説明

改良されたイソプロパノール耐性、柔軟性及び柔らかさを有するポリウレタン分散体

イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマー、及び優れたアルコール溶媒耐性を有する平坦な物品の製造に有用な、このプレポリマーからの水性分散体が開示される。このプレポリマーは、A)i)脂肪族及び/又は脂環式イソシアネート、ii)芳香族イソシアネートと脂肪族及び/又は脂環式イソシアネートとの混合物からなる群から選択されるイソシアネート、B)700〜約16000の数平均分子量を有するジ−又はポリヒドロキシ化合物、及びC)任意に、700未満の数平均分子量を有するジ−又はポリヒドロキシ化合物を、a)成分A)、B)又はC)の少なくとも1つは2を超える官能価を有し、b)成分A)及びB)の両方が二官能性であり、成分C)は式:R-(OH)(式中、Rは、2〜8個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖飽和脂肪族基である。)で示されるトリヒドロキシ化合物ではあり得ないことを条件に、反応させることにより得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマー並びのその水性分散体及び平坦な物品の製造のためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
1990年代の初期において、HIV、B型肝炎及びC型肝炎に対して世界的に採用されていた予防策の結果、ラテックスから製造された手袋及びコンドームの使用が劇的に増大した。しかし、そのような手袋の使用者の約1%及び医療分野に従事する使用者の約10%がアレルギー性感作反応を示し、そのことから、近年、検査用手袋及びコンドーム産業において代替品の開発の重要性が著しく増大している。
【0003】
天然ラテックスは、I型及びIV型アレルゲンを含んでいる。I型アレルゲンは、ラテックス中に自然に存在するタンパク質に起因し、アナフィラキシー・ショックを引き起こすことさえある。IV型アレルゲンは、ラテックスの製造時に必要な促進剤及び添加剤である。これらは、過敏接触皮膚炎を引き起こす。記載したアレルギー反応がポリウレタンから起こることは知られていない。従って、上記の衛生物品を得るためにゴムラテックスと同様に加工できる水性ポリウレタン分散体が緊急に必要とされている。
【0004】
WO 00/61651 の教示によれば、非イオン性イソシアネートプレポリマーからアニオン性乳化剤の添加及びその後の水による分散により得られる水性ポリウレタン分散体は、手袋及びコンドームの製造に適している。そのような製品の欠点は、アニオン性乳化剤を使用することであり、アニオン性乳化剤は、使用中にポリマーから移行し、使用特性に悪影響を与えることがある。同様の限界が、WO 00/61653 の教示に従って得られる製品にもある。
【0005】
医療、特に手術においてポリウレタン手袋が使用される場合の大きな問題は、このような用途において、手袋をはめた手を消毒するためにイソプロパノール含有混合物が使用されることである。イソプロパノールを使用すると、手袋材料の膨潤が引き起こされ、そうすると材料の機械的耐性が大きく低下し、手袋が破れることになる。
【0006】
米国特許第5,997,969号は、通常の市販ポリウレタン分散体のイソプロパノール耐性を、架橋成分の後添加により改良する方法を記載している。しかしながら、架橋成分の添加は、その為に必要な混合装置が通常は入手できないから、手袋及びコンドームの製造には技術的に非常に困難でコストのかかる方法である。反応性架橋剤と基剤との混合物は、限られたポットライフしか有していない。このことも、手袋及びコンドームの製造では用意された解決策がない問題である。何故なら、通常、凝集操作の後に加工が行われ、凝集バッチは通常使い果たされないからである。通常、凝集バッチは新しい物質により繰り返し補充される。
【0007】
EP 741 152 は、低不飽和単位含量を有するポリオキシプロピレンジオールを主として含むポリオール成分に基づくNCO官能性ポリウレタン(PU)プレポリマーを開示している。これから調製された分散体は、可撓性フィルム及び被覆を製造するのに適している。しかしながら、PUフィルムが不十分な耐溶剤性を有していることは不利である。
【0008】
カナダ特許第1,089,141号は、アニオン的に変性されたポリウレタンの微分散安定水性分散体を調製するための、芳香族ポリイソシアネートと脂肪族又は脂環式ポリイソシアネートとの混合物を記載している。しかしながら、この混合物から製造できる平坦な材料のイソプロパノール耐性は、同様に不十分である。
【0009】
米国特許出願第10/453,755号(2003年6月3日出願)は、医療用途にポリウレタン分散体を使用することに向けられた幾つかの付加的引用を記載している。米国特許出願第10/453,755号に記載された発明は、イソシアネート官能性プレポリマー、そのプレポリマーから調製された水性ポリウレタン分散体、及びそのような分散体の種々の医療用途である。同米国特許出願に記載されたプレポリマーは、約1〜約6質量%のNCO含量を有し、
A)有機ジイソシアネート、
B)約700〜約16000の数平均分子量を有する少なくとも1種のジヒドロキシ化合物、及び
C)式:
R-(OH)
(式中、Rは、2〜8個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖飽和脂肪族基である。)
で示されるトリヒドロキシ成分を、
