説明

改変粒子を含むコーティング組成物およびその使用方法

【課題】改善された傷耐性および引掻耐性を有するコーティング組成物を提供すること
【解決手段】本発明のコーティングは、一般的に、粒子をより表面活性にするように改変されている粒子を含む。反応基をその表面上に含む粒子が改変のために適切である。その粒子の表面張力は、この改変によって低下する。結果としてその改変粒子は、その非改変対応物よりも樹脂と不適合性である。これは、より樹脂と適合性であり従ってその樹脂中に容易に分散する化合物で粒子が処理されるかまたはその化合物と粒子が反応する、当該分野で教示される多くの技術とは対照的である。この粒子をより不適合性またはより表面活性にすると、その粒子の少なくともいくつかは、硬化したコーティングの表面へと浮かび、傷耐性および/または引っ掻き耐性の増強を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、改善された傷(mar)耐性および/または引っ掻き耐性を提供する液体コーティング組成物、ならびにそれを使用する方法に関する。より具体的には、それらの改善された耐性は、改変粒子をフィルム形成樹脂に添加することによって、達成される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
基材に有色ベースコートまたは色素性ベースコートを塗布した後にそのベースコート状に透明(transparentまたはclear)トップコートを塗布することを包含する「有色プラス透明」コーティングシステムが、多数の消費財のためのオリジナル仕上げ(例えば、車および床の被覆(例えば、セラミックタイルおよび板張りフローリング)を含む)として、ますます一般的になっている。この有色プラス透明コーティングシステムは、透明コートに大部分起因する目立つ外観特性(光沢およびイメージの明確さを含む)を有する。
【0003】
1つのコート有色層を含む「1コート」システムは、それ自体がそのトップコートとして塗布される。1コートシステムは、家庭用品、芝刈り機器およびガーデニング機器、内装備品などのために、頻繁に使用される。
【0004】
液体コーティングは、多くのシステム、特に、溶媒放射が許容されるシステムにおいて、使用される。例えば、エラストマー自動車部品のコーティングは、しばしば、液体組成物を噴霧することによって行われる。これらの組成物の多くは、可撓性であるように処方され、その結果、そのコーティングは、ひび割れることなく、基材とともに屈曲し得るかまたは曲がり得る。これらのコーティングは、より軟らかいフィルムを生じ得るので、これらのコーティングは、傷つけ(marring)および引っ掻きに対してより影響を受け得る。
【0005】
トップコートフィルム形成組成物(例えば、家庭用品のための保護用および/または装飾用の1コード、ならびに自動車塗布のための有色プラス透明コーティングシステムにおける透明クリアコート)は、組立てプロセスの間に生じる欠損、および環境および最終製品の通常使用の両方からの損傷を受ける。組立ての間に生じる塗料の欠損としては、厚すぎるかまたは薄すぎる塗料層、「魚の目(fish eys)」またはクレーター、および硬化不足の塗料または過剰硬化した塗料が挙げられる。これらの欠損は、そのコーティング色、脆さ、溶媒耐性、ならびに傷性能および引っ掻き性能に影響を与え得る。マーリングおよび/または引っ掻きもまた、それらの部品の取扱いに起因して、組立ての間、特に、部品を組立て工場へと輸送する間に、生じ得る。損傷を与える環境要因としては、酸性沈殿、日光からの紫外線への曝露、高い相対湿度への曝露および高い温度への曝露が挙げられる。これらの要因はまた、性能を損ない得る。消費財の通常の使用は、しばしば、硬い物質との接触、通常の清浄化プロセスの間のブラシとの接触、および/または研磨洗剤との接触などに起因して、その表面のマーリング、引っ掻き、および/または欠け(chipping)をもたらす。
【0006】
従って、良好な引っ掻き耐性および傷耐性を有するトップコート(可撓性もまた望まれるトップコートを含む)について、コーティング分野において必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、後述するとおりの特徴を達成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の化学的に改変された粒子が分散されているフィルム形成樹脂を一般に含む、液体コーティング組成物に関する。少なくとも1つの反応基をその表面上に含む粒子が、改変のために適切であり、この改変は、その粒子を他の方法よりも表面活性にする部分の付加によってもたらされる。その粒子の表面張力は、この改変によって低下する。結果として、その改変粒子は、その非改変対応物よりも樹脂と不適合性である。これは、より樹脂と適合性であり従ってその樹脂中に容易に分散する化合物で粒子が処理されるかまたはその化合物と粒子が反応する、当該分野で教示される多くの技術とは対照的である。この粒子をより不適合性またはより表面活性にすると、その粒子の少なくともいくつかは、硬化したコーティングの表面へと浮かび、従って、傷耐性および/または引っ掻き耐性の増強を提供する。
【0009】
この粒子は、代表的には、有機粒子もしくは無機粒子、またはそれらの混合物であり、ナノメートル範囲またはミクロン範囲の平均粒径を有し得る。改変粒子を含む組成物を使用するための方法もまた、本発明の範囲内にあり、同様に、これらの方法に従ってコーティングされた基材もまた、本発明の範囲内にある。
【0010】
フィルム形成樹脂中にこの改変粒子を組込むと、これらの粒子を欠く同じコーティングと比較して増強された傷耐性および/または引っ掻き耐性を有するコーティングが、生じることが、驚くべきことに発見された。本発明に従って、コーティングは、これらの改善された傷特徴および/または引っ掻き特徴を伴い、コーティングの外観特性にも、粘性特性にも、他の機械的特性にも有害に影響を与えずに、処方され得る。具体的には、硬化したコーティングの可撓性は、この粒子の付加によって、事実上影響を受けない。
【0011】
「傷(mar)」および「引っ掻き(scratch)」とは、本明細書中において、機械的または化学的な摩耗から生じる、物理的変形を指す。「傷耐性」は、小規模の力学的応力によって生じる外観退化に物質が抵抗する尺度である。「引っ掻き耐性」は、より眼に見える溝、深い溝、または広い溝をもたらし得るより重度の損傷に対して物質が抵抗する能力である。従って、引っ掻きは、一般には、当該分野で傷と呼ばれるものよりは重度であると見なされ、この両者は、当該分野においては異なるものと見なされる。上記のように、傷および引っ掻きは、製造要因および環境要因、ならびに通常の使用を通じて生じ得る。傷および引っ掻きは、多くの点において、同じことの単に異なる程度であるが、傷耐性を改善するコーティングは、引っ掻き耐性を改善することにおいて有効ではないかもしれず、その逆もまた真である。従って、改変粒子および非改変粒子と、他の添加剤との組合せが、最終コーティングにその望ましい特徴を与えるために使用され得ることが、認識される。例えば、特に良好な傷耐性を提供する1つの粒子が、特に良好な引っ掻き耐性を提供する粒子と、組合され得る。別の例において、処理された粒子と未処理の粒子とが、望ましい最終性能を得るために含まれ得る。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、後述するとおりの効果が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、表面領域中に粒子が濃縮されている本発明のコーティング中の化学改変粒子の分散(図1A)、ならびに表面領域およびバルク領域全体にわたって均一に粒子が分散されている本発明のコーティング中の化学改変粒子の分散(図1B)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
本発明は、液体コーティング組成物に関し、この組成物は、フィルム形成樹脂、その樹脂中に分散している複数の粒子、および溶媒を含む。これらの粒子は、その表面張力を低下するように化学的改変されている。その改変粒子の表面張力は、その粒子を用いずに硬化した場合の上記フィルム形成樹脂の表面張力に比べて低い。結果として、それらの粒子の少なくともいくつかは、フィルムとして配置された場合にコーティングの表面へと移動する。これらの粒子は、硬化後にその表面に位置するままであり、一方、他の粒子は、例えば実施例1に示されるように、そのバルク(bulk)全体にわたって分散したままである。この表面領域は、硬化したコーティングに対して優れた傷耐性および/または引っ掻き耐性を付与すると考えられるが、本発明は、この機構によって拘束されることは望まれない。
【0015】
