説明

改良式光アクセスをともなうデュアルゾーンガス注入器を使用してプロセスチャンバにアクセスするための方法および装置

【課題】光アクセス窓のエッチングおよび堆積を低減させ、診断終点において所望のSNRを維持できるガス注入器を提供する。
【解決手段】注入器は、プロセスチャンバの外側の診断終点S−OUTから光アクセス窓70を通ってプロセスチャンバ内S−INへと、軸路に沿った光アクセスを提供する。中空のケースボディ90は、第1および第2のプロセスガスを受け取り、軸路を取り囲む。ボディ内のスリーブ92は、粒子の生成を最小限に抑えるために、ケースボディに対して促され、プロセスチャンバ内に第1のプロセスガスを注入する第1のガス穴106を画定する。スリーブの第2のガス穴124は、プロセスチャンバ内に第2のプロセスガスを注入するために、軸路を取り囲み、光信号が終点において所望の信号対ノイズ比(SNR)を有することを可能にする。第2の穴内にセプタム126を提供することによって、第2の穴を、アパーチャ136に分割する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、半導体製造に関するものであり、より具体的には、プロセスチャンバにアクセスするための方法および装置であって、アクセスが、光アクセス窓を通した光アクセスであってよく、プロセスチャンバ内に由来する条件に起因する損傷からの光アクセス窓の保護が、改良式ツーピース構成の注入器によって促進されるような、方法よび装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板からの材料のエッチングおよび基板上への材料の堆積のために、真空処理チャンバが使用されてきた。基板は、例えば、半導体ウエハであった。(本出願の受譲人であるLam Research Corporationに譲渡された)2001年5月15日付けのNi et al.に対する米国特許第6,230,651号が、参照によって本明細書に組み込まれる。該特許は、例えば半導体基板のエッチングおよびその他の処理を目的とした、処理チャンバ内部へのアクセスを提供するために、処理チャンバ上部の誘電体チャンバ窓内に設けられた、開口すなわちポートを例示している。大直径の基板の場合は、誘電体チャンバ窓のポートを通した中央からのガス注入によって、例えばエッチングおよび堆積が均一に保証され、このような処理チャンバへのアクセスが向上されると言われてきた。
【0003】
しかしながら、業界標準の増加にともなって、このような処理チャンバへのアクセスをより優れたものにための、さらなる改良が必要になってきた。例えば、チャンバ内のプロセスを監視する必要があったが、これは、ガス供給のためのアクセスに加えて、さらなるチャンバアクセスを要する。プロセスチャンバ内のプロセス条件を示すことができる光信号を監視する場合は、誘電体チャンバ窓内に、クリアな光アパーチャと称される開口が穿たれる。このような開口すなわちクリアな光アパーチャは、遮られない真直ぐな視野をともなうように構成されるので、「クリアな」という表現を使用して言及される。しかしながら、クリアな光アパーチャがチャンバに対して物理的に開いている場合は、クリアな光アパーチャ内にプラズマが形成されることがあり、これは、困難を引き起こす。このようなプラズマ形成は、プラズマを発生させるために必要とされる限界電場強度に関係しており、該限界強度は、チャンバへのガス供給に使用されるクリアな光アパーチャの穴内におけるガス圧および同穴の直径に基づく。第2の先行出願は、ガス供給穴内におけるこれらの2つのプラズマ形成要因について説明している。ガス圧は、プロセス要件によって特定される傾向があり、一般に、プラズマ形成を抑えるために変更されることはないので、通常は、ガス供給穴の直径を小さくする試みがなされてきた。第2の先行出願は、また、クリアな光アパーチャにマルチなすなわち同時的な用途が存在するとき(すなわち光アクセス機能およびガス供給機能の両方に同時に使用されるとき)に、このようなマルチ用途が相反する要件を提示することを教示している。すなわち、プロセスチャンバ内におけるプロセス条件を示す光信号の監視(または診断)を促進する態様のためには、クリアな光アパーチャのガス供給穴の直径を大きくする必要がある。例えば、干渉法または分光法によるチャンバプロセス観測のために光アクセスを提供するに際しては、このようなガス供給穴の直径は、一般に、例えば約2分の1インチに定められた最小値以上でなければならない。この直径は、光信号への適切なアクセスを可能にするために必要とされる最小直径として説明されており、第2の先行出願において、「クリアな光アパーチャの最小直径」として言及されている。しかしながら、第2の先行出願における解析によると、マルチ用途のうち、ガス供給態様のためには、例えば、チャンバにガスを供給するクリアな光アパーチャのガス供給穴の直径を比較的小さく(0.5インチを大幅に下回るように)し、そのガス供給穴内におけるプラズマの形成を回避する必要があった。また、この解析によると、マルチ用途を促進するためには、光アクセス窓を使用してクリアな光アパーチャを閉じて処理チャンバ内を真空に維持しなければならず、その光アクセス窓は、電場強度の大幅に減少する箇所に取り付けられることが望ましい。このような取り付けは、窓のクリア度を損なう例えばクリアな光アパーチャ内におけるプラズマの形成などに由来する、光アクセス窓に対する損傷を低減させるためであった。このようなプラズマは、微粒子汚染を発生させて光アクセス窓上への堆積を促進する恐れがある。このため、第2の先行出願における解析によると、マルチ用途を促進する光アクセス窓に対するこのような汚染および損傷を低減させるには、小直径のガス供給穴の必要性と相反する要件である、クリアな光アパーチャのガス供給穴の最小直径だけでなく、クリアな光アパーチャのこのようなガス供給穴の最小長さもまた必要とされる。
【0004】
第2の先行出願では、クリアな光アパーチャのこの最小直径を、例えば2002年12月31日付けのMett,et al.に対する米国特許第6,500,299号に記載の、遮蔽ガス入口内に設けられたガス穴通路と比較した。このような通路は複数設けられているが、いずれも、プロセスチャンバへのガス供給のためにのみ設けられたものである。このような目的では、ガスは、セラミックなどの誘電体材料の粒子を通って供給され、通路は、相互につながれた多孔質セラミックの孔によって画定される。このような孔は、光信号の伝送に求められるような遮られないクリアな視線を提供することができない。このような通路は、したがって、干渉法または分光法による代表的なチャンバプロセス観測のためのクリアな光アクセスを提供するのに適していない。さらに、第2の先行出願において指摘されるように、Mett el al.特許に記載されるようにこのようなガス孔通路を金属カップの内側に設けてそのカップをプロセスチャンバの側壁内に挿入すると、例えば金属カップが不必要にチャンバ内のプラズマに曝され、金属カップをプロセスチャンバの壁に密着させるに際して問題が生じると考えられる。
【0005】
本出願の出願人は、業界要件または業界標準が、第1および第2の先行出願の意図するところならびにこのようなセラミック材料の相互接続孔をガス供給のために使用することを超えて増加するにつれて、クリアな光アパーチャを通してガス供給と光アクセスとを同時的に行うことを目的とした、このような処理チャンバへのより優れたアクセスを提供するために、ならびにそれを、より低コストの構成要素で実現するために、さらなる改良が求められていると判断している。例えば、本出願人は、プロセスチャンバへのマルチアクセス(すなわちガス供給と光アクセスとを同時的に行うこと)を提供した第2の先行出願による全セラミック製のワンピース型注入器が持つ利点を提供すること、ならびにそれらの利点を、いずれも、改良式注入器における形状的利点を促進しつつ以下の検討事項をともなうことなく得ることの必要性を認識している。検討事項とは、(1)注入器をセラミック材料で作成する必要があること、ただし、必要に応じて複数のセラミック材料の使用を可能にすること、(2)アクセスアパーチャ上に堆積される、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、イットリア安定化ジルコニア、熱溶射酸化アルミニウム、または酸化イットリウムによって注入器をコーティングして、プロセスプラズマの影響からセラミック材料を保護する必要があること、(3)注入器内に到る光アクセス窓上に、有害な粒子の堆積物を堆積させること、または、(4)光アクセス窓をプロセスチャンバ窓から長距離隔てて、光アクセス窓への損傷を回避する必要があること、である。
【0006】
以上からわかるように、プロセスチャンバへのアクセスにさらなる改良を提供するための方法および装置の必要性は、プロセスチャンバへの改良式マルチアクセス(例えばクリアな光アパーチャを通してガス供給と光アクセスとを同時的に行うこと)をどのように提供するかを含む。この必要性は、また、アクセスがデュアルゾーンガス供給である場合、ならびにクリアな光アパーチャを(最適な光アクセスのために)比較的大きな最小直径にすることと、例えばガス穴内におけるプラズマ形成を回避するためにチャンバへのガス供給のためのガス穴を比較的小直径にすること、という相反する要件に光アクセスが見舞われた場合に、このような改良式アクセスを提供することも含む。このため、提起される課題は、処理チャンバへのアクセスに如何にしてさらなる改良を加えるか、ならびにアクセスがデュアルソーンガス供給である場合および光アクセスが上記の相反する要件に見舞われた場合に上記の4つの検討事項をともなうことなく如何にしてこのような改良式アクセスを提供するかにある。
