説明

改良サポニンアジュバント組成物およびそれに関する方法

【課題】高アジュバント性および低反応原性(low reactogenicity)を有するアジュバント組成物の提供、並びに免疫原を含む免疫原性組成物の提供。
【解決手段】イオン性多糖成分および免疫賦活複合体を含み、ここでイオン性多糖成分の免疫賦活複合体成分に対する質量比が50〜300の範囲であるアジュバント組成物で、該イオン性多糖成分が、DEAE‐デキストランのようなイオン性デキストランであり、免疫賦活複合体成分にはサポニン成分を含有するものであり、並びに免疫原として視床下部ホルモン黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)を含有する。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、通常、高アジュバント性および低反応原性(low reactogenicity)を有するアジュバント組成物に関する。本発明のアジュバント組成物は、免疫原性組成物の投与後における、例えば、限定されないが、家庭ペットまたは消費用家畜の稔性(繁殖)および行動パターンの改変向け予防および/または治療剤としてのLHRH組成物の投与後における、反応原性の発現が許されない場合に有用である。
【発明の背景】
【0002】
この明細書の著者により引用された文献の目録詳細は、その記載の最後にまとめられている。
【0003】
アジュバントは、免疫応答を増加させて、一部の場合には指示するために、ワクチンおよび他の免疫原性処方物に含有または添加される(Gupta,1998,Cox and Coulter,1992,Azuma,1992およびAguado et al.,1999の文献参照)。一部のアジュバント、例えば水中油型および油中水型エマルジョンは、高レベルの抗体を刺激しうるほど強いアジュバントと広くみなされているが、このようなアジュバントの反応原性が多くの動物種またはヒトで日常的使用を妨げていることは明らかであろう。許容されない反応原性は、動物における伝統的フロイント水中油型エマルジョンの使用が、たとえ実験目的でも、一部の国で禁止または抑止されるようなところまで、多くの動物でこのアジュバントにより証明されている。牛で水中混合油型/DEAE‐デキストランアジュバントの使用(Hodgkinson et al.,1990)は、予防接種された動物の30%で重大な望ましくない反応を生じた。
【0004】
ヒトおよび動物で最も広く用いられているアジュバントは、普遍包括的に“ミョウバン”と称されている不溶性アルミニウム塩、特に水酸化物およびリン酸塩形をベースにしている。Aguadoら(1999)による最近の文献では、更に有効なワクチンの開発のために、ヒトおよび動物の双方でより強いアジュバントの必要性が残っていることを強調している。
例えば、広範囲の可溶性抗原があるが、単独で投与されたこのような抗原に対する免疫応答は非常に乏しく、多くの場合に2回の予防接種後でさえ検出しえない。このような抗原は、一定の免疫応答を促す上で、アジュバントの使用を要する。公知のアジュバントは免疫応答を促せるある範囲の能力を呈するが、免疫抗原に対する抗体応答の点で通常限定されることは、明らかであろう。
キャリアタンパク質にカップリングさせたハプテンの場合には、強力なアジュバントが必要とされることが広く認識されている。例えば、視床下部ペプチドホルモンLHRHは10アミノ酸ペプチドであって、それのみでは非免疫原性である。キャリアタンパク質、例えばジフテリアトキソイドまたはオボアルブミンへのLHRHのカップリングは、LHRHハプテンに対する免疫応答に必要なT細胞の介助をもたらす。他の大きな分子量および複合抗原の場合には、T細胞の介助はその分子自体内のT細胞エピトープにより通常もたらされる。
【0005】
アジュバントとしてDEAE‐デキストランの使用は、科学文献でよく記載されている。Wittmanら(1975)はブタで口蹄疫ウイルス(FMDV)ワクチンをアジュバントするためにDEAE‐デキストランを用いて、それが非常に高レベルの免疫を誘導することを示した。Houstonら(1976)はウマウイルスでサルを予防接種するために1〜5mg/kg体重の用量率でこのアジュバントを用い、それが高力価の抗体を誘導することを示した。Behおよびlascelles(1985)もオボアルブミンでヒツジを免疫するためにこのアジュバントを用い、他の可溶性アジュバントよりも高い抗体力価を誘導することを示した。これらいずれの研究でもDEAE‐デキストランの部位反応性を考慮していなかったが、彼らはこれらの動物種でDEAE‐デキストランの有意なアジュバント効果については記載していた。DEAE‐デキストランはキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)抗原と一緒にシカで用いられた(Hibma and Griffin,1992)。この研究では、DEAE‐デキストランはフロイントアジュバントまたはミョウバンよりも大きなIgG応答をKLHに対して誘導した。
【0006】
免疫原に対する抗体力価を高めうる能力を有していることから、サポニンのアジュバント性が長年知られていた。ここで用いられている“サポニン”という用語は、ステロイドまたはトリテルペノイド構造の疎水性領域と共に、親水性領域(通常いくつかの糖鎖)から構成されている、植物源の界面活性グリコシドのグループに関する。サポニンは様々な供給源から入手しうるが、有用なアジュバント活性を有するサポニンは南米木Quillaja saponaria(Molina)から得ていた。この供給源からのサポニンは“Quil A”と称される“同種”フラクションを単離するために用いられた(Dalsgaad,1974)。
【0007】
用量‐部位反応性は、ワクチン製剤としてQuil Aの動物およびヒト双方への使用上、大きな関心事である。Quil Aのこの毒性を避けるための1つの手法は、免疫賦活複合体(Immuno Stimulating COMplexesの略号、IscomsTMとして知られている)の使用である。これは、主に、Quil Aが免疫賦活複合体中に組み込まれたとき低い反応性となり、複合体でコレステロールと一緒にすると、細胞膜でコレステロールと結合する能力、ひいては細胞溶解効果を減少させるからである。加えて、同レベルのアジュバント効果を生じさせるために、より少ない量のQuil Aで済むからである。
Quil
Aサポニンの免疫調節性、およびそれらが免疫賦活複合体中に組み込まれたときにこれらサポニンから派生する追加効果は、様々な文献、例えばCox and Coulter,1992;Dalsgaard,1974;Moreinらのオーストラリア特許明細書558258、589915、590904および632067で記載されている。
【0008】
視床下部ホルモン黄体形成ホルモン放出ホルモン(ここでは“LHRH”と称されるが、GnRHとしても知られている)に対するワクチン接種は、1970年代初期から生殖をコントロールする免疫学的方法として証明されていた(Fraser 1975,Jeffcoate et al,1982)。LHRHに対する免疫応答の誘導は、性腺‐雄性で睾丸および雌性で卵巣の発育および維持に必要なホルモンLHおよびFSHの、下垂体前葉からの放出を妨げる。こうしたLHおよびFSHレベルの減少は生殖機能の喪失をもたらす。
【0009】
去勢(または中性化)手術が、獣医学および家畜動物の取扱い上で最も広く行われている外科処置である。相当な割合の両性の家畜動物およびコンパニオンアニマルが、性的な成熟に伴う様々な望ましくない特徴を妨げるために、ルーチンで外科的に去勢されている。その特質には攻撃性、遊走性、性的行動、体調の喪失、生殖器の腫瘍および妊娠がある。
イヌ、ネコおよびウマのようなコンパニオンアニマル、並びに家畜、特に雄性ブタ、雄性および雌性ウシで、LHRH接合体ワクチンの予防接種による交尾行動のコントロールは、稔性のコントロールと同様に重要な目標として扱われてきた。
同様に、ヒトおよび動物双方の性腺および他の生殖器の障害、例えば睾丸癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、前立腺肥大または子宮内膜症の抑制および治療も重要である。
【0010】
