説明

改良された化粧品組成物

【課題】バニシングクリームベースの感覚的特徴を維持している化粧品ベース組成物の提供。
【解決手段】実質上脂肪酸および石鹸を含まず、しかもバニシングクリームの典型的感覚的および光学的特徴を示す本組成物は、C12〜C22脂肪アルコール3〜10重量%、乳化剤0.1〜5重量%、無機剤2〜5重量%、ポリマー0.1〜5重量%および水を含む。無機剤は、スメクタイトクレーを含む。組成物は、マイルドであり、日焼け止め剤などの広範囲の皮膚効果剤を安定化するためおよび送達するために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚に効果剤(benefit agent)を送達するために使用することができるマイルドな化粧品ベース組成物に関する。特に、本発明は、バニシングクリームの感覚的特徴を提供するマイルドな化粧品ベース組成物に関する。また本発明は、バニシングクリームの感覚的特徴を提供する刺激性の少ない化粧品ベースを含む、局所的用途のための化粧品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
効果剤を送達するための化粧品組成物は、種々のオイルおよびビヒクルを、種々の乳化システムを使用して混ぜ合わせることによって調製される。
【0003】
消費者の多くは、使用の間および使用後の独特の触感特性を有する化粧品製品を望む。詳細には、かかる製品は、皮膚に使用する際に、油性肌の感触および光る皮膚外観を抑えるために高い皮膚摩擦(friction)および艶消し(matte)仕上げを送達するべきである。皮膚摩擦が大きい程、利用者は製品がよりグリース状でないと感じる。一般に、脂肪酸およびアルカリ金属石鹸を含むバニシングクリームベースは、特に暑い、多湿の気候において生活している消費者、または油性肌をもつ消費者によって化粧用に許容しうるビヒクルのような好ましい形態の1つである。
【0004】
さらに詳細には、これらの高皮膚摩擦および艶消し仕上げクリーム(バニシングクリーム)の典型的な感覚的および光学的特徴は、1)乾いた、引きずる(draggy)、グリース状でない、べたつかない感触を皮膚にもたらし、2)光らない、艶消し仕上げをもたらし、3)容易に皮膚に広がり、4)皮膚の中に迅速に吸収または「消えてなくなる」ことである。
【0005】
伝統的に使用されているバニシングクリームは、乳化剤として高水準のステアリン酸およびアルカリ金属石鹸を含み、両方とも製品の物理的安定性および感覚的特性に重要である。通常、石鹸は、総ステアリン酸の一部分を苛性カリまたは他のアルカリにより現場で中和することによって形成される。
【0006】
しかし、不幸にも多くの効果剤、例えば酸性活性物および日焼け止め剤は、大部分脂肪酸に基づいているこのようなバニシングクリームにおいて化学的および物理的に安定ではない。
【0007】
IN190820、米国特許第5827508号および米国特許第5759524号(すべてThe Procter & Gamble Companyに属する)は、光保護化粧品組成物を開示しており、ここでは、日焼け止め剤の化学的および光安定性を改良するために、表面処理酸化亜鉛などの特別の材料が配合に組み込まれている。かかる配合は、実質上脂肪酸を含まない場合があるが、不幸にもバニシングクリームの上記の望ましい感覚的特性に欠けている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明者等は、ステアリン酸または他の脂肪酸および石鹸を含まないが、バニシングクリームベースの感覚的特徴を維持している化粧品ベース組成物に対する必要があることを確認した。本発明者等は、かかる目標が適切な乳化剤により乳化され、ポリマーと共に配合された無機および有機剤を注意深く選択することによって実現できることを見出した。
【0009】
したがって、本発明の目的は、実質上脂肪酸および石鹸を含まず、しかし、バニシングクリームの感覚的特徴を提供することができる化粧品組成物を配合することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、脂肪酸および石鹸を含まず、バニシングクリームの感覚的特徴を提供する一方、バニシングクリームより刺激性のより少ない化粧品組成物を配合することにある。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、脂肪酸および石鹸を含まず、バニシングクリームの感覚的特徴を提供する一方、広範囲の効果剤を組み込むことができ、日焼け止め剤および酸性活性物などの効果剤を安定化させることができる化粧品組成物を配合することにある。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、UV−AならびにUV−Bタイプの日焼け止め剤の効力を向上させることができる化粧品組成物を配合することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、実質上脂肪酸および石鹸を含まず、
