質的に類似であるかのいずれかである。
【0035】
核からの送達プロファイルは核層のそれぞれの重量および厚さにもまた依存する。特定の層の厚さ若しくは重量を増大させることは、プロファイルのその部分の送達時間を増大させる。例えば、より厚い遅延層は、核からの有効成分の送達が始まる前のより長い遅延期間を提供する。
【0036】
核長さに対する核直径の比もまた重要な因子である。例えば、より狭い核の形状は、隣接層のより短い混合期間、従って有効成分の低い放出速度からより高い放出速度までのより急な上昇する速度を提供する一方、より幅広い核直径は、隣接層間の混合のためのより大きな界面面積を提供してよりゆるやかな上昇速度を提供する。カプセル形状の錠剤のような系の形状は、核からのいくぶん上昇するプロファイルを提供する原因である重要な特徴である。従って、形状は、カプセル形状の錠剤ないし標準的な両凸形状の間で変動し得、送達プロファイルの付随する変化を伴う。
【0037】
該送達系は、単一の22.5mgの投薬形態物の投与後3ないし4時間におよそ6ないし8ng/ml、および好ましくは6.5ng/mlと6.9ng/mlとの間、ならびに投与後18ないし20時間におよそ8ないし12ng/ml、および好ましくは9.7ng/mlと10.2ng/mlとの間の血漿濃度を達成するように設計されている。ピーク濃度はおよそ20時間で発生する。他の用量は血漿濃度のおおよそ直線状の変動(より高い若しくはより低い)をもたらすと期待される。
【0038】
本発明は、現在1日あたり複数回投与されている即時放出投薬形態物より少ない副作用を生じさせつつ治療上有効である1日1回の投薬形態物となるよう設計されている。本発明は、2つの重要な特徴、すなわち薬動力学および耐性の発生に影響を及ぼす調節された送達を提供し、そして該調節された送達は治療効果に十分な血漿濃度を提供する。該調節された送達はMPCより上の持続性の濃度プロファイルを可能にするがしかしMTCを超えない。耐性の発生は鎮静効果(数字の警覚性のような代表的尺度により判定されるところの認識機能の障害)に関連づけられる。
【0039】
一局面において、本発明は、遅延および放出期間の境界画定を高めるために稼働の間の層の粘度を制御するための層組成物を含んでなる。
【0040】
一局面において、本発明は、化合物シクロベンザプリンを調節された放出速度で長時間にわたって放出するように適合された徐放性投薬形態物を含んでなる。
【0041】
別の局面において、本発明は、水和した薬物層および水和した遅延層の粘度を制御することにより、投薬形態物から薬物が送達されない遅延期間後の均一な放出速度の維持手段を含んでなる。
【0042】
別の局面において、本発明は、調節された放出速度で長時間にわたって化合物を放出するように適合された投薬形態物を被験体に経口投与することを含んでなる、シクロベンザプリン若しくはその製薬学的に許容できる酸付加塩の投与に応答する被験体における状態の治療方法を含んでなる。好ましくは、化合物は三環性アミン、およびより好ましくはシクロベンザプリンであり、そして該投薬形態物は浸透性物質を含んでなる。より好ましくは、該投薬形態物は1日1回経口投与される。
【0043】
なお別の局面において、本発明は、その中に形成された若しくは形成可能な出口オリフィスを有しかつその少なくとも一部分が半透性である、区画を規定する膜;該出口オリフィスから離れて該区画内に配置されかつ該膜の半透性部分と液体連絡する膨張可能な層;該出口オリフィスに隣接して配置された非薬物遅延層;および化合物シクロベンザプリン若しくはその製薬学的に許容できる酸付加塩を含んでなる、遅延層と膨張可能な層との間の区画内に配置された薬物層を含んでなる投薬形態物を含んでなる。
【0044】
該投薬形態物は、場合によっては、該膜と薬物層および遅延層との間に流動を促進する層を含んでよい。
【0045】
別の局面において、本発明は、シクロベンザプリン若しくはその製薬学的に許容できる酸付加塩を投与して20mgの用量について24時間の投与期間中に16ないし18時間の7ng/mlと11ng/mlとの間の該化合物の調節された実質的に上昇する血漿濃度を提供することを含んでなる、該化合物の投与に応答する状態の治療方法を含んでなる。該投薬形態物の投与後24時間に、[Cmax−Cmin]/Cminにより形成される商は1未満である。Cmaxは約16時間より大きい時点で、および好ましくは約20時間で生じる。
[発明の詳細な記述]
本発明は、本明細書に提供される以下の定義、図面、および例示的開示への参照により最良に理解される。
定義
「投薬形態物」により、シクロベンザプリン若しくはその製薬学的に許容できる酸付加塩のような製薬学的有効成分を含んでなる製薬学的組成物若しくは装置を意味しており、該組成物若しくは装置は、不活性成分、すなわち有効な製薬学的剤を製造および送達するのに使用される懸濁化剤、界面活性剤、崩壊剤、結合剤、希釈剤、滑沢剤、安定剤、抗酸化剤、浸透物質、着色剤、可塑剤、コーティングなどのような製薬学的に許容できる賦形剤を場合によっては含有する。
【0046】
「有効成分」、「薬物」若しくは「化合物」により、シクロベンザプリン若しくはその製薬学的に許容できる酸付加塩の特徴を有する剤、薬物若しくは化合物を意味している。
【0047】
本明細書で互換性に使用される「製薬学的に許容できる酸付加塩」若しくは「製薬学的に許容できる塩」により、陰イオンが該塩の毒性若しくは薬理学的活性に有意に寄与せずかつそういうものとしてそれらがシクロベンザプリン化合物の塩基の薬理学的同等物である塩を意味している。他の三環性アミン抗うつ薬(シクロベンザプリンが代表的である)を同様に包含する。塩形成の目的上有用である製薬学的に許容できる酸の例は、限定されるものでないが塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、クエン酸、酢酸、安息香酸、マンデル酸、リン酸、硝酸、粘液酸、イセチオン酸、パルミチン酸および他者を挙げることができる。
【0048】
「持続放出」により、長時間にわたる環境への有効成分の予め決められた継続的放出を意味している。
【0049】
本明細書で使用されうるところの「出口」、「出口オリフィス」、「送達オリフィス」若しくは「薬物送達オリフィス」という表現、および他の類似の表現は、通路;開口部;オリフィス;および穴よりなる群から選択されるメンバーを包含する。該表現は、外壁から腐蝕、溶解若しくは滲出(leach)されてそれにより出口オリフィスを形成する物質若しくはポリマーから形成されるか若しくは形成可能であるオリフィスもまた包含する。
【0050】
薬物「放出速度」は、単位時間あたりに投薬形態物から放出される薬物の量、例えば1時間あたりに放出される薬物のミリグラム(mg/hr)を指す。薬物の投薬形態物の薬物放出速度は、典型的にはin vitro溶解速度、すなわち適切な条件下および適する液体中で測定した単位時間あたりに投薬形態物から放出される薬物の量として測定される。本明細書に記述される溶解試験は、37℃の恒温水浴中で米国薬局方第VII型の浴目盛(indexer)に取り付けた金属コイルサンプルホルダー中に入れた投薬形態物で実施した。放出速度溶液のアリコートをクロマトグラフィー系に注入して、試験間隔の間に放出された薬物の量を定量した。
【0051】
「放出速度アッセイ」により、米国薬局方第VII型間隔放出装置を使用して試験した投薬形態物からの化合物の放出速度の測定のための標準化アッセイを意味している。一般に許容できる手順に従ったアッセイにて同等の等級の試薬を置き換えてよいことが理解される。
【0052】
本明細書の明快さおよび便宜性のため、薬物投与の時間をゼロ時間(t=0時間)および適切な時間単位の投与後の時間を例えばt=30分若しくはt=2時間などと呼称する規約を利用する。
【0053】
別の方法で明記されない限り、本明細書で使用されるところの「投与後」指定された時間で得られる薬物放出速度は、適切な溶解試験の実施後指定された時間で得られるin vitro薬物放出速度を指す。投薬形態物内の薬物の指定された割合が放出された時間を「Tx」値と称することがあり、ここで「x」は放出された薬物のパーセントである。例えば、投薬形態物からの薬物放出を評価するための一般的に使用される参照測定値は、投薬形態物内の薬物の70%若しくは90%が放出された時間である。この測定値は該投薬形態物の「T70」若しくは「T90」と称される。
【0054】
「即時放出投薬形態物」により、投与後短時間、すなわち一般に数分ないし約1時間以内に薬物を実質的に完全に放出する投薬形態物を意味している。
【0055】
「長時間放出(extended release)投薬形態物」若しくは「放出制御投薬形態物」により、実質的に安定した予め決められた速度で何時間も薬物を放出する投薬形態物を意味している。本発明の放出制御投薬形態物は、最低約16時間若しくはそれ以上、および好ましくは約18時間若しくはそれ以上のT90値を表す。該投薬形態物は、最低約10時間、好ましくは12時間若しくはそれ以上、およびより好ましくは16〜20時間若しくはそれ以上にわたって薬物を放出する。
【0056】
「徐放性投薬形態物」により、実質的に連続的に何時間も薬物を放出する投薬形態物を意味している。本発明の徐放性投薬形態物は最低約10時間、好ましくは約12時間若しくはそれ以上、およびより好ましくは約16時間若しくはそれ以上にわたって薬物を放出する。
【0057】
本発明の投薬形態物は長時間のシクロベンザプリンの制御された放出速度を表す。
【0058】
「均一な放出速度」により、累積放出が25%と75%との間である米国薬局方第VII型間隔放出装置で測定されるところの先行する若しくはその後のいずれかの平均時間放出速度からのわずか約30%、および好ましくはわずか約25%、最も好ましくはわずか約10%正に若しくは負に変動する、核からの平均時間放出速度を意味している。
【0059】
「長時間」により、最低約4時間、好ましくは6〜8時間若しくはそれ以上、およびより好ましくは10時間若しくはそれ以上の連続した時間を意味している。例えば、本明細書に記述される例示的浸透圧投薬形態物は、一般に、投与後約4時間で均一な放出速度でシクロベンザプリンを放出し始め、そして、上で定義されたところの均一な放出速度は、該薬物の約25%から最低約75%および好ましくは最低約85%までが該投薬形態物から放出されるまで長時間継続する。シクロベンザプリンの放出はその後さらに数時間継続するが、とは言え該放出速度は一般に均一な放出速度からいくぶん低下される。
【0060】
「C」により、一般に単位容積あたりの質量、典型的には1ミリリットルあたりナノグラムとして表される、被験体の血漿中の薬物の濃度を意味している。便宜上、この濃度は本明細書で「血漿薬物濃度」若しくは「血漿濃度」と称することがあり、これは、いかなる適切な体液若しくは組織中で測定された薬物濃度も包含することを意図している。薬物投与後のいずれかの時点での血漿薬物濃度はC9h若しくはC24hなどでのようにCtimeとして参照される。
【0061】
「定常状態」により、被験体の血漿中に存在する薬物の量が長時間にわたって有意に変動しない状態を意味している。一定の投与間隔での一定の用量および投薬形態物の連続投与後の薬物の蓄積パターンは、最終的に、血漿濃度のピークおよび血漿濃度の谷が各投与間隔内で本質的に同一である「定常状態」を達成する。本明細書で使用されるところの定常状態の最大(ピーク)血漿薬物濃度はCmaxとして参照され、また、最小(谷)血漿薬物濃度はCminとして参照される。定常状態のピーク血漿および谷の薬物濃度が生じる薬物投与後の時間はそれぞれTmaxおよびTminとして参照される。
【0062】
当業者は、個々の被験体で得られる血漿薬物濃度が薬物の吸収、分布、代謝および排泄に影響を及ぼす多くのパラメータの患者間の変動性により変動するであろうことを認識している。この理由から、別の方法で示されない限り、被験体の群から得られた平均値を、血漿薬物濃度データの比較の目的上、およびin vitroの投薬形態物の溶解速度とin vivoの血漿薬物濃度との間の関係を解析するために、本明細書で使用する。
【0063】
13〜15時間若しくはそれ以上、およびより好ましくは16〜18時間若しくはそれ以上のT90値を表しかつシクロベンザプリンを制御された放出速度で長時間放出する、徐放性シクロベンザプリン投薬形態物を製造し得ることが驚くべきことに発見された。こうした投薬形態物の1日1回投与は、治療上有効な平均定常状態血漿シクロベンザプリン濃度を提供する。
【0064】
本明細書に記述される例示的徐放性シクロベンザプリン投薬形態物、こうした投薬形態物の製造方法、およびこうした投薬形態物の使用方法は、経口投与のための浸透圧投薬形態物に向けられる。本明細書に記述されるところの浸透圧系に加え、しかしながら、当該技術分野で既知の経口投薬形態物からの薬物の徐放性の達成に対する多くの他のアプローチが存在する。これらの多様なアプローチは、例えば、リザーバ装置およびマトリックス装置のような拡散系、被包化溶解系(例えば「小型調時丸剤」を包含する)およびマトリックス溶解系のような溶解系、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、pp.1682−1685(1990)に記述されるところの組合せの拡散/溶解系およびイオン交換樹脂系を包含しうる。これらの他のアプローチに従って稼働するシクロベンザプリン投薬形態物は、請求の範囲に列挙されるところの薬物放出の特徴および/若しくは血漿シクロベンザプリン濃度の特徴が文字どおり若しくは同等にのいずれかでそれらの投薬形態物を記述する程度まで、下の請求の範囲の範囲により包含される。
【0065】
浸透圧投薬形態物は、一般に、浸透圧を利用して液体の(しかし存在する場合に薬物または浸透物質(1種若しくは複数)でない)の自由な拡散を可能にする半透性壁に少なくとも部分的により形成される区画中への液体の吸収のための駆動力を生成させる。浸透圧系に対する有意の一利点は、稼働が、pH依存性でありかつ従って投薬形態物が胃腸管を通過しかつ有意に異なるpH値を有する異なる微小環境に遭遇する際にも長時間を通じて浸透圧で決定される速度で継続することである。こうした投薬形態物の総説はSantusとBaker、“Osmotic drug delivery:a review of the patent literature”、Journal of Controlled Release 35(1995)1−21に見出される。とりわけ、浸透圧投薬形態物に向けられた、本出願の譲受人ALZA Corporationにより所有される以下の米国特許、すなわち、米国特許第3,845,770号;同第3,916,899号;同第3,995,631号;同第4,008,719号;同第4,111,202号;同第4,160,020号;同第4,327,725号;同第4,519,801号;同第4,578,075号;同第4,681,583号;同第5,019,397号および同第5,156,850号明細書。
【0066】
本発明は、後の層の前の層への時期尚早な混合およびトンネル現象を制御することにより、複数の層を有する系の均一な放出速度を改良する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
図1は本発明の投薬形態物10のカプセル形状の錠剤の態様の断面図である。本態様において、膜20により規定される内部区画は、第一の区画の非薬物遅延層30、第二の区画の薬物層40および第三の区画の押層50を有する多層圧縮核を含有する。
【0068】
図2は代替の標準的両凸形状の錠剤を具体的に説明する。図1の好ましい態様はカプセル形状の錠剤を具体的に説明する一方、錠剤の外形は図2に具体的に説明されるところの標準的両凸形状を包含する他の形状であってもよい。しかしながら代替の形状は放出速度を変えるであろう。
【0069】
稼働において、投薬形態物10の経口嚥下後に、壁20を横切る浸透圧活性勾配が、胃液を壁20を通して吸収させ、それにより、遅延層30および薬物層40を送達可能な組成物、すなわち溶液若しくは懸濁液に転化しかつ同時に押層50中の浸透ポリマー(osmopolymer)(1種若しくは複数)を膨潤させる。送達可能な遅延層30および薬物層40は、液体が内部区画に進入し続けかつ押層50が膨潤し続ける際に、出口60を通って連続して放出される。遅延層30および薬物層40の放出が起こる際に、液体が吸収され続け、そして押層50が膨潤し続けてそれにより継続的放出を駆動する。この様式で、薬物は予め決められた遅延時間後に長時間にわたって継続的かつ均一な様式で放出される。
【0070】
図4は即時放出保護被膜を包含する22.5mgの標的系のモデル放出速度プロファイルを具体的に説明する。遅延期間および放出期間の開始および終了点の所望の明瞭な境界画定が本明細書で示される。
【0071】
図5は、即時放出保護被膜を有する22.5mgの標的系のモデルプロファイルを包含する血漿濃度プロファイルを具体的に説明する。望ましい均一の上昇する濃度が本明細書で示される。
【0072】
下により詳細に記述されるとおり、第三の構成要素、押層50は浸透圧活性成分(1種若しくは複数)を含むがしかし有効成分を含有しない。押層50中の浸透圧活性成分(1種若しくは複数)は、典型的には、浸透物質(osmoagent)、および、出口60を通る有意の放出が起こらないような液体が吸収される際に膨潤を表す比較的高分子量を有する1種若しくはそれ以上の浸透ポリマー(1種若しくは複数)を含んでなる。結合剤、滑沢剤、抗酸化剤および着色剤のような付加的な賦形剤もまた押層50に包含してよい。第三の構成要素の層は本明細書で膨張可能な若しくは押層と称される。液体が吸収される際に浸透ポリマー(1種若しくは複数)が膨潤しそして第二の構成要素の薬物層の送達可能な薬物製剤を押してそれにより該投薬形態物からの薬物製剤の放出を助長するからである。
【0073】
遅延層30は浸透圧活性成分を含むがしかし有効成分を含有しない。第一の構成要素の遅延層中の浸透圧活性成分(1種若しくは複数)は、典型的には、浸透物質、および、薬物層40の放出に類似の出口60を通る放出が起こるような液体が吸収される際に膨潤を表す比較的小分子量を有する1種若しくはそれ以上の浸透ポリマー(1種若しくは複数)を含んでなる。結合剤、滑沢剤、抗酸化剤および着色剤のような付加的な賦形剤もまた遅延層30に包含してよい。第一の構成要素の層は本明細書で遅延層と称される。液体が吸収される際に該層が水和しかつ薬物層40の放出前に核からいかなる有効成分も放出されることなく送達されてそれにより該投薬形態物からの薬物層40の放出の予め決められた遅延を創製するからである。遅延期間を通じて水和した薬物層の粘度よりも大きい水和した遅延層の粘度を維持することは、予め決められた遅延期間に最小限の有効成分が核から放出されることの保証において補助する。
【0074】
薬物層40は、液体を外的環境から膜20を通して駆動するため、および液体の吸収に際して送達可能な薬物製剤を形成するための浸透圧活性勾配を提供するよう適合された選択された賦形剤と混合状態のシクロベンザプリンを含んでなる。賦形剤は、薬物担体ともまた本明細書で称される適する懸濁化剤、および浸透圧活性物質すなわち「浸透物質」を包含してよい。滑沢剤、結合剤などのような他の賦形剤もまた包含してよい。
【0075】
薬物層40は親水性ポリマー担体をさらに含んでなる。親水性ポリマーは、有効成分の制御送達に寄与する薬物組成物中の粒子を提供する。これらのポリマーの代表的な例は、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(メチレンオキシド)、ポリ(ブチレンオキシド)およびポリ(へキシレンオキシド)を包含する100,000ないし750,000の数平均分子量のポリ(アルキレンオキシド);ならびに、ポリ(アルカリカルボキシメチルセルロース)、ポリ(カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリ(カルボキシメチルセルロースカリウム)およびポリ(カルボキシメチルセルロースリチウム)により代表される40,000ないし400,000の数平均分子量のポリ(カルボキシメチルセルロース)である。薬物層40は、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルブチルセルロースおよびヒドロキシプロピルペンチルセルロースにより代表されるところの投薬形態物の送達特性を高めるための9,200ないし125,000の数平均分子量のヒドロキシプロピルアルキルセルロース;ならびに投薬形態物の流動特性を高めるための7,000ないし75,000の数平均分子量のポリ(ビニルピロリドン)をさらに含み得る。これらのポリマーのなかで、100,000〜300,000の数平均分子量のポリ(エチレンオキシド)が好ましい。胃環境中で腐蝕する担体すなわち生物腐食性担体がとりわけ好ましい。