【発明の概要】
【0007】
概して、本発明の実施形態は、プロセスチャンバにアクセスするための方法および装置を提供することによって、これらの必要性を満たすものである。ここで、アクセスは、プロセスチャンバ内へのガス供給と、光アクセス窓を通したプロセスチャンバ内へのクリアな光アクセスとを同時的に行うことであってよく、プロセスチャンバ内に由来する条件に起因する損傷から光アクセス窓を保護することが促進される。これらの実施形態は、プロセスチャンバへのマルチアクセス(すなわち1つのクリアな光アパーチャを通してガス供給とクリアな光アクセスとを同時的に行うこと)を提供した第2の先行出願による全セラミック製のワンピース型注入器の利点を提供することによって、そして、これらの利点を、いずれも、改良式注入器の形状的利点を促進しつつ上記の検討事項をともなうことなく提供することによって、上記の必要性を満たすものである。
【0008】
本発明の実施形態は、プロセスチャンバへのおよびプロセスチャンバからの光アクセスを可能にする光アクセス窓をともなうように構成された、プロセスチャンバのためのガス注入器を含んでよい。ガスのためおよび光アクセスのための経路を画定する穴をともなうようなスリーブが構成されてよい。穴は、プロセスガスを流すためおよび所望の信号対ノイズ比(SNR)を有する光アクセス信号を伝送するためのアクセス領域をともなうように構成されてよい。穴内に収容されるようなセプタムが構成されてよく、該セプタムは、さらに、穴のアクセス領域を少なくとも2つの個別のアクセスアパーチャに分割するように構成される。少なくとも2つの個別のアクセスアパーチャは、それぞれ、プロセスガスを流すようにおよび所望のSNRを有する光アクセス信号を光アクセス窓を通して伝送するようにもう一方のアクセスアパーチャと連携するように構成されてよい。
【0009】
本発明の実施形態は、また、プロセスチャンバから光アクセス窓を通ってプロセスチャンバの外側の診断終点へと光路に沿って光信号を伝送することと、プロセスチャンバ内に第1のプロセスガスを注入することとを同時的に行うためのガス注入器を含んでもよい。該ガス注入器は、プロセスガスを受け取るように構成されたケースを含んでよく、該ケースは、光路を取り囲む中空ボディをともなうようにさらに構成され、光アクセス窓を診断終点に隣接して取り付けられる。光路を取り囲むとともにプロセスチャンバ内へのプロセスガスの注入とプロセスチャンバから光アクセス窓を通る光信号による光アクセスとを同時的に可能にするための光アクセス領域をともなうように構成された穴を画定するために、中空ボディ内に収容されるようなスリーブが構成されてよい。光信号は、少なくとも最小信号対ノイズ比(SNR)を有してよい。ガス穴内に収容されるようなセプタムが構成されてよく、該セプタムは、光アクセス領域を複数の光信号アパーチャに分割するように構成されてよい。各光信号アパーチャは、少なくとも最小SNRを有する光アクセス信号を共同で光アクセス窓を通して伝送するように構成されてよい。
【0010】
本発明の実施形態は、さらに、プロセスチャンバ内で生じるプロセスイベントへの光アクセスのための方法を含んでよい。該方法は、ガスを運ぶようにおよびプロセス解析のために所望の信号対ノイズ比(SNR)を有する信号に応答して動作する解析ツールへとプロセスチャンバから光信号を伝送するように構成された単一のガス&光アクセス経路を画定する工程を含んでよい。画定される経路構成は、クリアな光アクセスを提供してよく、ツールがプロセス解析を正確に示すのに十分な高さである所望のSNRを伝送可能であってよい。方法は、また、単一のガス&光アクセス経路をプロセスチャンバと解析ツールとの間の複数の個別のガス&光アクセスアパーチャに分割する工程を含んでよい。この分割は、クリアな光アクセスを提供しつづけながら、ツールに伝送される光信号を共同で所望のSNRに維持するように、個別のアパーチャを構成する。
【0011】
しかしながら、当業者ならば明らかなように、本発明の実施形態は、これらの一部または全部の詳細を特定しなくても実施することができる。また、本発明が不必要に不明瞭になるのを避けるため、周知のプロセス動作の詳細な説明は省略される。
【0012】
本発明の実施形態は、添付の図面に関連させた以下の詳細な説明を参照することによって、容易に理解される。図中、類似の参照符号は、類似の構成要素を示すものとする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】改良式の構成の注入器によって促進されるプロセスチャンバへのマルチアクセスのための、本発明の装置の一実施形態の概略図である。
【図2A】本発明の実施形態の注入器を挿入されたポートを有するチャンバ窓の一実施形態の側断面図であり、アクセス領域を電場から保護するための、ポート内のシールドと、改良式マルチアクセスを提供する第1の部分としての、シールド内に収容されたケースとを示している。
【図2B】図2Aに示されたチャンバ窓の実施形態を、図2Aの線2B−2Bで切り取った断面図であり、注入器のガス&光マルチアクセス領域の断面を示している。
【図3A】図2Aの注入器の一実施形態の断面図であり、ケースと、該ケース内に収容されたスリーブと、を含むツーピース型の注入器構成を例示しており、プロセスチャンバへの改良式光アクセスを提供するための、スリーブ内に収容されたセプタムを示している。
【図3B】図3Aの注入器の実施形態を、図3Aの線3Aで切り取った断面図であり、スリーブのクリアな光アクセス領域の断面を示している。
【図3C】図3Aの注入器の実施形態を、図3Aの線3Bで切り取った断面図であり、セプタムによって画定されるクリアな光アクセス領域の断面を示している。
【図4】図3Aおよび図3Cに示されたスリーブおよびセプタムの拡大断面図であり、セプタムがクリアな光アクセス領域を代表的な2つのガス&光信号マルチアクセスアパーチャに分割することを例示している。
【図5A】図4の線5Aで切り取った平面図であり、図4に示されたセプタムの代表的構成を例示している。
【図5B】図4の線5Bで切り取った平面図であり、図4に示されたセプタムの代表的構成を例示している。
【図6】図3Aのツーピース型注入器の一部の断面図であり、ケースの一端およびそれに対応するスリーブの端の拡大部分を例示しており、注入器内における粒子の生成を最小限に抑えるための、ケースの一端とそれに対応するスリーブの端との間のU字型境界の実施形態を示している。
【図7A】ケースの上端およびそれに対応するスリーブの端を例示した拡大断面図であり、スリーブとケースの上端に固定された光アクセス窓との間においてスリーブ上に取り付けられた曲げ材を示している。
【図7B】図7Aに類似の図であり、スリーブ上に取り付けられて窓によって圧縮された曲げ材が、注入器内における粒子の生成を最小限に抑えるためにスリーブのもう一方の端を境界に対して促す様子を例示している。
【図8】本発明の一方法実施形態のフローチャートの図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態の原理を例として示した添付の図面に関連させた以下の詳細な説明から、本発明の実施形態のその他の態様および利点が明らかになる。
【0015】
以下の説明では、本発明の実施形態の完全な理解を可能にするために、多くの詳細が特定されている。しかしながら、当業者ならば明らかなように、本発明は、これらの一部または全部の詳細を特定しなくても実施することができる。また、本発明が不必要に不明瞭になるのを避けるため、周知のプロセス動作の詳細な説明は省略される。
【0016】
プロセスチャンバへのおよびプロセスチャンバからの光アクセスを可能にする光アクセス窓をともなうように構成された、プロセスチャンバのためのガス注入器を含む、発明の実施形態について説明される。ガスのためおよび光アクセスのための経路を画定する穴をともなうようなスリーブが構成されてよい。穴は、プロセスガスを流れさせるためおよび所望の信号対ノイズ比(SNR)を有する光アクセス信号を伝送するためのアクセス領域をともなうように構成されてよい。穴内に収容されるようなセプタムが構成されてよく、該セプタムは、さらに、穴のアクセス領域を少なくとも2つの個別のアクセスアパーチャに分割するように構成される。少なくとも2つの個別のアクセスアパーチャは、それぞれ、プロセスガスを流すようにおよび所望のSNRを有する光アクセス信号を光アクセス窓を通して伝送するようにもう一方のアクセスアパーチャと連携するように構成されてよい。
【0017】
説明される実施形態は、さらに、プロセスチャンバ内で生じるプロセスイベントへの光アクセスするための方法を含んでよい。該方法は、ガスを運ぶようにおよびプロセス解析のために所望の信号対ノイズ比(SNR)を有する信号に応答して動作する解析ツールへとプロセスチャンバから光信号を伝送するように構成された単一のガス&光アクセス経路を画定する動作を含んでよい。画定される経路構成は、ツールがプロセス解析を正確に示すのに十分な高さである所望のSNRを伝送可能であってよい。方法は、また、単一のガス&光アクセス経路をプロセスチャンバと解析ツールとの間の複数の個別のガス&光アクセスアパーチャに分割する動作を含んでよい。この分割は、クリアな光アクセスを提供しつづけながら、ツールに伝送される光信号を共同で所望のSNRに維持するように、個別のアパーチャを構成する。
