説明

改良された粘度プロファイルを有する疎水変性アルキレンオキシドウレタンポリマー

【課題】KU粘度の増大なしにICビルディングレオロジー調節剤の効率およびICI粘度を増大させることができる、コーティング組成物のためのレオロジー調節剤を提供する。
【解決手段】ポリアルキレングリコール、50〜250繰り返しのアルキレンオキシド単位を有するアルコキシ化ポリオール、脂肪族ジイソシアナート、およびキャッピング剤の構造単位を含む疎水変性アルキレンオキシドウレタンポリマー、並びにこのポリマーを製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は疎水変性(hydrophobically modified)ウレタンポリマーに関し、これは水性コーティング配合物中でレオロジー調節剤として使用される。
【背景技術】
【0002】
レオロジー調節剤(rheology modifier)は広範囲の剪断速度にわたって粘度を制御するために水性コーティング配合物中に使用される。それらは会合性である(それらは分散相と会合する)ことができ、または非会合性である(それらは水相を増粘する)ことができる。会合性増粘剤は、疎水変性セルロールエーテルのように天然産物から得られることができ、または疎水変性エチレンオキシドウレタン(HEUR)ポリマーのように合成ポリマーから製造されうる。米国特許第4,155,892号(エモンス(Emmons)ら)は別個の例において線状および分岐HEURポリマーの製造を記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4,155,892号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レオロジー調節剤は典型的には低剪断速度粘度ビルダー(ストーマー粘度ビルダー、KU粘度ビルダーとも称される)、または高剪断速度粘度ビルダー(ICIビルダー)として分類される。KU粘度の増大は、KUビルディングレオロジー調節剤を配合物に添加する配合者の能力を制限するので、付随的なKU粘度の増大なしにICビルディングレオロジー調節剤の効率およびICI粘度を増大させることが望ましい。不充分なKUビルディングレオロジー調節剤を含む配合物は、基体に適用される場合に垂れ下がりおよびドリッピングに対する劣った抵抗性を示す場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は第1の形態において、a)4000〜12000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有するポリアルキレングリコール;脂肪族ジイソシアナート;および50〜250繰り返しのアルキレンオキシド単位を有するアルコキシ化ポリオールを反応条件下で一緒に接触させて、NCO残基を含む中間体ポリマーを形成し;次いでb)中間体ポリマーを、線状、分岐もしくは環式のC−C14アルカノールまたはC10−C16−(OX)−OHアルコキシ化アルコールであるキャッピング剤と反応させて、疎水変性アルキレンオキシドウレタンポリマーを形成し;各Xは独立してCHCHまたはCHCH(CH)であり;nは1〜50であり;工程a)における前記ポリアルキレングリコール:前記アルコキシ化ポリオールのOH基モル当量比が3:1〜12:1の範囲であり;工程a)におけるNCO:OHモル当量比が1:0.70〜1:0.95の範囲であり;前記キャッピング剤は工程a)からのNCO残基についての化学量論量以上で添加され;並びに、前記アルコキシ化ポリオールはアルコキシ化トリオールまたはアルコキシ化テトラオールまたはこの組み合わせであることを含む方法を提供することにより、当該技術分野における必要性に取り組む。
【0006】
第2の形態においては、本発明はa)4000〜12000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有するポリアルキレングリコール;b)脂肪族ジイソシアナート;c)50〜250繰り返しのアルキレンオキシド単位を有するアルコキシ化ポリオール;並びにd)線状、分岐もしくは環式のC−C14アルカノールまたはC10−C16−(OX)−OHアルコキシ化アルコールであるキャッピング剤;の構造単位を含み、各Xは独立してCHCHまたはCHCH(CH)であり;nは1〜50であり;前記ポリアルキレングリコール:前記アルコキシ化ポリオールの構造単位のOH基モル当量比が3:1〜12:1の範囲であり;前記キャッピング剤の前記アルコキシ化ポリオールに対する構造単位のOH基モル当量が0.4〜6.5の範囲であり;並びに、前記アルコキシ化ポリオールはアルコキシ化トリオールまたはアルコキシ化テトラオールである、疎水変性アルキレンオキシドウレタンポリマーである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