この組成物は、液体(すなわち、水系または溶剤系)であるフィルム形成樹脂から形成され得る。フィルム形成する任意の樹脂が、適合性の問題がなければ、本発明に従って使用され得る。この樹脂を形成する際に有用なポリマーの例としては、ヒドロキシル含有アクリルコポリマーまたはカルボン酸含有アクリルコポリマー、ヒドロキシル含有ポリエステルポリマーもしくはオリゴマーまたはカルボン酸含有ポリエステルポリマーもしくはオリゴマー、オリゴマーおよびイソシアネート含有ポリウレタンポリマーまたはヒドロキシル含有ポリウレタンポリマー、ならびにアミン含有ポリウレタンまたはイソシアネート含有ポリウレアが、挙げられる。これらのポリマーは、米国特許第5,939,491号、第7欄第7行〜第8欄第2行にさらに記載され、この特許ならびにこの特許中で参照される特許は、本明細書中で参考として援用される。これらの樹脂の硬化剤もまた、この’491号特許の第6欄第6行〜第62行に記載される。硬化剤の組合せが、使用され得る。
【0016】
フィルム形成性樹脂は、一般に、組成物の合計固形分重量を基礎にする重量パーセントで、本発明の被覆組成物中に、約40重量パーセントより多く、そして90重量パーセントより少ないような、約20重量パーセントより多い量で存在する。例えば、樹脂の重量パーセントは、20〜80重量パーセントの間であり得る。硬化剤が用いられるとき、それは、一般に、50重量パーセントまでの量で存在し;この重量パーセントもまた、被覆組成物の合計固形分重量を基にする。
【0017】
本発明の被覆が分散され得る有機溶媒は、例えば、アルコール、ケトン、芳香族炭化水素、グリコールエーテル、エステルまたはそれらの混合物を含む。溶媒を基礎にする組成物では、この溶媒は、一般に、30〜50パーセントのような、組成物の合計重量に基づき5〜80重量パーセントの範囲の量で存在している。溶媒のより高い重量パーセントさえ、水を基礎にした組成物中に存在し得、そしてこれらは、水/共溶媒混合物を含む。
【0018】
官能基を有する有機または無機粒子の任意の組み合わせは、改変され得、そして本発明による樹脂に添加され得る。粒子の例は、制限されずに、シリカ;種々の形態のアルミナ;珪酸アルミナ;シリカアルミナ;アルカリ珪酸アルミノ;ホウ珪酸ガラス;二酸化チタンおよび酸化亜鉛を含む酸化物;石英;および酸化ジルコニウムの形態にあるようなジルコンを含む。活性部位を有さない粒子は、これら粒子を水と反応することにより活性化され得る。水との反応において、粒子表面上のこのSi−O−Si結合は、破壊され、そして水分子の付加に際し、2つのSi−OH基が形成される。活性化されることが必要な粒子の例は、窒化ホウ素および窒化シリコン;ネフェリン閃長岩;ブッデルイテ(buddeluyte)、ユージアライト(eudialyte)を含む窒化物を含む。上記の任意の粒子の混合物が使用され得る。1つの実施形態では、被覆組成物中の粒子は、1種類のみの金属酸化物を含む。
【0019】
シリカは、結晶、アモルファス、溶融、または沈降のような任意の適切な形態にあり得る。1つ以上の表面シラノール基を有するシリカ粒子が、本発明における使用のために特に適切である。例えば、シリカ粒子は、約0.5〜4mmol表面OH/g粒子を有し得る。
【0020】
アルミナは、α、β、γ、δ、θ、板状アルミナなどのような、任意のその形態で用いられ得る。粉砕または非粉砕焼成アルミナを含む溶融または焼成アルミナがまた用いられ得るが、代表的には、最初に水による活性化を必要とする。
【0021】
上記で列挙された粒子は、広く市販され入手可能である。例えば、結晶シリカは、Reade Advanced Materialsから;アモルファスおよび沈殿シリカは、PPG Industries、Inc.から;シリカアルミナセラミックアロイ粒子
であるZEEOSPHERESは、3M Corporationから;コロイドシリカは、Nissan Chemicalsから;G−200、G−400、G−600のようなシリカアルミナは、3M Corporationから;W−210、W−410、およびW−610のようなアルカリアルミナシリカは、3M Corporationから;SUNSPHERESとして販売されるホウ珪酸ガラスは、MoSci Corporationから;ならびに石英およびネフェリン閃長岩は、Unimin、Inc.から入手可能である。その他のアルミナ製品は、Micro Abrasives CorporationからWCA3、WCA3S、およびWCA3TOとして、そしてAlcoaからTE4−20として入手可能である。ジルコン、ブッデルイテ(buddeluyite)、ユージアライト(eudialyte)は、Aran Isles Corporationから市販されて入手可能であり、そして窒化ホウ素は、Carborundum Inc.からSHP−605およびHPP−325として入手可能である。多くの市販され入手可能な製品は、実際は、1つ以上の物質の複合体またはアロイであることが認識され;このような粒子は、等しく本発明の範囲内にある。
【0022】
当該技術分野では、粒子は、粒子の性質に影響する1つ以上のカップリング剤「と会合している」と報告される処理粒子が存在する。対照的に、本発明に従って用いられる粒子は、この反応に言及して「化学的に改変された」表面活性部分を有する化合物とのそれらの反応により実際に化学的に改変されている。この化合物は、粒子上の1つ以上の官能基と反応することにより粒子の表面に化学的に付着している。重要なことは、本発明に従って粒子に対してなされたこの化学的改変は、本発明の被覆で用いられるとき、不可逆的である。これは、その改変成分は、通常の使用の間に粒子から次いで除去され得る当該技術分野で公知の改変粒子との別の区別である。さらに、本発明の改変された粒子は、個々の粒子としてそれらの質を保持するよう処方され得、すなわち、それらは、改変後液体被覆中に処方されるとき、塊とならず、または凝集しない。
【0023】
表面活性部分および粒子の官能基と反応する基を有する化合物が、それ故、用いられるべきである。これらの化合物は、一般式1:
F−L−Z (1)を有し得、
ここで、Fは、粒子表面と反応する1つ以上の官能基を含む部分であり、Zは、粒子の表面張力を減少する表面活性部分であり、そしてLは、FとZを連結する基である。本明細書で用いられるとき「表面活性」は、本明細書で用いられる粒子に付着されるとき、粒子の固形表面張力または表面エネルギーを低下する任意の化合物または部分をいう。
【0024】
表面活性は、接触角測定によるか、または表面張力を測定することにより(表面張力は表面活性に逆比例する)測定され得る。非改変粒子の表面張力は、同じ粒子ではあるが、本明細書に記載のような改変基を有する粒子の表面張力に比較され得る。この改変粒子が、その非改変相当物より低い表面張力を有する場合、この粒子に付着した部分がこの粒子の表面張力を減少し、そしてそれ故、本発明の範囲内にあると結論され得る。本発明に関係ある表面張力測定のすべては、その使用が当業者に精通されているRame−Hart
Contact Angle Goniometerを用いるOwens−Wendt法のような、当該技術分野で公知の任意の手段によってなされ得る。
【0025】
本発明の粒子と反応し得、それらをより表面活性にする、一般式1内の化合物の例は式2によって表され得:
Si(OR)−(CH−Z (2)
ここで、Rは、1または2の炭素のような、1〜30の炭素を有するアルキル部分であり、Zは、上記のように、それが付着する粒子の表面張力を減少する部分であり、そしてnは、0、1または2である。式2に式1を比較することで、Fは、Si(OR)で表され得、Lは、(CHで表され得、そしてZは、勿論、Zであり得る。「アルキル」は、本明細書では、特定の数の炭素原子を有する炭素含有基をいい、この基は、環状、または脂肪族の分岐または直線状で、置換されるか、または非置換であり得る。式2を有する化合物が、本明細書に記載のようなヒドルシリル化技法を用いて調製されるとき、「n」は、一般に、2または3である。Si分子に付着した少なくとも1つのアルコキシ基が、粒子の表面上の官能基と反応し;シリカ粒子の場合には、このアルコキシ基は、粒子表面上のシラノール基と反応することが認識される。1つの実施形態では、Zはいかなる芳香族性も含まず、そして別の実施形態では、Zは窒素基を有さない。このZ部分は、官能基を有することができないか、または1つ以上の官能基を有し得る。1つの実施形態では、2つ以上の官能基がZ部分中に存在する。これら官能基は、存在する場合、例えば、樹脂形成で用いられる架橋剤と反応するそれらの能力を基に選択され得る。これは、保持された傷耐性および/または引っ掻き耐性を提供し得る。なぜなら、粒子は、被覆の表面において、樹脂/架橋剤と共有結合するからである。特定の適用には、このような反応は所望されないかも知れず、そしてZ部分は、いかなる官能基も反応基も含まない。
【0026】
