説明

改良されたマイクロ光学的セキュリティデバイス

【課題】マイクロ光学的セキュリティデバイスのセキュリティを更に高めること
【解決手段】
スティッチされたアイコンの1つ以上の平面状の配置を使用し、任意の所定のビュー角で合成拡大された1つ以上の画像を投影するマイクロ光学的セキュリティデバイスが提供される。合成拡大画像はセキュリティデバイスが傾けられるか、またはビュー角が変化するときに、オプションとして任意の角度に変化する単一画像またはマルチパート画像を構成する。

【発明の詳細な説明】
【従来技術文献】
【0001】
本願は、2007年8月1日に出願された米国仮特許出願第60/953,304号の利益およびこの出願に基づく優先権を主張するものであり、この米国仮特許出願全体を本明細書で参考例として援用する。
【技術分野】
【0002】
本願は、一般的には、画像を投影するためのマイクロ光学的セキュリティデバイスに関し、より詳細には、スティッチされた(スティッチ接合された)アイコンの1つ以上の平面状配列を使用し、1つ以上の合成的に拡大された(合成拡大)画像を任意の所定のビュー角で投影する、マイクロ光学的セキュリティデバイスに関する。合成拡大画像は、このセキュリティデバイスが傾斜されるとき、またはビュー角が変化するときに、光学的に異なる画像に変化する単一画像またはマルチパート(多数の部分から成る)画像を構成する。
【背景技術】
【0003】
光学的材料は、バンクノートで使用されるセキュリティスレッドへの、価値を示す追加物として長く認識されてきた。これら材料は、セキュリティスレッド、したがってバンクノート(銀行券)を偽造しにくいものにしながら、種々の自己認証光学的効果を可能にしている。
【0004】
例えばスティーンブリック外に付与された米国特許第7,333,268号は、マイクロ画像を拡大するために非円筒形レンズの規則的な二次元アレイを使用するフィルム材料を示している。一実施形態では、フィルム材料またはフィルム構造体が、(a)1つ以上の光学的スペーサと、(b)前記光学的スペーサの1つの表面に位置する画像アイコンの規則的な周期的平面状アレイと、(c)前記光学的スペーサの反対側の面に位置するレンズの規則的な周期的アレイとを含む。上記レンズは、関連する画像アイコンの周辺エッジが視界からドロップアウトしないよう、関連する画像アイコンの幅にわたって、拡大された視界を提供するポリゴン底部のマルチゾーンレンズ、または50ミクロン未満の有効底部直径を有する非球面レンズとして記載されている。50ミクロン未満の全フィルム厚を必要とする通貨、ドキュメントおよび製品セキュリティ用途に対し、この参考文献は、レンズの有効底部直径を50ミクロン未満にしなければならないこと、レンズの焦点長さを40ミクロン未満にしなければならないことを教示している。このフィルム構造体によって投影される画像は、オルソパララクティック(直交視差による)移動を含む多数の視覚的効果を呈すると報告されている。
【0005】
セキュリティストリップまたはスレッドの形態をしたこれらマイクロ光学的フィルム構造体は、セキュリティスドキュメント(またはバンクノート)の1つの表面に取り付けられるか、またはフィルム構造体がドキュメントの一方の表面にある明瞭に構成されたウィンドー内で見ることができるよう、ドキュメント内に部分的に埋め込まれる。
【0006】
この参考文献には、フィルム構造体をアジマス方向に回転するか、またはこのフィルム構造体を異なる視点から見ると、あるフォーム、形状、サイズおよび/またはカラーから別のフォーム、形状、サイズおよび/またはカラーに変化する、合成拡大画像が記載されている。合成拡大画像を別の合成拡大画像に変換するための、かかる1つの方法では、あるアイコン要素のパターンから別のパターンに急激に変化させなければならない。この参考文献の図6a〜cに最良に示されるように、ハード境界部104の両側に分離されているアイコン要素パターン92および94は、境界ラインにて共に合流している。この結果、この境界ラインにて、画像の変換が急激に生じる。この参考文献に記載されている別の方法は、これほど急激には変化しない。この方法では、1つのアイコンがアレイを横断する際に、各レンズの下に並置されている2つのアイコンのサイズおよび形状が徐々に変化する(すなわちアイコンのサイズおよび形状がより大きく、かつより進展したフォームに徐々に変化するか、またはより小さく、かつあまり進展していないフォームに徐々に戻る)ようなアイコンアレイ内で、トランジションゾーンが使用されている。変化の急激性は、トランジションゾーンを使用することによって緩和されるが、合成画像の変化のスムーズさの程度を改善できるだけでなく、各変化では2つの無傷のアイコンしか関与せず、変化が連続して発生せず、むしろフィルム構造体が回転されるか、または視点が変化する時間のうちの一部の間でしか生じない場合にこれら画像の変化の数および複雑さも限定されることになる。したがって、投影される画像を水平軸および/または垂直軸に沿って1つまたは数種の異なる画像に、よりシームレスに変換できるセキュリティデバイスが求められている。更に、任意の所定のビュー角で2つ以上の画像を投影でき、よって、よりまねされにくく、複雑で、統合された画像の形成を可能にするセキュリティデバイスも求められている。
【0007】
コマンダー外を発明者とする国際特許出願第PCT/GB2005/001618号は、片側にマイクロレンズのアレイを有し、反対側にマイクロ画像の1つ以上の対応するアレイを有する基板を含むセキュリティデバイスについて述べている。マイクロレンズアレイとマイクロ画像アレイとの間の距離は、実質的にマイクロレンズの焦点距離に等しい。この基板は、光がマイクロレンズを通過し、マイクロ画像に到達できるように十分に透明となっている。各マイクロ画像は、基板上の反射防止構造体(例えばモス−アイ構造体)によって構成されており、この基板は、同じ構造体要素の周期的アレイと、少なくとも一部が反射性となっている層とによって形成されている。マイクロ画像は、反射防止構造体と少なくとも一部が反射性の層の一方または双方とによって形成されている。基板を通過し、マイクロ画像に入射する光は、マイクロ画像に入射しない光とは異なる度合いで反射されるので、マイクロ画像を見ることができる。
【0008】
製造中に生じるデバイスにわたる配向および拡大率のばらつきをマスクする努力において、この参考文献は、画像アレイ内に巧妙なバリエーションを導入することを教示している。かかるバリエーションの1つは、アレイにわたって画像の低速回転を生じさせるよう、マイクロ画像アレイ内で個々の画像を変更しなければならない(PCT/GB2005/001618号の第35ページ、23〜31行および図42を参照)。別のかかるバリエーションは、画像の形状を変えることとしてしか記述されていない(PCT/GB2005/001618号の第35ページ、31〜33行参照)。かかる画像の形状の変化を生じさせるための手段については開示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一般的な目的は、各スライスは隣接するスライスから若干離間するか、当接(すなわちエッジまたはボーダーが接触するかまたは接合する)するか、または隣接するスライスに若干重なるスライス(すなわち細いバンドまたはストリップ)から構成された、スティッチされたアイコンを1つ以上のアイコンデザインで提供し、更に、かかるスティッチされたアイコンの1つ以上の平面状の配置を使用する、マイクロ光学的セキュリティデバイスを提供することにより、従来技術によるニーズを解決することにある。本発明のセキュリティデバイスは、任意の所定のビュー角で、1つ以上の合成拡大画像を投影する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書で使用する「繰り返し数」なる用語は、スティッチされたアイコン内に存在するスライスの数を意味する。例えば4の周波数を有するスティッチされたアイコンは、スティッチされたアイコンが4つのインターリーブされたスライスを含み、4分の1の周期を有するが、一方、2の周波数を有するスティッチされたアイコンは、このスティッチされたアイコンが隣接する2つのスライスを含み、2分の1の周期を有することを意味する。
【0011】
