説明

改良された生物学的利用能を有するセレノ−アミノ酸誘導体および家畜用の飼料に必要されるセレンを十分に保証する方法

本発明は、金属L-セレノ-αアミノ酸塩並びに牛、ブタおよび家禽などの飼いならされた動物用の生物的に利用可能な飼料および水食料のサプリメントとしてのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属L-セレノ-αアミノ酸塩、並びに牛、ブタおよび家禽などの飼いならされた動物用の生物的に利用可能な飼料および水のサプリメントとしてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
栄養物摂取におけるセレンの本質的な役割は、1957年に初めてSchwarzおよびFoltzにより認識された(Schwarz, K. and Foltz, C.M., Selenium as an integral part of factor 3 against dietary necrotic liver degeneration. J. Am. Chem. Soc. 79 : 3292 (1957))。当研究者らは、ビタミンEの欠乏した精製飼料をラットに与えると肝臓壊死が発症することを観察した。しかしながら、この飼料にセレンを添加するとかかる症状の進展は妨げられた。鶏の腹部と胸部の皮下腔内に血漿が漏出することを特徴とする症状である滲出性体質の進展を妨げる食物セレンの働きが、Pattersonらにより同年に報告された(Patterson, E. L., Milstrey, R., Stokstad, E. L. R. Effect of selenium in preventing exudative diathesis in chicks. Proc. Soc. Exp. Biol. Med. 95 : 617-620 (1957))。さらに栄養物摂取におけるセレンの重要な役割は、セレンの欠乏が家畜に及ぼす実際の影響を認識することで証明された(Muth, O. H., Oldfield, J. E., Remmert, L. F. , and Schubert, J. R. Effects of selenium and vitamin E on white muscle disease. Science 128 : 1090 (1958) および Hartley W. J, and Grant, A. B. A review of selenium responsive diseases of New Zealand livestock. Fed. Proc. 20 : 679 (1961))。その後の研究により、セレンが動物にとって必須元素であり、セレンが欠乏すると種々の疾患を招くことが確認された。(Combs, G. F. Jr., Combs, S. B. The role of selenium in nutrition. Academic Press, Orlando, Florida, pp 265-399 (1986b))。
【0003】
ヒトの栄養物摂取におけるセレンの重要性とセレンの欠乏がヒトの健康に及ぼす影響は、1970年代まで認識されていなかった。セレンの欠乏は、中国の農村地帯に住んでいる人々を襲う拡張型心筋症を特徴とするヒトの病である克山病をもたらす要因の1つとなることが分かった。克山病の発病はセレン欠乏地帯の分布に対応していた(Keshan Disease Research Group of the Chinese Academy of Medical Sciences. Epidemiologic studies on the etiologic relationship of selenium and Keshan disease. Chin. Med J 92 : 477-482 (1979))。その上、予期プラセボ対照研究は、かかる病のあらたな症例が亜セレン酸ナトリウム錠剤の投与によって予防され得ることを実証した(Keshan Disease Research Group of the Chinese Academy of Medical Sciences. Observations on effect of sodium selenite in prevention of Keshan disease. Chin. Med J. 92 : 471-477 (1979))。重篤な患者における食事によるセレン欠乏の有害な影響が幾つかの症例研究にて報告された。骨格筋ミオパシーは、完全非経口栄養療法を行なっている患者に発症したが、セレノメチオニンの静脈内投与によって逆転された(van Rij, A. M., Thonason, CD., McKenzie, J. M., Robinson, M. F. Selenium deficiency in total parenteral nutrition. Am. J ; Clin. Nutr. 32. 2076-2085 (1979))。栄養物摂取におけるセレン欠乏によって誘発される致命的な心筋症が、死に至る2年間に非経口栄養法を受けた43歳の男性に関して報告された(Johnson, R. A., Baker, S. S., Fallon, J.T., Maynard, E. P., Ruskin, J.N., Wen, Z., Ge, K., and Cohen, H.J. An occidental case of cardiomyopathy and selenium deficiency. The New England Journal of Medicine. 304 : 1210-1212 (1981))。1982年に、食事のセレン欠乏に伴う致命的な心筋症に関する第2の症例が、少なくとも2年間、在宅非経口栄養法を行なった患者に関して報告された(Selenium Deficiency and Fatal Cardiomyopathy in a Patient on Home Parenteral Nutrition. Gastroenterology. 83 : 689-693 (1982))。
【0004】
ヒトおよび動物の栄養物摂取におけるセレンの本質的な役割が認識された結果、ヒトに対する1日あたりの推奨摂取量(RDA)が確立され、動物飼料に追加的なセレン化合物を含ませることが承認された。最近、医学研究所食品栄養局は、セレンに対するRDAを55μgに改訂した(Dietary Reference Intakes for Vitamin C, Vitamin E, Selenium, and Carotenoids. Washington, D. C. : National Academy Press, (2000))。1974年、食品医薬品局(FDA)は、亜セレン酸ナトリウムおよびセレン酸ナトリウムを飼料添加物として承認した。これらの無機セレン塩は飼料乾物中に0.3ppmのSe濃度で添加することができる。2000年6月、FDAは、家禽ブロイラおよび産卵鶏の飼料にセレン酵母の使用を承認した。
【0005】
