説明

改良された抗原結合親和性を有する、変更された抗体

本発明は、溶媒中の抗体と抗原との間で形成される複合体の構造に相当するデータを使って、溶媒中における抗体と抗原の間の結合自由エネルギーに対する静電的寄与を最小にする抗体のCDR電荷分布の表現を決定し、それによって抗体の抗原に対する結合親和性を調節する方法に関する。これらの決定結果に基づいて、溶媒中で結合した場合の抗体と抗原との結合自由エネルギーを引き下げるために少なくとも一つのアミノ酸残基を修飾することにより、たとえば抗原−抗体結合が向上するように抗体が修飾(変更)される。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体の抗原結合親和性を調節する方法であって、該方法は、置換させる際に抗体の抗原結合親和性が調節されるように、
溶媒中で抗原に結合する場合に、該抗体のアミノ酸の最適電荷分布、およびそれに関連する該抗体の結合自由エネルギーの変化の空間表示を決定する工程、
該修飾されるべき抗体の少なくとも一つの候補アミノ酸残基の位置を同定し、抗原に結合する場合の該抗体の結合自由エネルギーを変える工程、ならびに
該アミノ酸位置で置換するために選択されるアミノ酸残基を選択する工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
前記候補アミノ酸残基位置で、前記選択されたアミノ酸残基を置換する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
抗体の抗原結合親和性を調節する方法であって、該方法は、変更させる際に抗体の抗原結合親和性が調節されるように、
溶媒中で抗原に結合する場合に、該抗体のアミノ酸の最適電荷分布、およびそれに関連する該抗体の結合自由エネルギーの変化の空間表示を決定する工程、
該修飾されるべき抗体の少なくとも一つの候補アミノ酸残基の位置を同定し、抗原に結合する場合の該抗体の結合自由エネルギーを変える工程、
該アミノ酸位置に対して変更を選択する工程、
を包含する、方法。
【請求項4】
前記変更が、側鎖の化学的性質の欠失、挿入および変更からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
非修飾抗体が抗原に結合する場合と比較して、抗原に結合する場合の、修飾されたアミノ酸または変更を含む該抗体の、前記結合自由エネルギーの変化を計算する工程をさらに包含する、請求項1または3に記載の方法。
【請求項6】
前記計算する工程が、最初にin silicoでの前記抗体の修飾または変更をモデル化する工程を包含し、次いで、結合の自由エネルギーにおける変化を計算する工程を包含する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記計算する工程が、ポアソン−ボルツマン方程式に基づく方法を使用する静電結合エネルギーの決定、ファンデルワールス結合エネルギーの決定および溶媒が接近可能な表面積に基づく方法を使用する結合エネルギーの決定からなる群から選択される少なくとも一つの決定を使用する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記修飾された抗体または変更した抗体を発現させる工程をさらに包含する、請求項1または3に記載の方法。
【請求項9】
前記調節が、抗体/抗原結合親和性の増大および抗体/抗原結合親和性の減少からなる群から選択される、請求項1または3に記載の方法。
【請求項10】
前記選択されるアミノ酸が、特徴的な側鎖の化学的性質を有するアミノ酸のサブセット由来であり、該アミノ酸サブセットは、無電荷の極性アミノ酸残基、非極性アミノ酸残基、正の電荷を有するアミノ酸残基、および負の電荷を有するアミノ酸残基からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
溶媒中で結合した場合に、前記選択されるアミノ酸残基が、抗体と抗原との間の結合自由エネルギーを増大させ、それによって抗体−抗原結合親和性を減少させる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
溶媒中で結合した場合に、前記選択されるアミノ酸残基が、抗体と抗原との間の結合自由エネルギーを減少させ、それによって抗体−抗原結合親和性を増大させる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
抗体の抗原結合親和性を調節する方法であって、該方法は、
溶媒中で抗原に結合する場合に、該抗体のアミノ酸の最適電荷分布、およびそれに関連する該抗体の結合自由エネルギーの変化の空間表示を決定する工程、
該修飾されるべき抗体の少なくとも一つの候補アミノ酸残基の位置を同定し、抗原に結合する場合の該抗体の結合自由エネルギーを変える工程、
該アミノ酸位置で置換するために選択されるアミノ酸残基を選択する工程、
in silicoでの置換のための該選択されたアミノ酸残基をモデル化し、該抗原に結合する場合の該修飾された抗体の結合自由エネルギーにおける変化を計算する工程、ならびに
該抗体の該抗原結合親和性が調節されるように、該候補アミノ酸残基について該選択されたアミノ酸残基を置換する工程、
を包含する、方法。
【請求項14】
