説明

改良された初期強度を有する湿気硬化性組成物

本発明は、室温で液体である少なくとも1種の湿気反応性シラン官能性ポリマーと、少なくとも1種のシラン官能性ポリエステルとを含む組成物に関する。この組成物は、とりわけ、接着剤、シーリング材、またはコーティング剤に適する湿気硬化性組成物として好適であり、改良された初期強度を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、シラン官能性ポリマーをベースとする湿気硬化性組成物に関し、この組成物は、接着剤、シーリング材、またはコーティングとして好適であり、改良された初期強度を有する。
【背景技術】
【0002】
多くの用途において、接着剤、シーリング材、またはコーティングとして高い初期強度を有する湿気硬化性組成物を使用することは望ましいことである。例えば、低い初期強度を有する接着剤の場合には、接着剤で接合した部品を所望の位置に保持されるように強度が高まるまで所定の位置に固定し続けなければならないという欠点がある。
【0003】
高い初期強度を有する湿気硬化性組成物を得るための種々の調製法が知られている。従来、2成分形または反応性のウオームもしくはホットメルト組成物、特にウオームもしくはホットメルト接着剤組成物(いわゆる、ウオームもしくはホットメルト)がよく使われてきた。両方の調製法の組み合わせも既に知られている。
従来のウオームまたはホットメルト接着剤には、適用直後に激しく粘度が増加するという欠点がある。このため、例えば、接着後に、2つの結合される被着物の位置合わせを訂正することには困難が伴う。さらに、多くの用途において、これらの接着剤は、概して、熱膨張を補償するだけの十分な柔軟性がない。
【0004】
湿気反応性成分が完全に、または少なくとも大部分が、室温で固体である成分の形態である純粋なウオームまたはホットメルト接着剤のほかに、一部の湿気反応性成分のみが室温で固体であるウオームまたはホットメルト接着剤が知られている。通常、これらは、液体の反応性成分に加えて、反応性または非反応性メルト成分をも含む。最良の機械的性質を有する組成物を得るためには、反応性メルト成分を含むことが好ましく、この場合、このメルト成分として使える材料の範囲はかなり広い。シラン官能性ポリマーをベースとする湿気硬化性組成物では、任意のポリオールとポリイソシアナートの反応生成物を使い、次いで、アミノシランまたはメルカプトシランと反応させたものを反応性メルト成分として用いられる。このような組成物は、例えば、国際公開第2004/005420号A1に記載されている。
【0005】
しかし、既知の組成物はいずれも、硬化組成物において獲得される初期強度、接着特性、、および機械的性質の面で、さらに改良され得る可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2004/005420号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の課題は、接着剤、シーリング材、またはコーティングとして適切であり、改良された初期強度を有する有用な湿気硬化性組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、請求項1記載の組成物によってこの課題を解決することができることが明らかとなった。
【0009】
初期強度が改良された湿気硬化性組成物を得るために、室温で液体である湿気反応性シラン官能性ポリマーと、特異なシラン官能性ポリエステルとを組み合わせることは当業者にとって決して容易なことではない。
【0010】
本発明による組成物の別の利点は、微小歪において著しく高められた弾性率である。この弾性率は、シラン官能性ポリマーベースの組成物の場合、通常は、既知の組成物、例えば、ポリウレタンベースの組成物、より明らかに劣っている。
【0011】
本発明の他の態様は、追加の独立請求項の主題である。特に、本発明の好ましい実施形態は従属請求項の主題である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、本発明の目的は、
i)室温で液体の少なくとも1種の湿気反応性シラン官能性ポリマーと
ii)式(I)の少なくとも1種のシラン官能性ポリエステルと
を含む組成物である。
【0013】
【化1】

【0014】
ここで、Yは、室温で固体であり、ヒドロキシル基で末端化されたn価のポリエステルPからn個のヒドロキシル基を除去した後の残基を表す。
【0015】
残基Rは、直鎖または分岐の1〜12個のC原子を有する一価の炭化水素基であって、任意選択で1個または複数個のC−C多重結合を有していてもよく、かつ/あるいは、任意選択で脂環式および/または芳香族の部分を有していてもよい基を表す。特に、Rは、メチル、エチル、またはイソプロピル基を表す。
【0016】
基Rは、1〜12個のC原子を有する、アシル残基または直鎖もしくは分岐の一価の炭化水素基であって、任意選択で1個または複数個のC−C多重結合を有していてもよく、かつ/あるいは任意選択で脂環式および/または芳香族の部分を有していてもよい基を表す。好都合には、基Rは、1〜5個のC原子を有するアシルまたはアルキル基、特に、メチル、エチル、またはイソプロピル基を表す。
【0017】
基Rは、直鎖または分岐の1〜12個のC原子を有する二価炭化水素基であって、任意選択で環式および/または芳香族の部分を有していてもよく、かつ、任意選択で1個または複数個のヘテロ原子を有していてもよい基を表す。好都合には、基Rは、1〜3個のC原子、特に3個のC原子を有するアルキレン残基を表す。
【0018】
aは、0、1、または2、特に0または1の値を表す。
【0019】
nは、1〜3、特に2の値を表す。
【0020】
基Aは、二価のジイソシアナートから2個のイソシアナート基を除去した後の残基を表す。
【0021】
qは、0、または1、特に0の値を表す。
【0022】
基Xは、SまたはNRを表し、基Rは、水素原子、または1〜20個のC原子を有する直鎖もしくは分岐の一価炭化水素基であって任意選択で環の一部を有していてもよい基を表すか、あるいは式(II)の基を表す。
【0023】
【化2】

【0024】
ここで、基RおよびRは、相互に独立に、水素原子、または-R11、-COOR11および-CNからなる群から選択される基を表す。
【0025】
基Rは、水素原子、または-CH-COOR11、-COOR11、CONHR11、-CON(R11、-CN、-NO、-PO(OR11、-SO11および-SOOR11からなる群から選択される基を表す。
【0026】
基R11は、1〜20個のC原子を有する炭化水素基であって、任意選択で1個または複数個のヘテロ原子を含んでいてよい基を表す。
【0027】
式(I)のポリエステル中のシラン基において、各RおよびRは、相互に独立に、上述した残基を表す。従って、例えば、末端基を有する式(I)のポリエステルであって、末端基がエトキシジメトキシシラン末端基(R=メチル、R=メチル、R=エチル)であるものも実現可能である。
【0028】
「ポリ」で始まる物質の名称、例えば、ポリオールまたはポリイソシアナートは、本明細書では、形式的には、分子当たり2つ以上のその名称の一部である官能基を含む物質を指す。
【0029】
本明細書において、用語「ポリマー」は、一方では、化学的に均質な高分子群であるが、重合度、分子量および鎖長がさまざまである、ポリ反応(重合、重付加、重縮合)により調製された高分子群を含む。また、この用語「ポリマー」は、ポリ反応により得られた高分子群の誘導体、すなわち、既にある高分子の官能基への付加または置換等の反応により得られた化合物を含む。これらの化合物は、化学的に均質であっても不均質であってもよい。この用語は、さらに、いわゆるプレポリマー、すなわち、それが有する官能基が高分子の合成に関与する反応性オリゴマー生成物も含む。
【0030】