【0076】
薬物層40に組込まれうる他の担体は、単独で若しくは他の浸透物質とともに使用されるために十分な浸透圧活性を表す炭水化物を包含する。こうした炭水化物は単糖、二糖および多糖を含んでなる。代表的な例は、マルトデキストリン(すなわちトウモロコシデンプンの加水分解により生じるブドウ糖ポリマー)、および乳糖、ブドウ糖、ラフィノース、ショ糖、マンニトール、ソルビトールなどを含んでなる糖を包含する。好ましいマルトデキストリンは20若しくはそれ未満のデキストロース等価性(dextrose sequivalence)(DE)を有する、好ましくは約4から約20まで、およびしばしば9〜20の範囲にわたるDEを伴うものである。9〜12のDEを有するマルトデキストリンが有用であることが見出されている。
【0077】
薬物層40は、典型的には、担体、薬物および他の賦形剤の一層としての圧縮により形成される実質的に水分を含まない(1重量%未満の水分)組成物であることができる。
【0078】
薬物層40は、本発明の様式(mode)および様式(manner)により、典型的には化合物を含有する核として、薬物の大きさおよび該薬物層の製作で使用される付随するポリマーの大きさを生じさせる粉砕により粒子から形成してもよい。粒子の製造手段は、意図される微粒子径を生じさせるための造粒、噴霧乾燥、篩過、凍結乾燥、圧潰、細砕、ジェットミル微粉砕、微粉化および細断を包含する。該工程は、超微粉砕ミル、流体エネルギー細砕ミル、細砕ミル、ロールミル、ハンマーミル、摩砕機、チェイサーミル、ボールミル、振動ボールミル、衝撃微粉砕ミル、遠心微粉砕機、粗圧潰機および微細圧潰機のような大きさ低下機器により実施し得る。粒子の大きさは、グリズリ篩、平坦篩、振動篩、回転篩、振とう篩、首振り篩および往復篩を包含する篩過により確認し得る。薬物および担体の粒子を調製するための方法および機器は、Pharmaceutical Sciences、Remington、第18版、pp.1615−1632(1990);Chemical Engineers Handbook、Perry、第6版、pp.21−13ないし21−19(1984);Journal of Pharmaceutical Sciences、Parrot、Vol.61、No.6、pp.813−829(1974);およびChemical Engineer、Hixon、pp.94−103(1990)に開示されている。
【0079】
場合によっては、界面活性剤および崩壊剤を薬物層中で利用してよい。界面活性剤の例示は、ポリエチレングリコール400モノステアレート、ポリオキシエチレン−4−ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン−20−ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン−20−ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン−20−モノラウレート、ポリオキシエチレン−40−ステアレート、オレイン酸ナトリウムなどのような約10〜25の間のHLB値を有するものである。崩壊剤は、デンプン、粘土、セルロース、アルギンおよびガム、ならびに架橋したデンプン、セルロースおよびポリマーから選択してよい。代表的な崩壊剤は、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、クロスカルメロース、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、ビーガム(Veegum)HV、メチルセルロース、アガー、ベントナイト、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、グアールガムなどを包含する。
【0080】
有効成分は、送達期間、すなわち該投薬形態物の連続した投与の間の時間にわたって維持されなければならない、必要とされる投与レベルに依存して、投薬形態物あたり1mgから100mgまで、好ましくは投薬形態物あたり10mg〜40mgの量で薬物層中に提供してよい。より典型的には、投薬形態物中の化合物の負荷量は、1日あたり10mgから60mgまで、より通常は1日あたり20mgないし40mgの範囲にわたる被験体への化合物の用量を提供する。一般に、1日あたり100mg以上の総薬物用量が必要とされる場合は、複数の単位の投薬形態物を同時に投与して必要とされる薬物量を提供してもよい。
【0081】
本明細書に記述される筋弛緩活性を有する化合物の代表的な化合物として、即時放出シクロベンザプリンは、典型的には1日あたり3回投与される10mgの開始用量で投与される。有効用量範囲は一般に20mg/日ないし60mg/日であることが決定されている。
【0082】
被験体における血漿濃度は、薬物の認容性および臨床効果と血漿濃度との間の相関関係を決定するための臨床アッセイにより決定しうる。血漿濃度は、3ng/mlから100ng/ml(1ミリリットルあたりナノグラム)まで、より典型的には4ng/mlないし40ng/mlの化合物の範囲にわたってよい。本発明は、実質的に上昇する血漿濃度プロファイルを利用する送達期間を提供する。
【0083】
図6は多様な送達手段により達成される多様な時点での血漿濃度を具体的に説明する。本図は特定の一血漿濃度を達成するのに必要な時間を具体的に説明する。
【0084】
図7は、多様なシクロベンザプリン処置後の認識能力および高濃度のシクロベンザプリンと関連する障害に対するシクロベンザプリンの影響を具体的に説明する。
【0085】
本発明の1日1回の投薬形態物の現在好ましい態様において、薬物層は、投薬形態物あたり10mgないし40mgのシクロベンザプリンの用量でシクロベンザプリンを含んでなる。
【0086】
本発明の投薬形態物は、12時間以上、好ましくは16時間以上および最も好ましくは18時間以上の核薬物放出のT90値を有し、そして約20の連続した時間、シクロベンザプリンを放出した。投与後約4時間の後に、該投薬形態物は実質的に上昇する放出速度で核からシクロベンザプリンを放出し、それは約16時間若しくはそれ以上の長時間継続する。好ましい態様におけるこの放出は、即時放出コーティングおよび遅延層の放出後に起こった。
【0087】
壁20は水および生物学的液体のような外的液体の通過に対し浸透性であるように形成され、そしてシクロベンザプリン、浸透物質、浸透ポリマーなどの通過に対し実質的に不透性である。であるから、それは半透性である。壁20を形成するのに使用される選択的半透性組成物は本質的に非腐食性でありかつ投薬形態物の寿命の間、生物学的液体中で実質的に不溶性である。
【0088】
壁20を形成するための代表的なポリマーは半透性ホモポリマー、半透性コポリマーなどを含んでなる。こうした素材はセルロースエステル、セルロースエーテルおよびセルロースエステル−エーテルを含んでなる。セルロース性ポリマーは0以上から3を包含するまでのそれらのアンヒドログルコース単位あたりの置換度(DS)を有する。置換度(DS)は、置換基により置換されるかもしくは別の基に転化される、アンヒドログルコース単位に元々存在していたヒドロキシル基の平均数を意味している。アンヒドログルコース単位は、アシル、アルカノイル、アルケノイル、アロイル、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、カルボアルキル、アルキルカルバメート、アルキルカーボネート、アルキルスルホネート、アルキルスルファメート、半透性ポリマー形成基などのような基で部分的に若しくは完全に置換し得、ここで有機部分は1から12個までの炭素原子、および好ましくは1から8個までの炭素原子を含有する。
【0089】
半透性組成物は、典型的には、セルロースアシレート、セルロースジアシレート、セルローストリアシレート、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、モノ、ジおよびトリセルロースアルカニレート、モノ、ジおよびトリアルケニレート、モノ、ジおよびトリアロイレートなどよりなる群から選択されるメンバーを包含する。例示的ポリマーは、1.8ないし2.3のDSおよび32ないし39.9%のアセチル含量を有するセルロースアセテート;1ないし2のDSおよび21ないし35%のアセチル含量を有するセルロースジアセテート;2ないし3のDSおよび34ないし44.8%のアセチル含量を有するセルローストリアセテート;などを包含する。より具体的なセルロース性ポリマーは、1.8のDSおよび38.5%のプロピオニル含量を有するセルロースプロピオネート;1.5ないし7%のアセチル含量および39ないし42%のアセチル含量を有するセルロースアセテートプロピオネート;2.5ないし3%のアセチル含量、39.2ないし45%の平均プロピオニル含量、および2.8ないし5.4%のヒドロキシル含量を有するセルロースアセテートプロピオネート;1.8のDS、13ないし15%のアセチル含量、および34ないし39%のブチリル含量を有するセルロースアセテートブチレート;2ないし29%のアセチル含量、17ないし53%のブチリル含量、および0.5ないし4.7%のヒドロキシル含量を有するセルロースアセテートブチレート;セルローストリバレレート、セルローストリラメート、セルローストリパルミテート、セルローストリオクタノエートおよびセルローストリプロピオネートのような2.6ないし3のDSを有するセルローストリアシレート;セルロースジスクシネート、セルロースジパルミテート、セルロースジオクタノエート、セルロースジカプリレートなどのような2.2ないし2.6のDSを有するセルロースジエステル;ならびにセルロースアセテートバレレート、セルロースアセテートスクシネート、セルロースプロピオネートスクシネート、セルロースアセテートオクタノエート、セルロースバレレートパルミテート、セルロースアセテートヘプタノエートなどのような混合セルロースエステルを包含する。半透性ポリマーは米国特許第4,077,407号明細書で既知であり、そしてそれらはEncyclopedia of Polymer Science and Technology、Vol.3、pp.325−354(1964)、Interscience Publishers Inc.、ニューヨーク州ニューヨークに記述される手順により合成し得る。
【0090】
壁20を形成するための付加的な半透性ポリマーは、セルロースアセトアルデヒドジメチルアセテート;セルロースアセテートエチルカルバメート;セルロースアセテートメチルカルバメート;セルロースジメチルアミノアセテート;半透性ポリアミド;半透性ポリウレタン;半透性スルホン酸化ポリスチレン;米国特許第3,173,876号;同第3,276,586号;同第3,541,005号;同第3,541,006号および同第3,546,142号明細書に開示されるところの陰イオンおよび陽イオンの共沈により形成される架橋選択的半透性ポリマー:Loebらにより米国特許第3,133,132号明細書に開示されるところの半透性ポリマー;半透性ポリスチレン誘導体;半透性ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム);半透性ポリ(塩化ビニルベンジルトリメチルアンモニウム);ならびに、半透性壁を横断する静水圧若しくは浸透圧の差異の雰囲気に関して表される10−5ないし10−2(cc.mil/cm hr.atm)の液体浸透性を表す半透性ポリマーを含んでなる。該ポリマーは、米国特許第3,845,770号;同第3,916,899号および同第4,160,020号明細書;ならびにHandbook of Common Polymers、ScottとRoff(1971)CRC Press、オハイオ州クリーブランドにて当該技術分野で既知である。
【0091】
壁20はまた流動調節剤を含んでもよい。流動調節剤は、壁20を通る液体の浸透性すなわち流動の調節において補助するように添加された化合物である。流動調節剤は流動促進剤若しくは流動低下剤であり得る。該剤は液体の流動を増大若しくは減少させるように予め選択し得る。水のような液体に対する浸透性の顕著な増大を生じさせる剤はしばしば本質的に親水性である一方、水のような液体に対する顕著な低下を生じさせるものは本質的に疎水性である。壁中の調節剤の量は、それ中に組込まれる場合に一般に約0.01%から20重量%若しくはそれ以上までである。流動調節剤は多価アルコール、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンジオール、アルキレングリコールのポリエステルなどを包含してよい。典型的な流動増強剤は、ポリエチレングリコール300、400、600、1500、4000、6000など;ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールおよびポリアミレングリコールのような低分子量グリコール;ポリ(1,3−プロパンジオール)、ポリ(1,4−ブタンジオール)、ポリ(1,6−ヘキサンジオール)などのようなポリアルキレンジオール;1,3−ブチレングリコール、1,4−ペンタメチレングリコール、1,4−ヘキサメチレングリコールなどのような脂肪族ジオール;グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ヘキサントリオール、1,3,6−ヘキサントリオールなどのようなアルキレントリオール;エチレングリコールジプロピオネート、エチレングリコールブチレート、ブチレングリコールジプロピオネート、グリセロールアセテートエステルなどのようなエステルを包含する。現在好ましい流動増強剤は、プルロニック(BASF)として知られるプロピレングリコールの二官能性ブロックコポリマーポリオキシアルキレン誘導体の群を包含する。代表的な流動低下剤は、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレートおよび[ジ(2−エチルヘキシル)フタレート]のようなアルキル若しくはアルコキシまたはアルキルおよびアルコキシ基双方で置換されたフタレート、トリフェニルフタレートおよびブチルベンジルフタレートのようなアリールフタレート;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウムなどのような不溶性の塩;酸化チタンのような不溶性酸化物;ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートおよびポリスルホンのような粉末、顆粒などの形態のポリマー;長鎖アルキル基でエステル化されたクエン酸エステルのようなエステル;不活性かつ実質的に水不浸透性のフィルター;セルロースに基づく壁を形成する素材と適合性の樹脂などを包含する。
【0092】
可撓性および伸長特性を与えるため、壁20をより少なく脆くするためおよび引裂強さを与えるために他の素材を半透性壁組成物に包含してよい。適する素材は、ジベンジルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルオクチルフタレート、6ないし11個の炭素の直鎖フタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレートなどのようなフタレート可塑剤を包含する。可塑剤は、トリアセチン、ジオクチルアゼレート、エポキシド化タレート、トリイソオクチルトリメリテート、トリイソノニルトリメリテート、ショ糖アセテートイソブチレート、エポキシド化ダイズ油などのような非フタレートを包含する。壁中の可塑剤の量は、その中に組込まれる場合に約0.01%ないし20重量%若しくはそれ以上である。
【0093】
第三の構成要素、押層50は、図1に具体的に説明されるとおり第二の構成要素の薬物層40と接触する層状の配置において、若しくは図3に具体的に説明されるとおり障壁層55と接触する層状の配置において、膨張可能な組成物を含んでなる。押層50は、水性若しくは生物学的液体を吸収しかつ膨潤して装置の出口手段を通して薬物組成物を押すポリマーを含んでなる。適する吸収特性を有するポリマーは本明細書で浸透ポリマーと称することがある。浸透ポリマーは、水および水性の生物学的液体と相互作用しかつ高程度まで(典型的には2〜50倍の体積増大を表す)膨潤若しくは膨張する、膨潤可能な親水性ポリマーである。浸透ポリマーは架橋され得ないか若しくは架橋され得るが、しかし好ましい一態様においては、投薬形態物を出るのに大きすぎかつ絡みすぎたポリマー網状構造を創製するように少なくとも軽く架橋される。従って、好ましい一態様において、膨張可能な組成物がその稼働寿命の間に投薬形態物内に保持される。
【0094】
液体を吸収する置換ポリマーの代表的なものは、ポリ(エチレンオキシド)により代表されるような100万ないし1,500万の数平均分子量のポリ(アルキレンオキシド)、および500,000ないし3,500,000の数平均分子量のポリ(アルカリカルボキシメチルセルロース)(ここでアルカリはナトリウム、カリウム若しくはリチウムである)から選択されるメンバーを含んでなる。押層組成物の処方のための付加的なポリマーの例は、カルボポール[Carbopol](R)酸性カルボキシポリマーのようなヒドロゲルを形成する浸透ポリマー、カルボキシポリメチレンとしてもまた知られるポリアリルショ糖で架橋されたアクリル酸のポリマー、ならびに250,000ないし4,000,000の分子量を有するカルボキシビニルポリマー;サイアナマー[Cyanamer](R)ポリアクリルアミド;架橋した水で膨潤可能な無水インデンマレイン酸ポリマー;80,000ないし200,000の分子量を有するグッドライト[Good−rite](R)ポリアクリル酸;ジエステル架橋ポリグルランのような縮合ブドウ糖単位から構成されるアクアキープス[Aqua−Keeps](R)アクリル酸ポリマー多糖;などを含んでなる。ヒドロゲルを形成する代表的ポリマーは、Hartopに交付された米国特許第3,865,108号明細書;Manningに交付された米国特許第4,002,173号明細書;Michaelsに交付された米国特許第4,207,893号明細書;およびHandbook of Common Polymers、ScottとRoff、Chemical Rubber Co.、オハイオ州クリーブランドにて従来技術に既知である。
【0095】
該投薬形態物中の薬物層、遅延層および押層中に見出されうる浸透圧性溶質および浸透圧性有効成分としてもまた知られる適する浸透物質は、壁20を横切る浸透圧活性勾配を表すものである。適する浸透物質は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、リン酸カリウム、マンニトール、尿素、イノシトール、コハク酸マグネシウム、酒石酸、ラフィノース、ショ糖、ブドウ糖、乳糖、ソルビトール、無機塩、有機塩および炭水化物よりなる群から選択されるメンバーを含んでなる。
【0096】
投薬形態物の構成要素を製造するのに適する例示的溶媒は、該系中で使用される素材に悪影響を及ぼさない水性若しくは不活性有機溶媒を含んでなる。該溶媒は、水性溶媒、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、脂肪族炭化水素、ハロゲン化溶媒、環状脂肪族、芳香族、複素環溶媒およびそれらの混合物よりなる群から選択されるメンバーを広範に包含する。典型的な溶媒は、アセトン、ジアセトンアルコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルアセテート、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロプロパン、四塩化炭素、ニトロエタン、ニトロプロパン、テトラクロロエタン、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、シクロヘキサン、シクロオクタン、ベンゼン、トルエン、ナフサ、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグリム、水、塩化ナトリウム、塩化カルシウムなどのような無機塩を含有する水性溶媒、ならびにアセトンおよび水、アセトンおよびメタノール、アセトンおよびエチルアルコール、ジクロロメタンおよびメタノール、ならびにジクロロエタンおよびメタノールのようなそれらの混合物を包含する。