第1の形態においては、本発明はa)4000〜12000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有するポリアルキレングリコール;脂肪族ジイソシアナート;および50〜250繰り返しのアルキレンオキシド単位を有するアルコキシ化ポリオールを反応条件下で一緒に接触させて、NCO残基を含む中間体ポリマーを形成し;次いでb)中間体ポリマーを、線状、分岐もしくは環式のC−C14アルカノールまたはC10−C16−(OX)−OHアルコキシ化アルコールであるキャッピング剤と反応させて、疎水変性アルキレンオキシドウレタンポリマーを形成し;各Xは独立してCHCHまたはCHCH(CH)であり;nは1〜50であり;工程a)における前記ポリアルキレングリコール:前記アルコキシ化ポリオールのOH基モル当量比が3:1〜12:1の範囲であり;工程a)におけるNCO:OHモル当量比が1:0.70〜1:0.95の範囲であり;前記キャッピング剤は工程a)からのNCO残基についての化学量論量以上で添加され;並びに、前記アルコキシ化ポリオールはアルコキシ化トリオールまたはアルコキシ化テトラオールまたはこの組み合わせであることを含む方法である。
【0008】
本明細書において使用される場合、用語「ポリアルキレングリコール」とはポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールコポリマー、またはポリエチレングリコール/ポリブチレングリコールコポリマーをいう。好ましくは、ポリアルキレングリコールはポリエチレングリコール、より好ましくは5000〜9000ダルトンの範囲の重量平均分子量(M)を有するポリエチレングリコールである。カルボワックス(CARBOWAX(商標))8000ポリエチレングリコール(ザダウケミカルカンパニーまたはその関連会社の商標)は市販のポリエチレングリコールの例である。
【0009】
脂肪族ジイソシアナートは飽和であるか、または部分飽和であることができ、かつ線状、分岐もしくは環式のまたはその組み合わせであることができる。適切なジイソシアナートの例には、1,4−テトラメチレンジイソシアナート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、2,2,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,10−デカメチレンジイソシアナート、4,4’−メチレンビス(イソシアナトシクロヘキサン)、1,4−シクロヘキシレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナートおよび1,5−テトラヒドロナフチレンジイソシアナートが挙げられる。好ましいジイソシアナートには、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナートおよび4,4’−メチレンビス(イソシアナトシクロヘキサン)が挙げられる。
【0010】
アルコキシ化ポリオールは好ましくは、以下の一般式を有するエトキシ化トリオールである:
【化1】

式中、Rは、線状または分岐または環式またはその組み合わせであるC−C12アルキル基であり;各Xは独立してCHCHまたはCHCH(CH)であり;合計a+b+cは50〜250、好ましくは60〜220,より好ましくは90〜200,最も好ましくは120〜180の範囲である。
【0011】
RO基の例には以下のものが示される:
【化2】

式中、点線はX基への結合点を表す。好ましくは、RO
【化3】

である。
【0012】
本明細書において使用される場合、用語「OH基モル当量」は、それが本方法に関連する場合、以下の例によって示される:1分子のポリエチレングリコールは2つのOH基を有し、一方、エトキシ化トリオールは3つのOH基を有する。よって、このグリコールの3つの分子はこのトリオールの2つの分子と同じ数のOH基を有し、このグリコール:このトリオールの3:1のOH当量比は9:2のモル:モル比と同じである。好ましくは、ポリアルキレングリコール、好ましくはポリエチレングリコール:エトキシ化ポリオール、好ましくはエトキシ化トリオールのOH基モル当量比は4:1〜7:1の範囲である。
【0013】
同様に、ジイソシアナートおよびポリアルキレングリコールとアルコキシ化ポリオールとの合計について基モル当量比が計算される。工程a)における好ましいNCO:OHモル当量比が1:0.80〜1:0.90である。
【0014】
