説明

改良された接着剤組成物

本発明は、少なくとも1の接着成分および少なくとも1のレオロジー調整剤を含む接着剤組成物であって、該レオロジー調整剤として以下のモノマー含むコポリマーを用いることを特徴とする接着剤組成物に関する:・式CH2=CR-COOHの不飽和モノカルボン酸のアルキルエステル[式中、Rは、H、一価アルキル、アリール、もしくはアルキルアリールラジカル、一価シクロアルキルラジカル、およびアルコキシ、ハロアルキル、もしくはシアノアルキル基からなる群から選ばれる置換基である。];および・C5-C35アルキルでアルコキシル化されたアクリレートまたはメタクリレートまたはその2またはそれ以上の混合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1クレームの前文によれば少なくとも1の接着剤および少なくとも1のレオロジー調整剤を含む接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
この前文によれば接着剤組成物は、段ボール(corrugated)カードボードのシートを平板(フラットシート)または紙シートに接着させる多層物質である段ボールカードの製造に適用される。段ボールカードボードの平板との接着は、波形の先端に接着剤の細長い一片を適用し、次いで該波形に多少の圧をかけることにより得られる。水性デンプンベースの接着剤は、段ボールボードの製造においてきわめて一般的であるが、次の典型的乾燥工程にエネルギーを消費するので経済的に魅力的でないことが多い。デンプンベースの接着剤の他の応用には、積層(laminated)紙またはボードの製造が含まれる。
【0003】
WO 2005/007765は、添加物として、アクリル酸またはメタクリル酸のホモポリマー、および/またはアクリル酸またはメタクリル酸を少なくとも1のアルキルアクリレートと多機能性ビニリデンモノマーで架橋したコポリマー、を含む段ボールの製造に適した接着剤組成物を開示する。該添加剤は、粘性が可逆的に増加および減少し得る偽可塑性(pseudo plastic)特性を接着剤組成物にもたらし、接着剤の特性に最小限の影響しか与えない。段ボールボードの波形の先端に加圧下で接着剤を供給すると、接着剤の粘性は減少し、厚さの減少した接着剤層が適用される。初期の粘性は、剪断力を除去すると実質的に急速に回復し、水の浸透を充分なレベルに維持し、段ボールボードに亀裂が形成されるリスクを最小限に減らしながら、接着剤が流れるのを防ぎ、接着剤の該カード/紙ボードへの浸透を減少させる。該添加物の水性デンプンベースの接着剤への組み込みは、通常、最初に添加物をデンプンまたは不活性無機オキシドで希釈し、次いで希釈した添加物を接着剤成分に組み込むことによって行う。WO 2005/007765の添加物のポリウレタンベースの接着剤への取り込みは、通常、該接着剤を予備処理してポリウレタン適合組成物とする必要がある。
【0004】
すなわち、適合性を得るための広範な予備処理を必要としない、幅広い種々の接着剤との良好な適合性および混和性を示すレオロジー調整剤の必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、種々の接着剤と共に用いるのに適した接着剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要約)
これは、請求項1の特徴付け部分の技術的特徴を示す接着剤組成物を用いて本発明に従って達成される。
【0007】
さらに、本発明の接着剤組成物は、以下のモノマーを含むコポリマーである添加剤をレオロジー調整剤として含む接着剤組成物を特徴とする:
(i) 式CH2=CR-COOHの不飽和モノカルボン酸のアルキルエステル(式中、RはH、一価アルキル、アリール、もしくはアルキルアリールラジカル、一価シクロアルキルラジカル、およびアルコキシ、ハロアルキルもしくはシアノアルキル基からなる群から選ばれる置換基である)、および
(ii) C5-C35アルキルでアルコキシル化されたアクリレートまたはメタクリレート、またはその2またはそれ以上の混合物。
【0008】
該コポリマーのモノマーは、好ましくはさらに構成要素として以下のものを含む:
(iii) 不飽和モノカルボン酸、例えばクロトン酸または桂皮酸(しかし、好ましくは式CH2=CR-COOH(ここで、Rは(i)に記載のものと同意義である))。
【0009】