前記計算する工程が、ポアソン−ボルツマン方程式に基づく方法を使用する静電結合エネルギーの決定、ファンデルワールス結合エネルギーの決定および溶媒が接近可能な表面積に基づく方法を使用する結合エネルギーの決定からなる群から選択される少なくとも一つの決定を使用する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記修飾された抗体を発現させる工程をさらに包含する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記方法が、少なくとも一回くり返される、請求項1、3または13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記方法が、in silicoで行われる、請求項1または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも一つの工程が、三次元構造データによって情報が与えられる、請求項1、3または13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも一つの工程が、溶媒中で抗原に結合する発現された抗体から誘導される結合データ、抗体の結晶構造データ、抗原に結合する抗体の結晶構造データ、抗体の三次元構造データ、抗体のNMR構造データおよび抗体のコンピューターモデル化された構造データからなる群から選択されるデータによって情報が与えられる、請求項1、3または13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記修飾された抗体の発現が、無細胞性抽出物発現系、ファージディスプレイ発現系、原核細胞表現系および真核発現系からなる群から選択される発現系における発現である、請求項8または15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが、VCDR1、VCDR2、VCDR3、VCDR1、VCDR2およびVCDR3からなる群から選択される、CDR領域内の一つ以上の位置で修飾される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが、抗体、抗体の軽鎖(VL)、抗体の重鎖(VH)、単鎖抗体(scFv)、F(ab’)2フラグメント、Fabフラグメント、Fdフラグメント、および単ドメインフラグメントからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記抗体の前記抗原結合親和性が、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2、約3、約5、約8、約10、約50、約10、約10、約10、約10、または約10、約10、あるいは約10の係数で増大すると予測される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記抗体の前記抗原結合親和性が、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2、約3、約5、約8、約10、約50、約10、約10、約10、約10、または約10、約10、あるいは約10の係数で減少すると予測される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記抗原結合親和性が、塩を含有する水性溶媒の存在下で決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記溶媒が、生理学的濃度の塩を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項1、3または13のいずれか一項に記載の方法によって産生される、抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項28】
請求項1、3または13のいずれか一項に記載の方法に従って親和性を成熟させた、抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項29】
請求項1、3または13のいずれか一つに記載の方法によって産生される、複数の抗体、またはそれらの抗原結合フラグメント。
【請求項30】
請求項27に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする核酸。
【請求項31】
請求項30に記載の核酸をコードする宿主細胞。
【請求項32】
抗体またはその抗原結合フラグメントが発現されるような条件下で請求項31に記載の宿主細胞を培養することにより産生される、抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項33】
請求項27に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントを含む、薬学的組成物。
【請求項34】
ヒトの障害または疾患を処置または予防するための方法であって、該ヒトの疾患または障害の治療または予防が達成されるように、請求項33に記載の薬学的組成物の治療的有効量を投与する工程を包含する、方法。
【請求項35】
一つ以上の工程が、コンピューターで支援される、請求項1、3または13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
請求項1、3または13のいずれか一項に記載の方法の一つ以上の工程を実施するための使用説明書を備える、電子装置における使用に適切な媒体。
【請求項37】
請求項1、3または13のいずれか一項に記載の方法の一つ以上の工程を実施するための装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−504804(P2007−504804A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522004(P2006−522004)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/024200
【国際公開番号】WO2005/011376
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(592221528)バイオジェン・アイデック・エムエイ・インコーポレイテッド (224)
【出願人】(505318949)マサチューセッツ・インスティテュート・オブ・テクノロジー (2)
【出願人】(506028258)
【出願人】(506028269)
【出願人】(506028281)
【Fターム(参考)】