本発明によれば、任意のZ部分が用いられ得、そして、一般に、3つのカテゴリーの1つに入る:長鎖アルキル基;フルオロカーボン含有物質;および少なくとも2つのメチル基が付着するシランである。この文脈で用いられるとき「長鎖」は、4つ以上の炭素原子をいい、そしてフルオロカーボン含有物質は、少なくとも1つのCF基を含む物質をいう。この長鎖アルキル基は、直線状または分岐され得る。上記Z部分は、当該技術分野で公知の任意の様式で粒子に導入され得る。例えば、上記Z部分は、それだけで、粒子と反応する、トリアルコキシシランを含む化合物のような化合物の一部であり得る(すなわち、F部分を含む)。
【0027】
あるいは、Z部分を含む化合物は、F部分を含む別の化合物と反応し得る。これは、当該分野で公知の任意の手段によって、F部分とZ部分を引き合わせるために適切なL部分を選択することによって、行われ得る。例えば、第4の置換基が第1の官能基を有するトリアルコキシシランは、「Z」部分および第2の官能基の両方を含む化合物と反応し得る;第1および第2の官能基は、互いに対して反応性であるように選択される。反応すると、F部分およびZ部分は合体する。官能基の任意の対が、使用され得る。例えば、1つの官能基がエポキシである場合、他方の官能基はアミン、カルボン酸またはヒドロキシルであり得る;1つの官能基がアミンである場合、他方はエポキシ、イソシアネートまたはカルボン酸であり得る;1つの官能基がイソシアネートである場合、他方はアミンまたはヒドロキシであり得る;そして、1つの官能基がアクリレートである場合、他方はアミンであり得る。特定の例としては、グリシジルオキシトリメトキシプロピルシラン(「A−187」)と(ジ)アルキルアミンとの反応、またはA−187とステアロイルサルコシンとの反応が挙げれられる。
【0028】
長鎖アルキルを有する化合物の例としては、式2の内の化合物があり、ここで、Zは、−(CHn1−CHであり、そして、nは、1〜30である(例えば、7〜17)。この実施形態において、nとn1の合計は、3以上である。特定の例としては、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、およびオクタデシルトリエトキシシランが挙げられる。長鎖アルキルを導入する、式2の内の別の特定の実施形態において、Zは、
【0029】
【化2】

【0030】
であり、nは、1〜3であり、そして、RおよびRは、同じかまたは異なり、そして、Rは、水素または1〜30炭素原子のアルキル基であり得、そして、Rは、4〜30炭素原子のアルキル基である。例えば、Rは、Hであり得、そして、Rは、C13、C17またはC1225であり得るか、あるいはRおよびRの両方が、(C)であり得る。この実施形態はまた、「F−L−Z」化合物に官能基も導入する。
【0031】
フルオロカーボン含有部分を有する化合物の例としては、nが、1または2であり、Zが、−(CF−CFであり、そして、mが0〜30(例えば、7)である、上記の式2を有する化合物が挙げられるが、これに限定されない。ペルフルオロアルキルトリアルコキシシラン(例えば、ペルフルオロオクチルトリエトキシシラン、フルオロプロピルトリメトキシシラン、およびペルフルオロデシルトリエトキシシラン)は、このカテゴリーに入る。
【0032】
ジメチルシラン部分を有する化合物の例としては、nが、0であり、Zが、−(CHn3−(Si(CH)−O)m1−Si(CHであり、nが0〜17(例えば、2)であり、そして、mが、1と50との間(例えば、1と10との間)である、式2の化合物が挙げられる。本発明が上に列挙した例のいずれにも限定されないことが理解される。さらに、F−L−Z化合物の組合せが、1種類以上の表面活性部分を粒子に結合させるために使用され得る。
【0033】
本発明の粒子の改変は、当該分野で標準的な手段によって行われる。粒子が表面上官能性を有さない場合、まず、それらを少量の水(すなわち、約1%)で処理して、表面上にSi−OH基を形成することで、表面を活性化させる。この処理に使用される少量の水は粒子と反応し、実質的に水は残らない。表面官能基を有する粒子は、触媒の存在下で、わずかに高い温度(すなわち、約60℃)で、少なくとも約2時間、1種類以上のシリル化試薬(例えば、ジブチルチンラウレート)と反応される。代表的には、約0.1重量%と5.0重量%の間(例えば、1%)で触媒が添加される。あるいは、粒子およびシリル化試薬は、少量の水と混合され、高温(例えば、約120°F)で一晩中(例えば、14+数時間)加温され得る。一般的に、約1%と100%の間(例えば、約20%100%との間と)の粒子上の表面官能基が、シリル化試薬と反応し得る。「シリル化試薬」は、粒子と反応する反応がどのように行われるかに依存して、F化合物、F−L化合物、またはF−L−Z化合物という。例えば、F含有化合物またはF−L含有化合物は、まず粒子と反応させられ得、後でL−Z含有化合物またはZ含有化合物が添加される。あるいは、F−L−Z化合物は、粒子と直接反応させられ得る:この実施形態は、より安定な粒子を提供するので、代表的には、より好ましい。シリル化試薬は、1重量%、5重量%、または約10重量%までの量で、またはより多い量で添加され得る(この重量%は、シリカの総重量に基づく)。
【0034】
トリフルオロアルキルトリアルコキシシラン化合物が粒子と反応される実施形態において、例えば、トリフルオロアルキル化合物とトリアルコキシシラン化合物がまず反応され得、続いて、反応生成物(すなわち、F−L−Z化合物)が粒子と反応される。あるいは、まず、粒子がトリアルコキシシランと反応され得、フルオロ化合物が、粒子に結合した後で、シランに反応される。
【0035】
本発明の改変の結果は、改変された粒子の表面張力を低下させることである。本発明に従って、改変粒子の表面張力は、それらが配置されるフィルム形成樹脂の表面張力よりも小さい。粒子と樹脂の表面張力を比較する目的で、本発明の粒子、および表面張力読取りに影響を与える任意の他の添加物を有さないで硬化フィルム形成樹脂の表面張力を測定する;この表面張力の測定値を、改変した粒子そのものの表面張力の測定値と比較する。フィルム形成樹脂の表面張力よりも小さい表面張力を有する粒子の添加の結果として、本発明の組成物の全体としての表面張力もまた、低下する。そのために、本発明はさらに未硬化のコーティング組成物に、表面張力が粒子なしの硬化コーティングの表面張力よりも小さい粒子を添加することによって、硬化コーディングの表面張力を低下させるための方法に関する。
【0036】
本発明に従って改変され得る粒子のいくつかは、供給者によって適用された、いくつかの形態の表面処理をすでに含んでいる。例としては、MIBK−ST(これは、MIBK溶媒中のコロイド状シリカである)およびMEK−ST(これは、MEK溶媒中のコロイド状シリカである)(これらの両方がNissanから市販されている)が挙げられる。しかし、このような粒子は、代表的には、コーティングを形成するために有用なフィルム形成樹脂の表面張力よりも高い表面張力を有する。本発明の改変は、粒子が、供給者からすでに特定の表面処理を受けているかどうかに関わらず、それらの粒子を本発明での使用に適するようにするレベルにまで、市販の粒子の表面張力を低下させるものに供される。
【0037】
低い表面張力の結果として、本発明の改変された粒子の少なくともいくつかが、液体コーティングの表面領域へ移動し、硬化の間そしてその後にそこに残る。粒子の移動の程度は、種々の因子(表面処理のタイプ、樹脂のタイプ、および樹脂中の他の添加剤が挙げられるが、これらに限定されない)に依存する。いくつかの実施形態において、硬化コーティングの表面領域は、図1Aに示されるように、硬化組成物のバルク領域よりも高濃度の粒子を有する。他の実施形態において、表面活性粒子は、図1Bに示されるように、表面領域およびバルク領域の全体により均等に分散される;この実施形態において、改変粒子の一部が、表面へと移動したことが理解される。
【0038】
上で考察したように、本発明の粒子の移動は、F−L−Z化合物で改変した結果である。この化合物は、本発明の粒子を、それらが、未改変形態であろうよりも樹脂に対してより非適合性にするように作用する。この新規のアプローチは、代表的には、粒子を樹脂に対してより非適合性にするのではなく、より適合性にするように改変される、当該分野の他の改変粒子とはかなり異なる。それらは樹脂と適合しているので、それらは、代表的には、コーティングの表面まで上がってこない。これらの粒子は、樹脂の表面張力よりも大きいか、またはそれに可能な限り近い表面張力を有するように作製される。対照的に、本発明の粒子の表面張力は、樹脂の表面張力よりも小さくされる。当該分野で報告されている他の粒子は、一旦樹脂の全体に分散されると、粒子に結合する官能基を有するように設計されている;この粒子は、「留まって」、樹脂または架橋剤と反応し、そして表面に移動しないように設計されている。対照的に、官能基が本発明の粒子に含まれる場合、それらの官能基は、それらが表面に移動し、そして、次に、粒子中の官能基が、樹脂または架橋剤上の官能基と反応性である場合にのみ、樹脂と結合する。従って、本発明の粒子は、当該分野で報告された他の粒子とは極めて異なる。