セレンの有益な効果の出現に関与する生化学的メカニズムは、セレンが抗酸化酵素グルタチオンペルオキシダーゼの必須成分となることが見出された1973年に明らかとなり始めた(Rotruck, J.T., Pope, A. L., Gantier, H.E., Swanson, A. B., Hafeman, D. G. F., and Hockstra, W. G. Selenium : Biochemical Role as a Component of Glutathione Peroxidase. Science, 179 : 588-590 (1973) および Flohe, L., Gunzler, W. A. and Shock, H. H. Glutathione Peroxidase. A Selenoenzyme. FEBS Lett. 32.: 132-134))。同時に、細胞外セレノタンパク質(セレノタンパク質P)が、ラット、アカゲザルおよびヒトの血漿中で発見され、グルタチオンペルオキシダーゼと異なることが見出された。セレノタンパク質Pは、ポリペプチド鎖に対して約380アミノ酸残基および最大10個のセレノシステイン残基を含むモノマー性糖タンパク質である。セレノタンパク質Pは、哺乳類の組織内に遍在し、ヒト血漿中のセレン濃度の40%超を占める。インビトロのヒト血漿中、セレノタンパク質Pは、ペルオキシ亜硝酸介在酸化を防ぎ、リン脂質ヒドロペルオキシドを還元し、インビボで抗酸化剤として作用することが示唆されている(Moschos M. P. Selenoprotein P. Cellular and Molecular Life Sciences. 57 : 1836-1845 (2000))。さらにセレンは、甲状腺ホルモン代謝を制御する、ヨードチロニンデヨードナーゼ酵素の触媒活性成分として作用する。最近になって、セレノシステインは、チオレドキシン還元酵素の活性中心にて確認され、これら酵素により触媒される種々の代謝プロセスにおいてセレンが果たす役割が実証された。
【0006】
最近の研究結果は、哺乳類でのセレンの役割がセレノ酵素の生理的作用に限られないことを示している。今ではセレンが、男性生殖能に不可欠である精子形成において極めて特殊な役割を有すると考えられている。セレノタンパク質リン脂質ヒドロペルオキシドグルタチオンペルオキシダーゼは、精子成熟の際に重要な役割を果たすことが判明した(Ursini F., Heim S., Kiess M, Maiorino M., Roveri A., Wissing J., Flohe'L. Dual Function of the Selenoprotein PHGPx During Sperm Maturation. Science 285 : 1393-1396 (1999))。さらに、精核中の特定のセレノ酵素が同定され、精子成熟において果たすセレンの重要な役割が強調された(Pfeifer H. , Conrad M., Roethein D. , Kyriakopoulos A., Brielmeier M., Bornkamm G. W., Behne D. Identification of a Specific Sperm Nuclei Selenoenzyme Necessary for Protamine Thiol Cross-Linking During Sperm Maturation. FASEB J 15 : 1236-1238 (2001))。
【0007】
セレンは、セレノシステインの形態でセレノタンパク質内に存在する。これまでのところ確認された哺乳類のセレノタンパク質は全て、セレノシステイン残基が触媒作用を担っている酵素である。哺乳類グルタチオンペルオキシダーゼの完全なアミノ酸配列およびその遺伝子のDNA分析の更なる研究結果は、特定のコドンがこれら酵素のアミノ酸鎖中へのセレノシステインの挿入に関与していることを明らかにした。これらの結果は、セレノシステインが21番目にコードされたアミノ酸であることを実証した。この挿入は、mRNAの特定のコドンに支配される。このコドンは、最初にセリンを取り込む特定のtRNAのアンチコドンによって認識される。セリン側鎖の酸素のセレンによる置換は、セレノシステインシンターゼによって触媒されて、セリル-tRNAがセレノシステイル-tRNAに転換される。セレニドおよびATPから生成したセレノホスフェートは、この反応においてセレン供与体として機能する。セレノシスチル-tRNAのセレノシステインは、リボソームでセレノタンパク質内に取り込まれる。
【0008】
ラットとマウスを75Seで標識することにより、哺乳類組織内で非常に多くのセレン含有タンパク質の存在が示された。最も重要なことは、種々の組織内でセレン分配の階層が発見されたことである。この階層は、特定の器官内の特定のタンパク質にセレンを優先的に供給することを保証し、セレンの生物学的な重要性をさらに例証している。セレン摂取が不十分である場合、脳、内分泌器、生殖器などの幾つかの組織におけるセレンのレベルは、食餌セレンの優先的供給と代謝成分の再分配によって維持される。ラットにおける極度のセレン欠乏は、コントロールレベルの60%を保持した脳それに続く脊髄、下垂体、甲状腺、卵巣および副腎を除くほとんどの組織でセレンレベルがコントロールレベルの1-3%にまで劇的に減少する結果となった(Behne D. , Pfeifer H., Rothlein D., Kyriakopoulos A. Cellular and Subcellular Distribution of Selenium and Selenium-containing proteins in the rat. In : Roussel A. M., Favier A. E., Anderson R. A. (eds) Trace Elements in Man and Animals 10, Kluwer Academic/Pllenum Publishers New York, pp 29-34 (2000))。哺乳類におけるセレンの重要性についての更なる証拠は、セレノシスチル-tRNAに対する遺伝子をノックアウトすることによりセレノタンパク質合成を破壊すると胚形成期のマウスに対して致死的であったという知見により示される。これとは対照的に、重度のセレン欠乏は、おそらくセレン分配の階層化のために類似の致死効果をもたらさなかった。
【0009】
セレンを得るための食事上必要なものは通常、天然有機セレン化合物含有の食物を摂取することによりまかなわれる。有機セレン化合物に富んだ食物および飼料成分には、肉、魚、乳製品、幾種かの野菜および穀物が挙げられる。植物由来の物質におけるセレン濃度は、かかる植物が育った土壌におけるセレン濃度に依存することが多い。ロッキー山脈諸州の土壌は、他の諸州よりもセレンを高濃度で含み、これら土壌で育った植物はセレン濃度がより高い。天然の食物と飼料成分に含まれる有機セレンの大多数は、L-セレノメチオニンとして存在している。幾種かの蓄積植物およびセリンに富んだ土壌で育てたニンニク、タマネギ、およびブロッコリーなどの野菜には、主な有機セレン化合物としてSe-メチルセレノシステインおよびその誘導体が含まれる。アメリカ合衆国産の天然飼料植物中での主要なセレン形態の1種にセレン酸塩がある。調査された24種の植物のうち、セレン酸塩は、セレン全体の5-92%を示した。亜セレン酸塩は、亜セレン酸塩としてセレン全体の3%を含有した1種類の植物を除く全ての植物にて不存在であった(Whanger P. D. Seleraocompounds in Plants and Animals and their Biological Significance. Journal of the American College of Nutrition, 12 : 223-232 (2002))。セレンは摂取される形態にかかわらず、種々の代謝経路により同一の中間プール(intermediary pool)を介して、セレンの生物学的作用に関与する特定のセレノシステイン含有セレノタンパク質に転換される。組織内のこれらセレノシステイン含有セレノタンパク質の濃度は、恒常的に制御されるようである。最適必要量を超える追加のセレンを摂取しても、組織内の特定のセレノタンパク質の濃度を高めることはないようである。しかしながら、セレノメチオニンの摂取は、他のセレン源で観察されるよりも組織内でセレンがより長く保持されることとなる。これは、他のセレン源に類似したほんのわずかのセレノメチオニンのみが中間プールを介して、特定のセレノシステイン含有タンパク質に代謝されるという事実によるものである。摂取されたセレノメチオニンのいくらかの部分は非特異的且