【0018】
図1は、プロセスチャンバへのマルチアクセスを提供するための、本発明の装置40の一実施形態の概略図を示しており、このようなアクセスは、ガス注入とプロセス解析および測定のツールによるクリアな光アクセスとを同時的に行う改良式マルチアクセス用に構成された注入器によって促進される。アクセスは、チャンバの窓に隣接して生成される電場から保護されたアクセス領域を通してなされる。アクセス領域は、例えば、半導体製造プロセスチャンバへのアクセスを可能にしてよい。電場は、アクセス領域に隣接してプロセスチャンバに印加され、このアクセス領域を通して、本発明の実施形態にしたがった、ガス注入とプロセス解析および測定ツールの使用とを同時的に行う代表的なマルチアクセスが提供される。
【0019】
図1は、例えば半導体製造動作で処理される基板46に対して適切なクランプ力を提供する基板ホルダ44を有する真空処理チャンバ42を含む装置40を示している。このような基板は、例えば、半導体ウエハ、またはデバイスもしくはコンポーネントの作成に際して処理される別の基盤であってよい。チャンバ42の上部には、誘電体窓48などのチャンバ窓が設けられてよい。窓48には、例えば本発明の実施形態の注入器51などによるチャンバ42内部へのマルチアクセスを可能にするために設けられたポート50が示されている。
【0020】
図2Aは、ポート50をともなうように構成された窓48の一実施形態の断面図であり、大直径を有するポート部分50Eと、より小直径を有するポート部分50Sとが例示されている。図2Aは、また、電場からアクセス領域53を保護するための、ポートの部分50E内のシールド52も例示している。相隔てられた二点短鎖線は、代表的な円筒形のアクセス領域53を画定している。アクセス領域は、したがって、これらの線によって画定される代表的な中空シリンダ内の3次元体積であってよい。図2Aに示されたアクセス領域53の実施形態では、アクセス領域53は、参照によって組み込まれている第1の先行出願に記載されるように、窓48内へと広がるとともに、大直径部分50Eと同延の部分を有する。図2Aは、また、部分50E内に収容される大直径の外部部分とポート50の部分50S内に収容される小直径の外部部分とをともなうように構成された本発明の一実施形態の注入器51も示している。
【0021】
図1は、また、ポート50を介したチャンバ48へのアクセスを必要とする設備54を備えたチャンバ42を図示している。設備54は、例えばチャンバへのプロセスガスの供給などによってチャンバ42内における堆積またはエッチングのプロセスを促進するために、このようなアクセスを必要とする。設備54の一例として、プロセスガスは、1つまたは複数のガス供給からアクセス領域52および注入器51を通してチャンバ42内へと供給されてよい。堆積またはエッチングのプロセスのためにチャンバ42内の圧力をポンプ(不図示)によって減少させることを前提にして、インピーダンス整合回路をともなうRFエネルギ源58が、チャンバ42内のガスを活性化してチャンバ42内に高密度(例えば10-11〜10-12イオン/cm3)プラズマを維持するためにコイル60に接続される。コイル60は、チャンバ42内において堆積またはエッチングのプロセスを行うための高密度プラズマを提供するために、窓48を通してチャンバ42内へとRFエネルギを誘導結合するタイプのものであってよい。その結合中に、コイル60は電場を生成する(図1の線62を参照せよ)。
【0022】
設備54は、後述のようにプロセス解析、診断、または測定のためにチャンバ42へのアクセスを必要とするツール(図7において54Tとして言及される)を含む場合も、アクセス領域53を介したチャンバ48へのアクセスを必要とするであろう。ツール54Tによるアクセスは、「光アクセス」と称されてよく、図2Aにおいて代表的な線APによって例示されている軸路に沿って、ツール54Tによって方向付けすることができる。光アクセスの一例として、図2Aは、入力光信号、すなわちツール54Tによってコリメート白色光として構成可能である信号S−INを示している。信号S−INは、注入器51を通って軸路に沿って、チャンバ48内で処理されている基板46(図1)の表面上へと達するように、ツール54Tによって方向付けすることができる。プロセス解析、診断、または測定のいずれかの例として、このような表面は、基板それ自体の表面または基板上の構造(例えばダイ)であってよく、そのような表面または構造は、信号S−INを変調させるまたはその他のかたちで信号S−INを変化させることができる。例えば、基板の処理の表れとして、信号の振幅、周波数、または位相に変化が生じることがある。変化にともなって、信号S−INは、出力光信号、すなわちチャンバ48から発せられツール54Tによる受信のために光路APに沿って注入器51を通って伝送可能である信号S−OUT(図2A)と称される。その他の(白色光でない)形態の光入力信号S−INを使用することによって、または信号S−INに対してその他の変化を生じさせる基板表面、構造、もしくはプロセスによって、その他のタイプの光アクセスをなすことも可能である。本明細書において、「光アクセス」または信号S−INもしくは信号S−OUTとして言及される場合は、このようなその他の形態の光アクセスも含むものとする。
【0023】
図2Aは、また、ガス&光マルチアクセス開口領域68(図2Bでは、穴内の全域を示すために双頭の矢印によって特定されている)を有する第1の穴66を含ませることによって、注入器51をこのような光アクセス用に構成可能であることを示している。領域68をともなう穴66は、チャンバ42へのガスの流れと、クリアな光アクセスとを提供する。領域68をともなうこの穴66によるクリアな光アクセスは、正常なすなわち所望の信号対ノイズ比(「SNR」または「所望のSNR」)を有する光信号S−INおよびS−OUTを伝送するのに十分である。このようなクリアな光アクセスは「所望の光アクセス」と称され、このような所望の光アクセスを提供する光アクセス領域は「所望の光アクセス領域」と称することができる。信号S−INは、注入器51内に到る光アクセス窓70を通ってチャンバ42内へと伝送される。また、信号S−OUTは、チャンバ42から出て注入器および光アクセス窓70を通ってツール54T(図7B)へと伝送される。信号S−INについて、そして、例えば注入器から出て光アクセス窓70を通ってツール54Tへと伝送される信号S−OUTについて、この所望のSNRは、例えば正確なプロセス解析、診断、または測定のためにツール54Tによって必要とされるように定められる。
【0024】
(所望のSNRを有する信号S−OUTに応答した)所望の光アクセスは、ツール54Tが基板の処理を正確に示すことを可能にすることができる。一般に、この所望のSNRは、例えば干渉計または分光計などの監視ツール54Tに入力される信号のSNRに特有であってよい。所望の光アクセス領域68をともなう穴66は、したがって、信号S−OUTが基板の代表的表面または基板上の代表的構造を表すように、干渉法または分光法による代表的チャンバプロセス観測による監視を促進するように構成される。
【0025】
ツール54Tに対する信号S−OUTの入力が、所望のSNRを提供する所望の光アクセスである場合は、SNRは、ツール54Tが基板の処理を正確に示すのに「十分な高さ」であるとして言及することができる。このため、穴66に入って基板上へと方向付けされる信号S−INは、「十分な高さ」の比較的高いSRNを有しており、穴66から出て注入器51および光アクセス窓70を通って伝送される信号S−OUTは、後述される干渉が全くなければ、依然として「十分な高さ」の比較的高いSNRを有する。しかしながら、干渉を考慮すると、たとえ穴66が所望のSNRの伝送を促進するようにそして所望の光アクセスを提供するように構成されていたとしても、信号S−INおよび信号S−OUTは、干渉を受け、正常より大幅に低いすなわち所望レベルより大幅に低いSNRを有する結果になり、光アクセスは、所望の光アクセスでなくなるであろう。干渉は、光路APに沿ったまたは光路APに向かう条件に起因すると考えられる。例えば、もし注入器51の光アクセス窓70がエッチングされる、または堆積粒子でコーティングされると、S−INおよびS−OUTは、ともにSNRを低減され、ツール54Tは、基板の処理を正確に示すことができなくなり、光アクセスは、所望の光アクセスでなくなるであろう。このようなコーティングは、注入器51内における望ましくないプラズマイグニッション(すなわち点火)の結果として生じると考えられる。プラズマによって形成された粒子は、光アクセス窓70上に堆積されて、信号S−IN,S−OUTのそれぞれのSNRを低減させ、その結果、繰り返し述べるが、ツール54Tは、やはり、基板の処理を正確に示すことができなくなるであろう。注入器51の実施形態によって提供される、本明細書において言及されるところの「改良式光アクセス」は、信号S−INおよびS−OUTのそれぞれのSNRを、ツール54Tが基板の処理を正確に示すのにすなわち上記の「所望の光アクセス」を提供するのに十分な高さである所望のSNRに留まらせるために、注入器51が、注入器51の光アクセス窓のこのようなエッチングおよびコーティングを低減させるようにそして注入器51内における望ましくないプラズマ点火の可能性を低くするように構成されることを示している。