【0039】
「硬化した組成物」とは、成分が互いに反応して、加熱の際の融解に耐えるものをいうことが理解される。硬化したコーティングの「表面領域」は、本明細書中において、コーティングの上4分の1をいうように使用される。対照的に、硬化した組成物の「バルク領域」とは、表面領域より下の、表面領域との界面から基材まで、または改変粒子を含む硬化したコーティングの下の隣の層のコーティングまで延びる部分をいい、一般に、全コーティング厚の約4分の3である。
【0040】
粒子の濃度は、例えば、当該分野において周知の種々の表面分析技術(例えば、透過型電子顕微鏡法(「TEM」)、表面走査電子顕微鏡法(「X−SEM」)、原子力顕微鏡法(「AFM」)、およびX線光電子分光法であり、これらの使用は、当業者に馴染み深い)によって、決定され得る。例えば、本発明のコーティングの顕微鏡写真を見ると、少なくともいくつかの粒子が、表面領域に移動していることが明らかである。
【0041】
粒子は、粒子の一部分が少なくとも部分的に、硬化したコーティングの表面の上に突出し、有機コーティング層によって本質的に保護されないように、表面領域に存在し得ることが理解されるべきである。あるいは、これらの粒子は、これらの粒子が樹脂によって完全に覆われるように、表面領域に存在し得る。
【0042】
本発明において使用される粒子は、ナノメートルからマイクロ範囲までの範囲の平均粒子半径を有し得る。「ナノ粒子」は、約2.0ナノメートルと500ナノメートルとの間の範囲のサイズ範囲、例えば、約5nmと200nmとの間のサイズ範囲で使用され得る。「微粒子」とは、約0.5ミクロンと50ミクロンとの間のサイズ範囲、例えば、1ミクロンより大きく30ミクロンまで、0.5〜10ミクロン、または0.5〜5ミクロンで使用され得る。上に列挙される任意の粒子が、本発明に従って、これらの範囲内の任意のサイズで使用され得る。
【0043】
粒子サイズは、当該分野において公知の任意の方法に従って、例えば従来の粒子サイズ分析器によって、決定され得る。例えば、平均粒子サイズが1ミクロンより大きい場合、レーザー散乱技術が使用され得、そして1ミクロン未満の平均粒子サイズについては、TEMが使用され得る。
【0044】
粒子の形状または形態は、選択される粒子の型に依存して変化し得る。例えば、ほぼ球状の粒子(例えば、結晶性材料、固体ビーズ、マイクロビーズ、または中空球)が使用され得、同様に、板状、立方体、または非円形(すなわち、細長または繊維性)の粒子も使用され得る。粒子はまた、ランダムな形態またはランダムでない形態を有し得る。さらに、粒子は、中空、多孔性、または空隙なし、または任意の組み合わせの、内部構造(例えば、多孔性または中実の壁を有する中空中心)を有し得る。特定の適用について、1つの粒子形状は、他のものより適切であり得ることが理解される。しかし、粒子の形状は、他の適用には無関係であり得る。異なる形態を有する粒子の組み合わせが使用されて、最終コーティングに所望の特徴を与え得ることが理解される。
【0045】
粒子の組み合わせはまた、コーティングに所望のレベルの傷耐性および/または引っ掻き耐性を与えるために使用され得る。例えば、傷耐性を与えるために特に良好なナノサイズの粒子、および引っ掻き耐性を与えるために特に良好な微粒子が、組み合わせられ得る。改善された傷耐性および引っ掻き耐性が、特定の粒子を用いて得られるのか、粒子の組み合わせを用いて得られるのかを決定するために、2つのコーティング組成物が調合され得、これらの組成物の唯一の差異は、一方が本発明の改変粒子を含み、そして一方は含まないことである。これらのコーティングは、当該分野において標準的に公知の任意の手段(例えば、以下の実施例の説に記載される手段)によって、傷耐性および引っ掻き耐性について試験され得る(すなわち、「傷および/または引っ掻き試験」)。粒子含有組成物および非粒子含有組成物についての結果が比較されて、改善された耐性が、選択された粒子が添加される場合に得られるか否かを決定し得る。これらの試験のいずれかにおける小さな改善さえも、本発明による改善を構成する。従って、本組成物は、硬化する場合、粒子を欠く組成物より大きい傷耐性および/または引っ掻き耐性を有する。20%以上、50%以上、または70%以上さえの光沢保持百分率が、本発明に従って達成され得る。
【0046】
優れた傷耐性および/または引っ掻き耐性に加えて、本組成物のいくつかの実施形態は、コーティングとして硬化する場合に、優れた可撓性を有する。実施例3は、傷耐性および/または引っ掻きたい精と、良好な可撓性との両方を有する、いくつかの調合物を提供する。これらのコーティングは、当該分野において標準的な任意の手段(例えば、以下の実施例の節に記載されるもの)によって、可撓性について試験され得る(すなわち、「可撓性試験」)。この試験によって測定される場合、可撓性は、代表的に、0〜10の尺度で報告され、ここで、10が最良である;「可撓性」とは、本明細書中で使用される場合、この尺度に基づく可撓性試験における性能をいう。0〜10の尺度は、実施例の節にさらに記載されている。本発明の可撓性コーティングは、可撓性が70°Fで測定される場合、代表的に、そして一貫して、約6以上の可撓性を示す。粒子を含有し、そしてこのような優れた傷耐性および/または引っ掻き耐性を有するコーティングがまた、このような優れた可撓性を有することは、驚くべきことであった。代表的に、可撓性であるように(すなわち、6以上の可撓性)調合されるコーティングは、非常に柔軟であり、従って、傷および/または引っ掻きに対してさほど耐性ではない。従って、本発明は、さらに、38%以上の傷および/または引っ掻き試験ならびに6以上の可撓性(例えば、8以上の可撓性で55%以上または75%以上)の後に、光沢保持を有する、硬化したコーティングに関する。
【0047】
粒子は、代表的に、本発明の効果可能なコーティング組成物中に、0.01から20.0重量%の範囲の量で、例えば、0.01から10重量%の範囲の量で、そしてしばしば、0.01〜8重量%の範囲の量で存在し、ここで、重量%は、コーティング組成物の全固形物重量に基づく。クリアコートの適用について、そして/または透明さが重要である場合、0.01〜5または1〜3の重量%が、特に適切である。着色された系については、2.0〜11.0の重量%が、特に適切である。傷耐性および引っ掻き耐性における改善は、粒子の濃度画像化するにつれて増加することが、理解される。以下の実施例の節に記載される試験は、当業者によって、どの重量%または「ロード」の粒子が所望のレベルの保護を与えるかを決定するために使用され得る。
【0048】
使用される粒子の大きさと、粒子のロードとの両方が、傷耐性および/または引っ掻き耐性のレベルのみでなく、硬化したコーティングの外観にもまた影響を与え得る。従って、粒子のサイズおよびロードは、例えば、認容可能なヘーズ、傷耐性および/または引っ掻き耐性のレベル、コーティングの厚さなどを考慮して、特定の適用に基づいて、使用者によって最適化されるべきである。外観が特に関連する場合(例えば、自動車のクリアコートにおいて)、比較的低いロードおよび粒子サイズが使用され得る。5重量%未満のロード、さらに、1重量%未満のロード、および約3〜6ミクロンの間の粒子サイズが、特に適切である。産業用の1コート系(ここでは、ヘーズは重要ではない)について、または他の顔料が存在する場合は、約10%まで、またはなおさらに高いロードが使用され得、同様に、粒子サイズは、10ミクロンまたはなおより大きくあり得る。当業者は、硬化したコーティングの外観または他の機械的特性を損なうことなく、所望のレベルの傷耐性および/または引っ掻き耐性を達成するために、粒子サイズおよびロードを最適化し得る。異なるサイズを有する粒子の混合物は、所定の適用について特に適切であり得る。
【0049】
ヘーズはまた、類似の屈折率(「RI」)を有する樹脂および粒子を選択することによって、少なくともある程度まで最小にされ得る(すなわち、樹脂のRIと粒子のRIとの間の差異(「ΔRI」)が最小にされる)。いくつかの適用において、例えば、クリアコートに関して、ΔRIは、1未満、または0.1未満でさえあり得る。異なるRIを有する粒子の組み合わせを使用してまた、ヘーズを減少させることを補助し得る。ΔRIを最小にすることは、粒子のサイズが大きい場合(すなわち、約6ミクロンより大きい)、および/または粒子のロードが約2重量%より大きい場合(すなわち、約8重量%より大きい)、特に重要である。
【0050】
