説明

改札システム

【課題】駅務系のように複数の駅に多くの自動改札機を設置した場合であっても、改札処理時に入場情報や出場情報を乗車券に記録しない方式で、乗車券の使い回しや、キセル等にかかる不正使用を十分に防止できる改札システムを提供する。
【解決手段】改札システムは、自動改札機2が乗車券情報をQRコード(登録商標)で券面に印刷したQR券を用いた改札処理を行う。使用状態管理装置1は、QR券の使用状態を管理する。使用状態管理装置1は、同じグループに属する複数の自動改札機2を高速専用回線3でデータ通信可能に接続している。また、各グループの使用状態管理装置1は、LAN4で相互にデータ通信可能に接続している。自動改札機2は、改札口に設置され、QR券を使用して駅構内に入場する利用者や、駅構内から出場する利用者に対して改札処理を行うとき、同じグループに属する使用状態管理装置1から取得したQR券の使用状態管理情報を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、駅構内に入場する利用者や、駅構内から出場する利用者に対して改札処理を行う改札システムに関し、特に自動改札機が改札処理で使用される乗車券に対して、入場情報や出場情報を記録しない改札システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駅の改札口では、駅構内に入場する利用者や、駅構内から出場する利用者に対する改札処理を自動改札機で行っている。自動改札機は、周知のように、改札通路を通行する利用者が所持している乗車券を受け付け、この乗車券に記録されている乗車券情報を読み取る。自動改札機は、読み取った乗車券情報に基づき、改札通路における利用者の通行を許可するかどうかを判定し、その判定結果に応じて改札通路における利用者の通行を制限する。
【0003】
また、自動改札機は、乗車券の使い回しや、キセル等にかかる不正使用を防止するために、改札処理の際に、入場情報や出場情報を使用された乗車券に記録している。このため、自動改札機が入場情報や出場情報を記録することができる磁気券や非接触IC券を乗車券として使用している。磁気券は、乗車券情報を一方の面(裏面)に貼付した磁気シートに磁気データで記録している。非接触IC券は、無線通信機能を有し、乗車券情報を電子データで内蔵メモリに記録している。
【0004】
非接触IC券は、磁気券に比べて高価であるので、キップのような使い切りの乗車券として使用する場合、回収して再利用するシステムを構築して、ランニングコストを抑える必要がある。一方で、磁気券の使用は、自動改札機の小型化を妨げる要因であった。具体的には、自動改札機は、磁気券を処理するために、磁気券を搬送する機構部や、搬送している磁気券に対する乗車券情報の読み取りや、書き込みを行う機構部を備えなければならない。
【0005】
このようなことから、乗車券情報を二次元バーコード(例えば、QRコード(登録商標))で印刷した乗車券(以下、QR券と言う。)を使用して改札処理を行う改札システムが提案されている(特許文献1、2等参照)。この改札システムでは、自動改札機が、このQR券を搬送する搬送機構部を備えなくてもよい。また、QR券は、非接触IC券のみならず、磁気券と比べても安価である。
【0006】
一方で、QR券は、自動改札機が改札処理の際に、入場情報や出場情報を記録することができない。そこで、特許文献1、2は、以下の構成を備えている。
【0007】
特許文献1は、上位サーバが発券機で発券されたQR券の発券情報を管理するとともに、この発券情報を各入場ゲート(自動改札機)に配信する。各入場ゲートは、改札処理時にQR券の発券情報を読み取り、上位サーバから配信されている発券情報と照合する。また、各入場ゲートは、入場情報を上位サーバへ通知する。上位サーバは、入場ゲートから通知された入場情報を入場ゲート、および出場ゲートに通知する。
【0008】
特許文献2は、上位サーバが、入場ゲートから通知された入場情報を入場ゲートに通知するのではなく、入場ゲートが改札処理時にQR券の発券情報を上位サーバへ通知し、上位サーバ側で、このQR券が重複利用されてないかどうかを判定し、その判定結果を入場ゲートに通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006− 59249号公報
【特許文献2】特開2011−175550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1、および2に記載されたシステムでは、自動改札機において改札処理が行われる毎に、その自動改札機と上位サーバとの間で通信が行われる。したがって、上位サーバに接続される自動改札機の台数が増加すると、通信路のトラフィックが増大し、通信のリアルタイム性が損なわれる。特に、駅務系の改札システムは、鉄道網の各駅の改札口に自動改札機が設置されていることから、上位サーバに接続される自動改札機の台数が極端に多くなる。したがって、QR券の使い回しや、キセル使用等の不正使用に対するセキュリティが十分に確保できない。
【0011】
この発明の目的は、駅務系のように自動改札機の台数が多いシステムであっても、改札処理時に入場情報や出場情報を乗車券に記録しない方式で、乗車券の使い回しや、キセル等にかかる不正使用を十分に防止できる改札システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の改札システムは、上記課題を解決し、その目的を達するために、以下のように構成している。
【0013】
この改札システムは、複数のグループに分割している。各グループは、使用状態管理装置と複数の自動改札機とを備え、複数の自動改札機を使用状態管理装置に第1のネットワークでデータ通信可能に接続している。また、各グループの使用状態管理装置は、第2のネットワークでデータ通信可能に接続している。
