改質ナノ粒子
本発明は、好ましくは100nm未満の平均粒度を有し、分散剤が塗布され、任意に更に結晶化抑制剤を含むナノ粒子を開示する。好ましい分散剤は、ナノ粒子に親水性または疎水性表面を付与し、ポリマーにまたはポリマー中に結合するための反応性基を含むそれである。この種のナノ粒子を含むプラスチックも開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改質ナノ粒子、その調製及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
国際特許出願WO 00/57932号明細書には、ナノ複合材料と呼ばれるものを含む外科的用途の物質が開示されている。X線を吸収し、その例に硫酸バリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム及び酸化クロムが含まれる充填剤粒子は、その分散性を増大させるために有機化合物で処理すると、凝集する傾向が低下して分散の一様性が増大しうる。この目的に使用される化合物の例には、製造下の外科的物質のモノマー、クエン酸塩またはその他の化合物のような有機化合物が含まれる。有機シランのようなカップリング剤または界面活性剤のような高分子物質(例えば、硫酸ドデシルナトリウム)も使用されうるが、両親媒性分子、すなわち親水性部分及び疎水性部分を有する分子も使用されうる。特定のものには、ノニルフェノールエトキシレート、ビス(2-エチルヘキシル)スルホスクシネート、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、及びリン脂質が含まれる。例には、塗膜なしの硫酸バリウムまたは沈殿後にクエン酸ナトリウムを塗布した粒子がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的の一は、乾燥後でも再び分散性である微粉状のナノ粒子、特にプラスチックへの添加に十分に役立つナノ粒子を明細に記載することである。特別な目的は、特にプラスチックに添加された場合に再凝集しない解凝集されたナノ粒子を提供することである。これら及び更なる目的は本発明により達成される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、分散剤を塗布した、所望の場合には、結晶化抑制剤を更に含む無機ナノ粒子であって、その平均粒度が<500nm、好ましくは<250nm、非常に好ましくは<100nm、特に<80nm、特に好ましくは<50nm、特別に好ましくは<20nm、非常に特に好ましくは<10nmである、本発明の明細書の優先権の日には未公開である国際特許出願PCT/EP04/013612号明細書に開示されているような硫酸バリウム粒子の場合を除いたナノ粒子を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
一次粒子の平均粒度の下限は例えば5nmであるが、それより小さくてもよく、1nmでもよい。これらは、XRDまたはレーザー回折法により決定された平均粒度である。
ナノスケールの粒子内の結晶化抑制剤及び分散剤の量は柔軟である。ナノ粒子1質量部に対して、2質量部以下、好ましくは1質量部以下の結晶化抑制分散剤の存在が可能である。結晶化抑制剤が存在する場合には、それもまたナノ粒子1質量部に対して2質量部以下、好ましくはナノ粒子1質量部に対して1質量部以下の量が存在する。分散剤は、好ましくはナノ粒子中に1乃至50質量%の量で存在し、ナノ粒子及び分散剤及び、存在する場合には結晶化抑制剤の総量は100質量%である。結晶化抑制剤が存在する場合には、この場合もまた、好ましくはナノ粒子中に1乃至50質量%の量で存在し、ナノ粒子及び分散剤及び、存在する場合には結晶化抑制剤の総量は100質量%である。結晶化抑制剤及び分散剤の総量は、好ましくはナノ粒子の総質量の80質量%以下である。ナノ粒子は、好ましくは約20乃至99質量%の量で存在し、ナノ粒子及び分散剤及び、存在する場合には結晶化抑制剤の総量は100質量%である。
【0006】
使用する場合には、結晶化抑制剤は、無機ナノ粒子が沈殿するかまたはその更なる加工中に結晶成長の結果としての、ナノメートル範囲から外れる結果を伴うより大きい結晶粒子の形成を防ぐことを目的とする。
分散剤は、ナノ粒子が溶剤、プラスチック、ポリマープレミックス等に容易に分散しうることを確実にすることを目的とする。
ある種の無機粒子は、結晶化抑制剤または分散剤を添加しない従来の調製中に、一次粒子の凝集体(二次粒子)を形成しうることが知られている。本明細書において“解凝集”という用語は、二次粒子が完全に分解されて、分離して存在する一次粒子となることを意味しない。二次粒子は、典型的には沈殿で生成する凝集状態ではなくて、より小さな凝集体の形であることを意味する。本発明の解凝集されたナノ粒子は、好ましくは、平均粒度が2μm未満、好ましくは1μm未満の凝集体(二次粒子)を90%以上含む。特に好ましくは、平均粒度は、250nm未満であり、非常に好ましくは200nm未満である。更に好ましくは、130nm未満であり、特に好ましくは100nm未満であり、非常に特に好ましくは80nm未満であり、更に好ましくは、二次粒子の平均粒度は<50nmまたは<30nmである。部分的には、あるいは実質的に完全に、ナノ粒子は凝集されていない一次粒子の形である。これらは、XRDまたはレーザー回折法により決定される平均粒度である。
【0007】
以下の文は、本発明において使用されうる結晶化抑制剤を記載する。好ましい結晶化抑制剤は1以上のアニオン基を含む。結晶化抑制剤中のアニオン基は、好ましくは1以上のスルフェート、1以上のスルホネート、2以上のホスフェート、2以上のホスホネートまたは2以上のカルボキシレート基である。
存在する結晶化抑制剤は、例えば、この目的で使用されることが知られている物質でもよく、その例は、WO 01/92157号明細書に記載されているような、典型的にはナトリウム塩の形の比較的短い連鎖またはより長い連鎖のポリアクリレート、ポリグリコールエーテルのようなポリエーテル、ナトリウム塩の形のラウリルエーテルスルホネートのようなエーテルスルホネート、フタル酸及びその誘導体のエステル、ポリグリセロールのエステル、トリエタノールアミンのようなアミン、及びステアリン酸エステルのような脂肪酸のエステルである。
結晶化抑制剤として、炭素連鎖R及びn個の置換基[A(O)OH]を有する式(I)の化合物またはその塩を使用することも可能である。
【0008】
(I) R[-A(O)OH]n
(式中、
Rは、疎水性及び/または親水性部分を有する有機基であって、Rは低分子量、オリゴマーまたはポリマーであり、任意に酸素、窒素、燐または硫黄へテロ原子を含む、及び/または酸素、窒素、燐または硫黄によりR基に結合されている基により置換されている任意に分岐状及び/または環状の炭素連鎖でもよく、
Aは、C、P(OH)、OP(OH)、S(O)またはOS(O)であり、かつ
nは1乃至10000である。)
【0009】
モノマーまたはオリゴマー化合物の場合には、nは、好ましくは1乃至5である。
この種の有用な結晶化抑制剤には、ヒドロキシ置換カルボン酸化合物が含まれる。非常に有用な例は、ヒドロキシ置換モノカルボン酸及びジカルボン酸である。そのようなカルボン酸は、例えば、クエン酸、リンゴ酸(2-ヒドロキシブタン-1,4-二酸)、ジヒドロキシコハク酸及び2-ヒドロキシオレイン酸のように、好ましくは連鎖中に(COO基の炭素原子なしで数えて)1乃至20個の炭素原子を有する。結晶化抑制剤としてはクエン酸及びポリアクリレートが特に好ましい。
1乃至10個の炭素原子の鎖長のアルキル(またはアルキレン)基を有するホスホン酸化合物も非常に有用である。本明細書において非常に有用な化合物は、1、2またはそれ以上のホスホン酸基を含むそれである。それらは更にヒドロキシル基で置換されうる。非常に有用な例には、1-ヒドロキシエチレンジホスホン酸、1,1-ジホスホノプロパン-2,3-ジカルボン酸及び2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸が含まれる。これらの例は、ホスホン酸基ばかりでなくカルボン酸基を含む化合物も同様に有用であることを示す。
1乃至5またはそれ以上の窒素原子、及び1またはそれ以上、例えば5以下のカルボン酸またはホスホン酸基を含む化合物で、任意に更にヒドロキシル基で置換されている化合物も非常に有用である。これらには、例えば、エチレンジアミンまたはジエチレントリアミン構造及びカルボン酸またはホスホン酸置換基を有する化合物が含まれる。非常に有用な化合物の例は、ジエチレントリアミンペンタキス(メタンホスホン酸)、イミノジコハク酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸及びN-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン-N,N,N-トリ酢酸である。
【0010】
例えばポリアスパラギン酸のようなポリアミノ酸も非常に有用である。
例えば、スルホコハク酸ビス-2-エチルヘキシルエステル(ジオクチルスルホスクシネート)のような1乃至20個(COO基の炭素原子なしで数えて)の炭素原子及び1またはそれ以上のカルボン酸基を有する硫黄置換カルボン酸も非常に有用である。
結晶化抑制剤は、好ましくは、2以上のカルボキシレート基を有する任意にヒドロキシ置換されたカルボン酸、アルキルスルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、ポリアクリル酸、ポリアスパラギン酸、任意にヒドロキシ置換されたジホスホン酸、1以上のカルボン酸またはホスホン酸を含み、任意にヒドロキシル基で置換されたエチレンジアミンまたはジエチレントリアミン誘導体、またはそれらの塩である。
例えば、亜リン酸のような更なる添加剤との混合物を含む添加剤の混合物の使用も、もちろん可能である。
特に式(I)の結晶化抑制剤を含むナノ粒子の調製は、想定される結晶化抑制剤の存在下でナノ粒子を沈殿させることにより有利に実施される。少なくとも抑制剤の一部が脱プロトン化される場合には、例えば、少なくとも部分的に、または完全に、例えばナトリウム塩のようなアルカリ金属塩として、またはアンモニウム塩として抑制剤を使用すると有利かもしれない。もちろん、酸を使用すること及び対応する量の塩基、またはアルカリ金属の水酸化物の溶液の形で添加することも可能である。
【0011】
ナノ粒子化合物は、任意の結晶化抑制剤ばかりでなく、分散作用を有する物質も含む。この分散剤は、好ましくなく大きい凝集体の形成を妨げる。それは、ナノ粒子が実際に沈殿している間に添加されうる。以下に記載するように、それはその後の解凝集工程でも添加されうる。それは再凝集を妨げ、凝集体が容易に再分散するのを確実にする。
分散剤は、典型的にはその分子内に親水性部分及び疎水性部分を有する。好ましくは、分散剤は、ナノ粒子の表面と相互作用しうる1以上のアニオン基を含む。そのようなアニオン基は、硫酸バリウム粒子の表面への定着基として作用するであろう。好ましい基はカルボキシレート基、ホスフェート基、ホスホネート基、ビスホスホネート基、スルフェート基及びスルホネート基である。
使用されうる分散剤には、結晶化抑制剤の効果とともに分散効果も有するいくつかの前述の物質が含まれる。この種の物質が使用される場合には、結晶化抑制剤及び分散剤が同一であることが可能である。適する物質は、所定の試験により決定されうる。結晶化抑制剤効果及び分散効果を有するこの種の物質を用いると、ナノ粒子は特に小さい一次の粒子で得られ、容易に再分散しうる凝集体を形成する。結晶化抑制剤効果及び分散効果の両方を有するこの種の物質が使用される場合には、それは沈殿中に添加され、所望であれば、その存在下で解凝集も更に実施されうる。
それぞれ結晶化抑制剤効果及び分散効果を有する異なる化合物を使用することが通常であり好ましい。
【0012】
非常に有利なナノ粒子は、ナノ粒子に再凝集を妨げる及び/または凝集を静電的に、立体的にまたは静電的及び立体的の両方で抑制する表面を付与する種類の分散剤を含むそれである。そのような分散剤が実際の沈殿中に存在する場合には、それがナノ粒子の凝集を妨げ、解凝集されたナノ粒子が沈殿工程でも得られる。そのような分散剤が沈殿後に添加される場合には、例えば湿式粉砕作業の一部として解凝集後のナノ粒子の再凝集を妨げる。この種の分散剤を含むナノ粒子は、それらが解凝集状態のままであるという事実のために特に好ましい。