別の態様において、該コポリマーのモノマーは、さらに構成要素として以下のものを含む:(iv) 不飽和ポリカルボン酸、例えば、マレイン酸、フマル酸、もしくはイタコン酸、または好ましくはそのエステル。好ましくは、この構成要素は、式A2-O-CO-CH=CH-CO-O-A3を有するマレイン酸、フマル酸、もしくはイタコン酸(より好ましくはマレイン酸由来の)ジエステルまたはその無水物(ここで、A2およびA3は、個々にC1-C35 炭化水素基(好ましくは、少なくとも4個の炭素原子、より好ましくは少なくとも8個の炭素原子を含む)から選ばれる。)である。
【0010】
好ましくは、該アルキルエステルは、式CH2=CR-COOHの不飽和モノカルボン酸のC1-C4 アルキルエステルである。
【0011】
本明細書において、(ii)の好ましいアルキルでアルコキシル化されたアクリレートまたはメタクリレートは、C20-C25アルキルでアルコキシル化されたアクリレートまたはメタクリレートである。
【0012】
(i)の不飽和モノカルボン酸は、好ましくはアクリル酸およびメタクリル酸、およびその混合物からなる群から選ばれる。
【0013】
別の態様において、(iii)の不飽和モノカルボン酸は、アクリル酸およびメタクリル酸、およびその混合物からなる群から選ばれる。
【0014】
本発明の好ましいコポリマーは、下記式(I)を有するコポリマーでありうる。
【0015】
【化1】

(I)
【0016】
別の態様において、本発明のコポリマーは、下記式(II)を有するコポリマーである。
【0017】
【化2】

(II)
【0018】
式(I)および(II)において、zは少なくとも1であり、(x+y):zは、4:1〜1,000:1、好ましくは6:1〜250:1であり(そのモノマー単位は、任意の順序であってよく、yは、好ましくは0〜最大Xの値と等しい);nは少なくとも1である;
Rは(i)において前記と同意義である;
R1は、1〜50の独立して選ばれるアルキレンオキシ基、好ましくはエチレンオキシド、またはプロピレンオキシド基を表す;
R2は、C5-C35 炭化水素基、好ましくは飽和アルキルを表し、しかし、場合によりフェニル基を含み、その場合は、R2はノニルフェニルまたはドデシルフェニル基を表すことが好ましい;
R3は、水素またはC1-C4 アルキル、好ましくはHまたはCH3を表す;
A1、A2、およびA3は、独立して水素およびアルキル基(好ましくはC1-C4 アルキル基)から選ばれる。
【0019】
したがって、本発明のレオロジー調整剤は、水に混和性であり、水適合性を示す前に、広範な予備処理を必要としないという利点がある。その結果、添加剤は、水を含む接着剤組成物に組み込むか、または最初に水で希釈し、次いで該接着剤中に組み込むことができる。
【0020】
添加剤の水との混和性は、段ボールボードまたは積層ボードの製造に特に利点があり、添加剤は接着剤組成物を用いる時に、すなわち、適用直前に該接着剤と混合することができる。添加剤(希釈された形でも)を該接着剤に供給するには小用量ポンプで十分であるが、従来のシステムは、固体デンプンで希釈した後に添加剤を供給することができる比較的大きく複雑な供給システムを用いる傾向がある。
【0021】
上記式(I)または(II)で示されるコポリマーは、親水性骨格およびより疎水性の特性を有する側鎖を有するポリマーを表す。理論に制限されることなく、これらの特性は、該コポリマーを本明細書に記載の広範囲の接着剤システムとの目的とする適合性を達成するための本発明に特に適したものにすると思われる。
【0022】
該添加剤のデンプンによる希釈物は、本発明の文脈において分配することができるので、該接着剤組成物の固体含有量を減少させることができ、このことは、処理装置の詰まりや閉塞が起きるリスクを最小限にするという観点から、該組成物を処理する際に重要である。
【0023】
それに加え、本発明の添加剤は、広範な事前処理も必要とせずに(しばしばいかなる事前処理もせずに)種々の接着剤との良好な適合性を示す。したがって、本発明の添加剤は、デンプンベースの、ポリビニルアセテートベースの、デキストリンベースの、および/またはポリウレタンベースの接着剤組成物に直接組み込むのに適しており、これは、これら接着剤の適用を、これまで利用できないかまたは限られた利用しかできなかった技術領域に広げることを可能にする。
(詳細な説明)
【0024】