i.炭素鎖長C12〜C22を有する脂肪アルコールを組成物の3〜10重量%;
ii.乳化剤を組成物の0.1〜5重量%;
iii.スメクタイトクレーを含む無機剤を組成物の2〜5重量%;
iv.ポリマーを組成物の0.1〜5重量%;および
v.組成物の重量で、少なくとも65%の水
を含む化粧品組成物が提供される。
【0014】
組成物のマイルドさを最大にし、皮膚効果剤の安定化に対する傾向を増大にするために、化粧品組成物は、組成物の重量で、脂肪酸および石鹸合計5%未満、さらに好ましくは2%未満、よりさらに好ましくは0.5%未満、最適には0.1%未満含むことが好ましい。
【0015】
また、使用される乳化剤の融点は、少なくとも35℃であることが好ましい。
【0016】
水は、好ましい溶媒であり、好ましくは組成物の65〜85重量%の水準で組み込まれる。水に加えて、他の溶媒を組成物の0.5から10重量%の水準で組み込むことができる。適切な溶媒の例には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、エタノール、イソプロパノール、ソルビトールエステル、ブタンジオール、アセトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよびその混合物が含まれる。
【0017】
また、本発明による組成物は、希釈剤、分散剤または他の材料のための担体として作用する、化粧品的に許容されるビヒクルとして使用することができる。本発明による組成物は、組成物が皮膚に使用された場合に、局所的適用に有用な効果剤をその分配が容易になるように、組み込むことによって化粧品組成物を配合するために使用することができる。これらの効果剤は、スキンケア産業において通常使用されている広範囲の化粧品および医薬品成分を含むことができ、これらは本発明の組成物における使用に適する。これらの材料は、その自然のままの(無水の)状態において20%(組成物の重量で)を超えない水準で組み込むことができ、単独、または1つまたは複数のビヒクルまたはエマルジョン(水中−油、油中−水、または水中−油中水エマルジョンを含む)の混合物と共に組み込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の化粧品組成物において、含有させるに適する好ましい成分を、次に詳細に記載する。
【0019】
脂肪アルコール
適切な脂肪アルコールは、一般に炭素鎖長C12〜C22を有するものから選択される。脂肪アルコールの少なくとも50重量%が直鎖脂肪アルコールであることが好ましい。脂肪アルコールは、飽和脂肪アルコールであることが特に好ましい。また、脂肪アルコールの重量%で総脂肪アルコールの少なくとも50%が、少なくとも35℃の温度で固体であることが特に好ましい。
【0020】
ステアリル、セチルまたはセトステアリルアルコールから選択された脂肪アルコールの1つまたは組合せが特に好ましい。
【0021】
脂肪アルコールの総濃度は、化粧品組成物の3〜10重量%、さらに好ましくは4〜7%の範囲である。
【0022】
乳化剤
組成物中で使用される乳化剤は、非−石鹸洗剤を含み、石鹸を含まない。乳化剤は、好ましくはアニオンまたは非イオン界面活性剤から選択される。乳化剤の総濃度は、組成物の0.1〜5重量%、好ましくは1〜4%の範囲である。使用される乳化剤の融点は、少なくとも35℃であることが特に好ましい。
【0023】
アニオン界面活性剤の非限定的例は、アルキルスルフェート、アラルキルスルフェート、アルキルエトキシエーテルスルフェート、アルカリールスルフェート、アルキルサクシネート、アルキルスルホサクシネート(モノ−およびジアルキル、例えばC〜C22スルホサクシネートを含む)、n−アルコイルサルコシネート、イセチオネート、およびタウレートである。
【0024】
非イオン乳化剤の非限定的例には、グリセリルカプレート、グリセリルラノレート、グリセリルミリステート、グリセリルラウレート、グリセリルジラウレート、グリセリルモノステアレート、グリセリルモノヒドロキシステアレート、グリセリルステアレートSE、グリセリルステアレートシトレート、グリコールステアレート、グリコールジステアレート、グリコールジラウレート、ジエチレングリコールジラウレート、プロピレングリコールステアレート、プロピレングリコールラウレート、プロピレングリコールジステアレート、パームグリセリド、水素化ココグリセリド、スクロースジステアレートなどのグリセリルエステル、エチレングリコールエステル、プロピレングリコールエステルおよび脂肪酸のスクロースエステルが含まれる。