特に有利な解凝集されたナノ粒子、すなわち適する場合には結晶化抑制剤も含むそれは、分散剤がナノ粒子の表面と相互作用しうるカルボキシレート、ホスフェート、ホスホネート、ビスホスホネート、スルフェート及びスルホネート基(硫酸バリウム粒子の表面への定着基)を含むこと、及びそれが疎水性部分及び/または親水性部分を含む1以上の有機基R1を含むことを特徴とする。
好ましくは、R1は低分子量、オリゴマーまたはポリマーであり、任意に酸素、窒素、燐または硫黄へテロ原子を含む、及び/または酸素、窒素、燐または硫黄によりR1基に結合されている基により置換されている任意に分岐状及び/または環状の炭素連鎖である。この種の置換基の一例はポリエーテルまたはポリエステルを基剤とする側鎖である。
【0013】
好ましいポリエーテルを基剤とする側鎖は、3乃至50、好ましくは3乃至40、特に3乃至30のアルキレンオキシ基を有する。アルキレンオキシ基は、好ましくはメチレンオキシ、エチレンオキシ、プロピレンオキシ及びブチレンオキシ基からなる群から選択される。ポリエーテルを基剤とする側鎖の長さは、一般的には3乃至100nm、好ましくは10乃至80nmである。
本発明の好ましいナノ粒子は、ポリマーにまたはポリマー中に結合するための基を含む分散剤を含む。そのような基はポリマーマトリクスへの定着基として作用するであろう。これらは、たとえば、OH、NH、NH2、SH、O-Oペルオキソ、C-C二重結合または4-オキシベンゾフェノンプロピルホスホネート基のような、この結合を化学的にもたらす基でもよい。この基はまた、物理的な結合をもたらす基でもよい。
ナノ粒子の表面を疎水性にする分散剤の例は、P(O)基の1個の酸素原子がC3-C10アルキルまたはアルケニル基により置換され、P(O)基の更なる酸素原子がポリエーテル側鎖により置換されているリン酸誘導体により表される。P(O)基の更なる酸性酸素原子はナノ粒子の表面と相互作用しうる。
【0014】
分散剤は、例えば、構成部分としてポリエーテルまたはポリエステルを基剤とする側鎖及びC6-C10アルケニル基を有するリン酸ジエステルでもよい。Disperbyk(登録商標)111のようなポリエーテル/ポリエステル側鎖を有するリン酸エステル、Disperbyk(登録商標)102及び106のようなポリエーテル/アルキル側鎖を有するリン酸エステル塩、例えば、Disperbyk(登録商標)190のような顔料親和性を有する基を有する高分子量コポリマーを基剤とする解膠効果を有する物質、 またはDisperbyk(登録商標)1140のような長鎖アルコールの極性の酸性エステルが更に非常に有用な種類の分散剤である。
特に良好な性質を有するナノ粒子は、その分散剤として、ナノ粒子の表面と相互作用しうるアニオン基(硫酸バリウム粒子の表面への定着基)、例えば、前述のような基であって、OH、NH、NH2、SH、O-Oペルオキソ、C-C二重結合または4-オキシベンゾフェノンプロピルホスホネート基のようなポリマーにまたはポリマー中に結合するための基(ポリマーマトリクスへの定着基)を含むポリマーを含む。好ましくは、OH、NH、NH2、SH、O-Oペルオキソ、C-C二重結合または4-オキシベンゾフェノンプロピルホスホネート基を含むポリーエーテルまたはポリエステルを基剤とする側鎖が存在する。この種のナノ粒子は再凝集する傾向を示さない。例えば、それらがプラスチックまたは高分子プレミックスに添加される場合には、使用中に更に解凝集する場合さえある。
極性基、特にヒドロキシル基及びアミノ基で置換されると、ナノ粒子は非常に親水性化される。
【0015】
好ましい分散剤は硫酸バリウム粒子の表面への定着基として作用する1以上のアニオン基、立体的に再凝集を妨げる1以上のポリエーテルまたはポリエステルを基剤とする側鎖、及びポリマーマトリクスへの定着基として作用する1以上の基を含む。
ポリマーにまたはポリマー中に結合するために使用される基は、ポリマーマトリクスの種類に関して特異的に選択されうる。極性基、特にヒドロキシル基及びアミノ基は、特にエポキシ樹脂にまたはエポキシ樹脂中に結合するのに適する反応性基である。多数のポリカーボネート基及び多数のヒドロキシル基を含み、更に例えば、ポリエーテルまたはポリエステルを基剤とする側鎖のような立体的に嵩高い置換基も含む分散剤を塗布したナノ粒子により特に良好な性質が示される。特にエポキシ樹脂において充填剤として使用されるナノ粒子のための分散剤の非常に好ましい基は、ポリエーテルを基剤とする側鎖の末端がヒドロキシル基により置換されたポリエーテルポリカルボキシレートである。ヒドロキシル基はまたポリウレタンにまたはポリウレタン中に結合するのに適する。ヒドロキシル基及びチオール基は、ポリ塩化ビニル(PVC)にまたはPVC中に結合するために使用されうる。別の例は、ポリオレフィンまたはPVCにまたはポリオレフィンまたはPVC中に結合するのに使用されうる4-オキシベンゾフェノンプロピルホスホネートである。O-Oペルオキソ基は、不飽和ポリエステルまたはポリオレフィンへの有用な定着基である。分散剤を含む硫酸バリウムを樹脂に混合すると、ペルオキソ基及び樹脂間の反応が開始する。更なる例は、不飽和ポリエステルにまたは不飽和ポリエステル中に結合するためのC-C二重結合の使用である。
【0016】
任意に結晶成長抑制剤及び立体的に再凝集を防ぐ特に好ましい分散剤の一つ、特に前述のポリマーマトリクスへの定着基により置換された分散剤を含むナノ粒子は、非常に微細な一次粒子を含み、多くても凝集度の低い二次粒子を含むという大きな利点を有する。これらの粒子は容易に再分散しうるので、非常に良好な使用特性を有する。例えば、それらは容易にポリマーに添加され、再凝集する傾向は示さず、実際に使用中に更に解凝集する。
【0017】
一実施態様によれば、解凝集された、分散剤の塗膜付きナノ粒子は、乾燥した形、換言すれば無溶剤である。更なる実施態様によれば、それらは水分散液または有機液体中での分散液の形であり、有機液体が任意に水を含むことも可能である。好ましい有機液体は、イソプロパノールまたはそれと他のアルコールまたはポリオールとの混合物のようなアルコール、アセトン、シクロペンタノンまたはメチルエチルケトンのようなケトン、ナフサまたは特定の沸点のスピリット、及びそれらの混合物、ハロゲン化芳香族及び特に脂肪族炭化水素、例えば、クロロカーボン、ヒドロクロロカーボン(例えば、メチレンクロライド)、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン及びヒドロクロロフルオロカーボンである。例えば、ジオクチルフタレートまたはジイソデシルフタレートのような可塑剤である添加剤が混合されうる。分散液中には、分散されたナノ粒子は、好ましくは0.1乃至70質量%、特に好ましくは0.1乃至60質量%、例えば0.1乃至25質量%または1乃至20質量%存在する。
【0018】
ナノ粒子、特に分散液、特にそれが水性である場合には、例えば分散液を安定化する物質のようなその性質に影響を及ぼす調節剤を更に含みうる。
本発明の製品はまた、実質的に凝集のない一次粒子の平均粒度が<50nm、好ましくは<20nmで、二次粒子の平均粒度が一次粒子の平均粒度より30%以下しか大きくないナノ粒子を含む。
【0019】
本発明は、本発明の解凝集されたナノ粒子を製造する多くの変形を提供する。
結晶化抑制剤が存在する場合には、例えば溶液からの沈殿反応結晶化によりまたはゲルからの乾燥により、ナノ粒子を結晶化抑制剤の存在下で固体の形に変換するのが最も有利である。結晶化抑制剤は結晶の成長を抑制するのに有利かもしれない。その結果、沈殿工程においてもより小さい粒子が得られる。
分散剤は種々の方法でナノ粒子に添加されうる。一般的には、分散剤の存在下における強力な粉砕作業により、ナノ粒子が形成された後に、または、例えば、水に溶解する金属塩を、例えば、アニオンの化合物の溶液と混合して金属とともに使用する溶剤中の溶解度が低いまたは零の固体を形成することによりナノ粒子が沈殿するときのような、または所望の化合物の溶液から結晶化させることによる、またはゲルを乾燥させることによるナノ粒子の形成中のような早い時期にナノ粒子に添加されうる。したがって、ナノ粒子に対応する化学的な化合物は、好ましくは沈殿により分散剤の存在下で固体の形に変換されうる、及び/または、所望の粒度より大きい微粒子の形で存在するナノ粒子に対応する化学的な化合物は、分散剤の存在下で強力な粉砕作業を受ける。追加的に結晶化抑制剤が使用される場合には、ナノ粒子は結晶化抑制剤及び分散剤の存在下で形成されるのが有利である。分散剤の存在が化合物の凝集体、すなわち一次粒子からの二次粒子を形成する傾向を低下または除去する。所望であれば、分散剤は、固体粒子が製造されるとき及び追加的にその後の粉砕工程中に添加されうる。
【0020】
第一の実施態様を更に詳細に説明する。ナノ粒子は慣例の方法により製造される。これは沈殿のような慣例の方法により実施されうる。沈殿による固体の製造は公知の方法である。例えば、カチオン及びアニオンを含む溶液を混合する。次いで溶剤を除去して固体を回収する。所望の塩を生成させるために、固体または懸濁液を液体と、例えば、固体の炭酸塩、金属酸化物または金属水酸化物を対応する酸と反応させることも可能である。例えば、炭酸塩、酸化物、水酸化物またはそれらの溶液と硫酸、リン酸または塩酸のような対応する酸からスルフェート、ホスフェートまたはフッ化物が調製されうる。炭酸塩は、金属塩及び炭酸塩またはCO2の反応により調製されうる。硫酸ストロンチウムは、例えば、塩化ストロンチウムをアルカリ金属スルフェートまたは硫酸と反応させることにより調製される。炭酸カルシウムは水酸化カルシウムと二酸化炭素を反応させることにより調製される。フッ化カルシウムまたはフッ化マグネシウムは塩化カルシウム、炭酸カルシウムまたは水酸化カルシウムまたは対応するマグネシウム化合物とアルカリ金属フッ化物または塩酸と反応させることにより調製される。反応は、例えば溶解機中で実施しうる。同様にして、他の金属との対応する化合物が調製される。酸化化合物は水酸化物の脱水により生成しうる。固体の回収はまた、飽和溶液からの結晶化、その後の乾燥によるゲルの形成によっても可能である。沈殿または結晶化中に、例えば、WO 01/92157号明細書に記載されているような結晶の成長を抑制する添加剤、または結晶化抑制剤の効果を有する前述の式(I)の化合物を使用することも可能である。所望であれば、形成されたナノ粒子、またはゲルは、ペースト状態または乾燥粉末状態に脱水されうる。もちろん、固体の形で存在する商業的に慣例の物質を使用することも可能である。前述のようにして調製されたまたは商業的に慣例の方法で得られる固体は、湿式解凝集のような更なる粉砕作業を受けうる。選択される液体は、水でも、アルコール、炭化水素またはハロカーボンまたはハロゲン化炭化水素のような有機液体でもよい。例えば、ボールミル、振動ミル、撹拌機構ミル、惑星ボールミルまたはガラス球を用いた溶解機中で実施されうる解凝集は、分散剤の存在下で起こる。粉砕作業は通常ミル中、好ましくはビーズミルのようなボールミル中またはガラス球を用いた溶解機中、溶剤の存在下で実施される。この種の方法はDE-A 198 32 304号明細書に記載されている。その場合には粒子及び分散剤を、ゆるい粉砕手段を有する粉砕容器中におき、所望の微細度に粉砕して混合する。二酸化炭素固体または強度に冷却した1,1,1,2-テトラフルオロエタンまたは同様な物質が粉砕助剤として使用される。適するミルの例には、ボールミル、振動ミル、撹拌機構ミル及び惑星ボールミルが含まれる。これらの系においては、20nm未満の粒度さえ得られる。
【0021】
分散剤についてはすでに記載した。一例として、結晶化抑制剤効果を有し、分散性も有する式(I)の物質を使用することが可能である。この物質がすでに固体粒子の製造に使用された場合には、その結晶化抑制剤の性質は沈殿において発揮される。解凝集に関しては、1以上のポリエーテルまたはポリエステルを基剤とする側鎖を含み、それ故再凝集を立体的に妨げる前述の分散剤を使用するのが好ましい。特に、これらの分散剤は、ポリマーマトリクスへの定着基として作用するOH、NH、NH2、SH、O-Oペルオキソ、C-C二重結合または4-オキシベンゾフェノンプロピルホスホネート基を含む。ポリマーにまたはポリマー中に結合するのに使用される基は、ポリマーマトリクスの種類に関して特異的に選択されうる。粉砕は所望の微細度が得られるまで継続される。粉砕は、好ましくはナノ粒子の一次及び/または二次の粒子の平均粒度が、0.5μm未満、特に好ましくは250nm未満、非常に特に好ましくは200nm未満となるまで継続される。更に好ましくは、解凝集は、二次粒子の平均粒度が130nm未満、特に好ましくは100nm未満、非常に特に好ましくは80nm未満、更に好ましくは<50nmとなるまで実施される。これらのナノ粒子は、部分的にまたは実質的にすべてが凝集されていない一次粒子の形かもしれない。平均粒度は、XRDまたはレーザー回折法により決定される。粉砕により使用される溶剤中にナノ粒子を分散させた分散液が形成される。次いでこの分散液はそのまま、例えばプラスチックへの添加に使用されうる。以下に記載するように、分散液はまた、再分散性のナノ粒子の製造における中間体としても使用されうる。