上記添加剤は、偽可塑性特性を示し、該接着剤組成物中に低濃度しか存在しないときでも該添加剤を含む接着剤組成物にこの偽可塑性作用をもたらすことができるようである。該添加剤の存在は、それに適用する剪断力に応じて該接着剤組成物の粘性を変化させる効果を有する。詳細には、供給システムを通して加圧下で該接着剤組成物を供給する場合は、該組成物はより高い剪断力にかけられ、該接着剤組成物の粘性は低下し、このことは、供給する接着剤の量を正確に調節したまま減らすことができるという利点をもたらす。水ベースの接着剤組成物の場合は、より少ない水を供給することができ、水の浸透度を減少させ、後で該接着剤によって供給される水を蒸発させるためのエネルギー要求量、および加熱中に水蒸気の泡が発生するリスクを減らすことができる。該添加剤の存在および寄与は、該粘性が圧(すなわち高剪断力)除去後に実質的に急速に回復する作用も有する。すなわち、該接着剤組成物を適用するとすぐに、より高い粘性のほとんど瞬間的回復が生じ、該接着剤がその適用位置から流出するのを防ぎ、良好な接着を保証し、カード/紙に適用する時に特に重要な、該接着剤の基質内へのあらゆる浸透を最小限にする。
【0025】
水の移動および浸透の減少は、該紙が短い乾燥時間後にすでにさらに処理するのに利用可能になるという利点をもたらし、紙の処理時間を減少させ、紙の処理量を増加させる。これは、段ボールボードおよび積層紙の製造またはチューブの巻き取りに特に重要である。
【0026】
本発明者は、本発明の添加剤を用いると該接着剤組成物の粘性を可逆的に増加および減少させることができることをみいだした。すなわち、アプリケーターからカードボード表面に移動せずに、アプリケーター上に残っている接着剤を、接着剤強度に悪影響を及ぼすことなくリサイクルおよび再使用することができる。
【0027】
本発明の接着剤組成物は、適用した時に良好な密着、および接着剤層の割れを最小限にする特性を示す。
【0028】
該添加剤として使用するコポリマーは、好ましくは0.05〜100 x 109ダルトン、好ましくは0.5〜10 x 109ダルトン、より好ましくは1〜5 x 109ダルトンの分子量を有する。別の態様において、該コポリマーは、以下の平均分子量Mnを有する:20,000〜5,000,000、好ましくは22,000〜3,000000、より好ましくは24,000〜2,000,000の範囲の、より好ましくは約26,000。該コポリマーは好ましくは架橋している。該分子量は、好ましくはジメチルアセトアミド(DMA)に溶解したコポリマーを用いるゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)、およびポリメチルメタクリレート標準品を用いて較正した分析システムを用いて測定される。より好ましくは、そのように分析したコポリマーは、常にDMAと比較して50,000〜5,000,000、好ましくは60,000〜3,000000、より好ましくは70,000〜2,000,000、さらにより好ましくは約73,000の範囲のMwを有する。コポリマーの多分散性は、好ましくは2〜5、より好ましくは2.2〜4、さらにより好ましくは2.4〜3、さらにより好ましくは2.7〜2.8である。
【0029】
該添加剤は通常、水ベースの液体として利用可能であろう。同様に、本発明の好ましい接着剤組成物は液体である。
【0030】
(ii)のモノマーは、アルコールから出発して製造することができる。その誘導体はより高い安定性があるので第1アルコールから出発するのが好ましい。適切なオレフィンのヒドロホルミル化のような工程により石油化学供給源から(その場合には、該アルコールは直鎖または分岐鎖であってよい)得られるか、またはカルボン酸またはそのエステルの水素化のようなプロセスにより天然供給源から得られるC4-C24第1アルコールが特に適切であり、そのためにはそれらのメチルエステルが非常に適しており、その場合には該アルコールは通常直鎖である。別の適切な出発アルコールは、アルキルで置換されたフェノール、例えば、オクチルフェノール、ノニルフェノール、またはドデシルフェノールであり、該アルキル基は、直鎖または分岐鎖であってよい。次に、該アルコールを、好ましくはエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド、またはその混合物を用いてアルコキシル化し、例えば、ノニルフェノールエトキシレート (NPE)またはドデシルフェノールエトキシレートのようなアルキルアルコキシレートを形成することができる。さらなる工程において、該アルコキシレートの末端に残存する遊離OH官能基を、不飽和モノカルボン酸、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、もしくは桂皮酸、好ましくはアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化することができる。