用語の「ポリウレタンポリマー」は、いわゆるジイソシアナート重付加法により調製されたあらゆるポリマーを含む。さらに、ほとんどまたは完全にウレタン基が無いポリマーも含有する。ポリウレタンポリマーの例には、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリ尿素、ポリ尿素、ポリエステルポリ尿素、ポリイソシアヌラートおよびポリカルボジイミドがある。
【0031】
本明細書では、用語の「シラン」または「オルガノシラン」は、一方では、少なくとも1つ、通常は2、または3つのアルコキシ基またはアシルオキシ基を有し、これらがSi−O−結合で直接シリコン原子に結合している化合物を指し、他方では、Si−C結合で直接シリコン原子に結合した少なくとも1つの有機残基を有する化合物を指す。このようなシランは当業者にはオルガノアルコキシシランまたはオルガノアシルオキシシランとして知られている。
【0032】
同様に、用語「シラン基」は、Si−C結合で結合した、シランの有機残基に結合したシリコン含有基を指す。シラン、すなわち、そのそれぞれのシラン基は、湿気に接触すると加水分解するという特徴を有する。この加水分解の過程で、オルガノシラノール、すなわち、1個または複数個のシラノール基(Si−OH基)を含むシリコン−有機化合物、が形成され、また、続く縮合反応によって、オルガノシロキサン、すなわち、1個または複数個のシロキサン基(Si−O−Si基)を含むシリコン−有機化合物が形成される。
【0033】
用語「シラン官能性」は、シラン基を有する化合物を指す。従って、「シラン官能性ポリマー」は少なくとも1つのシラン基を有するポリマーである。
【0034】
用語「アミノシラン」または「メルカプトシラン」は有機残基がアミノ基またはメルカプト基を有するオルガノシランを指す。「一級アミノシラン」は、一級アミノ基、すなわち、有機残基に結合しているNH基を有するアミノシランを指すのに使われる。用語の「二級アミノシラン」は、二級アミノ基、すなわち、2つの有機残基に結合しているNH基を有するアミノシランを指すために用いる。
【0035】
本明細書では、用語「分子量」は、常に、平均分子量M(数平均)を意味する。
【0036】
本明細書では、外部からの影響がないと変化しない、または変形することが困難であり、特に、流動性がない場合に、その物質を「固体」とする。したがって、高粘性かつペースト状の物質を含む、変形可能で流動可能な物質は、「液体」と見なされる。
【0037】
本明細書において、「室温」は、23℃の温度を指す。
【0038】
好適なヒドロキシ基で末端化されたポリエステルPは、特に、既知の方法、特に、ヒドロキシカルボン酸の重縮合、あるいは、脂肪族および/または芳香族のポリカルボン酸と、二価または多価アルコールとの重縮合によって調製されたポリエステルである。
【0039】
特に適切なものは、二〜三価のアルコール(例えば、1、2−エタンジオール、ジエチレングリコール、1、2−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1、4−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、1、1、1−トリメチロールプロパンなど)、またはこれらのアルコールの混合物と、有機ジカルボン酸または無水物またはそのエステル(例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、ダイマー脂肪酸、フタル酸、フタル酸無水物、イソフタル酸、テレフタル酸、ジメチルテレフタラート、ヘキサヒドロフタル酸、トリメリト酸およびトリメリト酸無水物など)、またはこれらの酸の混合物とから調製されたポリエステルポリオール、ならびにε−カプロラクトン等のラクトンから調製されるポリエステルポリオールである。
【0040】
特に適切なものは、ポリエステルジオールであり、ジカルボン酸としての、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ダイマー脂肪酸、フタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸から調製されたもの、あるいは、ε−カプロラクトン等のラクトンと、二価アルコールとしての、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1、4−ブタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、ダイマー脂肪ジオール、および1、4−シクロヘキサンジメタノールとから調製されたものである。
【0041】
ヒドロキシル基末端ポリエステルPは、結晶性ポリエステルであるのが好ましい。
【0042】
また、ポリエステルPは、2500(2500を含まず)g/mol〜7000g/molの平均分子量Mを有することが好ましい。通常、ポリエステルPの好ましい平均分子量Mは、3500g/mol〜6000g/molの範囲である。
【0043】
好ましい分子量範囲内で、ポリエステルPは、鎖伸張ポリエステルまたは不均一分子量分布のポリエステルと比較して、改良された結晶化特性を有し、組成物のメルト成分として使用した場合には、改良された初期強度を示す本発明による組成物をもたらす。
【0044】
ポリエステルPが結晶性ポリエステルである場合、ポリエステルPの結晶化温度は、ポリエステルPの融点より30℃未満低い温度であることが好ましい。
【0045】
本発明のポリエステルPをベースとする反応性メルト成分を含み、ポリエステルPの結晶化温度がポリエステルPの融点より30℃未満低い温度である組成物は、特に好ましい。この理由は、結果的に、用いた溶融メルト成分を含む組成物の適用した後、このメルト成分の結晶化によって十分な初期強度が得られるまでの時間を短くすることができるからである。従って、例えば、本発明の反応性メルト成分を含む組成物ベースの接着剤を使って相互に結合される被着材は、十分な接着剤初期強度が達成され、被着材が相互に移動しなくなるまで、所定位置に保持する必要が無い、または短時間の保持でよい。これは、特に垂直結合の場合、例えば、乗り物または輸送手段のフロントガラスの結合の場合に、特に好都合である。
【0046】
本発明による式(I)のqが値0であり、そのため好ましい、シラン官能性ポリエステルは、一般的に、式(II)のイソシアナトシランISを、上述したポリエステルPと反応させることによって得られる。
【0047】
【化3】

【0048】
式中のR、R、Rおよびaは上記したとおりである。
【0049】
この反応は、イソシアナート基の、ポリエステルPのヒドロキシル基に対する比率が、1:1の化学量論的比率、またはヒドロキシル基がわずかに過剰である比率で、例えば、温度20℃〜100℃にて、任意選択で触媒を組み合わせて使用してもよい条件下で、進める。
【0050】
式(II)の適切なイソシアナトシランISの例には、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルジメトキシメチルシラン、およびケイ素上に結合したメトキシ基の代わりにエトキシ基またはイソプロポキシ基を有するその類似体がある。
【0051】
本発明による式(I)のqの値が1のシラン官能性ポリエステルは、一般的には、上述したポリエステルPと、イソシアナート基が残らない、化学量論的に過剰の量の、式:OCN−A−NCOのジイソシアナートとを反応させ、次いで、この反応生成物を式(III)のアミノシランまたはメルカプトシランと反応させることによって得ることができる。
【0052】
【化4】

【0053】
X、R、R、Rおよびaは上記したとおりである。
【0054】
特に、上述した反応生成物を、式(IV)のアミノシランと反応させる。
【0055】
【化5】

【0056】
基R、R、R、Rおよびaは上述したとおりである。
【0057】
市販のジイソシアナートは、式:OCN−A−NCOのジイソシアナートとして適切である。
【0058】