【0022】
ナノ粒子の調製の第二の実施態様は、例えば、分散剤の存在下における沈殿により固体そのものの製造を実施することを想定する。この方法は、沈殿中のような早い時期に容易に再分散しうる解凝集されたナノ粒子の形成をもたらしうる。沈殿中に静電的、立体的または静電的及び立体的の両方により再凝集を妨げ凝集を抑制する表面を粒子に付与するこの種の分散剤は、すでに始めのほうで説明した。この実施態様は、沈殿工程中のような早い時期に解凝集されたナノ粒子を製造する。この場合に形成されるナノ粒子の溶剤分散液もまたそのまま、例えばプラスチックにまたは、まだ十分には重合されていないプレポリマーまたは、例えば重縮合によりポリマーを形成する反応体のようなプラスチックの前駆物質にナノ粒子を添加するのに使用されうる。
【0023】
分散剤は、それぞれのナノ粒子が分散される溶剤に合わせるのが有利である。比較的疎水性の分散剤は、非極性溶剤または極性の低い溶剤中の分散液の調製に有利に使用される。
極性が低い乃至零の溶剤中のナノ粒子の分散液の調製に適する分散剤の例は、エチレンオキシド単位からのポリエーテルフラクションを有する側鎖を含むリン酸エステルにより表され、例えば、P(O)基の1個の酸素原子がC3-C10アルキルまたはアルケニル基で置換され、P(O)基の更なる酸素原子がポリエーテル側鎖で置換されているそれである。P(O)基の更なる酸性酸素原子は炭酸ストロンチウム表面と相互作用しうる。この種の分散剤は、例えば、Disperbyk(登録商標)102、106及び111という名称でBYK CHEMIEから入手しうる。極性が低い乃至零の溶剤はすでに記載した。メチレンクロライドが特に良好である。特に有用である例には、メチルエチルケトンのような直鎖状ケトン、例えば合計2乃至6個の炭素原子を有するカルボン酸のエステル及び1乃至4個の炭素原子を有するアルコール、炭化水素または特定の沸点のスピリット(21乃至55℃、55乃至100℃の沸点、100℃より高い沸点を有する)のようなそれらの混合物、ナフサ溶剤またはメチレンクロライドのようなハロゲン化炭化水素が含まれる。
【0024】
その他の分散剤は、水、またはイソプロパノールまたはn-ブタノールのようなアルコールのような極性またはプロトン溶剤中におけるナノ粒子に容易に分散性をもたらす。一例は、例えば前述した基のような、炭酸ストロンチウムの表面と相互作用しうるアニオン基を含むポリマーであり、例えばヒドロキシルまたはアミノ基のような極性基により置換されている。好ましくは、末端がヒドロキシル基で置換されているポリエーテルまたはポリエステルを基剤とする側鎖が存在する。この置換のために、ナノ粒子は非常に親水性化される。この種のナノ粒子は容易に分散され、極性またはプロトン溶剤中で安定な分散液を提供する。使用中に更に解凝集される場合もある。
【0025】
ポリマーマトリクスへのその他の興味深い定着基は、SH、O-Oペルオキソ、C-C二重結合または4-オキシベンゾフェノンプロピルホスホネート基である。ポリマーにまたはポリマー中に結合するのに使用される基は、ポリマーマトリクスの種類及び極性に関して特異的に選択されうる。極性基、特にヒドロキシル基及びアミノ基は、特にエポキシ樹脂のような対応するプラスチックにまたはその中に結合するのに適する反応性基である。特に良好な性質は、複数のポリカルボキシレート基及び複数のヒドロキシル基及び、立体的に嵩高い更なる置換基、例えばポリエーテルまたはポリエステルを基剤とする側鎖を含む分散剤が塗布された炭酸ストロンチウムにより示される。エポキシ樹脂において充填剤として使用されるナノ粒子の分散剤の特に好ましい基は、ポリエーテルを基剤とする側鎖の末端がヒドロキシル基で置換されているポリエーテルポリカルボキシレートである。ヒドロキシル基はまたポリウレタンにまたはポリウレタン中に結合するのに著しく適する。ヒドロキシル基及びチオール基は、ポリ塩化ビニル(PVC)にまたはPVC中に結合するのに使用されうる。4-オキシベンゾフェノンプロピルホスホネートは、主としてポリオレフィンまたはPVCにまたはポリオレフィンまたはPVC中に結合するのに使用されうる。O-Oペルオキソ基は、通常不飽和ポリエステルまたはポリオレフィンに有用である。最後の例は、不飽和ポリエステルにまたは不飽和ポリエステル中に結合するためのC-C二重結合の使用である。
【0026】
強力な粉砕後に得られるナノ粒子の溶剤分散液はまた、分散剤を含むナノ粒子からの再分散性粉末の製造の中間体として使用されうる。強力な粉砕中に使用される溶剤が、噴霧乾燥または、例えば高温及び/または減圧下における蒸発により実際に除去されると、次いで分散剤を含むナノ粉末が形成され、それは大きなエネルギー入力なしに、溶剤中、液体の形で存在し、任意に溶剤で希釈されたプラスチック中、ポリマー前駆物質または接着剤中で、その粒子の性質がはじめに製造された分散液に対応するナノ粒子の分散液に再び変換されうる。したがって本発明はまた、本発明にしたがって得られる分散液を乾燥することにより得られる、解凝集したナノ粒子に再分散しうる乾燥粉末に関する。そのような再分散しうるナノ粒子は、分散液から溶剤を除去することにより得られる。
強力な粉砕及び溶剤の除去後に得られる粉末は、最高でもゆるい状態で、液体媒体中で再分散可能で、その再分散中に解凝集した粒子を再び形成する凝集体を形成する。立体的に再凝集を妨げ、ポリマーにまたはポリマー中に結合するための極性基を含む特に好ましい高分子分散剤が使用される場合には、新たな分散液にはナノ粒子の一部の更なる解凝集が観察される。
【0027】
本発明におけるナノ粒子は、金属の塩である。水及び/または有機溶剤において低溶解性である金属の塩が好ましい。“低溶解性”は、好ましくは、室温(20℃)において1g/リットル未満、好ましくは0.1g/リットル未満溶解することを意味する。特に好ましい塩は、水中及び有機溶剤中で低溶解性を示すそれである。
【0028】
好ましいカチオンは、元素の周期律表の主族1、特に好ましくはCu、Ag及びAuから、元素の周期律表の主族2及び3、特に好ましくはMg、Ca、Sr、Ba、Zn、Al及びInから、元素の周期律表の主族4、特に好ましくはTi、Zr、Si、Ge、Sn及びPbから、及び元素の周期律表の主族6、好ましくはCr及びWから選択される。特に好ましいカチオンはまた、ランタノイド金属を含む元素の周期律表の遷移金属からの金属である。本発明はまたそのようなカチオンの混合物に関する。
好ましいアニオンは、PO43-、SO42-、CO32-、F-、O2-及びOH-である。これらにはまた、オキシフルオライドのようなこれらのアニオンを2以上有する塩、及び塩の水和物及びそれらの混合物も含まれる。
【0029】
使用される特に好ましい充填剤は、SrSO4、MgCO3、CaCO3、BaCO3、SrCO3、Zn3(PO4)2、Ca3(PO4)2、Sr3(PO4)2、Ba3(PO4)2、Mg2(PO4)2、SiO2、Al2O3、MgF2、CaF2、BaF2、SrF2、TiO2、ZrO2、ランタノイド金属のフッ化物及びオキシフルオライド及びアルカリ金属及びアルカリ土類金属フルオロメタレート及びそれらの混合物、例えばBaSO4/CaCO3混合物である。混合塩の例はBa/TiO3である。本発明の明細書の優先日には公開されていない独国特許出願102004039485.7号明細書には、棒状炭酸ストロンチウムのハロゲン化溶剤分散液が開示されている。そこに開示されている主題は、特許法に関連する範囲では、保護の範囲から除外される。
ナノ粒子はナノ粒子が典型的に使用される目的に使用されうる。それらはプラスチックの充填剤として特に適する。
【0030】
容易に再分散しうる粉末または水性分散液または有機溶剤中の分散液の形で存在するナノ粒子は同様に本発明により提供され、ナノ粒子が典型的に使用されるすべての目的、例えば、プラストマー及びエラストマーのようなプラスチック、接着剤及びシーラントにおける充填剤として使用されうる。適する場合には、再分散性ナノ粒子はまず分散液として再分散される。
ナノ粒子、特にシリカを基剤とするまたはアルミナを基剤とするナノ粒子を構成する塗膜は十分に確立されている。例として特許出願EP 1 179 575 A2号明細書、WO 00/35599 A号明細書、WO 99/52964 A号明細書、WO 99/54412 A号明細書、WO 99/52964号明細書、DE 197 26 829 A1号明細書またはDE 195 40 623 A1号明細書が言及される。それらは特に、非常に傷のつきにくい塗膜の製造に役立つ。
【0031】
解凝集されたナノ粒子は、前述の塗膜の添加剤としてだけでなく、とりわけプラスチック、例えば飽和及び不飽和ポリオレフィン、PVC、フェノール樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、飽和及び不飽和ポリエステル、ポリウレタン、シリコーン樹脂、尿素樹脂及びメラミン樹脂、ポリカーボネート及びポリアミド樹脂の添加剤としても適する。本発明のナノ粒子を添加したプラスチックは同様に本発明により提供される。プラスチック中のナノ粒子の量は、1乃至50質量%が有利であり、好ましくは1乃至25質量%である。
【0032】
例えば、本発明のナノ粒子、特に、適する場合には結晶化抑制剤に加えて、エーテル基の末端がヒドロキシル基により置換され、親水性とされている高分子ポリエーテルポリカーボネート分散剤を含むそれは、エポキシ成形品またはエポキシ樹脂及び対応する複合材料における使用に適し、特に良好な効果を示しうる。エポキシ樹脂は、例えば積層品(例えば、航空機、車または船の構築物において)のような注型用樹脂他として使用される。
原理の説明は、例えば、Ullmanns Enzyklopadie der Technischen Chemie, 4th edition, Volume 10, pages 563 - 580 及び Kirk-Othmer, Encyclopedia of Chemical Technology, 4th edition, volume 9, pages 730 - 755 に見出される。
【0033】
ナノ粒子をプラスチック組成物に添加する有利な方法の一は、まず適する溶剤中で分散液を製造し、この分散液をプラスチックに導入し、次いで溶剤を除去することが想定される。プラスチック自体は溶剤に溶解させた溶液でもよい。分散液はまた、反応体のような高分子前駆物質に導入されてもよい。ナノ粒子を溶剤に分散させた分散液は、撹拌機構を具備する混合装置または容器中でプラスチックまたはプラスチックの前駆物質と混合しうる。粘度を低下させるために温度を上昇させることも可能である。混合した後、通常温度を上昇させること及び/または減圧にすることにより溶剤を除去する。これで硫酸バリウムがプラスチックまたはプラスチックの前駆物質中に分散する。
【0034】
溶剤は、意図する用途に関して選択される。それは、プラスチックまたはプラスチック前駆物質とは適合性でなければならない。例えば、それは望ましくない反応を示してはならないし、十分に溶解しなければならない。適する溶剤はまた、好ましくはポリマーの極性の見地から選択される。適する溶剤の例には、とりわけ、プロパノール、イソプロパノールまたはn-ブタノールのようなアルカノールまたはジオール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランまたはグリコールのエーテルのようなエーテル、酢酸エチルのようなカルボン酸エステル、アセトン、メチルエチルケトンまたはシクロペンタノンのようなケトン、溶剤ナフサのような炭化水素、ジクロロメタンまたはo-ジクロロベンゼンのようなハロゲン化有機溶剤、またはそれらの混合物が含まれる。
