説明

改良されたシリカ補強を有するタイヤ組成物及びその加硫物

チタン化合物を用いることにより、加硫性エラストマー組成物及び加硫物を製造する。チタン化合物は、シリカ粒子とシリカ反応性化合物間の反応を強めると信じられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年1月14日に出願された、米国仮出願第60/644,162号についての利益を得るものである。
【0002】
本発明の一以上の実施態様は、少なくとも一つの工程においてシリカ及びシリカ反応性化合物の混合時のチタン化合物の存在から得る、改良されたシリカ補強を有するタイヤ組成物及びその加硫物、並びにそれらの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
シリカ等の無機充填剤は、タイヤのトレッド内部に充填剤として使用される場合、改良された湿潤牽引力、転がり抵抗、引裂強さ、雪上牽引力及び他の性能パラメータを付与すると信じられている。しかしながら、シリカ粒子が広範囲に凝集し、容易に分散されないため、タイヤ生地の中にシリカを混合することは、困難な場合がある。加えて、シリカ粒子は、カーボンブラックに比べてゴム分子との相容性が低い。それに応じて、しばしば、配合時に加工助剤、分散助剤及びカップリング剤を用いる。
【0004】
タイヤ製造の分野においては、改良された転がり抵抗及びウェットスキッド抵抗並びに特定の温度での低減されたヒステリシスロスを示す加硫ゴムを使用することが望ましい。それらの特性に作用すると信じられている要因としては、充填剤の網状構造形成(粒子の凝集)の程度、重合体−充填剤の相互作用の程度、ゴムの架橋密度、及び架橋ゴムの網状構造内での重合体の遊離端が挙げられる。
【0005】
沈降シリカが、タイヤにおける補強性粒子状充填剤としてますます使用されているため、シリカ充填剤に関連する加工上の問題を克服する必要がある。更に、シリカ充填剤入りのタイヤにおいて、重合体−充填剤の相互作用を増大する必要があり、それにより、転がり抵抗、耐摩耗性及びウェットスキッド抵抗を改良する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
概して、本発明は、シリカ及び少なくとも一種のエラストマーを含む成分を混合して、第一混合物を形成し、ここで、前記エラストマーが任意にシリカ反応性の官能化エラストマーを含む工程と、前記第一混合物を冷却する工程と、前記第一混合物を、任意にはシリカカップリング剤及びシリカ反応性分散剤を含む追加の成分と共に、さらに混合して、中間混合物を形成し、但し、前記第一混合物を形成するために混合した成分又は中間組成物を形成するために添加した追加の成分の少なくとも一種がシリカ反応性化合物を含む工程と、前記中間混合物に対する硬化剤を含む成分を添加して、加硫性混合物を形成する工程と、前記加硫性混合物を混合する工程と、前記加硫性混合物でタイヤ構成部材を成形する工程と、前記タイヤ構成部材を含むことによりタイヤを組み立てる工程と、前記タイヤを硬化する工程とを含むタイヤの製造方法であって、チタン化合物が、成分を混合して第一混合物を形成する前記工程又はさらに混合して中間組成物を形成する前記工程の少なくとも一つの工程に添加されることを特徴とするタイヤの製造方法を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、シリカ反応性の官能化エラストマー、シリカ、チタン化合物及び任意に追加のゴム状重合体を含む成分を混合して、初期組成物を形成する工程と、前記初期組成物を冷却する工程と、前記初期組成物を、任意にはシリカカップリング剤及びシリカ反応性分散剤を含む追加の成分と共に、さらに混合して、中間組成物を形成する工程と、前記中間組成物に対する硬化剤を含む成分を添加して、加硫性混合物を形成する工程と、前記加硫性混合物を混合する工程と、前記加硫性混合物でタイヤ構成部材を成形する工程と、前記タイヤ構成部材を含むことによりタイヤを組み立てる工程と、前記タイヤを硬化する工程とを含むタイヤの製造方法を提供するものである。
【0008】
更に、本発明は、シリカ及び少なくとも一種のエラストマーを含む成分を混合して、初期組成物を形成し、ここで、前記エラストマーが任意にシリカ反応性の官能化エラストマーを含む工程と、前記初期組成物を冷却する工程と、前記初期組成物を、シリカカップリング剤及びシリカ反応性分散剤の少なくとも一種を含む追加の成分と共にさらに混合して、中間組成物を形成する工程と、前記中間組成物に対する硬化剤を含む成分を添加して、加硫性混合物を形成する工程と、前記加硫性混合物を混合する工程と、前記加硫性混合物でタイヤ構成部材を成形する工程と、前記タイヤ構成部材を含むことによりタイヤを組み立てる工程と、前記タイヤを硬化する工程とを含むタイヤの製造方法であって、前記方法がチタン化合物を添加する工程を含み、前記チタン化合物がさらに混合する前記工程に先立ち又はその工程の間に添加されることを特徴とするタイヤの製造方法を提供するものである。
【0009】
また更に、本発明は、シリカ粒子、シリカ反応性化合物及びチタン化合物を混合する工程を含むことを特徴とする混合物の形成方法を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
加硫性組成物は、シリカ、シリカ反応性化合物及びチタン化合物を混合することにより調製される。チタン化合物は、シリカとシリカ反応性化合物間の反応を強めると信じられている。
【0011】
一以上の実施態様において、上記シリカ反応性化合物は、シリカ反応性官能基、即ち、シリカと反応しイオン結合又は共有結合を形成することになる基又は部分を含む。シリカと反応するのに有用な官能基は、一般に電子供与体であり、プロトンと反応することができる。例示的な基としては、アルコキシシリル基、ヒドロキシル基、ポリアルキレングリコール基、ハロゲン化シリル基、酸無水物基、有機酸基及びエポキシ基が挙げられる。それら官能基を一種以上含有する有用なシリカ反応性化合物としては、官能化エラストマー、シリカカップリング剤及びシリカ反応性分散助剤が挙げられる。
【0012】
一の実施態様においては、アルコキシシリル官能基が、次式:
−Si(R1)3-y(OR2)y
[式中、R1はそれぞれ独立してハロゲン又は一価の有機基であり、R2はそれぞれ独立して一価の有機基であり、yは1〜3の整数である]により表されることができる。ハロゲンは、塩素、臭素、ヨウ素又はフッ素が好ましく、塩素が更に好ましい。一価の有機基としては、アルキル基に制限されず、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、アリール基、アリル基、置換アリール基、アラルキル基、アルカリール基、アルキニル基等のヒドロカルビル基が挙げられ、それぞれの基は、1個の炭素原子又は該基を形成するのに適切な最少数の炭素原子から20個の炭素原子までを含有することが好ましい。それらヒドロカルビル基は、制限されないが、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子等のヘテロ原子を含有することができる。R2は、1〜約4個の炭素原子を有することが好ましい。
【0013】
一の実施態様においては、上記シリカ反応性化合物が、シリカ反応性の官能基を含有する官能化エラストマーである。この重合体は、次式:
【化1】

[式中、

は弾性重合体であり、Aはシリカ反応性の官能基である]により表されることができる。この基は、シリカ反応性の官能基又は部分を一つ以上含むことができる。また、重合体は、二つ以上のシリカ反応性基を含むことができる。
