改変された糖タンパク質を生成するための方法

【課題】動物細胞(特に、ヒト細胞)により産生される糖タンパク質と同様のグリコシル化タンパク質(糖タンパク質)を産生させる方法および組成物の提供。
【解決手段】単細胞および多細胞の真菌を含む、N−グリカン含有の高マンノースを通常生成する下等真核生物は、ManGlcAcのようなN−グリカンまたはヒトグリコシル化経路に沿った他の構造を生成するために改変される。真菌糖タンパク質の所望でない複合体構造の特徴を生成する特定の酵素を発現しない系統、活性が所望される場合に真菌中に存在する条件下で最適な活性を有するかまたは最適な活性が達成される場合に細胞小器官を標的化するかであるように選択される外因性酵素を発現する系統。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願の相互参照)
米国仮出願第60/214,358号(2000年6月28日出願)、同第6
0/215,638号(2000年6月30日出願)、および同第60/279
,997号(2001年3月30日出願)の優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、真菌または他の真核微生物を遺伝的に改変し、動物細胞(特に、ヒ
ト細胞)により産生される糖タンパク質と同様のグリコシル化パターンを有する
、ヒトまたは動物の治療剤として有用なグリコシル化タンパク質(糖タンパク質
)を産生させる方法および組成物に関する。
【0003】
(発明の背景)
(グリコシル化経路)
デノボ合成されたタンパク質は、翻訳後修飾として公知の、細胞中でさらなる
プロセシングを受け得る。特に、糖残基が酵素的に付加され得る。このプロセス
はグリコシル化として公知である。共有結合したオリゴ糖側鎖を有する得られる
タンパク質は、グリコシル化タンパク質または糖タンパク質として公知である。
細菌は、代表的に、タンパク質をグルコシル化せず;グリコシル化が生じる場合
、それは、通常、タンパク質の非特異的な部位で生じる(MoensおよびVa
nderleyden、Arch.Microbiol.1997 168(3
):169−175)。
【0004】
真核生物は、一般的に、タンパク質のアスパラギン残基(特に、配列Asn−
Xaa−Ser/Thr/Cys(ここで、Xaaは、任意のアミノ酸を示す)
に存在するアスパラギン)の側鎖に特定のオリゴ糖を結合する。糖部分(N−グ
リカンとして公知である)の結合後、インビボでさらなる修飾がなされ得る。代
表的に、これらの修飾は、カスケードとして公知の、酵素反応の順序付けられた
系列を通じて生じる。異なる生物は、異なるグリコシル化酵素(グリコシルトラ
ンスフェラーゼおよびグリコシダーゼ)および異なるグリコシル基質を提供し、
その結果、糖側鎖の最終的な組成は、宿主に依存して顕著に変化し得る。
【0005】
例えば、糸状真菌および酵母(下等真核生物)のような微生物は、代表的に、
付加的なマンノースおよび/またはマンノシルリン酸糖を付加する。得られるグ
リカンは、「高マンノース」型またはマンナンとして公知である。対照的に、動
物細胞では、新生のオリゴ糖側鎖が切り詰められて、いくつかのマンノース残基
を除去し、そして下等真核生物のN−グリカンにおいて代表的には生じないさら
なる糖残基により伸長され得る。例えば、R.K.Bretthauerら、B
iotechnology and Applied Biochemistr
y、1999、30、193−200;W.Martinetら、Biotec
hnology Letters、1998、20、1171−1177;S.
Weikertら、Nature Biotechnology、1999、1
7、1116−1121;M.Malissardら、Biochemical
and Biophysical Research Communicat
ions、2000、267、169−173;Jarvisら、1998、E
ngineering N−glycosylation pathways
in the baculovirus−insect cell syste
m、Current Opinion in Biotechnology、9
:528−533;およびM.Takeuchi、1997、Trends i
n Glycoscience and Glycotechnology、1
997、9、S29−S35、を参照のこと。
【0006】
ヒトおよび動物において産生されるN−グリカンは、一般的に、複合N−グリ
カンと呼ばれる。複合N−グリカンは、代表的に、内部コア構造ManGlc
NAcに連結されたシアリルラクトサミン配列を有する2〜6つの外側分枝を
有する構造を意味する。複合N−グリカンは、以下のようなオリゴ糖が終端とG
lcNAc残基とガラクトース(Gal)残基とが交互に並ぶ少なくとも1つ(
好ましくは少なくとも2つ)の分枝を有する:例えば、NeuNAc−;Neu
Acα2−6GalNAcα1−;NeuAcα2−3Galβ1−3GalN
Acα1−;NeuAcα2−3/6Galβ1−4GlcNAcβ1−;Gl
cNAcα1−4Galβ1−(ムチンのみ);Fucα1−2Galβ1−(
血液型H群)。硫酸エステルは、ガラクトース、GalNAc、およびGlcN
Ac残基上に生じ得、そしてリン酸エステルは、マンノース残基上に生じ得る。
NeuAc(Neu:ノイラミン酸;Ac:アセチル)は、O−アセチル化され
得るか、またはNeuGl(N−グルコシルノイラミン酸)により置換され得る
。複合N−グリカンはまた、GlcNAcおよびコアフコース(Fuc)を二等
分する鎖内置換を有し得る。
【0007】
ヒトのグリコシル化は、小胞体(ER)において連続する一式の反応により開
始し、コアオリゴ糖構造を生じ、配列Asn−Xaa−Ser/Thr中のアス
パラギン残基でデノボ合成されたタンパク質上に移される(図1Aを参照のこと
)。グルコシダーゼおよびマンノシダーゼによるさらなるプロセシングがERに
おいて生じ、その後、未完成の糖タンパク質が初期ゴルジ装置に移され、そこで
、さらなるマンノース残基が、ゴルジ特異的1,2−マンノシダーゼにより除去
される。プロセシングは、タンパク質がゴルジを通って出て行くまで続く。中間
ゴルジにおいて、多くの修飾酵素(N−アセチルグルコサミントランスフェラー
ゼ(GnT I、GnT II、GnT III、GnT IV、GnT V、
GnT VI)、マンノシダーゼII、フコシルトランスフェラーゼを含む)が
、特定の糖残基を付加および除去する(図1Bを参照のこと)。最終的にトラン
スゴルジにおいて、N−グリカンは、ガラクトシルトランスフェラーゼおよびシ
アリルトランスフェラーゼ(ST)による作用を受け、完成した糖タンパク質は
、ゴルジ装置から放出される。動物糖タンパク質のタンパク質N−グリカンは、
二触角、三触角、または四触角構造を有し、そして代表的にガラクトース、フコ
ース、およびN−アセチルグルコサミンを含み得る。一般的に、N−グリカンの
末端残基は、シアル酸からなる。ヒトN−グリカンの代表的な構造を、図1Bに
示す。
【0008】
(糖ヌクレオチド前駆体)
動物糖タンパク質のN−グリカンは、代表的に、ガラクトース、フコース、お
よび末端シアル酸を含む。これらの糖は、一般的に、酵母および糸状真菌におい
て産生される糖タンパク質には見出されない。ヒトにおいては、ヌクレオチド糖
前駆体(例えば、UDP−N−アセチルグルコサミン、UDP−N−アセチルガ
ラクトサミン、CMP−N−アセチルノイラミン酸、UDP−ガラクトース、G
DP−フコースなど)の全範囲が、一般的に、サイトゾルにおいて合成され、そ
してゴルジに輸送され、そこで、これらはグリコシルトランスフェラーゼにより
コアオリゴ糖に取り付けられる(SommersおよびHirschberg、
1981 J.Cell Biol.91(2):A406−A406;Som
mersおよびHirschberg 1982 J.Biol.Chem.2
57(18):811−817;PerezおよびHirschberg 19
87 Methods in Enzymolozy 138:709−715
)。
【0009】
グリコシル転移反応は、代表的に、副産物(ヌクレオシド二リン酸または一リ
ン酸)を生成する。一リン酸は、交互輸送機構によりヌクレオシド三リン酸糖と
交換に直接的に搬出され得、ジホスホヌクレオシド(例えば、GDP)は、排出
される前にヌクレオシド一リン酸および無機リン酸塩を生じるように、ホスファ
ターゼ(例えば、GDPase)により切断される必要がある。この反応は、効
果的なグリコシル化のために重要である:例えば、S.cerevisiae由
来のGDPaseは、マンノシル化に必須であることが見出された。しかし、G
DPaseは、UDPに対して90%減少した活性を有する(Berninso
neら、1994 J.Biol.Chem.269(1):207−211α
)。下等真核生物は、代表的に、ゴルジにおいてUDP特異的ジホスファターゼ
活性を欠く。なぜならそれらは、ゴルジに基づく糖タンパク質合成のためにUD
P−糖前駆体を使用しないからである。(UDP−ガラクトースから)細胞壁多
糖にガラクトース残基を付加することが見出された酵母、Schizosacc
haromyces pombeは、特異的なUDPase活性を有することが
見出されており、このことは、このような酵素についての必要条件を示唆する(
Berninsoneら、1994)。UDPは、グリコシルトランスフェラー
ゼの強力なインヒビターであることが公知であり、そしてこのグリコシル化副産
物の除去は、ゴルジの内腔におけるグリコシルトランスフェラーゼの阻害を防止
するために重要であることが示唆される(Khataraら、1974)。Be
rninsone、P.ら、1995.J.Biol.Chem.270(24
):14564−14567;Beaudet、L.ら、1998 Abc T
ransporters:Biochemical、Cellular、and
Molecular Aspects.292:397−413を参照のこと

【0010】
(グリコシル化酵素の区画化)
グリコシルトランスフェラーゼおよびマンノシダーゼは、ERおよびゴルジ装
置の内部(内腔)表面に並び、それによって、ERおよびゴルジ網を通して進行
するにつれて糖タンパク質の連続的なプロセシングを可能にする触媒表面を提供
する。シス、中間部、トランスゴルジの複数の区画ならびにトランスゴルジ網(
TGN)は、種々の場を提供し、その場において、順序付けられた系列のグリコ
シル化反応が起こり得る。糖タンパク質は、ERにおける合成から後期ゴルジま
たはTGNにおける完全な成熟化に進行するにつれて、種々のグリコシダーゼ、
マンノシダーゼ、およびグリコシルトランスフェラーゼに順次曝され、それによ
って特異的なN−グリカン構造が合成され得る。この酵素は、代表的に、触媒ド
メイン、幹領域、膜貫通領域、およびN末端の細胞質テールを含む。後者の3つ
の構造的要素は、グリコシル化酵素を適切な位置に向かわせる役割を担う。
【0011】
ある生物由来の局在系列は、他の生物において機能し得る。例えば、ラット由
来のα−2,6−シアリルトランスフェラーゼ(α−2,6−ST)(ラットト
ランスゴルジに局在することが公知の酵素)の膜貫通領域は、酵母ゴルジにおい
てレポーター遺伝子(インベルターゼ)もまた局在することが示された(Sch
wientekら、1995)。しかし、全長のα−2,6−シアリルトランス
フェラーゼの一部とまさに同一の膜貫通領域が、ERにおいて保持され、そして
酵母のゴルジにさらに輸送されなかった(Krezdornら、1994)。ヒ
ト由来の全長GalTは、明らかに高い転写レベルにも関わらず、酵母において
合成すらされなかった。他方、インベルターゼレポーターに融合された同一のヒ
トGalTの膜貫通領域は、低い産生レベルにも関わらず、酵母ゴルジへの局在
化を指示し得た。Schwientekおよびその共同研究者は、酵母マンノシ
ルトランスフェラーゼ(Mntl)の28アミノ酸、N末端細胞質テールを含む
領域、膜貫通領域、および幹領域の8アミノ酸の、ヒトGalTの触媒ドメイン
への融合が、活性なGalTのゴルジ局在化のために十分であることを示した(
Schwientekら、1995、J.Biol.Chem.270(10)