【0097】
図3は、薬物層40を押層50と分離する任意の第三の構成要素、障壁層55を包含する三層の圧縮核を具体的に説明する。図3はまた内壁90を包含する投薬形態物10も具体的に説明する。
【0098】
障壁層55の組成は薬物層40の組成に関して不活性かつ実質的に不透性であり;その結果、薬物層40からの薬物および押層50からの成分が混合することを予防される。適する素材は、水溶解性ポリマー、脂肪、脂肪酸、ならびに周囲および体温で固体である脂肪酸エステル、ならびに蝋を包含する。代表的な水溶解性ポリマーは、エチルセルロース、セルロースアセテート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンおよびビニルアセテートのコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ユードラジッド[Eudragit](R)L若しくはユードラジッド[Eudragit](R)Rのようなアクリル酸ポリマー、ポリカプロラクトン、ポリ(ラクチドコグリコリド)酸ポリマー(PLGA)、高密度ポリエチレン、ゴム、スチレンブタジエン、ポリシリコーン、ナイロン、、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレンならびにハロゲン化ポリマーを包含する。代表的な蝋はパラフィン蝋およびミツロウを包含する。代表的な脂肪、脂肪酸および脂肪酸エステルは、C16−C24長鎖脂肪酸、ステアリン酸およびオレイン酸のようなこうした長鎖脂肪酸のエステル、ならびに前述の混合物を包含する。前述の素材の混合物、例えば現在好ましいエチルセルロースおよびステアリン酸の混合物を利用してよい。
【0099】
内壁90は、壁20により規定される区画に進入する胃液の通過に対し浸透性でありかつ遅延層30、薬物層40および押層50の出口60に向かう動きを助長する潤滑機能を提供する。内壁90は親水性素材および賦形剤から形成してよい。外壁20は半透性であり、胃液を該区画に進入させるが、しかし該区画中の核を含んでなる素材の通過を予防する。送達可能なシクロベンザプリン製剤は、図3の態様に関して上述されたとおり出口60から放出される。
【0100】
内壁90は、遅延層30および薬物層40の外表面と壁20の内表面との間の摩擦を低下させるように少なくとも薬物層と半透性壁との間に配置される。内壁90は区画からの薬物組成物の放出を促進し、また、とりわけ分配されている薬物組成物のスラリー、懸濁液若しくは溶液がそれが分配される期間に高度に粘性である場合に送達期間の終了時に区画内に残存する残余の薬物組成物の量を低下させる。高い薬物負荷量、すなわち薬物層の総重量に基づき薬物層中の40%若しくはそれ以上の有効成分が存在しかつ内壁が存在しない投薬形態物において、送達期間が完了した後に有意の残余の量の薬物が装置中に残存しうることが観察されている。いくつかの例において、放出速度アッセイで試験した場合に24時間の期間の終了時に20%若しくはそれ以上の量が投薬形態物中に残存しうる。
【0101】
内壁90は、流動促進剤、すなわち外壁20と薬物層40の外表面との間の摩擦力を低下させる剤の内被膜として形成される。内壁90は外壁20と薬物層40の外表面および遅延層30との間の摩擦力を明らかに低下させ、かように該装置からの薬物のより完全な送達を見込む。とりわけ、高費用を有する有効成分の場合、こうした改良は、必要とされる薬物の最少量が送達されることができることを保証するために過剰の薬物を薬物層に負荷する必要がないため、実質的な経済的利点を提示する。内壁90は圧縮核の上に塗布されるコーティングとして形成してよい。
【0102】
内壁90は、典型的には、0.01ないし5mm厚、より典型的には0.5ないし5mm厚であってよく、そしてそれは、ヒドロゲル、ゼラチン、低分子量ポリエチレンオキシド、例えば100,000MW未満、ヒドロキシアルキルセルロース、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシイソプロピルセルロース、ヒドロキシブチルセルロースおよびヒドロキシフェニルセルロース、ならびにヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ならびにそれらの混合物から選択されるメンバーを含んでなる。ヒドロキシアルキルセルロースは9,500ないし1,250,000の数平均分子量を有するポリマーを含んでなる。例えば、80,000と850,000との間の数平均分子量を有するヒドロキシプロピルセルロースが有用である。内壁は、水性溶媒若しくは不活性有機溶媒中の前述の素材の慣習的溶液若しくは懸濁液から製造してよい。内壁に好ましい素材は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン[ポリ(ビニルピロリドン)]、ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物を包含する。有機溶媒、とりわけ1〜8個の炭素原子を有する低級アルカノール、好ましくはエタノールのような有機極性溶媒中で調製したヒドロキシプロピルセルロースおよびポビドンの混合物、水性溶液中で調製したヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースの混合物、ならびに水性溶液中で調製したヒドロキシエチルセルロースおよびポリエチレングリコールの混合物がより好ましい。最も好ましくは、内壁はエタノール中で調製したヒドロキシプロピルセルロースおよびポビドンの混合物を含んでなる。便宜的には、圧縮核に塗布される内壁の重量は、内壁の厚さ、および本明細書に記述されるような放出速度アッセイにおいて投薬形態物中に残存する残余の薬物と相関するとみられる。であるから、製造操作の間に、コーティング操作で取り込まれる内壁の重量を制御することにより内壁の厚さを制御してよい。
【0103】
内壁90がサブコートとして、すなわち薬物層、遅延層および押層の1種若しくは全部を包含する打錠混成品上に被覆することにより形成される場合、該内壁は打錠工程により核上に形成される表面の不規則性を埋めることができる。生じる滑らかな外表面は、薬物の分配の間の被覆された混成品の核と半透性壁との間の滑りを助長して、投与期間の終了時に装置中に残存するより少ない量の残余の薬物組成物をもたらす。内壁90がゲル形成素材から二次加工される場合、使用環境中の水との接触は、外壁20と薬物層40との間の滑りを促進しかつ高めうる粘度を有するゲル若しくはゲル様の内被膜の形成を助長する。
【0104】
出口オリフィスを除いて完成した投薬形態物を提供するのにパンコーティングを便宜的に使用してよい。パンコーティング系において、事情に応じて内壁若しくは外壁のための壁を形成する組成物を、回転パン中での混転を伴う、単一層核について薬物層;二層核について薬物層および押層;若しくは三層核について薬物層、障壁層および押層を含んでなる圧縮された単一、二層若しくは三層の核上への適切な壁組成物の連続的噴霧により分配する。パンコーターは商業的規模でのその利用可能性により使用される。圧縮核を被覆するのに他の技術を使用し得る。一旦被覆されれば、壁を強制空気オーブン若しくは温度および湿度制御オーブン中で乾燥して、製造中に使用した溶媒(1種若しくは複数)を投薬形態物から取り除く。乾燥条件は、利用可能な機器、周囲条件、溶媒、コーティング、コーティング厚などに基づき便宜的に選ぶことができる。
【0105】
他のコーティング技術もまた使用し得る。例えば、投薬形態物の壁(1個若しくは複数)を、空気懸濁処置を使用する1技術で形成しうる。この処置は、壁が核に塗布されるまで、単一、二層若しくは三層核を空気および半透性の壁形成組成物の流れ中で圧縮した懸濁および混転することよりなる。空気懸濁処置は該投薬形態物の壁を独立して形成するのに十分に適する。空気懸濁処置は、米国特許第2,799,241号明細書;J.Am.Pharm.Assoc.Vol.48、pp.451−459(1959);および同書、Vol.49、pp.82−84(1960)に記述されている。該投薬形態物は、例えば、壁形成素材の補助溶媒として塩化メチレンメタノールを使用してウースター[Wurster](R)空気懸濁塗布機を用いてもまた被覆し得る。エアロマティック[Aeromaic](R)空気懸濁塗布機を補助溶媒を使用して使用し得る。
【0106】
本発明の投薬形態物は標準的技術により製造する。例えば、該投薬形態物は湿式造粒技術により製造しうる。湿式造粒技術においては、薬物および担体を、造粒液体として変性無水エタノールのような有機溶媒を使用して配合する。残存する成分を上述された溶媒のような造粒液体の一部分に溶解し得、そしてこの後で調製した湿潤配合物を、配合機中で連続混合を伴い薬物配合物にゆっくりと添加する。湿潤配合物が生じるまで造粒液体を添加し、この湿潤物質配合物にその後、オーブントレイ上の予め規定された篩を通させる。配合物を強制空気オーブン中24℃ないし35℃で18ないし24時間乾燥する。乾燥した顆粒をその後篩過する。次に、ステアリン酸マグネシウム若しくは別の適する滑沢剤を薬物造粒に添加し、そして該造粒を微粉砕容器(milling jar)に入れそしてボールミルで10分間混合する。組成物を例えばマネスティー[Manesty](R)プレス若しくはコルシュ(Korsch)LCTプレスで層に加圧する。二層核については、薬物含有層を加圧し、そして包含される場合は押層組成物の同様に調製した湿潤配合物を薬物含有層に押しつける。三層核の形成の場合には、薬物層組成物、遅延層組成物および押層組成物の顆粒若しくは粉末を、最初の二層のそれぞれに適用されている中間圧縮段階を伴い適切な大きさのダイに連続して入れ、次いで最後の層をダイに添加した後に最後の圧縮段階を行い三層核を形成する。中間圧縮は典型的には約50〜100ニュートンの力下で起こる。最終段階の圧縮は、典型的には3500ニュートン若しくはそれ以上、しばしば3500〜5000ニュートンの力で起こる。単一、二層若しくは三層の圧縮核を、乾式塗布機プレス、例えばキリアン[Kilian](R)乾式塗布機プレスにフィードし、そしてその後上述されたところの壁素材で被覆する。
【0107】
1個若しくはそれ以上の出口オリフィスを投薬形態物の薬物層端に孔あけし、そして、着色(Opadry着色コーティング)であってももしくは透明(例えばOpadry Clear)であってもよい任意の水溶解性保護被膜を投薬形態物に被覆して完成した投薬形態物を提供しうる。
【0108】
別の製造において、薬物および他の成分を含んでなる薬物層を配合しかつ固体層に加圧する。該層は、該層が該投薬形態物中で占有するはずである領域の内的寸法に対応する寸法を有し、そしてそれはまた、包含される場合はそれと接触する配列を形成するための押層に対応する寸法も有する。薬物および他の成分はまた、溶媒と配合しかつボールミル粉砕、圧延、攪拌若しくはロールミル粉砕のような慣習的方法により固体若しくは半固体の形態にも混合し得、そしてその後予め選択した形状に加圧し得る。次に、包含される場合は、浸透ポリマー組成物の層を類似の様式で薬物の層と接触させる。薬物製剤および浸透ポリマー層の積層は慣習的な二層加圧技術により製作し得る。遅延層が存在する三層核の製造には類似の手順に従ってよい。圧縮核をその後、上述されたところの内壁素材および半透性壁素材で被覆してよい。
【0109】
使用し得る別の製造方法は、流動床造粒機で各層の粉末状成分を配合することを含んでなる。粉末状成分を造粒機中で乾式配合した後に、造粒液体、例えば水中のポリ(ビニルピロリドン)を粉末に噴霧する。被覆した粉末をその後造粒機で乾燥する。この工程は、造粒液体を添加する際にその中に存在する全部の成分を造粒する。顆粒を乾燥した後に、ステアリン酸若しくはステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤を配合機、例えばV−ブレンダー若しくはトートブレンダー(tote blender)を使用して造粒に混合する。顆粒をその後上述された様式で加圧する。
【0110】
本発明の投薬形態物は最低1個の出口60を伴い提供される。出口60は該投薬形態物からの薬物の均一な放出のために圧縮核と共同する。該出口は、該投薬形態物の製造の間、若しくは液体の使用環境中での該投薬形態物による薬物送達の間に提供され得る。
【0111】
出口60は、外壁から腐蝕、溶解若しくは滲出されてそれにより出口オリフィスを形成する物質若しくはポリマーから形成されるか若しくは形成可能であるオリフィスを包含しうる。該物質若しくはポリマーは、例えば、半透性壁中の腐食性ポリ(グリコール)酸若しくはポリ(乳)酸;ゼラチン性線維;水で除去可能なポリ(ビニルアルコール);無機および有機塩、酸化物および炭水化物よりなる群から選択される液体の除去可能な孔形成体のような滲出可能な化合物を包含しうる。
【0112】
1個の出口若しくは複数の出口は、ソルビトール、乳糖、果糖、ブドウ糖、マンノース、ガラクトース、タロース、塩化ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウムおよびマンニトールよりなる群から選択されるメンバーを滲出して均一な放出の寸法を定められた孔の出口オリフィスを提供することにより形成し得る。
【0113】
該出口は、該投薬形態物からの薬物の均一な計量された用量の放出のために円形、三角形、正方形、楕円形などのようないかなる形状も有し得る。
【0114】
該投薬形態物は、間隔を空けられた離れた関係の1個若しくはそれ以上の出口、または投薬形態物の1個若しくはそれ以上の表面を伴い構築し得る。
【0115】
半透性壁を通る機械的およびレーザー孔あけを包含する孔あけを使用して出口オリフィスを形成し得る。こうした出口およびこうした出口を形成するための機器は、TheeuwesとHiguchiによる米国特許第3,916,899号明細書およびTheeuwesらによる米国特許第4,088,864号明細書に開示されている。等しい直径の2個の出口を利用することが現在好ましい。
【0116】
本発明の投薬形態物は、本明細書に記述されるもののような標準的な放出速度アッセイで測定されるところの上昇する放出速度で薬物が放出される長時間を包含する連続的な時間にわたって薬物の徐放性を表す。被験体に投与される場合、本発明の投薬形態物は、即時放出投薬形態物で得られる血漿薬物濃度よりも長時間にわたりより少なく変動性である、被験体における実質的に上昇する血漿薬物濃度を提供する。本発明の投薬形態物が継続的に1日1回投与される場合、本発明の投薬形態物は、即時放出のシクロベンザプリン投薬形態物の1日2若しくは3回投与後に生じる定常状態のピーク血漿シクロベンザプリン濃度よりも、用量投与後より後の時点で起こりかつより小さい大きさを表す定常状態のピーク血漿シクロベンザプリン濃度を提供しつつ、治療上有効な上昇する血漿シクロベンザプリン濃度を提供する。
【0117】
被験体への1日1回のシクロベンザプリン投薬形態物の前述の経口投与方法の実施が好ましい。筋痙縮を発現しうるもしくはそのように診断されうる他の疾患状態および状態を本発明のシクロベンザプリン投薬形態物および方法で治療してよい。加えて、うつとともに症状発現することもしないこともあるがしかしシクロベンザプリンでの処置に応答するとみられる他の疾患状態および状態もまた、本発明の投薬形態物および方法で治療してよい。
【0118】
本発明の投薬形態物の好ましい製造方法を一般的に下述する。全部のパーセンテージは別の方法で示されない限り重量である。
【実施例1】
【0119】
0mgの保護被膜、および異なる粘度(84〜158cps)のポリオックス[Polyox](R)を利用する核製剤を有する14mgの核を含むシクロベンザプリン系。
遅延層(56mg)
84.35% ポリオックス[Polyox](R)WSR N−150
10.00% NaCl
5.00% PVP K29−32
0.50% ステアリン酸
0.10% 酸化鉄黒
0.05% BHT
薬物層(93mg)
15.00% 塩酸シクロベンザプリン
79.45% ポリオックス[Polyox](R)WSR N−150
5.00% PVP K29−32
0.50% ステアリン酸
0.05% BHT
押層(168mg)
20.00% 塩化ナトリウム
73.70% ポリエチレンオキシド、NF、7000K、TG
5.00% PVP K29−32
1.00% 酸化鉄、緑 PB−1581
0.25% ステアリン酸
0.05% BHT
即時放出保護被膜を伴わない投薬形態物のこの製剤は、図8および図9に描かれるところの多様なポリマー粘度についての放出速度プロファイルおよび累積放出速度プロファイルをもたらした。
【実施例2】
【0120】
6mgの保護被膜、および109cpsの粘度の核製剤を利用した14mgの核を含む20mgの塩酸シクロベンザプリン系。
遅延層(56mg)
84.35% ポリオックス[Polyox](R)WSR N−150
10.00% NaCl
5.00% PVP K29−32
0.50% ステアリン酸
0.10% 酸化鉄黄
0.05% BHT
薬物層(93mg)
15.00% 塩酸シクロベンザプリン
74.95% ポリオックス[Polyox](R)WSR N−150
5.00% PVP K29−32
0.50% ステアリン酸
0.05% BHT
押層(168mg)
20.00% 塩化ナトリウム
73.70% ポリエチレンオキシド、NF、7000K、TG
5.00% PVP K29−32
1.00% 酸化鉄、緑 PB−1581
0.25% ステアリン酸
0.05% BHT
7/32”LCT、深凹形(Deep Concave)成形型を使用するKorsch多層プレスでの圧縮前に処方を改変した。個々の層を168mg(押層)、93mg(薬物層)および56mg(遅延層)に減少させた。
【0121】
湿式造粒前に、塩(NaCl)および酸化鉄を、20メッシュ篩を使用して篩過した(手により、21メッシュ篩を装備したQuadro Comilで微粉砕を実施した押出造粒を除き)。全部の造粒について、ポビドンの50%を水性溶液(13%wt/wt)として噴霧し、そして残存する50%を粉末としてバッチに負荷した。薬物層は造粒工程の間の喪失を補償するため10%過剰の薬物を使用して造粒した。造粒後、乾燥した物質をGranumill中で7メッシュ篩を通過させた。微粉砕した物質をその後GEMCO配合機中でブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)と10分間およびステアリン酸と3分間配合した。
【0122】
圧縮は多層Korschプレスで実施した。三層の核を24”のハイコーター(Hi−Coater)で膜被覆した。被覆に際して、LCTレーザーを使用して核に45ミルのオリフィス直径まで孔あけした。各オリフィスを遅延層のドームの中央に置いた。最後に、孔あけした系をホットパック[Hotpack]TMオーブン中45℃/45%相対湿度で84時間乾燥し、次いで45℃/環境湿度で3時間乾燥してコーティングから残余のアセトンレベルを低下させた。乾燥した系をその後、24”の水性塗布機(Aqueous Coater)で薬物、色および透明被覆した。
【0123】
即時放出保護被膜を伴う投薬形態物のこの処方は、図10および図11に描かれるところの放出速度プロファイルおよび累積放出速度プロファイルをもたらした。
【0124】