【0014】
グループは、例えば、駅単位で分割したものであってもよいし、駅の改札口単位で分割したものであってもよい。また、駅単位で分割したグループと、駅の改札口単位で分割したグループとが混在していてもよい。グループの分割は、第1のネットワークで使用状態管理装置に接続される自動改札機の台数、および使用状態管理装の処理能力等を考慮して決定すればよい。
【0015】
使用状態管理装置は、乗車券の識別番号と、入場にかかる改札処理での使用の有無と、出場にかかる改札処理での使用の有無と、を対応付けた使用状態管理情報を使用状態管理情報記憶部に記憶する。
【0016】
自動改札機は、乗車券情報読取部が乗車券に記録されている乗車券情報を読み取る。乗車券情報には、少なくとも乗車券の識別番号、有効期間、有効区間等の情報が含まれていればよい。また、乗車券情報読取部が乗車券情報を読み取った乗車券について、使用状態管理情報取得部が第1のネットワークでデータ通信可能に接続されている使用状態管理装置(同じグループに属する使用状態管理装置)から使用状態管理情報を取得する。使用状態管理情報には、入場の有無(未入場、または入場済)、および出場の有無(未出場、または出場済)が含まれていればよい。
【0017】
判定部が、乗車券情報読取部が読み取った乗車券情報、および使用状態管理情報取得部が取得した使用状態管理情報を用いて、改札通路における利用者の通行を許可するかどうかを判定する。乗車券情報読取部が読み取った乗車券情報により、その乗車券が適正であるかどうかを判定することができる。また、使用状態管理情報により、使い回しやキセル等の不正使用であるかどうかを判定することができる。
【0018】
また、自動改札機は、判定部が改札通路における利用者の通行を許可すると判定した場合、使用状態通知部が第1のネットワークでデータ通信可能に接続されている使用状態管理装置に対して、今回の改札処理で使用された乗車券について、使用状態管理情報の更新を通知する。使用状態管理装置は、自動改札機から使用状態管理情報の更新が通知される毎に、更新部が該当する乗車券について使用状態管理情報記憶部に記憶している使用状態管理情報を更新する。
【0019】
さらに、使用状態管理装置は、整合部が第2のネットワークで接続されている他のグループの使用状態管理装置と、使用状態管理情報記憶部に記憶している使用状態管理情報を整合させる整合処理を行う。この整合処理は、一定時間毎に繰り返し行えばよい。また、鉄道網を利用して隣接する駅間を移動する場合であっても、入場駅での入場にかかる改札処理から、出場駅での出場にかかる改札処理までに3〜4分程度の時間を要することから、整合処理を繰り返す一定時間については、この時間よりも少し短い時間(1〜3分程度)に設定すればよい。
【0020】
通常、乗車券の使い回しは、略同時刻に同じ駅で行われる。一方で、自動改札機での入場、または出場にかかる改札処理で使用された乗車券の使用状態管理情報は、略リアルタイムに、この自動改札機と同じグループに属する使用状態管理装置で更新される。したがって、乗車券の使い回しに対するセキュリティを低下させることがない。
【0021】
また、鉄道網を利用して隣接する駅間の移動に要する時間よりも短い時間で、上述の整合処理を行うことで、出場にかかる改札処理で使用された乗車券が、キセル使用にかかる乗車券(入場時に使用されていない乗車券)であるかどうかを適正に判定できる。したがって、キセル使用に対するセキュリティを低下させることもなく、また、キセル使用でない利用者に対するサービスを低下させることもない。
【0022】
自動改札機の乗車券情報読取部は、乗車券の券面に印刷されたバーコード、例えばQRコード(登録商標)、を光学的に読み取るものであってもよい。
【0023】
また、自動改札機の判定部は、乗車券情報読取部が読み取った乗車券情報を用いて、改札通路における利用者の通行を許可するかどうかについて一次判定を行い、この一次判定で改札通路における利用者の通行を許可すると判定した場合に、使用状態管理情報取得部が取得した使用状態管理情報を用いて、改札通路における利用者の通行を許可するかどうかについて二次判定を行うように構成してもよい。言い換えれば、一次判定で、改札通路における利用者の通行を許可しないと判定した場合、二次判定を行わないようにしてもよい。
【0024】
また、自動改札機の使用状態管理情報取得部は、一次判定で改札通路における利用者の通行を許可しないと判定された場合、使用状態管理装置からの使用状態管理情報の取得を行わない、構成としてもよい。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、駅務系のように自動改札機の台数が多い場合であっても、改札処理時に入場情報や出場情報を乗車券に記録しない方式で、乗車券の使い回しや、キセル等にかかる不正使用を十分に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】改札システムの概略の構成図である。
【図2】QR券を示す図である。
【図3】使用状態管理装置の主要部の構成を示すブロック図である。
【図4】自動改札機の外観図である。
【図5】自動改札機の主要部のブロック図である。
【図6】自動改札機における入場処理を示すフローチャートである。
【図7】自動改札機における出場処理を示すフローチャートである。
【図8】整合処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、この発明の実施形態である改札システムについて説明する。
【0028】