国際特許出願PCT/AU98/00532では、その内容が参考のためここに組み込まれるが、LHRHがジフテリアトキソイドおよびイオン性多糖、例えばDEAE‐デキストランとの接合体として投与されたとき、LHRHに対する予防接種の効力が有意に改善されることを開示している。しかしながら、その効力が改善されても、その処方物は投与部位で目に見える腫脹のような反応原性をを誘導し、これは長く続くことがある。一部の場合、例えばその処方物が家庭ペット(例えばイヌ)または消費用家畜に予防接種するために用いられる場合には、この処方物を利用したLHRHに対する予防接種後におけるこのような反応原性の発生は許容されない。したがって、効力および低い反応原性の双方を示すLHRHワクチンを開発する必要性がある。
【0011】
本発明に至る研究の一面において、ジフテリアトキソイドおよびイオン性多糖に接合されたLHRHの反応原性が、ある割合のイオン性多糖成分がサポニン成分、特に免疫賦活複合体で置き換えられたときに減少しうることがわかった。
【発明の要旨】
【0012】
この明細書および請求の範囲の全体を通して、別記されないかぎり、“含む”という用語、並びに“含有する”および“からなる”というバリエーションは、記載された整数もしくはステップまたは整数もしくはステップのグループを包含した意味であるが、いずれか他の整数もしくはステップまたは整数もしくはステップのグループを除外するわけではないと理解されるであろう。
明細書で言及されたヌクレオチドおよびアミノ酸配列に関する配列アイデンティティーナンバー(SEQ
ID No.)は文献目録後に掲載されている。SEQ
ID NO.の概要は例の後に掲載されている。
【0013】
本発明の一面は、イオン性高分子成分およびサポニン成分、特に免疫賦活複合体成分からなるアジュバント組成物に関する。
このようなアジュバント組成物は、低反応原性と共に高アジュバント活性を有することがわかった。他の公知アジュバントにはないこの組合せアジュバントの利点は:a)ある範囲の抗原に対して非常に強い免疫反応を発揮させる能力、およびb)同時に非常に低い反応原性または反応性を有することc)反応原性が、その組合せにおける、高反応原性成分のものよりも低いこと、およびd)アジュバント効果または免疫賦活効果がいずれのアジュバント成分単独のものよりも大きいことを含めて、性質の特異な組合せを有していることである。
【0014】
更にもう1つの面では、イオン性多糖成分およびサポニン成分、特に免疫賦活複合体成分からなるアジュバント組成物が提供される。
更にもう1つの面では、イオン性多糖成分およびサポニン成分、特に無タンパク質免疫賦活複合体成分からなるアジュバント組成物が提供される。
本発明の別な面では、アジュバント組成物がイオン性高分子成分およびサポニン成分、特に免疫賦活複合体成分からなる、免疫原およびアジュバント組成物を含んだ免疫原性組成物が提供される。
本発明のもう1つの別な面では、アジュバント組成物がイオン性多糖成分およびサポニン成分、特に免疫賦活複合体成分からなる、免疫原およびアジュバント組成物を含んだ免疫原性組成物が提供される。
本発明の更にもう1つの別な面では、アジュバント組成物がイオン性多糖成分およびサポニン成分、特に無タンパク質免疫賦活複合体成分からなる、免疫原およびアジュバント組成物を含んだ免疫原性組成物が提供される。
【0015】
本発明の更にもう1つの別な面では、1種以上の製薬上許容されるキャリアおよび/または希釈物と一緒に、広く前記されたような免疫原性組成物を含んだ、医薬組成物が提供される。
本発明のもう1つの面は、有効な免疫応答を動物で働かせる方法に関し、その方法は広く前記されたような免疫原性組成物の有効量を上記動物に投与することからなる。
更にもう1つの面において、本発明は、動物で有効な免疫応答を働かせるための組成物の製造に関する、広く前記されたようなアジュバント組成物の使用を提供する。
【発明の具体的な説明】
【0016】
本発明は、国際特許出願PCT/AU98/00532で開示されたようにジフテリアトキソイドへ接合されたLHRHを含むワクチンのイオン性多糖成分が免疫賦活複合体と組み合わされたときに、免疫原性組成物の反応原性が効力の有意な減少なしに減る、という発見に一部基づいている。
このように、本発明の1つの好ましい面は、LHRHに対して有効な免疫を働かせる上で有用な免疫原性組成物に関し、その組成物はLHRH‐ジフテリアトキソイド接合体およびアジュバント組成物からなり、アジュバント組成物はイオン性多糖または他のイオン性高分子成分およびサポニン成分、特に免疫賦活複合体成分からなる。
【0017】
例えばワクチンの投与部位で、免疫原性製剤に対する反応原性の発現は、触診により、または重度であれば、目、発赤および膿瘍形成により検出しうる、腫脹のような炎症の症状を含めたいくつかの症状の発生を参考にして通常判断される。反応原性の程度は、これら症状のうち1以上の発生、期間および重篤度を参考にして通常調べられる。例えば、目に見える膿瘍形成をもたらす反応原性は、腫脹のみを伴う反応原性よりもかなり重い。更に、目に見える腫脹は、触診のみにより検出しうる腫脹よりも重篤な反応原性の表れである。本発明によると、“低い”反応原性とは、検出しえない症状または目に見えない症状を生じる反応原性として理解すべきである。例えば、触診のみにより検出しうる腫脹が低い反応原性の例である。本発明では、いかなる反応原性も全くない、という程度で理解すべきである。本発明の関係では、低反応原性とはほんの短い期間で目に見える腫脹を含めて理解してもよい。
【0018】
“イオン性高分子”または“イオン性多糖”とは、いずれか正または負に荷電した多糖または他の高分子、またはその誘導体もしくは化学的相当物に関する、と理解すべきである。“誘導体”および“化学的相当物”とは、以下で記載されるような意味を有している、と理解すべきである。
【0019】
多糖または他の高分子は化学的に修飾して荷電基を導入してもよく、こうするとそれは高度に荷電するようになる。固体または溶液状態のとき、全体の正味電荷がゼロであるかまたはゼロに近くなるように、荷電基は対イオンとペアにされる。多糖は、例えば濾過による滅菌に役立つように、いくつかのこのような分子、好ましくは可溶性分子のうちいずれか1つから選択されるが、不溶性物質でも、溶解性に依存しない照射、湿式もしくは乾式加熱または他のプロセスにより滅菌しうるため、多糖は可溶性多糖に限定されない。好ましくは、多糖は可溶性デキストランを形成するためにα1‐6結合されたグルコースのポリマーであるが、α1‐3結合されたデキストランの不溶形も用いてよい。
【0020】
多糖または他の高分子は、5.0〜8.0のpH値で強い正(+ve)の荷電基を供するように修飾してもよい。修飾基はいくつかの+ve荷電基のうちいずれか1つから選択しうるが、好ましくはジエチルアミノエチル(DEAE)基である。代わりの+ve荷電多糖はQAE‐デキストランである。DEAE‐デキストランとして知られる修飾デキストランは、50,000〜5×10Da範囲の分子サイズ、好ましくは500,000〜1.5×10daの分子量範囲を有する。デキストランのような大きな高分子はサイズが雑多であり、典型的には95%の物質が約4倍のサイズ範囲内にあることが知られている。修飾のレベルは高く、平均して三番目毎のグルコース残基がDEAE基で置換される。このような物質は市販されているか、そうでなければデキストランから製造してよい。一方、デキストランまたは他の多糖は、例えば硫酸基での修飾により、負に荷電させてもよい。好ましくは、本発明のアジュバント組成物のイオン性多糖成分はDEAE‐デキストラン成分である。
【0021】
サポニン成分には、例えばQuil Aまたは他の精製もしくは半精製サポニン調製物(サポニンフラクションの混合物を含む)がある。好ましくは、サポニン成分は免疫賦活複合体の形で供される。
本発明によるアジュバント組成物中に配合される免疫賦活複合体(またはIscomsTM)は、Cox and Coulter,1992およびMoreinらのオーストラリア特許明細書558258、589915、590904および632067の文献(それらの開示は参考のためここに組み込まれる)で詳細に記載されている当業者に周知の技術により製造してもよい。
【0022】