【0026】
シールド52を使用しないと、電場62は、窓48の上部の上方においてコイル60の巻き間に広がるとともに、ポート50を通って窓48内に広がるであろう。第2の先行発明のシールド実施形態を使用しないと、この電場62の生成は、望ましくないプラズマをポート50のアクセス領域53内に導入する傾向がある。例えば、この傾向は、後述のように、供給ガスを通らせる穴66内に、望ましくないプラズマを導入するであろう。望ましくないプラズマの導入は、基板を含むプロセスチャンバ42内の様々なパーツ上および光アクセス窓上に、望ましくない粒子の堆積を生じさせ(プロセスの収率を低下させる)、これは、上述のように、信号S−IN,S−OUTのSNRを低減させる。たとえ穴66が所望のSNRの伝送を促進するように(例えば所望の光アクセス領域をともなうように)構成され、なおかつたとえこのようなシールド52が使用される場合でも、処理チャンバへのアクセスに関する増加する業界標準を満足させるためには、本発明の実施形態による改良によって、所望のSNRの低減を最小限に抑える必要がある、すなわち所望のSNRを有する信号S−OUTをツール54Tに入力させる必要がある。
【0027】
本発明の実施形態は、アクセス領域52内に導入されるこのような望ましくないプラズマによって生じる問題を実質的に回避しつつ、後述されるその他の利点を提供するために、使用することができる。図2Aは、アクセス領域53との関係でプロセスチャンバ窓48を示すとともに、基準として窓48の縦軸Xを特定している。本発明による注入器51の実施形態を使用するにあたり、大直径窓部分50Eは、アクセス領域53および注入器51を保護するためのシールド52を収容してよい。図2Aは、第1の先行出願においてより完全に説明されているように、シールド52の一端が足52Fによって大直径部分50E内に収容および保持されることを示している。
【0028】
注入器51は、2つのパーツで構成される。図2Aにはケース90が示され、該ケース内にはスリーブ92が収容されている(図3A)。図2Aは、ケースの大直径部分がポート50の部分50E内に収容されること、そして小直径部分が小部分50S内に収容されることを示している。ケースがポート内に収容されると、ケースの肩98が、相対するポートの肩100に寄りかかるので、ケースの端90E(図2A)は、プロセスチャンバ42内に到る。注入器51とシールド52とが重なる範囲では、注入器51はシールド52内にあり、電場62から保護される。
【0029】
図2Aおよび図3Aは、ケース90が、中空ボディ102をともなうように構成されることを示している。中空ボディ102の端90Eは、複数のノズル106を介してプロセスガス(例えば第1のガス)G1(図3A)をプロセスチャンバ42へと分散させることができる複数のガス分布穴104をともなうように構成される。スリーブ92は、第1のプロセスガスG1をガス分布穴104に次いでノズル106およびプロセスチャンバに供給するための第1のガス供給穴108を画定するために、中空ボディ102内に収容されるように構成されてよい。第1のガス供給穴108は、ボディ102の内壁110とスリーブの外壁112との間の環状空間によって画定されるような環状の形であってよい。ガスG1は、ボディ102の壁110内のポート114によって、第1の穴108に供給される。
【0030】
図2Aは、また、注入器51が穴66をともなうように構成されることを示している。穴66は、段付きの肩118(図3A)と端90Eとの間に広がる部分116をともなうように構成される。上述のように、穴66は、所望のSNRを有する光信号S−IN,S−OUTを伝送するのに十分な領域68(図2B)をともなうように構成され、この目的に適うのは、例えば部分116である。
【0031】
図3Aは、段付きの肩118において中空ボディ102の壁110が薄くなり、スリーブ92を収容してガス穴108を形成することを示している。段付きの肩118は、後述のように、スリーブ92の肩120と連携しあう。スリーブ92は、内壁122を有する中空の筒として構成される(図3B)。ケース90は、穴66への送達のために第2のガスG2をスリーブ92に供給するための第2のポート124をともなうように構成される。図2Aは、穴66がシールド52の下端によって部分的に取り囲まれていること、そしてチャンバ42内に第2のプロセスガスG2を導入しうることを示している。穴66によって導入されるプロセスガスG2は、例えば第1のガス供給穴108、ガス分布穴104、およびノズル106によって供給されるガスG1と異なってよく、チャンバ内でなされるべき処理の種類に応じて可変であってよい。プロセスガスG1,G2は、例えば、異なる質量流量で供給される同じガスであってもよい。
【0032】
上述のように、第2の先行出願における解析によると、注入器のマルチ用途のうち、ガス供給態様のためには、代表的な円形ガス穴を比較的小直径(代表的な直径D1は、0.5インチを大幅に下回る)にする必要があった。この小直径の必要性は、ガス穴内におけるプラズマの形成を回避するためであった。後述のように、注入器51の実施形態は、より大きい(例えば0.5インチ)アパーチャの使用が強く望まれることと、ガス供給のためにはこのようなアパーチャを比較的小寸法にする必要があることとの間のこの矛盾を克服するように構成され、これらの実施形態は、所望の光アクセスを提供することによってこの矛盾を克服するものである。
【0033】
図3Aは、チャンバ42へのおよびチャンバ42からのガス&光マルチアクセスの提供に際するこの矛盾を克服するための注入器51の一構成を例示している。図3A、すなわち図2Aおよび図2Bの注入器の実施形態の断面図は、実施例51−1としてツーピース型の注入器51を例示している。実施形態51−1は、ケース90と、該ケース内に収容されたスリーブ92とを含んでよい。注入器構成は、スリーブ92の筒状の内壁122(図3C)内に収容可能であるセプタム126を含み、ケース上に取り付け可能である光アクセス窓70を含んでよい。一般に、ケース90が(図2Aに示されるように)チャンバ窓48内のポート50内に取り付けられるとき、スリーブ92、セプタム126、および光アクセス窓70は、図3Aに示されるように、ケースと組み合わされる。このように組み合わされると、ケース90、スリーブ92、およびセプタム126は、光アクセス窓70と相まって、軸路APに沿ったチャンバ42へのおよびチャンバ42からの上述の「所望の光アクセス」を提供することができる。所望の光アクセスは、チャンバ42の外側の上記の代表的診断終点に対して相対的(例えば図7Bのツール54Tに対して相対的)である。このような所望の光アクセスは、後述される「改良式光アクセス」でもある。
【0034】
上述のように、どちらのタイプの光アクセス(例えばコリメート白色光または別のタイプの光信号S−IN)が提供されるにしても、光路APに沿ったまたは光路APに通じる条件は、信号S−IN,S−OUTに干渉し、信号のSNRを大幅に所望のSRNを下回らせるであろう。大幅に所望のSNRを下回ることを回避する上述の「所望の光アクセス」は、上述の光アクセス窓70のエッチングおよびコーティングを低減させるとともに、注入器51内におけるプラズマ点火の可能性を低くすることによって、信号S−INおよびS−OUTのそれぞれのSNRを、ツール54Tが基板の処理を正確に示すのに十分な高さであるものとして上述された所望のレベルに留まらせるように構成された、注入器51の実施形態によって提供することができる。「改良式(または所望の)光アクセス」を提供するためのこれらの実施形態の注入器51構成は、本明細書において「改良式光アクセス構成」と称され、これは、以下のとおりである。
【0035】