成分C)の量が、成分C)からのヒドロキシ基が、プレポリマーを製造するのに使用されたヒドロキシ当量の合計に対して約2〜約15質量%となるような量で、反応させることにより調製される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、十分な耐溶剤性を、同時に良好な最小引裂き強さ及び最小極限伸びと組み合わせて有し、かつ上記のような先行技術の欠点を有さないポリウレタン平坦物質の製造に適しているNCO官能性プレポリマーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、この目的を達成する規定した基準を満足する、特定のイソシアネート及び特定のヒドロキシ基含有化合物の組み合わせから調製されるポリウレタンプレポリマーを提供する。
【0012】
より詳細には、本発明は、イソシアネート官能性プレポリマー、そのようなプレポリマーから調製される水性ポリウレタン分散体、及びそのような水性分散体の種々の用途に関する。本発明のポリウレタンプレポリマーは、
A)i)脂肪族及び/又は脂環式イソシアネート、
ii)芳香族イソシアネートと脂肪族及び/又は脂環式イソシアネートとの混合物
からなる群から選択されるイソシアネート、
B)700〜約16000の数平均分子量を有するジ−又はポリヒドロキシ化合物、
及び
C)任意に、700未満の数平均分子量を有するジ−又はポリヒドロキシ化合物
を、
a)成分A)、B)又はC)の少なくとも1つは2を超える官能価を有し、
b)成分A)及びB)の両方が二官能性であり、成分C)は式:
R-(OH)
(式中、Rは、2〜8個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖飽和脂肪族基である。)
で示されるトリヒドロキシ化合物ではあり得ないことを条件に、
反応させることにより得られ、約1〜6質量%、好ましくは約2〜4質量%のNCO含量を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
適当なイソシアネートには、1分子あたり少なくとも2個の遊離イソシアネート基を有する有機化合物、例えば、式:
X(NCO)
(式中、Xは、4〜12個の炭素原子を有する二価脂肪族炭化水素基、6〜15個の炭素原子を有する二価脂環式炭化水素基、6〜15個の炭素原子を有する二価芳香族炭化水素基、又は7〜15個の炭素原子を有する二価芳香脂肪族炭化水素基を表す。)
で示されるジイソシアネートが包含される。ジイソシアネート成分として使用できる化合物の更なる例は、例えば、W. Siefken, Justus Liebig's Annalen Der Chemie, 562, 75-136頁に記載されている。
【0014】
有用なジイソシアネートの具体例は、テトラメチレンジイソシアネート、メチルペンタメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1-シアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン、4,4'-ジイソシアナトベンゼン、2,4-ジイソシアナトトルエン、2,6-ジイソシアナトトルエン、4,4'-ジイソシアナトジフェニルメタン、2,2'-及び2,4'-ジイソシアナトジフェニルメタン、p-キシレンジイソシアネート、p-イソプロピリデンジイソシアネート、1,3-及び1,4-ジイソシアナトメチルベンゼン、並びにこれら化合物の混合物である。
【0015】
1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4'-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、2,4-及び2,6-ジイソシアナトトルエン又はこれら異性体の混合物、4,4'-、2,2'-及び2,4'-ジイソシアナトジフェニルメタン(MDIモノマー)又はこれら異性体の混合物が、特に好ましい。
【0016】
また、アニリン−ホルムアルデヒド縮合及びその後のホスゲン化により得られるような、いわゆるポリマーMDI生成物(粗MDI)、並びに蒸留によりMDIモノマーを部分的に除去して粗MDIから得られるポリマーMDI生成物も有用である。
【0017】
更に、ポリウレタン化学において既知である高官能性ポリイソシアネート、及び例えば、カルボジイミド基、アロファネート基、イソシアヌレート基、ウレタン基及び/又はビウレット基を有する変性ポリイソシアネートの少量を、併用することができる。
【0018】
1つの好ましい態様において、イソシアヌレートは、5〜50質量%、好ましくは10〜45質量%、最も好ましくは20〜35質量%の脂肪族及び/又は脂環式イソシアネート基、及び50〜95質量%、好ましくは55〜90質量%、最も好ましくは65〜80質量%の芳香族ジイソシアネートを含む混合物である。
【0019】
適当な成分B)は、少なくとも2個のヒドロキシル基を含み、700〜約16000の数平均分子量を有する化合物である。そのような化合物の例は、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリラクトン及びポリアミドである。例えば均一多孔性ポリウレタンの製造の為に知られており、例えばドイツ特許第2,832,253号第11頁に記載されているように、好ましい化合物は、2〜8個、最も好ましくは2〜4個のヒドロキシル基を含む。そのような化合物の混合物も使用することができる。
【0020】
