説明

改札システム

【課題】一度に複数人の入場の許可・不許可が判定できるゲート装置で無線ICタグを有しない不正通行者も確実に検出しその通行制御を行える改札システムを提供する。
【解決手段】改札システムは、複数の通行者が同時に通行可能な通路11を備えたゲート装置13と、各通行者が持つ無線ICタグ24との送受信で無線ICタグの位置情報25とID情報26を取得する無線ICタグ受信装置15と、複数の通行者の各々の位置情報を取得する撮像装置23と、無線ICタグの位置情報およびID情報と、通行者の位置情報とを入力し、2つの位置情報の一致・不一致を照合し、不一致のとき通行不可指令信号を出力する制御装置17と、通行不可指令信号に基づいて、通行不可として特定された不正な通行者に対して、撮像装置の撮像で得た位置情報に基づいて不正通行者の移動状態を示す床パネル14によって構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は改札システムに関し、特に、入出場の許可が必要とされる駅や公共施設等の入場口において無線ICタグによる送受信情報とカメラの撮像情報とに基づいて入出場管理を行って発光機能を有する床パネル等での点灯発光表示で通行制御を行うようにした改札システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
駅の改札口の自動改札機、公共施設やイベント会場の入場口等に設置されたゲート装置やゲートにおいて、中に入るためには入場許可者を認証することが要求され、そのために入場を許可するための許可証が必要である。当該許可証は、自動改札機では電子的切符機能を有する非接触ICカード等であり、ゲート装置やゲート等では許可用のIDカード、チケット、整理券等である。チケットや整理券などの許可証の場合には、通常、入場の際の当該許可証のチェックは係員が人為的に行う。この場合には、人が行うために、一般的に時間がかかり、また誤認証という問題も起きる可能性がある。このような問題を解決するために、入場許可証として上記の非接触ICカードやIDカードを使用したり、その他に顔認証やバイオメトリクスによる本人認証をする場合もある。
【0003】
本願発明に関連する従来の技術として下記の特許文献1に記載された通路制御システムが存在する。この通路制御システムは、設定された所定の通路における通行人無線タグの権限に応じて通行人の通行許可を判定し通路の通行制御を行う通路制御システムである。そして当該通路制御システムでは、無線タグ情報検出手段が通行人無線タグおよび通路基準無線タグの各々の位置(位置情報)および識別情報(ID情報)を検出し、通行人位置特定手段が通行人の位置を特定する。また通行人位置検知手段が上記所定の通路を通る通行人の位置を検知する。そしてマッチング処理手段が、通行人位置特定手段により特定した通行人の位置と、通行人位置検知手段により検知した通行人の位置とをマッチングし、これによって通行人無線タグの識別情報に基づいて通行人の通行許可を判定することを可能にしている。特許文献1に開示される通路制御システムによれば、無線タグを利用することにより複数の通行者を一度に認証することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−59079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の入出場管理を非接触ICカード、IDカード、顔認証、およびバイオメトリクス等により機械化する場合、一般的に、1人1人に個別的に対応する形式の非接触ICカード等の場合にはこれを処理するゲート装置を多数配置することが必要となり、またバイオメトリクスの場合には1人1人の認証を行うために認証に時間がかかるという問題が提起される。そこで、特許文献1に開示された通路制御システムは、無線タグ(無線ICタグまたはRFIDタグとも記す)によって複数の人を一度に認証できるシステムが提案された。しかしながら、この通路制御システムによれば、無縁タグによる電波の送受信機能のみで判断を行うようにしているため、無線タグを持っていない人に対しては、通行の許可または不許可(可または不可)を判定することができず、入場の拒否または管理を行うことができないという問題が提起される。
