説明

改良されたホットメルト組成物

【課題】酸ワックスおよび酸基非含有アクリラート官能性モノマーを含むホットメルト組成物を提供する。
【解決手段】酸ワックスおよび酸基非含有アクリラート官能性モノマーを含むホットメルト組成物。化学線の適用の際に、このホットメルト組成物は硬化してエッチングレジストを形成する。このホットメルト組成物はプリント回路板、光電子素子および光起電素子の製造に使用されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学線への露光により硬化し、めっきレジストおよびエッチングレジストとして機能し、かつ基体から容易に剥離可能なホットメルト組成物に関する。より詳細には、本発明は化学線への露光により硬化し、めっきレジストおよびエッチングレジストとして機能し、基体から容易に剥離可能であり、酸基非含有アクリラートモノマーと一緒に高い酸価のワックスを含むホットメルト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ホットメルトは周囲温度で固相であるが、インクジェット印刷装置における高い操作温度において液相で存在する。インクジェット操作温度において、液体ホットメルトの液滴は印刷装置から噴出されて、液滴が印刷物質の表面に接触したときに、液滴は硬化して液滴の所定のパターンを形成する。
【0003】
ホットメルトは、直接および転写印刷プロセスにおいて使用されてきた。ホットメルトは典型的には固体スティックにキャストされ、インクジェット印刷装置内に配置される。インクジェット装置の温度は、選択的な流体特性を有する液相が形成される操作温度まで上げられる。次いで、ホットメルトは、インクジェットプリンターのリザーバーおよび印刷ヘッドにおいて操作温度で液体として保持される。液相であるホットメルトは、次いで、基体上に所定のパターンで適用されうる。従来の印刷産業においてホットメルトはしばらくの間使用されてきたが、エレクトロニクス産業は電子素子の製造、例えば、プリント回路板(PCB)の製造などにおける問題を解決するためにこのような化合物の潜在的な用途を評価し始めている。
【0004】
PCBは、典型的には、6以上の段階を伴うドライフィルムネガ型フォトレジストプロセスを用いる様な複雑なプロセスで製造される。最初に、誘電物質が銅と積層されるかまたは銅で被覆され、次いで、その銅表面にフォトレジスト層が上塗りされる。プリント回路の必要な導電性回路のネガであるフォトツールが準備される。そのフォトツールはフォトレジスト層上に直接配置されて、UV光に曝露された領域を重合および硬化して、必要な導電性回路の潜像をフォトレジスト層内に生じさせる。フォトレジスト層は次いで、現像されて、フォトレジストの未露光領域を除去する。フォトレジスト層が遊離のカルボキシル基を含む場合には、この化学処理剤は典型的には穏やかなアルカリである。
【0005】
露出した銅は、次いで、化学エッチングによって、フォトレジスト層で保護されていない領域から選択的に取り除かれる。最終的に、フォトレジスト層の露光された領域は、フォト層が遊離のカルボン酸基を含む場合には、例えば、水性強アルカリを用いて、化学的に取り除かれる。
【0006】
このプロセスはPCBの製造において広く使用されているが、フォトレジスト層が別々に製造されて、銅/誘電物質積層物の全体領域上に適用されるので、このプロセスは冗長で、費用がかかり、かつ物質の無駄が多い。さらに、UV光照射の回折がおこり、そのフォトツールのUV透過領域の直接すぐ下にないフォトレジストの領域において現像および重合をもたらすように、所望の導電回路のネガ画像を含むフォトツールは、多くの場合フォトツール層から距離が離されている。フォトツールの製造が導電回路の密度および鮮明度を低減させうる場合には、このような問題が考慮されなければならない。さらに、UV光に曝露する前および曝露した後の双方でのフォトレジストの除去はアルカリ処理剤に依存するので、フォトレジストの化学構造は注意深く制御されなければならない。未露光フォトレジストが不完全に除去される場合、または露光され重合したフォトレジストのいくつかが銅を化学エッチングする前に除去される場合には、意図される導電回路の密度および完全性は大きく悪化されうる。よって、インクジェット印刷技術は光画像形成および現像工程の必要性をなくするので、インクジェット印刷技術を用いてフォトレジストおよび類似の物質を銅/誘電積層物の特定の領域に適用することに大きな関心が存在している。
【0007】
インクジェット印刷の場合には、画像またはネガ画像はコンピュータから直接デジタル的に利用可能にされ、プロセス工程の数は半分にされ、様々な強度の水性アルカリを使用したフォトレジストの様々な除去の必要性が回避される。また、フォトレジスト層から距離を離されているフォトツールが存在していないので、回路の改良された鮮明度および密度の可能性がある。また、化学エッチングから保護されるべき領域だけにフォトレジストが適用されるので、フォトレジスト物質についてのコスト抑制も存在する。
【0008】
フォトレジストまたは類似の物質の実質的に完全な除去はリソグラフィー技術の作業者にとって非常に望まれている。フォトレジスト残留物が、除去後に基体上に残っている場合には、その残留物は基体のさらなる処理を悪化させる場合がある。例えば、フォトレジストはPCB上に堆積させられて、回路パターンを形成するためのネガ型マスクとして機能する。マスクで覆われていない基体の部分は、エッチング剤を用いてエッチングで除去され、次いでフォトレジストが剥離させられる。その後の工程は、典型的には結合工程または1以上の金属めっきプロセスを伴う。剥離後にPCB上に残っている残留物は結合または金属めっきを悪化させて、欠陥のある電子素子を生じさせる場合がある。
【0009】
実質的に完全な除去に加えて、フォトレジストの迅速な除去もリソグラフィー技術の作業者にとって重要である。電子素子の製造の多くはアセンブリライン型プロセスを伴うので、より迅速な除去は、全体の製造プロセスをより効率的にする。よって、基体から迅速かつ完全に除去されうるフォトレジストまたは類似する物質についての必要性が存在する。
