説明

改質方法および改質装置

【課題】処理効率が高く、簡単且つ低コストな改質方法および改質装置を提供する。
【解決手段】改質装置は、冷電子放出素子からなる面放射型電子源1を備え、この面放射型電子源1から放射される電子線を物体に照射することにより、その物体の特性や表面の改質を行う。冷電子放出素子からなる面放射型電子源1を用いているため、熱電子放出素子に比べて消費電力の低減、並びに電子放出までの立ち上がり時間が短縮でき、点又は線状の熱電子放出素子からなる電子源を用いる従来方法および従来装置に比較して、処理効率が高く、簡単且つ低コストな改質方法および改質装置が実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の特性若しくは表面を改質する改質方法および改質装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子線を物体に照射することで物体の特性若しくは表面の改質(例えば、滅菌、殺菌、除菌やイオン化など)を行うことが普及しつつある(例えば、特許文献1並びに特許文献2参照)。
【0003】
電子線を利用する改質装置の一例を図5に示す。この従来装置は、熱電子放出素子(例えば、熱電子放射物質が塗布されたフィラメント)を有し高真空領域32に熱電子を放出する電子源30と、電子源30から放出された電子を加速する加速器31と、電子が加速される高真空領域32と照射対象の物体が置かれる照射空間領域との間を仕切り、高真空領域32を高真空に維持するとともに電子源30から放出されて加速器31で加速された高エネルギの電子を大気圧程度に維持された照射空間領域へ通過させる窓部33と、高真空領域32に設けられて電子線をスキャンするスキャナ34とを備えている。電子源30は、熱電子放出素子たるフィラメントに電流を流して熱電子放射物質を熱することによって熱電子を放出させている。そして、加速器31は内部に電圧を印加して電界を生じさせることで電子源30から放出された電子を加速している。なお、電子源30のフィラメントが酸化等で劣化、断線するのを防止するとともに、加速器31における異常放電を抑えるため、電子源30のフィラメントが配置される加速器31の内部空間も高真空に維持する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2897775号公報
【特許文献2】特開2000−69908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来装置には以下のような問題があった。
【0006】
熱電子源30の熱電子放出素子(フィラメントなど)は点若しくは線状に形成されており、広い面積の物体の改質処理を効率よく行うためにはスキャナ34を設けて電子線をスキャンする必要があり、構造が複雑になるとともに小型化並びに軽量化が困難でコストも高くなっていた。また、高真空領域32を高真空に維持するための特別な構造(窓部33)や材料が必要となり、しかも、窓部33を通過させて電子を照射空間領域へ放出するために加速器31が必要であり、構造が複雑になるとともに小型化並びに軽量化が困難でコストも高くなっていた。
【0007】
さらに、加速器31で加速されて照射空間領域へ放出される電子線のエネルギが大きいため、電子線が物質に当たってX線のような高エネルギの放射線が発生したり、電子線が照射された物体が放射化したりして安全上の問題が生じる場合があり、このような放射線の発生を防ぐための構造が複雑になるとともに、大型化、重量化、コストアップを招くという問題もあった。さらにまた、原子力法や労働安全衛生法などの法律上の規制を受け、装置の使用等について監督官庁への届け出や専門の資格取得者(放射線取扱主任者)を選任するなどの特殊な管理体制が必要となる。しかも、電子線のエネルギが大きいため、改質対象以外の物体(例えば、基材や包装材など)にまで影響を及ぼす虞があり、改質対象の物体が限定されてしまうという問題もあった。
【0008】