この方法は、とりわけ、ハロゲン化有機溶剤、エーテルまたはエステルのような低極性溶剤中のナノ粒子の分散液をプラスチックまたはその前駆物質と混合し、次いで溶剤を除去することにより、ナノ粒子をポリカーボネートまたはPVCのような疎水性プラスチックに添加するのに非常に適する。別の実施例は、不飽和ポリエステル樹脂への添加にナノ粒子のアセトンまたはo-ジクロロベンゼン分散液を使用する方法である。この方法はまた、ナノ粒子の極性溶剤分散液を用いてナノ粒子をエポキシ樹脂に添加するのに非常に適する。ナノ粒子の分散液はまた、エポキシ樹脂前駆物質に添加しうる。この方法はまた、アルコール性分散液をジオールと混合し、アルコール性溶剤を蒸発させ、更にナノ粒子を含むジオールをイソシアネート成分と反応させることによりナノ粒子をポリウレタンに添加するのに非常に適する。
【0035】
本発明によれば、製造してナノ粒子に粉砕し、次いで溶剤を除去した後に、ビーズミル中における処理のような更なる強力な粉砕作業の必要なしに再分散しうるナノ粒子を製造しうる。解凝集されたナノ粒子は、例えば平均直径が60乃至80nmの非常に小さな粒度を有する。このことは、解凝集が非常に効果的で、特にこの粒度は、一度解凝集工程を通過させた粒子を、溶剤中、プラスチック中、添加剤中またはポリマー前駆物質中で単に混合することにより再び達成される。したがって、粒子は更なる解凝集工程に挿入する必要がまったくなく非常に良好に再分散されうる。特に有機溶剤中のナノ粒子の分散液は、良好にプラスチック、その溶液またはプラスチックの製造に使用されるプレポリマーまたは反応体に添加されうる。透明なプラスチックを製造することが可能である。プラスチックは、高いひっかき抵抗性及び耐衝撃性を特徴とする。ナノ粒子を含む接着剤は、粘着性が増大したり付着性が影響を受けなかったりする。
以下の実施例は、その範囲を制限することなく本発明を説明することを意図する。
【実施例1】
【0036】
ナノ粒子の分散液の製造
実施に関する一般的な指示:
分散されたナノ粒子に変換される物質を、前記物質の乾燥質量に対して10質量%の分散剤と混合する。次いで、所望の微細度が得られるまでビーズミル中で溶剤を用いて分散させる。これは約10乃至20分かかる。固体含量は、分散液の総質量に対して約50質量%である。
使用したBaCO3は結晶化抑制剤を含有した。フッ化物は対応するカーボネート及びフッ化水素酸から調製した。
以下の分散液はこのようにして実施例にしたがって調製しうる。
【0037】
【表1】
【実施例2】
【0038】
実施例1の分散液からのナノ粉末の製造
実施例1の分散液から減圧下で溶剤を除去すると、10質量%の分散剤を含む粉末となる。
【実施例3】
【0039】
実施例2の粉末の再分散による分散液の製造
実施例2の粉末を、それを製造するのに使用したのと同一の溶剤と混合する。再分散は、ガラス球なしの溶解機中で実施する。溶剤中の粉末成分は再び分散液を形成し、分散された粒子の粒度は、あらかじめビーズミル中で製造した分散液中の粒子の寸法に対応した。したがって本発明のナノ粉末は顕著に再分散性である。
元の分散液がジクロロメタン中であっても、シクロペンタノン中で再分散を実施することも可能である。
【実施例4】
【0040】
結晶化抑制剤の存在下における沈殿による微粉状炭酸バリウムの製造
炭酸バリウムは、結晶化抑制剤としてクエン酸を用い、WO 01/49609号明細書に記載されているようにして沈殿させ、乾燥させる。次いで得られた炭酸バリウムを、ビーズミル中でMelpers 0030及びイソプロパノールを用い実施例1に記載されているようにして分散させる。溶剤を蒸発させると、プロパノ−ル中で再分散させた場合に元の分散液に匹敵する分散液が得られるナノ粒子粉末となる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、改質ナノ粒子、その調製及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
国際特許出願WO 00/57932号明細書には、ナノ複合材料と呼ばれるものを含む外科的用途の物質が開示されている。X線を吸収し、その例に硫酸バリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム及び酸化クロムが含まれる充填剤粒子は、その分散性を増大させるために有機化合物で処理すると、凝集する傾向が低下して分散の一様性が増大しうる。この目的に使用される化合物の例には、製造下の外科的物質のモノマー、クエン酸塩またはその他の化合物のような有機化合物が含まれる。有機シランのようなカップリング剤または界面活性剤のような高分子物質(例えば、硫酸ドデシルナトリウム)も使用されうるが、両親媒性分子、すなわち親水性部分及び疎水性部分を有する分子も使用されうる。特定のものには、ノニルフェノールエトキシレート、ビス(2-エチルヘキシル)スルホスクシネート、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、及びリン脂質が含まれる。例には、塗膜なしの硫酸バリウムまたは沈殿後にクエン酸ナトリウムを塗布した粒子がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的の一は、乾燥後でも再び分散性である微粉状のナノ粒子、特にプラスチックへの添加に十分に役立つナノ粒子を明細に記載することである。特別な目的は、特にプラスチックに添加された場合に再凝集しない解凝集されたナノ粒子を提供することである。これら及び更なる目的は本発明により達成される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、分散剤を塗布した、所望の場合には、結晶化抑制剤を更に含む無機ナノ粒子であって、その平均粒度が<500nm、好ましくは<250nm、非常に好ましくは<100nm、特に<80nm、特に好ましくは<50nm、特別に好ましくは<20nm、非常に特に好ましくは<10nmである、本発明の明細書の優先権の日には未公開である国際特許出願PCT/EP04/013612号明細書に開示されているような硫酸バリウム粒子の場合を除いたナノ粒子を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
一次粒子の平均粒度の下限は例えば5nmであるが、それより小さくてもよく、1nmでもよい。これらは、XRDまたはレーザー回折法により決定された平均粒度である。
ナノスケールの粒子内の結晶化抑制剤及び分散剤の量は柔軟である。ナノ粒子1質量部に対して、2質量部以下、好ましくは1質量部以下の結晶化抑制分散剤の存在が可能である。結晶化抑制剤が存在する場合には、それもまたナノ粒子1質量部に対して2質量部以下、好ましくはナノ粒子1質量部に対して1質量部以下の量が存在する。分散剤は、好ましくはナノ粒子中に1乃至50質量%の量で存在し、ナノ粒子及び分散剤及び、存在する場合には結晶化抑制剤の総量は100質量%である。結晶化抑制剤が存在する場合には、この場合もまた、好ましくはナノ粒子中に1乃至50質量%の量で存在し、ナノ粒子及び分散剤及び、存在する場合には結晶化抑制剤の総量は100質量%である。結晶化抑制剤及び分散剤の総量は、好ましくはナノ粒子の総質量の80質量%以下である。ナノ粒子は、好ましくは約20乃至99質量%の量で存在し、ナノ粒子及び分散剤及び、存在する場合には結晶化抑制剤の総量は100質量%である。
【0006】
使用する場合には、結晶化抑制剤は、無機ナノ粒子が沈殿するかまたはその更なる加工中に結晶成長の結果としての、ナノメートル範囲から外れる結果を伴うより大きい結晶粒子の形成を防ぐことを目的とする。
分散剤は、ナノ粒子が溶剤、プラスチック、ポリマープレミックス等に容易に分散しうることを確実にすることを目的とする。
ある種の無機粒子は、結晶化抑制剤または分散剤を添加しない従来の調製中に、一次粒子の凝集体(二次粒子)を形成しうることが知られている。本明細書において“解凝集”という用語は、二次粒子が完全に分解されて、分離して存在する一次粒子となることを意味しない。二次粒子は、典型的には沈殿で生成する凝集状態ではなくて、より小さな凝集体の形であることを意味する。本発明の解凝集されたナノ粒子は、好ましくは、平均粒度が2μm未満、好ましくは1μm未満の凝集体(二次粒子)を90%以上含む。特に好ましくは、平均粒度は、250nm未満であり、非常に好ましくは200nm未満である。更に好ましくは、130nm未満であり、特に好ましくは100nm未満であり、非常に特に好ましくは80nm未満であり、更に好ましくは、二次粒子の平均粒度は<50nmまたは<30nmである。部分的には、あるいは実質的に完全に、ナノ粒子は凝集されていない一次粒子の形である。これらは、XRDまたはレーザー回折法により決定される平均粒度である。
【0007】
以下の文は、本発明において使用されうる結晶化抑制剤を記載する。好ましい結晶化抑制剤は1以上のアニオン基を含む。結晶化抑制剤中のアニオン基は、好ましくは1以上のスルフェート、1以上のスルホネート、2以上のホスフェート、2以上のホスホネートまたは2以上のカルボキシレート基である。
存在する結晶化抑制剤は、例えば、この目的で使用されることが知られている物質でもよく、その例は、WO 01/92157号明細書に記載されているような、典型的にはナトリウム塩の形の比較的短い連鎖またはより長い連鎖のポリアクリレート、ポリグリコールエーテルのようなポリエーテル、ナトリウム塩の形のラウリルエーテルスルホネートのようなエーテルスルホネート、フタル酸及びその誘導体のエステル、ポリグリセロールのエステル、トリエタノールアミンのようなアミン、及びステアリン酸エステルのような脂肪酸のエステルである。
結晶化抑制剤として、炭素連鎖R及びn個の置換基[A(O)OH]を有する式(I)の化合物またはその塩を使用することも可能である。
【0008】
(I) R[-A(O)OH]n
(式中、
Rは、疎水性及び/または親水性部分を有する有機基であって、Rは低分子量、オリゴマーまたはポリマーであり、任意に酸素、窒素、燐または硫黄へテロ原子を含む、及び/または酸素、窒素、燐または硫黄によりR基に結合されている基により置換されている任意に分岐状及び/または環状の炭素連鎖でもよく、
Aは、C、P(OH)、OP(OH)、S(O)またはOS(O)であり、かつ
nは1乃至10000である。)
【0009】
モノマーまたはオリゴマー化合物の場合には、nは、好ましくは1乃至5である。
この種の有用な結晶化抑制剤には、ヒドロキシ置換カルボン酸化合物が含まれる。非常に有用な例は、ヒドロキシ置換モノカルボン酸及びジカルボン酸である。そのようなカルボン酸は、例えば、クエン酸、リンゴ酸(2-ヒドロキシブタン-1,4-二酸)、ジヒドロキシコハク酸及び2-ヒドロキシオレイン酸のように、好ましくは連鎖中に(COO基の炭素原子なしで数えて)1乃至20個の炭素原子を有する。結晶化抑制剤としてはクエン酸及びポリアクリレートが特に好ましい。
1乃至10個の炭素原子の鎖長のアルキル(またはアルキレン)基を有するホスホン酸化合物も非常に有用である。本明細書において非常に有用な化合物は、1、2またはそれ以上のホスホン酸基を含むそれである。それらは更にヒドロキシル基で置換されうる。非常に有用な例には、1-ヒドロキシエチレンジホスホン酸、1,1-ジホスホノプロパン-2,3-ジカルボン酸及び2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸が含まれる。これらの例は、ホスホン酸基ばかりでなくカルボン酸基を含む化合物も同様に有用であることを示す。
1乃至5またはそれ以上の窒素原子、及び1またはそれ以上、例えば5以下のカルボン酸またはホスホン酸基を含む化合物で、任意に更にヒドロキシル基で置換されている化合物も非常に有用である。これらには、例えば、エチレンジアミンまたはジエチレントリアミン構造及びカルボン酸またはホスホン酸置換基を有する化合物が含まれる。非常に有用な化合物の例は、ジエチレントリアミンペンタキス(メタンホスホン酸)、イミノジコハク酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸及びN-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン-N,N,N-トリ酢酸である。
【0010】
例えばポリアスパラギン酸のようなポリアミノ酸も非常に有用である。