本発明の液体組成物は、従来の添加剤(例えば、可塑剤、抗酸化剤、光安定剤、UV吸収剤、揺変性剤、抗ガッシング剤、有機共溶媒、殺虫剤、界面活性剤、流量制御剤および触媒)を含み得る。そのような全ての当該分野で公知の添加剤を、適合性の問題なしに使用し得る。
【0051】
本発明の粒子を、液体コーティング形成の間の任意の適切な時点で添加し得る。適切な時間は、粒子のタイプ、改変のタイプ、樹脂のタイプ、および他の調合添加剤のようなパラメータに依存して変化しえる。調合の当業者は、これらのパラメータに基づいて粒子を加える、方法と時期を決定し得る。代表的に粒子は、溶媒に加えられ、その後、他の成分が加えられる。
【0052】
本発明の液体組成物は、任意の従来の方法(例えば、ブラッシング、ディッピング、フローコーティング、ロールコーティング、従来および静電スプレー)に適用され得る。スプレー技術は、最も頻繁に使用される。代表的に、液体コーティングのためのフィルムの厚さは、0.1ミルと5ミルの間(例えば、0.5ミルと3ミルの間、または約1.5ミル)の範囲であり得る。
【0053】
幾つかの液体調合物は、周囲温度で硬化され(例えば、ポリイソシアネートまたはポリ無水物硬化剤を使用する調合物)、または硬化を早めるために最小限に上げた温度で硬化され得る。ある実施例は、約40〜60℃の下流のドラフトブース内で、空気硬化させた。ここで、これは、自動車仕上げ産業で知られている。周囲温度で硬化し得る組成物は、通常、周囲硬化剤(「周囲硬化剤パック」)が、反応官能基を含むフィルム形成樹脂(「樹脂パック」)から分離された状態にある、2つのパッケージシステム(「2K」)とし
て調製され得る。パッケージを、適用する直前に結合する。本発明のある実施形態では、アミノプラスト(aminoplast)硬化剤を、2Kシステムの樹脂パックに添加する。アミノプラスト(aminoplast)は、周囲温度で硬化せず、それゆえその樹脂パックとの混合物は、問題とならないことが、認められた。この樹脂パックと周囲硬化剤パックとの混合、および基材上に生じる混合物の適用に続いて、樹脂とのアミノプラストの硬化を容易にするために、基材は、熱的に処理され得る;そのような硬化条件は、当業者に周知である。このように、アミノプラストおよび周囲硬化剤の両方を用いて、理想の硬化が達成される。アミノプラストは、市販されている。特に適切なアミノプラストは、メラミンであり、例えば、商業的にCytec工業、IncからCYMELラインで入手可能であるものである。
【0054】
熱的に硬化可能な液体組成物(例えば、ブロックイソシアネート、アミノプラスト、フェノプラスト、ポリエポキシド、またはポリ酸硬化剤を使用する組成物)は、1つのパッケージシステム(「1K」)として調製され得る。これらの組成物は、上げた温度で硬化され、代表的には、1〜30分間、約250°F〜約450°F(121℃〜232℃)であり、主に使用される基材のタイプに依存する。休止時間(すなわち、コーティングされた基材を硬化のために上げた温度にさらす時間)は、使用される硬化温度ならびに適用されるコーティング組成物の湿潤フィルムの厚さに依存している。例えば、コーティングされた自動車のエラストマー部品は、より低い硬化温度で、長い休止時間(例えば、25
0°F(121℃)で30分)を必要とする。一方、コーティングされたアルミニウムの
飲料容器は、非常に高い硬化温度で非常に短い休止時間を必要とする(例えば、375°F(191℃)で1分)。1Kシステムは、化学線放射(例えば、紫外線または電子ビー
ム)に曝すことによっても硬化され得る。
【0055】
本発明のコーティング組成物は、多様な基材(例えば、フェンダー、フード、ドアおよびバンパのような自動車の基材ならびに、洗浄機および乾燥機のパネルおよびふた、冷蔵庫のドアおよびサイドパネル、照明備品および事務用の金属家具を含む家事用器具のような産業的な基材)に適用され得る。そのような自動車および産業の基材は、金属(例えば、アルミニウムおよび鋼鉄の基材)ならびに非金属(例えば、熱可塑性または熱硬化性(すなわち「ポリマー性」)基材であり得、例えば、透明な可塑性性基材、ポリカルボネート、ポリメチルメタクリレートおよび熱可塑性ポリオレフィンのようなエラストマー性基材を含む。木材基材も、当組成物でコーティングするのに適している。
【0056】
本発明のコーティング組成物は、クリア−カラー複合コーティングにおいて、頂部のコーティングおよび/または透明のコーティングとして特に有用である。着色された形態の、本発明の組成物は、基材に直接適用されて、カラーコートを形成し得る。あるいは、本発明のコーティング組成物は、カラーコート(プライマーコートまたはカラートップコートのいずれか)の上への適用のための着色されない、クリアコートの形態であり得る。カラートップコートとして使用される場合、約0.5〜5.0ミルのコーティング厚が有用であり、そしてクリアコートとして使用される場合、約1.0〜4.0ミルのコーティング厚が、一般に使用される。
【0057】
従って、本発明は、さらに、1種以上の本組成物でコーティングされた基材に関する。基材および組成物、ならびにこの組成物を適用する方法は、上記に記載される。
【0058】
さらに、本発明は、フィルム形成組成物から沈着されたベースコートならびにベースコートの少なくとも一部分に適用されたトップコート(ここで、頂部は、本発明の全てのコーティング組成物から沈着される)を含む、多層複合コーティング組成物に関する。ベースコートは、約0.5ミル〜4ミルの間の硬化されたフィルムの厚さを有し得、一方、頂部コーティングの硬化されたフィルムの厚さは、10ミル以内であり得る。ベースコートは、頂部コーティングの適用の前に硬化され得、または2つのコーティングが一緒に硬化され得る。ある実施例では、ベースコートは、着色されたフィルム形成組成物から沈着され得、一方、当化合物から形成された頂部コーティングは、実質的に透明である。これは、上記に議論したカラープラスクリア系であり、しばしば自動車の塗布に使用される。別の実施例において、層の1つより多くは、本発明の粒子を含み得る。
【0059】
なお別の実施形態において、本発明は、当組成物を基材の少なくとも一部分に適用することを含む、コーティングされた基材のきず耐性および/または引っ掻き耐性を改善するための方法に関する。適用は、当該分野で公知の任意の方法によって、上記に記載した厚さに適用され得る。
【0060】
硬化されるとき、本発明に従って形成されるコーティングは、粒子が存在しないものに比べると、顕著な外見の特性ならびに、引っ掻き耐性およびきず耐性の特性を有し得る。
【0061】
他に特別に述べられない限り、明細書中で使われる場合、値、範囲、パーセンテージを表わす数字のような全ての数字は、用語「約」が、明確に示されてない場合でさえも、用語「約」の前置きがあるかのように読まれ得る。また、ここに記載される任意の数字的な範囲は、包括された補足範囲を含むように企図される。明細書中で使われる場合、用語「ポリマー」は、オリゴマーならびにホモポリマーおよびコポリマーの両方を意味し、接頭辞「ポリ」は、2つまたはそれ以上を意味する。
【0062】
(実施例)
以下の実施例は、本発明を例示することを意図し、いかなる様式でも本発明を限定するように構成されるべきではない。
【0063】
全ての実施例について、そうでないことが記載されない限り、20°光沢は、Gardener Instrument Company,Inc.から入手可能なハンドヘルド20°NOVO−GLOSS 20統計的光沢測定器を用いて測定された。
【0064】
BON AMI傷耐性(「BON AMI」)を、Atlas Electrical Devices Co.(Chicago,Illinois)から入手可能なAtlas AATCC Mar Tester Model CM−5を使用して実施した。この機器のアーム上のアクリルフィンガーに係留されたフェルト布を使用して、一連の10回の二重擦り(そうでないことが記載されない限り)を、各パネル(これはBON AMIクレンザーで被覆されている)について実施した。次いで、このパネルを、水道水でリンスし、そして乾燥させた。傷耐性を、20°光沢%として表わし、この傷耐性は、表面が傷テスターによって傷付けられた後も維持された。傷耐性を、以下として測定した:傷耐性%=(傷付けられた光沢÷元の光沢)×100。
【0065】
1、2および9μの3M研磨紙スクラッチ耐性(「1、2または9μペーパー」)もまた、Atlas Testerを使用して実施した。フェルト布で裏打ちした3M研磨紙の2インチ×2インチ片を、この機器のアーム上のアクリルフィンガーに係留し、そして一連の10回の二重擦り(そうでないことが記載されない限り)を、各パネルについて実施した。次いで、このパネルを冷水道水でリンスし、そして乾燥した。スクラッチ耐性を、20°光沢%として表わし、これはその表面がスクラッチテスターでスクラッチされた後も維持された。スクラッチ耐性を以下として測定した:スクラッチ耐性%=(スクラッチされた光沢÷元の光沢)×100.