また、窓部33を通過する際に電子が散乱してロスが生じるため、消費電力が増加したり、ロスによって加熱される窓部を冷却する冷却機構が必要になり、構造が複雑になるとともに、大型化、重量化、コストアップを招くという問題もあった。さらに、電子線源として熱電子放出素子を用いているため、フィラメントの加熱にある程度の時間が必要であるから通電後に直ちに熱電子を放出させることができず、パルス電圧による駆動が困難であった。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、処理効率が高く、簡単且つ低コストな改質方法および改質装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の改質方法は、n形シリコン基板の主表面側に強電界ドリフト層が形成され、強電界ドリフト層上に金属薄膜よりなる表面電極が形成され、n形シリコン基板と当該n形シリコン基板の裏面に形成されたオーミック電極とで下部電極が構成され、さらに、強電界ドリフト層が、少なくとも下部電極の表面側に列設された柱状の多結晶シリコンのグレインと、グレインの表面に形成されたシリコン酸化膜と、グレイン間に介在する多数のシリコン微結晶と、シリコン微結晶の表面に形成され当該シリコン微結晶の結晶粒径よりも小さな膜厚の絶縁膜とから構成される冷電子放出素子よりなる面放射型電子源から放出される電子を物体に照射することで当該物体の特性若しくは表面を改質することを特徴とする。
【0011】
この改質方法において、前記改質は、滅菌、殺菌、除菌、殺虫であることが好ましい。
【0012】
この改質方法において、前記改質は、イオン化であることが好ましい。
【0013】
この改質方法において、前記面放射型電子源から放出されて物体に照射される電子のエネルギを、50[KeV]以下、1[eV]以上としたことが好ましい。
【0014】
この改質方法において、前記面放射型電子源から放出されて物体に照射される電子のエネルギを、紫外線のエネルギ領域としたことが好ましい。
【0015】
この改質方法において、前記紫外線のエネルギ領域は、4〜8[eV]であることが好ましい。
【0016】
この改質方法において、前記面放射型電子源から放出されて物体に照射される電子のエネルギを、電離エネルギ領域としたことが好ましい。
【0017】
この改質方法において、前記電離エネルギ領域は、20〜100[eV]であることが好ましい。
【0018】
本発明の改質装置は、n形シリコン基板の主表面側に強電界ドリフト層が形成され、強電界ドリフト層上に金属薄膜よりなる表面電極が形成され、n形シリコン基板と当該n形シリコン基板の裏面に形成されたオーミック電極とで下部電極が構成され、さらに、強電界ドリフト層が、少なくとも下部電極の表面側に列設された柱状の多結晶シリコンのグレインと、グレインの表面に形成されたシリコン酸化膜と、グレイン間に介在する多数のシリコン微結晶と、シリコン微結晶の表面に形成され当該シリコン微結晶の結晶粒径よりも小さな膜厚の絶縁膜とから構成される冷電子放出素子からなり、物体又は物体が存在する可能性のある空間に向けて電子を放出する面放射型電子源を備え、前記面放射型電子源から放出される電子により前記物体の特性若しくは表面を改質することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の改質方法および改質装置は、n形シリコン基板の主表面側に強電界ドリフト層が形成され、強電界ドリフト層上に金属薄膜よりなる表面電極が形成され、n形シリコン基板と当該n形シリコン基板の裏面に形成されたオーミック電極とで下部電極が構成され、さらに、強電界ドリフト層が、少なくとも下部電極の表面側に列設された柱状の多結晶シリコンのグレインと、グレインの表面に形成されたシリコン酸化膜と、グレイン間に介在する多数のシリコン微結晶と、シリコン微結晶の表面に形成され当該シリコン微結晶の結晶粒径よりも小さな膜厚の絶縁膜とから構成される冷電子放出素子からなる面放射型電子源を用いることにより、熱電子放出素子に比べて消費電力の低減、並びに電子放出までの立ち上がり時間が短縮できるから、点又は線状の熱電子放出素子からなる電子源を用いる従来方法に比較して、処理効率が高く、簡単且つ低コストな改質方法および改質装置が提供できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る改質装置の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】同上における冷電子放出素子の説明図である。