第2の工程においては、キャッピング剤が中間体ポリマーに添加されて、疎水変性アルキレンオキシドウレタンポリマー、好ましくは疎水変性エチレンオキシドウレタンポリマーを形成する。好ましくは、キャッピング剤は、NCO基の実質的に完全な変換を確実にするために、NCO基に対して化学量論量的に過剰に添加される。好ましくは、キャッピング剤は線状、分岐もしくは環式のC−C14アルカノールであり、その例には、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、n−オクタノール、n−ノナノール、n−デカノールおよびn−ドデカノールが挙げられる。キャッピング剤が線状、分岐、または環式C10−C16−(OX)−OHアルコキシ化アルコールである場合には、Xは好ましくはCHCHおよびnは好ましくは10〜30である。
【0015】
第2の形態においては、本発明はa)4000〜12000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有するポリアルキレングリコール;b)脂肪族ジイソシアナート;c)50〜250繰り返しのアルキレンオキシド単位を有するアルコキシ化ポリオール;並びにd)線状、分岐もしくは環式のC−C14アルカノールまたはC10−C16−(OX)−OHアルコキシ化アルコールであるキャッピング剤;の構造単位を含み、各Xは独立してCHCHまたはCHCH(CH)、好ましくはCHCHであり;nは1〜50、好ましくは10〜30であり;ポリアルキレングリコール:アルコキシ化ポリオールの構造単位のOH基モル当量比が3:1〜12:1の範囲であり;キャッピング剤のアルコキシ化ポリオールに対する構造単位のOH基モル当量比が0.4〜6.5の範囲であり;並びに、アルコキシ化ポリオールはアルコキシ化トリオールまたはアルコキシ化テトラオールである、疎水変性アルキレンオキシドウレタンポリマーである。
【0016】
好ましくは、ポリアルキレングリコール:アルコキシ化ポリオールの構造単位のOH基モル当量比が4:1〜7:1の範囲であり;好ましくは、キャッピング剤のアルコキシ化ポリオールに対する構造単位のOH基モル当量比が0.6〜2.0の範囲である。
【0017】
本明細書において使用される場合、用語「構造単位」は材料の反応によってポリマー内に形成される繰り返し基に言及するために使用される。よって、ジイソシアナートOCN−R’−NCOの構造単位は以下の通りである:
【化4】

式中、R’は線状、分岐もしくは環式の脂肪族基である。
【0018】
用語「OH基モル当量比」は、それが本発明の組成物に関連する場合、ポリマーにおけるグリコール、アルコキシ化ポリオール、またはキャッピング剤の構造単位をいう。よって、例えば、グリセリンの構造単位は3OH基モル当量を有するが、n−デカノールの構造単位は1OH基モル当量を有する。
【化5】

【0019】
本発明に従うコーティング組成物は以下の添加剤の1種以上をさらに含むことができる:溶媒;充填剤;顔料、例えば、二酸化チタン、マイカ、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、粉砕ガラス、アルミニウム三水和物、タルク、三酸化アンチモン、フライアッシュおよびクレイ;ポリマー封入顔料、例えば、ポリマー封入もしくは部分封入不透明化顔料粒子、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、リトポンポリマー;二酸化チタンのような顔料の表面に吸着もしくは結合しているポリマーもしくはポリマーエマルション;中空顔料、例えば、一以上の空隙を有する顔料;分散剤、例えば、アミノアルコールおよびポリカルボキシラート;界面活性剤;脱泡剤;保存剤、例えば、殺生物剤、殺カビ剤、殺真菌剤、殺藻剤およびこの組み合わせ;流動剤;レベリング剤;および追加の中和剤、例えば、ヒドロキシド、アミン、アンモニアおよび炭酸塩。
【0020】
例えば、コーティング組成物は、i)不透明化顔料粒子、例えば、100nm〜500nmの範囲の直径および少なくとも1.8の屈折率を有する二酸化チタン粒子;ii)封入用ポリマー;並びにiii)封入される不透明化顔料粒子および前記ポリマーのためのポリマー系分散剤を含むポリマー封入不透明化顔料粒子を含むことができる。このようなポリマー封入不透明化顔料粒子は、例えば、米国特許出願公開第2010/0298483A1号に記載される。別の例においては、コーティング組成物は、国際公開第2007/112503A1号に記載されるようなポリマー封入不透明化顔料粒子を含むことができる。
【実施例】
【0021】
以下の例は例示目的だけのためであり、本発明の範囲を限定することを意図していない。
比較例1および2並びに実施例1〜5は、全て、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、M=8200を有するポリエチレングリコール(PEG)、およびキャッピング剤としてのn−デカノールを用いて製造されたHEURの例である。トリオールエチレンオキシド(EO)長さは0〜200EO単位まで変化した。
