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改良された熱ショックタンパク質に基づくワクチンおよび免疫治療
説明

改良された熱ショックタンパク質に基づくワクチンおよび免疫治療

単独で投与するか、または少なくとも1つの熱ショックタンパク質との複合体として投与した場合、抗原性ドメインに対する免疫応答の誘導のために有用である、少なくとも1つの抗原性ドメイン、少なくとも1つの熱ショックタンパク質結合ドメイン、およびそれらの間の少なくとも1つの改良されたペプチドリンカーを含むハイブリッド抗原が記載される。ハイブリッド抗原および複合体を用いて、抗原性ドメインの抗原を発現する感染症および癌を治療することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2004年2月12日に出願された米国特許出願第10/776,521号および2004年2月13日に出願されたPCT特許出願第PCT/US04/04340号に対する優先権を主張するものであり、この両方は参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする。本出願はまた、35 U.S.C.§119(e)に基づいて、2003年4月11日に出願された仮出願第60/462,469号、2003年4月18日に出願された第60/463,746号、および2003年9月16日に出願された第60/503,417号に対する優先権を主張するものであり、その3つ全ては参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする。
【0002】
序論
本発明は、必要に応じて1つ以上の熱ショックタンパク質と組み合わせた少なくとも1つまたはそれ以上の所定のハイブリッド抗原の有効量を被験体に投与することを特徴とする被験体における免疫応答を誘導するための方法および組成物に関する。これらの方法および組成物を、感染症および癌の治療に用いることができる。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
熱ショックタンパク質は元々、温度の突然の上昇に曝された哺乳動物細胞中で(多くの細胞タンパク質では発現が有意に低下するにもかかわらず)発現が増加することが観察された。それ以来、そのようなタンパク質がグルコース欠乏などの種々の型のストレスに応答して産生されることが決定されてきた。本明細書で用いる用語「熱ショックタンパク質」は、明らかに呼称されているそのもののタンパク質だけでなく他のストレスタンパク質、例えば、構成的に(すなわち、ストレス条件の非存在下で)発現されるそのようなタンパク質の相同体をも包含するように用いられる。熱ショックタンパク質の例としては、BiP(grp78とも呼ばれる)、hsp70、hsc70、gp96(grp94)、hsp60、hsp40およびhsp90が挙げられる。
【0004】
熱ショックタンパク質は、非天然状態にある他のタンパク質と結合する能力を有し、特に、リボソームから生じるかまたは小胞体中に押し出される新生中のペプチドに結合する能力を有する。HendrickおよびHartl, Ann. Rev. Biochem. 62:349-384(1993); Hartl, Nature 381:571-580(1996)。さらに、熱ショックタンパク質は、細胞質ゾル、小胞体およびミトコンドリア中でのタンパク質の適切な折りたたみおよび会合において重要な役割を果たすことが示された。この機能に照らせば、これらは「分子シャペロン」と呼ばれる。Frydmanら、Nature 370:111-117(1994);HendrickおよびHartl, Ann. Rev. Biochem. 62:349-384 (1993); Hartl, Nature 381: 571-580 (1996)。
【0005】
例えば、タンパク質BiPは、hsp70ファミリーと呼ばれる熱ショックタンパク質のクラスのメンバーであるが、これは、小胞体中での軽鎖との会合の前に、新規に合成された折りたたまれていないμ免疫グロブリン重鎖に結合することが見出された。Hendershotら、J. Cell Biol. 104:761-767 (1987)。別の熱ショックタンパク質であるgp96は、小胞体に局在するストレスタンパク質hsp90ファミリーのメンバーである。LiおよびSrivastava, EMBO J. 12:3143-3151 (1993); MazzarellaおよびGreen, J. Biol. Chem. 262:8875-8883 (1987)。gp96は小胞体中でマルチサブユニットタンパク質の会合を助けることが提唱されている。Wiechら、Nature 358:169-170 (1992)。
【0006】
実験動物中の腫瘍から調製された熱ショックタンパク質は、腫瘍特異的な様式で免疫応答を誘導することができたこと、すなわち、特定の腫瘍から精製された熱ショックタンパク質は、同じ腫瘍の増殖を阻害するが、他の腫瘍の増殖は阻害しない実験動物における免疫応答を誘導することができたことが観察された。SrivastavaおよびMaki, Curr. Topics Microbiol. 167:109-123 (1991)。熱ショックタンパク質をコードする遺伝子については腫瘍特異的DNA多型を示すことは見出されていない。SrivastavaおよびUdono, Curr. Opin. Immunol. 6: 728-732 (1994)。高分解能ゲル電気泳動により、gp96が分子レベルで不均一性であってもよいことが示された。FeldwegおよびSrivastava, Int. J. Cancer 63:310-314 (1995)。証拠は、不均一性の原因が熱ショックタンパク質に付着した小ペプチドの集団(何百にも達しうる)でありうることを示している。上掲。腫瘍により合成された熱ショックタンパク質に付着した多様なペプチドは、そのようなタンパク質に対し、その効果においていくらかHLA拘束性でありうるより伝統的な免疫原とは対照的に、多様なHLA表現型を有する被験体において免疫応答を引き出すことができるようにすることが提唱された。上掲。
【0007】
Nielandら(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 93:6135-6139 (1996))は、VSV感染細胞により産生されるgp96に結合した細胞傷害性Tリンパ球(CTL)水疱性口内炎ウイルス(VSV)エピトープを含む抗原ペプチドを同定した。Neilandの方法は、gp96に結合したさらなるペプチドまたは他の化合物の同定を不可能にするものであり、従って、gp96に結合したより高分子量の物質をさらに特定し、高速液体クロマトグラフィーにより検出することができなかった。
【0008】
グルタルアルデヒド固定された放線菌のhsp65またはhsp70と化学的に架橋された、NANP (Asp Ala Asp Pro)マラリア抗原の多重反復を含む合成ペプチドが、アジュバント添加の非存在下で、マウスにおける抗体形成(すなわち、体液性応答)を誘導することができたことが報告された。同様の効果は細菌エシェリキア・コリ(Escherichia coli)に由来する熱ショックタンパク質を用いても観察された。Del Guidice, Experientia 50: 1061-1066 (1994); Barriosら、Clin. Exp. Imnzunol. 98: 224-228 (1994); Barriosら、Eur. J. Immunol. 22: 1365-1372 (1992)。熱ショックタンパク質への合成ペプチドの架橋およびおそらくグルタルアルデヒド固定が、抗体誘導に必要であった。Barriosら、Clin.Exp. Immunol. 98:229-233。
【0009】
PCT/US96/13363は、熱ショックタンパク質との複合体中で、抗原に対する免疫応答を誘導し、かくして癌および感染症の治療のために有用である、抗原性ドメインおよび熱ショックタンパク質結合ドメインを含むハイブリッド抗原を記載している。PCT/US98/22335は、同様の用途のためのさらなる熱ショックタンパク質結合ドメイン、ならびに単独で投与されるハイブリッド抗原が免疫応答を誘導する能力について記載している。ハイブリッド抗原中の少なくとも1つの抗原性ドメインと少なくとも1つの熱ショックタンパク質結合ドメインとの間に存在するペプチドリンカーにおける改良が生物活性の増加をもたらすことが、今や発見されている。また、この増加は、ハイブリッド抗原の抗原部分に対する免疫応答の誘導の増加をもたらすことが見出される。このことは、本出願の対象であるこれらの改良されたペプチドリンカー、これらを含むハイブリッドペプチド、および熱ショックタンパク質を含むかまたは含まないこれらの使用に向けられている。
【発明の開示】
【0010】
発明の概要
本発明は、少なくとも1つの所定のハイブリッド抗原を必要に応じて熱ショックタンパク質との複合体として被験体に投与することを特徴とする被験体における免疫応答を誘導するための方法および組成物に関する。このハイブリッド抗原は、少なくとも1つの抗原性ドメインおよび少なくとも1つの熱ショックタンパク質結合ドメイン、ならびにその間に少なくとも1つのペプチドリンカーを含む。感染症または腫瘍などの疾患と関連する抗原に対する免疫応答の誘導は、これらの疾患の治療のために有用である。ハイブリッド抗原の抗原性ドメインまたは免疫原性ドメインは、タンパク質全体もしくはペプチド抗原であってもよく、または選択された抗原の一部のみ、例えば、該抗原の選択されたエピトープであってもよい。熱ショックタンパク質結合ドメインは、熱ショックタンパク質に結合するペプチド、好ましくは、熱ショックタンパク質に結合する7〜15アミノ酸のペプチド、より好ましくは、熱ショックタンパク質に結合する疎水性ペプチド、および最も好ましくは、熱ショックタンパク質に結合する7〜15アミノ酸の疎水性ペプチドである。リンカーは、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはSおよび最も好ましくはVである)のうちいずれかの配列を有する。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。
【0011】
本発明は、そのようなハイブリッド抗原を単独で投与する方法、ならびに熱ショックタンパク質/ハイブリッド抗原組成物を投与する方法を提供する。この後者の方法は、(i)ハイブリッド抗原の熱ショックタンパク質への結合が起こってハイブリッド抗原/熱ショックタンパク質複合体を形成する条件下で、1つ以上の熱ショックタンパク質と、1つ以上のハイブリッド抗原とをin vitroで混合すること;および(ii)そのような治療を必要とする被験体に熱ショックタンパク質に結合したハイブリッド抗原を有効量で投与すること、を含む。
【0012】
あるいは、必要に応じて熱ショックタンパク質と組み合わせたハイブリッド抗原は、該ハイブリッド抗原をコードする核酸を、必要に応じて熱ショックタンパク質をコードする核酸と共に被験体に投与することにより、該被験体に導入することができる。
【0013】
かくして、第1の態様において、本発明は、感染性物質または腫瘍抗原の抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質と非共有結合する結合ドメイン、および該抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てるペプチドリンカーから本質的になるハイブリッド抗原に向けられており、ここで該ペプチドリンカーは、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。
【0014】
第2の態様において、本発明は、1つ以上の感染性物質または1つ以上の腫瘍抗原の複数の抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合する少なくとも1つの結合ドメイン、および該抗原性ドメインと少なくとも1つの結合ドメインとを隔てる少なくとも1つのペプチドリンカーから本質的になるハイブリッド抗原に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーは、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。特定の実施形態においては、前記のハイブリッド抗原中の少なくとも1つの抗原性ドメインはTヘルパーエピトープである。
【0015】
第3の態様においては、本発明は感染性物質または腫瘍抗原の抗原性ドメイン、および熱ショックタンパク質に非共有結合する結合ドメイン、ならびにそれらの間のペプチドリンカーを含むハイブリッド抗原に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはSおよび最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。特定の実施形態においては、前記ハイブリッド抗原は、抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てるペプチドリンカーを有する。
【0016】
第4の態様においては、本発明は、1つ以上の感染性物質または1つ以上の腫瘍抗原の複数の抗原性ドメイン、および熱ショックタンパク質に非共有結合する少なくとも1つの結合ドメイン、ならびにそれらの間の少なくとも1つのペプチドリンカーを含むハイブリッド抗原に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーは、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。特定の実施形態においては、少なくとも1つの抗原性ドメインはTヘルパーエピトープである。
【0017】
第5の態様においては、本発明は、感染性物質または腫瘍抗原の抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合する結合ドメイン、およびそれらの間の少なくとも1つのペプチドリンカーを含む少なくとも1つのハイブリッド抗原を含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導するための組成物に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。一実施形態においては、前記組成物は複数のハイブリッド抗原を含み、このハイブリッド抗原の1つはTヘルパーエピトープを含んでよい。
【0018】
第6の態様においては、本発明は、複数の抗原性ドメイン(そのうちの少なくとも1つは感染性物質または腫瘍抗原に由来するものである)、熱ショックタンパク質に非共有結合する少なくとも1つの結合ドメイン、ならびにそれらの間の少なくとも1つのペプチドリンカーを含む少なくとも1つのハイブリッド抗原を含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導するための組成物に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはSおよび最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。
【0019】
第7の態様においては、本発明は、感染性物質または腫瘍抗原の抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合する結合ドメイン、および抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てるペプチドリンカーから本質的になる少なくとも1つのハイブリッド抗原を含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導するための組成物に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはSおよび最も好ましくはVである)のうちいずれかである。前記のうち、特にGln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。一実施形態においては、前記組成物は複数のハイブリッド抗原を含む。別の態様においては、複数のハイブリッド抗原のうち少なくとも1つはTヘルパーエピトープを含む。
【0020】
第8の態様においては、本発明は、複数の抗原性ドメイン(そのうちの少なくとも1つは感染性物質または腫瘍抗原に由来する)、熱ショックタンパク質に非共有結合する少なくとも1つの結合ドメイン、および抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てる少なくとも1つのペプチドリンカーから本質的になる少なくとも1つのハイブリッド抗原を含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導するための組成物に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)に由来する。一実施形態においては、抗原性ドメインの少なくとも1つはTヘルパーエピトープを含む。
【0021】
第9の態様においては、本発明は、感染性物質または腫瘍抗原の少なくとも1つの抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合するペプチドを含む少なくとも1つの結合ドメイン、およびそれらの間のペプチドリンカーを含むハイブリッド抗原と熱ショックタンパク質との複合体を、被験体に投与することを含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導する方法に向けられており、ここで、ハイブリッド抗原および熱ショックタンパク質は非共有結合されており、少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。一実施形態においては、この複合体は複数のハイブリッド抗原を含む。一実施形態においては、少なくとも1つのハイブリッド抗原はTヘルパーエピトープを含む。別の実施形態においては、ハイブリッド抗原は複数の抗原性ドメインを含み、その抗原性ドメインの少なくとも1つはTヘルパーエピトープであってよい。複合体が複数のハイブリッド抗原を含むさらに別の実施形態においては、そのハイブリッド抗原の少なくとも1つは複数の抗原性ドメインを含む。本発明のこの態様の別の実施形態においては、熱ショックタンパク質はhsp70である。
【0022】