つ直接に、メチオニンに代わってタンパク質内に取り込まれる。この非特異的に結合したセレンは、メチオニンに富んだタンパク質内に高濃度で存在する。摂取されたセレノメチオニンのうち不特定のタンパク質に取り込まれる割合は、メチオニンに対するセレノメチオニンの割合には依存するが、セレンの状態には依存しないようである。メチオニン低含有量の食物を摂取する場合には、タンパク質内のセレノメチオニンの非特異的な取り込みが増加して特定のセレノタンパク質の濃度および作用が低減する。セレノメチオニンの非特異的な取り込みは、骨格筋、赤血球、膵臓、肝臓、胃,腎臓および胃腸粘膜のタンパク質内で起こる。全身タンパク質からのセレノメチオニンの放出は、タンパク質の代謝回転に関係している。組織内でのセレノメチオニンの定常状態濃度は、セレノ-アミノ酸の摂取が長期間にわたり維持される場合に確立し得る(Schrauzer G. N. Nutritional Selenium Supplements : Product Types, Quality, and Safety. Journal of the American College of Nutrition, 20 : 1-4 (2001))。
【0010】
動物内でのセレノメチオニン、Se-メチル-セレノシステイン、亜セレン酸塩、およびセレン酸塩の動態が入念に研究された。動物栄養物摂取におけるこれら一般的なセレン源は、最終的に特定のセレノ-タンパク質内に取り込まれるか、或いはさらに容易に排出できる極性代謝産物に変換される中間セレンプールへの異なる経路を取る。以下、これらの経路を簡便に説明する。
【0011】
摂取されたセレノメチオニンの一部は、メチオニンからシステインへの変換に関係のある通常の生化学的経路によりセレノシステインに変換される。Se-アデノシル-セレノメチオニンは、S-アデノシルメチオニンシンターゼにより触媒される反応により、セレノメチオニンおよびアデノシンから形成される。Se-アデノシル-セレノメチオニンのSe-アデノシル-セレノホモシステインへの変換は、特異的なメチルトランスフェラーゼにより触媒される。酵素S-アデノシル-ホモシステインリアーゼは、Se-アデノシル-セレノホモシステインをセレノホモシステインに変換する。Se-シスタチオニンを形成するためのセレノホモシステインのセリンへの付加は、シスタチオニンシンターゼ、PLP酵素によって触媒される。Se-シスタチオニンは、シスタチオニン-γ-リアーゼにより触媒される反応にてセレノシステイン、アンモニアおよび2-ケト酪酸に変換される。酵素システイン-β-リアーゼは、セレノシステインをセレン化水素、ピルビン酸およびアンモニアに変換する。セレン化水素(H2Se)は、特定のセレノ-タンパク質の生合成に関係のある重要な中間代謝産物である。酵素セレノホスフェートシンターゼは、セレン化水素とATPとの反応を触媒して、反応性セレン化合物セレノホスフェート(H3SePO3)、AMPおよびオルトリン酸塩を生成する。次いで、特異的な酵素セレノシステインシンターゼが、特有のセリル-tRNA中のセリン側鎖の酸素の置換を触媒して、セレノシステイル-tRNAを生成する。セレノシステインは、セレノシステイル-tRNAから転移され、リボソーム上で形成されているセレノタンパク質鎖中に挿入される。
【0012】
亜セレン酸塩は部分的に、アスコルビン酸などの食物成分および胃腸管内の細菌フローラにより元素状セレンに還元される。吸収された亜セレン酸塩は4当量のグルタチオンにより2工程で容易に還元され、セレノグルタチオントリスルフィドになる。このセレノグルタチオントリスルフィドは、2工程でグルタチオンにより還元されて、セレン化水素および2モルの酸化グルタチオンを生成する。セレン化水素は上記のように、セレノタンパク質の生合成用にセレン源として役立つ。セレン酸塩がセレン源として摂取されると、最初に2当量のグルタチオニンにより還元されて亜セレン酸塩になり、次いでセレン化水素に変換される。
【0013】
摂取されたセレン源の一部は、いくつかの経路を介して排出される。経口的に摂取された亜セレン酸塩およびセレン酸塩のいくらかは、胃腸管内で元素状セレンに還元され、糞便中に排泄される。亜セレン酸塩およびセレン酸塩はまた尿中にも排泄される。セレン化水素の酵素的メチル化により揮発性の代謝産物であるメチルセレノールが得られ、それは肺から排泄され得る。メチルセレノールはさらに段階的にメチル化され、先ず肺から排泄される揮発性の代謝産物であるジメチルセレニドに、次いで尿中に排出される極性トリメチルセレノニウムカチオンとなる。
【0014】
動物飼料に承認されたセレン源を補充することが普及しつつある。現在では、有機源であるセレン酵母と同様に亜セレン酸塩およびセレン酸塩などの無機源が飼料成分としてFDAに承認されている。しかしながら、添加することができるセレンの量および補充してもよい家畜種は規定されている。亜セレン酸塩およびセレン酸塩などの無機セレン源を飼料成分として使用することへの承認は、これらの無機セレン源が天然では飼料中に有意な濃度で存在しないために興味深い。L-セレノメチオニンは、天然の食物および飼料に最も普遍的に存在しているセレン形態である。しかしながら、合成L-セレノメチオニンは、家畜の生産における飼料成分用として手ごろな価格で商業的に入手可能になっていない。それゆえ、セレン濃縮酵母が、L-セレノメチオニンの実際上入手可能な源として使用されて来ている。セレンに富んだ培地で生育させたSaccharomyces cerevisieaの特殊菌株には、乾物1g当たり3000μgものSeが蓄積されている。酵母内のセレンのほとんどがL-セレノメチオニンとして存在する。L-セレノメチオニンは主に、L-メチオニンの代わりに酵母タンパク質内に組み込まれて存在している。他の有機セレン化合物は低濃度にて存在し得、例えばSe-アデノシル-セレノホモシステイン(2-5%)、セレンシステイン(0.5%)、メチルセレノシステイン(0.5%)、セレノシスタチオニン(0.5%)、およびγ-グルタミル-Se-メチルセレノシステイン(0.5%)がある。亜セレン酸塩またはセレン酸塩として酵母中に存在し得る無機セレンはごく僅かである(Schrauzer G. N. Selenomethionine. A Review of its Nutritional Significance, Metabolism and Toxicity. J ; Nutr. 130 : 1653-1656 (2000))。
【0015】