:5483−5489)。他のガラクトシルトランスフェラーゼは、特定のオル
ガネラに位置する酵素との相互作用に依存するようである。なぜなら、それらの
膜貫通領域の除去後、それらは、なお適切に局在し得るからである。
【0012】
グリコシル化酵素の不適切な局在化は、その経路におけるその酵素の適切な機
能作用を妨げ得る。例えば、多くのα−1,2−マンノシダーゼを有するAsp
ergillus nidulans(EadesおよびHintz、2000
Gene 255(1):25−34)は、GnTI活性の高い全体的なレベ
ルにも関わらず、ウサギGnTI遺伝子を用いて形質転換された場合、Man
GlcNAcにGlcNAcを付加しない(Kalsnerら、1995)。
GnTIが、活発には発現されないが、不正確に局在化されて、その結果、この
酵素は、両方の基質:糖タンパク質の未完成のN−グリカンおよびUDP−Gl
cNAc、と接触しないものであり得る。あるいは、この宿主生物が、ゴルジに
おいて十分なレベルのUDP−GlcNAcを提供しないものであり得る。
【0013】
(治療的に使用される糖タンパク質)
ヒトまたは他の動物から単離されるタンパク質の有意な画分がグリコシル化さ
れる。治療的に使用されるタンパク質の中で、約70%がグリコシル化される。
しかし、治療タンパク質が微生物宿主(例えば、酵母)で生成され、そして内因
性経路を用いてグリコシル化される場合、代表的には、その治療効率が大きく減
少する。このような糖タンパク質は、代表的には、ヒトにおいて免疫原性であり
、そして投与後にインビボで減少した半減期を示す(Takeuchi、199
7)。
【0014】
ヒトおよび動物における特異的レセプターは、末端マンノース残基を認識し得
、そして血流からのタンパク質の迅速なクリアランスを促進し得る。さらなる副
作用としては、タンパク質のフォールディング、可溶性、プロテアーゼに対する
感受性、輸送(trafficking)、輸送(transport)、区画
化、分泌、他のタンパク質または因子による認識、抗原性、またはアレルゲン性
における変化が挙げられ得る。従って、動物宿主系において治療糖タンパク質を
生成して、糖グリコシル化のパターンが、ヒトまたは意図されたレシピエント種
におけるパターンと同一であるか、または少なくとも類似するようにすることが
必要である。ほとんどの場合、哺乳動物宿主系(例えば、哺乳動物細胞培養物)
が使用される。
【0015】
(治療糖タンパク質を生成するためのシステム)
適切な糖形態を有し、そして満足な治療効果を有する治療タンパク質を生成す
るために、動物または植物に基づく発現系が使用されている。利用可能なシステ
ムとしては、以下が挙げられる:
1.チャイニースハムスター卵巣細胞(CHO)、マウス線維芽細胞およびマ
ウス骨肉腫細胞(Arzneimittelforschung.1998 A
ug;48(8):870−880);
2.トランスジェニック動物(例えば、ヤギ、ヒツジ、マウスなど(Dent
e Prog.Clin.Biol.1989 Res.300:85−98、
Rutherら、1988 Cell 53(6):847−856;Ware
、J.ら、1993 Thrombosis and Haemostasis
69(6):1194−1194;Cole,E.S.ら、1994 J.C
ell.Biochem.265−265);
3.植物(Arabidopsis thaliana、タバコなど)(St
aubら、2000、Nature Biotechnology 18(3)
:333−338)(McGarvey、P.B.ら、1995 Bio−Te
chnology 13(13):1484−1487;Bardor、M.ら
、1999 Trends in Plant Science 4(9):3
76−380);
4.昆虫細胞(組換えバキュロウイルス(例えば、鱗翅類細胞に感染するAu
tographa californica多発性核多角体病ウイルス)と組み
合わせたSpodoptera frugiperda Sf9、Sf21、T
richoplusia niなど)(Altmansら、1999 Glyc
oconj.J.16(2):109−123)。
【0016】
上記宿主系において発現された組換えヒトタンパク質は、なお、非ヒト糖形態
を含み得る(Rajuら、2000 Annals Biochem.283(
2):123−132)。特に、N−グリカンの画分は、ヒト糖タンパク質にお
いて代表的に見出される末端シアル酸を欠き得る。実質的な試みは、構成がヒト
形態に対してできるだけ近いように、または他の治療的利点を有するように糖タ
ンパク質を得るプロセスを開発することに関する。特定の糖形態を有する糖タン
パク質が、例えば、治療タンパク質の標的化において特に有用であり得る。例え
ば、グリカン側鎖への1つ以上のシアル酸残基の付加は、投与後のインビボでの
治療糖タンパク質の寿命を増大させ得る。従って、哺乳動物宿主細胞は、細胞に
おいて発現される糖タンパク質における末端シアル酸の程度を増大するように遺
伝的に操作され得る。あるいは、シアル酸が、シアル酸トランスフェラーゼおよ
び適切な基質を用いて、投与前にインビトロで目的のタンパク質に結合体化され
得る。さらに、増殖培地組成の変更およびヒトグリコシル化に関与する酵素の発
現が、ヒト形態により密に似る糖タンパク質を生成するために用いられてきた(
S.Weikertら、Nature Biotechnology、1999
、17、1116−1121;Werner,Noeら、1998 Arzne
imittelforschung、48(8):870−880;Weike
rt、Paracら、1999:AndersenおよびGoochee 19
94 Cur.Opin.Biotechnol.5:546−549;Yan
gおよびButler 2000 Biotechnol.Bioengin.
68(4):370−380)。あるいは、培養ヒト細胞が使用され得る。
【0017】
しかし、既存のシステムの全てが、顕著な欠点を有する。特定の治療タンパク
質のみが動物または植物系における発現のために適切である(例えば、任意の細
胞傷害性効果または増殖に対して有害な他の効果のないもの)。動物および植物
細胞培養系は、通常、非常に遅く、しばしば、目的のタンパク質の任意の有用な
量を生成するために、注意深く制御された条件下で1週間にわたる増殖を必要と
する。それにもかかわらず、タンパク質収量は、微生物発酵プロセス由来の収量
と不利に比較される。さらに、細胞培養系は、代表的には、複雑でかつ高価な栄
養素および補因子(例えば、ウシ胎仔血清)を必要とする。さらに、増殖は、プ
ログラムされた細胞死(アポトーシス)によって制限され得る。
【0018】
さらに、動物細胞(特に、哺乳動物細胞)はウイルス感染または汚染に非常に
感受性である。いくつかの場合、ウイルスまたは他の感染因子は、培養物の増殖
を補償し得るが、他の場合では、因子は、治療タンパク質産物をその意図された
用途に値しないものとするヒト病原体であり得る。さらに、多くの細胞培養プロ
セスは、複雑で温度感受性の動物由来の増殖培地成分の使用を必要とし、これら
は、病原体(例えば、ウシの海綿状脳症(BSE)プリオン)を保持し得る。こ
のような病原体は、検出するのが困難であり、かつ/または増殖培地を補償する
ことなく除去または滅菌することが困難である。任意の場合において、治療タン
パク質を生成するための動物細胞の使用は、産物が安全であることを保証するた
めに高価な質の制御を必要とする。
【0019】
トランスジェニック動物はまた、高い容量の治療タンパク質(例えば、ヒト血
清アルブミン、組織プラスミノゲン活性化因子、モノクローナル抗体、ヘモグロ
ビン、コラーゲン、フィブリノーゲンなど)を製造するために使用され得る。ト
ランスジェニックヤギおよび他のトランスジェニック動物(マウス、ヒツジ、雌
牛など)は乳汁において高濃度で治療タンパク質を生成するために遺伝的に操作
され得るが、このプロセスは、バッチ毎に厳密な質の制御を受けなければならな
いので高価である。動物は、種々の動物またはヒト病原体(細菌、ウイルス、真
菌、およびプリオンを含む)を寄生させ得る。スクラピーおよびウシの海綿状脳
症の場合、試験は、感染を除外するために約1年を費やし得る。従って、治療化
合物の生成は、好ましくは、十分に制御された滅菌環境(例えば、医薬品の製造
管理および品質管理に関する基準(Good Manufactureing
Practice)(GMP)条件下)において実施される。しかし、このよう
な環境において動物を維持することは、一般に容易ではない。さらに、発酵槽に
おいて増殖した細胞は、1つの十分に特徴付けられたMaster Cell
Bank(MCB)に由来するが、トランスジェニック動物技術は、異なる動物
に依存し、そして従って、本質的に不均一である。さらに、外因性因子(例えば
、異なる食物摂取、疾患、および群内での均一性の欠如)が最終産物のグリコシ
ル化パターンをもたらし得る。例えば、ヒトにおいては、異なる食事習慣が異な
るグリコシル化パターンを生じることが知られている。
【0020】
トランスジェニック植物が、治療的に価値のあるタンパク質を得るための潜在
的な供給源として開発されている。しかし、植物における高レベルのタンパク質
発現は、遺伝子サイレンシング(高度に発現されるタンパク質の遺伝子が続く植
物世代においてダウンレギュレートされる機構)を受ける。さらに、植物は、キ
シロースおよび/またはα−1,3結合フコースをタンパク質N−グリカンに付
加し、動物と構造が異なり、哺乳動物において免疫原性である糖タンパク質を生
じる(Altmann,Marzら、1995 Glycoconj.J.12
(2);150−155)。さらに、滅菌またはGMP環境において植物を生育
させることは一般に実際的でなく、そして植物組織からのタンパク質の回収は、
発酵微生物からの回収よりも高価である。
【0021】
(真核微生物を用いる糖タンパク質生成)
従って、適切な発現系がないことは、組換えヒト糖タンパク質の低コストでか
つ安全な生成のための大きな障害である。微生物の発酵を介する糖タンパク質の
生成は、既存の系に比較して多数の利点を与える。例えば、発酵に基づくプロセ
スは、以下を与え得る:(a)高濃度のタンパク質を迅速に生成する;(b)滅
菌された十分に制御された生成条件(例えば、GMP条件)を使用することがで
きる;(c)簡易な化学的に規定された増殖培地を使用することができる;(d
)遺伝子操作が容易である;(e)ヒトまたは動物の病原体の汚染がない;(f
)広範に種々のタンパク質(毒性などに起因して細胞培養ではあまり発現されな
いタンパク質を含む)を発現できる;(g)タンパク質回収が容易である(例え
ば、培地への分泌を介する)。さらに、一般に、発酵設備は、細胞培養設備より
も組み立てるのにずっと費用がかからない。
【0022】
しかし、上述のように、細菌(組換えタンパク質を生成するために一般に使用
されるEscherichia coliのような種を含む)は、真核生物のよ
うに特定の様式でタンパク質をグリコシル化しない。種々のメタノール資化性酵
母(例えば、Pichia pastoris、Pichia methano
lica、およびHansenula polymorpha)が、真核生物発
現系として特に有用である。なぜなら、高い細胞密度に増殖することができ、か
つ/または大量の組換えタンパク質を分泌できるからである。しかし、上述のよ
うに、これらの真核微生物において発現される糖タンパク質は、動物における糖
タンパク質とはN−グリカン構造において実質的に異なる。このことにより、多
くの有用な糖タンパク質の生成のための宿主として酵母または糸状菌を使用する
ことが妨げられていた。
【0023】
いくつかの試みが、真核生物性の微生物のグリコシル化経路を改変して、哺乳
動物の治療剤としての用途にさらに適切な糖タンパク質を提供するためになされ
てきた。例えば、いくつかのグルコシルトランスフェラーゼが、別個にクローン
化され、そしてS.cerevisiae(GalT、GnT I)、Aspe
rgillus nidulans(GnT I)および他の真菌類(Yosh
idaら、1999、Kalsnerら、1995 Glycoconj.J.