【0010】
米国特許第7,427,360号は従来のフォトレジストの画像形成方法に代えて、耐エッチングインクを用いたインクジェットプロセスによる電子素子の製造方法を開示する。そのインクはa)5〜95重量%が1種以上のモノ官能性モノマーである、1以上の官能基を含み酸基非含有アクリラート官能性モノマー30〜90部;b)1以上の酸基を含むアクリラート官能性モノマー1〜30部;c)ポリマーまたはプレポリマー0〜20部;d)ラジカル開始剤0〜20部;e)着色剤0〜5部;f)界面活性剤0〜5部を含み、当該インクは40℃で30cPs(mPa・s)以下の粘度を有する。そのインクは実質的に溶媒を含まず、化学線または粒子線照射によって重合可能である。そのインクは塩基を用いて基体から剥離されうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第7,427,360号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来のフォトレジスト画像形成方法の代わりに電子素子製造に使用されうるインクジェット可能な組成物および方法が存在するが、依然として、電子素子を製造するための、改良されたインクジェット可能な配合物および方法についての必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一態様においては、組成物は1種以上の酸ワックス、1種以上の酸基非含有アクリラート官能性モノマー、および1種以上のラジカル開始剤を含む。
別の態様においては、方法は、
a)1種以上の酸ワックス、1種以上の酸基非含有アクリラート官能性モノマー、および1種以上のラジカル開始剤を含む組成物を提供し;
b)組成物を基体上に選択的に堆積させ;
c)化学線を組成物に適用して組成物を硬化させ;
d)硬化した組成物で覆われていない基体の部分をエッチングし;
e)塩基を用いて、基体から硬化した組成物を除去して、パターン形成された物品を形成する;ことを含む。
さらなる態様においては、方法は、
a)1種以上の酸ワックス、1種以上の酸基非含有アクリラート官能性モノマー、および1種以上のラジカル開始剤を含む組成物を提供し;
b)組成物を基体上に選択的に堆積させ;
c)化学線を組成物に適用して組成物を硬化させ;
d)硬化した組成物で覆われていない基体の部分上を金属めっきし;
e)塩基を用いて硬化した組成物を除去して、パターン形成された物品を形成する;ことを含む。
【発明を実施するための形態】
【0014】
組成物は酸基含有アクリラート官能性モノマーを含まない。塩基を用いて組成物が基体から除去されるのを可能にする酸基は、酸ワックス成分中に含まれ、これは基体から組成物をより迅速でかつ実質的に完全に除去するのを可能にする。ワックス成分の酸ワックス価は少なくとも50mgKOH/gである。組成物は溶媒も実質的に含まず、よって組成物は、作業者および環境に対して毒性であり得る望まれない溶媒を除いている。
【0015】
ホットメルトである組成物は、従来のインクジェット装置によって、従来のスクリーン印刷方法によって、およびナノからマクロ堆積能力を有しうる従来のスプレー装置によって基体に適用されうる。組成物はレジストとして使用される。組成物はめっきレジストとしてまたはエッチングレジストとして使用されうる。本組成物および本方法はPCBのような電子素子の部品、およびリードフレーム、光電子素子、光起電素子の製造に、部品および精密工具の金属仕上げに使用されうる。それらは、その相変換特性のために、良好な画像鮮明度および低い流動性を有する。
【0016】
本明細書を通じて使用される場合、文脈が他に示さない限りは次の略語は次の意味を有する:℃=摂氏度;g=グラム;L=リットル;mL=ミリリットル;cm=センチメートル;μm=ミクロン;dm=デシメートル;Å=オングストローム=10−4ミクロン;amp.=アンペア;mJ=ミリジュール;W=ワット=アンペア×ボルト;重量%=重量パーセント;cp=センチポワズ;UV=紫外;IR=赤外;psi=ポンド/インチ=0.06805気圧=1.01325×10ダイン/cm
【0017】
用語「プリント配線板」および「プリント回路板」は本明細書において交換可能に使用される。「化学線」は光化学反応を生じさせることができる電磁放射線を意味する。「粘度」=内部流体摩擦、または流体の剪断の速度に対する剪断応力の割合。「酸価」=物質中に存在する遊離酸を測定するための、1gmの遊離酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのグラム数。他に示されない限りは全てのパーセンテージは重量基準であり、乾燥重量または溶媒を含まない重量を基準にする。全ての数値範囲は境界値を含み、このような数値範囲が合計で100%に制約されることが論理的である場合を除いて、任意の順に組み合わせ可能である。
【0018】
酸ワックスと酸基非含有アクリラート官能性モノマーとの組み合わせは、ホットメルトであり、レジスト、例えばエッチングレジストもしくはめっきレジストとして使用されることができ、かつ同時に、組成物の実質的に全てが基体から除去されるように塩基剥離剤を用いて基体から剥離可能である組成物を提供する。組成物は酸エッチング剤、例えば、フッ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、有機酸、例えば、カルボン酸およびこれらの混合物に対して耐性であり、かつ工業用エッチング剤、例えば、塩化第二銅(CuCl)および塩化第二鉄(FeCl)に対して耐性である。組成物は、塩基剥離剤、例えば、アルカノールアミンなどの有機アミン、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよびこれらの混合物、並びにアルカリ炭酸塩および重炭酸塩を用いて、基体から容易に剥離される。エッチング剤および剥離剤の双方の従来の強度が使用されうる。