亜セレン酸塩およびセレン酵母の補充がセレン状態と家畜の健康状態に及ぼす影響を比較した幾つかの研究がここ数年の間に発表された。とりわけ、セレン不足の動物において、血漿および組織内のセレン濃度は、セレンの摂取が増加するにつれて直線的に増加するが、ある時点を過ぎると血漿および組織内のセレン濃度は、摂取が増えてもさほど変化しない。例えば、乳牛の血漿および乳に含まれるセレン濃度と亜セレン酸ナトリウムからの食物セレンの関連性がMausらにより検討された。血漿および乳に含まれるセレン濃度は、セレン摂取が1日当たり約2mgから約6mgに増加するにつれて直線的に増加した。さらに摂取が増加しても血漿および乳に含まれるセレンの変化はほんの僅かであった(Maus R. W., Martz F. A., Belyea R. L. and Weiss M. F., Relationship of Dietary Selenium to Selenium in Plasma and Milkfrom Dairy Cows, JDairy Sci, 63 : 532-537 (1980))。
【0016】
セレンは、幾つかの動物研究において亜セレン酸塩またはセレン酸塩からよりもセレン酵母からの方がより生物的利用可能が高いことが見出されている。組織セレン濃度の増加は、亜セレン酸塩を与えた動物と比較して、セレン酵母を与えた動物の方がより大きかった。しかしながら、グルタチオンペルオキシダーゼ活性の増大は、補充のセレン源にかかわらずほぼ同じであった。セレン補充が動物の健康に及ぼす好ましい効果は、幾つかの研究において実証された。例えば、セレン補充は、乳腺炎病原体に冒された区域の割合の減少および乳に含まれる体細胞数の減少により実証されるように乳牛の乳房の健康状態を改善した。ここでもまた、セレン酵母の効果は亜セレン酸ナトリウムよりも大きかった(Malbe M., Klassen M., Fang W, Mylls V., Vikerpuur M., Nyholm K., Sankari S., Sourta K., and Sandholm M. Comparisons of Selenite and Selenium Yeast Feed Supplements on Se-incorporation, Mastitis and Leucocyte Function in Se-deficient Dairy Cows, J Vet Med A, 42 : 111-121 (1995))。
【0017】
今日、食物セレンがヒトおよび動物の健康と安寧に不可欠であることはかなり定着している。幾つかの研究により、セレンは、無機源からよりも有機源からの方がより生物的に利用可能となることが実証されている。商業用として利用可能な唯一の有機セレン源は、セレンに富んだ酵母製剤である。酵母においてセレンは主に、L-セレノメチオニンに富んだタンパク質として存在している。セレン酵母は今日、食物セレン源として幅広く受け入れられているが、その使用には幾つかの欠点を伴う。酵母における有機的に結合したセレンの濃度は、亜セレン酸塩富化培地からのL-セレノメチオニンの形成能により制限される。現在のところ、酵母中で可能な最高のセレン濃度は、乾物1g当たり2000μgのようである。第2に、酵母において有機的に結合したセレンは、大量生産法における僅かな変化に対して影響を受けやすい生物学的方法によって製造されるので、セレン化合物の厳密な組成は変化しやすく、容易には分からない。場合によって、酵母には、替わり易い濃度の亜セレン酸塩およびセレン酸塩などの無機セレン化合物が含まれる。第3に、有機セレン化合物は、細胞内タンパク質の一部として酵母中に存在する。これらの化合物が摂取された後、吸収に利用されるには、酵母の細胞壁が破壊され、消化酵素のタンパク質分解作用を受け得る動物の胃腸管内にそのタンパク質が放出されなければならない。セレン化合物が吸収され得るのは、タンパク質が単一のアミノ酸またはジペプチドに加水分解された後のみである。単一のアミノ酸またはジペプチドとして無傷の酵母細胞からセレン化合物が放出されることは完全ではなく、胃腸管内の状態に高く依存する。これらの欠点のために、容易に生物的に利用可能な食物セレン源として役に立つセレン濃縮酵母の代替物を開発することは重要である。
【0018】
最近、合成セレノ-アミノ酸が手ごろな価格で商業的に利用可能となった。これらのアミノ酸は水に難溶性であり、その結晶は撥水性であり、そのため溶解速度が遅い。溶解性が低く溶解速度が遅いため、動物に飼料を与えた後のこれらの化合物の生物学的利用能が低下する。
【0019】
最近、ヒトおよび家畜用の補充剤として使用するための、改良された生物学的利用能を有する食物セレン源の需要が増加してきた。合成セレノ-アミノ酸は最近、手ごろな価格で市販されるようになった。これらのアミノ酸は水に難溶性であり、その結晶は撥水性であるため溶解速度が遅い。溶解性が低く溶解速度が遅いため、動物に飼料を与えた後にこれらの化合物の生物学的利用能は低い。本発明の1つの目的は、改良された生物学的利用能を有するセレノ-アミノ酸誘導体を確認することである。
【0020】
本願発明者らは過去に、家畜内での摂取後に必須金属の生物学的利用能を改良する手段として必須金属とアミノ酸の1:1錯体を開示してきた。例えば米国特許第3,941,818号、第3,925,433号、第3,950,372号、第4,021,569号および第4,067,994号を参照のこと。これらの錯体を形成する目的は、金属の溶解性を増大させることと動物の胃腸管の化学環境におけるその安定性を高めることである。微量金属の生物学的利用能が増大することが予想され、非常に多くの研究において相次いで証明されたが、アミノ酸配位子の生物学的利用能が増大することは予想されなかった。本発明者らの特許に既に記載した必須金属とは対照的に、セレンはその特有の化学的性質のためにアミノ酸と錯体を形成しない。したがって、セレンの生物学的利用能を改良するために異なる戦略を見つけることが必要であった。
【0021】
セレンは、硫黄と同様にVIA族元素の一員であり、いろいろな同素形で存在していて、その酸化状態は-2、0、+2、+4および+6である。セレンは非金属元素であり、単原子アニオンを形成することができ、そのため共有結合だけでなくイオン結合も形成することができる。その酸化状態-2で、セレンは炭素置換基と共有結合を形成し、天然化合物中の硫黄と置換できることが多い。セレンの生物学的役割は、セレンが-2の酸化状態にて存在し、且つ、機能性タンパク質の一部として通常は炭素と共有結合しているこれら天然化合物に起因する。セレノ-アミノ酸は、食物セレン源として提唱されている。しかしながら、これらの化合物の生物学的利用能は動物の栄養状態ならびに食物および胃腸管の内容物の組成によってかなり低減し得ることが認識されている。したがって、これらアミノ酸の生物学的利用能を改良することができるセレノ-アミノ酸の可逆的な誘導体を探索することが望まれた。1:1アミノ酸錯体からの必須金属の改良された生物学的利用能が、アミノ酸配位子の相対的生物学的利用能に関する情報を提供することはなかった。実際、アミノ酸が高度に特化されたメカニズムにより胃腸管から吸収されるという一般常識は、これらの錯体形成がアミノ酸の生物学的利用能にそれほど影響を及ぼさないことを示唆していた。したがって、これらの錯体が、セレノ-アミノ酸を配位子として用いた場合に、そのセレノ-アミノ酸の改良された生物学的利用能を示したことは驚くべきことであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の主な目的は、改良された生物学的利用能を有するセレノ-アミノ酸の新規な1:1金属錯体を製造することである。
【0023】
