説明

改質ポリマー基材およびその製造方法ならびに表面処理剤

【課題】ポリマー基材の表面に、付着物に対する優れた離型性とそれ以外の用途に応じた機能とを併せ持つことが可能な改質ポリマー基材およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】チオール基と反応する官能基を有する有機成分を含有するポリマー基材の表面に、下記の(a)成分および(b)成分を含有する表面処理剤を接触させて、ポリマー基材の表面に、チオール基を2つ以上有する化合物を介して、ポリマー基材の表面に機能を付与するための官能基を有する有機基が結合された改質ポリマー基材を得る。ただし、(a)チオール基を2つ以上有する化合物、(b)チオール基と反応可能な官能基と、ポリマー基材の表面に機能を付与するための官能基とを有する化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改質ポリマー基材およびその製造方法ならびに表面処理剤に関し、さらに詳しくは、電子写真機器用導電性部材や自動車のワイパー等の表面を構成するポリマー基材として好適な改質ポリマー基材およびその製造方法ならびに表面処理剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、様々な分野において、樹脂やゴム、エラストマーなどのポリマーを用いたポリマー製品が製造されている。ポリマー製品のポリマー基材には、その表面に、用途に応じた機能が求められることがある。
【0003】
例えば、電子写真機器に用いられる現像ロールなどの導電性部材においては、使用時に、トナーなどが表面に付着することがある。表面の付着物は画質に影響を与えることがあるため、導電性部材のポリマー基材の表面には付着物に対する優れた離型性が求められることがある。また、他のポリマー製品においても、上記の例のように、ポリマー基材の表面に異物が付着することが好まれない場合がある。そのため、他のポリマー製品においても、ポリマー基材の表面には付着物に対する優れた離型性が求められることがある。
【0004】
用途に応じた機能は、ポリマー基材自体が予め有していることもあるが、ポリマー基材の表面に新たに付与することもある。後者の場合、ポリマー基材の表面に機能層を設ける方法や、ポリマー基材の表面を改質する方法が知られている。
【0005】
ポリマー基材の表面を改質する方法としては、特許文献1〜3に記載の方法が知られている。特許文献1には、イソシアネート基を含む化合物よりなる表面処理剤を用いて、ウレタンゴムやシリコーンゴムを主材料とする特定の種類のポリマー基材の表面を改質する方法が記載されている。特許文献2、3には、ハロゲン基を含む化合物よりなる表面処理剤を用いて、不飽和炭素−炭素二重結合を持つ特定の種類のポリマー基材の表面を改質する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3444391号公報
【特許文献2】特開2007−256709号公報
【特許文献3】特開昭60−108438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ポリマー基材の表面に機能層を設ける方法の場合、ポリマー基材の物性と機能層の物性との調整が難しいことがある。すなわち、これらの物性が大きく異なると、例えば硬度が高くなりすぎるなど、ポリマー基材の表面の物性を大きく変えるおそれがある。一方、これらの物性が近すぎると、ポリマー基材の表面に新たな機能が付与されにくい。また、機能層はポリマー基材の表面から剥がれるおそれもある。
【0008】
この方法に対し、ポリマー基材の表面を改質する方法の場合、ポリマー基材の本来の機能を維持しつつ、新たな機能を付与しやすい。しかしながら、特許文献1〜3に記載されるいずれの方法も、表面処理剤の性状から、ポリマー基材の表面に特定の機能を限定的に付与できるに留まり、複数の機能を付与するものではなかった。すなわち、ポリマー基材の表面に付着物に対する優れた離型性を新たに付与する必要がある場合には、ポリマー基材の表面にこれ以外の他の機能を併せ持つことが難しかった。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、ポリマー基材の表面に、付着物に対する優れた離型性とそれ以外の用途に応じた機能とを併せ持つことが可能な改質ポリマー基材およびその製造方法を提供することにある。また、このような改質ポリマー基材を製造できる表面処理剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明に係る改質ポリマー基材は、ポリマー基材の表面に、チオール基を2つ以上有する化合物を介して、前記ポリマー基材の表面に機能を付与するための官能基を有する有機基が結合されていることを要旨とするものである。
【0011】
上記改質ポリマー基材において、前記チオール基を2つ以上有する化合物は、トリチオシアヌル酸であることが好ましい。
【0012】
また、上記改質ポリマー基材において、前記チオール基を2つ以上有する化合物のチオール基は2級チオール基であることが好ましい。
【0013】
また、前記官能基は、シリコーン基、パーフルオロアルキル基、エステル基、アミド基、イミド基、エーテル基、アリール基、イソシアネート基、アゾ基、ジアゾ基、ニトロ基、エポキシ基、カルボニル基、ヘテロ環基、メソイオン基、ハロゲン基、アミノ基、イミノ基、アルキル基、スルホン酸基、ヒドロキシ基、アシル基、ホルミル基、カルボン酸基、ウレア基、シアノ基から選択されるいずれか1種または2種以上の官能基が好ましい。
【0014】
さらに、前記ポリマー基材のポリマーは、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンジエンゴム、ヒドリンゴム、クロロプレンゴム、エポキシ樹脂、ポリウレタン、およびポリアミドから選択されるいずれか1種または2種以上のポリマーが好ましい。
【0015】
そして、本発明に係る改質ポリマー基材の製造方法は、チオール基と反応する官能基を有する有機成分を含有するポリマー基材の表面に、下記の(a)成分および(b)成分を含有する表面処理剤を接触させる工程を有することを要旨とするものである。
(a)チオール基を2つ以上有する化合物
(b)チオール基と反応可能な官能基と、前記ポリマー基材の表面に機能を付与するための官能基とを有する化合物
【0016】
そして、本発明に係る表面処理剤は、チオール基と反応する官能基を有する有機成分を含有するポリマー基材の表面に接触させる表面処理剤であって、下記の(a)成分および(b)成分を含有することを要旨とするものである。
(a)チオール基を2つ以上有する化合物
(b)チオール基と反応可能な官能基と、前記ポリマー基材の表面に機能を付与するための官能基とを有する化合物
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る改質ポリマー基材によれば、ポリマー基材の表面に、チオール基を2つ以上有する化合物を介して、ポリマー基材の表面に機能を付与するための官能基を有する有機基が結合されているため、ポリマー基材の表面に、付着物に対する優れた離型性とそれ以外の用途に応じた機能とを併せ持つことができる。したがって、本発明に係る改質ポリマー基材は、ポリマー基材の表面に多くの機能が求められるポリマー製品に幅広く適用することができる。
【0018】
上記改質ポリマー基材において、チオール基を2つ以上有する化合物がトリチオシアヌル酸である場合には、これらの化合物の非共役電子の効果により改質ポリマー基材の比誘電率を高くできるため、ポリマー基材の帯電性や放電性を向上できる。
【0019】
また、上記改質ポリマー基材において、チオール基を2つ以上有する化合物のチオール基が2級チオール基である場合には、チオール基を2つ以上有する化合物の安定性に優れるため、確実に本発明に係る改質ポリマー基材を得ることができる。
【0020】
また、本発明に係る改質ポリマー基材は、上記する各種ポリマーに例示されるように、ポリマー基材のポリマーの適用範囲が広い。
【0021】
そして、本発明に係る改質ポリマー基材の製造方法によれば、上記する(a)成分および(b)成分を含有する特定の表面処理剤を用いて表面処理を行うことから、ポリマー基材の表面に、付着物に対する優れた離型性とそれ以外の用途に応じた機能とを併せて付与することができる。また、特定の表面処理剤はチオール基を2つ以上有する化合物を含有するため、幅広い種類のポリマー基材に対して、その表面に、上記する複数の機能を付与することができる。
【0022】
そして、本発明に係る表面処理剤によれば、特定の(a)成分および(b)成分を含有するため、ポリマー基材の表面に、付着物に対する優れた離型性とそれ以外の用途に応じた機能とを併せて付与することができる。また、チオール基を2つ以上有する化合物を含有するため、幅広い種類のポリマー基材に対して、その表面に、上記する複数の機能を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の改質ポリマー基材の一例として示す電子写真機器用導電性ロールの周方向断面図であり、図1(a)は単層構造のものであり、図1(b)は二層構造のものである。
【図2】本発明の改質ポリマー基材の一例として示す電子写真機器用導電性ベルトの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る改質ポリマー基材について詳細に説明する。
【0025】
本発明の改質ポリマー基材は、ポリマー基材の表面に、チオール基を2つ以上有する化合物を介して、特定の官能基を有する有機基が結合されている構造を有するものからなる。
