説明

改良された帯電防止性を有するポリウレタンエラストマー

【課題】ポリウレタン形成反応混合物中に帯電防止成分を含めることによって、帯電防止に対して向上した性質を有するポリウレタンエラストマーを製造する。
【解決手段】帯電防止成分には、特定の式に対応する四級アルキルアンモニウムモノアルキルサルフェートの少なくとも一種と、(i)特定の式に対応する、鎖状で、OH基を有さないジカルボン酸エステル及び/又は(ii)ラクトンの特定の群から選択される化合物の少なくとも一種が含まれる。これらのポリウレタンエラストマーは、ローラー、スプリング要素、マット、クッション、自動車の安全部品、靴底及び靴の構成部品を製造するために、特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電防止に向けて改良された(又は向上した)性質を有するポリウレタンエラストマー(PURエラストマー)に関し、それらの製造方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
コンパクト(又は緻密)な形態の又は多孔質の(即ち、軽く発泡した)形態の半硬質弾性ポリウレタン成形品は、ポリエステル−ポリウレタン組成物に基づいて及びポリエーテルウレタン組成物に基づいて構成される。これらの材料の静電気の放電を改良するために、帯電防止(又は静電気防止)作用を有する添加剤が、ポリエーテルウレタン組成物に加えられる。
【0003】
帯電防止剤(又は静電気防止剤)として有用な既知の添加剤には、テトラアルキルアンモニウムアルキルサルフェート(例えば、Polyurethane Handbook, Guenther Oertel, Carl Hanser Verlag, 2nd edition 1993 参照)が含まれ、それは、濃厚物の形態で、又は溶液の形態で、好ましくはエチレングリコール又は1,4−ブタンジオール中で、PUR反応組成物に加えられる。
【0004】
アルキルアンモニウムサルフェートは、それらがポリウレタン反応及び典型的な二次反応、例えばポリ尿素及びアロファネート形成に積極的に影響しないので、特に適する。
【0005】
EP−A1336639は、二成分ポリウレタン用内部帯電防止剤として四級アンモニウム化合物の使用を開示する。それらは、ポリウレタンの全量を基準として、0.5〜3.0重量%の量で使用される。アンモニウム化合物の融点範囲を低下させるために、融点を低下させる化合物、例えばブチロラクトンが加えられる。
【0006】
しかし、これらの添加剤は、低い帯電防止価を達成するために場合によりPUR反応組成物組成物に大量に加えなければならないという短所がある。それらは、PURマトリックス中に「充填剤」として存在するので、PURの弾性及び強度は、それらの含有量が増加するとともに、損なわれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の要約
本発明の目的は、PURフォーム中の帯電防止剤としてのテトラアルキルアンモニウムアルキルサルフェートの作用を改良し、その結果、帯電防止価を維持しながらその添加剤の量を減少させることができる又は使用する量は同じであるがより低い(即ち、より良好な)帯電防止価を達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
テトラアルキルアンモニウムアルキルサルフェートの帯電防止作用を、以下より十分に記載する特定の化合物を同時に加えることによって、著しく改良(又は向上)することが可能なことが、驚くべきことに見出された。静電気の放電効果に関して二倍〜五倍の増加を達成することができる。
【0009】
発明の詳細な説明
本発明は、下記反応によってポリウレタンエラストマーを製造する:

a)少なくとも一種のジ−及び/又はポリ−イソシアネートと
b)約20〜約280、好ましくは約28〜約150のOH価と約1.5〜約3、好ましくは約1.8〜約2.4の平均官能価を有する少なくとも一種のポリエステルポリオール、
c)場合により、約10〜約150のOH価と約1.5〜約8.0、好ましくは約1.8〜約6.0の官能価を有する少なくとも一種のポリエーテルポリオール及び/又は約20〜約280のOH価と約1.5〜約3.0、好ましくは約1.8〜約2.4の官能価を有する少なくとも一種のポリエーテルエステルポリオール、並びに
d)場合により、約150〜約1870のOH価を有する、低分子量鎖延長剤及び/又は架橋剤の少なくとも一種
との反応であって、

前記反応は、
e)少なくとも一種のアミン及び/又は有機金属触媒、
f)下記のものを含んで成る帯電防止成分
f1)下記式(I)
【化1】

[但し、
、R、R及びRは、互いに独立して、各々C〜C20のアルキル基であって、これらの四つの基の炭素原子の合計の数は70以下であり、
は、C〜C10のアルキル基を示す]
によって示される少なくとも一種の四級アルキルアンモニウムモノアルキルサルフェート、及び
f2)下記の群から選択される少なくとも一種の化合物
(i)下記式(II)
【化2】

[但し、
Xは、1〜20の炭素原子を有する基又は結合を示し、及び
及びRは、互いに独立して、各々が、C〜C20のアルキル基を示す]
によって示される、鎖状で、OH基を有さないジカルボン酸エステルの少なくとも一種、
(ii)下記群から選択される少なくとも一種のラクトン:γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、α,γ−,β,γ−及びγγ−ジメチルブチロラクトン、及び
(iii) (i)と(ii)の混合物
g)場合により、少なくとも一種の発泡剤、並びに
f)場合により、少なくとも一種の添加剤及び/又は助剤物質
の存在下に行われる。
【0010】
四級アルキルアンモニウムアルキルサルフェートf1)は、ポリウレタンエラストマーを基準として、0.5〜15重量%の量で存在し、化合物f2)は、1.5〜7.5重量%の量で存在する。
【0011】
