説明

改良型メバロネートキナーゼ

本発明は、フィードバック阻害に対し低感受性である修飾メバロネートキナーゼ、およびそれらをコードするポリヌクレオチドに関する。本発明はさらに、これらポリヌクレオチドを含んでなるベクターおよびかかるベクターを包含する宿主細胞に関連する。本発明は修飾酵素産生および修飾酵素を使用するイソプレノイド化合物産生のためのプロセスを提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、フィードバック阻害に対し低感受性である修飾メバロネートキナーゼを提供する。修飾酵素および修飾酵素をコードするポリヌクレオチドが、イソプレノイド化合物の生産のため、メバロネートキナーゼ活性の低下を特徴とする疾患の治療のため、および診断目的のため使用され得る。
【0002】
メバロネートキナーゼ(Mvk)は、多数の細胞内イソプレノイドの産生を導くメバロン酸経路に必須の酵素である。メバロン酸経路の産物であるイソペンテニル二リン酸(IPP)、および異性体化合物であるジメチルアリル二リン酸(DMAPP)が、全ての生物体におけるイソプレノイドの基本的構成要素である。イソプレノイドは23,000を超える一次代謝および二次代謝双方の自然発生分子を含む。この天然産物種の化学的多様性は全ての生物系におけるそれらの広範囲にわたる生理学的役割を反映する。イソプレノイドは、例えば、細菌中のホパントリテルペン、ユビキノンおよびメナキノン、植物中のカロテノイド、プラストキノン、モノ−、セスキ−、ジ−およびトリテルペン、およびクロロフィルのプレニル側鎖、および哺乳動物中のヘムA、キノン、ドリコール、ステロール/ステロイドおよびレチノイドを含む。加えて、イソプレノイドはイソペンテニルtRNA、タンパク質プレニル化および、例えば細胞シグナル伝達タンパク質のヘッジホッグ類の、コレステロール修飾に関与する。
【0003】
調節に関しては、HMG−CoAレダクターゼがメバロン酸経路における律速酵素であると広く考えられている(例えば、ゴールドスタイン(Goldstein)およびブラウン(Brown),ネイチャー(Nature)343,425−430頁,1990年;ワインベルガー(Weinberger),Trends Endocrinol.Metab.7,1−6頁,1996年;ハンプトン(Hampton)ら,Trends Biochem.Sci.21,140−145頁,1996年;ホーテン(Houten)ら,J.Biol.Chem.278,5736−5743頁,2003年)。この見解と一致して、メバロネート培地の補充がファフィア・ロドジマ(Phaffia rhodozyma)(カロ(Calo)ら,Biotechnol.Lett.17,575−578頁,1995年)とヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvialis)(コバヤシ(Kobayashi)ら,J.Ferment.Bioeng.71,335−339頁,1991年)との双方においてカロテノイド産生を刺激することが分かっている。しかしながら、近年増える証拠は、メバロネートキナーゼが、例えば下流産物であるゲラニル二リン酸、ファルネシル二リン酸およびゲラニルゲラニル二リン酸によりフィードバック阻害を受けやすいことを示す。このフィードバック阻害もまた、メバロン酸経路の、ひいてはイソプレノイド生合成全般の調節および律速に寄与し得る。
【0004】
ヒトにおいては、メバロネートキナーゼの重要性は、その欠乏をヒト遺伝性疾患メバロン酸尿症および高免疫グロブリンD症候群ならびに周期熱症候群の生化学的および分子的原因とする同定により実証された(ホーテン(Houten)ら,2000年;ンウォコロ(Nwokoro)ら,Mol.Genet.Metab.74,105−119頁,2001年)。これら疾患の病態生理はいまだ解明されていないが、いずれは急性期反応および発熱に関するメバロネートキナーゼおよびイソプレノイド生合成の生体内での役割への洞察を与えるであろう。メバロネートキナーゼ欠乏はまた、例えばツェルウェガー症候群および肢根型点状軟骨異形成症といった、メバロネートキナーゼを含むペルオキシソーム酵素のサブセットがペルオキシソームへと輸送されないペルオキシソーム生合成の疾患に関与しているとも見られる(ケリー(Kelley)およびハーマン(Herman),Annu.Rev.Genomics Hum.Genet.2,299−341頁,2001年)。最終的には、メバロネートキナーゼは細胞増殖、細胞周期調節および/または細胞形質転換における役割を果たすことが提唱された(グレーフ(Graef)ら,ヴィロロジー(Virology)208,696−703頁,1995年;ヒンソン(Hinson)ら,J.Biol.Chem.272,26756−26760頁,1997年を参照)。
【0005】
これまで研究されている全てのメバロネートキナーゼは、経路の下流産物、例えばファルネシルピロリン酸またはゲラニルゲラニルピロリン酸によりフィードバック阻害される。
【0006】
このように、フィードバック阻害に対し低感受性または耐性である、もしくは非修飾メバロネートキナーゼのそれと比べ低減されたフィードバック阻害感受性を備える、すなわち改良された触媒特性を有する、修飾メバロネートキナーゼを提供することが本発明の目的である。フィードバック耐性メバロネートキナーゼ酵素は、例えば、(1)全ての種類のイソプレノイド化合物(例えば、カロテノイド、コエンザイムQ10、ビタミンD、ステロール等)の生物工学的生産における、(2)例えば生体液中のメバロネート濃度の酵素測定用の、診断用酵素として、または(3)メバロン酸尿症患者中のメバロネート濃度を低下させる治療用酵素として、産業上の可能性を有し得る。フィードバック耐性メバロネートキナーゼは、メバロン酸経路を通るより大きなフラックスを、ひいてはより高いイソプレノイド生産性を可能にし得ることから、特にイソプレノイドの生物工学的生産に適している。
【0007】
特に、本発明は、対応する非修飾メバロネートキナーゼとの比較において低減されたフィードバック阻害感受性を示す修飾メバロネートキナーゼに関し、ここで
(i)修飾メバロネートキナーゼのアミノ酸配列は、対応する非修飾メバロネートキナーゼのアミノ酸配列と比較した時少なくとも1個の突然変異を包含し、かつ
(ii)少なくとも1個の突然変異は、配列番号1に示されるとおりの出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)メバロネートキナーゼのアミノ酸配列の位置55、59、66、83、106、111、117、142、152、158、218、231、249、367および375位に対応するアミノ酸位置からなる群より選択される1箇所またはそれ以上のアミノ酸位置においてである。
【0008】
メバロネート(メバロン酸)の5−ホスホメバロネート(5−ホスホメバロン酸)への、またはメバロネート類似体(例えばワイルド(Wilde)およびエゲレア(Eggerer),Eur.J.Biochem.221,463−473頁,1994年により記載されるとおり)の対応するリン酸化化合物へのリン酸化触媒能を有するとともにフィードバック阻害感受性を示す任意の酵素が、本発明の目的のためのメバロネートキナーゼとして使用され得る。
【0009】
用語「野生型酵素」または「野生型メバロネートキナーゼ」はこのように、本発明による(より高い)フィードバック耐性変異体設計のための出発点として役立ち得るフィードバック阻害感受性を示す任意のメバロネートキナーゼを意味する。かかる野生型酵素は例えば天然または合成メバロネートキナーゼの変異型に由来し得るメバロネートキナーゼ/メバロネートキナーゼ配列であってもよく、本発明の任意の教示により(より高い)フィードバック耐性にされ得る。かかるメバロネートキナーゼのアミノ酸配列の例は、例えばスイスプロット(Swiss−Prot)などの、公開の利用可能なデータベースにおいて探し当てられ得るものを含む。好ましくあるのは、例えば配列番号1および6、または配列番号8を含む、図1または表3に示されるアミノ酸配列の任意の1つと相同または同一であるような野生型酵素である。相同であるとは、例えば配列番号1および6、または配列番号8を含む、図1に示されるとおりのアミノ酸配列の1つまたはそれ以上と少なくとも約60%が同一である、好ましくは少なくとも約70%が同一である、より好ましくは少なくとも約80%が同一である、さらにより好ましくは少なくとも約90%が同一である、最も好ましくは少なくとも約95%が同一であるメバロネートキナーゼを言う。用語「野生型メバロネートキナーゼ」および「非修飾メバロネートキナーゼ」は本明細書においては互いに可換に使用される。
【0010】
必要であれば、好適なリン酸供与体がメバロネート(またはメバロネート類似体)のリン酸化を供するため添加され得る。メバロネートキナーゼのためのリン酸化供与体として、例えばATP、TTP、ITP、GTP、UTP、またはCTPといった、種々の化合物が考えられ得る(ギブソン(Gibson)ら,エンザイム(Enzyme)41,47−55頁,1989年を参照)。最も好ましいリン酸供与体はATP(アデノシン5’−三リン酸)である。
【0011】
用語「%同一性」は、当該技術分野において周知のとおり、場合によってはかかる配列のストリング間の一致により決定されるような、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列間の類似度を意味する。「同一性」は、例えば、プログラムGAP(GCGウィスコンシン・パッケージ(Wisconsin Package)、バージョン10.2、アクセルリス社(Accelrys Inc.)、9685 スクラントン・ロード(Scranton Road)、サン・ディエゴ(San Diego)、カリフォルニア州(CA)92121−3752、米国(USA))で例えば次のパラメータを使用する:ギャップ開始ペナルティ(gap creation penalty)8、ギャップ伸張ペナルティ(gap extension penalty)2(デフォルトパラメータ)、プログラム「PILEUP」(GCGウィスコンシン・パッケージ、バージョン10.2、アクセルリス社、9685 スクラントン・ロード、サン・ディエゴ、カリフォルニア州 92121−3752、米国)で例えば次のパラメータを使用する:ギャップ開始ペナルティ12、ギャップ伸張ペナルティ4およびblosum62.cmpマトリクス(デフォルトパラメータ)、またはプログラムのクラスタル(Clustal)W(バージョン1.7、EMBL、ハイデルベルク(Heidelberg)、ドイツ(Germany))でBLOSUM置換マトリクスを使用するなどの、周知の配列アラインメントの方法により容易に決定され得る。かかる配列アラインメントは当業者により日常的に実施されている(例えば、チョ(Cho)ら、J.Biol.Chem.276,12573−12578頁、2001年)。
【0012】
「少なくとも1個の突然変異」をもって、本発明の修飾メバロネートキナーゼが、少なくとも上述の位置における1個を含む1個またはそれ以上の突然変異、すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個等(すなわち、およびそれ以上)の突然変異を包含し得ることが意味される。
【0013】
本発明の目的において、「変異体」、「変異体酵素」、または「変異体メバロネートキナーゼ」は、各々の野生型酵素より(より高い)フィードバック耐性である、または低減されたフィードバック阻害感受性を有する、所与の野生型酵素/メバロネートキナーゼに由来し得る任意の変異型であり得る。変異体は、例えば、部位特異的突然変異誘発、飽和突然変異誘発、ランダム突然変異誘発/定向進化、細胞/生物体全体の化学的またはUV突然変異誘発、合成遺伝子設計、および/またはインビトロ(無細胞)翻訳によるなど、当該技術分野で周知の任意の方法により得られてもよい(例えば、ジェルムテュス(Jermutus)ら、Curr.Opin.Biotechnol.9,534−548頁、1998年;バトン(Betton),Curr.Prot.Pept.Sci.4,73−80頁、2003年;マルティン(Martin)ら、バイオテクニクス(Biotechniques)31,948−953頁、2001年を参照)。変異体が如何にして得られるかは関連性がない。
【0014】