本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスは、基板と、この基板の表面の上またはその内部に位置するスティッチされたアイコンの1つ以上の平面状配置と、マイクロレンズがスティッチされたアイコン内で具現化されたアイコンデザインの合成拡大画像を形成するのに十分な距離に、スティッチされたアイコンの平面状配置に実質的に平行に配置されたマイクロレンズの1つ以上の平面状配置とを備える。スティッチされたアイコン内に具現化されるアイコンデザインのサイズおよび周期を、(xおよび/またはy方向に)マイクロレンズのサイズおよび周期以上とすることができる。換言すれば、スティッチされたアイコンに具現化されるアイコンデザインとマイクロレンズとの間に1:1の相関性があってもよいし、またはなくてもよい。これによって単一のマイクロレンズの周期によって定められる境界内にフィットしないアイコンデザインの合成ディスプレイが可能となる。
【0012】
意図する第1実施形態では、スティッチされるアイコンは、当接しているスライスまたは若干重なっているスライスから製造される。本発明によれば、2つ以上のアイコンデザイン(隣接するスライスと当接するか、または若干重なっているスライス)から選択された少なくとも1つのスライス(例えば垂直スライス)から製造されたスティッチされたアイコンの1つ以上の平面状配置を使用するマイクロ光学的セキュリティデバイスは、2つ以上の合成拡大画像を同時に投影することが発見されている。かかる同時に投影される画像は、例えばユニークなパターンまたは読み易いフレーズを形成するように並置してもよいし、または1つの、より大きくより詳細な画像を形成するように共にリンクしてもよい。更にかかる同時に投影される画像は、セキュリティデバイスが傾けられるか、またはビューアングルが変わるときに1つ以上の異なる画像に変化できる。
【0013】
意図する第2実施形態では、スティッチされたアイコンは若干離間したスライスから製造される。本発明によれば、2つ以上のアイコンデザインの若干離間するスライス(例えば垂直スライス)から各々が製造されるスティッチされたアイコンの1つ以上の平面状配置を使用するマイクロ光学的セキュリティデバイスは、デバイスが傾斜されるか、または異なるビュー角から見られるときに2つ以上の合成された画像を連続的に投影する。
【0014】
デバイスが傾斜されるか、または異なるビュー角から見られるときに、あるフォームから別のフォームに変化することに加え(またはその代わりに)、本発明のセキュリティデバイスによって投影される合成拡大画像は、多数の別の視覚的効果、例えばオルソパララクティック(直交視差による)移動効果、セキュリティデバイスの厚さよりも深い空間平面にあるように見える効果、および/またはセキュリティデバイスの表面よりも上の空間平面にあるように見える効果を示すことができる。例えばセキュリティデバイスの表面よりも上の空間にあるように見える第2投影画像(画像B)に変わる前に、セキュリティデバイスの厚さよりも深い空間平面に第1投影画像(画像A)があるように見える。次に、画像Bが第3の投影画像(画像C)に変化するが、この変化はオルソパララクティック(直交視差による)移動の印象を与える。2つ以上の画像が同時に投影されると、これら画像は場所を高速で切り換えるようにも見える。
【0015】
以下、より詳細に説明するように、本発明のセキュリティデバイスによって投影される合成拡大画像は、連続的な動きで移動するように見えるアニメーション化された画像にすることもできる。
【0016】
第1の好ましい実施形態では、本発明のセキュリティデバイスは、長軸および短軸を有する細長い基板と、前記基板の表面上またはその内部に位置するスティッチされたアイコンの平面状アレイとを備え、平面状アレイは、その平面に対称軸を有する。各々が2つ以上のアイコンデザインの隣接するスライスまたはインターリーブされたスライスから構成された、スティッチされたアイコンは、相互に直交する複数の列と行に配置されており、平面状アレイ内にある繰り返し周期を有する。スティッチされた各アイコンを構成する、スライス内に具現化された前記アイコンデザインまたはその一部は、(サイズ、形状および/または位置に関して)各列を下方に、または各行を横方向に変化または遷移している。マイクロレンズの少なくとも一部の焦点が、前記スティッチされたアイコン内のスライスに実質的に整合するよう、平面内に対称軸を有するマイクロレンズの対応する平面状アレイがスティッチされたアイコンの平面状アレイに実質的に平行に配置されている。平面状アレイの間の距離は、マイクロレンズがスライス内で具現化される遷移するアイコンデザインの合成拡大画像を形成するのに十分な値であり、マイクロレンズは、平面状アレイ内にある繰り返し周期を有する
【0017】
この好ましい第1実施形態におけるスティッチされた平面状配置により、合成拡大画像は、水平方向または垂直方向のいずれかに、あるフォームから少なくとも1つの別のフォームにスムーズに遷移し、次にオプションとして元のフォームに戻ることが可能となっている。
【0018】
より好ましい実施形態では、少なくとも一方向への前記マイクロレンズの繰り返し周期に対する前記スティッチされたアイコンの繰り返し周期の比は、実質的に1に等しく、前記スティッチされたアイコンの平面状アレイの対称軸と前記マイクロレンズの平面状アレイの対応する対称軸とは、回転角方向に整合していない状態にあり、よってスライス内に具現化された遷移するアイコンデザインの合成拡大画像に対し、オルソパララクティック(直交視差)移動効果を与える。換言すれば、セキュリティデバイスが傾斜されるとき、拡大画像は通常の視差によって予想される方向に対して垂直であるように見える傾斜方向に移動するよう、変化または進展する。
【0019】
回転方向に不整合または小さいピッチの不整合により、ビューワーは隣接する各レンズ内の変化するアイコンデザインの異なる部分を見ることができ、これによって徐々に進展する拡大画像が別の位置にあるように感じる印象を受ける。回転方向に不整合状態にあるアレイをビューワーの眼がスムーズに横断すると、平面状アレイ内のスティッチされたアイコンに対して90°に配向された拡大画像は表面に対してオルソパララクティック(直交視差)により移動するような印象を与えながら徐々にフォームを変える。
【0020】
より好ましい別の実施形態では、少なくとも一方向への前記マイクロレンズの繰り返し周期に対する前記スティッチされたアイコンの繰り返し周期の比は、1より大であり、前記スティッチされたアイコンの平面状アレイの対称軸と前記マイクロレンズの平面状アレイの対応する対称軸とは整合しており、よって遷移するアイコンデザインの合成拡大画像に対し、浮き上がっているかのような効果を与える。換言すれば、セキュリティデバイスが傾斜されると、拡大画像はセキュリティデバイスの表面より上の空間平面に存在するかのように見えながら変化または進展する。
【0021】
更に別の好ましい実施形態では、少なくとも一方向への前記マイクロレンズの繰り返し周期に対する前記スティッチされたアイコンの繰り返し周期の比は、1未満であり、前記スティッチされたアイコンの平面状アレイの対称軸と前記マイクロレンズの平面状アレイの対応する対称軸とは整合状態にあり、よって遷移するアイコンデザインの合成拡大画像に対し、深くセットされた効果、すなわち沈み込んでいるかのような効果を与える。換言すれば、セキュリティデバイスが傾斜されると、拡大画像はセキュリティデバイスの厚さよりも深い空間平面にあるかのように見えながら変化または進展する。
【0022】
好ましい第2の実施形態では、スティッチされたアイコンは、再び2つ以上のアイコンデザインの隣接するスライスまたはインターリーブされたスライスから製造されているが、これらスライスの設置またはインターリーブ化はある角度で行われる。より詳細に説明すれば、本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスは、長軸または短軸を有する細長い基板と、この基板の表面の上または内部に位置する同様な角度の付いたスティッチされたアイコンの、角度の付いた平面状アレイとを備える。スティッチされたアイコンは、複数の列と行に配置され、平面状アレイ内に、所定の繰り返し周期を有する。スティッチされた各アイコン内の各スライス内で具現化されるアイコンデザインまたはその一部は、各列を下方に、または各行を横断するように(サイズ、形状および/または位置に関して)変化または遷移する。マイクロレンズが遷移するアイコンデザインの合成拡大画像を形成するのに十分な距離で、スティッチされたアイコンの平面状アレイに対して実質的に平行に、平面内に対称軸を有するマイクロレンズの対応する平面状アレイが配置されている。上記のように、マイクロレンズの少なくとも一部の焦点は、スティッチされたアイコン内のスライスと実質的に整合しており、マイクロレンズは平面状アレイ内に所定の繰り返し周期を有する。
【0023】
この第2の好ましい実施形態におけるスティッチされたアイコンの新規な平面状配置により、合成拡大画像はあるフォームから少なくとも1つの別のフォームにスムーズに遷移し、オプションとして水平方向および垂直方向の双方で元のフォームに戻ることができる。