本発明は、本発明のポリウレタンエラストマーに基づく成形物品を更に提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
第一工程で、ポリエステルポリオールb)の少なくとも部分又はポリエステルポリオールb)とポリオール成分c)との混合物と、少なくとも一種のジ−又はポリ−イソシアネートa)から、イソシアネート基を有する重付加生成物を好都合に製造するプレポリマー法によって、本発明のPURエラストマーを製造することが好ましい。第二工程で、未反応イソシアネート基を有するそのようなプレポリマーから、ポリオール成分b)及び/又は場合により成分c)のいずれかの残留部分及び/又は場合により低分子量鎖延長剤及び/又は架橋剤d)及び/又は触媒e)を用いる反応によって、調整された帯電防止性を有するPURエラストマーを製造することができる。成分f)をポリオールb)と混合することが好ましい。第二工程で、発泡剤g)をポリオールb)に加えることで、200〜1200kg/mの型密度を有する微孔質PURエラストマーを製造することができる。
【0013】
本発明のPURエラストマーから製造される成形品は、f)の含有量に依存して、100kΩ〜1000MΩ(EN344に基づいて測定)の範囲の帯電防止性を有する。
【0014】
本発明に基づくPURエラストマーを製造するために、ポリイソシアネートa)のNCO基と、成分b)、c)、d)のイソシアネート基反応性水素と使用されたいずれかの化学的に活性な発泡剤の合計との当量比が、0.8:1〜1.2:1、好ましくは0.90:1〜1.15:1及びより好ましくは0.95:1〜1.05:1となるような量で、成分を反応させる。
【0015】
本発明に基づく方法に適する出発イソシアネート成分a)には、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族及び複素環式ポリイソシアネート、例えば、W. Siefken in Justus Liebigs Annalen der Chemie, 562, page 75-136 に記載のものが含まれる。適するイソシアネートの例には、式:Q(NCO)
[但し、
n=2〜4、好ましくは2、及び
Qは、2〜18の炭素原子、好ましくは6〜10の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基;4〜15の炭素原子、好ましくは5〜10の炭素原子を有する脂環式炭化水素基;6〜15の炭素原子、好ましくは6〜13の炭素原子を有する芳香族炭素水素基;及び8〜15の炭素原子、好ましくは8〜13の炭素原子を有する芳香脂肪族炭化水素基を示す]
によって示されるものが含まれる。そのようなイソシアネートの例には、エチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,12−ドデカンジイソシアネート、シクロブタン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−及び−1,4−ジイソシアネート及びそれらの異性体のいずれかの所望の混合物;1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチル−シクロヘキサン、2,4−及び2,6−ヘキサハイドロトルエンジイソシアネート及びそれらの異性体のいずれかの所望の混合物;ヘキサハイドロ−1,3−及び−1,4−フェニレンジイソシアネー;、パーハイドロ−2,4’−及び−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート;1,3−及び1,4−フェニレンジイソシアネート;1,4−デュレンジイソシアネート(DDI);4,4’−スチルベンジイソシアネート;3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート(TODI);2,4−及び2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)及びそれらの異性体のいずれかの所望の混合物;ジフェニルメタン−2,4’−及び/又は−4,4’−ジイソシアネート(MDI);及びナフチレン−1,5−ジイソシアネート(NDI)が含まれる。
【0016】
トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート;アニリン−ホルムアルデヒド縮合後ホスゲン化によって得られるようなポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート、例えば、GB-PS 874 430 及び GB-PS 848 671 に記載のもの;例えばUS-A 3 454 606 に基づくm−及びp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート;パークロロ化アリールポリイソシアネート、例えば、US-A 3 277 138 に記載のもの;カルボジイミド基を有するポリイソシアネート、例えば、US-A 3 152 162 及び DE-A 25 04 400, 25 37 685 及び 25 52 350 に記載のもの;ノルボルナンジイソシアネート、例えば、US-A 3 492 301 に記載のもの;アロファネート基を有するもの、例えば、GB-PS 994 890, BE-PS 761 626 及び NL-A 7 102 524 に記載のもの;イソシアヌレート基を有するポリイソシアネート、例えば、US-A 3 001 9731, DE-C 10 22 789, 12 22 067 及び 1 027 394 及び DE-A 1 929 034 及び 2 004 048 に記載のもの;ウレタン基を有するポリイソシアネート、上述したようなもの、例えば、BE-PS 752 261 及び US-A 3 394 164 及び 3 644 457に記載のもの;アシル化尿素基を有するポリイソシアネート、例えば、DE-C 1 230 778に記載のもの;ビウレット基を有するポリイソシアネート、例えば、US-A 3 124 605, 3 201 372 及び 3 124 605 及び GB-PS 889 050 に記載のもの;テロメリゼーション反応によって製造されるポリイソシアネート、例えば、US-A 3 654 106 に記載のもの;エステル基を有するポリイソシアネート、例えば、GB-PS 965 474 及び 1 072 956、US-A 3 567 763 及び DE-C 12 31 688 に記載のもの;上述のイソシアネートとアセタールとの反応生成物、DE-C 1 072 385 に記載のようなもの;及びポリマー脂肪酸エステルを含むポリイソシアネート、例えば、US-A 3 455 883 に記載のものも適するものとして例示できる。