本明細書で使用されるとき、用語「フィードバック阻害」はイソプレノイド生合成におけるメバロネートの下流代謝産物によるメバロネートキナーゼの酵素活性の任意の阻害を含む。イソプレノイド生合成におけるメバロネートの下流代謝産物は、5−ホスホメバロネート、イソペンテニル二リン酸(IPP)、3,3−ジメチルアリル二リン酸(DMAPP)、ゲラニル二リン酸(GPP)、ファルネシル二リン酸(FPP)、ゲラニルゲラニル二リン酸(GGPP)、ファルネソール、ドリコールリン酸、およびフィチルピロリン酸を含むが限定はされない(ドーシー(Dorsey)およびポーター(Porter)、J.Biol.Chem.243,4667−4670頁、1968年;フリント(Flint),Biochem.J.120,145−150頁、1970年;グレイ(Gray)およびケクウィック(Kekwick),Biochim.Biophys.Acta 279,290−296頁,1972年;ヒンソン(Hinson)ら、J.Lipid Res.38,2216−2223頁、1997年)。メバロネートキナーゼのフィードバック阻害はメバロネートキナーゼの、イソプレノイド生合成におけるメバロネートの下流代謝産物の酵素に結合することによるアロステリック制御に基づき得る。
【0015】
好ましくは、フィードバック阻害は、ファルネシル二リン酸(FPP)またはゲラニルゲラニル二リン酸(GGPP)によるフィードバック阻害である。フィードバック阻害感受性は例えばメバロン酸経路の下流産物、例えばFPPまたはGGPPの生理学的または工業的に適切な濃度に対する阻害感受性を意味する。
【0016】
本発明によれば修飾メバロネートキナーゼは、対応する非修飾メバロネートキナーゼとの比較において低減されたフィードバック阻害感受性を示す。好ましくは、本発明の修飾メバロネートキナーゼのフィードバック阻害感受性は、対応する非修飾メバロネートキナーゼとの比較において少なくとも約5%、より好ましくは少なくとも約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%減弱される(フィードバック耐性の測定および定量化については、以下を参照)。このように、言い換えれば、本発明の修飾メバロネートキナーゼは、対応する非修飾メバロネートキナーゼと比較した時少なくとも約5%、好ましくは少なくとも約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%のフィードバック耐性を示し得る。
【0017】
本明細書で使用される「フィードバック耐性」は「フィードバック阻害」(上記に定義されるとおり)に対する任意の耐性増加であり得る。フィードバック耐性は当業者に周知の種々の方法で分析され得る。かかる分析の然るべき実施例が本明細書に簡潔に記載される:メバロネートキナーゼ活性は、活性アッセイにおいて、例えばATP(または別のリン酸供与体)およびメバロネート(またはメバロネート類似体)の非飽和濃度で、すなわち、例えばその濃度前後で反応速度がそれら基質濃度変化に対し感受性をもつATP(またはリン酸供与体)およびメバロネート(またはメバロネート類似体)濃度で、例えばそれら基質には研究中酵素の各K値前後の濃度で、測定される。野生型メバロネートキナーゼおよびこの酵素の変異型/変異体の双方の活性は、フィードバック阻害因子の適切な濃度、すなわち、野生型メバロネートキナーゼの有意な阻害を供するフィードバック阻害因子の濃度の不在下および存在下の双方で、その他は同一の条件下において、測定される。フィードバック阻害因子による阻害程度(例えば、%阻害)が野生型酵素に対するより変異体に対する方が小さい場合、ひいては変異体は本特許出願の文意におけるフィードバック耐性である。フィードバック耐性変異型/変異体が同定された時点で、上述と同じ手順がさらなる改良型変異体、すなわち、さらにより高いフィードバック耐性である変異体を同定するために適用され得る。フィードバック耐性(%)は次のとおり計算される:(a)および(b)がフィードバック阻害因子(例えば、FPP)の不在下および存在下各々における野生型酵素の測定されたメバロネートキナーゼ活性である場合、かつ(c)および(d)が同じフィードバック阻害因子の不在下および存在下各々における変異体酵素の測定されたメバロネートキナーゼ活性である場合、ひいては%フィードバック耐性は、
%耐性=100・((d/c)−(b/a))/(1−(b/a))
【0018】
好ましくは、フィードバック耐性は本出願の実施例1に記載される実験条件を参照する。約3〜30mU/ml(出芽酵母メバロネートキナーゼの約40〜400ng/mlに相当する)、好ましくは、約10〜20mU/mlのメバロネートキナーゼ活性、および任意にFPP1μMがアッセイ混合物中に存在してもよく、かつ反応は25℃で行われ得る。
【0019】
本発明の修飾メバロネートキナーゼのアミノ酸配列は、対応する非修飾メバロネートキナーゼのアミノ酸配列と比較した時少なくとも1個の突然変異を包含する。少なくとも1個の突然変異は例えば添加、欠失および/または置換であり得る。好ましくは、少なくとも1個の突然変異はアミノ酸置換であり、非修飾メバロネートキナーゼのアミノ酸配列中に存在する所与のアミノ酸が、本発明の修飾メバロネートキナーゼのアミノ酸配列中の異なるアミノ酸と置き換えられる。修飾メバロネートキナーゼのアミノ酸配列は対応する非修飾メバロネートキナーゼのアミノ酸配列と比較した時少なくとも1個のアミノ酸置換を包含し得る。さらなる実施形態において、修飾メバロネートキナーゼは対応する非修飾メバロネートキナーゼのアミノ酸配列と比較した時少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4または少なくとも5個の置換を包含する。本発明の他の実施形態において、修飾メバロネートキナーゼは対応する非修飾メバロネートキナーゼのアミノ酸配列と比較した時、1から15、1から12、1から10、1から7、1から5、1から4、2から15、2から12、2から10、2から7、2から5、2から4、3から15、3から12、3から10、3から7、3から5または3から4個のアミノ酸置換を包含する。
【0020】
本発明によれば、少なくとも1個の突然変異は、配列番号1に示されるとおりの出芽酵母メバロネートキナーゼのアミノ酸配列の位置55、59、66、83、106、111、117、142、152、158、218、231、249、367および375位に対応するアミノ酸位置からなる群より選択される1箇所またはそれ以上のアミノ酸位置においてである。配列番号1のこれらアミノ酸位置における突然変異の任意の組み合わせ、すなわち、上述のアミノ酸位置の少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14箇所または少なくとも15箇所全てに対応する位置における突然変異が、上記に定義されるとおりの修飾メバロネートキナーゼを生成するための少なくとも1個の突然変異の標的として選択され得る。好ましくは、本発明は出芽酵母から生じる修飾メバロネートキナーゼを提供し、ここで前記修飾メバロネートキナーゼのアミノ酸配列は少なくとも1個の突然変異を含んでなり、前記突然変異は1個またはそれ以上の突然変異を、配列番号1に示されるとおりの位置55、59、66、83、106、111、117、142、152、158、218、231、249、367および/または375位において含み、ここで配列番号1は野生型アミノ酸配列を表す。
【0021】
本発明における修飾メバロネートキナーゼは上記に定義されるとおり少なくとも1個の突然変異を1箇所またはそれ以上のアミノ酸位置において包含することから、さらなる突然変異を上記に挙げられたもの以外のアミノ酸位置において包含し得る。
【0022】
一態様において、本発明は、対応する非修飾メバロネートキナーゼとの比較において低減されたフィードバック阻害感受性を示す修飾メバロネートキナーゼに関し、ここで
(i)修飾メバロネートキナーゼのアミノ酸配列は、対応する非修飾メバロネートキナーゼのアミノ酸配列と比較した時、1個またはそれ以上の突然変異を包含し、かつ
(ii)1個またはそれ以上の突然変異は、配列番号1に示されるとおりの出芽酵母メバロネートキナーゼのアミノ酸配列の位置55、59、66、83、106、111、117、142、152、158、218、231、249、367および375位に対応するアミノ酸位置からなる群より選択される1箇所またはそれ以上のアミノ酸位置においてである。
【0023】
配列番号1に示されるこれら位置の任意の組み合わせ、すなわち、上述の位置に対応する2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14箇所または15箇所全ての位置が、前記修飾メバロネートキナーゼを生成するための突然変異の標的として選択され得る。
【0024】
一実施形態において少なくとも1個の突然変異は、配列番号1に示されるとおりの出芽酵母メバロネートキナーゼのアミノ酸配列の位置55、59、66、117、および152位に対応するアミノ酸位置からなる群より選択される1箇所またはそれ以上のアミノ酸位置においてである。
【0025】
修飾メバロネートキナーゼは、対応する非修飾メバロネートキナーゼと比較した時、例えば単一アミノ酸置換などの単一突然変異のみを包含し得る。好ましくは、単一突然変異は配列番号1のアミノ酸位置55、59、66、117、および152位に対応する位置からなる群より選択される位置においてである。より好ましくは、単一突然変異は、例えばP55L、F59S、N66K、C117S、またはI152Mなどのアミノ酸置換である。最も好ましくは、置換はF59S、すなわち、フェニルアラニンのセリンとの配列番号1の位置59位に対応する位置上での置換/交換である。
【0026】
修飾メバロネートキナーゼは、対応する非修飾メバロネートキナーゼと比較した時、例えば2個のアミノ酸置換などの少なくとも2個の突然変異を包含し得る。好ましくは、少なくとも2個の突然変異、例えばアミノ酸置換のうちの1個は、位置55、66、83、106、111、117、152、218、249、および/または375位より選択される配列番号1の位置に対応するアミノ酸位置においてである。2個の突然変異、例えばアミノ酸置換の場合、2個の突然変異は、配列番号1の位置の組み合わせ55/117、66/152、83/249、111/375または106/218位に対応する位置においてであることが好ましい。より好ましくは、2個の突然変異は1個または2個のアミノ酸置換、さらにより好ましくは、2個のアミノ酸置換から成る。最も好ましくあるのは、P55L/C117S、N66K/I152M、K83E/S249P、H111N/K375NまたはL106P/S218Pより選択される配列番号1の位置の組み合わせに対応する2個のアミノ酸置換/交換の組み合わせである。
【0027】
特に好ましい実施形態において、修飾メバロネートキナーゼは配列番号1に示されるアミノ酸配列の組み合わせN66K/I152Mに対応する2個のアミノ酸置換を包含する。より好ましくは、2個のアミノ酸置換は配列番号1に示されるとおりの非修飾出芽酵母メバロネートキナーゼアミノ酸配列におけるN66KおよびI152Mである。
【0028】
修飾メバロネートキナーゼは、対応する非修飾メバロネートキナーゼと比較した時、少なくとも4個の突然変異、例えば4個のアミノ酸置換などを包含し得る。好ましくは、少なくとも4個の突然変異、例えばアミノ酸置換のうち1個は、位置142、158、231、および367位より選択される配列番号1の位置に対応するアミノ酸位置においてである。4個の突然変異、例えばアミノ酸置換の場合、4個の突然変異は配列番号1の位置の組み合わせ142/158/231/367位に対応する位置においてであることが好ましい。より好ましくは、4個の突然変異は1、2、3または4個のアミノ酸置換、さらにより好ましくは、4個のアミノ酸置換から成る。最も好ましくあるのは、配列番号1の位置142/158/231/367位に対応する4個のアミノ酸置換の組み合わせであるI142N/L158S/L231I/T367Sである。
【0029】
最も好ましくあるのは、表1に開示される突然変異の組み合わせである(下記参照)。実施例において同定されるアミノ酸位置は種々の起源のメバロネートキナーゼに移し替え得る。
【0030】
本発明の修飾メバロネートキナーゼは突然変異を対応する非修飾メバロネートキナーゼに導入することにより得られ得る。
【0031】
非修飾メバロネートキナーゼは、例えばヒトを含む動物、植物、藻類、酵母を含む菌類、および細菌などの、真核生物または原核生物起源であり得る。好ましくは、非修飾メバロネートキナーゼは、酵母を含む菌類からまたは細菌から選択され、より好ましくは、アスペルギルス属(Aspergillus)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、パラコッカス属(Paracoccus)、ロドバクター属(Rhodobacter)およびファフィア属(Phaffia)からなる群より選択される。さらにより好ましくは、クロカビ(Aspergillus niger)、出芽酵母、パラコッカス・ゼアキサンチニファシエンス(Paracoccus zeaxanthinifaciens)、R.スフェロイデス(sphaeroides)ATCC 35053などのロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、またはファフィア・ロドジマであり、出芽酵母が最も好ましくある。
【0032】
