説明

改良された容量およびセキュリティを有するワイヤード通信システム

【課題】ケーブル通信ネットワークにおいて、分割デュプレキシング技法を使用することなしに同軸ケーブルを介してデータを送信および受信できるようにする。
【解決手段】ケーブル通信ネットワークは、DFD対応ネットワークノードを含み、そのケーブルネットワークへの各加入者は、DFDモードで動作するように構成されたDFDシステムを装備する。DFDシステムは、逆方向に伝搬する信号が1つの周波数チャネルを介して送信することができ、そして、DFD技法は最初に送信された信号を回復するために使用され得る。さらに、DFD技法は、ケーブル通信ネットワーク内で送信されるデータのセキュリティを強化するために、暗号化法とともに使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、通信システムに関し、特に、無分割デュプレキシングを使用して通信を行うシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信ネットワークは、様々な通信ルートを介して通信する能力がある複数の通信デバイスを含み得る。そのネットワークの構成に応じて、通信ルートは、デバイスを接続する中央ネットワークノードを介して、1つの通信デバイスから別の通信デバイスに作ることができ、または、通信ルートは、そのネットワークの任意のデバイス間のリンクを含み得る。たとえば、ケーブル通信ネットワークは、そのファイバリング内で接続された複数のユーザの間で共用される同軸ケーブルを有するファイバリングの1つまたは複数のサブネットワークを含み得る。各ファイバリングは、住宅の近傍をサポートすることができ、たとえば、接続された住宅の各々の中のデバイスは、中央ネットワークノード(たとえば、インターネットアクセスポイント、ケーブルテレビジョンプロバイダなど)を有する共用同軸ケーブルを介して通信することができる。
【0003】
概して、各ユーザを別のユーザにまたはネットワークノードに接続する同軸ケーブルは、信号の双方向伝送に関与することができる。逆方向に伝搬する信号間の直接干渉を避けるために、デュプレキシング技法が通常は使用され得る。デュプレキシング技法は、2つの通信するデバイスが情報(たとえば、データ、音声信号など)の送信および受信の両方を行えるようにするための時分割、周波数分割、および/または符号分割デュプレキシングを含み得る。たとえば、時分割デュプレキシングは、時間内に入力(受信される)信号および出力(送信される)信号を分離するために、時分割多重化を使用することができる。信号の時分割は、信号が同時に送信および受信されているとして認識され得るように、十分に速いことがある。周波数分割デュプレキシングには、異なる周波数で動作する信号送信機および受信機を必要とし得る。送信および受信信号の周波数は、それらの変調された周波数スペクトルが重複しないように、十分に分離することが可能であり、各通信デバイスの受信機は、同時に、意図した周波数を受信し、それ自体の送信信号は拒否するように調整可能である。符号分割デュプレキシングは、ある種の信号が通信の受信側で受信されるときに他の信号から分離され得るように、符号での送信信号の符号化を含み得る。
【0004】
分割デュプレックスシステムは、信号のほぼ同時の送信および受信を可能にすることができるが、そのようなシステムは、ますます複雑になったある種の通信ネットワークには不十分であることがある。たとえば、時分割デュプレックスシステムを使用するネットワークは、信号の時間多重化により信号の受信で時間を無駄にすることがあり、周波数分割デュプレックスシステムを使用するネットワークは、ますます多数になる通信デバイスをサポートする伝送リンクについて限られた量の使用可能な周波数スペクトルを有することがある。さらに、データセキュリティは、ケーブル通信ネットワークにとって共通の問題であり、通常のデュプレックスシステムは、そのような問題に対処するのに十分ではないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7349678号明細書
【発明の概要】
【0006】