【0026】
本発明の改質ポリマー基材は、ポリマー基材の表面に、チオール基を2つ以上有する化合物が1つ以上のチオール基により結合されており、チオール基を2つ以上有する化合物には、ポリマー基材の表面に結合されていない他のチオール基の1つ以上に、特定の官能基を有する有機基が結合されている。
【0027】
チオール基を2つ以上有する化合物は、少なくとも、ポリマー基材の表面に結合されているチオール基と、特定の官能基を有する有機基に結合されているチオール基とを有している。チオール基を2つ有する化合物は、これらのチオール基のみ有する。チオール基を3つ以上有する化合物は、これらのチオール基のみ有する場合もあり、これらのチオール基以外に、結合を形成していないチオール基(−SH基)を有する場合もある。
【0028】
ポリマー基材の表面に結合されているチオール基は、チオール基を2つ以上有する化合物に1つ以上含まれる。このチオール基が、チオール基を3つ以上有する化合物に2つ以上含まれる場合は、架橋点が増加することから、ポリマー基材の表面をより硬くして付着物に対する離型性をさらに向上できるため、より好ましい。
【0029】
特定の官能基を有する有機基に結合されているチオール基は、チオール基を2つ以上有する化合物に1つ以上含まれる。このチオール基が、チオール基を3つ以上有する化合物に2つ以上含まれる場合は、このチオール基に結合されている特定の官能基を有する有機基は、1種類であっても良いし、2種類以上であっても良い。2種類以上の場合には、ポリマー基材の表面に、より多くの機能を付与できる。
【0030】
特定の官能基を有する有機基は、特定の官能基を1つのみ有するものであっても良いし、2つ以上有するものであっても良い。特定の官能基を2つ以上有する場合には、特定の官能基は1種類のみであっても良いし、2種類以上であっても良い。2種類以上の場合には、ポリマー基材の表面に、より多くの機能を付与できる。
【0031】
ポリマー基材は、主にポリマー成分を含有する組成物が成形されたもので構成されている。ポリマー基材は、ポリマー成分とともに、必要に応じて各種の添加剤を含んでいても良い。添加剤は、ポリマー基材の用途に応じて適宜選択して用いることができる。このような添加剤としては、例えば、充填剤、酸化防止剤、難燃剤、可塑剤、導電剤、加工助剤、架橋剤、架橋助剤、発泡剤、紫外線吸収剤、滑剤などを挙げることができる。
【0032】
改質前のポリマー基材は、チオール基を2つ以上有する化合物のチオール基(−SH基)と反応する官能基を有する有機成分を含有するものである。この有機成分は、ポリマー基材のポリマー成分であっても良いし、ポリマー成分に混合される低分子量成分やオリゴマー成分などであっても良い。チオール基(−SH基)と反応する官能基としては、不飽和炭素−炭素二重結合、ハロゲン基、エポキシ基、水酸基、イソシアネート基、メチロール基、カルボキシル基、カルボニル基などを挙げることができる。
【0033】
ポリマー成分は、ゴム、樹脂、エラストマーのいずれであっても良い。不飽和炭素−炭素二重結合を持つポリマー成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンジエンゴム(EPDM)などを挙げることができる。
【0034】
また、ポリマー成分は、本来であれば不飽和炭素−炭素二重結合を持たないポリマー成分であっても、不飽和炭素−炭素二重結合を持つモノマー成分との共重合により不飽和炭素−炭素二重結合が導入されたポリマー成分であっても良い。このような、本来であれば不飽和炭素−炭素二重結合を持たないポリマー成分としては、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、シリコーンゴム(Q)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレン樹脂などを挙げることができる。不飽和炭素−炭素二重結合を持つモノマー成分としては、液状ゴム、ブタジエンジオール、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルなどを挙げることができる。
【0035】
ハロゲン基を持つポリマー成分としては、例えば、ヒドリンゴム(CO、ECO等)、クロロプレンゴム(CR)などを挙げることができる。これらの他に、チオール基(−SH基)と反応する官能基を持つポリマー成分としては、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリアミドなどを挙げることができる。ポリマー成分は、これらのうちの1種類のみであっても良いし、2種類以上の混合物であっても良い。このように、本発明に係る改質ポリマー基材は、ポリマー基材のポリマーの適用範囲が広い。
【0036】
チオール基と反応する官能基を有する低分子量成分や、チオール基と反応する官能基を有するオリゴマー成分を混合する際、ポリマー成分に混合されただけのこれらの成分がポリマー基材からブリードするのを防止するには、例えば、ポリマー成分とSP値(溶解度パラメータ)の近い材料を選択するか、あるいは、これらの成分の分子量を極力大きくする(例えば、分子量2000以上のものを用いるなど)ことが好ましい。
【0037】
チオール基を2つ以上有する化合物は、鎖状構造に結合するチオール基を2つ以上有する鎖状のチオール化合物であっても良いし、環状構造に結合するチオール基を2つ以上有する環状のチオール化合物であっても良い。
【0038】
鎖状のチオール化合物において、鎖状構造は、炭化水素鎖で構成されていても良いし、炭化水素鎖中にエステル結合やエーテル結合などを有するものであっても良い。鎖状のチオール化合物において、チオール基は、1級チオール基であっても良いし、2級チオール基であっても良い。より好ましくは、チオール基周りの立体障害を大きくすることでチオール基を2つ以上有する化合物の安定性に優れるなどの観点から、2級チオール基である。2級チオール基を2つ以上有する鎖状のチオール化合物としては、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)などを挙げることができる。鎖状のチオール化合物は、比較的分子量が大きいものが好ましい。より具体的には、分子量が200〜1000の範囲内であることが好ましい。
【0039】
環状のチオール化合物において、環状構造としては、トリアジン環、ベンゼン環、複素環、縮合環、スピロ環、炭素環などを挙げることができる。チオール基を2つ以上有する環状のチオール化合物としては、トリチオシアヌル酸、1,2−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,3,5−ベンゼントリチオール、1,5−ジメルカプトナフタレンなどを挙げることができる。環状のチオール化合物は、比較的分子量が大きいものが好ましい。より具体的には、分子量が200〜1000の範囲内であることが好ましい。
【0040】
チオール基を2つ以上有する化合物は、複数種類の鎖状のチオール化合物および複数種類の環状のチオール化合物のうちの1種類のみであっても良いし、2種類以上の混合物であっても良い。これらのうちでは、非共役電子の効果により改質ポリマー基材の比誘電率を高くでき、ポリマー基材の帯電性や放電性を向上できるなどの観点から、トリチオシアヌル酸を含むことが好ましい。
【0041】
特定の官能基とは、ポリマー基材の表面に特定の機能を付与するための官能基である。官能基としては、シリコーン基、パーフルオロアルキル基、エステル基、アミド基、イミド基、エーテル基、アリール基、イソシアネート基、アゾ基、ジアゾ基、ニトロ基、エポキシ基、カルボニル基、ヘテロ環基、メソイオン基、ハロゲン基、アミノ基、イミノ基、アルキル基、スルホン酸基、ヒドロキシ基、アシル基、ホルミル基、カルボン酸基、ウレア基、シアノ基などを挙げることができる。有機基中に、これらの官能基のうち1種類の官能基のみが含まれていても良いし、2種類以上の官能基が含まれていても良い。
【0042】
ヘテロ環基としては、ピリジル基、イミダゾール基、オキサゾール基などを挙げることができる。また、メソイオン基としては、シドノン基、ミュンヘノン基などを挙げることができる。
【0043】
特定の官能基が例えばシリコーン基である場合には、ポリマー基材の表面に、付着物に対する優れた離型性とともに、特定の機能として低摩擦性を併せ持つことができる。特定の官能基が例えばシリコーン基、パーフルオロアルキル基である場合には、ポリマー基材の表面に、特定の機能として耐汚性を併せ持つことができる。特定の官能基が例えばアミド基やエステル基である場合には、ポリマー基材の表面に、特定の機能として荷電性(帯電性)を併せ持つことができる。特定の官能基が例えばエーテル基である場合には、ポリマー基材の表面に、特定の機能として表面の電気抵抗を下げる帯電防止性を併せ持つことができる。特定の官能基がこれら以外の官能基の場合においても、ポリマー基材の表面に、付着物に対する優れた離型性とともに、それぞれの官能基に基づく特有の機能を併せ持つことができる。
【0044】
改質ポリマー基材のポリマー基材に結合されている部分(チオール基を2つ以上有する化合物および特定の官能基を有する有機基)の改質ポリマー基材全体に対する質量割合は、用途等に応じて適宜定めることができるが、好ましくは0.1〜10質量%の範囲内、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲内である。
【0045】
ここで、ポリマー基材の例としてブタジエンゴムを挙げ、チオール基を2つ以上有する化合物の例としてトリチオシアヌル酸を挙げて、本発明の改質ポリマー基材の表面の化学構造の一例を、以下の式(1)〜(3)に具体的に示す。
【化1】