上の実施例1および実施例2双方で概説したとおり、水和した遅延層および水和した薬物層双方が実質的に類似である粘度を有する。これは、遅延層および薬物層双方に同一の若しくは類似の物質を使用して達成される。また、これは、好ましくは、遅延層および薬物層双方に同一の若しくは類似のこの物質の割合を使用して達成される。これらの実施例により、同一等級の物質すなわちポリオックス[Polyox](R)WSR N−150を使用し、また、実質的に類似の割合のポリオックス[Polyox](R)WSR N−150を遅延層および薬物層双方で利用する。例えば、遅延層中の84.35%のポリオックス[Polyox](R)WSR N−150対薬物層中の79.45%のポリオックス[Polyox](R)WSR N−150。本発明の目的上、これは遅延層と薬物層との間の粘度の最小限の差である。
【0125】
加えて、本発明の本態様において、遅延層および薬物層のそれぞれの粘度に最小限の差異が存在する限りは、遅延層および薬物層双方で異なる物質、異なる等級の物質若しくはなお異なる物質割合を使用することもまた許容できる。
【0126】
本発明の代替の一態様において、投薬形態物は、水和した遅延層の粘度と薬物層の粘度との間に顕著な、示差的な若しくは実質的な差異を伴い設計され、ここで水和した遅延層の粘度は薬物層の粘度より小さい。これは、遅延層および薬物層のそれぞれの粘度に、生じる顕著な、示差的な若しくは実質的な差異が存在する限りは、遅延層および薬物層双方に異なる物質、異なる等級の物質、若しくはなお異なる物質割合を使用することにより達成される。
【0127】
本発明の別の態様において、投薬形態物は、水和した遅延層の粘度と薬物層の粘度との間に顕著な、示差的な若しくは実質的な差異を伴い設計され、ここで水和した遅延層の粘度は薬物層の粘度より大きい。これは、遅延層および薬物層のそれぞれの粘度に、生じる顕著な、示差的な若しくは実質的な差異が存在する限りは、遅延層および薬物層双方に異なる物質、異なる等級の物質、若しくはなお異なる物質割合を使用することにより達成される。
【0128】
従って、本発明により、遅延層および薬物層の相対粘度は、より高いか、より低いか、若しくは同一または実質的に類似であるかのいずれかである。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】任意の外的薬物保護被膜および透明被膜をもつ内側の潤滑壁を具体的に説明する、被験体への投与前の本発明の2個のオリフィスのカプセル形状の錠剤の態様を具体的に説明する。
【図2】任意の内側の潤滑壁を具体的に説明する、被験体への投与前の本発明の標準的な両凸形状の錠剤の態様を具体的に説明する。
【図3】任意の内側の潤滑壁および障壁層を使用する、被験体への投与前の本発明の単一オリフィスのカプセル形状の錠剤の態様を具体的に説明する。
【図4】22.5mgのシクロベンザプリン系についての任意の薬物保護被膜および上昇する送達速度を利用するモデル放出速度プロファイルを具体的に説明する。
【図5】モデル送達プロファイル由来の予測される血漿濃度時間プロファイルを具体的に説明する。図5はまた、1日3回(tid)投与される5および10mgの即時放出投薬形態物についての予測される血漿濃度プロファイルを示す。本発明は、5mg tidからのピーク濃度に全般として匹敵するがしかし10g tidからの谷濃度より下の血漿濃度を維持する。
【図6】本発明の必要条件であるシクロベンザプリンの結腸吸収を具体的に説明する。
【図7】第2日のより高いAUC値にもかかわらず検出の速度のAUCが第1日に比較してより低く、耐性の発生を示唆することを示すことにより、本発明の鎮静効果を具体的に説明する。
【図8】図1に具体的に説明される一般的特徴を有するがしかしある範囲の核粘度について薬物保護被膜を伴わない代表的投薬形態物からの有効成分シクロベンザプリンの放出プロファイル(時間の関数としての放出速度)を具体的に説明する。
【図9】図1に具体的に説明される一般的特徴を有するがしかしある範囲の核粘度についてp薬物保護被膜を伴わない代表的投薬形態物からの有効成分シクロベンザプリンの長時間にわたるシクロベンザプリンの累積放出を具体的に説明する。
【図10】薬物保護被膜および109cpsの核粘度を伴う、図1に具体的に説明される一般的特徴を有する代表的投薬形態物からの有効成分シクロベンザプリンの放出速度プロファイル(時間の関数としての放出速度)を具体的に説明する。
【図11】薬物保護被膜および109cpsの核粘度を伴う、図1に具体的に説明される一般的特徴を有する代表的投薬形態物からの有効成分シクロベンザプリンの長時間にわたるシクロベンザプリンの累積放出を具体的に説明する。
【図12】遅延層の粘度が稼働の間に薬物層の粘度より高いおよびより低い場合の平均放出速度を具体的に説明する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、製薬学的剤の制御送達ならびに方法、投薬形態物および装置に関する。とりわけ、本発明は塩酸シクロベンザプリンの制御送達のための方法、投薬形態物および装置に向けられる。より具体的には、本発明は、稼働(operation)の間に粘度を変えるように核層の組成を改変することによる放出速度を高める方法に関する。
【背景技術】
【0002】
伝統的な浸透圧送達装置は、投薬形態物中への液体の浸透を制御するために、外膜の組成の調節により該投薬形態物からの放出の速度を制御する。本発明は、特定の送達パターンをさらに規定するために、多層投薬形態物中の核層の拡散および粘性の特性を利用する。稼働の間に層の粘度を改変するように核層の組成を操作することにより、高められた放出プロファイルが生成される。
【0003】
当該技術は製薬学的剤の放出制御のための経口投薬形態物の記述が豊富である。短い半減期を表すある種の薬物を送達するための多様な徐放性投薬形態物が既知でありうる一方、溶解性、代謝過程、吸収、ならびに薬物および送達様式に独特でありうる他の物理的、化学的および生理学的パラメータのため、すべての薬物がそれらの投薬形態物から適して送達されるわけではないかもしれない。放出制御投薬形態物の候補でありそうにないこうした薬物の例は、三環性アミン、塩酸シクロベンザプリンのような長い半減期を表すものである。
【0004】
同様に、シクロベンザプリンは水性溶液中で比較的高度に可溶性であり、長時間にわたる均一な放出速度での投薬形態物からのその放出の制御においてより大きな困難を提供する。これは、初期のボーラス送達、次いで有効成分の送達の所望の遅延、次いで長時間にわたり均一な速度での有効成分の上昇する放出速度の本発明において明白である。有効成分の高い可溶性は所望の遅延のための制御において困難を提供している。
【0005】
塩酸シクロベンザプリンは急性の疼痛性筋骨格状態と関連する筋痙縮の治療に指示される。それは水およびアルコールに溶けやすく、イソプロパノールにやや溶けにくく、そして炭化水素溶媒に不溶性である。加えて、シクロベンザプリンは有意に長い半減期(1〜3日)を有する(非特許文献1)ため、そしてそれは長時間送達のための典型的な候補でない。しかしながら、眠気および口渇のような副作用が高い血漿濃度レベルに関連するようであり、1日1回の即時放出用量を投与する能力を制限する。
【0006】
シクロベンザプリンはアミトリプチリンのような他の三環性アミン塩と同様、鎮静および口渇という副作用を報告している。該副作用は、閾値の最大耐容濃度(MTC)を超える上昇速度および/若しくは実際の薬物血漿濃度のいずれかの結果でありそうであることが期待される。しかしながら、治療効果を得るために、濃度は最小薬動力学濃度(MPC)より上に持続される必要がある。
【0007】
シクロベンザプリンの送達の別の局面は、投与がしばしば投薬形態物中の高い薬物負荷量を必要とすることである。投薬形態物は、該投薬形態物の全重量の20%ないし90%の範囲の薬物を含有する必要があることがある。こうした高い薬物負荷量の要件は、経口投与に適しかつ過度の困難を伴わずに嚥下し得る組成物の処方および投薬形態物の製作における問題を提示する。加えて、こうした負荷量の要件は、長時間にわたる有効成分の放出という最終目標で1日1回投与のような1日あたりに制限された回数投与される投薬形態物を処方する場合に問題を提示するかもしれない。
【0008】
例示的な放出制御投薬形態物は、とりわけ、小腸のより下部および大腸のより高いpH領域で膨潤してそれらの環境に薬物を放出することができるpH感受性のポリマーおよび場合によっては浸透物質を利用する三成分の製薬学的製剤を記述する特許文献1を包含する。該投薬形態物の付加的な成分は、あったとしても非常にわずかな薬物を胃で、比較的最小限の量を小腸で、および報告によれば約85%若しくはそれ以上を大腸で放出する投薬形態物を提供するための遅延放出コーティングおよび腸溶コーティングを包含する。こうした投薬形態物は、該投薬形態物が胃から移行するまで1〜3時間および該投薬形態物が大腸に進むための追加の3時間若しくはそれ以上の間開始しないことができる、投与後の薬物の広範に変動する調時放出を提供する。
【0009】
例示的な徐放性シクロベンザプリン投薬形態物、こうした投薬形態物の製造方法、およびこうした投薬形態物の使用方法は、経口投与のための浸透圧投薬形態物に向けて本明細書に記述されている。
【0010】
本明細書に記述されるところの浸透圧系に加え、しかしながら、当該技術分野で既知の経口投薬形態物からの薬物の徐放性の達成への多くの他のアプローチが存在する。これらの多様なアプローチは、例えば、リザーバ装置およびマトリックス装置のような拡散系、被包化溶解系(例えば「小型調時丸剤(time pill)」を包含する)およびマトリックス溶解系のような溶解系、非特許文献2に記述されるところの組合せの拡散/溶解系およびイオン交換樹脂系を包含する。これらの他のアプローチに従って稼働するシクロベンザプリン投薬形態物は、本明細書および請求の範囲に列挙されるところの薬物放出の特徴および/若しくは血漿シクロベンザプリン濃度の特徴が文字通りに若しくは同等にのいずれかでそれらの投薬形態物を記述する程度まで、本明細書の開示の範囲により包含される。
【0011】
浸透圧投薬形態物は、一般に、浸透圧を利用して、液体の(しかし存在する場合には薬物または浸透物質(1種若しくは複数)でない)自由な拡散を可能にする半透膜に少なくとも部分的により形成される区画中への液体の吸収のための駆動力を生成させる。浸透圧系に対する有意の一利点は、稼働が、pH依存性でありかつ従って投薬形態物が胃腸管を通過しかつ有意に異なるpH値を有する異なる微小環境に遭遇する際にも長時間を通じて浸透圧で決定される速度で継続することである。こうした投薬形態物の総説は非特許文献3(そっくりそのまま本明細書に引用することにより組み込まれる)に見出される。とりわけ、浸透圧投薬形態物に向けられた、本出願の譲受人ALZA Corporationにより所有される以下の特許文献、すなわち特許文献2;3;4;5;6;7;8;9;10;11;12;および13。
【0012】
薬物組成物が、スラリー、懸濁液若しくは溶液として小さな出口オリフィスから膨張可能な層の作用により送達される装置は、特許文献14;15;16;17;18;19;20;および21に記述されている。典型的な装置は、半透膜により取り囲まれた膨張可能な押層および薬物層を包含する。ある場合においては、薬物層は使用の環境への薬物組成物の放出を遅らせるため、若しくは半透膜ととともにアニールコーティングを形成するため、サブコート(subcoat)を提供される。
【0013】
薬物組成物が、乾燥状態で大きな出口オリフィスから膨張可能な層の作用により送達される装置は、特許文献22、23および24に記述されている。それらの参考文献は、壁により形成される区画から水分を含まない薬物層を押す膨張可能な素材の層を含有する半透性壁を包含する、有益な剤を使用の環境に送達するための分配器を記述する。該装置中の出口オリフィスは、該壁により形成される区画の内径と実質的に同一の直径である。
【0014】
薬物組成物を使用の環境に乾燥状態で送達する投薬形態物は、長時間にわたる高薬物負荷量の薬物の適する放出を提供するかもしれない一方で、使用の環境への薬物層の曝露は、いくつかの環境においては制御するのが困難である薬物の攪拌依存性の放出をもたらすことがある。従って、本発明によるところの投薬形態物における押層の膨張の速度および出口オリフィスの大きさの制御により計量しうるスラリー若しくは懸濁液として薬物を放出することが有利であるかもしれない。
【0015】
特許文献25は、制御された速度で薬品を放出するためのアルギン酸およびヒドロキシプロピルメチルセルロースから成形したpH依存性ポリマーを使用するカプセル中に充填されるべき浮遊放出制御薬品の粉末製剤を記述している。このカプセル製剤は、打錠した製剤の特徴を模倣することを意図していたようである。本発明のシクロベンザプリンおよび関連化合物を含有する投薬形態物の均一な放出の特徴を提供する製剤の記述は提供されていない。
【0016】
特許文献22および24は、壁により形成された区画から薬物層を押す膨張可能な素材の層を含有する半透性壁を包含する、有益な剤を使用の環境に送達するための分配器を記述している。該装置中の出口オリフィスは、該壁により形成された区画の内径と実質的に同一の直径である。
【0017】
特許文献23は、壁により形成された区画から薬物層を押す膨張可能な素材の層を含有する半透性壁を包含する、有益な剤を使用の環境に送達するための分配器を記述している。該薬物層は担体中に分散された別個の小型丸剤を含有する。該装置中の出口オリフィスは、該壁により形成された区画の内径と実質的に同一の直径である。
【0018】
特許文献26は、反芻動物の瘤胃−網胃嚢中に保持するのに十分な密度を装置に与える付加的な要素と一緒に、イオノフォアおよび担体を含有する組成物ならびに膨張可能な親水性層が配置されている半透性ハウジングを包含する、家畜にイオノフォアを送達するための装置を記述している。イオノフォアおよび担体は保存の間に乾燥状態で存在し、そして、該組成物はそれが使用の液体環境と接触する場合に分配可能な液体様状態に変化する。拡散および浸透圧のポンプ作用により単位時間あたりに放出される薬物の量を制御するための装置の端の複数の穴および変動する直径の単一出口を包含する多数の異なる出口配置が記述されている。
【0019】
従来技術は、核層の拡散および相対粘度の特性の利用について顕著に沈黙を貫いている。従来技術の浸透圧系は、長時間にわたり有利な制御送達を提供する一方で、放出速度プロファイルの段差(bump)(増大若しくは減少)をもたらす、一致しない送達の期間の欠点をもっていた。こうした段差は血漿濃度に悪影響を及ぼし得る。本発明は、より均一な送達を提供してこれらの段差を減少させるように放出速度を改変することが可能である。
【0020】
上述されたとおり、ある種の薬物を送達するための多様な徐放性投薬形態物が存在するとは言え、溶解性、代謝過程、吸収、ならびに薬物および送達様式に独特でありうる他の物理的、化学的および生理学的パラメータにより、すべての薬物がそれらの投薬形態物から適して送達されるわけでないかもしれない。
【0021】
稼働の間の放出速度の望ましくない増大若しくは減少を低下させつつ、長時間にわたり前述の化合物の放出制御を可能にすることができる効果的な投与方法、投薬形態物および装置に対する必要性が存続している。
【特許文献1】米国特許第5,536,507号明細書
【特許文献2】米国特許第3,845,770号明細書
【特許文献3】米国特許第3,916,899号明細書
【特許文献4】米国特許第3,995,631号明細書
【特許文献5】米国特許第4,008,719号明細書
【特許文献6】米国特許第4,111,202号明細書
【特許文献7】米国特許第4,160,020号明細書
【特許文献8】米国特許第4,327,725号明細書
【特許文献9】米国特許第4,519,801号明細書
【特許文献10】米国特許第4,578,075号明細書
【特許文献11】米国特許第4,681,583号明細書
【特許文献12】米国特許第5,019,397号明細書
【特許文献13】米国特許第5,156,850号明細書
【特許文献14】米国特許第5,633,011号明細書
【特許文献15】米国特許第5,190,765号明細書
【特許文献16】米国特許第5,252,338号明細書
【特許文献17】米国特許第5,620,705号明細書
【特許文献18】米国特許第4,931,285号明細書
【特許文献19】米国特許第5,006,346号明細書
【特許文献20】米国特許第5,024,842号明細書
【特許文献21】米国特許第5,160,743号明細書
【特許文献22】米国特許第4,892,778号明細書
【特許文献23】米国特許第4,915,949号明細書
【特許文献24】米国特許第4,940,465号明細書
【特許文献25】米国特許第5,169,638号明細書
【特許文献26】米国特許第5,126,142号明細書
【非特許文献1】Physicians’ Desk Reference、Thompson Healthcare、第56版、pp.572−573(2002)
【非特許文献2】Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、pp.1682−1685(1990)
【非特許文献3】SantusとBaker、“Osmotic drug delivery:a review of the patent literature”、Journal of Controlled Release 35(1995)1−21
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0022】
[発明の要約]
本発明は、任意の薬物保護被膜を伴うカプセル形状の錠剤を利用して塩酸シクロベンザプリンをおよそ20時間送達するための投薬形態物の1日1回投与のため設計されている。このおよそ20時間の放出は、即時放出の薬物保護被膜送達、次いで、核が制御された様式で約16時間薬物を放出するまで投与後約4時間のさらなる薬物送達のないことから構成される。この新規プロファイルは治療的送達を提供する一方、薬物送達の遅延が、副作用が低下されかつ耐性の発生が増大されるような十分に低い血漿レベルを保つ。この送達プロファイルは高い血漿レベルを伴わずに24時間の有効性を提供する。
【0023】
本発明は、薬物放出速度のより大きな均一性、ならびに遅延期間の終わりおよび核からの薬物送達の始まりのより大きな境界画定により標されるより予測可能な遅延期間を発生させるために、核層の拡散および粘性の特性を利用する。遅延層の粘度が所望の遅延期間に薬物層の粘度より高いまま留まるような遅延層および薬物層の処方を制御することにより、至適の薬物を伴わない放出期間、次いで核からの継続的かつ実質的に上昇する放出を提供するために遅延層を通る薬物層の時期尚早のトンネル現象を低下させ得る。時期尚早のトンネル現象は、薬物層が系から時期尚早に送達されることを可能にして、上昇する放出速度の期間の放出速度の変動をもたらす。
【0024】
従来の多層製剤は、第二の層より小さい、稼働の間の第一の層の粘度を有することを特徴とする。
【0025】
本発明は、上昇でも平坦でも遅延でもなくしかしむしろ複合型である調節された放出速度を提供する。本プロファイルが、薬物の投与に伴う負の副作用を低下させつつ24時間にわたり有効な治療を提供するはずであることが、驚くべきことに発見された。加えて、シクロベンザプリンが本明細書で例示される一方、本発明は、アミトリプチリン、イミプラミンおよびデシプラミンを包含する三環性アミン抗うつ薬の分類の他の薬物の送達に等しく有益であるとみられる。
【0026】
本発明は、薬物が上部胃腸(GI)管に送達される迅速な初期ボーラス送達、次いで約4時間の薬物の送達の遅延、次いで該投薬形態物がGI管の結腸領域中にあることがありそうであるゆっくりとしたしかし実質的に上昇する放出を利用する。このプロファイルは、以前にいかなる薬物も、とりわけシクロベンザプリンを送達するために使用されておらず、そして、被験体の認識機能の障害を低下させるよう設計されている。
【0027】
記述された調節された放出速度が、ピーク濃度が投与後約20時間に発生する、薬物の実質的に上昇する血漿濃度を提供することが、驚くべきことに見出された。この上昇する血漿濃度は、発生される日内耐性効果を低下させるはずである。
【0028】
該投薬形態物は、三層の核を取り巻く半透膜を利用する。すなわち、第一の層は遅延層と称されかつ薬物を含有せず;薬物層と称される第二の層は塩酸シクロベンザプリンのような薬物および賦形剤を含有し;ならびに押層と称される第三の層は浸透物質を含有しかつ薬物を含有しない。該カプセル形状の錠剤の遅延層の端に該膜を通ってオリフィスを孔あけする。外側の薬物保護被膜が該膜に塗布される。