一実施形態で、通信ネットワークにおいて通信を管理する方法が提供される。本方法は、ケーブル通信ネットワーク内のケーブルを介して第1の方向で第1のデバイスからデータを送信するステップと、そのケーブルを介して第1の方向と反対の第2の方向で第2のデバイスからデータを送信するステップとを含む。第1の方向で送信されるデータおよび第2の方向で送信されるデータは、無分割デュプレキシング(DFD)技法を使用し、ほぼ同時に送信される。
【0007】
もう1つの実施形態は、複数のノードを含むケーブル通信システムを提供する。その複数のノードの各々は、その複数のノードの各々がDFDモードで動作可能であるように構成された無分割デュプレキシング(DFD)システムを含む。そのケーブル通信システムはさらに、その複数のノードの各々の動作のモードを制御するように構成されたプロセッサを含む。
【0008】
さらに別の実施形態は、ケーブルネットワーク内の同軸ケーブルからアナログ一次信号を受信する能力がある受信機とその同軸ケーブルにアナログ送信信号を送信する能力がある送信機とを含む無分割デュプレキシング(DFD)システムを提供する。本DFDシステムは、アナログ参照信号を提供するためにアナログ送信信号の一部をサンプリングする能力がある方向性結合器を含む。本DFDシステムはまた、アナログ一次信号をデジタル一次信号に変換する能力がある第1のアナログ−デジタル変換器とアナログ参照信号をデジタル参照信号に変換する能力がある第2のアナログ−デジタル変換器とを含む。さらに本DFDシステムは、適応フィルタのフィルタ重みを判定するための入力としてデジタル参照および一次信号を使用して出力を提供する適応フィルタでデジタル参照信号を処理するための命令を有するプロセッサを含む。そのプロセッサはまた、デジタル一次信号から適応フィルタの出力を減算してデジタルキャンセルされた信号を生成するための命令を含む。
【0009】
本発明のこれらのおよび他の特徴、態様、および利点は、以下のような図面を通じて同様の文字が同様の部分を表す添付の図面を参照して、以下の詳細な説明が読まれるときに、よりよく理解されることになろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本技法の実施形態による、ファイバリングに接続されたケーブル通信ネットワークの一部の一例の図である。
【図2】本技法の実施形態による、図1に示すケーブル通信ネットワークと使用するのに適した無分割デュプレキシングシステムの一例の図である。
【図3】本技法の実施形態による、図2に示すシステムのハードウェア実装のブロック図である。
【図4】本技法の実施形態による、無分割デュプレキシングシステムにおける暗号変数の伝送を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
通信ネットワークは、信号を送信および/または受信する能力がある複数の相互接続されたデバイスを含み得る。通信ネットワークは、1つのデバイスを別のデバイスに接続する様々なタイプの構成を有し得る。たとえば、ケーブル通信ネットワークは、各ファイバリング内で接続された複数のユーザの間で共用されるケーブル(たとえば、同軸ケーブル)を有するファイバリングの1つまたは複数のサブネットワークを含み得る。各ファイバリングは、住宅の近傍をサポートすることができ、たとえば、接続された各々の住宅の中の接続されたデバイスは、共用同軸ケーブルを介して通信することができる。データは、接続されたデバイスおよび中央ネットワークノード(たとえば、インターネットアクセスポイント、ケーブルテレビジョンプロバイダなど)の間の共用同軸ケーブルを介して送信および受信され得る。
【0012】
図1は、中央ネットワークノード8に接続されたファイバリング12を有する通信ネットワーク10の一構成の図である。ファイバリング12は、互いに通信するようにおよび/または中央ネットワークノード8と通信するように構成された複数のファイバハブ14を接続することができる。いくつかの実施形態で、ファイバハブ14の各々は、ファイバノード15を介して接続することができる。各ファイバノード15は、同軸ケーブル20を介して住宅の近傍16(たとえば、住宅16a〜16d)を接続することができ、各住宅16は1つまたは複数のユーザ18(たとえば、ラップトップ18aの1ユーザおよびデスクトップ18bの1ユーザ)を有し得る。データは、ファイバリング12および同軸ケーブル20を介してネットワーク10内で通信され得る。同軸ケーブル20は、データの双方向伝送のために構成され得る。双方向データ伝送は、逆方向でのデータのほぼ同時の転送を意味し得る。たとえば、データは、その住宅からファイバノード15へおよびファイバノード15から住宅16への方向で送信され得る。