【化2】

【化3】

【0046】
式(1)〜(3)に示す構造は、それぞれ、ブタジエンゴムのポリマー鎖の一部分を示したものである。式(1)に示す構造は、ブタジエンゴムのポリマー鎖に、トリチオシアヌル酸が2つのチオール基により結合されており、トリチオシアヌル酸には、ブタジエンゴムのポリマー鎖に結合されていない他の1つのチオール基に、特定の官能基Rを有する有機基が結合されているものである。
【0047】
式(2)に示す構造は、式(1)に示す構造の変形例である。式(2)に示す構造は、ブタジエンゴムのポリマー鎖に、トリチオシアヌル酸が1つのチオール基により結合されており、トリチオシアヌル酸には、ブタジエンゴムのポリマー鎖に結合されていない他の1つのチオール基に、特定の官能基Rを有する有機基が結合されており、これらのチオール基以外に、結合を形成していないチオール基(−SH基)を1つ有するものである。
【0048】
式(3)に示す構造は、式(1)に示す構造の変形例である。式(3)に示す構造は、ブタジエンゴムのポリマー鎖に、トリチオシアヌル酸が1つのチオール基により結合されており、トリチオシアヌル酸には、ブタジエンゴムのポリマー鎖に結合されていない他の2つのチオール基に、特定の官能基Rを有する有機基が結合されているものである。
【0049】
ただし、Rは、特定の官能基を有する置換基である。R、R、Rは、Rと同じ構造の置換基であっても良いし、Rとは異なる特定の官能基を有する置換基であっても良いし、アルキル基や水素基であっても良い。また、R、R、R、R同士が互いに異なる特定の官能基を有する置換基であっても良いし、R、R、R、Rのうちの一部が同じ置換基であっても良い。より好ましくは、安定性などの観点から、R、R、Rは水素基が良い。
【0050】
また、ポリマー基材の例としてヒドリンゴムを挙げ、チオール基を2つ以上有する化合物の例としてトリチオシアヌル酸を挙げて、本発明の改質ポリマー基材の表面の化学構造の一例を、以下の式(4)〜(5)に具体的に示す。
【化4】