例えば、スルホコハク酸ビス-2-エチルヘキシルエステル(ジオクチルスルホスクシネート)のような1乃至20個(COO基の炭素原子なしで数えて)の炭素原子及び1またはそれ以上のカルボン酸基を有する硫黄置換カルボン酸も非常に有用である。
結晶化抑制剤は、好ましくは、2以上のカルボキシレート基を有する任意にヒドロキシ置換されたカルボン酸、アルキルスルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、ポリアクリル酸、ポリアスパラギン酸、任意にヒドロキシ置換されたジホスホン酸、1以上のカルボン酸またはホスホン酸を含み、任意にヒドロキシル基で置換されたエチレンジアミンまたはジエチレントリアミン誘導体、またはそれらの塩である。
例えば、亜リン酸のような更なる添加剤との混合物を含む添加剤の混合物の使用も、もちろん可能である。
特に式(I)の結晶化抑制剤を含むナノ粒子の調製は、想定される結晶化抑制剤の存在下でナノ粒子を沈殿させることにより有利に実施される。少なくとも抑制剤の一部が脱プロトン化される場合には、例えば、少なくとも部分的に、または完全に、例えばナトリウム塩のようなアルカリ金属塩として、またはアンモニウム塩として抑制剤を使用すると有利かもしれない。もちろん、酸を使用すること及び対応する量の塩基、またはアルカリ金属の水酸化物の溶液の形で添加することも可能である。
【0011】
ナノ粒子化合物は、任意の結晶化抑制剤ばかりでなく、分散作用を有する物質も含む。この分散剤は、好ましくなく大きい凝集体の形成を妨げる。それは、ナノ粒子が実際に沈殿している間に添加されうる。以下に記載するように、それはその後の解凝集工程でも添加されうる。それは再凝集を妨げ、凝集体が容易に再分散するのを確実にする。
分散剤は、典型的にはその分子内に親水性部分及び疎水性部分を有する。好ましくは、分散剤は、ナノ粒子の表面と相互作用しうる1以上のアニオン基を含む。そのようなアニオン基は、硫酸バリウム粒子の表面への定着基として作用するであろう。好ましい基はカルボキシレート基、ホスフェート基、ホスホネート基、ビスホスホネート基、スルフェート基及びスルホネート基である。
使用されうる分散剤には、結晶化抑制剤の効果とともに分散効果も有するいくつかの前述の物質が含まれる。この種の物質が使用される場合には、結晶化抑制剤及び分散剤が同一であることが可能である。適する物質は、所定の試験により決定されうる。結晶化抑制剤効果及び分散効果を有するこの種の物質を用いると、ナノ粒子は特に小さい一次の粒子で得られ、容易に再分散しうる凝集体を形成する。結晶化抑制剤効果及び分散効果の両方を有するこの種の物質が使用される場合には、それは沈殿中に添加され、所望であれば、その存在下で解凝集も更に実施されうる。
それぞれ結晶化抑制剤効果及び分散効果を有する異なる化合物を使用することが通常であり好ましい。
【0012】
非常に有利なナノ粒子は、ナノ粒子に再凝集を妨げる及び/または凝集を静電的に、立体的にまたは静電的及び立体的の両方で抑制する表面を付与する種類の分散剤を含むそれである。そのような分散剤が実際の沈殿中に存在する場合には、それがナノ粒子の凝集を妨げ、解凝集されたナノ粒子が沈殿工程でも得られる。そのような分散剤が沈殿後に添加される場合には、例えば湿式粉砕作業の一部として解凝集後のナノ粒子の再凝集を妨げる。この種の分散剤を含むナノ粒子は、それらが解凝集状態のままであるという事実のために特に好ましい。
特に有利な解凝集されたナノ粒子、すなわち適する場合には結晶化抑制剤も含むそれは、分散剤がナノ粒子の表面と相互作用しうるカルボキシレート、ホスフェート、ホスホネート、ビスホスホネート、スルフェート及びスルホネート基(硫酸バリウム粒子の表面への定着基)を含むこと、及びそれが疎水性部分及び/または親水性部分を含む1以上の有機基R1を含むことを特徴とする。
好ましくは、R1は低分子量、オリゴマーまたはポリマーであり、任意に酸素、窒素、燐または硫黄へテロ原子を含む、及び/または酸素、窒素、燐または硫黄によりR1基に結合されている基により置換されている任意に分岐状及び/または環状の炭素連鎖である。この種の置換基の一例はポリエーテルまたはポリエステルを基剤とする側鎖である。
【0013】
好ましいポリエーテルを基剤とする側鎖は、3乃至50、好ましくは3乃至40、特に3乃至30のアルキレンオキシ基を有する。アルキレンオキシ基は、好ましくはメチレンオキシ、エチレンオキシ、プロピレンオキシ及びブチレンオキシ基からなる群から選択される。ポリエーテルを基剤とする側鎖の長さは、一般的には3乃至100nm、好ましくは10乃至80nmである。
本発明の好ましいナノ粒子は、ポリマーにまたはポリマー中に結合するための基を含む分散剤を含む。そのような基はポリマーマトリクスへの定着基として作用するであろう。これらは、たとえば、OH、NH、NH2、SH、O-Oペルオキソ、C-C二重結合または4-オキシベンゾフェノンプロピルホスホネート基のような、この結合を化学的にもたらす基でもよい。この基はまた、物理的な結合をもたらす基でもよい。
ナノ粒子の表面を疎水性にする分散剤の例は、P(O)基の1個の酸素原子がC3-C10アルキルまたはアルケニル基により置換され、P(O)基の更なる酸素原子がポリエーテル側鎖により置換されているリン酸誘導体により表される。P(O)基の更なる酸性酸素原子はナノ粒子の表面と相互作用しうる。
【0014】
分散剤は、例えば、構成部分としてポリエーテルまたはポリエステルを基剤とする側鎖及びC6-C10アルケニル基を有するリン酸ジエステルでもよい。Disperbyk(登録商標)111のようなポリエーテル/ポリエステル側鎖を有するリン酸エステル、Disperbyk(登録商標)102及び106のようなポリエーテル/アルキル側鎖を有するリン酸エステル塩、例えば、Disperbyk(登録商標)190のような顔料親和性を有する基を有する高分子量コポリマーを基剤とする解膠効果を有する物質、 またはDisperbyk(登録商標)1140のような長鎖アルコールの極性の酸性エステルが更に非常に有用な種類の分散剤である。
特に良好な性質を有するナノ粒子は、その分散剤として、ナノ粒子の表面と相互作用しうるアニオン基(硫酸バリウム粒子の表面への定着基)、例えば、前述のような基であって、OH、NH、NH2、SH、O-Oペルオキソ、C-C二重結合または4-オキシベンゾフェノンプロピルホスホネート基のようなポリマーにまたはポリマー中に結合するための基(ポリマーマトリクスへの定着基)を含むポリマーを含む。好ましくは、OH、NH、NH2、SH、O-Oペルオキソ、C-C二重結合または4-オキシベンゾフェノンプロピルホスホネート基を含むポリーエーテルまたはポリエステルを基剤とする側鎖が存在する。この種のナノ粒子は再凝集する傾向を示さない。例えば、それらがプラスチックまたは高分子プレミックスに添加される場合には、使用中に更に解凝集する場合さえある。
極性基、特にヒドロキシル基及びアミノ基で置換されると、ナノ粒子は非常に親水性化される。
【0015】
好ましい分散剤は硫酸バリウム粒子の表面への定着基として作用する1以上のアニオン基、立体的に再凝集を妨げる1以上のポリエーテルまたはポリエステルを基剤とする側鎖、及びポリマーマトリクスへの定着基として作用する1以上の基を含む。
ポリマーにまたはポリマー中に結合するために使用される基は、ポリマーマトリクスの種類に関して特異的に選択されうる。極性基、特にヒドロキシル基及びアミノ基は、特にエポキシ樹脂にまたはエポキシ樹脂中に結合するのに適する反応性基である。多数のポリカーボネート基及び多数のヒドロキシル基を含み、更に例えば、ポリエーテルまたはポリエステルを基剤とする側鎖のような立体的に嵩高い置換基も含む分散剤を塗布したナノ粒子により特に良好な性質が示される。特にエポキシ樹脂において充填剤として使用されるナノ粒子のための分散剤の非常に好ましい基は、ポリエーテルを基剤とする側鎖の末端がヒドロキシル基により置換されたポリエーテルポリカルボキシレートである。ヒドロキシル基はまたポリウレタンにまたはポリウレタン中に結合するのに適する。ヒドロキシル基及びチオール基は、ポリ塩化ビニル(PVC)にまたはPVC中に結合するために使用されうる。別の例は、ポリオレフィンまたはPVCにまたはポリオレフィンまたはPVC中に結合するのに使用されうる4-オキシベンゾフェノンプロピルホスホネートである。O-Oペルオキソ基は、不飽和ポリエステルまたはポリオレフィンへの有用な定着基である。分散剤を含む硫酸バリウムを樹脂に混合すると、ペルオキソ基及び樹脂間の反応が開始する。更なる例は、不飽和ポリエステルにまたは不飽和ポリエステル中に結合するためのC-C二重結合の使用である。
【0016】
任意に結晶成長抑制剤及び立体的に再凝集を防ぐ特に好ましい分散剤の一つ、特に前述のポリマーマトリクスへの定着基により置換された分散剤を含むナノ粒子は、非常に微細な一次粒子を含み、多くても凝集度の低い二次粒子を含むという大きな利点を有する。これらの粒子は容易に再分散しうるので、非常に良好な使用特性を有する。例えば、それらは容易にポリマーに添加され、再凝集する傾向は示さず、実際に使用中に更に解凝集する。
【0017】
一実施態様によれば、解凝集された、分散剤の塗膜付きナノ粒子は、乾燥した形、換言すれば無溶剤である。更なる実施態様によれば、それらは水分散液または有機液体中での分散液の形であり、有機液体が任意に水を含むことも可能である。好ましい有機液体は、イソプロパノールまたはそれと他のアルコールまたはポリオールとの混合物のようなアルコール、アセトン、シクロペンタノンまたはメチルエチルケトンのようなケトン、ナフサまたは特定の沸点のスピリット、及びそれらの混合物、ハロゲン化芳香族及び特に脂肪族炭化水素、例えば、クロロカーボン、ヒドロクロロカーボン(例えば、メチレンクロライド)、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン及びヒドロクロロフルオロカーボンである。例えば、ジオクチルフタレートまたはジイソデシルフタレートのような可塑剤である添加剤が混合されうる。分散液中には、分散されたナノ粒子は、好ましくは0.1乃至70質量%、特に好ましくは0.1乃至60質量%、例えば0.1乃至25質量%または1乃至20質量%存在する。
【0018】
ナノ粒子、特に分散液、特にそれが水性である場合には、例えば分散液を安定化する物質のようなその性質に影響を及ぼす調節剤を更に含みうる。
本発明の製品はまた、実質的に凝集のない一次粒子の平均粒度が<50nm、好ましくは<20nmで、二次粒子の平均粒度が一次粒子の平均粒度より30%以下しか大きくないナノ粒子を含む。
【0019】
本発明は、本発明の解凝集されたナノ粒子を製造する多くの変形を提供する。
結晶化抑制剤が存在する場合には、例えば溶液からの沈殿反応結晶化によりまたはゲルからの乾燥により、ナノ粒子を結晶化抑制剤の存在下で固体の形に変換するのが最も有利である。結晶化抑制剤は結晶の成長を抑制するのに有利かもしれない。その結果、沈殿工程においてもより小さい粒子が得られる。
分散剤は種々の方法でナノ粒子に添加されうる。一般的には、分散剤の存在下における強力な粉砕作業により、ナノ粒子が形成された後に、または、例えば、水に溶解する金属塩を、例えば、アニオンの化合物の溶液と混合して金属とともに使用する溶剤中の溶解度が低いまたは零の固体を形成することによりナノ粒子が沈殿するときのような、または所望の化合物の溶液から結晶化させることによる、またはゲルを乾燥させることによるナノ粒子の形成中のような早い時期にナノ粒子に添加されうる。したがって、ナノ粒子に対応する化学的な化合物は、好ましくは沈殿により分散剤の存在下で固体の形に変換されうる、及び/または、所望の粒度より大きい微粒子の形で存在するナノ粒子に対応する化学的な化合物は、分散剤の存在下で強力な粉砕作業を受ける。追加的に結晶化抑制剤が使用される場合には、ナノ粒子は結晶化抑制剤及び分散剤の存在下で形成されるのが有利である。分散剤の存在が化合物の凝集体、すなわち一次粒子からの二次粒子を形成する傾向を低下または除去する。所望であれば、分散剤は、固体粒子が製造されるとき及び追加的にその後の粉砕工程中に添加されうる。
【0020】