【0019】
組成物は、組成物が化学線の適用によって硬化させられるのを可能にする1種以上のラジカル開始剤も含む。当該技術分野で知られた従来の方法が、例えば、IR、UVおよび可視範囲の化学線、並びにX線およびマイクロ波などの化学線のソースとして使用されうる。
【0020】
組成物は有機溶媒および水を含まない。これは組成物中に追加の溶媒または水が含まれないが、不純物としてまたは組成物を製造するために使用される様々な成分の製造における副生成物として痕跡量だけの溶媒または水が存在しうることを意味する。典型的には組成物は100重量%固形分である。組成物は低い流動性であり、よって組成物は0.05〜0.25、または例えば0.08〜0.18の範囲のアスペクト比(幅に対する高さ)の印刷ドットを形成する。それらは良好な画像鮮明度を有する画像も形成する。
【0021】
組成物の粘度は、それらが多くの従来のインクジェット装置で使用されうるようなものである。典型的には、組成物の粘度は、40℃〜150℃で、5cp〜80cpの範囲である。粘度は従来の方法で測定されうるが、典型的には、回転スピンドル、例えば、18番スピンドルを用いたブルックフィールド粘度計を用いて測定される。
【0022】
インクジェット装置は、基体に適用される選択的レジストデザインについて、そのメモリにデジタル的に情報を記憶することができる。好適なコンピュータープログラムの例は、ツーリングデータの生成のための標準CAD(コンピュータ支援設計)プログラムである。作業者は、インクジェット装置において、デジタル的に記憶されたプログラムを変更することによって組成物の選択的堆積を容易に変更することができる。さらに、登録問題も容易に取り組まれうる。インクジェット装置は、例えば、複数層PCBの製造におけるような基体間での潜在的に不適切な配置に気づくようにプログラムされることができる。その装置が基板間の誤登録を感知する場合には、プログラムはレジストマスクパターンのインクジェット適用を変更し、隣接する基板間の誤登録を回避もしくは修正する。基板から基板へのパターンを再設計する能力は、基板間の誤登録の可能性を低減させ、複数の定まったフォトツールを準備するコスト高でかつ非効率的な作業をなくする。よって、レジストの選択的堆積および画像形性の効率が、多くの従来法よりも改良される。
【0023】
インクジェット印刷の2つの主要なカテゴリー、「ドロップ−オン−デマンド(Drop−On−Demand)」インクジェットおよび「連続」インクジェットが存在する。ドロップ−オン−デマンドインクジェット技術を使用して、レジスト組成物はリザーバー中に貯蔵され、プリンターの印刷ヘッドのノズルに送達される。組成物の単一の液滴をノズルから出して、基体上に向かわせるための手段が存在する。典型的には、これはチャンバー内のダイヤフラムの圧電アクチュエーションであり、これはノズルから液滴を「ポンプ」輸送して出すか、または流体を局所的に加熱してチャンバー内の圧力を増加させ、これにより液滴を噴出させる。
【0024】
「連続」インクジェット印刷において、レジスト組成物の連続流れがプリンターの印刷ヘッドのノズルに送達される。ノズルを通って出る前に、加圧された組成物の流れは電流がかけられたセラミッククリスタルを通って進む。この電流はAC(交流)電流の周波数に等しい圧電振動を生じさせる。この振動は、次に、一体となっている流れから組成物の液滴を生じさせる。組成物は連続した一連の液滴になり、この液滴は等しく空間が空けられており、等しいサイズである。帯電電極(charge electrode)において液滴が液体流れから分離する場所において噴出を取り囲む場合に、帯電電極と液滴との間に電圧が印加される。液滴が流れから分離する場合に、それぞれの液滴は、それが分離した時点で印加された電圧に比例した電荷を運ぶ。液滴が形成されるときに、同じ割合で帯電電極電圧を変化させることにより、それぞれの液滴は所定のレベルに帯電させられうる。液滴流れはその飛行を続け、一定の電位、例えば、±0.1kV〜±5kV、または例えば、±1kV〜±3kVに維持されている2つの偏光板の間を通過する。この電場の存在下で、液滴は、運ばれる電荷に比例した量でプレートの一方に向かって向きを変えられる。帯電していない液滴は偏向されずガーターに集められてインクノズルに再循環させられる。帯電しており、それ故に偏向される液滴は、液滴偏向の方向に対して直角に移動する放射エネルギー感受性物質上に衝突する。個々の液滴上の電荷を変化させることにより、所望のパターンが適用されうる。液滴のサイズは直径で30μm〜100μm、または例えば、40μm〜80μm、または例えば50μm〜70μmの範囲であり得る。
【0025】
インクジェットプロセスは、連続可変データの高速適用に対するコンピューター制御に適合可能である。インクジェット印刷方法は3つの一般的カテゴリー:高圧(10psi以上)、低圧(10psi未満)および真空技術:に分けられうる。全ては当該技術分野において知られているか、または文献に記載されており、かつ基体へのレジスト組成物の適用において使用されうる。
【0026】
インクジェットによる適用に加えて、レジスト組成物はスクリーン印刷を用いることによって、およびナノ−からマクロ−堆積能力を有する噴霧装置によって適用されうる。使用されうるタイプの噴霧装置の例は、Optomec(登録商標)から入手可能なM(登録商標)である。
【0027】
レジスト組成物は当該技術分野で知られた好適な方法によって製造されうる。組成物中に典型的に含まれる、ワックス、酸基非含有アクリラート官能性モノマー、およびラジカル開始剤は室温で固体または半固体である。それらは任意の順序で一緒にされうる。それらは容易に一緒にまたは何らかの追加の成分と混合されうるように、それらは加熱されてそれらを軟化するかまたは液化することができる。成分は既存の混合または均一化装置において、任意の順序で一緒にされうる。その成分を混合するために25℃を超えて150℃までの温度が典型的に使用される。成分が均一に混合された後、混合物が25℃以下に冷却されて固体組成物を形成することができる。