【0017】
イソシアネートの商業的生産で得られるイソシアネート基含有蒸留残渣を、場合により一又はそれ以上の上述のポリイソシアネートに溶解して用いることも可能である。上述のポリイソシアネートのいずれかの所望の混合物を用いることもできる。
【0018】
商業的に容易に入手できるポリイソシアネートを使用することが好ましく、例えば、2,4−及び2,6−トルエンジイソシアネート及びそれらの異性体のいずれかの所望の混合物(TDI);4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート及びポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート、例えばアニリン−ホルムアルデヒド縮合後ホスゲン化によって製造されるもの(粗MDI);及びカルボジイミド基、ウレトンイミン基、ウレタン基、アロファネート基、イソシアヌレート基、尿素基又はビウレット基を有するポリイソシアネート(変性(又は修飾)ポリイソシアネート)、特に、2,4−及び/又は2,6−トルエンジイソシアネートから又は4,4’−及び/又は2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートから誘導されるそれらの変性ポリイソシアネートを例示できる。ナフチレン−1,5−ジイソシアネート及び上述のポリイソシアネートの混合物も、極めて適する。
【0019】
しかし、本発明を行う際に、イソシアネート基を有するプレポリマーを使用することが特に好ましく、プレポリマーは、少なくともポリエステルポリオールb)の部分又はポリエステルポリオールb)、ポリオール成分c)及び/又は鎖延長剤及び/又は架橋剤d)の混合物の少なくとも部分と、TDI、MDI、TODI、DIBDI、NDI、DDIの群からの少なくとも一種の芳香族ジイソシアネート、好ましくは4,4’−MDI及び/又は2,4−TDI及び/又は1,5−NDIとの反応によって製造され、ウレタン基とイソシアネート基を有し、10〜27重量%、好ましくは12〜25重量%のNCO含有量を有する重付加生成物を形成する。
【0020】
既に述べたように、イソシアネート基を有するプレポリマーの製造の際に、b)、c)及びd)の混合物を使用することができる。しかし、鎖延長剤又は架橋剤d)を用いないで製造されたイソシアネート基を有するプレポリマーが特に好ましい。
【0021】
未反応イソシアネート基を有するプレポリマーを、触媒の存在下に、製造することができる。しかし、触媒の不存在下にイソシアネート基を有するプレポリマーの製造すること及びPURエラストマーの製造のためのみに反応混合物中に触媒を加えることもできる。
【0022】
適するポリエステルポリオールb)を、例えば、2〜12の炭素原子を有する有機ジカルボン酸、好ましくは4〜6の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸と、多価アルコール、2〜12の炭素原子、好ましくは2〜10の炭素原子を有する、好ましくはジオールとから製造することができる。
【0023】
適するジカルボン酸には、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカン二酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸が含まれる。ジカルボン酸は、各々単独で、又は互いに混合物の形態で使用することができる。遊離のカルボン酸の代わりに、対応するジカルボン酸誘導体、例えばジカルボン酸と1〜4の炭素原子を有するアルコールとのモノエステル及び/又はジエステル、及び/又はジカルボン酸無水物を用いることもできる。コハク酸、グルタル酸及びアジピン酸のジカルボン酸混合物を、例えば、20〜35/35〜50/20〜32重量部の相対的な比で用いることが好ましく、セバシン酸を用いることが好ましく、特にアジピン酸を用いることが好ましい。
【0024】
適するジ−及びポリ−アルコールの例には、エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2−及び1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,10−デカンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトールが含まれる。1,2−エタンジオール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン及び少なくとも二つの上述のジオールの混合物、特に、エタンジオール、1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオール、グリセロール及び/又はトリメチロールプロパンの混合物が含まれる。ラクトン、例えばε−カプロラクトン、又はヒドロキシカルボン酸、例えば、o−ヒドロキシカプロン酸及びヒドロキシ酢酸のポリエステルポリオールを用いることもできる。
【0025】
ポリエステルポリオールを製造するために、有機、例えば芳香族及び好ましくは脂肪族、多カルボン酸及び/又は多カルボン酸誘導体と多価アルコールとを、触媒無しに、又はエステル化触媒の存在下、(好ましくは、例えばチッソ、一酸化炭素、ヘリウム及び/又はアルゴン等の不活性ガスの雰囲気下で)、溶液中で及び溶融物中で、150〜300℃、好ましくは180〜230℃の温度で、場合により減圧下で、所望の酸価(有利には10より小さい、好ましくは1より小さい)に達するまで、重合させることができる。