【0025】
他の非イオン乳化剤の有用なクラスは、脂肪酸、脂肪酸グリセリドおよびソルビタンエステルの5〜150の範囲のエチレン基を有するポリエチレンエステルである。例には、PEG−8ステアレート、PEG−9ステアレート、PEG−8ジステアレート、PEG−20ステアレート、PEG−30ステアレート、PEG−40ステアレート、PEG−50ステアレート、PEG−100ステアレート、PEG−150ラウレート、PEG−30グリセリルステアレート、PEG−25グリセリルトリオレエート、PEG−15グリセリルリシノレート、PEG−20グリセリルステアレート、PEG−20グリセリルイソステアレート、PEG−20グリセリルオレエート、PEG−20グリセリルラウレート、PEG−30ステアレート、PEG−30グリセリルステアレート、PEG−40ソルビタンラノレート、PEG−6ソルビタンみつろうおよびPEG−20ソルビタンみつろうが含まれる。
【0026】
さらに他の非イオン乳化剤の有用なクラスは、2〜30の範囲のエチレン基を有するエトキシル化脂肪アルコールによって代表される。
【0027】
他の非イオン性乳化剤は、ソルビタンステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンラウレート、コレステロール、ラノリン、フィトステロール、レシチンおよび水素化レシチンのようなソルビタンモノエステルを含むことができる。
【0028】
無機剤
有機変性を伴うか、または伴わない無機剤は、組成物の部分である。組成物中のこれらの薬品の総量は、組成物の2〜5重量%の範囲にある。無機剤は、スメクタイトクレーを含む。スメクタイトクレーは、無機剤の少なくとも20重量%が好ましく、さらに好ましくは少なくとも30%、よりさらに好ましくは40%、最適には少なくとも50%である。
【0029】
好ましくはスメクタイトクレーは、モンモリロナイト(ベントナイト、ヘクトライトおよびその誘導体)などのケイ酸アルミニウム;精製ケイ酸マグネシウムアルミニウム(種々のグレードにおいてVeegum(商標)として市販されている);精製ケイ酸ナトリウムマグネシウム(種々のグレードにおいてLaponite(商標)として市販されている);クォータニウム(quaternium)−18ベントナイト、クォータニウム−18ヘクトライト、ステアラルコニウムベントナイトおよびステアラルコニウムヘクトライトなどのテトラアルキルおよび/またはトリアルキルアンモニウムスメクタイト(有機的に変性されたモンモリロナイトクレー)を含む有機的に変性されたスメクタイト;およびその混合物からなる群から選択される。
【0030】
モンモリロナイトは、クレー鉱物を代表するものであり、複八面体スメクタイトに属し、水中で膨潤するが可塑化しない材料である。モンモリロナイトの3層構造における層パケットは、水(2〜7倍量の)および他の物質、例えばアルコール、グリコール、ピリジン、α−ピコリン、アンモニウム化合物、ヒドロキシアルミノケイ酸塩イオン等、などを可逆的に組み込む結果として膨潤しうる。
【0031】
モンモリロナイトは、イオン交換能力が大きいので、アルミニウムは、Mg、Fe(II)、Fe(III)、Zn、Pb、Cr、Cuおよびその他によって置換することができる。八面体層の得られた負の電荷は、層間位置にある特にNa(ナトリウムモンモリロナイト)およびCa2+(カルシウムモンモリロナイト)カチオンによってバランスされる。
【0032】
モンモリロナイトまたはベントナイトの有機親和化(層間カチオンを第4級アルキルアンモニウムイオンに換える)は、本明細書においてまた有用な生成物(ベントン)を生成する。
【0033】
無機剤の残与は、個々にまたは混合物として、以下のものから選択することができる:シリカ、ケイ酸塩、コロイドシリカ、粒子の表面にある遊離−OH基が有機酸的に変性(完全に、または部分的に)されているケイ酸塩顔料、チョーク、タルク、カオリン、フーラー土、ナトリウムポリアクリレート、化学的に変性されたケイ酸マグネシウムアルミニウム、水和ケイ酸アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、およびその混合物。
【0034】
ポリマー
ポリマーの総濃度は、組成物の0.1〜5重量%、好ましくは0.3〜2%の範囲である。
【0035】
適切なポリマーは、以下のクラスの増粘剤/ゲル化剤から選択することができる:アクリルアミド、タウレート、架橋ポリアクリレートポリマー、アクリル酸コポリマー、ポリサッカライド、でんぷん(変性でんぷんを含む)および親水コロイド。