【0024】
より好ましい実施形態では、スティッチされたアイコンは、複数の列と行に配置されており、行は短軸に対して平行であり、列は、0よりも大きい値から90°未満までの範囲の(長軸に対する)角度にあり、少なくとも一方向の、マイクロレンズの繰り返し周期に対するスティッチされたアイコンの繰り返し周期の比は、実質的に1に等しく、スティッチされたアイコンの平面状アレイの対称軸と、マイクロレンズの平面状アレイの対応する対称軸とは、回転方向に不整合状態にあるので、平面状アレイ内のスティッチされたアイコンに対して90°に配向された遷移するアイコンデザインの合成拡大画像に対してオルソパララクティック(直交視差による)移動効果を与える。
【0025】
より好ましい別の実施形態でも、スティッチされたアイコンは、複数の列と行に配置されており、行は短軸に対して平行であり、列は、0よりも大きい値から90°未満までの範囲の(長軸に対する)角度にある。しかしながら、少なくとも一方向の、マイクロレンズの繰り返し周期に対するスティッチされたアイコンの繰り返し周期の比は、1より大きく、スティッチされたアイコンの平面状アレイの対称軸とマイクロレンズの平面状アレイの対応する対称軸とは、整合状態にあるので、遷移するアイコンデザインの合成拡大画像に対して浮き上がっているように見える効果を与える。
【0026】
より好ましい別の実施形態での、スティッチされたアイコンは、複数の列と行に配置されており、行は短軸に対して平行であり、列は、0よりも大きい値から90°未満までの範囲の(長軸に対する)角度にあるが、少なくとも一方向の、マイクロレンズの繰り返し周期に対するスティッチされたアイコンの繰り返し周期の比は、1未満であり、スティッチされたアイコンの平面状アレイの対称軸と、マイクロレンズの平面状アレイの対応する対称軸とは、整合状態にあるので、遷移するアイコンデザインの合成拡大画像に対して深くに位置するかのような効果、すなわち沈みこんでいるかのように見える効果を与える。
【0027】
本発明は、セキュリティドキュメントまたはラベルの表面内に一部が埋め込まれ、および/またはその表面に取り付けられた、上記のような少なくとも1つのマイクロ光学的セキュリティデバイスを備え、両面を有するセキュリティドキュメントまたはラベルも提供する。
【0028】
意図する実施形態では、本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスによって発生される合成拡大画像は、このデバイス自身の上、および/またはセキュリティドキュメントまたはラベルの上のプリント画像とコーディネートされる。
【0029】
当業者であれば、次の詳細な説明および添付図面から、本発明の別の特徴および利点が明らかとなる。
【0030】
特に明記しない限り、本明細書で使用するすべての科学技術用語は、本発明が属す技術における当業者に一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に引用したすべての刊行物、特許出願、特許およびその他のレファレンスは、全体を参考例として援用する。内容に矛盾がある場合、定義を含む本明細書が基準となる。更に、材料、方法および例は、単に説明のものであり、限定する意図はない。
添付図面を参照し、本明細書に開示する発明の特定の特徴について図示する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスが傾斜されるか、またはビュー角が変化するときに、1つ以上の合成拡大画像を投影する三角形マークにより構成されるマイクロレンズ/スティッチされたアイコン構造体の画像形成グループを示す、本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスの一実施形態の拡大平面図である。
【図2】本発明のスティッチされたアイコンアレイおよびマイクロ光学的セキュリティデバイスの一実施形態の形成時に使用される方法にステップするプロセスの図である。
【図3】(A)本発明のデバイスによって投影される合成画像アレイを側面図で示す、内部に本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスの一部が埋め込まれている、本発明のセキュリティドキュメントの一実施形態の平面図である。 (B)ビューワーに向けて回転された図3Aのセキュリティドキュメントであり、異なるビュー角で本発明のデバイスにより投影された合成画像アレイを側面図で示す。
【図4】(A)本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスの異なる実施形態の平面図である。 (B)デバイスが傾斜されるか、またはビュー角が変化するときに、本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスにより投影される合成拡大画像アレイの平面図である。
【図5】(A)本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスの異なる実施形態の平面図である。 (B)デバイスが傾斜されるか、またはビュー角が変化するときに、本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスにより投影される合成拡大画像アレイの平面図である。
【図6】(A)本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスの異なる実施形態の平面図である。 (B)デバイスが傾斜されるか、またはビュー角が変化するときに、本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスにより投影される合成拡大画像アレイの平面図である。
【図7】(A)本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスの異なる実施形態の平面図である。 (B)デバイスが傾斜されるか、またはビュー角が変化するときに、本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスにより投影される合成拡大画像アレイの平面図である。
【図8】(A)本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスの異なる実施形態の平面図である。 (B)デバイスが傾斜されるか、またはビュー角が変化するときに、本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスにより投影される合成拡大画像アレイの平面図である。
【図9】(A)本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスの異なる実施形態の平面図である。 (B)デバイスが傾斜されるか、またはビュー角が変化するときに、本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスにより投影される合成拡大画像アレイの平面図である。
【図10】1つ以上の当接したスライスまたは若干重なったスライスから製造されたスティッチされたアイコンを使用する、本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスの実施形態によって同時に投影される、合成拡大画像の平面図である。
【図11】(A)本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスの異なる実施形態の平面図である。 (B)デバイスが傾斜されるか、またはビュー角が変化するときに、本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスにより投影される合成拡大画像アレイの平面図である。
【図12】(A)本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスの異なる実施形態の平面図である。 (B)デバイスが傾斜されるか、またはビュー角が変化するときに、本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスにより投影される合成拡大画像アレイの平面図である。
【図13】(A)本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスの異なる実施形態の平面図である。 (B)デバイスが傾斜されるか、またはビュー角が変化するときに、本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスにより投影される合成拡大画像アレイの平面図である。