【0006】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、一度に複数の人の入場の許可・不許可が判定される駅や公共施設等の入口等において、無線ICタグとの無線通信による無線ICタグの位置情報とカメラの撮像で得られる通行者の位置情報に基づいて入出場管理を行い、無線ICタグを有しない不正通行者についても確実にこれを検出してその通行を制限し、通行制御を行うことができる改札システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る改札システムは、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
【0008】
第1の改札システム(請求項1に対応)は、複数の通行者が同時に通行可能な幅広の通路を備えたゲート装置と、通路を通行する複数の通行者の各々が持つ無線ICタグとの間で送受信を行って無線ICタグの位置情報とID情報を取得する無線ICタグ受信装置と、通路を含む領域を撮像し、通路を通行する複数の通行者の各々の位置情報を取得する撮像装置と、無線タグ受信装置で取得された無線ICタグの位置情報およびID情報と、撮像装置で取得された通行者の位置情報とを入力し、2つの位置情報の一致・不一致を照合し、不一致のとき通行不可指令信号を出力する制御手段と、制御手段から出力された通行不可指令信号に基づいて、通行不可として特定された不正な通行者に対して、撮像装置の撮像で得た位置情報に基づいて不正通行者の移動状態を示す不正通行警告手段とによって構成される。
【0009】
上記の改札システムでは、無線タグ受信装置で取得された無線ICタグの位置情報と撮像装置で取得された通行者の位置情報とを比較・照合することにより不正通行者を検出して特定するようにしたため、無線ICタグを所持しない通行者についても不正通行者として検出し、床パネル等の不正通行警告手段でその存在位置を表示することができる。
【0010】
第2の改札システム(請求項2に対応)は、上記の構成において、好ましくは、制御手段は、ID情報が通行不能なIDであると判断したときにも通行不可指令信号を出力することを特徴とする。
【0011】
第3の改札システム(請求項3に対応)は、上記の構成において、好ましくは、不正通行警告手段は通路に敷設された発光機能を有する床パネルであり、床パネルは通路幅方向と進行方向に関して格子状に配列された複数の発光区画を有し、不正通行者が移動するにつれてその移動位置に対応する発光区画が警告発光を行い移動軌跡が明示されるように構成されることを特徴とする。
【0012】
第4の改札システム(請求項4に対応)は、上記の構成において、好ましくは、制御手段が通行不可指令信号を出力したときに撮像装置は不正通行者を撮像し、この撮像情報を、不正通行者を判明させる情報として記憶部に保存することを特徴とする。
【0013】
第5の改札システム(請求項5に対応)は、上記の構成において、好ましくは、制御手段は、2つの位置情報が一致すると判断しかつID情報が通行不能なIDであると判断したときに通行可指令信号を出力し、発光機能を有する床パネルは通行可指令信号に基づいて、正当な通行者が移動するにつれてその移動位置に対応する発光区画が発光を行うように構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、無線ICタグ受信装置を利用して無線ICタグの位置情報取得することにより一度に複数の人の入場の許可・不許可が判定することができるように構成されたゲート装置において、撮像装置を装備しこの撮像装置の撮像で得た画像データから複数の通行者の各々の位置データを取得できる構成を付設したため、無線ICタグとの無線通信による無線ICタグの位置情報と、撮像装置の撮像で得られる通行者の位置情報とを比較・照合し、その一致・不一致の判断に基づいて基づいて入出場管理を行うようにしたため、無線ICタグを携帯所有しない正通行者についても不正通行者として確実に検出・特定で、その通行を制限し、通行制御を行うことができる。
また本発明によれば、不正通行者として特定した後、当該不正通行者の顔等を撮像装置で撮像しその画像データを記憶部の保存するようにしたため、不正通行者のその後の発見、管理に有効に役立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る改札システムが適用されるゲート装置の全体的な構造を示す外観図である。
【図2】図1で示した改札システムのゲート装置の入口側から見た正面図である。
【図3】図1に示した改札システムのゲート装置の平面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る改札システムのシステム構成図である。
