説明

改良放射性金属錯体組成物

【課題】 初期放射化学的純度(RCP)の再現性が向上し、しかも再構成後の安定性が向上した放射性金属錯体の提供。
【解決手段】 本発明は、(i)コンジュゲートにキレート化したテクネチウム又はレニウムの放射性同位体の金属錯体であって、上記コンジュゲートがトロパンに結合した四座キレート剤を含み、上記四座キレート剤が上記テクネチウム又はレニウムの放射性同位体と中性金属錯体を形成している金属錯体と(ii)1種以上の放射線防護剤とを含む安定化組成物に関する。安定な金属錯体組成物を含む放射性医薬品並びにその調製用キットについても開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トロパン−四座キレート剤コンジュゲートの放射性金属錯体と放射線防護剤とを含むテクネチウム及びレニウムの安定化金属錯体組成物に関する。安定化金属錯体組成物を含む放射性医薬品並びにその調製用キットについても開示する。
【背景技術】
【0002】
123I、18F又は99mTcで標識したトロパンは、脳造影のための画像診断用放射性医薬品として知られている[Morgan and Nowotnik, Drug News Perspect.12(3),137−145(1999)]。トロパンは、脳内のドーパミン輸送体を標的にすることが知られており、かかるドーパミン輸送体は、パーキンソン病、パーキンソン症候群及び注意欠陥多動性障害を始めとする幾つかの疾患との関連が示唆されている。
【0003】
99mTcで標識したトロパンは公知である。99mTc−TRODAT−1の開発については、Kung, Nucl.Med.Biol.,28,p.505−508(2001)に記載されている。
【0004】
【化1】

TRODAT−1は、米国特許第5980860号及びその対応特許にも記載されている。
【0005】
テクネピンも、Meltzer他, J.Med.Chem.,40,1835−1844(1997)に記載されている。
【0006】
【化2】

テクネピンは米国特許第6171576号とその対応特許に記載されている。
【0007】
国際公開第03/055879号には、トロパンの6位又は7位を官能化したキレート剤−トロパンコンジュゲートが記載されている。キットについて簡単に記載されているが、放射線防護剤の使用については開示されていない。
【0008】
トロパンのN22ジアミンジチオールキレート剤コンジュゲート(TRODAT−1を含む)の一群の99mTc錯体は調製後4時間及び24時間良好なインビトロ安定性を示し、放射化学的純度はほとんど変化しないと報告されている[Meegalla他,J.Med.Chem,40,p.9〜17(1997)]。Fan他, Chin.J.Nucl.Med.,19(3)には、99mTc−TRODAT−1が室温で24時間安定であると報告されている。
【0009】
99mTc−TRODAT−1調製用キットの改良処方が記載されている[Choi他,Nucl.Med.Biol.,26,p.461−466(1999)]。Choi他には、最低10μg(マイクログラム)のトロパンコンジュゲートがキットに存在する限り、放射化学的純度は一貫して90%超に達すると報告されている。十分な放射化学的純度(RCP)を達成するには加熱が必要とされ、Choi他は、30分間のオートクレーブ加熱を用いている。
【特許文献1】米国特許第5980860号明細書
【特許文献2】米国特許第6171576号明細書
【特許文献3】国際公開第03/055879号パンフレット
【非特許文献1】Morgan and Nowotnik,Drug News Perspect.12(3),137−145(1999)
【非特許文献2】Kung,Nucl.Med.Biol.,28,p.505−508(2001)
【非特許文献3】Meltzer他,J.Med.Chem.,40,1835−1844(1997)
【非特許文献4】Meegalla他,J.Med.Chem,40,p.9〜17(1997)
【非特許文献5】Fan他,Chin.J.Nucl.Med.,19(3)
【非特許文献6】Choi他,Nucl.Med.Biol.,26,p.461−466(1999)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
テクネチウム−99m(99mTc)は、半減期6.02時間でテクネチウム−99(99Tc)へと壊変する放射性同位体である。その放射性壊変は最新ガンマカメラによる医用撮像にほぼ理想的なエネルギーのγ線の放出を伴う。壊変生成物99Tcも放射性であり、半減期2.1×105年のβ放射によって(安定同位体99Ruへと)壊変するが、99Tcからの放射線放出は医用撮像には不十分である。従来の99mTc「ジェネレータ」は放射性同位体99Moを含んでおり、これは半減期66.2時間で壊変する。約86%の99Mo壊変で99mTcが生成するが、約14%の99Mo壊変では99Tcが直接生成する。したがって、前回の溶出から非常に短期間で99mTcジェネレータを溶出すると、99mTc含量は低いが、全テクネチウム含量の約86%となる。前回のジェネレータ溶出から時間が経過すると、99Moだけでなく、99mTc→99Tcの壊変によっても99Tcが生成する。その結果、ジェネレータの溶出間隔が長くなるほど、99Tc/99mTc比は増大する。テクネチウム同位体99Tcと99mTcは化学的に同一であり、そのため放射性医薬品製剤はジェネレータの可使時間を通して有効に機能できるように溶出液中の広範な99Tc化学量に対応できるものでなければならない。また、新鮮99mTcジェネレータを用いた溶出では、放射能濃度が高くなると見込まれ、溶媒(水)の放射線分解で生ずる反応性フリーラジカルの濃度も高くなると思われる。そこで、有用な99mTc放射性医薬品製剤は、かかる反応性フリーラジカルが存在しても、十分なRCP性能を与えることができることが必要とされる。こうした99mTcジェネレータの特徴は多くの放射化学又は核化学の教科書に記載されており、様々な溶出液の性質が99mTcキットに与えかねない問題については、Saha,G.B.”Radiopharmaceuticals and Methods of Radiolabeling”;Chapter 6(第80〜108頁),Fundamentals of Nuclear Pharmacy(3rd Edn.)、及びCardiolite(商標)に関してHung他[Nucl.Med.Biol.,23,599−603(1996)]に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、トロパン四座キレート剤コンジュゲートのテクネチウム又はレニウム金属錯体と放射線防護剤とを含む改良放射性金属錯体組成物を提供する。この改良組成物は、初期放射化学的純度(RCP)の再現性が向上し、しかも再構成後の安定性が向上しており、再構成して6時間後に85〜90%のRCPが保持される。ある条件下の放射能レベル、放射能濃度又は再構成体積で放射性金属トロパンコンジュゲートのRCPが不十分なものとなるという問題は従来技術では認識されていない。こうした条件は、99mTcジェネレータなどの市販放射性核種ジェネレータの通常の使用条件下で起こる可能性がある。本発明は放射線防護剤を含む組成物を提供し、従前認識されていなかった問題を解決する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
第1の実施形態では、本発明は、
(i)コンジュゲートにキレート化したテクネチウム又はレニウムの放射性同位体の金属錯体であって、上記コンジュゲートがトロパンに結合した四座キレート剤を含み、上記四座キレート剤が上記テクネチウム又はレニウムの放射性同位体と中性金属錯体を形成している金属錯体と、
(ii)1種以上の放射線防護剤と
を含む安定化組成物を提供する。
【0013】
「トロパン」という用語はその通常の意味を有し、つまり次式の二環式アミンをいう(環の位置に番号を付した)。
【0014】
【化3】