BYKGardnerヘイズを、製造者の指示書に従って、BYK/Haze Gloss Instrumentを使用して測定した。
【0066】
Amtec Kistler Car Wash Testを、初めに有色コートおよびクリアコートをスチール基板パネルに塗布して硬化することによって実施した。これらのパネルを、Amtecカーウオッシュマシン(Amtec Kistler,Germany製、これはヨーロッパで使用されるカーウオッシュマシンをシミュレートする)中に配置した。可動プラットフォームは、これらのパネルを回転ポリエチレンブラシの下に輸送し(2つがこのブラシの下を通る=1サイクル)、同時に水/石英金属混合物(二酸化ケイ素石英、1.5g/l)をこのパネルに噴霧した。20°光沢測定器の読み取りを、この試験の前後に記録した。
【0067】
これらの試験の結果を、種々の試験の前後の両方の光沢読み取りの面から以下の表に記載し、光沢維持%として示す。
【0068】
曲げ試験(「可撓性」)について、1インチ×4インチ(2.54cm×10.16cm)片を被覆試験パネルから切り出した。この細片を、4インチ長(10.16cm)の試験片の2つの端部が互いに接触するように、1/2インチ(1.27cm)直径のスチールマンドレルの周りの曲げに供た。可撓性を70°F(21.1℃)で評価した。評価尺度は、0〜10である。「10」は、塗料のひび割れがないことからなる。「9」は、5個未満の断続的な短い線のひび割れを有する。「8」は、最大4個の連続的ひび割れを有する断続的な線のひび割れを有する。「6」は、5〜10個の非介在の連続的な線のひび割れを有する。「4」は、15個より多くの連続的な線のひび割れを有する。「0」は、基板の破損である。
【0069】
(実施例1)
種々の粒子およびコーティングについての種々の表面張力測定を、本発明を説明するために表1に示されるように実行した。接触角度測定(水およびヨウ化メチレンの両方)を、Rame−Hart Contact Angle Goniometerを使用して行った。表面張力計算を、Owens−Wendt法を使用して行った。
【0070】
【表1】

【0071】
表2の粒子1と同じナノ粒子
表2の粒子4と同じナノ粒子
表2の粒子2と同じナノ粒子
実施例3に記載されるように調製した2K処方物
実施例5に記載されるように調製した1K処方物
表に示されるように、未改変MIBK−ST(52.7)の表面張力は、硬化2Kコーティングおよび1Kコーティングを欠く粒子の表面張力(それぞれ、47.8および39.8)よりも高かった。本改変は、2つの異なる改変について、52.7から38.9および24にMIBK−STの表面張力を減少させた。改変粒子についての表面張力測定値(38.9および24)は、コーティングを欠く粒子についての表面張力測定値(47.8および39.8)よりも低い。従って、これらの改変粒子は、本発明のコーティング組成物を形成するためにこれらの樹脂とともに使用するのに適する。表においてさらに説明されるように、本発明の粒子の添加は、硬化したコーティングの表面張力を低下させるのに役立った;2Kの例について、表面張力は、47.8から41.7または39.5のいずれかに下げられ、そして1Kの例について、表面張力は、39.8から32.6または29.2に下げられた。比較として、39.8の表面張力を有する1Kコントロールに加えた場合、52.7の表面張力を有する未改変粒子は、粒子を含む硬化コーティングの表面張力を44.0に増加するのに役立った。
【0072】
(実施例2)
表面改変シリカナノ粒子(粒子1〜17)は、ケトン(MEK、MIBK、MAK)中の30%シリカコロイド分散物を、5〜10%の界面活性アルコキシシランまたはアルコキシシロキサンと、触媒としての1〜2%のジブチルスズジラウレート(DBTDL)の存在下で、2〜6時間、60℃で、表2に従って反応させることによって、調製した。ナノ粒子は、Nissanから得た。粒子18(微粒子)を、MIBK溶媒中で5〜10重量%の粒子を分散させることによって調製し、次いで、ナノ粒子について記載されたように、界面活性部分との反応のために同じ手順を続けた。
【0073】
【表2】

【0074】
(実施例3)
実施例2に記載されるように調製された粒子を、可撓性の2つのパック液体コーティングシステムの樹脂含有部分に処方し、その成分を、表3においてグラムで列挙する。UV吸収材および処理されたナノ粒子を、溶媒に連続的に添加し、続いて、残りの成分の全てを添加した。
【0075】
Sequel1440プラーク(TPOプラスチック)を、PPG製のMPP4100D接着プロモーターを、0.2〜0.3ミルの標的乾燥フィルム厚さ(「DFT」)までコーティングし、30分間空気乾燥し、CBCK8555Aブラック(PPG製のメラミンヒドロキシルベースコート)でコーティングし、90秒間周囲温度でフラッシュし、C
BCK8555Aの第2のコーティングで0.8〜1.0ミルの合計標的DFTまでコーティングし、周囲温度で90秒間フラッシュし、サンプル22〜26のうちの1つで、1.5〜1.8ミルの標的DFTまで、2つのコートをコート間で90秒間周囲温度でフラッシュおよび焼く前の10分間の周囲フラッシュ、ならびに40分間250°Fでの焼きを適用することによって、コーティングした。サンプルを、2パックシステムの樹脂パックおよび架橋剤パックの混合の15分以内で噴霧することによって適用した。20°光沢の読みを決定する前に、パネルを洗浄しなかった。
【0076】
【表3】

【0077】
メチルn−アミルケトン。
3−エトキシプロピオン酸エチル。
TINUVIN 328、Ciba Geigy製のUV吸収剤。
アクリル樹脂:34.8%ヒドロキシエチルメタクリレート/23.4%2−エチルヘキシルメタクリレート/20.8%2−エチルヘキシルアクリレート/20.0%スチレン/1.0%メタクリル酸−−n−ブチルアセテート中の60%固体およびメチルエーテルプロピレングリコールアセテート(約6700のMwを有する)。
10ポリエステル樹脂:23.0%1,6ヘキサンジオール/18.6%トリメチロールプロパン/8.3%トリメチルペンタンジオール/18.5%アジピン酸/31.8%無水4−メチルヘキサヒドロフタル酸−−n−ブチルアセテート中の80%固体(約5000のMwを有する)。
11Koch Chemicals製のフェニル酸ホスフェート酸触媒。
12Ciba Geigy製のTINUVIN123ヒンダードアミン光安定化剤。
13キシレン中62%固体の流れ制御剤(約6700のMwを有する)。
14Bayer Corporation製のDES N 3300イソシアネートHDIトリマー。
【0078】
本発明の粒子を含むサンプル(サンプル3、4、5)は、非改変粒子(サンプル2)および粒子無し(サンプル1)のコントロールよりも、より良い耐傷性および耐引っ掻き性を有した。さらに、本発明のサンプルは、非改変または粒子無しのサンプルに匹敵する可撓性を有した。従って、本発明は、可撓性および耐傷性および/または耐引っ掻き性の両方を組み合わせるコーティングを提供する。
【0079】
(実施例4)
サンプル6〜14を、それぞれ、粒子1〜9を使用して実施例3に一般的に記載されるように、調製した。これらのサンプル全てが、以下の成分(g)を含んだ:
【0080】
【表4】

【0081】
ED5000(PPG製の伝導性電着コーティング)で処理された冷間圧延鋼パネルを、APR22986としてACT Laboratoriesから得た。次いで、サンプル6〜14を、8path Wet Film Applicator #14(Paul N.Gardner Company,Inc製)を使用して、1.5〜1.8ミルの標的DFTにドローダウンすることによって塗布し、10分間周囲フラッシュし、そして40分間250°Fで焼いた。9ミクロン紙引っ掻き試験を実施した。サンプル7〜11を、さらに、Sequel1440プラークで試験し、実施例3に記載のように調製および試験した。結果を表5に示す。本発明に従って改変された粒子を使用するサンプル7〜14は、粒子を欠くコントロールコントロール(サンプル6)よりも、かなり良好な光沢保持を示した。