12(3):360〜370、Schwientekら、1995)で発現され
てきた。しかし、ヒトの特性を有するN−グリカンは、得られていない。
【0024】
酵母は、種々のマンノシルトランスフェラーゼ(例えば、1,3−マンノシル
トランスフェラーゼ(例えば、S.cerevisiaeにおけるMNN1)(
GrahamおよびEmr、1991 J.Cell.Biol.114(2)
:207−218)、1,2−マンノシルトランスフェラーゼ(例えば、S.c
erevisiae由来のKTR/KREファミリー)、1,6−マンノシルト
ランスフェラーゼ(S.cerevisiae由来のOCH1)、マンノシルホ
スフェートトランスフェラーゼ(S.cerevisiae由来のMNN4およ
びMNN6)および内在性のグリコシル化反応に関与するさらなる酵素)を産生
する。これらの遺伝子の多くは、個々に欠失され、変更されたグリコシル化反応
プロファイルを有する生存可能な生物を生じる。
例を、表1に示す。
【0025】
【表1】

さらに、日本国特許出願公開番号8−336387号は、Pichia pa
storisのOCH1変異体株を開示する。このOCH1遺伝子は、1,6−
マンノシルトランスフェラーゼをコードし、これは、マンノースをグリカン構造
ManGlcNAcに加え、ManGlcNAcを生じる。次いで、こ
のManGlcNAc構造は、インビボにおけるさらなるマンノシル化のた
めの基質であり、これは、酵母の特徴的な高マンノシル化(hypermann
nosylated)糖タンパク質を生じ、そして代表的には、1つのN−グリ
カン当たり少なくとも30〜40マンノース残基を有し得る。OCH1変異体株
において、ManGlcNAcでグリコシル化されたタンパク質が蓄積して
、高マンノシル化は生じない。しかし、構造ManGlcNAcは、動物の
グリコシル化酵素(例えば、ヒトUDP−GlcNAcトランスフェラーゼI)
に対する基質ではなく、従って、この方法はヒトのグリコシル化パターンを有す
るタンパク質を産生に有用ではない。
【0026】
Martinetら(Biotechnol.Lett.1998,20(1
2),1171〜1177)は、P.pastoris中でのTrichode
rma reesei由来のα−1,2−マンノシダーゼの発現を報告した。モ
デルタンパク質のN−グリカンからのいくつかのマンノースの切り取りが観察さ
れた。しかし、このモデルタンパク質は、N−グリカン複合体の生成についての
中間体として必要である構造ManGlcNAcを有するN−グリカンを有
さなかった。従って、この方法は、ヒトまたは動物のグリコシル化パターンを有
するタンパク質の産生については有用ではない。
【0027】
同様に、Chibaら(1998)は、Aspergillus saito
i由来のα−1,2−マンノシダーゼを、酵母Saccharomyces.c
erevisiae中で発現させた。シグナルペプチド配列(His−Asp−
Glu−Leu)が、外来性マンノシダーゼ中に操作されて、小胞体中での保持
が促進される。さらに、この酵母宿主は、タンパク質の高マンノシル化に関連す
る以下の3つの酵素活性を欠失する変異体である:1,6−マンノシルトランス
フェラーゼ(OCH1);1,3−マンノシルトランスフェラーゼ(MNN1)
;およびマンノシルホスフェートトランスフェラーゼ(MNN4)。従って、こ
の三重変異体宿主のN−グリカンは、野生型S.cerevisiaeにおいて
より多く見出される高マンノース形態よりも、むしろManGlcNAc
造からなっていた。操作されたマンノシダーゼの存在下において、モデルタンパ
ク質(カルボキシペプチダーゼY)のN−グリカンを切断し、27モル%Man
GlcNAc、22モル%ManGlcNAc、22モル%Man
lcNAc、29モル%ManGlcNAcからなる混合物を得た。内在
性細胞壁糖タンパク質の切断はそれほど効率的ではなく、N−グリカンの10モ
ル%のみが所望されるManGlcNAc構造を有する。
【0028】
ManGlcNAcグリカンのみが、さらなるヒトの糖形態(glyco
form)への酵素による変換に対して感受性であり、この方法は、ヒトのグリ
コシル化パターンを有するタンパク質の産生について効率的ではない。単一のN
グリコシル化部位を有するタンパク質において、少なくとも73モル%は、不正
確な構造を有する。2つまたは3つのNグリコシル化部位を有するタンパク質に
おいて、それぞれ、少なくとも93モル%または98モル%が、不正確な構造を
有する。このような低い変換効率は治療剤の産生にとって不充分である。これは
、特に、異なる糖形態を有するタンパク質の分離が、典型的には費用がかかり、
かつ困難であるからである。
【0029】
真菌類宿主に由来するさらなるヒト様糖タンパク質を産生する目的で、Mar
asおよびCounterasの米国特許第5,834,251号は、Tric
hoderma reesei由来のハイブリッド糖タンパク質を産生するため
の方法を開示する。ハイブリットN−グリカンは、コアのManα1−6アーム
上にマンノース残基のみ、およびManα1−3アーム上に1つまたは2つの複
合体アンテナを有する。この構造は有用性を有するが、この方法は、多くの酵素
的工程がインビトロで実施されなければならず、これにより費用がかかり、そし
て時間も費やされるとういう不利益を有する。単離された酵素は、調製および維
持のために費用がかかり、独特かつ費用のかかる基質(例えば、UDP−Glc
NAcを必要とし得、そして使用条件下で活性消失および/またはタンパク質分
解される傾向にある。
【0030】
従って、Pichia pastorisおよび他の下等真核生物(例えば、
Hansenula polymorpha、Pichia stiptis、
Pichia methanolica、Pichia sp、Kluyver
omyces sp、Candida albicans、Aspergill
us nidulans、およびTrichoderma ressei)にお
いて発現される組換え糖タンパク質のグリコシル化のヒト化のための系および方
法を提供することが、本発明の目的である。
【0031】
(発明の要旨)
一連の酵素反応(これは、ヒトの糖タンパク質のプロセシングを模倣する)を
達成することを可能にする遺伝的に改変されたグリコシル化経路を有する細胞株
を開発した。これらの操作された宿主において発現される組換えタンパク質は、
ヒトの対応物に対して実質的に同一ではないが、より類似する糖タンパク質を産
生する。通常は高マンノース含有N−グリカンを産生する下等真核生物(Pic
hia stiptis、Hansenula polymorpha、Pic
hia pastoris、Pichia methanolica、Pich
ia sp.、Kluyveromyces sp.、Candida alb
icans、Aspergillus nidulans、およびTricho
derma resseiのような単細胞真菌類および多細胞真菌類を含む)は
改変されて、ManGlcNAcまたはヒトのグリコシル化経路に沿った他
の構造のようなN−グリカンを産生する。これは、株の操作および/または選択
の組み合わせを使用することによって達成される:真菌類の糖タンパク質の特徴
である望まない複雑な構造をつくる特定の酵素を発現しない株、活性が所望され
る真菌内で存在する条件下で至適な活性を有する異種酵素を発現するようにか、
または至適な活性が達成される細胞内小器官に標的化されるように選択された外
来性酵素を発現する株、およびその組み合わせ。ここで、この遺伝的に操作され
た真核生物が、「ヒト様」糖タンパク質を産生するために必要とされる複数の異
種酵素を発現する。
【0032】
第1の実施形態において、この微生物は、5.1と8.0との間(好ましくは
、5.9と7.5との間)の至適pHを有する外来性α−1,2−マンノシダー
ゼ酵素を発現するように操作される。代替的に好ましい実施形態において、この
外来性酵素は、その宿主生物体の小胞体またはゴルジ装置に標的化され、ここで
、これは、例えば、ManGlcNAcのようなN−グリカンを切断し、M
anGlcNAcを産生する。この後者の構造は有用である。なぜならば、
これは、哺乳動物(特に、ヒト)で形成される構造と同一であり;これは、イン
ビボおよび/またはインビトロにおける、さらなるグリコシル化反応のための基
質であり、これが、哺乳動物(特に、ヒト)で形成されるN−グリカンと類似で
あるかまたは同一である最終的なN−グリカンを産生し;そして、これは、酵母
および他の微生物においてインボで起こり、糖タンパク質に哺乳動物における高
い免疫原性を与える高マンノシル化反応の基質ではないからである。
【0033】
第2の実施形態において、真核生物性の微生物のグリコシル化経路が以下によ
って改変される:(a)外来性グリコシル化酵素をコードする、少なくとも2つ
の遺伝子を含むDNAライブラリーを構築すること;(b)この微生物を、この
ライブラリーによって形質転換し、少なくとも2つの別個の異種グリコシル化酵
素を発現する遺伝的に混在した集団を生成すること;(c)所望のグリコシル化
表現型を有する微生物を、この集団から選択すること。好ましい実施形態におい
て、このDNAライブラリーは、各々がタンパク質局在化配列と、グリコシル化
活性に関連する触媒活性とをコードするキメラ遺伝子を含む。この方法を使用し
て改変された生物は、哺乳動物(特に、ヒト)に類似するか、または同一である
グリコシル化パターンを有する糖タンパク質の産生に有用である。
【0034】
第3の実施形態において、このグリコシル化経路は、改変されて、糖ヌクレオ
チド輸送因子酵素を発現する。好ましい実施形態において、ヌクレオチドジホス
ファターゼ酵素がまた発現される。この輸送因子およびジホスファターゼは、適
切な区画にグリコシル化酵素に適切な基質を提供し、競合的産物阻害を減少し、
そして、ヌクレオシドジホスファターゼの除去を促進することによって、操作さ
れたグリコシル化工程の効率を改善する。
【0035】
(発明の詳細な説明)
本明細書中に記載の、方法および組換え下等真核生物株が使用され、「ヒト化
糖タンパク質」が産生される。この組換え下等真核生物は、高次のマンノース構
造の産生に関与する1つ以上の酵素を発現しない下等真核生物を操作することに
よって、産生して、ヒト様の糖を産生するために必要な酵素を発現する。本明細
書中で使用される場合、下等真核生物は、単細胞性真菌類または線状菌である。
本明細書中で使用される場合、「ヒト化糖タンパク質」とは、4つ未満の残基を
含むN−グリカンに結合するタンパク質をいい、そして少なくともの5つのマン
ノース残基を有するこの合成中間体(これはまた、有用であり、さらにインビト
ロで操作され得る)をいう。好ましい実施形態において、組換え下等真核生物株
で産生される糖タンパク質は、少なくとも27モル%のMan5中間体を含む。
これは、より良好なマンノシダーゼ(すなわち、タンパク質がグリコシル化され
る部位において、この生物中に存在する条件下で至適な活性を有するように選択
される酵素)でクローニングすることによってか、または活性が所望される場合
に細胞小器官にこの酵素を標的化することによって達成される。
【0036】
好ましい実施形態において、高次のマンノース構造の産生に関与する1つ以上
の酵素を発現しない真核生物が使用される。これらの株は、操作され得るか、ま
たは、多くのこのような変異体(Pichia pastorisおける高マン
ノシル化−マイナス(OCH1)変異体)の1つが、酵母においてすでに記載さ
れている。
【0037】
この株が同時に操作された1つの酵素であり得るか、または潜在的に有用な酵
素をコードする遺伝子のライブラリーが生成され得、そして至適な活性を伴うか
または最も「ヒト様」である糖タンパク質を産生する酵素を有するこれらの株が
選択され得る。
【0038】
付着されるN−グリカンManGlcNAcを有する糖タンパク質を産生
する下等真核生物は、特に有用である。なぜならば(a)これらは高い程度のマ
ンノシル化(例えば、1つのN−グリカン当たり8を超えるマンノース、または
特に30〜40のマンノース)を欠失しており、これはヒトにおける免疫原性を
減少し;そして(b)このN−グリカンが、さらなるグリコシル化反応の基質で
あり、(例えば、GlcNAcManGlcNAcを形成するGlcNAc
トランスフェラーゼIの作用によって)よりヒト様の糖形態さえも形成するから