式中、8位のアミン窒素は第2級又は第3級でよい。
【0015】
「金属錯体」という用語は、テクネチウム又はレニウムの金属イオンと配位子(ここでは四座キレート剤)との配位錯体を意味する。このキレート金属錯体は「キレート交換耐性耐性」であり、放射性金属配位部位での他の潜在的競合配位子との配位子交換を容易には起こさない。潜在的競合配位子としては、トロパン部分自体、放射線防護剤又はインビトロ標品中の他の賦形剤(例えば抗菌保存剤)、或いはインビボ内在性化合物(例えばグルタチオン、トランスフェリン又は血漿タンパク質)が挙げられる。
【0016】
テクネチウム又はレニウムの好適な放射性同位体としては、94mTc、99mTc、186Re、及び188Reが挙げられる。好ましい放射性同位体は99mTcである。
【0017】
「四座」という用語はその通常の意味を有し、つまりキレート剤が4個のドナー原子を有し、その各々が金属に配位して金属錯体の形成によってキレート環を生じるものをいう。四座キレート剤は、好ましくはトロパンの2位、6位、7位又は8位に結合し、最も好ましくはトロパンの2位又は8位、理想的には2位に結合する。
【0018】
「放射線防護剤」という用語は、水の放射線分解で生成する含酸素フリーラジカルのような反応性の高いフリーラジカルを捕捉することによって、放射線放出による分解反応を(酸化還元プロセスなどで)阻害する化合物をいう。本発明の放射線防護剤は、好適には、アスコルビン酸、パラアミノ安息香酸(即ち4−アミノ安息香酸)、ゲンチシン酸(即ち2,5−ジヒドロキシ安息香酸)、ゲンチシルアルコール及びサリチル酸、並びにこれらの生体適合性陽イオンとの塩から選択される。好ましい放射線防護剤は、アスコルビン酸及びパラアミノ安息香酸又はそれらの生体適合性陽イオンとの塩である。特に好ましい放射線防護剤は、アスコルビン酸及びその生体適合性陽イオンとの塩である。好ましい塩はアスコルビン酸ナトリウムである。本発明の放射線防護剤は、医薬グレードで市販されている。
【0019】
「生体適合性陽イオン」という用語は、イオン化して負に荷電した基と塩を形成する正電荷を有する対イオンで、しかも無毒で哺乳類の身体、特に人体への投与に適したものをいう。適当な生体適合性陽イオンの例としては、アルカリ金属のナトリウム又はカリウム、アルカリ土類金属のカルシウム及びマグネシウム、さらにアンモニウムイオンが挙げられる。好ましい生体適合性陽イオンはナトリウム及びカリウムであり、最も好ましくはナトリウムである。
【0020】
本発明のテクネチウム及びレニウム金属錯体は「中性」であり、換言すれば、中心金属の正電荷が四座キレート剤の4つの金属ドナー原子の負電荷の合計と釣り合って全体として電気的に中性の金属錯体を生じる。起こり得るテクネチウム核の例は、O=Tc+=O及びTc3+=Oであり、いずれもTc(V)の酸化状態のテクネチウムを表す。レニウムについても、同様の核O=Re+=O及びRe3+=Oが知られている。
【0021】
本発明の中性放射性テクネチウム又はレニウム錯体は好適には次の式Iのものである。
【0022】
[{トロパン}−(A)nm−[金属錯体] (I)
式中、(A)nはリンカー基であり、nは値0〜10の整数であり、mは1、2又は3である。
【0023】
「リンカー基」(A)nは、式Iaに関して以下で定義する通りである。式Iの金属錯体は、トロパン「コンジュゲート」から得られる。本発明のトロパン四座キレート剤「コンジュゲート」は次の式Iaで定義される。
【0024】
[{トロパン}−(A)nm−[四座キレート剤] (Ia)
式中、−(A)n−はリンカー基であって、各Aは独立に−CR2−、−CR=CR−、−C≡C−、−CR2CO2−、−CO2CR2−、−NRCO−、−CONR−、−NR(C=O)NR−、−NR(C=S)NR−、−SO2NR−、−NRSO2−、−CR2OCR2−、−CR2SCR2−、−CR2NRCR2−、C4-8シクロヘテロアルキレン基、C4-8シクロアルキレン基、C5-12アリーレン基又はC3-12ヘテロアリーレン基であり、
Rは独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシアルキル又はC1-4ヒドロキシアルキルから選択され、
nは値0〜10の整数であり、
mは1、2又は3である。
【0025】
式I及びIaにおいて、mは好ましくは1又は2、最も好ましくは1であり、(A)nは好ましくは(CR2nであって、nは1〜3となるよう選択される。
【0026】
中性金属錯体を形成するテクネチウム及びレニウムに対する好適な四座キレート剤の具体例としては、特に限定されないが、以下のものが挙げられる。
(i)BATのようなジアミンチオールドナーセット、MAMAのようなアミドアミンジチオールドナーセット、PhATのようなフェニレンジアミンチオエーテルチオールドナーセット又はジチオセミカルバゾンドナーセットを有するN22配位子、
(ii)ジアミンジオキシム、
(iii)Picaのようなジアミドピリジンチオールドナーセットを有するN3S、
(iv)モノキソシクラムのようなアミドトリアミンドナーセットを有する鎖状又は大環状配位子、
(v)ジアミンジフェノールドナーセットを有するN22配位子。
【0027】
以上の配位子は、テクネチウム(例えば94mTcや99mTc)との錯形成に特に適しており、Jurisson他[Chem.Rev.,99,2205−2218(1999)]に詳細に記載されている。N22ジチオセミカルバゾンキレート剤についてはArano他[Chem.Pharm.Bull.,39,p.104−107(1991)]に記載されている。N22フェニレンジアミンチオエーテルチオールキレート剤についてはMcBride他[J.Med.Chem.,36,p.81−6(1993)]に記載されている。大環状アミドトリアミン配位子及びそのトロパンコンジュゲートについてはTurpin他[J.Lab.Comp.Radiopharm.,45,379−393(2002)]に記載されている。ジアミンジオキシムについてはNanjappan他[Tetrahedron,50,8617−8632(1994)]に記載されている。Picaなどのジアミドピリジンチオールドナーセットを有するN3S配位子についてはBryson他[Inorg.Chem.,29,2948−2951(1990)]に記載されている。ジアミンジフェノールドナーセットを有するN22配位子についてはPillai他[Appl.Rad.Isot.,41,557−561(1990)]に記載されている。
【0028】
本発明の好ましい99mTc金属錯体は、Volkert他[Radiochim.Acta,63,p.205−208(1993)]に記載されているような血液脳関門(BBB)の通過に適したものである。本発明の特に好ましい99mTc金属錯体は、99mTc−TRODAT−1及びテクネピンである。
【0029】
好ましい四座キレート剤は次の式IIのN22ジアミンジチオール又はアミドアミンジチオールドナーセットを有するものである。
【0030】
【化4】