【0014】
結合したシリカ反応性官能基を有する重合体は、天然及び合成のエラストマーを含む加硫性エラストマー組成物に通常使用されるエラストマーをいずれも含むことができる。一の実施態様において、合成エラストマーは、ビニル芳香族単量体等の他の単量体と共重合され得る共役ジエン単量体の重合から誘導する。他の実施態様においては、ゴム状エラストマーが、一つ以上のα-オレフィン及び任意に一つ以上のジエン単量体と共に行うエチレンの重合から誘導することができる。
【0015】
有用な弾性重合体としては、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン-co-イソプレン、ネオプレン、ポリ(エチレン-co-プロピレン)、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)、ポリ(スチレン-co-イソプレン)、ポリ(スチレン-co-イソプレン-co-ブタジエン)、ポリ(イソプレン-co-ブタジエン)、ポリ(エチレン-co-プロピレン-co-ジエン)及びそれらの混合物が挙げられる。これらのエラストマーは、線状、分岐状及び星型を含む無数の高分子構造を有することができる。一の実施態様において、上記エラストマーとしては、共役C4〜C12ジエン、C8〜C18モノビニル芳香族単量体及び任意にC6〜C20トリエンの単独重合体又は共重合体が挙げられる。一の実施態様において、上記エラストマーとしては、スチレン及びブタジエンのランダム共重合体が挙げられる。
【0016】
上記官能基Aがアルコキシシリル官能基である場合、上記官能化エラストマーは、次式:
【化2】

[式中、

は、弾性重合体であり、R1、R2及びyはそれぞれ上記した通りである]により表されることができる。
【0017】
アルコキシシリル官能化エラストマーは、アルコキシシリル含有開始剤を用いて重合を開始することにより製造され得る。好適な実施態様においては、アルコキシシリル官能化エラストマーは、リビング重合体鎖をシロキサン停止剤と反応させることにより製造される。リビング重合体の製造は、よく知られている。更に、アルコキシシリル停止剤から誘導された官能基を含有する、アニオン重合したジエン重合体及び共重合体は、米国特許第6,008,295号明細書、米国特許第6,228,908号明細書、及び米国仮出願第60/565,723号明細書に記載されており、参照することにより本願に援用される。好適なアルコキシシリル停止剤としては、テトラエチルオルトシリカートが挙げられる。好適なアルコキシシリル官能化エラストマーとしては、テトラエチルオルトシリカートで停止されるスチレン及びブタジエンの共重合体が挙げられる。
【0018】
シリカ反応性エポキシ基を有するエラストマーとしては、エポキシ化ゴムを挙げることができる。エポキシ化ゴムは、ゴムの不飽和の一部がエポキシド基により置換される変性ゴムである。更に、エポキシ化ゴムは、同時係属の米国出願第10/269,445号明細書に記載されており、参照することにより本願に援用される。
【0019】
一の実施態様においては、上記シリカ反応性化合物が、シリカカップリング剤である。一般に、シリカカップリング剤は、シリカ反応性官能基やエラストマーと反応又は相互作用することになる部分(例えば、メルカプト基、ビニル基又は硫黄基)を含む。
【0020】
更に、シリカカップリング剤は、米国特許第3,842,111号明細書、第3,873,489号明細書、第3,978,103号明細書、第3,997,581号明細書、第4,002,594号明細書、第5,580,919号明細書、第5,583,245号明細書、第5,663,396号明細書、第5,674,932号明細書、第5,684,171号明細書、第5,684,172号明細書、第5,696,197号明細書、第6,608,145号明細書及び第6,667,362号明細書に記載されており、参照することにより本願に援用される。適したシリカカップリング剤としては、アルコキシシリル官能基又はハロゲン化シリル官能基が挙げられる。シリカカップリング剤の例としては、ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ポリスルフィド、メルカプトシラン及びブロックトメルカプトシランが挙げられる。
【0021】
ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ポリスルフィドとしては、ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ジスルフィド及びビス(トリアルコキシシリルオルガノ)テトラスルフィドが挙げられる。ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ジスルフィドの例としては、3,3'-ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリブトキシシリル-プロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリ-t-ブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリヘキソキシシリルプロピル)ジスルフィド、2,2'-ビス(ジメチルメトキシシリルエチル)ジスルフィド、3,3'-ビス(ジフェニルシクロヘキソキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(エチル-ジ-sec-ブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(プロピルジエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(トリイソプロポキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3'-ビス(ジメトキシフェニルシリル-2-メチルプロピル)ジスルフィド、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0022】
ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)テトラスルフィドシリカカップリング剤の例としては、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-ベンゾチアゾールテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、及びそれらの混合物が挙げられる。ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドは、デグサ社によりSi69として市販されている。
【0023】
適したメルカプトシランとしては、次式:
【化3】

[式中、R3は二価の有機基又は単結合であり、R4はハロゲン原子又はアルコキシ基であり、R5はそれぞれ独立してハロゲン、アルコキシ基又は一価の有機基である]により表される化合物が挙げられる。R4及びR5の少なくとも一種がアルコキシ基であることが好ましく、R4及び各R5がアルコキシ基であることが更に好ましい。アルコキシ基は、1〜4個の炭素原子を有することが好ましい。二価の有機基は、1〜約4個の炭素原子を含有するアルキレン基が好ましい。ハロゲンは、塩素、臭素、ヨウ素又はフッ素が好ましく、塩素が更に好ましい。
【0024】