第10の態様においては、本発明は、感染性物質または腫瘍抗原の少なくとも1つの抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合する結合ドメイン、および抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てるペプチドリンカーから本質的になるハイブリッド抗原と熱ショックタンパク質との複合体を被験体に投与することを含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導する方法に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。一実施形態においては、この複合体は複数のハイブリッド抗原を含む。別の実施形態においては、少なくとも1つのハイブリッド抗原はTヘルパーエピトープである。さらなる実施形態においては、ハイブリッド抗原は複数の抗原性ドメインを含む。さらに別の実施形態においては、少なくとも1つの抗原性ドメインはTヘルパーエピトープである。さらに別の実施形態においては、前記複合体は複数のハイブリッド抗原を含み、そのハイブリッド抗原の少なくとも1つは複数の抗原性ドメインを含む。この態様の好ましい実施形態においては、熱ショックタンパク質はhsp70である。
【0023】
第11の態様においては、本発明は、感染性物質または腫瘍抗原の少なくとも1つの抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合するペプチドを含む少なくとも1つの結合ドメイン、およびそれらの間の少なくとも1つのペプチドリンカーを含む少なくとも1つのハイブリッド抗原を被験体に投与することを含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導する方法に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。一実施形態においては、この複合体は複数のハイブリッド抗原を含む。別の実施形態においては、少なくとも1つのハイブリッド抗原はTヘルパーエピトープである。別の実施形態においては、ハイブリッド抗原は複数の抗原性ドメインを含む。さらなる実施形態においては、少なくとも1つの抗原性ドメインはTヘルパーエピトープである。さらに別の実施形態においては、前記複合体は複数のハイブリッド抗原を含み、そのハイブリッド抗原の少なくとも1つは複数の抗原性ドメインを含む。本発明のこの態様の別の実施形態においては、ペプチドリンカーが抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てる。
【0024】
第12の実施形態においては、本発明は、感染性物質または腫瘍抗原の少なくとも1つの抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合する結合ドメイン、および抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てるペプチドリンカーから本質的になる少なくとも1つのハイブリッド抗原を被験体に投与することを含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導する方法に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN) ;Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、特にGln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。一実施形態においては、この複合体は複数のハイブリッド抗原を含む。さらなる実施形態においては、少なくとも1つのハイブリッド抗原はTヘルパーエピトープである。別の実施形態においては、ハイブリッド抗原は複数の抗原性ドメインを含む。さらに別の実施形態においては、少なくとも1つの抗原性ドメインはTヘルパーエピトープである。さらに別の実施形態においては、前記複合体は複数のハイブリッド抗原を含み、そのハイブリッド抗原の少なくとも1つは複数の抗原性ドメインを含む。
【0025】
第13の態様においては、本発明は、感染症または癌と関連する感染性物質または腫瘍抗原の少なくとも1つの抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合するペプチドを含む結合ドメイン、およびそれらの間のペプチドリンカーを含むハイブリッド抗原と熱ショックタンパク質との複合体を被験体に投与することを含む、感染症または癌の治療方法に向けられており、ここでハイブリッド抗原および熱ショックタンパク質は非共有結合されており、少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。一実施形態においては、この複合体は複数のハイブリッド抗原を含む。別の実施形態においては、少なくとも1つのハイブリッド抗原はTヘルパーエピトープである。さらに別の実施形態においては、ハイブリッド抗原は複数の抗原性ドメインを含む。さらに別の実施形態においては、少なくとも1つの抗原性ドメインはTヘルパーエピトープである。さらに別の実施形態においては、前記複合体は複数のハイブリッド抗原を含み、そのハイブリッド抗原の少なくとも1つは複数の抗原性ドメインを含む。本発明のこの態様の一実施形態においては、ペプチドリンカーは抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てる。本発明のこの態様の好ましい実施形態においては、熱ショックタンパク質はhsp70である。
【0026】
第14の態様においては、本発明は、感染症または癌と関連する感染性物質または腫瘍抗原の少なくとも1つの抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合する少なくとも1つの結合ドメイン、および抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てるペプチドリンカーから本質的になるハイブリッド抗原と熱ショックタンパク質との複合体を被験体に投与することを含む、感染症または癌の治療方法に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。一実施形態においては、この複合体は複数のハイブリッド抗原を含む。別の態様においては、少なくとも1つのハイブリッド抗原はTヘルパーエピトープである。さらに別の態様においては、ハイブリッド抗原は複数の抗原性ドメインを含む。さらに別の態様においては、少なくとも1つの抗原性ドメインはTヘルパーエピトープである。さらなる態様においては、前記複合体は複数のハイブリッド抗原を含み、そのハイブリッド抗原の少なくとも1つは複数の抗原性ドメインを含む。好ましい実施形態においては、熱ショックタンパク質はhsp70である。
【0027】
第15の態様においては、本発明は、感染症または癌と関連する感染性物質または腫瘍抗原の少なくとも1つの抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合するペプチドを含む結合ドメイン、およびそれらの間のペプチドリンカーを含む少なくとも1つのハイブリッド抗原を被験体に投与することを含む、感染症または癌の治療方法に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはSおよび最も好ましくはVである)に由来する。前記のうち、特にGln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。一実施形態においては、この複合体は複数のハイブリッド抗原を含む。別の態様においては、少なくとも1つのハイブリッド抗原はTヘルパーエピトープである。さらに別の態様においては、ハイブリッド抗原は複数の抗原性ドメインを含む。さらに別の態様においては、少なくとも1つの抗原性ドメインはTヘルパーエピトープである。さらに別の態様においては、前記複合体は複数のハイブリッド抗原を含み、そのハイブリッド抗原の少なくとも1つは複数の抗原性ドメインを含む。本発明のこの態様の一実施形態においては、ペプチドリンカーは抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てる。
【0028】
第16の態様においては、本発明は、感染症または癌と関連する感染性物質または腫瘍抗原の少なくとも1つの抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合する結合ドメイン、および抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てるペプチドリンカーから本質的になる少なくとも1つのハイブリッド抗原を被験体に投与することを含む、感染症または癌の治療方法に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。一実施形態においては、この複合体は複数のハイブリッド抗原を含む。別の実施形態においては、少なくとも1つのハイブリッド抗原はTヘルパーエピトープである。さらに別の実施形態においては、ハイブリッド抗原は複数の抗原性ドメインを含む。さらに別の実施形態においては、少なくとも1つの抗原性ドメインはTヘルパーエピトープである。別の実施形態においては、前記複合体は複数のハイブリッド抗原を含み、そのハイブリッド抗原の少なくとも1つは複数の抗原性ドメインを含む。
【0029】
第17の態様においては、本発明は、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのペプチドに向けられている。
【0030】
第18の態様においては、本発明は、複数の抗原性ドメイン、少なくとも1つの熱ショックタンパク質結合ドメインおよびそれらの間の少なくとも1つのペプチドリンカーを含む免疫原性ポリペプチドに向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーは、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、特にGln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。
【0031】
第19の態様においては、本発明は上記の第1、2、3または4の態様におけるハイブリッド抗原のいずれかをコードするポリヌクレオチドに向けられる。
【0032】
第20の態様においては、本発明は、感染症または癌に関連する感染性物質または腫瘍抗原の抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質結合ドメイン、およびそれらの間のPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかであるペプチドリンカーを含むハイブリッド抗原をコードするポリヌクレオチドを被験体に投与することを含む、感染症または癌に対する免疫応答を誘導する方法に関する。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。
【0033】
第21の態様においては、本発明は、上記のハイブリッド抗原をコードするポリヌクレオチド、および熱ショックタンパク質をコードするポリヌクレオチドを、被験体に投与することを含む、感染症または癌に対する免疫応答を誘導する方法に関する。好ましい実施形態においては、コードされる熱ショックタンパク質はhsp70である。
【0034】
本発明の上記態様のいずれか、または全てにおいて、感染症の抗原は、非限定的な例であるが、細菌、ウイルス、原生動物、マイコプラズマ、菌類、酵母、寄生虫、またはプリオンなどの感染性物質から誘導されたものであってよい。癌または癌と関連する腫瘍抗原は、非限定的な例であるが、肉腫、リンパ腫、白血病、または癌腫、メラノーマ、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、結腸癌、肺癌、グリア芽腫、もしくは星状細胞腫から誘導されたものであってよい。感染性物質または癌の抗原性ドメインは、それぞれ、感染性物質または癌抗原の抗原に対する免疫応答を誘導することが対応する感染症または癌を治療するのに有用であるような感染症または腫瘍抗原から誘導されるか、またはそれと関連した抗原を含む。
【0035】
本出願は、35 U.S.C.§119(e)に基づいて、2003年4月11日に出願された仮出願第60/462,469号、2003年4月18日に出願された第60/463,746号、および2003年9月16日に出願された第60/503,417号に対する優先権を主張するものであり、これらの3つは全て、その全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
発明の詳細な説明
明確に説明するために、限定するものではないが詳細な説明を以下の小節に分割する:
(i) ハイブリッド抗原、
(ii) 熱ショックタンパク質、および
(iii) 投与方法。
【0037】
ハイブリッド抗原
本発明によるハイブリッド抗原は、少なくとも1つの抗原性(免疫原性)ドメイン、少なくとも1つの熱ショックタンパク質結合ドメイン、および少なくとも2つのこれらのドメインの間のペプチドリンカーを含み、このペプチドリンカーは、
Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)、
Phe Arg Lys (FRK)、
Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002)、
Arg Lys Asn (RKN)、
Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003)、
Phe Arg (FR)、
Gln Leu Lys (QLK)、
Gln Leu Glu (QLE)、
Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)、
Lys Asn (KN)、
Arg Lys (RK)、または
AA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)、
のうちのいずれかである。
【0038】
前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。
【0039】
かくして、ハイブリッド抗原は少なくとも2つの機能を有し、すなわち、(i) それは所望の免疫応答を誘導することができるエピトープを含み;そして(ii) それは熱ショックタンパク質に物理的に結合することができる。以下に記載するように、ハイブリッド抗原単独の投与が所望の免疫応答を誘導し、所望の治療効果をもたらすように、そのような結合をin vivoで生じさせることができる。
【0040】
本明細書で用いる用語「抗原」は、アミノ酸、炭水化物、核酸もしくは脂質から個々にまたは任意の組合せで構成されていてもよい化合物を指す。
【0041】
本明細書で用いる用語「ハイブリッド抗原」は、1つ以上の熱ショックタンパク質に結合し、望ましい免疫応答を指向する免疫原である化合物を指す。例えば、免疫原がインフルエンザウイルスである場合、ハイブリッド抗原はインフルエンザウイルスのマトリックスタンパク質のペプチド断片を含みうる。本明細書で用いる用語「免疫原」は、引き出される免疫応答の対象となる新生物細胞、感染細胞、病原体、またはそれらの成分に当てはまるが、一方ハイブリッド抗原は、所望の応答を誘導することができ、1つ以上の熱ショックタンパク質に結合するその免疫原の一部を含む。具体的には、ハイブリッド抗原の抗原性ドメインは、MHC分子から得られるペプチド、突然変異したDNA遺伝子産物、および腫瘍細胞から得られるものなどの直接的なDNA産物などを含み、これは特定の疾患または病原体に対する免疫応答を引き出すように選択される。
【0042】
本発明は任意の型の免疫原にも適用することができるが、特定の目的の免疫原は、限定されるものではないが、肉腫、リンパ腫、白血病、または癌腫、特に、メラノーマ、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、結腸癌、肺癌、グリア芽腫、星状細胞腫などの新生物疾患と関連するものであるか、それらから誘導されるものであるか、またはそれらと関連することが予測されるものである。本発明のハイブリッド抗原において有用なメラノーマ抗原の選択を、非限定的な例であるが、PCT/US01/12449 (WO0178655)(これはその全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする)に見出すことができる。さらに、p53などの腫瘍抑制遺伝子産物、またはrasなどの癌遺伝子産物の突然変異も、本発明に従って用いられるハイブリッド抗原を提供することができる。
【0043】
さらなる実施形態においては、前記免疫原は感染症と関連していてもよく、例えば、細菌、ウイルス、原生動物、マイコプラズマ、菌類、酵母、寄生虫、またはプリオンなどであってよい。例えば、限定されるものではないが、免疫原はヒトパピローマウイルス(下記参照)、単純ヘルペスウイルスもしくは帯状ヘルペスなどのヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス1もしくは2などのレトロウイルス、肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、サイトメガロウイルス、アデノウイルス、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)、サルモネラ(Salmonella)属菌、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属菌、ストレプトコッカス(Streptococcus)属菌、エンテロコッカス(Enterococcus)属菌、クロストリジウム(Clostridium)、エシェリキア(Escherichia)属菌、クレブシエラ(Klebsiella)属菌、ビブリオ(Vibrio)属菌、ミコバクテリウム(Mycobacterium)属菌、アメーバ、マラリア寄生虫、クルーズ・トリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)などであってよい。
【0044】
免疫原は、新生物、感染細胞、感染した被験体由来の検体、細胞培養物、もしくは組織培養物からの直接的な単離により取得してもよく、または化学的もしくは組換え技術により合成してもよい。非限定的な例として、特にウイルス、細菌などに対する使用のためにハイブリッド抗原に使用するための、好適な抗原性ペプチドは、限定されるものではないが、以下のようなHLA-A2ペプチド結合配列などのHLA結合配列を含むMHCクラスI拘束性ペプチドエピトープをその配列に対して検索することによって、設計することができる:Xaa(Leu/Met)XaaXaaXaa(Val/Ile/Leu/Thr)XaaXaa(Val/Leu) (配列番号2)。このエピトープとしては、例えば、以下のものが挙げられる:





【0045】
前記エピトープは単に種々の感染症および癌と関連して利用可能な選択の例であって、限定されることを意図するものではない。
【0046】
所望の免疫応答の型を考慮することも望ましい。例えば、特定の環境下では、体液性免疫応答が適当である。他の場合、実際に新生物細胞または感染細胞に対する免疫応答が引き出されると考えられる場合には、細胞性免疫応答が特に望ましい。従って、B細胞、Tヘルパー細胞、または細胞傷害性T細胞の活性化に関連する特定のエピトープを同定し、ハイブリッド抗原への組込みのために選択することができる。
【0047】
また、自己免疫疾患またはアレルギーと関連するハイブリッド抗原を用いるのも望ましい。そのようなハイブリッド抗原を、1つ以上の熱ショックタンパク質と共に、被験体におけるハイブリッド抗原に対する既存の免疫応答に対して寛容原性であるか、またはそれを抑制するのに十分な量で投与すればよい。免疫応答を抑制するのに必要な熱ショックタンパク質の量は、刺激にとって必要な量よりも大幅に多いものと予測される。
【0048】
ハイブリッド抗原のサイズは用いる熱ショックタンパク質に応じて様々でありうるが、本発明の非限定的な実施形態においては、ハイブリッド抗原は10〜500個のアミノ酸残基を有するペプチドサイズ、および好ましくは14〜100個、最も好ましくは18〜50個のアミノ酸残基を有するペプチドサイズであってよい。そのようなものとして、ハイブリッド抗原の抗原性ドメインとして働く免疫原の断片を生成するか、あるいは化学的もしくは組換えDNA方法によりハイブリッド抗原を合成することは望ましい。
【0049】
上記の考えに基づいて、ハイブリッド抗原を調製し、その後、熱ショックタンパク質に結合するその能力について試験することができる。いくつかの例においては、特定の熱ショックタンパク質へのハイブリッド抗原の結合を、熱ショックタンパク質であってもよい少なくとも1つの他のタンパク質の存在により、容易にすることができる。
【0050】
例えば、熱ショックタンパク質へのハイブリッド抗原の結合は、放射性標識、蛍光標識、酵素標識もしくは色素標識などの検出可能な標識を用いてハイブリッド抗原を標識し、結合を生じさせることが予測される条件下で熱ショックタンパク質とハイブリッド抗原とを混合した後、未結合のハイブリッド抗原を除去しながら熱ショックタンパク質を単離し、標識されたハイブリッド抗原が熱ショックタンパク質に接着したか否かを決定することにより、評価することができる。特定の例として、限定するものではないが、ハイブリッド抗原が熱ショックタンパク質BiPに結合する能力を、50 mM Tris HCl (pH 7.5)、200 mM NaCl、および1 mM Na2EDTAを含むバッファー中、最終容量50μlとして、2μgのBiPと最大約1150ピコモルの放射性標識されたハイブリッド抗原とを、37℃にて30分間、混合することにより、評価することができる。次いで、未結合のハイブリッド抗原を、100 gで遠心分離し1 mlのSephadex-Gカラムを通して2分間脱塩することにより、結合したBiP-ハイブリッド抗原から除去することができる。Penefsky, J. Biol. Chem. 252:2891 (1977)。樹脂への結合を防止するために、最初にカラムを、上記と同様に同じバッファー中の100μlのウシ血清アルブミンで処理し、遠心分離することができる。次いで、結合したハイブリッド抗原を、液体シンチレーション計測により定量することができる。Flynnら、Science 245:385-390 (1989)を参照されたい。
【0051】
ATP加水分解は多くの公知の熱ショックタンパク質からのペプチドの遊離を駆動するので、ATPase活性量を用いて、熱ショックタンパク質へのハイブリッド抗原の結合量を定量することが多い。そのようなアッセイを行う方法の例はFlynnら、Science 245:385-390 (1989)に説明されている。
【0052】
熱ショックタンパク質結合ドメインを、ハイブリッド抗原がin vitroまたはin vivoでBip、hsp70、gp96、もしくはhsp90、または前記熱ショックタンパク質ファミリーのメンバーなどの熱ショックタンパク質に、単独で、またはhsp40、もしくはhsp60などのアクセサリー熱ショックタンパク質と組み合わせて結合するように、選択する。
【0053】
この基準を満たすペプチドの非限定的な例は、Blood-Elguindiら、Cell 75:717-728 (1993)に記載されているような、1つ以上の熱ショックタンパク質に良好に結合することが知られている抗原のライブラリーをパニングすることにより特定することができ、そのような抗原の例は以下の通りである:





この技術を用いて、Blood-Elguindiは、熱ショックタンパク質BiPが、配列:
Hy(Trp/X)HyXHyXHy (配列番号29)
(式中、Hyは疎水性アミノ酸残基、特に、トリプトファン、ロイシンまたはフェニルアラニン(配列番号30)を表し、Xは任意のアミノ酸である)
を有するヘプタマー領域を含むポリペプチドを認識すると結論付けた。このモチーフを組み込んだ高親和性熱ショックタンパク質結合配列としては:
His Trp Asp Phe Ala Trp Pro Trp (配列番号1)、および
Phe Trp Gly Leu Trp Pro Trp Glu (配列番号4)、
が挙げられる。
【0054】
他の熱ショックタンパク質結合モチーフも同定されている。例えば、Augerら、Nature Medicine 2:306-310 (1996)は、熱ショックタンパク質に結合する関節リウマチと関連したHLA-DR型における2つのペンタペプチド結合モチーフ:
Gln Lys Arg Ala Ala (配列番号5)、および
Arg Arg Arg Ala Ala (配列番号6)、
を同定した。また、熱ショック結合モチーフが疎水性アミノ酸に富む7〜15残基長のペプチドからなるものとして同定された。

【0055】
さらに、他の熱ショックタンパク質結合ペプチドとしては、以下:




が挙げられ、これらはGragerovら、J. Molec. Biol. 235:848-854 (1994)に記載されている。
【0056】
他の熱ショックタンパク質結合ドメインとしては、Phe Tyr Gln Leu Ala Leu Thr (配列番号 )、Phe Tyr Gln Leu Ala Leu Thr Trp (配列番号 )、Arg Lys Leu Phe Phe Asn Leu Arg (配列番号 )、Arg Lys Leu Phe Phe Asn Leu Arg Trp (配列番号 )、Lys Phe Glu Arg Gln (配列番号 )、Asn Ile Val Arg Lys Lys Lys (配列番号 )、およびArg Gly Tyr Val Tyr Gln Gly Leu (配列番号 )が挙げられる。
【0057】
さらに、他の熱ショックタンパク質結合ドメインとしては、WO9922761に記載のものが挙げられる。Xaaは任意のアミノ酸を表す。
【0058】









【0059】
上記の熱ショックタンパク質結合ドメインは、本発明の実施に用いることができるペプチドおよび非ペプチド性熱ショックタンパク質結合分子のうちの、種々のペプチドの単なる例に過ぎない。他の実施形態においては、熱ショックタンパク質結合ドメインは、上記のように哺乳動物熱ショックタンパク質の異なる部分に結合するようにすることができるので、本発明の熱ショックタンパク質結合ドメインは熱ショックタンパク質分子の任意の特定の部分への結合に限定されるものではない。非限定的な例においては、ペプチドIFAGIKKKAERADLIAYLKQATAK (Greeneら、1995, J. Biol. Chem. 270: 2967-2973; 配列番号331)またはこのペプチドの熱ショックタンパク質結合断片を、本発明のコンジュゲートのいずれかにおいて用いて、熱ショックタンパク質への予め選択した分子の結合を容易にする。熱ショックタンパク質に結合する上記のペプチドに加えて、その結合は、熱ショックタンパク質結合活性を有する有機分子または化合物の使用によって達成することができる。例えば、好適な分子としては、ハービマイシンA、ゲルダナマイシン、マクミマイシンI、ミモサマイシンおよびクワイチマイシン(Omuraら、1979, J. Antibiotics 32:255-261、WO9922761も参照。これらはその全体を本明細書に組み入れる)などのベンゾキノンアンサマイシン抗生物質のメンバー、またはそれらと構造的に関連する化合物、およびその類似体もしくは誘導体が挙げられる。これらの分子を、確立された化学的手法により、ペプチドリンカーを介して本発明の抗原性ドメインとコンジュゲートさせて、in vitroまたはin vivoで熱ショックタンパク質に結合し、そこに存在する該抗原に対する免疫応答を引き出すことができるハイブリッド抗原を生成することができる。
【0060】
2004年2月12日に出願された、同時係属中の公有特許出願第10/776,521号(その全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする)に記載されているように、限定されるものではないが上記で同定されたものなどの熱ショックタンパク質結合ドメインのC末端でのトリプトファン残基(Trp、または一文字アミノ酸記号でW)の組込みにより、熱ショックタンパク質への結合が増大することが見出された。熱ショックタンパク質への結合の増大は、熱ショックタンパク質との複合体として投与されるか、または単独で投与されるかに関わらず、ハイブリッド抗原の抗原性ドメインに対する免疫応答を誘導するハイブリッド抗原の能力を増加させることが見出された。増大した免疫応答は、疾患を治療する効力の増加と相関する。親和性を決定するための方法の他の例は、PCT/US96/13363 (WO9706821)(これは参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする)に記載されている。
【0061】
熱ショックタンパク質結合ドメインの前記選択のうち、本発明の抗原性ドメインおよびその間のペプチドリンカーを含むハイブリッド抗原の一部として本発明において好ましいものとしては、以下の熱ショックタンパク質結合ドメインが挙げられる:


【0062】
本発明の種々の態様にとって有用な末端Trp残基を有するそのような熱ショックタンパク質結合ドメインの他の非限定的な例としては、以下が挙げられる:


【0063】
本発明の実施において有用な他の熱ショックタンパク質結合ドメインとしては、Phe Tyr Gln Leu Ala Leu Thr Trp (配列番号501)、Phe Tyr Gln Leu Ala Leu Thr Trp (配列番号502)、Arg Lys Leu Phe Phe Asn Leu Arg Trp (配列番号503)、Arg Lys Leu Phe Phe Asn Leu Arg Trp (配列番号504)、Lys Phe Glu Arg Gln Trp (配列番号505)、Asn Ile Val Arg Lys Lys Lys Trp (配列番号506)、およびArg Gly Tyr Val Tyr Gln Gly Leu Trp (配列番号507)が挙げられる。
【0064】
さらに、他の熱ショックタンパク質結合ドメインとしては、WO9922761に記載のものが挙げられ、本発明の目的を達成するために付加された末端Trp残基を有しうる。Xaaは任意のアミノ酸を表す。
【0065】