【化5】

【0051】
式(4)〜(5)に示す構造は、それぞれ、ヒドリンゴムのポリマー鎖の一部分を示したものである。式(4)に示す構造は、ヒドリンゴムのポリマー鎖に、トリチオシアヌル酸が1つのチオール基により結合されており、トリチオシアヌル酸には、ヒドリンゴムのポリマー鎖に結合されていない他の1つのチオール基に、特定の官能基Rを有する有機基が結合されており、これらのチオール基以外に、結合を形成していないチオール基(−SH基)を1つ有するものである。
【0052】
式(5)に示す構造は、式(4)に示す構造の変形例である。式(5)に示す構造は、ヒドリンゴムのポリマー鎖に、トリチオシアヌル酸が1つのチオール基により結合されており、トリチオシアヌル酸には、ヒドリンゴムのポリマー鎖に結合されていない他の2つのチオール基に、特定の官能基Rを有する有機基が結合されているものである。
【0053】
ただし、Rは、特定の官能基を有する置換基である。R、R、Rは、Rと同じ置換基であっても良いし、Rとは異なる特定の官能基を有する置換基であっても良いし、水素基であっても良い。また、R、R、R、R同士が互いに異なる特定の官能基を有する置換基であっても良いし、R、R、R、Rのうちの一部が同じ置換基であっても良い。より好ましくは、安定性などの観点から、R、R、Rは水素基が良い。
【0054】
また、特定の官能基Rを有する有機基の化学構造の一例を、以下の式(6)〜(9)に具体的に示す。式(6)、(7)は、有機基がシリコーン基とエステル基とを有する例である。式(8)は、有機基がアルキル基とエステル基とを有する例である。式(9)は、有機基がアルキル基を有する例である。
【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【0055】
本発明の改質ポリマー基材において、ポリマー基材の表面にチオール基を2つ以上有する化合物が結合されている点、チオール基を2つ以上有する化合物に特定の官能基を有する有機基が結合されている点などについては、後述する改質ポリマー基材の製造方法において表面処理剤により表面処理することから十分に推測可能であるが、例えばXPSやNMRなどにより検出することができる。
【0056】
次に、本発明に係る改質ポリマー基材を製造するのに好適な、本発明に係る表面処理剤について説明する。
【0057】
本発明に係る表面処理剤は、(a)チオール基を2つ以上有する化合物、および、(b)チオール基と反応可能な官能基と特定の官能基とを有する化合物、を含有するものからなる。本発明に係る表面処理剤は、(a)成分および(b)成分が予め混合されている一液型のものであっても良いし、(a)成分および(b)成分が分離されている二液型のものであっても良い。
【0058】
(a)チオール基を2つ以上有する化合物としては、上述するものを挙げることができる。この際、鎖状のチオール化合物においては、チオール基が2級チオール基であることが好ましい。チオール基周りの立体障害を大きくすることでチオール基を2つ以上有する化合物の安定性に優れ、表面処理剤全体の保存安定性に優れる。(a)成分は、チオール基を2つ以上有する化合物が1種類のみからなるものであっても良いし、2種類以上からなるものであっても良い。
【0059】
(b)成分において、チオール基と反応可能な官能基は、上述するように、不飽和炭素−炭素二重結合、ハロゲン基、エポキシ基、水酸基、イソシアネート基、メチロール基、カルボキシル基、カルボニル基などを挙げることができる。特定の官能基は、上述するように、ポリマー基材の表面に特定の機能を付与するための官能基である。(b)成分は、チオール基と反応可能な官能基および特定の官能基を有する化合物が1種類のみからなるものであっても良いし、2種類以上からなるものであっても良い。
【0060】
(b)成分の分子量としては、50〜10000の範囲内であることが好ましい。より好ましくは70〜5000の範囲内である。分子量が50より小さいと(b)成分の揮発性が大きくなりやすいため、取り扱い難くなりやすい。一方、分子量が10000より大きいと、(a)成分との反応性が低下しやすいため、ポリマー基材に所望の機能を付与し難い。
【0061】
(a)成分の配合量をa、(b)成分の配合量をbとしたときに、(a)成分と(b)成分の配合比は、mol比で、a/b=1/2〜1/0.01の範囲内であることが好ましい。(b)成分の配合量が少なすぎて上記範囲外となる場合には、(b)成分の特定の官能基に基づく特有の機能をポリマー基材に付与する効果が低下しやすい。一方、(a)成分の配合量が少なすぎて上記範囲外となる場合には、ポリマー基材に対する反応性が低下しやすいため、ポリマー基材に所望の機能を十分には付与でき難い。また、(b)成分がブリードするおそれがある。
【0062】
(a)成分および(b)成分が混合されると、室温で、あるいは、加熱条件下で、(a)成分と(b)成分とが反応して付加生成物が得られる。(a)成分の例としてトリチオシアヌル酸を挙げ、(b)成分の例として不飽和炭素−炭素二重結合と特定の官能基とを有する化合物を挙げて、下記の反応式1に示す。下記の反応式1に示すように、式(10)に示される新たな化合物が反応生成物の1つとして得られる。この際、(a)成分および(b)成分の混合比率などにより、式(10)に示される化合物以外にも、下記の式(11)に示される化合物が反応生成物の1つとして得られる。
【化10】