上記一価の有機基は、アルキル基に制限されず、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、アリール基、アリル基、置換アリール基、アラルキル基、アルカリール基及びアルキニル基等のヒドロカルビル基が好ましく、それぞれの基は、1個の炭素原子又は該基を形成するのに適切な最少数の炭素原子から30個の炭素原子までを含有することが好ましい。それらヒドロカルビル基は、制限されないが、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子等のヘテロ原子を含有することができる。
【0025】
メルカプトシランの例としては、1-メルカプトメチルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリプロポキシシラン、18-メルカプトオクタデシルジエトキシクロロシラン、1-メルカプトメチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、18-メルカプトオクタデシルジエトキシクロロシラン及びそれらの混合物が挙げられる。
【0026】
また、適したメルカプトシランとしては、脱ブロック化剤と共に使用する場合、ブロックトメルカプトシラン化合物が挙げられる。ブロックトメルカプトシランとしては、硫黄含有シランが挙げられ、ここで、硫黄原子は、任意に結合部位を介してシリル基に結合され、該硫黄原子はまた、保護基に結合されている。加工時に、上記保護基は除去され、カップリング剤として作用することが可能なメルカプトシランを形成する。簡単なブロックトメルカプトシランの例は、次式:
【化4】

[式中、R3及びR5は上記した通りであり、R6は、加工時に外れて重合体と反応するための遊離のSを残すことになる保護基である]により表されることができる。R6は、単結合によりSに直接化学結合した不飽和ヘテロ原子又は炭素を含有することが好ましく、一つ以上のカルボン酸エステル又はカルボン酸官能基で任意に置換されている。R6は、1〜約18個の炭素原子を有するカルボキシ基であることが更に好ましい。更に、ブロックトメルカプトシランは、米国特許第6,579,949号明細書及び第6,683,135号明細書に記載されており、参照することにより本願に援用される。
【0027】
ブロックトメルカプトシランの例としては、2-トリエトキシシリル-1-エチルチオアセタート、2-トリメトキシシリル-1-エチルチオアセタート、2-(メチルジメトキシシリル)-1-エチルチオアセタート、3-トリメトキシシリル-1-プロピルチオアセタート、トリエトキシシリルメチルチオアセタート、トリメトキシシリルメチルチオアセタート、トリイソプロポキシシリルメチルチオアセタート、メチルジエトキシシリルメチルチオアセタート、メチルジメトキシシリルメチルチオアセタート、メチルジイソプロポキシシリルメチルチオアセタート、ジメチルエトキシシリルメチルチオアセタート、ジメチルメトキシシリルメチルチオアセタート、ジメチルイソプロポキシシリルメチルチオアセタート、2-トリイソプロポキシシリル-1-エチルチオアセタート、2-(メチルジエトキシシリル)-1-エチルチオアセタート、2-(メチルジイソプロポキシシリル)-1-エチルチオアセタート、2-(ジメチルエトキシシリル)-1-エチルチオアセタート、2-(ジメチルメトキシシリル)-1-エチルチオアセタート、2-(ジメチルイソプロポキシシリル)-1-エチルチオアセタート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルチオアセタート、3-トリイソプロポキシシリル-1-プロピルチオアセタート、3-メチルジエトキシシリル-1-プロピルチオアセタート、3-メチルジメトキシシリル-1-プロピルチオアセタート、3-メチルジイソプロポキシシリル-1-プロピルチオアセタート、1-(2-トリエトキシシリル-1-エチル)-4-チオアセチルシクロヘキサン、1-(2-トリエトキシシリル-1-エチル)-3-チオアセチルシクロヘキサン、2-トリエトキシシリル-5-チオアセチルノルボルネン、2-トリエトキシシリル-4-チオアセチルノルボルネン、2-(2-トリエトキシシリル-1-エチル)-5-チオアセチルノルボルネン、2-(2-トリエトキシシリル-1-エチル)-4-チオアセチルノルボルネン、1-(1-オキソ-2-チア-5-トリエトキシシリルペニル)安息香酸、6-トリエトキシシリル-1-ヘキシルチオアセタート、1-トリエトキシシリル-5-ヘキシルチオアセタート、8-トリエトキシシリル-1-オクチルチオアセタート、1-トリエトキシシリル-7-オクチルチオアセタート、6-トリエトキシシリル-1-ヘキシルチオアセタート、1-トリエトキシシリル-5-オクチルチオアセタート、8-トリメトキシシリル-1-オクチルチオアセタート、1-トリメトキシシリル-7-オクチルチオアセタート、10-トリエトキシシリル-1-デシルチオアセタート、1-トリエトキシシリル-9-デシルチオアセタート、1-トリエトキシシリル-2-ブチルチオアセタート、1-トリエトキシシリル-3-ブチルチオアセタート、1-トリエトキシシリル-3-メチル-2-ブチルチオアセタート、1-トリエトキシシリル-3-メチル-3-ブチルチオアセタート、3-トリメトキシシリル-1-プロピルチオオクタノアート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルチオパルミタート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルチオオクタノアート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルチオベンゾアート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルチオ-2-エチルヘキサノアート、3-メチルジアセトキシシリル-1-プロピルチオアセタート、3-トリアセトキシシリル-1-プロピルチオアセタート、2-メチルジアセトキシシリル-1-エチルチオアセタート、2-トリアセトキシシリル-1-エチルチオアセタート、1-メチルジアセトキシシリル-1-エチルチオアセタート、1-トリアセトキシシリル-1-エチルチオアセタートが挙げられる。ブロックトメルカプトシランは、GE Silicones-OSi Specialties社からNXT(登録商標)シランとして市販されている。
【0028】
ブロックトメルカプトシランは、脱ブロック化剤と共に使用されるのが好ましい。好適な脱ブロック化剤は、プロトン源及び保護基受容体として機能することができる。充填剤を重合体に結合するために混合物の反応が求められる場合、脱ブロック化剤を混合物に添加し、ブロックトメルカプトシランを脱ブロック化する。適した脱ブロック化剤としては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、混合したエチレン−プロピレングリコール、アルキル基を末端基とするグリコール、グリセロール、トリメチロールアルカン、ペンタエリスリトール、フェノール、カテコール及びそれらの混合物が挙げられます。好適な脱ブロック化剤としては、グリセロール、トリメチロールプロパン及びエチレングリコールが挙げられる。脱ブロック化剤は、ゴム100部当たり(phr)約0.1〜約5部の範囲の量で添加され得、約0.5〜約3phrの範囲であることが更に好ましい。更に、脱ブロック化は、米国特許第6,579,949号明細書及び第6,683,135号明細書に記載されており、参照することにより本願に援用される。
【0029】