本発明の一態様において、非修飾メバロネートキナーゼはFPPによりフィードバック阻害される。FPPによる非修飾メバロネートキナーゼのフィードバック阻害は、例えばポピヤック(Popjak)(Meth.Enzymol.15,393−頁,1969年)、ギブソン(Gibson)ら(エンザイム(Enzyme)41,47−55頁,1989年)、ヒンソン(Hinson)ら(J.Lipid Res.38,2216−2223頁,1997年)、シュルト(Schulte)ら(Anal.Biochem.269,245−254頁,1999年)、またはチョ(Cho)ら(J.Biol.Chem.276,12573−12578頁,2001年)により記載されるとおりなど、当業者に周知の方法により決定されるとおり、例えば少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%であり得る。特定のアッセイが、種々のFPP濃度を使用して実施例1に記載される。
【0033】
本発明の修飾メバロネートキナーゼは、好ましくはそのNまたはC末端において、外来アミノ酸を含んでなる。「外来アミノ酸」は、天然の(自然のなかで発生する)メバロネートキナーゼ中に存在しないアミノ酸、例えば天然メバロネートキナーゼ中に存在しない少なくとも約3連続、好ましくは少なくとも約5連続およびより好ましくは少なくとも約7連続アミノ酸の一続きなどを意味する。好適な外来アミノ酸の一続きは、組換え産生された修飾メバロネートキナーゼの精製を円滑にする「タグ」を含むが限定はされない。かかるタグの例はHisタグ、FLAGタグ、mycタグ、および同類のものを含むが限定はされない。
【0034】
別の実施形態では、修飾メバロネートキナーゼは、対応する非修飾メバロネートキナーゼのアミノ酸配列と比較した時、1個またはそれ以上の欠失、例えば、2個の欠失を包含し得る。好ましくは、欠失は、対応する非修飾メバロネートキナーゼのNまたはC末端アミノ酸に影響するとともに、酵素の機能特性、例えば比活性を有意には減弱しない。
【0035】
本発明の修飾メバロネートキナーゼは通常、非自然発生的メバロネートキナーゼである。修飾メバロネートキナーゼの比活性は、例えば、対応する非修飾メバロネートキナーゼの比活性の少なくとも約10%、好ましくは少なくとも20%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%およびさらにそれ以上、例えば約150%、200%およびそれ以上などであり得る。
【0036】
比活性の測定方法は当業者に周知である。比活性は例えばNADHの消費測定を介して決定され得る。かかる測定に好適な条件は、典型的に飽和基質濃度が使用されること、または高基質濃度、特定の実験条件下で最大活性を与える基質濃度での酵素阻害の場合を除き、例えば実施例1に概説されるとおりのものであり得る。
【0037】
本発明はさらに、本発明による修飾メバロネートキナーゼをコードするヌクレオチド配列を含んでなるポリヌクレオチドに関する。任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチド、例えば非修飾RNAまたはDNAもしくは修飾RNAまたはDNAなどが、ポリヌクレオチドとして使用され得る。ポリヌクレオチドは、一本および二本鎖DNA、一本および二本鎖領域の混合物であるDNA、一本および二本鎖RNA、および一本および二本鎖領域の混合物であるRNA、一本鎖もしくは、より典型的には二本鎖または一本および二本鎖領域の混合物であり得るDNAおよびRNAを含んでなるハイブリッド分子を含むが限定はされない。本明細書で使用されるとき、ポリヌクレオチドはさらに、1個またはそれ以上の異常塩基、例えばイノシン、もしくは1個またはそれ以上の修飾塩基、例えばトリチル化された塩基、を含んでなるDNAまたはRNAを含み得る。
【0038】
本発明のポリヌクレオチドは、当該技術分野において周知の突然変異誘発法、例えば、例えば添加、欠失および/または置換などの突然変異の、非修飾メバロネートキナーゼをコードするヌクレオチド配列への、例えば部位特異的な突然変異およびPCRに基づく方法による導入などによって、例えば最新技術において周知のメバロネートキナーゼをコードするゲノム配列またはcDNA配列[配列情報については、例えば適切な配列データベース、例えば、ジェンバンク(Genbank)(インテリジェネティクス(Intelligenetics),カリフォルニア州(California),米国)、欧州生命情報学研究所(European Bioinformatics Institute)(ヒンストン・ホール(Hinston Hall),ケンブリッジ(Cambridge),英国(GB))、NBRF(ジョージタウン大学(Georgetown University),メディカル・センター(Medical Centre),ワシントン(Washington)DC,米国)およびベクベース(Vecbase)(ウィスコンシン大学(University of Wisconsin),バイオテクノロジー・センター(Biotechnology Centre),マディソン(Madison),ウィスコンシン州(Wisconsin),米国)を参照]から開始することにより作成される非修飾メバロネートキナーゼをコードするポリヌクレオチド配列を修飾することにより容易に得られ得る(例えば、サムブルック(Sambrook)ら,分子クローニング(Molecular Cloning),コールド・スプリング・ハーバー研究所出版(Cold Spring Harbor Laboratory Press),ニューヨーク(New York)を参照)。
【0039】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法の原理は、例えば、ホワイト(White)ら,Trends Genet.5,185−189頁,1989年により概説されるが、改良された方法が例えばイニス(Innis)ら[PCRプロトコル:方法と応用のための手引(PCR Protocols:A guide to Methods and Applications),アカデミックプレス社(Academic Press,Inc.)(1990年)]に記載される。
【0040】
修飾メバロネートキナーゼの生成は、部位特異的な突然変異誘発、当初はハッチソン(Hutchison)およびエッジェル(Edgell)(J.Virol.8,181−189頁,1971年)により概説されている、所望のヌクレオチド置換、欠失または添加を突然変異が導入されるべき一本鎖DNA配列の標的領域へ運搬する合成オリゴヌクレオチドのアニーリングを伴う方法により実施され得る(レビューについて、スミス(Smith),Annu.Rev.Genet.19,423−462頁,1985年を参照;および改良された方法について、スタンセン(Stanssen)ら,Nucl.Acids Res.17,4441−4454頁,1989年における参考文献2〜6を参照)。出発物質としてのDNAは、当該技術分野において周知の、および例えばサムブルック(Sambrook)ら(分子クローニング(Molecular Cloning))に記載される方法により各株/生物体から単離され得る。しかしながら、本発明に従い作成/突然変異されるべきメバロネートキナーゼをコードするDNAはまた、例えば、当該技術分野において周知の方法による合成遺伝子の作成により、周知のDNA配列の塩基上に調製され得ることも分かっている(例えば、欧州特許第747 483号明細書中およびレーマン(Lehmann)ら,Prot.Eng.13,49−57頁,2000年に記載のとおり)。
【0041】
本発明に従い修飾メバロネートキナーゼをコードするポリヌクレオチドの非限定的な例が配列番号5に示される。
【0042】
本発明のポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、好ましくは単離された形で提供されるとともに、好ましくは均一に精製される。
【0043】
用語「単離された」は、物質がその本来の環境(例えば、それが自然発生的であるなら自然環境)から取り除かれることを意味する。例えば、微生物生体中に存在する自然発生的ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単離されていないが、自然系における共存物質の一部または全てから分離された同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単離されている。かかるポリヌクレオチドはベクターの一部分であり得、および/またはかかるポリヌクレオチドまたはポリペプチドは組成の一部分であり得、かつかかるベクターまたは組成はその自然環境の一部分でないという点において、それでも単離されている。
【0044】
本明細書で使用される単離されたポリヌクレオチドまたは核酸は、それが由来する生物体中の自然発生ゲノムにおいてはそれと直接隣接するコード配列の双方(1つは5’末端上および1つは3’末端上)と直接隣接しないDNAまたはRNAであり得る。このように、一実施形態において、核酸はコード配列に直接隣接する5’非コード(例えば、プロモーター)配列の一部または全てを含む。それ故、用語「単離されたポリヌクレオチド」は、例えば、ベクターに、自己複製プラスミドまたはウイルスに、または原核生物または真核生物のゲノムDNAに組み入れられる組換えDNA、もしくは、他の配列に依存しない個別の分子(例えば、PCRまたは制限エンドヌクレアーゼ処理により産生されるcDNAまたはゲノムDNA断片)として存在する組換えDNAを含む。それはまた、実質的に細胞物質、生体物質、または培地のない(組換えDNA技術による産生時)、もしくは化学的前駆体または他の化学薬品のない(化学的合成時)、付加的なポリペプチドをコードするハイブリッド遺伝子の一部分である組換えDNAも含む。さらに、「単離された核酸断片」は、断片として自然発生的でないとともに自然状態には見出されないであろう核酸断片である。当業者に周知の従来の核酸精製法が単離されたポリヌクレオチドを得るため使用され得る。
【0045】
単離されたポリペプチドは実質的に他のポリペプチドのないポリペプチドであり得る。単離されたポリペプチドは、例えば、80%より高純度、好ましくは90%より高純度、より好ましくは95%より高純度、および最も好ましくは99%より高純度であり得る。純度は当該技術分野において周知の方法に従い、例えばSDS−PAGEおよび続くタンパク質染色により決定され得る。タンパク質バンドは例えば濃度測定により定量され得る。さらなる純度決定方法は当業者レベルの範囲である。
【0046】
いまだ別の実施形態において本発明は、本発明によるポリヌクレオチドを含んでなるベクターまたはプラスミドに関連する。ベクターまたはプラスミドは、好ましくは少なくとも1個のマーカー遺伝子を含んでなる。ベクターまたはプラスミドはさらに、本発明のポリヌクレオチドに操作可能に連結される調節エレメントを含んで成ってもよい。本明細書で使用されるとき用語「操作可能に連結」は、例えば、一方の機能が他方により影響されるような単一核酸断片上の核酸配列の結合を言う。例えば、プロモーターは、そのコード配列の発現に影響する能力がある、すなわち、コード配列がプロモーターの転写制御下にある時、コード配列と操作可能に連結される。コード配列は調節配列にセンスまたはアンチセンスの配向で操作可能に連結され得る。用語「発現」はDNA配列のmRNAへの転写および/またはmRNAのアミノ酸配列への翻訳を示す。用語「過剰発現」は、例えば、改変生物体(例えば、形質転換または形質移入により改変された)中の対応する非改変生物体中の産物レベルを超える遺伝子産物の産生を意味する。
【0047】
然るべき宿主系中のコードされたポリペプチドを過剰発現するための、本発明における修飾メバロネートキナーゼをコードするDNA配列のベクターへの組込みは、当該技術分野において周知の、および例えばサムブルック(Sambrook)ら(上記参照)に記載の方法により実施され得る。DNA配列自体または本発明におけるDNA配列を含んでなるベクター/プラスミドのいずれかが、コードされたポリペプチドの(過剰)発現を得るため好適な本発明の宿主系を形質転換することに使用され得る。本発明に有用である好適な宿主系は、真核生物または原核生物細胞、例えばヒトを含む動物、植物、細菌、または酵母を含む菌類の細胞より選択され得る。かかる宿主細胞の例は、レンサ球菌、ブドウ球菌、腸球菌、ラン藻、酵母(例えば、サッカロミセス属)、担子菌、裸子植物、被子植物、または例えばショウジョウバエ(Drosophila)S2、スポドプテラ(Spodoptera)Sf9、CHO、COS、HeLa、3T3、BHK、HK293[ヒト腎293株化細胞???]、およびCV−1などの株化細胞より選択される細胞を含むが限定はされない。
【0048】