【0013】
同軸ケーブル20は双方向であるので、住宅16a内のデバイス18またはデバイス18aおよび18bは、データをほぼ同時に送信および受信することができ得る。概して、双方向信号のほぼ同時の伝送は、逆方向に伝搬する信号の間の直接干渉を回避するための技法を含み得る。デュプレキシング技法とも呼ばれるそのような技法は、2つの通信するデバイスが情報の送信および受信の両方を行えるようにするために、時分割、周波数分割、および/または符号分割デュプレキシングを含み得る。しかし、分割デュプレックス技法はほぼ同時の双方向通信ルートを可能にし得るが、そのような分割デュプレックスシステムは、典型的ケーブル通信システムでの様々な問題に対処するには不十分であることがある。
【0014】
ケーブル通信ネットワークは大きさおよび複雑さを増しているので、帯域幅およびセキュリティなどのある種の問題はますます重要になり得る。たとえば、広い近傍にいる多数のユーザを含むケーブル通信システムは、帯域幅消費の増加をもたらし得る。ネットワーク10を例にすると、ネットワークノード15を介して住宅16におよび住宅16から送信される信号は、各ネットワークノード15に接続された住宅16が増えるにつれて、および/または、住宅16の近傍を接続するより多くのネットワークノード15がネットワークハブ14に接続されるにつれて、より多くの帯域幅を使用し得る。たとえば、周波数分割デュプレキシング技法がネットワークノード15および住宅16の間で信号を送信するために使用される場合、各住宅16は2つの別個の周波数チャネルを使用することができ、1つのチャネルが信号の受信に使用可能であり、そして1つのチャネルが信号の送信に使用可能である。住宅16および/または住宅16内のデバイス18の追加はさらに、住宅16およびネットワークノード15の間の双方向通信をサポートするために使用される周波数チャネルの数を増やし得る。接続された住宅16のある一定の数を超えると、所与の周波数スペクトル内の利用可能な周波数チャネルの数は限られるようになり得る。
【0015】
さらに、セキュリティ上の問題もまた、ケーブル通信ネットワークの複雑性が増すことから生じ得る。接続された住宅16の各々の間で送信されるすべての信号はネットワークノード15を介して共用同軸ケーブル20で送信されるので、ネットワーク10内のユーザは、その同軸ケーブル20の特定の部分を介して送信されるすべての波形信号へのアクセスを有し得る。たとえば、インターセプタは、同軸ケーブル20の一部を傍受することによって、住宅16の各々によって送信および受信される信号にアクセスすることができ得る。そのような信号を分離してオリジナルコンテンツを判断することは、その信号が典型的な分割デュプレキシング技法を使用して送信および受信されている場合、可能であり得る。たとえば、周波数分割デュプレキシング技法が使用される場合、インターセプタは、各または任意の個々の周波数チャネルで送信される信号に比較的容易にアクセスしてそのような送信信号のオリジナルコンテンツを判断することができ得る。
【0016】
本技法は、帯域幅および/またはセキュリティの問題に対処することができるケーブル通信ネットワークにおける無分割デュプレキシングの使用を含む。無分割デュプレキシングは、ケーブルネットワーク内の2つのデバイスが、逆方向に伝搬する信号により生じる干渉を低減することによって、同周波数を介してそして同時間内に信号を送信および受信することを可能にし得る。さらに、ケーブルネットワークにおける無分割デュプレキシングの実装は、同時に同一導体を介して反対方向で信号を送信すること、および同一スペクトル空間を使用することを伴う。いくつかの実施形態で、1つの周波数チャネルでケーブルを介して伝わる、逆方向に伝搬する送信信号および受信信号の間の信号干渉は、送信信号の代表的な干渉構成要素を含む受信信号をもたらし得る。正常な動作中、受信機入力ポートは、2つの信号構成要素、強い送信信号とかなり弱い受信信号、を含むことになる。受信される送信信号のバージョンは通常は何らかの歪みを被っているので、受信機側での送信信号の単純な減算は一般に、この干渉をなくするには不十分である。送信信号の受信されたコピーは、オリジナル信号のマルチパス反射された画像、位相歪みおよび振幅変化、ならびに/または遅延などの影響によって「破損」していることがある。したがって、単純な減算は、受信信号の送信信号干渉構成要素における変化のタイプおよび大きさを説明することはできない。