【図5】本実施形態に係る改札システムの動作制御に係る処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
図1〜図3を参照して、本発明に係る改札システムが適用される環境(任意のゲート装置での利用状況)の一例について全体的な構造を説明する。
【0018】
図1〜図3において、11は入場改札のための通路であり、通路11はその左右両側に通路壁筐体12A,12Bを設けることにより形成されている。通路11以外の箇所は壁部や柵12C等で封鎖され、目的の場所に入ることができない。左右一対の通路壁筐体12A,12Bと、それらの間に形成される通路11によってゲート装置13(またはゲート)が形成される。ゲート装置13の例としては、例えば駅の自動改札機や公共施設の入場口である。通路11の幅は、例えば入口11A側の正面から見て幅広の長さを有し、例えば4人程度の通行者(または入場者)が横に並んだ状態で同時に通行できる程度の広さである。従ってゲート装置13では、複数の通行者が一度に通路11に進入して通行することができ、同時に複数の者が入場することができる。
【0019】
図に示すように、通路11の床面には、床面の広さに対応した矩形の床パネル14が敷設されている。床パネル14の上面部には、その上面で発光されるように、格子状に配置された複数のLED発光部14Aを備えている。複数のLED発光部14Aの各々は、発光制御指令信号に基づいて、当該指令信号で指示される任意の色に点灯し発光表示するように制御される。
【0020】
ゲート装置13を形成する通路壁筐体12A,12Bには無線ICタグ受信装置15と警報器16が設けられており、さらに通路壁筐体12A,12Bの内部には後述するような制御装置17が備えられている。
【0021】
無線ICタグ受信装置15は、好ましくは、通路壁筐体12Aにおける入口11A側の端部に設けられる。この位置に配置された無線ICタグ受信装置15は、通路11を通過しようとして通行者が入口11Aに来たとき、当該通行者が携帯所持する無線ICタグ(RFIDタグ)との間で電波の送受信を行い、当該無線ICタグから必要な情報を取り込む。無線ICタグ受信装置15で得られた受信信号は制御装置17に与えられる。制御装置17は、その処理機能に基づいて、当該無線ICタグについて、無線ICタグが存在する位置に係る位置情報と、無線ICタグを特定するためのID情報とを取得する。
【0022】
無線ICタグ受信装置15による無線ICタグとの送受信に基づく当該無線ICタグの位置情報とID情報の取得は、通行者が通路11内に進入して移動している最中にも、継続して行われる。
【0023】
警報器16は不正な通行者の存在を検知したときに警報を発する機器である。警報器16は、制御装置17によって不正な通行者が検知されたとき、制御装置17から与えられる警報信号に基づいて警報音等を発する。
【0024】
制御装置17は、マイコン(CPUと記憶部を含む)で構成され、通行者の通行の許可・不許可等を判断する情報処理機能と、床パネル14の発光動作等を制御するための制御機能とを有している。
【0025】
なお図に示したゲート装置13の通路壁筐体12A,12Bには、不正通行者の通行を阻止するための開閉ドアは備えていないが、当該開閉ドアを備えることもできる。
【0026】
ゲート装置13には、さらに、カメラ18および画像処理装置19が備えられている。カメラ18は、その撮影領域Aを上記の通路11を含む領域に設定されている。カメラ18の配置位置は任意であるが、通常的には、通路11を通行する複数の通行者の各々の身体、特に顔を撮像することができるように通路11の出口11B側の上方位置に設置される。カメラ18の撮像で得られた画像情報に基づいて画像処理装置19では通路13を通過する通行者の位置情報を計測することができる。また同時に、通路11における通行に関して正当な権限を有しない不正な通行者については、不正通行であると判断された後の撮像動作に基づいて、当該不正通行者を特定することができる顔等の画像情報を得ることができる。
【0027】
次に図4を参照して本実施形態に係る改札システムの構成を説明する。
【0028】