適切なジイソシアナートには、例えば、1、6−ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、2−メチルペンタメチレン−1、5−ジイソシアナート、2、2、4−および2、4、4−トリメチル−1、6−ヘキサメチレンジイソシアナート(TMDI)、1、12−ドデカメチレンジイソシアナート、リシンおよびリシンエステルジイソシアナート、シクロヘキサン−1、3−ジイソシアナート、シクロヘキサン−1、4−ジイソシアナート、1−イソシアナート−3、3、5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(=イソホロンジイソシアナートすなわちIPDI)、ペルヒドロ−2、4’−ジフェニルメタンジイソシアナートおよびペルヒドロ−4、4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、1、4−ジイソシアナート−2、2、6−トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、1、3−および1、4−ビス−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、m−およびp−キシリレンジイソシアナート(m−およびp−XDI)、m−およびp−テトラメチル−1、3−キシリレンジイソシアナート、m−およびp−テトラメチル−1、4−キシリレンジイソシアナート、ビス−(1−イソシアナート−1−メチルエチル)−ナフタリン、2、4−および2、6−トルイレンジイソシアナート(TDI)、4、4’−、2、4’−および2、2’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、1、3−および1、4−フェニレンジイソシアナート、2、3、5、6−テトラメチル−1、4−ジイソシアナトベンゼン、ナフタリン−1、5−ジイソシアナート(NDI)、3、3’−ジメチル−4、4’−ジイソシアナトジフェニル(TODI)、上記イソシアナートのオリゴマーおよびポリマー、ならびに上記イソシアナートの任意の混合物、がある。
【0059】
式(I)のシラン官能性ポリエステルを調製するための好ましい式:OCN−A−NCOのジイソシアナートは、IPDI、TDIまたはMDIである。
【0060】
適切な式(IV)のアミノシランの例としては、一級アミノシラン(例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメトキシメチルシランなど);二級アミノシラン(例えば、N−ブチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなど);一級アミノシラン(例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシランまたは3−アミノプロピルジメトキシメチルシランなど)のマイケル受容体〔例えば、アクリロニトリル、アクリル酸およびメタクリル酸酸エステル、アクリル酸またはメタクリル酸アミド、マレイン酸およびフマル酸ジエステル、シトラコン酸ジエステル、およびイタコン酸ジエステル、例えば、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミノコハク酸ジメチルおよびジエチルエステル〕へのマイケル様付加反応生成物;ならびにケイ素に結合したメトキシ基の代わりにエトキシまたはイソプロポキシ基を有する上述のアミノシランの類似体が挙げられる。アミノシランとして特に適切な物質は、二級アミノシラン、特に式(IV)のRがHではないアミノシランである。マイケル型付加物が好ましく、特にN−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミノコハク酸ジエチルエステルが好ましい。
【0061】
本明細書において、用語「マイケル受容体」は、それらが揺する電子受容体基により活性化された二重結合によって、一級アミノ基(NH基)との間でマイケル付加反応に類似の求核付加反応(ヘテロマイケル付加)が起こり得る化合物を意味する。
【0062】
式(I)のシラン官能性ポリエステルの割合は、特に、組成物全体の0.5〜10質量%、好ましくは、1〜8質量%である。
【0063】
室温で液体である湿気反応性シラン官能性ポリマーは、特に、式(V)の末端基を有するシラン官能性ポリマーSTPである。
【0064】
【化6】

【0065】
、R、Rおよびaは、上述したとおりである。
【0066】
最初の実施形態では、湿気反応性シラン官能性ポリマーSTPは、シラン官能性ポリウレタンポリマーSTP1であり、これはイソシアナート基に対して反応性を有する少なくとも1個の基を有するシランと、イソシアナート基を含むポリウレタンポリマーとを反応させて調製することができる。この反応は、イソシアナートに対して反応性を有する基の、イソシアナート基に対する比率が1:1の化学量論的比率であるか、またはイソシアナート基がわずかに過剰である比率の反応性基を用いて、得られるシラン官能性ポリウレタンポリマーSTP1中にイソシアナート基が全く含まれないようにして、行わせることが好ましい。
【0067】
通常、イソシアナート基に対して反応性を有する基を有するシランは、すでに上で述べたように、例えば、式(III)のメルカプトシランまたはアミノシラン、特に式(IV)のアミノシランである。
【0068】
シラン官能性ポリウレタンポリマーSTP1の調製のためのポリウレタンポリマーを含むイソシアナート基としては、例えば、少なくとも1種のポリオールを、少なくとも1種のポリイソシアナート、特にジイソシアナートと反応させることによって調製することができるポリマーを使用することが適切である。この反応は、ポリオールとポリイソシアナートとを、通常の方法、例えば、50℃〜100℃温度にて、任意選択で適切な触媒を組み合わせて使用してもよい条件下で反応させることによって行うことができる。この場合、イソシアナート基が、ポリオールのヒドロキシル基に対して化学量論的に過剰に存在する様に、ポリイソシアナートを添加する。
【0069】
ポリイソシアナートのこの過剰量は、特に、ポリオールの全部のヒドロキシル基の反応後、得られるポリウレタンポリマー中の遊離イソシアナート基の残量が、ポリマー全体に対して0.1〜5質量%、好ましくは0.1〜2.5質量%、特に好ましくは0.2〜1質量%となるように選択する。
【0070】
ポリウレタンポリマーは、任意選択で、イソシアナートに対して反応する基を含まない可塑剤を組み合わせて使用して調製してもよい。
【0071】
ジイソシアナートを高分子量のジオールと1.5:1〜2:1のNCO:OH比率で反応させて調製した、上述した量の遊離イソシアナート基を有するポリウレタンポリマーを使用することが好ましい。
【0072】
適切なポリオールは、特に、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、およびポリカルボナートポリオール、ならびにこれらのポリオールの混合物である。
【0073】
適切なポリエーテルポリオールは、ポリオキシアルキレンポリオールまたはオリゴエーテロールとも呼ばれるポリエーテルポリオールであり、特に、エチレンオキシド、1、2−プロピレン酸化物、1、2−または2、3−ブチレン酸化物、オキセタン、テトラヒドロフランまたはこれらの混合物の重合生成物であり、任意選択で2つ以上の水素原子を有する開始剤分子(starter molecule)、例えば、水、アンモニア、またはいくつかのOHまたはNH基を持つ化合物(例えば、1、2−エタンジオール、1、2−および1、3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、イソメル酸ジプロピレングリコールおよびトリプロピレングリコール、イソメル酸ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、1、3−および1、4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、1、1、1−トリメチロールエタン、1、1、1−トリメチロールプロパン、グリセリン、アニリンなど)、ならびにこれらの化合物の混合物を用いて重合したものを使用することが特に好ましい。例えば、いわゆる、ダブル金属シアン化物錯体(DMC触媒)を使って調製した低不飽和度(ASTMD−2849−69に従って測定し、グラムポリオール当たりのミリ当量不飽和で表したもの(mEq/g))を有するポリオキシアルキレンポリオールを使用することも、アニオン触媒、例えば、NaOH、KOH、CsOHまたはアルカリアルコラートを用いて調製した高不飽和度のポリオキシアルキレンポリオールを使用することもできる。