【0028】
所望の耐エッチング性または耐めっき性、フロー、鮮明化および剥離能力を提供する酸ワックスおよび酸ワックスの組み合わせが組成物中に含まれうる。組成物の酸官能性は実質的に酸ワックスに限定される。典型的には高酸ワックスおよびその混合物が使用される。用語「高酸ワックス」は50mgKOH/g以上の高い酸含有量を有し、かつ50%以上酸官能化されているワックスを意味する。典型的には高酸ワックスは100mgKOH/g以上の酸含有量、より典型的には120mgKOH/g〜170mgKOH/gの酸含有量を有する。1種以上の酸ワックスが一緒にブレンドされて所望の酸価を達成することができる。酸ワックス成分はレジスト組成物の酸価を決定する。このようなワックスは典型的には酸含有結晶性ポリマーワックスである。用語「結晶性ポリマーワックス」は、結晶融点転移温度(crystalline melting point transition temperature:T)によって特徴づけられうるポリマーマトリックス内のポリマー鎖の秩序ある配列を含むワックス物質を意味する。この結晶融解温度はポリマーサンプルの結晶性ドメインの融解温度である。これは、ポリマー内の非晶質領域についてポリマー鎖が流動し始める温度を特徴づけるガラス転移温度(T)と対照をなす。酸ワックスは、組成物の0.5重量%〜40重量%、または例えば、組成物の5重量%〜25重量%の量で組成物中に含まれる。
【0029】
組成物において使用されうるカルボン酸末端ポリエチレンワックスには、構造CH−(CHn−2−COOH(平均鎖長が16〜50である、鎖長「n」の混合物である)を有する炭素鎖、および類似の平均鎖長の線状低分子量ポリエチレンの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。このようなワックスの例としては、nが40であるUNICID(登録商標)550、およびnが50であるUNICID(登録商標)700が挙げられるがこれらに限定されない。両方ともBaker Petrolite(米国)から入手可能である。UNICID(登録商標)550は80%のカルボン酸官能基と、類似の鎖長の線状低分子量ポリエチレンである残部を含み、72mgKOH/gの酸価および101℃の融点を有する。他のワックスの例は、n=16のヘキサデカン酸すなわちパルミチン酸、n=17のヘプタデカン酸すなわちマルガリン酸すなわちダツリン酸(daturic acid)、n=18のオクタデカン酸すなわちステアリン酸、n=20のエイコサン酸すなわちアラキドン酸、n=22のドコサン酸すなわちベヘン酸、n=24のテトラコサン酸すなわちリグノセリン酸、n=26のヘキサコサン酸すなわちセロチン酸、n=27のヘプタコサン酸すなわちカルボセリン酸、n=28のオクタコサン酸すなわちモンタン酸、n=30のトリアコンタン酸すなわちメリシン酸、n=32のドトリアコンタン酸すなわちラッセル酸、n=33のトリトリアコンタン酸すなわちセロメリッシン酸すなわちフィリン酸、n=34のテトラトリアコンタン酸すなわちゲダ酸、n=35のペンタトリアコンタン酸すなわちセロプラスチン酸などの、CH−(CH−COOHの構造を有する。
【0030】
組成物に含まれる他の高酸ワックスの例としては、16以上の炭素原子の線状脂肪族鎖を有する高酸ワックスがある。典型的には、末端官能化カルボン酸を有する線状飽和脂肪族ワックスが使用される。このようなワックスは50mgKOH/gを超える酸価を有する。より典型的には、このような高酸ワックスはモンタンワックス、n−オクタコサン酸、CH−(CH26−COOH、100%酸官能化である。このようなワックスには、Clariant GmbH(ドイツ)により製造された、127〜160mgKOH/gの酸価を有するLicowax(登録商標)S、115〜135mgKOH/gの酸価を有するLicowax(登録商標)SW、100〜115mgKOH/gの酸価を有するLicowax(登録商標)UL、および130〜150mgKOH/gの酸価を有するLicowax(登録商標)X101が挙げられるがこれらに限定されない。他の好適な高酸ワックスには、酸末端のいくつかがエステル化されている、部分エステル化モンタン酸ワックス、例えば72〜92mgKOH/gの酸価を有するLicowax(登録商標)Uが挙げられる。
【0031】
このような酸ワックスの融点は65℃〜150℃である。典型的には融点は80℃〜110℃である。
【0032】
アクリラート官能性モノマーは酸官能基を含まず、かつCH=C(R)CO−(式中Rは、水素、アルキルまたはシアノである)のような反応性ビニル基を含む。Rがアルキルである場合には、それは典型的にはC1−6アルキルである。酸官能性モノマーは組成物中に含まれない。モノマーについての他の限定には、互いに対するその適合性、組成物の他の成分に対する適合性、最終のレジスト組成物において別の層を形成し得ないこと、所定の粘度を有することおよび塩基処理によって除去されることが挙げられる。アクリラート官能性モノマーは30,000以下、または例えば、20,000以下、または例えば、1,000〜5,000の分子量を有する。典型的には、酸基非含有アクリラート官能性モノマーの分子量は2,000を超えない。
【0033】