である。ManGlcNAcは、少なくとも一過的に、インビボにて高収率
で形成されなければならない。なぜならば、全てのこれに続くグリコシル化反応
は、ManGlcNAcまたはこの誘導体を必要とするからである。従って
、高比率のN−グリカンがManGlcNAcを有する、27モル%を超え
る、より好ましくは、50〜100モル%の糖タンパク質の収率が得られる。従
って、例えば、MarasおよびConterasの米国特許第5,834,2
51号の方法を使用するインビトロでのさらなるグリコシル化反応を実施するこ
とが可能である。好ましい実施形態において、少なくとも1つのさらなるグリコ
シル化反応が、インビボで実施される。その高度に好ましい実施形態において、
グリコシル化酵素の活性形態は、小胞体および/またはゴルジ装置において発現
される。
【0039】
(宿主微生物)
酵母および線状菌の両方は、細胞内にあり、そして分泌される、組換えタンパ
ク質の産生のために首尾良く使用される(Cereghino、J.L.および
J.M.Cregg 2000FEMS Microbiology Revi
ews 24(1)45−66;Harkki,Aら,1989 Bio−Te
chnology 7(6):596;Berka,R.M.ら,1992 A
bstr.Papers Amer.Chem.Soc.203:121−BI
OT;Svetina,M.ら,2000 J.Biotechnol.76(
2−3):245−251。
【0040】
酵母および真菌類におけるグリコシル化は、ヒトにおけるグリコシル化と非常
に異なっているが、いくつかの共通のエレメントが共有される。第1の工程、新
生のタンパク質へのコアオリゴ糖構造の移入は、酵母、真菌類、植物およびヒト
を含む全ての真核生物において高度に保存されている(図1Aおよび図1Bを比
較のこと)。しかし、続くこのコアオリゴ糖のプロセシングは、酵母において有
意に異なり、そして、いくつかのマンノース糖の付加を含む。この工程は、ゴル
ジにおいて存在するマンノシルトランスフェラーゼ(例えば、OCH1、MNT
1、MNN1など)によって触媒され、マンノース糖をコアオリゴ糖に連続して
付加する。この得られた構造は、ヒト類似タンパク質の産生にとって望ましいも
のではなく、従って、マンノシルトランスフェラーゼ活性を低減するか、または
これを除去することが所望される。マンノシルトランスフェラーゼ活性が欠損し
ている、S.cerevisiaeの変異体(例えば、och1変異体またはm
nn9変異体)が、非致死的であり、そして酵母のオリゴ糖の中で減少したマン
ノース含有量を提示することが示される。他のオリゴ糖プロセシング酵素(例え
ば、マンノシルホスフェートトラスフェラーゼ)はまたは、宿主の特定の内因性
グリコシル化パターンに依存して、除去され得る。望まない内因性グリコシル化
反応の低減後に、N−グリカン複合体の形成は宿主系中へと操作される必要があ
る。これは、いくつかの酵素および糖ヌクレオチド輸送因子の安定発現を必要と
する。さらに、成熟グリコシル化構造の連続的なプロシングを確認するような様
式で、これらの酵素を位置付ける必要がある。
【0041】
(標的糖タンパク質)
本明細書中に記載の方法は、糖タンパク質、特に、ヒトにおいて治療的に使用
される糖タンパク質の産生に有用である。このような治療タンパク質は、代表的
には、注射手段、経口手段、経肺手段、または他の手段によって投与される。
【0042】
適切な標的糖タンパク質の例としては、以下が含まれるが、これらに限定しな
されない:エリスロポエチン、サイトカイン(例えば、インターフェロン−α、
インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターフェロン−ω、および
顆粒球CSF)、凝固因子(例えば、第VIII因子、第IX因子、およびヒト
プロテインC)、可溶性IgEレセプターα鎖、IgG、IgM、ウロキナーゼ
、チマーゼ、および尿素トリプシンインヒビター、IGF結合タンパク質、表皮
増殖因子、成長ホルモン放出因子、アネキシンV融合タンパク質、アンギオスタ
チン、血管内皮増殖因子−2、骨髄前駆阻害因子−1およびオステオプロテゲリ
ン(osteoprotegerin)。
【0043】
(N−グリカン ManGlcNAcを含む、糖タンパク質を産生方法)
第1の工程は、ManGlcNAcの特異的な前駆体構造を産生すること
が可能な下等真核生物の選択または生成を含む。このManGlcNAc
、GlcNAcトランスフェラーゼIの作用によって、インビボGlcNAcを
受容することが可能である。この工程は、ManGlcNAcの特定の異性
体構造の形成を必要とする。この構造は、細胞内にて高収率(30%の余剰)で
形成される必要がある。なぜならば、全ての続く操作は、この前駆体の存在を条
件とするからである。ManGlcNAc構造は、N−グリカン複合体形成
に必要であるが、しかし、これらの存在は決して十分ではない。なぜならば、M
anGlcNAcは、異なる異性体形態で存在し得、これはGlcNAcト
ランスフェラーゼIに対する基質としての役割を果たしても、果たさなくてもよ
い。ほとんどの、グリコシル化反応は完全ではなく、従って、特定のタンパク質
は、一般にその表面において異なった炭水化物構造(すなわち、糖形態)の範囲
を含む。ManGlcNAcのような特定の構造の微量(5%未満)の存在
のみでは、実際の信頼性はほとんどない。必要とされているものは、高収率(約
30%を超える)での特定のGlcNAcトランスフェラーゼI受容中間体(構
造I)の形成である。この中間体の形成は必要であり、ついで、N−グリカン複
合体のインビボ合成を可能にする。
【0044】
このような下等真核生物を、天然に存在するかあるいは遺伝子操作で生じた真
菌または下等真核生物から選択し得、インビトロでこの構造を提供する。下等真
核生物が、総N−グリカンのうち1.8%を超えるこのような構造をインビトロ
で産生することを示されておらず(Marasら、1997)、そして遺伝的に
操作された生物体が好ましい。米国特許第5、595、900号に記載の方法の
ような方法を使用して、目的の標的生物体内で、特定のグリコシルトランスフェ
ラーゼ、マンノシダーゼおよび糖ヌクレオチド輸送因子の存在または非存在を同
定し得る。
【0045】
(1,2−αマンノシダーゼのような真菌性グリコシル化酵素の不活性化)
本明細書中に記載の方法を使用して、以下の広範囲の下等真核生物のグリコシ
ル化を操作し得る:例えば、Hansenula polymorpha、Pi
chia stiptis、Pichia methanolica、Pich
ia sp、Kluyveromyces sp、Candida albic
ans、Aspergillus nidulans、Trichoderma
resseiなど。Pichia pastorisを使用して、必要とされ
る操作工程を例示する。他の下等真核生物と同様に、P.pastorisは、
そのER中にManGlcNAc構造を保持し、1,2−マンノシダーゼで
ManGlcNAcを産生する。次いで、いくつかのマンノシルトランスフ
ェラーゼ作用を介して、この構造は、マンナンとして公知の高マンノシル化構造
(Man>9GlcNAc)に変換される。さらに、P.pastorisは
、炭水化物構造に対するマンノシルホスフェートトランスフェラーゼの作用を介
して非末端リン酸基を付加し得る。これは、哺乳動物細胞で見出された反応とは
逆であり、これは、これらの付加とは対照的にマンノース糖の除去を含む。存在
するManGlcNAc構造を高マンノシル化する真菌類の能力を除去する
ことは重要である。これは、高マンノシル化しない真菌を選択するか、またはこ
のような真菌を操作するかのいずれかによって達成され得る。
【0046】
このプロセスに関与する遺伝子が、Pichia pastorisで同定さ
れ、そして、変異をこれらの遺伝子の中で生成することによって、「望まない」
糖形態の産生を低減し得る。このような遺伝子は、他の下等真核生物(例えば、
C.albicans、Pichia angusta、またはS.cerev
isiae)において見出される、存在するマンノシルトランスフェラーゼ(例
えば、OCH1、MNN4、MNN6、MNN1)に対する相同性によってか、
または、宿主株を変異誘発し、減少したマンノシル化を有する表現型ついて選択
することによって同定され得る。公知のマンノシルトランスフェラーゼおよびマ
ンノシルフォスファターゼトランスフェラーゼの間の相同性に基づいて、PCR
プライマー(この例は、表2に示される)を設計し得るか、または、標的生物の
DNAライブラリーにおけるホモログを同定するためのプローブとしてこのよう
な酵素をコードする遺伝子フラグメントを使用し得る。あるいは、関連する生物
種において特定の表現型を補完し得る。例えば、P.pastorisにおける
1,6−マンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする遺伝子を得るために、
以下の工程を実施し得る。S.cerevisiaeのOCH1変異体は、温度
感性であり、上昇した温度においては遅く増殖する。従って、P.pastor
isにおけるOCH1の機能的なホモログを、P.pastorisのDNAま
たはcDNAライブラリーを用いて、S.cerevisiaeのOCH1変異
体を相補体化することによって同定し得る。S.cerevisiaeのこのよ
うな変異体は、http://genome−www.stanford.ed
u/Saccharomycesで見出され、http://www.resg
en.com/products/YEASTD.php3にて市販されている
。P.pastoris DNAライブラリーで形質転換された後に、上昇した
温度における正常な増殖の表現型を提示する変異体は、P.pastorisの
OCH1ホモログを保持し得る。このようなライブラリーは、適切な制限酵素を
用いてP.pastorisの染色体DNAを部分的に消化し得、そして、この
制限酵素を不活化した後に、この消化されたDNAを適切なベクターに連結する
ことによって生成し得、ここで、このベクターは適合可能な制限酵素で消化され
ている。適切なベクターは、pRS314またはpFL44Sである。ここで、
pRS314は、Trp1マーカー(Sikorski,R.S.およびHie
ter,P.,1989,Genetics 122,19〜27頁)を含むp
Bluescriptに基づいた低コピー(CEN6/ARS4)プラスミドで
あり、pFL44Sは、URA3マーカー(Bonneaud,N.ら、199
1、Yeast 7、609−615頁)を含む改変pUC19に基づいた高コ
ピー(2μ)プライスミドである。このようなベクターは、学術的な研究者によ
って一般的に使用され、また類似のベクターが、多くの異なる供給業者(例えば
、Invitorogen(Carlsbad,CA)、Parmacia(P
iscataway,NJ)、New England Biolabs(Be
verly,MA))から入手可能である。例としては、pYES/GS(In
vitorogen製の2μ複製開始点に基づく酵母発現ベクター)またはNe
w England Biolabs製のYep24クローニングビヒクルであ
る。染色体DNAおよびこのベクターの連結後に、このDNAライブラリーを、
特定の変異を有するS.cerevisiaeの株に形質転換し得、対応する表
現型の補正について選択し得る。野生型表現型を回復するDNAフラグメントの
サブクローニングおよび配列決定の後、このフラグメントを使用して、P.pa
storisのOCH1によってコードされる遺伝子産物の活性を除去し得る。
【0047】
あるいは、目的の特定の真菌の完全ゲノム配列が、公知である場合、NCBI
、Swissprotなどのようないくつかの供給源から利用可能である、公的
に利用可能なDNAデータベースを検索することによって簡単にこのような遺伝
子を同定し得る。例えば、S.cerevisiae由来の公知の1,6マンノ
シルトランスフェラーゼ遺伝子(OCH1)で所定のゲノム配列またはデータベ
ースを検索することによって、このようなゲノムにおいて、高度の確実性で、1
,6マンノシルトランスフェラーゼ活性を有する遺伝子をコードする、高い相同
性の遺伝子の同定をし得る。P.pastorisにおけるS.cerevis
iae由来のいくつかの公知のマンノシルトランスフェラーゼに対するホモログ