【化11】

【0063】
本発明に係る表面処理剤は、(a)成分および(b)成分を溶解あるいは分散させる溶剤を含有することができる。溶剤としては、特に限定されるものではないが、エーテル系溶剤(THF、ジエチルエーテル、ジオキサンなど)、エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、ケトン系溶剤(アセトン、MEKなど)、アミド系溶剤(DMF、DMAC、NMPなど)、第3級アルコール(tert−ブチルアルコールなど)、水などを挙げることができる。これらは、単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。溶剤としては、例えば、(a)成分を溶解あるいは分散させる溶剤と、(b)成分を溶解あるいは分散させる溶剤の2種類の溶剤を用いても良い。
【0064】
溶剤に対する(a)成分の濃度としては、溶剤100質量部に対して、1〜10質量部の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、2〜5質量部の範囲内である。(a)成分の濃度が低すぎて上記範囲外となる場合には、ポリマー基材に対する反応性が低下しやすいため、ポリマー基材に所望の機能を十分には付与でき難い。一方、(a)成分の濃度が高すぎて上記範囲外となる場合には、ポリマー基材に対する処理ムラが大きくなりやすい。
【0065】
本発明に係る表面処理剤は、(a)成分および(b)成分以外に、他の成分を含有していても良い。他の成分としては、酸や塩基、金属塩などの触媒、界面活性剤などを挙げることができる。
【0066】
本発明に係る表面処理剤は、チオール基と反応する官能基を有する有機成分を含有するポリマー基材の表面に接触させるものである。
【0067】
次に、本発明に係る改質ポリマー基材の製造方法(以下、本製造方法ということがある。)について説明する。
【0068】
本製造方法は、チオール基と反応する官能基を有する有機成分を含有するポリマー基材の表面に、特定の表面処理剤を接触させる工程を有する。特定の表面処理剤には、本発明に係る表面処理剤を用いることができる。
【0069】
特定の表面処理剤を接触させる工程では、1)特定の表面処理剤の(a)成分をポリマー基材の表面に接触させて、ポリマー基材の表面に(a)成分を結合させた後、(a)成分が結合されたポリマー基材の表面に(b)成分を接触させて、ポリマー基材の表面に結合された(a)成分に(b)成分を結合させても良いし、2)特定の表面処理剤において、予め(a)成分に(b)成分を結合させ、この表面処理剤をポリマー基材の表面に接触させて、(b)成分が結合された(a)成分をポリマー基材の表面に結合させても良い。
【0070】
ポリマー基材の例としてブタジエンゴムを挙げ、チオール基を2つ以上有する化合物の例としてトリチオシアヌル酸を挙げて、上記1)の方法による反応式を下記の反応式2〜3に示す。また、上記2)の方法による反応式を下記の反応式4〜5に示す。
【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【0071】
また、ポリマー基材の例としてヒドリンゴムを挙げ、チオール基を2つ以上有する化合物の例としてトリチオシアヌル酸を挙げて、上記1)の方法による反応式を下記の反応式6〜7に示す。また、上記2)の方法による反応式を下記の反応式8〜9に示す。
【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【0072】
ポリマー基材の表面に表面処理剤を接触させる方法としては、表面処理剤を含む液中にポリマー基材を直接浸漬する方法や、ポリマー基材の表面に表面処理剤を含む液を塗工する方法などを挙げることができる。
【0073】
ポリマー基材を浸漬する際、あるいは、ポリマー基材の表面に塗工する際の、表面処理剤を含む液の温度としては、−20〜60℃の範囲内が好ましい。より好ましくは0〜40℃の範囲内である。低温ではポリマー基材に表面処理剤が含浸されにくい。高温では処理ムラが発生しやすい。
【0074】
浸漬時間としては、長時間を要しない。例えば5秒〜1時間程度であれば十分である。より好ましくは10秒〜5分の範囲内である。浸漬時間が5秒未満では、接触時間が短すぎて、十分な表面処理効果が得られ難い。一方、浸漬時間が1時間を超えても、表面処理効果の向上は期待できなく、生産性が低下する。
【0075】
ポリマー基材の表面に表面処理剤を接触させた後は、表面処理剤のチオール基とポリマー基材の表面との反応性を高めて反応を完結しやすくするため、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理の温度としては、70〜250℃の範囲内が好ましい。より好ましくは100〜180℃の範囲内である。低温では反応に長時間を要する。高温ではポリマー基材の劣化が生じやすい。また、消費エネルギーが大きくなりすぎる。
【0076】
ポリマー基材は、チオール基と反応する官能基を有する有機成分を含む組成物を所定の形状に成形することにより製造できる。この組成物は、チオール基と反応する官能基を有する有機成分以外に、必要に応じて、各種添加剤を含有していても良い。
【0077】
以上の構成の本発明に係る改質ポリマー基材によれば、ポリマー基材の表面に、チオール基を2つ以上有する化合物を介して、ポリマー基材の表面に機能を付与するための官能基を有する有機基が結合されているため、ポリマー基材の表面に、付着物に対する優れた離型性とそれ以外の用途に応じた機能とを併せ持つことができる。したがって、本発明に係る改質ポリマー基材は、ポリマー基材の表面に多くの機能が求められるポリマー製品に幅広く適用することができる。
【0078】
また、チオール基を2つ以上有する化合物および特定の官能基を有する有機基は、ポリマー基材の表面に共有結合しているため、これらはポリマー基材の表面から容易に外れるものではない。したがって、これらの機能の耐久性に優れる。また、チオール基を2つ以上有する化合物によりポリマー基材の表面のポリマー成分は架橋されているため、ポリマー基材の成分がポリマー基材の表面からブリードするおそれを低下できる。
【0079】
また、機能層などのように新たに層を積層させる構成ではないため、例えば、帯電性などの電気特性や、ゴム弾性などの機械特性といったポリマー基材自体がもともと有する特性を損なうおそれを低下できる。また、外観上の変化が小さく、外観不良になるおそれも低下できる。
【0080】
そして、本発明に係る改質ポリマー基材の製造方法によれば、上記する(a)成分および(b)成分を含有する特定の表面処理剤を用いて表面処理を行うことから、ポリマー基材の表面に、付着物に対する優れた離型性とそれ以外の用途に応じた機能とを併せて付与することができる。また、特定の表面処理剤はチオール基を2つ以上有する化合物を含有するため、幅広い種類のポリマー基材に対して、その表面に、上記する複数の機能を付与することができる。
【0081】
そして、本発明に係る表面処理剤によれば、特定の(a)成分および(b)成分を含有するため、ポリマー基材の表面に、付着物に対する優れた離型性とそれ以外の用途に応じた機能とを併せて付与することができる。また、チオール基を2つ以上有する化合物を含有するため、幅広い種類のポリマー基材に対して、その表面に、上記する複数の機能を付与することができる。
【0082】
本発明の改質ポリマー基材は、種々のポリマー製品のポリマー基材として用いることができる。特に、ポリマー基材の表面に、単独の機能ではなく、複数の機能が求められるポリマー製品のポリマー基材として好適であり、その用途としては、例えば、電子写真機器の導電性ロール(現像ロール、帯電ロール、転写ロール、トナー供給ロールなど)や導電性ベルト(転写ベルトなど)、導電性ブレード(クリーニングブレード)などの電子写真機器用導電性部材や、自動車のワイパーなどを挙げることができる。
【0083】