植物における発現に好適な方法が、例えばペン(Pen)らによりバイオ/テクノロジー(Bio/Technology)11,811−814頁,1994年または欧州特許第449 375号明細書に記載され、好ましくは例えば欧州特許第449 376号明細書に記載されるとおり種子においてである。プロモーターおよびターミネーターの好適な例の一部は、ノパリンシンターゼ(nos)、オクトピンシンターゼ(ocs)およびカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)遺伝子由来のものを含む。使用され得る効果的な植物プロモーターの1種は、高レベル植物プロモーターである。かかるプロモーターは、本発明の遺伝子配列と操作可能に連結され、本遺伝子産物の発現を促進する能力があるべきものである。本発明において使用され得る高レベル植物プロモーターは、例えば、例えばダイズ由来のリブロース1,5−二リン酸カルボキシラーゼの小サブユニット(ss)のプロモーター(ベリー(Berry)−ロウ(Lowe))ら,J.mol.Appl.Genet.1,483−498頁,1982年)、およびクロロフィルa/b結合タンパク質のプロモーターを含む。
【0049】
本発明の範囲内で真菌宿主細胞は、例えば、クロカビまたはコウジカビ(Aspergillus oryzae)などのアスペルギルス属(Aspergilli)、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)などのトリコデルマ属(Trichoderma)、出芽酵母などのサッカロミセス属、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)などのピキア属(Pichia)、またはハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)などのハンゼヌラ属(Hansenula)より選択され得、好ましくはH.ポリモルファ(polymorpha)DSM 5215である。本発明の範囲内で細菌宿主細胞は、例えば、パラコッカス・ゼアキサンチニファシエンスなどのパラコッカス属、R.スフェロイデス(sphaeroides)などのロドバクター属、大腸菌(E.coli)などの大腸菌属(Escherichia)、枯草菌(Bacillus subtilis)などのバシラス属(Bacillus)、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)などのストレプトマイセス属(Streptomyces)より選択され得る(例えば、アンネ(Anne)およびヴァン・メラエルト(van Mellaert)のFEMS Microbiol.Lett.114,121−128頁,1993年を参照)。好ましくは、使用され得る大腸菌株は、例えば、例えばM15(ヴィラレヨ(Villarejo)らによりJ.Bacteriol.120,466−474頁,1974年にDZ 291として記載される)、HB 101(ATCC番号33694)または大腸菌SG13009(ゴッテスマン(Gottesman)ら,J.Bacteriol.148,265−273頁,1981年)などの、大腸菌K12株より選択され得る。当業者には、かかる好適な宿主が、例えばジャーナル(Journal)『工業所有権(Industrial Property)』(第1巻,29−40頁,1991年)に、または欧州特許庁公報(Official Journal of the European Patent Office)(第4巻,155/156頁,2003年)に挙げられるとおりの、任意の周知の寄託当局から入手可能であり得ることは周知である。
【0050】
宿主系に応じ、種々のベクターが使用され得、前記ベクターは本発明によるポリヌクレオチドを含んでなる。菌類における発現に使用され得るベクターの非限定的な例は当該技術分野において周知であるとともに、例えば、欧州特許第420 358号明細書またはキュラン(Cullen)ら、(バイオ/テクノロジー(Bio/Technology)5,369−376頁,1987年)、ワード(Ward)(糸状菌のための分子工業菌学、システムおよび応用(Molecular Industrial Mycology,Systems and Applications for Filamentous Fungi),マルセル・デッカー(Marcel Dekker),ニューヨーク(New York),1991年)、アプシャル(Upshall)ら(バイオ/テクノロジー(Bio/Technology)5,1301−1304頁,1987年)、グウィンヌ(Gwynne)ら(バイオ/テクノロジー(Bio/Technology)5,71−79頁,1987年)、またはプント(Punt)ら(J.Biotechnol.17,19−34頁,1991年)、および酵母についてはスレークリシャナ(Sreekrishna)ら(J.Basic Microbiol.28,265−278頁,1988年;バイオケミストリー(Biochemistry)28,4117−4125頁,1989年)、ヒッツェマン(Hitzemann)ら(ネイチャー(Nature)293,717−722頁,1981年)または欧州特許第183 070号明細書、欧州特許第183 071号明細書、欧州特許第248 227号明細書、欧州特許第263 311号明細書に記載されている。大腸菌における発現に使用され得るベクターの非限定的な例は、例えば、サムブルック(Sambrook)らにより[上記参照]、またはファイアス(Fiers)らにより、第8回国際バイオテクノロジーシンポジウム会報(Proc.8th Int.Biotechnol.Symp.)のなかで[Soc.Franc.de Microbiol.,パリ(Paris)(デュラン(Durand)ら編),680−697頁,1988年]、ビェジャール(Bujard)ら(Meth.Enzymol.,ウー(Wu)およびグロスマン(Grossmann)編,アカデミックプレス社(Academic Press,Inc.),第155巻,416−433頁,1987年のなかで)、またはステューバー(Stueber)ら(免疫学的方法(Immunological Methods),レフコヴィッツ(Lefkovits)およびペルニス(Pernis)編,アカデミックプレス社(Academic Press,Inc.),第IV巻,121−152頁,1990年のなかで)述べられている。バシラス(Bacilli)における発現に使用され得るベクターの非限定的な例は当該技術分野において周知であるとともに、例えば、欧州特許第207 459号明細書または欧州特許第405 370号明細書に、ヤンスラ(Yansura)およびヘンナー(Henner)により全米科学アカデミー会報(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)81,439−443頁(1984年)に、またはヘンナー(Henner)、ルグリス(Le Grice)およびナガラジャン(Nagarajan)によりMeth.Enzymol.185,199−228頁,1990年に記載されている。H.ポリモルファにおける発現に使用され得るベクターの非限定的な例は当該技術分野において周知であるとともに、例えば、ジェリッセン(Gellissen)ら,バイオテクノロジー(Biotechnology)9,291−295頁,1991年に記載されている。
【0051】
いずれのかかるベクターも調節エレメント、例えばプロモーターを既に保有し、または本発明のDNA配列はかかるエレメントを包含するよう改変され得る。使用され得る好適なプロモーターエレメントは、当該技術分野において周知であるとともに、例えば、トリコデルマ・リーセイ用にcbh1プロモーター(ハーキ(Haarki)ら,バイオテクノロジー(Biotechnology)7,596−600頁,1989年)またはpki1プロモーター(シンドラー(Schindler)ら,ジーン(Gene)130,271−275頁,1993年)、コウジカビ用にamyプロモーター[クリステンセン(Christensen)ら,第19回分子遺伝学に関するルンテレン講座要約(Abstr.19th Lunteren Lectures on Molecular Genetics)F23(1987年);クリステンセン(Christensen)ら,バイオテクノロジー(Biotechnology)6,1419−1422頁,1988年;タダ(Tada)ら,Mol.Gen.Genet.229,301−306頁,1991年]、クロカビ用にglaAプロモーター(キュラン(Cullen)ら,バイオ/テクノロジー(Bio/Technology)5,369−376頁,1987年;グウィンヌ(Gwynne)ら,バイオ/テクノロジー(Bio/Technology)5,713−719頁,1987年;ワード(Ward)の糸状菌のための分子工業菌学、システムおよび応用(Molecular Industrial Mycology,Systems and Applications for Filamentous Fungi),マルセル・デッカー(Marcel Dekker),ニューヨーク(New York),83−106頁,1991年)、alcAプロモーター(グウィンヌ(Gwynne)ら,バイオ/テクノロジー(Bio/Technology)5,718−719頁,1987年)、suc1プロモーター(ボディ(Boddy)ら,Curr.Genet.24,60−66頁,1993年),aphAプロモーター(マクリー(MacRae)ら,ジーン(Gene)71,339−348頁,1988年;マクリー(MacRae)ら,ジーン(Gene)132,193−198頁,1993年)、tpiAプロモーター(マクナイト(McKnight)ら,セル(Cell)46,143−147頁,1986年;アップシャル(Upshall)ら,バイオ/テクノロジー(Bio/Technology)5,1301−1304頁,1987年)、gpdAプロモーター(プント(Punt)ら,ジーン(Gene)69,49−57頁,1988年;プント(Punt)ら,J.Biotechnol.17,19−37頁,1991年)およびpkiAプロモーター(ドグラフ(de Graaff)ら,Curr.Genet.22,21−27頁,1992年)である。酵母における発現に使用され得る好適なプロモーターエレメントは当該技術分野において周知であるとともに、例えば、出芽酵母における発現用にpho5プロモーター(フォゲル(Vogel)ら,Mol.Cell.Biol.9,2050−2057頁,1989年;ルドルフ(Rudolf)およびヒネン(Hinnen),全米科学アカデミー会報(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)84,1340−1344頁,1987年)またはgapプロモーター、およびピキア・パストリス用に例えばaox1プロモーター(クッツ(Koutz)ら,イースト(Yeast)5,167−177頁,1989年;スレークリシャナ(Sreekrishna)ら,J.Basic Microbiol.28,265−278頁,1988年)、またはH.ポリモルファ用にFMDプロモーター(ホレンベルグ(Hollenberg)ら,EPA番号0299108)またはMOXプロモーター(ルドボア(Ledeboer)ら,Nucleic Acids Res.13,3063−3082頁,1985年)である。
【0052】
好適なプロモーターは、例えばジャコミニ(Giacomini)ら(ジーン(Gene)144,17−24頁,1994年)に記載されるとおり天然および合成プロモーターを含む。細菌中の主張される(変異体)メバロネートキナーゼの発現に対する然るべき教示、然るべきプラスミドによるか、またはメバロネートキナーゼをコードするDNA配列の染色体DNAへの組込みを通してかのいずれかが、例えば米国特許第6,322,995号明細書といった多所に散見され得る。
【0053】
本発明はさらに、本発明の修飾メバロネートキナーゼを産生する方法/プロセスに関し、
(a)本発明の修飾メバロネートキナーゼの発現を可能にする条件下で本発明の宿主細胞を培養するステップ、および
(b)細胞から、または培地から修飾メバロネートキナーゼを回収するステップ、を含んでなる。
【0054】
本発明の修飾メバロネートキナーゼは遺伝子改変宿主細胞から調製され得る。
【0055】
本発明のポリペプチドの組換え産生のため、宿主細胞は本発明のポリヌクレオチドもしくはベクターまたはプラスミドを組み入れるよう遺伝子改変され得る。ポリヌクレオチドまたはベクターの宿主細胞への導入は、多くの標準的な実験マニュアルに記載される手法、例えばリン酸カルシウムトランスフェクション、DEAEデキストラン介在トランスフェクション、マイクロインジェクション、カチオン脂質介在トランスフェクション、電気穿孔、形質導入、バリスティック導入および感染などにより実効され得る[参考文献として、例えば、デイビス(Davis)ら,分子生物学における基礎的手法(Basic Methods in Molecular Biology)(1986年)、およびサムブルック(Sambrook)ら,分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual),第2版,コールド・スプリング・ハーバー研究所出版(Cold Spring Harbor Laboratory Press),コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor),ニューヨーク州(N.Y.)(1989年)を参照]。