【図14】(A)本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスの異なる実施形態の平面図である。 (B)デバイスが傾斜されるか、またはビュー角が変化するときに、本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスにより投影される合成拡大画像アレイの平面図である。
【図15】(A)本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスの異なる実施形態の平面図である。 (B)デバイスが傾斜されるか、またはビュー角が変化するときに、本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスにより投影される合成拡大画像アレイの平面図である。
【図16】あるフォームから別のフォームに変化するときに、動くように見える合成拡大画像を示す一連のフレームの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明によれば、マイクロ光学的セキュリティデバイス内で、隣接するか、またはインターリーブされたスライスから構成されたスティッチされたアイコンを使用すると、かかるデバイスによって生じる視覚的効果の数および複雑さを大幅に増大できることが発見された。更に、スティッチされたアイコン内のスライスのコンフィギュレーションまたは配置は、デバイスによって任意のビュー角で投影できる合成画像の数によって、ある役割を果たすことも分かった。特に、当接するか、または若干重なっているスライスは、デバイスが分離できるか、またはリンクできる2つ以上の合成拡大画像を同時に投影できるようにし、よってこれら画像の複雑さを大幅に高めることができることも分かった。
【0033】
本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスは、例えば認証目的のために、任意のドキュメント(例えばバンクノート、パスポート、IDカード、クレジットカード)、ラベル、識別手段、商業的製品(例えば光ディスク、CD、DVD、医薬品パッケージ)と共に種々の異なる形態で利用できる。当業者であれば後に容易に理解できるように、本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスによって生じる視覚的効果は、これら製品の耐偽造防止性を大幅に高めるように働く。
【0034】
上記のように、本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスは、基板と、前記基板の表面上または表面内に設けられたスティッチされたアイコンの1つ以上の平面状の配置と、マイクロレンズの1つ以上の平面状配置とを備え、マイクロレンズは、前記スティッチされたアイコン内で具現化されるアイコンデザインの合成拡大画像を形成するのに十分な距離にて前記スティッチされたアイコンの平面状配置に実質的に平行に配置されている。
【0035】
本発明のセキュリティデバイスの長さおよび/または幅にわたって繰り返してもよいし、または繰り返さなくてもよい、関連するマイクロレンズと、スティッチされたアイコン構造体(マイクロレンズ/アイコン構造体)のグループは、集団で合成画像を形成し、拡大し、投影する。例えば図1に最良に示されるように、本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイス12の一実施形態における三角形部分10内に囲まれたマイクロレンズ/アイコン構造体は、デバイスが傾斜されるか、またはビュー角が変化するときに、合成拡大された1つ以上の画像を投影する。図に示されたマイクロレンズの焦点は、アルファベット“A”と表示された小さい円で示されている。各“画像形成グループ”内のマイクロレンズ/アイコン構造体の数は、次の式によって決定される。
[数1]
各画像形成グループ内のマイクロレンズ/アイコン構造体の数=
[合成拡大画像のサイズ(幅×高さ)/スティッチされたアイコンのサイズ(幅×高さ)]
【0036】
本発明のセキュリティデバイスの画像形成グループは、同じかまたは異なる視覚的効果を有する画像を投影できる。セキュリティデバイスの一部を見るとき、同時に投影される画像またはいわゆる“スーパーアイコン”を見ることができるが、他方、デバイスの別の部分を見ると、ある形態から別の形態に変化する固定された画像および/または連続的に投影される画像が見える。ある位置では、投影される画像はデバイスの表面より上または下の空間的平面内にあるかのように見えるか、またはオルソパララクティック(直交視差)効果により動くように見える。
【0037】
本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイスがセキュリティスレッド状となっているとき、例えばバンクノートの表面上に明瞭に構成されたウィンドー内でしか見えないように、一部をバンクノート内に埋め込むこともできる。一般に長さが約6〜21mmであって、幅が約3.5〜4.5mmの大きさのこれらウィンドーにより、約0.5〜5の範囲の数の画像形成グループが、かかるウィンドー内に物理的にできるようになっている。各ウィンドー内の画像形成グループが同じまたは異なる光学的効果を有する画像を投影するように、本発明のデバイスを設計することもできる。バンクノートの耐偽造性を更に増すために、デバイスおよび/またはバンクノート上で、これら投影される画像と印刷画像とをコーディネートしてもよい。
【0038】
本発明を実施するのに使用される基板は、光学的スペーサとしても機能できる光透過性ポリマーフィルムである。ポリエステル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリビニールカーボネート、塩化ポリビニリデンおよびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない群から選択された、基本的には無色の1つ以上のポリマーを使って、光透過性ポリマーフィルムを形成できる。
【0039】
ポリマーフィルムの厚さは、約12〜26ミクロンの範囲であることが好ましい(約13〜17ミクロンの範囲であることがより好ましい)。
【0040】
i.円筒形レンズまたは非円筒形レンズの1つ以上の平面状配置と、
ii.合焦レフレクタの1つ以上の平面状配置と、
iii.複数の開口部を含む1つ以上の不透明層と、
iv.1つ以上の反射層と
の群から、マイクロレンズの1つ以上の平面状配置が選択される。
【0041】
好ましい実施形態では、マイクロレンズは球面または非球面を有する非円筒形レンズとなっている。非球面として円錐形、楕円形、放物形およびその他のプロフィルを挙げることができる。これらレンズは、円形、楕円形または多角形の底部幾何学的形状を有することができ、規則的なまたはランダムな一次元または二次元のアレイに配置できる。更に好ましい実施形態では、マイクロレンズは多角形の(例えば六角形の)底部幾何学的形状を有する非球面レンズであり、このレンズは基板または光透過性ポリマーフィルム上に規則的な二次元アレイに配置される。
【0042】
本マイクロレンズ(円筒形レンズの場合)の幅および底部直径(非円筒形レンズの場合)は50ミクロン未満(より好ましくは45ミクロン未満、最も好ましくは約10〜約40ミクロン)が好ましい。焦点距離は50ミクロン未満(より好ましくは約45ミクロン未満、最も好ましくは約10〜約30ミクロン)が好ましい。f値は2またはそれ未満(より好ましくは1またはそれ未満)が好ましい。
【0043】
本発明を実施するのに使用されるスティッチされたアイコンは、1つ以上のアイコンデザインのスライス(例えば、細いバンドまたはストリップ)から製造され、この場合、各スライスは隣接するスライスから若干離間するか、当接(例えばエッジまたはボーダーにて接触または接合)するか、または若干重なる。これらスライスは、投影される最終画像を調節または微調節するよう、量、スペースおよび/または重なり度に関して操作することができる。
【0044】
これらスティッチされたアイコンを製造するのに使用されるアイコンデザインは、ポジまたはネガの記号、形状、文字、数字、テキストおよびそれらの組み合わせを含むが、これらだけに限定されない任意のタイプの固定された、または流動的グラフィックデザインとすることができる。固定アイコンデザインの例として、星形、ボックス、ベル、数字などと組み合わせたベルを挙げることができ、一方、流動的アイコンデザインの例としては、瞬きする目、および収縮したり回転したりする通貨記号を挙げることができる。