【0074】
特に適切なものは、ポリオキシエチレンポリオールおよびポリオキシプロピレンポリオール、とりわけ、ポリオキシエチレンジオール、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシエチレントリオール、およびポリオキシプロピレントリオール、である。
【0075】
特に適切なものは、0.02mEq/g未満の不飽和度および1000〜30、000g/molの範囲の分子量を有するポリオキシアルキレンジオールまたはポリオキシアルキレントリオール、ならびに400〜8000g/molの分子量のポリオキシエチレンジオール、ポリオキシエチレントリオール、ポリオキシプロピレンジオールおよびポリオキシプロピレントリオール、である。
【0076】
いわゆる、エチレンオキシドで末端化された(「EO末端キャップされた」、ethylene oxide end−capped)ポリオキシプロピレンポリオールも、特に適切である。EO末端キャップポリオキシプロピレンポリオールは、特殊なポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオールであり、例えば、ポリオキシプロピル化反応の完了後の純粋なポリオキシプロピレンポリオール、特に、ポリオキシプロピレンジオールおよびトリオールを、エチレンオキシドを用いて追加的にアルコキシル化することによって調製され、結果的に一級ヒドロキシル基を有する。この場合、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンジオールおよびポリオキシプロピレンポリオキシエチレントリオールが好ましい。
【0077】
また、スチレンアクリロニトリルグラフト結合ポリエーテルポリオール、例えば、ルプラノール(Lupranol)(登録商標)の商品名で、Elastogran GmbH、独国から市販品として入手できるものも適している。
【0078】
適切なポリエステルポリオールは、特に、ポリエステルPとして上述したポリエステルであり、シラン官能性ポリマーPの調製に使用されるこれらのポリエステルポリオールの分子量は、ポリエステルポリオールが室温で液体である様に選択する。
【0079】
適切なポリカルボナートポリオールは、特に、例えば、ポリエステルポリオールの合成に用いる上述したアルコールを、ジアルキルカルボナート(例えば、ジメチルカルボナートなど)、ジアリールカルボナート(例えば、ジフェニルカルボナートなど)、またはホスゲンと反応させることによって調製することができるものである。ポリカルボナートジオール、なかでも、無定型のポリカルボナートジオールが特に適している。
【0080】
さらなる適切なポリオールは、ポリ(メタ)アクリラートポリオールである。
【0081】
ポリヒドロキシ官能性油脂、例えば、天然油脂(特に、ひまし油)、または、天然油脂の化学的変性によって得られるいわゆる油脂化学ポリオール(例えば、不飽和油のエポキシ化とそれに続くカルボン酸またはアルコールによる開環により調製されるエポキシポリエステルまたはエポキシポリエーテル、または、不飽和油のヒドロホルミル化および水素添加によって得られるポリオール、さらに、分解プロセス(例えば、アルコール分解またはオゾン分解など)およびその後に続く化学的架橋(例えば、分解生成物のエステル交換反応または二量体化による架橋)によって得られるポリオールまたはその誘導体がある。適切な天然油脂の分解生成物には、特に、脂肪酸および脂肪アルコールならびに脂肪酸エステル、特に、メチルエステル(FAME)があり、これらは、例えば、ヒドロホルミル化およおび水素添加により誘導体化してヒドロキシ脂肪酸エステルを形成させることができる。
【0082】
また、さらに、オリゴヒドロカルボノールとも呼ばれるポリヒドロ炭素ポリオールも適している。例えば、ポリヒドロキシ官能性のエチレンプロピレン−、エチレンブチレン−、またはエチレンプロピレンジエン共重合体であり、例えば、Kraton Polymers、USAにより製造されているもの、またはジエン類(例えば、1、3−ブタンジエンなど)またはジエン混合物と、ビニルモノマー(例えば、スチレン、アクリロニトリル、またはイソブチレンなど)とから調製されるポリヒドロキシ官能性共重合体、またはポリヒドロキシ官能性ポリブタジエンポリオール(例えば、1、3−ブタジエンとアリルアルコールとの共重合により、あるいはポリブタジエンの酸化により調製されたもの)(水素化されていてもよい)が適している。
【0083】
また、ポリヒドロキシ官能性アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、例えば、エポキシドまたはアミノアルコールと、カルボキシル末端アクリロニトリル/ブタジエン共重合体(Hypro(登録商標)CTBNの商品名でEmerald Performance Materials、LLC、USAから市販品を入手可能)とから調製可能なものも適している。
【0084】
上述したポリオールは、250〜30、000g/mol、特に1000〜30、000g/molの平均分子量、および1.6〜3の範囲の平均OH官能価を有することが好ましい。
【0085】
特に適するポリオールは、ポリエーテルポリオール、特にポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、およびポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオール、好ましくは、ポリオキシエチレンジオール、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシエチレントリオール、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンジオール、およびポリオキシプロピレンポリオキシエチレントリオールである。
【0086】
上述したポリオールに加えて、少量の低分子量の二価のまたは多価のアルコールをイソシアナート基を含むポリウレタンポリマーの製造に使用可能である。これらの低分子の二価又は多価アルコールは、例えば、1、2−エタンジオール、1、2−および1、3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、イソメル酸ジプロピレングリコールおよびトリプロピレングリコール、ブタンジオール異性体類、ペンタンジオール異性体類、ヘキサンジオール異性体類、ヘプタンジオール異性体類、オクタンジオール異性体類、ノナンジオール異性体類、デカンジオール異性体類、ウンデカンジオール異性体類、1、3−および1、4−シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、2量体脂肪アルコール、1、1、1−トリメチロールエタン、1、1、1−トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリトリトール、糖アルコール、例えば、キシリトール、ソルビトールまたはマンニトール、糖、例えば、スクロース、その他の多価アルコール、上述した二価または多価アルコールの低分子量アルコキシル化生成物、ならびにこれらのアルコールの混合物である。
【0087】
ポリウレタンポリマーの調製のためのポリイソシアナートとして、上述のように、市販の脂肪族、脂環式または芳香族ポリイソシアナート、特に、式:OCN−A−NCOのジイソシアナートを使用することが可能である。
【0088】