は、これらのアプローチのいずれか1つを使用して同定されている。これらの遺
伝子は、S.cerevisiaeにおけるタンパク質のマンノシル化に関与す
る遺伝子に類似の機能を有し、従って、これらの欠失を使用して、P.past
orisまたは類似のグリコシル化経路を有する任意の他の真菌のグリコシル化
パターンを操作し得る。
【0048】
一旦、所定の標的遺伝子配列が、決定されると、遺伝子ノックアウトの作製は
、酵母および真菌の分子生物分野において十分に確立された技術であり、そして
当業者であれば誰でも実施し得る(R.Rothsteins,(1991)M
ethod in Enzymology,第194巻、281頁)。事実、宿
主生物体の選択は、このような宿主に対する良好な形質転換および遺伝子破壊技
術の利用可能性によって影響を受け得る。いくつかのマンノシルトランスフェラ
ーゼが、ノックアウトされる必要がある場合、AlaniおよびKleckne
rによって開発された方法は、URA3マーカーの反復使用により、全ての所望
ではない内因性マンノシルトランスフェラーゼ活性を連続して除去することを可
能にする。この技術は、他のものによって洗練されたが、基本的に、対選択マー
カーに隣接する、2つの反復DNA配列の使用を含む。例えば:URA3を、マ
ーカーとして使用して、構築物を組み込んだ形質転換体の選択を保証し得る。U
RA3マーカーを直接反復と隣接させることによって、構築物が組み込まれ、そ
れによって、標的遺伝子を破壊された形質転換体を最初に選択し得る。形質転換
体の単離およびこれらの特徴付けの後、5’FOAに耐性である形質転換体を第
2ランドで対選択し得る。5’FOAを含むプレート上で生存し得るコロニーは
、以前に言及した反復に関与する交差現象を介して再びURA3マーカーを失う
。従って、このアプローチは、同じマーカーの反復使用を可能にし、そしてさら
なるマーカーを必要とすることなく複数の遺伝子の破壊を容易にする。
【0049】
P.pastoris中の特定のマンノシルトランスフェラーゼ(例えば、1
,6マンノシルトランスフェラーゼ(OCH1)、マンノシルリン酸トランスフ
ェラーゼ(MNN4、MNN6、またはlbd変異を相補する遺伝子))の除去
は、主にManGlcNAcを合成するこの生物体の操作された株の作製を
可能にし、従って、グリコシル化パターンをより複雑なヒト糖形態構造により密
に類似するようにさらに改変するために使用され得る。この方法の好ましい実施
形態は、既知の生化学的グリコシル化活性をコードする、既知のDNA配列を利
用して、P.pastorisにおける類似または同一の生化学的機能を除去し
、その結果、得られた遺伝的に改変されたP.pastoris株のグリコシル
化構造は、改変される。
【0050】
(表2)
【0051】
【表2】

(遺伝子操作された宿主へのマンノシダーゼの取り込み)
本明細書中に記載されるプロセスは、複合N−グリカンを生成するために、こ
のような構造を改変する目的でこのような構造を高収率で得ることを可能にする
。適切なManGlcNAc構造を得るための首尾よいスキームは、高レベ
ルの適切なManGlcNAc構造を得るための以下の2つの平行したアプ
ローチを含まなければならない:(1)内因性マンノシルトランスフェラーゼ活
性の減少および(2)マンノシダーゼによって1,2−α−マンノースの除去。
この方法と先行技術を区別するものは、これらの2つの問題を直接的に扱うこと
である。Chibaおよび共同研究者の研究が、実証するように、A.sait
oi由来の真菌マンノシダーゼの存在をERへと操作することによって、S.c
erevisiaeにおいてManGlcNAc構造をManGlcNA
異性体に還元し得る。これのアプローチの欠点は、以下の2つの要素である
:(1)不十分な量のManGlcNAcが、細胞外糖タンパク質画分に形
成される(10%)こと、および(2)インビボで形成されるManGlcN
Ac構造が、事実、GlcNAcトランスフェラーゼIの作用によってGlc
NAcを受け入れ得ることが明らかではないこと。いくつかのグリコシル化部位
が、所望のタンパク質に存在する場合、正確な形態でこのようなタンパク質を得
る確率(P)は、P=(F)の関係に従う。ここでnは、グリコシル化部位の
数と等価であり、そしてFは、所望の糖形態割合と等価である。3つのグリコシ
ル化部位を有する糖タンパク質は、全てのそのグリコシル化部位における複合N
−グリカンおよびハイブリッドN−グリカンのプロセシングについての適切な前
駆体を提供する、0.1%の機会を有する(これらは、このようなアプローチの
商業的な価値を制限する)。
【0052】
S.cerevisiaeのERおよびゴルジ装置において活性である多くの
酵素は、6.5と7.5との間の至適pHを有する(表3を参照のこと)。組換
えマンノシダーゼの作用によってマンノシル化を減少させる以前の全てのアプロ
ーチは、約pH5.0の至適pHを有する酵素に集中しているが(Martin
etら,1998およびChibaら,1998)、これらの酵素の活性は、p
H7.0で10%未満に減少し、従って、使用の時点(P.pastorisお
よびS.cerevisiaeのERおよび初期ゴルジ)において不十分な活性
を提供する可能性がある。好ましいプロセスは、インビボでマンノシダーゼを利
用する。ここでマンノシダーゼの至適pHは、同じオルガネラに局在する他の代
表的なマーカー酵素の平均至適pHの1.4pH単位内である。特定のオルガネ
ラに標的化される酵素の至適pHは、酵素単位あたり最大の活性が得られるよう
に、同じオルガネラに見出される他の酵素の至適pHと一致されるべきである。
表3は、種々の供給源由来のマンノシダーゼの活性およびそれぞれの至適pHを
要約する。表4は、それらの位置を要約する。
【0053】
(表3.マンノシダーゼおよびそれらの至適pH)
【0054】
【表3】

S.cerevisiaeのERまたはゴルジ装置においてManGlcN
Acを得るために高マンノース構造を切り取ることを試みる場合、(1)十分
に近い至適pH(すなわち、pH5.2とpH7.8との間)を有し、そして(
2)GnTIによるGlcNAcのその後の付加を受け入れるために必要とされ
る特定の異性体のManGlcNAc構造を産生する(単独または協調的に
)ことが知られている、任意の酵素または酵素の組み合わせが選択され得る。イ
ンビトロにおいてGnT IによりGlcNAcManGlcNAcに変換
され得る構造を産生することを示す任意の酵素または酵素の組み合わせは、適切
な選択を構成する。この知識は、科学文献から得られるか、または、潜在的なマ
ンノシダーゼが、ManGlcNAc−PAをManGlcNAc−P
Aに変換し得ることを決定し、次いで得られたManGlcNAc−PA構
造が、インビトロにおいてGlcNAcManGlcNAcを与えるために
GnT IおよびUDP−GlcNAcについての基質として役立ち得るか否か
を試験することによって実験的に得られる。例えば、ヒト供給源またはマウス供
給源由来のマンノシダーゼIAは、適切な選択である。
【0055】
(ERおよびゴルジにおける1,2−マンノシダーゼ活性)
クローン化された外来性マンノシダーゼの作用によるマンノシル化を減少する
以前のアプローチは、構造ManGlcNAcを有する十分な割合(例えば
、27モル%より多い)のN−グルカンを有する糖タンパク質を得るのに失敗し
ている(Martinetら,1998およびChibaら,1998)。これ
らの酵素は、新生糖タンパク質を変換するのに効果的であるようにERまたはゴ
ルジ装置において十分に機能するはずである。先行技術において利用される2つ
のマンノシダーゼ(A.saitoiおよびT.reesei由来)は、5.0
の至適pHを有するが、酵母(例えば、S.cerevisiae)のERおよ
びゴルジ装置において活性である多くの酵素は、6.5と7.5との間の至適p
Hを有する(表3を参照のこと)。タンパク質のグルコシル化は、非常に進歩し
て、効率的なプロセスであるので、ERおよびゴルジの内部pHはまた、約6〜
8の範囲であることが結論され得る。pH7.0において、先行技術において使
用されるマンノシダーゼの活性は、10%未満に減少し、これは、インビボでの
ManGlcNAcの効果的な産生に不十分である。
【0056】
(表4.S.cerevisiaeの種々のグリコシル化関連酵素の細胞局在
および至適pH)
【0057】
【表4】

α−1,2−マンノシダーゼ酵素は、5.1と8.0との間のpHに至適活性
を有するはずである。好ましい実施形態において、この酵素は、5.9と7.5
との間のpHで至適活性を有する。至適pHは、インビトロアッセイ条件下で決
定され得る。好ましいマンノシダーゼとしては、適切な至適pHを有する表3に
列挙されるマンノシダーゼ(例えば、Aspergillus nidulan
s、Homo sapiens IA(ゴルジ)、Homo sapiens
IB(ゴルジ)、Lepidopteran昆虫細胞(IPLB−SF21AE
)、Homo sapiens、マウスIB(ゴルジ)およびXanthomo
nas manihotis)が挙げられる。好ましい実施形態において、単一
のクローニングされたマンノシダーゼ遺伝子が、宿主生物体において発現される
。しかし、いくつかの場合、ManGlcNAcの十分な産生を達成するた
めに、いくつかの異なるマンノシダーゼ遺伝子または1つの特定の遺伝子のいく
つかのコピーを発現されることが所望され得る。複数の遺伝子が、使用される場
合において、コードされたマンノシダーゼは、全て5.1〜8.0または特に5
.9と7.5との間の好ましい範囲内に至適pHを有するべきである。特定の好
ましい実施形態において、マンノシダーゼ活性は、ERまたはシスゴルジに標的
化され、そこでグリコシル化の初期反応が生じる。
【0058】
(複合N−グリカンの形成)
プロセスの第2の工程は、ゴルジ装置へのグルコシルトランスフェラーゼの発
現を操作することによる、新生炭化水素構造への糖の連続的な付加を含む。この
プロセスは、第1に、初期または中間ゴルジ装置におけるGnT Iの機能的な
発現およびUDP−GlcNAcの十分な供給を保証することが必要である。
【0059】
(組み込み部位)
この遺伝子操作の努力の最終的な目的は、工業的な発酵プロセスにおいて十分
に実施し得る頑強なタンパク質産生株であるので、真菌染色体への複数の遺伝子
の組み込みは、注意深い計画が必要である。操作される株は、おそらく、異なる
範囲の遺伝子で形質転換されなければならず、そしてこれらの遺伝子は、所望の
活性が発酵プロセスを通して維持されることを保証するために安定な様式におい
て形質転換されなければならない。以下の酵素活性の任意の組み合わせが、真菌
タンパク質発現宿主に操作される必要がある:シアリルトランスフェラーゼ、マ
ンノシダーゼ、フコシルトランスフェラーゼ、ガラクトシルトランスフェラーゼ
、グルコシルトランスフェラーゼ、GlcNAcトランスフェラーゼ、ERおよ
びゴルジ特異的輸送因子(例えば、UDP−ガラクトースおよび他の前駆体につ
いてのシンポートおよびアンチポート輸送因子)、オリゴ糖のプロセシングに関
与する他の酵素ならびにUDP−ガラクトース、CMP−N−アセチルノイラミ
ン酸のような活性化オリゴ糖前駆体の合成に関与する酵素。同時に、非ヒトグリ
コシル化反応に特徴的であることが公知の酵素をコードする多くの遺伝子は、欠
失される必要がある。
【0060】
(特定のオルガネラへのグリコシルトランスフェラーゼの標的化)
グリコシルトランスフェラーゼおよびマンノシダーゼは、ERおよびゴルジ装
置の内部(内腔)表面に並び、それによって糖タンパク質が、ERおよびゴルジ
装置ネットワークを通って進む場合、糖タンパク質の連続的なプロセシングを可
能にする「触媒的な」表面を提供する。事実、シスゴルジ、中間ゴルジおよびト
ランスゴルジならびにトランスゴルジネットワーク(TGN)の複数の区画は、
異なる場を提供し、ここで、順序付けられた連続するグリコシル化反応が生じ得
る。糖タンパク質が、ERでの合成から後期ゴルジまたはTGNでの十分な成熟
まで進む場合、異なるグルコシダーゼ、マンノシダーゼおよびグリコシルトラン
スフェラーゼに連続的に曝露され、その結果、特定の炭化水素構造が、合成され
得る。これらの酵素が、それぞれのオルガネラに保持および係留される正確な機
構を明らかにするために多くの研究がなされてきた。進化した絵(evolvi
ng picture)は、複雑であるが、証拠は、幹領域、膜貫通領域および