第一の実施態様を更に詳細に説明する。ナノ粒子は慣例の方法により製造される。これは沈殿のような慣例の方法により実施されうる。沈殿による固体の製造は公知の方法である。例えば、カチオン及びアニオンを含む溶液を混合する。次いで溶剤を除去して固体を回収する。所望の塩を生成させるために、固体または懸濁液を液体と、例えば、固体の炭酸塩、金属酸化物または金属水酸化物を対応する酸と反応させることも可能である。例えば、炭酸塩、酸化物、水酸化物またはそれらの溶液と硫酸、リン酸または塩酸のような対応する酸からスルフェート、ホスフェートまたはフッ化物が調製されうる。炭酸塩は、金属塩及び炭酸塩またはCO2の反応により調製されうる。硫酸ストロンチウムは、例えば、塩化ストロンチウムをアルカリ金属スルフェートまたは硫酸と反応させることにより調製される。炭酸カルシウムは水酸化カルシウムと二酸化炭素を反応させることにより調製される。フッ化カルシウムまたはフッ化マグネシウムは塩化カルシウム、炭酸カルシウムまたは水酸化カルシウムまたは対応するマグネシウム化合物とアルカリ金属フッ化物または塩酸と反応させることにより調製される。反応は、例えば溶解機中で実施しうる。同様にして、他の金属との対応する化合物が調製される。酸化化合物は水酸化物の脱水により生成しうる。固体の回収はまた、飽和溶液からの結晶化、その後の乾燥によるゲルの形成によっても可能である。沈殿または結晶化中に、例えば、WO 01/92157号明細書に記載されているような結晶の成長を抑制する添加剤、または結晶化抑制剤の効果を有する前述の式(I)の化合物を使用することも可能である。所望であれば、形成されたナノ粒子、またはゲルは、ペースト状態または乾燥粉末状態に脱水されうる。もちろん、固体の形で存在する商業的に慣例の物質を使用することも可能である。前述のようにして調製されたまたは商業的に慣例の方法で得られる固体は、湿式解凝集のような更なる粉砕作業を受けうる。選択される液体は、水でも、アルコール、炭化水素またはハロカーボンまたはハロゲン化炭化水素のような有機液体でもよい。例えば、ボールミル、振動ミル、撹拌機構ミル、惑星ボールミルまたはガラス球を用いた溶解機中で実施されうる解凝集は、分散剤の存在下で起こる。粉砕作業は通常ミル中、好ましくはビーズミルのようなボールミル中またはガラス球を用いた溶解機中、溶剤の存在下で実施される。この種の方法はDE-A 198 32 304号明細書に記載されている。その場合には粒子及び分散剤を、ゆるい粉砕手段を有する粉砕容器中におき、所望の微細度に粉砕して混合する。二酸化炭素固体または強度に冷却した1,1,1,2-テトラフルオロエタンまたは同様な物質が粉砕助剤として使用される。適するミルの例には、ボールミル、振動ミル、撹拌機構ミル及び惑星ボールミルが含まれる。これらの系においては、20nm未満の粒度さえ得られる。
【0021】
分散剤についてはすでに記載した。一例として、結晶化抑制剤効果を有し、分散性も有する式(I)の物質を使用することが可能である。この物質がすでに固体粒子の製造に使用された場合には、その結晶化抑制剤の性質は沈殿において発揮される。解凝集に関しては、1以上のポリエーテルまたはポリエステルを基剤とする側鎖を含み、それ故再凝集を立体的に妨げる前述の分散剤を使用するのが好ましい。特に、これらの分散剤は、ポリマーマトリクスへの定着基として作用するOH、NH、NH2、SH、O-Oペルオキソ、C-C二重結合または4-オキシベンゾフェノンプロピルホスホネート基を含む。ポリマーにまたはポリマー中に結合するのに使用される基は、ポリマーマトリクスの種類に関して特異的に選択されうる。粉砕は所望の微細度が得られるまで継続される。粉砕は、好ましくはナノ粒子の一次及び/または二次の粒子の平均粒度が、0.5μm未満、特に好ましくは250nm未満、非常に特に好ましくは200nm未満となるまで継続される。更に好ましくは、解凝集は、二次粒子の平均粒度が130nm未満、特に好ましくは100nm未満、非常に特に好ましくは80nm未満、更に好ましくは<50nmとなるまで実施される。これらのナノ粒子は、部分的にまたは実質的にすべてが凝集されていない一次粒子の形かもしれない。平均粒度は、XRDまたはレーザー回折法により決定される。粉砕により使用される溶剤中にナノ粒子を分散させた分散液が形成される。次いでこの分散液はそのまま、例えばプラスチックへの添加に使用されうる。以下に記載するように、分散液はまた、再分散性のナノ粒子の製造における中間体としても使用されうる。
【0022】
ナノ粒子の調製の第二の実施態様は、例えば、分散剤の存在下における沈殿により固体そのものの製造を実施することを想定する。この方法は、沈殿中のような早い時期に容易に再分散しうる解凝集されたナノ粒子の形成をもたらしうる。沈殿中に静電的、立体的または静電的及び立体的の両方により再凝集を妨げ凝集を抑制する表面を粒子に付与するこの種の分散剤は、すでに始めのほうで説明した。この実施態様は、沈殿工程中のような早い時期に解凝集されたナノ粒子を製造する。この場合に形成されるナノ粒子の溶剤分散液もまたそのまま、例えばプラスチックにまたは、まだ十分には重合されていないプレポリマーまたは、例えば重縮合によりポリマーを形成する反応体のようなプラスチックの前駆物質にナノ粒子を添加するのに使用されうる。
【0023】
分散剤は、それぞれのナノ粒子が分散される溶剤に合わせるのが有利である。比較的疎水性の分散剤は、非極性溶剤または極性の低い溶剤中の分散液の調製に有利に使用される。
極性が低い乃至零の溶剤中のナノ粒子の分散液の調製に適する分散剤の例は、エチレンオキシド単位からのポリエーテルフラクションを有する側鎖を含むリン酸エステルにより表され、例えば、P(O)基の1個の酸素原子がC3-C10アルキルまたはアルケニル基で置換され、P(O)基の更なる酸素原子がポリエーテル側鎖で置換されているそれである。P(O)基の更なる酸性酸素原子は炭酸ストロンチウム表面と相互作用しうる。この種の分散剤は、例えば、Disperbyk(登録商標)102、106及び111という名称でBYK CHEMIEから入手しうる。極性が低い乃至零の溶剤はすでに記載した。メチレンクロライドが特に良好である。特に有用である例には、メチルエチルケトンのような直鎖状ケトン、例えば合計2乃至6個の炭素原子を有するカルボン酸のエステル及び1乃至4個の炭素原子を有するアルコール、炭化水素または特定の沸点のスピリット(21乃至55℃、55乃至100℃の沸点、100℃より高い沸点を有する)のようなそれらの混合物、ナフサ溶剤またはメチレンクロライドのようなハロゲン化炭化水素が含まれる。
【0024】
その他の分散剤は、水、またはイソプロパノールまたはn-ブタノールのようなアルコールのような極性またはプロトン溶剤中におけるナノ粒子に容易に分散性をもたらす。一例は、例えば前述した基のような、炭酸ストロンチウムの表面と相互作用しうるアニオン基を含むポリマーであり、例えばヒドロキシルまたはアミノ基のような極性基により置換されている。好ましくは、末端がヒドロキシル基で置換されているポリエーテルまたはポリエステルを基剤とする側鎖が存在する。この置換のために、ナノ粒子は非常に親水性化される。この種のナノ粒子は容易に分散され、極性またはプロトン溶剤中で安定な分散液を提供する。使用中に更に解凝集される場合もある。
【0025】
ポリマーマトリクスへのその他の興味深い定着基は、SH、O-Oペルオキソ、C-C二重結合または4-オキシベンゾフェノンプロピルホスホネート基である。ポリマーにまたはポリマー中に結合するのに使用される基は、ポリマーマトリクスの種類及び極性に関して特異的に選択されうる。極性基、特にヒドロキシル基及びアミノ基は、特にエポキシ樹脂のような対応するプラスチックにまたはその中に結合するのに適する反応性基である。特に良好な性質は、複数のポリカルボキシレート基及び複数のヒドロキシル基及び、立体的に嵩高い更なる置換基、例えばポリエーテルまたはポリエステルを基剤とする側鎖を含む分散剤が塗布された炭酸ストロンチウムにより示される。エポキシ樹脂において充填剤として使用されるナノ粒子の分散剤の特に好ましい基は、ポリエーテルを基剤とする側鎖の末端がヒドロキシル基で置換されているポリエーテルポリカルボキシレートである。ヒドロキシル基はまたポリウレタンにまたはポリウレタン中に結合するのに著しく適する。ヒドロキシル基及びチオール基は、ポリ塩化ビニル(PVC)にまたはPVC中に結合するのに使用されうる。4-オキシベンゾフェノンプロピルホスホネートは、主としてポリオレフィンまたはPVCにまたはポリオレフィンまたはPVC中に結合するのに使用されうる。O-Oペルオキソ基は、通常不飽和ポリエステルまたはポリオレフィンに有用である。最後の例は、不飽和ポリエステルにまたは不飽和ポリエステル中に結合するためのC-C二重結合の使用である。
【0026】
強力な粉砕後に得られるナノ粒子の溶剤分散液はまた、分散剤を含むナノ粒子からの再分散性粉末の製造の中間体として使用されうる。強力な粉砕中に使用される溶剤が、噴霧乾燥または、例えば高温及び/または減圧下における蒸発により実際に除去されると、次いで分散剤を含むナノ粉末が形成され、それは大きなエネルギー入力なしに、溶剤中、液体の形で存在し、任意に溶剤で希釈されたプラスチック中、ポリマー前駆物質または接着剤中で、その粒子の性質がはじめに製造された分散液に対応するナノ粒子の分散液に再び変換されうる。したがって本発明はまた、本発明にしたがって得られる分散液を乾燥することにより得られる、解凝集したナノ粒子に再分散しうる乾燥粉末に関する。そのような再分散しうるナノ粒子は、分散液から溶剤を除去することにより得られる。
強力な粉砕及び溶剤の除去後に得られる粉末は、最高でもゆるい状態で、液体媒体中で再分散可能で、その再分散中に解凝集した粒子を再び形成する凝集体を形成する。立体的に再凝集を妨げ、ポリマーにまたはポリマー中に結合するための極性基を含む特に好ましい高分子分散剤が使用される場合には、新たな分散液にはナノ粒子の一部の更なる解凝集が観察される。
【0027】
本発明におけるナノ粒子は、金属の塩である。水及び/または有機溶剤において低溶解性である金属の塩が好ましい。“低溶解性”は、好ましくは、室温(20℃)において1g/リットル未満、好ましくは0.1g/リットル未満溶解することを意味する。特に好ましい塩は、水中及び有機溶剤中で低溶解性を示すそれである。
【0028】
好ましいカチオンは、元素の周期律表の主族1、特に好ましくはCu、Ag及びAuから、元素の周期律表の主族2及び3、特に好ましくはMg、Ca、Sr、Ba、Zn、Al及びInから、元素の周期律表の主族4、特に好ましくはTi、Zr、Si、Ge、Sn及びPbから、及び元素の周期律表の主族6、好ましくはCr及びWから選択される。特に好ましいカチオンはまた、ランタノイド金属を含む元素の周期律表の遷移金属からの金属である。本発明はまたそのようなカチオンの混合物に関する。
好ましいアニオンは、PO43-、SO42-、CO32-、F-、O2-及びOH-である。これらにはまた、オキシフルオライドのようなこれらのアニオンを2以上有する塩、及び塩の水和物及びそれらの混合物も含まれる。
【0029】
使用される特に好ましい充填剤は、SrSO4、MgCO3、CaCO3、BaCO3、SrCO3、Zn3(PO4)2、Ca3(PO4)2、Sr3(PO4)2、Ba3(PO4)2、Mg2(PO4)2、SiO2、Al2O3、MgF2、CaF2、BaF2、SrF2、TiO2、ZrO2、ランタノイド金属のフッ化物及びオキシフルオライド及びアルカリ金属及びアルカリ土類金属フルオロメタレート及びそれらの混合物、例えばBaSO4/CaCO3混合物である。混合塩の例はBa/TiO3である。本発明の明細書の優先日には公開されていない独国特許出願102004039485.7号明細書には、棒状炭酸ストロンチウムのハロゲン化溶剤分散液が開示されている。そこに開示されている主題は、特許法に関連する範囲では、保護の範囲から除外される。
ナノ粒子はナノ粒子が典型的に使用される目的に使用されうる。それらはプラスチックの充填剤として特に適する。
【0030】
容易に再分散しうる粉末または水性分散液または有機溶剤中の分散液の形で存在するナノ粒子は同様に本発明により提供され、ナノ粒子が典型的に使用されるすべての目的、例えば、プラストマー及びエラストマーのようなプラスチック、接着剤及びシーラントにおける充填剤として使用されうる。適する場合には、再分散性ナノ粒子はまず分散液として再分散される。
ナノ粒子、特にシリカを基剤とするまたはアルミナを基剤とするナノ粒子を構成する塗膜は十分に確立されている。例として特許出願EP 1 179 575 A2号明細書、WO 00/35599 A号明細書、WO 99/52964 A号明細書、WO 99/54412 A号明細書、WO 99/52964号明細書、DE 197 26 829 A1号明細書またはDE 195 40 623 A1号明細書が言及される。それらは特に、非常に傷のつきにくい塗膜の製造に役立つ。