本発明の別の目的は、これらの誘導体の製造方法および家畜用の飼料成分としてのこれら誘導体の使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の主な目的は、生物学的利用能の増大および/またはセレノ-アミノ酸の安定性を高めることを意図する新規化合物の開発である。セレノ-アミノ酸の1:1の金属錯体が水にきわめて容易に溶解して、これらの溶液が貯蔵時に安定であることが見出された。水溶性のために、錯体溶液は、アミノ酸自体よりも容易に他の飼料成分とブレンドすることができる。これらの錯体は、多種の家畜に対する摂食研究においてアミノ酸よりも生物的利用能が高い。かかる錯体は、摂取の後に反芻胃における分解に対して耐性を有しているようであり、そのため乳牛および羊などの反芻動物において食物セレン源としての有用性が増大する。セレノ-アミノ酸と金属塩との反応並びにその金属セレノ-アミノ酸錯体の濃縮予備混合物の形成を最終輸送用容器にて実施し、その結果セレノ-アミノ酸の取り扱いが最小限となる安全且つ経済的な製造方法が開発された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
飼料の補充剤(サプリメント)として現在利用できるセレン源の効能(performance)には満足できないため、容易に水に溶解し、且つ、改良された生物学的利用能を有するセレノメチオニン誘導体を探索することが必要であった。金属L-セレノメチオニン1:1錯体は、これらの基準を満たすだけでなく、さらに有用な性質を有することが分かった。例えば、亜鉛L-セレノメチオニン錯体(式1)は、きわめて容易に水に溶解し、その溶液は貯蔵時に安定である。水溶性のために、その錯体溶液は、アミノ酸それ自体よりも他の飼料成分と容易にブレンドすることができる。この錯体は、多種の家畜に対する摂食研究においてアミノ酸よりも生物的利用可能性が高かった。特に興味深いことは、錯体が、摂取の後に反芻胃での分解に耐性を有していると見受けられ、そのため乳牛および羊などの反芻動物における食物セレン源としての有用性が増大することである。
【0026】
他の市販されているセレノ-アミノ酸がL-セレノメチオニンと同様に望ましくない物理的性質を有していることが判明した。これらのセレノ-アミノ酸の金属錯体を形成すると、L-セレノメチオニンと同様にそれらの物理的性質が改良された。例えば、亜鉛Se-メチル-L-セレノシステイン錯体は容易に水に溶解して、安定な溶液を生成する。この錯体は、元のセレノ-アミノ酸よりも生物的利用可能が高い。
【化1】

【0027】
X-=塩化物、硫酸水素
式1:亜鉛L-セレノメチオニン錯体の分子構造。
【0028】
亜鉛L-セレノメチオニン錯体の構造式(式1)から分かるように、本発明の化合物は、カチオンがセレノ-アミノ酸金属錯体であるイオン対として存在している。このアニオンの選択は重要ではない。アニオンは、無機または有機アニオンのどちらでもよい。1価の金属セレノ-アミノ酸錯体カチオン数が中性のイオン対におけるアニオン/カチオンの結合価に等しくなる限り1価、2価または多価のアニオンを用いることができる。ハロゲン酸、硫酸またはリン酸などの無機酸をアニオン源として用いることが好ましい。塩化物または硫酸水素をアニオンとして用いることが最も好ましい。有機アニオンには、一塩基脂肪族酸(例えば酢酸、プロピオン酸)、二塩基脂肪族酸(例えばコハク酸およびアジピン酸)、置換脂肪族酸(例えばクロロ酢酸)、芳香族酸(例えば安息香酸)、またはアラルキル酸(例えばフェニル酢酸)が含まれ得る。
【0029】
用いるアミノ酸はメチオニンが好ましいが、1:1セレノ-2アミノ酸錯体を形成するその他のアミノ酸も用いることができる。例えば、上記式1において、メチオニン部分は、アルギニン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファンまたはバリンと置換することができる。
【0030】
亜鉛、マンガン、銅、コバルト,鉄およびクロムなどの多数の金属イオンを用いて、セレノ-アミノ酸との1:1錯体を形成することができる。好ましい金属は、亜鉛、コバルトおよびマンガンである。銅および鉄などの酸化性金属を用いる場合には、錯体の分解に至ることになるセレノ-アミノ酸の遅い酸化を回避するために特別の注意を払わねばならない。錯体の安定性および低酸化電位のためにカチオン性1:1錯体の形成に好ましい金属イオンは亜鉛である。さらに、高純度の塩化亜鉛および硫酸亜鉛などの亜鉛塩は、手ごろな価格で容易に商業的に入手可能である。
【0031】
セレン化合物の毒性、およびL-セレノメチオニンが高価格なために、これらの金属L-セレノメチオニン錯体を製造するための安全で経済的な方法を開発することが重要であった。L-セレノメチオニンと金属塩の反応並びに金属L-セレノメチオニン錯体の濃縮予備混合物の形成を最終輸送用容器内で行う製造方法を開発した。この結果、最小限の取り扱いとなり、当該方法が安全で且つ経済的となった。本方法において、亜鉛L-セレノメチオニンクロリドとして5%ものセレンを含有する予備混合物を製造するために適切なミキサーを用いた。適切なミキサーパドルを機械加工して、製品用の最終輸送用容器に嵌合させた。最終輸送用容器をミキシングボウルとして用いて、シュラウドを、ミキシングボウルにぴったり嵌合したミキサーパドル周辺に取り付けて、混合中のミキシングボウルの内容物のいかなる損失も防いだ。金属塩(通常は塩化亜鉛)の溶液を、80-95℃、好ましくは85-90℃に加熱した。この温めた溶液をミキシングボウルに入れて、必要量のL-セレノメチオニンを加えて、カバーシュラウドを容器上に嵌めた。塩化亜鉛およびL-セレノメチオニンは、等モル濃度で用いた。内容物をL-セレノメチオニンが完全に溶解するまで十分に混合して、亜鉛L-セレノメチオニンクロリドを形成させた。次いでシリカなどの高吸着担体を加えて、容器を覆い、内容物を均一な生成物が得られるまで十分に混合した。水分吸着性の担体の使用により、生成物を乾燥する必要はなくなった。このため、毒性のセレン化合物の取り扱いが最小限になる。高い水分吸着性能を有する限り、いかなる適切な担体も用いることができる。好ましい担体は、粉末化されたシリカである。活性成分である亜鉛L-セレノメチオニンが担体全体にわたって均一に分散されることを保証するために混合時間を調整しなければならない。
【0032】
固体若しくは液体飼料あるいは飼料としての水に対する好ましい添加剤濃度は、栄養を補給される動物に依存する。しかしながら一般には、0.01ppmから2.00ppm、好ましくは0.05ppmから0.5ppmの範囲内の量である。ブタおよび家禽の場合、飼料には、0.05-2.00ppmのSe、好ましくは0.1-0.3ppmのSeが補充される。牛の場合、飼料には、1日、1頭当たり0.05-10mgのSe、好ましくは1日、1頭当たり2-7mgのSeが補充される。
【実施例】
【0033】
上記の錯体を得る実際的な方法、それら錯体の特性、および動物栄養物摂取におけるセレン源としてのそれら錯体の使用を例示するために以下、実施例を示す。
【0034】
実施例1
亜鉛L-セレノメチオニン塩酸塩の製造および特性:
L-セレノメチオニン(97.8 mg, 0.5mmol)を、氷浴中に置いた250-mlの丸底フラスコ中の水(45ml)に加えた。この混合物をマグネチックスターラーおよびテフロンコート攪拌棒を用いて激しく攪拌した。粉末は完全に溶液にならず、攪拌を停止すると直ぐに水表面に浮遊した。塩化亜鉛(68.20 mg, 0.5mmol)を攪拌を継続しながら添加した。澄んだ溶液が直ちに形成した。この溶液を濃縮して40℃の温度で減圧乾燥した。吸湿性の無色固体が形成した。この固体は容易に水に溶解した。