酸基非含有アクリラート官能性モノマーの具体的な例には、商標Sartomer(商標)、Actilane(商標)およびPhotomer(商標)の下に入手可能なもの、例えば、Sartomer(商標)506(アクリル酸イソボルニル)、Sartomer(商標)306(トリプロピレングリコールジアクリラート)、Actilane(商標)430(トリメチロールプロパンエトキシラートトリアクリラート)、Actilane(商標)251(三官能性アクリラートオリゴマー)、Actilane(商標)411(CTFアクリラート)、Photomer(商標)4072(トリメチロールプロパンプロポキシラートトリアクリラート)、Photomer(商標)5429(ポリエステルテトラアクリラート)およびPhotomer(商標)4039(フェノールエトキシラートモノアクリラート)がある。Sartomer(商標)、Actilane(商標)およびPhotomer(商標)はそれぞれ、Cray Valley Inc.、Akros BVおよびCognis Inc.の商標である。モノマーの他の例には、アクリル酸ラウリル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル、1,6−ヘキサンジオールジアクリラート、ネオペンチルグリコールジアクリラート、ジエチレングリコールジアクリラート、ブタンジオールジアクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート、ペンタエリスリトールトリアクリラート、1,3−ブチレングリコールジアクリラート、1,4−ブチレングリコールジアクリラート、トリエチレングリコールジアクリラート、ペンタエリスリトールテトラアクリラート、トリプロピレングリコールジアクリラート、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸2−ノルボルニル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェノキシエチルおよびアクリル酸テトラヒドロフルフリルがある。このような酸官能基非含有アクリラート官能性モノマーは50重量%〜80重量%の量で、または例えば、60重量%〜70重量%の量で組成物中に含まれる。
【0034】
ラジカル開始剤は、アクリラート官能性モノマーの重合を開始するためにトレードにおいて典型的に使用される任意的な相乗剤(synergist)をはじめとするあらゆる開始剤であることができる。開始剤および存在する場合には相乗剤は化学線によって活性化されうる。化学線源には、水銀ランプ、キセノンランプ、炭素アークランプ、タングステンフィラメントランプ、発光ダイオード(LED)、レーザー、電子線および太陽光が挙げられるがこれらに限定されない。UV線、例えば中圧水銀ランプからのUV線が典型的に使用される。典型的にはラジカル開始剤はUV光で活性化される光開始剤である。
【0035】
ラジカル開始剤および相乗剤の例は、アントラキノン、置換アントラキノン、例えば、アルキル置換アントラキノンおよびハロゲン置換アントラキノン、例えば、2−ターシャリーブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、p−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノンおよび2−アミルアントラキノン、任意に置換された多核キノン、例えば、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジクロロナフトキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、3−クロロ−2−メチルアントラキノン、レテネキノン、7,8,9,10−テトラヒドロナフトアントラキノン、1,2,3,4−テトラヒドロベンゾアントラセン−7,2−ジオン、アセトフェノン系、例えばアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよび2−メチル−1−(4−メチルチオ)フェニル−2−モルホリン−プロパン−1−オン;チオキサントン系、例えば、2−メチルチオキサントン、2−デシルチオキサントン、2−ドデシルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントンおよび2,4−ジイソプロピルチオキサントン;ケタール、例えば、アセトフェノンジメチルケタールおよびジベンジルケタール;ベンゾイン系およびベンゾインアルキルエーテル、例えば、ベンゾイン、ベンジルベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルおよびベンゾインイソブチルエーテル;アゾ化合物、例えばアゾビスイソバレロニトリル;ベンゾフェノン系、例えば、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ビス−ジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラー(Michler’s)ケトン、およびキサントンおよびこれらの混合物がある。市販の開始剤および相乗剤の例には、Speedcure(商標)ITX、EHAおよび3040、Irgacure(商標)184、369、907および1850、Daracure(商標)1173がある。Speedcure(商標)、Irgacure(商標)およびDaracure(商標)は、それぞれ、Lambson PlcおよびCiba GmbHの登録商標である。
【0036】
ラジカル開始剤は、化学線に曝露した際に組成物の硬化を可能にするのに充分な量で含まれる。典型的には、このようなラジカル開始剤は組成物の0.1重量%〜10重量%、または例えば、組成物の1重量%〜5重量%の量で含まれる。
【0037】
場合によっては、1種以上の着色剤がレジスト組成物中に含まれうる。このような着色剤には、顔料および染料、例えば、蛍光染料が挙げられる。着色剤は所望の色コントラストを提供する従来の量で組成物中に含まれうる。好適な顔料には、これらに限定されないが、二酸化チタン、プルシアンブルー、硫化カドミウム、酸化鉄、赤色硫化水銀、ウルトラマリンおよびクロム顔料、例えば、クロム酸塩、モリブデン酸塩および混合クロム酸塩、および鉛、亜鉛、バリウム、カルシウムの硫酸塩、並びにこれらの混合物および修飾物が挙げられ、これらはクロムエロー、レモンエロー、ミドルオレンジクロム、スカーレットクロムおよびレッドクロムの名前で黄緑色から赤色までの顔料として市販されている。
【0038】