【0026】
好ましい製造方法において、エステル化混合物を上述の温度、通常の圧力下で、その後500mbarより小さい、好ましくは10〜150mbarの圧力下で重縮合に付し、80〜30、好ましくは40〜30の酸価にする。適するエステル化触媒には、下記のものが含まれる:金属、金属酸化物又は金属塩の形態の鉄、カドミウム、コバルト、鉛、亜鉛、アンチモン、マグネシウム、チタン及びスズ触媒。しかし、縮合水の共沸蒸留のために、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン又はクロロベンゼン等の希釈剤及び/又は同伴剤(entrainer)の存在下、重縮合を液相中で行ってもよい。
【0027】
ポリエステルポリオールを製造するために、有機多カルボン酸及び/又はそれらの誘導体は、約1:1〜約1.8、好ましくは約1:1.05〜約1.2:1のモル比で、多価アルコールとの重縮合に付することが好都合である。得られるポリエステルポリオールは、約1.5〜約3、好ましくは約1.8〜約2.4の官能価及び300〜8400、好ましくは400〜6000、特には800〜3500の数平均分子量を有することが好ましい。
【0028】
ポリエーテルポリオール及び/又はポリエーテルエステルポリオールc)は、場合により本発明に基づくエラストマーの製造に使用される。ポリエーテルポリオールは、いずれかの既知の方法によって、例えば、触媒としてアルカリ水酸化物又はアルカリアルコレートの存在下、少なくとも一種の開始剤分子(その中に結合した約2〜約3の反応性水素原子を含む)の添加を用いる、アルキレンオキサイドのアニオン重合によって、又は例えば五塩化アンチモン又はフッ化ホウ素エテレート(etherate)等のルイス酸の存在下、アルキレンオキサイドのカチオン重合によって製造することができる。適するアルキレンオキサイドは、アルキレン基中に2〜4の炭素原子を含む。例には、テトラハイドロフラン、1,2−プロピレンオキサイド、1,2−及び2,3−ブチレンオキサイドが含まれ、エチレンオキサイド及び/又は1,2−プロピレンオキサイドの使用が好ましい。アルキレンオキサイドは、個々に、別法では連続的に又は混合物の形態で使用することができる。1,2−プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドとの混合物が好ましく使用されるが、エチレンオキサイドは10〜50%の量で使用され、エチレンオキサイド末端ブロック(EO−キャップ)を形成し、その結果、得られるポリオールは、70%を超える一級OH末端基を含む。ポリエーテルポリオール用に適する開始剤分子には、下記のものが含まれる:水及び二価及び三価アルコール、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール及び1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−エタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン等。適するポリエーテルポリオール、好ましくはポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンポリオールは、1.5〜8の官能価を有し、500〜8000、好ましくは800〜6000の数平均分子量を有する。
【0029】
ポリエーテルポリオールとして、ポリマー修飾ポリエーテルポリオールも適し、グラフトポリエーテルポリオールが好ましく、特にスチレン及び/又はアクリロニトリルに基づくものであり、それらは、分散相として通常1〜50重量%、好ましくは2〜25重量%の量で、一又はそれ以上の無機充填剤、ポリ尿素、ポリヒドラジド、ポリウレタン(その中に結合した三級アミンを含む)及び/又はメラミンを含む、ポリエーテルポリオール分散物中で、また上述のポリエーテルポリオール中で、アクリロニトリル、スチレン又は好ましくはスチレンとアクリロニトリルの混合物(例えば、約90:10〜約10:90、好ましくは約70:30〜約30:70の重量比)の現場重合により製造される。
【0030】
b)とc)の相溶性を向上するために、c)として、ポリエーテルエステルポリオールを使用又は添加することもできる。これらは、好ましくは約1.5〜約3、より好ましくは約1.8〜約2.4の官能価、及び約400〜約6000、好ましくは約800〜約3500の数平均分子量を好ましくは有するポリエステルポリオールのエトキシル化又はプロポキシル化によって得られる。
【0031】
しかし、そのようなポリエーテルエステルc)は、上述したタイプのエーテルポリオールと、b)の下で記載したものに対応する使用されるいずれかのエステル成分とのモノエステル化によって得ることもできる。そのようなポリエーテルエステルは、約1.5〜約3、特に約1.8〜約2.4の官能価、及び好ましくは約400〜約6000、より好ましくは約800〜約3500の数平均分子量を有することが好ましい。
【0032】
本発明に基づくPURエラストマーを製造するために、化合物d)として、低分子量二官能価鎖延長剤、三官能価又は四官能価架橋剤、又は鎖延長剤及び架橋剤の混合物を更に使用してよい。
【0033】