【0036】
好ましいポリマーは、カルボン酸ポリマー、架橋ポリアクリレートポリマー、ポリアクリルアミドポリマーおよびその混合物からなる群から選択されるものである。さらに好ましいポリマーは、架橋ポリアクリレートポリマー、ポリアクリルアミドポリマーおよびその混合物からなる群から選択されたものである。参照:米国特許第4387107号(Kelin等、1983年6月7日発行)および「Encyclopedia of Polymers and Thickeners for Cosmetics」、R.Y.LochheadおよびW.R.Fron、編集、Cosmetics and Toileteries 108巻、95〜135頁(1993年5月)、これらは種々のポリマー、増粘剤および/またはゲル化剤を列挙しており、これら全体を参照により本明細書にすべて合体する。
【0037】
カルボン酸ポリマー:
本明細書で有用な市販のカルボン酸ポリマーの例は、カルボマーを含み、これは、スクロースまたはペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマーである。これらのカルボマーは、B.F.GoodrichからCarbopol(商標)900シリーズとして市販されている。本明細書において有用な他のタイプの市販のカルボン酸ポリマーは、アクリル酸、メタクリル酸またはその短鎖(すなわち、C〜Cアルコール)エステルの1つまたは複数とのC10〜C30アルキルアクリレートのコポリマーを含み、ここでは架橋剤は、スクロースまたはペンタエリスリトールのアリルエーテルである。これらのコポリマーは、アクリレート/C10〜C30アルキルアクリレートクロスポリマーとして知られており、B.F.GoodrichからCarbopol(商標)342、Pemulen(商標)TR−1およびPemulen(商標)TR−2として市販されている。したがって、本明細書において有用なカルボン酸ポリマーの好ましい例は、カルボマー、アクリレート/C10〜C30アルキルアクリレートクロスポリマー、およびその混合物からなる群から選択されるものである。
【0038】
ポリアクリルアミドポリマー:
また、ポリアクリルアミドポリマー、とりわけ置換された分岐または非分岐ポリマーを含む非イオンポリアクリルアミドポリマーが、本明細書において有用である。これらポリアクリルアミドポリマーの中で、最も好ましいのは、CTFA指定されている非イオンポリマー、ポリアクリルアミドおよびイソパラフィンおよびLaureth−7であり、商品名Sepigel(商標)305の下にSeppic Corporation(Fairfield、NJ)から入手できる。
【0039】
本明細書において有用な他のポリアクリルアミドポリマーには、アクリルアミドおよび置換アクリルアミドと、アクリル酸および置換アクリル酸とのマルチブロックコポリマーが含まれる。これらマルチブロックコポリマーの市販の例には、Lipo Chemicals Incorporated(Patterson、N.J.)からのHypan(商標)SR150H、SS500V、SS500W、SSSA100Hが含まれる。またINCI名、アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/ビニルピロリドンコポリマーを有し、実験式[C16SO[CNO]を有する化合物は、本発明の目的に有利である。本発明の目的に好ましい種類は、登録番号58374−69−9、13162−05−5および88−12−0の下にChemical Abstractsにおいて列挙されており、商品名Aristoflex(商標)AVCの下に、Clariant GmbHから市販されている。また、アクリロイルジメチルタウレート、例えばSeppic CorporationからのSimugel(商標)EGなどを含むコポリマー/クロスポリマーも有利である。
【0040】
ポリサッカライド
広範囲のポリサッカライドが、本明細書において有用である。「ポリサッカライド」とは、くり返し糖(すなわち、炭水化物)単位の骨格を含む(ゲル化)剤を意味する。ポリサッカライドの非限定的例には、セルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、微結晶性セルロース、ナトリウムセルロースサルフェート、およびその混合物からなる群から選択されたものが含まれる。また、アルキル置換されたセルロースも本明細書において有用である。これらのポリマーにおいて、セルロースポリマーのヒドロキシ基は、ヒドロキルアルキル化(好ましくはヒドロキシエチル化またはヒドロキシプロピル化)されており、ヒドロキシアルキル化セルロースを形成し、これは、次いでエーテル結合によりC10〜C30直鎖または分岐鎖アルキル基でさらに変性される。一般に、これらのポリマーは、ヒドロキシアルキルセルロースとC10〜C30直鎖または分岐鎖アルコールのエーテルである。本明細書において有用なアルキル基の例には、ステアリル、イソステアリル、ラウリル、ミリスチル、セチル、イソセチル、ココイル(例えば、ココナッツ油のアルコールから得られるアルキル基)、パルミチル、オレイル、リノレイル、リノレニル、リシノレイル、ベヘニル、およびその混合物からなる群から選択されたものが含まれる。