通路壁筐体12Aの内部に設けられた制御装置17は、制御プログラム22Aを読み出して処理・制御を実行するCPU21と、当該制御プログラム22Aを記憶する記憶部22とから構成されている。制御装置17の入力側の構成要素としては、前述した無線ICタグ受信装置15と、カメラ18および画像処理装置19からなる撮像装置23とが設けられている。制御装置17は、無線ICタグ受信装置15から、感応作用に基づき電波を送受信したすべての通行者の無線ICタグ24の位置情報25とID情報26とを提供される。また制御装置17は、撮像装置23から、複数の通行者の各々の位置情報27と不正通行者の画像情報28とを提供される。また制御装置17の出力側の構成要素としては、前述したLED発光機能を有した床パネル14と警報器16とが設けられている。なお撮像装置23に対しては、出力側の要素として、所定の条件(不正通行者の検知したとき)に基づいて制御装置17から撮像実行指令が与えられ、これにより撮像装置23は不正通行者と認定された者の撮像動作を実行する。
【0029】
上記の無線ICタグ受信装置15は、ゲート装置13の通路11を通過しようとする各通行者が携帯所持する無線ICタグ24と送受信(通信)を行うことで、当該無線ICタグ24の存在する場所の位置情報25を検出し、かつ当該無線ICタグを特定することのできるID情報26を読み出す機能を有している。この実施形態では、無線ICタグ受信装置15内に無線ICタグ24の位置情報25を検出する処理機能を有するように構成したが、この処理機能は制御装置17に設けることもできる。なお無線ICタグ受信装置15等による無線ICタグの存在する場所の位置を検出するための原理的な構成および手法としては、例えば、本願出願人が先に出願した特許出願(特願2007−224478(特開2009−59079)、平成19年8月30日出願)に係る通路制御システムに開示された構成等が利用される。無線ICタグ24の位置情報25は、ゲート装置13における通路壁筐体14Aに配置された無線タグ受信装置15の配置位置との関係に基づいて、座標値として求められる。また無線ICタグ受信装置15で読み出されたID情報26は本人の認証に用いられる。
【0030】
また上記の撮像装置23では、画像処理装置19は、カメラ18の撮像動作によって得られる画像データから所定の時間間隔で画像フレームを取出し、その画像フレーム中に存在する通行者に係る人物像の表示位置から各通行者の位置に係る情報27を算出する。この通行者の位置情報27は、実質的に、床パネル14の配置位置および発光表示可能領域全体との相対的な関係が明らかになるように、座標値として求められる。また撮像装置23で得られる不正通行者の画像情報28は、制御装置17で不正通行者が検知された場合において、撮像実行指令に基づく撮像動作で取得される。
【0031】
上記の床パネル14の発光動作は、制御装置17による制御に基づいて、撮像装置23で特定された不正通行者や正当通行者の移動位置(通行者位置)に対応するLED発光部14Aが、不正通行者や正当通行者の移動につれてそれぞれの異なる色(例えば、不正通行者の場合には赤、正当通行者の場合には青)で発光(点灯)するように行われる。これにより、特に不正通行者の移動の軌跡を容易に判明させることができる。なお不正通行者の場合には、本来、通行不可であるので、制御装置17は併せて警報器26も作動させ、警報を発生する。
【0032】
次に、図5を参照して制御装置17による制御動作の処理の流れを説明する。
【0033】
最初の処理ステップS11では、撮像装置23で取得されたすべての通行者の位置情報27が取り込まれる。撮像装置23では、前述した通り、ゲート装置13の通路11を通行しようとする通行者を含め、通路11を含む全体の領域を撮像し、その画像データから得られるすべての通行者の各々の位置情報27を出力する。制御装置16では、撮像装置23から出力される位置情報27を取り込む。次の処理ステップS12では、制御装置17は、無線ICタグ受信装置15から、通路11の入口11A付近および通路11内で検知した無線ICタグ24の位置情報25とID情報26とを取り込む。
【0034】
上記において、処理ステップS11で制御装置23に取り込まれる撮像装置23によって得られた各通行者の位置情報27と、処理ステップS12で制御装置23に取り込まれる各通行者の携帯所持する無線ICタグに基づき無線ICタグ受信装置15を通して得られた各通行者の位置情報25とは、同じ時刻に得られた位置情報である。
【0035】