【0056】
宿主中においてポリヌクレオチドを維持、増殖または発現する、および/またはポリペプチドを発現するのに好適な任意の系またはベクターが、他のなかでもとりわけ上記のものを含め、本発明のメバロネートキナーゼの発現/産生に使用され得る。
【0057】
真核生物中の組換え発現系において、翻訳されたタンパク質の小胞体の管腔への、細胞膜周辺腔への、または細胞外環境への分泌のため、然るべき分泌シグナルが発現ポリペプチドへと組み入れられ得る。これらのシグナルはポリペプチドに対し内因性であり得るか、または異種シグナルであり得る。
【0058】
本発明のポリペプチドは組換え細胞培養物から、例えば硫酸アンモニウムまたはエタノール沈澱、酸抽出、アニオンまたはカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、およびヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーを含む十分に周知の方法により回収および精製され得る。一実施形態において、高速液体クロマトグラフィーが精製に用いられ得る。タンパク質リフォールディング用の十分に周知の技術が、単離および/または精製中にポリペプチドが変性される時活性コンフォメーションを再生するため用いられる。タンパク質精製の方法は、例えば、ドイッチェアー(Deutscher),タンパク質精製(Protein Purification),アカデミックプレス(Academic Press),ニューヨーク(New York),1990年; およびスコープス(Scopes),タンパク質精製(Protein Purification),シュプリンガー出版(Springer Verlag),ハイデルベルク,1994年に記載される。
【0059】
多様な培養方法論が本発明のタンパク質を産生するため適用され得る。例えば、組換え微生物宿主から過剰発現された特異的遺伝子産物の大規模産生は、例えばバッチ、フェドバッチ、連続または半連続培養方法論により産生され得る。様々な培養法の詳細は、例えば、トーマス・D.ブロック(Thomas D.Brock)のバイオテクノロジー:工業微生物学の教科書(Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology),第2版(1989年)シノエール・アソシエイツ社(Sinauer Associates,Inc.)、サンダーランド(Sunderland),Mass.,またはデシュパンド(Deshpande)、Appl.Biochem.Biotechnol.36,227−234頁、1992年に見出され得る。
【0060】
発酵培地は、グルコースおよびフルクトースなどの単糖類、ラクトースまたはショ糖などの少糖類、デンプンまたはセルロースなどの多糖類もしくはそれらの混合物および再生可能原料由来の未精製混合物を含むが限定はされない好適な炭素基質を包含し得る。本発明において利用される炭素源は多種多様な炭素含有基質を網羅し得るとともに生物体の選択に依存する。
【0061】
本発明はさらに、低減されたフィードバック阻害感受性を有する修飾メバロネートキナーゼの調製のための方法/プロセスに関し、次のステップを含んでなる:
(a)フィードバック阻害感受性を示す第1のメバロネートキナーゼをコードするポリヌクレオチドを提供するステップ、
(b)1個またはそれ以上の突然変異をポリヌクレオチド配列へと導入することで、第1のメバロネートキナーゼと比較した時少なくとも1個のアミノ酸突然変異を包含し、ここで少なくとも1個のアミノ酸突然変異は配列番号1に示されるとおりの出芽酵母メバロネートキナーゼのアミノ酸配列の位置55、59、66、83、106、111、117、142、152、158、218、231、249、367および375位に対応するアミノ酸位置からなる群より選択される1箇所またはそれ以上のアミノ酸位置においてである第2のメバロネートキナーゼを、突然変異ポリヌクレオチド配列がコードするステップ、
(c)ベクターまたはプラスミド内に突然変異ポリヌクレオチドを任意に挿入するステップ、
(d)ステップ(b)または(c)のポリヌクレオチドを好適な宿主細胞へと導入するステップ、および
(e)低減されたフィードバック阻害感受性を有する修飾メバロネートキナーゼの発現を可能にする条件下で宿主細胞を培養するステップ。
【0062】
この方法の好ましい実施形態は、修飾メバロネートキナーゼ、それをコードするポリヌクレオチド、ベクターおよびプラスミド、宿主細胞、および本明細書に記載される方法の好ましい実施形態に対応する。第1および第2のメバロネートキナーゼは、各々非修飾および修飾メバロネートキナーゼに対応する(上記を参照)。
【0063】
本発明はさらに、イソプレノイド産生のための方法またはプロセスに関し、
(a)本発明の宿主細胞を好適な培地において宿主細胞中の修飾メバロネートキナーゼの発現を可能にする条件下で培養するステップ、および
(b)イソプレノイドを培地から任意に分離するステップ、を含んでなる。
【0064】
好ましくは、本発明の修飾メバロネートキナーゼはイソプレノイドの産生増加に使用される。
【0065】
かかる方法/プロセスは、任意の種類のイソプレノイドまたはイソプレノイド化合物の生物工学的産生に使用され得る。メバロネートに由来し得る任意の代謝産物およびプレニル化高分子が本特許出願の文意におけるイソプレノイドとして使用され得る。これらイソプレノイドは天然経路または非天然経路(すなわち、自然中で発生しないが、生物工学的に改変された経路)のいずれからも生成され得る。かかるイソプレノイドの非限定的な例は、ホパントリテルペン、キノン、カロテノイド、モノ−、セスキ−、ジ−およびトリテルペン、クロロフィルのプレニル側鎖、ヘムA、ドリコール、ステロール/ステロイド、レチノイド、およびゴムまたはゴム誘導体、好ましくは天然ゴム(=cis−1,4−ポリイソプレン;ムーイブルック(Mooibroek)およびコルニッシュ(Cornish),Appl.Microbiol.Biotechnol.53,355−365頁、2000年)を含む。
【0066】
本発明の範囲内でキノンは、例えば、ユビキノン(=コエンザイムQ)、メナキノン、プラストキノンおよびアントラキノン、好ましくはコエンザイムQ6、コエンザイムQ7、コエンザイムQ8、コエンザイムQ9、コエンザイムQ10またはコエンザイムQ11より選択され得、および最も好ましくはコエンザイムQ10である(クラーク(Clarke)、プロトプラズマ(Protoplasma)213,134−147頁、2000年;ハン(Han)ら,植物細胞組織器官培養(Plant Cell Tissue Organ Culture)67,201−220頁、2001年;カワムカイ(Kawamukai)、J.Biosci.Bioeng.94,511−517頁、2002年)。本発明の範囲内でカロテノイドは、例えば、フィトエン、リコピン、α−、β−およびγ−カロテン、ルテイン、ゼアキサンチン、β−クリプトキサンチン、アドニキサンチン、エチネノン、カンタキサンチン、アスタキサンチンおよびそれらの誘導体より選択され得る(ミサワ(Misawa)&シマダ(Shimada),J.Biotechnol.59,169−181頁,1998年;ミウラ(Miura)ら,Appl.Environ.Microbiol.64,1226−1229頁,1998年;ヒルシュベルグ(Hirschberg),Curr.Opin.Biotechnol.10,186−191頁、1999年;マルガリス(Margalith),Appl.Microbiol.Biotechnol.51,431−438頁,1999年;シュミット−ダンネルト(Schmidt−Dannert)、Curr.Opin.Biotechnol.11,255−261頁,2000年;サンドマン(Sandmann),Arch.Biochem.Biophys.385,4−12頁,2001年;リー(Lee)およびシュミット−ダンネルト(Schmidt−Dannert),Appl.Microbiol.Biotechnol.60,1−11頁、2002年)。本発明の範囲内でステロールは、例えば、エルゴステロール、コレステロール、ヒドロコルチゾン(メナード・スッチェバラ(Menard Szczebara)ら,Nature Biotechnol.21,143−149頁,2003年)、ビタミンD、25−ヒドロキシビタミンD3、食事性植物ステロール(リン(Ling)およびジョーンズ(Jones)、Life Sci.57,195−206頁,1995年)および天然界面活性物質(ホルムバーグ(Holmberg),Curr.Opin.Colloid.Interface Sci.6,148−159頁,2001年)およびそれらの誘導体より選択され得る。
【0067】
上記で定義されたとおりの イソプレノイドまたはイソプレノイド化合物の産生に好適な宿主細胞は、遺伝子改変を受け入れやすい全ての種類の生物体、例えば、細菌、酵母を含む菌類、藻類、植物またはヒト細胞を含む動物細胞などであり得る。これら宿主細胞は、本発明の修飾メバロネートキナーゼの発現について上記で定義されるものと同じであり得る。遺伝子的および代謝的改変の方法は当業者に周知である(例えば、ベルポールト(Verpoorte)ら,Biotechnol.Lett.21,467−479頁、1999年;ベルポールト(Verpoorte)ら,Transgenic Res.9,323−343頁,2000年;バルコヴィッチ(Barkovich)およびリャオ(Liao)、Metab.Eng.3,27−39頁、2001年)。同様に、イソプレノイドおよびイソプレノイド化合物に(潜在的に)好適な精製方法は当該技術分野において十分に周知である。
【0068】
本発明によるイソプレノイドの生物工学的産生のための方法/プロセスは、例えば上記のとおりの細胞全体の発酵プロセス、透過処理された宿主細胞、粗細胞抽出物、例えば遠心分離または濾過といった任意の好適な方法により細胞レムナントから純化される細胞抽出物、または単離された酵素での再構成された反応経路によってさえ、実施され得る。またかかるプロセスの組み合わせは本発明の範囲にありもする。無細胞生合成(例えば再構成された反応経路によるなど)の場合、酵素が如何にして調製されたか、例えば、宿主細胞からの単離によって、インビトロ転写/翻訳によって、またはいまだ当該技術分野において周知の他の手段によってなどには無関係である。
【0069】
上記のとおり修飾Mvkを使用する、例えばコエンザイムQ10などのイソプレノイドの産生は、非修飾Mvkを使用する同じイソプレノイドの産生と比較した時、例えば少なくとも約1%、2%、5%、10%、15%、20%、30%またはそれ以上増加し得る。所与の試料中におけるイソプレノイド化合物の濃度測定の一手法が、実施例5に記載される。
【0070】
本発明の別の態様は、メバロネートキナーゼの活性低下に付随する疾患治療用薬物の製造のための、本発明の修飾メバロネートキナーゼまたは本発明のポリヌクレオチドの使用である。かかる疾患はメバロン酸尿症、または高免疫グロブリンD症候群および周期熱症候群を含むが限定はされない。本発明の修飾メバロネートキナーゼは治療酵素として投与されることが好ましい。好適な投与様式は、例えば、経口、非経口、腹腔内および/または皮下投与であり得る。本発明の修飾メバロネートキナーゼは、少なくともかかる酵素の1個を単独で含んでなる、または例えば薬剤的に許容し得る担体、賦形剤および/または希釈剤との混合物における医薬組成物(例えば、顆粒剤、酵素結晶、錠剤、丸剤、カプセル、注射、溶液、および同類のもの)として処方され得る。医薬組成物は従来の方法に従って処方され得る。任意の特定患者に特異的な用量レベルが、例えば用いられる特異的化合物の活性、年齢、体重、全身の健康、性別、食事、投与時間、投与経路、排泄速度、薬剤併用、および治療中の特定疾患の重症度を含む多様な要因に応じて用いられ得る。
【0071】
本発明のポリヌクレオチドは遺伝子治療プロトコルに使用され得る。
【0072】
本発明のさらに別の態様は、生体液中のメバロネート濃度を決定するための、本発明の修飾メバロネートキナーゼまたは本発明のポリヌクレオチドの使用である。生体液の非限定的な例は、血液、血清、血漿、脳脊髄液、尿、涙、汗、ならびに他の細胞内液、細胞間液および/または細胞外液を含む。
【0073】