【0066】
前記熱ショックタンパク質結合ペプチドの全てのうち、熱ショックタンパク質結合ドメインAsn Leu Leu Arg Leu Thr Gly Trp (配列番号350)が、本発明のハイブリッド抗原において最も好ましい。しかしながら、前記熱ショックタンパク質結合ドメインは、本発明の実施において用いることができるペプチドおよび非ペプチド性熱ショックタンパク質結合分子のうちの、種々の部分の単なる例に過ぎない。
【0067】
本発明のハイブリッド抗原は、本明細書に記載の少なくとも1つのペプチドリンカーにより隔てられた、少なくとも1つの抗原性(免疫原性)ドメインと少なくとも1つの熱ショックタンパク質結合ドメインとを含む。本発明のハイブリッド抗原を、化学的ペプチド合成法を用いて合成するか、または抗原性および熱ショックタンパク質結合ドメインをコードする連結された配列を含む核酸構築物の発現により合成することができる。1つの好適な技術では、最初に別個のPCR増幅反応を用いて、一方の末端に結合されたリンカー断片をそれぞれが有する2つのドメインをコードする別個のDNA断片を作製し、その後、さらなるPCR工程においてその2つの増幅された産物を融合させる。この技術をリンカーテイリングと呼ぶ。好適な制限部位を目的の領域中に遺伝子工学的に作製し、その後、制限消化およびライゲーションを用いて、所望のハイブリッド抗原をコードする配列を作製することもできる。
【0068】
本明細書に注記されるように、本発明のハイブリッド抗原をコードする核酸も、in vivoでの発現が免疫応答を誘導する能力を有するハイブリッド抗原をもたらす場合には、被験体への投与による治療的使用に好適である。
【0069】
熱ショックタンパク質
本明細書で用いる用語「熱ショックタンパク質」は、細胞をストレスに曝した場合、該細胞中で発現の増加を示す任意のタンパク質を指す。好ましい非限定的な実施形態においては、熱ショックタンパク質は元々真核細胞から得られたものである。より好ましい実施形態においては、熱ショックタンパク質は元々哺乳動物細胞から得られたものである。例えば、限定されるものではないが、本発明に従って用いることができる熱ショックタンパク質としては、BiP(grp78とも呼ぶ)、hsp70、hsc70、gp96(grp94)、hsp60、hsp40、およびhsp90、ならびにそのファミリーのメンバーが挙げられる。特に好ましい熱ショックタンパク質は、以下に例示されるように、BiP、gp96、およびhsp70である。最も好ましいのは、hsp70ファミリーのメンバーである。熱ショックタンパク質の天然の突然変異体または組換え法で得られた突然変異体を、本発明に従って用いることもできる。例えば、限定されるものではないが、本発明は、細胞(例えば、小胞体の再生を容易にするエレメント(KDELもしくはその相同体)の突然変異または欠失を有する細胞;このような突然変異はPCT出願第PCT/US96/13233 (WO 97/06685)[これは参照により本明細書に組み入れられるものとする]に記載されている)からのそれらの分泌が容易になるように突然変異させた熱ショックタンパク質の使用を提供する。
【0070】
熱ショックタンパク質およびハイブリッド抗原をタンパク質/ペプチド複合体の形態で被験体に直接投与する本発明の実施形態のために、熱ショックタンパク質は、例えば、Flynnら、Science 245:385-390 (1989)に記載のように天然の起源から、標準的な技術を用いて調製するか、または細菌、酵母もしくは哺乳動物細胞などの好適な宿主細胞中での熱ショックをコードするベクターの発現などの組換え技術を用いて調製することができる。宿主生物由来のペプチドが熱ショックタンパク質に予め負荷されていることが問題である場合、熱ショックタンパク質をATPと共にインキュベートした後、再精製すればよい。組換え熱ショックタンパク質の調製方法の非限定例を以下に説明する。
【0071】
熱ショックタンパク質をコードする核酸を発現にとって必要な、または望ましいエレメントに機能し得る形で連結した後、これを用いて、タンパク質ワクチンまたは核酸ワクチンにおける使用のために熱ショックタンパク質を製造する手段として所望の熱ショックタンパク質を発現させることができる。発現にとって必要な、または望ましいエレメントとしては、限定されるものではないが、プロモーター/エンハンサーエレメント、転写開始および終結配列、ポリアデニル化シグナル、翻訳開始および終結配列、リボソーム結合部位、シグナル配列などが挙げられる。例えば、限定されるものではないが、gp96(ヒト:Genebankアクセッション番号X15187;Makiら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 87:5658-5562 (1990); マウス:Genebankアクセッション番号M16370;Srivastavaら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 84:3807-3811 (1987))、BiP(マウス:Genebankアクセッション番号U16277;Haasら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:2250-2254(1988); ヒト: Genebankアクセッション番号M19645; Tingら、DIVA7 : 275-286 (1988))、hsp70 (マウス: Genebankアクセッション番号M35021; Huntら、Gene 87: 199-204 (1990); ヒト: Genebankアクセッション番号M24743; Huntら、Proe. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 82 : 6455-6489 (1995))、およびhsp40 (ヒト: Genebankアクセッション番号D49547; Ohtsuka K., Biochenz. Biophys. Res. Commun. 197: 235-240 (1993))などの種々の熱ショックタンパク質の遺伝子がクローニングされ、配列決定されている。
【0072】
投与方法
本発明のハイブリッド抗原、またはハイブリッド抗原と熱ショックタンパク質の複合体は、ペプチドベースのワクチン、タンパク質ベースのワクチン、または核酸ワクチンのいずれかを用いて被験体に投与して、被験体中で、被験体における治療的な免疫応答を誘導するのに有効な量の複合体が生成するようにすることができる。
【0073】
被験体はヒトまたは非ヒト被験体であってよい。
【0074】
本明細書で用いる用語「治療的な免疫応答」は、標準的な技術により測定される、ハイブリッド抗原に対する体液性および/または細胞性免疫の増加を指す。好ましくは、限定されるものではないが、ハイブリッド抗原に対する体液性免疫の誘導レベルが、被験体への本発明の組成物の投与前の該抗原に対する体液性免疫のレベルより、少なくとも4倍、好ましくは少なくとも16倍大きい。被験体における新生物疾患または感染症の進行の阻止または寛解が治療的な免疫応答の誘導を示すとみなされる好適なin vitroまたはin vivoアッセイを用いて、その免疫応答を、定性的に測定することもできる。
【0075】
投与する熱ショックタンパク質/ハイブリッド抗原の具体的な量は、特定のワクチン組成物の免疫原性、被験体の免疫適格性、被験体の大きさおよび投与経路を含む多くの要因に依存しうる。投与のための任意の所与の組成物の好適量の決定は、日常的なスクリーニングの問題である。
【0076】
さらに、有意な免疫学的効果を、ハイブリッド抗原を単独で、すなわち、熱ショックタンパク質を用いずに投与する試験において同定した。本出願人は本発明が機能するその理論を開示する義務を有さず、またそれに束縛もされないが、これらの試験の結果は、ハイブリッド抗原が、被験体への注入の際に内因性の熱ショックタンパク質に結合することから、有効性のために熱ショックタンパク質の同時投与を必要としないことを示唆している。本発明は、本発明のハイブリッド抗原のそのような利用にも拡張され、さらに、全身的なまたは本発明のハイブリッド抗原の意図される投与部位での内因性熱ショックタンパク質レベルを増加させる同時療法または治療にも拡張される。そのような同時療法または治療としては、限定されるものではないが、局所組織における熱ショックタンパク質の発現を増加させる熱もしくは局所もしくは全身的薬剤の局所適用が挙げられる。そのような薬剤および方法は当業界で公知である。
【0077】
少なくとも1つの抗原性ドメインおよび少なくとも1つの熱ショックタンパク質結合ドメインを含み、熱ショックタンパク質と同時投与することなく投与される(すなわち、熱ショックタンパク質との複合体としては投与されない)ハイブリッド抗原は、上記のペプチドリンカーのうちの1つを含む。
【0078】
本発明の特定の非限定的な実施形態においては、免疫応答を最適化するために、2種以上の熱ショックタンパク質、および/または2つ以上のハイブリッド抗原を含むことが望ましい。そのような手法は、免疫応答の回避をもたらす突然変異の急速な発生を特徴とする癌の治療または感染の治療において特に有利である。さらに、本発明のハイブリッド抗原は、2つ以上の免疫原性ドメインまたは2つ以上のエピトープを含んでもよい。
【0079】
上記で説明したようなハイブリッド抗原/熱ショックタンパク質またはハイブリッド抗原単独を含む組成物を、本明細書では以後「ワクチン」と呼ぶ。用語「ワクチン」は、本発明の組成物を予防的または治療的な免疫応答を誘導するのに用いることができることを示すために、用いられる。本発明のワクチンは、単一の抗原性ドメインもしくはエピトープを有するハイブリッド抗原、または、複数の抗原性ドメインもしくはエピトープを有するハイブリッド抗原を含んでもよい。さらに、ワクチンは、単一もしくは複数の抗原性ドメインもしくはエピトープを有するハイブリッド抗原の混合物、または前記の任意の組合せを含んでもよい。上記で注記したように、ハイブリッド抗原もしくはその混合物を、投与前に1つ以上の熱ショックタンパク質と複合体化させることもできるし、または熱ショックタンパク質を用いずに投与することもできる。
【0080】
必要に応じて本発明に従って1つ以上の熱ショックタンパク質と複合体化された1つ以上のハイブリッド抗原を含むワクチン組成物を、皮膚、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、非経口的、肺内、膣内、直腸内、経鼻または局所的に投与することができる。ワクチン組成物を、注入、粒子ボンバードメント法により、経口的に、またはエアロゾルにより、送達することができる。
【0081】
ハイブリッド抗原を含む溶液中での熱ショックタンパク質のインキュベーションは、多くの場合、熱ショックタンパク質上への抗原の積載を達成するのに十分である。しかしながら、いくつかの場合においては、抗原の積載を助けることができる薬剤を添加することが望ましい。
【0082】
ハイブリッド抗原とともに熱ショックタンパク質を加熱するインキュベーションは、一般的には、熱ショックタンパク質上への抗原の積載をもたらすであろう。いくつかの場合においては、しかしながら、積載を助ける追加薬剤を添加することが望ましい。例えば、hsp40はhsp70上へのペプチドの積載を容易にすることができる。Minamiら、J. Biol. Chem. 271:19617-19624(1996)。グアニジウムHClまたは尿素などの変性剤を用いて、熱ショックタンパク質を部分的かつ可逆的に不安定化させて、ペプチド結合ポケットを抗原に対してより近接可能にすることができる。
【0083】
特に、熱ショックタンパク質を含む本発明のワクチンが、複合体がその目的部位に到達する前に熱ショックタンパク質と熱ショックタンパク質結合ドメインとの間の会合を促進する、アデノシン二リン酸(ADP)を含むことも好ましい。同様の能力を有する他の化合物を、単独で、またはADPと組み合わせて用いることもできる。
【0084】
本発明によるワクチン組成物は、製薬上許容し得る担体などの種々の添加物質をさらに含んでもよい。好適な担体としては、リン酸緩衝生理食塩水、水、油/水乳液もしくはトリグリセリド乳液などの乳濁液、種々のタイプの湿潤剤、錠剤、被覆錠剤およびカプセル剤などの任意の標準的な製薬上許容された担体の任意のものが挙げられる。前記化合物の静脈内および腹腔内投与において有用な許容し得るトリグリセリド乳液の一例は、Intralipid(登録商標)として商業的に知られるトリグリセリド乳液である。典型的には、そのような担体はデンプン、乳、糖、特定のタイプの粘土、ゼラチン、ステアリン酸、タルク、植物油脂、ゴム、グリコールなどの賦形剤、または他の公知の賦形剤を含む。そのような担体はまた、香料および着色添加剤または他の成分を含んでもよい。
【0085】
また、本発明のワクチン組成物は、好適な希釈剤、保存剤、安定化剤、乳化剤、アジュバントおよび/または担体を含んでもよい。そのような組成物は、液体製剤もしくは凍結乾燥された製剤、あるいは乾燥製剤の形態であってよく、そして、種々のバッファー成分(例えば、Tris-HCl、酢酸、リン酸)、pHおよびイオン強度の希釈剤、表面への吸着を防止するためのアルブミンもしくはゼラチンなどの添加剤、界面活性剤(例えば、Tween20、Tween80、Pluronic F68、胆汁酸塩)、可溶化剤(例えば、グリセロール、ポリエチレングリセロール)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、保存剤(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラベン)、増量剤もしくは等張性改変剤(例えば、ラクトース、マンニトール)、タンパク質へのポリエチレングリコールなどのポリマーの共有結合、金属イオンとの複合体化、またはポリ乳酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲルなどのポリマー化合物の粒子状調製物の中もしくはその上への、またはリポソーム、マイクロエマルジョン、ミセル、単一ラメラもしくは多重ラメラ小胞、赤血球ゴースト、もしくはスフェロプラスト上への前記物質の組み込みを、含んでもよい。そのような組成物は、物理状態、可溶性、安定性、in vivoでの放出速度、およびin vivoでのクリアランス速度に影響するであろう。組成物の選択はワクチンの物理的および化学的特性に依存するであろう。例えば、膜結合形態のタンパク質から誘導された生成物は界面活性剤を含む製剤を必要とする。制御放出型組成物または持続放出型組成物は、親油性デポー剤(例えば、脂肪酸、ワックス、油)中の製剤を含む。また、ポリマー(例えば、ポロキサマーまたはポロキサミン)で被覆され、組織特異的受容体、リガンドもしくは抗原に対する抗体に結合したか、または組織特異的受容体のリガンドに結合した粒子状組成物も、本発明に包含される。本発明の組成物の他の実施形態は、粒子形態保護コーティング、プロテアーゼ阻害剤、または、筋肉内、非経口、経肺、経鼻および経口などの種々の投与経路のための透過促進剤を含む。
【0086】
必要に応じて熱ショックタンパク質と複合体化されたハイブリッド抗原の直接投与の代わりに、該ハイブリッド抗原をコードする1つ以上のポリヌクレオチド構築物を、必要に応じて熱ショックタンパク質と共に、発現可能な形態で投与することができる。発現可能なポリヌクレオチド構築物を、ex vivoまたはin vivo法を用いて、被験体中の細胞に導入する。好適な方法としては、組織および腫瘍への直接注入、リポソームを用いるトランスフェクション(Fraleyら、Nature 370:111-117(1980))、受容体媒介エンドサイトーシス(Zatloukalら、Ann. NY Acad. Sci. 660:136-153 (1992))、粒子ボンバードメント媒介遺伝子導入(Eisenbraunら、DNA & Cell Biol. 12:792-797 (1993))およびペプチド提示バクテリオファージを用いるトランスフェクション(Barryら、Nature Medicine 2: 299-305 (1996))が挙げられる。ポリヌクレオチドワクチンを、in vitroで好適な細胞中に導入した後、それを被験体に導入することもできる。
【0087】
発現可能なポリヌクレオチドを構築するために、熱ショックタンパク質および/またはハイブリッド抗原をコードする領域を上記で述べたようにして調製し、SV40プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターまたはラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターなどの好適なプロモーターに機能し得る形で連結された哺乳動物発現ベクター中に挿入する。次いで、得られた構築物を遺伝学的免疫化のためのワクチンとして用いることができる。また、核酸ポリマーをウイルスベクター中にクローニングすることもできた。好適なベクターとしては、限定されるものではないが、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、ポックスウイルスベクターおよびアデノ随伴ウイルスベクターが挙げられる。本発明における使用にとって好適である特定のベクターはpCDNA3 (InVitrogen)、プラスミドAH5(SV40複製起点およびアデノウイルス主要後期プロモーターを含む)、pRC/CMV (InVitrogen)、pCMUII(Paaboら、EMBO J. 5:1921-1927 (1986))、pZip-Neo SV (Cepkoら、Cell 37:1053-1062 (1984))およびpSRα (DNAX, Palo Alto, CA)である。
【0088】
熱ショックタンパク質およびハイブリッド抗原の調製のための様々な方法がWO9706821およびWO9922761(これらはその全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする)に開示されている。
【0089】
以下の実施例において、および本出願を通して、アミノ酸を以下のような一文字記号を用いて表すことがある:
A アラニン
C システイン
D アスパラギン酸
E グルタミン酸
F フェニルアラニン
G グリシン
H ヒスチジン
I イソロイシン
K リジン
L ロイシン
M メチオニン
N アスパラギン
P プロリン
Q グルタミン
R アルギニン
S セリン
T トレオニン
V バリン
W トリプトファン
Y チロシン。
【0090】
本発明を、本発明の例示として提供される以下の非限定的な実施例を参照することにより、より理解を深めることができる。以下の実施例は本発明の好ましい実施形態をより十分に説明するために提示する。しかしながら、これらは本発明の広範な範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0091】
実施例1
熱ショックタンパク質結合ドメイン、および癌抗原エピトープまたはオボアルブミン由来のモデル・クラスI H2-KbエピトープであるSIINFEKLをそれぞれが含む、種々のハイブリッド抗原を調製した。ペプチドリンカーをこの2つのドメインの間に含有させた。これらの実験において用いた熱ショックタンパク質ドメインは以下のものであった:HWDFAWPW、NLLRLTGW、FYQLALTWおよびRKLFFNLRW。リンカーは上述されたうちのいずれかであった。
【0092】
癌およびモデルエピトープは以下のものであった。
【0093】