必要に応じて、上記シリカカップリング剤を、シリカ100重量部に対して約0.01〜約25重量部の量で添加することができ、シリカ100重量部に対して約0.5〜約15重量部であることが好ましく、シリカ100重量部に対して約1〜約10重量部であることが更に好ましい。一の実施態様においては、シリカ反応性の官能化エラストマーを用いる場合、シリカカップリング剤の量を通常の方法に比べて低減することができる。
【0030】
一の実施態様においては、上記シリカ反応性化合物がシリカ反応性分散剤である。シリカ反応性分散剤は、シリカ反応性官能基を含有するが、シリカ反応性分散剤が一般にエラストマーと反応しない点でシリカカップリング剤と異なる。一以上の実施態様において、該分散剤は、シリカ充填剤入りのゴムコンパウンドの粘度を低減し、そのスコーチ時間を増大させ、シリカの再凝集を低減することにより、該ゴムコンパウンドの加工性を改善する。
【0031】
適したシリカ反応性分散剤の例としては、グリコール、脂肪酸、脂肪酸エステル及びアルキルアルコキシシランが挙げられる。これらのシリカ反応性分散剤を、上記シリカカップリング剤の全部又は一部に代えて用いることができる。
【0032】
シリカ反応性分散剤としての使用に適したアルキルアルコキシシランとしては、アルコキシシリル官能基を含み、次式:
7pSi(OR2)4-p
[式中、R2はそれぞれ独立して上記した通りであり、R7はそれぞれ独立して一価の有機基であり、pは1〜3の整数であり、但し、少なくとも一つのR7はアルキル基である]により表されることができる。pは1であることが好ましい。
【0033】
アルキルアルコキシシランの例としては、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリブトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、メチルオクチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、メチルオクチルジメトキシシランが挙げられる。
【0034】
グリコールの具体例としては、ジエチレングリコール又はポリエチレングリコールが挙げられる。
【0035】
有用なアミド化合物としては、米国特許第6,590,017号明細書に記載されているものが挙げられ、参照することにより本願に援用される。その化合物の例としては、エルカ酸アミド、オクタデカンアミド、ε-カプロラクタム、N,N-ジエチルドデカンアミド及びN,N-ジエチル-m-トルアミドが挙げられる。
【0036】
有用な脂肪酸エステルとしては、米国特許第6,590,017号明細書、第6,525,118号明細書及び第6,342,552号明細書に記載されているものが挙げられ、参照することにより本願に援用される。例としては、ソルビタンモノオレアート、ジオレアート、トリオレアート及びセスキオレアート、並びにラウラート、パルミタート及びステアラートのソルビタン脂肪酸エステル等の水添及び未水添のC5及びC6糖の脂肪酸エステルが挙げられる。更に挙げられるものとしては、ポリソルバート及びポリオキシエチレンソルビタンエステル等の水添及び未水添のC5及びC6糖の脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体であり、これらは、エチレンオキシド基が各ヒドロキシル基に置かれることを除いて上記の水添及び未水添の糖の脂肪酸エステルに類似している。
【0037】
一般に、これら任意のシリカ反応性分散助剤の有用な量は、シリカ100重量部に対して約0.1〜約25重量部であり、シリカ100重量部に対して約0.5〜約20重量部であることが好ましく、シリカ100重量部に対して約1〜約15重量部であることが更に好ましい。
【0038】
本発明の実施においては、種々のチタン化合物又はそれらの混合物を用いることができる。それら化合物内の一つ又は複数のチタン原子は、さまざまな酸化状態で存在する。一以上の実施態様において、チタン原子は+2、+3又は+4の酸化状態で存在することができる。チタン化合物の種類としては、酸化チタン、チタンアルコキシド、チタンアリールオキシド、チタンエノラート及び有機チタン化合物が挙げられる。一以上の実施態様において、使用されるチタン化合物は、参照することにより本願に援用される米国特許第6,048,943号明細書に記載されているものを含めて、硫黄含有チタン化合物を排除するか、欠いている。
【0039】
有用な酸化チタンとしては、二酸化チタン、酸化チタン(II)、酸化チタン(III)、酸化チタン(IV)(即ち、二酸化チタン)及びそれらの混合物が挙げられる。
【0040】
有用なチタンアルコキシドとしては、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタン2-エチルヘキソキシド、チタンペントキシド、チタン(IV)ブトキシド、チタン(IV)tert-ブトキシド、チタン(IV)2-エチルヘキソキシド、チタン(IV)イソプロポキシド、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)プロポキシド、チタン(IV)(トリエタノールアミナト)イソプロポキシド、チタン(IV)ビス(エチルアセトアセタト)ジイソプロポキシド、硝酸チタン(IV)、チタン(IV)テトラヒドロフルフリルオキシド、チタン(IV)ステアリルオキシド及びそれらの混合物が挙げられる。
【0041】
有用なチタンアリールオキシドとしては、チタンフェノキシド、チタンノニルオキシド、チタンナフトキシド及びそれらの混合物が挙げられる。
【0042】
有用なチタンエノラートとしては、チタンジイソプロポキシドビス(アセチルアセトナート)、チタン(IV)ジイソプロポキシドビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)、チタン(IV)2-エチル-1,3-ヘキサンジオラート、チタン(IV)オキシドアセチルアセトナート及びそれらの混合物が挙げられる。
【0043】
有用な有機チタン化合物としては、トリス(アリル)チタン、トリス(メタアリル)チタン、トリス(クロチル)チタン、ビス(シクロペンタジエニル)チタン、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタン、ビス(エチルベンゼン)チタン、ビス(メシチレン)チタン、ビス(ペンタジエニル)チタン、ビス(2,4-ジメチルペンタジエニル)チタン、ビス(アリル)トリカルボニルチタン、(シクロペンタジエニル)(ペンタジエニル)チタン、テトラ(1-ノルボルニル)チタン、(トリメチレンメタン)テトラカルボニルチタン、ビス(ブタジエン)ジカルボニルチタン、(ブタジエン)テトラカルボニルチタン、ビス(シクロオクタテトラエン)チタン及びそれらの混合物が挙げられる。
【0044】
他の有用なチタン化合物としては、チタン(IV)ビス(アンモニウムラクタート)ジヒドロキシド、窒化チタン、チタン(IV)オキシサルファート、チタン(IV)フタロシアニンジクロリド及びそれらの混合物が挙げられる。
【0045】
チタン化合物の量は、特に制限されないが、シリカ100重量部に対して約0.001〜約20重量部が好ましく、シリカ100重量部に対して約0.005〜約10重量部がより好ましく、シリカ100重量部に対して約0.05〜約8重量部が更に好ましく、シリカ100重量部に対して約0.1〜約6重量部が一層好ましい。
【0046】