セプタム126は、所望の(または改良式)光アクセスを可能にするために、スリーブ92の内壁122によって画定された筒内に収容されるように構成されてよい。(セプタム126をともなわない場合の)スリーブ92の内壁122の構成は、開口領域129(壁122の内側の全域を表すために、双頭の矢印によって示されている)を画定する。開口領域129は、ガスを流れさせるための、スリーブ92によって画定された筒の領域であり、上記のような所望のSNRを有する信号S−IN,S−OUTを伝送させるのに十分な大きさでもある。セプタム126は、開口領域129を、少なくとも2つのアパーチャ136に分割する(図3Aおよび図3C)。各アパーチャ136は、ポート124と並んだ箇所からスリーブの端140(図4)に到るまで軸路APに平行に伸びている壁138をともなうように構成される。各アパーチャ136の壁138は、スリーブの内壁122の一部も含んでよい。各アパーチャ136は、アパーチャ136の横断寸法をスリーブ92の壁122のそれより小さくするように、そしてスリーブの壁122の領域129より小さい領域142Aを画定するように、セプタム126によって構成される。低減領域142Aの一態様は、アパーチャ136の壁122,138と、(例えばチャンバからのまたは表面128からエッチングされた)粒子との間の衝突が増加することであり、これは、粒子が光アクセス窓70に達する前にアパーチャ136の壁122,138上に堆積することを促進する。低減領域142Aの別の一態様は、アパーチャ136内におけるプラズマの点火を抑えることにある。プラズマは、より小寸法のアパーチャ136の表面138の周囲のシース内には形成されず、これは、より小寸法のアパーチャ136内におけるあらゆるプラズマの量を減少させ、したがって、プラズマによる光アクセス窓70のエッチングを低減させるので、あらゆるプラズマ点火の傾向は、その効果を低減される。粒子が光アクセス窓70に達する前にアパーチャ136の壁122,138上に堆積する結果、堆積粒子によって光アクセス窓70がコーティングされる可能性は低くなり、これは、S−INおよびS−OUTの両者のSNRを低減させる要因の1つを回避することがわかる。また、光信号アパーチャ136内におけるプラズマ点火の抑制、および小寸法アパーチャ136内のシースは、プラズマ点火の可能性を低くするだけでなく、このような任意のプラズマのサイズにも制約を加える。また、プラズマが形成されにくくなるとともに、たとえ形成されるにしてもその大きさが小さくなると、光アクセス窓70のエッチングは大幅に低減される。窓70上への堆積および窓70のエッチングの低減は、各アパーチャ136内においてより高いSNRを維持するとともにSNRを所望のSNR内に維持する働きをする。上述のように、ツール54Tへの、所望のSNRを有する信号S−OUTの入力は、ツール54Tが基板の処理を正確に示すことを可能にする。より詳しくは、各アパーチャ136は、穴66内を伝送される両光信号S−IN,S−OUTの一部の伝送を可能にする。複数のアパーチャ136からなる構成は、集合的すなわち総和的な開口領域142を画定されるような構成である(図3C)。領域142は、セプタム126内の全ての個々のアパーチャ136の領域142Aを組み合わせることによって画定される。このため、領域142は、少なくとも2つのアパーチャ136の領域によって画定され、セプタム126のない場合のスリーブ92の領域129にほぼ等しい。各領域142Aは、アパーチャ136を画定するセプタム126によって画定され、ポート124と並んだ箇所からスリーブの端140に到るまでの間のアパーチャ136の領域である。集合領域142は、ツール54Tが基板の処理を正確に示すのに十分な高さに光信号S−IN,S−OUTのSNRを維持するのに十分である。まとめると、セプタム126によって画定される各開口領域142Aは、上記のように、各開口領域142Aが代表的なガスG2のためのガスアクセスを提供するとともに、その他の領域142Aによって所望の光アクセスを提供するという意味で、ガス&光マルチアクセス領域と称することができる。また、これらの領域142Aが組み合わさることによって、所望の光アクセスを提供する集合領域142が形成される。
【0036】
図4は、セプタム126の一実施形態126−1を例示しており、図中、セプタム126のそれぞれの実施形態126−2,126−3を示す基準線5A/Bが示されている。図3Cおよび図4は、壁122が円形でなおかつセプタムが該円形の壁122の直径に跨る1枚のウェブの形態で構成されているセプタム126の実施形態126−1を示している。ウェブは、壁122によって画定された代表的な開口円形領域129を2つのアパーチャ136に分割し、各アパーチャは、軸路APに平行になおかつスリーブ92およびセプタム126−1の全長に沿って伸びている。図3Aは、セプタム126−1が後述のようにポート124から端140まで伸びるように構成されることを示している。
【0037】
図5Aは、壁122がやはり円形でなおかつセプタム126が円形の壁122の2つの直径に跨る1つのX字型ウェブの形態で構成されているセプタム126の実施形態126−2を例示している。あるいは、ウェブは、2つ以上の部材で構成されてよく、この場合は、多くの部材が共同でX字型を画定する。セプタム126−2のウェブは、壁122によって画定された代表的な開口円形領域129を4つのアパーチャ136−2に分割し、各アパーチャは、軸路APに平行になおかつセプタム126の全長に沿って伸びている。セプタム126−2は、後述のように、ポート124から端140まで伸びるように構成されている。
【0038】
セプタムの実施形態126−1,126−2は、例えば、固体の材料棒を機械加工してウェブを画定することによって構成されてよい。あるいは、セプタム126のウェブは、スリーブ92の壁122に対して溶接またはその他の方法で固定されてよい。また、図5Bに示されるように、セプタム126の実施形態126−3は、やはり円形である壁122内に事前成形開管130Tを収容された形態で構成されてよい。もしスリーブが、例えばPTFEなどのポリマで作成されているならば、セプタム126−3は、スリーブ92内への圧入によって開管130Tが互いに接触して束になるように構成される。あるいは、スリーブは、初めに固体のコアを用意し、それに管130Tと同様の穴を掘ることによって作成してもよい。開管130Tは、壁122によって画定された代表的な開口円形領域129(図3B)を、実施形態136−3のアパーチャ136に分割する。各アパーチャ136−3は、各管に対応しており、各管は、軸路APに平行になおかつセプタムの全長に沿って伸びている。各アパーチャ136−3は、穴66内を伝送される両光信号S−IN,S−OUTの一部の伝送を可能にする。複数のアパーチャ136−3からなる構成は、図3Cに関連して説明された集合的すなわち総和的な開口領域142の実施形態142−3(図5Bの双頭の矢印を参照せよ)を画定されるような構成である。この領域142−3は、アパーチャ136−3の全ての領域の合計によって画定され、セプタム126のない場合のスリーブ92の領域129にほぼ等しい。この集合領域142−3は、したがって、アパーチャ136−3の集合領域142−3Aによって画定される。集合領域142−3は、ツール54Tが基板の処理を正確に示すのに十分な高さに光信号S−IN,S−OUTのSNRを維持するのに十分である。
【0039】
光アクセスのためには大きなアパーチャの使用が強く望まれることと、ガス供給のためにはアパーチャを比較的小寸法にする必要があることとの間の矛盾を克服するために、その他(例えば非円形)の構成のセプタム126(例えば不図示の126−x)を用意して、後述のように機能させることもできる。このような各実施形態126−1〜126−3、および126−xは、壁122によって画定された開口(代表的なものは円形)領域129がガス/光信号アパーチャ136に分割され、なおかつそれらの各アパーチャが軸路APに平行になおかつセプタム126の全長に沿って伸びているような、「改良式光アクセス構成」を有するように構成される。各アパーチャは、上述されたクリアな光アクセスを提供する。このような各実施形態126−1または126−2または126−3または126−xについて、例えば、ガス/光信号アパーチャ136の構成は、全てのガス/光信号アパーチャ136の内部領域を合わせて画定される集合的すなわち総和的な開口領域142が、光信号S−IN,S−OUTのSNRをツール54Tが基板の処理を正確に示すのに十分な高さにするのに十分であるような、構成である。さらに、例えば、このような実施形態126−1または126−2または126−3または126−xを継続的に使用すると、説明されたセプタム126の構成ゆえに、窓70上への堆積および窓70のエッチングは低減される結果となり、これは、ツール54Tが基板の処理を正確に示しつづけることを可能にする傾向がある高いSNRを維持する働きをする。
【0040】
各種の実施形態のセプタム126による多数の小寸法(例えば0.5インチ未満)のガス/光信号アパーチャ136の使用にもかかわらず、上述のように、信号S−IN,S−OUTの所望のSNRが持続されるということは、干渉法または分光法による代表的なチャンバプロセス観測用にプロセスチャンバ内のプロセス条件を示す光信号の監視を促進するために、クリアな光アパーチャの最小直径を0.5インチにするという、先行技術の教示内容と相反する。例えば、これらの教示内容は、表面128の内側におけるプラズマ形成を回避しつつ、光アクセスとチャンバ42へのガスG2の供給とを行うために、デュアル用途のうち、ガス供給態様用に、セプタム126のガス/光信号アパーチャ136を比較的小寸法(大幅に0.5インチ未満)にすることを、妨げるであろう。
【0041】
図3Aは、ツーピース型の注入器51のその他の詳細を示している。図3Aは、ケース90の肩118と、対応するスリーブ92の端92Eとの間のZ境界の一実施形態を示している。肩118および端92Eは、合わさって境界150を形成する相補的表面をともなうように構成される。(後述される)多くの機能のうち、境界150は、穴108から穴66への第1のガスG1の流れを制約するすなわち制限するとともに、アパーチャ136から穴108への第2のガスG2の流れも制約するすなわち制限する。これらは、ともに、「低い流れ伝達性」と称される。
【0042】
図6は、図3Aのツーピース型注入器51の一部の断面図であり、ケースの肩118および対応するスリーブの端92Eの一実施形態の拡大部分を例示し、境界150のU字型実施形態150−2を示している。肩118および端92Eは、合わさって低い流れ伝達性の境界150−2を形成する相補的表面をともなうように構成される。肩118は、軸路APの周囲に環状の広がりを有するU字型段付き溝をともなう構成で示されている。端92Eは、軸路APの周囲に広がるとともに肩118のU字型段付き溝に入る環状の突出をともなう構成で示されている。
