説明

改良された性質を有するポリウレタンフォーム及びこのフォームから構成された詰め込み構造物

【課題】例えば、航空分野で使用するために、オイルバーナー試験要件を達成することを可能にし(耐燃性)、しかも機械強度を損なうことなしに、従来のポリウレタンフォームから形成された構造物よりもずっと低い密度、即ち非常に軽い構造物の形成を可能にする、ポリウレタンフォームを提供することが本発明の課題である。
【解決手段】本発明のポリウレタンフォームは、ポリオールの100重量部につき、グラファイトの15〜30重量部、ガラス材料の中空装入物(例えばガラス中空微小球)の4〜10重量部、及びイソシアナートの50〜70重量部を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は改良された性質を有するポリウレタンフォームに関し、そしてこのフォームから構成された詰め込み(stuffed)構造物に関する。
さらに特定的には、本発明は、航空分野に特に適している詰め込み構造物に関し、この特定の用途に排他的には定めていないけれども、あらゆる他の場合においてこれを使用することが可能であり、そのような特徴を有するこの構造物は、機械的強度、密度及び燃焼挙動(fire behaviour)のような、その他の性質を損なうことなしに、非常に軽い構造物を得ることを可能にする。
【背景技術】
【0002】
過去多数年にわたってずっと今まで、要件が非常に限定的である航空試験をパスすることができ、そしてどんな場合においても、十分に心地よく、そしてできる限りいっそう軽いシートのための詰め込み構造物を実現するために、航空分野において解決策が求められている。
【0003】
特に航空ルールに従い、特に以下の特徴:
・オイルバーナー試験(参照事項:FAR 25アペンデックスF パートIII)をパスする燃焼挙動(fire behaviour)、
・密度 60Kg/m以下、
を有するクッションを成形するために適当なポリウレタンフォームを得ることを可能にする解決策を得ることに関心が持たれている。
【0004】
この前提のもとに、調合物(compound)を塗布し、そしてポリウレタンフォームが有していない耐燃性をこの調合物に与えるために、グラファイトを添加したポリウレタンフォームから構成されたクッションが、最近実現されている。
【0005】
この種の幾つかの解決策は、両方ともにメッツェラー シャウム GmbH(Metzeler Schaum GmbH)の名称でのヨーロッパ特許に記載されている(特許文献1及び2参照)。可撓性であり、弾性であり、耐燃性を有するポリウレタンフォームを実現化するための方法が両方の特許に記載されており、そしてその方法において、ポリオールとポリイソシーナートとがグラファイトの一部分と混合して使用される。
【0006】
上記書類において示唆されているように、反応混合物に特定の種類のグラファイトを導入することは、良好な物理的−機械的性質を備え、そしてオイルバーナー試験にパスするそのような特徴を有するポリウレタンフォームを得ることを可能にした。
【特許文献1】欧州特許第0414868号明細書
【特許文献2】欧州特許第0450403号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記混合物により得られた発泡断片の密度が、オイルバーナー試験にパスするために、70Kg/m以上でなければならなかった事実に特に起因して、前記解決策はいずれの場合においても、マイナスの面により特徴づけられる。他方、前記密度は航空用クッションのためにはあまりにも高く、そしてこのクッションの商業化に重大な限界がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のことを考慮して、上記欠陥を避け、既知の解決策に関して、オイルパーナー試験要件を達成することを可能にし、しかも同時に、ポリウレタンフォームから形成された既知の構造物に関してずっと低い密度を有する構造物を得ることを可能にする、ポリウレタンフォームを詰めた新しい構造物を得ることを可能にする解決策を本出願人は実現した。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、その低い密度(約150Kg/m)が膨張前に既に液体混合物の容積を上昇させるのに寄与する、さらに非常に軽い成分、特に中空ガラス微小球を、その反応混合物中に提供する、ポリウレタンフォームを実現化することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
それ故に、本発明の特定の目的は、ポリオールの100重量部につき、グラファイトの15〜30重量部、及びガラス材料の中空装入物(hollow charges)の4〜10重量部、及びイソシアナートの50〜70重量部を含むポリウレタンフォームを提供することである。
【0011】
本発明に従えば、好ましくはグラファイトの18〜25重量部、なおさらに好ましくはグラファイトの20重量部が提供される。
特に、膨張性グラファイトが使用される。
【0012】
さらに本発明に従えば、好ましくはガラス材料の中空装入物の6〜8重量部、なおさらに好ましくはガラス材料の中空装入物の7重量部が提供される。
【0013】
なおその上に、本発明に従えば、前記イソシアナートは、好ましくは変性ジフェニルメタン4,4’ジイソシアナートである。
本発明に従えば、前記ガラス材料の中空装入物はガラス中空微小球である。
【0014】
さらに、本発明に従えば、ポリウレタンフォームの製造において、ガラス材料である前記中空装入物は、ポリオールと混合されるか、イソシアナートと混合されるか、又はこれらの両方と混合されることができる。
【0015】
なおその上に、本発明に従えば、燐酸トリエチルが、ポリオールの100部に関して、1〜5重量部、好ましくは2〜4重量部、なおさらに好ましくは3重量部の量で、特に加えられることができる。
【0016】
本発明はさらに、上に記載したようにポリウレタンフォームを使用する詰め込み(stuffed)構造物に関する。
本発明に従うポリウレタンフォームを使用することにより約15%の密度の減少が得られる。
すでに記載したように、本発明に従うポリウレタンフォームの異なる可能な組み合わせがある。
【実施例】
【0017】
成分の物理的−化学的特徴及び反応混合物の重量組成の物理的−化学的特徴が例示のためにそして非限定的目的で以下に提供される。
【0018】
使用されるイソシアナートの量は、この特徴が実現されるべきクッションの柔らかさを専ら決定する(イソシアナートの量が高ければ高いほど、得られるクッションはそれだけ硬くなり、イソシアナートの量が低ければ低いほど、得られるクッションはそれだけ柔らかくなる)ので、いずれの場合においても(また、組成物Cにおいても)変化させることができる。
【0019】
ポリウレタン化合物のパーセンテージ及び組成を示す場合、本発明者等は、常にポリオールの100重量部から出発することとし、それに対して他の成分の量を言及する。明らかに、パーセンテージ組成を希望する場合には、ポリオールの割合はそれに応じて変化する。
【0020】
配合物1及び2は、主成分(ポリオール、イソシアナート、グラファイト及び微小球)のみを考慮に入れている:配合物1において、固体部分(グラファイト及び微小球)はすべてポリオール内に分散され、その一方で、配合物2において、それらは、成分“a”(ポリオール)中、及び成分“b”(イソシアナート)中、の両方に分散される。
【0021】
配合物3中には第5番目の成分、即ち燐酸トリエチル(TEP)が導入される。それは以下の2つの利点を得ることを可能にする低い粘度の耐燃性液体である:
−混合物の容易な加工性、
−オイルバーナー試験をパスするいっそう高いチャンス。
【0022】
特にイソシアナートに関する限り、以下の特徴を有するジフェニルメタン4,4’ジイソシアナート(MDI)が使用される。
(表1)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
%NCO 20〜30 22〜28 27
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
官能性 2〜3 2.2〜2.7 2.3
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0023】
グラファイトに関する限り、膨張性グラファイトが使用される。
ガラス中空微小球に関する限り、微細粒子不活性鉱物粉末からなる微小球が使用される。
【0024】
【表2】