【0017】
ケーブル通信システムにおける無分割デュプレキシング技法の実装は、受信機入力ポートで受信される信号の変化を説明することができる。いくつかの実施形態で、ソフトウェアベースの適応フィルタは、ネットワーク内の1つまたは複数のデバイスに実装されて、受信機入力ポートに存在する「破損した」バージョンにデバイスの送信機入力ポートでサンプリングされた「きれいな」送信信号を時間および位相調整することができる。そのような技法は、高速アナログ−デジタル(A/D)変換器およびソフトウェア制御デジタル信号プロセッサによって実施することができる。たとえば、2つの14ビット変換器および単ループ適応フィルタアルゴリズムを使用することによって、送信信号のレベルを下回る狭帯域入力信号が復号され得る。
【0018】
ケーブル通信ネットワーク10に実装され得る無分割デュプレキシング(DFD)システムの一例が図2に示される。DFDシステム22は、ケーブル通信ネットワーク10内の各住宅16および/または各ネットワークノード15に実装され得る。ネットワーク10内の住宅16の各々を接続する同軸ケーブル20は、DFDシステム22に送信するおよびそこから受信することができる。システム22の送信機部分では、信号26bの大部分はケーブル20へ出力されるが、送信源(送信機28)の信号26の一部は、送信信号26の代表の減衰された信号26aを生成するための方向性結合器30へ入力される。減衰された信号26aは、送信機入力ポート32へ入力され、A/D変換器36によってデジタル信号34に変換される。
【0019】
本システムの受信機部分では、入力信号24が、受信信号40を生成するために、受信機フロントエンド38で受信され得る。受信機フロントエンド38は、広帯域バッファ増幅器などのアナログ増幅器および/またはフィルタを含み得る。受信信号40は、一実施形態では、入力ジャックなどのハードウェア構成要素を含むことができ、A/D変換器46によってデジタル信号44に変換され得る受信機入力ポート42へ入力されてもよい。複数の実施形態で、受信信号40および減衰された信号26aは、単一のA/D変換器(たとえば、高速14ビット変換器)によって、または複数のA/D変換器によって、デジタル信号に変換され得る。一次入力信号44とも称される、結果として生じるデジタル受信信号44は、その場合、アナログ加算器48および適応フィルタタップ重み推定器50へ入力される。参照信号34とも称される、デジタル減衰された信号34はまた、推定器50およびデジタル適応フィルタ52へ入力される。タップ重み推定器50は、タップ重み値をデジタルフィルタ52に定期的に提供することができる。デジタルフィルタ52は、キャンセルされた信号54を提供するために、アナログ加算器48で受信信号から減算され得る送信信号の推定を提供することができる。
【0020】
デジタル適応フィルタ52およびアナログ加算器48は、複数の実施形態で、ソフトウェア制御され、逆方向適応フィルタタップ推定器またはブロック順方向タップ推定器を含み得る。一実施形態で、適応フィルタ/アナログ加算器差分方程式は、次の方程式によって与えられる:
【0021】
【数1】

但し、y(i)は出力サンプルであり、r(i)は受信機入力ポートサンプル(一次入力信号としても知られる)であり、t(i)は送信機入力ポートサンプル(参照入力信号としても知られる)であり、Mは適応フィルタの長さであり、そして、a(k)は適応フィルタタップ重みである。フィルタタップは、以下の行列方程式の解によって推定され得る:
【0022】
【数2】

但し、
【0023】
【数3】

および、
【0024】
【数4】

であり、但し、Nは、それを介してフィルタタップを推定するための送信機入力ポート/受信機入力ポートサンプルのブロックの長さである。
【0025】