【0045】
スティッチされたアイコンを形成するために、スティッチされたアイコンを構成するアイコンデザインをバンドまたはストリップに分解する。次に、スティッチされたアイコンを形成するよう、各アイコンデザインのバンドまたはストリップを、離間したスライス、当接したスライス、または若干重なっているスライスと交互に、またはインターリーブされた状態に配置できる。スティッチされたアイコン内の各スライスは、レンズの焦点にて、1つ以上のレンズの後方に整合される。好ましい実施形態では、これらスライスを製造するのにコンピュータプログラムを使用する。
【0046】
例として、図2に最良に示されるように、文字Aの規則的なアレイの形態をした第1アイコンデザインを垂直スライスとなるように、対応するレンズアレイと同じ周期でカットする。この場合、各カットされたスライスは、そのアレイの繰り返し周期の半分よりも若干大きい幅を有する。この結果、複数のスライスの各々は、スライスの下へ文字Aの部分が繰り返されるよう若干異なる位置に、文字Aの若干異なる部分をディスプレイする。文字Qの規則的なアレイの形態をした第2アイコンデザイン上にて、“タイムスライシング”プロセスと称すことができる同じプロセスが繰り返される。第1アイコンデザインと第2アイコンデザインの交互に配置されたスライスが、繰り返された状態でマージされ、スティッチされたアイコンAQの規則的なアレイを形成し、各スティッチされたアイコンAQの各々は、第1アイコンデザインの1つのスライスと、第2アイコンデザインの1つのスライスとから構成される。この結果生じるスティッチされたアイコンAQのアレイは、第1アイコンデザインの半分と第2アイコンデザインの半分を示し、この場合、スティッチされたアイコン内の各スライス内に示されるアイコンデザイン部分は、各行を横断するが、各列を下方に横断しないよう、変化または遷移する。次に、スティッチされたアイコンアレイAQと、レンズアレイとが組み合わされており、これら組み合わせは、図2では異なる周期(かつ整合した対称軸)を有するように示されており、合成拡大画像(文字Aのアレイ⇔文字Qのアレイ)に対し、浮き上がるような効果、または深く位置する効果、すなわち沈み込むような効果を与える。
【0047】
当業者には容易に明らかなように、アイコンデザインおよび/またはスライスの数が増加するにつれ、スティッチされたアイコン内のスライスの間の境界は、次第にスムーズに変化するように見え、スティッチされたアイコン内の個々のスライスが次第に認識できにくくなる。
【0048】
スティッチされた各アイコンは、全高が約15〜30ミクロンであり、全幅が約15〜30ミクロンであることが好ましい。スティッチされたアイコンを構成するスライスの各々は、全幅が約0.1〜30ミクロン未満であることが好ましい。
【0049】
例えば4つのスライスを含む1つのスティッチされたアイコンに対し、かかる各スライスは、全幅が約4〜8ミクロンとなる。
【0050】
基板にこれらスライスを直接プリントしてもよい。好ましい実施形態では、これらスライスは、基板の表面に対して凸状または凹状となっている。より詳細に説明すれば、これらスライスは、基板内に空隙または凹部として形成されるか、または基板内に盛り上がるように形成される。いずれのケースにおいても、これらスライスは成形または熱圧力プロセスによって形成できる。
【0051】
本発明が可能とする一実施形態では、これらスライスは、基板上または基板内に形成された、任意にコーティングされるかおよび/または充填された空隙または凹部となる。接近するが、実際には接触することはないこれら空隙または凹部の各々は、全深さが約0.5〜8ミクロンであり、全幅が約0.5〜8ミクロンである。
【0052】
スライスが充填された空隙またはリセスを構成する実施形態では、これらリセスを充填するのに使用される材料(例えば実質的に透明、すなわちクリアな放射線硬化性樹脂材料)に光変換またはルミネッセンス材料を添加してもよい。充填材料の総重量に基づき、これら材料を約2〜30重量%(好ましくは約5〜10重量%)の範囲の量だけ添加できる。充填材料に対して粒状で添加するとき、これら光変換、すなわちルミネッセンス材料の平均粒径は、約2ミクロン以下(好ましくは約1ミクロン以下)である。
【0053】
更に、実質的に透明、無色またはわずかに着色された樹脂または樹脂材料によってリセスとして形成されたスライスを、1種以上の磁性材料、例えば磁気インクで満たすことができる。
【0054】
本発明のセキュリティデバイスで使用されるスティッチされたアイコンの平面状配置は、複数の列と行を含むことが好ましく、複数の互いに直交する列と行とを含むことがより好ましい。以下、より詳細に説明するように、スティッチされたアイコンは、平面状配置内で同一でもよいし、または変化していてもよい。例えばスティッチされたアイコンは、各行を横方向に変化してもよいし、および/または各列を下方向に変化してもよいし、または行と列の間で任意の角度で変化してもよい。より詳細に説明すれば、スティッチされたアイコンが、例えば各行を横断するように進むにつれ、および/または各列を下方に進むときに、各スティッチされたアイコン内の各スライス内で具現化されているアイコンデザインまたはその一部は、(i)実質的に変わらない状態で存在していてもよいし、(ii)位置、形状、サイズおよび/または色に関して変化してもよいし、(iii)少なくとも1つの他の形態に変化または遷移してもよいし、および/または(iv)アイコンデザインまたはその一部の異なるパースペクティブ(すなわち異なる回転角方向の位置から見たビュー)を示し、よって投影される画像に三次元効果を与えてもよい。
【0055】
次に図3Aおよび3Bを参照すると、これら図では、本発明のセキュリティドキュメントの一実施形態の全体が番号14で示されている。セキュリティドキュメント14は、明瞭に構成されたウィンドー16内でデバイス12を見ることができるように、内部に一部が埋め込まれたセキュリティスレッド状の、マイクロ光学的セキュリティデバイス12の一実施形態を有する。図3Aに最良に示されるように、ドキュメント14のウィンドー16を通してデバイス12を見ると、ビューアーはデバイス12の表面よりも上方にある空間平面にあるように見える六角形のアレイを見ることになる。図3Bに最良に示されるように、ビューワーに向けてセキュリティドキュメント14を傾けると、六角形のアレイはデバイス12の表面よりも上にある空間平面に存在するかのように見える円のアレイにすぐに切り替わる。
【0056】
図4Aに別個に示されているマイクロ光学的セキュリティデバイス12は、長軸18および短軸20を有する基板(図示せず)と、スティッチされたアイコン22の規則的なアレイを有し各アイコン22は2の繰り返し回数を有する、(周期的位相変化に起因して見ることができる部分的スライスとは別に)2つの異なるアイコンデザインの1つのスライスから構成され、一方のアイコンデザインは五角形のアレイのフォームとなっており、他方のアイコンデザインは円のアレイのフォームとなっている及び六角形の底部幾何学的形状を有する非球面レンズの形態をしたマイクロレンズ24の規則的なアレイとを備える。マイクロレンズアレイ24は、マイクロレンズが(図4Bに示されるように)合成拡大画像アレイ26、28を形成するのに十分な距離にて、スティッチされたアイコンアレイ22に対して実質的に平行に配置されている。各スティッチされたアイコンは、各アイコンが2つのアイコンデザインの実質的に等しい数の同様なサイズのスライスから構成されているという点で対称的となっている。これらマイクロレンズアレイおよびスティッチされたアイコンアレイの各々は、それぞれの平面内で対称軸を有する。更に、これらマイクロレンズおよびスティッチされたアイコンは、それらの特定のアレイ内で、ある繰り返し周期を有する。
【0057】
スティッチされたアイコンアレイ22の対称軸とマイクロレンズアレイ24の対応する対応軸とは、整合しているが、少なくとも一方向におけるマイクロレンズの繰り返し周期に対するスティッチされたアイコンの繰り返し周期の比は、1よりも大となっている。各スティッチされたアイコン内のスライス内で具現化されるアイコンデザインの部分は、アイコンアレイ22の各行の下方に向かって変化または遷移する。このように図4Bに最良に示されるように、本発明のセキュリティデバイス12は、六角形のアレイを連続的に投影し、次にデバイスが水平方向に傾けられるか、またはこの平面に沿ってビュー角が変化するときに、セキュリティデバイス12の表面よりも上方の空間平面にあるように見える円のアレイを投影する。スティッチされた各アイコンの対称性に起因して、合成拡大画像26、28のアレイは、デバイスが傾けられるか、またはビュー角が変化するときに、同じ時間の間見える。