式中、E1〜E5は各々独立にR′基であって、R′はH、C1-10アルキル、C3-10アルキルアリール、C2-10アルコキシアルキル、C1-10ヒドロキシアルキル、C1-10フルオロアルキル、C2-10カルボキシアルキル又はC1-10アミノアルキル、或いは2以上のR′基がそれらに結合した原子と共に炭素環、複素環、飽和又は不飽和環を形成するものであり、R′基の1以上はトロパンと結合しており、
Qは、式−J(CR′2f−の橋かけ基であって、fは1又は2であり、Jは−CR′2−又はC=Oであり、
1及びP2は独立にH又はチオール保護基である。
【0031】
「保護基」という用語は、不都合な化学反応(例えば遊離チオールの対応ジスルフィドへの酸化)を阻害し又は抑制する基を意味するが、この基は、コンジュゲートの放射標識に際して分子の他の部分を変性させない十分穏和な条件下でチオールから切断できる十分な反応性をもつように設計される。チオール保護基は当業者に周知であり、特に限定されないが、トリチル、4−メトキシベンジル、ベンジル、テトラヒドロピラニル、メチルテトラヒドロフラニル(MTHF)、アセトアミドメチル及びエトキシエチルが挙げられる。その他のチオール保護基の使用については、“Protective Groups in Organic Synthesis”,Theorodora W.Greene及びPeter G.M.Wuts,(John Wiley&Sons,1991)に記載されている。式IIにおいて、P1及びP2は好ましくはいずれもHである。
【0032】
好ましいQ基は−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−又は−(C=O)CH2−であり、最も好ましくはQが−CH2CH2−又は−CH2CH2CH2−であるN22ジアミンジチオールキレート剤であり、Qが−CH2CH2−のもの(つまりBAT型キレート剤)が特に好ましい。
【0033】
1〜E5は、好ましくは、H、C1-3アルキル、C1-3アルコキシアルキル、C1-3ヒドロキシアルキル又はC1-3フルオロアルキルから選択される。最も好ましくはE1〜E4基は各々Hであり、E5はC1-3アルキルである。
【0034】
式IIの最も特に好ましいキレート剤は、TRODAT−1のN22ジアミンジチオールキレート剤、つまり式IIにおけるQが−CH2CH2−で、E1〜E5がすべてHであり、P1=P2=Hであるキレータである。
【0035】
式IIの四座キレート剤は、好ましくは橋かけ基Q又はE5基を介してトロパンに結合する。最も好ましくは、トロパンはE5基を介して結合する。
【0036】
好ましくは、本発明のトロパンは次の式IIIのフェニルトロパンである。
【0037】
【化5】

式中、R1はH、C1-4アルキル、C1-4アルケニル又はC1-4フルオロアルキルであり、
2はCO25、CON(R52、COR5又はC1-4アルキルであって、各R5は独立にH又はC1-3アルキルであり、
3及びR4は独立にH、Cl、Br、F、I、CH3、C25、CF3、NO2、OCH3又はNH2である。
【0038】
1は好ましくはC1-3アルキル又はC1-3フルオロアルキルである。R2は好ましくはCO2CH3又はC1-2アルキルである。R3は好ましくは4−クロロ、4−フルオロ又は4−メチルであり、R4は好ましくはH又はCH3である。R1は最も好ましくはCH3である。
【0039】
式Iのリンカー基−(A)n−の役割は、比較的嵩高い金属錯体をトロパンから離隔して、生物学的標的部位(例えば哺乳類の脳内のドーパミン輸送体)へのトロパンの結合が損なわれないようにすることである。これは、嵩高い基が活性部位から遠ざかる自由度をもつようにするための柔軟性(例えば単純なアルキル鎖)及び/又は金属錯体を活性部位から遠ざけるシクロアルキル又はアリールスペーサーのような剛直性の組合せによって達成することができる。
【0040】
リンカー基の性状はコンジュゲートの金属錯体の生体内分布を変化させるのにも使用できる。例えば、リンカーにエーテル基を導入すると、血漿タンパク質の結合を最小限に抑制するのに役立つ。好ましいリンカー基−(A)n−は、原子数2〜10、最も好ましくは原子数2〜5、特に原子数2又は3の−(A)n−基をなす連結原子の骨格鎖を有する。2原子の最小のリンカー基骨格鎖はキレート剤がトロパンから十分に離れて相互作用が最小限に抑えられるという利点を与える。
【0041】
アルキレン基やアリーレン基のような非ペプチド系リンカー基は、それらがコンジュゲートしたトロパンと有意の水素結合相互作用をもたず、トロパンにリンカーが巻きつかないという利点を有する。好ましいアルキレンスペーサー基は−(CH2q−であり、qは2〜5である。好ましいアリーレンスペーサーは次式のものである。
【0042】
【化6】

式中、a及びbは独立に0、1又は2である。
【0043】
トロパンは、連結部が血液中で容易に代謝されないように金属錯体と結合するのが極めて好ましい。さもないと、標識トロパン阻害剤が所望の生体内標的部位に達する前に代謝によって金属錯体が切断されてしまうからである。したがって、トロパンは好ましくは容易に代謝されない連結部を介して本発明の金属錯体と共有結合する。
【0044】
本発明の安定化組成物は、適当な溶剤中で、放射線防護剤の存在下適当なpHで適当な酸化状態の放射性金属の溶液をキレート剤コンジュゲートと反応させることによって調製し得る。放射線防護剤は、コンジュゲート又は放射性金属と共に供給し得る。好ましくは、放射線防護剤をコンジュゲートと予備混合し、次いで前駆体組成物を放射性金属と反応させる(以下の第2の実施形態に記載の通り)。コンジュゲート溶液は、好ましくは、グルコン酸やクエン酸のように放射性金属と弱くしかし素早く錯体を形成する配位子を含んでいてもよく、放射性金属錯体は配位子交換又はキレート交換によって調製される。かかる条件は、金属イオンの加水分解のような不都合な副反応を抑制するのに有用である。放射性金属がレニウムの場合、通常の放射性出発物質は過レニウム酸塩、即ちReO4-である。放射性金属が99mTcの場合、通常の放射性出発物質は99Moジェネレータから得られる過テクネチウム酸ナトリウムである。過レニウム酸塩及び過テクネチウム酸塩では、金属(M)は比較的反応しにくいM(VII)の酸化状態で存在する。そのため、低酸化状態M(I)〜M(V)のテクネチウム又はレニウム錯体の調製には、通常、適当な生体適合性還元剤の添加が必要とされる。「生体適合性還元剤」とは、錯化を促進させるための、亜ジチオン酸ナトリウムや亜硫酸ナトリウム、ホルムアミジンスルフィン酸、第一スズイオン、Fe(II)、Cu(I)のような、薬学的に許容できる還元剤である。アスコルビン酸は、放射線防護剤としてだけでなく、生体適合性還元剤としても機能することができ、単に放射線防護剤として還元を促進させるのに必要な量を超えるアスコルビン酸を使用し得る。生体適合性還元剤は、好ましくは第一スズつまりSn(II)を、好ましくは第一スズのイオン又は塩として含む。好ましい第一スズ塩は、塩化第一スズ、フッ化第一スズ及び酒石酸第一スズである。第一スズ塩は無水形又は水和形で用いることができる。
【0045】
或いは、本発明の安定化組成物は、まず放射性金属錯体を適当な溶媒中に形成した後、放射線防護剤を添加することによって段階的に調製することもできる。かかる方法では、放射性金属錯体の形成後できるだけ速やかに放射線防護剤を添加して、放射線防護剤の安定化効果によって放射線分解その他の分解が最小限に抑えられるようにすべきである。放射性金属錯体の形成前に放射線防護剤を存在させる調製法が好ましい。
【0046】
本発明で使用する放射線防護剤の濃度は、好適には0.3〜5.0mM、好ましくは0.4〜4.0mM、最も好ましくは1.0〜3.5mMである。アスコルビン酸では、これは、好適には50〜900μg/cm3、好ましくは70〜800μg/cm3、最も好ましくは90〜700μg/cm3の濃度に相当する。99mTc放射性医薬品の99mTc−TRODAT−1の場合、アスコルビン酸又はアスコルビン酸塩放射線防護剤の好ましい濃度は0.5〜3.8mMである。
【0047】
本発明の放射性金属錯体を放射性医薬品組成物に使用する場合、好ましい調製法は、以下の第3及び第4の実施形態で述べる滅菌非放射性キットを使用することである。キットは正確な濃度の所要反応体を簡便に供給し、生理食塩液その他の適当な溶媒中の過レニウム酸塩又は過テクネチウム酸塩で再構成しさえすればでよい。
【0048】
第2の実施形態では、本発明は、上述の安定化組成物の調製に有用な前駆体組成物であって、
(i)上記で定義した式Iaのキレート剤コンジュゲートと、
(ii)上記で定義した放射線防護剤と
を含む前駆体組成物を提供する。
【0049】
好ましくは、前駆体組成物のトロパンは式III(上記)のフェニルトロパンである。前駆体組成物に好ましいトロパン及び最も好ましいフェニルトロパンは、第1の実施形態で述べた通りである。最も好ましくは、前駆体組成物のコンジュゲートは式IVのものである。
【0050】
【化7】