有用なシリカ(二酸化ケイ素)としては、水中での化学反応により生成し、超微粒子として沈殿させた、湿式法ケイ酸が挙げられる。有用なシリカは、BET法により測定して、好ましくは約32〜約400m2/g、より好ましくは約100〜約250m2/g、更に好ましくは約150〜約220m2/gの表面積を有する。シリカ充填剤のpHは、一般に約5.5〜約7であり、約5.5〜約6.8が好ましい。市販のシリカとしては、Hi-SilTM215、Hi-SilTM233、Hi-SilTM255LD及びHi-SilTM190(PPG インダストリーズ;ピッツバーグ,ペンシルバニア州)、ZeosilTM1165MP及び175GRPlus(ロディア(Rhodia))、VulkasilTMS/kg(バリー(Bary) AG)、UltrasilTMVN2、VN3(デグサ)並びにHubersilTM8745(フーバー(Huber))が挙げられる。
【0047】
シリカをゴム100重量部に対し約5〜約100重量部の量で使用することができ、ゴム100重量部に対し約10〜約90重量部の量で使用することが好ましく、ゴム100重量部に対し約15〜約85重量部の量で使用することがより好ましく、ゴム100重量部に対し約25〜約75重量部であることが更に好ましい。
【0048】
加硫性エラストマー組成物及び加硫物に使用され得る他の成分としては、追加の充填剤、加工助剤、追加のゴム状重合体、硬化剤及び促進剤が挙げられる。
【0049】
使用され得る他の充填剤としては、カーボンブラック、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、クレー(水和ケイ酸アルミニウム)及び澱粉が挙げられる。使用される充填剤の合計の量は、一般に約1〜約100phrであり、ゴム100重量部に対し約20〜約90重量部であることが好ましく、ゴム100重量部に対し約40〜約80重量部であることがより好ましい。
【0050】
有用なカーボンブラックとしては、市販のカーボンブラックをいずれも挙げられるが、少なくとも20m2/g、好ましくは少なくとも35m2/gから200m2/g又はそれ以上までの表面積(EMSA)を有するものが好適である。本願において使用される表面積の値は、ASTM試験D−1765によって、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)法を用いることにより決定されるものである。
【0051】
また、カーボンブラックを使用し、上記したシリカ反応性分散助剤、酸及びシリカカップリング剤のいずれをも支持することができる。必要に応じて、カーボンブラックを、ゴム100重量部に対し約0.5〜約70重量部の量で使用することができ、ゴム100重量部に対し約1〜約50重量部の量で使用することが好ましく、ゴム100重量部に対し約2〜約40重量部の量で使用することが更に好ましい。
【0052】
一般に加工助剤の語は、加硫性組成物及び加硫物の形成する過程で様々な面を改善する、広範なカテゴリーの物質を含む。例えば、加工助剤は、充填剤の凝集を防ぎ、粘度を低減することができる。シリカ加工助剤は、シリカ粒子を物理的に被覆することにより作用する場合や、空間を介した相互作用(例えば、水素結合、ファンデルワールス相互作用等)によりシリカ粒子と相互作用する場合がある。シリカ加工助剤は、シリカ粒子の表面上のシラノール基を保護し、シリカ粒子の再凝集又はフロキュレーションを防ぐ。加工助剤の例としては、水添及び未水添のC5及びC6糖の脂肪酸エステル、脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体、アミン、オイル、無機充填剤及び無鉱物充填剤が挙げられる。
【0053】
シリカ加工助剤として有用な水添及び未水添のC5及びC6糖(例えば、ソルボース、マンノース及びアラビノース)の脂肪酸エステルの例としては、ソルビタンモノオレアート、ジオレアート、トリオレアート及びセスキオレアート等のソルビタンオレアート、並びにラウラート、パルミタート及びステアラートのソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。水添及び未水添のC5及びC6糖の脂肪酸エステルは、ICIスペシャリティーケミカルズ(ウィルミントン,デラウェア州)から商品名SPAN(登録商標)で市販されている。代表的な製品としては、SPAN(登録商標)60(ソルビタンステアラート)、SPAN(登録商標)80(ソルビタンオレアート)及びSPAN(登録商標)85(ソルビタントリオレアート)が挙げられる。他の市販のソルビタンの脂肪酸エステルとしては、Alkamul(登録商標)SMO、Capmul(登録商標)O、Glycomul(登録商標)O、Arlacel(登録商標)80、Emsorb(登録商標)2500及びS−Maz(登録商標)80として知られるソルビタンモノオレアートが挙げられる。ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ポリスルフィドシリカカップリング剤と共に使用する場合、それらの脂肪酸エステルは、シリカの重量部に基づき約0.1重量%〜約25重量%の量で存在することが好ましく、シリカの重量部に基づき約0.5重量%〜約20重量%の量が存在することがより好ましく、シリカの重量部に基づき約1重量%〜約15重量%の量で存在することが更に好ましい。
【0054】
水添及び未水添のC5及びC6糖の脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体の例としては、ポリソルバート及びポリオキシエチレンソルビタンエステルが挙げられ、これらは、エチレンオキシド基が各ヒドロキシル基に置かれることを除いて上記の水添及び未水添の糖の脂肪酸エステルに類似している。市販のソルビタンのポリオキシエチレン誘導体としては、POE(登録商標)(20)ソルビタンモノオレアート、Polysorbate(登録商標)80、Tween(登録商標)80、Emsorb(登録商標)6900、Liposorb(登録商標)O−20及びT−Maz(登録商標)80が挙げられる。Tween(登録商標)の製品は、ICIスペシャリティーケミカルズから市販されている。一般に、それら任意のシリカ保護助剤の有用な量は、シリカの重量に基づき約0.1重量%〜約25重量%であり、シリカの重量に基づき約0.5重量%〜約20重量%であることが好ましく、シリカの重量に基づき約1重量%〜約15重量%であることが更に好ましい。
【0055】
特定の追加の充填剤は、加工助剤として利用され得、クレー(水和ケイ酸アルミニウム)、タルク(水和ケイ酸マグネシウム)、水酸化アルミニウム[Al(OH)3]、マイカ及び硫酸ナトリウムが挙げられる。好適なマイカは、主としてアルミナ及びシリカを含有する。使用する場合、それらの充填剤は、約0.5〜約40phrの量で存在することができ、約1〜約20phrの量で存在することが好ましく、約1〜約10phrの量で存在することが更に好ましい。また、それらの追加の充填剤は、上述したシリカ反応性分散助剤、酸及びシリカカップリング剤のいずれをも担持するための担体として使用され得る。
【0056】
それらの加工助剤がシリカ粒子に対して反応性に富むヒドロキシ基を含有する限りにおいて、チタン化合物は、この反応を強めるために作用することができる。
【0057】
ゴム状エラストマー又はゴム状重合体と時々呼ばれる一以上の追加のエラストマーを使用することができる。用いることができるゴム状エラストマーとしては、天然及び合成のエラストマーが挙げられる。合成エラストマーは、一般に共役ジエン単量体の重合から誘導する。この共役ジエン単量体を、ビニル芳香族単量体等の他の単量体と共重合することができる。他のゴム状エラストマーは、一種以上のα-オレフィンと、任意には一種以上のジエン単量体と共に行うエチレンの重合から誘導することができる。
【0058】