【0031】
(iv)のモノマーは、マレイン酸もしくはフマル酸のエステルであってよく、アルコールをマレイン酸もしくはその無水物、もしくはフマル酸でエステル化することにより製造することができる。該モノマーとしてジエステルを用いることが好ましい。あらゆるアルコールがこのモノマーエステル誘導体を製造するのに適しているかもしれないが、該エステル誘導体をもたらす上で安定性が高いので第1アルコールを用いることが好ましい。また、(ii)においてモノマー単位の適切な出発物質として上記のアルコールを用いることが好ましい。
【0032】
該コポリマーを製造するために、あらゆる適切な重合技術を用いることができる。例えばKirk-Othmer、第5版、Wiley、20巻に記載のような当該分野で知られているフリーラジカル重合技術を用いることが好ましい。
【0033】
本発明の接着剤組成物に添加剤として用いるための適切な市販製品は、Sigma Chemical Company、Rohm & Haas(例えばAcusol(登録商標))、Lubrizol(例えばCarbopol(登録商標)およびNovethix(登録商標))、Wako Pure Chemical industries(Japan)、またはAllied Colloids(Great Britain)(例えばSalcare(登録商標))から得ることができる。
【0034】
本発明の添加剤は、偽可塑性挙動を示し、添加剤が少量のみ存在する場合であっても、添加剤を含む接着剤組成物にこの特性をもたらすことがわかっている。少量しか必要でないため、該接着剤組成物の性質ならびにその固体含有量および該組成物を処理する際に重要なゲル化特性は実質的に影響を受けないままである。該接着剤組成物は、通常、該組成物の総量の少なくとも約0.001wt%、好ましくは少なくとも0.05wt%である量の添加剤を含む。含まれる添加剤の最大量は、通常、該接着剤組成物の総重量の5wt%未満、好ましくは1wt%未満、より好ましくは0.5wt%未満であろう。所望により、該添加剤は、最初に乳化を促進するために接着剤に加える前に水または別の溶媒で希釈することができる。
【0035】
上記添加剤は、種々の接着剤組成物と共に用いるのに適しており、これは水ベースであるかも知れないが、水ベースであってはならない。しかしながら、好ましくは、本発明の接着剤組成物は、接着成分として、デンプンベースの接着剤組成物、ラテックスポリマー接着剤、例えばポリビニルアセテート接着剤、ビニルアセテートエチレンコポリマー接着剤、デキストリン、またはポリウレタン接着剤を用いる。デンプンベースの接着剤の場合は、修飾デンプンまたはより一般的な非修飾デンプンを用いることができる。本発明の接着剤組成物に適したデンプンベースの接着剤組成物の例には、デンプンがゼラチン化形と非ゼラチン化形の両方で存在する、いわゆるStein-Hall接着剤が含まれる。段ボールボードの製造用の典型的なStein-Hall 接着剤は、約70〜75wt%の水と30〜25wt%のデンプンを含む。この組成物に、好ましくは約0.3〜0.8wt%の添加剤を加えることができる。
【0036】
該接着剤組成物は、さらに光学的浄化剤を含むことができ、UV照射を用いて接着剤組成物の品質を調節することができる。
【0037】
本発明の接着剤組成物は、広範囲の適用、例えば段ボール紙もしくはカード、積層紙もしくは積層ボード、チューブ巻き取り紙もしくはボードの製造に用いるのに適しているが、紙もしくはボード以外の物質と共に用いるのにも適している。特に、本発明の接着剤組成物は、木、金属、およびプラスチック物質に用いるのに適しており、当業者は、過度な負担なしに各物質に適した接着成分を選択することができよう。
【0038】