式中、P1及びP2は独立にH又はチオール保護基である。
【0051】
「保護基」という用語は、上述の式IIで定義した通りである。式IVの好ましいコンジュゲートは、P1とP2が共にHであるものである。
【0052】
本発明の前駆体組成物に用いるコンジュゲートは、二官能性キレート法で調製し得る。例えば、官能基の結合したキレート剤(二官能性キレート)の調製は周知である。結合した官能基としては、アミン、チオシアナート、マレイミド、及びN−ヒドロキシスクシンイミドやペンタフルオロフェノールのような活性エステルが挙げられる。かかる二官能性キレートをトロパンの適当な官能基と反応させれば所望のコンジュゲートを形成できる。トロパンの適当な官能基としては、カルボキシル(アミン官能化二官能性キレート剤とのアミド結合の形成用)、アミン(カルボキシル又は活性エステル官能化二官能性キレート剤とのアミド結合形成用)、ハロゲン、メシレート及びトシレート(アミン官能化二官能性キレート剤のN−アルキル化用)、並びにチオール(マレイミド官能化二官能性キレータとの反応用)が挙げられる。二官能性キレート法についての詳細は、Arano[Adv.Drug Deliv.Rev.,37,103−120(1999)]に記載されている。トロパンと四座キレート剤との結合に関する詳細については、N22ジアミンジチオールキレート剤に関するMeegalla他[J.Med.Chem.,40,9−17(1997)]の方法、N22アミドアミンジチオール(MAMA)キレート剤に関するMeltzer他[同書,40,1835−1844(1997)]の方法、及びモノキソシクラムキレート剤に関するTurpin他[J.Lab.Comp.Radiopharm.,45,379−393(2002)]の方法に記載されている。
【0053】
第3の実施形態では、本発明は、第1の実施形態の安定化組成物を哺乳類への投与に適した形態の生体適合性担体と共に含む放射性医薬品を提供する。「生体適合性担体」とは、造影剤を懸濁又は溶解できる流体、特に液体であって、組成物が生理学的に認容できるもの、つまり毒性も耐え難い不快感も伴わずに哺乳類の身体に投与することができるようになるものである。生体適合性担体は好適には注射可能な担体液であり、例えば、発熱性物質を含まない注射用の滅菌水、生理食塩液のような水溶液(好適には注射用の最終製剤が等張性又は非低張性であるように調和し得る)、1種以上の張度調節物質(例えば血漿陽イオンと生体適合性対イオンとの塩)、糖(例えばグルコース又はスクロース)、糖アルコール(例えばソルビトール又はマンニトール)、グリコール(例えばグリセロール)その他の非イオン性ポリオール物質(例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコールなど)の水溶液である。
【0054】
本発明の放射性医薬品は、適宜、抗菌保存剤をさらに含んでいてもよい。「抗菌保存剤」という用語は、細菌、酵母又はカビなどの有害微生物の増殖を阻害する薬剤を意味する。抗菌保存剤は、濃度に応じてある程度の殺菌作用を示すこともある。本発明の抗菌保存剤の主な役割は、再構成後の放射線医薬品組成物(つまり、放射性診断薬自体)における微生物の増殖を阻害することである。適当な抗菌保存剤としては、パラベン類、即ちメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン又はこれらの混合物、ベンジルアルコール、フェノール、クレゾール、セトリミド及びチオメルサールが挙げられる。好ましい抗菌保存剤はパラベンである。
【0055】
かかる放射性医薬品は、好適には、完全な滅菌状態を保ちながら皮下針で1回以上回穿刺するのに適したシールを備える容器(例えばクリンプセプタムシールクロージャ)で供給される。かかる容器には、1回又は複数回の用量を入れることができる。好ましい複数回投与用容器は、複数回分の用量を収容した単一バルクバイアル(例えば容積10〜30cm3のもの)からなり、臨床症状に合わせて製剤の有効期間中様々な時間間隔で1回分の用量を臨床グレードの注射器に取り出すことができる。充填済み注射器は1回分の用量を収容するように設計され、そのため好ましくは使い捨て又はその他臨床用に適した注射器である。充填済み注射器には、適宜、オペレーターを放射能から保護するため、注射器シールドを設けてもよい。かかる適当な放射性医薬品注射器シールドは、当技術分野で公知であり、鉛又はタングステンを含む。
【0056】
放射性同位体が99mTcである場合、診断用造影放射性医薬品に適した放射能含量は、生体内の撮像部位、取込み量及び標的/バックグラウンド比に応じて、180〜1500MBqの99mTcである。99mTcはSPECT造影に適しており、94mTcはPET造影に適している。
【0057】
本発明の放射性医薬品は、第1の実施形態の改良放射性金属組成物を含む。これは、放射性不純物が抑制されるという利点をもつ。かかる放射性不純物は、患者に不要な放射線量を与える原因となる可能性があり、場合によっては、信号対バックグラウンド比を低下させて造影に悪影響を与えかねない。
【0058】
本発明の放射性医薬品は、以下の第4の実施形態で述べる通り、キットから調製し得る。或いは、生体適合性担体中の本発明の放射性金属錯体は、所望の滅菌生成物が得られるように、無菌製造条件下で調製し得る。放射性医薬品は、非滅菌条件下で調製してもよく、その後に、例えばγ線照射やオートクレーブ処理、乾熱又は化学処理(例えばエチレンオキシドによる)を用いて最終的な滅菌を行えばよい。好ましくは、本発明の放射性医薬品はキットから調製される。
【0059】
第4の実施形態では、本発明は、本発明の放射性医薬品の調製用キットであって、
(i)式(Ia)のコンジュゲート又はその生体適合性対イオンとの塩と、
(ii)放射線防護剤(上記で定義した通り)と、
(iii)生体適合性還元剤(上記で定義した通り)と
を含むキットを提供する。
【0060】
かかるキットは例えば血流中への直接注射による人体への投与に適した滅菌放射性医薬品製剤を与えるように設計される。99mTCについては、キットは好ましくは凍結乾燥したもので、99mTc放射性同位体ジェネレータからの滅菌99mTc−過テクネチウム酸塩(TcO4-)で再構成すればそれ以上操作しなくてもヒト又は哺乳類への投与に適した溶液が得られるように設計される。適当なキットは、遊離塩基又は酸塩の形態のコンジュゲート(Ia)を生体適合性還元剤と共に収容した容器(例えばセプタムシールバイアル)を備える。「生体適合性還元剤」は、上記の第1の実施形態で定義した通りである。キット用の生体適合性還元剤は、好ましくは塩化第一スズや酒石酸第一スズのような第一スズ塩である。
【0061】
キットの「放射線防護剤」は上記で定義した通りである。好ましい放射線防護剤は、第1の実施形態の安定化組成物に関して述べたものである。
【0062】
式(Ia)のコンジュゲートは、トロパン環の8位をなすアミンに加えて、四座キレート剤のアミノドナー原子を含む。したがって、コンジュゲートは、適宜「その生体適合性対イオンとの塩」つまりコンジュゲートの酸塩としてキットに使用できる。かかる適当な塩には、塩酸塩、トリフルオロ酢酸塩、スルホン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、スルホサリチル酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。コンジュゲートが式IVのものである場合、好ましい塩はトリフルオロ酢酸塩又は塩酸塩であり、特にトリフルオロ酢酸塩である。
【0063】
非放射性キットは、適宜、1種以上のトランスキレート剤、抗菌保存剤、pH調節剤又は充填剤のような追加成分をさらに含んでいてもよい。「トランスキレート剤」は、テクネチウムと迅速に反応して弱い錯体を形成し、後で配位子で置換される1種以上の化合物である。これは、テクネチウム錯形成反応と競合する過テクネチウム酸の急速な還元による還元加水分解テクネチウム(RHT)の形成の危険性を最小限に抑える。かかるトランスキレート剤として適当なものは、弱有機酸(即ちpKaが3〜7の有機酸)と生体適合性陽イオンとの塩である。かかる弱有機酸として適当なものは、酢酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、グルコヘプトン酸、安息香酸、フェノール又はホスホン酸、或いはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)やイミノ二酢酸(IDA)、ニトリロ三酢酸(NTA)のようなアミノカルボン酸である。したがって、適当な塩は、酢酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩、グルコヘプトン酸塩、安息香酸塩、フェノラート、ホスホン酸塩又はエデト酸塩である。かかる塩として好ましいのは、エデト酸塩、グルコン酸塩、グルコヘプトン酸塩、安息香酸塩又はホスホン酸塩であり、最も好ましくはエデト酸塩、グルコン酸塩、グルコヘプトン酸塩又はホスホン酸塩、特にグルコン酸塩、グルコヘプトン酸塩又はエデト酸塩である。好ましいエデト酸塩は、エデト酸二ナトリウム及びエデト酸カルシウムである。好ましいトランスキレート剤は、生体適合性陽イオンのグルコン酸塩又はグルコヘプトン酸塩である。
【0064】
キットがジアミンジチオールN22四座キレート剤を含む場合、トランスキレート剤は好ましくはグルコン酸塩又はグルコヘプトン酸塩とエデト酸塩との組合せを含む。
【0065】
「抗菌保存剤」は、放射性医薬品の実施形態(つまり第3の実施形態)で定義した通りである。キットに抗菌保存剤を配合すると、再構成した後の標品中での有害微生物の増殖が阻害されることを意味する。
【0066】
「pH調節剤」という用語は、再構成したキットのpHが、ヒト又は哺乳類の投与に許容できる範囲(約pH4.0〜10.5)に確実に収まるように使用される化合物又は化合物の混合物を意味する。かかるpH調節剤の適当なものとして、トリシン、リン酸塩又はTRIS(即ち、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)などの薬学的に許容できる緩衝剤、並びに炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム又はこれらの混合物などの薬学的に許容できる塩基が挙げられる。コンジュゲートを酸の塩の形態で用いる場合、pH調節剤は適宜、キットのユーザーが多段階操作法の一部としてpHを調節できるように別個のバイアル又は容器で提供してもよい。
【0067】
「充填剤」という用語は、製造時及び凍結乾燥時の材料の取扱いを容易にする薬学的に許容される増量剤を意味する。適当な充填剤としては、塩化ナトリウムのような無機塩及び水溶性糖類又は糖アルコール、例えばスクロース、マルトース、マンニトール又はトレハロースが挙げられる。好ましい充填剤はマンニトールである。