有用なゴム状エラストマーとしては、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン-co-イソプレン、ネオプレン、ポリ(エチレン-co-プロピレン)、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)、ポリ(スチレン-co-イソプレン)、ポリ(スチレン-co-イソプレン-co-ブタジエン)、ポリ(イソプレン-co-ブタジエン)、ポリ(エチレン-co-プロピレン-co-ジエン)、多硫化物系ゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム及びそれらの混合物が挙げられる。これらのエラストマーは、線状、分岐状及び星型を含む無数の高分子構造を有することができる。好適なエラストマーとしては、共役C4〜C12ジエン、C8〜C18モノビニル芳香族単量体及びC6〜C20トリエンの単独重合体又は共重合体が挙げられる。
【0059】
エラストマー分子全体の約5〜約100%が、シリカ反応性官能基で官能化されることが好ましい。エラストマー分子全体の約10〜約90%が、シリカ反応性官能基で官能化されることが更に好ましく、エラストマー分子全体の約20〜約80%が、シリカ反応性官能基で官能化されることが一層好ましい。
【0060】
多くのゴム硬化剤を使用することができ、硫黄又は過酸化物に基づく硬化系が挙げられる。硬化剤は、カーク−オスマー(Kirk-Othmer)、「化学工業大辞典(Encyclopedia of Chemical Technology)」、第20巻、pp.365-468、(第3版、1982年)、特に「加硫剤及び補助材料(Vulcanization Agent and Auxiliary Materials)」、390-402及びA.Y.コラン(Coran)、「高分子科学工学百科事典の加硫(Vulcanization in Encyclopedia of Polymer Science and Engineering)」、(第2版、1989年)に記載されており、参照することにより本願に援用される。加硫剤を単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
【0061】
加硫促進剤は、特に制限されない。例としては、チアゾール、ジチオカルバマート、ジチオホスファート、グアニジン、スルフェンアミド、スルフェンイミド及びチウラムが挙げられる。具体例としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジル-スルフェンアミド(CBS)、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド(TBBS)及び1,3-ジフェニルグアニジンが挙げられる。使用する場合、促進剤の量は、約0.1〜約5phrが好ましく、約0.2〜約3phrが更に好ましい。
【0062】
また、オイル、ワックス、スコーチ抑制剤、粘着性樹脂、強化用樹脂、脂肪酸、しゃく解剤及び酸化亜鉛を用いることができる。
【0063】
本発明は、シリカ充填剤、シリカ反応性化合物及びチタン化合物を含む成分の混合物の形成方法を提供するものである。シリカ充填剤、シリカ反応性化合物及びチタン化合物を添加する順序は、本発明の範囲内で変えることができるが、シリカ粒子とシリカ反応性化合物間の増大した相互作用は、チタン化合物の存在下、シリカ充填剤とシリカ反応性化合物を混合した場合に生じると信じられている。
【0064】
一の実施態様において、上記混合物は、タイヤ配合物等の加硫性ゴム組成物である。タイヤ配合物の範囲内において、水素結合又は加水分解結合がシリカ粒子間で起こり、充填剤凝集を招く場合がある。また、官能化エラストマーの官能基間での空間を介した相互作用も生じると信じられている。チタン化合物は、粒子とエラストマーとの相互作用を増大させる空間を介した相互作用を破壊するのに役立つと信じられている。しかしながら、チタン化合物をわずかな官能化エラストマーと共に混合する場合、官能化エラストマーの空間を介した相互作用(例えば、ファンデルワールス又は水素結合)は破壊されるが、その一方で、シリカ粒子がなければ再形成され、相互作用する場合があると信じられている。同様に、チタン化合物をわずかなシリカ粒子と共に混合する場合、シリカ充填剤の加水分解結合は破壊されるが、その一方で、シリカ反応性化合物がなければ再形成され、相互作用する場合があると信じられている。従って、一の実施態様においては、シリカ充填剤及びシリカ反応性化合物を含有する混合物にチタン化合物を添加する。
【0065】
タイヤ配合物は、通常、多段階プロセスにより調製される。例えば、米国特許第5,227,425号明細書、第5,719,207号明細書、第5,717,022号明細書及び欧州特許第890,606号明細書に記載されるように、多段階混合がシリカ充填剤入りゴム組成物を調製する場合に一般に利用され、それら全ての内容は、参照することにより本願に援用される。
【0066】
上記加硫性ゴム組成物は、エラストマー、シリカ、及び任意には他の成分を含む初期マスターバッチ組成物を形成することにより調製することができる。早期加硫を防ぐため、この初期組成物は、一般にあらゆる加硫剤を除く。上記成分の一種以上を徐々に添加してもよい。
【0067】
上記初期マスターバッチ組成物を加工するとすぐに、初期マスターバッチ中に加硫剤を導入し、ブレンドして、最終配合物を形成することができる。この段階時に、最終配合物に促進剤等の追加の成分を添加してもよい。最終配合物は、加硫処理を開始しない低温で調製されることが好ましい。
【0068】
任意には、最初の混合段階と最後の混合段階の間に追加の混合段階を採用することができる。追加の成分を添加しない場合の追加の混合段階は、レミル(remill)段階と称される場合があり、一方、成分を添加する場合の混合段階は、マスターバッチ段階と呼ばれ、更に第二マスターバッチ等の序数の指定で表示される場合がある。
【0069】
上記タイヤ配合物の一種以上の成分を、キャリヤーと共に予備混合することができる。適したキャリヤーとしては、混合物(例えば、タイヤ配合物)に有害でないあらゆる物質が挙げられる。例としては、ステアリン酸、鉱油、プラスチック、ワックス及び有機溶剤が挙げられる。一の実施態様においては、チタン混合物をキャリヤーと混ぜ合わせ、プレミックスを形成する。該プレミックスは、キャリヤー3重量部につき複素環約1重量部からキャリヤー1重量部につきチタン化合物約1重量部まで含有することが好ましい
【0070】
一の実施態様において、上記初期マスターバッチ組成物は、シリカ反応性官能化エラストマー、シリカ及びチタン化合物と、任意に追加のエラストマーやカーボンブラックを含む他の成分とを含む。
【0071】
シリカカップリング剤及びシリカ反応性分散剤は、任意の成分であり、上記初期組成物の一部として添加されてもよいし、追加のマスターバッチ工程の間に上記初期組成物に添加されてもよい。一の実施態様においては、チタン化合物を、シリカカップリング剤又はシリカ反応性分散剤に先立ち又はそれらと同時に添加することが好ましい。
【0072】
二つのタイプの温度が、ここに言及される。一のタイプは、ミキサーの温度であり、上記成分の添加前の混合装置の安定温度を表す。第二のタイプは、上記組成物の表面温度を表す。特にミキサー温度とされる場合を除き、本明細書における温度への言及はいずれも上記組成物の表面温度を意味すると理解されるべきである。
【0073】