【0058】
図4Bに示された投影画像に関して、1つの特定の視覚的効果について記述したが、他の視覚的効果も可能である。例えば少なくとも一方向への、マイクロレンズの繰り返し周期に対するスティッチされたアイコンの繰り返し周期の比を1以下に変えると、投影された画像アレイが、セキュリティデバイス12の表面よりも下方にある空間平面に存在するように見える。別の例を挙げると、スティッチされたアイコンアレイ22の対称軸とマイクロレンズアレイ24の対応する対称軸とが不整合状態となると、投影画像アレイはオルソパララクティック(直交視差)により動くように見える。スティーンブリック外に付与された米国特許第7,333,268号には、これらおよびそれ以外の可能な視覚的効果がより詳細に記載されており、本願ではこの米国特許全体を参考例として援用する。
【0059】
図5Aでは、従来の例のように、スティッチされたアイコンは2の繰り返し回数を有する。各スティッチされたアイコン内のスライス内で具現化されているアイコンデザインの部分は、アイコンアレイ22の各行を横断するように変化または遷移する。このように、図5Bに最良に示されるように、本発明のセキュリティデバイス12は、六角形26のアレイを次々に投影し、次にデバイスが垂直方向に傾斜されるか、またはビュー角がこの平面に沿って変化するときに、セキュリティデバイス12の表面よりも上方にある空間平面に存在するように見える円28のアレイを連続的に投影する。
【0060】
図6Aでは、各スティッチされたアイコンは2の繰り返し回数を有するが、各アイコンデザインのスライスが、スティッチされたアイコンの総面積のうちの異なるパーセントを占めるという点で非対称となっている。この図では、五角形のアレイのスライスは、スティッチされたアイコンの総面積の25%を構成するが、他方、円のアレイのスライスは75%を構成する。スティッチされた各アイコンの非対称性に起因して、六角形のアレイの形態をした合成画像26は、25%の時間しか見えないが、円のアレイの形態をした合成画像28は、デバイスが傾斜されるか、またはビュー角が変化するときに、75%の時間見える。
【0061】
図7Aでは、各スティッチされたアイコンの繰り返し回数は4に等しい。換言すれば、スティッチされたアイコンは各アイコンデザインの2つのスライスによって示される。このように、次に図7Bを参照すると、本発明のセキュリティデバイス12は、六角形のアレイ26を連続的に投影し、次に図4〜6に示されるデバイスの割合の2倍で円のアレイ28を連続的に投影する。
【0062】
図8Aでは、スティッチされたアイコンが配列されている行は短軸20に対して平行であるが、他方、スティッチされたアイコンと同じ列は長軸18に対して30度の角度にある。スティッチされたアイコン内のスライス内で具現化されたアイコンデザインの部分は、各行を横断するように変化または遷移する。従来の例と同じように、スティッチされたアイコンの繰り返し回数は2に等しく、少なくとも一方向へのマイクロレンズの繰り返し周期に対するスティッチされたアイコンの繰り返し周期の比は、1よりも大であり、スティッチされたアイコン22の平面状アレイの対称軸とマイクロレンズ24の平面状アレイの対応する対称軸とは整合している。このように、次に図8Bを参照すると、本発明のセキュリティデバイス12は、五角形26のアレイを連続的に投影し、次に、デバイスが水平方向または垂直方向に傾斜されるか、ビュー角がこれら平面のいずれかに沿って変化するときにセキュリティデバイス12の表面より上にある空間平面に存在するかのように見える円28のアレイを連続的に投影する。
【0063】
図9Aでは、列およびスティッチされたアイコンは、長軸18に対して60度の角度にある。
【0064】
図10〜15は、当接しているか、または若干重なっているスライスを使ってスティッチされたアイコンを形成するときに本発明のセキュリティデバイスによって投影されるスーパーアイコンを示している。図10A〜10Bに示されるように、本発明のセキュリティデバイスによって同時に投影される、合成拡大画像は、例えばユニークなパターンまたは読み易いフレーズを形成するように、並置してもよいし、単一の、より大きいより詳細な画像を形成するように、共にリンクしてもよい。
【0065】
図11Aでは、スティッチされたアイコンの繰り返し回数は2に等しい。換言すれば、各スティッチされたアイコンは2つの異なるアイコンデザイン(五角形アレイと円形アレイ)からの1つのスライスから構成される。スティッチされた各アイコン内の各スライス内で具現化されるアイコンデザインの部分は、各列の下方向に変化または遷移する。従来の例と同じように、少なくとも一方向の、マイクロレンズの繰り返し周期に対するスティッチされたアイコンの繰り返し周期の比は、1よりも大であり、スティッチされたアイコンの平面状アレイの対称軸とマイクロレンズの平面状のアレイの対応する対称軸とは、整合している。このように、次に図11Bを参照すると、本発明のセキュリティデバイス30は、デバイスが水平方向に傾けられるか、またはこの平面に沿ってビュー角が変化するときに、セキュリティデバイス30の表面より上方の空間平面に存在するかのように見えるアレイ32内の交互に配置された行内に、五角形と円形の双方を同時に投影する。更に、デバイスが傾けられるか、またはビュー角が変化するときに、これら合成画像の行は、場所を高速で切り替えたり、交換したりするように見える。
【0066】
図12Aでは、アイコンデザインはベンツマークの形態であり、番号30が付いている。スティッチされたアイコンの繰り返し回数は再び2に等しく、スティッチされた各アイコン内のスライス内に具現化されたアイコンデザイン部分は、各列を下方向に変化または遷移する。図12Bには、投影された画像アレイ32が示されている。
【0067】
図13Aでは、スティッチされたアイコンの平面状アレイの対称軸とマイクロレンズの平面状アレイの対応する対称軸とは、回転角方向に整合していない状態にある。このように、次に図13Bを参照すると、本発明のセキュリティデバイス30は、デバイスが水平方向に傾斜されるか、またはこの平面に沿ってビュー角が変化するときに、オルソパララクティック(直交視差)により動くように見えるアレイ32内に交互に位置する行内に、ベンツのマークと数字の双方を同時に投影する。更に、これら画像の行は、デバイスが傾斜されるか、またはビュー角が変化するときに、場所を急速に切り替えるか、または交換するかのように見える。
【0068】
図14Aでは、スティッチされたアイコンと、これらアイコンが配置されているアレイとは、短軸34に対して60°の角度にある。スティッチされたアイコン内のスライス内で具現化されたアイコンデザインの部分は、各列の下方に変化または遷移する。前の例と同じように、スティッチされたアイコンの繰り返し回数は2に等しく、少なくとも一方向の、マイクロレンズの繰り返し周期に対するスティッチされたアイコンの繰り返し周期の比は、1よりも大であり、スティッチされたアイコンの平面状アレイの対称軸とマイクロレンズの平面状アレイの対応する対称軸とは、回転角方向に整合しない状態にある。このように、図14を参照すると、本発明のセキュリティデバイス30は、デバイスが水平方向または垂直方向のいずれかに傾けられるか、またはこれら平面のいずれか一方に沿ってビュー角が変化するときに、オルソパララクティック(直交視差)により動くように見える五角形および円の交互に位置する列のアレイ32を同時に投影する。再びこれら画像の列も、デバイスが傾斜されるか、またはビュー角が変化するときに、場所を急速に切り替えるか、または交換するかのように見える。
【0069】
図15Aでは、スティッチされた各アイコン36は、星形アレイ、六角形のアレイ、馬蹄形のアレイ、円形アレイのフォームをした4つのアイコンデザインのスライスから構成されている。スティッチされたアイコンの繰り返し回数は4に等しい。スティッチされた各アイコン内のスライス内で具現化されているアイコンデザイン部分は、各列を下方向に、各行を横方向に変化または遷移している。従来の例と同じように、少なくとも一方向へのマイクロレンズの繰り返し周期に対するスティッチされたアイコンの繰り返し周期の比は、1よりも大であり、スティッチされたアイコンの平面状アレイの対称軸とマイクロレンズの平面状アレイの対応する対称軸とは整合している。このように、図15Bを参照すると、デバイスが水平方向に傾斜されるとき(またはこの平面に沿ってビュー角が変化するとき)、本発明のセキュリティデバイス30は、星形のアレイと五角形のアレイを同時に投影し、次に馬蹄形のアレイと円形のアレイとを投影する。デバイスが垂直方向に傾斜されるとき(またはこの平面に沿ってビュー角が変化するとき)に、デバイスは星形アレイと馬蹄形アレイとを同時に投影し、次に五角形のアレイと円形のアレイを同時に投影する。