細胞質テイルが、個々にまたは協調して、個々のオルガネラの膜に酵素を指向し
、それによってその位置に関連する触媒的ドメインを局在化することを示唆する

【0061】
標的化配列は、標的化配列および標的化される酵素の選択のためのライブラリ
ーに関して以下にさらに詳細に考察されるように、科学文献および公的データベ
ースにおいて周知であり、そして記載される。
【0062】
(改変されたグリコシル化経路を産生するライブラリーを作製するための方法

外来性のグリコシル化酵素をコードする少なくとも2つの遺伝子を含むライブ
ラリーは、宿主生物体に形質転換され、遺伝的に混合された集団を作製する。次
いで、所望のグリコシル化表現型を有する形質転換体は、混合された集団から選
択される。好ましい実施形態において、宿主生物体は、酵母(特に、P.pas
toris)であり、そして宿主グリコシル化経路は、1つ以上のヒトまたは動
物グリコシル化酵素の作動的な発現によって改変され、ヒト糖形態に類似または
同一のタンパク質N−グリカンを生成する。特定の好ましい実施形態において、
DNAライブラリーは、グリコシル化に関与する種々の細胞の部位(特に、ER
、シスゴルジ、中間ゴルジまたはトランスゴルジ)に対する標的化配列とグリコ
シル化酵素の融合体をコードする遺伝子構築物を含む。
【0063】
この方法を使用してもたらされ得るグリコシル化に対する改変の例は、以下で
ある:(1)タンパク質N−グリカンとしてManGlcNAcを得るため
に、ManGlcNAcからマンノース残基を切り取るように真核微生物を
操作すること;(2)GlcNAcトランスフェラーゼIの作用によってMan
GlcNAcにN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)残基を付加する
ように真核微生物を操作すること;(3)N−アセチルグルコサミントランスフ
ェラーゼ(GnT I、GnT II、GnT III、GNT IV、GnT
V、GnT VI)、マンノシダーゼII、フコシルトランスフェラーゼ、ガ
ラクトシルトランスフェラーゼ(Gal T)またはシアリルトランスフェラー
ゼ(ST)のような酵素を機能的に発現するように真核微生物を操作すること。
【0064】
この方法を繰り返すことによって、徐々に、複雑なグルコシル化経路が、標的
微生物に操作され得る。1つの好ましい実施形態において、宿主生物体は、グル
コシル化活性をコードする配列を含むDNAライブラリーを用いて2回またそれ
より多く形質転換される。所望の表現型の選択は、形質転換の各回の後、あるい
は、いくつかの形質転換体が、生じた後、実施され得る。複雑なグリコシル化経
路は、この様式において迅速に操作され得る。
【0065】
(DNAライブラリー)
グリコシル化酵素をコードする少なくとも2つの外来性遺伝子を含むDNAラ
イブラリーを構築することが必要であるオープンリーディングフレーム配列に加
えて、宿主生物体への形質転換において遺伝子の効果的な転写および翻訳を保証
し得るような、プロモーター、転写ターミネーター、エンハンサー、リボソーム
結合部位および他の機能的配列を各ライブラリー構築物を提供することが一般に
、好ましい。宿主が、Pichia pastorisである場合、適切なプロ
モーターとしては、例えば、AOX1、AOX2、DASおよびP40プロモー
ターが挙げられる。各構築物に少なくとも1つの選択マーカー(例えば、薬剤耐
性を与える遺伝子または宿主代謝破壊を相補する遺伝子)を提供することもまた
好ましい。マーカーの存在は、その後の形質転換体の選択に有用である;例えば
、酵母において、URA3、HIS4、SUC2、G418、BLAまたはSH
BLE遺伝子が、使用され得る。
【0066】
いくつかの場合において、ライブラリーは、既存の遺伝子または野生型遺伝子
から直接的に構築され得る。しかし、好ましい実施形態において、DNAライブ
ラリーは、2つ以上のサブライブラリーの融合体から構築される。サブライブラ
リーのインフレーム連結によって、有用な標的化されるグリコシル化活性をコー
ドする多数の新規の遺伝的構築物を作製することを可能にする。例えば、1つの
有用なサブライブラリーは、シアリルトランスフェラーゼ、マンノシダーゼ、フ
コシルトランスフェラーゼ、ガラクトシルトランスフェラーゼ、グルコシルトラ
ンスフェラーゼおよびGlcNAcトランスフェラーゼのような酵素の任意の組
み合わせをコードするDNA配列を含む。好ましくは、この酵素は、ヒト起源で
あるが、他の哺乳動物、動物または真菌の酵素もまた、有用である。好ましい実
施形態において、遺伝子は、短縮化されて、酵素の触媒ドメインをコードするフ
ラグメントを与える。内因性の標的化配列を除去することによって、次いで、こ
の酵素は、他の細胞部位に再指向され得、そして発現され得る。このような触媒
ドメインの選択は、その触媒ドメインが、引き続いて活性である、特定の環境の
知識によって導かれ得る。例えば、特定のグリコシル化酵素が、後期ゴルジにお
いて活性であり、そして後期ゴルジにおける宿主生物体の全ての公知の酵素が、
特定の至適pHを有する場合、そのpHにおいて十分な活性を示す触媒ドメイン
が、選択される。
【0067】
別の有用なサブライブラリーは、ER、ゴルジ、またはトランスゴルジ網内の
特定の位置へのタンパク質の局在化を生じるシグナルペプチドをコードするDN
A配列を含む。これらのシグナル配列は、宿主生物体および他の関連生物体また
は非関連生物体から選択され得る。ERまたはゴルジの膜結合タンパク質は、代
表的に、例えば、細胞質末尾(ct)、膜貫通ドメイン(tmd)、およびステ
ム領域(sr)をコードするN末端配列を含み得る。ct配列、tmd配列、お
よびsr配列は、個々に十分であるかまたは細胞小器官の内側(管腔側)の膜に
対するアンカータンパク質と組合される。従って、シグナル配列のサブライブラ
リーの好ましい実施形態は、これらのタンパク質由来のct配列、tmd配列、
および/またはsr配列を含む。いくつかの場合において、変動する長さのsr
配列を有するサブライブラリーを提供することが望ましい。これは、細胞質領域
をコードするDNAの5’末端に結合するプライマーを使用し、そしてステム領
域の種々の部分に結合する一連の対向プライマーを利用するPCRによって達成
され得る。シグナル配列のなお他の有用な供給源としては、回収シグナルペプチ
ド(例えば、テトラペプチドのHDELまたはKDEL)が挙げられ、これらは
、ERまたはゴルジに逆行して輸送されるタンパク質のC末端で代表的に見出さ
れる。シグナル配列のなお他の供給源としては、(a)II型膜タンパク質、(
b)表3に列挙した酵素、(c)ゴルジに局在化する膜貫通ヌクレオチド糖質輸
送因子、および(d)表5に参照される配列、が挙げられる。
【0068】
(表5:有用な区画標的化配列の供給源)
【0069】
【表5】

いずれにせよ、シグナル配列は、宿主中に操作されるべき酵素活性に適切なシ
グナル配列から選択されることが非常に好ましい。例えば、新生N−グリカンの
末端シアリル化(ヒトにおいて後期ゴルジで生じるプロセス)をし得る改変され
た微生物の発生過程において、後期ゴルジタンパク質由来のシグナル配列のサブ
ライブラリーを利用することが望ましい。同様に、ManGlcNAcを与
える、α−1,2−マンノシダーゼによるManGlcNAcのトリミング
は、ヒトにおける複雑なN−グリカン形成の初期の工程である。従って、操作さ
れた宿主微生物のERまたは初期ゴルジ中でこの反応を生じさせることが望まし
い。ERまたは初期ゴルジの残留シグナルをコードするサブライブラリーが用い
られる。
【0070】
好ましい実施形態において、次いで、DNAライブラリーは、グリコシル化酵
素またはその触媒的に活性なフラグメントをコードするDNAを含むサブライブ
ラリーとの、シグナル配列をコードするDNAを含むサブライブラリーのインフ
レーム連結によって構築される。得られたライブラリーは、融合タンパク質をコ
ードする合成遺伝子を含む。いくつかの場合において、融合タンパク質のN末端
にシグナル配列を提供することが望ましいか、または他の場合において、C末端
にシグナル配列を提供することが望ましい。いくつかの場合において、シグナル
配列は、酵素のオープンリーディングフレーム内に挿入され得、但し、個々の折
り畳まれたドメインのタンパク質構造は破壊されない。
【0071】
本方法は、宿主に形質転換されたDNAライブラリーが広い多様性の配列を含
む場合、最も有効であり、これによって少なくとも1つの形質転換体が所望の表
現型を提示する確率を増加させる。従って、形質転換の前に、DNAライブラリ
ーまたは構成要素のサブライブラリーは、遺伝子シャッフリング、エラー傾向性
(error prone)PCR、またはインビトロでの変異誘発に1回以上
供され得る。
【0072】
(形質転換)
次いで、DNAライブラリーは、宿主生物体に形質転換される。酵母において
、DNA移入の任意の簡便な方法(例えば、エレクトロポレーション、塩化リチ
ウム法、またはスフェロプラスト法)が、用いられ得る。高密度の発酵に適切な
安定な株を産生するために、宿主の染色体中にDNAライブラリー構築物を組み
込むことが望ましい。好ましい実施形態において、組込みは、当該分野で公知の
技術を用いて相同組換えによって生じる。例えば、DNAライブラリーエレメン
トは、宿主生物体の配列に対して相同な隣接配列とともに提供される。この様式
において、組込みは、所望の遺伝子または必須遺伝子の破壊なしに、宿主のゲノ
ム中の規定の部位に生じる。特に好ましい実施形態において、ライブラリーDN
Aは、宿主染色体中の望ましくない遺伝子の部位に組み込まれ、この遺伝子の破
壊または欠失をもたらす。例えば、OCH1遺伝子、MNN1遺伝子、またはM
NN4遺伝子の部位中への組込みは、糖タンパク質の酵母の高マンノシル化に関
連する酵素の発現を抑制しながら、所望のライブラリーDNAの発現を可能にす
る。他の実施形態において、ライブラリーDNAは、染色体、プラスミド、レト
ロウイルスベクター、または宿主ゲノムへのランダムな組込みを介して宿主に導
入され得る。いかなる場合においても、安定に形質転換された宿主生物体の迅速
な選択を可能にするために、各ライブラリーDNA構築物とともに少なくとも1
つの選択マーカー遺伝子を含むことが一般的に望ましい。リサイクル可能なマー
カー遺伝子(例えば、ura3)(これは、マーカー遺伝子についてかまたはマ
ーカー遺伝子に対して選択可能である)は、特に適切である。
【0073】
(選択プロセス)
DNAライブラリーを用いた宿主株の形質転換の後、所望のグリコシル化表現
型を示す形質転換体が、選択される。選択は、単一工程においてか、またはいず
れかの種々のアッセイおよび/もしくは検出方法を用いる、一連の表現型の富化
および/または枯渇の工程によって実施され得る。表現型の特徴付けは、手動で
かまたは自動化ハイスループットスクリーニング装置を用いて実施され得る。一
般に、宿主微生物は、種々の糖タンパク質が局在する細胞表面上のタンパク質N
−グリカンを提示する。従って、インタクトな細胞は、これらの細胞を所望のN
−グリカンに特異的に結合するレクチンまたは抗体に曝露することによって、所
望のグリコシル化表現型についてスクリーニングされ得る。多種多様なオリゴ糖
特異的レクチンは、市販されている(EY Laboratories,San
Mateo,CA)。あるいは、ヒトまたは動物のN−グリカンに特異的な抗
体は、市販されているか、または標準的技術を用いて産生され得る。適切なレク
チンまたは抗体は、レポーター分子(例えば、発色団、フルオロフォア、放射性
同位体、または色素生産性基質を有する酵素(Guillenら,1998.P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 95(14):7888−78
92))に結合体化され得る。次いで、スクリーニングする工程は、分析方法(
例えば、分光光度法、蛍光定量法、蛍光活性セルソーター法(fluoresc
ence activated cell sorting)、またはシンチレ
ーションカウンター法)を用いて実施され得る。他の場合において、形質転換さ
れた細胞から単離された糖タンパク質またはN−グリカンを分析する必要性があ
り得る。タンパク質の単離は、当該分野で公知の技術によって実施され得る。単
離されたN−グリカンが必要とされる場合、酵素(例えば、エンド−β−N−ア
セチルグルコサミニダーゼ(Genzyme Co.,Boston,MA))