初期マスターバッチの混合工程や、その後のマスターバッチ混合工程のいずれについても、最初のミキサー温度は、約25℃〜約158℃であることが好ましく、約70〜約155℃であることが更に好ましい。混合条件は、混合時に約25℃〜約195℃、より好ましくは約100℃〜約185℃、更に好ましくは約135℃〜約165℃の範囲で組成物の表面温度を維持するように制御されることが好ましい。混合条件は、ゴム内での充填剤の良好な分散を達成するために必要な時間維持される。当業者の一人は、ミキサーサイズ、せん断応力、温度等の要因に応じて必要な時間が変わることを理解することになる。
【0074】
各混合段階の間に、混合した組成物を、次の混合段階に意図された温度より低い表面温度に冷却することができる。このことは、混合組成物を排出し、冷却し、同一の混合装置に再装填するか、他のミキサーにその組成物を移送することにより、達成され得る。或いは、混合組成物をミキサー内で冷却してもよい。
【0075】
任意のレミル混合工程の間、混合条件は、約70℃〜約175℃、より好ましくは約135℃〜約165℃、更に好ましくは約140℃〜約160℃の範囲に組成物の表面温度を達成するように制御されることが好ましい。混合条件は、粘度を低減し、ゴム内での充填剤の分散を改善するのに必要な時間維持される。当業者の一人は、ミキサーサイズ、せん断応力、温度等の要因に応じて必要な時間が変わることを理解することになる。マスターバッチに用いた同一のミキサーを用い、レミル段階を行ってもよいし、混合物を他のミキサーに移送してもよい。
【0076】
最終混合段階は、硬化剤や促進剤が添加され、加硫温度より低い温度で行われる。特に、混合条件は、約40℃〜約120℃、より好ましくは約60℃〜約110℃、更に好ましくは約75℃〜約100℃の範囲に組成物の表面温度を達成するように制御されることが好ましい。その条件は、良好な混合を達成するのに必要な時間維持される。
【0077】
本発明の方法は、特に、トレッド、サブトレッド、ブラックサイドウォール、ボディプライスキン、ビードフィラー等のタイヤ構成部材を製造するのに有用である。タイヤの組み立てや硬化は、本発明の実施によって影響されない。更に、ゴム配合技術や、そこに使用される添加剤は、スティーブンズ、「ゴム工業におけるゴムの配合と加硫(The Compounding and Vulcanization of Rubber, in Rubber Technology)」(第2版、1973年)に記載されている。
【0078】
上記加硫性ゴム組成物をタイヤの製造に用いる場合、その組成物は、標準的なゴムの造形、成形及び硬化技術を含む通常のタイヤ製造技術に従い、タイヤ構成部材に加工され得る。米国特許第5,866,171号明細書、第5,876,527号明細書、第5,931,211号明細書及び第5,971,046号明細書に記載されるように、空気入りタイヤを作製することができ、それらは参照することにより本願に援用される。
【0079】
特定の実施態様において、本発明のタイヤ組成物は、重合体−充填剤間の相互作用を増大することにより引き起こされると信じられている改良されたゴムコンパウンドの補強を有利に有しており、改良された転がり抵抗、低減した摩耗及び改良された湿潤牽引力をもたらす。優れた重合体の加工性は維持される。そのタイヤ組成物は、対象となる方法により容易に製造することができる。
【0080】
本発明の実施を実証するため、以下に示す実施例を製造して、試験した。しかしながら、その実施例は、本発明の範囲を制限するものとしてみなすべきではない。特許請求の範囲が、本発明を定義するのに役立つ。
【実施例】
【0081】
(トリアルコキシシリル官能化SBR重合体の合成)
開始剤としてn-ブチルリチウムと、停止剤としてテトラエチルオルトシリカートを用いて、通常の半バッチアニオン重合により、トリアルコキシシリル官能化SBR重合体を製造した。ソルビタントリオレアート及び2-エチルへキサン酸を添加し、そして、上記重合体を2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾールで安定させた。重合体を凝固し、ドラム乾燥させた。この基礎となる重合体のNMR解析は、約34%のスチレン含有量と約17%の1,2-配置のブタジエンを示した。DSCは、重合体が約-45℃のガラス転移温度を有することを示し、ポリスチレン標準を用いたGPCは、約295kg/molの重量平均分子量と、約1.51の多分散性を示した。
【0082】
例1〜2 加硫性エラストマー組成物の調製
上記のトリアルコキシシリル官能化SBR重合体を、カーボンブラック/シリカのタイヤ配合物に用いた。その配合処方を表1に示す。
【0083】
【表1】

【0084】
各カーボンブラック/シリカのゴムコンパウンドは、初期マスターバッチ、第二マスターバッチ及び最終と名付けられた三つの段階により調製された。初期マスターバッチ段階では、約99℃の初期ミキサー温度にて60RPMで作動する1300gバンバリーミキサー中で、アルコキシシリル官能化SBRを、シリカ、カーボンブラック、チタン化合物及び他の成分と共に混合した。その初期組成物を3分間混合した。混合終了時に、その材料の対象とする表面温度は、約155℃であった。その試料を約80℃未満まで冷却し、第二ミキサーに移送した。
【0085】
第二マスターバッチ段階では、上記初期組成物をジスルファンと共に約60RPMで混合した。ミキサーの開始温度は、約80℃であった。約2分後に第二マスターバッチの材料をミキサーから取り出したが、そのときの該材料の対象とする表面温度は135〜150℃の間であった。
【0086】
ミキサーに、表1に示す通り、第二マスターバッチ組成物、硬化性材料及び他の成分を同時に添加することにより、最終組成物を混合した。開始ミキサー温度は62℃であって、60RPMで作動した。1分後に最終組成物をミキサーから取り出したが、そのときの材料の対象とする表面温度は約104℃であった。
【0087】
未硬化シート(厚み:約2.5mm〜3.81mm)から所要の質量を切り取ることで、各ゴム配合物の試験片を調製し、加圧下で15分間171℃にて密閉式キャビティモールド内で硬化させた。その後、試験片を様々な物理試験にかけて、それらの試験の結果を表2に記録する。ASTM−D412によって、25℃での引張機械的特性を測定した。引張試験をリング状及びダンベル状の試料で行った。リング状の試料は、幅約1.3mm、厚さ1.9mmであり、その標点間距離が25.4mmであった。
【0088】
未加硫生地のムーニー粘度測定を130℃で行った。試料を1分間予熱し、大きなローターが動き始め、4分間の回転後のトルクを測定した。ムーニースコーチ測定、特に5ムーニー単位(T5)の増加に必要な時間は、コンパウンドの粘度が押出工程時に上昇する速度で示すことができる。モンサントレオメーターMD2000を用い、周波数1.67Hz、160℃、歪7%で、硬化特性を測定した。MH及びMLは、それぞれ測定した最大トルク及び最小トルクである。TS2は、硬化工程時における全トルクの増加の2%に到達するためにトルクに必要な時間である。T90は、硬化工程時における全トルクの増加の90%に到達するためにトルクに必要な時間である。
【0089】
ランボーン型試験機を用い、試料の耐摩耗性を評価した。特に、内径約28.6mm、外径約4.83cm及び厚さ4.95nmのドーナツのような形をした試料を心棒に配置し、駆動する摩耗面に対し、スリップ率65%で試験した。
【0090】
ズウィック(Zwick)反発弾性試験機は、非常に基本的な動的試験機として反発弾性を測定する。試験片を半サイクルの変形にかける。直径1.50''及び厚さ0.075''の寸法で試料の形状を円形にした。その試験片を、衝突後に自由に跳ね返ることができる圧子に衝突させることにより、試験片を変形させる。反発弾性は、衝撃前と衝撃後の機械的エネルギーの比として定義される。試験を行う前に所定の温度で30分間試料を予熱した。