【0070】
図16では、合成拡大画像があるフォームから別のフォームに変化するときに動くように見える一連のフレームが示されている。かかるアニメーションまたは見かけの動きは、例えば流動的デザインまたは変化するデザインを使い、スティッチされたアイコンを形成するように使用されるこれらデザインのスライスの数を多くすることにより(例えばスライスの数を25よりも多くすることにより)得ることができる。
【0071】
本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイス12、30は、放射線硬化成形プロセスを使って製造することが好ましい。かかるプロセスは、スティーンブリック外に付与された米国特許第7,333,268号に記載されている。例えば充填されたリセスの形態をしたスライスから構成された、スティッチされたアイコンのアレイを有し、その反対の表面にマイクロレンズのアレイを有する基板を備えるセキュリティデバイス12、30の実施形態に対し、放射線硬化成形プロセスは、
(a)前記基板の両側の上下表面に実質的に透明な、またはクリアな、放射線硬化性樹脂材料を塗布するステップと、
(b)前記基板の上方表面にマイクロレンズの平面状アレイを形成し、前記基板の下方表面にリセスの付いたスライス状の、スティッチされたアイコンの平面状アレイを形成するステップと、
(c)放射線源を使用して、前記実質的に透明な、またはクリアな放射線硬化性樹脂を硬化するステップと、
(d)前記リセスの付いたスライスを、顔料が加えられた樹脂またはインクで満たすステップとを備える。
【0072】
本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイス12、30の全厚さは、50ミクロン未満であることが好ましい(より好ましくは45ミクロン未満、最も好ましくは約10〜40ミクロン)。
【0073】
本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイス12、30は、1つ以上の付加的セキュリティ特徴部またはデバイス、コーティングまたは層を含むことができるが、かかる付加的セキュリティ特徴部またはデバイス、コーティングまたは層が、厚さを許容できない程度まで増加させたり、セキュリティデバイス12、30によって投影される合成画像の光学的効果または視覚的認識を阻止するような結果を生じさせないことを条件とする。意図する付加的セキュリティ特徴部またはデバイス、コーティングまたは層は、セキュリティドキュメントまたは民生製品内またはその上への、デバイス12、30の混入を容易にする、デバイス12、30の裏面に設けられる、光変換、磁性、金属または金属性、および非金属性の導電性セキュリティ特徴部またはデバイス、シーリングまたは閉塞層、外側保護層、1つ以上の光透過性接着層を含むが、これらだけに限定されるものではない。
【0074】
これまで詳細に説明したように、本発明のセキュリティドキュメント14は、セキュリティペーパーであることが好ましく、好ましくはセキュリティスレッドの形態をしたマイクロ光学的セキュリティデバイス12、30は、このペーパーの表面内に一部が埋め込まれるか、またはその表面に取り付けられる。部分的に埋め込まれたスレッドでは、その一部がペーパー内のウィンドーまたは開口部においてスレッドの長さに沿って隔置されたインターバルで、ペーパーの表面から露出する。
【0075】
セキュリティスレッドの形態をしたマイクロ光学的セキュリティデバイス12、30は、製紙業界で広く使用されている技術により、製造中に少なくとも一部をセキュリティペーパー内に混入できる。例えば本発明のセキュリティスレッドを、シリンダモールド製紙装置、シリンダバット装置または公知のタイプの同様な装置へ送り込むと、この結果、仕上がったペーパー本体内にスレッド全体または一部を埋め込むことができる。
【0076】
本発明のマイクロ光学的セキュリティデバイス12、30は、製造中または製造後のいずれかで、セキュリティドキュメントまたはラベルの表面に取り付けることができる。デバイス12、30の取り付けは、マイクロレンズ層の表面と反対のデバイス12、30の表面(すなわちデバイス12、30の裏面)に感圧性接着剤を塗布し、ドキュメントまたはラベルの表面にデバイス12、30をプレスする技術およびデバイス12、30の裏面に熱活性接着剤を塗布し、熱転写技術を使ってドキュメントまたはラベルの表面にデバイス12、30を貼り付ける技術を含む、任意の数の公知の技術によって達成できる。
【0077】
好ましい実施形態では、本発明のセキュリティドキュメントまたはラベルは多孔質であり、
(a)多孔性ドキュメントまたはラベルの両面に耐汚染性組成物および/または耐湿性組成物を塗布し、
(b)サイズプレス(例えばパドルまたはメータリング)もしくはその他の同様なデバイスを使用して、ドキュメントまたはラベルの孔内に耐汚染性組成物および/または耐湿性組成物を挿入し、ドキュメントまたはラベルの両面から過剰組成物を除去し、よってマイクロ光学的セキュリティデバイス12、30の露出した表面を、耐汚染性組成物および/または耐湿性組成物が実質的に残っていない状態にする方法により、本発明のセキュリティドキュメントまたはラベルを耐汚染性または耐湿性にする。
【0078】
本発明に使用するようになっている耐汚染性組成物および/または耐湿性組成物は、従来のプレプリントコーティングおよびポストプリントニスに見られる成分を含む水性組成物(例えば分散液)として調製することが好ましい。これら成分には、熱可塑性樹脂、例えばエステル結合を有する樹脂(例えばポリエステル樹脂、スチレンアクリレート樹脂、ポリエーテル樹脂)、オプションとして、機能化されたポリウレタン樹脂(例えばカルボキシルポリウレタン樹脂)、およびそれらのコーポリマー(例えばウレタン−アクリルコーポリマー)およびそれらの混合物が含まれる。
【0079】
以上で、本明細書において、本発明のスティッチされたアイコンおよびマイクロ光学的セキュリティデバイスの種々の実施形態について説明したが、これら実施形態は単に例として説明したものであり、発明を限定するために説明したものではないと理解すべきである。したがって、本発明の要旨および範囲は、これまで説明した実施形態のいずれによっても限定すべきではない。
【0080】
以上で、特許請求項に記載した発明について説明した。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のアイコンデザインのスライスを備え、各スライスは、隣接スライスから若干離間するか、隣接するスライスに当接するか、または隣接するスライスに若干重なっている、マイクロサイズのスティッチされたアイコン。
【請求項2】
マイクロサイズのスティッチされたアイコンである、請求項1に記載のスティッチされたアイコン。
【請求項3】
全高が約15〜30ミクロンの寸法であり、全幅が約15〜30ミクロンの寸法である、請求項2に記載のスティッチされたアイコン。;
【請求項4】
各スライスは、隣接するスライスから若干離間している、請求項1に記載のスティッチされたアイコン。
【請求項5】
各スライスは、隣接スライスに当接するか、または隣接するスライスに若干重なっている、請求項1に記載のスティッチされたアイコン。
【請求項6】
マイクロサイズのスティッチされたアイコンの1つ以上の平面状配置を備え、各スティッチされたアイコンは、1つ以上のアイコンデザインのスライスを備え、各スライスは、隣接するスライスから若干離間するか、隣接するスライスに当接するか、または隣接するスライスに若干重なっているセキュリティデバイス。
【請求項7】
マイクロレンズの1つ以上の平面状配置を更に備え、マイクロレンズの前記平面状配置とスティッチされたアイコンの前記平面状配置とが協働し、1つ以上の合成拡大画像を形成する、請求項6に記載のセキュリティデバイス。
【請求項8】
スティッチされた各アイコンは、2つ以上のアイコンデザインのスライスを備え、スティッチされた各アイコン内の各スライスは、隣接するスライスに当接するかまたは若干重なり、よって前記セキュリティデバイスは、2つ以上の合成拡大画像を同時に投影する、請求項7に記載のセキュリティデバイス。
【請求項9】
スティッチされた各アイコンは、2つ以上のアイコンデザインのスライスを備え、スティッチされた各アイコン内の各スライスは隣接するスライスから若干離間し、よって前記セキュリティデバイスは、このデバイスが傾斜されるとき、または異なるビュー角から見られるとき、2つ以上の合成拡大画像を連続して投影する、請求項7に記載のセキュリティデバイス。
【請求項10】