【0094】
F-moc化学を用いる標準的な固相ペプチド合成を用いて、熱ショックタンパク質結合ドメイン、癌エピトープ、およびその間のリンカーを含むハイブリッド抗原を、様々な向きで合成した。
【0095】
実施例2
組換えヒトまたはマウス熱ショックタンパク質70(hsp70)と上記の種々の熱ショックタンパク質結合ドメインおよび抗原性ペプチドとの間の結合親和性、ならびに抗原性ペプチドを含むハイブリッド抗原と上記の熱ショックタンパク質結合ドメインとの間の結合親和性を、Scatchard分析により測定されたhsp70に対する参照標識ハイブリッド抗原(トリチウム化またはフルオレセイン化ALFDIESKVGSGHWDFAWPW)の結合親和性と比較して、結合阻害アッセイ(Hillプロット)により決定した(それぞれ22.64μMおよび10.75μMのKd)。結合試験を39%PBS;20 mM THAM, pH 8; 37 mM NaCl, 5 mM MgCl2;および1 mM ADP中で行った。
【0096】
実施例3
マウスにおける免疫学的試験のために、オボアルブミン由来マウスMHC H2-K(b)エピトープであるSIINFEKL(アミノ酸257〜264)、および水疱性口内炎ウイルス(VSV)の核タンパク質由来のH2-K(b)ペプチドであるRGYVYQGL(アミノ酸52〜59)を、ハイブリッド抗原の調製に用いた。次の表はエピトープ単独およびハイブリッド抗原中での配列およびhsp70に対する親和性を説明するものである。
【0097】

【0098】
実施例4
Hsp70単独、SIINFEKLと複合体化したhsp70、およびHSP70を含むまたは含まないハイブリッドSIINFEKLペプチドを用いて、尾の根元でマウスを皮下的に免疫した。hsp70単独の場合を除き、各免疫化が同じ量のSIINFEKLを含むように、用量を調節した。7日後、脾臓を回収し、CD8+T細胞を濃縮し、これをex vivoでのIFN-γ ELISPOTアッセイに供した。SIINFEKLでパルスした後の応答(「SIINFEKL」)を、1群あたり少なくとも3匹のマウスを用いる4回以上の実験についての用量および4 x 105個のCD8 T細胞あたりのスポット数(平均±標準偏差)を含む以下の表に、記録した。対照としては、培地のみ(「培地対照」)、パルスされていないT細胞(「非パルス対照」)、VSVから誘導された非免疫化ペプチドであるRGYVYQGLでパルスされたT細胞(「VSV対照」)、および陽性対照としてのコンカナバリンAへの曝露(「Con A陽性対照」)を含めた。
【0099】
同じ実験において、上記の51Cr放出アッセイを、SIINFEKLでパルスされた標的細胞を用いて行った。200:1のエフェクター 対 標的細胞比で得られた殺傷割合の結果を、以下の表の最右欄に示す。
【0100】