デジタルフィルタ52がアナログ加算器48を使用して受信信号から減算され得る送信信号の推定値を提供した後は、結果として生じるキャンセルされた信号54は、次いでソフトウェア制御のデジタル受信機56への入力されてもよく、任意の適切な形でさらに処理され得る。キャンセルされた信号54は、1つの周波数またはチャネルを介する信号の送信および受信の結果として生じる干渉を比較的よく取り除かれ得る。一実施形態で、システム20は、デジタル適応フィルタ52によって処理されることなしに、受信機56に直接信号40を渡すためのバイパススイッチ58を含み得る。たとえば、そのような実施形態は、信号40がデジタルキャンセルが有効になり得ないほどまでに劣化したまたは破損した場合に実装され得る。
【0026】
いくつかの実施形態で、図2に示すようなDFDシステムは、通信ネットワーク10内で接続された1つまたは複数のノード14または住宅16内で実装され得る。DFD対応ノードと称される、これらのノードまたは住宅は、ネットワーク10内の接続されたデバイス18が、逆方向に伝搬する信号に起因し得る信号干渉の影響を減らしおよび/またはなくしながら、分割デュプレックス技法なしで(たとえば、同周波数でおよび同時に)信号を送信および受信できるようにすることができる。
【0027】
図3は、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、および/または、本技法とともに使用され得る組込み型のシステムなどのコンピュータシステムの広義のカテゴリを表すことを意図したハードウェアシステムの一実施形態を示す。いくつかの実施形態で、DFDシステム22は、ハードウェアシステムなどに結合可能であり、DFDシステム22の個々の構成要素の制御を含む、DFD技法を実装するためのハードウェアおよびソフトウェア構成要素を有する外部制御を含み得る。図3に示す実施形態で、DFDシステム22のハードウェア構成要素は、高速バス64に結合されたプロセッサ60および大容量記憶デバイス62を含み得る。ユーザインターフェースデバイス66もまた、バス64に結合され得る。適当なインターフェースデバイス66の例は、表示デバイス、キーボード、1つまたは複数の外部ネットワークインターフェースなどを含み得る。入力/出力デバイス68もまた、バス64に結合され得る。一実施形態で、ユーザインターフェースデバイス66、たとえばディスプレイ、は、適応フィルタ52および/またはソフトウェア制御のデジタル受信機(図2)の動作の状況に関するある種の情報を通信することができる。たとえば、そのディスプレイは、適応フィルタキャンセルの品質に関する情報を表示することができる。
【0028】
ある種の実施形態は、追加の構成要素を含むことができ、前述の構成要素のすべてを必要としないことがあり、または、1つもしくは複数の構成要素を結合することができる。たとえば、大容量記憶デバイス62は、プロセッサ60とオンチップでもよい。加えて、大容量記憶デバイス62は、電気的消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EEPROM)を含むことができ、そこでソフトウェアルーチンはEEPROMからの適所で実行される。いくつかの実施形態は、すべての構成要素が結合された単一のバス、または、様々な追加の構成要素が結合され得る1つもしくは複数の追加のバスおよびバスブリッジを使用することができる。追加の構成要素は、追加のプロセッサ、CD−ROMドライブ、追加のメモリ、および他の周辺構成要素を含み得る。
【0029】
ケーブル通信システム内のそのようなDFD技法は、ケーブルネットワーク内の帯域幅の問題に対処することができる。送信および受信信号は、単一の周波数を介して、そして同軸ケーブル20を介してほぼ同じ時間に、伝搬され得るので、周波数分割および時分割デュプレキシング技法は必要ではないことがある。DFD技法を使用するケーブルネットワーク10内の接続された住宅16によって使用される周波数チャネルの総数は、周波数分割ケーブルネットワークで使用される周波数チャネルの数に比べてかなり少ない(たとえば、半分)になり得る。さらに、DFD対応ネットワーク10におけるデータ率は、時分割デュプレキシングを使用するネットワークにおけるデータ率に比べてかなり(たとえば、2倍に)改善され得る。いくつかの実施形態で、DFD技法は、各住宅16のDFDシステム22でおよび/またはネットワークノード15のDFDシステム22で使用することができるが、典型的な分割デュプレキシング技法はやはり、住宅16にある複数のデバイス18に使用され得る。たとえば、DFD対応住宅16a内の複数のデバイス18aおよび18bは、時分割、周波数分割、および/または符号分割デュプレキシング技法を使用して、住宅16aの同軸ケーブルポートに接続されたDFDシステム22からデータを送信および受信することができる。