本発明の接着剤組成物は、当業者が適切であるとみなすあらゆる用具を用いて適用することができ、好ましくは、該接着剤組成物に、適用中に圧力および高剪断力をかけ、適用中の接着剤組成物の粘性を減少させることができる。適切な分配方法にはスプレーが含まれ、これにより接着剤は噴霧されて微小滴となり、基質表面に沈着して、均質な層を形成する。該接着剤を、空気圧によるかまたは小さな穴を介して高圧で送り込むことにより霧状にし、接着剤の粘性を減少させ、薄いコーティングを沈着させる。この技術は、特に不規則な表面に用いるのに適している。別の適切な分配方法には、種々の接着剤用に市販されている分配ノズルを用いることが含まれ、これには多くの異なる形のものがある。通常、ノズル形のバルブは、圧力が適用されて接着剤が小さなまたは微細な穴から押し出されるまで接着剤の流れを阻止する。接触ノズルは、接着剤の帯をコートされる表面上に押し出し、薄いストリップまたは帯の適用が予想される場合に用いることができるノズルである。空気および電気ノズルは、接着剤のドットまたは断続的ストリップを沈着させるために用いることができる。ロールコーティングは、特に制御された接着剤厚の層を高速で大きな表面積上に急速に適用するのに適した別の技術である。ほとんどのロールコーターは、接着剤が機械を通過して基質に適用されるように設計されている。該接着剤は、典型的にはリザーバーに入れられ、コーティングローラーの表面に適用される。コーティングロールをタンクに浸漬するか、接着剤をリザーバーから汲み上げ、コーティングロールの表面に接触させる。コーティングロールの表面を接着剤で湿らしたら、過剰の接着剤をスクレーパーブレードまたは別のローラーによって除去してローラー上に正しく調節された厚さの接着剤を残し、次いで部分または基質に適用する。
【0039】
本発明は、紙の断続平板により一緒に結合した、複数の多層段ボール紙またはカードを含む積層段ボール紙またはカードの製造方法であって、一定量の本発明の上記接着剤組成物を波形の上端に適用し、該接着剤組成物に適用時に圧力をかけて、次いで層を加圧下で互いに接着させることを特徴とする方法にも関する。
【0040】
本発明は、紙の断続平板により一緒に結合した、複数の多層紙またはカードを含む圧縮紙またはカードボードの製造方法および積層紙またはカードチューブの製造方法であって、一定量の本発明の上記接着剤組成物を層に適用し、該接着剤組成物に適用時に圧力をかけて、次いで層を加圧下で互いに接着させることを特徴とする方法にも関する。
【0041】
さらに、本発明は、本発明の上記接着剤組成物により互いに接着する、紙の断続平板により一緒に結合した、複数の多層段ボール紙またはカードを含む積層紙またはカードボードに関する。
【0042】
さらに、本発明は、本発明の上記接着剤組成物により互いに接着している複数の多層紙もしくはカードを含む圧縮紙またはカードボード、ならびに本発明の接着剤組成物の断続層により一緒に接着している複数の管状巻き取り紙シートのチューブに関する。
【0043】
本発明の接着剤組成物は、各層が平らなライナーの最下層および/または最上層に接着している複数層の段ボール紙またはカードを含む、積層紙/カードボード、ハニカム紙/カードボード、および多層紙/カードボードの製造にも適している。
【0044】
さらに、本発明は、本発明の上記接着剤組成物を含有する、加圧下で接着剤組成物を放出する出口をさらに備えた容器に関する。
【0045】
該コポリマー中に存在する式CH2=CR-COOHの不飽和モノカルボン酸は、一般に、3〜12個の炭素原子を含む1またはそれ以上のモノ不飽和カルボン酸モノマーであろう。モノカルボン酸および/またはそのエステルに加えて、ポリカルボン酸および/またはそのエステルもコモノマーとして用いることができる。特に、少なくとも1の炭素-炭素オレフィン二重結合および少なくとも1のカルボキシル基を含むオレフィン性不飽和カルボン酸および/またはそのエステルが好ましい。適切な例には、アクリル酸、特に、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、α-シアノアクリル酸、β-メチルアクリル酸 (クロトン酸)、α-フェニルアクリル酸、β-アクリルオキシプロピオン酸、桂皮酸、p-クロロ桂皮酸、1-カルボキシ-4-フェニルブタジエン-1,3,3-アクリルアミド-3-メチルブタン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、フマル酸、およびトリカルボキシエチレンが含まれる。適切なポリカルボン酸の例には、酸無水物、例えば無水物基が同じカルボン酸分子状に位置する2個のカルボキシル基から水1分子を除去することにより形成される無水マレイン酸が含まれる。しかしながら、アクリル酸およびメタクリル酸が好ましい。
【0046】
アルキルでアルコキシル化されたアクリレートまたはメタクリレートは疎水性コモノマーである。疎水性コモノマーは、通常、酸のエステルまたはその2またはそれ以上の混合物であり、これには種々の既知の(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリルアミドが含まれうる。