【0043】
図7Aは、ケース90の上端160およびそれに対応するスリーブ92の上端162を例示した拡大断面図であり、スリーブ92とケースの上端160に固定された光アクセス窓70との間においてスリーブ92上に取り付けられた曲げ材164を示している。スリーブの上端162は、環状の曲げ材164を収容するための溝166をともなう構成で示されている。溝166は、曲げ材の環状構成に適合する。曲げ材は、曲げ材の環状ボディ170に対して相対的に曲がるように構成されたアーム168をともなうように構成される。アーム168に対する下向きの力の印加は、アームを曲がらせ、ボディ170を溝166に対して下向きに促す。図7Bは、プロセス解析&測定ツール54Tの取り付け板172によってケース90に対して光アクセス窓70が組み付けられたときに、光アクセス窓70によってこのような下向きの力がアーム168に印加されうることを示している。図7Bは、スリーブ92上に取り付けられた曲げ材164と、(窓70によって曲げられた)アーム168とを例示しており、曲げられたアームおよび曲げ材ボディ170は、スリーブ92のもう一方の端92E(図3A)を、例えば肩118に対してなどのように、境界150に対して促す。図6については、曲げられたアームおよび曲げ材ボディ170は、やはり、スリーブ92のもう一方の端92Eを、例えば肩118に対してなどのように、境界150−2に対して促す。各境界150,150−2の肩180に対して促された端92Eは、注入器51内における粒子の生成を排除するまたはそうでなくとも最小限に抑えるのに効果的な合わせ境界表面を提供する。このような排除(または最小限に抑えること)は、端92Eと肩118とをきつく合わせて保持して端と肩との間における相対運動を排除した(または最小限に抑えた)結果として得られる。相対運動の欠如は、肩に対する端の摩擦を回避し、壁122,138上への粒子の堆積を促進するセプタム126の構成と相まって、粒子を、それらが光アクセス窓70に到達する前に堆積させる。
【0044】
別の一実施形態では、注入器51内における粒子の生成を排除するまたはそうでなくても最小限に抑えることを、境界150の端92Eと肩118との間にガスケットを使用した結果として得ることができる。肩118に対する端92Eのいかなる相対運動も、粒子の目立った生成を引き起こすことがないように、ガスケットは、低粒子生成特性を有する材料(PTFEなど)で作成することができる。
【0045】
また、端と肩との間の相対運動を排除する(または最小限に抑える)曲げ材および関連の構造は、スリーブ92の内側およびケース90の内側におけるいっさいのOリングの使用を回避する。これは、注入器51内、ひいては光信号S−IN,S−OUTを通らせるクリアな光アパーチャ内における粒子源をさらに排除する。
【0046】
図7Bは、また、窓70によって印加される力が、ポート124およびガスG2を大気から遮断するためにOリング174を遮断溝176内へと圧縮することを例示しており、したがって、Oリングは、ケースまたはスリーブの内側にはない。
【0047】
図3Aは、また、ポート124からの第2のガスG2がセプタム126のアパーチャ136内に進入することを促進するために、スリーブ92の上端162が開口180をともなうように構成されることを示している。端162は、また、ワイパー184の収容のために水平方向に広がる環状溝182をともなうようにも構成される。ワイパーは曲がり性であり、3つの機能のために溝内に保持される。第1に、ワイパーの曲がりは、2つのポート114と124との間の壁110を押し付け、穴108からポート124への第1のガスG1の流れを制約するすなわち制限する。第2に、ワイパー184は、ポート124から穴108への第2のガスG2の流れを制約するすなわち制限する。第3に、ワイパー184は、ケースの壁110に力を印加して、スリーブ92を中空ボディ102内において中心合わせすることによって、もしスリーブがポート間のこの箇所でケースに接触していれば生じるであろう粒子の生成を回避する。
【0048】
Oリング174、曲げ材164、境界150、およびワイパー184は、穴108とセプタム126のアパーチャ136とがガスG1,G2のための個別のガス流路を画定することを可能にする働きをする。このように、チャンバ42への個別のガス注入は、(第1のガスの場合は)ノズル106から、そして(第2のガスG2の場合は)ケース90の注入穴66から提供することができる。ガスG1,G2のための個別のガス流路は、所望のプロセス条件を得るために注入器51の詳細な設計時に所望の質量流量を選択することを可能にする。
【0049】
本発明の実施形態は、プロセスチャンバ内で生じるプロセスイベントへの所望の光アクセスを提供する方法を含んでもよい。方法の一実施形態は、フローチャート190を示す図8を参照することによって理解することができる。方法は、開始から、プロセス解析のために所望の信号対ノイズ比(SNR)を有する信号に応答して動作する解析ツールへとプロセスチャンバから光信号を伝送するように構成されたガス&光マルチアクセス経路を画定する動作192に進む。画定された経路構成は単一であり、ツールがプロセス解析を正確に示すのに十分な高さである所望のSNRを伝送可能である。動作192は、内壁122をともなうように構成されたスリーブ92によって実施されてよい。上述のように、セプタム126をともなわないスリーブ内壁122の構成は、上記のように、内壁122によって画定される開口領域129(図3B)が、所望のSNRを有する信号S−IN,S−OUTを伝送するのに十分であるような、構成である。スリーブ92の開口領域129は、開口領域129を通してガスG2およびクリアな光アクセスの両方が提供されるという意味で、動作192におけるガス&光マルチアクセス経路に適合することができる。例えば、信号S−INについて、そして注入器51から出て光アクセス窓70を通ってツール54Tへと伝送される信号S−OUTについて、この所望のSNRは、正確なプロセス解析、診断、または測定のためにツール54Tによって必要とされるように上で定められたものである。動作192は、また、解析ツール54Tに隣接する光アクセス窓70をともなうようにアクセス経路を構成してもよい。
【0050】
方法は、プロセスチャンバ内で生じるプロセスイベント中に光信号を所望のSNRに維持するために、ガス&光マルチアクセス経路をプロセスチャンバと解析ツールとの間に伸びる複数のガス&光アクセスアパーチャに分割する、動作194に進んでよい。動作194は、セプタム126によって実施されてよい。セプタム126は、開口領域129を少なくとも2つのアパーチャ136に分割し、各アパーチャは、ポート124と並んだ箇所からスリーブの端140へと軸路APに平行に伸びる低減領域142Aをともなうように構成される。アパーチャ136は、穴66および光アクセス窓70と組み合わさり、プロセスチャンバ42と解析ツール54Tとの間に伸びる。また、アパーチャ136の構成は、共同で、プロセスチャンバ42内で生じるプロセスイベント中に光信号S−IN,S−OUTを所望のSNRに維持する。
【0051】
より詳細に言うと、動作194は、粒子とアパーチャ136の壁122,138との間の衝突を促進するために、アパーチャ136のサイズを、ガス&光アクセスアパーチャ136内における粒子の平均自由行程に近づくように構成してよい。これらの衝突は、粒子のエネルギを低減させ、粒子が光アクセス窓70に達する前にアパーチャ136の壁122,138上に堆積することを増進させる。動作194における構成は、また、各アパーチャ136を、壁表面122の一部およびセプタム表面138をともなうように、そしてアパーチャ136の横断寸法がスリーブ壁122の同寸法より小さくなるように、そしてスリーブの内壁122の領域129より小さい領域142Aをともなうように構成してよい。より小さいアパーチャ136は、結果として、(一方の)アパーチャ136の表面122,138と、もう一方の(チャンバからのまたは表面122もしくは表面138からエッチングされた)粒子との間の衝突を増加させることによって、粒子のエネルギを低減させ、粒子が光アクセス窓に達する前にアパーチャ136の表面122,138上に堆積することを促進する。
【0052】
動作194の結果として得られる、より小さいアパーチャ136は、アパーチャ136内におけるプラズマの点火を抑えるのに効果的であるように構成される。プラズマは、より小寸法のアパーチャ136の表面128の周囲のシース内には形成されないので、あらゆるプラズマ点火は、その効果を低減される。シースは、より小寸法のアパーチャ136内におけるあらゆるプラズマの量を減少させ、プラズマによる光アクセス窓70のエッチングを低減させる。動作194によって、粒子が光アクセス窓70に達する前にアパーチャ136の表面128上に堆積する結果、やはり、堆積粒子によって光アクセス窓70がコーティングされる可能性は低くなり、これは、S−INおよびS−OUTの両者のSNRを低減させる要因を回避する。また、プラズマが形成されにくくなるとともに、たとえ形成されるにしてもその大きさが小さくなると、光アクセス窓70のエッチングは大幅に低減される。動作194によって、窓70上への堆積および窓70のエッチングの低減は、窓70を通して伝送される信号S−OUTの高いSNRを維持する働きをする。上述のように、ツール54Tへの、所望のSNRを有する信号S−OUTの入力は、ツール54Tが基板の処理を正確に示すことを可能にする。