そのような鎖延長剤及び架橋剤d)は、PURエラストマーの機械的特性、特に硬度(又は硬さ)を変更(又は修正)するために用いられる。適する鎖延長剤には、下記のものが含まれる:アルカンジオール、ジアルキレングリコール及びポリアルキレンポリオール。適する架橋剤には、下記のものが含まれる:三価又は四価アルコール及び3〜4の官能価を有するオリゴマーのポリアルキレンポリオール。そのような鎖延長剤及び架橋剤は、通常、800より小さい、好ましくは約18〜約400、より好ましくは約60〜約300の分子量を有する。好ましい鎖延長剤は、下記のものである:2〜12の炭素原子、好ましくは2,4又は6の炭素原子を有するアルカンジオール、例えば、エタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−へプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール及び特に1,4−ブタンジオール;4〜8の炭素原子を有するジアルキレングリコール、例えばジエチレングリコール及びジプロピレングリコール;及びポリオキシアルキレングリコール。下記のものも適する:通常12以下の炭素原子を有する分枝状及び/又は不飽和アルカンジオール、例えば1,2−プロパンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール及び2−ブチン−1,4−ジオール;2〜4の炭素原子を有するグリコールとテレフタル酸とのジエステル、例えばテレフタル酸ビスエチレングリコール又はテレフタル酸ビス−1,4−ブタンジオール;ヒドロキノン又はレゾルシノールのハイドロオキシアルキレンエーテル、例えば1,4−ジ−(β−ヒドロキシエチル)−ヒドロキノン又は1,3−(β−ヒドロキシエチル)−レゾルシノール;2〜12の炭素原子を有するアルカノールアミン、例えばエタノールアミン、2−アミノプロパノール及び3−アミノ−2,2−ジメチルプロパノール;N−アルキルジアルカノールアミン、例えばN−メチル−及びN−エチル−ジエタノールアミン;2〜15の炭素原子を有する脂肪族(及び脂環式)ジアミン、例えば1,2−エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブチレンジアミン及び1,6−ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、1,4−シクロヘキサメチレンジアミン及び4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン;N−アルキル−置換、N,N’−ジアルキル−置換及び芳香族ジアミン、それは、N−アルキル基内の、1〜20の炭素原子、好ましくは1〜4の炭素原子を有するアルキル基によって芳香族基上で置換されてよく、例えばN,N’−ジエチル−、N,N’−ジ−sec−ペンチル−、N,N’−ジ−sec−ヘキシル−、N,N’−ジ−sec−デシル−及びN,N’−ジシクロヘキシル−、(p−及びm−)−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−、N,N’−ジエチル−、N,N’−ジイソプロピル−、N,N’−ジ−sec−ブチル−、N,N’−ジシクロヘキシル−、−4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン、N,N’−ジ−sec−ブチルベンジジン、メチレン−ビス(4−アミノ−3−安息香酸メチルエステル)、2,4−クロロ−4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン、及び2,4−及び2,6−トルエンジアミン。
【0034】
これらの化合物は、成分d)として個々に又は混合物の形態で使用できる。鎖延長剤及び架橋剤の混合物を使用することもできる。
【0035】
PURエラストマーの硬度を調整するために、構成成分b)、c)及びd)を、広い相対的な比率で変えることができる。反応混合物中の成分d)の含有量が増えるにつれて、硬度は増加する。
【0036】
材料の所望の硬度を得るために、構成成分b)、c)及びd)の必要量を、実験による簡単な方法で決定することができる。高分子量化合物b)及びc)の100重量部当たり、鎖延長剤及び/又は架橋剤d)を1〜50重量部、好ましくは3〜20重量部の量で用いることが好ましい。
【0037】
成分e)として当業者に既知のいずれかのアミン触媒を用いることができる。そのような触媒には、下記のものが含まれる:三級アミン、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、N−メチル−モルフォリン、N−エチル−モルフォリン、N,N,N’,N’−テトラメチル−エチレンジアミン、ペンタメチル−ジエチレン−トリアミン及び高級同族体(DE-A 26 24 527 及び 26 24 528);1,4−ジアザ−ビシクロ−[2.2.2]−オクタン;N−メチル−N’−ジメチルアミノエチル−ピペラジン;ビス−(ジメチルアミノアルキル)−ピペラジン;N,N−ジメチルベンジルアミン;N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン;N,N−ジエチルベンジルアミン;ビス−(N,N−ジエチルアミノエチル)アジペート;N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン;N,N−ジメチル−β−フェニル−エチル−アミン;ビス−(ジメチルアミノプロピル)−尿素;1,2−ジメチルイミダゾール;2−メチルイミダゾール;モノサイクリック及びバイサイクリックアミジン;ビス−(ジアルキルアミノ)アルキルエーテル;及びアミド基(好ましくはホリムアミド基)を有する三級アミン(DE-A 25 23 633 及び 27 32 292 に基づくもの)。適する触媒には、二級アミンの既知のマンニッヒ塩基(Mannich base)、例えばジメチルアミン;及びアルデヒド、好ましくはホルムアルデヒド;ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン又はシクロヘキサノン;及びフェノール、例えばフェノール、ノニルフェノール又はビスフェノールも含まれる。イソシアネート基に対して活性の水素原子を含む三級アミン触媒には下記のものが含まれる:トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチル−ジエタノールアミン、N−エチル−ジエタノールアミン、N,N−ジメチル−エタノールアミン、それらとアルキレンオキサイド例えばプロピレンオキサイド及び/又はエチレンオキサイドとの反応生成物、二級−三級アミン(DE-A 27 32 292 に記載のもの)。