【0047】
(ii)のアルキルでアルコキシル化された(メタ)アクリレートのアルキル基は、通常、5〜30個の炭素原子、好ましくは15〜30個、より好ましくは20〜25個の炭素原子を含む。アルキル構造は、一次、二次、または三次構造を含むことができる。適切なアルキルでアルコキシレート化されたアクリレートの例には、メトキシメチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、またはエトキシプロピルアクリレートが含まれる。アルキル構造には、フェニル基(置換されていてよい)も含むことができ、適切なアルキル構造には、オクチルフェニル、ノニルフェニル、およびドデシルフェニル構造があり、そのアルコキシル化誘導体、例えば1〜12個のエトキシ基および/またはプロポキシ基を含むものは容易に市販品を利用できる。
【0048】
(i)のモノマーは、オクタデシルアクリレート、ベヘニルアクリレート、ドデシルアクリレート、ヘキサデシルアクリレートなど;およびそのシアノ誘導体;メタクリレート、例えばステリルメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ヘキサデシルメタクリレートなどでありうる。2または3またはそれ以上の長鎖アクリルエステルの混合物は、カルボン酸および/またはエステルモノマーの一つとうまく重合するかもしれない。好ましい疎水性モノマーには、アルキル基が少なくとも12個の炭素原子を含む直鎖長鎖疎水性モノマー、例えばステアリールメタクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、およびベヘニルメタクリレートがある。所望により、疎水性アルキル基またはアルキルアリール基で被われたポリアルキルエネオキシド分枝を含む複合疎水性物質を利用することができる。
【0049】
アルコキシル化アルコールの(メタ)アクリル酸エステルでは、アルキル基は、典型的にはC8-C24 アルキル;アルキルアリール(アルキルフェニル基、例えばオクチルフェニルおよびノニルフェニルを含む);または多環式ヒドロカルビル化合物、例えばラノリンもしくはコレステロールの残基である。適切なアルキル基には、トリデシル、ミリスチル、ペンタデシル、セチル、パルミチル、ステアリール、エイコシル、およびベヘニルもしくはドコシル、またはその混合物が含まれる。そのような適切なモノマー混合物は、例えば、ラウリル、ステアリール、セチル、およびパルミチルアルコールの混合物のアルコキシル化から生じるかもしれない。
【0050】
上記コポリマーは、好ましくは架橋している。架橋剤として種々の多不飽和モノマーを利用し、部分的または本質的に架橋した三次元ネットワークを得ることができる。適切な架橋剤には、ショ糖もしくはペンタエリスリトールのアリルエーテル、または他のポリ不飽和モノマー、例えばジアリルエステル、ジメタリルエーテル、アリル、またはメタリルアクリレート、およびアクリルアミド、テトラアリルチン、テトラビニルシラン、ポリアルケニルメタン、ジアクリレート、およびジメタクリレート、ジビニル化合物、例えばジビニルベンゼン、ジビニルグリコール、ポリアリルホスフェート、ジアリルオキシ化合物、ホスファイトエステルなどが含まれる。典型的なポリ不飽和モノマーには、ジ、トリ、またはテトラ、ペンタ、もしくはヘキサ-アリルショ糖;ジ、トリ、もしくはテトラ-アリルペンタエリスリトール;ジアリルフタレート、ジアリルイタコネート、ジアリルフマレート、ジアリルマレエート、ジビニルベンゼン、アリルメタクリレート、クエン酸アリル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチルオールプロパントリアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラメチレンジエタクリレート、テトラメチレンジアクリレート、エチレンジアクリレート、エチレンジメタクリレート、トリエチレングリコールメタクリレート、メチレンビスアクリルアミドなどが含まれる。エチレン性不飽和カルボン酸などでエステル化したひまし油またはポリオールも用いることができる。好ましい架橋剤には、アリルペンタエリスリトール、アリルショ糖、トリメチルオールプロパンアリルエーテル、およびジビニルグリコールが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】接着剤組成物AおよびBの、スピンドル回転(回転/分(rpm)で表す)に対する動的粘性測定値(cPまたはmPa.sで表す)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明を以下の実施例によりさらに説明する。