【0031】
解凝集されたナノ粒子は、前述の塗膜の添加剤としてだけでなく、とりわけプラスチック、例えば飽和及び不飽和ポリオレフィン、PVC、フェノール樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、飽和及び不飽和ポリエステル、ポリウレタン、シリコーン樹脂、尿素樹脂及びメラミン樹脂、ポリカーボネート及びポリアミド樹脂の添加剤としても適する。本発明のナノ粒子を添加したプラスチックは同様に本発明により提供される。プラスチック中のナノ粒子の量は、1乃至50質量%が有利であり、好ましくは1乃至25質量%である。
【0032】
例えば、本発明のナノ粒子、特に、適する場合には結晶化抑制剤に加えて、エーテル基の末端がヒドロキシル基により置換され、親水性とされている高分子ポリエーテルポリカーボネート分散剤を含むそれは、エポキシ成形品またはエポキシ樹脂及び対応する複合材料における使用に適し、特に良好な効果を示しうる。エポキシ樹脂は、例えば積層品(例えば、航空機、車または船の構築物において)のような注型用樹脂他として使用される。
原理の説明は、例えば、Ullmanns Enzyklopadie der Technischen Chemie, 4th edition, Volume 10, pages 563 - 580 及び Kirk-Othmer, Encyclopedia of Chemical Technology, 4th edition, volume 9, pages 730 - 755 に見出される。
【0033】
ナノ粒子をプラスチック組成物に添加する有利な方法の一は、まず適する溶剤中で分散液を製造し、この分散液をプラスチックに導入し、次いで溶剤を除去することが想定される。プラスチック自体は溶剤に溶解させた溶液でもよい。分散液はまた、反応体のような高分子前駆物質に導入されてもよい。ナノ粒子を溶剤に分散させた分散液は、撹拌機構を具備する混合装置または容器中でプラスチックまたはプラスチックの前駆物質と混合しうる。粘度を低下させるために温度を上昇させることも可能である。混合した後、通常温度を上昇させること及び/または減圧にすることにより溶剤を除去する。これで硫酸バリウムがプラスチックまたはプラスチックの前駆物質中に分散する。
【0034】
溶剤は、意図する用途に関して選択される。それは、プラスチックまたはプラスチック前駆物質とは適合性でなければならない。例えば、それは望ましくない反応を示してはならないし、十分に溶解しなければならない。適する溶剤はまた、好ましくはポリマーの極性の見地から選択される。適する溶剤の例には、とりわけ、プロパノール、イソプロパノールまたはn-ブタノールのようなアルカノールまたはジオール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランまたはグリコールのエーテルのようなエーテル、酢酸エチルのようなカルボン酸エステル、アセトン、メチルエチルケトンまたはシクロペンタノンのようなケトン、溶剤ナフサのような炭化水素、ジクロロメタンまたはo-ジクロロベンゼンのようなハロゲン化有機溶剤、またはそれらの混合物が含まれる。
この方法は、とりわけ、ハロゲン化有機溶剤、エーテルまたはエステルのような低極性溶剤中のナノ粒子の分散液をプラスチックまたはその前駆物質と混合し、次いで溶剤を除去することにより、ナノ粒子をポリカーボネートまたはPVCのような疎水性プラスチックに添加するのに非常に適する。別の実施例は、不飽和ポリエステル樹脂への添加にナノ粒子のアセトンまたはo-ジクロロベンゼン分散液を使用する方法である。この方法はまた、ナノ粒子の極性溶剤分散液を用いてナノ粒子をエポキシ樹脂に添加するのに非常に適する。ナノ粒子の分散液はまた、エポキシ樹脂前駆物質に添加しうる。この方法はまた、アルコール性分散液をジオールと混合し、アルコール性溶剤を蒸発させ、更にナノ粒子を含むジオールをイソシアネート成分と反応させることによりナノ粒子をポリウレタンに添加するのに非常に適する。
【0035】
本発明によれば、製造してナノ粒子に粉砕し、次いで溶剤を除去した後に、ビーズミル中における処理のような更なる強力な粉砕作業の必要なしに再分散しうるナノ粒子を製造しうる。解凝集されたナノ粒子は、例えば平均直径が60乃至80nmの非常に小さな粒度を有する。このことは、解凝集が非常に効果的で、特にこの粒度は、一度解凝集工程を通過させた粒子を、溶剤中、プラスチック中、添加剤中またはポリマー前駆物質中で単に混合することにより再び達成される。したがって、粒子は更なる解凝集工程に挿入する必要がまったくなく非常に良好に再分散されうる。特に有機溶剤中のナノ粒子の分散液は、良好にプラスチック、その溶液またはプラスチックの製造に使用されるプレポリマーまたは反応体に添加されうる。透明なプラスチックを製造することが可能である。プラスチックは、高いひっかき抵抗性及び耐衝撃性を特徴とする。ナノ粒子を含む接着剤は、粘着性が増大したり付着性が影響を受けなかったりする。
以下の実施例は、その範囲を制限することなく本発明を説明することを意図する。
【実施例1】
【0036】
ナノ粒子の分散液の製造
実施に関する一般的な指示:
分散されたナノ粒子に変換される物質を、前記物質の乾燥質量に対して10質量%の分散剤と混合する。次いで、所望の微細度が得られるまでビーズミル中で溶剤を用いて分散させる。これは約10乃至20分かかる。固体含量は、分散液の総質量に対して約50質量%である。
使用したBaCO3は結晶化抑制剤を含有した。フッ化物は対応するカーボネート及びフッ化水素酸から調製した。
以下の分散液はこのようにして実施例にしたがって調製しうる。
【0037】
【表1】
【実施例2】
【0038】
実施例1の分散液からのナノ粉末の製造
実施例1の分散液から減圧下で溶剤を除去すると、10質量%の分散剤を含む粉末となる。
【実施例3】
【0039】
実施例2の粉末の再分散による分散液の製造
実施例2の粉末を、それを製造するのに使用したのと同一の溶剤と混合する。再分散は、ガラス球なしの溶解機中で実施する。溶剤中の粉末成分は再び分散液を形成し、分散された粒子の粒度は、あらかじめビーズミル中で製造した分散液中の粒子の寸法に対応した。したがって本発明のナノ粉末は顕著に再分散性である。
元の分散液がジクロロメタン中であっても、シクロペンタノン中で再分散を実施することも可能である。
【実施例4】
【0040】
結晶化抑制剤の存在下における沈殿による微粉状炭酸バリウムの製造
炭酸バリウムは、結晶化抑制剤としてクエン酸を用い、WO 01/49609号明細書に記載されているようにして沈殿させ、乾燥させる。次いで得られた炭酸バリウムを、ビーズミル中でMelpers 0030及びイソプロパノールを用い実施例1に記載されているようにして分散させる。溶剤を蒸発させると、プロパノ−ル中で再分散させた場合に元の分散液に匹敵する分散液が得られるナノ粒子粉末となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散剤を塗布した、所望の場合には、結晶化抑制剤を更に含むナノ粒子であって、その平均粒度が<500nm、好ましくは<250nm、非常に好ましくは<100nm、特に<80nm、特に好ましくは<50nm、特別に好ましくは<20nm、非常に特に好ましくは<10nmである硫酸バリウム粒子以外のナノ粒子。
【請求項2】
前記ナノ粒子が一次及び二次ナノ粒子を含み、二次ナノ粒子の平均粒度が2000nm未満であり、好ましくは<250nm、更に好ましくは<200nm、非常に特に好ましくは<130nm、更に好ましくは<100nm、特に好ましくは<50nm未満である請求項1記載のナノ粒子。
【請求項3】
前記ナノ粒子が結晶化抑制剤を含み、前記結晶化抑制剤が、1以上のアニオン基を含む化合物から選択される請求項1または2記載のナノ粒子。
【請求項4】
前記結晶化抑制剤がアニオン基として1以上のスルフェート、1以上のスルホネート、2以上のホスフェート、2以上のホスホネート、2以上のカルボキシレート基、またはそれらの混合物を含む請求項3記載のナノ粒子。
【請求項5】
前記結晶化抑制剤が、炭素連鎖R及びn個の置換基[A(O)OH]を有する下式(I)の化合物またはその塩である請求項1乃至4のいずれかに記載のナノ粒子。
(I) R[-A(O)OH]n
(式中、Rは、疎水性及び/または親水性部分を有する有機基であって、Rは低分子量、オリゴマーまたはポリマーであり、任意に酸素、窒素、燐または硫黄へテロ原子を含む、及び/または酸素、窒素、燐または硫黄によりR基に結合されている基により置換されている任意に分岐状及び/または環状の炭素連鎖でもよく、Aは、C、P(OH)、OP(OH)、S(O)またはOS(O)であり、かつnは1乃至10000、好ましくは1乃至5である。)
【請求項6】
前記結晶化抑制剤が、2以上のカルボキシレート基を有する任意にヒドロキシ置換されたカルボン酸、アルキルスルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、ポリアクリル酸、ポリアスパラギン酸、任意にヒドロキシ置換されたジホスホン酸、1以上のカルボン酸またはホスホン酸を含み、任意にヒドロキシル基により置換されたエチレンジアミンまたはジエチレントリアミン誘導体、またはそれらの塩である請求項1乃至5のいずれかに記載のナノ粒子。
【請求項7】
前記ナノ粒子が分散剤を含み、前記分散剤がナノ粒子の表面と相互作用しうるアニオン基、好ましくはカルボキシレート基、ホスフェート基、ホスホネート基、ビスホスホネート基、スルフェート基またはスルホネート基を含む請求項1記載のナノ粒子。
【請求項8】
前記分散剤が、疎水性及び/または親水性部分を有する1以上の有機基R1を含む請求項7記載のナノ粒子。
【請求項9】
前記R1が、低分子量、オリゴマーまたはポリマーであり、任意に酸素、窒素、燐または硫黄へテロ原子を含む、及び/または酸素、窒素、燐または硫黄によりR1基に結合されている基により置換されている任意に分岐状及び/または環状の炭素連鎖であり、前記炭素連鎖が任意に親水性または疎水性基により置換されている請求項8記載のナノ粒子。
【請求項10】
前記分散剤が、構成部分としてポリエーテルを基剤とする側鎖及びC6-C10アルケニル基を有するリン酸ジエステルである請求項9記載のナノ粒子。
【請求項11】
前記分散剤がポリマーにまたはポリマー中に結合するための1以上の基を含む請求項8乃至10のいずれかに記載のナノ粒子。
【請求項12】
前記ポリマーにまたはポリマー中に結合するための基が、OH、NH、NH2、SH、O-Oペルオキソ、C-C二重結合または4-オキシベンゾフェノンプロピルホスホネート基から選択される請求項11記載のナノ粒子。
【請求項13】
前記分散剤が、1以上のポリエーテルまたはポリエステルを基剤とする側鎖を含む請求項12記載のナノ粒子。
【請求項14】
前記ポリエーテルまたはポリエステルを基剤とする側鎖がポリマーにまたはポリマー中に結合するための基を含む請求項13記載のナノ粒子。
【請求項15】
前記ヒドロキシル基及びアミノ基が、エポキシ樹脂にまたはエポキシ樹脂中に結合するための反応性基として機能する請求項14記載のナノ粒子。
【請求項16】
前記分散剤が、ポリエーテル基の末端がヒドロキシル基により置換されているポリエーテルポリカルボキシレートである請求項14記載のナノ粒子。
【請求項17】
前記結晶化抑制剤及び分散剤が、各々ナノ粒子の1質量部に対して2質量部以下、好ましくはナノ粒子の1質量部に対して1質量部以下、特に各々ナノ粒子に対して1乃至50質量%存在し、前記ナノ粒子が必ず1種以上の分散剤を含み、結晶化抑制剤及び分散剤の総量が好ましくはナノ粒子の総質量の80質量%以下である請求項1乃至16のいずれかに記載のナノ粒子。
【請求項18】
前記ナノ粒子が、カチオンが元素の周期律表の主族1から、元素の周期律表の主族2及び3から、元素の周期律表の主族4から、元素の周期律表の主族6から、及びランタノイド金属を含む元素の周期律表の遷移金属から選択される金属塩である請求項1記載のナノ粒子。
【請求項19】
前記ナノ粒子が、室温(20℃)において水中及び/または有機溶剤中に1g/リットル未満、好ましくは0.1g/リットル未満の溶解性を有する請求項18記載のナノ粒子。
【請求項20】