【0091】
レオメトリックスダイナミックアナライザー(RDA)を用いることにより、動的特性を決定した。-100℃〜-10℃の範囲の温度では歪0.5%、-10℃〜100℃の範囲の温度では歪2%、振動数31.4rad/秒で行う温度スイープ試験からtanδを得た。
【0092】
【表2】

【0093】
本発明の範囲と精神から逸脱しない様々な修正及び変更は、当業者に明らかになる。本発明は、本願に示す実施態様に正当に限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカと少なくとも一種のエラストマーを含む成分を混合して、第一混合物を形成し、ここで、前記エラストマーが任意にシリカ反応性の官能化エラストマーを含む工程と、
前記第一混合物を冷却する工程と、
前記第一混合物を、任意にはシリカカップリング剤、シリカ反応性分散剤又はそれらの両方を含む追加の成分と共に、さらに混合して、中間混合物を形成し、但し、前記第一混合物を形成するために混合した成分又は中間組成物を形成するために添加した追加の成分の少なくとも一種がシリカ反応性化合物を含む工程と、
前記中間混合物に対する硬化剤を含む成分を添加して、加硫性混合物を形成する工程と、
前記加硫性混合物を混合する工程と、
前記加硫性混合物でタイヤ構成部材を成形する工程と、
前記タイヤ構成部材を含むことによりタイヤを組み立てる工程と、
前記タイヤを硬化する工程とを含むタイヤの製造方法であって、
チタン化合物が、成分を混合して第一混合物を形成する前記工程又はさらに混合して中間混合物を形成する前記工程の少なくとも一つの工程に添加されることを特徴とするタイヤの製造方法。
【請求項2】
シリカと少なくとも一種のエラストマーを含む成分を混合して、初期組成物を形成し、ここで、前記エラストマーが任意にシリカ反応性の官能化エラストマーを含む工程と、
前記初期組成物を冷却する工程と、
前記初期組成物を、シリカカップリング剤及びシリカ反応性分散剤の少なくとも一種を含む成分と共にさらに混合して、中間組成物を形成する工程と、
前記中間組成物に対する硬化剤を含む成分を添加して、加硫性混合物を形成する工程と、
前記加硫性混合物を混合する工程と、
前記加硫性混合物でタイヤ構成部材を成形する工程と、
前記タイヤ構成部材を含むことによりタイヤを組み立てる工程と、
前記タイヤを硬化する工程とを含むタイヤの製造方法であって、
前記方法が、チタン化合物を添加する工程を含み、前記チタン化合物がさらに混合する前記工程に先立ち又はその工程の間に添加されることを特徴とするタイヤの製造方法。
【請求項3】
シリカ粒子、シリカ反応性化合物及びチタン化合物を混合する工程を含むことを特徴とする混合物の形成方法。
【請求項4】
シリカ反応性化合物が、アルコキシシリル官能基、ヒドロキシル官能基、ポリアルキレングリコール官能基、ハロゲン化シリル官能基又はエポキシ官能基を含むことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項5】
シリカ反応性化合物が、次式
-Si(R1)3-y(OR2)y
[式中、R1はそれぞれ独立してハロゲン原子又は一価の有機基であり、R2はそれぞれ独立して一価の有機基であり、yは1〜4の整数である]により定義されるアルコキシシリル置換基を含むことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項6】
前記チタン化合物が、酸化チタン、チタンアルコキシド、チタンアリールオキシド、チタンエノラート及び有機チタン化合物を含むことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項7】
前記チタンアルコキシドが、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタン2-エチルヘキソキシド、チタンペントキシド、チタン(IV)ブトキシド、チタン(IV)tert-ブトキシド、チタン(IV)2-エチルヘキソキシド、チタン(IV)イソプロポキシド、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)プロポキシド、チタン(IV)(トリエタノールアミナト)イソプロポキシド、チタン(IV)ビス(エチルアセトアセタト)ジイソプロポキシド、硝酸チタン(IV)、チタン(IV)テトラヒドロフルフリルオキシド、チタン(IV)ステアリルオキシド、又はチタンジイソプロポキシドビス(アセチルアセトナート)、チタン(IV)ジイソプロポキシドビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)、チタン(IV)2-エチル-1,3-ヘキサンジオラート及びチタン(IV)オキシドアセチルアセトナートからなる群から選択されるチタンエノラート、又はトリス(アリル)チタン、トリス(メタアリル)チタン、トリス(クロチル)チタン、ビス(シクロペンタジエニル)チタン、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタン、ビス(エチルベンゼン)チタン、ビス(メシチレン)チタン、ビス(ペンタジエニル)チタン、ビス(2,4-ジメチルペンタジエニル)チタン、ビス(アリル)トリカルボニルチタン、(シクロペンタジエニル)(ペンタジエニル)チタン、テトラ(1-ノルボルニル)チタン、(トリメチレンメタン)テトラカルボニルチタン、ビス(ブタジエン)ジカルボニルチタン、(ブタジエン)テトラカルボニルチタン及びビス(シクロオクタテトラエン)チタンからなる群から選択される有機チタン化合物を含むことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項8】
シリカ反応性化合物が官能化エラストマーであって、該エラストマーが共役C4〜C12ジエン、C8〜C18モノビニル芳香族単量体及びC6〜C20トリエンの単独重合体又は共重合体であることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項9】
加硫性混合物が、シリカ100重量部に対し、チタン化合物を約0.001〜約20重量部含むことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項10】
前記加硫性混合物が、シリカ100重量部に対し、シリカ反応性分散剤を約0.1〜約25重量部含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項11】
チタン化合物を添加する前記工程が、シリカと少なくとも一種のエラストマーを含む成分を混合する前記工程に先立ち又はその工程の間に行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項12】
チタン化合物を添加する前記工程が、初期組成物をさらに混合する工程に先立ち又はその工程の間に行われる請求項1又は2に記載の方法。
【請求項13】
チタン化合物を添加する前記工程が、冷却する前記工程の後に行われることを特徴とする請求項12に記載の方法。

【公表番号】特表2008−526577(P2008−526577A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−551443(P2007−551443)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/001411
【国際公開番号】WO2006/076670
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】