適切なシラン官能性ポリマーSTP1には、例えば、ポリマーST50の商品名でHanse Chemie AG、独国から、ならびに、Desmoseal(登録商標)の商品名でBayer Material Science AG、独国から市販品として入手可能である。
【0089】
第2の実施形態では、シラン官能性ポリマーSTPは、シラン官能性ポリウレタンポリマーSTP2であり、上述したように、式(II)のイソシアナトシランISを、イソシアナート基に対して反応性を有する官能性末端基を、特に、ヒドロキシル基、メルカプト基および/またはアミノ基を有するポリマーと反応させることによって調製することができる。この反応は、イソシアナート基と、イソシアナート基に対して反応性を有する官能性末端基とのの化学量論的比が1:1となる比率、またはイソシアナート基に対して反応性を有するする官能基がわずかに過剰な比率を用いて、例えば、20〜100℃の温度で、任意選択で触媒を組み合わせて使用して、行うことができる。
【0090】
ポリマーは、官能性末端として、イソシアナート基に対して反応性を有するヒドロキシル基を有するのが好ましい。
【0091】
ヒドロキシル基を含む適切なポリマーは、一方では、上述した高分子量ポリオキシアルキレンポリオール、好ましくは0.02mEq/g未満の不飽和度および4000〜30、000g/molの範囲の分子量、特に8000〜30、000g/molの範囲の分子量を有するポリオキシプロピレンジオールである。
【0092】
また、他方では、ヒドロキシル基、特に末端ヒドロキシル基をゆするポリウレタンポリマーが、イソシアナトシランISとの反応に好適である。このようなポリウレタンポリマーは、少なくとも1つのポリイソシアナートを少なくとも1つのポリオールと反応させて調製することができる。この反応は、ポリオールとポリイソシアナートとを通常の方法、例えば、50〜100℃の温度下、任意選択で適切な触媒を組み合わせて使用して、ヒドロキシル基がポリイソシアナートのイソシアナート基に対して化学量論的に過剰に存在する様にポリオールを添加して、行わせることができる。ヒドロキシル基のイソシアナート基に対する比として、1.3:1〜4;1、特に1.8:1〜3:1を用いることが好ましい。任意選択で、ポリウレタンポリマーを可塑剤の存在下で調製することが可能である。使用する可塑剤は、イソシアナート基に対して反応性を有するするいかなる基も含んでいてはならない。(ケイ素官能性ポリウレタンポリマーSTP1の調製に用いる)イソシアナート基含有ポリウレタンポリマーの調製に適切であるとして既に上述したものと同じポリオールおよびポリイソシアナートは、この反応にも適合する。
【0093】
例えば、適切なシラン官能性ポリマーSTP2は、SPUR(登録商標)1010LM、1015LMおよび1050MMの商品名でMomentive Performance Materials Inc.、USAから、また、Geniosil(登録商標)STP−E15、STP−10およびSTP−E35の商品名でWacker Chemie AG、独国から市販品として入手可能である。
【0094】
第3の実施形態では、シラン官能性ポリマーSTPは、シラン官能性ポリマーSTP3であり、末端二重結合を持ったポリマー〔例えば、ポリ(メタ)アクリラートポリマーまたはポリエーテルポリマー、特にアリル末端ポリオキシアルキレンポリマー(例えば、米国特許第3、971、751号および6、207、766号に記載されているもの:この開示を参照により本明細書に取り込む)〕のヒドロシリル化反応によって調製することができる。
【0095】
適切なシラン官能性ポリマーSTP3は、例えば、MSポリマー(登録商標)、特にMSポリマー(登録商標)S203H、S303H、S227、S810、MA903およびS943、シリル(登録商標)SAX220、SAX350、SAX400およびSAX725、シリル(登録商標)SAT350およびSAT400、ならびにXMAP(登録商標)SA100SおよびSA310Sの商品名で株式会社カネカ(日本)から、また、Excestar(登録商標)S2410、S2420、S3430、S3630、W2450およびMSX931の商品名で旭硝子株式会社(日本)から、市販品として入手可能である。
【0096】
通常、シラン官能性ポリマーSTPは、組成物全体に対して10〜80質量%、好ましくは、20〜70質量%の量である。
【0097】
通常、室温で液体である湿気反応性シラン官能性ポリマーは、シラン官能性ポリウレタンポリマー、特にSTP1タイプのシラン官能性ポリウレタンポリマーまたはSTP3タイプのシラン官能性ポリマーであることが好ましい。
【0098】
湿気反応性シラン官能性ポリマーは、また、−50°C以下、特に−50°C〜−70°Cのガラス転移温度Tを持つことが好ましい。このガラス転移温度範囲の利点として、特に低温度範囲での組成物の改良された特性が挙げられる。
【0099】
さらに、組成物は、少なくとも1つの充填剤を含むことが好ましい。この充填剤は、未硬化組成物のレオロジー特性と、硬化組成物の機械的性質および表面構造との両方に影響を与える。適切な充填剤には、無機または有機充填剤、例えば、天然由来の炭酸カルシウムまたは沈降炭酸カルシウム(任意選択で、脂肪酸、特にステアリン酸でコーティングされていてもよい)、硫酸バリウム(BaSO、バライタまたは重晶石とも呼ばれている)、か焼カオリン、アルミニウム酸化物、アルミニウム水酸化物、ケイ酸(特に熱分解からのヒュームドシリカ)、カーボンブラック、特に工業的に製造されたカーボンブラック(カーボンブラック;今後「カーボンブラック」と呼ぶ)、PVC粉末または中空ビーズがある。好ましい充填剤は、炭酸カルシウム、か焼カオリン、カーボンブラック、ヒュームドシリカ、ならびに難燃性充填剤、例えば、水酸化物または水和物、特にアルミニウムの水酸化物または水和物、好ましくはアルミニウム水酸化物である。
【0100】
異なる充填剤の混合物を使用することは、全く問題なく、むしろ好都合である。
【0101】
適切な充填剤の量は、例えば、組成物全体に対して20〜60質量%、好ましくは30〜60質量%の範囲である。
【0102】
本発明の組成物は、さらに、特に湿気によってシラン官能性ポリマーを架橋するための少なくとも1つの触媒を含む。このような触媒は、特に有機スズ化合物の形の金属触媒であり、例えば、ジブチルスズジラウラートおよびジブチルスズジアセチルアセトナート、チタン触媒、アミノ基含有化合物、例えば、1、4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンおよび2、2’−ジモルホリノジエチルエーテル、アミノシラン、ならびに前記触媒の混合物が挙げられる。
【0103】
さらに、本発明の組成物は、さらにほかの成分を含むことができる。例えば、このような成分には、可塑剤、例えば、有機カルボン酸のエステルまたはその無水物、例えば、フタラート(例えば、ジオクチルフタラート、ジイソノニルフタラートまたはジイソデシルフタラート)、アジパート(例えば、ジオクチルアジパート、アジパート)、およびセバカート、ポリオール(例えば、ポリオキシアルキレンポリオールまたはポリエステルポリオール)、有機リン酸およびスルホン酸エステル、またはポリブテン;溶剤;例えば、ポリエチレン繊維;染料;顔料;レオロジー調節材、例えば、増粘剤またはチクソトロピー付与剤、例えば、国際公開番号WO02/48228A2 9〜11ページにチクソトロピー付与剤として記載のタイプの尿素化合物、ポリアミドろう、ベントナイトまたは焼成ケイ酸;接着剤、例えば、エポキシシラン、(メタ)アクリロイルシラン、アンヒドリドシラン、または上述のシランと一級アミノシランとの付加物、ならびにアミノシランまたは尿素シラン;架橋剤、例えば、シラン官能性オリゴマーおよびポリマー;乾燥剤、例えば、ビニルトリメトキシシラン、α−官能性シラン、例えば、N−(シリルメチル)−O−メチルカルバマート、特にN−(メチルジメトキシシリルメチル)−O−メチルカルバマート、(メタクリロキシメチル)シラン、メトキシメチルシラン、N−フェニル−、N−シクロヘキシル−およびN−アルキルシラン、オルトギ酸エステルス、カルシウムオキシドまたはモレキュラーシーブ;安定剤、例えば、熱、光およびUV照射に対する安定剤;難燃剤;表面活性物質、例えば、架橋剤、溶出剤、脱気剤または脱泡試剤;殺生物剤、例えば、殺藻剤、殺菌剤、または真菌増殖抑制物質;ならびに通常の湿気硬化性組成物に使われる物質が挙げられる。