ポリエステルポリオールとしては、直鎖ポリエステルジオール又は僅かに分岐したポリエステルポリオールが、適していると考えられ、既知の方法により、脂肪族、脂環式又は芳香族ジカルボン酸又はポリカルボン酸(例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、o-フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸又はトリメリット酸)及びそれらの無水物(例えば、無水o-フタル酸、無水トリメリット酸又は無水コハク酸若しくはこれらの混合物)、並びに多価アルコール(例えば、エタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4-ジメチロールシクロヘキサン、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール又はこれらの混合物)から、所望により、より高い官能価のポリオール(例えば、トリメチロールプロパン又はグリセロール)を併用して、調製することができる。脂環式及び/又は芳香族ジヒドロキシ及びポリヒドロキシ化合物も、ポリエステルポリオールの調製に適している多価アルコールである。ポリエステルの調製において、遊離ポリカルボン酸に代えて、対応するポリカルボン酸無水物又は対応するポリカルボン酸の低級アルコールとのエステル並びにそれらの混合物を使用することもできる。
【0021】
ポリエステルポリオールは、ラクトンのホモポリマー又はコポリマーであってよく、これらは、好ましくは、ラクトン又はラクトン混合物(例えば、ブチロラクトン、ε-カプロラクトン及び/又はメチル-ε-カプロラクトン)と適当な二官能性及び/又はより高官能性の出発分子(例えば、ポリエステルポリオールの構造成分として上記した低分子量多価アルコール)との付加反応により得ることができる。対応するε-カプロラクトンのポリマーが好ましい
【0022】
ヒドロキシル基を有するポリカーボネートも、適当なポリヒドロキシ化合物と考えられる。このようなポリカーボネートは、ジオール(例えば、1,4-ブタンジオール及び/又は1,6-ヘキサンジオール)とジアリールカーボネート(例えば、ジフェニルカーボネート)、ジアルキルカーボネート又はホスゲンとの反応により反応により、調製することができる。
【0023】
適当なポリエーテルポリオールの例は、スチレンオキシドの重付加生成物、及びエチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブチレンオキシド及びエピクロロヒドリンの重付加生成物、並びにこれらの共付加又はグラフト生成物、更に、多価アルコール又はそれらの混合物の縮合により得られるポリエーテルポリオール、多価アルコール、アミン及びアミノアルコールのアルコキシル化により得られるポリエーテルポリオールである。
【0024】
好ましい成分B)は、プロピレンオキシド及びエチレンオキシドのホモポリマー、コポリマー及びグラフトポリマーであり、これらは、上記のエポキシドと低分子量ジオール又はトリオール(例えば、ポリエステルポリオールの製造に関連して上記したジオール又はトリオール)又は高官能性低分子量ポリオール(例えば、ペンタエリトリトール、糖)又は水との付加反応により得ることができる。
【0025】
特に好ましい成分B)は、約1000〜約8000の数平均分子量及び1gのポリオールあたり0.02又はそれ未満、好ましくは0.005〜0.015ミリ当量の不飽和末端基含量(ASTM D2849-69の方法により測定)を有するポリオキシプロピレンジオールの1種又はそれ以上に基づくポリエーテルポリオールであり、それらは、例えば米国特許第5,158,922号(例えば実施例30)又はヨーロッパ特許654 302号(第5頁第26行〜第6頁第32行)に記載された様に、既知の方法に従って、複金属シアン化物(DMC)触媒を用いたアルキレンオキシド、好ましくはプロピレンオキシドの重合により、得ることができる。特に好ましい成分B)は、下記の表1に記載した化合物である。
【0026】
【表1】

【0027】
本発明の1つの好ましい態様において、成分B)は、少なくとも60質量%の少なくとも1種のポリオキシプロピレングリコールを含む。
【0028】
適当な成分C)は、62以上700未満の数平均分子量を有するジ−又はポリヒドロキシ化合物である。ポリエステルポリオールの調製に関連して記載した多価、特に2価アルコール、更に、所望の分子量を有するポリエーテルジオール及びトリオール並びにポリエステルジオールが適している。適当な低分子量ポリエステルポリオールには、例えばアジピン酸ビス(ヒドロキシエチル)エステルが含まれる。また、芳香族ジオールへのエチレンオキシド又はプロピレンオキシドの短鎖ホモ付加及び共付加生成物も有用である。好ましい成分C)は、i)低分子量ジオール:1,2-エタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール及び2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、特に好ましくは1,4-ブタンジオール及び1,6-ヘキサンジオール、並びにii)低分子量ポリエーテルトリオールである。
【0029】
また、アルキレンオキシド(例えば、プロピレンオキシド又はエチレンオキシド)と芳香族ジヒドロキシ化合物又は芳香族ジカルボン酸(例えば、ヒドロキノン、レゾルシノール、ピロカテコール又は2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA))との付加生成物も有用である。
【0030】