【0101】
実施例5
Hsp70を含まないハイブリッド抗原をも含めて、上記のものと類似した実験を行った。
【0102】

【0103】
実施例6
上記のものと類似したさらなる実験を行った。
【0104】

【0105】
実施例7
in vivo実験の前に、FFRK、RK、AKVL、QLKおよびFR(一文字アミノ酸記号を用いる)などの他の短いペプチドリンカーを用いて作製された異なる用量のハイブリッド抗原とhsp70との複合体を評価するために、B6マウスを皮下的に免疫した。ex vivoでのIFN-γ ELISPOTアッセイを上記のように行った。対照値を含む結果を以下に示す。
【0106】


【0107】
実施例8
上記のものと類似したB6マウスにおけるin vivo試験を、hsp70を添加しない製剤を用いて行った。結果を以下に示す。
【0108】

【0109】
実施例9
上記のものと類似したB6マウスにおけるin vivo試験を、hsp70を含む製剤、または含まない製剤を用いて行った。さらに、ハイブリッド抗原を遊離の熱ショックタンパク質結合ドメインペプチド(NLLRLTGW)と同時投与する1つの試験を行った。結果を以下に示す。
【0110】

【0111】
実施例10
上記実験の多くにおいて対照として用いたVSVエピトープであるRGYVYQGLを、本発明のさらなるハイブリッド抗原の調製においてエピトープとして用い、上記と同様の実験において免疫応答の誘導について評価した。
【0112】

【0113】
実施例11
疾患の治療に対する、上記のハイブリッド抗原およびhsp70との複合体の効果を評価するために、オボアルブミンを発現するように改変された20,000個のE7腫瘍細胞(E.G7と呼ぶ)をB6マウス中に皮下的に埋め込んだモデルを用いた。1処置群あたり10匹のマウスを用いた。このモデルは、例えば、Moroiら、2000, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 97: 3485-3490に記載されている。時間に対する、腫瘍を有するマウスの数の結果を、図1に示す。31日後、hsp70:NLLRLTGWFFRKSIINFEKLで免疫した10匹のマウスはいずれも腫瘍を発生せず、またTitermaxアジュバント中に乳化させたSIINFEKLで免疫したマウスも腫瘍を発生しなかった。NLLRLTGWFFRKSIINFEKL単独(hsp70を含まず)でワクチン接種した10匹のマウスのうちの3匹は腫瘍を有していた。Hsp70:SIINFEKLでワクチン接種した10匹のマウスのうちの5匹は腫瘍を有し、Titermaxおよびバッファーのみで免疫した10匹のマウスのうちの9匹は腫瘍を有していた。
【0114】
実施例12
上記のin vitro抗原提示アッセイを用いて、本発明の製剤をさらに評価した。ハイブリッド抗原の参加、より具体的には該抗原の抗原提示経路への参加のための、hsp70に対する本発明のハイブリッド抗原(製剤中に供給されるものであれ、内因的に利用可能であれ)の必要性を証明するために、以下の製剤を用いてアッセイを行い、その結果と共に示す。
【0115】

【0116】
実施例13
Firatら、1999, “H-2 class I knockout, HLA-A2.1-transgenic mice: a versatile animal model for preclinical evaluation of antitumor immunotherapeutic strategies,”Eur Immunol. 29: 3112- 21により記載されたヒトHLA-A2複合体を担持するHHD IIマウスモデルを以下の実験において用いて、本発明のハイブリッド抗原中のヒトHLA-A2エピトープを評価した。ヒトメラノーマ抗原gp100に由来する”IMD”ペプチドエピトープIMDQVPFSVを、HHD IIモデルにおいて低用量および高用量で本発明のハイブリッド抗原中にて評価した。上記のものと同様の方法を、IMDペプチドである試験ペプチド、および対照として、メラノーマ抗原チロシナーゼに由来するペプチドであるYMDGTMSQV(“YMD”)を用いるELISPOTアッセイに用いた。結果を以下の表に示す。
【0117】

【0118】
HHD IIマウスにおける同様の実験を、hsp70との複合体としたハイブリッド抗原中のエピトープとしてYMDを用いて、以下のように行った。
【0119】

【0120】
実施例14
センダイウイルス(SdV)由来のエピトープであるFAPGNYPALを、上記と同様に、B6マウスにおいて本発明のハイブリッド抗原中で評価した。結果を以下に示す。
【0121】

【0122】
実施例15
2つの本発明のハイブリッド抗原とhsp70のB6マウスへの同時投与に関するin vivo実験を行った。オボアルブミン由来のSIINFEKLおよびVSV由来のRGYVYQGLを含むハイブリッド抗原をhsp70と混合し、免疫した。結果を以下に示す。
【0123】

【0124】
実施例16
上記で注記したように、本発明の一態様においては、異なる抗原エピトープを含む複数のハイブリッド抗原を含む製剤を、ヒトにおける免疫化のために1つ以上の熱ショックタンパク質と共に製剤化して、疾患を治療または予防するための有効な免疫応答を引き出すことができる。例えば、ヒトメラノーマを治療するためには、8個の異なるメラノーマエピトープを含む製剤をハイブリッド抗原として調製し、さらに、例えばhsp70と共に製剤化することができる。この特定の製剤においては、N末端の熱ショックタンパク質結合ドメインNLLRLTGWを全てのエピトープとして用い、ペプチドリンカーFFRKを用いてエピトープのC末端に連結する。他の結合ドメインおよびリンカーは本明細書に包含される。この特定の製剤はHLA-A2ハプロタイプを有する患者を治療するのに有用である。製剤はhsp70を有する以下のハイブリッド抗原を含む。
【0125】

【0126】
一実施形態においては、ほぼ等量の前記8種のハイブリッド抗原をhsp70と複合体化し、生理食塩水中に含めて投与することができる。別の実施形態においては、製剤は列挙した最初の5種のハイブリッド抗原を含む。生理食塩水中に熱ショックタンパク質を含む前記製剤は、必要に応じて複合体を安定化するためのADP、ならびに上記のような賦形剤、希釈剤および担体などの他の成分を含んでもよい。別の実施形態においては、前記8種のハイブリッド抗原の混合物、または列挙した最初の5つを、熱ショックタンパク質を含めずに投与のために生理食塩水中に製剤化する。
【0127】
実施例17
初回免疫-追加免疫プロトコルをこの実験において評価した。NLLRLTGWFFRKSIINFEKLハイブリッド抗原を用いて、またはhsp70を同時投与せずに、以下の5つのプロトコルを行った:1) 0日目に投与し、7日目に分析する;2) 0および7日目に投与し、21日目に分析する;3) 0日目に投与し、21日目に分析する;4) 0および14日目に投与し、28日目に分析する;ならびに5) 0日目に投与し、28日目に分析する。細胞400,000個あたりのスポット数の結果を以下に示した。
【0128】

【0129】
実施例18
さらなる実験を、ハイブリッド抗原の混合物を用いて行って、上記の成分抗原に対する免疫応答の誘導を証明した。この実験においては、SIINFEKLおよびVSVペプチドRGYVYQGLを含むハイブリッド抗原を用いた。
【0130】

【0131】
実施例19
熱ショックタンパク質結合ドメインNLLRLTGW、抗原性ドメインSIINFEKL(オボアルブミン由来)またはRGYVYQGL(VSVタンパク質由来)および実施例32で説明する種々のリンカーを含むハイブリッド抗原に対する結合親和性を、実施例17に記載のようにして行った。抗原性ドメイン単独では、それぞれ235μMおよび82μMのhsp70結合のKdを有していた。結果を以下に示す。
【0132】

【0133】
実施例20
さらなる試験を行って、hsp70を同時投与することなくB6マウスに単独で投与した場合のハイブリッド抗原の免疫原性を評価した。IFN-γ ELISPOTを用いる評価方法は上述されている。
【0134】

【0135】
実施例21
ハイブリッド抗原が以下の一般構造:

(熱ショックタンパク質結合ドメイン)-(リンカー)-(抗原1)-(リンカー)-(抗原2)

を有するように、上記のようにリンカーにより隔てられた2つの抗原を含むハイブリッド抗原を調製した。この実施例においては熱ショックタンパク質結合ドメインはハイブリッド抗原のN末端部分にあるが、これは必ずしもこのようではなく、C末端、または2つの抗原性ドメインの間に熱ショックタンパク質結合ドメインを有するハイブリッド抗原も本発明に包含される。さらに、以下の実施例においては、抗原性ドメイン間および熱ショックタンパク質結合ドメインの近くの抗原性ドメインの間で同じリンカーペプチドを用いるが、これは必ずしもこのようではなく、異なるリンカーペプチドを用いることもできる。さらに、一方または両方の位置でのリンカーの存在は任意である。さらに、3個以上の抗原性ペプチドを用いることができる。単純化のために、2個以上の抗原性ドメインを有するそのようなハイブリッド抗原をタンデムハイブリッド抗原と呼ぶ。そのようなタンデムハイブリッド抗原組成物、1個以上のタンデムハイブリッド抗原と熱ショックタンパク質との複合体、および1個以上のタンデムハイブリッド抗原または少なくとも1個の熱ショックタンパク質と少なくとも1個のタンデムハイブリッド抗原との複合体を投与することによる、免疫応答の誘導または疾患の予防もしくは治療のための方法は完全に本明細書に含まれる。
【0136】
以下の実験は、2個のハイブリッド抗原と、その同じ抗原を含むタンデムハイブリッド抗原との混合物の免疫原性、および用量応答試験を比較するものである。一実施形態においては、2個のリンカーおよびエピトープを含むが熱ショックタンパク質結合ドメインを含まないペプチドを、含めた。
【0137】