図1は、この改札システムの概略の構成図である。この改札システムは、鉄道網の各駅で利用者に対して改札処理を行う。この改札システムは、複数のグループに分割している。グループは、駅単位で構成してもよいし、改札口単位で構成してもよい。図1では、駅単位でグループを構成した改札システムを示している。
【0029】
この改札システムは、乗車券情報を2次元バーコード(例えば、QRコード(登録商標))で券面に印刷した乗車券(以下、QR券と言う。)を使用した改札処理を行う。各グループ(各駅)は、使用状態管理装置1と、複数の自動改札機2と、を備えている。
【0030】
使用状態管理装置1は、QR券の使用状態を管理する。QR券は、上述したように、乗車券(キップ)であり、券面に乗車券情報を2次元バーコード(QRコード(登録商標))で印刷したものである(図2参照)。QRコード(登録商標)には、QR券の識別番号、有効期間、有効区間等が乗車券情報として含まれている。識別番号は、そのQR券を識別する固有の番号である。有効期間は、そのQR券が有効である期間を示す情報である。有効区間は、そのQR券で入出場できる駅を示す情報であり、QR券の発行駅と、そのQR券の価値(有効区間)とで示される。発行駅は、QR券の利用開始駅(利用者が入場する駅)である。また、QR券は、乗車券情報を利用者や駅係員が目視確認できるように券面に文字で印刷している。
【0031】
自動改札機2は、改札口に設置され、QR券を使用して駅構内に入場する利用者や、駅構内から出場する利用者に対して改札処理を行う。
【0032】
使用状態管理装置1は、同じグループに属する複数の自動改札機2を高速専用回線3でデータ通信可能に接続している。高速専用回線3が、この発明でいう第1のネットワークに相当する。
【0033】
また、この改札システムは、各グループの使用状態管理装置1を、LAN4で相互にデータ通信可能に接続している。このLAN4が、この発明でいう第2のネットワークに相当する。
【0034】
なお、図1は、この改札システムを適用した鉄道網の3つの駅(駅A、B、C)を例示しているだけであって、この鉄道網の駅の総数が3つであるということを意味するものではない。また、図1では、特に図示していないが、各駅には、券売機、精算機、係員端末等の駅務機器も設置している。これらの機器の中で、QR券の使用状態をリアルタイムに利用する必要がある機器は高速専用回線3に、それ以外の機器はLAN4により使用状態管理装置1とデータ通信可能に接続している。
【0035】
したがって、これらの機器においても、旅客などの要求によりQR券の使用状態を問合せが行える。さらに、LAN4は、駅間通信の必要な他のシステムの通信回線としても利用している。
【0036】
図3は、使用状態管理装置の主要部の構成を示すブロック図である。使用状態管理装置1は、制御部11と、第1の通信部12と、第2の通信部13と、使用状態管理データベース14(以下、使用状態管理DB14と言う。)と、を備えている。
【0037】
制御部11は、使用状態管理装置1本体の動作を制御する。
【0038】
第1の通信部12は、高速専用回線3で接続されている自動改札機2(同じグループに属する自動改札機2)との間におけるデータ通信を制御する。
【0039】
第2の通信部13は、LAN4で接続されている他の使用状態管理装置1との間におけるデータ通信を制御する。
【0040】
使用状態管理DB14は、使用状態管理情報記憶領域14aと、テンポラリ領域14bと、を有している。使用状態管理情報記憶領域14aは、QR券毎に、そのQR券の使用状態管理情報を記憶する領域である。この使用状態管理情報は、少なくとも、QR券の識別番号、入場フラグ、および出場フラグを含んでいればよい。入場フラグは、いずれかの自動改札機2において、駅への入場にかかる改札処理で使用されたかどうか(すなわち未入場であるか、入場済であるか)を示すフラグである。出場フラグは、いずれかの自動改札機2において、駅からの出場にかかる改札処理が使用されたかどうか(すなわち未出場であるか、出場済であるか)を示すフラグである。
【0041】
また、テンポラリ領域14bは、前回の整合処理の完了から、次回の整合処理までの間に発生したQR券の使用状態管理情報を一時的に記憶する領域である。この整合処理は、それぞれの使用状態管理装置1が使用状態管理DB14の使用状態管理情報記憶領域14aに記憶している使用状態管理情報を一致させる処理である。この整合処理の詳細については後述する。
【0042】
また、テンポラリ領域14bには、前回の整合処理が適正に終了したかどうかを示す整合フラグを記憶している。すなわち、この整合フラグは、全ての使用状態管理装置1が使用状態管理DB14の使用状態管理情報記憶領域14aに記憶している使用状態管理情報が前回の整合処理で一致したかどうかを示すフラグである。
【0043】
図4は、自動改札機の外観図である。図5は、自動改札機の主要部のブロック図である。自動改札機2は、制御部21と、乗車券情報読取部22と、利用者検知部23と、表示部24と、扉開閉部25と、通信部26と、を備えている。
【0044】
自動改札機2は、図4に示すように、入場用ユニット2aと、出場用ユニット2bと、を改札通路を挟んで対向させて配置している。
【0045】
制御部21は、自動改札機2本体の動作を制御する。
【0046】
乗車券情報読取部22は、改札通路を通行する利用者が所持している乗車券に記録されている乗車券情報を読み取る。乗車券情報読取部22は、乗車券に印刷されているQRコード(登録商標)を光学的に読み取る光学センサ22a、22bを有する。光学センサ22aは、駅構内に入場する利用者にとっての改札通路入口側(入場用ユニット2a)に配置している。光学センサ22bは、駅構内から出場する利用者にとっての改札通路入口側(出場用ユニット2b)に配置している。