触媒として、炭素−ケイ素結合を有するシルアミン(silamine)、例えば US-A 3 620 984 に記載のもの、例えば、2,2,4−トリメチル−2−シラモルホリン(silamorpholine)及び1,3−ジエチル−アミノメチル−テトラメチル−ジシロキサンを用いることもできる。触媒として、チッソ含有塩基、例えばテトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイド及びヘキサハイドロトリアジンも使用してよい。NCO基とツェレビチノフ(Zerewitinoff)−活性水素原子との間の反応は、ラクタムとアザラクタムによって、極めて促進される。本発明に基づいて、追加の触媒として、有機金属化合物、特に有機スズ化合物の共用も可能である。触媒活性を有し適する有機金属化合物は、スズ誘導体の他に、硫黄含有化合物例えばジ−n−オクチル−スズメルカプチド、好ましくはカルボン酸のスズ(II)塩、例えばスズ(II)アセテート、スズ(II)オクトエート、スズ(II)エチルヘキサノエート及びスズ(II)ラウレート、及びスズ(IV)化合物、例えばジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジクロリド、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート及びジオクチルスズジアセテート、及びチタン含有化合物、例えばチタン及びビスマスアルコレート及びカルボキシレートである。
【0038】
触媒又は触媒の組み合わせは、イソシアネートに対して反応性の水素原子を少なくとも二つ有する化合物の合計を基準として、通常、約0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜1重量%の量で用いられる。
【0039】
成分f)中のf1)として有用な材料には、当業者に既知のいずれかの四級アルキルアンモニウムモノアルキルサルフェート(硫酸エステル又は硫酸塩)が含まれ、その中のアンモニウムカチオンと結合した四つのアルキル基は、互いに独立して、1〜20の炭素原子鎖長を有してよく、直鎖状、分枝状又は部分的に環状の形態であってよく、70まで及び70を含む炭素原子含有量を有してよい。サルフェートアニオンのアルキル基は、2〜5の炭素原子鎖長を有してよい。
【0040】
成分f)中の成分(f2)の(i)として有用な化合物には、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸及び/又はデカン二酸のアルキルエステルが含まれる。脂肪族及び脂環式モノアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、エチレンヘキサノール、オクタノール、デカノール及びドデカノール及びシクロヘキサノール、それらの異性体、及び芳香族アルコール、例えばフェノール及びそのアルキル置換誘導体、及びナフトール及びそのアルキル置換誘導体は、ジカルボン酸のエステル化に有用である。
【0041】
成分(f2)の化合物(ii)には、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、α,γ−、β,γ−及びγγ−ジメチルブチロラクトン及びそれらの混合物が含まれる。
【0042】
本発明の方法は、コンパクト(又は緻密な)PURエラストマー、例えば湿気及び発泡剤非存在下、PUR成型(又はキャスティング:casting)エラストマーを製造することを可能とする。
【0043】
多孔質、好ましくは微孔質のPURエラストマーを製造するために、発泡剤g)が使用される。好ましい発泡剤は、水であり、それは、現場で有機ポリイソシアネートa)又はイソシアネート基を有するプレポリマーと反応して二酸化炭素とアミノ基を形成し、アミノ基は更に次々と他のイソシアネート基と反応し、尿素基を形成し、従って鎖延長剤として作用する。
【0044】
所望の密度を達成するためにポリウレタン配合物に水を加える場合、構成成分a)、b)及び場合によりc)及び/又はd)の重量を基準として、0.001〜3.0重量%、好ましくは0.01〜2.0重量%及び特には0.05〜0.8重量%の量で、水は通常使用される。
【0045】
水の代わりに、又は好ましくは水と組み合わせて、発泡剤g)として、ガス(又は気体)又は容易に揮発する無機又は有機物質であって、発熱性重付加反応の影響下蒸発し、好ましくは常圧で−40〜120℃、好ましくは10〜90℃の範囲の沸点を有するものを、物理的発泡剤として用いることができる。適する有機発泡剤には、下記のものが含まれる:アセトン、酢酸エチル、ハロゲン置換アルカン又はパーハロゲン化アルカン(例えば、R134a、R141b、R365mfc、R245fa)、ブタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン及びジエチルエーテル。適する無機発泡剤には下記のものが含まれる:空気、CO及び/又はNO。室温より高い温度で、ガス(例えば、チッソ及び/又は二酸化炭素)の遊離を伴って分解する化合物、例えば、アゾ化合物(例えば、アゾカルボンアミド又はアゾイソ酪酸ニトリル;又は塩(例えば、アンモニウム重炭酸塩、アンモニウムカルバメート又は有機カルボン酸のアンモニウム塩、例えば、マロン酸、ホウ酸、ギ酸又は酢酸のモノアンモニウム塩)を加えることによって、発泡作用を達成することもできる。更に、発泡剤の例及び発泡剤の使用に関する詳細は、R. Vieweg, A. Hoechtlen (eds.): "Kunststoff-Handbuch", Volume VII, Carl-Hanser-Verlag, Munich, 3rd Edition, 1993, p.115-118, 710-715 に記載されている。
【0046】