【0138】
この実験および他の実験においては、熱ショックタンパク質結合ドメインの近くのエピトープが最も強い免疫応答を示し、かくして本発明のワクチン製剤のために選択された選択エピトープの位置を、熱ショックタンパク質の非存在下で投与する場合であれ、熱ショックタンパク質との複合体として投与する場合であれ、製剤の全体的な免疫原性に最大に寄与するように配置することができる。
【0139】
実施例22
以下の実験においては、タンデムハイブリッド抗原の混合物を、免疫原性について評価した。オボアルブミン由来(SIINFEKL)およびVSV由来(RGYVYQGL)のH2-KbクラスIペプチドに加えて、H2-Kbβ-カゼインペプチドIAYFYPELおよびセンダイウイルスペプチドFAPGNYPALも用いた。別の実験においては、別々の立体配置を取る同じ抗原性ペプチドを有する2つのタンデムハイブリッド抗原を混合した。4つのエピトープに対する強い免疫応答が誘導された。
【0140】
本明細書に記載の製剤には全て1 mM ADPを含めた。以下に記載の1つの実験においては、ADPは排除した。
【0141】


【0142】
実施例23
以下の実験においては、2種のタンデムハイブリッド抗原および単一のハイブリッド抗原の混合物としてB6マウスに投与する場合に、最大5種の抗原性ペプチドを送達して、HSP70を同時投与せずに免疫原性を誘導する。タンデムハイブリッド抗原は、一方がVSVおよびオボアルブミンペプチドを含み、他方がβ-カゼインおよびセンダイウイルスペプチドを含んでいた。単一のハイブリッド抗原はNS2-114インフルエンザペプチド(RTFSFQLI)を含んでいた。
【0143】

【0144】
実施例24
熱ショックタンパク質を用いずに投与された前記単一のハイブリッド抗原の免疫原性を、ハイブリッド抗原中に存在するヘルパーT細胞エピトープと組み合わせて評価した。多くの実験においては、オボアルブミンのアミノ酸323〜339由来のH2-KbクラスIIエピトープであるTEWTSSNVMEERKIKVを用いた(すなわち、ハイブリッド抗原はNLLRLTGWFFRKTEWTSSNVMEERKIKVの配列を有していた)。クラスIIペプチドを含むハイブリッド抗原の含有により、平均して約7倍、クラスIエピトープに対する応答が増加した。
【0145】

【0146】
実施例25
熱ショックタンパク質の非存在下で、H2-KbクラスIIペプチドを含む種々のハイブリッド抗原と共に同時投与したハイブリッド抗原の免疫原性に対する効果を評価した。クラスIペプチドはSSWDFITVまたはDAPIYTNVであった。クラスIIペプチドは上記のオボアルブミンペプチド、破傷風トキソイド由来のクラスIIペプチドNNFTVSFWLRVPKVSASHL(すなわち、ハイブリッド抗原はNLLRLTGWFFRKNNFTVSFWLRVPKVSASHLの配列を有する)、またはHBVc(アミノ酸128〜140)ペプチドであるTPPAYRPPNAPILを含んでいた。
【0147】

【0148】
このように、ヘルパーT細胞エピトープを、唯一のエピトープとしてハイブリッド抗原中に含有させ、クラスIエピトープを含む他のハイブリッド抗原との混合物として投与することもできるし、あるいはヘルパーT細胞エピトープをエピトープの1つとしてタンデムハイブリッド抗原中に含有させることもできる。これらは単に本発明のハイブリッド抗原組成物の多くのバリエーションの例に過ぎない。
【0149】
実施例26
前記実施例と同様の様式で、タンデムハイブリッド抗原の免疫原性を、オボアルブミンクラスIIペプチドを含むハイブリッド抗原の同時投与を用いて、および用いずに、評価した。
【0150】

【0151】
実施例27
熱ショックタンパク質の同時投与の非存在下で、少なくとも1種のタンデムハイブリッド抗原と共に同時投与したヘルパーT細胞エピトープを含むハイブリッド抗原を用いた同様の実験も行った。
【0152】

【0153】
実施例28
ヒトクラスI(HLA-A2)エピトープを含むハイブリッド抗原を用いる免疫化試験を、上記のようにしてHHD IIマウスにおいて行った。動物を5μgのhsp70および33μgのNLLRLTGWFFRKYMDGTMSQVから作製された複合体を用いて免疫した。細胞300,000個あたりのELISPOTの結果は以下の通り:培地、1.33±0.58;脾臓細胞1±0;脾臓細胞+YMDGTMSQV 123±13;および脾臓細胞+IMDQVPFSV 4±1。
【0154】
実施例29
HHDIIマウスを用いる別の実験においては、Trp-2由来の免疫原性HLA-A2エピトープを用いた(SVYDFFVWL)。このエピトープはH2-Kbエピトープでもあり、HHDIIマウスはB6マウス(H2-Kb)のバックグラウンドを有するため、Trp-2ペプチドに対して誘導された免疫応答はマウスモデルにおける自己エピトープに対する寛容性の破壊を示す。この実験の結果は、この自己エピトープに対する寛容性が破壊されたことを示し、本発明はハイブリッド抗原および本発明の複合体を投与することにより寛容性を破壊する方法にもさらに関する。
【0155】

【0156】
実施例30
HHDIIマウスを用いて、hsp70と実施例27で説明した特定のHIVウイルス成分エピトープを含む3つのハイブリッド抗原との複合体の免疫原性を評価した。
【0157】

【0158】
実施例31
hsp70と複合体化したH2-Kbエピトープを含むハイブリッド抗原の混合物を、上記のようにB6マウスにおいて免疫原性について評価した。
【0159】

【0160】
実施例32
hsp70と複合体化したタンデムハイブリッド抗原の免疫原性をB6マウスにおいて試験した。
【0161】

【0162】
本発明は、本明細書に記載された特定の実施形態によりその範囲を限定されるものではない。実際、本明細書に記載のものに加えて、本発明の種々の改変が、前記説明および添付の図面から当業者には明らかになるであろう。そのような改変は添付の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。
【0163】
様々な刊行物が本明細書で引用されているが、その内容はその全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】図1は、ハイブリッド抗原または熱ショックタンパク質とハイブリッド抗原の複合体を用いる免疫化を行い、その7日後に該抗原を発現する腫瘍を用いたチャレンジを行った腫瘍チャレンジ試験の結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感染性物質または腫瘍抗原の少なくとも1つの抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合する少なくとも1つの結合ドメイン、およびそれらの間のPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);およびAAl-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、L、またはKであり、AA2はK、V、またはEであり、そしてAA3はV、S、F、K、A、E、またはTである)からなる群より選択される少なくとも1つのペプチドリンカーを含む、ハイブリッド抗原。
【請求項2】
請求項1に記載の少なくとも1つのハイブリッド抗原を含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導するための組成物。
【請求項3】
少なくとも1つの熱ショックタンパク質と請求項1に記載の少なくとも1つのハイブリッド抗原との複合体を含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導するための組成物。
【請求項4】
熱ショックタンパク質がhsp70である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の少なくとも1つのハイブリッド抗原を被験体に投与することを含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導する方法。
【請求項6】
被験体に、
(a) 請求項1に記載のハイブリッド抗原;および
(b) 熱ショックタンパク質;
の複合体であって、該ハイブリッド抗原と該熱ショックタンパク質とが非共有結合している前記複合体を投与することを含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導する方法。
【請求項7】
熱ショックタンパク質がhsp70である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの抗原性ドメインが感染症または癌に由来するものである請求項1に記載の少なくとも1つのハイブリッド抗原を、被験体に投与することを含む、感染症または癌を治療する方法。
【請求項9】
被験体に、
(a) 少なくとも1つの抗原性ドメインが感染症または癌に由来するものである請求項1に記載のハイブリッド抗原;および
(b) 熱ショックタンパク質;
の複合体であって、該ハイブリッド抗原と該熱ショックタンパク質とが非共有結合している前記複合体を投与することを含む、感染症または癌を治療する方法。
【請求項10】
熱ショックタンパク質がhsp70である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
感染性物質または腫瘍抗原の少なくとも1つの抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合する少なくとも1つの結合ドメイン、およびそれらの間の少なくとも1つのペプチドリンカーから本質的になるハイブリッド抗原であって、該ペプチドリンカーがPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);およびAAl-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、L、またはKであり、AA2はK、V、またはEであり、そしてAA3はV、S、F、K、A、E、またはTである)からなる群より選択される、前記ハイブリッド抗原。
【請求項12】
請求項11に記載の少なくとも1つのハイブリッド抗原を含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導するための組成物。
【請求項13】
少なくとも1つの熱ショックタンパク質と請求項11に記載の少なくとも1つのハイブリッド抗原との複合体を含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導するための組成物。
【請求項14】
熱ショックタンパク質がhsp70である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
請求項11に記載の少なくとも1つのハイブリッド抗原を被験体に投与することを含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導する方法。
【請求項16】
被験体に、
(a) 請求項11に記載のハイブリッド抗原;および
(b) 熱ショックタンパク質;
の複合体であって、該ハイブリッド抗原と該熱ショックタンパク質とが非共有結合している前記複合体を投与することを含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導する方法。
【請求項17】
熱ショックタンパク質がhsp70である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1つの抗原性ドメインが感染症または癌に由来するものである請求項11に記載の少なくとも1つのハイブリッド抗原を被験体に投与することを含む、感染症または癌を治療する方法。
【請求項19】
被験体に、
(a) 抗原性ドメインが感染症または癌に由来するものである請求項1に記載のハイブリッド抗原;および
(b) 熱ショックタンパク質;
の複合体であって、該ハイブリッド抗原と該熱ショックタンパク質とが非共有結合している前記複合体を投与することを含む、感染症または癌を治療する方法。
【請求項20】
熱ショックタンパク質がhsp70である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL; 配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAAl-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、L、またはKであり、AA2はK、V、またはEであり、そしてAA3はV、S、F、K、A、E、またはTである)である、ペプチド。

【図1】
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【公表番号】特表2007−525448(P2007−525448A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509858(P2006−509858)
【出願日】平成16年4月9日(2004.4.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/010983
【国際公開番号】WO2004/091493
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(503125237)アンティジェニクス インコーポレーテッド (5)
【Fターム(参考)】