【0047】
利用者検知部23は、改札通路に沿って配置した複数のセンサにより、改札通路内に位置する利用者の位置を検知する。利用者検知部23は、例えば、入場用ユニット2a、または出場用ユニット2bの一方に、改札通路に沿って配置した複数の発光素子と、入場用ユニット2a、または出場用ユニット2bの他方に、発光素子毎に改札通路を挟んで対向する位置に配置した複数の受光素子と、を有する。利用者検知部23は、発光素子から照射されている光を受光していない受光素子があれば、その受光素子に対応する位置に利用者がいると判断する。
【0048】
表示部24は、改札通路を通行している利用者に対してメッセージを表示する表示器24a、24bを有している。表示器24aは、入場用ユニット2aに配置しており、駅構内に入場する利用者に対するメッセージを表示する。表示器24bは、出場用ユニット2bに配置しており、駅構内から出場する利用者に対するメッセージを表示する。
【0049】
扉開閉部25は、改札通路における利用者の通行を許可しないときに、その利用者の出口側に設けた扉25a、25bを閉する。図3に示す扉25aは、駅構内に入場する利用者に対して開閉する扉であり、扉25bは、駅構内から出場する利用者に対して開閉する扉である。図3には示していないが、扉25a、25bは、出場用ユニット2bにも設けている。出場用ユニット2bにも設けている扉25aは、駅構内から出場する利用者に対して開閉する扉である。また、出場用ユニット2bにも設けている扉25bは、駅構内に入場する利用者に対して開閉する扉である。
【0050】
通信部26は、高速専用回線3で接続されている、同じグループに属する使用状態管理装置1との間におけるデータ通信を制御する。
【0051】
次に、この改札システムの動作について説明する。この改札システムは、自動改札機2が、駅構内に入場する利用者や、駅構内から出場する利用者に対して改札処理を行う。自動改札機2は、QR券に記録されている乗車券情報、および同じグループに属する使用状態管理装置1から取得した、このQR券の使用状態管理情報を用いて、改札通路における利用者の通行可否を判定する。また、自動改札機2は、改札通路における利用者の通行を許可した場合、今回の改札処理で使用されたQR券の使用状態管理情報の更新を、同じグループに属する使用状態管理装置1に通知する。
【0052】
使用状態管理装置1は、同じグループに属する自動改札機2から更新が通知されたQR券の使用状態管理情報に基づき、使用状態管理DB14を更新する。また、使用状態管理装置1は、他のグループの使用状態管理装置1との間で、使用状態管理情報記憶領域14aに記憶しているQR券の使用状態管理情報を一致させる整合処理を行う。
【0053】
図6は、自動改札機における入場処理を示すフローチャートである。駅構内に入場する利用者は、自動改札機2の入場用ユニット2aに設けた光学センサ22aの読取位置に、乗車券であるQR券(QRコード(登録商標))を翳す。
【0054】
自動改札機2は、乗車券情報読取部22が光学センサ22aによりQRコード(登録商標)(乗車券情報)を読み取るのを待っている(s1)。乗車券情報読取部22は、入場用ユニット2aに設けた光学センサ22aでのQRコード(登録商標)の読み取りを繰り返し行っており、駅構内に入場する利用者がQR券(QRコード(登録商標))を光学センサ22aの読取位置に翳したときに、QRコード(登録商標)を読み取る。s1で読み取った乗車券情報には、QR券の識別番号、有効期間、有効区間が含まれている。
【0055】
自動改札機2は、QR券から読み取った乗車券情報に基づき、利用者の入場を許可するかどうかを判定する一次判定処理を行う(s2)。この一次判定処理は、今回乗車券情報を読み取ったQRについて、有効期間、および有効区間が適正であるかどうかを判定する処理である。したがって、この一次判定処理では、今回使用されたQR券がコピー等で作成された偽造券であるかどうかや、使い回しされているQR券であるかどうか等についての判定を行っていない。ただし、後述する二次判定処理において、上述のQR券の不正使用であるかどうかにかかる判定を行う。
【0056】
自動改札機2は、s2の一次判定処理で、利用者の入場を許可しないと判定すると、扉開閉部25により扉25aを閉する(s3、s4)。これにより、自動改札機2は、乗車券情報が適正でないQR券で利用者が駅構内に入場するのを阻止する。
【0057】
一方、自動改札機2は、s2の一次判定処理で、利用者の入場を許可しないと判定しなければ(乗車券情報が適正であると判定すると)、高速専用回線3で接続されている使用状態管理装置1(同じグループに属する使用状態管理装置1)に対して、今回乗車券情報(QRコード(登録商標))を読み取ったQR券の使用状態管理情報の通知要求を行う(s3、s5)。この使用状態管理情報の通知要求には、s1で乗車券情報を読み取ったQR券の識別番号が含まれている。
【0058】
使用状態管理装置1は、同じグループに属するいずれかの自動改札機2から、QR券の使用状態管理情報の通知要求を受信すると、この通知要求に含まれているQR券の識別番号をキーにして、使用状態管理DB14の使用状態管理情報記憶領域14aを検索する。使用状態管理装置1は、この検索で得た、該当するQR券の使用状態管理情報を自動改札機2に返信する。使用状態管理装置1は、該当するQR券の使用状態管理情報を使用状態管理情報記憶領域14aに記憶していなければ、未登録を自動改札機2に返信する。一方、使用状態管理装置1は、該当するQR券の使用状態管理情報を使用状態管理情報記憶領域14aに記憶していれば、それを自動改札機2に返信する。
【0059】
なお、使用状態管理装置1は、その時点で記憶している整合フラグも自動改札機2に送信している。