【0035】
臭化カリウムペレット状でのこの固体のFTIRスペクトルは、以下の領域付近で吸収ピークを示した: 3510.2 (vs), 3143.8 (s), 2927.7 (m), 1639.4 (vs), 1488.9 (m), 1411.8 (m), 1338.5 (m), 1218.9 (w), 1130.2 (w), 578.6 (w)および536.2 (w) cm-1。(w, 弱; m, 中; s, 強; vs, 非常に強)。このスペクトルは、以下の領域付近で吸収ピークを示したL-セレノメチオニンのスペクトルとは異なっていた: 3433.1 (w), 2923.9 (s), 2731.0 (m), 2611.4 (m), 2117.7 (w), 1608.5 (s), 1581.5 (vs), 1512.1 (s), 1411.8 (s), 1338.5 (m), 1269.1 (w), 1218.9 (w), 1153.4 (w),および540.0 (w) cm-1
【0036】
水に溶解した1mg/mlの亜鉛L-セレノメチオニン塩酸塩を含有する溶液は、3つの異なるカラム/移動相系を用いてHPLCにより分析した。全ての系において、210nmでのUV/Vis検出器を用いて、20μlのサンプルをRheodyne Loopインジェクターを用いてカラムに注入した。第1の系においては、100 X 4.6 mm、Adsorbosphere HS C18 OPA 5μ カラム (Alltech Associates, Inc.)を用いた。移動相は1ml/分の速度で、水に溶解した0.9%の塩化ナトリウムであった。この系において、L-セレノメチオニンおよび亜鉛L-セレノメチオニンの保持時間は、それぞれ2.406および2.347分であった。セレノ-アミノ酸とその亜鉛錯体との保持時間におけるこの非常に小さな差は首尾一貫していた。しかしながら、クロマトグラフィーの条件を変えてもこの分離は改善しなかった。第2の系において、250 X 4.6 mm、Transition Metal 7μ カラム (Alltech Associates, Inc.)を、1ml/分の速度で移動相として5mMの酢酸ナトリウムpH5.8の緩衝液にて用いた。この系にて、亜鉛L-セレノメチオニン塩酸塩は、保持時間が6.675分であった。第3の系において、250 X 4.6 mmのDiscovery Cyano カラム (Supelco)を、1ml/分で移動相として0.1%の酢酸にて用いた。亜鉛L-セレノメチオニンは、保持時間が4.167分であった。第2および第3の2種の系において、L-セレノメチオニンと亜鉛L-セレノメチオニンの保持時間に差を見ることはできなかった。これら全ての系において、検出器応答99%を超える割合を占める単一のピークを得た。3つの系は全て、予備混合物中の亜鉛L-セレノメチオニンの測定に有用であった。
【0037】
実施例2
亜鉛L-セレノメチオニン(5%のセレン)予備混合物の製造:
塩化亜鉛(166.898 g, 1.2 mol)を、ステンレス鋼ミキサーボウル中で沸騰水(500 ml)と混合した。L-セレノメチオニン (196.110 g, 1.0 mol)を塩化亜鉛溶液に加えた。この混合物を、均一溶液が形成するまで混合した。600g のシリカ粉末(Tixosil, Rhodia, Brazil)を、均一粉末が得られるまで攪拌を継続しながらゆっくり添加した。粉末を適切な容器に移して、しっかりと覆い、涼しく、乾燥した場所に保管した。この濃縮した予備混合物は5%セレンを含有しており、リン酸水素カルシウムなどの適切な担体とブレンドすることにより、最終予備混合物にて所望のセレン濃度に希釈することができる。
【0038】
濃縮した予備混合物(5 %のSe)の2.0gサンプルを正確に計量して、水で抽出した。この抽出物を100-mlの容量フラスコに移して、水で100-mlの体積まで満たした。この抽出物を以下のように分析した:
FTIR同定:100μLの抽出物を100mgのFTIRグレード臭化カリウム粉末に加えて、よく混合した。このミキサーを乾燥器中75℃で乾燥した。ペレットを形成してサンプルのFTIRスペクトルを記録した。FTIRスペクトルは、以下の領域付近で吸収ピークを示した: 3510.2 (vs), 3143.8 (s), 2927.7 (m), 1639.4 (vs), 1488.9 (m), 1411.8 (m), 1338.5 (m), 1218.9 (w), 1130.2 (w), 578.6 (w)および536.2 (w) cm-1。(w, 弱; m, 中; s, 強 ; vs, 非常に強)。このスペクトルは、L-セレノメチオニンのスペクトルと異なっている。遊離アミノ酸の特徴である2118cm-1付近の弱〜中の帯が存在しないことが興味深い。
【0039】
HPLC測定:水抽出物中の亜鉛L-セレノメチオニン濃度をHPLCによって測定した。Shimadzu 機器は、SCL-10A-VP コントローラー、Dual LC-10AD-VP ポンプ、SIL-10 Ai オートサンプラーおよび210 nm に設定されたSCD-10AV-VP UV/可視検出器から構成されていた。Discovery Cyano 5μカラム(25 cm X 4.6 mm)は25℃で用いた。移動相は、1.00mL/分で0.1%の氷酢酸であった。50μLの標準またはサンプル溶液をオートサンプラーにて注入した。1組の5種の標準を、0.1567、0.3134、0.4701、0.6268および0.7835 mg/mlの亜鉛L-セレノメチオニンが含まれるように調製した。100μLのサンプル抽出物を900μLの水で希釈し、サンプル溶液として用いた。標準およびサンプル溶液を、注入前に2μのフィルターで濾過した。標準およびサンプルは、保持時間が3.975分の単一成分のみを含んでいた。直線回帰を、ピーク面積対濃度の相関グラフを作成するために用いた。サンプル溶液中の亜鉛L-セレノメチオニン濃度は相関グラフから計算して、最初の予備混合物中における18.79%の亜鉛L-セレノメチオニンまたは5.67%のセレンに対応する0.3898mg/mLであると判明した。
【0040】
実施例3
亜鉛L-セレノメチオニン溶液の安定性:
約2.0gの亜鉛L-セレノメチオニン予備混合物(5%のSe)を正確に計量して100-ml容量フラスコに移した。水を100-mlの体積まで加えた。フラスコに栓をして、その内容物を激しく混合した。混合物を静置して、上澄みのサンプルを慎重に除去して、2μLのフィルターで濾過した。濾液中の亜鉛L-セレノメチオニン濃度を、実施例2に記載のようにHPLCを用いて測定した。溶液を調製後直ちに分析を行ない、平均周囲温度が18℃、50%の相対湿度で貯蔵後30日と90日目に分析を繰り返し行なった。溶液中の亜鉛L-セレノメチオニン濃度は、製造日、その後30および90日目においてそれぞれ18.95、18.89および18.78%であることが判明した。これらの結果は、溶液中の亜鉛L-セレノメチオニンの濃度が、周囲の温度および湿度で30日間貯蔵しても変化するのは0.5%未満であることを示している。
【0041】
実施例4
亜鉛L-Se-メチルセレノシステイン塩酸塩の製造:
塩化亜鉛(8.447g,0.05mol)をステンレス鋼ミキサーボウル中で沸騰水(25ml)と混合した。Se-メチル-L-セレノシステイン(9.1873g,0.05mol)を塩化亜鉛溶液に加えた。均一溶液が形成するまで混合物を混合した。30gのシリカ粉末(Tixosil,Rhodia,Brazil)を均一粉末が得られるまで混合を継続しながらゆっくりと加えた。粉末を適切な容器に移して、しっかりと覆い、涼しく、乾燥した場所に保管した。この濃縮した予備混合物には、5%のセレンが含まれ、リン酸水素カルシウムなどの適切な担体とブレンドすることにより最終予備混合物中で所望とするセレン濃度にまで希釈することができる。
【0042】
濃縮した予備混合物(5%のSe)の2.0gサンプルを正確に計量して、水で抽出した。この抽出物を100-mlの容量フラスコに移して、水で100-mlの体積まで満たした。抽出物を以下のように分析した:
FTIR同定:100μLの抽出物を100mgのFTIRグレード臭化カリウム粉末に加えて、よく混合した。このミキサーを乾燥器中75℃で乾燥した。ペレットを形成して、サンプルのFTIRスペクトルを記録した。FTIRスペクトルは、以下の領域付近で吸収ピークを示した: 3529.5 (vs), 3159.2 (s), 2927.7 (m), 1639.4 (vs), 1477.4 (m), 1419.5 (m), 1396.4 (m), 1342.4 (m), 1296.1 (w), 1122.5 (w), 578.6 (w),および536.2 (w) cm-1.(w, 弱; m, 中; s, 強; vs, 非常に強)。このスペクトルは、L-Se-メチルセレノシステインのスペクトルとは異なっていた。遊離アミノ酸の特徴である2118 cm-1付近の弱 〜中の帯が存在しないことは興味深いことである。
【0043】
HPLC測定:水抽出物中の亜鉛L-Se-メチルセレノシステイン濃度をHPLCにより測定した。Shimadzu機器は、SCL-10A-VPコントローラー、Dual LC-10AD-VP ポンプ、SIL-10 Ai オートサンプラーおよび210 nmに設定されたSCD-10AV-VP UV/可視検出器から構成されていた。Discovery Cyano 5μカラム (25 cm X 4.6 mm)を25℃で用いた。移動相は、1.00mL/分で0.1%の氷酢酸であった。50μLの標準またはサンプル溶液をオートサンプラーにより注入した。1組の5種類からなる標準には0.14942、0.29884、0.44826、0.59769および0.74711mg/mlの亜鉛L-Se-メチルセレノシステインが含まれるように調製した。100μLのサンプル抽出物を900μLの水で希釈して、サンプル溶液として用いた。標準およびサンプル溶液を、注入前に2μのフィルターで濾過した。標準およびサンプルには、保持時間が3.842分の単一成分のみが含まれていた。直線回帰を、ピーク面積対濃度の相関グラフを作成するために用いた。サンプル溶液中の亜鉛L-Se-メチルセレノシステイン濃度は、相関グラフから計算して、最初の予備混合物中における17.25%の亜鉛L-Se-メチルセレノシステインまたは5.50%のセレンに対応する0.3944mg/mLであることが判明した。
【0044】
実施例5
亜セレン酸ナトリウムおよび亜鉛L-セレノメチオニンが子羊におけるグルタチオンペルオキシダーゼおよび組織セレン濃度に及ぼす影響の比較:
平均体重が18.5kgである24(32)頭の子羊を用いた。その子羊は、妊娠期間の最後の45日間と授乳期中に補充のセレンを受けることがなかった雌羊の子として生まれた。子羊を生後およそ2ヶ月で離乳させて、プラスチック製の餌箱とステンレス鋼の給水器を備えたプラスチックの檻の中に入れた。56日間、子羊にセレン不足な飼料を与えた。頚部の血液サンプルを、0、28および56日目に子羊全頭から入手した。56日のセレン枯渇期間の終わりに、子羊を体重別に階層化して、無作為に3種の処置を割り当てた。これらの処置は、1)対照コントロール、2)亜セレン酸ナトリウム、3)L-セレノメチオニンおよび4)亜鉛L-セレノメチオニンから構成されていた。28日間、0.05ppmの補充セレンを与えるようにセレン源を添加し、次いで各々の源からのセレン量を、さらに28日間、0.1ppmに増やした。血液サンプルを、0、14、28および56日目に頚部を穿刺して採取した。サンプル中での全血および血漿のグルタチオンペルオキシダーゼ活性を、0、14、28および56日目に得た。血漿セレンを、0、28および56日目に得たサンプル内で測定した。各処置の6頭の子羊を、研究の終わりに屠殺して、肝臓、腎臓、筋肉および心臓のサンプルを、セレンおよびグルタチオンペルオキシダーゼ活性の測定用に得た。
【0045】
セレン欠乏期間における子羊の体重増加は、平均して1日当たり196gであった。セレン欠乏期間の28日間に、血漿と全血のグルタチオンペルオキシダーゼ活性は、初期値の75および57%に低減した。56日間に、これらの値は初期値の48%となった。補充のセレンを受けた子羊は、研究の間、対照群の子羊よりも体重増加が速かった。しかしながら、初期および最終的な体重は、セレン源に影響されなかった。
【0046】
0.05ppmのセレンを飼料に添加すると、14日間に血漿グルタチオンペルオキシダーゼ活性が大きく増大し、活性は28日および56日間でさらに増大した。14日目では、グルタチオンペルオキシダーゼ活性はセレン源によってさほど影響を受けなかった。しかしながら、28日目には、グルタチオンペルオキシダーゼ活性は、亜セレン酸ナトリウムを受けた子羊と比較してL-セレノメチオニンまたは亜鉛L-セレノメチオニンを補充した子羊においてより高くなった。L-セレノメチオニンを受けた子羊と亜鉛L-セレノメチオニンを受けた子羊との違いはなかった。28日目に、補充のセレン濃度を0.05から0.10ppmに増加させても、56日間に血漿グルタチオンペルオキシダーゼ活性の増加はほんの僅かであった。
【0047】
飼料にセレンを補充した子羊は、対照よりも14日目における全血のグルタチオンペルオキシダーゼ活性がより高かった。しかしながら、亜セレン酸ナトリウム、L-セレノメチオニンまたは亜鉛L-セレノメチオニンを補充した子羊同士での違いはなかった。全血のグルタチオンペルオキシダーゼ活性の更なる増加は、セレン補充後28および56日目では観察されなかった。
【0048】
56日間、セレンを補充した子羊は、対照の子羊よりも心臓、腎臓、肝臓および筋肉におけるグルタチオンペルオキシダーゼ活性がより高かった。亜鉛L-セレノメチオニンまたはL-セレノメチオニンの補充は、亜セレン酸ナトリウムにより生じる活性と比較して腎臓、肝臓および筋肉においてより高い活性を生じた。
【0049】
血漿セレン濃度は、セレンを補充した動物において28日目にかなり高くなり、亜セレン酸ナトリウムとL-セレノメチオニン若しくは亜鉛L-セレノメチオニンとの違いはなかった。しかしながら、56日間では、L-セレノメチオニンまたは亜鉛L-セレノメチオニンを補充した子羊は、亜セレン酸ナトリウムを受けた子羊よりも血漿セレンがより高かった。
【0050】
全ての組織において、組織セレン濃度は、対照と比較してセレン補充を受けた子羊においてより高かった。L-セレノメチオニンまたは亜鉛L-セレノメチオニンを受けた子羊は、亜セレン酸ナトリウムを受けた子羊よりも心臓および肝臓のセレン濃度が高かった。亜セレン酸ナトリウムに対する亜鉛L-セレノメチオニンおよびL-セレノメチオニンの生物学的利用能を算出して、表1に纏めた。表1から、亜鉛L-セレノメチオニンが亜セレン酸ナトリウムおよびL-セレノメチオニンよりも生物学的利用能がより高いことが明らかである。
表1