簡単にいうと、免疫賦活複合体は典型的には径が30〜40nmの小さなケージ様構造をとるが、それに限定されない。最適量のタンパク質との免疫賦活複合体の最終処方は、5:1:1:1の比率で、Quil A、コレステロール、ホスファチジルコリンおよびタンパク質のモル比からなる。免疫賦活複合体は、例えば5〜10重量%のQuil A、1〜5%のコレステロールおよびリン脂質、および残部のタンパク質を含有している。ペプチドも免疫賦活複合体中へ直接組み込んでも、または免疫賦活複合体中へのタンパク質の組込み後にキャリアタンパク質(例えば、ジフテリアトキソイドまたはインフルエンザエンベロープタンパク質)へ化学的カップリングにより組み込んでよい。“免疫賦活複合体”とは、その誘導体、化学的相当物およびアナログも含める、と理解すべきである。例えば、免疫賦活複合体の誘導体には、例えば、Quil A、コレステロール、ホスファチジルコリンまたはタンパク質のうち1種以上が欠損しているか、あるいはQuil A、コレステロール、ホスファチジルコリンまたはタンパク質に加えてある成分がその複合体に付加されている、免疫賦活複合体を含む。免疫賦活複合体の機能性相当物として、その4成分のうち1種以上が機能的相当物で置き換えられた免疫賦活複合体もある。本発明の好ましい態様において、免疫賦活複合体のタンパク質成分は欠損している。このタイプの免疫賦活複合体はここでは“無タンパク質免疫賦活複合体”(またはIscomatrixTM)と称される。
【0023】
本発明のアジュバント組成物中における免疫賦活複合体は、イオン性多糖成分と反対に荷電させるべきである。そのため、正荷電DEAE‐デキストランとの好ましい組合せでは、免疫賦活複合体は負に荷電させる。この望ましい特徴は、構造中への荷電サポニンの配合により獲得してもよい。免疫賦活複合体を負荷電多糖成分と組み合わせることによる有効なアジュバント組成物の形成では、免疫賦活複合体が正に荷電されることを必要とするであろう。別な形では、正荷電免疫賦活複合体が負荷電イオン性多糖成分と組み合わされる。
【0024】
可溶性タンパク質抗原、キャリアタンパク質に接合されたペプチドハプテンおよび抗原としての全ウイルスを含めた、広範囲の抗原または他の免疫原が、本発明の新規アジュバント組成物と組み合わされる。加えて、アジュバントおよびそれらの活性、他の抗原、例えば組換えタンパク質、抗原性多糖、抗原性脂質、ペプチドおよび他の粒状抗原に関する以前の知識も、このアジュバント組成物で適切に用いられる。
【0025】
最終処方物は、選択された抗原に対する免疫応答を高めるために用いられる。抗原担持免疫賦活複合体または無タンパク質免疫賦活複合体の双方が、アジュバント組成物を形成するために用いうる。組合せアジュバントは、抗原を最初に免疫賦活複合体中へ組み込んで形成してもよい。別な形として、抗原はアジュバントの処方後に組合せアジュバントへ加えてもよい。一形態のアジュバントでも広範囲の抗原に用いてよいため、これは実験的にも商業的にもワクチンの製造上多くの利点を有している。
【0026】
DEAE‐デキストランは非常に強いアジュバントであると当業界では知られているが、許容しえない反応原性もしばしば有している。免疫賦活複合体もそれ自体で許容しうるアジュバントとして知られているが、DEAE‐デキストランと比較して免疫賦活活性の程度がかなり少ない。更に詳しくは、新規なアジュバントはDEAE‐デキストランおよび免疫賦活複合体の慎重にコントロールされた組合せであって、そのコントロールされた比率は、双方の成分、特に強力な方のアジュバントDEAE‐デキストランの、但し免疫賦活複合体についても、アジュバント活性を維持するようなものであるが、その組合せはDEAE‐デキストランの望ましくない反応原性が中和されるようなものにする。当業界では、アジュバントの組合せは個別成分の場合よりも反応原性であると予想されている。油エマルジョンと組み合わされたDEAE‐デキストランの場合もそうである(Hodgkinson et al.,1990)。
【0027】
ある範囲の動物種での広い実験では、DEAE‐デキストランのようなイオン性多糖の質量比が、免疫賦活複合体の場合より多いことが、低い反応原性の組合せアジュバントを得る上で重要であることを示した。DEAE‐デキストランのレベルを1/10に減らすと、弱い活性で反応原性も低い、組合せアジュバントをもたらすであろう。例で示されているように、例えば208の質量比で、免疫賦活複合体の比を低くして高レベルのDEAE‐デキストランを用いると、やや低い免疫賦活活性で、許容しえないほど高い反応原性の組合せアジュバントをもたらす。
ここで言及された質量比は、デキストランが約三番目毎のグルコース残基で置換されたDEAE‐デキストラン、および5:1:1のQuil A:コレステロール:リン脂質比を有する無タンパク質免疫賦活複合体からなる、好ましいアジュバント組成物に関するものである。
【0028】
50〜300範囲の質量比を有する処方物が有効とわかったが、好ましい範囲は100〜140である。好ましい処方物は、DEAE‐デキストラン対免疫賦活複合体の質量比125のものである。これは、イヌまたはヒトのような小型または感受性の高い動物で使用の場合DEAE‐デキストラン約10mgおよび免疫賦活複合体約80μg、あるいは同様にウマ、ウシ、ヒツジおよびブタのような大型動物で使用の場合DEAE‐デキストラン約100mgおよび免疫賦活複合体約800μgまたはDEAE‐デキストラン約150mgおよび免疫賦活複合体約500μgを含有したワクチンで例示される。
【0029】
“有効”免疫応答とは、望ましい予防または治療効果を直接または間接的にもたらす免疫応答として理解すべきである。免疫原がLHRH‐ジフテリア毒素接合体からなる場合には、このような応答は処置された動物の少くとも90%、好ましくは少くとも95%で生殖機能の減少または完全阻止を誘導する(即ち、生殖器活性のうちいずれか1種以上の亢進または機能化を減少または防止するか、あるいは生殖または生殖活性のうちいずれか1種以上の面が減少するように動物のホルモンレベルを調節する)。循環抗体の存在のみでは生殖機能を阻止しうる循環抗体の能力を必ずしも発揮しえないため、効力はあくまでも機能性の尺度にすぎず、抗LHRH抗体力価のみでは規定しえない、と理解すべきである。“生殖器”という用語は、雄性および雌性性腺、および副生殖器にもおよぶ、最広義で理解すべきである。“副生殖器”とは最広義で理解すべきであり、例えば前立腺、乳房、精嚢および子宮を含む。
【0030】
以下で“LHRH”とは、すべての形のLHRHおよびその誘導体、相当物およびアナログを含めて読み取るべきである。
“誘導体、相当物およびアナログ”とは、融合タンパク質をはじめ、天然、合成または組換え源からの断片、一部、部分、化学的相当物、変異体、ホモログおよびアナログを含めて理解すべきである。例えば、LHRHについて、そのLHRHには、実質的にSEQ
ID NO:1、SEQ
ID NO:2、SEQ
ID NO:3またはSEQ
ID NO:4で示されるようなアミノ酸の配列からなるか、あるいはそれと少くとも50%の類似性を有したペプチドを含める。SEQ
ID NO:1、2および3で規定される分子はヒト由来であって、すべての哺乳動物で保存されている。SEQ
ID NO:4はSEQ
ID NO:2の誘導体であって、スペーサーがN末端に導入されている。LHRHの化学的相当物はLHRHの機能性アナログとして作用しうる。化学的相当物は必ずしもLHRHから誘導しなくてよいが、ある類似性を有している。一方、化学的相当物はLHRHのある生理化学的性質を模倣するように特別にデザインしてもよい。化学的相当物は化学的に合成しても、または例えば天然物スクリーニングで検出してもよい。
ここで考えられるLHRHのホモログには、鳥、魚、爬虫類および無脊椎動物を含めた、異なる門に由来するLHRHがあるが、それらに限定されない。
【0031】
“誘導体”はアミノ酸の挿入、欠損または置換から誘導してもよい。アミノ酸挿入誘導体には、アミノおよび/またはカルボキシル末端融合物、並びに単一または複数アミノ酸の配列内挿入物がある。挿入アミノ酸配列変種とは、1以上のアミノ酸または非天然アミノ酸残基がタンパク質の既定部位中に導入されたものをいうが、ランダム挿入も得られる産物を適切にスクリーニングすれば可能である。欠損変種は配列から1以上のアミノ酸の除去により特徴づけられる。置換アミノ酸配列変種とは、配列中で少くとも1つの残基が除去されて、異なる天然または非天然残基がその箇所に挿入されたものをいう。典型的な置換は表1に従い行われるものである:

表 1
アミノ酸置換に適した残基

元の残基 例示置換
Ala
Ser
*Arg
Lys
Asn
Gln;His
Asp
Glu
Cys
Ser
Gln
Asn
*Glu
Ala
*Gly
Pro
*His
Asn;Gln
Ile
Leu;Val
*Leu
Ile;Val
Lys
Arg;Gln;Glu
Met
Leu;Ile
Phe
Met;Leu;Tyr
*Ser
Thr
Thr
Ser
*Trp
Tyr
*Tyr
Trp;Phe
Val
Ile;Leu
注記:アステリスクで示されたアミノ酸残基は、哺乳動物LHRH配列に存在する残基を示している。
非天然アミノ酸の例には上記アミノ酸のD異性体があるが、それに限定されない。アミノ酸配列への“付加”には、他のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質との融合を含む。
ジフテリアトキソイドとは、すべての形のジフテリアトキソイドおよびその誘導体に関すると理解すべきである。“誘導体”という用語は前記と同様の意味を有している。誘導体には、例えば、ジフテリアトキソイドT細胞エピトープまたは分離してそのT細胞エピトープを含んだ分子がある。
【0032】
好ましくは、上記のLHRHは少くとも5つのアミノ酸のLHRH
C末端断片からなる。更に好ましくは、上記のLHRHは、全長LHRH、またはSEQ
ID NO:1で実質的に示されるようなアミノ酸配列からなる“LHRH1‐10形”である。更に一層好ましくは、上記のLHRHはSEQ
ID NO:2で実質的に示されるようなアミノ酸配列からなり、そのアミノ酸配列のカルボキシル末端はアミド化されている。その好ましいLHRHは“LHRH2‐10形”とここでは称される。
【0033】
このように、1つの好ましい態様では、LHRH2‐10形‐ジフテリアトキソイド接合体およびアジュバント組成物(そのアジュバント組成物はイオン性多糖成分(好ましくはDEAE‐デキストラン成分)およびサポニン成分、特に免疫賦活複合体成分からなる)からなる、LHRHに対して有効な免疫応答を働かせる上で有用な組成物が提供される。
もう1つの態様では、LHRH2‐10形‐ジフテリアトキソイド接合体およびアジュバント組成物(そのアジュバント組成物はイオン性多糖成分(好ましくはDEAE‐デキストラン成分)およびサポニン成分、特に無タンパク質免疫賦活複合体成分からなる)からなる、LHRHに対して有効な免疫応答を働かせる上で有用な組成物が提供される。
【0034】
本発明のこの態様をいずれか1つの方法に限定するつもりはないが、LHRHペプチドはFmoc化学により合成して、得られたペプチドをキャリアタンパク質ジフテリアトキソイドへカップリングしてもよい。そのカップリングはLaddら,1990またはBonneauら,1994で記載されたように行って、ペプチドおよびキャリアタンパク質で得られた接合体(ここでは“ペプチド‐接合体”と称される)が未結合ペプチドおよび接合体の他の副産物を含まないようにプロセッシングされる。このようなプロセッシングは慣用的な透析または限外濾過により行える。得られたペプチド‐接合体はイオン性多糖アジュバントへ吸着される。
【0035】
本発明をいずれか1つの理論または作用様式に限定することなく、本発明のLHRH製剤の有効量の投与は、先行技術で記載されたLHRH‐キャリア‐アジュバント組成物よりも、LHRHに対して有意に有効な免疫応答を誘導する。その改善された効力は、免疫原性LHRH組成物が特にキャリアジフテリアトキソイドおよびイオン性多糖アジュバントを含むときに観察される。イオン性多糖成分の一部を免疫原性複合体成分で置き換えることにより、LHRH‐接合体製剤の反応原性が減少しながら、その効力が維持される。
本発明による使用に適したLHRH‐接合体製剤では、好ましくは、イオン性多糖(例えばDEAE‐デキストラン)5〜500mg/免疫賦活複合体(例えばIscomatrixTM)4〜400μg中にLHRH‐ジフテリアトキソイド接合体5〜500μgを含んでいる。
【0036】
本発明による医薬組成物は、ワクチン業界で現在知られているいずれかの経路による注射、例えば皮下、筋肉内、皮内注射または経口投与により、または粘膜適用により、溶液またはゲル、または他の適切な処方での直接適用で、または鼻もしくは気道表面へのエアゾール投与で投与される。好ましくは、処方物は皮下または筋肉内注射により投与される。
処方物は、フリーズドライまたは凍結乾燥により、あるいはスプレードライまたは他の形の乾燥により凍結または乾燥された、固体として貯蔵される。
【0037】
注射用に適した剤形には、無菌水溶液(水溶性の場合)または分散液、および無菌注射用溶液または分散液の即席製剤向け無菌粉末がある。それは製造および貯蔵条件下で安定でなければならず、細菌および真菌のような微生物の汚染作用から防御されねばならない。キャリアには、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、および植物油を含めた、溶媒または分散媒体がある。適正な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用、分散物の場合には所要粒径の維持および界面活性剤の使用により維持しうる。微生物の作用の阻止は、様々な抗菌および抗真菌剤、例えばパラベン類、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどにより行える。多くの場合に、等張剤、例えば糖または塩化ナトリウムのような塩を含有させることが好ましい。注射用組成物の長期吸収または遅延放出は、吸収を遅らせる剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に用いて行える。
【0038】
無菌注射液は、先に列挙された様々な他の成分と共に適切な溶媒中で活性化合物を必要量で配合して、必要ならば、その後で濾過滅菌することにより製造される。通常、分散液は、ベースの分散媒体および先に列挙されたもので必要な他の成分を含有した無菌ビヒクル中に、様々な滅菌活性成分を配合することにより製造される。無菌注射液の製造向け無菌粉末の場合には、好ましい製造方法は真空乾燥、フリーズドライ技術およびスプレードライ技術であって、先に無菌濾過された溶液から活性成分および望ましい追加成分の粉末を得る。
【0039】