【図3】同上における冷電子放出素子の動作説明図である。
【図4】同上における冷電子放出素子から放出される電子のエネルギ分布図である。
【図5】従来例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明に係る改質方法並びに改質装置の実施形態を詳細に説明する。
【0022】
本実施形態の改質装置は、図1に示すように冷電子放出素子からなる面放射型電子源1を備え、この面放射型電子源1から放射される電子線を物体に照射することにより、その物体の特性や表面の改質を行うものである。
【0023】
面放射型電子源1を構成する冷電子放出素子としては、下部電極と、下部電極に対向する金属薄膜よりなる表面電極(上部電極)と、下部電極と表面電極との間に介在し下部電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加したときに作用する電界により下部電極から表面電極へ向かう向きへ電子が通過する電子通過層とを備え、電子通過層を通過した電子が表面電極を通して放射されるものであって、電子通過層として酸化若しくは窒化した多孔質多結晶シリコン層からなる強電界ドリフト層を採用した構成のものや、電子通過層として酸化若しくは窒化した単結晶シリコン層を採用した構成のものや、電子通過層として絶縁体層を採用した構成のMIM(Metal−Insulator−Metal)型のもの、あるいはMIS(Metal−Insulator−Semiconductor)型のものが知られている。
【0024】
上述の強電界ドリフト層を有する冷電子放出素子は、例えば、図2に示すように構成されている。図2に示す構成の冷電子放出素子は、導電性基板としてのn形シリコン基板10の主表面側に強電界ドリフト層11が形成され、強電界ドリフト層11上に金属薄膜(例えば、金薄膜)よりなる表面電極12が形成されている。また、n形シリコン基板10の裏面にはオーミック電極13が形成されており、n形シリコン基板10とオーミック電極13とで下部電極14を構成している。ここで、強電界ドリフト層11は、図3に示すように、少なくとも下部電極14の表面側に列設された柱状の多結晶シリコンのグレイン(半導体結晶)51と、グレイン51の表面に形成された薄いシリコン酸化膜52と、グレイン51間に介在する多数のナノメータオーダのシリコン微結晶(半導体微結晶)63と、シリコン微結晶63の表面に形成され当該シリコン微結晶63の結晶粒径よりも小さな膜厚の絶縁膜であるシリコン酸化膜64とから構成されると考えられる。なお、図2に示す例では、n形シリコン基板10と強電界ドリフト層11との間にノンドープの多結晶シリコン層15を介在させてあるが、多結晶シリコン層15を介在させずにn形シリコン基板10の主表面上に強電界ドリフト層11を形成した構成も提案されている。
【0025】
図2に示す構成の冷電子放出素子から電子を放射させるには、表面電極12が下部電極14に対して高電位となるように表面電極12と下部電極14の間に駆動電源16から電圧を印加すればよい。ここに、表面電極12と下部電極14との間に印加する電圧を適宜に設定すれば、下部電極14から電子通過層(強電界ドリフト層11)へ注入された電子が電子通過層をドリフトして表面電極12を通して外部に放出される(図2中の一点鎖線は表面電極12を通して放出された電子e−の流れを示す)。
【0026】
図4は、上記構造を有する冷電子放出素子からなる面放射型電子源1より放射される電子のエネルギN(E)のエネルギ分布を測定した結果を示している。同図において、イは駆動電源16の印加電圧を12Vとした場合、ロは印加電圧を14Vとした場合、ハは印加電圧を16Vとした場合をそれぞれ示している。図4に示すように、本実施形態の面放射型電子源1では、電子のエネルギN(E)のエネルギ分布は比較的ブロードであって、しかも数eVの高エネルギ成分を含んでおり、印加電圧の増加とともにピーク位置が高エネルギ側へシフトしている。ここで、原子や分子の励起に必要なエネルギは4[eV]であり、また、原子間の結合エネルギは4〜8[eV]、紫外線のエネルギ領域は4〜12[eV]であり、何れも本実施形態の面放射型電子源1から放射される電子のエネルギN(E)のエネルギ分布が含まれている。そして、面放射型電子源1より放射される電子を物体に照射すれば、原子や分子の励起、原子間結合の切断、あるいは紫外線照射と同等の作用を生じさせることができ、物体の特性若しくは表面の改質が可能である。