【0041】
アリキルヒドロキシアルキルセルロースエーテルの中で、セチルアルコールおよびヒドロキシエチルセルロースのエーテルであるCTFA指定の材料セチルヒドロキシエチルセルロースが好ましい。この材料は、Aqualon Corporationから商品名Natrosol(商標)CSの下に販売されている。
【0042】
本発明書において有用な他の追加のポリマー/増粘剤/ゲル化剤は、主として天然資源から得られた材料を含む。これらの薬品の非限定的例には、でんぷんおよびでんぷん誘導体、アラビアゴム、寒天、アルギン、アルギン酸、アルギン酸アンモニウム、アミロペクチン、アルギン酸カルシウム、カルシウムカラゲーナン、カルニチン、カラゲーナン、デキストリン、ゼラチン、ゲランゴム、グアーゴム、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ヒアルロン酸、水和シリカ、ヒドロキシプロピルキトサン、ヒドロキシプロピルグアー、カラヤゴム、ケルプ、ローカストビーンガム、納豆(natto)ガム、アルギン酸カリウム、カラゲーナンカリウム、アルギン酸プロピレングリコール、菌核ゴム、ナトリウムカルボキシメチルデキストラン、カラゲーナンナトリウム、トラガカントゴム、キサンガムおよびその混合物からなる群から選択される材料が含まれる。
【0043】
親水コロイド(Hydrocolloids)
「親水コロイド」は、より正確な名称「親水性コロイド(hydrophilic colloid)」の技術的略称である。親水コロイドは、高分子であり、主に線状構造を有し、個々の分子間に2価および1価結合を可能とし、したがって網状構造を可能とする相互作用をもつ分子内力を有する。かかる水溶性ポリマーは、化学的に非常に異なる天然または合成ポリマーの大きなグループを表し、その共通の特徴は、水または水性媒体における溶解性である。このことに対する必要条件は、これらのポリマーが水中の溶解性に十分な多数の親水性基を有し、しかも架橋し過ぎないことである。親水性基は、性質が非イオン、アニオンまたはカチオンであってよい。
【0044】
任意の皮膚効果剤および感触改質剤
適切な追加の皮膚効果剤には、日焼け止め剤、老化防止、しわ減少、皮膚白色化/淡色化(lightening)、抗傷、抗刺激物、抗ざ瘡、および皮脂/油減少剤、潤い賦与剤(moisturizing agent)、湿潤剤、皮膚軟化剤ならびに油、皮膚緩和剤(emollient)、シリコーン、変性無機および有機粒子等などの感触改質剤が含まれアロマテロピー剤および香料が組成物中に含まれてよい。
【0045】
皮膚緩和剤および油には、限定するものではないが、ステアリルアルコール、グリセリルモノリシノレート、セチルアルコール、イソプロピルイソステアレート、イソブチルパルミテート、イソセチルステアレート、オレイルアルコール、イソプロピルラウレート、ヘキシルラウレート、デシルオレエート、オクタデカン−2−オール、イソセチルアルコール、エイコサニルアルコール、ベヘニルアルコール、セチルパルミテート、ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン油、ジ−n−ブチルセバケート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルステアレート、ブチルステアレート、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、ラノリン、ココアバター、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、パーム核油、ナタネ油、サフラワー油、月見草油、大豆油、ヒマワリ油、アボカド油、ゴマ油、ココナッツ油、ラッカセイ油、ヒマシ油、アカチル化ラノリンアルコール、石油ゼリー、鉱油、スクアラン、スクアレン、コレステロール、ブチルミリステート、イソプロピルリノレート、ラウリルラクテート、ミリスチルラクテート、デシルオレエート、ミリスチルミリステート;およびその混合物等が含まれる。
【0046】
シリコーン油の非限定的例には、ポリジメチルシロキサン、シクロメチコン、フェニルトリメチコン、ジメチコノールおよびその混合物が含まれる。