【0030】
ケーブル通信システムにおけるDFD技法の実装はまた、ケーブルネットワークにおけるセキュリティ上の問題に対処することができる。各住宅16によって送信および受信される信号は同軸ケーブル20を介して逆方向に伝搬するので、住宅16からまたはネットワークノード15から送信されたオリジナル信号は、信号が傍受される場合に、分離するのがより難しくなり得る。さらに、いくつかの実施形態で、DFDシステム22は、セキュリティ強化のために送信および/または受信信号を暗号化および/または復号化するように構成され得る。たとえば、ケーブル会社は、ネットワーク10内で転送されるデータの内容を保護するために、DFDシステム22で様々な暗号化技法を使用することができる。そのような実施形態では、DFDシステム22内の送信機28は、送信信号26をケーブル20に出力する前に、送信信号26を暗号化するのに適したソフトウェアを含み得る。ソフトウェア制御のデジタル受信機56はまた、オリジナル情報を判断するために、キャンセルされた信号54を復号化するのに適したソフトウェアを含み得る。
【0031】
たとえば、暗号化された信号の送信は、DFD通信で1つのまたは両方の方向で暗号変数を最初に送信することを伴い得る。一実施形態で、図4に示すように、DFD技法は、暗号化された信号を通信する前に暗号変数70の送信に使用され得る。暗号変数70は、送信または受信信号の暗号化または復号化を実行するためのアルゴリズムまたは鍵を示し得る。いくつかの実施形態で、暗号変数70は、通信のどちらか一方の側のDFD対応ネットワークノードによって送信または受信され得る。たとえば、ユーザのDFDシステム22(たとえば、住宅16a内のケーブル加入者のDFDシステム22)またはネットワークノード15にあるDFDシステム22のいずれかが、ケーブル20を介して暗号変数70を送信することができる。暗号変数70の送信は、生じる第1のDFDシステム22aおよび第2のDFDシステム22bとして図4に表される。
【0032】
いくつかの実施形態で、第1のDFDシステム22aは、暗号変数70を第2のDFDシステム22bに送信することができる。第2のDFDシステム22bが暗号変数70を受信する間に、第2のDFDシステム22bはまた、インターセプタがケーブル20を傍受することによって暗号変数70を容易に暴くことができないような広帯域ノイズ72を送信することができる。したがって、暗号変数70およびノイズ72の転送は、ほぼ双方向、同時でもよく、2つのDFDシステム22aおよび22bの間の同一ケーブル20を介して生じ得る。第2のDFDシステム22bは送信信号26bの減衰されたバージョン(すなわち、ノイズ72)を形成するので、第2のシステム22bは、その減衰された信号(すなわち、図2の信号26a)を使用して、第1のDFDシステム22aによって送信される暗号変数70を回復することができる。暗号変数70が回復された後は、第2のDFDシステム22bは、暗号変数70を使用して、第1のDFDシステム22aから受信された他の暗号化された信号を復号化することができる。いくつかの実施形態で、プロセッサ60(図3)は、信号の復号化および/または暗号化のプロセスを制御するために使用され得る。
【0033】
本発明のある特定の特徴のみが本明細書に説明され、記載されているが、多数の修正形態および変更形態が当業者には思い浮かぶことになろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨内にあるものとしてすべてのそのような修正形態および変更形態を対象とすることが企図されていると理解されたい。
【符号の説明】
【0034】
10 ケーブル通信ネットワーク
12 ファイバリング
14 ネットワークノード