好適な染料には、これらに限定されないが、アゾ染料、金属錯体染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染料、シアニド染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、ペノリン染料、フタルシアニド染料およびロイコ染料が挙げられる。蛍光染料の例には、キサンテン、例えば、ローダミンおよびフルオレセイン、ビマン、クマリン、例えば、アンベリフェロン、芳香族アミン、例えば、ダンシル、スクアラート染料、ベンゾフラン、シアニン、メロシアニン、希土類キレートおよびカルボゾールがある。
【0039】
任意である追加の添加剤には、これらに限定されないが、界面活性剤、例えば、非イオン性、カチオン性、アニオン性および両性界面活性剤、滑り改変剤(slip modifier)、チキソトロープ剤、発泡剤、消泡剤、可塑剤、増粘剤、バインダー、抗酸化剤、光開始剤安定化剤、光沢剤、殺真菌剤、殺バクテリア剤、有機および無機充填剤粒子、レベリング剤、不透明剤、帯電防止剤および金属接着剤が挙げられる。このような添加剤は従来の量で含まれうる。
【0040】
レジスト組成物はエッチングレジストとしてまたはめっきレジストとして使用されうる。一般に、レジスト組成物は基体上に選択的に堆積され、続いて化学線でレジスト組成物を硬化させる。硬化後、基体の覆われていない部分が所望の深さまでエッチングされうるか、または基体表面の領域を除去して下層を露出させるようにエッチングされることができて、基体上にパターンを形成することができる。エッチング剤はエッチング中に基体からレジストを除去しないので、レジスト組成物はエッチングレジストとして機能する。エッチングレジストは、次いで、基体から剥離されて、当該技術分野において知られた従来の方法によってさらに加工するためのパターン形成された基体を残す。あるいは、基体の覆われていない領域は金属でめっきされることができて、基体上にパターンを形成することができ、よってこのレジストはめっきレジストとして機能する。次いで、めっきレジストは基体から剥離されて、当該技術分野において知られた従来の方法によってさらに加工するための金属パターンを有する基体を残す。剥離は0℃〜100℃、典型的には40℃〜60℃の温度で塩基を用いて行われる。
【0041】
上記の変法として、基体は両面上をレジストで選択的に被覆され、化学線に曝露されることができる。次いで、エッチングおよびめっきが基体の両面で同時に行われうる。
【0042】
エッチングは、基体を構成する物質に好適な当該技術分野において知られた方法によってなされうる。典型的には、エッチングは酸、例えば、フッ化水素酸、硝酸、リン酸、塩化水素酸、有機酸、例えば、カルボン酸およびその混合物を用いて、または工業用エッチング剤、例えば、塩化第二銅(CuCl)および塩化第二鉄(FeCl)を用いて行われる。このようなエッチング剤は当該技術分野において周知であり、文献から得られうる。
【0043】
エッチングは典型的には20℃〜100℃、より典型的には25℃〜60℃の温度で行われる。エッチングは、レジストで被覆された基体を、垂直または水平の位置でエッチング剤で噴霧または浸漬することを含む。典型的には、基体が水平位置にある場合には噴霧が行われる。これはエッチング剤の素早い除去を可能にする。エッチングの速度はエッチング剤を撹拌する、例えば、音波撹拌を用いて撹拌するまたは振動噴霧により促進されうる。基体がエッチング剤で処理された後、基体は典型的には水ですすがれて微量のエッチング剤を除去する。
【0044】
1以上の金属層が基体上に形成されたパターンで堆積されうる。金属は無電解、電解、浸漬または光誘起めっきにより堆積されうる。従来の無電解、電解、および浸漬浴および方法が、金属または合金層を堆積させるために使用されうる。多くのこのような浴が市販されており、または文献に記載されている。金属には、これに限定されないが、貴金属および非貴金属、並びにこれらの合金が挙げられる。好適な貴金属の例は金、銀、白金、パラジウムおよびこれらの合金である。非貴金属の例は、銅、ニッケル、コバルト、ビスマス、亜鉛、インジウム、スズおよびこれらの合金である。
【0045】
基体には、これに限定されないが、PCB、半導体ウェハ、例えば、光電池および太陽電池、および光電子素子のための部品が挙げられる。一般に、PCBの製造においては、レジスト組成物は銅クラッド板上に選択的に堆積され、化学線を用いて硬化される。レジストで覆われていない銅クラッド板の部分はエッチングで除去される。レジストは板から剥離されて、板上に回路パターンを残す。別の態様においては、レジストは板上に選択的に堆積されて、従来のプロセスを用いて金属シード層と導電性になり、化学線を用いて硬化される。レジストで覆われていない板の部分は金属または合金でめっきされる。次いで、硬化したレジストは板から剥離されて、板上に金属パターンを残す。
【0046】
一般に、光電池または太陽電池の製造において、レジストは、ドープされた半導体ウェハの前面反射防止層上に選択的に堆積される。反射防止層はケイ素、窒化ケイ素Si、酸化ケイ素SiO、またはこれらの組み合わせでありうる。典型的には、反射防止層はSiである。半導体は単結晶または多結晶であることができる。次いで、レジストは化学線で硬化されて、反射防止層の部分がエッチングで除去されて、ドープされた半導体(n+またはn++ドープ)のエミッタ層を露出させる。次いで、硬化したレジストは剥離され、反射防止層で覆われていないエミッタ層の部分は金属または合金でめっきされて、電流トラックおよびバスバーのパターンを形成する。
【0047】
別の態様においては、レジストは、金属、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、銀および金で覆われているドープされた半導体ウェハの裏面に選択的に堆積されうる。レジストは化学線を用いて硬化される。レジストで覆われていない金属の部分はエッチングで除去されて、電極の電流トラックのパターンを形成する。
【0048】