【0060】
自動改札機2は、使用状態管理装置1からの返信により、s1で乗車券情報を読み取ったQR券の使用状態管理情報を取得する(s6)。自動改札機2は、s6で取得したQR券の使用状態管理情報に基づき、利用者の入場を許可するかどうかを判定する二次判定処理を行う(s7)。s7では、s6で取得したQR券の使用状態管理情報が未登録であった場合、または入場フラグが未入場を示している場合、利用者の入場を許可すると判定する。一方、s6で取得したQR券の使用状態管理情報の入場フラグが入場済を示している場合、利用者の入場を許可しないと判定する。
【0061】
この二次判定で、QR券の使い回しや、コピー等による偽造券の使用によって、利用者が駅構内に不正に入場するのを防止できる。
【0062】
自動改札機2は、s7の二次判定処理で、利用者の入場を許可しないと判定すると、扉開閉部25により扉25aを閉する(s8、s4)。これにより、自動改札機2は、乗車券情報が適正であっても、使い回し等のQR券の不正使用で利用者が駅構内に入場するのを阻止する。
【0063】
自動改札機2は、s7の二次判定処理で、利用者の入場を許可すると判定すると、扉開閉部25により扉25aを開する(s8、s9)。また、自動改札機2は、今回の改札処理で使用されたQR券について、その使用状態管理情報の更新要求を高速専用回線3で接続されている使用状態管理装置1(同じグループに属する使用状態管理装置1)に送信する(s10)。この使用状態管理情報の更新要求には、QR券の識別番号と、入場処理完了と、が含まれている。
【0064】
使用状態管理装置1は、同じグループに属するいずれかの自動改札機2から、QR券の使用状態管理情報の更新要求を受信すると、この更新要求に基づき、QR券の識別番号、入場フラグ、出場フラグを対応付けた使用状態管理情報を生成し、これをテンポラリ領域14bに記憶する。使用状態管理装置1は、使用状態管理情報の更新要求が入場処理の完了にかかるものであれば、入場フラグを入場済を示す状態「1」にし、出場フラグを未出場を示す「0」にした使用状態管理情報を生成する。
【0065】
また、使用状態管理装置1は、作成した使用状態管理情報を使用状態管理情報記憶領域14aにも記憶する。使用状態管理装置1は、該当するQR券の使用状態管理情報を使用状態管理情報記憶領域14aに記憶していなければ、今回作成した使用状態管理情報を追加登録し、該当するQR券の使用状態管理情報を使用状態管理情報記憶領域14aに記憶していれば、これを今回作成した使用状態管理情報に書き換える(更新する)。
【0066】
したがって、使用状態管理装置1は、同じグループに属する自動改札機2が入場を許可したQR券については、略リアルタイムに使用状態管理情報を更新することができる。
【0067】
次に、自動改札機2における出場処理について説明する。図7は、自動改札機における出場処理を示すフローチャートである。駅構内から出場する利用者は、自動改札機2の出場用ユニット2bに設けた光学センサ22bの読取位置に、乗車券であるQR券(QRコード(登録商標))を翳す。
【0068】
自動改札機2は、乗車券情報読取部22が光学センサ22bによりQRコード(登録商標)(乗車券情報)を読み取るのを待っている(s11)。乗車券情報読取部22は、出場用ユニット2bに設けた光学センサ22bでのQRコード(登録商標)の読み取りを繰り返し行っており、駅構内から出場する利用者がQR券(QRコード(登録商標))を光学センサ22bの読取位置に翳したときに、QRコード(登録商標)を読み取る。s11で読み取った乗車券情報には、QR券の識別番号、有効期間、有効区間が含まれている。
【0069】
自動改札機2は、QR券から読み取った乗車券情報に基づき、利用者の出場を許可するかどうかを判定する一次判定処理を行う(s12)。この一次判定処理は、上述したs2と同様に、今回乗車券情報を読み取ったQRについて、有効期間、および有効区間が適正であるかどうかを判定する処理である。したがって、この一次判定処理では、今回使用されたQR券がコピー等で作成された偽造券であるかどうかや、使い回しされているQR券であるかどうか等についての判定を行っていない。ただし、後述する二次判定処理において、上述のQR券の不正使用であるかどうかにかかる判定を行う。
【0070】
自動改札機2は、s12の一次判定処理で、利用者の出場を許可しないと判定すると、扉開閉部25により扉25bを閉する(s13、s14)。これにより、自動改札機2は、乗車券情報が適正でないQR券で利用者が駅構内から出場するのを阻止する。
【0071】
一方、自動改札機2は、s12の一次判定処理で、利用者の出場を許可しないと判定しなければ(乗車券情報が適正であると判定すると)、高速専用回線3で接続されている使用状態管理装置1(同じグループに属する使用状態管理装置1)に対して、今回乗車券情報(QRコード(登録商標))を読み取ったQR券の使用状態管理情報の通知要求を行う(s13、s15)。この使用状態管理情報の通知要求には、s11で乗車券情報を読み取ったQR券の識別番号が含まれている。
【0072】
使用状態管理装置1は、同じグループに属するいずれかの自動改札機2から、QR券の使用状態管理情報の通知要求を受信すると、この通知要求に含まれているQR券の識別番号をキーにして、使用状態管理DB14の使用状態管理情報記憶領域14aを検索する。使用状態管理装置1は、この検索で得た、該当するQR券の使用状態管理情報を自動改札機2に返信する。使用状態管理装置1は、該当するQR券の使用状態管理情報を使用状態管理情報記憶領域14aに記憶していなければ、未登録を自動改札機2に返信する。一方、使用状態管理装置1は、該当するQR券の使用状態管理情報を使用状態管理情報記憶領域14aに記憶していれば、それを自動改札機2に返信する。