【0068】
99mTCの場合、キットは好ましくは凍結乾燥され、99mTc放射性同位体ジェネレータからの滅菌99mTc−過テクネチウム酸塩(TcO4-)の滅菌溶液で再構成すればそれ以降最小限の操作でヒト又は哺乳類への投与に適した溶液が得られるように設計される。理想的な状況では、所望の放射性医薬品生成物は室温で99mTcジェネレータ溶出液から直接、つまり1段階調製で数分以内に形成される。その代替法は、キットに2種以上の溶液(例えば溶出液と緩衝液)を添加することが必要とされる多段階プロセスである。場合によっては、室温での反応時間が過度に長くなることがあるかも知れない。これは、当技術分野で公知の経時的RCP測定によって容易に決定できる。したがって、放射標識反応が短時間で完了するように、加熱が必要とされることもある。加熱が必要とされる場合、加熱プロセスには、望ましい温度制御が達成できる限り、例えば水や高沸点油(例えばシリコーン)のような流体の熱浴、加熱ブロック、ホットプレート又はマイクロ波放射のような任意の適当な方法を用いればよい。加熱終了後、反応混合物を室温に放冷するか、或いは能動的冷却(例えば気体や水のような冷却流体の流れの中で)又は一体誘導冷却を備えた加熱ブロックを用いて冷却する。
【0069】
本発明の好ましいキットは、以下の(i)〜(iii)を含む。
(i)式(Ia)のコンジュゲート又はその生体適合性対イオンとの塩、
(ii)アスコルビン酸、パラアミノ安息香酸、ゲンチシン酸又はこれらの生体適合性の塩から選択される放射線防護剤、及び
(iii)第一スズを含む生体適合性還元剤。
最も好ましいキットは、還元剤としてアルコルビン酸又はその生体適合性の塩を含む。第一スズ還元剤は、第1の実施形態(上記)で述べた通りである。
【0070】
式(Ia)のコンジュゲートがN22ジアミンジチオールキレート剤を含む場合、本発明の好ましいキットはさらに以下の(i)〜(iv)を含む。
(i)四座キレート剤が式IIのN22ジアミンジチオールを含んでいる式(Ia)のコンジュゲート又はその生体適合性の塩、
(ii)アスコルビン酸、パラアミノ安息香酸、ゲンチシン酸又はこれらの生体適合性の塩から選択される放射線防護剤、
(iii)第一スズを含む生体適合性還元剤、及び
(iv)グルコン酸、グルコヘプトン酸EDTA、及び生体適合性の塩、及びこれらの組合せから選択されるトランスキレート剤。
【0071】
22ジアミンジチオールキレート剤がTRODAT−1の一部をなす場合、トランスキレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びその生体適合性の塩とグルコン酸又はグルコヘプトン酸との組合せを含むのが好ましい。トロパン−四座キレート剤コンジュゲートがTRODAT−1である場合、本発明のキットは、好ましくは以下の(i)〜(v)を含む。
(i)式(IV)のコンジュゲート又はその生体適合性の塩、
(ii)アスコルビン酸又はその生体適合性の塩から選択される放射線防護剤、
(iii)第一スズを含む生体適合性還元剤、
(iv)グルコン酸又はグルコヘプトン酸及びこれらの生体適合性の塩から選択されるトランスキレート剤、及び
(v)エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びその生体適合性の塩。
【0072】
好ましいTRODAT−1キットは、アスコルビン酸又はアスコルビン酸ナトリウムを放射線防護材として含み、グルコン酸ナトリウムとエデト酸二ナトリウムとの組合せをトランスキレート剤として含む。最も好ましいTRODAT−1キット処方は、実施例1の処方Pとして示されるものである。
【0073】
第5の実施形態では、本発明は、本発明の放射性医薬品の調製方法であって、
(i)哺乳類への投与に適した形態の生体適合性担体中で第2の実施形態の前駆体組成物とテクネチウム又はレニウムの放射性同位体とを反応させること、又は
(ii)哺乳類への投与に適した形態の生体適合性担体中で第1の金属錯体を形成し、次いで有効量の1種以上の放射線防護剤を添加すること
によって、トロパンキレート剤コンジュゲートの金属錯体を、生体適合性担体中で哺乳類への投与に適当な形に形成することを含むを提供する。
【0074】
第6の実施形態では、本発明は、哺乳類の脳の画像診断法における第3の実施形態の放射性医薬品の使用を提供する。
【0075】
別の実施形態では、本発明は、第3の実施形態の放射性医薬品を予め投与しておいた哺乳類を撮像することを含む、哺乳類の脳の画像診断法を提供する。この実施形態では、放射性医薬品が造影法又は画像処理法に用いられるが、「予め投与しておいた」という用語は、患者に薬剤を投与するために医療資格者がなすべきすべてのステップが既に実施されたことを意味する。
【実施例】
【0076】
以下の非限定的な実施例で本発明を例示する。実施例1は、それ以降の実施例に記載した比較検討に使用した材料及び方法について述べる。こうして、本発明の処方(処方P)を従来技術の処方(処方Q)と対比する。実施例2は、用いた放射標識プロトコル及び品質管理法について述べる。
【0077】
実施例3では、各種99mTcジェネレータ溶出特性がキット処方P及びQの性能に及ぼす影響について検討する。99mTcジェネレータは数日間使用されるように設計され、ジェネレータの経時時間及び最後に溶出してからの時間に応じて、溶出で得られる溶出液の一連の範囲の特性が得られる。商用キットは、顧客が使用する際に貯蔵及び溶出条件の全範囲で十分なRCP製剤を与えるものでなければならない。実施例3は、一連の4組の溶出条件(「溶出条件1〜4」)について検討する。この結果は、「最良の場合」のジェネレータ溶出条件(「溶出条件1」)下では、いずれの処方も妥当な初期RCP(P及びQでそれぞれ92%及び88%)を与えることを示している。処方Pは調製後3.5時間で90%のRCPを示したのに対して、処方Q(従来技術)は同じ時間でRCPが77%に急激に低下した。これらの結果は、処方Pが、初期RCPだけでなく、調製後の安定性も向上していることを示している。
【0078】
ジェネレータ溶出条件2では、処方Pの調製直後のRCPは92%であり、4時間後には90%であった。処方Qの初期RCPは88%であったが、3.5時間後にはやはり77%に大きく低下した。これらの結果から、その可使時間の最後のジェネレータ溶出液であっても、処方Pは、従来技術の処方Qに比べてその初期RCPが向上し、かつ調製後の安定性が増大したことが実証される。
【0079】
ジェネレータ溶出条件3では、ジェネレータの溶出間隔が長いにもかかわらず、いずれの処方も妥当な初期RCPを示す(P及びQでそれぞれ91%及び88%)。調製後4時間で処方PのRCPは依然88%と高いのに対して、処方QのRCPはわずか2時間後に73%に低下した。
【0080】
ジェネレータ溶出条件4では、処方Pは1.5時間後に90%のRCPを示し、調製後3.5時間では89%である。こうした最も過酷な溶出液条件に付した場合、従来技術の処方QのRCPは1.5時間でわずか76%であり、3.5時間で71%に低下する。
【0081】
実施例4は、99mTc−TRODAT−1製剤用の放射線防護剤としてp−ABAも有効であることを示す。p−ABAを添加すると、RCPは大きく向上する。p−ABAのレベルを200μgから500μgに上げると、初期及び4時間後の安定性がさらに高まる。
【0082】
実施例5では、同一溶出液放射能濃度(0.75GBq/ml)で、キットバイアルの再構成に用いる99mTc−過テクネチウム酸塩の体積(「再構成体積」)がRCPに及ぼす影響について検討する。再構成体積が標準的な2mlである場合、処方Pキットは処方Q(従来技術)よりも良好に機能する。処方Pキットは、4ml中3GBqで再構成したときでも、十分に放射標識を継続するが、キットを6ml中4.5GBqで再構成するとRCPは大きく低下する。これらの結果は、いずれの処方のRCPも再構成体積によって影響されることを示す。この影響は、溶媒の放射線分解に関する経路長効果の増加に起因する可能性がある。処方Pでは放射線防護剤アスコルビン酸塩の配合によって、体積効果は従来技術の処方(Q)よりも抑制されているが、その影響は完全には排除されない。
【0083】
実施例6では、Choi他[Nucl.Med.Biol.,26,p.461−466(1999)]でバイアル加熱法が用いられているので、放射標識法の一部としてオートクレーブ加熱サイクル(121℃、30分)を用いたときの影響について検討する。本発明の実験は、典型的には、沸騰水浴による加熱を用いて実施したが、それは調製法の一部としてのオートクレーブの使用は、商用品には魅力的な選択肢ではないからである。したがって、様々な加熱法が、処方P及びQで観察されるRCPの差に寄与するのか否かを決定するため比較検討を行った。実施例6は、オートクレーブ加熱サイクルの使用によって、両処方のRCPに有害な影響が出ることを示す。いずれの処方でも、両分析時点で低いRCPが観察され、高レベルの親水性不純物が放射性HPLCクロマトグラムに観察された。したがって、従来技術であるChoi他の99mTc−TRODAT−1製剤について報告された安定性は、オートクレーブ処理の使用によるものとすることはできない。
【0084】
実施例7は、99mTc−TRODAT−1の有用な局所脳生体内分布特性が、放射線防護剤のアスコルビン酸ナトリウムの存在下で維持されることを示す。
【0085】
実施例8は、本発明の99mTcキット処方が、3種の異なる商用99mTcジェネレータによる一連の溶出液条件で十分なRCPを与えることを示す。
【0086】
実施例9は、本発明の処方Pキットが、2段階プロトコルを用いて室温でうまく再構成できることを示す。まず放射能を加えた後、pH7.4の緩衝液を添加する。緩衝液で反応混合物のpHを高めて、放射標識を終える。
【0087】
実験
一連の比較実験を実施して、本発明の放射線防護剤処方の放射標識データを従来技術に記載の99mTc−TRODAT−1の最適化データと対比した。本発明の処方は、従来技術の公表されているTRODAT−1処方[Choi他,Nucl.Med.Biol.,26,p.461−466(1999)]よりも格段に優れていることを実証する。
【0088】
実施例1: 材料及び方法
全ての研究は、凍結乾燥したキット処方を用いて実施した。複数のキットバイアルを同じ条件下で、ただし異なる処方、つまり本発明(処方P)と従来技術のChoi他の処方(処方Q)用に準備した。バイアルはすべて、使用時まで、−20℃の暗所で直立して保存した。99mTc−過テクネチウム酸塩溶出液は、Amertec II(商標)ジェネレータ(実施例3〜7用)、Drytec(商標)ジェネレータ(実施例8及び9用)、Ultra Technekow(商標)及びElutec(商標)ジェネレータ(実施例8用)から得た。キット処方を表1に示す。
【0089】
【表1】