単独で又は混合物の形態で(例えば、液体又は気体混合物の形態で、又は気体/液体混合物の形態で)使用される低沸点液体、気体又は固体発泡剤の量は、使用される水の量と所望の密度に依存する。必要な量は、実験により容易に決定することができる。満足な結果は、下記の各場合について、構成成分a)、b)、c)及びd)の重量を基準として、0.5〜35重量%、好ましくは2〜15重量%の量の固体を用いることで、0.5〜30重量%、好ましくは0.8〜18重量%の量の液体を用いることで、及び0.01〜80重量%、好ましくは10〜50重量%の量の気体を用いることで、通常得られる。気体(例えば、空気、二酸化炭素、窒素及び/又はヘリウム)の充填は、(1)高分子量ポリヒドロキシ化合物b)及びc)を介して、(2)低分子量鎖延長剤及び/又は架橋剤d)を介して、(3)ポリイソシアネートa)を介して、又は(4)a)及びb)及び場合によりc)及びd)を介して、行うことができる。
【0047】
添加剤h)を、場合により、コンパクト及び多孔質PURエラストマーの製造用反応混合物中に入れてもよい。適する添加剤の例には、下記のものが含まれる:界面活性剤、例えば乳化剤;気泡安定剤;気泡調整剤;防炎(又は難燃)剤;核剤;酸化防止剤;安定剤;潤滑剤及び離型剤;着色剤;分散助剤及び色素(染料又は顔料)。適する乳化剤の例には、ヒマシ油スルホネートのナトリウム塩及び脂肪酸とアミンとの塩、例えばジエチルアミンのオレイン酸塩又はジエタノールアミンのステアリン酸塩が含まれる。スルホン酸、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸又はジナフチルメタンジスルホン酸のアルカリ又はアンモニウム塩、又は脂肪酸、例えばリシノール酸のアルカリ又はアンモニウム塩、又はポリマー脂肪酸のアルカリ又はアンモニウム塩を、界面活性添加剤として、付随的に使用してよい。適する気泡安定剤には、ポリエーテルシロキサン、特にそれの水溶性のものが含まれる。これらの化合物の構造は、一般に、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのコポリマーがポリジメチルシロキサン基と結合したような構造である。そのような気泡安定剤は、例えば、US-A 2 834 748, 2 917 480 及び 3 629 308 に記載されている。DE-A 25 58 523 に記載のアロファネート基を介して複数に枝分かれをしたポリシロキサン−ポリオキシアルキレンコポリマーは特に興味深い。他の有機ポリシロキサン、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化脂肪アルコール、パラフィンオイル、ヒマシ油及びリシノール酸エステル、ロート油(又はターキー−レッドオイル:Turkey-red oil)、ラッカセイ油及び気泡調整剤、例えばパラフィン、脂肪アルコール及びポリジメチルシロキサンも適する。側鎖基として、ポリオキシアルキレン基及びフルオロアルカン基を有するオリゴマーポリアクリレートも、乳化作用、充填剤の分散、気泡構造を改良(又は向上)し及び/又はそれらを安定化するために適する。界面活性物質は、高分子量ポリヒドロキシ化合物b)及びc)の100重量部を基準として、0.01〜5重量部の量で、通常用いる。自体既知の反応遅延剤(又は抑制剤)、色素又は着色剤、防炎剤(又は難燃剤)、老化及び風化効果に対する安定剤、可塑剤、及び静真菌性及び静菌性作用を有する物質を加えることもできる。
【0048】
界面活性剤及び気泡安定剤、気泡調整剤、反応遅延剤、安定剤、防火物質(又は難燃物質)、可塑剤、着色剤及び充填剤、静真菌性及び静菌性作用を有する物質は、場合により本発明を行う際に用いてもよいが、その例と、そのような添加剤の作用様式及び使用に関する詳細は、R. Vieweg, A. Hoechtlen (eds.): "Kunststoff-Handbuch", Volume VII, Carl-Hanser-Verlag, Munich. 3rd Edition, 1993, p.118-124 に記載されている。
【0049】
本発明に基づくPUR材料は、当業者に既知のいずれかの混合装置の助けを借りて文献に記載の方法、例えばワン−ショット法(one-shot process)又はプレポリマー法により製造することができる。それらはプレポリマー法により製造することが好ましい。
【0050】
本発明の一の態様において、本発明のPUR材料は、発泡剤g)の非存在下、通常20〜80℃、好ましくは25〜60℃の温度で、開始成分を均一に混合することで製造される。その後、反応混合物を、場合によりある温度を有し開いた成型器に入れて、硬化させる。本発明の他の態様では、発泡剤g)、好ましくは水が存在するということを除いて、構成成分を先の態様と同様の方法で混合して、場合により有る温度を有する成型器に入れる。充填後、成型器を閉じて、例えば1.05〜8、好ましくは1.1〜6、より好ましくは1.2〜4の圧縮比(フリーフォームの密度に対する成形品の密度の比)で、反応混合物を加圧下発泡させて、成形品を形成する。成形品が十分に硬くなったらすぐに型から取り出す。型から取り出す時間は、成型器の温度及び形状及び反応混合物の反応性にとりわけ依存するが、通常約2〜約15分の範囲である。
【0051】
本発明に基づくコンパクトPURエラストマーは、0.8〜1.4g/cm、好ましくは0.9〜1.20g/cmの密度を有するが、充填剤の含有量及びタイプにとりわけ依存する。本発明の多孔質PURエラストマーは、0.2〜1.4g/cm、好ましくは0.25〜0.75g/cmの密度を有する。
【0052】
そのようなポリウレタンプラスチックは、帯電(又は静電)防止性の履き物、特に単層又は複数層の形態でEN344に基づく靴底、及び靴の構成部品、型内で発泡されたクッション、マット、スプリング要素、ローラー、及び自動車を構成する安全部品の製造に特に価値がある。
【実施例】
【0053】
ポリウレタン試験片を、下記の手順によって、各例について作製した。A成分(45℃)をB成分(45℃)と、表1に示す成分Aと成分Bの量比(mass ratio:MR)で、低圧発泡装置(NDI)で混合し、50℃の温度に調整したアルミニウム型(又はモールド)中に混合物を注入し、型を閉じ、3分後にエラストマーを取り出した。