例えば電子写真機器用導電性ロールの場合には、本発明の改質ポリマー基材は、その最表層として好適である。電子写真機器用導電性ロールの構成としては、図1(a)に示すように、軸体12の外周に弾性層14を1層形成した構成の導電性ロール10や、図1(b)に示すように、軸体22の外周に弾性層24、26を2層形成した導電性ロール20などを挙げることができる。また、軸体の外周に弾性層を3層以上形成したものであっても良い。図1(b)に示す構成においては、内側の弾性層24は基層であり、外側の弾性層26は、抵抗調整層などである。図1(a)に示す構成の場合、弾性層14がロールの最表層となるので、弾性層14に本発明の改質ポリマー基材を適用すると良い。一方、図1(b)に示す構成の場合、外側の弾性層26がロールの最表層となるので、外側の弾性層26に本発明の改質ポリマー基材を適用すると良い。
【0084】
また例えば電子写真機器用導電性ベルトの場合には、図2に示すように、基層となる内側の弾性層32の外周に、表層となる外側の弾性層34が形成された構成の導電性ベルト30が挙げられ、この外側の弾性層34に本発明の改質ポリマー基材を適用すると良い。
【0085】
導電性ロールは、例えば次のようにして製造できる。まず、軸体をロール成形金型の中空部に同軸的に設置する。次いで、金型内に導電性組成物を注入する。次いで、導電性組成物を加熱・硬化させた後、脱型する。これにより、軸体の外周に弾性層(基層)を1層形成した構成の単層の導電性ロールが製造できる。
【0086】
また、軸体の外周に弾性層(基層)を1層形成した状態で、ロール成形金型の中空部に同軸的に設置し、金型内に導電性組成物を注入する。次いで、導電性組成物を加熱・硬化させた後、脱型することにより、軸体の外周に弾性層を2層形成した構成の2層導電性ロールが製造できる。
【0087】
また、導電性ベルトは、例えば次のようにして製造できる。まず、円筒状金型の表面に導電性組成物をコーティングする。次いで、導電性組成物を加熱・硬化させる。これにより、導電性ベルトの基層を形成する。次いで、基層の表面に導電性組成物をコーティングする。次いで、導電性組成物を加熱・硬化させる。これにより、導電性ベルトの基層の表面に弾性層を形成する。次いで、基層と円筒状金型との間にエアーを吹き付けて円筒状金型を抜き取ることにより、導電性ベルトが製造できる。
【0088】
単層導電性ロールの弾性層、2層導電性ロールの外側の弾性層、導電性ベルトの外側の弾性層は、導電性ロールあるいは導電性ベルトの表面に位置する層である。各部材の表面に位置する層の導電性組成物には、チオール基と反応する官能基を有する有機成分を含む組成物を用いる。
【0089】
この組成物は、必要に応じて、導電剤(カーボンブラックなどの電子導電剤や、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、ホウ酸塩、界面活性剤などのイオン導電剤)、他のポリマー成分、各種添加剤などが含まれていても良い。添加剤としては、増量剤、補強剤、加工助剤、硬化剤、架橋剤、架橋促進剤、発泡剤、酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、シリコーンオイル、滑剤、助剤、界面活性剤などを挙げることができる。
【0090】
2層導電性ロールの基層、導電性ベルトの基層の導電性組成物には、チオール基と反応する官能基を有する有機成分を含む組成物を用いても良いし、チオール基と反応する官能基を有する有機成分を含まない他の導電性組成物を用いても良い。他の導電性組成物に含まれるポリマー成分としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、ヒドリンゴム(CO、ECO等)、シリコーン(Q)、ウレタン(U)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミドなどを挙げることができる。他の導電性組成物には、必要に応じて、導電剤、各種添加剤などが含まれていても良い。
【0091】
軸体は、導電性を有するものであれば特に限定されない。具体的には、鉄、ステンレス、アルミニウムなどの金属製の中実体、中空体からなる芯金などを例示することができる。軸体の表面には、必要に応じて、接着剤、プライマーなどを塗布しても良い。接着剤、プライマーなどには、必要に応じて導電化を行なっても良い。
【0092】
以上の構成の本発明に係る導電性部材によれば、導電性部材の表面に位置する層に本発明の改質ポリマー基材が適用されることから、トナーやトナー外添剤などの付着物に対する離型性に優れる。また、導電性部材の表面に位置する層の表面に、チオール基を2つ以上有する化合物を介して特定の官能基を有する有機基が結合されているため、導電性部材の表面に位置する層の表面に、付着物に対する優れた離型性とそれ以外の用途に応じた機能とを併せ持つことができる。
【0093】
このような機能としては、耐汚れ性、電気応答性(電荷減衰性)、帯電性(電荷付与性)などを挙げることができる。耐汚れ性を向上させる官能基としては、シリコーン基、パーフルオロアルキル基などを挙げることができる。電気応答性を向上させる官能基としては、イソシアネート基、ジアゾ基、スルホン酸基などを挙げることができる。帯電性を向上させる官能基としては、エーテル基、エポキシ基、シアノ基などを挙げることができる。
【0094】
また、チオール基を2つ以上有する化合物により、導電性部材の表面に位置する層のポリマー成分が架橋されているため、導電性部材の弾性層などの内側の層の成分が導電性部材の表面からブリードするおそれを低下できる。
【実施例】
【0095】
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。なお、実施例は、帯電ロール、現像ロール、導電性ベルトを例に挙げるものであるが、本発明はこの構成に限定されるものではない。
【0096】
(帯電ロール1の作製)
金型に芯金(直径6mm)よりなる軸体をセットし、弾性層の形成用材料として、ヒドリンゴム(Gechron 3100、日本ゼオン社製)100質量部、滑剤(ステアリン酸)1質量部、加硫剤(硫黄)1質量部、加硫促進剤(亜鉛華)5質量部、老化防止剤(ノクラックNS−6、大内新興化学社製)0.3質量部を混練したものを注入し、170℃で30分加熱した後、冷却、脱型することにより、軸体の外周面に沿って弾性層(厚み2mm)が一体的に形成されたベースロール(帯電ロール1)を得た。この帯電ロール1の弾性層を被処理材Aとした。
【0097】
(帯電ロール2の作製)
N−メトキシメチル化ナイロン100質量部と、c−SnO60質量部と、クエン酸1質量部と、メタノール300質量部とを混合して、表層形成用組成物を調製した。次いで、上記構成の帯電ロール1の弾性層の外周面にこの表層形成用組成物をロールコートし、120℃で50分加熱して、弾性層の外周面に厚み10μmの表層を形成した。これにより、帯電ロール2を作製した。この帯電ロール2の表層を被処理材Bとした。
【0098】
(現像ロール1の作製)
芯金となる軸体として、直径12mmの中実円柱状鉄棒を準備し、この芯金の外周面に接着剤を塗布した。そして、弾性層の形成用材料として、導電剤が配合された液状シリコーンゴム(信越化学工業社製、X−34−264A/B、混合質量比30/70)を金型内に射出し、190℃ で30分加熱し硬化させた後、脱型した。これにより、C=C結合を表面に残したシリコーンゴムを含む弾性層(厚み2mm)が、軸体の外周面に沿って一体的に形成されたベースロール(現像ロール1)を得た。この現像ロール1の弾性層を被処理材Cとした。
【0099】
(現像ロール2の作製)
弾性層の形成用材料として、導電剤が配合された液状シリコーンゴムに代えて、下記の原料コンパウンドを用いた以外は現像ロール1と同様にして、軸体の外周面に沿って一体的に形成されたベースロール(現像ロール2)を得た。この現像ロール2の弾性層を被処理材Dとした。
【0100】
<現像ロール2の原料コンパウンド>
NBR(JSR社製、N222L)100質量部と、酸化亜鉛5質量部と、ステアリン酸2質量部と、テトラブチルアンモニウムパークロレート(試薬)1質量部と、粉末硫黄0.8質量部と、ポリエステル可塑剤(DIC社製、ポリサイザーW−4000)20質量部と、を50℃に温度調節した密閉型ミキサーにて10分間混練して、現像ロール2の原料コンパウンドを調製した。