を用いて、糖タンパク質からN−グリカンを切断し得る。次いで、単離されたタ
ンパク質またはN−グリカンは、液体クロマトグラフィー(例えば、HPLC)
、質量分析、または他の適切な手段によって分析され得る。米国特許番号第5,
595,900号は、所望の細胞外炭水化物構造を有する細胞を同定し得るいく
つかの方法を教示している。所望の形質転換体の選択の前に、望ましくない表現
型を有する細胞の形質転換された集団を枯渇させることが望まれ得る。例えば、
本方法を用いて、機能的マンノシダーゼ活性を細胞中に操作する場合、所望の形
質転換体は、細胞の糖タンパク質において低レベルのマンノースを有する。形質
転換された集団を培地中でマンノースの致死的な放射線同位体に曝露することは
、望ましくない表現型(すなわち、高レベルで組み込まれたマンノース)を有す
る形質転換体の集団を枯渇させる。あるいは、望ましくないN−グリカンに対す
る細胞傷害性レクチンまたは抗体を用いて、望ましくない表現型の形質転換され
た集団を枯渇させ得る。
【0074】
(ゴルジ装置に糖ヌクレオチド前駆体を提供するための方法)
ゴルジにおいて十分に機能するグリコシルトランスフェラーゼについて、酵素
は、十分な濃度の適切なヌクレオチド糖とともに提供される必要があり、新生糖
タンパク質に付加された糖部分の高エネルギードナーである。適切な区画へのこ
れらのヌクレオチド糖は、宿主微生物における糖ヌクレオチド輸送因子をコード
する外因性遺伝子を発現することによって提供される。輸送因子酵素の選択は、
用いられる外因性グリコシルトランスフェラーゼの性質によって影響される。例
えば、GluNAcトランスフェラーゼは、UDP−GlcNAc輸送因子を必
要とし得るか、フコシルトランスフェラーゼは、GDPフコース輸送因子を必要
とし得るか、ガラクトシルトランスフェラーゼは、UDPガラクトース輸送因子
を必要とし得るか、またはシアル酸トランスフェラーゼは、CMPシアル酸輸送
因子を必要とし得る。
【0075】
付加された輸送因子タンパク質は、細胞質ゾルからゴルジ装置へとヌクレオチ
ド糖を輸送し、ここで、このヌクレオチド糖は、グリコシルトランスフェラーゼ
によって、例えば、N−グリカンを伸長するように反応され得る。この反応は、
ヌクレオシド二リン酸またはヌクレオシド一リン酸(例えば、UDP、GDP、
またはCMP)を遊離する。ヌクレオシド二リン酸の蓄積がグリコシルトランス
フェラーゼのさらなる活性を阻害する場合、ヌクレオチドジホスファターゼをコ
ードする遺伝子の発現コピーを提供することもまた、頻繁に望ましい。このジホ
スファターゼ(適切な場合、UDPまたはGDPに特異的)は、ヌクレオシド一
リン酸および無機リン酸を得るために二リン酸ヌクレオシドを加水分解する。ヌ
クレオシド一リン酸は、グリコトランスフェラーゼを阻害せず、そしていかなる
場合でも、内因性細胞系によってゴルジから輸送される。適切な輸送因子酵素(
これは、代表的には、哺乳動物起源の輸送因子酵素である)は、以下に記載され
る。
【0076】
(実施例)
上記の一般方法の使用は、以下の非限定的な実施例を参照することによって理
解され得る。好ましい実施形態の例をまた、表6に要約する。
【0077】
(実施例1:インシュリンを産生するためのα−1,2−マンノシダーゼを用
いたP.pastorisの操作)
α−1,2−マンノシダーゼは、ManGlcNAc(複雑なN−グリカ
ン形成のための必須の中間体)を得るためのManGlcNAcのトリミン
グのために必要である。P.pastorisのOCH1変異体を、aoxプロ
モーターの制御下で分泌ヒトインターフェロンαを発現するように操作する。D
NAライブラリーを、初期ゴルジ局在化ペプチドをコードする配列を含むサブラ
イブラリーと、ヒトマンノシダーゼIB(α−1,2−マンノシダーゼ)の触媒
ドメインとのインフレーム連結によって構築する。次いで、このDNAライブラ
リーを、宿主生物体に形質転換し、遺伝的に混合された集団を生じ、ここで、個
々の形質転換体は、インターフェロンβおよびこのライブラリー由来の合成マン
ノシダーゼ遺伝子をそれぞれ発現する。個々の形質転換体コロニーを培養し、そ
してインターフェロンの産生をメタノールの添加によって誘導する。これらの条
件下、90%を超えるこの分泌タンパク質は、インターフェロンβを含む。上清
を精製して、塩および低分子量の夾雑物をC18シリカ逆相クロマトグラフィー
によって除去する。適切に標的化された活性α−1,2−マンノシダーゼを発現
する所望の形質転換体は、構造ManGlcNAcのN−グリカンを含むイ
ンターフェロンβを産生し、これは、親株のインターフェロンと比較して低減し
た分子量を有する。インターフェロンβを含む精製した上清を、MALDI−T
OF質量分析によって分析し、そして所望の形態のインターフェロンβを発現す
るコロニーを同定する。
【0078】
(実施例2:GlcNAcトランスフェラーゼIを発現するための株の操作)
GlcNAcトランスフェラーゼI活性は、複雑なN−グリカンの成熟に必要
である。ManGlcNAcは、GlcNAcトランスフェラーゼIによる
末端α−1,3マンノース残基へのGlcNAcの付加後、マンノシダーゼII
によってトリミングのみされ得る(これはヒト糖形態の形成に必要な工程である
)(Schachter,1991 Glycobiology 1(5):4
53−461)。従って、ライブラリーを、適切に標的化するGlcNAcトラ
ンスフェラーゼI遺伝子をコードするDNAフラグメントを含むよう調製する。
宿主生物体は、株(例えば、高マンノシル化を欠く酵母(例えばOCH1変異体
))であり、ゴルジおよび/またはERに基質UDP−GlcNAcを提供し、
そしてゴルジおよび/またはERに構造ManGlcNAcのN−グリカン
を提供する。DNAライブラリーを用いた宿主の形質転換後、形質転換体を、細
胞表面上に最高濃度の末端GlcNAcを有するか、あるいは最高の末端Glc
NAc含有量を有するタンパク質を分泌する形質転換体についてスクリーニング
する。このようなスクリーニングを、視覚的方法(例えば、染色手順)、特異的
末端GlcNAc結合抗体、またはレクチンを用いて実施する。あるいは、所望
の形質転換体は、末端マンノース残基に特異的な特定のレクチンの低減した結合
を示す。
【0079】
(実施例3:マンノシダーゼIIを用いた株の操作)
別の実施例において、微生物におけるヒト糖形態を生成するために、マンノシ
ダーゼIIの作用によって構造GlcNAcManGlcNAcから2つの
残っている末端マンノースを除去することが望ましい。シスゴルジおよび中間(
medial)ゴルジ局在化シグナルをコードする配列を含むDNAライブラリ
ーを、インフレームでマンノシダーゼII触媒ドメインをコードするライブラリ
ーに融合させる。宿主生物体は、株(例えば、これは、高マンノシル化を欠く酵
母(例えば、OCH1変異体))であり、そしてゴルジおよび/またはERにお
いて構造GlcNAcManGlcNAcを有するN−グリカンを提供する
。形質転換後、所望のグリコシル化表現型を有する生物体を、選択する。インビ
トロでのアッセイを1つの方法において用いる。所望の構造GlcNAcMan
GlcNAc(しかし、GlcNAcManGlcNAcは、望ましく
ない)は、酵素GlcNAcトランスフェラーゼIIのための基質である。した
がって、単一コロニーを、この基質(UDP−GlcNAc)存在下でインビト
ロでこの酵素を用いてアッセイし得る。UDPの遊離を、HPLCまたはUDP
についての酵素アッセイのいずれかによって決定する。あるいは、放射性標識化
UDP−GlcNAcを用いる。
【0080】
前述のインビトロでのアッセイを、ハイスループットスクリーニング装置を用
いて個々のコロニーにおいて好都合に実施する。あるいは、レクチン結合アッセ
イを用いる。この場合、末端マンノースに特異的なレクチンの低減した結合は、
所望の表現型を有する形質転換体の選択を可能にする。例えば、Galantu
s nivalisレクチンは、末端α−1,3−マンノースに特異的に結合し
、この濃度は、作動可能に発現したマンノシダーゼII活性の存在下で低減する
。1つの適切な方法において、固体アガロース支持体(Sigma Chemi
cal,St.Louis,MOより利用可能)に接着したG.nivalis
レクチンを用いて、高レベルの末端α−1,3マンノースを有する細胞の形質転
換された集団を枯渇させる。
【0081】
(実施例4:シアル酸トランスフェラーゼを発現するための生物体の操作)
酵素α2,3−シアル酸トランスフェラーゼおよびα2,6−シアル酸トラン
スフェラーゼは、末端のシアル酸を、新生ヒトN−グリカン中のガラクトース残
基に付加し、成熟糖タンパク質をもたらす。ヒトにおいて、この反応は、トラン
スゴルジまたはTGNにおいて生じる。従って、DNAライブラリーを、シアル
酸トランスフェラーゼの触媒ドメインをコードする配列の、トランスゴルジまた
はTGN局在化シグナルをコードする配列とのインフレームの融合によって構築
する。宿主生物体は、株(例えば、高マンノース化を欠く酵母(例えば、OCH
1変異体))であり、これは、トランスゴルジまたはTGNにおいて末端のガラ
クトース残基を有するN−グリカンを提供し、そしてトランスゴルジまたはTG
Nにおける十分な濃度のCMPシアル酸を提供する。形質転換に続いて、所望の
表現型を有する形質転換体を、末端にシアル酸を有するN−グリカンに特異的な
蛍光抗体を用いて選択する。
【0082】
(実施例5:UDP−GlcNAc輸送因子を発現するために株を操作する方
法)
ヒトゴルジUDP−GlcNAc輸送因子のcDNAは、Ishidaおよび
共同研究者らによってクローニングされた(Ishida,N.ら,1999
J.Biochem.126(1):68−77)。Guillenおよび共同
研究者らは、ゴルジUDP−GlcNAc輸送を欠損したKluyveromy
ces lactis変異体の表現型補正によって、イヌ腎臓のゴルジUDPG
lcNAc輸送因子をクローニングした(Guillen,E.ら,1998)
。従って、哺乳動物のゴルジUDP−GlcNAc輸送因子遺伝子は、酵母のゴ
ルジ装置を発現し、そしてこれを機能的に標的化するタンパク質についての全て
の必要な情報を有する。
【0083】
(実施例6:GDP−フコース輸送因子を発現するように株を操作する方法)
ラット肝臓のゴルジ膜のGDP−フコース輸送因子は、Puglielli,
L.およびC.B.Hirschberg 1999 J.Biol.Chem
.274(50):35596−35600によって同定され、そして精製され
た。対応する遺伝子を、標準的技術(例えば、縮重DNAプローブを用いたN末
端の配列決定法およびサザンブロット法)を用いて同定し得る。次いで、インタ
クトな遺伝子を、フコシルトランスフェラーゼもまた発現する宿主の微生物にお
いて発現させ得る。
【0084】
(実施例7:UDP−ガラクトース輸送因子を発現するように株を操作する方
法)
ヒトUDP−ガラクトース(UDP−Gal)輸送因子は、クローニングされ
、そしてS.cerevisiaeにおいて活性であることが示された(Kai
numa,M.ら,1999 Glycobiology 9(2):133−
141)。第2のヒトUDP−ガラクトース輸送因子(hUGT1)は、クロー
ニングされ、そしてチャイニーズハムスター卵巣(Chinese Hamst
er Ovary)細胞において機能的に発現された。Aoki,K.ら,19
99 J.Biochem.126(5):940−950。同様に、Sega
waおよび共同研究者らは、Schizosaccharomyces pom
beからUDP−ガラクトース輸送因子形態をクローニングした(Segawa
,H.ら,1999 Febs Letters 451(3):295−29
8)。
【0085】
(CMP−シアル酸輸送因子)
ヒトCMP−シアル酸輸送因子(hCST)は、Aokiおよび共同研究者ら
(1999)によって、クローニングされ、そしてLec 8 CHO細胞にお
いて発現された。ハムスターCMP−シアル酸輸送因子の分子クローニングもま
た、達成された(EckhardtおよびGerardy Schahn 19
97 Eur.J Biochem.248(1):187−192)。マウス
のCMP−シアル酸輸送因子の機能的発現は、Saccharomyces c
erevisiaeにおいて、Berninsone,P.ら,1997 J.