【0104】
さらに、いわゆる、反応性希釈剤を、任意選択として使用することが可能であり、特にシラン基との反応によって組成物を硬化させる際にポリマー基剤中に取り込まれる。
【0105】
述べてきた全ての組成物中の任意選択の成分、特に、充填剤と触媒を、このような成分の存在により組成物の貯蔵安定性に悪い影響を与えない(すなわち、組成物が、特性、特に、適用と硬化特性に関して、貯蔵の間に変化を受けないか、またはほんのわずかな変化を受けるに過ぎない)様に選択することが有利である。結果として、組成物の化学的硬化の原因となる反応、特にシラン基の反応が貯蔵中にそれほどは起こらないことが必要である。記載成分が貯蔵中に水を含みも放出もしないか、してもせいぜい痕跡程度の場合は、特に好都合である。従って、組成物を混合する前に特定の成分を化学的または物理的に乾燥することが有利となる場合がある。
【0106】
前述の組成物は、湿気を排除して調製し、貯蔵することが好ましい。通常は、組成物は貯蔵中安定で、数ヶ月から1年以上の期間、湿気を排除して、適切なパッケージングまたは配置、例えば、ドラム、ポーチまたはカートリッジに入れて、その適用特性またはその硬化後の特性が使用に関わるほどの変化することなく貯蔵することが可能である。通常、貯蔵安定性は、粘度または押し出し力を測定して求める。
【0107】
少なくとも1つの固体物品に対し記載した組成物を適用すると、組成物に含まれるシラン基が湿気と接触する。シラン基は、湿気と接触して加水分解する特性がある。このプロセスによって、オルガノシラノールが生成し、次に続く縮合反応の結果として、オルガノシロキサンが生成する。触媒を使って加速することができるこれらの反応の結果として、組成物は最終的に完全に硬化する。このプロセスは、架橋とも呼ばれる。
【0108】
硬化に必要な水は、空気(大気中の湿気)によって、あるいは、上述の組成物に対し、例えば、平滑剤を、例えばコーティングすることによって、または吹き付けることによって、または水含有成分を適用の際に組成物に添加して(例えば、水含有ペーストの形で混入させ、例えば、静的ミキサーを使って水含有成分と接触可能にして)、供給することができる。大気中の湿気で硬化させる場合、組成物は外側から内側へ硬化する。硬化速度は、種々の因子、例えば、水の拡散速度、温度、環境の湿気、および接着剤の形態により決まり、通常、その速度は硬化の進行につれ低下する。
【0109】
本発明の最も好ましい実施形態では、本発明の組成物は、湿気硬化性ウオームまたはホットメルト接着剤である。
【0110】
ここで、組成物中に含まれる式(I)の室温で固体のシラン官能性ポリエステルは、組成物を加熱することにより溶融する。加熱状態で組成物を適用後、前記組成物は、一方では、メルト成分の冷却中に固化し、他方では、水との反応により架橋を起こす。ここで、水が空気(大気中の湿気)から供給され、または水を、例えば、水含有成分の形で組成物に添加することができる。
【0111】
ウオームメルト接着剤は、通常、約40〜80℃の温度で適用する。ホットメルト接着剤の適用温度は、通常、約80℃以上である。しかし、これらの範囲がオーバーラップし、ウオームおよびホットメルト接着剤の間の明確な境界線引きが無いことは当業者には明らかに既知である。
【0112】
ウオームまたはホットメルト接着剤には、ここでは、接着剤が完全に室温で固体であるものみならず、室温で液体でもある接着剤で、しかし室温で固体であるメルト成分を含むものも含まれる。
【0113】
反応性ポリマー成分全体がメルト成分として使われる純粋な反応性ウオームまたはホットメルト接着剤と比較して、このような接着剤は、適用後でも一定の変形能を示すという利点を有し、結果として、大きな表面積の接着の際に簡単な修正が可能である。メルト成分を含んでいない湿気硬化性接着剤と比較して、このような接着剤は、明らかに改良された初期強度を有するという利点がある。
【0114】
ウオームまたはホットメルト接着剤としての本発明の組成物の使用は、ウオームまたはホット適用組成物の室温への冷却により非常に好都合な組成物の初期強度の増加がもたらされるという利点を有する。
【0115】
さらなる本発明の実施形態では、本発明の組成物は、上記組成物を含む成分Aおよび水を含む成分Bからなる2成分組成物である。
【0116】
特に、成分Aは、大気中の湿気により独立して完全に硬化することができる組成物である。このように硬化した組成物は、成分AとBの混合物の硬化後と類似の最終強度を有する。
【0117】
成分Bは、特に、水含有ペーストであり、含まれている水は、典型的には、可塑剤、増粘剤、および充填剤からなる群より選択される少なくとも1つの支持材料中に濃縮されている。
【0118】
成分B中の水含量は、成分Aの実施形態に依存してさまざまでありうる。使用する成分Bの量は、含まれている水量に依存することは、当業者には極めて明らかである。従って、例えば、成分Bが50質量%を超える高い水含量である場合、成分Bは、通常、成分Aの量に対して1〜10質量%の量で使われる。他方、成分Bが、例えば、約5質量%のみの水を含む場合は、成分Bは、成分Aの量に対して約50質量%の量で使用することが可能である。
【0119】
2成分組成物全体の水含量は、存在する水が組成物中の全反応性基の50〜100%と反応できるような量であることが好ましい。
【0120】
前述の2成分組成物は、特に、成分Aと成分Bとの質量比が1:1以上、特に、3:1〜70:1、好ましくは、10:1〜20:1となるようにして使用する。
【0121】
2成分形の湿気硬化性組成物において、成分AおよびBは、通常、別のパッケージに、または相互に分離された2つの区画を有する1つのパッケージに貯蔵する。成分Aは、パッケージングの1つの区画に入れ、成分Bをもう一つの区画に入れる。適切なパッケージングには、例えば、ダブルカートリッジ〔例えば、ツインまたはコアキシャルカートリッジ(twin or coaxial cartridge)〕、またはアダプター付きマルチチャンバーチューブラーバッグ(multi−chamber tubular bags with adapter)である。2つの成分AとBの混合は、2区画のパッケージに設置することができる静的ミキサーで行うことが好ましい。
【0122】
このような適切なパッケージは、例えば、米国特許第2006/0155045A1、国際公開番号WO2007/096355A1、および米国特許第2003/0051610A1に記載されている。これらの開示を、参照により本明細書に組み込む。
【0123】
大型の産業設備では、通常、2つの成分AとBを別々にドラムまたはホブボック(hobbock)に貯蔵し、押し出して、例えば、ギアポンプを使って適用時に混合する。この後、手動により、あるいは被着材に取り付けたロボットを使って自動プロセスにより組成物を適用することができる。
【0124】
本発明の組成物の2成分形組成物としての使用には、水含有成分Bの直接混合により組成物中のシラン基の化学的架橋がより急速に起こり、その結果、強度の増加がより急速であり、組成物がより急速に完全に硬化するという利点がある。さらなる利点は、環境の大気中の湿気とは無関係に硬化させることができることである。
【0125】
さらなる本発明の実施形態では、本発明の組成物は、2成分形ウオームまたはホットメルト接着剤である。ここで、式(I)のシラン官能性ポリエステルを含み、室温で固体である成分Aを温め、適用直前に溶融状態で成分Bと混合する。通常、成分AとBの混合は、この場合も静的ミキサーを使って行う。
【0126】
2成分形ウオームまたはホットメルト接着剤としての本発明の組成物の使用には、成分Bを室温で使用することが好ましい。組成物全体中の成分Bの比率が少ないため、2成分の温度差は、組成物のオープンタイムにほんのわずかな影響しか与えない。組成物のオープンタイムは、ウオームまたはホット状態の成分Aの冷却により、むしろ短くなる。