活性成分が適切に保護されているとき、それらは例えば不活性希釈物または同化性食用キャリアと共に経口投与しても、あるいはそれらは硬または軟殻ゼラチンカプセルに封入し、錠剤に圧縮し、または食物と直接混ぜてもよい。経口投与の場合、活性化合物は賦形剤と配合して、摂取用錠剤、バッカル錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハースなどの形態で用いられる。組成物および製剤のパーセンテージはもちろん変更してもよく、便宜的に単位剤形の約5〜約80重量%である。このような有用な組成物中における活性化合物の量は、適切な用量が得られるような量である。
【0040】
錠剤、トローチ、ピル、カプセルなどは次のような成分:ガム、アラビアガム、コーンスターチまたはゼラチンのような結合剤;リン酸二カルシウムのような賦形剤;コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸などのような崩壊剤;およびステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤も含有してよい。単位剤形がカプセルであるとき、それは上記タイプの物質に加えて液体キャリアも含有してよい。様々な他の物質が、コーティングとしてまたは単位剤形の物理的形態を変更するために存在してもよい。シロップまたはエリキシルは、活性化合物、保存剤としてメチルおよびプロピルパラベン、および色素を含有してもよい。もちろん、単位剤形を製造する上で用いられるいかなる物質も、用いられた量のとき、獣医学上純粋で、実質的に無毒性でなければならない。加えて、活性化合物は徐放製剤および処方物中に配合してもよい。
【0041】
製薬上許容されるキャリアおよび/または希釈物には、あらゆる溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤などがある。獣医学上活性な物質用にこのような媒体および剤の使用は当業界で周知である。慣用的な媒体または剤が活性成分と不適合でなければ、治療用組成物でその使用が考えられる。補充活性成分も組成物中に配合しうる。
【0042】
投与しやすさおよび用量の均一性のために、単位剤形で非経口組成物を処方することが、特に有利である。家畜への投与の場合、反復予防接種ガンへ接続されたマルチ用量容器を用いることが特に有利である。ここで用いられているような単位剤形とは、治療される対象向けの単位用量として適した、物理的に別個の単位に関する;各単位は必要な製薬キャリアと一緒にすると望ましい治療効果を発揮するように計算された既定量の活性物質を含有している。本発明の新規単位剤形の細部は、(a)活性物質の独特な特徴および達成すべき具体的治療効果、および(b)身体的健康がここで詳細に開示されたように損なわれた病状を有する生存対象で疾患の治療用にこのような活性物質を配合する上で当業界に固有の制限により定められ、それらに直接依存している。
【0043】
主活性成分は、前記のような単位剤形で、適切な製薬上許容されるキャリアと共に、有効量で、便利で有効な投与用に配合される。単位剤形は、例えば、0.5〜約2000μg範囲の量で主活性化合物を含有することができる。割合で表示されたとき、活性化合物はキャリアml当たり約0.5〜約2000μgで通常存在する。補充活性成分を含有する組成物の場合、投与量は上記成分の常用量および投与方式を参考にして決められる。
【0044】
“動物”とは、霊長類(例えば、ヒト、サル)、家畜動物(例えば、ヒツジ、ウシ、ウマ、ロバ、ヤギ、ブタ)、実験試験動物(例えば、ラット、モルモット、ウサギ、ハムスター)、コンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコ)、捕獲野生動物(例えば、エミュー、カンガルー、シカ、キツネ)、鳥類(例えば、ニワトリ、カモ、チャボ、キジ、エミュー、ダチョウ)、爬虫類(例えば、トカゲ、ヘビ、カエル)および魚(例えば、マス、サケ、マグロ)を含めたすべての動物に関すると理解すべきである。上記の動物は雄性でもまたは雌性でもよい。
【0045】
本発明のこれ以上の特徴は下記例で更に詳しく記載されている。しかしながら、この詳細な記載は本発明を例示する目的で単に含まれていることを理解すべきである。上記のような本発明の広い記載に対する制限としては、とにかく理解すべきでない。
【0046】
例1
LHRH接合体調製物の製造
LHRH接合体は、キャリアタンパク質にカップリングされた合成2‐10形の黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)ペプチドをベースにしている。そのペプチド自体は小さすぎて抗原性がないため、そのペプチドがハプテンとして作用して、免疫がLHRHに対して誘導されるためには、キャリアタンパク質にカップリングされることが必要である。キャリアタンパク質はジフテリア‐トキソイドである。
そのペプチドをFmoc化学により合成し、得られた2‐10形LHRHペプチドをジフテリアトキソイドにカップリングさせる。カップリングはLaddら,1990またはBonneauら,1994で記載されたように行い、ペプチドおよびジフテリアトキソイドで得られた接合体は未結合ペプチドおよび接合体の他の副産物を含まないようにプロセッシングしてもよい。このようなプロセッシングは慣用的な透析または限外濾過により行える。
得られたLHRH‐キャリアタンパク質調製物は、アジュバントと一緒のまたはその中への処方による投与用の組成物を製造するために用いてよい。活性成分およびアジュバントのレベルは、標的とされる種および反応原性の欠如(即ち、組織適合性)に一部依存しており、要求される免疫応答の望ましいレベルおよび期間を得られるように選択される。
【0047】
例2
A.無タンパク質免疫賦活複合体(IscomatrixTM)の製造

20%Mega10洗剤中Quil A(Superfos,Denmark)溶液(無菌)およびジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)/コレステロール溶液を、Quil A:DPPC:コレステロールについて5:1:1(重量)の出発割合をもたらすように計算された量で、無菌温度制御反応容器中GMP条件下で無菌的に混合する。反応後に、調製物を限外濾過して、未組込み出発物質および遊離Mega10洗剤を除去する。IscomatrixTMとして知られるこの調製物は、本質的に無タンパク質免疫賦活複合体粒子からなる前形成アジュバントである。
【0048】
B.DEAE‐デキストランおよびIscomatrixTMからなる組合せアジュバントの製造