Biol.Chem.272(19):12616−12619によって達成さ
れた。
【0086】
(表6.真核微生物(例えば、Pichia pastoris)におけるグ
リコシル化を改変するための方法の好ましい実施形態の例)
【0087】
【表6】


【0088】
【表7】



グリコシル化を改変するための方法において使用され得るさらなる方法および
試薬は、以下の文献に記載される:例えば、米国特許第5,955,422号;
同第4,775,622号;同第6,017,743号;同第4,925,79
6号;同第5,766,910号;同第5,834,251号;同第5,910
,570号;同第5,849,904号;同第5,955,347号;同第5,
962,294号;同第5,135,854号;同第4,935,349号;同
第5,707,828号;および同第5,047,335号。
【0089】
適切な酵母発現系は、American Type Culture Col
lection、Rockville、MDのような供給源から獲得され得る。
ベクターは、種々の供給源から市販される。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1A】図1Aは、代表的な真菌性N−グリコシル化経路の概念図である。
【図1B】図1Bは、ヒトN−グリコシル化経路の概念図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖タンパク質上のN−グリカンに対して1,6マンノシルトランスフェラーゼ活性を示さない下等真核生物宿主細胞において、ヒト様糖タンパク質を生成するための方法であって、該方法は、ManGlcNAc炭水化物構造の生成のための1以上の酵素を該宿主細胞に導入する工程を包含し、ここで、インビボでGnT1の基質として働き得る少なくとも30%のManGlcNAcが該宿主細胞内で生成される、方法。
【請求項2】
少なくとも1つの前記酵素が、前記炭水化物構造が生成される前記宿主細胞中の位置のpHで最適な活性を有するように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの前記酵素が、該酵素が局在する細胞小器官中の他の代表的な酵素の平均至適pHの、1.4pH単位内に至適pHを有するように選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記酵素が、通常は該酵素に結合しない細胞標的化シグナルペプチドによって標的化される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの導入された酵素が、前記宿主細胞の小胞体、初期ゴルジ、中間ゴルジ、後期ゴルジ、またはトランスゴルジ網に標的化される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの前記酵素が、マンノシダーゼ、グリコシルトランスフェラーゼおよびグリコシダーゼからなる群より選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記酵素が、ゴルジ装置または小胞体に優勢に局在するマンノシダーゼである、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記糖タンパク質が、6個未満のマンノース残基を有するN−グリカンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記糖タンパク質が、4個未満のマンノース残基を有するN−グリカンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記糖タンパク質が、ガラクトース、シアル酸およびフコースからなる群より選択される1以上の糖を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記糖タンパク質が、構造NeuNAc−Gal−GlcNAc−Manを含む、少なくとも1つのオリゴ糖分枝を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、前記宿主が、Pichia pastoris、Pichia finlandica、Pichia trehalophila、Pichia koclamae、Pichia membranaefaciens、Pichia opuntiae、Pichia thermotolerans、Pichia salictaria、Pichia guercuum、Pichia pijperi、Pichia stiptis、Pichia methanolica、Pichia sp.、Saccharomyces cervisiae、Sacchar
omyces sp.、Hansenula polymorpha、Kluyveromyces sp.、Candida albicans、Aspergillus nidulansおよびTrichoderma reeseiからなる群より選択される、方法。
【請求項13】
前記宿主が、マンノシルトランスフェラーゼおよびホスホマンノシルトランスフェラーゼからなる群より選択される1以上の酵素の活性を欠損している、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記宿主が、1,6マンノシルトランスフェラーゼ;1,3マンノシルトランスフェラーゼ;および1,2マンノシルトランスフェラーゼからなる群より選択される酵素を発現しない、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記宿主が、P.pastorisのOCH1変異体である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記宿主が、GnTIおよびUDP−GlcNac輸送因子を発現する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記宿主が、UDP特異的ジホスファターゼまたはGDP特異的ジホスファターゼを発現する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記宿主から前記糖タンパク質を単離する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記単離された糖タンパク質を、少なくとも1回のさらなるインビトロのグリコシル化反応に供し、続いて前記宿主からの単離に供する工程をさらに包含する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ManGlcNAc炭水化物構造の生成のための1以上の酵素をコードする核酸分子を、前記宿主に導入する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
ManGlcNAcまたはManGlcNAcからのManGlcNAcの生成に関与する1以上のマンノシダーゼ酵素をコードする核酸分子を、前記宿主に導入する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも1つのコードされたマンノシダーゼ酵素が、該マンノシダーゼ酵素が局在する細胞小器官中の他の代表的酵素の平均至適pHの、1.4pH単位内に至適pHを有するか、または5.1〜8.0の間のpHで最適な活性を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記マンノシダーゼ酵素が、5.9〜7.5の間のpHで最適な活性を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記マンノシダーゼ酵素が、マウス、ヒト、Lepidoptera、Aspergillus nidulans、またはBacillus sp.に由来するα−1,2−マンノシダーゼである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも1つの酵素が、該酵素の触媒ドメインと細胞標的化シグナルペプチドとの間の融合タンパク質を形成することによって局在化される、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記融合タンパク質が、細胞標的化シグナルペプチドをコードするDNAフラグメントと、グリコシル化酵素またはその触媒的に活性なフラグメントをコードするDNAフラグメントとのインフレームのライゲーションによって形成される少なくとも1つの遺伝子構築物によってコードされる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記触媒ドメインが、GnT I、GnT II、GnT III、GnT IV、GnT V、GnT VI、GalT、フコシルトランスフェラーゼおよびSTからなる群のメンバーに由来するグリコシダーゼまたはグリコシルトランスフェラーゼをコードし、ここで、該触媒ドメインが、該酵素が局在する細胞小器官中の他の代表的酵素の平均至適pHの、1.4pH単位内に至適pHを有するか、または5.1〜8.0の間のpHで最適な活性を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記核酸分子が、UDP−GlcNAcトランスフェラーゼ、UDP−ガラクトシルトランスフェラーゼ、GDP−フコシルトランスフェラーゼ、CMP−シアリルトランスフェラーゼ、UDP−GlcNAc輸送因子、UDP−ガラクトース輸送因子、GDP−フコース輸送因子、CMP−シアル酸輸送因子、およびヌクレオチドジホスファターゼからなる群より選択される1以上の酵素をコードする、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記宿主が、GnTIおよびUDP−GlcNAc輸送因子を発現する、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
前記宿主が、UDP特異的ジホスファターゼまたはGDP特異的ジホスファターゼを発現する、請求項20に記載の方法。
【請求項31】
糖タンパク質上のN−グリカンに対して1,6マンノシルトランスフェラーゼ活性を示さない下等真核生物宿主細胞において、ヒト様糖タンパク質を生成するための方法であって、該方法は、DNAライブラリーに由来する少なくとも1つのグリコシル化酵素を発現する、遺伝的に混合された細胞集団を生成するために該ライブラリーで宿主細胞を形質転換する工程を包含し、ここで、該ライブラリーは、少なくとも2つの異なる遺伝子構築物を含み、これらのうち少なくとも1つが、グリコシル化酵素またはその触媒的に活性なフラグメントをコードするDNAフラグメントにインフレームでライゲーションされた、細胞標的化シグナルペプチドをコードするDNAフラグメントを含む、方法。
【請求項32】
前記混合された細胞集団から、所望のヒト様グリコシル化表現型を生成する細胞を選択する工程をさらに包含する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
請求項32に記載の方法であって、前記選択が、以下:(a)質量分析法;(b)液体クロマトグラフィー;(c)蛍光活性セルソーター、分光光度計、蛍光定量計またはシンチレーションカウンターを使用する細胞の特徴づけ;(d)所望のオリゴ糖部分に特異的な親和性を有するレクチンまたは抗体に対する宿主細胞の曝露;ならびに(e)糖、抗体およびレクチンからなる群より選択される細胞傷害性分子または放射性分子に対する細胞の曝露、からなる群より選択される1以上の方法によって、グリコシル化タンパク質または単離されたN−グリカンを分析する工程を包含する、方法。
【請求項34】
前記ライブラリーが、以下:遺伝子シャッフリング、インビトロの変異誘発およびエラー傾向性のポリメラーゼ連鎖反応、から選択される技術に予め供せられた、少なくとも1つの遺伝子または遺伝子構築物を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
酵素活性をコードする前記DNAフラグメントが、マンノシダーゼ活性、UDP−GlcNAcトランスフェラーゼ活性、UDP−ガラクトシルトランスフェラーゼ活性、およびCMP−シアリルトランスフェラーゼ活性からなる群より選択される活性を有し、ここで、前記細胞標的化シグナルペプチドが、該酵素を小胞体、シスゴルジ、中間ゴルジおよびトランスゴルジからなる群より選択される宿主細胞の細胞小器官に優勢に局在させる、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記ライブラリーが、グリコシル化酵素をコードする少なくとも1つの野生型遺伝子を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
請求項1または31に記載の方法によって生成される、宿主細胞。
【請求項38】
請求項1または31に記載の方法によって生成される、ヒト様糖タンパク質。
【請求項39】
少なくとも2つの異なる遺伝子構築物を含むDNAライブラリーであって、ここで、少なくとも1つの遺伝子構築物が、グリコシル化酵素またはその触媒的に活性なフラグメントをコードするDNAフラグメントとインフレームでライゲーションされた、細胞標的化シグナルペプチドをコードするDNAフラグメントを含む、DNAライブラリー。

【図1A】
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【図1B】
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【公開番号】特開2011−167194(P2011−167194A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59620(P2011−59620)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【分割の表示】特願2002−506194(P2002−506194)の分割
【原出願日】平成13年6月27日(2001.6.27)
【出願人】(503007287)グライコフィ, インコーポレイテッド (37)
【Fターム(参考)】