【0127】
2成分形ウオームまたはホットメルト接着剤の使用により、2成分形組成物の利点、すなわち、大気中の湿気とは関係のない組成物の急速架橋および硬化と、ウオームまたはホットメルト接着剤の利点である特に高い初期強度とが組み合わせて得られる。
【0128】
本発明は、さらに前述の組成物の、湿気硬化性接着剤、シーリング材、またはコーティングとしての使用を含む。本発明の組成物は、特に、自動車用のグレージング用湿気硬化性接着剤に適している。
【0129】
さらなる好ましい本発明の態様は、前述の組成物を湿気硬化性ウオームまたはホットメルト接着剤の使用に関する。
【0130】
本発明は、さらに、上述のように湿気硬化性ウオームまたはホットメルト接着剤としての2成分形組成物の使用に関する。
【0131】
本発明の組成物は、特に、2つの被着材S1およびS2を結合する方法に使用され、
i)上記説明に従って被着材S1および/または被着材S2に組成物を適用する工程;
ii)組成物のオープンタイム内に、適用した組成物を介して被着材S1とS2を接触させる工程;および
iii)組成物を水で硬化させる工程;
を含み、被着材S1とS2が相互に同じであっても異なっていてもよい。
【0132】
さらに、本発明の組成物はシーリングまたはコーティング用の方法としても使用可能であり、
i’)前記説明に従って被着材S1に、かつ/あるいは被着材S1とS2との間に、組成物を適用する工程;および
ii’’)組成物を水、特に、大気中の湿気により硬化させる工程;
を含み、被着材S1とS2が相互に同じであっても異なっていてもよい。
【0133】
本発明の組成物がウオームまたはホットメルト接着剤である場合は、組成物の適用の工程i)またはi’)に対して、本発明の式(I)のポリエステルをメルト成分として溶融する接着剤の加熱工程が先行する。
【0134】
本発明の組成物が2成分形組成物の場合は、適用工程i)またはi’)より2つの成分AとBの混合工程が先行する。
【0135】
本発明の組成物が2成分形ウオームまたはホットメルト接着剤である場合は、組成物の適用工程i)またはi’)に対して、接着剤、特に成分Aの加熱工程、およびその後の2つの成分AとBの混合工程が先行する。
【0136】
被着材S1および/またはS2として、コンクリート、モルタル、煉瓦、タイル、石膏、天然石、例えば、花崗岩または大理石、ガラス、ガラスセラミック、金属または金属合金、木、プラスチックおよびラッカー、からなる群より選択される被着材の使用が特に適している。
【0137】
本発明の組成物は、通常、被着材に取り付けた適切な装置を使って、実質的に丸または三角形の断面のビーズの形態で適用することが好ましい。適切な組成物適用方法は、例えば、手動または圧縮空気により操作される市販のカートリッジからの、または輸送ポンプまたはエクストルーダーを使ってドラムまたはホブホックからの、任意選択として、適用ロボットによる、投与である。優れた適用特性を有する本発明の組成物は、高いクリープ強度および短い糸引き(drawn thread)を有する。本発明の組成物は、適用後、適用した形に固定されたまま維持され、流れ出ることなく、適用装置の除去後も糸引きを残さないか、ごく短いものを残すのみであり、被着剤が汚れない。
【0138】
本発明は、さらに、上述した組成物を水、特に、大気中の湿気の形態の水、と反応させることにより調製できる硬化組成物に関する。
【0139】
本発明の組成物で接着、シーリング、またはコーティングされる物品は、特に、工業生産製品、消費材、特に、窓、屋内電気器具、または輸送手段、特に、乗り物、または乗り物の付属部品から成る。
【実施例】
【0140】
実施例
以下に、実施形態の実施例を挙げるが、これは、上述した本発明をさらに詳細に説明する意図である。当然、本発明は、記載された実施形態に限定されることはない。
【0141】
試験方法
引張強度、破断時の伸び、および0〜5%伸張時の弾性率(E係数)を、DINEN53504(引っ張り速度:200mm/min)に従って、23℃と50%の相対湿度下で7日間硬化させた厚さ2mm層のフィルムで測定した。
【0142】
ショアA硬度を、DIN53505に従って、23℃および50%の相対湿度下で7日間硬化させた厚さ6mm層の試験片で測定した。
【0143】
組成物の初期強度を、静的荷重下の接着剤のスリップダウン(slip down)挙動を使って測定した。この目的のため、三角形接着剤ビード(幅:10mm;高さ:12mm)を、70℃の温度で、垂直にしたガラスシート上に水平に適用して、30秒後に、120gのガラス試験試料(100x40x6mm)を用いて、ビードがこのガラス試験試料の最大表面の全体幅40mmの全体にわたるように加圧し(30g/cmに相当)、5mmに圧縮して、所定の位置に30秒保持した。次に、固定を緩め、ガラス片のスリップダウン距離(「スリップダウン」)を2分後に測定した。スリップダウン距離が0.5mm以上である組成物を、初期強度不足とした。
【0144】
剛性率をDIN54451に従って測定した、Sika(登録商標)プライマー204N(Sika Schweiz AGから入手可能)で前処理した2つのアルミニウム試験試料(70x25x5mm)を、10x25mm表面を使って接着剤層厚さ1.75mmで接着結合させ、23℃および50%相対湿度下で7日間硬化させた。その後、試験試料を10mm/minの速度で引きはがした。剛性率を10%ずれの位置で測定した。
【0145】
メルト成分の調製
調製物1:3600gのDynacoll(登録商標)7381(Evonik Degussa GmbH、独国、結晶性ポリエステル、M=3500g/mol、OH価29.6)および400gジイソデシルフタラート(DIDP、Palatinol(登録商標)Z、BASFSE、独国)を、120℃で1時間、真空中で攪拌し、全ての存在する水を除去した。次に、混合物を90℃に冷却し、真空を窒素でパージした。窒素雰囲気下、390.66gの3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン(Geniosil(登録商標)GF−40、Wacker Chemie AG、独国)および5.28gのジ−n−ブチルスズジラウラート(Metatin(登録商標)K712、Acima AG、Switzerland)を混合し、遊離イソシアナート基が滴定法により検出されなくなるまで90℃で攪拌を続けた。調製物1は室温で固体である。
【0146】
調製物2:1188gのDynacoll(登録商標)7381および111.11gのジイソデシルフタラート(Palatinol(登録商標)Zを真空中、120℃で1時間攪拌し、全ての存在する水を除去した。次に、混合物を90℃に冷却し、真空を窒素でパージした。窒素雰囲気下、129.25gのイソホロンジイソシアナート(Vestanat(登録商標)IPDI、Evonik Degussa GmbH)、および0.99gのジ−n−ブチルスズジラウラート(Metatin(登録商標)K712)を混合し、一定含量(1.35質量%)の遊離イソシアナート基が滴定法により測定されるまで90℃で攪拌を続けた。その後、164.83gN−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミノコハク酸ジエチルエステルを添加し、遊離イソシアナート基が滴定法により検出されなくなるまで攪拌を続けた。
【0147】
N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミノコハク酸ジエチルエステルは次のように調製した:出発材料は、90.33gの3−アミノプロピルトリメトキシシラン(Silquest(登録商標)A−1110、Momentive Performance Materials Inc.、USA)から成る。適切な攪拌下、86.75gのマレイン酸ジエチルエステル(Fluka Chemie GmbH、Switzerland)を室温でゆっくり添加し、混合物を室温で2時間攪拌した。調製物2は室温で固体である。