【0053】
動作194は、ガス&光経路を複数のガス&光アパーチャに分ける壁を提供することによって分割を実施してよい。各アパーチャは、上述のようなアパーチャ136であってよく、その他の全てのガス&光通路から切り離されていてよい。この分割の動作は、開口領域129を、それぞれ軸路APに平行に伸びる壁122,138をともなうように構成されたアパーチャ138に分割するために、セプタム126によって実施されてよい。上述のように、動作194は、粒子が光アクセス窓70に達する前に粒子をアパーチャ136の表面122,138上に堆積させる結果となる。まとめると、複数のガス&光アパーチャ136は、いずれも、光アクセス窓70を通して解析ツール54Tへと光信号S−OUTを伝送するように構成され、ここで、光信号S−OUTは、上述のように、なおもツール54Tが基板の処理を正確に示すのに十分な高さでありうる所望のSNRを有する。
【0054】
フローチャート190の方法の別の一実施形態は、アパーチャ136の壁138から堆積粒子を除去する動作を含んでよい。このような動作では、スリーブ92およびセプタム126をケース90から取り外したうえで、スリーブおよびセプタムをケース内に差し替える前にアパーチャ136を洗浄すればよい。別の一実施形態では、アパーチャ136の壁122,138から堆積粒子を除去するために、プロセスチャンバ42内で洗浄動作を実施すればよく、こうして、チャンバ42が開かれる事態を回避することができる。
【0055】
まとめると、説明された本発明の実施形態は、プロセスチャンバへの上記のマルチアクセスを提供するための上述のさらなる改良の必要性を満たすものである。上記の問題は、処理チャンバへのアクセスにさらなる改良を提供する問題解決によって克服され、該問題解決は、アクセスがデュアルゾーンガス供給用でありなおかつ光アクセスが上記の相反する要件に見舞われた場合にこのような改良式アクセスを提供するものである。さらに、問題解決は、段落0005において特定された4つの検討事項をともなうことなく実現される。先ず、注入器51は、上で定義されたクリアな光アクセスおよび所望の光アクセスを提供する。
【0056】
また、これらの必要性および問題解決は、注入器に通じる光アクセス窓上に有害な量の粒子を堆積させることなく満足され実現される。反対に、上で示されるように、セプタム126は、アパーチャ136の横断寸法をスリーブ壁122の同寸法より小さくするように、そしてスリーブの壁122の領域129より小さい各領域142Aをともなうように構成され、そうして、粒子がアパーチャ136の壁122,138に衝突する回数を増加させている。粒子と、表面138の壁122,138との間の衝突の増加は、粒子が光アクセス窓70に到達する前にアパーチャ136の表面122,138上に堆積することを促進する。このような表面上への粒子のこの堆積は、光アクセス窓70が堆積粒子にコーティングされる可能性を低くする結果となり、信号S−INおよび信号S−OUTの両者のSNRを低減させる要因を回避する。
【0057】
また、これらの必要性および問題解決は、改良式注入器における形状的利点を促進しつつ満足され実現される。例えば、図3Aおよび図6に関連して説明されたように、注入器51内における粒子の生成を排除するまたはそうでなくても最小限に抑えるために設備が提供される。例えば、説明されたように、光アクセス窓70、曲げ材164、および境界150の肩118を端92Eと連携させると、光アクセス窓70によってアーム168に下向きの力が印加され、スリーブ92の端92Eが境界150の肩118に対して促される結果となり、これは、注入器51内における粒子の生成を排除するまたはそうでなくでも最小限に抑えるのに効果的である。また、促された端92および境界150は、ガスG1,G2の流れを効果的に別々に維持する。
【0058】
これらの必要性および問題解決は、注入器51を特定の材料から作成することを必要とせず、むしろ、ケース90、スリーブ92、およびセプタム126の各パーツに各種の材料を使用可能にすることによって満足され実現される。本発明にしたがうと、多くの組み合わせの材料が使用可能である。例えば、一実施形態では、ケース、スリーブ、およびセプタムは、コーティングされているかもしくはコーティングされていないかのいずれかのセラミック、またはポリマで作成されてよい。セラミックは、第1の先行出願または第2の先行出願に記載されたものと同じでよく、例えば、アルミナ、セリア、イットリア、ジルコニアなどである。例えば、もしプロセスが石英に適合しているならば、石英が使用されてよい。代表的なポリマには、PTFE、ETFE,CTFE、FEP、ならびにTEFLON、ポリエーテリイミド(Ultem)、ポリカーボネート(Lexan)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびポリイミド(Vespel)などの商標名で販売されているその他のポリマが含まれる。一般に、これらの全てのパーツにポリマを使用すると、低コストの利点が得られ、また、セラミックと比べて製造も容易である。例えば、もしプラズマエッチング応用の基準(すなわち基板のタイプ、ガス、温度、電力等)が特定のポリマに適合しているならば、これらのコンポーネントは全て、そのポリマで作成されてよい。とりわけ有利なのは、ケース90をポリマで作成することである。なぜならば、これは、一部のセラミックが必要とするコーティングの必要性を軽減するからである。プラズマに対して最も抵抗性の(すなわちプラズマおよび高電場に対して最も抵抗性の)実施形態は、ケース、スリーブ、およびセプタムをそれぞれセラミックで作成した「全セラミック製の」構成である。このような全セラミック製の構成は、セラミックの持つ優れた対プラズマ抵抗性ゆえに、プラズマエッチングの適合性を最も広範にすることができる。最も強いプラズマに曝されるケース90は、セラミックコーティングを必要とするであろう。しかしながら、スリーブ90およびセプタム92は、それほど強いプラズマを受けないので、セラミックをコーティングされなくてよい。別の一実施形態では、セラミックとポリマとを組み合わせた構成が有利であろう。ケース90は、対プラズマ抵抗性のためにセラミックで作成されてよく、一方で、スリーブ92およびセプタム126は、ケースほど強いプラズマの中にはないので、ポリマで作成されてよい。セラミックケース90は、コーティングされていようとされていまいとプラズマに対して抵抗性であり、これは、注入器51を強烈な(強い)プラズマ内で使用することを可能にする。また、スリーブ92およびセプタム126は、ポリマであってよく、これは、複雑なスリーブ−セプタム構成を容易に製造可能にする。
【0059】
また、これらの必要性および問題解決は、光アクセス窓70の損傷を回避する意図で光アクセス窓70をプロセスチャンバ窓48から長距離隔てる必要なく満足され実現される。注入器51の代表的一構成は、図5Bに示されるように、スリーブ92内にセプタム126を提供してよく、該セプタム126は、約0.90インチの直径および約3インチのスリーブ92内長さをそれぞれ有する約20個の個別の代表的光信号アパーチャ136を画定する。
【0060】
以上の発明は、理解を明瞭にするために、いくぶん詳しく説明されてきた。しかしながら、添付の特許請求の範囲内において特定の変更および修正がなされてよいことは明らかである。したがって、これらの実施形態は、例示的であって限定的ではないとみなされ、本発明は、本明細書で与えられた詳細に限定されず、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価形態の範囲内で変更されてよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスチャンバへのおよび前記プロセスチャンバからの光アクセスを可能にする光アクセス窓をともなうように構成された、前記プロセスチャンバのためのガス注入器であって、
ガスのためおよび前記光アクセスのための経路を画定する穴をともなうように構成されたスリーブであって、前記穴は、プロセスガスを流すようにおよび所望の信号対ノイズ比(SNR)を有する光アクセス信号を伝送するように構成されたアクセス領域をともなうように構成される、スリーブと、
前記穴内に収容されるように構成されたセプタムであって、前記セプタムは、さらに、前記穴の前記アクセス領域を少なくとも2つの個別のアクセスアパーチャに分割するように構成され、前記少なくとも2つの個別のアクセスアパーチャは、それぞれ、前記プロセスガスを流すようにおよび前記所望のSNRを有する前記光アクセス信号を前記光アクセス窓を通して伝送するようにもう一方のアクセスアパーチャと連携するように構成される、セプタムと、
を備えるガス注入器。
【請求項2】
請求項1に記載のガス注入器であって、
前記少なくとも2つの個別のアクセスアパーチャは、それぞれ、前記その個別のアクセスアパーチャ内におけるプラズマの形成の可能性を低くするように構成される、ガス注入器。