【0047】
湿潤剤はグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、エトキシル化およびプロポキシル化グリセロール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、へキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、およびその混合物の非限定的リストから選択することができる。
【0048】
日焼け止め剤
無機日焼け止め剤または日光遮断剤および/または有機日焼け止め剤の混合物を、皮膚に局所的に適用することによって、UV−AならびにUV−B光線の有害な作用に対する皮膚の相乗的に向上した保護が実現する。
【0049】
本発明において使用することのできる1つまたは複数の日焼け止め剤は、紫外線の有害な作用を吸収または遮断する能力をもつ必要がある。さらに、それらは、皮膚に適用した場合に、無毒で非刺激性でなければならない。
【0050】
日焼け止め組成物において使用することのできる適切な日焼け止め剤の非限定的例には、例えばパラ−アミノ安息香酸(PABA)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン)、ベンゾフェノン−1、ベンゾフェノン−2、ベンゾフェノン−3、ベンゾフェノン−4、ベンゾフェノン−6、ベンゾフェノン−8、ベンゾフェノン−12、メトキシシンナメート、エチルジヒドロキシプロピル−PABA、グリセリルPABA、ホモサレート、メチルアントラニレート、オクトクリレン、オクチルジメチルPABA、オクチルメトキシシンナメート、オクチルサリチレート、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、トリエタノールアミンサリチレート、3−(4−メチルベンジリデン)−樟脳、赤色ペトロラタム、酸化亜鉛、二酸化チタン、3−(4−メチルベンジルジン)ボラン−2−オン(メチルベンジンジン樟脳)、ベンゾトリアゾール、フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、メチレンビス−ベンゾトリゾイルテトラメチルブチルフェノール、およびその混合物が含まれる。
【0051】
有用な無機日焼け止め剤(または日光遮断剤)には、限定するものではないが、酸化亜鉛、酸化鉄、ヒュームドシリカなどのシリカおよび二酸化チタンが含まれる。本発明による組成物中に好適に組み込まれる無機日焼け止め剤の総量は、組成物の0.1〜5重量%である。
【0052】
超微粒二酸化チタンは、本発明に対してとりわけ適し、その2種の形態のどちらか、すなわち水分散性二酸化チタンおよび油分散性二酸化チタンであってよい。
【0053】
水分散性二酸化チタンは、超微粒二酸化チタンでありその粒子は、被覆されていないか、または粒子に親水性表面特性を賦与するための材料で被覆されている。そのような材料の例には、酸化アルミニウムおよびケイ酸アルミニウムが含まれる。油分散性二酸化チタンは、超微粒子二酸化チタンであり、その粒子は、疎水性表面特性を示し、この目的のために、アルミニウムステアレート、アルミニウムラウレートまたは亜鉛ステアレートなどの金属石鹸で、または有機シリコーン化合物で被覆しうる。
【0054】
組成物における1つまたは複数の日焼け止め剤の量は、所望の日光防御因子(SPF)または日焼け防御指数(TPI)により上記の範囲において変化することになる。SPF/TPIがより高くなると、日焼け止め剤の総量はより多くなる。
【0055】
好ましい日焼け止め剤は、アボベンゾン、ベンゾフェノン−3、オクチルメトキシシンナメート、オクチルサリチレート、ホモサレート、酸化亜鉛、オクトクリレン、アボベンゾン、二酸化チタン、およびその混合物である。
【0056】
以下の実施例は、限定としてではなく、本発明の原理に関する実施例として本発明を実施する最良の方法を例示するものである。
【実施例】
【0057】
i.感覚的研究:
表1に記載のとおり本発明による配合(実施例A)を、ポリマーおよび/または無機剤(比較例1、2および3)のない同様な配合と一緒に、重要なバニシングクリーム状の感覚的特性について、従来のバニシングクリームベース(比較例4)と比較した。乳化剤が含まれていない場合には、配合が不安定であったので、感覚的研究において試験しなかった。
【0058】