【0029】
胃腸(GI)管の水性環境中で薬物保護被膜が溶解する。その後、該膜の特性および核の構成要素の重量オスモル濃度により決定される制御された速度で水が半透膜を通り吸収される。これは押層を膨潤させかつ遅延および薬物層を水和させそして粘性のしかし変形可能な塊を形成させる。押層は薬物層に対して膨張し、薬物層は順に水和した遅延層を押す。好ましくは、遅延層、次いで薬物層が、水が核に吸収される同一速度で膜中のオリフィスを通って系から出る。伝統的な系において、薬物層は遅延層を貫通しそして放出速度プロファイルを変えるかもしれない。錠剤の生物学的に不活性の成分はGI通過の間無傷のまま留まり、そして不溶性の核成分と一緒に殻として排泄される。
【0030】
有効成分は水性環境中で比較的高度に溶解性であるため、薬物層は遅延層に混ざる傾向を有する。薬物および遅延層の相対粘度に依存して多様な放出プロファイルが得られる。各薬物層の至適の粘度を同定することが絶対必要である。層の至適の粘度は70cpsと350cpsとの間、および好ましくは約84cpsと158cpsとの間、ならびにより好ましくは約109cpsであるべきであることが見出されている。
【0031】
所望の期間薬物送達を伴わない、本好ましい送達プロファイルの遅延期間を維持するために、混合が低下されるべきである。水和した遅延層の粘度が遅延期間を通じて水和した薬物層の粘度より高いまま留まる投薬形態物を創製することが好ましいことが発見された。こうした相対粘度は、薬物層による遅延層への時期尚早の混合およびトンネル現象を防止し、また、遅延期間の終わりと上昇する放出期間の始まりとの間のより鮮明な境界画定を提供し、ならびに該上昇する放出期間の該投薬形態物からのより均一な送達を提供する。
【0032】
しかしながら、実質的に類似である粘度をもつ水和した遅延層および水和した薬物層の双方を有することもまた本発明の範囲内にある。これは、遅延層および薬物層双方において同一の若しくは類似の物質を使用して達成される。また、これは、好ましくは、遅延層および薬物層双方中の同一の若しくは類似の割合のこの物質を使用して達成される。本発明の一例は、遅延層および薬物層双方中で同一等級のポリオックス[Polyox](R)WSR N−150および同一割合のポリオックス[Polyox](R)WSR N−150を使用することである。従って、このアプローチにおいて、目的は、遅延層と薬物層との間の粘度の最小限の差を有することである。従って、遅延層および薬物層のそれぞれの粘度に最小限の差異が存在する限りは、遅延層および薬物層双方中で異なる物質、異なる等級の物質、若しくは異なる物質割合さえ使用することもまた許容できる。
【0033】
加えて、水和した遅延層の粘度が薬物層の粘度より小さい、水和した遅延層の粘度と薬物層の粘度との間の顕著な、示差的な、若しくは実質的な差異を有することもまた本発明の範囲内にある。従って、これは、遅延層および薬物層のそれぞれの粘度に、生じる顕著な、示差的な、若しくは実質的な差異が存在する限りは、遅延層および薬物層双方に異なる物質、異なる等級の物質若しくは異なる物質割合さえ使用することにより達成される。
【0034】
従って、本発明によれば、遅延層および薬物層の相対粘度はより高いか、より低いか、または同一若しくは実質的に類似であるかのいずれかである。
【0035】
核からの送達プロファイルは核層のそれぞれの重量および厚さにもまた依存する。特定の層の厚さ若しくは重量を増大させることは、プロファイルのその部分の送達時間を増大させる。例えば、より厚い遅延層は、核からの有効成分の送達が始まる前のより長い遅延期間を提供する。
【0036】
核長さに対する核直径の比もまた重要な因子である。例えば、より狭い核の形状は、隣接層のより短い混合期間、従って有効成分の低い放出速度からより高い放出速度までのより急な上昇する速度を提供する一方、より幅広い核直径は、隣接層間の混合のためのより大きな界面面積を提供してよりゆるやかな上昇速度を提供する。カプセル形状の錠剤のような系の形状は、核からのいくぶん上昇するプロファイルを提供する原因である重要な特徴である。従って、形状は、カプセル形状の錠剤ないし標準的な両凸形状の間で変動し得、送達プロファイルの付随する変化を伴う。
【0037】
該送達系は、単一の22.5mgの投薬形態物の投与後3ないし4時間におよそ6ないし8ng/ml、および好ましくは6.5ng/mlと6.9ng/mlとの間、ならびに投与後18ないし20時間におよそ8ないし12ng/ml、および好ましくは9.7ng/mlと10.2ng/mlとの間の血漿濃度を達成するように設計されている。ピーク濃度はおよそ20時間で発生する。他の用量は血漿濃度のおおよそ直線状の変動(より高い若しくはより低い)をもたらすと期待される。
【0038】
本発明は、現在1日あたり複数回投与されている即時放出投薬形態物より少ない副作用を生じさせつつ治療上有効である1日1回の投薬形態物となるよう設計されている。本発明は、2つの重要な特徴、すなわち薬動力学および耐性の発生に影響を及ぼす調節された送達を提供し、そして該調節された送達は治療効果に十分な血漿濃度を提供する。該調節された送達はMPCより上の持続性の濃度プロファイルを可能にするがしかしMTCを超えない。耐性の発生は鎮静効果(数字の警覚性のような代表的尺度により判定されるところの認識機能の障害)に関連づけられる。
【0039】
一局面において、本発明は、遅延および放出期間の境界画定を高めるために稼働の間の層の粘度を制御するための層組成物を含んでなる。
【0040】
一局面において、本発明は、化合物シクロベンザプリンを調節された放出速度で長時間にわたって放出するように適合された徐放性投薬形態物を含んでなる。
【0041】
別の局面において、本発明は、水和した薬物層および水和した遅延層の粘度を制御することにより、投薬形態物から薬物が送達されない遅延期間後の均一な放出速度の維持手段を含んでなる。
【0042】
別の局面において、本発明は、調節された放出速度で長時間にわたって化合物を放出するように適合された投薬形態物を被験体に経口投与することを含んでなる、シクロベンザプリン若しくはその製薬学的に許容できる酸付加塩の投与に応答する被験体における状態の治療方法を含んでなる。好ましくは、化合物は三環性アミン、およびより好ましくはシクロベンザプリンであり、そして該投薬形態物は浸透性物質を含んでなる。より好ましくは、該投薬形態物は1日1回経口投与される。
【0043】
なお別の局面において、本発明は、その中に形成された若しくは形成可能な出口オリフィスを有しかつその少なくとも一部分が半透性である、区画を規定する膜;該出口オリフィスから離れて該区画内に配置されかつ該膜の半透性部分と液体連絡する膨張可能な層;該出口オリフィスに隣接して配置された非薬物遅延層;および化合物シクロベンザプリン若しくはその製薬学的に許容できる酸付加塩を含んでなる、遅延層と膨張可能な層との間の区画内に配置された薬物層を含んでなる投薬形態物を含んでなる。
【0044】
該投薬形態物は、場合によっては、該膜と薬物層および遅延層との間に流動を促進する層を含んでよい。
【0045】
別の局面において、本発明は、シクロベンザプリン若しくはその製薬学的に許容できる酸付加塩を投与して20mgの用量について24時間の投与期間中に16ないし18時間の7ng/mlと11ng/mlとの間の該化合物の調節された実質的に上昇する血漿濃度を提供することを含んでなる、該化合物の投与に応答する状態の治療方法を含んでなる。該投薬形態物の投与後24時間に、[Cmax−Cmin]/Cminにより形成される商は1未満である。Cmaxは約16時間より大きい時点で、および好ましくは約20時間で生じる。
[発明の詳細な記述]
本発明は、本明細書に提供される以下の定義、図面、および例示的開示への参照により最良に理解される。
定義
「投薬形態物」により、シクロベンザプリン若しくはその製薬学的に許容できる酸付加塩のような製薬学的有効成分を含んでなる製薬学的組成物若しくは装置を意味しており、該組成物若しくは装置は、不活性成分、すなわち有効な製薬学的剤を製造および送達するのに使用される懸濁化剤、界面活性剤、崩壊剤、結合剤、希釈剤、滑沢剤、安定剤、抗酸化剤、浸透物質、着色剤、可塑剤、コーティングなどのような製薬学的に許容できる賦形剤を場合によっては含有する。
【0046】
「有効成分」、「薬物」若しくは「化合物」により、シクロベンザプリン若しくはその製薬学的に許容できる酸付加塩の特徴を有する剤、薬物若しくは化合物を意味している。
【0047】
本明細書で互換性に使用される「製薬学的に許容できる酸付加塩」若しくは「製薬学的に許容できる塩」により、陰イオンが該塩の毒性若しくは薬理学的活性に有意に寄与せずかつそういうものとしてそれらがシクロベンザプリン化合物の塩基の薬理学的同等物である塩を意味している。他の三環性アミン抗うつ薬(シクロベンザプリンが代表的である)を同様に包含する。塩形成の目的上有用である製薬学的に許容できる酸の例は、限定されるものでないが塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、クエン酸、酢酸、安息香酸、マンデル酸、リン酸、硝酸、粘液酸、イセチオン酸、パルミチン酸および他者を挙げることができる。
【0048】
「持続放出」により、長時間にわたる環境への有効成分の予め決められた継続的放出を意味している。
【0049】
本明細書で使用されうるところの「出口」、「出口オリフィス」、「送達オリフィス」若しくは「薬物送達オリフィス」という表現、および他の類似の表現は、通路;開口部;オリフィス;および穴よりなる群から選択されるメンバーを包含する。該表現は、外壁から腐蝕、溶解若しくは滲出(leach)されてそれにより出口オリフィスを形成する物質若しくはポリマーから形成されるか若しくは形成可能であるオリフィスもまた包含する。
【0050】
薬物「放出速度」は、単位時間あたりに投薬形態物から放出される薬物の量、例えば1時間あたりに放出される薬物のミリグラム(mg/hr)を指す。薬物の投薬形態物の薬物放出速度は、典型的にはin vitro溶解速度、すなわち適切な条件下および適する液体中で測定した単位時間あたりに投薬形態物から放出される薬物の量として測定される。本明細書に記述される溶解試験は、37℃の恒温水浴中で米国薬局方第VII型の浴目盛(indexer)に取り付けた金属コイルサンプルホルダー中に入れた投薬形態物で実施した。放出速度溶液のアリコートをクロマトグラフィー系に注入して、試験間隔の間に放出された薬物の量を定量した。
【0051】
「放出速度アッセイ」により、米国薬局方第VII型間隔放出装置を使用して試験した投薬形態物からの化合物の放出速度の測定のための標準化アッセイを意味している。一般に許容できる手順に従ったアッセイにて同等の等級の試薬を置き換えてよいことが理解される。
【0052】
本明細書の明快さおよび便宜性のため、薬物投与の時間をゼロ時間(t=0時間)および適切な時間単位の投与後の時間を例えばt=30分若しくはt=2時間などと呼称する規約を利用する。
【0053】
別の方法で明記されない限り、本明細書で使用されるところの「投与後」指定された時間で得られる薬物放出速度は、適切な溶解試験の実施後指定された時間で得られるin vitro薬物放出速度を指す。投薬形態物内の薬物の指定された割合が放出された時間を「Tx」値と称することがあり、ここで「x」は放出された薬物のパーセントである。例えば、投薬形態物からの薬物放出を評価するための一般的に使用される参照測定値は、投薬形態物内の薬物の70%若しくは90%が放出された時間である。この測定値は該投薬形態物の「T70」若しくは「T90」と称される。
【0054】
「即時放出投薬形態物」により、投与後短時間、すなわち一般に数分ないし約1時間以内に薬物を実質的に完全に放出する投薬形態物を意味している。
【0055】
「長時間放出(extended release)投薬形態物」若しくは「放出制御投薬形態物」により、実質的に安定した予め決められた速度で何時間も薬物を放出する投薬形態物を意味している。本発明の放出制御投薬形態物は、最低約16時間若しくはそれ以上、および好ましくは約18時間若しくはそれ以上のT90値を表す。該投薬形態物は、最低約10時間、好ましくは12時間若しくはそれ以上、およびより好ましくは16〜20時間若しくはそれ以上にわたって薬物を放出する。
【0056】
「徐放性投薬形態物」により、実質的に連続的に何時間も薬物を放出する投薬形態物を意味している。本発明の徐放性投薬形態物は最低約10時間、好ましくは約12時間若しくはそれ以上、およびより好ましくは約16時間若しくはそれ以上にわたって薬物を放出する。
【0057】
本発明の投薬形態物は長時間のシクロベンザプリンの制御された放出速度を表す。
【0058】
「均一な放出速度」により、累積放出が25%と75%との間である米国薬局方第VII型間隔放出装置で測定されるところの先行する若しくはその後のいずれかの平均時間放出速度からのわずか約30%、および好ましくはわずか約25%、最も好ましくはわずか約10%正に若しくは負に変動する、核からの平均時間放出速度を意味している。
【0059】
「長時間」により、最低約4時間、好ましくは6〜8時間若しくはそれ以上、およびより好ましくは10時間若しくはそれ以上の連続した時間を意味している。例えば、本明細書に記述される例示的浸透圧投薬形態物は、一般に、投与後約4時間で均一な放出速度でシクロベンザプリンを放出し始め、そして、上で定義されたところの均一な放出速度は、該薬物の約25%から最低約75%および好ましくは最低約85%までが該投薬形態物から放出されるまで長時間継続する。シクロベンザプリンの放出はその後さらに数時間継続するが、とは言え該放出速度は一般に均一な放出速度からいくぶん低下される。
【0060】
「C」により、一般に単位容積あたりの質量、典型的には1ミリリットルあたりナノグラムとして表される、被験体の血漿中の薬物の濃度を意味している。便宜上、この濃度は本明細書で「血漿薬物濃度」若しくは「血漿濃度」と称することがあり、これは、いかなる適切な体液若しくは組織中で測定された薬物濃度も包含することを意図している。薬物投与後のいずれかの時点での血漿薬物濃度はC9h若しくはC24hなどでのようにCtimeとして参照される。
【0061】
「定常状態」により、被験体の血漿中に存在する薬物の量が長時間にわたって有意に変動しない状態を意味している。一定の投与間隔での一定の用量および投薬形態物の連続投与後の薬物の蓄積パターンは、最終的に、血漿濃度のピークおよび血漿濃度の谷が各投与間隔内で本質的に同一である「定常状態」を達成する。本明細書で使用されるところの定常状態の最大(ピーク)血漿薬物濃度はCmaxとして参照され、また、最小(谷)血漿薬物濃度はCminとして参照される。定常状態のピーク血漿および谷の薬物濃度が生じる薬物投与後の時間はそれぞれTmaxおよびTminとして参照される。
【0062】
当業者は、個々の被験体で得られる血漿薬物濃度が薬物の吸収、分布、代謝および排泄に影響を及ぼす多くのパラメータの患者間の変動性により変動するであろうことを認識している。この理由から、別の方法で示されない限り、被験体の群から得られた平均値を、血漿薬物濃度データの比較の目的上、およびin vitroの投薬形態物の溶解速度とin vivoの血漿薬物濃度との間の関係を解析するために、本明細書で使用する。
【0063】
13〜15時間若しくはそれ以上、およびより好ましくは16〜18時間若しくはそれ以上のT90値を表しかつシクロベンザプリンを制御された放出速度で長時間放出する、徐放性シクロベンザプリン投薬形態物を製造し得ることが驚くべきことに発見された。こうした投薬形態物の1日1回投与は、治療上有効な平均定常状態血漿シクロベンザプリン濃度を提供する。
【0064】
本明細書に記述される例示的徐放性シクロベンザプリン投薬形態物、こうした投薬形態物の製造方法、およびこうした投薬形態物の使用方法は、経口投与のための浸透圧投薬形態物に向けられる。本明細書に記述されるところの浸透圧系に加え、しかしながら、当該技術分野で既知の経口投薬形態物からの薬物の徐放性の達成に対する多くの他のアプローチが存在する。これらの多様なアプローチは、例えば、リザーバ装置およびマトリックス装置のような拡散系、被包化溶解系(例えば「小型調時丸剤」を包含する)およびマトリックス溶解系のような溶解系、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、pp.1682−1685(1990)に記述されるところの組合せの拡散/溶解系およびイオン交換樹脂系を包含しうる。これらの他のアプローチに従って稼働するシクロベンザプリン投薬形態物は、請求の範囲に列挙されるところの薬物放出の特徴および/若しくは血漿シクロベンザプリン濃度の特徴が文字どおり若しくは同等にのいずれかでそれらの投薬形態物を記述する程度まで、下の請求の範囲の範囲により包含される。
【0065】
浸透圧投薬形態物は、一般に、浸透圧を利用して液体の(しかし存在する場合に薬物または浸透物質(1種若しくは複数)でない)の自由な拡散を可能にする半透性壁に少なくとも部分的により形成される区画中への液体の吸収のための駆動力を生成させる。浸透圧系に対する有意の一利点は、稼働が、pH依存性でありかつ従って投薬形態物が胃腸管を通過しかつ有意に異なるpH値を有する異なる微小環境に遭遇する際にも長時間を通じて浸透圧で決定される速度で継続することである。こうした投薬形態物の総説はSantusとBaker、“Osmotic drug delivery:a review of the patent literature”、Journal of Controlled Release 35(1995)1−21に見出される。とりわけ、浸透圧投薬形態物に向けられた、本出願の譲受人ALZA Corporationにより所有される以下の米国特許、すなわち、米国特許第3,845,770号;同第3,916,899号;同第3,995,631号;同第4,008,719号;同第4,111,202号;同第4,160,020号;同第4,327,725号;同第4,519,801号;同第4,578,075号;同第4,681,583号;同第5,019,397号および同第5,156,850号明細書。
【0066】
本発明は、後の層の前の層への時期尚早な混合およびトンネル現象を制御することにより、複数の層を有する系の均一な放出速度を改良する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
図1は本発明の投薬形態物10のカプセル形状の錠剤の態様の断面図である。本態様において、膜20により規定される内部区画は、第一の区画の非薬物遅延層30、第二の区画の薬物層40および第三の区画の押層50を有する多層圧縮核を含有する。
【0068】
図2は代替の標準的両凸形状の錠剤を具体的に説明する。図1の好ましい態様はカプセル形状の錠剤を具体的に説明する一方、錠剤の外形は図2に具体的に説明されるところの標準的両凸形状を包含する他の形状であってもよい。しかしながら代替の形状は放出速度を変えるであろう。
【0069】
稼働において、投薬形態物10の経口嚥下後に、壁20を横切る浸透圧活性勾配が、胃液を壁20を通して吸収させ、それにより、遅延層30および薬物層40を送達可能な組成物、すなわち溶液若しくは懸濁液に転化しかつ同時に押層50中の浸透ポリマー(osmopolymer)(1種若しくは複数)を膨潤させる。送達可能な遅延層30および薬物層40は、液体が内部区画に進入し続けかつ押層50が膨潤し続ける際に、出口60を通って連続して放出される。遅延層30および薬物層40の放出が起こる際に、液体が吸収され続け、そして押層50が膨潤し続けてそれにより継続的放出を駆動する。この様式で、薬物は予め決められた遅延時間後に長時間にわたって継続的かつ均一な様式で放出される。
【0070】
図4は即時放出保護被膜を包含する22.5mgの標的系のモデル放出速度プロファイルを具体的に説明する。遅延期間および放出期間の開始および終了点の所望の明瞭な境界画定が本明細書で示される。
【0071】
図5は、即時放出保護被膜を有する22.5mgの標的系のモデルプロファイルを包含する血漿濃度プロファイルを具体的に説明する。望ましい均一の上昇する濃度が本明細書で示される。
【0072】