上記のとおりの修飾メバロネートキナーゼをコードする核酸配列、ベクター、好ましくはかかるポリヌクレオチドを含んでなる発現ベクター、かかるポリヌクレオチドまたはベクターにより形質転換された宿主細胞、上記のとおりの宿主細胞が好適な培養条件下で培養されるとともにメバロネートキナーゼがかかる宿主細胞または培地から当該技術分野において周知の方法により単離される本発明の修飾メバロネートキナーゼの調製のためのプロセス、およびかかるポリヌクレオチドまたはベクターにより形質転換され、および/またはかかるポリヌクレオチドをその染色体へと安定的に組み込まれた宿主細胞に基づくイソプレノイドの生物工学的産生のためのプロセスを含んでなるポリヌクレオチドを提供することが本発明の目的である。
【0074】
(i)本発明の特異的突然変異の少なくとも1個を保有するメバロネートキナーゼをコードするとともに標準条件下で本発明の特異的修飾メバロネートキナーゼの任意のDNA配列とハイブリダイズするDNA配列、または(ii)本発明の特異的突然変異の少なくとも1個を保有するメバロネートキナーゼをコードするものの、遺伝暗号の縮重のためハイブリダイズしないが、標準条件下で本発明の特異的修飾メバロネートキナーゼの任意のDNA配列とハイブリダイズするDNA配列と全く同じアミノ酸配列を備えたポリペプチドをコードするDNA配列、または(iii)それがその断片であるところのポリペプチドの活性特性を維持するようなDNA配列の断片であるDNA配列を提供することもまた本発明の目的である。
【0075】
ハイブリダイゼーションのための「標準条件」は文意において、当業者により特異的なハイブリダイゼーションシグナルを検出するため一般に使用されるとともに例えばサムブルック(Sambrook)ら、『分子クローニング(Molecular Cloning)』、第2版、コールド・スプリング・ハーバー研究所出版(Cold Spring Harbor Laboratory Press)1989年、ニューヨーク(New York)に記載される条件、または当業者が精通しているとともに例えばサムブルック(Sambrook)ら(上記参照)に記載される、好ましくはいわゆるストリンジェントなハイブリダイゼーションおよび非ストリンジェントな洗浄条件、またはより好ましくはいわゆるストリンジェントなハイブリダイゼーションおよびストリンジェントな洗浄条件を意味する。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の特異的例は、50%ホルムアミド、5×SSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハート溶液、10%硫酸デキストラン、および20μg/mlの変性剪断サケ精子DNAを含んでなる溶液中において42℃で一晩のインキュベーション(例えば、15時間)の後、ハイブリダイゼーション支持体を0.1×SSC中において約65℃で10分間×3回洗浄する。
【0076】
いわゆるポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)により、本発明の具体的に記載されたDNA配列の塩基上で設計される好適なプライマーによって得られ得るDNA配列を提供することが、さらにその上の本発明の目的である。そのように得られたDNA配列は、そこからそれらが設計されるとともに同等の活性特性を示す突然変異と少なくとも同じ突然変異のメバロネートキナーゼをコードすることが分かっている。
【0077】
本明細書に記載される本発明の様々な実施形態は相互併用され得る。
【0078】
次の非限定的な実施例がさらに本発明を説明する。
【0079】
実施例1:メバロネートキナーゼ活性およびフィードバック阻害因子による阻害の測定
メバロネートを基質として調製するため、130mgのDL−メバロネートラクトン(フルカ・ケミ(FLUKA Chemie)AG,ブックス(Buchs),スイス(Switzerland))が0.2MのKOH5.5ml中に溶解されるとともに50℃で15分間インキュベートされた。溶液は次に、室温(RT)で0.1MのHClを加えることによりpH7.0に調整された。別段に述べられる場合を除き、アッセイ混合物は100mMのKHPO/KHPO(pH7.0)、1mMのATP、2mMのMgCl、1mMのメバロネート、0.5mMのホスホエノールピルビン酸(PEP)、0.32mMのNADH、20U/mlのピルビン酸キナーゼおよび27U/mlの乳酸脱水素酵素(シグマアルドリッチ(Sigma−Aldrich),セントルイス(St.Louis),ミズーリ州(MO),米国)から成った。阻害は1μMのFPPを添加することにより試験された。
【0080】
Hisタグ付きメバロネートキナーゼおよびHisタグ付きメバロネートキナーゼ変異体酵素の精製はNi−NTAクロマトグラフィーでキアゲン(Qiagen)のQIAエクスプレス(QIAexpress)システム/試薬を使用して行われた。精製された(Hisタグ付き)メバロネートキナーゼを加えると、NADH消費の反映される酵素反応の後に340nmでの光度測定が続いた。1ユニット(1U)のメバロネートキナーゼ活性は、1分間当たり1μmolのメバロネートのリン酸化を触媒する。
【0081】
実施例2:出芽酵母メバロネートキナーゼのフィードバック耐性変異体の生成
出芽酵母(配列番号2)由来のメバロネートキナーゼのcDNAは、PCRにより、SphI制限部位(配列番号10)を包含するプライマーMvk−SphIをHis配列ならびにATG開始コドンのないメバロネートキナーゼの5’末端配列の小片とともに、および終止コドンおよびHindIII制限部位(配列番号11)を含む3’末端配列プライマーMvk−HindIIIを使用して増幅される。PCR反応は供給者のプロトコル(94.5℃で30秒間を1サイクル;94.5℃で30秒間、55℃で30秒間、70℃で3分間を25サイクル)に従い、ストラタジーン(Stratagene)(ラ・ホーヤ(La Jolla),カリフォルニア州,米国)のターボ(Turbo)−Pfuポリメラーゼを使用して実行される。アガロースゲル電気泳動による精製の後、PCR産物はSphIおよびHindIIIにより消化されるとともに、同じ酵素で消化されるpQE−80L(キアゲン,ヒルデン(Hilden),ドイツ)中に連結され、結果としてpQE−80L−His−Mvkになる。プラスミドpQE−80Lはlacオペレーターエレメントにより制御されるT5プロモーターを包含し、同じくpQE−80Lによりコードされるlacリプレッサーによりシス阻害され得る。次にプラスミドが供給者のプロトコルに従い大腸菌DH5α(インビトロジェン(Invitrogen),カールズバッド(Carlsbad),カリフォルニア州,米国)に形質転換される。大腸菌の指数関数的成長中に100μMのIPTGを0.6のOD600nmで加えると、Hisタグ付きメバロネートキナーゼが30℃で4時間、250rpmでの振盪により導入される。
【0082】
Hisタグ付きメバロネートキナーゼの部位特異的突然変異誘発はいわゆる「2段階PCR」によりストラタジーン(ラ・ホーヤ,カリフォルニア州,米国)のターボ(Turbo)−PfuDNAポリメラーゼを使用して実現される。第1のPCR(条件については上記を参照)は、第1のプライマーとして突然変異されたコドンを包含する配列番号12〜26に表されるプライマーの1つ、および第2のプライマーとしてpQE−80Lのマルチプルクローニング部位(MCS)の5’末端における配列の小片に対応するプライマーpQE−5’(配列番号27)で実施される。鋳型はpQE−80L−His−Mvkである。PCR産物はアガロースゲル電気泳動により精製されるとともに、MCSの3’末端配列の小片を内包するプライマーpQE−3’(配列番号28)とともに、野生型pQE−80L−His−Mvkを鋳型として第2のPCR反応用プライマーとして使用される。PCR産物(1.4kb)はアガロースゲル電気泳動により精製されるとともに、SphIおよびHindIIIにより消化され、これをもってHis−MvkはpQE−80Lへとサブクローニングされる。最終的には、消化された断片がアガロース電気泳動により精製されるとともに同じ制限酵素により直線化されるpQE−80Lへと連結され、結果として突然変異されたpQE−80L−His−Mvkとなる。
【0083】
実施例3:出芽酵母メバロネートキナーゼ変異体のフィードバック耐性
メバロネートの調製および活性測定は、全く実施例1に記載のとおりに実施された。1μMのFPPが出芽酵母メバロネートキナーゼ野生型酵素およびその変異体で実施される阻害アッセイに使用された。
【0084】
フィードバック耐性(%)は次式に従い計算された:
%耐性=100・((d/c)−(b/a))/(1−(b/a))
式中、(a)および(b)はFPPの不在下および存在下各々における野生型酵素の測定された修飾メバロネートキナーゼ活性を、かつ(c)および(d)はFPPの不在下および存在下各々における変異体酵素の測定されたメバロネートキナーゼ活性を言う。結果は表1に示され、なかでWTはHisタグ(配列番号3)を包含する非突然変異メバロネートキナーゼを表す。
【0085】
【表1】

【0086】
実施例4:フィードバック阻害に対する酵素の耐性に影響を有することが予め同定されるアミノ酸残基/位置における出芽酵母メバロネートキナーゼの飽和突然変異誘発
飽和突然変異誘発は、飽和突然変異誘発に供されるコドンがランダム化された配列より作られる手法で突然変異誘発プライマーが合成されることを除き、実施例2に記載されるとおりと同じ手法で行われる。
【0087】
実施例5:フィードバック阻害耐性メバロネートキナーゼを使用するコエンザイムQ10の改良された産生
突然変異N66K/I152MのコエンザイムQ10産生に対するインビボ効果を試験するため、出芽酵母メバロネートキナーゼ変異体N66K/I152M(配列番号5)をコードするDNAがパラコッカス・ゼアキサンチニファシエンスへと導入されるとともに、野生型出芽酵母メバロネートキナーゼ(配列番号2)をコードするDNAを保有するP.ゼアキサンチニファシエンス中のCoQ10産物と比較される。
【0088】
プラスミド作成
プラスミドpQE−80L−His−Mvk(実施例3を参照)が大腸菌へと実施例2に従い導入された。大腸菌株は37℃でLB培地(ベクトン・ディッキンソン(Becton Dickinson),スパークス(Sparks),メリーランド州(MD),米国)中で成長させた。組換え大腸菌株中のプラスミドの維持のため、アンピシリン(100μg/ml)および/またはカナマイシン(25〜50μg/ml、実験に応じて)が培地に添加された。寒天(最終濃度1.5%)が固形培地として添加された。培養液は200rpmの回転振盪機中で成長させた。
【0089】
プラスミドpBBR1MCS−2の部位SacIとNsiIとの間に挿入されたプラスミドpBBR−K−mev−op−R114がそのプロモーター領域を含むP.ゼアキサンチニファシエンスR114由来のメバロネートオペロンを包含するため作成された(コバック(Kovach)ら,ジーン(Gene)166,175−176頁,1995年)。クローン化メバロネートオペロンは、ジェンバンク/EMBL受託番号AJ431696を有する配列のヌクレオチド2469から9001由来の配列に対応する。SacI部位とメバロネートオペロン配列との間には短いリンカー配列があり、プラスミドpCR(登録商標)2.1−TOPO(インビトロジェン,カールズバッド,カリフォルニア州,米国)に由来するとともにSacI部位からPCR断片挿入部位までの配列に対応する。
【0090】
P.ゼアキサンチニファシエンス株ATCC 21588由来のddsA遺伝子の、Ecl136 IIとpBBR−K−mev−op−R114のSpeI部位との間のcrtEプロモーター領域制御下での導入の結果、pBBR−K−mev−op−R114−PcrtE−ddsAwtとなった(pBBR−K−PcrtEの作成については、国際公開第02/099095号パンフレットの実施例6を参照)。ATCC21588(ddsAwt)株のddsA遺伝子のDNA配列は配列番号29に示され、対応するアミノ酸配列は配列番号30に表される。
【0091】
pBBR−K−mev−op−R114−PcrtE−ddsAwtによるプラスミドが作成され、ここでプロモーター領域を含むP.ゼアキサンチニファシエンスR114由来のメバロネートオペロン(上記参照)は、野生型出芽酵母メバロネートキナーゼ(配列番号2)をコードして結果としてpBBR−K−mev−op−(S.cerevisiae mvk)−PcrtE−ddsAwtとなるDNAか、出芽酵母メバロネートキナーゼ変異体N66K/I152M(配列番号5)をコードして結果としてpBBR−K−mev−op−(S.cerevisiae mvk−N66K/I152M)−PcrtE−ddsAwtとなるDNAかのいずれかにより置換される。
【0092】
組換えP.ゼアキサンチニファシエンス株の作成