【0022】
以下の実施例および比較例のそれぞれにおける比率は0.75PEG/0.15トリオール/1.1ジイソシアナート//0.25キャッピング剤(OHおよびNCO基当量基準)であった。
【0023】
比較例1:EO単位なしのトリオールからのHEUR
カルボワックス(商標)8000ポリエチレングリコール(150.0g、M=8200、18.29mmol、36.58OHmmol当量)、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパン(0.33g、2.46mmol、7.39OHmmol当量)およびトルエン(400g)の混合物が共沸蒸留によって2時間にわたって乾燥された。この混合物は90℃に冷却され、そこにHDI(4.51g、26.84mmol、52.69NCOmmol当量)およびオクタン酸ビスマス溶液(0.16g、28重量%)が攪拌しつつ添加された。1時間後、n−デカノール(1.93g、12.2mmol)が添加され、混合物はさらに1時間にわたって80℃に維持された。トルエンは真空で除去され、得られた固体ポリマーが分離された。
【0024】
比較例2および実施例1〜5についての手順は比較例1のと実質的に同じであり、違いはトリオールの性質であった。表1は使用されたトリオールおよびその対応する分子量を示し、さらにEO長さに応じたICIおよびICI/KU粘度比に対する影響について示す。1,1,1−THMPとは1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパンをいう。
【0025】
増粘剤性能:
ラテックス塗料組成物中での会合性増粘剤の使用によって得られた性能が示された。ラテックス塗料組成物、プレ塗料#1は以下の成分を示された順に一緒にすることによって製造された:
【0026】
【表1】

【0027】
ロープレックス(RHOPLEX(商標))VSR−2015バインダーはベルセイル(VERSAIR(商標))技術(タモール(TAMOL(商標))、ロープレックス(RHOPLEX(商標))、およびベルセイルは全てザダウケミカルカンパニーおよびその関連会社の商標であった)を用いて製造された。配合された塗料は増粘剤および水(合計重量158.9g)を攪拌しつつプレ塗料#1(905.4g)にゆっくりと添加することにより得られた。攪拌は10分間続けられた。充分に配合された塗料の密度は1064 lb/100gal(1.3Kg/L)であった。この充分に配合された塗料のpH値は8.5〜9.0の範囲であった。
【0028】
以下のデータにおいては、水性増粘剤組成物が塗料に混合された場合であっても、塗料中の増粘剤濃度は添加された増粘剤の乾燥グラムで記載される。例えば、20%活性固形分の増粘剤溶液25グラムを添加することにより、塗料中で5グラム(乾燥)の増粘剤が得られうる。室温での24時間平衡化の後で、増粘塗料は、粘度値を測定する前にラボミキサー上で1分間攪拌された。
【0029】
KU粘度はクレブス粘度計によって測定されるような中剪断粘度の測定である。このクレブス(Krebs)粘度計はASTM−D562に適合した回転パドル粘度計である。KU粘度は、ブルックフィールドエンジニアリングラボ(米国、マサチューセッツ州、ミドルボロ)から入手可能なブルックフィールドクレブス単位粘度計KU−1+において測定された。KUとはクレブス単位をいう。
【0030】
ICI粘度はポアズ(poise)の単位で表され、ASTMD4287に記載されているICI粘度計として知られている高剪断速度コーンアンドプレート粘度計で測定される粘度である。この粘度計は塗料の粘度を約10,000秒−1で測定する。塗料のICI粘度はリサーチイクイップメントロンドンリミテッド(英国、ロンドン)によって製造された粘度計で測定された。同等のICI粘度計はエルコメーターインコーポレーティド(米国、ミシガン州、ロチェスターヒルズ)によって製造されたエルコメーター2205である。塗料のICI粘度は典型的には、塗料の刷毛塗りの際に受ける引きずり力の量と相関する。
【0031】
【表2】

【0032】
表1は、ICI粘度およびICI/KUに及ぼすトリオールEO長さの驚くべき効果を示す。このデータが示すように、ICI値はKU粘度の対応する上昇なしに有利に上昇する。比較例3および実施例6については、n−ノナノールがキャッピング剤として使用された。比較例3のためのトリオールとしてPoe(26)グリセリンが使用され、実施例6のためのトリオールとしてPoe(200)グリセリンが使用された。
【0033】
比較例3:26EO単位を有するトリオール、n−ノナノールキャッピング剤からのHEUR