(表3)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
配合物 3
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
A B C
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
成分“a”
ポリオール 100 100 100
グラファイト 15〜30 18〜25 22
微小球 − − −
TEP 1〜5 2〜4 3
成分“b”
イソシアナート 50〜70 50〜70 50〜70
微小球 6〜12 8〜10 9
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0025】
本発明は、その好ましい態様に従って、例示の目的ためにだが、しかし非限定的目的のために記載された。しかしながら、特許請求の範囲に規定されたとおりの関連の範囲から離れることなしに、当業者により、修正及び/又は変更が導入されることが出来ることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオールの100重量部につき、グラファイトの15〜30重量部、ガラス材料の中空装入物の4〜10重量部、及びイソシアナートの50〜70重量部を含む、ポリウレタンフォーム。
【請求項2】
グラファイトの18〜25重量部が提供されることを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項3】
グラファイトの20重量部が提供されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項4】
膨張性グラファイトが使用されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項5】
ガラス材料の中空装入物の6〜8重量部が提供されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項6】
ガラス材料の中空装入物の7重量部が提供されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項7】
前記イソシアナートが、変性ジフェニルメタン4,4’ジイソシアナートであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項8】
前記ガラス材料中空装入物がガラス中空微小球であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項9】
ポリウレタンフォームの製造において、ガラス材料の前記中空装入物がポリオールと混合されるか、イソシアナートと混合されるか、又はそれらの両方と混合されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項10】
燐酸トリエチルが1〜5重量部の量で加えられることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項11】
ポリオールの100部に関して、2〜4重量部、なおさらに好ましくは3重量部の燐酸トリエチルが加えられることを特徴とする、請求項10に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリウレタンフォームを使用することを特徴とする、詰め込み構造物。

【公開番号】特開2006−257426(P2006−257426A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−73652(P2006−73652)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(506093441)アビオインテリオルス ソシエタ ペル アチオニ (2)
【Fターム(参考)】