下により詳細に記述されるとおり、第三の構成要素、押層50は浸透圧活性成分(1種若しくは複数)を含むがしかし有効成分を含有しない。押層50中の浸透圧活性成分(1種若しくは複数)は、典型的には、浸透物質(osmoagent)、および、出口60を通る有意の放出が起こらないような液体が吸収される際に膨潤を表す比較的高分子量を有する1種若しくはそれ以上の浸透ポリマー(1種若しくは複数)を含んでなる。結合剤、滑沢剤、抗酸化剤および着色剤のような付加的な賦形剤もまた押層50に包含してよい。第三の構成要素の層は本明細書で膨張可能な若しくは押層と称される。液体が吸収される際に浸透ポリマー(1種若しくは複数)が膨潤しそして第二の構成要素の薬物層の送達可能な薬物製剤を押してそれにより該投薬形態物からの薬物製剤の放出を助長するからである。
【0073】
遅延層30は浸透圧活性成分を含むがしかし有効成分を含有しない。第一の構成要素の遅延層中の浸透圧活性成分(1種若しくは複数)は、典型的には、浸透物質、および、薬物層40の放出に類似の出口60を通る放出が起こるような液体が吸収される際に膨潤を表す比較的小分子量を有する1種若しくはそれ以上の浸透ポリマー(1種若しくは複数)を含んでなる。結合剤、滑沢剤、抗酸化剤および着色剤のような付加的な賦形剤もまた遅延層30に包含してよい。第一の構成要素の層は本明細書で遅延層と称される。液体が吸収される際に該層が水和しかつ薬物層40の放出前に核からいかなる有効成分も放出されることなく送達されてそれにより該投薬形態物からの薬物層40の放出の予め決められた遅延を創製するからである。遅延期間を通じて水和した薬物層の粘度よりも大きい水和した遅延層の粘度を維持することは、予め決められた遅延期間に最小限の有効成分が核から放出されることの保証において補助する。
【0074】
薬物層40は、液体を外的環境から膜20を通して駆動するため、および液体の吸収に際して送達可能な薬物製剤を形成するための浸透圧活性勾配を提供するよう適合された選択された賦形剤と混合状態のシクロベンザプリンを含んでなる。賦形剤は、薬物担体ともまた本明細書で称される適する懸濁化剤、および浸透圧活性物質すなわち「浸透物質」を包含してよい。滑沢剤、結合剤などのような他の賦形剤もまた包含してよい。
【0075】
薬物層40は親水性ポリマー担体をさらに含んでなる。親水性ポリマーは、有効成分の制御送達に寄与する薬物組成物中の粒子を提供する。これらのポリマーの代表的な例は、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(メチレンオキシド)、ポリ(ブチレンオキシド)およびポリ(へキシレンオキシド)を包含する100,000ないし750,000の数平均分子量のポリ(アルキレンオキシド);ならびに、ポリ(アルカリカルボキシメチルセルロース)、ポリ(カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリ(カルボキシメチルセルロースカリウム)およびポリ(カルボキシメチルセルロースリチウム)により代表される40,000ないし400,000の数平均分子量のポリ(カルボキシメチルセルロース)である。薬物層40は、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルブチルセルロースおよびヒドロキシプロピルペンチルセルロースにより代表されるところの投薬形態物の送達特性を高めるための9,200ないし125,000の数平均分子量のヒドロキシプロピルアルキルセルロース;ならびに投薬形態物の流動特性を高めるための7,000ないし75,000の数平均分子量のポリ(ビニルピロリドン)をさらに含み得る。これらのポリマーのなかで、100,000〜300,000の数平均分子量のポリ(エチレンオキシド)が好ましい。胃環境中で腐蝕する担体すなわち生物腐食性担体がとりわけ好ましい。
【0076】
薬物層40に組込まれうる他の担体は、単独で若しくは他の浸透物質とともに使用されるために十分な浸透圧活性を表す炭水化物を包含する。こうした炭水化物は単糖、二糖および多糖を含んでなる。代表的な例は、マルトデキストリン(すなわちトウモロコシデンプンの加水分解により生じるブドウ糖ポリマー)、および乳糖、ブドウ糖、ラフィノース、ショ糖、マンニトール、ソルビトールなどを含んでなる糖を包含する。好ましいマルトデキストリンは20若しくはそれ未満のデキストロース等価性(dextrose sequivalence)(DE)を有する、好ましくは約4から約20まで、およびしばしば9〜20の範囲にわたるDEを伴うものである。9〜12のDEを有するマルトデキストリンが有用であることが見出されている。
【0077】
薬物層40は、典型的には、担体、薬物および他の賦形剤の一層としての圧縮により形成される実質的に水分を含まない(1重量%未満の水分)組成物であることができる。
【0078】
薬物層40は、本発明の様式(mode)および様式(manner)により、典型的には化合物を含有する核として、薬物の大きさおよび該薬物層の製作で使用される付随するポリマーの大きさを生じさせる粉砕により粒子から形成してもよい。粒子の製造手段は、意図される微粒子径を生じさせるための造粒、噴霧乾燥、篩過、凍結乾燥、圧潰、細砕、ジェットミル微粉砕、微粉化および細断を包含する。該工程は、超微粉砕ミル、流体エネルギー細砕ミル、細砕ミル、ロールミル、ハンマーミル、摩砕機、チェイサーミル、ボールミル、振動ボールミル、衝撃微粉砕ミル、遠心微粉砕機、粗圧潰機および微細圧潰機のような大きさ低下機器により実施し得る。粒子の大きさは、グリズリ篩、平坦篩、振動篩、回転篩、振とう篩、首振り篩および往復篩を包含する篩過により確認し得る。薬物および担体の粒子を調製するための方法および機器は、Pharmaceutical Sciences、Remington、第18版、pp.1615−1632(1990);Chemical Engineers Handbook、Perry、第6版、pp.21−13ないし21−19(1984);Journal of Pharmaceutical Sciences、Parrot、Vol.61、No.6、pp.813−829(1974);およびChemical Engineer、Hixon、pp.94−103(1990)に開示されている。
【0079】
場合によっては、界面活性剤および崩壊剤を薬物層中で利用してよい。界面活性剤の例示は、ポリエチレングリコール400モノステアレート、ポリオキシエチレン−4−ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン−20−ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン−20−ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン−20−モノラウレート、ポリオキシエチレン−40−ステアレート、オレイン酸ナトリウムなどのような約10〜25の間のHLB値を有するものである。崩壊剤は、デンプン、粘土、セルロース、アルギンおよびガム、ならびに架橋したデンプン、セルロースおよびポリマーから選択してよい。代表的な崩壊剤は、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、クロスカルメロース、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、ビーガム(Veegum)HV、メチルセルロース、アガー、ベントナイト、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、グアールガムなどを包含する。
【0080】
有効成分は、送達期間、すなわち該投薬形態物の連続した投与の間の時間にわたって維持されなければならない、必要とされる投与レベルに依存して、投薬形態物あたり1mgから100mgまで、好ましくは投薬形態物あたり10mg〜40mgの量で薬物層中に提供してよい。より典型的には、投薬形態物中の化合物の負荷量は、1日あたり10mgから60mgまで、より通常は1日あたり20mgないし40mgの範囲にわたる被験体への化合物の用量を提供する。一般に、1日あたり100mg以上の総薬物用量が必要とされる場合は、複数の単位の投薬形態物を同時に投与して必要とされる薬物量を提供してもよい。
【0081】
本明細書に記述される筋弛緩活性を有する化合物の代表的な化合物として、即時放出シクロベンザプリンは、典型的には1日あたり3回投与される10mgの開始用量で投与される。有効用量範囲は一般に20mg/日ないし60mg/日であることが決定されている。
【0082】
被験体における血漿濃度は、薬物の認容性および臨床効果と血漿濃度との間の相関関係を決定するための臨床アッセイにより決定しうる。血漿濃度は、3ng/mlから100ng/ml(1ミリリットルあたりナノグラム)まで、より典型的には4ng/mlないし40ng/mlの化合物の範囲にわたってよい。本発明は、実質的に上昇する血漿濃度プロファイルを利用する送達期間を提供する。
【0083】
図6は多様な送達手段により達成される多様な時点での血漿濃度を具体的に説明する。本図は特定の一血漿濃度を達成するのに必要な時間を具体的に説明する。
【0084】
図7は、多様なシクロベンザプリン処置後の認識能力および高濃度のシクロベンザプリンと関連する障害に対するシクロベンザプリンの影響を具体的に説明する。
【0085】
本発明の1日1回の投薬形態物の現在好ましい態様において、薬物層は、投薬形態物あたり10mgないし40mgのシクロベンザプリンの用量でシクロベンザプリンを含んでなる。
【0086】
本発明の投薬形態物は、12時間以上、好ましくは16時間以上および最も好ましくは18時間以上の核薬物放出のT90値を有し、そして約20の連続した時間、シクロベンザプリンを放出した。投与後約4時間の後に、該投薬形態物は実質的に上昇する放出速度で核からシクロベンザプリンを放出し、それは約16時間若しくはそれ以上の長時間継続する。好ましい態様におけるこの放出は、即時放出コーティングおよび遅延層の放出後に起こった。
【0087】
壁20は水および生物学的液体のような外的液体の通過に対し浸透性であるように形成され、そしてシクロベンザプリン、浸透物質、浸透ポリマーなどの通過に対し実質的に不透性である。であるから、それは半透性である。壁20を形成するのに使用される選択的半透性組成物は本質的に非腐食性でありかつ投薬形態物の寿命の間、生物学的液体中で実質的に不溶性である。
【0088】
壁20を形成するための代表的なポリマーは半透性ホモポリマー、半透性コポリマーなどを含んでなる。こうした素材はセルロースエステル、セルロースエーテルおよびセルロースエステル−エーテルを含んでなる。セルロース性ポリマーは0以上から3を包含するまでのそれらのアンヒドログルコース単位あたりの置換度(DS)を有する。置換度(DS)は、置換基により置換されるかもしくは別の基に転化される、アンヒドログルコース単位に元々存在していたヒドロキシル基の平均数を意味している。アンヒドログルコース単位は、アシル、アルカノイル、アルケノイル、アロイル、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、カルボアルキル、アルキルカルバメート、アルキルカーボネート、アルキルスルホネート、アルキルスルファメート、半透性ポリマー形成基などのような基で部分的に若しくは完全に置換し得、ここで有機部分は1から12個までの炭素原子、および好ましくは1から8個までの炭素原子を含有する。
【0089】
半透性組成物は、典型的には、セルロースアシレート、セルロースジアシレート、セルローストリアシレート、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、モノ、ジおよびトリセルロースアルカニレート、モノ、ジおよびトリアルケニレート、モノ、ジおよびトリアロイレートなどよりなる群から選択されるメンバーを包含する。例示的ポリマーは、1.8ないし2.3のDSおよび32ないし39.9%のアセチル含量を有するセルロースアセテート;1ないし2のDSおよび21ないし35%のアセチル含量を有するセルロースジアセテート;2ないし3のDSおよび34ないし44.8%のアセチル含量を有するセルローストリアセテート;などを包含する。より具体的なセルロース性ポリマーは、1.8のDSおよび38.5%のプロピオニル含量を有するセルロースプロピオネート;1.5ないし7%のアセチル含量および39ないし42%のアセチル含量を有するセルロースアセテートプロピオネート;2.5ないし3%のアセチル含量、39.2ないし45%の平均プロピオニル含量、および2.8ないし5.4%のヒドロキシル含量を有するセルロースアセテートプロピオネート;1.8のDS、13ないし15%のアセチル含量、および34ないし39%のブチリル含量を有するセルロースアセテートブチレート;2ないし29%のアセチル含量、17ないし53%のブチリル含量、および0.5ないし4.7%のヒドロキシル含量を有するセルロースアセテートブチレート;セルローストリバレレート、セルローストリラメート、セルローストリパルミテート、セルローストリオクタノエートおよびセルローストリプロピオネートのような2.6ないし3のDSを有するセルローストリアシレート;セルロースジスクシネート、セルロースジパルミテート、セルロースジオクタノエート、セルロースジカプリレートなどのような2.2ないし2.6のDSを有するセルロースジエステル;ならびにセルロースアセテートバレレート、セルロースアセテートスクシネート、セルロースプロピオネートスクシネート、セルロースアセテートオクタノエート、セルロースバレレートパルミテート、セルロースアセテートヘプタノエートなどのような混合セルロースエステルを包含する。半透性ポリマーは米国特許第4,077,407号明細書で既知であり、そしてそれらはEncyclopedia of Polymer Science and Technology、Vol.3、pp.325−354(1964)、Interscience Publishers Inc.、ニューヨーク州ニューヨークに記述される手順により合成し得る。
【0090】
壁20を形成するための付加的な半透性ポリマーは、セルロースアセトアルデヒドジメチルアセテート;セルロースアセテートエチルカルバメート;セルロースアセテートメチルカルバメート;セルロースジメチルアミノアセテート;半透性ポリアミド;半透性ポリウレタン;半透性スルホン酸化ポリスチレン;米国特許第3,173,876号;同第3,276,586号;同第3,541,005号;同第3,541,006号および同第3,546,142号明細書に開示されるところの陰イオンおよび陽イオンの共沈により形成される架橋選択的半透性ポリマー:Loebらにより米国特許第3,133,132号明細書に開示されるところの半透性ポリマー;半透性ポリスチレン誘導体;半透性ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム);半透性ポリ(塩化ビニルベンジルトリメチルアンモニウム);ならびに、半透性壁を横断する静水圧若しくは浸透圧の差異の雰囲気に関して表される10−5ないし10−2(cc.mil/cm hr.atm)の液体浸透性を表す半透性ポリマーを含んでなる。該ポリマーは、米国特許第3,845,770号;同第3,916,899号および同第4,160,020号明細書;ならびにHandbook of Common Polymers、ScottとRoff(1971)CRC Press、オハイオ州クリーブランドにて当該技術分野で既知である。
【0091】
壁20はまた流動調節剤を含んでもよい。流動調節剤は、壁20を通る液体の浸透性すなわち流動の調節において補助するように添加された化合物である。流動調節剤は流動促進剤若しくは流動低下剤であり得る。該剤は液体の流動を増大若しくは減少させるように予め選択し得る。水のような液体に対する浸透性の顕著な増大を生じさせる剤はしばしば本質的に親水性である一方、水のような液体に対する顕著な低下を生じさせるものは本質的に疎水性である。壁中の調節剤の量は、それ中に組込まれる場合に一般に約0.01%から20重量%若しくはそれ以上までである。流動調節剤は多価アルコール、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンジオール、アルキレングリコールのポリエステルなどを包含してよい。典型的な流動増強剤は、ポリエチレングリコール300、400、600、1500、4000、6000など;ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールおよびポリアミレングリコールのような低分子量グリコール;ポリ(1,3−プロパンジオール)、ポリ(1,4−ブタンジオール)、ポリ(1,6−ヘキサンジオール)などのようなポリアルキレンジオール;1,3−ブチレングリコール、1,4−ペンタメチレングリコール、1,4−ヘキサメチレングリコールなどのような脂肪族ジオール;グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ヘキサントリオール、1,3,6−ヘキサントリオールなどのようなアルキレントリオール;エチレングリコールジプロピオネート、エチレングリコールブチレート、ブチレングリコールジプロピオネート、グリセロールアセテートエステルなどのようなエステルを包含する。現在好ましい流動増強剤は、プルロニック(BASF)として知られるプロピレングリコールの二官能性ブロックコポリマーポリオキシアルキレン誘導体の群を包含する。代表的な流動低下剤は、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレートおよび[ジ(2−エチルヘキシル)フタレート]のようなアルキル若しくはアルコキシまたはアルキルおよびアルコキシ基双方で置換されたフタレート、トリフェニルフタレートおよびブチルベンジルフタレートのようなアリールフタレート;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウムなどのような不溶性の塩;酸化チタンのような不溶性酸化物;ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートおよびポリスルホンのような粉末、顆粒などの形態のポリマー;長鎖アルキル基でエステル化されたクエン酸エステルのようなエステル;不活性かつ実質的に水不浸透性のフィルター;セルロースに基づく壁を形成する素材と適合性の樹脂などを包含する。
【0092】
可撓性および伸長特性を与えるため、壁20をより少なく脆くするためおよび引裂強さを与えるために他の素材を半透性壁組成物に包含してよい。適する素材は、ジベンジルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルオクチルフタレート、6ないし11個の炭素の直鎖フタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレートなどのようなフタレート可塑剤を包含する。可塑剤は、トリアセチン、ジオクチルアゼレート、エポキシド化タレート、トリイソオクチルトリメリテート、トリイソノニルトリメリテート、ショ糖アセテートイソブチレート、エポキシド化ダイズ油などのような非フタレートを包含する。壁中の可塑剤の量は、その中に組込まれる場合に約0.01%ないし20重量%若しくはそれ以上である。
【0093】
第三の構成要素、押層50は、図1に具体的に説明されるとおり第二の構成要素の薬物層40と接触する層状の配置において、若しくは図3に具体的に説明されるとおり障壁層55と接触する層状の配置において、膨張可能な組成物を含んでなる。押層50は、水性若しくは生物学的液体を吸収しかつ膨潤して装置の出口手段を通して薬物組成物を押すポリマーを含んでなる。適する吸収特性を有するポリマーは本明細書で浸透ポリマーと称することがある。浸透ポリマーは、水および水性の生物学的液体と相互作用しかつ高程度まで(典型的には2〜50倍の体積増大を表す)膨潤若しくは膨張する、膨潤可能な親水性ポリマーである。浸透ポリマーは架橋され得ないか若しくは架橋され得るが、しかし好ましい一態様においては、投薬形態物を出るのに大きすぎかつ絡みすぎたポリマー網状構造を創製するように少なくとも軽く架橋される。従って、好ましい一態様において、膨張可能な組成物がその稼働寿命の間に投薬形態物内に保持される。