最も著しい差は、処方Pが放射線防護剤(アスコルビン酸ナトリウム)を含んでいるのに対し、処方Qがこれを含んでいないことである。
【0090】
実施例2: 放射標識法及び純度決定
特記しない限り、全ての試験品は同じ方法で放射標識し、分析した。周囲温度と平衡に達したら、各キットを1.5GBq(±10%)の放射能(1.5GBqは740MBqの用量2回分に相当する)を含む2mlの99mTc−過テクネチウム酸塩溶液で再構成し、沸騰水浴中で20分間加熱し、次いで10分間冷却した後、HPLC及びITLCでRCP分析をした。分析時間は、「調製後」として報告する。
RCPの決定
HPLC:
カラム:Xterra RP18 3.5μm×50mm。
ループサイズ:50μL、
移動相:60% 50mM酢酸アンモニウム pH7:40%アセトニトリル
流量:0.5ml/分。
ITLC:
Pall ITLC−SGシート(部品番号61886)を20mm×200mmの細片に切り、50% 1M酢酸アンモニウム:50% アセトンで溶出した
RCPの計算:
RCP=(A+B)×((100−RHT)/100)
A=HPLCからの種A、B=HPLCからの種B、RHT=還元加水分解テクネチウム、ITLCの原点にある化学種。
種A及び種Bは、Meegalla他[J.Med.Chem.,41,428−436(1998)]に記載の通り99mTc−TRODAT−1のジアステレオマーである。
【0091】
実施例3: 様々なジェネレータ溶出条件でのキット性能の比較
処方P及びQ(実施例1に記載)のキットを、実施例2と全く同じ方法で、再構成し加熱し分析した。4種のジェネレータ溶出条件について調査した。
ジェネレータ溶出条件(1〜4)
1.新鮮な溶出液:溶出間隔は24時間、経過時間<2時間の溶出液;
2.経時溶出液:溶出間隔は24時間、経過時間>6時間の溶出液−高レベルの放射線分解生成物;
3.新鮮な溶出液:溶出間隔は72時間、経過時間<2時間の溶出液−低い99mTc/99Tc比;
4.経時溶出液:溶出間隔は72時間、経過時間>6時間の溶出液−低い99mTc/99Tc比及び高レベルの放射線分解生成物。
【0092】
RCPの決定は、調製後の2時点で実施した。この結果を表2に示す。
【0093】
【表2】