本発明はまた、本発明のイソシアネート基含有プレポリマーの製造方法も提供する。その製造方法では、成分A)、B)及びC)を、イソシアネート含量が1〜6質量%、好ましくは2〜4質量%となるようは比で、反応させる。
【0031】
一般に、成分間の比は、得られるプレポリマーの算術的数平均イソシアネート官能価が2.1〜3.6、好ましくは2.3〜2.8の間にあるような比である。プレポリマーの製造は、20〜130℃、好ましくは50〜120℃、最も好ましくは70〜105℃の温度範囲で行われる。
【0032】
本発明のプレポリマーは、次いで、水性分散体に転換することができる。その為に、本発明のプレポリマーをアミノ官能性成分D)及びアミン連鎖延長剤E)と反応させる。
そこで、本発明は、本発明のプレポリマーと共に、
D)アニオン性又は潜在的アニオン性基、及びイソシアネート基と反応性の基2個を有する化合物、及び
E)イソシアネート基と反応性のアミノ基2個を有する連鎖延長剤
を含んでなる、水性ポリウレタン分散体をも提供する。
【0033】
適当な成分D)は、アニオン性基又はアニオン性基を形成することができる基(潜在的アニオン性基)、及びイソシアネート基と反応性の基2個を有する化合物(例えば、アニオン性基としてカルボキシレート基又はスルホネート基を、又は潜在的アニオン性基としてカルボン酸基又はスルホン酸基を有するジアミノ化合物)である。好ましい成分D)は、アルカリ金属スルホネート基を含むジアミン又はポリアミン、例えばN-(2-アミノエチル)-2-アミノエタンスルホン酸のアルカリ金属塩である。ナトリウム塩が特に好ましい。
【0034】
当然ながら、遊離カルボン酸又はスルホン酸もイソシアネート重付加工程に配合することができる。遊離酸は、水中でのポリウレタン樹脂の転換前に、中和剤、例えばアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属炭酸塩又は第3級アミン(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリイソプロピルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン又はトリイソプロパノールアミン)により、中和しなければならない。
【0035】
連鎖延長剤E)として適している化合物は、脂肪族及び/又は脂環式の第1級及び/又は第2級ジアミンであり、例えば、1,2-エタンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチルシクロヘキサン(イソホロンジアミン)、ピペラジン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、アジピン酸ジヒドラジド又はヒドラジンなどである。対応するポリエーテルジオールとアンモニア及び/又は第1級アミンとの反応により調製し得るポリエーテルジアミンも有用である。しかしながら、連鎖延長剤E)としては、1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチルシクロヘキサン(イソホロンジアミン)及び1,2-エタンジアミンが好ましい。
【0036】
本発明の分散体の基礎となるポリウレタン樹脂の水性組成物は、一般的に、Houben-Weyl: Methoden der Organischen Chemie, 第E20巻, 1670-1681頁 (1987)にD. Dieterichにより記載された方法により調製することができる。いわゆる「アセトン法」が好ましい。その方法では、本発明のプレポリマーを含む分散体の基礎となる水性組成物は、多段階法により合成される。
【0037】
第1段階において、本発明のプレポリマーは、少なくとも水混和性である、イソシアネート反応性基を有さない有機溶媒に溶解される。好ましい溶媒はアセトンである。しかしながら、他の溶媒、例えば2-ブタノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N-メチルホルムアミド、N-メチルアセトアミド又はN-メチルピロリドンも、そのものを使用することができ、又は少量含ませることができる。溶媒の量は、通常20〜80質量%、好ましくは30〜50質量%の固形分となるような量である。
【0038】
次いで、プレポリマー溶液は、好ましくは上記溶媒又は水に溶解したアミン官能性成分D)及び成分E)の混合物と反応させて、鎖を延長し、高分子量ポリウレタン樹脂を得る。成分の量は、溶解したプレポリマーのイソシアネート基1モルにつき、0.3〜0.93モル、好ましくは0.65〜0.85モル成分D)及びE)のNH基が存在するような量である。更に、アニオン性基又はアニオン性基を形成できる基を含む成分D)は、得られるポリウレタン中、固形物100gにつき、19〜70ミリ当量、好ましくは20〜35ミリ当量のイオンが存在するような量で使用される。
【0039】
遊離カルボン酸基又はスルホン酸基を有する成分D)を使用する場合、酸基は、分散に必要な水の添加前に、遊離酸基に対して50〜100当量%の割合で、中和剤により中和される。
【0040】
溶液への水の添加により、高分子量ポリウレタン樹脂は微細分散体の形で沈殿する。所望により、有機溶媒の全部又は一部を、減圧下に留去することができる。水の量は、得られる水性分散体が30〜60質量%、好ましくは35〜50質量%の固形物を含むような量である。
【0041】
本発明の水性分散体は、50〜300nm、好ましくは60〜150nmの平均粒径(レーザー相関分光法により測定)を有し、少なくとも6ヶ月間の貯蔵中安定である。