【0082】
プラークで試験したサンプル(サンプル7〜11)は、良好な光沢保持を示した。
【0083】
【表5】

【0084】
(実施例5)
1パック(「1K」)剛性コーティングシステムで使用するために適したクリアコート処方物(サンプル15〜17)を、表6に示される成分(g)を使用して調製した。各成分を、攪拌しながら連続的に混合した。ED5051(PPG製の伝導性電着コーティング)で処理された鋼パネルを、APR28215としてACTから得た。パネルをコーティングし、そしてベースコートおよび本サンプルを用いて実施例4に一般的に記載されるように試験したが、40分よりも30分の焼き時間および250°Fよりも285°Fの温度で行った。光沢保持率は、コントロール(サンプル15)と比較して、本発明に従って調製されたサンプル(サンプル16〜17)でより高かった。
【0085】
【表6】

【0086】
15アクリル樹脂:40%ヒドロキシプロピルアクリレート;18.5%n−ブチルメタクリレート;19%n−ブチルアクリレート;20%スチレン;0.5%メチルメタクリレート;2.0%アクリル酸−−キシレンおよびAromatic100(Exxon)中71%固体。
16CYMEL202メラミン、Cytec Industries.Inc。
17フェニル酸ホスフェート触媒 n−ブタノール中75%溶液。
【0087】
(実施例6)
2パックコーティングを、表7に示す成分および量(g)を使用して調製した。サンプル18は、粒子を含まないコントロールサンプルであった;この市販の生成物は、4容積のCONCEPTウレタンクリアDCU2021、1容積のDCX8高固体ハードナー(hardner)および1容積のDT885シンナーから構成された。サンプル19〜23を、本発明に従って調製した。簡単に述べると、パックの各々(パートAおよびパートB)を、各成分を連続的に混合することによって別々に調製した。
【0088】
2パックを組合せ、組合せの15分以内で使用した。パネルは、ED5051でコーティングされた冷間圧延鋼であった。これらの組成物を、最初の単一ダストコートで塗布し続く5分フラッシュし、次いで、遅い単一コートで塗布し、続いて20分フラッシュし、そして140°Fで30分焼いた。1.3mm流体ノズル、2つのバー、フルファン(full fan)を備えるDEVILBISS GT1 110カップを使用してコーティングを塗布した。
【0089】
表7に示され得るように、本発明の2パック組成物(サンプル19〜24)は、これらの粒子を欠くコントロール処方物(サンプル18)と比較して優れた耐傷性および耐引っ掻き性を与えた。
【0090】
【表7】

【0091】
18粒子18は、8オンスジャーで以下の成分をシールし、1時間、ペイントシェーカーにおいてジャーを振盪することによってペースト内に組み込まれた。粉砕媒体を濾過し、そして材料を使用するために準備した。55.6%の粒子ペーストを混合することによって調製した:
ヒドロキシ湿度を有するアクリル樹脂 10.6g
メチルアミルケトン 22.0g
粒子18 40.9g
SOLSPERSE2400(Aveciaから市販) 0.10g
1mmジルコア(zircoa)ビーズ 80.0g
19メチルn−アミルケトン。
20アクリルポリマー:4.8%ヒドロキシプロピルアクリレート;19.2%ヒドロキシエチルアクリレート/25%イソボルニルメタクリレート/5%ブチルアクリレート/23%スチレン/17%ヒドロキシブチルアクリレート/5%Cardura Eアクリル酸/1%アクリル酸(約5000のピーク分子量)。
21Exxon製のExxate600溶媒(酢酸ヘキシル)。
22EMERY875として、Cognis Energy Groupから市販。
23TOLONATE HDT−LV(Rhodia Chemicalから市販)。
24メチルアミルケトン。
25ジブチルスズラウレート(T−12として、Air Productから市販)。
26Exxate600。
【0092】
(実施例7)
2パックコーティングを、表8に示される成分および量(g)を使用して調製した。サンプル25は、粒子を含まず、そしてサンプル26は、粒子を含み、また樹脂パックにはメラミンを含んだ。
【0093】
2つのパックを組み合わせ、組み合わせの15分以内で使用した。ED5051でコーティングされた冷間圧延鋼を使用した。サンプルを実施例4に記載されるウェットフィルムアプリケーターを使用して、1.7の標的DFTにドローダウンすることによって塗布した。ドローダウン後、パネルを、5〜10分間周囲フラッシュし、そして140℃で30分間焼いた。
【0094】
【表8】

【0095】
27粒子19を以下のように調製した:クオートジャーに、333gのMT−ST(メタノール中30%シリカ、Nissanから市販)、8gのペルフルオロデシルトリエトキシシラン(Lancaster Synthesis,Inc.から市販)および4gの脱イオン水を添加した。この混合物を攪拌し、カバーし、そして16時間120°Fに温めた。
28メチルn−アミルケトン。
29VK114、ヒドロキシ官能性アクリル(PPG Industries,Inc.から市販)。
30酢酸n−アミル。
31CYMEL202(Cytec Industries,Inc.から市販)。
32PA−75、フェニル酸ホスフェート(Rhodiaから市販)。
33TINUVIN 928(Ciba Geigyから市販)。
34TINUVIN 292、ヒンダードアミン光安定化剤(Ciba Geigyから市販)。
35DESMODUR N−3300、ポリイソシアネート(Bayerから市販)。
【0096】
表8に示されるように、粒子およびメラミンを含む本発明のサンプル26は、粒子を含まないサンプル25よりも優れていた。メラミンの添加は、メラミンを欠く比較できるサンプルよりも大きな傷および引っ掻きの結果を与えたが、これらのサンプルは、なお粒子を含まないものよりも優れていた。
【0097】
本発明の特定の実施形態が説明の目的のために上に記載されているが、本発明の詳細の多くの変更が、添付の特許請求の範囲に規定されるように、本発明から逸脱することなくなされ得ることが当業者に明らかである。
本願発明の好ましい実施形態によれば、以下のコーティングなどが提供される。
(1)
液体コーティングであって、以下:
a)フィルム形成樹脂;および
b)該樹脂内に分散された複数の粒子であって、ここで該粒子は粒子なしで硬化した場合の該フィルム形成樹脂の表面張力に比べ低い表面張力を有するように化学的に改変されている、複数の粒子、
を含む、液体コーティング。
(2)
上記項1に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記粒子は、以下:
F−L−Z
の構造を有する化合物の結合によって改変されており、ここで、Fは官能基を含む部分であり;Zは該Zが結合した粒子の表面張力を減少する部分であり;およびLはFおよびZを連結する基である、コーティング組成物。
(3)
Lがエポキシとアミンとの反応生成物を含む、上記項2に記載のコーティング組成物。
(4)
Lがエポキシとカルボン酸との反応生成物を含む、上記項2に記載のコーティング組成物。
(5)
前記カルボン酸が、ステアロイルサルコシンである、上記項4に記載のコーティング組成物。
(6)
Lがエポキシとアルコールとの反応生成物を含む、上記項2に記載のコーティング組成物。
(7)
Lがアミンとイソシアネートとの反応生成物を含む、上記項2に記載のコーティング組成物。
(8)
Lがアミンとカルボン酸との反応生成物を含む、上記項2に記載のコーティング組成物。
(9)
Lがイソシアネートとアルコールとの反応生成物を含む、上記項2に記載のコーティング組成物。
(10)
Lがアクリレートとアミンとの反応生成物を含む、上記項2に記載のコーティング組成物。
(11)
上記項1に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記粒子は、以下:
Si(OR)−(CH−Z