【0148】
シラン官能性ポリウレタンポリマー SHの調製
窒素雰囲気下、1000gのPolyol Acclaim(登録商標)12200(Bayer Material Science AG、独国;低モノオールポリオキシプロピレンジオール;OH価11.0mgKOH/g;水含量約0.02質量%)、46.17gのイソホロンジイソシアナート(Vestanat(登録商標)IPDI)、261.72gのジイソデシルフタラート(Palatinol(登録商標)Z)、および0.14gのジ−n−ブチルスズジラウラート(Metatin(登録商標)K712)を90℃になるまで連続攪拌し、この温度で保持した。1時間の反応時間後、遊離イソシアナート基含量が0.70質量%になったことを滴定で確認した。その後、69.88gのN−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミノコハク酸ジエチルエステルを添加し、さらに90℃で2〜3時間攪拌を続けた。遊離イソシアナートがIR分光法(2275−2230cm−1)で検出されなくなるとすぐ反応を停止した。生成物を室温(23℃)まで冷却し、湿気を除去して貯蔵した(理論的ポリマー含量=90%)。SHは室温で液体である。
【0149】
接着剤の調製
表1に示した質量部に従い、真空ミキサー中で、室温にて、液体のシラン官能性ポリマー、ジイソデシルフタラート(Palatinol(登録商標)Z)、およびビニルトリメトキシシラン(Silquest(登録商標)A−171、Momentive Performance Materials Inc.、USA)を5分間十分に混合した。その後、乾燥した沈降炭酸カルシウム(Socal(登録商標)U1S2、Solvay SA、Belgium)および乾燥したカーボンブラック(Monarch(登録商標)570、Cabot Corp.、USA)ならびに前もってオーブン中で70℃で2日間溶融したメルト成分(調製物1、調製物2、PEG2000、Dyn7381)を一緒に60℃で15分間混練した。ヒーターを切り、N−(2−アミノエチル)−(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン(Silquest(登録商標)A−1120、Momentive Performance Materials Inc.)および触媒(Metatin(登録商標)K740またはMetatin(登録商標)K712、10%DIDP溶液として)を真空中で10分間処理し、均質のペーストを得た。次に、後者を、内部がラッカー塗装されたアルミニウムスプレッダーピストンカートリッジに満たした。
【0150】
【表1】

【0151】
【表2】

【0152】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)室温で液体の少なくとも1種の湿気反応性シラン官能性ポリマーと、
ii)式(I)の少なくとも1種のシラン官能性ポリエステルと
を含む組成物:
【化1】

[式中、
Yは、ヒドロキシル基で末端化された室温で固体であるn価のポリエステルPからn個のヒドロキシル基を除去した後の残基を表し;
は、1〜12個のC原子を有する直鎖または分岐の一価の炭化水素基であって、任意選択で1個または複数個のC−C多重結合を有していてもよく、かつ/あるいは、任意選択で脂環式および/または芳香族の部分を有していてもよい基を表し;
は、1〜12個のC原子を有する、アシル基または直鎖もしくは分岐の一価の炭化水素基であって、任意選択で1個または複数個のC−C多重結合を有していてもよく、かつ/あるいは、任意選択で脂環式および/または芳香族の部分を有していてもよい基を表し;
は、1〜12個のC原子を有する直鎖または分岐の二価の炭化水素基であって、任意選択で環式および/または芳香族の部分を有していてもよく、かつ、任意選択で1個または複数個のヘテロ原子を含んでいてもよい基を表し、;
aは、0、1、または2の値を表し;
nは、1〜3の値を表し;
Aは、二価のジイソシアナートから2個のイソシアナート基を除去した後の残基を表し;
qは、0または1の値を表し;さらに
Xは、SまたはNRを表し、
ここで、
は、水素原子、または1〜20個のC原子を有する直鎖もしくは分岐の一価の炭化水素基であって、任意選択で環式の部分を含んでいてもよい基を表すか、または式(II)の基を表し、
【化2】

およびRは、相互に独立に、水素原子、または、-R11、-COOR11、および-CNからなる群から選択される基を表し;さらに
は、水素原子、または、-CH-COOR11、-COOR11、-CONHR11、-CON(R11、-CN、-NO、-PO(OR11、-SO11、および-SOOR11、からなる群から選択される基を表し、
11は、1〜20個のC原子を有する炭化水素基であって、任意選択で1個または複数個のヘテロ原子を含んでいてよい基を表す]。
【請求項2】
ポリエステルPが結晶性ポリエステルであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ポリエステルPの平均分子量Mが、2000g/mol〜7000g/mol、特に、2500g/molを超えて6500g/mol以下、好ましくは3000g/mol〜4000g/molであることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
qの値が0であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
aの値が0または1であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
nの値が2であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
が、1〜5個のC原子を有するアシルまたはアルキル基、特に、メチル、エチ、ルまたはイソプロピル基を表すことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
が、1〜3個のC原子、特に、3個のC原子を有するアルキレン基を表すことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
ポリエステルPの結晶化温度が、ポリエステルPの融点より30℃未満低い温度であることを特徴とする、請求項2記載の組成物。
【請求項10】
前記室温で液体の湿気反応性シラン官能性ポリマーが、シランで末端化されたポリウレタンポリマーであることを特徴とする、前項の内の1項に記載の組成物。
【請求項11】
式(I)のシラン官能性ポリエステルの割合が、組成物全体の0.5〜10質量%であることを特徴とする、前項の内の1つの項に記載の組成物。
【請求項12】
湿気硬化性接着剤、シーリング材、またはコーティングとしての、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項13】
車両用グレージングのための湿気硬化性接着剤としての、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
湿気硬化性ウオームまたはホットメルト接着剤としての、請求項12または13に記載の使用。
【請求項15】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物を含む成分Aと
水を含む成分Bと
からなる2成分形組成物。

【公表番号】特表2012−528221(P2012−528221A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−512371(P2012−512371)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際出願番号】PCT/EP2010/057296
【国際公開番号】WO2010/136512
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】