【0027】
而して、本実施形態の改質装置は冷電子放出素子からなる面放射型電子源1を用いているため、広い範囲に一括して電子線を照射することができ、点又は線状の熱電子放出素子30を用いる従来例に比較して処理効率の向上が図れ、電子線を走査するためのスキャナなどが不要となって装置の小型化、軽量化、コストダウンが図れるとともに、熱電子放出素子に比べて電子放出までの立ち上がり時間が極めて短いからパルス電圧によって駆動でき、そのために間欠的な動作が可能で消費電力の低減が図れるという利点がある。しかも、本実施形態における冷電子放出素子は真空でない環境下でも電子放出が可能であるから、従来例のように高真空を維持するための構造、すなわち、高真空領域32と照射領域を隔てる板状の窓部33が不要であり、窓部33を通過させるために電子を加速する加速器31が不要となって小型化、軽量化が図れるとともに、窓部33における電子散乱によるロスがないから消費電力が低減でき、さらにロスによって加熱された窓部33の冷却機構も不要となるなど、構造が簡単で低コストの改質装置が実現できる。
【0028】
ところで本実施形態の改質装置では、面放射型電子源1と対向する位置に加速電極2を設け、面放射型電子源1と加速電極2とに囲まれる空間をハウジング3で覆うとともに、面放射型電子源1の表面電極12と加速電極2との間に加速電極2が表面電極12に対して高電位となるように表面電極12と加速電極2との間に外部電源4から電圧を印加して電子を加速することにより、面放射型電子源1から放出される電子のエネルギを所望の改質に必要なエネルギまで高めるようにしている。なお、加速電極2はアルミニウム、タングステン、ステンレスなどの金属材料によって枠状に形成されており、加速された電子(電子線)が内側を通過して物体に照射されるようになっている。但し、ハウジング3内を物体への電子線の照射空間としてもよい。
【0029】
本実施形態の改質装置における改質対象の物質は固体の他、液体、気体、生物などでもよく、また、特性や表面の改質としては、硬化、重合、分解、架橋、酸化、還元、触媒などの活性化、などの各種化学反応、励起、電離やイオン化(プラスイオンやマイナスイオンを含む)、表面張力や表面エネルギ、濡れ性、密着性、吸収率、屈折率、結晶構造変化、欠陥発生などの物理変化、DNAの損傷などによる滅菌・殺菌・除菌(ウィルス、カビ、花粉を含む)、殺虫、発芽や老化、成熟の抑制などの生物的作用を含んでおり、それぞれ所望のエネルギが与えられた電子線を物体に照射することで処理が可能である。ここで、物体に照射する電子(電子線)のエネルギは、物体を放射化しないために10[MeV]未満とする必要があるが、原子力法などの法的規制を受けずに済むという点からは1[MeV]未満とすることが望ましい。また、300[KeV]以下であればX線などの放射線に対する防護処置が簡易にできるので望ましい。さらに、10[KeV]以下であれば、労働安全衛生法などの国内法による規制が特になく、また国際的にも5[KeV]以下では規制がないので極めて望ましい。なお、従来の熱電子放出素子では電子線のエネルギを50[KeV]以下とすることは困難であったが、本実施形態における面放射型電子源1では50[KeV]以下のエネルギを持つ電子線を容易に放射できる。
【0030】
また、電子線のエネルギを電離エネルギ領域(20〜100[eV])とすれば、原子や分子の電離作用を生じさせることができる。また、電離エネルギ領域以下のエネルギを持つ電子線を物体に照射した場合、物体への電子付着が期待できるので、マイナスイオンの生成が可能となる。なお、電離エネルギ領域以上のエネルギを持つ電子線を照射した場合、エネルギに比例して発生する2次電子による電子の増倍効果とそれによる作用が期待できるので、処理効率を上げる意味では好ましい。尚、大気中の場合は真空中と異なり、電子は大気中の分子に衝突する確率が高く、加速される前にエネルギを失う可能性が高いので、真空中のように電子を加速するための印加電圧(加速電圧)が、そのまま電子線のエネルギと等しくなるわけではなく、例えばマイナスイオンの発生でも、20〜100[V]以上の加速電圧が必要な場合がある。