表1に記載のとおりある既知量の試験配合物を使用し、それを従来のバニシングクリームと比較する15名の訓練された女性の熟練代表を使って研究を実施した。回答者にコード化された試料を無作為の順番で提供した。回答者は、使用の間ならびに使用後、配合物の感覚的計数値についてその見解を示した。各々の回答者は、1〜10の等級を使用して、一組の属性値(表2に示すように)により、それぞれの配合物に評点を付けた。各々の回答者は、対照配合物を使用し、それぞれの属性値に対する等級、例えばグリース性状に対しては1(水のように完全に非グリース性)〜10(石油ゼリーのように非常にグリース性/高粘度)の範囲の等級を明確にし、評価者として妥当なことを規則的に確認した。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【0061】
高い評点は、記載された感覚的特性のより高い支持を意味し、すなわち最終グリース性状の評点1.84は、評点3.11を有するクリーム(よりグリース状の最終感触)よりも、よりグリース状でない最終感触を意味する。平滑性および光沢のパラメーターは、所望特性である引きずるおよび艶消し感触とは反対のパラメーターである。したがって、平滑性に関するより低い評点は、より引きずることを示し、一方光沢に関するより低い評点は、より艶消しであることを示す。
【0062】
表2における上記データが明示するとおり、本発明による配合(実施例A)だけが、高ステアリン酸バニシングクリーム(比較例4)とほとんど完全に匹敵するが、乳化剤、またはポリマーまたは無機剤を除くと、同様の効果をもたらさない。
【0063】
ii.マイルドさ
標準バニシングクリーム(比較例4)に対する本発明(実施例A)による化粧品ベース組成物のマイルドさを試験するために、多重暴露貼付試験法を使用した。この研究のために、24名の多人種の回答者(男性ならびに女性)を用いた。18mmウエブリル(Webril)パッドを装着したヒル−トップチャンバー(Hill−Top Chambers)を使用し、非刺激性テープでその場に保持して、腕の上部外側面を一度24時間曝し、次いで同一の場所で、18時間暴露を最大3回行った。適用する直前に、試験材料0.2ml(200mg)をパッドに塗布した。試験部位をパッチ除去6時間後、刺激の水準(組合せドレーズ刺激尺度(combination Draize irritation scale))で段階に分けた。また、試験部位をその時の重篤さの順にランクを付けた。最も重篤な部位をランク1とし、次いで、ランクが増大(2、3、4等)する順によりマイルドな配合になる。部位における刺激が、累積評点2を超える場合には、その部位に再度貼付はしない。マイルドさの分析は、累積ランクの和(高い評点は、よりマイルドな配合を示す)の使用ならびに打ち切った回答者の数に基づいて行った。データを表3に示す。
【0064】
【表3】

【0065】
上記結果は、本発明による化粧品ベース組成物(実施例A)が、対応するバニシングクリームベース配合物(比較例4)よりもよりマイルドであることを示している。
【0066】
iii.日焼け止め剤安定性および効力における改良:
日焼け止め剤安定性(特に、オクチルメトキシシンナメートおよび非被覆酸化亜鉛の日焼け止め剤安定性)は、高ステアリン酸含有配合物において悪影響を受ける。
【0067】
日焼け止め剤安定性および関連した効力改良における、本発明による組成物の効果を評価するために、生体外ならびに生体内の研究を実施した。
【0068】
SPF測定:生体外日光防御因子(SPF)を製造21日後に測定した。37ミクロン金属ドローダウン塗布器具を使用して、製品皮膜を石英板上に引き、暗所において30分間乾燥させた。板上の特定の場所の皮膜の吸光度を、波長290〜400nmでSPE290(Optometrics USA社)を使用して読み取った。その場所を連続的に照射し、90秒(s)間隔で10回読み取った。最初から最後の走査までの300nmでの吸光度における変化を、配合物における日焼け止め剤安定性の尺度とした(すなわち、最初の吸光度に対する%=100300nmにおける吸光度(走査10)/300nmにおける吸光度(走査1))。配合物1つ当たり、3つの試料を作製し、平均のSPF値を採用した。配合物の詳細および日焼け止め剤安定性の尺度を表4に示す。
【0069】
【表4】

【0070】
上記結果は、本発明の化粧品組成物(実施例BおよびC)は従来のバニシングクリームベース(比較例5)に比較して、日焼け止め剤の安定性(主にUV−Bタイプ)がより大きいことを示すことを明示する。
【0071】