【0101】
(現像ロール3の作製)
導電剤が配合された液状シリコーンゴムの混合質量比を50/50に変更した以外は現像ロール1と同様にして、現像ロール3のベースロールを得た。次いで、下記の表層形成用材料をベースロールの弾性層の外周面にロールコート法により塗工し、乾燥処理(180℃×60分)を行うことにより、表層層(厚み10μm)を形成した。これにより、現像ロール3を作製した。この現像ロール3の表層を被処理材Eとした。
【0102】
<現像ロール3の表層形成用材料>
バインダー樹脂:ウレタン樹脂(ニッポラン5199、日本ポリウレタン工業社製) 100質量部
架橋剤:MDI(コロネートL、日本ポリウレタン工業社製) 40質量部
導電剤:カーボンブラック(ダイアブラック♯3030、三菱化学社製) 30質量部
有機溶剤:メチルエチルケトン(溶質濃度20質量%)
【0103】
(導電性ベルトの作製)
ポリアミドイミド樹脂(東洋紡績社製、「バイロマックスHR−16NN」)100質量部と、カーボンブラック(電気化学工業社製、「デンカブラックHS−100」)10質量部と、NMP(溶剤)800質量部とを混合することにより、液状の基層用材料を調製した。また、NH変性液状NBR(エメラルド・パフォーマンス・マテリアルズ社製、「ATBN1300x45」)と、架橋剤としてのブロックイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製「コロネート2507」)35質量部と、溶剤としてのシクロヘキサノン(溶剤比率30質量%)とを混合することにより、液状の弾性層用材料を調製した。
【0104】
次いで、ノズルコート法で円筒状金型の外周面に基層用材料をコーティングすることにより、基層用材料の塗膜(厚み80μm)を形成した。次いで、この塗膜を加熱処理することにより、導電性ベルトの基層を形成した。次いで、ノズルコート法で基層の外周面に弾性層用材料をコーティングすることにより、弾性層用材料の塗膜(厚み170μm)を形成した。次いで、この塗膜を加熱処理することにより、基層の外周面に弾性層を形成した。次いで、基層と円筒状金型との間にエアーを吹き付けて円筒状金型を抜き取ることにより導電性ベルトを作製した。この導電性ベルトの弾性層を被処理材Fとした。
【0105】
なお、円筒状金型には、軸中心に回転可能なアルミニウム製の円筒状金型を用い、円筒状金型を回転させながら材料のコーティングを行った。基層用材料および弾性層用材料は、別々のエアー加圧タンクに収容し、2つのノズルを有するディスペンサ(液体定量吐出装置)を用いて、ノズルの先端から円筒状金型の外周面にこれらの材料を吐出させた。基層用材料の塗膜に対しては、常温〜250℃まで2時間かけて昇温させた後、250℃で1時間保持することにより加熱処理を行った。弾性層用材料の塗膜に対しては、常温〜170℃まで5分かけて昇温させた後、170℃で30分間保持することにより加熱処理を行った。
【0106】
<表面処理剤A1の調製>
トリチオシアヌル酸5質量部と、C=C結合含有シリコーンオイル(信越シリコーン社製、X−22−174DX)1質量部と、テトラヒドロフラン(THF)100質量部とを混合することにより、表面処理剤A1を調製した。
【0107】
<表面処理剤A2の調製>
2官能チオール化合物(昭和電工社製、KarenzMT BD1、2級チオール基含有)5質量部と、C=C結合含有シリコーンオイル(信越シリコーン社製、X−22−174DX)1質量部と、テトラヒドロフラン(THF)100質量部とを混合することにより、表面処理剤A2を調製した。
【0108】
<表面処理剤A3の調製>
3官能チオール化合物(昭和電工社製、KarenzMT NR1、2級チオール基含有)5質量部と、C=C結合含有シリコーンオイル(信越シリコーン社製、X−22−174DX)1質量部と、テトラヒドロフラン(THF)100質量部とを混合することにより、表面処理剤A3を調製した。
【0109】
<表面処理剤A4の調製>
4官能チオール化合物(昭和電工社製、KarenzMT PE1、2級チオール基含有)5質量部と、C=C結合含有シリコーンオイル(信越シリコーン社製、X−22−174DX)1質量部と、テトラヒドロフラン(THF)100質量部とを混合することにより、表面処理剤A4を調製した。
【0110】
<表面処理剤B1の調製>
トリチオシアヌル酸5質量部と、テトラヒドロフラン(THF)100質量部とを混合することにより、表面処理剤B1を調製した。
【0111】
<表面処理剤B2の調製>
ジフェニルメタンジイソシアネート5質量部と、OH基含有アクリルシリコーン樹脂(日油社製、「モディパーFS700」)2質量部と、酢酸エチル100質量部とを混合することにより、表面処理剤B2を調製した。
【0112】
<表面処理剤B3の調製>
トリクロロイソシアヌル酸2質量部と、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体(関東化学社製、BFを48質量%含有)2質量部と、tert−ブチルアルコール80質量部と、酢酸エチル20質量部とを混合することにより、表面処理剤B3を調製した。
【0113】
<表面処理剤B4の調製>
トリクロロイソシアヌル酸5質量部と、tert−ブチルアルコール80質量部と、酢酸エチル20質量部とを混合することにより、表面処理剤B4を調製した。
【0114】
得られた各被処理材の構成を表1に示した。また、調製した各表面処理剤の主な組成を表2に示した。表3〜7に示す条件で、表面処理剤中に被処理材を浸漬処理した後、必要に応じて、酢酸エチルでの洗浄、熱処理を行った。これにより、実施例、比較例の帯電ロール、現像ロール、導電性ベルト(以下、部材ということがある)を作製した。
【0115】
作製した各部材を用いて特性評価を行った。測定方法および評価方法を以下に示す。
【0116】
(初期摩擦係数)
静動摩擦係数計(協和界面科学社製)を用い、鋼球(直径3mm)圧子、移動速度1cm/秒、荷重100gの条件下で、部材表面の初期摩擦係数を測定した。
【0117】
(トナー固着)
キヤノンLBP5050のイエロートナーを部材表面に均一にまぶした状態で、部材を50℃、95%湿度の条件下で湿熱槽に1週間投入した。その後、部材を取り出し、室温まで冷却した後、部材表面をエアブローした。表面にまぶしたトナーがほぼ全量取り除かれた場合を「○」とし、表面にまぶしたトナーが取り除かれなかった場合を「×」とした。
【0118】
(固着試験後の摩擦係数)
トナー固着試験を行った導電性ロールまたは導電性ベルトの表面を不織布で丁寧に拭き取った後、初期摩擦係数の測定条件と同条件で、部材表面の摩擦係数を測定した。
【0119】
(帯電ロール表面の汚れムラ)
帯電ロールを市販のカラープリンタ(リコー社製、CX3000)に組み込み、1万枚印字後のロール表面を目視で観察し、ロール表面に汚れムラがないものを「○」、汚れムラがあるものを「×」とした。
【0120】
(トナーフィルミング)
現像ロールを市販のカラープリンター(日本HP社製、Color Laser Jet4700dn)に組み込み、2万枚印字後のロール表面へのトナーの付着状態を目視評価した。ロール表面へのトナーの付着がないものを「○」とし、トナーの付着があるものを「×」とした。
【0121】
(ベルトのクラック)
導電性ベルトを中間転写ベルトとして市販のフルカラーデジタル複合機(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製、bizhab C550)に組み込み、23.5℃×53%RHの環境下で10万枚の画像出力(テストパターン印刷)を行った。その後、ベルト表面(弾性層表面)を目視で観察し、クラックが全く認められないものを「○」とし、クラックは認められるものの非常に微細であって画質に悪影響を与えるほどのものではないものを「△」とし、画質に悪影響を与えるほどのクラックが認められるものを「×」とした。
【0122】
【表1】