前記2つ以上の投影される画像の各々は、同一または異なるものにすることができる光学的効果を有し、この光学的効果は、
(i)前記セキュリティデバイスが傾斜されるとき、または異なるビュー角から見られるときに、動きを見せる光学的効果、
(ii)前記セキュリティデバイスの厚さよりも深い空間平面にあるかのように見える効果、
(iii)前記セキュリティデバイスの表面よりも上方の空間平面にあるかのように見える効果、
(iv)前記デバイスがアジマス方向に回転されるときに、前記セキュリティデバイスの厚さよりも深い空間平面と、前記セキュリティデバイスの表面よりも上方の空間平面との間で振れるような効果、
(v)前記セキュリティデバイスがアジマス方向に回転されるとき、または異なるビュー角から見られるときに、あるフォーム、形状、サイズおよび/またはカラーから異なるフォーム、形状、サイズおよび/またはカラーに変化する効果および/または
(vi)三次元画像として見える効果
の群から選択されたものである、請求項8または9に記載のセキュリティデバイス。
【請求項11】
基板と、前記基板の表面の上またはその内部に設けられたスティッチされたアイコンの1つ以上の平面状配置を備え、スティッチされた各アイコンは、2つ以上のアイコンデザインのスライスを備え、更に前記マイクロレンズは、1つ以上の合成拡大画像を形成するのに十分な距離にて前記スティッチされたアイコンの平面状配置に実質的に平行に配置されたマイクロレンズの1つ以上の平面状配置を備える、請求項7に記載のセキュリティデバイス。
【請求項12】
前記セキュリティデバイスは、
(a)長軸および短軸を有する細長い基板と、
(b)前記基板の表面上またはその内部に位置するスティッチされたアイコンの平面状アレイとを備え、前記スティッチされたアイコンは、相互に直交する複数の列と行に配置されており、各スティッチされたアイコンを構成する、スライス内に具現化された前記アイコンデザインまたはその一部は、各列を下方に、または各行を横方向に変化または遷移し、
(c)マイクロレンズの少なくとも一部の焦点が、前記スティッチされたアイコン内のスライスに実質的に整合するよう、前記ステッチされたアイコンの平面状アレイに実質的に平行に配置されたマイクロレンズの対応する平面状アレイを更に備え、
前記平面状アレイの間の距離は、前記マイクロレンズが遷移するアイコンデザインの合成拡大画像を形成するのに十分な値であり、
前記セキュリティデバイスがその水平軸に沿って傾斜されるとき、または前記セキュリティデバイスがその垂直軸に沿って傾斜されるときに、前記合成拡大画像は、あるフォームから少なくとも1つの別のフォームにスムーズに遷移し、次にオプションとして元のフォームに戻る、請求項11に記載のセキュリティデバイス。
【請求項13】
前記セキュリティデバイスは、
(a)長軸および短軸を有する細長い基板と、
(b)前記基板の表面上または表面内に位置する同様な角度の付いたスティッチされたアイコンの角度の付いた平面状アレイとを備え、前記スティッチされたアレイは、相互に直交する複数の列と行に配置されており、各スティッチされたアイコンを構成する、スライス内に具現化された前記アイコンデザインまたはその一部は、各列を下方に、または各行を横方向に変化または遷移し、
(c)マイクロレンズの少なくとも一部の焦点が、前記スティッチされたアイコン内のスライスに実質的に整合するよう、前記ステッチされたアイコンの平面状アレイに実質的に平行に配置されたマイクロレンズの対応する平面状アレイを更に備え、
前記平面状アレイの間の距離は、前記マイクロレンズが遷移するアイコンデザインの合成拡大画像を形成するのに十分な値であり、
前記セキュリティデバイスがその水平軸に沿って傾斜されるとき、または前記セキュリティデバイスがその垂直軸に沿って傾斜されるときに、前記合成拡大画像は、あるフォームから少なくとも1つの別のフォームにスムーズに遷移し、次にオプションとして元のフォームに戻る、請求項11に記載のセキュリティデバイス。
【請求項14】
スティッチされたアイコンの前記平面状アレイとマイクロレンズの前記平面状アレイの各々は、それぞれの平面状アレイ内のある繰り返し周期およびそれぞれのアレイの平面内の対称軸を有する、請求項12または13に記載のセキュリティデバイス。
【請求項15】
少なくとも一方向への前記マイクロレンズの繰り返し周期に対する前記スティッチされたアイコンの繰り返し周期の比は、実質的に1に等しく、前記スティッチされたアイコンの平面状アレイの対称軸と前記マイクロレンズの平面状アレイの対応する対称軸とは、回転角方向に整合していない状態にあり、よって遷移するアイコンデザインの合成拡大画像に対し、オルソパララクティック(直交視差)移動効果を与える、請求項14に記載のセキュリティデバイス。
【請求項16】
少なくとも一方向への前記マイクロレンズの繰り返し周期に対する前記スティッチされたアイコンの繰り返し周期の比は、実質的に1より大であり、前記スティッチされたアイコンの平面状アレイの対称軸と前記マイクロレンズの平面状アレイの対応する対称軸とは整合しており、よって遷移するアイコンデザインの合成拡大画像に対し、浮き上がっているかのような効果を与える、請求項14に記載のセキュリティデバイス。
【請求項17】
少なくとも一方向への前記マイクロレンズの繰り返し周期に対する前記スティッチされたアイコンの繰り返し周期の比は、実質的に1未満であり、前記スティッチされたアイコンの平面状アレイの対称軸と前記マイクロレンズの平面状アレイの対応する対称軸とは整合状態にあり、よって遷移するアイコンデザインの合成拡大画像に対し、深くセットされた効果、すなわち沈み込んでいるかのような効果を与える、請求項14に記載のセキュリティデバイス。
【請求項18】
セキュリティドキュメント上で使用するか、またはセキュリティドキュメント内で少なくとも一部を使用するようになっているセキュリティスレッドを構成する、請求項6に記載のセキュリティデバイス。
【請求項19】
セキュリティドキュメント上で使用するようになっているセキュリティパッチを構成する、請求項6に記載のセキュリティデバイス。
【請求項20】
少なくとも一部が内部に埋め込まれているか、および/または上部に取り付けられている、少なくとも1つのセキュリティデバイスを有するセキュリティドキュメントまたはラベルであって、
少なくとも1つの前記セキュリティデバイスは、マイクロサイズのスティッチされたアイコンの1つ以上の平面状配置を備え、前記スティッチされた各アイコンは、1つ以上のアイコンデザインのスライスを備え、各スライスは、隣接するスライスから若干離間するか、隣接するスライスに当接または若干重なっている、セキュリティドキュメントまたはラベル。
【請求項21】
前記少なくとも1つのセキュリティデバイスは、マイクロレンズの1つ以上の平面状配置を更に備える、マイクロ光学的セキュリティデバイスであり、マイクロレンズの前記平面状配置とスティッチされたアイコンの前記平面状配置とは協働し、1つ以上の合成拡大画像を形成する、請求項20に記載のセキュリティドキュメント。
【請求項22】
前記マイクロ光学的セキュリティデバイスは、前記ドキュメント内に一部が埋め込まれており、前記ドキュメントの1つ以上の表面上のウィンドー内で見ることができるセキュリティスレッドとなっている、請求項21に記載のセキュリティドキュメント。
【請求項23】
各ウィンドー内の前記セキュリティスレッドは、同一の光学的効果を有する画像を投影する、請求項22に記載のセキュリティドキュメント。
【請求項24】
各ウィンドー内の前記セキュリティスレッドは、異なる光学的効果を有する画像を投影する、請求項22に記載のセキュリティドキュメント。
【請求項25】
前記セキュリティスレッドによって投影される画像は、前記ドキュメントの1つ以上の表面上のプリントされた画像とコーディネートされている、請求項23または24に記載のセキュリティドキュメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2011−506121(P2011−506121A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519944(P2010−519944)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【国際出願番号】PCT/US2008/009325
【国際公開番号】WO2009/017824
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(506018086)テクニカル グラフイックス インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】