の構造を有する化合物の結合を通して改変されており、
ここで、Rは、1〜30個の炭素を有するアルキル基であり;nは0、1または2であり;およびZは、Zが結合した粒子の表面張力を減少する部位である、コーティング組成物。
(12)
Zが長鎖アルキル基を含む、上記項11に記載のコーティング組成物。
(13)
Zがフルオロカーボンを含む、上記項11に記載のコーティング組成物。
(14)
Zが少なくとも2個のメチル基が結合したシランを含む、上記項11に記載のコーティング組成物。
(15)
Zが−(CHn1−CH(ここで、nは1〜30である)であり、nとnとの合計が3以上である、上記項12に記載のコーティング組成物。
(16)
が7〜17である、上記項15に記載のコーティング組成物。
(17)
上記項12に記載のコーティング組成物であって、ここでZが、以下:
【化1】


であり、ここで、nが1〜3であり、RおよびRが同じかまたは異なり、Rが水素または1〜30個の炭素を有するアルキル基であり得、Rが4〜30個の炭素を有するアルキル基である、コーティング組成物。
(18)
Zが−(CF−CFであり、ここでmが0〜30である、上記項13に記載のコーティング。
(19)
mが7である、上記項18に記載のコーティング組成物。
(20)
上記項14に記載のコーティング組成物であって、
ここで、Zが−(CHn3−(Si(CH−O)m1−Si(CHであり、nが0〜17であり、mが1〜50である、コーティング組成物。
(21)
が0〜4であり、mが1〜10である、上記項20に記載のコーティング組成物。
(22)
前記改変した粒子の表面張力が50dyne/cm以下である、上記項1に記載のコーティング組成物。
(23)
前記改変した粒子の表面張力が40dyne/cm以下である、上記項22に記載のコーティング組成物。
(24)
前記バルク領域に比べ高濃度の粒子が前記表面領域に存在する、上記項1に記載のコーティング組成物。
(25)
前記粒子が前記表面領域と前記バルク領域との間に均一に分配されている、上記項1に記載のコーティング組成物。
(26)
前記無機粒子が、シリカ、アルミナ、ケイ酸アルミナアルカリ、ホウケイ酸ガラス、窒化物、酸化物、石英、霞石閃長岩、ジルコン、buddeluyiteおよびユージアル石(eudialyte)から選択される、上記項1に記載のコーティング組成物。
(27)
前記シリカが、結晶性シリカ、無定形シリカ、溶融シリカ、沈殿シリカまたはそれらの混合物である、上記項26に記載のコーティング組成物。
(28)
前記粒子が、2.0nmと500nmとの間の平均粒子サイズを有するナノ粒子である、上記項1に記載のコーティング組成物。
(29)
前記平均粒子サイズが5nmと200nmとの間の範囲である、上記項28に記載のコーティング組成物。
(30)
前記粒子が、0.5ミクロンと50ミクロンとの間の平均粒子サイズを有する微粒子である、上記項1に記載のコーティング組成物。
(31)
前記平均粒子サイズが、0.5ミクロンと10ミクロンとの間の範囲である、上記項30に記載のコーティング組成物。
(32)
前記粒子の重量%が、前記組成物の総重量を基準にして20重量%未満である、上記項1に記載のコーティング組成物。
(33)
前記重量%が0.01と10との間である、上記項32に記載のコーティング組成物。
(34)
前記重量%が0.01と8との間である、上記項33に記載のコーティング組成物。
(35)
前記Z部分が官能基を有しない、上記項11に記載のコーティング組成物。
(36)
上記項1に記載のコーティングでコートした基板。
(37)
前記基板が金属製である、上記項36に記載の基板。
(38)
前記基板がポリマー性である、上記項36に記載の基板。
(39)
1層以上の追加の層が、前記基板と前記コーティングとの間に配置されている、上記項36に記載の基板。
(40)
コートした基板の引っ掻き耐性および/または傷耐性を改善するための方法であって、該方法が、前記基板の少なくとも一部に、上記項1に記載のコーティング組成物を塗布する工程を包含する、方法。
(41)
少なくとも1層の介在層が前記コーティングの塗布の前に前記基板に塗布される、上記項40に記載の方法。
(42)
上記項1に記載のコーティング組成物であって、ここで、前記コーティングが、硬化され、傷および/または引っ掻き試験に供した場合に、粒子が存在しない場合と比較して大きい20°光沢保持を有する、コーティング組成物。
(43)
前記傷および/または引っ掻き試験後の20°光沢保持が20%以上である、上記項42に記載のコーティング組成物。
(44)
前記傷および/または引っ掻き試験後の20°光沢保持が50%以上である、上記項42に記載のコーティング組成物。
(45)
前記傷および/または引っ掻き試験後の20°光沢保持が70%以上である、上記項42に記載のコーティング組成物。
(46)
コーティング組成物であって、以下:
a)フィルム形成樹脂;および
b)該樹脂内に分散された複数の粒子であって、ここで該粒子は該フィルム形成樹脂の表面張力を低下させるように改変されている、複数の粒子、
を含む、コーティング組成物。
(47)
硬化したコーティングの表面張力を低下させる方法であって、該方法は、硬化していない液体コーティング組成物に、粒子を添加しない場合に該硬化したコーティングが有するよりも低い表面張力を有する粒子を加える工程、を包含する、方法。
(48)
上記項1に記載の第1のコーティングおよび上記項1に記載の第2のコーティングでコートした基板であって、ここで該第1および第2のコーティングが異なる、基板。
(49)
前記硬化したコーティングが70°Fの温度で少なくとも6の可撓性を有する、上記項43に記載のコーティング組成物。
(50)
前記硬化したコーティングが70°Fの温度で少なくとも8の可撓性を有する、上記項49に記載のコーティング組成物。
(51)
前記硬化したコーティングが70°Fの温度で少なくとも6の可撓性を有する、上記項44に記載のコーティング組成物。
(52)
前記硬化したコーティングが少なくとも8の可撓性を有する、上記項51に記載のコーティング組成物。
(53)
前記硬化したコーティングが70°Fの温度で少なくとも6の可撓性を有する、上記項45に記載のコーティング組成物。
(54)
前記硬化したコーティングが少なくとも8の可撓性を有する、上記項53に記載のコーティング組成物。
(55)
傷および/または引っ掻き試験後の38%以上の光沢保持および70°Fの温度における6以上の可撓性を有する、硬化したコーティング。
(56)
傷および/または引っ掻き試験後の55%以上の光沢保持および8以上の可撓性を有する、上記項55に記載の硬化したコーティング。
(57)
傷および/または引っ掻き試験後の75%以上の光沢保持および8以上の可撓性を有する、上記項55に記載の硬化したコーティング。
(58)
前記コーティングが1K系である、上記項1に記載の液体コーティング組成物。
(59)
前記コーティングが2K系である、上記項1に記載の液体コーティング組成物。
(60)
前記樹脂パックが、アミノプラストをさらに含む、上記項59に記載の液体コーティング組成物。
(61)
前記アミノプラストがメラミンである、上記項60に記載の液体コーティング組成物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載のコーティング。

【図1】
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【公開番号】特開2010−180418(P2010−180418A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119848(P2010−119848)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【分割の表示】特願2008−274955(P2008−274955)の分割
【原出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド (267)
【Fターム(参考)】