グルタチオンペルオキシダーゼ活性および組織セレン濃度の増加に基づく亜セレン酸ナトリウム、L-セレノメチオニンおよび亜鉛L-セレノメチオニンの相対的な生物学的利用能
【表1】

【0051】
実施例6
亜セレン酸ナトリウムおよび亜鉛L-セレノメチオニンが成長を終えたブタにおけるその効能(performance)および組織セレン濃度に及ぼす影響の比較:
平均体重が22.9kgである16頭のブタを、性別、体重ごとに階層化して、亜セレン酸ナトリウムまたは亜鉛L-セレノメチオニン塩酸塩からの0.3ppmの補充セレンからなる処置に無作為に割り当てた。ブタを檻に入れた。各処置は、1頭の若い雌ブタと1頭の成熟した雌ブタをそれぞれ入れた4つの同型の(replicate)檻から構成されていた。ブタに、NRC規定に適合する処方がなされた飼料を与えた。ブタに、56日間、成長飼料を与え、次いで33日間、仕上げ(finishing)飼料を与えた。成長段階と仕上げ段階の終わりのブタの平均重量はそれぞれ69.6および101.2kgであった。各ブタの体重を、初め、成長段階および仕上げ段階の終わりに測定した。研究の終わりにブタを屠殺して、肝臓、筋肉、心臓および腎臓のサンプルをセレン測定用に採取した。この結果を表2に纏める。
【0052】
ブタの体重増加は、成長段階または仕上げ段階においてセレン源によって影響されなかった。しかしながら、亜鉛L-セレノメチオニン塩酸塩を受けたブタは、亜セレン酸ナトリウムを受けたブタよりも仕上げ段階における飼料の消費が少なかった。したがって、増量/飼料の比は、亜セレン酸ナトリウムを受けたブタと比較して亜鉛L-セレノメチオニンを与えたブタがより高かった。亜鉛L-セレノメチオニンを与えたブタは、亜セレン酸ナトリウムを補充したブタよりも肝臓、筋肉および心臓におけるセレン濃度がより高かった。ブタに亜セレン酸ナトリウムまたは亜鉛L-セレノメチオニンのどちらを飼料として与えても、腎臓セレン濃度は類似していた。
表2
亜セレン酸ナトリウムおよび亜鉛L-セレノメチオニンがブタにおけるその効能および組織セレン濃度に及ぼす影響の比較
【表2】

【0053】
実施例7
亜セレン酸ナトリウムおよび亜鉛L-セレノメチオニンが、ブロイラーにおける血漿セレン濃度およびグルタチオンペルオキシダーゼ活性に及ぼす影響の比較:
1日齢の雄および雌鳥を当研究に用いた。雄および雌鳥を別々に檻に入れて、6ブロックの8つの檻それぞれに、4羽の雌および4羽の雄を無作為に割り当てた。檻には50羽の雌または45羽の雄が収容された。死亡する鳥および間引かれる鳥を見越して実験開始時に各檻に予備の2羽を追加した。7日目に、各檻の鳥数を、50羽の雌および45羽の雄に調整した。3種の処置を、完全な任意配列ブロック法を用いて檻に割り当てた。処置には以下が含まれる:1)陰性の対照(追加のセレンはなし)、2)亜セレン酸ナトリウム、および3)亜鉛L-セレノメチオニン。鳥を環境制御した施設のコンクリート床の檻に入れた。環境条件は、全実験群の鳥すべてに対して類似していた。水および飼料を任意に、研究全体を通して与えた。全ての鳥は受け取り次第、各処置の食餌で飼育した。全ての飼料を入れ、0日目から研究の終わりまで檻から取り出し計量し、記録した。試験設備の檻と鳥を、一般的な集団状態、照明、水、飼料,通気その他のあらゆる予期せぬ変化に対して毎日2回観察した。顕著な変化を書面で書き留めた。0日目と49日目に、檻ごとに鳥の体重を測定した。檻に量り分けられた飼料量から、研究期間の終わりに給餌器に残存している飼料量を減ずることにより各檻ごとの飼料摂取を測定した。鳥の平均体重を檻基準で計算した。血液および筋肉サンプルを採取するために、6頭の鳥を49日目に各檻から無作為に選択した。血液をヘパリン処置したチューブに採取し、血漿を分離し、セレンおよびグルタチオンペルオキシダーゼを分析するまで-20℃で保管した。採血後、鳥を頸部脱臼により殺した。右胸部の100gサンプルを各鳥から集め、セレンを分析するまで-20℃で保管した。この結果を表3に纏める。
表3
ブロイラーにおける血漿のセレン濃度およびグルタチオンペルオキシダーゼ活性の増加
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属L-セレノ-αアミノ酸1:1錯体塩化合物。
【請求項2】
金属が、亜鉛、マンガン、銅、コバルト、鉄およびクロムからなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
金属が亜鉛である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
セレノ-アミノ酸がL-セレノメチオニンであり、2アミノ酸がメチオニンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
セレノ-アミノ酸がSe-メチル-L-セレノシステインである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
錯体塩が無機酸塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
無機酸塩がハロゲン酸、硫酸またはリン酸由来の塩である、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
式:
【化1】

[式中、Xはアニオンであり、塩化水素酸、硫酸、リン酸の無機酸の群から選択される]
で表される亜鉛L-セレノメチオニン1:1錯体塩。
【請求項9】
1日当たりの飼料割当量に対して少量ではあるがセレン効能を高める効果的な量の金属L-セレノ-αアミノ酸1:1錯体塩化合物を、飼料に割当てる補充剤として添加することを含む、家畜用の飼料に必要とされるセレンを十分に保証する方法。
【請求項10】
0.05ppm〜2.0ppmのセレンを供給する量の補充剤がブタおよび家禽の飼料に添加される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
飼料に割当てる補充剤の量が0.05ppm〜0.5ppmである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
0.1ppm〜0.3ppmのセレンを供給する量の補充剤がブタおよび家禽の飼料に添加される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
1頭、1日当たり0.05〜lOmgのセレンを供給する量の補充剤が牛の飼料に添加される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
1頭、1日当たり2.0〜7.0mgのセレンを供給する量の補充剤が牛の飼料に添加される、請求項9に記載の方法。

【公表番号】特表2006−514668(P2006−514668A)
【公表日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−568863(P2004−568863)
【出願日】平成15年12月10日(2003.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2003/039096
【国際公開番号】WO2004/075654
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
テフロン
【出願人】(504107292)ジンプロ コーポレーション (3)
【Fターム(参考)】