カルボワックス(商標)8000ポリエチレングリコール(200.0g、M=8200)、Poe(26)グリセリン(4.02g)、およびトルエン(400.0g)の混合物が共沸蒸留によって2時間にわたって乾燥された。この混合物は90℃に冷却され、そこにHDI(6.01g)およびオクタン酸ビスマス溶液(0.21g、28重量%)が攪拌しつつ添加された。1時間後、n−ノナノール(2.35g)が添加され、混合物はさらに1時間にわたって80℃に維持された。トルエンは真空で除去され、得られた固体ポリマーが分離された。プレ塗料#1における配合の後で、KUは73であったと認められ;ICIは1.20であったと認められ;並びに、100ICI/KUは1.65であったと認められた。
【0034】
実施例6:200EO単位を有するトリオール、n−ノナノールキャッピング剤からのHEUR
カルボワックス(商標)8000ポリエチレングリコール(120.0g、M=8200)、Poe(200)グリセリン(16.84g)、およびトルエン(400.0g)の混合物が共沸蒸留によって2時間にわたって乾燥された。この混合物は90℃に冷却され、そこにHDI(3.61g)およびオクタン酸ビスマス溶液(0.16g、28重量%)が攪拌しつつ添加された。1時間後、n−ノナノール(1.41g)が添加され、混合物はさらに1時間にわたって80℃に維持された。トルエンは真空で除去され、得られた固体ポリマーが分離された。プレ塗料#1における配合の後で、KUは83であったと認められ;ICIは1.55であったと認められ;並びに、100ICI/KUは1.87であったと認められた。
【0035】
実施例7:HDMIおよびn−ヘキサノールでのHEURの製造
カルボワックス(商標)8000ポリエチレングリコール(120.0g、M=8200)、Poe(200)グリセリン(16.84g)、およびトルエン(400.0g)の混合物が共沸蒸留によって2時間にわたって乾燥された。この混合物は90℃に冷却され、そこに4,4’−メチレンビス(イソシアナトシクロヘキサン)(HDMI、5.62g)およびオクタン酸ビスマス溶液(0.16g、28重量%)が攪拌しつつ添加された。1時間後、n−ヘキサノール(1.41g)が添加され、混合物はさらに1時間にわたって80℃に維持された。トルエンは真空で除去され、得られた固体ポリマーが分離された。プレ塗料#1における配合の後で、KUは107であったと認められ;ICIは1.90であったと認められ;並びに、100ICI/KUは1.77であったと認められた。
【0036】
実施例8:IPDIおよびn−ノナノールでのHEURの製造
ポリマーは、イソホロンジイソシアナート(IPDI、4.77g)がジイソシアナートとして使用され、かつn−ノナノール(1.41g)がキャッピング剤として使用されたことを除いて、本質的に実施例7について記載されたように製造された。プレ塗料#1における配合の後で、KUは115であったと認められ;ICIは2.30であったと認められ;並びに、100ICI/KUは2.00であったと認められた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)4000〜12000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有するポリアルキレングリコール;脂肪族ジイソシアナート;および50〜250繰り返しのアルキレンオキシド単位を有するアルコキシ化ポリオールを反応条件下で一緒に接触させて、NCO残基を含む中間体ポリマーを形成し;次いでb)中間体ポリマーを、線状、分岐もしくは環式のC−C14アルカノールまたはC10−C16−(OX)−OHアルコキシ化アルコールであるキャッピング剤と反応させて、疎水変性アルキレンオキシドウレタンポリマーを形成し、
各Xは独立してCHCHまたはCHCH(CH)であり;工程a)における前記ポリアルキレングリコール:前記アルコキシ化ポリオールのOH基モル当量比が3:1〜12:1の範囲であり;工程a)におけるNCO:OHモル当量比が1:0.70〜1:0.95の範囲であり;前記キャッピング剤は工程a)からのNCO残基についての化学量論量以上で添加され;並びに、前記アルコキシ化ポリオールがアルコキシ化トリオールまたはアルコキシ化テトラオールまたはこの組み合わせである;
ことを含む方法。
【請求項2】