実施例4: パラアミノ安息香酸ナトリウム放射線防護剤の影響
新しく調製したp−ABAナトリウム(パラアミノ安息香酸ナトリウム)の窒素パージ溶液を、処方Qのキットに添加した。このキットの放射標識は、まず放射線防護剤(0.2ml)を添加し、その後すぐに過テクネチウム酸溶液(1.8ml中1GBq)を添加した。次いでこのキットを、実施例2に記載の通り加熱した。結果を表3に示す。
【0094】
【表3】

実施例5: 再構成体積の影響
再構成体積が、P及びQ処方の放射標識性能に及ぼす影響を対比した。どちらの処方のキットも、実施例1及び2の場合と同様に、再構成、加熱、分析した。キットの再構成に用いた溶出液の放射濃度は、各試験品ごとに1.5GBq/mlとして一定に保ち、溶出液の再構成体積2、4、及び6mlについて調査した。
【0095】
【表4】

実施例6: オートクレーブを使用した加熱効果の検討
処方P及びQのそれぞれについて2個のバイアルを、標準的な方法で、放射能1.5GBqの過テクネチウム酸ナトリウム溶液2mlで再構成した。これらのバイアルを、25分間121℃のオートクレーブサイクルに付した。このサイクルの全持続時間(加熱及び冷却)は、約120分であった。その結果、最も早いRCP分析の時点は、再構成してから2時間20分後であった。分析時間は、再構成後(調製後ではなく)の時点として表5に報告する。
【0096】
【表5】