16 住宅
18 デバイス
20 同軸ケーブル
22 DFDシステム
24 受信信号
26 送信信号
28 送信機
30 方向性結合器
32 送信機入力ポート
34 参照入力
36 高速A/D変換器
38 受信機フロントエンド
40 受信信号
42 受信機入力ポート
44 デジタル信号
46 高速A/D変換器
48 アナログ加算器
50 フィルタ
52 適応フィルタ
54 キャンセルされた信号
56 デジタル受信機
58 バイパススイッチ
60 プロセッサ
62 大容量記憶デバイス
64 バス
66 ユーザインターフェース
68 I/Oデバイス
70 プロセス
72 通信を開始する
74 暗号変数を受信する
76 暗号変数
78 ノイズを送信する
80 ノイズ
82 暗号変数を回復する
84 暗号変数でのDFD通信

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル通信ネットワーク内のケーブルを介して第1の方向に第1のデバイスからデータを送信するステップと、
無分割デュプレキシング(DFD)技法を使用して、前記ケーブルを介して前記第1の方向と反対の第2の方向に第2のデバイスからデータを送信するステップであって、前記データが前記第1の方向および前記第2の方向にほぼ同時に送信されるステップと
を備える、方法。
【請求項2】
前記第1のデバイスで前記第1の方向に送信される前記データを暗号化するステップと、
前記第2のデバイスで前記第2の方向に送信される前記データを暗号化するステップ
のうちの1つまたは複数を備える、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第2のデバイスで前記第1の方向に送信される前記データを受信するステップと、
前記第2のデバイスで前記第1の方向に送信される前記データを復号化するステップと
を備える、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記第1のデバイスから前記第2のデバイスに暗号変数を送信するステップを備える、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記第1のデバイスが前記第2のデバイスに前記暗号変数を送信する間に、前記第2のデバイスから広帯域ノイズを送信するステップと、
前記暗号変数を回復するために、前記第2のデバイスでDFD技法を使用して前記広帯域ノイズを取り除くステップと
を備える、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記DFD技法が、
前記ケーブルからアナログ一次信号を受信するステップと、
送信機からアナログ参照信号を受信するステップと、
前記アナログ一次信号をデジタル一次信号に変換するステップと、
前記アナログ参照信号をデジタル参照信号に変換するステップと、
デジタル適応フィルタのフィルタ重みを判定するための入力として前記デジタル参照信号およびデジタル一次信号を使用して出力を提供するデジタル適応フィルタで、前記デジタル参照信号を処理するステップと、
前記デジタル一次信号から前記デジタル適応フィルタの出力を減算して、デジタルキャンセルされた信号を生成するステップと
を備える、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記第1の方向に送信される前記データおよび前記第2の方向に送信される前記データが同一周波数チャネルを介して送信される、請求項1記載の方法。
【請求項8】
その複数のノードの各々がDFDモードで動作可能であるように構成された無分割デュプレキシング(DFD)システムを各々備える、複数のノードと、
前記複数のノードの各々の動作のモードを制御するように構成された、プロセッサと
を備える、ケーブル通信システム。
【請求項9】
前記複数のノードのうちの2つ以上のノード間の通信が同軸ケーブルを介して伝送される、請求項8記載のケーブル通信システム。
【請求項10】
前記複数のノードが、1つまたは複数のネットワークノードと複数のノードを各々備える1つまたは複数のファイバリングとを備え、前記1つまたは複数のネットワークノードの各々が1つまたは複数のファイバリングに接続された、請求項8記載のケーブル通信システム。