【0094】
液体を吸収する置換ポリマーの代表的なものは、ポリ(エチレンオキシド)により代表されるような100万ないし1,500万の数平均分子量のポリ(アルキレンオキシド)、および500,000ないし3,500,000の数平均分子量のポリ(アルカリカルボキシメチルセルロース)(ここでアルカリはナトリウム、カリウム若しくはリチウムである)から選択されるメンバーを含んでなる。押層組成物の処方のための付加的なポリマーの例は、カルボポール[Carbopol](R)酸性カルボキシポリマーのようなヒドロゲルを形成する浸透ポリマー、カルボキシポリメチレンとしてもまた知られるポリアリルショ糖で架橋されたアクリル酸のポリマー、ならびに250,000ないし4,000,000の分子量を有するカルボキシビニルポリマー;サイアナマー[Cyanamer](R)ポリアクリルアミド;架橋した水で膨潤可能な無水インデンマレイン酸ポリマー;80,000ないし200,000の分子量を有するグッドライト[Good−rite](R)ポリアクリル酸;ジエステル架橋ポリグルランのような縮合ブドウ糖単位から構成されるアクアキープス[Aqua−Keeps](R)アクリル酸ポリマー多糖;などを含んでなる。ヒドロゲルを形成する代表的ポリマーは、Hartopに交付された米国特許第3,865,108号明細書;Manningに交付された米国特許第4,002,173号明細書;Michaelsに交付された米国特許第4,207,893号明細書;およびHandbook of Common Polymers、ScottとRoff、Chemical Rubber Co.、オハイオ州クリーブランドにて従来技術に既知である。
【0095】
該投薬形態物中の薬物層、遅延層および押層中に見出されうる浸透圧性溶質および浸透圧性有効成分としてもまた知られる適する浸透物質は、壁20を横切る浸透圧活性勾配を表すものである。適する浸透物質は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、リン酸カリウム、マンニトール、尿素、イノシトール、コハク酸マグネシウム、酒石酸、ラフィノース、ショ糖、ブドウ糖、乳糖、ソルビトール、無機塩、有機塩および炭水化物よりなる群から選択されるメンバーを含んでなる。
【0096】
投薬形態物の構成要素を製造するのに適する例示的溶媒は、該系中で使用される素材に悪影響を及ぼさない水性若しくは不活性有機溶媒を含んでなる。該溶媒は、水性溶媒、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、脂肪族炭化水素、ハロゲン化溶媒、環状脂肪族、芳香族、複素環溶媒およびそれらの混合物よりなる群から選択されるメンバーを広範に包含する。典型的な溶媒は、アセトン、ジアセトンアルコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルアセテート、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロプロパン、四塩化炭素、ニトロエタン、ニトロプロパン、テトラクロロエタン、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、シクロヘキサン、シクロオクタン、ベンゼン、トルエン、ナフサ、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグリム、水、塩化ナトリウム、塩化カルシウムなどのような無機塩を含有する水性溶媒、ならびにアセトンおよび水、アセトンおよびメタノール、アセトンおよびエチルアルコール、ジクロロメタンおよびメタノール、ならびにジクロロエタンおよびメタノールのようなそれらの混合物を包含する。
【0097】
図3は、薬物層40を押層50と分離する任意の第三の構成要素、障壁層55を包含する三層の圧縮核を具体的に説明する。図3はまた内壁90を包含する投薬形態物10も具体的に説明する。
【0098】
障壁層55の組成は薬物層40の組成に関して不活性かつ実質的に不透性であり;その結果、薬物層40からの薬物および押層50からの成分が混合することを予防される。適する素材は、水溶解性ポリマー、脂肪、脂肪酸、ならびに周囲および体温で固体である脂肪酸エステル、ならびに蝋を包含する。代表的な水溶解性ポリマーは、エチルセルロース、セルロースアセテート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンおよびビニルアセテートのコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ユードラジッド[Eudragit](R)L若しくはユードラジッド[Eudragit](R)Rのようなアクリル酸ポリマー、ポリカプロラクトン、ポリ(ラクチドコグリコリド)酸ポリマー(PLGA)、高密度ポリエチレン、ゴム、スチレンブタジエン、ポリシリコーン、ナイロン、、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレンならびにハロゲン化ポリマーを包含する。代表的な蝋はパラフィン蝋およびミツロウを包含する。代表的な脂肪、脂肪酸および脂肪酸エステルは、C16−C24長鎖脂肪酸、ステアリン酸およびオレイン酸のようなこうした長鎖脂肪酸のエステル、ならびに前述の混合物を包含する。前述の素材の混合物、例えば現在好ましいエチルセルロースおよびステアリン酸の混合物を利用してよい。
【0099】
内壁90は、壁20により規定される区画に進入する胃液の通過に対し浸透性でありかつ遅延層30、薬物層40および押層50の出口60に向かう動きを助長する潤滑機能を提供する。内壁90は親水性素材および賦形剤から形成してよい。外壁20は半透性であり、胃液を該区画に進入させるが、しかし該区画中の核を含んでなる素材の通過を予防する。送達可能なシクロベンザプリン製剤は、図3の態様に関して上述されたとおり出口60から放出される。
【0100】
内壁90は、遅延層30および薬物層40の外表面と壁20の内表面との間の摩擦を低下させるように少なくとも薬物層と半透性壁との間に配置される。内壁90は区画からの薬物組成物の放出を促進し、また、とりわけ分配されている薬物組成物のスラリー、懸濁液若しくは溶液がそれが分配される期間に高度に粘性である場合に送達期間の終了時に区画内に残存する残余の薬物組成物の量を低下させる。高い薬物負荷量、すなわち薬物層の総重量に基づき薬物層中の40%若しくはそれ以上の有効成分が存在しかつ内壁が存在しない投薬形態物において、送達期間が完了した後に有意の残余の量の薬物が装置中に残存しうることが観察されている。いくつかの例において、放出速度アッセイで試験した場合に24時間の期間の終了時に20%若しくはそれ以上の量が投薬形態物中に残存しうる。
【0101】
内壁90は、流動促進剤、すなわち外壁20と薬物層40の外表面との間の摩擦力を低下させる剤の内被膜として形成される。内壁90は外壁20と薬物層40の外表面および遅延層30との間の摩擦力を明らかに低下させ、かように該装置からの薬物のより完全な送達を見込む。とりわけ、高費用を有する有効成分の場合、こうした改良は、必要とされる薬物の最少量が送達されることができることを保証するために過剰の薬物を薬物層に負荷する必要がないため、実質的な経済的利点を提示する。内壁90は圧縮核の上に塗布されるコーティングとして形成してよい。
【0102】
内壁90は、典型的には、0.01ないし5mm厚、より典型的には0.5ないし5mm厚であってよく、そしてそれは、ヒドロゲル、ゼラチン、低分子量ポリエチレンオキシド、例えば100,000MW未満、ヒドロキシアルキルセルロース、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシイソプロピルセルロース、ヒドロキシブチルセルロースおよびヒドロキシフェニルセルロース、ならびにヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ならびにそれらの混合物から選択されるメンバーを含んでなる。ヒドロキシアルキルセルロースは9,500ないし1,250,000の数平均分子量を有するポリマーを含んでなる。例えば、80,000と850,000との間の数平均分子量を有するヒドロキシプロピルセルロースが有用である。内壁は、水性溶媒若しくは不活性有機溶媒中の前述の素材の慣習的溶液若しくは懸濁液から製造してよい。内壁に好ましい素材は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン[ポリ(ビニルピロリドン)]、ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物を包含する。有機溶媒、とりわけ1〜8個の炭素原子を有する低級アルカノール、好ましくはエタノールのような有機極性溶媒中で調製したヒドロキシプロピルセルロースおよびポビドンの混合物、水性溶液中で調製したヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースの混合物、ならびに水性溶液中で調製したヒドロキシエチルセルロースおよびポリエチレングリコールの混合物がより好ましい。最も好ましくは、内壁はエタノール中で調製したヒドロキシプロピルセルロースおよびポビドンの混合物を含んでなる。便宜的には、圧縮核に塗布される内壁の重量は、内壁の厚さ、および本明細書に記述されるような放出速度アッセイにおいて投薬形態物中に残存する残余の薬物と相関するとみられる。であるから、製造操作の間に、コーティング操作で取り込まれる内壁の重量を制御することにより内壁の厚さを制御してよい。
【0103】
内壁90がサブコートとして、すなわち薬物層、遅延層および押層の1種若しくは全部を包含する打錠混成品上に被覆することにより形成される場合、該内壁は打錠工程により核上に形成される表面の不規則性を埋めることができる。生じる滑らかな外表面は、薬物の分配の間の被覆された混成品の核と半透性壁との間の滑りを助長して、投与期間の終了時に装置中に残存するより少ない量の残余の薬物組成物をもたらす。内壁90がゲル形成素材から二次加工される場合、使用環境中の水との接触は、外壁20と薬物層40との間の滑りを促進しかつ高めうる粘度を有するゲル若しくはゲル様の内被膜の形成を助長する。
【0104】
出口オリフィスを除いて完成した投薬形態物を提供するのにパンコーティングを便宜的に使用してよい。パンコーティング系において、事情に応じて内壁若しくは外壁のための壁を形成する組成物を、回転パン中での混転を伴う、単一層核について薬物層;二層核について薬物層および押層;若しくは三層核について薬物層、障壁層および押層を含んでなる圧縮された単一、二層若しくは三層の核上への適切な壁組成物の連続的噴霧により分配する。パンコーターは商業的規模でのその利用可能性により使用される。圧縮核を被覆するのに他の技術を使用し得る。一旦被覆されれば、壁を強制空気オーブン若しくは温度および湿度制御オーブン中で乾燥して、製造中に使用した溶媒(1種若しくは複数)を投薬形態物から取り除く。乾燥条件は、利用可能な機器、周囲条件、溶媒、コーティング、コーティング厚などに基づき便宜的に選ぶことができる。
【0105】
他のコーティング技術もまた使用し得る。例えば、投薬形態物の壁(1個若しくは複数)を、空気懸濁処置を使用する1技術で形成しうる。この処置は、壁が核に塗布されるまで、単一、二層若しくは三層核を空気および半透性の壁形成組成物の流れ中で圧縮した懸濁および混転することよりなる。空気懸濁処置は該投薬形態物の壁を独立して形成するのに十分に適する。空気懸濁処置は、米国特許第2,799,241号明細書;J.Am.Pharm.Assoc.Vol.48、pp.451−459(1959);および同書、Vol.49、pp.82−84(1960)に記述されている。該投薬形態物は、例えば、壁形成素材の補助溶媒として塩化メチレンメタノールを使用してウースター[Wurster](R)空気懸濁塗布機を用いてもまた被覆し得る。エアロマティック[Aeromaic](R)空気懸濁塗布機を補助溶媒を使用して使用し得る。
【0106】
本発明の投薬形態物は標準的技術により製造する。例えば、該投薬形態物は湿式造粒技術により製造しうる。湿式造粒技術においては、薬物および担体を、造粒液体として変性無水エタノールのような有機溶媒を使用して配合する。残存する成分を上述された溶媒のような造粒液体の一部分に溶解し得、そしてこの後で調製した湿潤配合物を、配合機中で連続混合を伴い薬物配合物にゆっくりと添加する。湿潤配合物が生じるまで造粒液体を添加し、この湿潤物質配合物にその後、オーブントレイ上の予め規定された篩を通させる。配合物を強制空気オーブン中24℃ないし35℃で18ないし24時間乾燥する。乾燥した顆粒をその後篩過する。次に、ステアリン酸マグネシウム若しくは別の適する滑沢剤を薬物造粒に添加し、そして該造粒を微粉砕容器(milling jar)に入れそしてボールミルで10分間混合する。組成物を例えばマネスティー[Manesty](R)プレス若しくはコルシュ(Korsch)LCTプレスで層に加圧する。二層核については、薬物含有層を加圧し、そして包含される場合は押層組成物の同様に調製した湿潤配合物を薬物含有層に押しつける。三層核の形成の場合には、薬物層組成物、遅延層組成物および押層組成物の顆粒若しくは粉末を、最初の二層のそれぞれに適用されている中間圧縮段階を伴い適切な大きさのダイに連続して入れ、次いで最後の層をダイに添加した後に最後の圧縮段階を行い三層核を形成する。中間圧縮は典型的には約50〜100ニュートンの力下で起こる。最終段階の圧縮は、典型的には3500ニュートン若しくはそれ以上、しばしば3500〜5000ニュートンの力で起こる。単一、二層若しくは三層の圧縮核を、乾式塗布機プレス、例えばキリアン[Kilian](R)乾式塗布機プレスにフィードし、そしてその後上述されたところの壁素材で被覆する。
【0107】
1個若しくはそれ以上の出口オリフィスを投薬形態物の薬物層端に孔あけし、そして、着色(Opadry着色コーティング)であってももしくは透明(例えばOpadry Clear)であってもよい任意の水溶解性保護被膜を投薬形態物に被覆して完成した投薬形態物を提供しうる。
【0108】
別の製造において、薬物および他の成分を含んでなる薬物層を配合しかつ固体層に加圧する。該層は、該層が該投薬形態物中で占有するはずである領域の内的寸法に対応する寸法を有し、そしてそれはまた、包含される場合はそれと接触する配列を形成するための押層に対応する寸法も有する。薬物および他の成分はまた、溶媒と配合しかつボールミル粉砕、圧延、攪拌若しくはロールミル粉砕のような慣習的方法により固体若しくは半固体の形態にも混合し得、そしてその後予め選択した形状に加圧し得る。次に、包含される場合は、浸透ポリマー組成物の層を類似の様式で薬物の層と接触させる。薬物製剤および浸透ポリマー層の積層は慣習的な二層加圧技術により製作し得る。遅延層が存在する三層核の製造には類似の手順に従ってよい。圧縮核をその後、上述されたところの内壁素材および半透性壁素材で被覆してよい。
【0109】
使用し得る別の製造方法は、流動床造粒機で各層の粉末状成分を配合することを含んでなる。粉末状成分を造粒機中で乾式配合した後に、造粒液体、例えば水中のポリ(ビニルピロリドン)を粉末に噴霧する。被覆した粉末をその後造粒機で乾燥する。この工程は、造粒液体を添加する際にその中に存在する全部の成分を造粒する。顆粒を乾燥した後に、ステアリン酸若しくはステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤を配合機、例えばV−ブレンダー若しくはトートブレンダー(tote blender)を使用して造粒に混合する。顆粒をその後上述された様式で加圧する。
【0110】
本発明の投薬形態物は最低1個の出口60を伴い提供される。出口60は該投薬形態物からの薬物の均一な放出のために圧縮核と共同する。該出口は、該投薬形態物の製造の間、若しくは液体の使用環境中での該投薬形態物による薬物送達の間に提供され得る。
【0111】
出口60は、外壁から腐蝕、溶解若しくは滲出されてそれにより出口オリフィスを形成する物質若しくはポリマーから形成されるか若しくは形成可能であるオリフィスを包含しうる。該物質若しくはポリマーは、例えば、半透性壁中の腐食性ポリ(グリコール)酸若しくはポリ(乳)酸;ゼラチン性線維;水で除去可能なポリ(ビニルアルコール);無機および有機塩、酸化物および炭水化物よりなる群から選択される液体の除去可能な孔形成体のような滲出可能な化合物を包含しうる。
【0112】
1個の出口若しくは複数の出口は、ソルビトール、乳糖、果糖、ブドウ糖、マンノース、ガラクトース、タロース、塩化ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウムおよびマンニトールよりなる群から選択されるメンバーを滲出して均一な放出の寸法を定められた孔の出口オリフィスを提供することにより形成し得る。
【0113】
該出口は、該投薬形態物からの薬物の均一な計量された用量の放出のために円形、三角形、正方形、楕円形などのようないかなる形状も有し得る。
【0114】
該投薬形態物は、間隔を空けられた離れた関係の1個若しくはそれ以上の出口、または投薬形態物の1個若しくはそれ以上の表面を伴い構築し得る。
【0115】
半透性壁を通る機械的およびレーザー孔あけを包含する孔あけを使用して出口オリフィスを形成し得る。こうした出口およびこうした出口を形成するための機器は、TheeuwesとHiguchiによる米国特許第3,916,899号明細書およびTheeuwesらによる米国特許第4,088,864号明細書に開示されている。等しい直径の2個の出口を利用することが現在好ましい。
【0116】
本発明の投薬形態物は、本明細書に記述されるもののような標準的な放出速度アッセイで測定されるところの上昇する放出速度で薬物が放出される長時間を包含する連続的な時間にわたって薬物の徐放性を表す。被験体に投与される場合、本発明の投薬形態物は、即時放出投薬形態物で得られる血漿薬物濃度よりも長時間にわたりより少なく変動性である、被験体における実質的に上昇する血漿薬物濃度を提供する。本発明の投薬形態物が継続的に1日1回投与される場合、本発明の投薬形態物は、即時放出のシクロベンザプリン投薬形態物の1日2若しくは3回投与後に生じる定常状態のピーク血漿シクロベンザプリン濃度よりも、用量投与後より後の時点で起こりかつより小さい大きさを表す定常状態のピーク血漿シクロベンザプリン濃度を提供しつつ、治療上有効な上昇する血漿シクロベンザプリン濃度を提供する。
【0117】
被験体への1日1回のシクロベンザプリン投薬形態物の前述の経口投与方法の実施が好ましい。筋痙縮を発現しうるもしくはそのように診断されうる他の疾患状態および状態を本発明のシクロベンザプリン投薬形態物および方法で治療してよい。加えて、うつとともに症状発現することもしないこともあるがしかしシクロベンザプリンでの処置に応答するとみられる他の疾患状態および状態もまた、本発明の投薬形態物および方法で治療してよい。
【0118】
本発明の投薬形態物の好ましい製造方法を一般的に下述する。全部のパーセンテージは別の方法で示されない限り重量である。
【実施例1】
【0119】
0mgの保護被膜、および異なる粘度(84〜158cps)のポリオックス[Polyox](R)を利用する核製剤を有する14mgの核を含むシクロベンザプリン系。
遅延層(56mg)
84.35% ポリオックス[Polyox](R)WSR N−150
10.00% NaCl
5.00% PVP K29−32
0.50% ステアリン酸
0.10% 酸化鉄黒
0.05% BHT
薬物層(93mg)
15.00% 塩酸シクロベンザプリン
79.45% ポリオックス[Polyox](R)WSR N−150
5.00% PVP K29−32
0.50% ステアリン酸
0.05% BHT
押層(168mg)
20.00% 塩化ナトリウム
73.70% ポリエチレンオキシド、NF、7000K、TG
5.00% PVP K29−32
1.00% 酸化鉄、緑 PB−1581
0.25% ステアリン酸
0.05% BHT