【0042】
本発明の分散体は、常套の方法で加工して、フィルム、箔、表面被覆、仕上げ塗りを得ることができ、また、非常に多様な基材に含浸することができる。分散体は、好ましくはフィルムの製造、最も好ましくは、ディッピング法又は凝集法によるポリウレタン手袋及びコンドームの製造に適している。
【0043】
本発明は、イソプロパノール耐性のポリウレタンフィルムを提供する。本発明のプレポリマーは、好ましくは、ポリウレタン手袋及びコンドームの製造に使用される。
【0044】
本発明のポリウレタン分散体は、意図する用途にもよるが、通常の助剤及び添加剤、例えば、架橋剤、可塑剤、顔料、消泡剤、軟感触添加剤又は充填剤を含むことができる。
【0045】
また、本発明の水性分散体を他の分散体、例えばポリアクリレート分散体、天然又は合成ゴムラテックス(例えば、NBR(ニトリルブタジエンゴム)、クロロプレン)、若しくは他のホモポリマー及びコポリマー(例えば、酢酸エチル又はエチルビニルアルコールのポリマー)と組み合わせることも可能である。
【0046】
本発明のポリウレタン分散体から製造される平坦な物質は、十分な耐溶剤性を有し、同時に、良好な最小引裂き強さ及び最小の極限伸びを有する。
【実施例】
【0047】
以下、実施例を示し、本発明をより詳しく説明するが、本発明は実施例により限定されない。また、別途記載しない限り、すべての「部」及び「%」は質量基準である。
【0048】
実施例1〜5
ポリウレタン分散体フィルムの一般的製造手順
1000μmドクターナイフを用いて、水性分散体をガラス板に塗布するが、ブリスター又は気泡が生じてはならない。塗膜を室温で16〜24時間予備乾燥する。次いで、透明フィルムを、空気循環乾燥炉中、80℃で1時間後乾燥する。その後、フィルムを室温で少なくとも5時間放置する。ガラス板からフィルムを剥離した後、それぞれの場合に必要な試験片をフィルムから打ち抜く。
【0049】
ポリウレタン分散体フィルムの耐アルコール性の評価
試験片の寸法(単位:mm)
全長: 75.0
ヘッドの幅: 12.5
ウエブの長さ:25.0
ウエブの幅: 4.0
厚さ: 約0.2
【0050】
試験片を室温で24時間保存した。次いで、ウエブの右及び左に、約50mmの間隔で印を付け、100%伸ばし、その状態でクランプに取り付けた。テンションをかけた試験片を、2つの印の中央で、イソプロパノール2滴により湿らせた。試験片が破れたなら、耐アルコール性がない。
【0051】
粒子径は、レーザー相関分光法(測定装置:Malvern Instruments Zetasizer 1000)により、測定した。
【0052】
実施例1(比較;カナダ特許第1,089,141号の実施例1に対応)
アジピン酸、ヘキサンジオール及びネオペンチルグリコールから調製されたポリエステル(OH価55mgKOH/g)203gを、110〜120℃の温度及び30mbarの圧力で30分間脱水した。ポリエステルを冷却し、アセトン200gに溶解し、1,4-ブタンジオール40.5gを添加した。次いで、トルエンジイソシアネート(異性体比2,4/2,6 = 80/20)(69.7g)とヘキサメチレンジイソシアネート69.7gの混合物、及びジブチルスズジラウレート0.02gを添加した。60℃で3時間攪拌した後、バッチを、アセトン300gにより希釈し、室温に冷却した。得られたプレポリマーの溶液に、エチレンジアミン及びアクリル酸ナトリウムの等モル付加生成物の40%水溶液19.3gを、攪拌しながら加えた。20分後、水500gを滴下し、次いで、減圧下にアセトンを留去した。非常に微細に分散された安定な分散体が得られた。
【0053】
この分散体から製造した平坦なPU製品は、イソプロパノールにより処理すると破れた。すなわち、耐アルコール性は示さなかった。
イオン含量(ミリ当量/100g)=14.3
【0054】
使用した成分:
AcclaimTM 2200N、4200N、6300及びPPG 1000ポリオール、及びDesmophenTM V 218 ポリオール(Bayer AG (ドイツ、Leberkusen)から販売)
【表2】

【0055】
2.イソシアネート成分
トルエンジイソシアネート, TDI 80:異性体比2,4/2,6=80/20
NCO官能価=2
1-イソシアナト-5-(イソシアナトメチル)-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン:IPDI, イソホロンジイソシアネート
【0056】
他の成分:
AAA塩:N-2-アミノエタン-2-アミノスルホン酸のナトリウム塩、水中45%
1,4-ブタンジオール
エチレンジアミン

【0057】
実施例2(本発明)
AcclaimTM 2200Nポリオール 446.4g
AcclaimTM 6300ポリオール 167.0g
1,4-ブタンジオール 26.1g
1-イソシアナト-5-(イソシアナトメチル)-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン(IPDI) 39.4g
トルエンジイソシアネート(TDI 80) 115.6g
アセトン 1770.0g
AAA塩 75.6g
エチレンジアミン 0.4g
部分脱イオン水 1640.0g
【0058】