【請求項11】
前記1つまたは複数のファイバリングに接続された前記複数のノードの各々が、前記1つまたは複数のネットワークノードのうちの1つから暗号変数を受信するように構成された、請求項10記載のケーブル通信システム。
【請求項12】
前記1つまたは複数のファイバリングに接続された前記複数のノードの各々が、前記暗号変数を受信する間にノイズを送信し、DFD技法を使用して前記暗号変数を回復するように構成された、請求項11記載のケーブル通信システム。
【請求項13】
前記プロセッサが、前記1つまたは複数のネットワークノードのうちの1つからの前記暗号変数の送信と、前記1つまたは複数のファイバリングに接続された前記複数のノードの各々での前記暗号変数の受信とを制御するように構成された、請求項11記載のケーブル通信システム。
【請求項14】
前記1つまたは複数のファイバリング内の前記複数のノードの各々が、前記ケーブル通信システムのユーザに結合された、請求項11記載のケーブル通信システム。
【請求項15】
前記複数のノードの各々が、
一次信号を受信し、
送信機から参照信号を受信し、
適応フィルタのフィルタ重みを判定するための入力として前記参照信号および一次信号を使用して出力を提供する適応フィルタで、前記参照信号を処理し、そして、
前記一次信号から前記適応フィルタの出力を減算してキャンセルされた信号を生成する
ための命令を備える、請求項9記載のケーブル通信システム。
【請求項16】
前記プロセッサが、分割デュプレキシング方式を使用して前記複数のノードのそれぞれのノードを操作するように構成された、請求項9記載のケーブル通信システム。
【請求項17】
ケーブルネットワーク内の同軸ケーブルからアナログ一次信号を受信する能力がある受信機と、
前記同軸ケーブルにアナログ送信信号を送信する能力がある送信機と、
前記アナログ送信信号の一部をサンプリングしてアナログ参照信号を提供する能力がある方向性結合器と、
前記アナログ一次信号をデジタル一次信号に変換する能力がある第1のアナログ−デジタル変換器と、
前記アナログ参照信号をデジタル参照信号に変換する能力がある第2のアナログ−デジタル変換器と、
適応フィルタのフィルタ重みを判定するための入力として前記デジタル参照および一次信号を使用して出力を提供する適応フィルタで、前記デジタル参照信号を処理し、そして、
前記デジタル一次信号から前記適応フィルタの出力を減算してデジタルキャンセルされた信号を生成する
ための命令を備える、プロセッサと
を備える、無分割デュプレキシング(DFD)システム。
【請求項18】
前記DFDシステムが、ケーブル通信ネットワーク内のネットワークノードに結合されるように構成された、請求項17記載のDFDシステム。
【請求項19】
前記DFDシステムが、ケーブル通信ネットワーク内のユーザデバイスに結合されるように構成された、請求項17記載のDFDシステム。
【請求項20】
前記送信機が、そこから受信機が前記アナログ一次信号を受信する同周波数で前記同軸ケーブルに前記アナログ送信信号を送信するように構成された、請求項17記載のDFDシステム。
【請求項21】
前記送信機が、前記同軸ケーブルに暗号変数を送信するのに適した、請求項17記載のDFDシステム。
【請求項22】
前記受信機が暗号変数を受信するのに適し、そして、前記送信機が、前記受信機が前記暗号変数を受信する間にノイズを送信するのに適し、そして、前記プロセッサが、前記適応フィルタを使用するおよび前記適応フィルタの出力を減算して前記暗号変数を回復するための命令を備える、請求項21記載のDFDシステム。
【請求項23】
前記プロセッサが、前記回復された暗号変数を使用して、前記受信機で受信された暗号化された信号を復号化するための命令をさらに備える、請求項22記載のDFDシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−90334(P2013−90334A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−224644(P2012−224644)
【出願日】平成24年10月10日(2012.10.10)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】