即時放出保護被膜を伴わない投薬形態物のこの製剤は、図8および図9に描かれるところの多様なポリマー粘度についての放出速度プロファイルおよび累積放出速度プロファイルをもたらした。
【実施例2】
【0120】
6mgの保護被膜、および109cpsの粘度の核製剤を利用した14mgの核を含む20mgの塩酸シクロベンザプリン系。
遅延層(56mg)
84.35% ポリオックス[Polyox](R)WSR N−150
10.00% NaCl
5.00% PVP K29−32
0.50% ステアリン酸
0.10% 酸化鉄黄
0.05% BHT
薬物層(93mg)
15.00% 塩酸シクロベンザプリン
74.95% ポリオックス[Polyox](R)WSR N−150
5.00% PVP K29−32
0.50% ステアリン酸
0.05% BHT
押層(168mg)
20.00% 塩化ナトリウム
73.70% ポリエチレンオキシド、NF、7000K、TG
5.00% PVP K29−32
1.00% 酸化鉄、緑 PB−1581
0.25% ステアリン酸
0.05% BHT
7/32”LCT、深凹形(Deep Concave)成形型を使用するKorsch多層プレスでの圧縮前に処方を改変した。個々の層を168mg(押層)、93mg(薬物層)および56mg(遅延層)に減少させた。
【0121】
湿式造粒前に、塩(NaCl)および酸化鉄を、20メッシュ篩を使用して篩過した(手により、21メッシュ篩を装備したQuadro Comilで微粉砕を実施した押出造粒を除き)。全部の造粒について、ポビドンの50%を水性溶液(13%wt/wt)として噴霧し、そして残存する50%を粉末としてバッチに負荷した。薬物層は造粒工程の間の喪失を補償するため10%過剰の薬物を使用して造粒した。造粒後、乾燥した物質をGranumill中で7メッシュ篩を通過させた。微粉砕した物質をその後GEMCO配合機中でブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)と10分間およびステアリン酸と3分間配合した。
【0122】
圧縮は多層Korschプレスで実施した。三層の核を24”のハイコーター(Hi−Coater)で膜被覆した。被覆に際して、LCTレーザーを使用して核に45ミルのオリフィス直径まで孔あけした。各オリフィスを遅延層のドームの中央に置いた。最後に、孔あけした系をホットパック[Hotpack]TMオーブン中45℃/45%相対湿度で84時間乾燥し、次いで45℃/環境湿度で3時間乾燥してコーティングから残余のアセトンレベルを低下させた。乾燥した系をその後、24”の水性塗布機(Aqueous Coater)で薬物、色および透明被覆した。
【0123】
即時放出保護被膜を伴う投薬形態物のこの処方は、図10および図11に描かれるところの放出速度プロファイルおよび累積放出速度プロファイルをもたらした。
【0124】
上の実施例1および実施例2双方で概説したとおり、水和した遅延層および水和した薬物層双方が実質的に類似である粘度を有する。これは、遅延層および薬物層双方に同一の若しくは類似の物質を使用して達成される。また、これは、好ましくは、遅延層および薬物層双方に同一の若しくは類似のこの物質の割合を使用して達成される。これらの実施例により、同一等級の物質すなわちポリオックス[Polyox](R)WSR N−150を使用し、また、実質的に類似の割合のポリオックス[Polyox](R)WSR N−150を遅延層および薬物層双方で利用する。例えば、遅延層中の84.35%のポリオックス[Polyox](R)WSR N−150対薬物層中の79.45%のポリオックス[Polyox](R)WSR N−150。本発明の目的上、これは遅延層と薬物層との間の粘度の最小限の差である。
【0125】
加えて、本発明の本態様において、遅延層および薬物層のそれぞれの粘度に最小限の差異が存在する限りは、遅延層および薬物層双方で異なる物質、異なる等級の物質若しくはなお異なる物質割合を使用することもまた許容できる。
【0126】
本発明の代替の一態様において、投薬形態物は、水和した遅延層の粘度と薬物層の粘度との間に顕著な、示差的な若しくは実質的な差異を伴い設計され、ここで水和した遅延層の粘度は薬物層の粘度より小さい。これは、遅延層および薬物層のそれぞれの粘度に、生じる顕著な、示差的な若しくは実質的な差異が存在する限りは、遅延層および薬物層双方に異なる物質、異なる等級の物質、若しくはなお異なる物質割合を使用することにより達成される。
【0127】
本発明の別の態様において、投薬形態物は、水和した遅延層の粘度と薬物層の粘度との間に顕著な、示差的な若しくは実質的な差異を伴い設計され、ここで水和した遅延層の粘度は薬物層の粘度より大きい。これは、遅延層および薬物層のそれぞれの粘度に、生じる顕著な、示差的な若しくは実質的な差異が存在する限りは、遅延層および薬物層双方に異なる物質、異なる等級の物質、若しくはなお異なる物質割合を使用することにより達成される。
【0128】
従って、本発明により、遅延層および薬物層の相対粘度は、より高いか、より低いか、若しくは同一または実質的に類似であるかのいずれかである。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】任意の外的薬物保護被膜および透明被膜をもつ内側の潤滑壁を具体的に説明する、被験体への投与前の本発明の2個のオリフィスのカプセル形状の錠剤の態様を具体的に説明する。
【図2】任意の内側の潤滑壁を具体的に説明する、被験体への投与前の本発明の標準的な両凸形状の錠剤の態様を具体的に説明する。
【図3】任意の内側の潤滑壁および障壁層を使用する、被験体への投与前の本発明の単一オリフィスのカプセル形状の錠剤の態様を具体的に説明する。
【図4】22.5mgのシクロベンザプリン系についての任意の薬物保護被膜および上昇する送達速度を利用するモデル放出速度プロファイルを具体的に説明する。
【図5】モデル送達プロファイル由来の予測される血漿濃度時間プロファイルを具体的に説明する。図5はまた、1日3回(tid)投与される5および10mgの即時放出投薬形態物についての予測される血漿濃度プロファイルを示す。本発明は、5mg tidからのピーク濃度に全般として匹敵するがしかし10g tidからの谷濃度より下の血漿濃度を維持する。
【図6】本発明の必要条件であるシクロベンザプリンの結腸吸収を具体的に説明する。
【図7】第2日のより高いAUC値にもかかわらず検出の速度のAUCが第1日に比較してより低く、耐性の発生を示唆することを示すことにより、本発明の鎮静効果を具体的に説明する。
【図8】図1に具体的に説明される一般的特徴を有するがしかしある範囲の核粘度について薬物保護被膜を伴わない代表的投薬形態物からの有効成分シクロベンザプリンの放出プロファイル(時間の関数としての放出速度)を具体的に説明する。
【図9】図1に具体的に説明される一般的特徴を有するがしかしある範囲の核粘度についてp薬物保護被膜を伴わない代表的投薬形態物からの有効成分シクロベンザプリンの長時間にわたるシクロベンザプリンの累積放出を具体的に説明する。
【図10】薬物保護被膜および109cpsの核粘度を伴う、図1に具体的に説明される一般的特徴を有する代表的投薬形態物からの有効成分シクロベンザプリンの放出速度プロファイル(時間の関数としての放出速度)を具体的に説明する。
【図11】薬物保護被膜および109cpsの核粘度を伴う、図1に具体的に説明される一般的特徴を有する代表的投薬形態物からの有効成分シクロベンザプリンの長時間にわたるシクロベンザプリンの累積放出を具体的に説明する。
【図12】遅延層の粘度が稼働の間に薬物層の粘度より高いおよびより低い場合の平均放出速度を具体的に説明する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)内部区画を規定する内壁;
(b)その中に薬物を有する薬物層を含んでなる内部区画内の核;
(c)内壁および核の少なくとも一部分の周囲の外壁(該外壁および該内壁はそれを通る最低1個の出口を有しかつ核と連絡する)
を含んでなり;
(d)投与後約4時間該最低1個の出口を通って薬物が送達されない遅延期間および該遅延期間後約16時間薬物が該最低1個の出口を通って制御された様式で送達される送達期間を有する、
患者への薬物の送達のための投薬形態物。
【請求項2】
該薬物が三環性アミンである、請求項1に記載の投薬形態物。
【請求項3】
該三環性アミンがシクロベンザプリンである、請求項2に記載の投薬形態物。
【請求項4】
該三環性アミンがアミトリプチリンである、請求項2に記載の投薬形態物。
【請求項5】
該三環性アミンがイミプラミンである、請求項2に記載の投薬形態物。
【請求項6】
該三環性アミンがデシプラミンである、請求項2に記載の投薬形態物。
【請求項7】
該最低1個の出口と該薬物層との間に遅延層をさらに含んでなる、請求項1に記載の投薬形態物。
【請求項8】
該遅延層が、該薬物層の粘度より高い粘度を有する、請求項7に記載の投薬形態物。
【請求項9】
該遅延層が、該薬物層の粘度より低い粘度を有する、請求項7に記載の投薬形態物。
【請求項10】
該遅延層が、該薬物層の粘度に実質的に類似である粘度を有する、請求項7に記載の投薬形態物。
【請求項11】
該薬物層が約70cpsから約350cpsまでの範囲にわたる粘度を有する、請求項7に記載の投薬形態物。
【請求項12】
該薬物層が約84cpsから約109cpsまでの範囲にわたる粘度を有する、請求項11に記載の投薬形態物。
【請求項13】
該薬物層が約1mgから約100mgまでの範囲にわたる薬物の量を有する、請求項7に記載の投薬形態物。
【請求項14】
該薬物層が約10mgから約40mgまでの範囲にわたる薬物の量を有する、請求項13に記載の投薬形態物。
【請求項15】
該薬物層に隣接する膨張可能な層をさらに含んでなる、請求項7に記載の投薬形態物。
【請求項16】
該薬物層と該膨張可能な層との間に障壁層をさらに含んでなる、請求項15に記載の投薬形態物。
【請求項17】
該外壁が半透性である、請求項7に記載の投薬形態物。
【請求項18】
(a)その中に薬物を有する薬物層を含んでなる投薬形態物を提供する段階;
(b)該投薬形態物を患者に投与する段階;
(c)該投薬形態物を投与してから3時間までの間に血漿中で薬物が検出可能でなく、かつ、該投薬形態物を投与してから3ないし4時間以内におよそ6ng/mlないし8ng/mlの薬物が血漿中で検出可能であり、かつ、該投薬形態物を投与した後約18時間から約20時間までにおよそ8ng/mlないし12ng/mlの薬物が血漿中で検出可能であるような投薬形態物から薬物を送達する段階
を含んでなる、患者におけるある薬物の血漿濃度レベルの達成方法。
【請求項19】
(a)その中に三環性アミンを有する薬物層を含んでなる投薬形態物を提供する段階;
(b)該投薬形態物を患者に投与する段階;
(c)該投薬形態物を投与してから3時間までの間に血漿中で三環性アミンが検出可能でなく、かつ、該投薬形態物を投与してから3ないし4時間以内におよそ6ng/mlないし8ng/mlの三環性アミンが血漿中で検出可能であり、かつ、該投薬形態物を投与した後約18時間から約20時間までにおよそ8ng/mlないし12ng/mlの三環性アミンが血漿中で検出可能であるような投薬形態物から患者に三環性アミンを送達する段階
を含んでなる、患者における三環性アミンの血漿濃度レベルの達成方法。
【請求項20】
(a)その中に薬物を有する薬物層を含んでなる投薬形態物を提供する段階;
(b)該投薬形態物を患者に投与する段階;
(c)該投薬形態物を投与してから3時間までの間に血漿中で薬物が検出可能でなく、かつ、該投薬形態物を投与してから3ないし4時間以内におよそ6.5ng/mlないし6.9ng/mlの薬物が血漿中で検出可能であり、かつ、該投薬形態物を投与した後約18時間から約20時間までにおよそ9.7ng/mlないし10.2ng/mlの薬物が血漿中で検出可能であるような投薬形態物から薬物を送達する段階
を含んでなる、患者におけるある薬物の血漿濃度レベルの達成方法。
【請求項21】
(a)その中に三環性アミンを有する薬物層を含んでなる投薬形態物を提供する段階;
(b)該投薬形態物を患者に投与する段階;
(c)該投薬形態物を投与してから3時間までの間に血漿中で三環性アミンが検出可能でなく、かつ、該投薬形態物を投与してから3ないし4時間以内におよそ65ng/mlないし6.9ng/mlの三環性アミンが血漿中で検出可能であり、かつ、該投薬形態物を投与した後約18時間から約20時間までにおよそ9.7ng/mlないし10.2ng/mlの三環性アミンが血漿中で検出可能であるような投薬形態物から患者に三環性アミンを送達する段階
を含んでなる、患者における三環性アミンの血漿濃度レベルの達成方法。
【請求項22】
(a)三環性アミンを含んでなる投薬形態物を提供する段階;
(b)該投薬形態物を患者に投与する段階;
(c)該投薬形態物を投与した後約16時間から約18時間までの間に約7ng/mlから約11ng/mlまでの範囲にわたる三環性アミンの調節された実質的に上昇する血漿濃度が達成されるような投薬形態物から患者に三環性アミンを送達する段階
を含んでなる、患者における状態の治療方法。
【請求項23】
約16時間より長い時点でCmaxを達成することをさらに含んでなる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
約20時間より長い時点でCmaxを達成することをさらに含んでなる、請求項22に記載の方法。
【請求項1】
(a)内部区画を規定する内壁;
(b)その中に薬物を有する薬物層を含んでなる内部区画内の核;
(c)内壁および核の少なくとも一部分の周囲の外壁(該外壁および該内壁はそれを通る最低1個の出口を有しかつ核と連絡する)
を含んでなり;
(d)投与後約4時間該最低1個の出口を通って薬物が送達されない遅延期間および該遅延期間後約16時間薬物が該最低1個の出口を通って制御された様式で送達される送達期間を有する、
患者への薬物の送達のための投薬形態物。
【請求項2】
該薬物が三環性アミンである、請求項1に記載の投薬形態物。
【請求項3】
該三環性アミンがシクロベンザプリンである、請求項2に記載の投薬形態物。
【請求項4】
該三環性アミンがアミトリプチリンである、請求項2に記載の投薬形態物。
【請求項5】
該三環性アミンがイミプラミンである、請求項2に記載の投薬形態物。
【請求項6】
該三環性アミンがデシプラミンである、請求項2に記載の投薬形態物。
【請求項7】
該最低1個の出口と該薬物層との間に遅延層をさらに含んでなる、請求項1に記載の投薬形態物。
【請求項8】
該遅延層が、該薬物層の粘度より高い粘度を有する、請求項7に記載の投薬形態物。
【請求項9】
該遅延層が、該薬物層の粘度より低い粘度を有する、請求項7に記載の投薬形態物。
【請求項10】
該遅延層が、該薬物層の粘度に実質的に類似である粘度を有する、請求項7に記載の投薬形態物。
【請求項11】
該薬物層が約70cpsから約350cpsまでの範囲にわたる粘度を有する、請求項7に記載の投薬形態物。
【請求項12】
該薬物層が約84cpsから約109cpsまでの範囲にわたる粘度を有する、請求項11に記載の投薬形態物。
【請求項13】
該薬物層が約1mgから約100mgまでの範囲にわたる薬物の量を有する、請求項7に記載の投薬形態物。
【請求項14】
該薬物層が約10mgから約40mgまでの範囲にわたる薬物の量を有する、請求項13に記載の投薬形態物。
【請求項15】
該薬物層に隣接する膨張可能な層をさらに含んでなる、請求項7に記載の投薬形態物。
【請求項16】
該薬物層と該膨張可能な層との間に障壁層をさらに含んでなる、請求項15に記載の投薬形態物。
【請求項17】
該外壁が半透性である、請求項7に記載の投薬形態物。
【請求項18】
(a)その中に薬物を有する薬物層を含んでなる投薬形態物を提供する段階;
(b)該投薬形態物を患者に投与する段階;
(c)該投薬形態物を投与してから3時間までの間に血漿中で薬物が検出可能でなく、かつ、該投薬形態物を投与してから3ないし4時間以内におよそ6ng/mlないし8ng/mlの薬物が血漿中で検出可能であり、かつ、該投薬形態物を投与した後約18時間から約20時間までにおよそ8ng/mlないし12ng/mlの薬物が血漿中で検出可能であるような投薬形態物から薬物を送達する段階
を含んでなる、患者におけるある薬物の血漿濃度レベルの達成方法。
【請求項19】
(a)その中に三環性アミンを有する薬物層を含んでなる投薬形態物を提供する段階;
(b)該投薬形態物を患者に投与する段階;
(c)該投薬形態物を投与してから3時間までの間に血漿中で三環性アミンが検出可能でなく、かつ、該投薬形態物を投与してから3ないし4時間以内におよそ6ng/mlないし8ng/mlの三環性アミンが血漿中で検出可能であり、かつ、該投薬形態物を投与した後約18時間から約20時間までにおよそ8ng/mlないし12ng/mlの三環性アミンが血漿中で検出可能であるような投薬形態物から患者に三環性アミンを送達する段階
を含んでなる、患者における三環性アミンの血漿濃度レベルの達成方法。
【請求項20】
(a)その中に薬物を有する薬物層を含んでなる投薬形態物を提供する段階;
(b)該投薬形態物を患者に投与する段階;
(c)該投薬形態物を投与してから3時間までの間に血漿中で薬物が検出可能でなく、かつ、該投薬形態物を投与してから3ないし4時間以内におよそ6.5ng/mlないし6.9ng/mlの薬物が血漿中で検出可能であり、かつ、該投薬形態物を投与した後約18時間から約20時間までにおよそ9.7ng/mlないし10.2ng/mlの薬物が血漿中で検出可能であるような投薬形態物から薬物を送達する段階
を含んでなる、患者におけるある薬物の血漿濃度レベルの達成方法。
【請求項21】
(a)その中に三環性アミンを有する薬物層を含んでなる投薬形態物を提供する段階;
(b)該投薬形態物を患者に投与する段階;
(c)該投薬形態物を投与してから3時間までの間に血漿中で三環性アミンが検出可能でなく、かつ、該投薬形態物を投与してから3ないし4時間以内におよそ65ng/mlないし6.9ng/mlの三環性アミンが血漿中で検出可能であり、かつ、該投薬形態物を投与した後約18時間から約20時間までにおよそ9.7ng/mlないし10.2ng/mlの三環性アミンが血漿中で検出可能であるような投薬形態物から患者に三環性アミンを送達する段階
を含んでなる、患者における三環性アミンの血漿濃度レベルの達成方法。
【請求項22】
(a)三環性アミンを含んでなる投薬形態物を提供する段階;
(b)該投薬形態物を患者に投与する段階;
(c)該投薬形態物を投与した後約16時間から約18時間までの間に約7ng/mlから約11ng/mlまでの範囲にわたる三環性アミンの調節された実質的に上昇する血漿濃度が達成されるような投薬形態物から患者に三環性アミンを送達する段階
を含んでなる、患者における状態の治療方法。
【請求項23】
約16時間より長い時点でCmaxを達成することをさらに含んでなる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
約20時間より長い時点でCmaxを達成することをさらに含んでなる、請求項22に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2006−522016(P2006−522016A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500882(P2006−500882)
【出願日】平成16年1月9日(2004.1.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/000531
【国際公開番号】WO2004/064772
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年1月9日(2004.1.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/000531
【国際公開番号】WO2004/064772
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】
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