前記ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールであり、および前記アルコキシ化ポリオールがポリオキシエチレントリオールである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリアルキレングリコールが5000〜9000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有するポリエチレングリコールであり、および前記アルコキシ化ポリオールが60〜220繰り返しのエチレンオキシド単位を有するポリオキシエチレントリオールである、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記アルコキシ化ポリオールが90〜200繰り返しのエチレンオキシド単位を有するポリオキシエチレントリオールであり、および工程a)におけるNCO:OH基モル当量比が1:0.80〜1:0.90の範囲である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリアルキレングリコール:前記アルコキシ化ポリオールのOH基モル当量比が4:1〜7:1の範囲であり、および前記アルコキシ化ポリオールが120〜180繰り返しのエチレンオキシド単位を有するポリオキシエチレントリオールである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記脂肪族ジイソシアナートが1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、4,4’−メチレンビス(イソシアナトシクロヘキサン)、またはイソホロンジイソシアナート、またはこれらの組み合わせであり、およびキャッピング剤がn−ヘキサノール、n−ノナノール、またはn−デカノール、またはこれらの組み合わせである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
a)4000〜12000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有するポリアルキレングリコール、b)脂肪族ジイソシアナート、c)50〜250繰り返しのアルキレンオキシド単位を有するアルコキシ化ポリオール、並びにd)線状、分岐もしくは環式のC−C14アルカノールまたはC10−C16−(OX)−OHアルコキシ化アルコールであるキャッピング剤;の構造単位を含み、
各Xは独立してCHCHまたはCHCH(CH)であり;前記ポリアルキレングリコール:前記アルコキシ化ポリオールの構造単位のOH基モル当量比が3:1〜12:1の範囲であり;前記キャッピング剤の前記アルコキシ化ポリオールに対する構造単位のOH基モル当量が0.4〜6.5の範囲であり;並びに、前記アルコキシ化ポリオールがアルコキシ化トリオールまたはアルコキシ化テトラオールである、
疎水変性アルキレンオキシドウレタンポリマー。
【請求項8】
前記ポリアルキレングリコールが5000〜9000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有するポリエチレングリコールであり、前記アルコキシ化ポリオールが60〜220繰り返しのエチレンオキシド単位を有するアルコキシ化トリオールであり、並びに前記キャッピング剤が線状、分岐もしくは環式のC−C14アルカノールである、請求項7に記載の疎水変性アルキレンオキシドウレタンポリマー。
【請求項9】
前記ポリアルキレングリコール:前記アルコキシ化ポリオールの構造単位のOH基モル当量比が4:1〜7:1の範囲であり、前記アルコキシ化ポリオールが90〜200繰り返しのエチレンオキシド単位を有するアルコキシ化トリオールであり、並びに前記キャッピング剤のアルコキシ化ポリオールに対する構造単位のOH基モル当量が0.6〜2.0の範囲である、請求項7または8のいずれかに記載の疎水変性アルキレンオキシドウレタンポリマー。
【請求項10】
前記アルコキシ化ポリオールが120〜180繰り返しのエチレンオキシド単位を有するアルコキシ化トリオールであり、前記脂肪族ジイソシアナートが1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、4,4’−メチレンビス(イソシアナトシクロヘキサン)、またはイソホロンジイソシアナート、またはこれらの組み合わせであり、並びに前記キャッピング剤がn−ヘキサノール、n−ノナノール、またはn−デカノール、またはこれらの組み合わせである、請求項7〜9のいずれか1項に記載の疎水変性アルキレンオキシドウレタンポリマー。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれか1項に記載の疎水変性アルキレンオキシドウレタンポリマーと、ラテックスバインダーと、二酸化チタン、封入された二酸化チタン、または部分的に封入された二酸化チタンとを含む水性組成物。

【公開番号】特開2013−1905(P2013−1905A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−118649(P2012−118649)
【出願日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】