AcclaimTM 2200Nポリオール446.4gとAcclaimTM 6300ポリオール167.0gの混合物を、110〜120℃の温度及び30〜50mbarの圧力で1時間脱水した。次いで、混合物を90℃に冷却し、1,4-ブタンジオール26.1gと共に5分間攪拌し、次いで、混合物に、IPDI39.4g及びTDI115.6gを添加した。95〜105℃で7時間攪拌した後、イソシアネート末端プレポリマー(イソシアネート(NCO)含量3.04%(理論NCO含量=3.04%))を得た。プレポリマーを約60℃に冷却し、アセトン1770gを攪拌しながら加えた。透明で均一なプレポリマー溶液に、水113g中でAAA塩75.6g及びエチレンジアミン0.4gから調製したアミン連鎖延長剤溶液を約50℃で添加した。これにより、溶液は不透明になり、粘度は僅かに上昇した。15分後、部分脱イオン水1640gを、素早く攪拌しながら30秒間で流し込んだ。約200mlの水の添加後、低粘度分散体が形成した。次いで、アセトンを、水流ポンプ減圧下、50℃で留去した。
【0059】
84nmの平均粒径を有する微分散された安定な分散体が得られた。分散体は、33.6%の固形分、及び25℃で18秒のフォード粘度カップ値(4mmノズル)を有していた。
【0060】
ドクターナイフを用い、この分散体からガラス板上にフィルムを形成した。フィルムを、まず室温で乾燥し、次いで空気循環乾燥炉中80℃で1時間乾燥した。
【0061】
得られたフィルムは透明で弾性があり、イソプロパノール耐性であった。
イオン含量(ミリ当量/100g)=21.6
【0062】
実施例3(本発明)
AcclaimTM 2200Nポリオール 216.2g
PPG 1000 445.4g
DesmphenTM V218 ポリオール 23.5g
1-イソシアナト-5-(イソシアナトメチル)-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン(IPDI) 43.5g
トルエンジイソシアネート(TDI 80) 125.4g
アセトン 1653.0g
AAA塩 76.1g
エチレンジアミン 0.3g
部分脱イオン水 1826.0g
【0063】
AcclaimTM 2200Nポリオール216.2gとPPG 1000ポリオール445.4gとDesmphenTM V218 ポリオール23.5gの混合物を、110〜120℃の温度及び30〜50mbarの圧力で1時間脱水した。次いで、混合物を90℃に冷却し、混合物に、IPDI43.5g及びTDI125.4gを添加した。95〜105℃で約7時間攪拌した後、イソシアネート末端プレポリマー(イソシアネート(NCO)含量2.89%(理論NCO含量=3.08%))を得た。プレポリマーを約60℃に冷却し、アセトン1653gを攪拌しながら加えた。透明で均一なプレポリマー溶液に、水114g中でAAA塩76.1g及びエチレンジアミン0.3gから調製したアミン連鎖延長剤溶液を約50℃で添加した。これにより、溶液は不透明になり、粘度は僅かに上昇した。15分後、部分脱イオン水1826gを、素早く攪拌しながら30秒間で流し込んだ。約200mlの水の添加後、低粘度分散体が形成した。次いで、アセトンを、水流ポンプ減圧下、50℃で留去した。
【0064】
65nmの平均粒径を有する微分散された安定な分散体が得られた。分散体は、33.8%の固形分、及び25℃で48秒のフォード粘度カップ値(4mmノズル)を有していた。
【0065】
ドクターナイフを用い、この分散体からガラス板上にフィルムを形成した。フィルムを、まず室温で乾燥し、次いで空気循環乾燥炉中80℃で1時間乾燥した。
【0066】
得られたフィルムは透明で弾性があり、イソプロパノール耐性であった。
イオン含量(ミリ当量/100g)=20.3
【0067】
実施例4(本発明)
AcclaimTM 2200Nポリオール 544.1g
AcclaimTM 6300ポリオール 176.0g
1-イソシアナト-5-(イソシアナトメチル)-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン(IPDI) 29.2g
トルエンジイソシアネート(TDI 80) 84.9g
アセトン 1619.0g
AAA塩 75.1g
エチレンジアミン 0.8g
部分脱イオン水 1787.0g
【0068】
AcclaimTM 2200Nポリオール544.1gとAcclaimTM 6300ポリオール176.0gの混合物を、110〜120℃の温度及び30〜50mbarの圧力で1時間脱水した。次いで、混合物を90℃に冷却し、混合物に、IPDI29.2g及びTDI84.9gを添加した。95〜105℃で約7時間攪拌した後、イソシアネート末端プレポリマー(イソシアネート(NCO)含量2.90%(理論NCO含量=3.06%))を得た。プレポリマーを約60℃に冷却し、アセトン1619gを攪拌しながら加えた。透明で均一なプレポリマー溶液に、水113g中でAAA塩75.1g及びエチレンジアミン0.8gから調製したアミン連鎖延長剤溶液を約50℃で添加した。これにより、溶液は不透明になり、粘度は僅かに上昇した。15分後、部分脱イオン水1787gを、素早く攪拌しながら30秒間で流し込んだ。約200mlの水の添加後、低粘度分散体が形成した。次いで、アセトンを、水流ポンプ減圧下、50℃で留去した。
【0069】
108nmの平均粒径を有する微分散された安定な分散体が得られた。分散体は、34.0%の固形分、及び25℃で30秒のフォード粘度カップ値(4mmノズル)を有していた。
【0070】
ドクターナイフを用い、この分散体からガラス板上にフィルムを形成した。フィルムを、まず室温で乾燥し、次いで空気循環乾燥炉中80℃で1時間乾燥した。
【0071】
得られたフィルムは透明で弾性があり、イソプロパノール耐性であった。
イオン含量(ミリ当量/100g)=20.5
【0072】