日焼け研究:この研究は、日焼け止め剤の日焼け防御効力(主としてUV−A成分のために)を評価するために計画した。この研究は、研究要員も研究題目も、試験製品組成物を承知していない二重ブラインド法に従った。両方の前腕(ひじから手首までの区域)を処理のために選択し、配合物およびそれぞれの対照および未処理部分を維持した。場所を真昼の日光に30分間曝し、適用前および第1日の暴露の直後に臨床的/視覚的に評価した。評価は、日焼けの種々の兆候/程度について、明確な定性的記述語を有する日焼け基準を使用して、熟練格付員によって実施された。適用および日光暴露は、連続して3日間続けた。通常メラニン形成は、暴露後、5〜7日位が最大であるので、場所を日焼けに対して10日目まで視覚的に評価した。10日目に、後視覚評価、日焼け防御指数またはTPI[(未処理場所の日焼け水準の等級−処理場所の日焼け水準の等級)/未処理場所の日焼け水準の等級]を計算した。TPI値が大きいほど、より日焼け防御がよい(すなわち、観察される日焼けがより少ない)。
【0072】
表5は、この研究で試験された配合物の組成および10日目に見られた日焼け防御の結果を示す。
【0073】
【表5】

【0074】
上記結果は、従来のバニシングクリーム(比較例6)と同じ日焼け止め剤を有する本発明による組成物(実施例D)は、著しく改良された日焼け防御を示すことを示す。また、上記結果は、非被覆60nm直径酸化亜鉛日焼け止め剤(Nanox(商標)200)が添加された配合物(実施例Eおよび比較例7)に対し、同じ傾向を再現することを示す。実施例Dならびに実施例Eについての結果は、バニシングクリームベースと比較して、本発明による組成物により、改良された日焼け止め効力が実現されることを明確に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物の3から10重量%の量のC12〜C22脂肪アルコール;
組成物の0.1から5重量%の量の乳化剤;
組成物の2から5重量%の量のスメクタイトクレーを含む無機剤;
組成物の0.1から5重量%の量のポリマー;および
組成物の少なくとも65重量%の量の水
を含む、実質上脂肪酸および石鹸を含まない化粧品組成物。
【請求項2】
脂肪アルコールの量が、組成物の4から7重量%である請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項3】
脂肪アルコールの少なくとも50重量%が、直鎖脂肪アルコールである請求項1または2に記載の化粧品組成物。
【請求項4】
脂肪アルコールが、飽和脂肪アルコールを含む請求項1から3のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項5】
乳化剤が、少なくとも35℃の融点を有する請求項1から4のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項6】
乳化剤が、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、およびその混合物から選択される請求項1から5のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項7】
乳化剤の量が、組成物の1から4重量%である請求項1から6のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項8】
無機剤の少なくとも20重量%が、スメクタイトクレーである請求項1から7のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項9】
スメクタイトクレーが、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライト、精製ケイ酸マグネシウムアルミニウム、精製ケイ酸ナトリウムマグネシウム、有機変性スメクタイト、およびその混合物からなる群から選択される請求項1から8のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項10】
ポリマーの量が、0.3から2%である請求項1から9のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項11】
バニシングクリームとしての、請求項1から10のいずれか一項に記載の化粧品組成物の使用。
【請求項12】
1つまたは複数の皮膚効果剤の安定化のための、請求項1から10のいずれか一項に記載の化粧品組成物の使用。
【請求項13】
1つまたは複数の日焼け止め剤の効力を向上させるための、請求項1から10のいずれか一項に記載の化粧品組成物の使用。
【請求項14】
個人の皮膚に1つまたは複数の皮膚効果剤を送達するためのビヒクルとしての、請求項1から10のいずれか一項に記載の化粧品組成物の使用。

【公開番号】特開2006−241152(P2006−241152A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−43429(P2006−43429)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】