本組成物および方法は、電子素子の部品、例えば、PCB、およびリードフレーム、光電子素子、光起電素子の製造に、部品および精密工具の金属仕上げに使用されうる。それらは、その相変換特性のために、良好な画像鮮明度および低い流動性を有する。
【0049】
次の実施例は本発明をさらに説明することを意図するものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0050】
実施例1−7
インクジェットエッチングレジスト組成物
【0051】
【表1】

【0052】
全ての7つの配合物は同じ方法で製造される。従来の実験室ブレンド装置を用いて、モノマー、酸ワックスおよびラジカル開始剤は一緒にブレンドされて、均一な混合物を形成する。従来の対流オーブン内で50℃〜90℃で加熱が行われて、他の成分とブレンドするには固すぎるあらゆる成分を液化する。混合後、それぞれの成分は、次いで、室温まで冷却されて、100%固体の組成物を形成する。この組成物は100mgKOH/gを超える酸価を有するものと期待される。
【0053】
全ての粘度は、60℃、80℃および100℃の温度でのサーモセル(thermosel)アタッチメントを備えたブルックフィールド(Brookfield)粘度計を用いて、15cp以下であると予想される。よって、組成物は従来のインクジェット装置、例えば、Schmidから得られるDirectmask(商標)DoD300を用いるインクジェットに好適であると予想される。
【0054】
実施例8
エッチングレジストPCB用途
実施例1−7からのレジスト組成物は、圧電ドロップオンデマンドプリントヘッド(Spectra(商標)SE−128)から、7つの別々の銅クラッドFR4/ガラス−エポキシパネル上に、15μm〜30μmの厚みで、選択的にインクジェットされる。インクジェット中の温度は65℃〜95℃である。レジスト組成物がそれぞれのパネルに選択的に適用されてから、組成物は、120W/cmで動作中のFusionDバルブを用いて、150mJ/cm〜200mJ/cmでUV光に曝露される。全てのレジストは硬化すると予想される。
それぞれのレジストの硬度はASTM D3363−05鉛筆硬度試験を用いて試験される。硬度値は3H以上であると予想される。得られうる最も硬い値は5Hであり、最も柔らかいのが1Hである。
それぞれのパネルは、次いで、4NのCuClエッチング剤の水性エッチング溶液に50℃で5分間浸漬され、レジストで覆われていない銅の部分をエッチング除去する。銅は38μmの深さまでエッチングされる。レジスト組成物はCuClエッチング剤のエッチング作用に耐えると予想される。エッチングが完了した後、パネルはエッチング液から取り出されて水ですすがれる。
それぞれのパネルは次いで、2.5重量%水酸化ナトリウムの剥離水溶液の浴中に40℃〜50℃で、1分間浸漬されて、パネルからレジストを剥離する。実質的に全てのレジストがそれぞれのパネルから除去され、パネル上に銅回路パターンを残すと予想される。次いで、パネルはさらに処理されて電子素子のためのPCBの製造を完了する。
【0055】
実施例9
半導体適用のためのエッチングレジスト
pn−接合を有するドープされた単結晶シリコン半導体ウェハ7枚が提供される。ドープされた単結晶シリコンウェハの前面すなわちエミッタ層がテクスチャー化されかつn++ドープされる。裏面はアルミニウムでp++ドープされる。n++ドープされたエミッタ層とp++ドープされた裏面との間の領域はn+ドープされる。ドープされた単結晶シリコンウェハの前面は500nm厚のSiの層で被覆される。Siは反射防止層として機能する誘電体である。
それぞれのシリコンウェハの反射防止層は、電流トラックを形成するために、ドロップオンデマンドインクジェットプリンターによって、80℃〜100℃で、実施例1〜7の7種のレジスト組成物のいずれかで選択的に被覆される。各電流トラック間の距離が3mmであるように、レジスト組成物が堆積させられる。レジストは10μm厚で誘電層上に堆積させられる。次いで、レジストはフュージョンUVベルトシステムによって、150〜2000mJ/cmでUV光に曝される。全てのレジストは硬化することが予想される。
それぞれのレジストの硬度はASTM D3363−05鉛筆硬度試験を用いて試験される。硬度値は3H以上であると予想される。得られうる最も硬い値は5Hであり、最も柔らかいのが1Hである。
次いで、レジストで覆われていないSi誘電層がエッチングで除去されて、n++ドープされたエミッタ層の領域を露出させる。エミッタ層を露出させるために、エッチングは水性40%フッ化水素酸エッチング剤を用いて25℃で2〜10分間行われ、20μm幅で0.5μm深さの電流トラックを形成する。この酸エッチング剤はエッチングレジストをエッチング除去しないと予想される。ウェハのアルミニウム裏面も、ウェハの前面に適用されるのと同じレジストによって、エッチング中に酸エッチング剤から保護される。
ウェハの前面は2.5重量%の水酸化ナトリウムの水性剥離溶液で40℃〜50℃で噴霧されて、レジストを剥離除去する。金属めっきを悪化させる残留物が残っていないように、実質的に全てのレジストがそれぞれのウェハから除かれると予想される。次いで、ウェハの電流トラックは無電解ニッケルでめっきされ、0.1μm厚のニッケルシード層を形成する。ニッケルはNiplate(商標)600ミッド−リン無電解ニッケル浴(米国、マサチューセッツ州、マルボロのロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズエルエルシーから入手可能)を用いて堆積される。次いで、ニッケルシード層は10μm厚の銀の層で被覆される。Enlight(商標)600銀めっき浴(ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズエルエルシーから入手可能)が使用され、従来の光誘起めっきによって銀を堆積する。
【0056】
実施例10
PCB適用のためのめっきレジスト