【請求項3】
請求項1に記載のガス注入器であって、
前記スリーブおよび前記セプタムの構成は、各アクセスアパーチャの壁を、そのアクセスアパーチャ内を前記光アクセス窓に向かって移動する粒子が前記光アクセス窓に到達する前に前記壁に付着することを促進するように画定する、ガス注入器。
【請求項4】
請求項1に記載のガス注入器であって、
前記光アクセス信号は、基板の条件を示し、
前記少なくとも2つの個別のアクセスアパーチャは、前記基板の条件を示す前記光信号の伝送を共同で可能にするように前記セプタムによって構成され、前記伝送は、前記プロセスチャンバから前記それぞれの少なくとも2つの個別のアクセスアパーチャおよび前記光アクセス窓を通って前記チャンバの外側の箇所に到る、ガス注入器。
【請求項5】
請求項1に記載のガス注入器であって、
前記少なくとも2つの個別のアクセスアパーチャは、それぞれ、少なくとも3つの個別のアクセスアパーチャである、ガス注入器。
【請求項6】
プロセスチャンバから光アクセス窓を通って前記プロセスチャンバの外側の診断終点へと光信号を光路に沿って伝送することおよび前記プロセスチャンバ内に第1のプロセスガスを注入することを同時的に行うためのガス注入器であって、
前記プロセスガスを受け取るように構成されたケースであって、前記ケースは、前記光路を取り囲む中空ボディをともなうようにさらに構成され、前記光アクセス窓を前記診断終点に隣接して取り付けられる、ケースと、
前記光路を取り囲むとともに前記プロセスチャンバ内への前記プロセスガスの注入および前記プロセスチャンバから前記光アクセス窓を通る光信号による光アクセスを同時的に可能にするための光アクセス領域をともなうように構成された穴を画定するために、前記中空ボディ内に収容されるように構成されたスリーブであって、前記光信号は、少なくとも最小信号対ノイズ比(SNR)を有する、スリーブと、
前記ガス穴内に収容されるように構成されたセプタムであって、前記セプタムは、前記光アクセス領域を複数の光信号アパーチャに分割するように構成され、前記光信号アパーチャは、それぞれ、少なくとも前記最小SNRを有する前記光アクセス信号を共同で前記光アクセス窓を通して伝送するように構成される、セプタムと、
を備えるガス注入器。
【請求項7】
請求項6に記載のガス注入器であって、
前記セプタムは、前記それぞれの光信号アパーチャ内におけるプラズマの形成の可能性を低くするように、そして前記光アクセス窓に向かって前記光路内を移動する粒子を集めるための壁を提供するように構成され、前記セプタム構成は、前記光アクセス窓上への前記粒子の堆積および前記光アクセス窓のエッチングを低減させる、ガス注入器。
【請求項8】
請求項7に記載のガス注入器であって、
前記セプタムは、さらに、前記セプタムからの前記堆積粒子の除去および前記穴への差し替えを可能にするために、前記穴から取り外し可能であるように構成される、ガス注入器。
【請求項9】
請求項7に記載のガス注入器であって、
前記セプタムは、前記それぞれの光信号アパーチャ内におけるプラズマ形成の可能性の低減を促進するために、各光信号アパーチャの断面積を前記穴のそれ未満にし、前記光アクセス窓上への前記粒子の堆積の低減を促進するために、前記光信号アパーチャの総和表面積を前記穴のそれより大きくする、ガス注入器。
【請求項10】
請求項6に記載のガス注入器であって、
前記セプタムは、前記複数の光信号アパーチャが2つの光信号アパーチャであるように、前記穴の直径に跨る、ガス注入器。
【請求項11】
請求項6に記載のガス注入器であって、
前記セプタムは、前記複数の光信号アパーチャが4つの光信号アパーチャであるように、前記穴のそれぞれの直径に跨る横材を含む十字型に構成される、ガス注入器。
【請求項12】
請求項6に記載のガス注入器であって、
前記セプタムは、前記複数の光信号アパーチャが4つの光信号アパーチャを超えるように、複数の管をともなうように構成される、ガス注入器。
【請求項13】
請求項6に記載のガス注入器であって、
前記中空ボディ内に収容された前記スリーブ、および前記ケースは、それぞれ、接触を促されたときに粒子の生成を最小限に抑えるように構成された合わせ境界面をともなうように構成され、
前記ケースは、さらに、前記光アクセス窓のための第1の取り付け具をともなうように構成され、前記第1の取り付け具は、前記取り付けられた光アクセス窓によって前記スリーブ合わせ境界面と前記ケース合わせ境界面との接触が促されるように構成される、ガス注入器。
【請求項14】
請求項13に記載のガス注入器であって、
前記スリーブは、さらに、第2の取り付け具を有する第1のスリーブ端をともなうように構成され、
前記注入器は、さらに、前記第2の取り付け具上に取り付けられた曲げ材をともなうように構成され、
前記取り付けられた光アクセス窓は、前記曲げ材を曲げることによって前記スリーブ合わせ面を促し、前記曲げられた曲げ材は、前記スリーブ合わせ境界面が前記ケース合わせ境界面に接触するように前記スリーブ合わせ境界面を前記ケース合わせ境界面に向けて促す、ガス注入器。
【請求項15】
請求項6に記載のガス注入器であって、
前記中空ボディは、相隔たれた第1および第2のガス入口と、前記相隔たれたガス入口間に位置する環状パッドとをともなうように構成され、
前記スリーブは、さらに、第2のガスのためのガス供給管を画定するために、前記ケース内に収容されるように構成され、
前記スリーブは、前記スリーブを前記穴内において中心合わせするとともに前記受け取られた第1および第2のプロセスガスをそれぞれ前記穴内および前記ガス供給管内へと個別に方向付けるために前記ガス供給管を跨いて前記環状パッドに接触する環状ワイパーをともなうように構成される、ガス注入器。
【請求項16】
請求項6に記載のガス注入器であって、
前記ケース、前記スリーブ、および前記セプタムは、セラミック、石英、およびポリマからなる群より選択される材料で作成される、ガス注入器。
【請求項17】
プロセスチャンバ内で生じるプロセスイベントへの光アクセスのための方法であって、
ガスを運ぶようにおよびプロセス解析のために所望の信号対ノイズ比(SNR)を有する信号に応答して動作する解析ツールへと前記プロセスチャンバから光信号を伝送するように構成された単一のガス−光アクセス経路を画定する工程であって、前記画定される経路構成は、前記ツールが前記プロセス解析を正確に示すのに足る高さである前記所望のSNRを伝送可能である、工程と、
前記単一のガス&光アクセス経路を前記プロセスチャンバと前記解析ツールとの間の複数の個別のガス&光アクセスアパーチャに分割する工程であって、前記分割は、前記ツールに伝送される前記光信号を共同で前記所望のSNRに維持するように前記個別のアパーチャを構成する、工程と、
を備える方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、
前記経路は、前記解析ツールに隣接する光アクセス窓をともなうように構成され、
前記分割の工程は、前記個別のガス&光アクセスアパーチャ内におけるプラズマ形成の可能性を低くし、前記アパーチャ内における粒子の堆積を増加させ、前記アパーチャを通過して前記光アクセス窓へと移動する粒子の数を減少させるように、前記アパーチャを構成する、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、さらに、
前記アパーチャの前記壁から粒子の堆積物を除去する工程を備える方法。
【請求項20】
請求項17に記載の方法であって、
前記分割の工程は、合体したガス&光経路を前記ガス&光アパーチャに分ける壁を提供することによって実施され、前記ガス&光アパーチャは、互いから隔てられ、前記所望のSNRを有する前記光信号を共同で前記解析ツールに伝送するように構成される、方法。
【請求項21】
請求項17に記載の方法であって、
前記分割の工程は、セプタムをともなうように構成されたスリーブを使用して実施され、
前記方法は、さらに、ケース上に取り付けられた光アクセス窓を使用して前記経路を閉じる工程と、前記ケース内および前記スリーブ内における粒子の生成を最小限に抑える工程と、を備える方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、
前記ケース内および前記スリーブ内における粒子の生成を最小限に抑える工程は、前記ケースと前記スリーブとを互いに接触した状態で保持することによって実施される、方法。
【請求項23】
請求項21に記載の方法であって、
前記ケース内および前記スリーブ内における粒子の生成を最小限に抑える工程は、前記ケースと前記スリーブとの間の相対運動中に低粒子生成特性を有するような材料で構成されたガスケットを、前記ケースと前記スリーブとの間に提供することによって実施される、方法。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−51206(P2013−51206A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−236357(P2012−236357)
【出願日】平成24年10月26日(2012.10.26)
【分割の表示】特願2009−531371(P2009−531371)の分割
【原出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】