【0054】
表に示した保管時間後に、上記のように製造した(密度:550kg/m)エラストマーシート上で、静電気放電抵抗を測定した。測定の配置は、EN344の第5.7章に記載のものと対応する。試験環境は、気温20℃、湿度55%であった。
【0055】
例に用いた材料は、下記の通りである:
ポリエステルポリオール:2000g/モルの数平均分子量を有するエタンジオール−ジエチレングリコール−ポリアジペート(比は、14.3:24.4:61.3)。
ダブコ(Dabco)/EG:アミン触媒ジアザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン、エチレングリコール中(重量比は、1:2)。
帯電防止剤(又は静電防止剤)A:エタンジオール中トリメチル−ドデシル−アンモニウムエチルサルフェートの80%溶液。
界面活性剤DC193:シリコーン安定剤ダブコDC193、エアープロダクツ社(Ait Products)。
【0056】
B成分:19%のNCO含有量を有するプレポリマーであって、下記のものを反応させて得られた:
56重量% 4,4’−MDI
6重量% ポリマーMDI(29.8重量%のNCO、官能価2.1)
38重量% 2000g/モルの数平均分子量を有するエタンジオール−ジエチレングリコール−ポリアジペート(比14.3:24.4:61.3)
【0057】
各例で用いた各反応成分の組成と相対的な量、発泡結果及び抵抗測定結果を表1に記載する。
表の数値は、他に表示がない場合、重量%である。
【0058】
【表1】

【0059】
体積抵抗の測定値が小さいほど、帯電防止性は、より良好である。
【0060】
例2及び3、5及び6、及び8及び9では、比較例1、4及び7と比較して増加した効果(即ち、より劣った帯電防止性)が明瞭に認められた。
【0061】
本発明を説明することを目的として、詳細に説明したが、そのような詳細な説明は、単にそのような目的のためのものであり、特許請求の範囲によって制限され得ることを除いて、本発明の精神と範囲から離れることなく、当業者であれば種々の変更を行うことができることを、理解するべきである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ジ−及び/又はポリ−イソシアネートと
b)20〜280のOH価と1.5〜3の平均官能価を有する少なくとも一種のポリエステルポリオール、
c)場合により、10〜150のOH価と1.5〜8.0の官能価を有するポリエーテルポリオール及び/又は20〜280のOH価と1.5〜3.0の官能価を有するポリエーテルエステルポリオール、並びに
d)場合により、150〜1870のOH価を有する、低分子量鎖延長剤及び/又は架橋剤
との反応生成物を含んで成るポリウレタンエラストマーであって、

前記反応生成物は、
e)アミン及び/又は有機金属触媒、
f)下記のものを含んで成る帯電防止成分
f1)下記式
【化1】

[但し、
、R、R及びRは、互いに独立して、各々1〜20の炭素原子を有するアルキル基であって、これらの四つの基の炭素原子の合計の数は70以下であり、
は、2〜10の炭素原子を有するアルキル基を示す]
によって示される四級アルキルアンモニウムモノアルキルサルフェートを、ポリウレタンエラストマーの全重量を基準として、約0.5〜約15重量%、及び
f2)
(i)下記式
【化2】

[但し、
Xは、1〜20の炭素原子を有する基又は結合を示し、及び
及びRは、互いに独立して、各々が、1〜20の炭素原子を有するアルキル基を示す]
によって示される、鎖状で、OH基を有さないジカルボン酸エステル
(ii)γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、α,γ−,β,γ−及びγγ−ジメチルブチロラクトンから成る群からの少なくとも一種のラクトン及び
(iii) (i)と(ii)の混合物
から成る群から選択される少なくとも一種の化合物を、ポリウレタンエラストマーの全重量を基準として、約1.5〜約7.5重量%
g)場合により、発泡剤、並びに
f)場合により、添加剤及び/又は助剤物質
の存在下でのものであるポリウレタンエラストマー。
【請求項2】
ポリエステルポリオールb)は、1.8〜2.4の平均官能価を有する請求項1に記載のポリウレタンエラストマー。
【請求項3】
ポリエステルポリオールb)は、約28〜約150のOH価を有する請求項1に記載のポリウレタンエラストマー。
【請求項4】
ポリエーテルポリオールは、約1.8〜約6の官能価を有する請求項1に記載のポリウレタンエラストマー。
【請求項5】
ポリエーテルエステルポリオールc)は、約1.8〜約2.4の官能価を有する請求項1に記載のポリウレタンエラストマー。
【請求項6】
請求項1に記載のポリウレタンエラストマーを含んで成る成形物品。
【請求項7】
請求項1に記載のポリウレタンエラストマーから製造されたローラー。
【請求項8】
請求項1に記載のポリウレタンエラストマーから製造されたバネ要素。
【請求項9】
請求項1に記載のポリウレタンエラストマーから製造されたマット又はクッション。
【請求項10】
請求項1に記載のポリウレタンエラストマーから製造された自動車の安全部品。
【請求項11】
請求項1に記載のポリウレタンエラストマーから製造された靴底及び靴の部品。


【公開番号】特開2006−77243(P2006−77243A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−248637(P2005−248637)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【出願人】(505327228)ビュファ・ポリウレタン・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト (1)
【氏名又は名称原語表記】BUEFA Polyurethane GmbH & Co. KG
【Fターム(参考)】