【0123】
【表2】

【0124】
【表3】

【0125】
【表4】

【0126】
【表5】

【0127】
【表6】

【0128】
【表7】

【0129】
比較例1の帯電ロールと比較して、実施例1〜3の帯電ロールは、トナーに対する優れた離型性と、耐汚性とを併せ持つことがわかる。すなわち、実施例1〜3の帯電ロールは、初期および固着試験後の摩擦係数が低く抑えられており、トナーの固着が抑えられている。これより、トナーに対する離型性に優れることがわかる。また、汚れムラもないため、耐汚性にも優れることがわかる。比較例2の帯電ロールは、表面処理を行っていないため、トナーに対する離型性および耐汚性に劣る。比較例3〜5の帯電ロールは、本発明とは異なる表面処理方法により表面処理されたものであり、少なくとも耐汚性に劣る。
【0130】
同様に、比較例6の帯電ロールと比較して、実施例4〜6の帯電ロールは、トナーに対する優れた離型性と、耐汚性とを併せ持つことがわかる。比較例7の帯電ロールは、表面処理を行っていないため、トナーに対する離型性および耐汚性に劣る。比較例8〜10の帯電ロールは、本発明とは異なる表面処理方法により表面処理されたものであり、少なくとも耐汚性に劣る。
【0131】
また、比較例11の現像ロールと比較して、実施例7〜8の現像ロールは、トナーに対する優れた離型性と、耐トナーフィルミング性とを併せ持つことがわかる。比較例12の現像ロールは、表面処理を行っていないため、トナーに対する離型性および耐トナーフィルミング性に劣る。比較例13〜14の帯電ロールは、本発明とは異なる表面処理方法により表面処理されたものであり、少なくとも耐トナーフィルミング性に劣る。
【0132】
また、比較例15の現像ロールと比較して、実施例9〜10の現像ロールは、トナーに対する優れた離型性と、耐トナーフィルミング性とを併せ持つことがわかる。比較例16の現像ロールは、表面処理を行っていないため、トナーに対する離型性および耐トナーフィルミング性に劣る。
【0133】
同様に、比較例17の現像ロールと比較して、実施例11〜12の現像ロールは、トナーに対する優れた離型性と、耐トナーフィルミング性とを併せ持つことがわかる。比較例18の現像ロールは、表面処理を行っていないため、トナーに対する離型性および耐トナーフィルミング性に劣る。比較例19〜20の帯電ロールは、本発明とは異なる表面処理方法により表面処理されたものであり、少なくとも耐トナーフィルミング性に劣る。
【0134】
また、比較例21の中間転写ベルトと比較して、実施例13〜15の中間転写ベルトは、トナーに対する優れた離型性と、耐クラック性とを併せ持つことがわかる。比較例22の中間転写ベルトは、表面処理を行っていないため、トナーに対する離型性および耐クラック性に劣る。比較例23〜25の中間転写ベルトは、本発明とは異なる表面処理方法により表面処理されたものであり、少なくとも耐クラック性に劣る。
【0135】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0136】
例えば、上記実施例では、特定の官能基としてシリコーン基を導入する例を示しているが、これ以外の官能基であっても、その官能基に基づく特有の機能を付与できることは勿論である。
【符号の説明】
【0137】
10、20 導電性ロール
12、22 軸体
14、24、26 弾性層
30 導電性ベルト
32、34 弾性層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー基材の表面に、チオール基を2つ以上有する化合物を介して、前記ポリマー基材の表面に機能を付与するための官能基を有する有機基が結合されていることを特徴とする改質ポリマー基材。
【請求項2】
前記チオール基を2つ以上有する化合物はトリチオシアヌル酸であることを特徴とする請求項1に記載の改質ポリマー基材。
【請求項3】
前記チオール基を2つ以上有する化合物のチオール基は2級チオール基であることを特徴とする請求項1に記載の改質ポリマー基材。
【請求項4】
前記官能基は、シリコーン基、パーフルオロアルキル基、エステル基、アミド基、イミド基、エーテル基、アリール基、イソシアネート基、アゾ基、ジアゾ基、ニトロ基、エポキシ基、カルボニル基、ヘテロ環基、メソイオン基、ハロゲン基、アミノ基、イミノ基、アルキル基、スルホン酸基、ヒドロキシ基、アシル基、ホルミル基、カルボン酸基、ウレア基、およびシアノ基から選択されるいずれか1種または2種以上の官能基であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の改質ポリマー基材。
【請求項5】
前記ポリマー基材のポリマーは、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンジエンゴム、ヒドリンゴム、クロロプレンゴム、エポキシ樹脂、ポリウレタン、およびポリアミドから選択されるいずれか1種または2種以上のポリマーであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の改質ポリマー基材。
【請求項6】
チオール基と反応する官能基を有する有機成分を含有するポリマー基材の表面に、下記の(a)成分および(b)成分を含有する表面処理剤を接触させる工程を有することを特徴とする改質ポリマー基材の製造方法。
(a)チオール基を2つ以上有する化合物
(b)チオール基と反応可能な官能基と、前記ポリマー基材の表面に機能を付与するための官能基とを有する化合物
【請求項7】
チオール基と反応する官能基を有する有機成分を含有するポリマー基材の表面に接触させる表面処理剤であって、
下記の(a)成分および(b)成分を含有することを特徴とする表面処理剤。
(a)チオール基を2つ以上有する化合物
(b)チオール基と反応可能な官能基と、前記ポリマー基材の表面に機能を付与するための官能基とを有する化合物

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−126831(P2012−126831A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279990(P2010−279990)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】