【実施例】
【0053】
2つのStein-Hall接着剤組成物を表1に示す処方(重量単位で示す)に従って製造した。接着剤組成物Bは、本発明に従っており、一定量のNovethix L-10(アクリル酸のC1-C4 アルキルエステルのコポリマー)、(メタ)アクリル酸、およびC22アルキルでアルコキシル化された(メタ)アクリレートを含む。接着剤組成物Aは、比較用でありNovethix L-10を含まない。
表1

【0054】
この製造方法において、水1、デンプン1、およびNaOH溶液の第1量を混合し、撹拌してデンプンを膨潤させてゲルを得る(これを一般的に「担体」という)。このゲルに、水2、およびデンプン2の第2量(および適切な場合はNovethix L-10も)を混合し、一定量のBoraxを安定化剤として加えて処方を完了する。用いたデンプンは、国際的なデンプン製造業者のRoquetteから得た天然コーンスターチであった。用いたNaOHベースは市販の29%wt水溶液であった。Novethix L-10は、Lubrizol Corporationから利用可能なコポリマー製品である。処方に用いるboraxは、Rio Tintoグループの一員であるBorax Companyから利用可能な4ホウ酸ナトリウム10水和物 Na2B4O7.10H2Oであった。Novethix L-10コポリマーは、アクリル酸の単純なC1-C4アルキルエステル、(メタ)アクリル酸、およびC22アルキルでアルコキシル化された(メタ)アクリレートのコポリマーとして説明することができ、ジメチルアセトアミド(DMA)に溶解してゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)にかけると22〜37分間の保持ウインドウの間に広いピークを示すスペクトルが得られ、ポリメチルメタクリレート標準品で較正した分析システムを用い、DMAに対する以下の分子量情報を得た:Mn 26381、Mw 73432、多分散性 Mw/Mn 2.78、保持時間約28分間でMP 46696、Mz 140785、およびMz+1 203801を生じた。
【0055】
得られた接着剤組成物AおよびBの粘性を、スピンドル3を用い、スピンドル回転速度を変化させることにより(1rpmおよび5rpmで出発し、さらに5rpmから最終速度100rpmまでの工程を含む)、Brookfield RV装置中で種々の剪断ストレスレベル下で測定した。スピンドル回転(回転/分(rpm)で表す)に対する動的粘性測定値(cPまたはmPa.sで表す)を図1に示す。ここで、上側の曲線は比較用組成物Aの粘性を示し、下側の曲線は本発明の組成物Bの粘性を示す。
【0056】
該曲線は有意差があり、本発明のコポリマーを含む接着剤組成物は該コポリマーを含まない処方に比べて高剪断下で粘性のはるかに大きな低下がみられた(100rpmで一桁まで低下)。
【0057】
本発明を完全に説明してきたが、当業者は本発明の精神および範囲から逸脱することなく、特許請求の範囲内の種々のパラメーター内で本発明を実施することができることを理解するだろう。当業者が理解するであろうように、特許請求の範囲に記載したすべての本発明は、本明細書に具体的に列挙していない他の好ましい態様も含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1の接着成分および少なくとも1のレオロジー調整剤を含む接着剤組成物であって、該レオロジー調整剤として、以下のモノマーを含むコポリマーを用いることを特徴とする接着剤組成物:
(i)式CH2=CR-COOHの不飽和モノカルボン酸のアルキルエステル
[式中、Rは、H、一価アルキル、アリール、もしくはアルキルアリールラジカル、一価シクロアルキルラジカル、およびアルコキシ、ハロアルキル、もしくはシアノアルキル基からなる群から選ばれる置換基である。];および
(ii)C5-C35アルキルでアルコキシル化されたアクリレートまたはメタクリレートまたはその2またはそれ以上の混合物。
【請求項2】
該コポリマーのモノマーがさらに以下のものを含む請求項1記載の接着剤組成物:
(iii)式CH2=CR-COOHの不飽和モノカルボン酸