通行者が自身の無線ICタグを携帯所持する場合には、当該通行者については、撮像装置23からの画像データから得られた位置情報27と、無線ICタグ受信装置15を通して得られた位置情報25とが存在することになる。この場合には、2つの位置情報25,27は原則的に一致する。他方、通行者が自身の無線ICタグを携帯所持しない場合には、当該通行者については、撮像装置23からの画像データから得られた位置情報27は存在するが、無線ICタグ受信装置15を通して位置情報を得ることができない。すなわち位置情報25は存在しないことになる。この場合には、2つの位置情報が一致するということはあり得ない。
【0036】
次の処理ステップS13では、撮像装置23から取り込んだ各通行者の位置情報27と、当該各通行者が携帯所持すると想定される無線ICタグ24に関しての無線ICタグ受信装置15から取り込んだ位置情報25とを比較・照合する。この比較・照合において、前述した通り、無線ICタグを携帯所持する通行者に関しては2つの位置情報25,27が存在し、無線ICタグを携帯所持しない通行者に関しては1つの位置情報27しか存在しない。次の判断ステップS14では、処理ステップS13で比較・照合した2つの位置情報27と位置情報25と一致しているか否かを判断する。判断ステップS14では、無線ICタグを携帯所持する通行者については2つの位置情報25,27が存在することから原則的にYESと判断され、無線ICタグを携帯所持しない通行者については1つの位置情報27しか存在しないので上記の比較・照合において一致するはずはなく、NOと判断される。判断ステップS14でNOである場合には、撮像装置23で取得した通行者の位置情報27とその位置情報25(この場合には存在しない位置情報)とがマッチング(整合)しないものであるとして、処理ステップS21に移行する。また判断ステップS14でYESである場合には、次の判断ステップS15に移行する。次の判断ステップS15では、2つの位置情報27と位置情報25と一致していることを条件にして、さらに当該位置情報25に対応する無線ICタグ24についてのID情報26が、通行許可条件を満たすIDであるか否かを判断する。判断ステップS15でNOである場合には、不正な通行者が所持する無線ICタグからのものであるとして処理ステップS21に移行する。
【0037】
処理ステップS21では、判断ステップS14および判断ステップS15でNOと判断された場合には不正な通行者と判断されたことを意味するものであるから、撮像装置23のカメラ18の撮像によって特定された位置情報27に対応する位置の床パネル14のLED発光部14Aを点灯し発光させる。この場合には、通行の不可または禁止を意味する例えば赤色等の色に発光させる。不正な通行者が通路11の床パネル14の上を移動するにつれて、不正通行者の位置も変化し、その位置に対応するLED発光部14Aもシフトするが、その場合には移動後の位置に対応するLED発光部14Aが赤色に点灯・発光する。複数のLED発光部14Aが不正通行者の移動につれて順次に赤色点灯することにより、不正通行者の移動軌道が容易に判明する。これによって、該当する通行者に対して、ゲート装置13における通路11の通行が許可されていないことを知らせることができる。またその周辺にいる他の通行者および改札の係員に対して不正な通行者を特定して知らせることができる。その後、ほぼ同時に警報器が警報を発する(処理ステップS22)。その後、処理ステップS23では、制御装置17からの撮像実行指令に基づいて撮像装置23は、不正通行者の特定が可能になるように当該不正通行者を撮像する。撮像された不正通行者の顔等の画像データは制御装置17の記憶部22にデータ22Bとして記憶され保存される。その後、処理ステップS17に移行し、撮像装置23によって特定された位置情報以外の床パネル14におけるLED発光部14Aは消灯状態に保持される。
【0038】
上記により、不正通行者を検出されたときには、不正通行者が床パネル14上に居る限り、その位置に対応するLED発光部を発光させて当該不正通行者の存在位置が明確になるように特定することができる。その後、不正通行者が通路11を出て逃げたとしても、それ以前に撮像装置23によって不正通行者の顔情報を取得することにより、不正通行者の捕獲、その後の排除に役立てることができる。
【0039】
また判断ステップS15でYESである場合には、通行者は通路11を通行することができる正当な権限を有する者である。この場合にも、当該正当な通行者について、撮像装置23のカメラ18の撮像によって特定された位置情報27に対応する位置の床パネル14のLED発光部14Aを点灯し発光させる。この場合には、通行の許可を意味する例えば青色等の色に発光させる。正当な通行者が通路11の床パネル14の上を移動するにつれて、正当通行者の位置も変化し、その位置に対応するLED発光部14Aもシフトするが、その場合には移動後の位置に対応するLED発光部14Aが青色に点灯・発光する。その後、処理ステップS17に移行し、撮像装置23によって特定された位置情報以外の床パネル14におけるLED発光部14Aは消灯状態に保持される。