DEAE‐デキストラン(Pharmacia、MW範囲500,000〜1,500,000)は、最初に水に溶解し、pHをNaOHで7.5に調整し、容量を調整して所要濃度にし、その後濾過滅菌することにより、20%w/v溶液として単に調製する。
次いでIscomatrixTMおよびDEAE‐デキストラン+抗原を適切な比率で混ぜ、その後希釈物を加えて最終容量に調整し、ワクチンのすべての成分について正しい濃度にする。
適量のDEAE‐デキストランを、適切な攪拌装置を備えた無菌混合容器に最初に加える。2L以下の容量の場合には、磁気攪拌棒が適切である。次いで適量のIscomatrixTM(〜2mg/ml)、その後適量の抗原、次いで希釈物を加えて、物質を正しい容量にする。最終処方物全体を適切な等張度にすることで、高張度または生理的オスモル濃度よりも高いことに起因する注射時の痛みを避けられるように、選択される希釈物は低イオン強度のものである。注射に起因するひどい痛みは高度に望ましくなく、処方全体を不適切にすることから、これはワクチン処方業界で特に重要である。イヌ用ワクチンに適することがわかった希釈物は注射用無菌水、即ち無発熱物質蒸留水である。
【0049】
例3
A.イヌ試験用ワクチンの製造
a.DEAE‐デキストランアジュバント単独

この試みで試験するために必要な処方物は、無菌リン酸緩衝液中に、保存剤としてチメロサール(0.01%)を加えた、DEAE‐デキストラン50mg、LHRH‐ジフテリアトキソイド接合体200μgを含有する1ml容量であった。
このワクチン用のアジュバントは、DEAE‐デキストランを蒸留水に溶解して、水酸化ナトリウムでpHを7.5に調整することにより調製する。DEAE‐デキストランの最終濃度をpH調整後に蒸留水の添加で20%w/vに調整する。次いで溶液を濾過滅菌する。LHRHペプチド(2‐10LHRH)を例1で記載されたようにジフテリアトキソイドへ接合させる。その接合体調製物を濾過滅菌し、タンパク質濃度を標準法、例えばBCAタンパク質アッセイで調べる。この研究で用いられる調製物は5.7mgタンパク質/mlであった。
【0050】
b.IscomatrixTMアジュバント単独

この試みで試験するために必要な処方物は、無菌リン酸緩衝液中に、保存剤としてチメロサール(0.01%)を加えた、IscomatrixTM60μg、LHRH‐ジフテリアトキソイド接合体200μgを含有する1ml容量であった。
このワクチン用のアジュバントIscomatrixTMは、コレステロール、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)および洗剤としてMega10と一緒に、サポニン誘導体としてQuil Aを用いて、例2Aで記載されたように調製する。そのプロセスは、添加前にすべての成分を滅菌して、無菌条件下で行う。Quil A濃度は2.24mg/mlとわかった。
LHRHペプチド(2‐10LHRH)を例1で記載されたようにジフテリアトキソイドへ接合させる。接合体調製物を濾過滅菌し、タンパク質濃度を標準法、例えばBCAタンパク質アッセイで調べる。この研究で用いられる調製物は5.7mgタンパク質/mlであった。
【0051】
c.IscomatrixTM+DEAE‐デキストラン
この試みで試験するために必要な処方物は、無菌リン酸緩衝液中に、保存剤としてチメロサール(0.01%)を加えた、IscomatrixTM60μg+DEAE‐デキストラン10mg、LHRH‐ジフテリアトキソイド接合体200μgを含有する1ml容量であった。
このワクチン用のアジュバントは、適切な割合のIscomatrixTMおよびDEAE‐デキストランを混合して得られる、複合アジュバントである。IscomatrixTMは例2で記載されたように製造する。DEAE‐デキストランは上記のように製造する。
LHRHペプチド(2‐10LHRH)を例1で記載されたようにジフテリアトキソイドへ接合させる。接合体調製物を濾過滅菌し、タンパク質濃度を標準法、例えばBCAタンパク質アッセイで調べる。この研究で用いられる調製物は4.9mgタンパク質/mlであった。
【0052】
B.イヌの予防接種
すべての試みを同一に行った。
6〜12月齢で両性のイヌを、自由に屋外へ出られる屋内オリで飼育した。それらに市販のバランスのとれた食餌を与えた。
イヌ(7匹のグループ)に1ml用量のワクチンで0および4週目に首筋で皮下予防接種した。すべてのワクチンは23ゲージ針装備2mlシリンジから投与した。
イヌから規則的間隔で採血して、LHRHに対する抗体レベルをモニターした。ワクチンの反応原性は、予防接種後にイヌの綿密な試験により調べた。
試験はワクチン部位および周辺領域の視覚検査および丁寧な手触診によるものであった。
部位反応は、注射部位および周辺領域の綿密な視覚試験および身体触診により評点した。反応は次のように評点した:

0 目に見えるまたは検出しうる反応なし
1 触診で検出しうるのみの反応
2 触診せずに検出しうる目視反応
3 重度の膿瘍反応

【0053】
これらの結果は、DEAE‐デキストラン処方物がIscomatrixTM処方物またはIscomatrixTM+DEAE‐デキストラン処方物よりかなり大きな反応性であることを示している。DEAE‐デキストラン単独のとき、有意の反応(評点1以上)は少くとも2週間にわたり持続した。IscomatrixTM処方物のときは反応が検出されず、DEAE‐デキストラン+IscomatrixTM処方物では小さな反応が2/7イヌで1週間だけ持続した。
反応原性のより定量的な指標を示すために、部位反応の概算容量を幅×長さ×高さとしてcmで測定した。上記表から追加免疫後(PB)1および2週目の結果が以下で示されている。部位反応容量はIscomatrixTMワクチン処方物グループで示されていないが、それは部位反応が検出されなかったからである。

これらの結果は、反応の大きさで示されるように、反応原性の程度がDEAE‐デキストラン処方物単独の場合よりもIscomatrixTM+DEAE‐デキストラン処方物でかなり少ないことを示している。
【0054】
例4
DEAE‐デキストランおよびIscomatrixの比率を変えたイヌの予防接種

Beagle
foxhound雑種イヌ(8または13匹のグループ)を、DTへ接合された2‐10LHRHの処方物で予防接種した。活性成分をDEAE‐デキストラン単独、Iscomatrix単独または組合せアジュバントDEAE‐デキストラン+Iscomatrix中で処方した。
A)DEAE‐デキストランワクチン:各用量は、DEAE‐デキストラン10または50mgおよび2‐10LHRH‐DT接合体200μgを含有するように処方して、1mlの容量中に含有させた。
B)Iscomatrix:各用量は、Iscomatrix60または150μgおよび2‐10LHRH‐DT接合体200μgで1ml中に処方した。
C)組合せアジュバント:各用量は、2‐10LHRH‐DT接合体200μgと共に下記比率でDEAE‐デキストランおよびIscomatrixを含有するように処方して、1mlの容量中に含有させた。
組合せアジュバントは以下を含有していた:

1.DEAE‐デキストラン10mgおよびIscomatrix60μg‐10/60ワクチンと称される

2.DEAE‐デキストラン12.5mgおよびIscomatrix60μg‐12.5/60ワクチンと称される

3.DEAE‐デキストラン10mgおよびIscomatrix80μg‐10/80ワクチンと称される
予防接種スケジュール
これらの処方物は0および4週目に皮下注射でイヌに投与した。血液サンプルを2回目予防接種後2週目に採取し、LHRHに対する抗体についてアッセイした。
部位反応は1週間隔で注射部位および周辺組織の慎重な触診により調べた。得られた部位反応データは追加免疫予防接種後(PB)のものである。予防接種に対する反応はある状況下のとき予防接種の継続で増し、そのため追加免疫後の反応原性は一次予防接種後よりも厳密な試験とみなせる。
部位反応評点
部位反応は、下記スケールの評点で、綿密な検査および触診により評点する。
0 目に見えるまたは検出しうる反応なし
1 触診で検出しうるのみの反応
2 触診せずに検出しうる目視反応
3 重度の膿瘍反応

【0055】
部位反応容量
容量は触診で調べた部位反応の測定サイズから計算し、容量はmlで表示されている。この測定値は部位反応の重篤度の良い指標を与える。

【0056】
結 論

2‐10LHRHジフテリアトキソイド接合体を用いたイヌでのこれらデータは、DEAE‐デキストラン対Iscomatrixの比率を変えた組合せアジュバントが様々な程度の反応原性を有することを示している。様々な処方物の部位反応原性の比較では、デキストランと比較して、DEAE‐デキストラン12.5mg対Iscomatrix60μgの比率で処方された組合せアジュバントが同用量のDEAE‐デキストラン単独とせいぜい同程度の反応原性であることを示している。これは208の質量比である。
逆に、DEAE‐デキストラン10mgおよびIscomatrix80μgを含有した処方物はDEAE‐デキストラン単独または12.5/60処方物よりも有意に低い反応性を有している。この処方物は注射後のいかなる時点でも目に見える反応を示さず、反応容量の比較では、注射後のすべての時点で、10/80処方物では反応がかなり少なく、生じたわずかなものでも2週間後にイヌ13匹中3匹というのがピークであり、許容しうるものであって、期間が短いことを示している。これは125の質量比である。
【0057】
アジュバントの免疫賦活有効性は、発揮された抗体応答の程度および期間により判断される。追加免疫後8週目の抗体力価が、DEAE‐デキストランおよび組合せアジュバントについて以下で示されている。

【0058】
結 論

上記表の力価は、10/80ワクチン(質量比125)が組合せアジュバント12.5/60ワクチン(質量比208)またはDEAE‐デキストラン10mg単独アジュバントワクチンよりも強い免疫賦活剤であることを示している。
応答性が最低のイヌで最少力価を上昇させたという点で、10/80ワクチンの有効性が特に注目される。ワクチン効力は多くの場合に試験群のうち割合の少ない無効応答により減少するが、試験群の割合からみて最大有効応答によっては通常左右されない。
双方の組合せアジュバントワクチンとも、DEAE‐デキストラン単独処方物またはIscomatrixベースワクチンよりも有効である。組合せアジュバントの応答は相加効果よりも大きく、そのため2種成分は相乗的に作用していると判断される。125の質量比は低応答イヌを増やす上で有効である。
【0059】
例5
組合せアジュバントでウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)によるヒツジの予防接種
1.ウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)の増殖および不活化:
ウイルス抗原の増殖
オーストラリアで感染牛から単離されたBVDVウイルス2株TrangleおよびBegaを用いた。用いられた増殖培地は、非必須アミノ酸シングルストレンクスおよび3%重炭酸塩、2%HEPESおよび2%成熟牛血清を含有したEagles最少必須培地であった。
1×1700cmローラーボトルを0.1の感染多重度(MOI)でTrangle(AJ050)で接種した。そのボトルを37℃で5日間にわたりローリングしてインキュベートし、その後凍結した。1×1700cmローラーボトルを1.0のMOIでBega(WVSp3)で接種し、37℃で5日間にわたりローリングしてインキュベートし、その後凍結した。ローラーボトルを解凍し、抗原の内容を抗原特異的ELISAアッセイにより試べた。ワクチン処方物で用いられた調製物の特徴は次の通りである:
Trangle:E2(表面糖タンパク質)レベル=1/8
NS3(非構造タンパク質)レベル=1/8
Bega: E2レベル=1/8
NS3レベル=1/4
【0060】
不活化:
各ウイルス50mlを500mlボトル中に入れ、2.8%重炭酸ナトリウム50ml/L=5mlを加え、1M HEPES緩衝液20ml/L=2.1mlを加え、β‐プロピオラクトン(BPL)1ml/L=107μLを加える。
内容物を磁気スターラーを入れた新しい500mlボトルへ移し、2〜8℃で21時間攪拌した。不活化物質を37℃にし、更に3時間攪拌して、残留BPLを加水分解させた。
【0061】
2.ワクチン処方:

組合せアジュバント:各用量は不活化ウイルス2mlおよび組合せアジュバント1mlからなっていた。
バルクワクチンは次のように処方した:
不活化BegaおよびTrangie30ml
組合せアジュバント15ml(ml当たりDEAE‐デキストラン111mg
およびIscomatrix880μg、125の質量比に相当)
保存剤としてチメロサール450μL
IscomTMアジュバント:各用量は、2mlの全容量中で、双方のウイルス株 およびQuil A相当物としてIscomTM2mgからなっていた。
ワクチンは、攪拌および反転で混合してからバルクプラスチックピローパック中に分配し、2〜8℃で貯蔵した。
【0062】
予防接種スケジュール
双方のワクチンを下記のように投与した:

0日目:ヒツジに、組合せアジュバントワクチン各3mlまたはIscomTM ワクチン2mlで、首に皮下投与した
28日目:各動物に上記のように2回目のワクチン投与を行った
グループ:ヒツジ10匹をIscomTMアジュバントワクチンで予防接種した。
ヒツジ4匹を組合せアジュバントワクチンで予防接種した。
【0063】
部位反応
組合せアジュバント:ヒツジを一次および二次予防接種後に7日間隔で試験した。ヒツジ4匹中1匹は、一次予防接種後に、評点1の部位反応(目に見えないが、触診しうる小さな腫脹)を呈した。これは予防接種後2週間で消失した。
IscomTM:ヒツジを追加免疫後6日目に試験した。ヒツジ10匹中7匹は注射部位で大きな反応を呈した。
結論:組合せアジュバントは小さくてまれな部位反応を呈するだけであり、それが低レベルの反応原性を誘導することを示した。
【0064】
例6
組合せアジュバントでオボアルブミンによるマウスの予防接種
C57/Blk6マウス(n=3/グループ)に、下記で処方された鶏卵アルブミン(オボアルブミン、OVA)で皮下予防接種した:
1.DEAE‐デキストラン0.625mg
2.Iscomatrix5μg
3.DEAE‐デキストラン0.625mgおよびIscomatrix5μg。これは、質量比125の好ましい組合せアジュバントを含有したワクチンである。
上記ワクチンの各用量は100μL容量中にオボアルブミン12.5μgを含有しており、諸成分の容量および濃度を注射用無菌水で調整した。
マウスを1回だけ皮下予防接種して、血液サンプルを一次予防接種後14日目に安楽死させて採取した。こうして得られた血清をOVAに対するIgMおよびIgG応答についてアッセイした。
マウスを健康および全身反応原性の徴候についてモニターした。
【0065】
反応原性:
DEAE‐デキストランおよび組合せアジュバントグループのマウスは、一次予防接種後も14日間にわたり健全なままであった。
しかしながら、Iscomatrixで予防接種されたマウス3匹中2匹は予防接種から8日間で死んだ。マウスに対するIscomTM、サポニンおよびIscomatrixの毒性は周知である。組合せアジュバントグループのマウスは健全なままであり、組合せアジュバントが全身的に低い反応原性であることを示した。
【0066】
抗体力価
一次予防接種後14日目に得られた血清を、ELISAアッセイにより、オボアルブミンに対するIgGおよびIgM抗体力価についてアッセイした。
一次予防接種後14日目における、オボアルブミンに対するマウスIgM力価