【0073】
なお、使用状態管理装置1は、その時点で記憶している整合フラグも自動改札機2に送信している。
【0074】
自動改札機2は、使用状態管理装置1からの返信により、s11で乗車券情報を読み取ったQR券の使用状態管理情報を取得する(s16)。自動改札機2は、s16で取得したQR券の使用状態管理情報に基づき、利用者の入場を許可するかどうかを判定する二次判定処理を行う(s17)。s17における二次判定処理と、上述したs7における二次判定処理と、は異なる処理である。
【0075】
s17では、s16で取得したQR券の使用状態管理情報の出場フラグが出場済を示している場合、利用者の出場を許可しないと判定する。これにより、QR券の使い回しや、コピー等による偽造券の使用によって、利用者が駅構内から不正に出場するのを防止できる。
【0076】
また、自動改札機2は、使用状態管理装置1から取得した整合フラグが、前回の整合処理が適正に終了していることを示していれば、s16で取得したQR券の使用状態管理情報が未登録であった場合、または入場フラグが未入場を示している場合、利用者の出場を許可しないと判定する。これにより、QR券のキセル使用によって、利用者が駅構内から不正に出場するのを防止できる。自動改札機2は、s16で取得したQR券の使用状態管理情報の入場フラグが入場済を示していれば、利用者の出場を許可すると判定する。
【0077】
なお、後述する整合処理によって、各グループの使用状態管理装置1が使用状態管理情報記憶領域14aに記憶しているQR券の使用状態管理情報を一致させている。
【0078】
また、自動改札機2は、使用状態管理装置1から取得した整合フラグが、前回の整合処理が適正に終了していないことを示していれば、s16で取得したQR券の使用状態管理情報の出場フラグが出場済でなければ、未登録であったり、入場フラグが未入場であっても利用者の出場を許可すると判定する。LAN4等に生じた障害によって、各グループの使用状態管理装置1間でQR券の使用状態管理情報を一致させる整合処理が適正に行えていない場合、他のグループの自動改札機2で入場処理されたQR券の使用状態管理情報が適正に反映されていない。したがって、適正なQR券で入場し、その後、適正なQR券で出場しようとしている利用者に対して、出場を許可しないとする誤判定が防止できる。
【0079】
自動改札機2は、s17の二次判定処理で、利用者の出場を許可しないと判定すると、扉開閉部25により扉25bを閉する(s18、s14)。これにより、自動改札機2は、乗車券情報が適正であっても、使い回しやキセル使用等のQR券の不正使用で利用者が駅構内から出場するのを阻止する。
【0080】
自動改札機2は、s17の二次判定処理で、利用者の出場を許可すると判定すると、扉開閉部25により扉25bを開する(s18、s19)。また、自動改札機2は、今回の改札処理で使用されたQR券について、その使用状態管理情報の更新要求を高速専用回線3で接続されている使用状態管理装置1(同じグループに属する使用状態管理装置1)に送信する(s20)。この使用状態管理情報の更新要求には、QR券の識別番号と、出場処理完了と、が含まれている。
【0081】
使用状態管理装置1は、同じグループに属するいずれかの自動改札機2から、QR券の使用状態管理情報の更新要求を受信すると、この更新要求に基づき、QR券の識別番号、入場フラグ、出場フラグを対応付けた使用状態管理情報を生成し、これをテンポラリ領域14bに記憶する。使用状態管理装置1は、使用状態管理情報の更新要求が出場処理の完了にかかるものであれば、入場フラグを入場済を示す状態「1」にし、且つ出場フラグを出場済を示す「1」にした使用状態管理情報を生成する。
【0082】
また、使用状態管理装置1は、作成した使用状態管理情報を使用状態管理情報記憶領域14aにも記憶する。使用状態管理装置1は、該当するQR券の使用状態管理情報を使用状態管理情報記憶領域14aに記憶していなければ、今回作成した使用状態管理情報を追加登録し、該当するQR券の使用状態管理情報を使用状態管理情報記憶領域14aに記憶していれば、これを今回作成した使用状態管理情報に書き換える(更新する)。
【0083】
したがって、使用状態管理装置1は、同じグループに属する自動改札機2が出場を許可したQR券については、略リアルタイムに使用状態管理情報を更新することができる。
【0084】
このように、使用状態管理装置1は、同じグループに属する自動改札機2における改札処理(入場処理、または出場処理)で使用されたQR券について、その状態を、リアルタイムに更新できる。したがって、同じグループに属する自動改札機2での、QR券の使い回し等に対するセキュリティを十分に確保できる。通常、QR券等の乗車券の使い回しは、同じ駅の改札口で行われるので、駅単位や改札口単位でグループを分割しておけばよい。
【0085】
次に、各グループの使用状態管理装置1が使用状態管理情報記憶領域14aで管理しているQR券の使用状態管理情報を整合させる整合処理について説明する。
【0086】
各グループの使用状態管理装置1の中から、1つの使用状態管理装置1を親機として選定し、他の使用状態管理装置1を子機として選定している。ここでは、各グループの使用状態管理装置1の中で、処理負荷が比較的小さい使用状態管理装置1(接続されている自動改札機2の台数が比較的少ない使用状態管理装置1や、乗降客が比較的少ない駅の使用状態管理装置1)を親機として選定している。
【0087】