実施例7: 添加した放射線防護剤が、99mTc−TRODAT−1の生体内分布に及ぼす作用の試験
キット処方Pを、実施例1及び2に記載の通り再構成して99mTc−TRODAT−1を得、これを試験品とした。試験品の放射化学的純度(RCP)は注射前が92%であり、注射後の分析時点までに91%に低下した。注射前後の分析時点では、存在する親油性(約2%)及び親水性(約6%)の放射標識種の割合が低かった。Aとジアステレオマーとの比(46:54)は、注射前の分析時点と注射後の分析時点とで一定に維持されていた。実験は、正常な雄ウィスターラット(180〜220g)について、試験品注射後(p.i.)の所定の6カ所の時点(2及び20分、1、2、4、及び7時間)で実施した。これらの動物をハロタン(酸素中6%)で麻酔し、試験品0.1ml(500MBq/ml)を注射し、犠牲にし、解剖し、サンプルの放射能に関してアッセイを行った。比較検討は、アスコルビン酸放射線防護剤を含まないこと以外は処方Pに相当する99mTc−TRODAT−1キット製剤を用いて実施した。
【0097】
血中に存在する注射線量のパーセンテージは、注射後の全ての時点で、処方Pに関して約3分の1倍であった。脳への放射能の取込み及び保持率は、どちらの処方についても、注射後20分を除いた全ての時点で同様であった。注射後20分までで、不安定処方を投与した後の注射線量は0.29%であるのに対し、放射線防護剤処方を投与した後は、注射線量(id)の約0.45%が脳内に保持されていた。この脳への取込みの差は、脳領域1g当たりで表した場合に注射後20分で脳領域に存在する注射線量のパーセンテージが上昇することによって表された。
【0098】
観察された主な相違は、放射線防護剤処方を投与した後の線条体における選択的保持率が上昇したことであり、注射してから2時間後に2.31±0.31でピークに達し、注射後4時間になるまでこのピークレベルのままであった(2.42±0.80)。これに対し、不安定処方を投与した後は、線条体における選択的保持率が、注射後2時間までは1.74±0.96であり、注射後4時間までには0.76±0.30になった。
【0099】
実施例8: 本発明のキット処方と商用99mTcジェネレータとの適合性の検討
本発明の処方Pのキットを、実施例2に記載の通り、3種の異なる欧州の99mTcジェネレータから得た溶出液2.5ml中の1GBqbの99mTcで再構成し、加熱し、冷却し、次いで5℃又は25℃で貯蔵し、調製後0、4、及び6時間で分析した。試験は、99mTcジェネレータからの新鮮な溶出液及び経時溶出液の両方で再構成したキットで行った。その結果を表7(次ページ)に示す。
【0100】
実施例9: 本発明のキット処方に対する代替の室温再構成条件
処方Pのキットを2段階で再構成した。まず、1GBqの放射能を含む99mTc過テクネチウム酸ナトリウム溶液1.5mlを、キットバイアルに添加した。次いでpH7.4(1ml)のリン酸緩衝液をすぐに添加し、過テクネチウム酸溶液の添加から30分後にRCPを決定した。その結果を表6に示す。
【0101】
【表6】

【0102】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)コンジュゲートにキレート化した射性同位体99mTcの金属錯体であって、上記コンジュゲートがトロパンに結合した四座キレート剤を含み、上記四座キレート剤が上記射性同位体99mTcと中性金属錯体を形成している金属錯体と、
(ii)アスコルビン酸、パラアミノ安息香酸又はゲンチシン酸或いはそれらの生体適合性陽イオンとの塩を含む1種以上の放射線防護剤と
を含む安定化組成物であって、
前記四座キレート剤が、以下の(i)〜(iv)
(i)N22
(ii)N3S、
(iii)ジアミンジオキシム、又は
(iv)アミドトリアミン
から選択されるドナーセットを有し、上記99mTcの金属錯体の調製3.5時間後の該金属錯体の放射化学的純度が85%以上である、安定化組成物。
【請求項2】
前記金属錯体の調製に用いられる99mTcが、99mTcジェネレータから以下(i)〜(iv)のいずれかの条件で得られた溶出液である、請求項1記載の安定化組成物。
(i)24時間以上前に前回の溶出を行ったジェネレータからの経過時間2時間未満の溶出液、
(ii)24時間以上前に前回の溶出を行ったジェネレータからの経過時間6時間以上の溶出液、
(iii)72時間以上前に前回の溶出を行ったジェネレータからの経過時間2時間未満の溶出液、又は
(iv)72時間以上前に前回の溶出を行ったジェネレータからの経過時間6時間以上の溶出液。
【請求項3】
前記コンジュゲートが次の式Iaのものである、請求項1又は請求項2記載の安定化組成物。
[{トロパン}−(A)nm−[四座キレート剤] (Ia)
式中、−(A)n−はリンカー基であって、各Aは独立に−CR2−、−CR=CR−、−C≡C−、−CR2CO2−、−CO2CR2−、−NRCO−、−CONR−、−NR(C=O)NR−、−NR(C=S)NR−、−SO2NR−、−NRSO2−、−CR2OCR2−、−CR2SCR2−、−CR2NRCR2−、C4-8シクロヘテロアルキレン基、C4-8シクロアルキレン基、C5-12アリーレン基又はC3-12ヘテロアリーレン基であり、
Rは独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシアルキル又はC1-4ヒドロキシアルキルから選択され、
nは値0〜10の整数であり、
mは1、2又は3である。
【請求項4】
前記トロパンが次の式IIIのフェニルトロパンである、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の安定化組成物。
【化1】

式中、R1は、H、C1-4アルキル、C1-4アルケニル又はC1-4フルオロアルキルであり、
2は、CO25、CON(R52、COR5又はC1-4アルキルであって、各R5は独立にH又はC1-3アルキルであり、
3及びR4は独立にH、Cl、Br、F、I、CH3、CF3、NO2、OCH3又はNH2である。
【請求項5】
前記四座キレート剤が前記トロパンの2位又は8位に結合している、請求項1乃至請求項のいずれか1項記載の安定化組成物。
【請求項6】
前記四座キレート剤がN22ジアミンジチオールのドナーセットを有する、請求項1記載の安定化組成物。
【請求項7】
前記放射線防護剤がアスコルビン酸又はその生体適合性陽イオンとの塩を含む、請求項1記載の安定化組成物。
【請求項8】
記四座キレート剤がN22ジアミンジチオールのドナーセットを有していて請求項記載の式IIIのフェニルトロパンの2位に結合しており、前記放射線防護剤がアスコルビン酸又はその生体適合性陽イオンとの塩を含む、請求項1乃至請求項のいずれか1項記載の安定化組成物。
【請求項9】
請求項1乃至請求項のいずれか1項記載の安定化組成物の調製に有用な前駆体組成物であって、
(i)請求項記載の式Iaのコンジュゲートと、
(ii)請求項1記載の放射線防護剤と
を含む前駆体組成物。
【請求項10】
請求項1乃至請求項のいずれか1項記載の安定化組成物を哺乳類への投与に適した形態の生体適合性担体と共に含む放射性医薬品。
【請求項11】
請求項10記載の放射性医薬品の調製用キットであって、
(i)請求項記載の式(Ia)のコンジュゲート又はその生体適合性対イオンとの塩と、
(ii)請求項1記載の放射線防護剤と、
(iii)生体適合性還元剤と
を含むキット。
【請求項12】
請求項10記載の放射性医薬品の調製方法であって、
(i)哺乳類への投与に適した形態の生体適合性担体中で請求項記載の前駆体組成物と射性同位体99mTcとを反応させること、又は
(ii)哺乳類への投与に適した形態の生体適合性担体中で請求項1乃至請求項のいずれか1項記載の金属錯体を形成し、次いで有効量の1種以上の放射線防護剤を添加すること
のいずれかによって、哺乳類への投与に適した形態の生体適合性担体中で請求項1乃至請求項のいずれか1項記載の金属錯体を形成することを含む方法。

【公開番号】特開2011−132258(P2011−132258A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71532(P2011−71532)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【分割の表示】特願2006−525001(P2006−525001)の分割
【原出願日】平成16年2月9日(2004.2.9)
【出願人】(305040710)ジーイー・ヘルスケア・リミテッド (99)
【Fターム(参考)】