実施例5(比較:ヨーロッパ特許741,152の実施例3に対応)
AcclaimTM 4200Nポリオール 400.0g
ジメチロールプロピオン酸 20.3g
1-イソシアナト-5-(イソシアナトメチル)-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン 122.5g
トリエチルアミン 12.3g
エチレンジアミン 13.2g
完全脱イオン水 70.0g
完全脱イオン水 780.0g
【0073】
AcclaimTM 4200Nポリオール400.0gを、110〜120℃の温度及び30〜50mbarの圧力で1時間脱水した。次いで、ジメチロールプロピオン酸20.3gを加え、混合物を100℃で30分間攪拌した。次いで、混合物を90℃に冷却し、混合物に、1-イソシアナト-5-(イソシアナトメチル)-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン122.5gを添加した。反応を、一定のイソシアネート含量(理論値=4.21%イソシアネート)が得られるまで、100℃で続けた。65℃に冷却した後、トリエチルアミン12.3gを加え、更に15分間攪拌した。プレポリマーを、50℃で一定に保った完全脱イオン水780gによく攪拌しながら注いだ。完全に分散させた後、完全脱イオン水70g中のエチレンジアミン13.3gを添加して、連鎖延長した。分散体中のイソシアネートが無くなるまで、50℃で攪拌を続けた。中程度に微分散された安定な分散体が得られた。
【0074】
【表3】

【0075】
実施例6(本発明)
下記の物質を、加熱マントル、攪拌機、窒素導入管、還流冷却器及び供給用漏斗を備えた反応器に加えた:
ポリエステルジオール(OH価66、アジピン酸、ヘキサンジオール及びネオペンチルグリコールから調製)376.98g、及びポリエーテルトリオール(380のOH価及び440の数平均分子量を有するトリメチロールプロパン/プロピレンオキシドポリエーテル)10.07g。
次いで、攪拌機を作動し、混合物を58℃に加熱した。その温度で、ヘキサメチレンジイソシアネート73.81gを添加した。反応混合物は発熱して75℃になり、その後80℃で、イソシアネート含量が3.17質量%(理論値=3.36%)になるまで保持した。混合物をアセトン691.28gで希釈し、42.5℃に冷却した。蒸留水107g中のエチレンジアミン3.59g及びN-2-アミノエタン-2-アミノスルホン酸のナトリウム塩20.81gの溶液を5分で添加した。5分後、激しく攪拌しながら(650rmp)蒸留水600gを添加し、続いて、減圧下にアセトンを留去した。約231nmの粒子径及び44質量%の固形分を有する微分散体を得た。
【0076】
実施例7(本発明)
下記の物質を、加熱マントル、攪拌機、窒素導入管、還流冷却器及び供給用漏斗を備えた反応器に加えた:
ポリエステルジオール(OH価66,アジピン酸、ヘキサンジオール及びネオペンチルグリコールから調製)252.96g、及びプロピレンオキシドに基づくポリエーテルトリオール(Acclaim 3300; OH価57及び数平均分子量3000)44.56g。
次いで、攪拌機を作動し、混合物を75℃に加熱した。その温度で、ヘキサメチレンジイソシアネート49.53gを添加した。反応混合物は発熱して80℃になり、その後72℃で、イソシアネート含量が2.68質量%(理論値=2.99%)になるまで保持した。混合物をアセトン520.57gで希釈し、44.5℃に冷却した。蒸留水100g中のエチレンジアミン2.29g及びN-2-アミノエタン-2-アミノスルホン酸のナトリウム塩15.14gの溶液を5分で添加した。10分後、蒸留水557gを添加し、続いて、減圧下にアセトンを留去した。約185nmの分散相粒子径及び36質量%の固形分を有する微分散体を得た。
【0077】
実施例8(比較例:より高官能性の物質不使用)
下記の物質を、加熱マントル、攪拌機、窒素導入管、還流冷却器及び供給用漏斗を備えた反応器に加えた:
ポリエステルジオール(OH価66,アジピン酸、ヘキサンジオール及びネオペンチルグリコールから調製)1133.0g。
次いで、攪拌機を作動し、物質を70℃に加熱した。その温度で、ヘキサメチレンジイソシアネート201gを添加した。反応混合物は発熱して85℃になり、その後85℃で、イソシアネート含量が2.84質量%(理論値=3.32%)になるまで保持した。混合物をアセトン2405gで希釈し、47℃に冷却した。蒸留水300g中のエチレンジアミン11.5g及びN-2-アミノエタン-2-アミノスルホン酸のナトリウム塩53.3gの溶液を30秒で添加した。15分後、蒸留水1800gを添加し、続いて、減圧下にアセトンを留去した。約87nmの分散相粒子径及び40質量%の固形分を有する微分散体を得た。
【0078】
実施例9(比較例:トリアミンによる分岐)
下記の物質を、加熱マントル、攪拌機、窒素導入管、還流冷却器及び供給用漏斗を備えた反応器に加えた:
ポリエステルジオール(OH価66,アジピン酸、ヘキサンジオール及びネオペンチルグリコールから調製)380.0g。
次いで、攪拌機を作動し、物質を70℃に加熱した。その温度で、ヘキサメチレンジイソシアネート67.2gを添加した。反応混合物は発熱して70〜75℃になり、その後75℃で、イソシアネート含量が2.98質量%(理論値=3.32%)になるまで保持した。混合物をアセトン795gで希釈し、41.5℃に冷却した。蒸留水100g中のエチレンジアミン3.49g、ジエチレントリアミン0.38g及びN-2-アミノエタン-2-アミノスルホン酸のナトリウム塩8.05gの溶液を30秒で添加した。15分後、蒸留水610gを添加し、続いて、減圧下にアセトンを留去した。41質量%の固形分を有する微分散体を得た。