P.ゼアキサンチニファシエンス株は28℃で成長させる。P.ゼアキサンチニファシエンスの培養に使用される培地の組成は以下に記載される。フラスコ中で成長させるP.ゼアキサンチニファシエンスの全ての培養液は、別段に特定されない限り、200rpmの回転振盪機中で振盪される。寒天(最終濃度2%)が固形培地として添加される。培地がオートクレーブにより無菌化される時、無菌化後に所望の最終濃度を実現するようグルコースが(濃縮原液として)添加される。F培地は(1リットル蒸留水当たり)、10gのトリプトン、10gの酵母抽出物、30gのNaCl、10gのD−グルコース・HO、5gのMgSO・7HOを包含する。pHは、濾過またはオートクレーブによる無菌化前に7.0に調整される。培地362F/2は(1リットル蒸留水当たり)、33gのD−グルコース・HO、10gの酵母抽出物、10gのトリプトン、5gのNaCl、2.5gのMgSO・7HOを包含する。培地のpHは、濾過またはオートクレーブによる無菌化前に7.4に調整される。無菌化に続き、各2.5ml(1リットル最終溶液当たり)の微量元素溶液、NKP溶液およびCaFe溶液が添加される。これら3溶液は濾過により無菌化される。微量元素溶液は(1リットル蒸留水当たり)、80gの(NHFe(SO・6HO、6gのZnSO・7HO、2gのMnSO・HO、0.2gのNiSO・6HO、6gのEDTAを包含する。NKP溶液は(1リットル蒸留水当たり)、250gのKHPO,300gの(NHPOを包含する。CaFe溶液は(1リットル蒸留水当たり)、75gのCaCl・2HO、5gのFeCl・6HO、3.75mlの濃縮HClを包含する。
【0093】
P.ゼアキサンチニファシエンス株R114のエレクトロコンピテントセルの調製および電気穿孔は次のとおり実施される:100mlのF培地は、1.5mlのP.ゼアキサンチニファシエンス株R114の定常期培養物を接種されるとともに28℃、200rpmで、660nmでの光学密度が約0.5に達するまで成長させる。細胞は、15分間、4℃、7000×gの遠心分離により収集されるとともにpH7の氷冷HEPES緩衝液100ml中で2回洗浄される。最終ペレットはpH7の氷冷HEPES緩衝液0.1ml中で再懸濁されるとともに、細胞は直ちに電気穿孔に使用されるか、グリセロールが最終濃度15%まで添加されるとともに細胞が−80℃で50μlアリコート中に貯蔵されるかのいずれかである。1から5μlのプラスミドDNAが無塩溶液中に添加されるとともに電気穿孔が18kV/cmおよび129オームで氷冷1mmキュベット中において実施される。パルス長は典型的には4と5ミリ秒との間である。1mlのF培地が添加されるとともに細胞が28℃で1時間インキュベートされる。希釈は25〜50μg/mlカナマイシンを含むF寒天平板上に塗られるとともに28℃でインキュベートされる。推定形質転換体が所望のプラスミドを包含することがPCR分析により確認される。
【0094】
コエンザイムQ10産生評価のための培養条件
コエンザイムQ10産生はP.ゼアキサンチニファシエンス株R114/pBBR−K−mev−opR114−PcrtE−ddsAwt、R114/pBBR−K−mev−op−(S.cerevisiae mvk)−PcrtE−ddsAwtおよびR114/pBBR−K−mev−op−(S.cerevisiae mvk−N66K/I152M)−PcrtE−ddsAwtのフェドバッチ培養において試験される。全ての培養物は凍結細胞懸濁液(25%グリセロールストックとして−80℃で貯蔵される)から開始される。フェドバッチ発酵のための前培養物は各200mlの362F/2培地を包含する複製2リットルバッフル付き振盪フラスコ中で調製される。2ミリリットルの解凍細胞懸濁液が接種材料として各フラスコ中で使用される。前培養物の初期pHは7.2である。前培養物は28℃で250rpmの振盪とともに28時間インキュベートされ、その時間の後660nmでの光学密度(OD660)は、使用される株に応じて14と22吸光度単位との間である。主な培養物は、次の組成(1リットル蒸留水当たり):25gのD−グルコース・HO、17gの酵母抽出物(タストーン(Tastone)900)、4.0gのNaCl、6.25gのMgSO・7HO、0.5gの(NHFe(SO・6HO、0.038gのZnSO・7HO、0.013gのMnSO?HO、0.001gのNiSO・6HO、0.47gのCaCl・2HO、0.062gのFeCl・6HO、0.01gのナイアシン、0.5gのNHCl、0.1mlの消泡剤、3.5mlのKP溶液、を有する培地を包含するバイオスタット(Biostat) ED バイオリアクター(Bioreactors)(B.ブラウン バイオテック・インターナショナル(B.Braun Biotech International),メルスンゲン(Melsungen),ドイツ)中で成長させる。KP溶液の組成は(1リットル蒸留水当たり)、250gのKHPO、200gのNaHPO・2HO、100gの(NHHPOである。カナマイシン(最終濃度50mg/l)がプラスミド保有株用培地に添加される。全てのプロセスにおいて使用されるフィーディング溶液は次の組成を有する(1リットル蒸留水当たり):550gのD−グルコース・HO、18.25mlのKP溶液。バイオリアクター(接種後)の初期容量は8.0lである。前培養物は必要に応じて滅菌水で、バイオリアクターへの400mlの添加の結果として初期OD660値が0.5となるよう希釈される。発酵条件は次のとおり自動的に制御される:28℃、pH7.2(28%NHOHの添加で制御されるpH)、攪拌により最小40%相対値で制御される溶存酸素、300rpmの最小攪拌および1v.v.m.の通気速度(最終容量に対して)。培養はこれら条件下で約20時間(バッチ段階)フィード溶液の添加なしに進められフィーディング段階に続く。この時間の後、攪拌速度の低下、塩基消費の休止、pH急上昇およびCO産生の低下が、初期グルコースが消耗されるとともにフィーディングが開始されることの指標である。標準的なフィードプロファイルは次のとおり定義される(フィーディング開始点から):17時間に50g/hから80g/hまで上昇、80g/hで7時間継続し、次の11時間に55g/hまで下降、および残りの発酵のため55g/hで継続(総発酵時間=70時間)。主培養物の最終容量は約10リットルである。
【0095】
分析方法
全培養ブロス400μlが使い捨て15mlポリプロピレン遠心管に移される。1:1(v/v)(DMSO/テトラヒドロフラン)で安定抽出溶液4ミリリットル(0.5g/lの3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン)が添加されるとともに、抽出物を増強するため試料が実験室の振盪機(IKA,ドイツ)で20分間混合される。最終的に、試料は遠心分離されるとともに上清がアンバーガラスバイアルへ逆相HPLCによる分析のため移される。この方法はユビキノンおよびそれに対応するヒドロキノンの同時定量用に、CoQ10のカロテノイド・ゼアキサンチン、フィトエン、β−クリプトキサンチン、β−カロテンおよびリコペンからの明確な分離に伴い、開発された。クロマトグラフィーは、温度制御オートサンプラーおよびダイオードアレイ検出器を備えたアジレント(Agilent)1100 HPLCシステム(アジレント・テクノロジー(Agilent Technologies),米国)を使用して実施される。方法のパラメータは次のとおりであった:
【0096】
【表2】

【0097】
【表3】

【0098】
コエンザイムQ10産生結果
上記のフェドバッチ培養条件下で、P.ゼアキサンチニファシエンス株R114/pBBR−K−mev−op−(S.cerevisiae mvk−N66K/I152M)−PcrtE−ddsAwtにより産生されるコエンザイムQ10の最終濃度は、プラスミドpBBR−K−mev−op−(S.cerevisiae mvk)−PcrtE−ddsAwtを保有するR114株について観測されたものより少なくとも5%高い。
【0099】
実施例6:出芽酵母メバロネートキナーゼと相同であるメバロネートキナーゼ中の対応する残基の同定
種々のメバロネートキナーゼのマルチプルアミノ酸配列アラインメントが図1に示されるとおり計算された。「Mvk_yeast(酵母)」と命名される配列は配列番号1に対応し、「Mvk−P−zeaxanthinifaciens(ゼアキサンチニファシエンス)」と命名される配列は配列番号6に対応する。
【0100】
出芽酵母メバロネートキナーゼ(配列番号1)のアミノ酸配列の特異的アミノ酸位置に対応する次の残基が同定された(Mvkの供給源、すなわち各々の配列の受託番号を含む生物体名についてのさらなる参考に、図1の説明文を参照)。
【0101】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1A】プログラムのクラスタルW(バージョン1.82,EMBL,ハイデルベルク,ドイツ)で計算される、様々な供給源(対応するアミノ酸/ヌクレオチド配列各々の受託番号および配列番号が示される):マウス(mouse)(スイスプロット受託番号Q9R008/ジェンバンク受託番号AF137598)、ラット(rat)(スイスプロット受託番号P17256/ジェンバンク受託番号M29472)、ヒト(H_sapiens(サピエンス);スイスプロット受託番号Q03426/ジェンバンク受託番号M88468),ファフィア・ロドジマ(P_rhodozyma(ロドジマ);配列番号8/9)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)(S_pombe(ポンベ);スイスプロット受託番号Q09780/ジェンバンク受託番号AB000541)、出芽酵母(yeast(酵母);スイスプロット受託番号P07277/ジェンバンク受託番号NP013935;配列番号1/2)、アエロパイラム・ペルニクス(Aeropyrum pernix)(A_pernix(ペルニクス);スイスプロット受託番号Q9Y946/ジェンバンク受託番号AP000064)、パイロコッカス・アビシ(Pyrococcus abyssi)(P_abyssi(アビシ);スイスプロット受託番号Q9V187/ジェンバンク受託番号AJ248284)、パイロコッカス・ホリコシ(Pyrococcus horikoshii)(P_horikoshii(ホリコシ);スイスプロット受託番号O59291/ジェンバンク受託番号AB009515)、パイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)(P_furiosus(フリオサス);スイスプロット受託番号Q8U0F3/ジェンバンク受託番号AE010263)、メタノバクテリウム・サーモオートトロフィカム(Methanobacterium thermoautotrophicum)(M_thermoautotrophicum(サーモオートトロフィカム);スイスプロット受託番号Q50559/ジェンバンク受託番号U47134)、アーケオグロブス・フルギダス(Archaeoglobus fulgidus)(A_fulgidus(フルギダス);スイスプロット受託番号O27995/ジェンバンク受託番号AE000946)、メタノコッカス・ヤンナスキ(Methanococcus jannaschii)(M_jannaschii(ヤンナスキ);スイスプロット受託番号Q58487/ジェンバンク受託番号U67551)、およびパラコッカス・ゼアキサンチニファシエンス(P_zeaxanthinifaciens(ゼアキサンチニファシエンス);配列番号6/7)からのメバロネートキナーゼ配列のマルチプル配列アラインメント。出芽酵母メバロネートキナーゼアミノ酸配列(配列番号1)が、それに対する他の配列の位置、例えば上記に挙げられたものが参照される(表3も参照)アミノ酸番号付けの参考として使用される。配列番号1の位置55、59、66、83、106、111、117、142、152、158、218、231、249、367および375位に対応するアミノ酸が強調表示される。