[式中、Rは(i)と同意義である。]。
【請求項3】
該コポリマーのモノマーがさらに以下のものを含む請求項1または2記載の接着剤組成物:
(iv)不飽和ポリカルボン酸またはそのエステル。
【請求項4】
(i)のアルキルエステルとして、式CH2=CR-COOHの不飽和モノカルボン酸のC1-C4アルキルエステルを用いる請求項1-3のいずれかに記載の接着剤組成物。
【請求項5】
(ii)のアルキルでアルコキシル化されたアクリレートまたはメタクリレートがC20-C25のアルキルでアルコキシル化されたアクリレートまたはメタクリレートであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の接着剤組成物。
【請求項6】
該コポリマーが架橋しており、好ましくは20,000〜5,000,000の範囲のGPCにより決定される平均分子量Mnを有する請求項1〜5のいずれかに記載の接着剤組成物。
【請求項7】
(i)の該不飽和モノカルボン酸が、アクリル酸およびメタクリル酸、およびその混合物からなる群から選ばれることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の接着剤組成物。
【請求項8】
(iii)の不飽和モノカルボン酸が、アクリル酸およびメタクリル酸、およびその混合物からなる群から選ばれることを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の接着剤組成物。
【請求項9】
接着成分として、デンプンベースの接着剤組成物、ポリビニルアルコール接着剤、ポリビニルアセテート接着剤、ビニルアセテートエチレンコポリマー接着剤、デキストリン接着剤、またはポリウレタンベースの接着成分、または前記接着成分の2またはそれ以上の混合物を用いることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の接着剤組成物。
【請求項10】
接着剤組成物の総重量に対して少なくとも0.001wt%、好ましくは少なくとも0.05wt%の添加剤、および5wt%未満、好ましくは1wt%未満、より好ましくは0.5wt%以下の添加剤を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の接着剤組成物。
【請求項11】
紙の断続平板により一緒に結合した段ボール(波形)紙または段ボールカードの複数の多層板を含む積層段ボール紙または段ボールカードボードの製造方法であって、請求項1〜10のいずれかに記載の接着剤組成物の一定量を波形に適用し、適用する時に該接着剤に圧をかけ、次いで、層を加圧下で互いに接着させることを特徴とする製造方法。
【請求項12】
該層が請求項1〜10のいずれかに記載の接着剤組成物により互いに接着していることを特徴とする紙の断続平板により一緒に結合した段ボール紙または段ボールカードの複数の多層を含む紙またはカードボード。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれかに記載の接着剤組成物により互いに接着している紙またはカードの複数の多層を含む圧縮紙またはカードボード。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれかに記載の接着剤組成物の一定量を該層に適用し、接着剤は適用する際に圧を受け、次いで該層が加圧下で互いに接着することを特徴とする、紙またはカードの複数の多層を含む圧縮紙またはカードボードの製造方法。
【請求項15】
請求項1〜10のいずれかに記載の接着剤組成物を含有する、加圧下で接着剤組成物を射出するための排出口が付いている容器。

【図1】
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【公表番号】特表2012−520366(P2012−520366A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553447(P2011−553447)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053051
【国際公開番号】WO2010/103050
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(511220566)
【氏名又は名称原語表記】CORRUTECH
【Fターム(参考)】