【0079】
実施例6〜9の分散体からのフィルムの製造
凝集溶液は、炭酸カルシウム及び硝酸カルシウムの混合物からなっていた。凝集溶液を60℃に加熱し、連続的に攪拌した。磁器製管を65.6℃に予熱した。管を凝縮溶液に浸漬し、ゆっくり引き上げた。凝縮剤を均一に分配するために、管を回転させた。管を60秒間風乾した。次いで、管をポリウレタン分散液に浸漬し、ゆっくり引き上げた。分散液を均一に分配するために、管を回転させた。被覆液を60秒間風乾した。被覆された管を、48.9℃の水の容器に2分間浸漬した。管を、148.9℃の炉に8分間置いた。硬化したフィルムに、コーンスターチを振りかけ、フィルムを巻き取りながら管から剥した。筒状のポリウレタンを切断して平坦なフィルムを得た。次いで、SterilliumTM 溶液(市販の滅菌剤/イソプロパノール溶液)を用いて、各フィルムのイソプロパノール耐性を試験した。
【0080】
上記で製造したポリウレタンフィルムからダンベル形試験片を切り出した。ダンベルの端部を、フィルムの中央部が100%伸びるように(即ち、1インチの部分が2インチに延伸されるように)、引っ張った。SterilliumTM 溶液1滴をフィルムの延伸部分の中央に落とした。膨潤量又はフィルムの破断を記録した。
【0081】
実施例6及び7の分散体から形成したフィルムは膨潤しなかったが、実施例8及び9(比較例)の分散体から形成したフィルムは破断した。
【0082】
本発明を説明の為に詳細に記載したが、そのような詳細な記載は全く説明のためであり、当業者なら、請求項により限定を受ける以外は本発明の思想及び範囲から逸脱することなく変更を加えることができると理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)i)脂肪族及び/又は脂環式イソシアネート、
ii)芳香族イソシアネートと脂肪族及び/又は脂環式イソシアネートとの混合物
からなる群から選択されるイソシアネート、
B)700〜約16000の数平均分子量を有するジ−又はポリヒドロキシ化合物、
及び
C)任意に、700未満の数平均分子量を有するジ−又はポリヒドロキシ化合物
を、
a)成分A)、B)又はC)の少なくとも1つは2を超える官能価を有し、
b)成分A)及びB)の両方が二官能性であり、成分C)は式:
R-(OH)
(式中、Rは、2〜8個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖飽和脂肪族基である。)
で示されるトリヒドロキシ化合物ではあり得ないことを条件に、
反応させることにより得られる、約1〜約6質量%のNCO含量を有するポリウレタンプレポリマー。
【請求項2】
成分B)は、少なくとも60質量%の少なくとも1種のポリオキシプロピレングリコールを含む請求項1に記載のポリウレタンプレポリマー。
【請求項3】
成分A)は、(1)5〜50質量%の脂肪族及び/又は脂環式イソシアネート、並びに(2)50〜95質量%の芳香族ジイソシアネートを含む請求項1に記載のポリウレタンプレポリマー。
【請求項4】
成分B)は、約1000〜約8000の数平均分子量及び0.02ミリ当量/g-ポリオール以下の不飽和末端基含量を有する少なくとも1種のポリオキシプロピレンジオールに基づくポリエーテルポリオールである請求項3に記載のポリウレタンプレポリマー。
【請求項5】
成分B)は、約1000〜約8000の数平均分子量及び0.02ミリ当量/g-ポリオール以下の不飽和末端基含量を有する少なくとも1種のポリオキシプロピレンジオールに基づくポリエーテルポリオールである請求項1に記載のポリウレタンプレポリマー。
【請求項6】
成分C)は、ポリエーテルトリオールである請求項1に記載のポリウレタンプレポリマー。
【請求項7】
約2〜約4質量%のNCO含量を有する請求項1に記載のポリウレタンプレポリマー。
【請求項8】
請求項1に記載のプレポリマー、
D)アニオン性又は潜在的アニオン性基、及びイソシアネート基と反応性の基2個を有する化合物、及び
E)イソシアネート基と反応性のアミノ基2個を有する連鎖延長剤
を含んでなる、水性ポリウレタン分散体。
【請求項9】
請求項1に記載のプレポリマーから製造されたポリウレタンフィルム。
【請求項10】
請求項1に記載のプレポリマーから製造された、イソプロパノール耐性のポリウレタンフィルム。
【請求項11】
請求項1に記載のプレポリマーから製造されたポリウレタン手袋又はコンドーム。

【公表番号】特表2007−511621(P2007−511621A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534007(P2006−534007)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/031724
【国際公開番号】WO2005/035612
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(503349707)バイエル・マテリアルサイエンス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (178)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience LLC
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】