【図1B】プログラムのクラスタルW(バージョン1.82,EMBL,ハイデルベルク,ドイツ)で計算される、様々な供給源(対応するアミノ酸/ヌクレオチド配列各々の受託番号および配列番号が示される):マウス(mouse)(スイスプロット受託番号Q9R008/ジェンバンク受託番号AF137598)、ラット(rat)(スイスプロット受託番号P17256/ジェンバンク受託番号M29472)、ヒト(H_sapiens(サピエンス);スイスプロット受託番号Q03426/ジェンバンク受託番号M88468)、ファフィア・ロドジマ(P_rhodozyma(ロドジマ);配列番号8/9)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)(S_pombe(ポンベ);スイスプロット受託番号Q09780/ジェンバンク受託番号AB000541)、出芽酵母(yeast(酵母);スイスプロット受託番号P07277/ジェンバンク受託番号NP013935;配列番号1/2)、アエロパイラム・ペルニクス(Aeropyrum pernix)(A_pernix(ペルニクス);スイスプロット受託番号Q9Y946/ジェンバンク受託番号AP000064)、パイロコッカス・アビシ(Pyrococcus abyssi)(P_abyssi(アビシ);スイスプロット受託番号Q9V187/ジェンバンク受託番号AJ248284)、パイロコッカス・ホリコシ(Pyrococcus horikoshii)(P_horikoshii(ホリコシ);スイスプロット受託番号O59291/ジェンバンク受託番号AB009515)、パイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)(P_furiosus(フリオサス);スイスプロット受託番号Q8U0F3/ジェンバンク受託番号AE010263)、メタノバクテリウム・サーモオートトロフィカム(Methanobacterium thermoautotrophicum)(M_thermoautotrophicum(サーモオートトロフィカム);スイスプロット受託番号Q50559/ジェンバンク受託番号U47134)、アーケオグロブス・フルギダス(Archaeoglobus fulgidus)(A_fulgidus(フルギダス);スイスプロット受託番号O27995/ジェンバンク受託番号AE000946)、メタノコッカス・ヤンナスキ(Methanococcus jannaschii)(M_jannaschii(ヤンナスキ);スイスプロット受託番号Q58487/ジェンバンク受託番号U67551)、およびパラコッカス・ゼアキサンチニファシエンス(P_zeaxanthinifaciens(ゼアキサンチニファシエンス);配列番号6/7)からのメバロネートキナーゼ配列のマルチプル配列アラインメント。出芽酵母メバロネートキナーゼアミノ酸配列(配列番号1)が、それに対する他の配列の位置、例えば上記に挙げられたものが参照される(表3も参照)アミノ酸番号付けの参考として使用される。配列番号1の位置55、59、66、83、106、111、117、142、152、158、218、231、249、367および375位に対応するアミノ酸が強調表示される。
【図1C】プログラムのクラスタルW(バージョン1.82,EMBL,ハイデルベルク,ドイツ)で計算される、様々な供給源(対応するアミノ酸/ヌクレオチド配列各々の受託番号および配列番号が示される):マウス(mouse)(スイスプロット受託番号Q9R008/ジェンバンク受託番号AF137598)、ラット(rat)(スイスプロット受託番号P17256/ジェンバンク受託番号M29472)、ヒト(H_sapiens(サピエンス);スイスプロット受託番号Q03426/ジェンバンク受託番号M88468)、ファフィア・ロドジマ(P_rhodozyma(ロドジマ);配列番号8/9)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)(S_pombe(ポンベ);スイスプロット受託番号Q09780/ジェンバンク受託番号AB000541)、出芽酵母(yeast(酵母);スイスプロット受託番号P07277/ジェンバンク受託番号NP013935;配列番号1/2)、アエロパイラム・ペルニクス(Aeropyrum pernix)(A_pernix(ペルニクス);スイスプロット受託番号Q9Y946/ジェンバンク受託番号AP000064)、パイロコッカス・アビシ(Pyrococcus abyssi)(P_abyssi(アビシ);スイスプロット受託番号Q9V187/ジェンバンク受託番号AJ248284)、パイロコッカス・ホリコシ(Pyrococcus horikoshii)(P_horikoshii(ホリコシ);スイスプロット受託番号O59291/ジェンバンク受託番号AB009515)、パイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)(P_furiosus(フリオサス);スイスプロット受託番号Q8U0F3/ジェンバンク受託番号AE010263)、メタノバクテリウム・サーモオートトロフィカム(Methanobacterium thermoautotrophicum)(M_thermoautotrophicum(サーモオートトロフィカム);スイスプロット受託番号Q50559/ジェンバンク受託番号U47134)、アーケオグロブス・フルギダス(Archaeoglobus fulgidus)(A_fulgidus(フルギダス);スイスプロット受託番号O27995/ジェンバンク受託番号AE000946)、メタノコッカス・ヤンナスキ(Methanococcus jannaschii)(M_jannaschii(ヤンナスキ);スイスプロット受託番号Q58487/ジェンバンク受託番号U67551)、およびパラコッカス・ゼアキサンチニファシエンス(P_zeaxanthinifaciens(ゼアキサンチニファシエンス);配列番号6/7)からのメバロネートキナーゼ配列のマルチプル配列アラインメント。出芽酵母メバロネートキナーゼアミノ酸配列(配列番号1)が、それに対する他の配列の位置、例えば上記に挙げられたものが参照される(表3も参照)アミノ酸番号付けの参考として使用される。配列番号1の位置55、59、66、83、106、111、117、142、152、158、218、231、249、367および375位に対応するアミノ酸が強調表示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対応する非修飾メバロネートキナーゼとの比較において低減されたフィードバック阻害感受性を示す修飾メバロネートキナーゼであって、
(i)前記修飾メバロネートキナーゼのアミノ酸配列が対応する前記非修飾メバロネートキナーゼのアミノ酸配列と比較した時少なくとも1個の突然変異を包含し、かつ
(ii)前記少なくとも1個の突然変異が、配列番号1に示されるとおりの出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)メバロネートキナーゼのアミノ酸配列の位置55、59、66、83、106、111、117、142、152、158、218、231、249、367および375位に対応するアミノ酸位置からなる群より選択される1箇所またはそれ以上のアミノ酸位置においてである、修飾メバロネートキナーゼ。
【請求項2】
配列番号1に示されるとおりの出芽酵母メバロネートキナーゼのアミノ酸配列の位置55、59、66、83、106、111、117、142、152、158、218、231、249、367および375位に対応するアミノ酸位置からなる群より選択される1箇所またはそれ以上のアミノ酸位置における1個またはそれ以上の突然変異から成る、請求項1に記載の修飾メバロネートキナーゼ。
【請求項3】
前記非修飾メバロネートキナーゼが出芽酵母由来である、請求項1または2に記載の修飾メバロネートキナーゼ。
【請求項4】
前記フィードバック阻害が、ファルネシル二リン酸またはゲラニルゲラニル二リン酸によるフィードバック阻害である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の修飾メバロネートキナーゼ。
【請求項5】
前記修飾メバロネートキナーゼが前記対応する非修飾メバロネートキナーゼとの比較において少なくとも10%のフィードバック耐性を示す、請求項1〜4のいずれか一項に記載の修飾メバロネートキナーゼ。
【請求項6】
前記少なくとも1個の突然変異が少なくとも1個のアミノ酸置換である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の修飾メバロネートキナーゼ。
【請求項7】
前記修飾メバロネートキナーゼが、前記対応する非修飾メバロネートキナーゼのアミノ酸配列と比較した時2個の置換を、好ましくは配列番号1に示されるとおりの配列のアミノ酸位置66および152位に対応するアミノ酸位置における2個の置換を含んでなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の修飾メバロネートキナーゼ。
【請求項8】
配列番号1に示されるとおりの配列のアミノ酸位置66位に対応するアミノ酸位置における前記置換がアスパラギンのリジンとの交換から成るとともに、配列番号1に示されるとおりの配列のアミノ酸位置152位に対応するアミノ酸位置における前記置換がイソロイシンのメチオニンとの交換から成る、請求項7に記載の修飾メバロネートキナーゼ。
【請求項9】
前記対応する非修飾メバロネートキナーゼのアミノ酸配列が図1に示されるとおりのアミノ酸配列からなる群より選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の修飾メバロネートキナーゼ。
【請求項10】
前記非修飾メバロネートキナーゼのアミノ酸配列が配列番号1である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の修飾メバロネートキナーゼ。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の修飾メバロネートキナーゼをコードするヌクレオチド配列を含んでなるポリヌクレオチド。
【請求項12】
修飾メバロネートキナーゼをコードする前記ヌクレオチド配列が配列番号5のヌクレオチド配列である、請求項11に記載のポリヌクレオチド。
【請求項13】
請求項11または12に記載のポリヌクレオチドを含んでなるベクターまたはプラスミド。
【請求項14】
請求項11〜13のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含んでなる宿主細胞。
【請求項15】
エシェリキア属(Escherichia)、パラコッカス属(Paracoccus)、ロドバクター属(Rhodobacter)、およびサッカロミセス属(Saccharomyces)からなる群より選択される請求項14に記載の宿主細胞。
【請求項16】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の修飾メバロネートキナーゼを産生するプロセスであって、
(a)請求項14または15に記載の宿主細胞を好適な培地および前記修飾メバロネートキナーゼの発現を可能にする条件下において培養するステップ、および
(b)前記修飾メバロネートキナーゼを前記細胞から、または前記培地から回収するステップ、を含んでなるプロセス。
【請求項17】
低減されたフィードバック阻害感受性を有するメバロネートキナーゼの調製のためのプロセスであって、次のステップ、
(a)フィードバック阻害感受性を示す第1のメバロネートキナーゼをコードするポリヌクレオチドを提供するステップ、
(b)1個またはそれ以上の突然変異を前記ポリヌクレオチド配列へと導入するステップであって、前記変異されたポリヌクレオチド配列が請求項1〜10のいずれか一項に記載の修飾メバロネートキナーゼである第2のメバロネートキナーゼをコードするステップ、
(c)前記変異されたポリヌクレオチドをベクターまたはプラスミドへ任意に挿入するステップ、
(d)ステップ(b)または(c)の前記ポリヌクレオチドを好適な宿主細胞へと導入するステップ、および
(e)前記宿主細胞を低減されたフィードバック阻害感受性を有する前記修飾メバロネートキナーゼの発現を可能にする条件下において培養するステップ、を含んでなる、プロセス。
【請求項18】
イソプレノイドを産生するプロセスであって、
(a)請求項14または15に記載の宿主細胞を好適な培地で前記修飾メバロネートキナーゼの発現を可能にする条件下において培養するステップ、および
(b)前記イソプレノイドを前記培地から任意に分離するステップ、を含んでなるプロセス。
【請求項19】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の修飾メバロネートキナーゼまたは請求項11または12に記載のポリヌクレオチドの、メバロネートキナーゼの活性低下に付随する疾患の治療用薬剤の製造のための使用。
【請求項20】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の修飾メバロネートキナーゼまたは請求項11または12に記載のポリヌクレオチドの、生体液中のメバロネート濃度を決定するための使用。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【公表番号】特表2008−522635(P2008−522635A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545912(P2007−545912)
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【国際出願番号】PCT/EP2005/013282
【国際公開番号】WO2006/063752
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】