【0031】
以上のように紫外線のエネルギ領域と電離エネルギ領域を合わせると、電子線のエネルギを少なくとも4[eV]以上とすれば改質の効果があると考えられる。
【0032】
本実施形態の改質装置を用いて物体の特性や表面の改質を行えば、有害物質の除去や脱臭、埃やたばこの煙の除去などの二次作用が生じ、これらの一次作用(改質作用)および二次作用の効果を利用して、空気清浄機、エアコン、加湿器、除湿器、衣類乾燥機、食器乾燥機、手洗い乾燥機、ファンヒータ、クリーナ、冷蔵庫、保管庫、食器棚、下駄箱、トイレ、浄水器、洗濯機、冷凍庫、製氷機、殺虫機など、様々な用途に本発明の改質方法および改質装置を用いることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 面放射型電子源
2 加速電極
3 ハウジング
4 外部電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
n形シリコン基板の主表面側に強電界ドリフト層が形成され、強電界ドリフト層上に金属薄膜よりなる表面電極が形成され、n形シリコン基板と当該n形シリコン基板の裏面に形成されたオーミック電極とで下部電極が構成され、さらに、強電界ドリフト層が、少なくとも下部電極の表面側に列設された柱状の多結晶シリコンのグレインと、グレインの表面に形成されたシリコン酸化膜と、グレイン間に介在する多数のシリコン微結晶と、シリコン微結晶の表面に形成され当該シリコン微結晶の結晶粒径よりも小さな膜厚の絶縁膜とから構成される冷電子放出素子よりなる面放射型電子源から放出される電子を物体に照射することで当該物体の特性若しくは表面を改質することを特徴とする改質方法。
【請求項2】
前記改質は、滅菌、殺菌、除菌、殺虫であることを特徴とする請求項1記載の改質方法。
【請求項3】
前記改質は、イオン化であることを特徴とする請求項1記載の改質方法。
【請求項4】
前記面放射型電子源から放出されて物体に照射される電子のエネルギを、50[KeV]以下、1[eV]以上としたことを特徴とする請求項1又は2又は3記載の改質方法。
【請求項5】
前記面放射型電子源から放出されて物体に照射される電子のエネルギを、紫外線のエネルギ領域としたことを特徴とする請求項1又は2又は3記載の改質方法。
【請求項6】
前記紫外線のエネルギ領域は、4〜8[eV]であることを特徴とする請求項5記載の改質方法。
【請求項7】
前記面放射型電子源から放出されて物体に照射される電子のエネルギを、電離エネルギ領域としたことを特徴とする請求項1又は2又は3記載の改質方法。
【請求項8】
前記電離エネルギ領域は、20〜100[eV]であることを特徴とする請求項7記載の改質方法。
【請求項9】
n形シリコン基板の主表面側に強電界ドリフト層が形成され、強電界ドリフト層上に金属薄膜よりなる表面電極が形成され、n形シリコン基板と当該n形シリコン基板の裏面に形成されたオーミック電極とで下部電極が構成され、さらに、強電界ドリフト層が、少なくとも下部電極の表面側に列設された柱状の多結晶シリコンのグレインと、グレインの表面に形成されたシリコン酸化膜と、グレイン間に介在する多数のシリコン微結晶と、シリコン微結晶の表面に形成され当該シリコン微結晶の結晶粒径よりも小さな膜厚の絶縁膜とから構成される冷電子放出素子からなり、物体又は物体が存在する可能性のある空間に向けて電子を放出する面放射型電子源を備え、前記面放射型電子源から放出される電子により前記物体の特性若しくは表面を改質することを特徴とする改質装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−41947(P2011−41947A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212149(P2010−212149)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【分割の表示】特願2004−128823(P2004−128823)の分割
【原出願日】平成16年4月23日(2004.4.23)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】