図8は、この親機の整合処理を示すフローチャートである。親機である使用状態管理装置1は、整合処理の開始タイミングになるのを待っている(s21)。一般的な鉄道網では、隣接する駅間であっても、利用者が入場駅で駅構内に入場する入場処理の時点から、出場駅で駅構内から出場する出場処理の時点までに、数分(3〜4分)程度の時間がかかる。したがって、この時間よりも短い間隔で、各グループの使用状態管理装置1が使用状態管理情報記憶領域14aで管理しているQR券の使用状態管理情報を定期的に整合させることで、自動改札機2は、出場処理時に、同じグループに属する使用状態管理装置1から適正な使用状態管理情報を取得できる。
【0088】
親機である使用状態管理装置1は、前回の整合処理の終了から、予め定めた時間(隣接する駅間の移動にかかる時間よりも少し短い時間(1〜3分程度))経過すると、s21で整合処理の開始タイミングになったと判定する。
【0089】
親機である使用状態管理装置1は、s21で整合処理の開始タイミングになったと判定すると、他のグループの使用状態管理装置1に対して、一斉に、テンポラリ領域14bに記憶しているQR券の使用状態管理情報の転送を要求する(s22)。
【0090】
親機である使用状態管理装置1は、他の全ての使用状態管理装置1からテンポラリ領域14bに記憶しているQR券の使用状態管理情報が転送されてくるか、予め定めた待ち時間経過するのを待つ(s23、s24)。
【0091】
LAN4は、複数の駅間における通信回線である。このため、LAN4は、他のシステムが通信回線を専有したり、外来ノイズが通信回線に混入したりする等を原因とする、通信障害や通信遅延が発生することがある。この場合、親機である使用状態管理装置1は、他の使用状態管理装置1との間でデータ通信が行えない状態になる。s24は、この状態になった場合に、親機である使用状態管理装置1が、いつまでも待ちつづけるのを防止するために設けた処理である。
【0092】
親機である使用状態管理装置1からQR券の使用状態管理情報の転送要求を受信した他の使用状態管理装置1は、テンポラリ領域14bに記憶しているQR券の使用状態管理情報を親機である使用状態管理装置1に転送する。また、テンポラリ領域14bに記憶しているQR券の使用状態管理情報の転送(親機である使用状態管理装置1への転送)が完了した使用状態管理装置1は、このテンポラリ領域14bに記憶しているQR券の使用状態管理情報をリセットする。
【0093】
親機である使用状態管理装置1は、s24で予め定めた待ち時間経過したと判定すると、この時点で転送されてきているQR券の使用状態管理情報を集計する(s25)。親機である使用状態管理装置1は、s25で集計したQR券の使用状態管理情報をテンポラリ領域14bに追加記憶する(s26)。これにより、QR券の使用状態管理情報の消失を防止している。
【0094】
親機である使用状態管理装置1は、整合フラグを前回の整合処理が適正に終了していない状態にセットする(s27)。また、親機である使用状態管理装置1は、他の全ての使用状態管理装置1に対して、整合フラグを前回の整合処理が適正に終了していない状態にセットすることを通知し(s28)、s21に戻る。
【0095】
親機である使用状態管理装置1がs28で整合フラグを前回の整合処理が適正に終了していない状態にセットすることを通知した他の使用状態管理装置1は、整合フラグを前回の整合処理が適正に終了していない状態にセットする。
【0096】
親機である使用状態管理装置1は、他の全ての使用状態管理装置1からテンポラリ領域14bに記憶しているQR券の使用状態管理情報が転送されてくると、転送されてきたQR券の使用状態管理情報と、自装置のテンポラリ領域14bに記憶しているQR券の使用状態管理情報と、を合わせて集計する(s29)。具体的にいえば、同じ識別番号のQR券について、入場フラグが入場済である使用状態管理情報があれば、この識別番号のQR券の入場フラグを入場済にし、同じ識別番号のQR券について、出場フラグが出場済である使用状態管理情報があれば、この識別番号のQR券の出場フラグを出場済にした1つの使用状態管理情報に纏める処理である。
【0097】
親機である使用状態管理装置1は、s29で集計したQR券の使用状態管理情報に基づき、使用状態管理情報記憶領域14aに記憶しているQR券の使用状態管理情報を更新する(s30)。また、親機である使用状態管理装置1は、テンポラリ領域14bに記憶しているQR券の使用状態管理情報をクリアする(s31)。
【0098】
さらに、親機である使用状態管理装置1は、他の全ての使用状態管理装置1に対して、s30で更新した使用状態管理情報記憶領域14aに記憶しているQR券の使用状態管理情報を更新情報として送信する(s32)。
【0099】
親機である使用状態管理装置1から使用状態管理情報記憶領域14aに記憶しているQR券の使用状態管理情報の更新情報を受信した他の使用状態管理装置1は、自装置の使用状態管理情報記憶領域14aに記憶しているQR券の使用状態管理情報を、今回受信した更新情報に更新する。また、今回更新した、使用状態管理情報記憶領域14aに記憶しているQR券の使用状態管理情報を、親機である使用状態管理装置1に返信する。
【0100】
親機である使用状態管理装置1は、他の使用状態管理装置1から返信されてきたQR券の使用状態管理情報と、自装置の使用状態管理情報記憶領域14aに記憶しているQR券の使用状態管理情報とが一致しているかどうかを判定する。親機である使用状態管理装置1は、他の全ての使用状態管理装置1から返信されてきたQR券の使用状態管理情報と自装置の使用状態管理情報記憶領域14aに記憶しているQR券の使用状態管理情報とが一致していれば(s33)、他の全ての使用状態管理装置1に対して、整合フラグを前回の整合処理が適正に終了した状態にセットすることを通知し(s34)、s21に戻る。
【0101】