全力価は1/200血清希釈度でELISA光学密度として示されている。

一次予防接種後14日目における、オボアルブミンに対するマウスIgG力価
全力価は1/200血清希釈度でELISA光学密度として示されている。

結 論

上記データは、試験されたすべてのアジュバントで可溶性抗原OVAによるマウスの免疫が、単回予防接種後14日間で、IgMおよびIgG双方のイソタイプで抗体応答を誘導したことを示している。
組合せアジュバントおよびDEAE‐デキストラン単独の処方は、Iscomatrixアジュバントワクチンよりも高い抗体応答を呈した。
当業者であれば、アジュバントの存在下で可溶性抗原によるマウスの単回予防接種は主にIgM応答を生じると予想したであろう。
組合せアジュバントは、単回予防接種から14日間で、OVAで予防接種されたマウスで強いIgG応答を誘導した。この結果は、DEAE‐デキストランアジュバントが初期IgMからIgG応答への切換え期間を短縮して、初期段階で予防接種に対するIgG応答を増加させるという、以前に公表された結論(Houston et al.,1976)を支持している。これも組合せアジュバントの特性であるらしい。
【0067】
例7
組合せアジュバントで2‐10LHRH‐DTによるウシの予防接種
ワクチンおよび予防接種スケジュール
未経産の若雌牛(雌性ウシ)に、2‐10LHRH接合体200μgおよび:
1.DEAE‐デキストラン(200mg/用量)‐ウシ50匹
2.組合せアジュバント(DEAE‐デキストラン150mgおよびIscomatrix500μg、質量比300)‐ウシ6匹
で処方されたワクチンを皮下注射で投与した。
すべてのワクチンを2ml用量として処方した。
ワクチンを0および4週目に投与し、追加免疫後2週目、即ち6週目に採血した。
部位反応を、半定量的な0〜3の評点で、追加免疫後2週目に評点した。
血液サンプルを追加免疫後2週目(6週目)に頚静脈または尾静脈の穿刺により採取した。血清は、それを凝固させ、遠心分離することにより、血液サンプルから得た。IgGイソタイプの血清力価をELISAによりLHRHに対してアッセイした。
【0068】
部位反応
部位反応評点を下記スケールでつけた:

0 目に見えるまたは検出しうる反応なし
1 触診で検出しうるのみの反応
2 触診せずに検出しうる目視反応
3 重度の膿瘍反応


結 論

アジュバントとしてDEAE‐デキストランの使用は、予防接種ウシ3匹で評点3の重篤な部位反応(膿瘍)を起こした。
組合せアジュバントはいずれのウシでも重篤な反応を誘導せず、評点3の障害は生じなかった。
【0069】
抗体力価:
追加免疫予防接種後2週目にLHRHに対する血清IgG力価をELISAにより調べた。
ワクチングループ グループ平均力価 力価の範囲
DEAE‐デキストラン 4181 100-16836
DEAE‐デキストラン+IscomatrixTM 15869 1841-51920
結 論

組合せアジュバントは、15,000より大きなグループ平均力価で、すべての予防接種ウシで高力価を誘導した。比較すると、アジュバントとしてDEAE‐デキストラン単独の使用は4181の低いグループ平均力価を示し、かなり低い応答範囲であった。
【0070】
当業者であれば、ここで記載された発明が具体的に記載されたもの以外のバリエーションおよび改変をうけることもある、とわかるであろう。本発明にはすべてのこのようなバリエーションおよび改変を含むことが、理解されるべきである。本発明には、この明細書で言及または記載されたすべてのステップ、特徴、組成物および化合物を個別的または包括的に、更には上記ステップまたは特徴のうちいずれか2以上のすべての組合せも包含している。
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<配列表>










【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)イオン性多糖成分および(B)免疫賦活複合体を含み、ここでイオン性多糖成分の免疫賦活複合体成分に対する質量比が50〜300の範囲である、アジュバント組成物。
【請求項2】
イオン性多糖がイオン性デキストランである、請求項1に記載のアジュバント組成物。
【請求項3】
イオン性デキストランがDEAE‐デキストランである、請求項2に記載のアジュバント組成物。
【請求項4】
免疫賦活複合体が無タンパク質免疫賦活複合体である、請求項1に記載のアジュバント組成物。
【請求項5】
免疫賦活複合体中のサポニン成分がQuil Aである、請求項1に記載のアジュバント組成物。
【請求項6】
イオン性多糖成分の免疫賦活複合体成分に対する質量比が100〜140の範囲である、請求項1に記載のアジュバント組成物。
【請求項7】
イオン性多糖成分10mgおよび免疫賦活複合体80μgを含み、ここで前記イオン性多糖成分がDEAE‐デキストランである、請求項1に記載のアジュバント組成物。
【請求項8】
イオン性多糖成分100mgおよび免疫賦活複合体800μgを含み、ここで前記イオン性多糖成分がDEAE‐デキストランである、請求項1に記載のアジュバント組成物。
【請求項9】
免疫原および請求項1に記載されたアジュバント組成物を含む、免疫原性組成物。
【請求項10】
免疫原がLHRHを含む、請求項に記載の免疫原性組成物。
【請求項11】
免疫原がLHRH‐ジフテリアトキソイド接合体を含む、請求項10に記載の免疫原性組成物。
【請求項12】
LHRH‐ジフテリアトキソイド接合体5〜500μg、イオン性多糖5〜500mgおよび免疫賦活複合体40〜4000μgを含んでいる、請求項11に記載の免疫原性組成物。
【請求項13】
(i)請求項に記載の免疫原性組成物、および(ii)1種以上の製薬上許容されるキャリアを含んでいる、医薬組成物。
【請求項14】
請求項に記載の免疫原性組成物の有効量を動物に投与することを含む、非ヒト動物で有効な免疫応答を働かせる方法。
【請求項15】
前記免疫原性組成物が、さらに1種以上の製薬上許容されるキャリアを含む、請求項14に記載の方法。

【公開番号】特開2012−72157(P2012−72157A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242133(P2011−242133)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【分割の表示】特願2000−593330(P2000−593330)の分割
【原出願日】平成11年12月24日(1999.12.24)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】