前記カチオンが、Cu、Ag、Au、Ti、Zr、Si、Ge、Cr、W、Si、Ge、Sn、Pb、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、In及びAl及びそれらの混合物から選択される請求項19記載のナノ粒子。
【請求項21】
前記ナノ粒子が、アニオンがPO43-、SO42-、CO32-、F-、O2-及びOH-から選択される金属塩であり、オキシフルオライドのような2以上のこれらのアニオン及びそれらの水和物及び混合物を有するナノ粒子も含む請求項1記載のナノ粒子。
【請求項22】
前記ナノ粒子が、SrSO4、MgCO3、CaCO3、BaCO3、SrCO3、Zn3(PO4)2、Ca3(PO4)2、Sr3(PO4)2、Ba3(PO4)2、Mg2(PO4)2、SiO2、Al2O3、MgF2、CaF2、BaF2、SrF2、TiO2、ZrO2、ランタノイド金属のフッ化物及びオキシフルオライド及びアルカリ金属及びアルカリ土類金属フルオロメタレート及びそれらの混合物から選択される請求項1記載のナノ粒子。
【請求項23】
本出願の優先日には公開されていない独国特許出願102004039485.7号明細書に開示されているような棒状炭酸ストロンチウムのハロゲン化溶剤分散液以外の、請求項1乃至22のいずれかに記載のナノ粒子の、水、有機液体、または水及び有機液体の混合物中の分散液。
【請求項24】
前記ナノ粒子が分散液中に0.1乃至70質量%存在する請求項23記載の分散液。
【請求項25】
請求項23及び24のいずれかに記載の分散液を乾燥させることにより得られる、解凝集したナノ粒子に再分散しうる乾燥粉末。
【請求項26】
請求項1乃至22のいずれかに記載のナノ粒子を製造する方法であって、前記ナノ粒子に対応する化学的な化合物が、好ましくは沈殿により分散剤の存在下で固体の形に変換される、及び/または、所望の粒度より大きい粒子として微粒子の形で存在する前記ナノ粒子に対応する化学的な化合物が、分散剤の存在下で強力な粉砕作業を受ける方法。
【請求項27】
前記粉砕作業が、ミル中、好ましくはビーズミルのようなボールミル中またはガラス球を用いた溶解機中溶剤の存在下で実施される請求項26記載の方法。
【請求項28】
請求項23又は24の分散液から溶剤を除去することにより請求項25記載の再分散しうるナノ粉末を製造する方法。
【請求項29】
充填剤としての、特にプラスチック、接着剤及びシーラントを製造するための充填剤としての、水性分散液または有機溶剤分散液の形の請求項1乃至22のいずれかに記載のナノ粒子の使用。
【請求項30】
粉末の形の充填剤としての、特にプラスチック、接着剤及びシーラントを製造するための充填剤としての、請求項25記載の再分散しうるナノ粒子の使用。
【請求項31】
請求項1乃至22のいずれかに記載のナノ粒子または請求項25記載の粉末を含むプラスチック、接着剤及びシーラント。
【請求項1】
分散剤を塗布した、所望の場合には、結晶化抑制剤を更に含むナノ粒子であって、その平均粒度が<500nm、好ましくは<250nm、非常に好ましくは<100nm、特に<80nm、特に好ましくは<50nm、特別に好ましくは<20nm、非常に特に好ましくは<10nmである硫酸バリウム粒子以外のナノ粒子。
【請求項2】
前記ナノ粒子が一次及び二次ナノ粒子を含み、二次ナノ粒子の平均粒度が2000nm未満であり、好ましくは<250nm、更に好ましくは<200nm、非常に特に好ましくは<130nm、更に好ましくは<100nm、特に好ましくは<50nm未満である請求項1記載のナノ粒子。
【請求項3】
前記ナノ粒子が結晶化抑制剤を含み、前記結晶化抑制剤が、1以上のアニオン基を含む化合物から選択される請求項1または2記載のナノ粒子。
【請求項4】
前記結晶化抑制剤がアニオン基として1以上のスルフェート、1以上のスルホネート、2以上のホスフェート、2以上のホスホネート、2以上のカルボキシレート基、またはそれらの混合物を含む請求項3記載のナノ粒子。
【請求項5】
前記結晶化抑制剤が、炭素連鎖R及びn個の置換基[A(O)OH]を有する下式(I)の化合物またはその塩である請求項1乃至4のいずれかに記載のナノ粒子。
(I) R[-A(O)OH]n
(式中、Rは、疎水性及び/または親水性部分を有する有機基であって、Rは低分子量、オリゴマーまたはポリマーであり、任意に酸素、窒素、燐または硫黄へテロ原子を含む、及び/または酸素、窒素、燐または硫黄によりR基に結合されている基により置換されている任意に分岐状及び/または環状の炭素連鎖でもよく、Aは、C、P(OH)、OP(OH)、S(O)またはOS(O)であり、かつnは1乃至10000、好ましくは1乃至5である。)
【請求項6】
前記結晶化抑制剤が、2以上のカルボキシレート基を有する任意にヒドロキシ置換されたカルボン酸、アルキルスルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、ポリアクリル酸、ポリアスパラギン酸、任意にヒドロキシ置換されたジホスホン酸、1以上のカルボン酸またはホスホン酸を含み、任意にヒドロキシル基により置換されたエチレンジアミンまたはジエチレントリアミン誘導体、またはそれらの塩である請求項1乃至5のいずれかに記載のナノ粒子。
【請求項7】
前記ナノ粒子が分散剤を含み、前記分散剤がナノ粒子の表面と相互作用しうるアニオン基、好ましくはカルボキシレート基、ホスフェート基、ホスホネート基、ビスホスホネート基、スルフェート基またはスルホネート基を含む請求項1記載のナノ粒子。
【請求項8】
前記分散剤が、疎水性及び/または親水性部分を有する1以上の有機基R1を含む請求項7記載のナノ粒子。
【請求項9】
前記R1が、低分子量、オリゴマーまたはポリマーであり、任意に酸素、窒素、燐または硫黄へテロ原子を含む、及び/または酸素、窒素、燐または硫黄によりR1基に結合されている基により置換されている任意に分岐状及び/または環状の炭素連鎖であり、前記炭素連鎖が任意に親水性または疎水性基により置換されている請求項8記載のナノ粒子。
【請求項10】
前記分散剤が、構成部分としてポリエーテルを基剤とする側鎖及びC6-C10アルケニル基を有するリン酸ジエステルである請求項9記載のナノ粒子。
【請求項11】
前記分散剤がポリマーにまたはポリマー中に結合するための1以上の基を含む請求項8乃至10のいずれかに記載のナノ粒子。
【請求項12】
前記ポリマーにまたはポリマー中に結合するための基が、OH、NH、NH2、SH、O-Oペルオキソ、C-C二重結合または4-オキシベンゾフェノンプロピルホスホネート基から選択される請求項11記載のナノ粒子。
【請求項13】
前記分散剤が、1以上のポリエーテルまたはポリエステルを基剤とする側鎖を含む請求項12記載のナノ粒子。
【請求項14】
前記ポリエーテルまたはポリエステルを基剤とする側鎖がポリマーにまたはポリマー中に結合するための基を含む請求項13記載のナノ粒子。
【請求項15】
前記ヒドロキシル基及びアミノ基が、エポキシ樹脂にまたはエポキシ樹脂中に結合するための反応性基として機能する請求項14記載のナノ粒子。
【請求項16】
前記分散剤が、ポリエーテル基の末端がヒドロキシル基により置換されているポリエーテルポリカルボキシレートである請求項14記載のナノ粒子。
【請求項17】
前記結晶化抑制剤及び分散剤が、各々ナノ粒子の1質量部に対して2質量部以下、好ましくはナノ粒子の1質量部に対して1質量部以下、特に各々ナノ粒子に対して1乃至50質量%存在し、前記ナノ粒子が必ず1種以上の分散剤を含み、結晶化抑制剤及び分散剤の総量が好ましくはナノ粒子の総質量の80質量%以下である請求項1乃至16のいずれかに記載のナノ粒子。
【請求項18】
前記ナノ粒子が、カチオンが元素の周期律表の主族1から、元素の周期律表の主族2及び3から、元素の周期律表の主族4から、元素の周期律表の主族6から、及びランタノイド金属を含む元素の周期律表の遷移金属から選択される金属塩である請求項1記載のナノ粒子。
【請求項19】
前記ナノ粒子が、室温(20℃)において水中及び/または有機溶剤中に1g/リットル未満、好ましくは0.1g/リットル未満の溶解性を有する請求項18記載のナノ粒子。
【請求項20】
前記カチオンが、Cu、Ag、Au、Ti、Zr、Si、Ge、Cr、W、Si、Ge、Sn、Pb、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、In及びAl及びそれらの混合物から選択される請求項19記載のナノ粒子。
【請求項21】
前記ナノ粒子が、アニオンがPO43-、SO42-、CO32-、F-、O2-及びOH-から選択される金属塩であり、オキシフルオライドのような2以上のこれらのアニオン及びそれらの水和物及び混合物を有するナノ粒子も含む請求項1記載のナノ粒子。
【請求項22】
前記ナノ粒子が、SrSO4、MgCO3、CaCO3、BaCO3、SrCO3、Zn3(PO4)2、Ca3(PO4)2、Sr3(PO4)2、Ba3(PO4)2、Mg2(PO4)2、SiO2、Al2O3、MgF2、CaF2、BaF2、SrF2、TiO2、ZrO2、ランタノイド金属のフッ化物及びオキシフルオライド及びアルカリ金属及びアルカリ土類金属フルオロメタレート及びそれらの混合物から選択される請求項1記載のナノ粒子。
【請求項23】
本出願の優先日には公開されていない独国特許出願102004039485.7号明細書に開示されているような棒状炭酸ストロンチウムのハロゲン化溶剤分散液以外の、請求項1乃至22のいずれかに記載のナノ粒子の、水、有機液体、または水及び有機液体の混合物中の分散液。
【請求項24】
前記ナノ粒子が分散液中に0.1乃至70質量%存在する請求項23記載の分散液。
【請求項25】
請求項23及び24のいずれかに記載の分散液を乾燥させることにより得られる、解凝集したナノ粒子に再分散しうる乾燥粉末。
【請求項26】
請求項1乃至22のいずれかに記載のナノ粒子を製造する方法であって、前記ナノ粒子に対応する化学的な化合物が、好ましくは沈殿により分散剤の存在下で固体の形に変換される、及び/または、所望の粒度より大きい粒子として微粒子の形で存在する前記ナノ粒子に対応する化学的な化合物が、分散剤の存在下で強力な粉砕作業を受ける方法。
【請求項27】
前記粉砕作業が、ミル中、好ましくはビーズミルのようなボールミル中またはガラス球を用いた溶解機中溶剤の存在下で実施される請求項26記載の方法。
【請求項28】
請求項23又は24の分散液から溶剤を除去することにより請求項25記載の再分散しうるナノ粉末を製造する方法。
【請求項29】
充填剤としての、特にプラスチック、接着剤及びシーラントを製造するための充填剤としての、水性分散液または有機溶剤分散液の形の請求項1乃至22のいずれかに記載のナノ粒子の使用。
【請求項30】
粉末の形の充填剤としての、特にプラスチック、接着剤及びシーラントを製造するための充填剤としての、請求項25記載の再分散しうるナノ粒子の使用。
【請求項31】
請求項1乃至22のいずれかに記載のナノ粒子または請求項25記載の粉末を含むプラスチック、接着剤及びシーラント。
【公表番号】特表2008−545845(P2008−545845A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514117(P2008−514117)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【国際出願番号】PCT/EP2006/062860
【国際公開番号】WO2006/131497
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(506192881)ソルヴェイ インフラ バート ヘンニンゲン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (9)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【国際出願番号】PCT/EP2006/062860
【国際公開番号】WO2006/131497
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(506192881)ソルヴェイ インフラ バート ヘンニンゲン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (9)
【Fターム(参考)】
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