一方、親機である使用状態管理装置1は、自装置の使用状態管理情報記憶領域14aに記憶しているQR券の使用状態管理情報と一致していないQR券の使用状態管理情報を返信してきた使用状態管理装置1があれば、この使用状態管理装置に対して、s32で送信した更新情報の再送信を行い(s35)、s33に戻る。
【0102】
上述の整合処理により、各グループの使用状態管理装置1が、使用状態管理情報記憶領域14aに記憶しているQR券の使用状態管理情報を一致させることができる。したがって、適正なQR券で入場した利用者に対する、上述した自動改札機2での出場処理が適正に行える。
【0103】
また、使用状態管理装置1は、QR券の使用状態管理情報の入出力を、同じグループに属する自動改札機2との間で行い、異なるグループに属する自動改札機2との間では行わないので、処理負荷が十分に低減される。
【0104】
なお、各グループの使用状態管理装置1が、使用状態管理情報記憶領域14aに記憶しているQR券の使用状態管理情報を一致させる整合処理については、図8に示した処理に限らず、他の手法で一致させてもよい。
【0105】
また、自動改札機2は、非接触IC券を乗車券として使用した改札処理を行う構成を追加的に設けてもよい。
【0106】
また、乗車券情報は、QRコード(登録商標)に限らず、一次元のバーコード等で印刷してもよい。
【符号の説明】
【0107】
1…使用状態管理装置
2…自動改札機
3…高速専用回線
4…LAN
11…制御部
12…第1の通信部
13…第2の通信部
14…使用状態管理データベース(使用状態管理DB)
14a…使用状態管理情報記憶領域
14b…テンポラリ領域
21…制御部
22…乗車券情報読取部
22a、22b…光学センサ
23…利用者検知部
24…表示部
25…扉開閉部
26…通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グループ毎に、利用者に対して改札処理を行う複数の自動改札機を、前記自動改札機が前記改札処理で使用する乗車券の使用状態を管理する使用状態管理装置に、第1のネットワークでデータ通信可能に接続し、且つ、各グループの前記使用状態管理装置を第2のネットワークでデータ通信可能に接続した改札システムであって、
前記使用状態管理装置は、
乗車券の識別番号と、入場にかかる改札処理での使用の有無と、出場にかかる改札処理での使用の有無と、を対応付けた使用状態管理情報を記憶する使用状態管理情報記憶部を備え、
前記自動改札機は、
乗車券に記録されている乗車券情報を読み取る乗車券情報読取部と、
前記乗車券情報読取部が乗車券情報を読み取った乗車券について、前記第1のネットワークでデータ通信可能に接続されている前記使用状態管理装置から前記使用状態管理情報を取得する使用状態管理情報取得部と、
前記乗車券情報読取部が読み取った乗車券情報、および前記使用状態管理情報取得部が取得した前記使用状態管理情報を用いて、改札通路における利用者の通行を許可するかどうかを判定する判定部と、
前記判定部が改札通路における利用者の通行を許可すると判定した場合、前記第1のネットワークでデータ通信可能に接続されている前記使用状態管理装置に対して、今回の改札処理で使用された乗車券について、前記使用状態管理情報の更新を通知する使用状態通知部と、を備え、
さらに、前記使用状態管理装置は、
前記自動改札機から前記使用状態管理情報の更新が通知される毎に、該当する乗車券について前記使用状態管理情報記憶部に記憶している前記使用状態管理情報を更新する更新部と、
前記第2のネットワークで接続されている他のグループの前記使用状態管理装置と、前記使用状態管理情報記憶部に記憶している前記使用状態管理情報を整合させる整合処理を行う整合部と、を備えている、
改札システム。
【請求項2】
前記自動改札機の前記乗車券情報読取部は、乗車券の券面に印刷されたバーコードを光学的に読み取る、
請求項1に記載の改札システム。
【請求項3】
前記自動改札機の前記判定部は、前記乗車券情報読取部が読み取った乗車券情報を用いて、改札通路における利用者の通行を許可するかどうかについて一次判定を行い、この一次判定で改札通路における利用者の通行を許可すると判定した場合に、前記使用状態管理情報取得部が取得した前記使用状態管理情報を用いて、改札通路における利用者の通行を許可するかどうかについて二次判定を行う、
請求項1、または2に記載の改札システム。
【請求項4】
前記自動改札機の前記使用状態管理情報取得部は、前記判定部が前記一次判定で改札通路における利用者の通行を許可しないと判定した場合、前記使用状態管理装置からの前記使用状態管理情報の取得を行わない、
請求項3に記載の改札システム。
【請求項5】
前記使用状態管理装置の前記整合部は、予め定めたタイミングになる毎に、前記整合処理を行う、
請求項1〜4のいずれかに記載の改札システム。
【請求項6】
前記使用状態管理装置は、
前記整合部における前回の前記整合処理が適正に行えたかどうかを示す同期状態フラグを記憶する同期状態記憶部を備え、
前記自動改札機は、
前記使用状態管理情報取得部が、前記使用状態管理装置から前記使用状態管理情報とともに、前記同期状態記憶部に記憶している前記同期状態フラグを取得し、
前記判定部が、取得した前記同期状態フラグも用いて、改札通路における利用者の通行を許可するかどうかを判定する、
請求項1〜5のいずれかに記載の改札システム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【公開番号】特開2013−97537(P2013−97537A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239160(P2011−239160)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】