【0040】
以上のステップS11〜S17,S21〜S23は定期的に繰り返され、継続してゲート装置13の通路11の床パネル14で不正通行者等の表示を行う。
【0041】
また上記の実施形態では不正通行警告手段として発光機能を有した床パネル14を利用したが、床パネル14の他に不正通行者を個別に特定し周囲の者から分かりやすいようにするスポットライトやレーザポインタ等の手段を用いることもできる。
【0042】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係る改札システムは、駅や公共施設等の入場口に配置された無線ICタグを利用して通行者の適正・不正を判断するように構成されたゲート装置において、通行者が無線ICタグを携帯所持を所持しない場合にも不正な通行者の検出・特定することが可能になり、無線ICタグを所持しない不正通行者の規制に利用される。
【符号の説明】
【0044】
11 通路
11A 入口
11B 出口
12A,12B 通路壁筐体
13 ゲート装置(ゲート)
14 床パネル
14A LED発光部
15 無線ICタグ受信装置
16 警報器
17 制御装置
18 カメラ
19 画像処理装置
23 撮像装置
24 無線ICタグ
25 位置情報
26 ID情報
17 位置情報
28 不正通行者の画像情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通行者が同時に通行可能な幅広の通路を備えたゲート装置と、
前記通路を通行する前記複数の通行者の各々が持つ無線ICタグとの間で送受信を行って前記無線ICタグの位置情報とID情報を取得する無線ICタグ受信装置と、
前記通路を含む領域を撮像し、前記通路を通行する前記複数の通行者の各々の位置情報を取得する撮像装置と、
前記無線タグ受信装置で取得された前記無線ICタグの前記位置情報および前記ID情報と、前記撮像装置で取得された前記通行者の前記位置情報とを入力し、2つの前記位置情報の一致・不一致を照合し、不一致のとき通行不可指令信号を出力する制御手段と、
前記制御手段から出力された前記通行不可指令信号に基づいて、通行不可として特定された不正な前記通行者に対して、前記撮像装置の撮像で得た前記位置情報に基づいて前記不正通行者の移動状態を示す不正通行警告手段と、
を備えることを特徴する改札システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記ID情報が通行不能なIDであると判断したときにも前記通行不可指令信号を出力することを特徴とする請求項1記載の改札システム。
【請求項3】
前記不正通行警告手段は前記通路に敷設された発光機能を有する床パネルであり、前記床パネルは通路幅方向と進行方向に関して格子状に配列された複数の発光区画を有し、前記不正通行者が移動するにつれてその移動位置に対応する前記発光区画が警告発光を行い移動軌跡が明示されるように構成されることを特徴とする請求項1または2記載の改札システム。
【請求項4】
制御手段が通行不可指令信号を出力したときに前記撮像装置は前記不正通行者を撮像し、この撮像情報を、前記不正通行者を判明させる情報として記憶部に保存することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の改札システム。
【請求項5】
前記制御手段は、2つの前記位置情報が一致すると判断しかつ前記ID情報が通行不能なIDであると判断したときに通行可指令信号を出力し、発光機能を有する前記床パネルは前記通行可指令信号に基づいて、正当な前記通行者が移動するにつれてその移動位置に対応する前記発光区画が発光を行うように構成されることを特徴とする請求項3記載の改札システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−238281(P2012−238281A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108487(P2011−108487)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】