実施例1−7からのレジスト組成物が、圧電ドロップオンデマンドプリントヘッド(Spectra(商標)SE−128)から、7つの別々のエポキシパネル上に、15μm〜30μmの厚みで、選択的にインクジェットされる。エポキシパネルは1ミクロンの超薄銅シード層を有する。インクジェット中の温度は65℃〜95℃である。レジスト組成物がそれぞれのパネルに選択的に適用されてから、組成物は、120W/cmで動作中のFusionDバルブを用いて、150mJ/cm〜200mJ/cmでUV光に曝露される。全てのレジストは硬化すると予想される。
それぞれのレジストの硬度はASTM D3363−05鉛筆硬度試験を用いて試験される。硬度値は3H以上であると予想される。得られうる最も硬い値は5Hであり、最も柔らかいのが1Hである。
硬化したレジストを備えるそれぞれのパネルは、80g/Lの硫酸銅五水和物、225g/Lの硫酸、50ppmの塩素イオンおよび1g/Lのポリエチレンオキシドを含む銅電気めっき浴中に置かれる。電気めっきは1amp/dmで行われる。銅金属はレジストで覆われていない領域でパネル上に堆積させられる。銅堆積物が15μm〜25μm厚であるまで、銅堆積が行われる。
それぞれのパネルは次いで、2.5重量%水酸化ナトリウムの剥離水溶液の浴中に40℃〜50℃で、1分間浸漬されて、パネルからレジストを剥離する。実質的に全てのレジストがそれぞれのパネルから除去され、パネル上に銅回路パターンを残すと予想される。次いで、パネルはさらに処理されて電子素子のためのPCBの製造を完了する。
【0057】
実施例11
太陽電池適用のためのめっきレジスト
pn−接合を有するドープされた単結晶シリコン半導体ウェハ7枚が提供される。ドープされた単結晶シリコンウェハの前面すなわちエミッタ層がテクスチャー化されかつn++ドープされる。裏面はアルミニウムでp++ドープされる。さらに、裏面は化学蒸着された10μm厚のアルミニウム層も含む。n++ドープされたエミッタ層とp++ドープされた裏面との間の領域はn+ドープされる。ドープされた単結晶シリコンウェハの前面は500nm厚のSiの層で被覆される。Siは反射防止層として機能する誘電体である。
それぞれのシリコンウェハのアルミニウム層は、ウェハの裏面に電流トラックを形成するために、ドロップオンデマンドインクジェットプリンターによって、80℃〜100℃で、実施例1〜7の7種のレジスト組成物のいずれかで選択的に被覆される。各電極トラック間の距離が3mmであるように、レジスト組成物が堆積させられる。レジストは15μm〜30μmの厚みで、アルミニウム層上に堆積させられる。次いで、レジストはフュージョンUVベルトシステムによって、150〜2000mJ/cmでUV光に曝される。全てのレジストは硬化することが予想される。
それぞれのレジストの硬度はASTM D3363−05鉛筆硬度試験を用いて試験される。硬度値は3H以上であると予想される。得られうる最も硬い値は5Hであり、最も柔らかいのが1Hである。
次いで、アルミニウム金属をエッチングするために、5重量%の酢酸、80重量%のリン酸、5重量%の硝酸、および10重量%の蒸留水からなる従来のエッチング浴を用いて、レジストで覆われていないアルミニウム層の領域がエッチングされて、露出したアルミニウムを除去する。それぞれのウェハの裏面は2.5重量%の水酸化ナトリウムの水性剥離溶液で40℃〜50℃で噴霧されて、レジストを剥離除去する。アルミニウム電流トラックのパターンが裏面上に残ってアノードとして機能する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上の酸ワックス、1種以上の酸基非含有アクリラート官能性モノマー、および1種以上のラジカル開始剤を含む組成物。
【請求項2】
前記1種以上のワックスの酸価が少なくとも100mgKOH/gである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記1種以上のワックスの酸価が120mgKOH/g〜170mgKOH/gである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
組成物が1種以上の着色剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
組成物が酸基含有アクリラート官能性モノマーを含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
a)1種以上の酸ワックス、1種以上の酸基非含有アクリラート官能性モノマー、および1種以上のラジカル開始剤を含む組成物を提供し;
b)組成物を基体上に選択的に堆積させ;
c)化学線を組成物に適用して組成物を硬化させ;
d)硬化した組成物で覆われていない基体の部分をエッチングし;並びに
e)塩基を用いて、基体から硬化した組成物を除去して、パターン形成された物品を形成する;
ことを含む方法。
【請求項7】
前記1種以上のワックスの酸価が少なくとも100mgKOH/gである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
基体が、プリント回路板の部品、光起電素子、光電子素子、金属部品およびリードフレームから選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
a)1種以上の酸ワックス、1種以上の酸基非含有アクリラート官能性モノマー、および1種以上のラジカル開始剤を含む組成物を提供し;
b)組成物を基体上に選択的に堆積させ;
c)化学線を組成物に適用して組成物を硬化させ;
d)硬化した組成物で覆われていない基体の部分上を金属めっきし;並びに
e)塩基を用いて、硬化した組成物を除去して、パターン形成された物品を形成する;
ことを含む方法。

【公開番号】特開2010−138382(P2010−138382A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−252756(P2009−252756)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】